ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー


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「Sinfonia! Sinfonia!!! 」(ポニーキャニオン)
 田村ゆかり、茅原実里、堀江由衣、豊崎愛生、戸松遥など、アニメの出演のみならず、CDをリリースするたびにランキング上位に顔を出し、日本の音楽シーンにおいて大きな存在感をみせるアイドル声優たち。彼女たちは定期的にライブ活動も行い、中には武道館や横浜アリーナでの公演も成功させるなど、J-POPアーティスト顔負けの大活躍を繰り広げている。  しかし、ここ数年は人気アイドル声優の顔ぶれは固定傾向にあり、長らく新たなアイドル声優の歌手デビュー待望論が、声優ファンの間でもささやかれていた。  そんなファンの声が声優業界に届いたのか、2012年、多くの若手声優が続々と歌手デビューすることが明らかになってきている。  まずは『けいおん!』で中野梓を演じ、全国のアニオタに「ぺろぺろ」というスラングを定着させた若手人気No.1の呼び声も高い竹達彩奈が4月11日、ポニーキャニオンからシングル「Sinfonia! Sinfonia!!!」で歌手デビューすることが決定している。  彼女は『けいおん!』原作漫画でもネタにされるほど、個性的な歌唱力を持つ逸材であり、デビュー曲の仕上がりに多くの声優ファンが注目していたが、現在公開されているPVを聴く限り、そんなに悪くはない……。というか、かなりいいのではないだろうか。  小西康陽系の渋谷系サウンドが、一昔前のアイドルのテンプレートを踏まえているようにも思えて、実に王道で微笑ましい。PVでは、さまざまなコスプレもこなしており、小動物系のルックスもあいまって非常にキュートである。  竹達とは『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』で共演して以来の親友でもある声優・花澤香菜も、彼女を追いかけるように4月25日、アニプレックスからシングル「星空☆ディスティネーション」でデビューする。  ポエトリー・リーディングともヒップ・ホップともとれる、抑揚の少ない独特な歌唱法を得意とすることで声優ファンには有名な花澤だが、そのデビュー曲はメロディラインが大きく展開するハウスミュージック風ポップスとなっている。  そのせいか、これまで彼女がキャラクターソングで披露してきた、まるで語りかけるような歌い方は抑えられている。その代わりにどこか地に足のつかない浮遊感あふれるボーカルとなっており、最後までリスナーは親が娘を見守るような緊張感と、無事に歌が終わった後のなんとも言えない安心感を味わうことができるだろう。  この若手女性声優ツートップとは別の方向性を打ち出してきたのが、20歳の誕生日の翌日である3月28日に、フライングドッグからミニアルバム『プティパ』でCDデビューを果たす悠木碧だ。  すでにリードトラック「回転木馬としっぽのうた」のPVが公開されているが、王道ポップス路線を打ち出してきた竹達、花澤に対し、こちらは谷山浩子や大貫妙子といったニューミュージック系アーティストのにおいを漂わせたファンタジックな楽曲となっている。  その映像も、まるで彼女が主人公・鹿目まどかを演じた『魔法少女まどか☆マギカ』の異空間設計を担当した「劇団イヌカレー」的な世界観となっており、声優としての彼女とリンクした音楽活動がファンにはうれしいところだろう。  男性声優も負けてはいない。  アニメ『グラール騎士団』から生まれた男性声優ユニット・G.Addictのメンバーが、ランティスから続々とソロデビューを果たしている。  中世的な声で絶大な人気を誇る梶裕貴は、すでに2月22日にシングル「sense of wonder」でデビューを果たしており、オリコン週間シングルチャートで初登場11位を記録。オリコンチャートの順位の意味性が疑われて久しいが、現在もっとも一般メディアに露出する機会の多いチャートに顔を出したことに対するインパクトは大きいといえる。  今後は、艶のあるワイルドな歌声が魅力の寺島拓篤のソロデビューが控えており、その他のメンバーのデビューも引き続き楽しみにしたい。  ほかにも、アイドルから声優への転身を果たし、現在『モーレツ宇宙海賊』主人公・加藤茉莉香を演じている小松未可子も4月11日、キングレコード内のレーベル・スターチャイルドからシングル「Black Holy」でデビューする予定だ。  このように、アニメ関連主要レーベルから続々と若手声優が歌手デビューする2012年の春。フレッシュな空気が一斉に流れ込むことで、アイドル声優シーンにも大きな変化が生まれること必至だ。  彼らが音楽活動を通じて、本業である声優としてもさらにスキルアップしてくれることを期待したい。 (文=龍崎珠樹)
Sinfonia! Sinfonia!!! ぺろぺろ! amazon_associate_logo.jpg
■バックナンバー 【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!? 【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』 【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』 【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』 【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』 【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!

東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻第三期生修了制作展が熱い!

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 もはや「世界に通用する日本のアニメ産業」という言葉も、当たり前というべきか陳腐というべきか。いずれにしても、いまや日本のアニメ産業は、表現手法や技術力に至るまで膨大なスキルを蓄積している。そして、この貴重な「財産」を次世代に継承し、さらなる発展を目指す時代にきているといっても過言ではない。  東京藝術大学大学院映像研究科のアニメーション専攻は、次世代の担い手を育てる教育機関の中でもトップレベルの場だ。先週末、その第三期生の修了制作展が、同大学の横浜校地馬車道校舎で開催された。 「アニメーション専攻では、リーダーをつくることを目的としてきました。アニメ産業からアートまで、リーダーとなるべき人材が育っているのはとてもうれしいです」  と、同大学院の岡本美津子教授は話す。本年度の修了生の進路を聞いてみると、多くは独立してアニメーション作家の道へ進む予定。一方で、東映アニメーションのような老舗の制作会社やゲーム会社への就職を決めた人もいるそうだ。アート方面だけでなく、商業界にも人材を送り出しているところが層の厚さを感じさせるし、目的を十二分に果たしているのではないかと思う。 R0030290.jpg  実際、上映されている作品を見ても、表現手法や扱うテーマはさまざまだ。