『銀河鉄道999』はアップル並みのインパクト? 韓国の催眠術的ポートレイト

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(c)Seungyea Park
 『AKIRA』『ドラゴンボール』『ドラえもん』......子どものころ、僕らの心をアツくさせた漫画やアニメが、海の向こうに住むアジアの子どもたちの心にも火をつけていた。今や日本人だけのものではなくなった、ジャパニーズ・ポップカルチャー。その影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエーターたちを紹介します。 第26回 アーティスト スンイェ・パク(Seungyea Park )  非常に繊細で、写実主義を極めた筆致で描かれたポートレイト。でも、何かが変。もう一度見る。えも言われぬ不安感に襲われつつ、今度は細部を見極めようと、見入ってしまう。そして普通の「人」のポートレイトにはあり得ないモノや部分を見つけては、恐怖や、嫌悪感にも似た感情が湧き出るのを押さえることができない。それなのに、シュール感と現実感が絶妙なバランスで共存している彼女の人物画を前にすると、この「人」たちの存在も簡単に受け入れてしまいそうになるのだ。  韓国のアーティスト、Seungyea Park(スンイェ・パク)は、そんな自分の作品を「催眠術的ポートレイト」と称している。
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(c)Seungyea Park
 スンイェの作品はほとんどが人物画だ。中性紙の上に、アクリルとボールペンを使って彼女が描き出したいのは「人の内面に棲むモンスターと、外部に現れたモンスター」。 「本当は誰にでも見えているかもしれないモノなのに、私たちは実は何も見ていない、あるいは、現実をそのまま受け入れようとしない、ということを表現したいのです」  スンイェは最近、20代のほとんどを過ごしたアメリカから、家族のいる韓国に戻って来た。 「韓国は私の生まれた場所で、現在の私の生活と活動の場でもあります。刺激的で、特殊なトレンドが生まれるところ。一方で、あらゆる種類のニーズに対するたくさんのチャンスがある場所でもあります」
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(c)Seungyea Park
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(c)Seungyea Park
 作品を韓国で売るのは簡単なことではないが、展覧会企画やアーティスト・イン・レジデンス、助成金などが、彼女の活動を支えているという。  そして、自分の作品に影響を与えるのは、どこか特定の国の文化ではない、としながらも、アメリカと日本の文化の存在は大きい、という。 「だって、それらはもはやほぼ世界中に広がっているものだから。子どものころは、『銀河鉄道999』や『鉄腕アトム』を見て、バービー人形と遊んで育ちました。21世紀のアップルが世界中に与えたインパクトと同様、巨大産業の影響からは逃れられないということです」 「アメリカには、韓国的なもの、アメリカ的なもの、日本的なもの、中国的なもの、そしてヨーロッパ的なものが混在しています。学校や友人、仕事の現場に、それらは普通にあり、確実に言えるのは、そうしたさまざまなカルチャーが、私の中にミックスされているということです」
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(c)Seungyea Park
 彼女に、ポートレイトを描き続ける理由を聞いてみた。 「人を描くのが好きなんです。顔は、その人の背景にある多くの歴史的なものを表している。それは美しく、壊れた大きな鏡――システムとも言えるし、私たちが属する社会とも言える――のかけらのようでもあります」  人々の中に、外に、巣食うモンスターたち。それは、彼らの暮らす生活や社会のひずみともいえるのかもしれない。そして、そうしたものを、スンイェは視覚化するのだ。 「私の絵は、モンスターたちが争う戦場みたいなものかもしれませんね」  現在所属するNational Art studio of Koreaは「自分が人々に向けて、自分が何を打ち出していくべきかを考えるのに適したところ」だというスンイェ。