震災や就職活動をテーマにした作品もあるかと思えば、種田山頭火を扱った作品も。表現手法も、CGからパペットアニメーションまで多様である。アートの知識はほとんどない筆者だが、見ていて飽きないので驚いた(自分に)。おそらく、あと10年も経てば、ここで上映されている作品の制作者がアートアニメーションで評価されたり、あるいは商業アニメで超人気作を制作するようになることは、容易に想像できる。 「商業アニメの制作現場では作業の一部を担当するだけでしたが、この大学院では企画から制作まですべてを一人でやらなければならないんです」  と、本年度の修了生・白石慶子さんは話す。白石さんは、大手商業アニメ制作会社に勤めていたが、「アニメーションの根幹にかかわりたい」と大学院生に転身したそうだ。 「商業アニメの企画は世間の流行を感じ取って、いわば“受け身”の形で進んでいきます。対してこの大学院では、自分で面白さを考えて提案していかなければならないし、そのスキルを学ぶことができました」  そう語る白石さん。今後の進路を聞いてみると、フリーランスで商業アニメの仕事を受けることが決まっているそうだ。震災をテーマにした白石さんの作品は「ええっ!」と思うほどインパクトが強かった。このスキルが商業アニメではどのように反映されるのか楽しみである。  24時間営業のアニメーション専攻の校舎だが、場所はみなとみらい線の馬車道駅から徒歩10分。校舎は運河の傍ではなく運河の中に建っていて1階はハローワーク。昼間でも人通りの少ない町外れだ。この絶妙な環境が学生を制作に専念させるのだろうかと、帰り道に校舎の脇を歩きながら思った。なお作品は、今週末から東京・渋谷でも上映予定。 (取材・文=昼間たかし) ●「GEIDAI ANIMATION 03 TALK」 東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻第三期生修了制作展 3月17日(土)~ 23日(金) 各日21:00 より(レイトショー) 会場:渋谷ユーロスペース <http://www.animation.geidai.ac.jp/03talk/index.html>
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見るか、さもなくば死を! 死の気配漂う萌え4コマ原作アニメ『キルミーベイベー』

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『キルミーベイベー』公式サイトより
 「仲良き事は美しき哉」と、武者小路実篤は言った。  そう、友情って素晴らしい。それさえあれば、人は、過酷なセカイでも生き抜いていける……。『キルミーベイベー』(TBS系)は、見ているうちに思わずそんな気持ちを抱いてしまうアニメだ。  原作は「まんがタイムきららキャラット」(芳文社)にて好評連載中の、いわゆる「萌え4コマ」とカテゴライズされる作品だ。  メインの登場人物は普通の高校に通う殺し屋のソーニャと、そんなソーニャに何かとつきまとうクラスメイトの折部やすなの二人。準レギュラーとして、ソーニャと同じ組織に所属している忍者の呉織あぎりと、「没キャラ」(これが正式名称。原作では単行本にのみ登場だが、アニメでは準レギュラーに昇格されている)が登場する。  「萌え4コマ」の代表的な作品といえば、『ひだまりスケッチ』や『らき☆すた』、『けいおん!』といった名前が挙げられる。かわいらしい女の子たちの日常に起こる何気ない出来事を魅力的に切り取り、ときに流行りのアニメやマンガのパロディでオタク心をくすぐって笑いをとる。  この作品のキャラクターたちも、頭身低めで、コロコロとした愛らしいルックスをしている。『少女革命ウテナ』『おとめ妖怪ざくろ』を始め、数々の作品で魅力的な美少女を描いてきた長谷川眞也によるアニメ用キャラクターデザインは、シンプルで線一つでガラっと印象が変わってしまう原作の絵柄を、見事に再構成している。  んが、しかし。  かわいらしいキャラクターデザイン以外は、「殺し屋」という基本設定からもわかるように、この作品は「萌え4コマ」のパブリックイメージを大いに裏切る。アニメの中で展開されるのは、デンジャラスでバイオレンスでクルーエルでスラップスティックな、体を張った感のあるギャグなのだ。  基本的な流れはこう。  やすながソーニャにボケつつ絡む→ソーニャがつっこむ→つっこみに対してやすなはソーニャを煽るようなリアクションをとる→ソーニャがキレる→オチ  ……このショートエピソードの繰り返し。そこで繰り広げられるやすなのボケは破滅的で、ソーニャのつっこみはエグい。  たとえば、ある一エピソードの流れを具体的に書くと、 やすなが頭から一斗缶を被り、抜けなくなる→助けてくれるよう挑発的にソーニャに頼む→「熱すれば缶が大きくなって取れる!」という発想で、調理室のガスコンロの上にやすなを逆さ吊りにする→さすがにやすなが反発→次善の作として一斗缶の口から油を注ぎこんで滑らせて取ろうとする→取れない→油も入った状態で頭にハマった一斗缶をコンロで温めようとするソーニャ→なんやかんやで缶が外れる→「これで自在に着脱できるようになったはずだ」と思い込んだやすなが再び缶を被る→また取れなくなる  ……とまあ、こんな具合である。「油も入った状態で頭にハマった一斗缶をコンロで温めようとする」あたりに、「お前は『アウトレイジ』に出てくるヤクザか!」とか感じたりしないだろうか。「再び缶を被る」のあたりに「お前は箱男か! ルリヲか!」的な狂気を感じないだろうか。  ほかのエピソードでも、ソーニャのつっこみにもやすなのボケにも、タナトスの気配が漂っているのである。純真無垢なバイオレンスとでも形容したくなる、不思議な勢いがこの作品には存在している。  しかしながら、見終わったときに残るもっとも強い印象は、「こいつら仲良いよなー」なのである。まるで萌えの衣装をまとって現代に蘇った『トムとジェリー』。最新でありながら古典に通じるこの感覚、山川吉樹監督、恐るべしというほかない。仲良くケンカしな。友情さえあれば、死の気配すら、人生のスパイス。嗚呼、友情って素晴らしい。  最後になったが、本作はキャスト、音響面も実に気が利いている。  やすなのウザかわいさの5割くらいは、赤﨑千夏の好演による。ソーニャ役・田村睦心のキレ声バリエーション、あぎり役・高部あいの不思議なスローの節回し、没キャラ役・釘宮理恵の貫禄、番組レギュラー(番組内でさまざまな役を担当する)のチョー、新井里美という男女二大個性派声優の怪演……どれも聞き応えアリ。  さらに、主題歌&BGMを手がけるのは、『がんばれ森川君2号』『くまうた』などの異色ゲームなどで知られる山口優と、「おしりかじり虫」で知られるカリスマキーボーディスト・松前公高による伝説のモンド・ミュージックユニット「EXPO」という豪華さ。  どこをとっても『キルミーベイベー』を見ないで済ませる理由はないのだ。見るか、さもなくば死を! (文=麻枝雅彦)
キルミーベイベー (1) 初回版のみ豪華特典付き。 amazon_associate_logo.jpg
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AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!?

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『AKB0048』公式サイトより
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 AKB48、ももいろクローバーZ、ぱすぽにアフィリア・サーガ・イーストなどなど、アイドルグループが乱立するアイドル戦国時代の2012年。その波はアニメ業界にも押し寄せていた!   今回は、百花繚乱のアイドルが活躍する新作アニメをチェックしてみよう。  企画発表時はもちろん、新情報が公開されるたびにアニメファン、アイドルファンともに大きな衝撃を与え続けているのが、4月に放送スタートが予定されている『AKB0048』だ。  タイトルから分かる通り、今をときめくアイドルグループ・AKB48を題材とした本作だが、アイドルやタレントを題材にしたアニメというと、古くは高河ゆんがデザインした美形な小室哲哉らTM NETWORKメンバーがメルヘンチックなファンタジー世界で活躍するアニメ『CAROL』をはじめ、販売数265枚という記録を打ち出した叶姉妹の"誰得"アニメ『ABUNAI SISTERS KOKO&MIKA』、鳴り物入りで企画スタートしたものの、その後何もなかったかのようにフェードアウトしたt.A.T.u.のアニメ『t.A.T.u. PARAGATE』など、どうにも「アレ」なイメージが付きまとうのは事実。  中にはアメリカでのPUFFY大ブレイクのきっかけとなった『Hi Hi Puffy AmiYumi』といった成功作もあるが、それはレアな例だろう。  さて、今回の『AKB0048』はどちらのパターンだろうか。  1982年、『超時空要塞マクロス』にてアイドルとSFを融合させたハイブリッドなドラマを展開。シリーズ最新作『マクロスF』の大ヒットも記憶に新しい河森正治が原作・総監督を務めることが決定している。  そのストーリーは、 「宇宙を支配する超銀河連邦によって、芸能や歌が人の心を乱すものとして規制される未来世界。かつて地球の存亡をかけた戦争の中で、最後まで人々の希望として歌い続けた伝説のアイドル・AKB48の魂を受け継ぐ非合法アイドル・AKB0048が立ちあがった。彼女たちは様々な惑星に強行突入し、ゲリラライブを決行。悪に支配される人々の心に希望の灯を灯す」  というもの。"敵地に乗り込みゲリラライブを行い、人々の心に歌で訴える"というプロットは、まさしく『マクロス7』の主人公・熱気バサラのそれとクリソツではないか。  また、芸能が制限された未来世界で音楽の力を証明してみせる、というストーリーラインは、永野護の傑作SF×バンドコミック『フール・フォー・ザ・シティ』を連想させる。  つまり『AKB0048』は、過去の名作を取り込みAKB48流にアップデートした作品──と言うことはできないだろうか。  「ガチ」な活動方針でアイドル戦国時代の最先端を突き進むAKB48を題材とした『AKB0048』は、流行に乗じた単なる企画物アニメに終わらない。そんな予感を憶えてしまうのは筆者だけではないはずだ。  芸能界から迫る黒船である『AKB0048』と真っ向勝負を挑むのが、武道館を制覇した声優界のアイドルユニット・スフィアがヒロインを演じる青春アニメ『夏色キセキ』。そして、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍するゆいかおりの小倉唯と石原夏織が参加するStylipSが総出演する『咲-saki-阿知賀編』である。  『夏色キセキ』は、静岡県下田市を舞台とする現代劇という情報程度しかまだ公開されていないが、キャラクターのみならずOPテーマ、EDテーマもスフィアが担当するということで、スフィアファンにはたまらない作品になること必至だ。  そして『咲-saki-阿知賀編』は美少女キャラが続々登場する麻雀アニメの続編にあたる話題作。OPテーマも担当するStylipS演じる新キャラクターたちは、従来の人気キャラとどのような絡みを見せてくれるのだろうか。  このほかにも、架空のアイドルユニット・μ'sの活躍を描きながらも、キャラクターを演じる声優陣が実際にライブ活動を開始した『ラブライブ!』が、2013年に2010年の企画スタートから実に3年越しのアニメ化が決定している。昨年放送された『アイドルマスター』に引き続き、二次元世界から三次元に飛び出したアイドルの攻勢もまだまだ終わる気配はない。  三次元に続いて、とうとうアイドル戦国時代が本格的にスタートした感のある2012年のアニメ業界。ここでもAKB48が覇権を握るのか。それともアニメ業界が誇る声優アイドルユニットが、そのプライドにかけて自らのシマを守り抜くのか。  春の嵐が吹き荒れる日はもう間近に迫っている。 (文=龍崎珠樹)
クイック・ジャパン100 まっ、まぶしい......! amazon_associate_logo.jpg
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ニコ動と地上波の間に生まれたミラクル『gdgd妖精s』とは一体何なのか!?(後編)

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(c)2代目gdgd妖精s
前編はこちらから ――後半はそのコールアンドレスポンス、ユーザーさんとの関係についてもう少し掘り下げさせていただければ。 菅原 ニコニコ動画に上がっている動画って、結構ツッコミどころが多いものが多いじゃないですか。ツッコミ不在のままボケていて、見ている方がツッコむような感じのものというか。『gdgd妖精s』はそのノリに近い番組かもしれないと思うんですね。ひょっとしたら、地上波で今流れている番組の中で、一番ニコ動に近いものなのかもしれないとすら思います。 石舘 ニコ動の動画と地上波の番組のちょうど中間のコンテンツかもしれない。 菅原 だから、ニコ動が面白いってことがテレビの中で再認識されていたりしたらうれしいんですけど。 石舘 基本的にテレビの人って、ネットの動画コンテンツを格下に見てて、あまり勉強してないところがあるからね。 菅原 でもCG技術に関してだけいうと、テレビのCGの人たちよりニコ動のほうが先に行っちゃってるんですよ。天才たちが自分のデータをタダで配布し合って、キャッチボールして、改良して、それをまたタダで配って......みたいなことをやりまくってるから。本当に技術の最先端にあることをずっとやりあっているみたいに僕には見えます。申し訳ないですけど、テレビのCG技術は2000年代で止まっちゃってるんですよね。2000年のCGと比べて、2012年のCGは進化してない! と思う。テレビで使う側の人たちがCG技術を知らないので、新しい技術が発明されていることに気がついてないんですよね。 石舘 新しい技術をどう活かしたらいいかわからないとも思うしね。 菅原 CG側の人がプレゼンしないと新しい企画はできないんでしょうね。 ――発注する側が技術を知らなければ、発注内容は変わらないですもんね。
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石舘氏(左)と菅原氏(右)。