年末には、ソウル市のスポンサーによる個展の計画も進んでいる。  これからは、インスタレーションや書籍、ビデオなど、自分のドローイングをより多くの媒体を使って、メディアミックスの形でプレゼンテーションしていきたいという。 「とにかく、もっともっと作品作りを楽しみたいんです」  私たちの内面と外面にいるモンスターたち。スンイェにしか見えないそれらを、その作品を通して、もっと見せてほしいと思うのは、筆者だけではないはずだ。 (取材・文=中西多香[ASHU] sueportrait.jpg ●スンイェ・パク ソウルで生まれ育つ。高校卒業後、アメリカに渡り、ニューヨークのSouthampton Longisland UniversityでBFA(美術学士)を、C.W .POST of Southampton Long Island Universityで修士を取得後、アーティストとして活動を開始。現在はソウルをベースに、展覧会や出版を通じて作品の発表を続ける。2011年、Sovereign Asian Art Prize のTOP30 ファイナリストに選出される。 <http://blog.yahoo.com/artpark> <http://www.saatchionline.com/spunkyzoe> ●なかにし・たか アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com > オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/> ■バックナンバー 【vol.25】ネタ元は日本の特撮ヒーロー? インドネシア式ファンタジー 【vol.24】"80後"世代の代弁者 中国売れっ子写真家の「未来系アート」 【vol.23】「ヤクルトとカップヌードルに洗礼?」MOJOKOのユーモラスな世界 【vol.22】「狂気とポップカルチャーが融合!?」香港のアーティストが追求する"不完全な美" 【vol.21】「人間の欲望を視覚化?」香港人気キャラの生みの親が追求する"醜さの美学" 【vol.20】「故郷・ボルネオ島での原体験が創造力の源」世界で活躍するマレーシアの"ケンヂ" 【vol.19】「人生に起きるすべてのことを細かく観察したい」中国ネット世代のアーティスト 【vol.18】「ヒーローは宮崎駿と奈良美智」シンガポールのマルチスタイル・アーティスト 【vol.17】「ルーツは『天空の城 ラピュタ』」ウォン・カーウァイに見い出された香港の若き才能 【vol.16】怖かわいい魑魅魍魎が暴れ回る! ヤン・ウェイの妖魔的異界 【vol.15】「原点は日本のコミック」東南アジアを席巻する都会派クリエーター 【vol.14】エロ×宗教×故事が混在!? 中国版・寺山修司が造り出すカオスな世界 【vol.13】昼間はOL、夜は寡黙なアーティスト ソン・ニが描く秘密の快楽の世界 【vol.12】まるで初期アニメ ローテクを駆使する南国のアート・ユニット「トロマラマ」 【vol.11】「造形師・竹谷隆之に憧れて......」 1000の触手を持つ、マレーシアのモンスター 【vol.10】"中国のガロ系"!? 80年代以降を代表するコミック・リーダー ヤン・コン 【vol.9】大のラーメンおたく!? シンガポールデザイン界を率いる兄貴、クリス・リー 【vol.8】メイド・イン・ジャパンに憧れて...... 香港の文学系コミック作家・智海 【vol.7】「血眼になってマンガを追いかけた」海賊版文化が育んだ中国の新しい才能 【vol.6】裸人間がわらわら 香港ピクセル・アートティストが放つ"アナログデジタル"な世界 【vol.5】ダメでも笑い飛ばせ! 香港の国民性を体現したグラフィック・ノベリスト 【vol.4】「教科書はガンダムの落書きだらけだった」 香港・原色の魔術師の意外な原点 【vol.3】「懐かしいのに、新しい」 読むほどにクセになる"タイ初の日本漫画家"タムくん 【vol.2】 マイブームはBL!? 香港の腐女子が描きとめる、消えゆく都市の記憶 【vol.1】「 :phunk版ガッチャマンが作りたい」 シンガポール発のデザイン集団が描く夢

クトゥルフ神話ブーム到来!? お色気とパロディ満載の邪神コメディ『這いよれ!ニャル子さん』

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テレビ東京・あにてれ 『這いよれ!ニャル子さん』
 クトゥルフ神話がブームである。  ……ごめん、ウソ。ちょっと話を盛りました。正確にはアニメやライトノベル、エロゲーのユーザーの間で局所的に、少しだけ盛り上がっている。  「そもそもクトゥルフ神話って何?」という方も日刊サイゾー読者には多い気がするので、ごくごく簡単に解説しよう。クトゥルフ神話とは、H・P・ラヴクラフトという20世期初頭に活躍した作家の怪奇小説に登場する神々の名前や地名を用いて、彼の作家仲間たちが作り上げた架空の神話体系のことだ。「架空の神話体系」というのはつまり、どこかに信者がいたり、なんらかの民族と関わりがあったりしないということ。  これだけじゃなんのことかわからん人は、「藤沢周平の死後もほかの時代小説作家が海坂藩ものを書き続けて、『海坂藩史』というひとつの体系ができました」みたいな事態を想像してみれば、なんとなーくイメージはつかめるのではないかと。もしくは、日本のサブカルチャーでいちばん雰囲気が近いのは『機動戦士ガンダム』。最初のテレビシリーズを監督した富野由悠季が関わっていなくても、「宇宙世紀」や「モビルスーツ」といった単語や世界観を共有するシリーズ作品がたくさんある、というようなことを思い浮かべてもらえれば、ざっくりと雰囲気がつかめるのではなかろうか(もちろん、厳密にはどちらのたとえも違うのだけれども)。  『斬魔大聖デモンベイン』という、クトゥルフ神話を作品世界に取り入れつつ、美少女熱血ロボットバトルを描くというエロゲー(!)が2003年に発売されたことで、日本ではある意味、発祥の地であるアメリカ以上に、クトゥルフ神話に関してやりたい放題な空気が醸し出されてきた。この4月より放送が始まった『這いよれ!ニャル子さん』(テレビ東京ほか)は、そうした「なんでもあり」のカオスな土壌から生まれてきた作品のひとつだ。  原作はGA文庫からシリーズ刊行中の人気ライトノベル(作:逢空万太、絵:狐印)。平凡な高校生・八坂真尋を保護するという名目で地球にやってきた、「美少女姿のニャルラトホテプ(クトゥルフ神話に登場する強大な力を持つ神の一柱)」=「ニャル子さん」が巻き起こす騒動を、マンガ・アニメ・特撮のパロディを織り交ぜつつコミカルに描いた作品だ。アニメーション制作を『ToLOVEる』『かのこん』『れでぃ×ばと!』『えむえむっ!』など、明るくてちょっぴりエッチなアニメを作ることには定評のあるジーベックが担当しており、健康的なお色気&密度の高いパロディという原作の魅力を見事に映像化している。  ニャル子さんを演じる阿澄佳奈のハイテンションな演技もポイントが高い。オタク気質でアニメやマンガ、ゲームには反応しまくり、隙あらば男子高校生・八坂真尋に性的な接触を迫るニャル子さんなのだが、イヤらしさや不潔さ、うっとうしさを感じさせないのは、阿澄の声の存在感によるところが大きいのではなかろうか。彼女がメインボーカルを務めるユニット「後ろから這いより隊G」によるOP主題歌「太陽曰く燃えよカオス」も、「(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」のコーラスが印象的なお祭り感溢れる名曲で、これまた素晴らしい。  コリン・ウィルソンやスティーブン・キングといった巨匠にも愛され、海外では高い認知度を誇るクトゥルフ神話だが、日本においては、1970年代初頭から80年代にかけて、ジャンル小説の読者やヤングアダルト小説の読者の間で瞬間風速的な盛り上がりを見せはしたものの、一般的な知名度を得るには至ってこなかった。ところが、『ニャル子さん』第1話の放送直後には、創元推理文庫の『ラヴクラフト全集』第1巻がAmazonランキングを急上昇。ひょっとしたら、ここから、日本にも本格的なクトゥルフ神話ブームが巻き起こるのかもしれない。アナタも乗り遅れないうちに、クトゥルフの呼び声に耳をすませるべき……ああ……私にも聞こえる! 窓の外に! 宇宙的で冒涜的な恐怖の足音が!   ……(」・ω・)」うー! (/・ω・)/にゃー! (文=麻枝雅彦)

クトゥルフ神話ブーム到来!? お色気とパロディ満載の邪神コメディ『這いよれ!ニャル子さん』