菅原 そうなんですよ。 石舘 テレビを作っている人たちというのは、やっぱりどうしても、自分たちが一番最先端を行っていると思い込んでいるところがあるんですよね。僕が言うのもなんですけども。 菅原 だからもっとCG側の発言を出していきたいですね。ニコニコ動画内で起こっている技術革新みたいなものが、直にそのままテレビ局とつながったら、もっと番組が面白くなると思うんです。ニコ動はニコ動で、技術は半端なく高いんですけど、みんなが好きにやっているのですごくマニアックな世界っぽくなっちゃってるところはあるので。 ――その意味では『gdgd妖精s』はそのモデルケースに近い位置にあるのかもしれないですね。制作に使われているMMD(MikuMikuDance)なんて、まさにニコ動から盛り上がった技術ですし。 菅原 そうなんですよね。だからMMDで使える、番組で使ったのとほとんど同じ3Dモデルを配布したんです。みんなが作り手と同じキャラで動画を作ってアップロードできるような状態になっているというのは、なかなか珍しいんじゃないかと思って。 石舘 「アニメ界の初音ミク」的なことになってくれたらいいなと思ってますけどね。 菅原 文脈的には初音ミク的なものですからね。 石舘 『gdgd妖精s』はみんなの共有財産的なものだと思っています。 菅原 みんなで盛り上げた感があるものだから、みんなで楽しんでいけたらいいなと思っています。 ――しかし『gdgd妖精s』は、アニメファン向けであり、サブカル層向けであり、一般層向けでもあるという、不思議なバランスの作品ですよね。 石舘 そもそも、そういうバランスを狙った作品って、これまであまりなかったと思うんですよね。特にギャグ作品ではほぼなかったと思います。でも、考えてみたらできないこともないんじゃないかと思いまして。 ――でも難しいことですよね。 石舘 一番気にしたのは、どのジャンルの人たちから見ても新鮮なものを作ったときに、それぞれの嫌悪感につながる部分をどれだけ排除するかでしたね。さっきそうたくんも言ってたように、面白さを追求したあまり「かわいいキャラが愛せなくなっちゃった!」というのはよくないし、かといって萌え要素に逃げた笑いばかりで、萌えにアンテナが反応しない人には全然面白くない内容というのもよくないし。お互いによい相乗効果を生むように......というのを考えましたね。
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――今、アニメ業界で企画を立てる人が一番苦労しているところだと思うんですよ、そこは。 石舘 全然違うかもしれないですけど、いちアニメファンとして見ていて、京都アニメーションさんの『日常』がやりたかったことってこういうことなのかな? とちょっと思ったんですよね。 ――ああー!! それは鋭いと思います。 菅原 『日常』は萌え側からサブカルを向いて、『gdgd妖精s』はサブカル側から無理やり萌え側を向いた、みたいなところがあるかもしれないですね。 石舘 『日常』は、京アニさんがもっと幅広いお客さんを獲得するために、一般の方にも畑を広げなきゃいけないというところで、萌え要素を削って、お笑い要素を増やした作品だったのかな? と思うんです。でも、いちアニメファンとしての僕から見ると、それは少し物足りない残念な気持ちがしたんです。だから、萌えもお笑いも、削ったりせずに、どちらも真芯にとらえて取りに行かなきゃいけないと感じたんですね。この『gdgd妖精s』の手法は、アニメ畑にいる方々にはもしかしたら盲点だったのかも。僕はアニメ大好きですけど、アニメを作っている人間ではないですし、かつ、そうたくんというサブカルのカリスマ的な作家さんと一緒にやらせていただけた。そのミラクルで生まれたものだと思います。 ――となると、『gdgd妖精s』の後続作品が出てこられるかというと、なかなか厳しそうですね。 菅原 いやー、ないでしょう(笑)。 石舘 表面的に真似ることは可能でしょうけど、本家の方々が本気で作るようなものではないですよね(笑)。 菅原 ガラパゴス諸島みたいになっちゃいそうですよね。類似しているようで似てないものが出てきたりして。 石舘 でも見る人から見たら、この作品もヴィレッジヴァンガードとかにあるCGアニメの延長作品に見えるでしょうし。 菅原 そうそう。『gdgd妖精s』はその人の今まで生きてきた人生によって全然違う感じに見えるというのがあるんですよね。 石舘 そう、「これに似てる」というものが人によって全然違うんですよね。 菅原 『らき☆すた』という人もいれば、『ウゴウゴルーガ』に似てるという人もいる。その両方に似ているってどんなんだよ! って(笑)。 ――(笑) 石舘 ほかにも『ピーピングライフ』だっていう人もいるし、『サナギさん』だっていう人もいるし、声優さんのラジオだっていう人もいるし。 菅原 一個のところからじゃなくて、完璧に文脈の違うファン同士がいて、その人同士は相反する世界観を持っている......みたいな感じで。そこが面白いですよね。 ――ユーザーさんの話でいうと、石舘さんがブログで「今の普通のテレビ番組は最大公約数的なものを作る必要があるけど、アニメはそうじゃないからいい」というようなことを書かれていたのが印象的だったんです。京アニさんの話もそうですけど、今、アニメを作る人たちは、ソフトの売り上げが全体的に下がっていたりすることで危機感があって、逆のことを考えている人が多いと思うんですよね。もっと一般に届く企画を作らなければダメなのでは? みたいに。 石舘 そうですね。本来一番よかったところを崩そうとしていますよね。 ――そこでアニメのニッチさこそが素晴らしい、と感じてらっしゃるのが新鮮だったんです。
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菅原 ずっとそこで生きてきた人だと、感じないのかもしれないですね。僕たちは新参者というか、「いいなー!」と思って入ったばっかりだから。 石舘 だって、アニメの作り手の人たちって、ユーザーさんの財布の紐を解かせる方法を考え続けなきゃいけないからこそ、これでもか! と見たこともないような新鮮なことをやり続けられるわけですよね。これって、今のバラエティ番組とかドラマの現場では見ないことですよ。だからアニメはすごくいい畑だなと思います。うらやましい。 ――菅原さんはどうです? 普段ご自分がやってらっしゃるようなCG映像の世界と比べて、深夜アニメのユーザーさんを意識して作ることに違いはありました? 菅原 そうですね、すごく前から自分自身がユーザーとして見ていた2ちゃんねるやニコ動にいる人たちに向けて発信できてるというのは、すごく新鮮で面白かったです。あとやっぱり、チームワークというか、『gdgd妖精s』自体の作り方の方程式みたいなのがすごい新鮮で。前に作っていた『ネットミラクルショッピング』では監督をやってて、それだとみんなで意見を交換して脳みそがプラスされていくということがなかったんですよね。意見を出しあって、どんどんまわしていくと、100倍にも1,000倍にも面白さが膨らんでいくという状況というか、現場の熱みたいなものがまんま作品に投入されていくというのを肌で感じて。すごい資本主義から共産主義へみたいな感覚が......(笑)。 石舘 急に何の話?(笑) 菅原 何の話だろう(笑)。えーと、トップダウンのピラミッド型じゃなくて、みんな平等の、学園祭みたいな雰囲気が持つすごい力強さみたいなものを感じました。 石舘 スタッフみんなが横並びだったんですよね。自分の専門以外のことはよくわからないので、各分野の人に全部任せると、「丸投げで任されるなら頑張らなきゃ」みたいになってそれぞれいいものを作ってくれる......みたいな。 ――その雰囲気は石舘さんのブログにアップされた制作裏話からもうかがえました。 石舘 あれは関わった関係者たちを少しでもちやほやしてあげたいというか、「こんな人たちが関わってたんですよー。もしよかったら仕事をあげてくださいねー」という目的で書いたところもあったんですよ(笑)。 ――なるほど。『gdgd妖精s』からいろいろな流れが起こっていくのも面白そうですが、『gdgd妖精s』自体のこれから先の展開って何か考えてらっしゃるんですか? 続編とか、もしくは同じような形態で新作を作られるとか。 石舘 どうですか、福原プロデューサー? 福原 違うこともこのプロジェクトチームでやってみたいなとも思うんですけど、「DVDとBlu-rayを買ってくれたら次もある」と腹黒なピクちゃんが言っちゃって、オープンマーケティングしちゃったんですよね(笑)。その期待には応えないとなと思っています。でも続編はハードルがいろいろ高いんですよね......あまり保守的な作品作りにならないようにというのだけは肝に銘じて、がんばろうと思っているところです。 石舘 悪い意味では期待を裏切らずに、でもいい意味では期待を裏切りつつという。 菅原 まずはハードルを下げましょう。 石舘 ああー。上がったハードルを下げないとね。 菅原 誰も期待しないところまで下ろさなきゃ。「『gdgd妖精s』面白いと思ってたのにそうでもないな~」みたいな感じにならないように。「どうせつまんないんだろ~?」と思わせるところまでやらないと。 石舘 そのくらいまで頑張って下げたいな~。 ――......といったところで、本日はありがとうございました! (構成=前田久) ●いしだて・こうたろう 1974年5月27日生まれ。株式会社グレープカンパニー所属。趣味は料理・アニメ鑑賞・LEGO収集。お笑い芸人としての活動を経て放送作家に。「HEY!HEY!HEY! music champ」「人志松本のすべらない話」「コスコスプレプレ」「プレミアの巣窟」など多くの番組に携わる。 ●すがわら・そうた 1979年生まれ。マンガ家、映像作家、CGグラフィックデザイナー。19歳でマンガ家としてデビュー。99年から「週刊SPA!」(扶桑社)でCGマンガ「みんなのトニオちゃん」を2年間連載し、以降も断続的に作品を発表している。ほかにも、PV、VJ、イラスト、3DCGアニメーションなど、多岐にわたる領域で旺盛に作品を発表し続けている。