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テレビ東京・あにてれ 『這いよれ!ニャル子さん』
 クトゥルフ神話がブームである。  ……ごめん、ウソ。ちょっと話を盛りました。正確にはアニメやライトノベル、エロゲーのユーザーの間で局所的に、少しだけ盛り上がっている。  「そもそもクトゥルフ神話って何?」という方も日刊サイゾー読者には多い気がするので、ごくごく簡単に解説しよう。クトゥルフ神話とは、H・P・ラヴクラフトという20世期初頭に活躍した作家の怪奇小説に登場する神々の名前や地名を用いて、彼の作家仲間たちが作り上げた架空の神話体系のことだ。「架空の神話体系」というのはつまり、どこかに信者がいたり、なんらかの民族と関わりがあったりしないということ。  これだけじゃなんのことかわからん人は、「藤沢周平の死後もほかの時代小説作家が海坂藩ものを書き続けて、『海坂藩史』というひとつの体系ができました」みたいな事態を想像してみれば、なんとなーくイメージはつかめるのではないかと。もしくは、日本のサブカルチャーでいちばん雰囲気が近いのは『機動戦士ガンダム』。最初のテレビシリーズを監督した富野由悠季が関わっていなくても、「宇宙世紀」や「モビルスーツ」といった単語や世界観を共有するシリーズ作品がたくさんある、というようなことを思い浮かべてもらえれば、ざっくりと雰囲気がつかめるのではなかろうか(もちろん、厳密にはどちらのたとえも違うのだけれども)。  『斬魔大聖デモンベイン』という、クトゥルフ神話を作品世界に取り入れつつ、美少女熱血ロボットバトルを描くというエロゲー(!)が2003年に発売されたことで、日本ではある意味、発祥の地であるアメリカ以上に、クトゥルフ神話に関してやりたい放題な空気が醸し出されてきた。この4月より放送が始まった『這いよれ!ニャル子さん』(テレビ東京ほか)は、そうした「なんでもあり」のカオスな土壌から生まれてきた作品のひとつだ。  原作はGA文庫からシリーズ刊行中の人気ライトノベル(作:逢空万太、絵:狐印)。平凡な高校生・八坂真尋を保護するという名目で地球にやってきた、「美少女姿のニャルラトホテプ(クトゥルフ神話に登場する強大な力を持つ神の一柱)」=「ニャル子さん」が巻き起こす騒動を、マンガ・アニメ・特撮のパロディを織り交ぜつつコミカルに描いた作品だ。アニメーション制作を『ToLOVEる』『かのこん』『れでぃ×ばと!』『えむえむっ!』など、明るくてちょっぴりエッチなアニメを作ることには定評のあるジーベックが担当しており、健康的なお色気&密度の高いパロディという原作の魅力を見事に映像化している。  ニャル子さんを演じる阿澄佳奈のハイテンションな演技もポイントが高い。オタク気質でアニメやマンガ、ゲームには反応しまくり、隙あらば男子高校生・八坂真尋に性的な接触を迫るニャル子さんなのだが、イヤらしさや不潔さ、うっとうしさを感じさせないのは、阿澄の声の存在感によるところが大きいのではなかろうか。彼女がメインボーカルを務めるユニット「後ろから這いより隊G」によるOP主題歌「太陽曰く燃えよカオス」も、「(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」のコーラスが印象的なお祭り感溢れる名曲で、これまた素晴らしい。  コリン・ウィルソンやスティーブン・キングといった巨匠にも愛され、海外では高い認知度を誇るクトゥルフ神話だが、日本においては、1970年代初頭から80年代にかけて、ジャンル小説の読者やヤングアダルト小説の読者の間で瞬間風速的な盛り上がりを見せはしたものの、一般的な知名度を得るには至ってこなかった。ところが、『ニャル子さん』第1話の放送直後には、創元推理文庫の『ラヴクラフト全集』第1巻がAmazonランキングを急上昇。ひょっとしたら、ここから、日本にも本格的なクトゥルフ神話ブームが巻き起こるのかもしれない。アナタも乗り遅れないうちに、クトゥルフの呼び声に耳をすませるべき……ああ……私にも聞こえる! 窓の外に! 宇宙的で冒涜的な恐怖の足音が!   ……(」・ω・)」うー! (/・ω・)/にゃー! (文=麻枝雅彦)

「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号

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『夏色キセキ』公式サイトより