gdgd妖精s 第3巻【BD】 品番:ENBD-5007 収録時間:本編53分+特典映像61分+CD74分 価格:6,090円(税込) 発売日:3月24日 発売元:(株)イーネット・フロンティア/ストロベリー・ミーツピクチュアズ(株) 販売元:(株)イーネット・フロンティア  ※第1~2巻は好評発売中 amazon_associate_logo.jpg
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ニコ動と地上波の間に生まれたミラクル『gdgd妖精s』とは一体何なのか!?(前編)


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(c)2代目gdgd妖精s
 2011年10月クールのアニメ新番組で、ダークホース的な存在感を放った3DCGアニメ『gdgd妖精s(ぐだぐだふぇありーず)』(TOKYO MX)。ローポリゴンで描かれたピクピク(声:三森すずこ)、シルシル(声:水原薫)、コロコロ(声:明坂聡美)の3人の妖精が繰り広げる、タイトル通り「gdgd=ぐだぐだな」な雰囲気のトーク&コントはセンス抜群で、中毒状態に陥るファン多数。また、低予算で実験的な制作体制も興味深い。1月から順次発売されているDVD&Blu-rayも大ヒット中だ。アニメ&声優ファン、そしてサブカル好きを夢中にさせた異色アニメの秘密を、本作の中核スタッフである菅原そうた(企画・映像監督・キャラデザイン)、石舘光太郎(演出・脚本)のおニ人と、福原和晃プロデューサーに伺った。 ――『gdgd妖精s』という企画の始まりはどこから? 菅原そうた(以下、菅原) 最初は僕と福原さんで、アドリブの生っぽさを取り入れたCGギャグアニメをやろうと言ってたんです。CGのモーションキャプチャー技術がKinectの登場で盛り上がっていたので、それを活かした何かができないか、と。でも途中で福原さんが「今の時代は萌えじゃろう」と。 石舘光太郎(以下、石舘) 「じゃろう」?(笑)菅原さんは萌えから一番遠い人なのにね。 菅原 でも僕も「なるほど!」と。綾波とかアスカみたいなキャラを作ってみたいという気持ちは以前からあったんですけど、手の届かない高みにあると思っていたんですよね(笑)。そのあと、石舘さんと福原さんが奇跡的に出会ったんです。
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演出・脚本の石舘光太郎氏。
石舘 突然連れてこられて、最初はあまりコンセプトもわかってない状態だったんですよ(笑)。それで、アニメファンの人に話題にならないと大きな結果は生めないと思ったので、なんとかアニメファンの人に喜んでもらえるようなパッケージを作ろうと思ったんです。 菅原 そこから、石舘さんに萌えアニメの方程式をさんざん教えていただいて、企画を作り直したんです。 石舘 そうたくんの労力も考えて、序盤は会話で、顔だけ動いていれば成立するみたいなのを何分かやったほうがいいんじゃないかという話になったんですよ。 菅原 石舘さんももともとお笑いの方(元お笑い芸人)でもありますし、「すんげき部」という活動をやっていたんですよね。 石舘 「すんげき部」は女の子のお笑いアイドルユニットみたいなものです。 菅原 その「すんげき部」のキャラをまんまアニメでやったら、CG萌えアニメができるんじゃないかと感じたんです。 石舘 それでティータイムのコーナーを作ることになって、本来やろうと思ってたフリーの大喜利CG空間遊びは、「メンタルとタイムのルーム」のコーナーと、「アフレ湖」のコーナーに割った、という感じですね。そこに至るまでに、この番組はバラエティなのかアニメなのかは話し合いましたね。放送された形になるまでは、少し時間がかかりました。 菅原 僕が完璧に萌えアニメについてど素人だったこともあって、どっちかというと声優さんが生で動いているような感じの映像を最初は目指したんです。でもそれって、萌えアニメの方程式からすると動きすぎて気持ち悪かったんですよね。 石舘 ヌルヌル動くとなんか入り込めないんですよね、アニメとしては。
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企画・映像監督・キャラデザインの菅原そうた氏。
菅原 最初に実験で作ったときには、めっちゃくちゃ表情豊かなキャラクターを作ったんですよ。そうしたら「これはディ◯ニーっぽくて気持ち悪いからもっと動きを少なくしてくれ」と。そこからはひたすら動きを減らしていきました。 石舘 『けいおん!』とか『らき☆すた』とかいろいろ見てもらって、「ほら見て! みんな全然動いてないでしょ! 口しか動いてないでしょ!」って解説したんですよね。CGは普通の作画のアニメと違って、動いているところを描く必要がないので、労力をそれほどかけなくても動かそうと思えばいくらでも動かせちゃうわけですよ。なので、つい動かしちゃうんでしょうね。 菅原 CGが商業利用されるようになってから、まだ10年、20年くらいしか経っていないので、みんなまだ技術を見せたがっていることが多いんです。でも、みんなで相談したり、石舘さんの話を聞いたりすると、クオリティーの高いものを作ることよりかは、「お客さんが見て楽しいのは何か?」というところを意識したほうがいいんですね。だから目標としては、CGであるということから離れて、普通にエンターテインメントとして見てもらえたら勝ちだなと思えたんです。 石舘 技術自慢より、「どんなCGが一番この作品に合っているか?」というものから逆算して、そのために必要なCGを作ってもらうという発想でしたね。 菅原 髪の毛とかも、最初は揺らしたり、いろいろ考えたんですけど、記号としては完璧に止まっていたほうがいいんですよね。キャラとしてカチッとしたイメージになる。だから完成したものでは髪の毛もガチガチに止まっています。 石舘 なるべく記号っぽいもののほうが、見る方のハードルは下がるだろうなと。 菅原 とにかくそうして全体的にハードルを下げて、下げて......「期待しないで! しょうもないよ!」っていうアピールをしていったことが、いい方向につながった感じがします。 石舘 そうですね。みんなこういうものを作るのが初めてですし、大喜利みたいなことをやろうと思っても、声優さんだって芸人さんじゃないので。いかにハードルを下げて、「こんな変なものができました」というのを楽しんでもらえるか、というところに気を遣いましたね。 菅原 放送が始まってからは、ネット上でのリアクションが熱くなりました。放送前は、制作に参加してくれているメンバーみんなでいろいろしゃべって、その中間点というか、みんなが嫌だと思うところを削っていく......という感じで調整していたんです。でも放送後はニコニコ動画のコメントやネット上での反応を見て、それを受けてみんなで考えるようになりました。
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――制作にリアルタイム感があったわけですね。 菅原 1週間で1話分を制作するペースでしたからね(笑)。視聴者の皆さんとリアルタイムでキャッチボールしてるぞ! という感じはありました。 石舘 そうたくんはむしろそこに影響受けすぎちゃったところもあったよね(笑)。 ――中でも特に制作にあたって特に気をつけたところは? 菅原 ギャグの入れ方には気を遣いましたね。たとえば、第4話のRPG風のシーンで、かわいい女の子が気持ち悪くなる展開を入れたんです。これは笑いとしては正解なんですけど、萌えとしてはNGなんですね。キャラクターが汚されてしまったと思って、その女の子を好きになりづらくなってしまう。そういう、面白さとかわいさのあいだで、いつも葛藤していました。 石舘 かわいいことと面白くなることがうまく結びついた瞬間がいちばん爆発力があるんですよね。ちゃんとキャラがかわいく見えれば、とんがった映像も最初に見るときには違和感がちょっとあるんですけど、繰り返し見ているとなんだかじわじわと、どんどん面白くなるんですよ。 菅原 『gdgd妖精s』は全話見ると、その中で人が生きてて、こういう世界が続いていくと感じられて、好き度が上がる気がしますね。 石舘 でも、もともとわりとディスりようがない作品じゃない? 菅原 もともとディスられて当然みたいなとこから始まっちゃってるからね。 石舘 こんな弱い奴イジメてもしょうがないじゃん、みたいな。叩きようのない作品なんですよ。それがまたありがたかったですね。別に計算したわけじゃないんですけど。これがアニプレックスさんや京アニが作ったとなったら「えーっ!」となって急に大多数にディスられてたかもしれないですよね。