 番組改編期の4月に突入し、新たなアニメが続々スタートした今日この頃。眠れぬ夜を過ごしているアニメファンも多いことだろう。  今クールはおよそ40タイトルの新作アニメが放送を開始しており、個性的なキャラクターたちが日々テレビモニターを賑やかに盛り上げている。  その中でも、いろいろな意味でアニメファン注目の一作となっているのが、女子中学生たちのひと夏の物語を描く『夏色キセキ』(MBSほか)である。  本作は、『けいおん!』で一世を風靡した豊崎愛生、寿美菜子も所属する声優アイドルユニット「スフィア」の4人がメインヒロインを演じており、結成当初より実現を目指していた企画でもある。いわば、「スフィアが主演するために作られたアニメ」なのだ。  そのため、キャラクターデザインや性格付けをはじめ、各メンバーのユニット内での立ち位置などパブリックイメージを連想させるような部分が多々あり、声優ファンならずともニヤニヤする箇所が随所に盛り込まれている。  また、素朴な少女たちの友情を描く上で、自然が豊かで懐かしさもある風景が必要、という理由から舞台を静岡県下田市に設定。昨今の聖地巡礼(アニメの舞台となった実際の場所を訪問する行為)ブームを強く意識しているほか、近年、萌えアニメとのコラボに積極的なローソンとのタイアップを実現。劇中に「これでもか」と登場する下田市の風景や、ローソンの店舗が登場するなど、マーチャンダイジングにも積極的に取り組んでいる姿勢がうかがえる。  そんな、“覇権アニメ”として成功することを宿命付けられた『夏色キセキ』だが、地上波での放送に先駆け、ニコニコ動画内で第1話の先行配信が行われた。ここでの視聴者の反応はというと、「微妙」の一言に尽きる。  配信終了後のアンケート結果も「とても良かった」が18.5%、「まぁまぁ良かった」が31.8%、「あまり良くなかった」が27.9%、「良くなかった」が21.9%と実に微妙なもの。その結果を見た本作を手がける水島精二監督も、「賛否両論、受け止めて、最後までがんばりますよー!」(抜粋)と本放送前の作品にしては控えめな表現のツイートを投下していた。  そもそも、なぜ本作がそんな「微妙」な評価になってしまったのだろうか。  考えられる大きな理由としては、「スフィア声優演じる美少女キャラたちがほのぼのした日常を送る、予定調和を前提とした萌えアニメを期待してフタを開けてみたら、ことごとくがその逆をいく作品だった」ことが挙げられるだろう。  第1話のあらすじは、小学校の頃から仲良しだった4人の女子中学生の関係が、少しずつギクシャクしていく……。という物語の導入としては、やや地味でシリアスなものとなっている。  とくに、寿美菜子演じるメインヒロイン・逢沢夏海と高垣彩陽演じる水越紗季の間には、冒頭から不穏な空気が漂っており、物語後半では戸松遥演じる花木優香、豊崎愛生演じる環凛子も巻き込まれ、事態は泥沼化。さらに一生懸命明るい空気にしようとする優香の行動が滑りまくり、見る側としては「これ、どうしたらいいんだよ……」と絶望感すら感じてしまうほどの閉塞感が物語を覆う。  ここから作品のイメージをポジティブな方向に持っていくには、それこそ奇跡が起きない限り無理だと誰もが思ったとき、「4人が同時に同じ願い事をすると叶う」という御石様の力で、いきなり4人は空を飛んでしまうのだ。  なんという奇跡! この予想の斜め上をいく超展開で第1話の幕は下りるのだ。  「萌えアニメ」というよりも、古き良きジュブナイル作品のような趣を感じさせるストーリーである。  事実、本作をSF(すこしふしぎ)ドラマとして見れば、非常にオーソドックスな作りであり、手堅い作風に仕上がっていることに多くの視聴者は気付くはずだ。ただ不幸なことに、「視聴者がそういうものを求めていなかった」ために「微妙な評価」に落ち着いてしまったのではないだろうか。  「スフィア演じるキャラが戯れている姿を見たい」という視聴者からしたら、見たかったのはコレジャナイというわけである。  また、タイアップのせいで劇中で不自然に強調されるローソンや地元の名所も、ステマ臭を感じさせて視聴者を引かせてしまった部分もあるだろう。制作スタッフは王道な作劇を試みたものの、その周辺や視聴者側との微妙なズレが不幸な評価を生んでしまったといえる。  しかし、それをもって本作を「失敗作」と断じてしまうのは早計である。むしろ「スフィア」「萌え」「ご当地アニメ」といったキャッチーなトピックが、『夏色キセキ』という作品の正当な評価を妨げていたとはいえないだろうか。  ここはひとつ、ネット上での評価や過去のスキャンダルといったマイナス要因をとりあえず横に置いて、フラットな気持ちで改めて見てみれば、本作の面白さを感じることができるのではないだろうか。 (文=龍崎珠樹) ■バックナンバー 【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは? 【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情 【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー 【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!? 【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』 【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』 【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』 【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』 【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!

お前ら必見の意欲作! 春アニメの注目は『アクセル・ワールド』

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 AKB48、人気タイトルの第2期、人気コミック作品のアニメ化、懐かしいコミックのアニメでの復活など、話題に事欠かない2012年春クールスタートの新作アニメ。中でもとりわけ高い注目度を集めているのが、超高速で繰り広げられる仮想空間でのバトルと、スクールカースト最下層のいじめられっ子だった少年の成長を描く、ハイブリッド&ハイスピードアクションアニメ『アクセル・ワールド』だ。  第15回電撃小説大賞〈大賞〉を受賞した作品を原作とする本作は、刊行元であるアスキー・メディアワークス創立20周年記念作品に位置付けられている。制作を担当するのは、『ガンダム』や『コードギアス』シリーズをはじめとする数多くの作品でハイクオリティな作画を実現したサンライズ。主題歌はMay'n&浅倉大介という強力タッグ。放送前にすでにPS3、PSPでのゲーム化やトレーディングカード等のリリースが予定されているメディアミックス作品だ。  そんな一大プロジェクトを展開する『アクセル・ワールド』とは、どんな作品なのだろうか。  ニューロリンカーという携帯端末のおかげで、生活の大半がネットワーク上の仮想空間で行われるようになった未来世界。太った体型を理由にいじめられっ子扱いされている少年・ハルユキは、学校のマドンナ的存在・黒雪姫の誘いに応じて、謎のプログラム《ブレイン・バースト」を受け取る。ニューロリンカーに接続し、思考速度を1000倍に加速する《ブレイン・バースト》を手に入れたハルユキは、自身の恐怖や圧迫感を元に生み出されるデュエル・アバターを操り、《ブレイン・バースト》が作りだした仮想世界で戦いを繰り広げる――というストーリーの本作。  仮想世界という、いまやそう珍しくもないキーワードだが、ソーシャルカメラの映像から再構成された仮想世界というAR技術を彷彿とさせる『アクセル・ワールド』の設定は非常に現代的だ。
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 そして、まるまるとした体格で内向的な性格、学校ではいじめれっ子という主人公ハルユキの設定は、イマドキのアニメファンには斬新かもしれない。どんな主人公も、そこそこイケメンに設定されている昨今のアニメ作品において、非常に珍しく思えるだろう。近年のアニメではまずないと言っても過言ではない(ただ、一方でオールドファンには実はなじみの深い主人公像だろう。『銀河鉄道999』の星野鉄郎や、『さすがの猿飛』の猿飛肉丸などを思い出した人もいるかもしれない)。  いじめられっ子のハルユキは、リアルな世界に対して強いコンプレックスをもっている。