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――たしかに「『アニメノチカラ』の新作です!」とかだったら大炎上してたかもしれないですね(笑)。なるほどな~。確かに最近支持されるコンテンツの流行り方として、ある種、イジられるみたいなところが大事な感じはしますよね。 石舘 ネタ要素というか、ツッコまれる感じですよね。 菅原 そうですね。だいぶ隙があるところで、ツッコんで完成みたいなところがあって。やっぱり普通のアニメってアニメとして見ていいじゃないですか。このアニメの場合、コメント付きで見たときに面白さが全然違って、コメントありでみないと成立しないくらいのところが......(笑)。 石舘 コメントありバージョンも収録したかったくらいだよね。 ――ひょっとして、ご検討されたりとか? 福原 実はしました。やり方はあることはあるそうなんですけど、少し技術的に難しいということで、今回は間に合わなかったですね。次があったら、そのときこそ......という感じです。 石舘 本当はニコファーレとかで、みんなでコメントをつけながら一挙放送を見るイベントなんかもできたらいいんでしょうけどね。 菅原 近々じゃない、いつか未来に、声優さん3人が生でトークしている後ろにでっかいスクリーンとかでツッコミを入れてもらえたらいいですね。 石舘 いいかもしれない。 菅原 水原さんとかその場で「ヴァ」って書かれたら即反応しますよ。 石舘 水原さんはすぐ話がブレるからねー(笑)。『gdgd妖精s』はそういう、見ている人たちとのコールアンドレスポンスが楽しかったです。 (後半へ続く/構成=前田久) ●いしだて・こうたろう 1974年5月27日生まれ。株式会社グレープカンパニー所属。趣味は料理・アニメ鑑賞・LEGO収集。お笑い芸人としての活動を経て放送作家に。「HEY!HEY!HEY! music champ」「人志松本のすべらない話」「コスコスプレプレ」「プレミアの巣窟」など多くの番組に携わる。 ●すがわら・そうた 1979年生まれ。マンガ家、映像作家、CGグラフィックデザイナー。19歳でマンガ家としてデビュー。99年から「週刊SPA!」(扶桑社)でCGマンガ「みんなのトニオちゃん」を2年間連載し、以降も断続的に作品を発表している。ほかにも、PV、VJ、イラスト、3DCGアニメーションなど、多岐にわたる領域で旺盛に作品を発表し続けている。
gdgd妖精s 第3巻【BD】 品番:ENBD-5007 収録時間:本編53分+特典映像61分+CD74分 価格:6,090円(税込) 発売日:3月24日 発売元:(株)イーネット・フロンティア/ストロベリー・ミーツピクチュアズ(株) 販売元:(株)イーネット・フロンティア  ※第1~2巻は好評発売中 amazon_associate_logo.jpg
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一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』

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『スマイルプリキュア!』公式サイトより
 毎クール多くのアニメが放送されるものの、ネットを中心としたアニメ論客の話題の中心はアニメファン向けに制作された深夜アニメに偏りがちである。しかし、一流のエリートアニメファンを目指すならば、土日の午前中に放送される女児向けアニメもチェックしてほしいところだ。  注目の女児向けアニメといえば、2月にスタートしたばかりの『プリキュア』シリーズの最新作『スマイルプリキュア!』(テレビ朝日系)をおいてほかにはないだろう。  2004年の『ふたりはプリキュア』を皮切りに、毎年新シリーズが放送されている『プリキュア』シリーズはいまや日曜日朝の顔としてすっかり定着。その人気ぶりも一定のラインを維持しつつ、めでたく9年目に突入したばかりだ。  女の子たちが伝説の戦士・プリキュアに変身して、世界をバッドエンドにしようと企む悪者と戦うという本作の見どころは、「何があっても笑顔を絶やさないヒロインたち」の姿だと断言したい。主人公である「ウルトラハッピー」が口癖の元気少女・星空みゆきことキュアハッピーは、どんな時も笑顔を絶やさないポジティブガールだ。そのスタンスは終始徹底しており、どんな窮地に立たされても、どんなに敵からボコボコにされても、笑顔を絶やさず何度でも敵に立ち向かう。「苦しい時こそニヤリと笑え」と歌った熱血漫画家・島本和彦ばりのタフネスぶりを発揮している。  また内気なインドア少女・黄瀬やよいことキュアピースは、保護欲をそそるキャラデザインもさることながら決めポーズが"ダブルピース"ということから、登場直後よりネット上に多くのファンアートがアップされるほどの大ブレイクを見せている。特に、必殺技を放った直後の息を切らしながらのダブルピース姿は大きなお友達のハートを直撃したらしく、早速「アヘ顔ダブルピース」で有名な漫画家・みさくらなんこつが2月22日に「全年齢指定」のトリプルピースイラストを公開するなど大きな話題を呼んでいる。  今夏、どんなに殴られても笑顔なヒロインや、笑ってダブルピースなヒロインたちがコミケをにぎわせること必至の本作。燃えと萌えのクロスオーバーは一見の価値ありである。  『ジュエルペット サンシャイン』(テレビ東京系)も見逃せない作品だ。  『ハローキティ』などのファンシーキャラクターグッズで知られるサンリオのキャラクター・ジュエルペットを題材とした本作だが、その実態は1970年代~80年代ネタをあちらこちらに散りばめた"おっさんホイホイ"なアニメである。  BGMにビートルズの「A Hard Day's Night」、森川由加里の「SHOW ME」が使用され、皆口裕子のナレーションで『ねるとん紅鯨団』パロディ、映画『フラッシュダンス』パロディ、1話丸ごと『俺たちひょうきん族』の名物コーナー・懺悔室パロディが行われるなど、完全に児童置いてぼりの濃厚なギャグが次から次へと飛び出してくる。  サンリオアニメの前シリーズにあたる『マイメロディ』シリーズでも、エキセントリックなストーリーやマイメロディの毒舌キャラが、一部のアニメファンの間で話題となっていたが、本作も負けず劣らずの怪作となっている。「サンリオアニメは、好き勝手にやっていい」というルールがアニメ業界にはあるのだろうか。気になるところである。  なお、3月で『ジュエルペット サンシャイン』の放送は終了するものの、4月からは新シリーズ『ジュエルペット きら☆デコッ!』の放送が決定している。毎シーズンごとにストーリーやキャラクターが一新される『ジュエルペット』だが、次はどんなとんでもない作品になるのだろうか。期待は募るばかりだ。 (文=龍崎珠樹)
Let's go!スマイルプリキュア!(DVD付) まっ、まぶしい......! amazon_associate_logo.jpg
■バックナンバー 【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』 【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』 【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』 【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!

一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』


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『スマイルプリキュア!』公式サイトより
 毎クール多くのアニメが放送されるものの、ネットを中心としたアニメ論客の話題の中心はアニメファン向けに制作された深夜アニメに偏りがちである。しかし、一流のエリートアニメファンを目指すならば、土日の午前中に放送される女児向けアニメもチェックしてほしいところだ。  注目の女児向けアニメといえば、2月にスタートしたばかりの『プリキュア』シリーズの最新作『スマイルプリキュア!』(テレビ朝日系)をおいてほかにはないだろう。  2004年の『ふたりはプリキュア』を皮切りに、毎年新シリーズが放送されている『プリキュア』シリーズはいまや日曜日朝の顔としてすっかり定着。その人気ぶりも一定のラインを維持しつつ、めでたく9年目に突入したばかりだ。  女の子たちが伝説の戦士・プリキュアに変身して、世界をバッドエンドにしようと企む悪者と戦うという本作の見どころは、「何があっても笑顔を絶やさないヒロインたち」の姿だと断言したい。主人公である「ウルトラハッピー」が口癖の元気少女・星空みゆきことキュアハッピーは、どんな時も笑顔を絶やさないポジティブガールだ。そのスタンスは終始徹底しており、どんな窮地に立たされても、どんなに敵からボコボコにされても、笑顔を絶やさず何度でも敵に立ち向かう。「苦しい時こそニヤリと笑え」と歌った熱血漫画家・島本和彦ばりのタフネスぶりを発揮している。  また内気なインドア少女・黄瀬やよいことキュアピースは、保護欲をそそるキャラデザインもさることながら決めポーズが"ダブルピース"ということから、登場直後よりネット上に多くのファンアートがアップされるほどの大ブレイクを見せている。特に、必殺技を放った直後の息を切らしながらのダブルピース姿は大きなお友達のハートを直撃したらしく、早速「アヘ顔ダブルピース」で有名な漫画家・みさくらなんこつが2月22日に「全年齢指定」のトリプルピースイラストを公開するなど大きな話題を呼んでいる。  今夏、どんなに殴られても笑顔なヒロインや、笑ってダブルピースなヒロインたちがコミケをにぎわせること必至の本作。燃えと萌えのクロスオーバーは一見の価値ありである。  『ジュエルペット サンシャイン』(テレビ東京系)も見逃せない作品だ。  『ハローキティ』などのファンシーキャラクターグッズで知られるサンリオのキャラクター・ジュエルペットを題材とした本作だが、その実態は1970年代~80年代ネタをあちらこちらに散りばめた"おっさんホイホイ"なアニメである。  BGMにビートルズの「A Hard Day's Night」、森川由加里の「SHOW ME」が使用され、皆口裕子のナレーションで『ねるとん紅鯨団』パロディ、映画『フラッシュダンス』パロディ、1話丸ごと『俺たちひょうきん族』の名物コーナー・懺悔室パロディが行われるなど、完全に児童置いてぼりの濃厚なギャグが次から次へと飛び出してくる。  サンリオアニメの前シリーズにあたる『マイメロディ』シリーズでも、エキセントリックなストーリーやマイメロディの毒舌キャラが、一部のアニメファンの間で話題となっていたが、本作も負けず劣らずの怪作となっている。「サンリオアニメは、好き勝手にやっていい」というルールがアニメ業界にはあるのだろうか。気になるところである。  なお、3月で『ジュエルペット サンシャイン』の放送は終了するものの、4月からは新シリーズ『ジュエルペット きら☆デコッ!』の放送が決定している。毎シーズンごとにストーリーやキャラクターが一新される『ジュエルペット』だが、次はどんなとんでもない作品になるのだろうか。期待は募るばかりだ。 (文=龍崎珠樹)
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■バックナンバー 【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』 【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』 【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』 【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!

経産省「クールジャパン」サイトが妙にオシャレな理由とは?

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「Cool Japan Daily」
 「クールジャパン」という言葉を聞いた時に、何を思い浮かべるだろうか? やはり、多くの人は漫画・アニメ・ゲームを思い浮かべるだろう。加えて、ファッションや音楽を思い浮かべる人も多いだろう。いずれにしても、日本のポップカルチャーが国際的に好評を得ている現状=クールジャパンというのが、一般的な認識である。  もはや、長い間日本を支えてきた自動車産業をはじめとして、従来の重厚長大産業では、国家の未来が危ういと思っているのか国の省庁でもクールジャパンを軸にした戦略が盛んに検討されている。そうした省庁の、ひとつの柱でもある経済産業省では、今年1月から、クールジャパンに関連するニュースやトレンド、オピニオンなど情報発信のポータルとなるサイト「Cool Japan Daily」をオープンしている。  このサイトは、担当部局である経済産業省のクリエイティブ産業課からだけではなく、大勢の寄稿者によって情報を発信していこうというものだ。ところがこのサイト、「クールジャパン=漫画・アニメ」のイメージがあるとアクセスした人は「えっ!」と驚くに違いない。まだオープンから間もないため、テキスト主体でデザインも単調なのは今後に期待するとして、扱っている内容が少しオシャレな感じなのだ。 寄稿者のラインナップを見ると、「BRUTUS」(マガジンハウス)編集長の西田善太氏、森美術館館長の南條史生氏、建築家の隅研吾氏といった名前が並ぶ。いわゆる「オタク」の側に寄っている人物を挙げるならば、『アニメ文化外交』(筑摩書房)などの著書がある櫻井孝昌氏らの名前があってもおかしくない。どうして国の機関がこのようなサイトをオープンするに至ったのか。経済産業省のクリエイティブ産業課に聞いてみた。 「私たちの扱うクールジャパンとは、いわば、"かっこいい日本"という意味です。自分で言うとちょっとヘンですが、具体的には世界からクールといわれる国内産業のこと。漫画やアニメなどのポップカルチャーは、既に世界からクールだと言われていますが、衣食住エンターテインメント産業の中には、まだまだもっと世界に売っていけるものがあると思っています。それらの産業を応援するのが私達の役割です。サイトもそうした目的のためにオープンしました」  なるほど、世界から「クール=カッコイイ・オシャレ」といわれるものを目指すのであれば、なんとなくサイトの雰囲気も理解できるだろう。  気がつけば、クールジャパンという言葉が広まってから、もう随分と月日が過ぎたように思う。「ニューズウィーク日本版」(阪急コミュニケーションズ)が「萌える世界」という特集を組んで、表紙をメイドのイラストで飾ったのが2007年3月。これが、日本のポップカルチャーが世界でウケていることを知らしめる一つの契機になったが、そこから既に5年も過ぎているのだ。  