視聴者は、彼がそこからいかに現実世界に向き合う力を手にするのか。仮想世界で手に入れた強さをいかに自身の生き方に取り込んでいくのか……そこに本作の面白さを感じるに違いない。 aw_sub02.jpg  『アクセル・ワールド』のプロジェクトには、昨年から日本のアニメ業界に参入したハリウッドスタジオのワーナーブラザーズの日本法人のワーナーエンターテイメントジャパン(ワーナー・ホーム・ビデオ&デジタルディストリビューション)が参画しているのも業界的には話題のひとつだ。  同社は、テレビ放送前に劇場映画と同じように自社の試写室でマスコミ試写会を実施、都内各所に大型看板を設置したり、3月31日、4月1日に幕張メッセで開催された大型アニメイベント「アニメコンテンツエキスポ2012」にもブース出展(大型ショッパーの大量配布や黒雪姫のコスプレイヤーを登場させ、ブースには長蛇の列ができていた)、『アクセル・ワールド』という作品を通じて業界への本格参入の意思を強くアピールしている。  ディーラーの同作への期待も高い。秋葉原駅から最も近いアニメ・ゲーム・コミックなどの専門店ゲーマーズのバイヤー小川信弘氏も「春アニメ一番の注目タイトル、間違いなしです! ゲーマーズでも全店規模『アクセル・ワールド』大展開しています!」と語っている。  放送開始と同時に、すさまじい加速力でアニメファンの話題をさらっていくこと必至の『アクセル・ワールド』。猛スピードで展開するストーリーに振り落とされないように第1話からしっかりと見届けよう。
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【関連記事】 ・【TAF2012】「まずは、入ってから考えろ」アニメ業界に就職する方法は、これだ!“覇権”夢幻の如くなり……平成の世に現れた偉大な討死アニメ『ギルティクラウン』交通網が大混乱でも来場者多数! 「アニメコンテンツエキスポ2012」ついに開催大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは?不況時代に強い!? 『お願い!ランキング』『お試しかっ!』に見るテレ朝の企画力

【TAF2012】「まずは、入ってから考えろ」アニメ業界に就職する方法は、これだ!

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 日本動画協会が行う文化庁の支援事業「アニメ・クリエイター育成ビジョンづくり」。そのシンポジウムの様子は以前、当サイトでもお伝えしたが(記事参照)、「東京国際アニメフェア2012」(以下TAF)のビジネスデー2日目、アニメ業界を志す学生を対象に、ずばり「業界への就職」を主題としたセミナーが開催された。このセミナー、TAFの会場で開催されるにもかかわらず、なぜか告知は「育成ビジョンづくり」のサイト上程度。登壇した『アニメビジネスがわかる』(NTT出版)の著者でもある増田弘道氏(日本動画協会データベースWG座長/映画専門大学院大学教授)は、「TAFでも告知されていないイベントにわざわざお越し下さってありがとうございます」とあいさつをした。  このセミナーの趣旨は、アニメ業界を志望する学生に向けて、アニメ業界には具体的にどのような仕事があるのか紹介するというもの。通常、アニメに関わる仕事としてまず思い浮かべるのは、実際の制作に携わるアニメーター。あるいは、指揮を執るアニメプロデューサーといったものだが、実際、アニメ業界の仕事の種類は多種多様だ。単に作品を作って自分の世界を表現したいなら、アーティストになるのが手っ取り早い。これなら、儲けなど考えずにやりたい放題ができる。しかし、多くの人が携わりたいと思っているアニメ業界が扱うのは、アニメーションではなくてアニメ。1960年代に始まった日本式リミテッド・アニメーションによる商業目的の作品だ。要はビジネスが目的なのだから、必要なのは採算と生産性と継続性。中でも生産性はもっとも重要な要素だと、増田氏は説明する。新海誠氏をはじめ、個人で活動するアニメーション作家もいるが、ビジネスを目的とするならば、やはり集団作業は欠かせないのだ。ゆえに、アニメーションではなく、アニメに携わるなら、まずはどこかの会社に所属することから始まるのである。  「制作=作ること」「製作=プロデュースすること」等々、細かい用語の違いまで説明しながら、増田氏は「作るだけなら誰もできる」という。