漫画やアニメは、ある程度は国や行政からの支援を受けずとも、世界で売っていくことのできる産業である(もっとも、売り方や今後の展開などで官民の協力が不可欠なこともあるが)。しかし、国内にはまだまだ世界でウケる可能性があるのに世界的にはあまり知られていないものが山のように眠っている。経済産業省の目指すクールジャパンは、そうしたものを発掘し、世界に広めていくことにあるようだ。 「いま日本にあるままの形で世界でも同じように売れるものは限られていると思います。なんらかの工夫が必要でしょう。ルイ・ヴィトンと輪島塗りのコラボ商品のようなものがもっとあると思います」(前出・担当者)  「Cool Japan Daily」では今後、伝統工芸の当事者を登場させるなど、コンテンツの充実を行っていく方針だという。省庁の中でも誰もやったことのない分野だけに、さまざまな可能性に挑戦していかなければ、ならないということだろうか。 ■究極的な目的は日本自体をブランド化していくこと  こうしたクールジャパンの究極的な目標は、日本の特定のジャンルの商品に価値を持たせるのではなく、日本そのものに価値を持たせることにあるだろう。例えるなら、日本で北欧の雑貨や家具が安くてセンスのよいものだという評価を得てきた結果、北欧に対していいイメージを持つ人が多くなってきているという感じだろう。新たな日本のイメージをデザインして発信していくこと自体が、クールジャパン政策の目的といえるだろう。幸いなことに、既に漫画やアニメの力によって日本の良好なイメージは世界に受け入れられつつある。道のりは長いが、可能性は著しく広い。  結局のところ、クールジャパンは直接的には産業政策であるが、将来的には日本という国家が世界の中で、ある程度の地位を獲得するための壮大な戦略の一部といえるだろう。現に、アメリカは文化を世界に発信することで、支配を成し遂げているのだから。 (取材・文=昼間たかし)
ニッポンのここがスゴイ! 外国人が見たクールジャパン そこだよ、そこ! amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・「クール・ジャパンなんてウソ」"精子人形"村上隆が日本のアニメ業界に苦言「やったもん勝ち」なんて当たり前! 海外マンガ・アニメ違法投稿サイトの実情Jカルチャーは韓国に"いいとこどり"されている!?  「クール・ジャパン」今後の課題

経産省「クールジャパン」サイトが妙にオシャレな理由とは?


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「Cool Japan Daily」
 「クールジャパン」という言葉を聞いた時に、何を思い浮かべるだろうか? やはり、多くの人は漫画・アニメ・ゲームを思い浮かべるだろう。加えて、ファッションや音楽を思い浮かべる人も多いだろう。いずれにしても、日本のポップカルチャーが国際的に好評を得ている現状=クールジャパンというのが、一般的な認識である。  もはや、長い間日本を支えてきた自動車産業をはじめとして、従来の重厚長大産業では、国家の未来が危ういと思っているのか国の省庁でもクールジャパンを軸にした戦略が盛んに検討されている。そうした省庁の、ひとつの柱でもある経済産業省では、今年1月から、クールジャパンに関連するニュースやトレンド、オピニオンなど情報発信のポータルとなるサイト「Cool Japan Daily」をオープンしている。  このサイトは、担当部局である経済産業省のクリエイティブ産業課からだけではなく、大勢の寄稿者によって情報を発信していこうというものだ。ところがこのサイト、「クールジャパン=漫画・アニメ」のイメージがあるとアクセスした人は「えっ!」と驚くに違いない。まだオープンから間もないため、テキスト主体でデザインも単調なのは今後に期待するとして、扱っている内容が少しオシャレな感じなのだ。 寄稿者のラインナップを見ると、「BRUTUS」(マガジンハウス)編集長の西田善太氏、森美術館館長の南條史生氏、建築家の隅研吾氏といった名前が並ぶ。いわゆる「オタク」の側に寄っている人物を挙げるならば、『アニメ文化外交』(筑摩書房)などの著書がある櫻井孝昌氏らの名前があってもおかしくない。どうして国の機関がこのようなサイトをオープンするに至ったのか。経済産業省のクリエイティブ産業課に聞いてみた。 「私たちの扱うクールジャパンとは、いわば、"かっこいい日本"という意味です。自分で言うとちょっとヘンですが、具体的には世界からクールといわれる国内産業のこと。漫画やアニメなどのポップカルチャーは、既に世界からクールだと言われていますが、衣食住エンターテインメント産業の中には、まだまだもっと世界に売っていけるものがあると思っています。それらの産業を応援するのが私達の役割です。サイトもそうした目的のためにオープンしました」  なるほど、世界から「クール=カッコイイ・オシャレ」といわれるものを目指すのであれば、なんとなくサイトの雰囲気も理解できるだろう。  気がつけば、クールジャパンという言葉が広まってから、もう随分と月日が過ぎたように思う。「ニューズウィーク日本版」(阪急コミュニケーションズ)が「萌える世界」という特集を組んで、表紙をメイドのイラストで飾ったのが2007年3月。これが、日本のポップカルチャーが世界でウケていることを知らしめる一つの契機になったが、そこから既に5年も過ぎているのだ。  漫画やアニメは、ある程度は国や行政からの支援を受けずとも、世界で売っていくことのできる産業である(もっとも、売り方や今後の展開などで官民の協力が不可欠なこともあるが)。しかし、国内にはまだまだ世界でウケる可能性があるのに世界的にはあまり知られていないものが山のように眠っている。経済産業省の目指すクールジャパンは、そうしたものを発掘し、世界に広めていくことにあるようだ。 「いま日本にあるままの形で世界でも同じように売れるものは限られていると思います。なんらかの工夫が必要でしょう。ルイ・ヴィトンと輪島塗りのコラボ商品のようなものがもっとあると思います」(前出・担当者)  「Cool Japan Daily」では今後、伝統工芸の当事者を登場させるなど、コンテンツの充実を行っていく方針だという。省庁の中でも誰もやったことのない分野だけに、さまざまな可能性に挑戦していかなければ、ならないということだろうか。 ■究極的な目的は日本自体をブランド化していくこと  こうしたクールジャパンの究極的な目標は、日本の特定のジャンルの商品に価値を持たせるのではなく、日本そのものに価値を持たせることにあるだろう。例えるなら、日本で北欧の雑貨や家具が安くてセンスのよいものだという評価を得てきた結果、北欧に対していいイメージを持つ人が多くなってきているという感じだろう。新たな日本のイメージをデザインして発信していくこと自体が、クールジャパン政策の目的といえるだろう。幸いなことに、既に漫画やアニメの力によって日本の良好なイメージは世界に受け入れられつつある。道のりは長いが、可能性は著しく広い。  結局のところ、クールジャパンは直接的には産業政策であるが、将来的には日本という国家が世界の中で、ある程度の地位を獲得するための壮大な戦略の一部といえるだろう。現に、アメリカは文化を世界に発信することで、支配を成し遂げているのだから。 (取材・文=昼間たかし)
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