ビジネスである以上、でき上がった作品を運用し、投入した資金を回収、分配することは必然だ。さらに、作品を流通させる過程もあることを考えると、アニメ業界に関わる仕事は無数に存在するのだ。 「制作と製作は無数に入り組んでいます。バンダイやアニプレックスのように製作を主としながら制作にも深く関わる企業があります。かと思えば、アニメイトのように小売りから作る側へとシフトする企業もあります。実は、業界に入るにもいろいろな道があるし、さまざまな形で関わることができるんです」 ■意外に仕事が豊富なアニメ業界  かつては、アニメ制作会社は「誰でも就職できる企業」だったという話はよく知られる。面接に行ったらその場で採用決定、翌日から出社というエピソードはよく聞かれるところ。中には、アニメのことなど何も知らず、資格は運転免許だけなのに、制作進行に採用されて、社長になった人もいる。今ではそこまで「ザル」ではなくなったとはいえ、それでも「なんでもいいからアニメに関わる仕事を」と思うのならば、難関ではない。  とはいえ、気になるのは「ちゃんと給料をもらえるのか」というところだろう。増田氏は、制作会社では一般的な初任給は15~20万程度(ボーナスなし)と、一般に考えられているほど悪いものではないと指摘する。一方、アニメ業界の薄給の代表格といえば、アニメーターだが……。 「アニメーターは、本質的にミュージシャンなどと同じ自営業です。そして職業としての“アニメーター”は“原画”の仕事から。“動画”(原画に中割りを加えて清書した線画)は見習い期間で、本来ならばお金がもらえるような存在ではありません」  と、厳しい意見も。ちなみに、動画を3年やって原画になれないならば、適性がないとの指摘も。逆に、制作の現場で「オイシイ仕事」は、著作権があるので印税が入るメリットのある脚本家なのだとか……。さらに、求人数が増加しているのはCG制作だという。  いずれにせよ、アニメーターへの道は厳しいのだが、実写に比べて優遇されているという側面もある。というのは、アニメーターの場合は、制作スタジオが機能し、そこで職業人として育ててくれるからだ。アニメに関わる仕事がしたい学生に向け、増田氏がひとまずの結論として述べたのは、「とりあえず、何か仕事に就いてから目指す方向性について考えていけばよいでしょう」というものだ。  ただし、アニメ業界を志望する人の多くは、アニメファンということになるだろうが、実際に業界で成功するのは、冷静にビジネス的な感覚で携われるタイプの人々だ。いまや小売りから製作にまで携わる、アニメイトの創業陣の前身が家具屋だったように、他業種から転身した人々が成功する理由もこの部分だ。  いずれにしても、単に消費者として終わりたくないけれど、絵も描けないし、なんの技術もないという人であっても、一旦、業界の端っこに入り込むことができれば道は自ずと開けるはず。結局、必要なのは自分が好きではない作品でも「これは面白いんですよ!」と、作ったり売ったりできる、メンタルの強さなのではなかろうか。 (取材・文=昼間たかし)
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【TAF2012】「まずは、入ってから考えろ」アニメ業界に就職する方法は、これだ!

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 日本動画協会が行う文化庁の支援事業「アニメ・クリエイター育成ビジョンづくり」。そのシンポジウムの様子は以前、当サイトでもお伝えしたが(記事参照)、「東京国際アニメフェア2012」(以下TAF)のビジネスデー2日目、アニメ業界を志す学生を対象に、ずばり「業界への就職」を主題としたセミナーが開催された。このセミナー、TAFの会場で開催されるにもかかわらず、なぜか告知は「育成ビジョンづくり」のサイト上程度。登壇した『アニメビジネスがわかる』(NTT出版)の著者でもある増田弘道氏(日本動画協会データベースWG座長/映画専門大学院大学教授)は、「TAFでも告知されていないイベントにわざわざお越し下さってありがとうございます」とあいさつをした。  このセミナーの趣旨は、アニメ業界を志望する学生に向けて、アニメ業界には具体的にどのような仕事があるのか紹介するというもの。通常、アニメに関わる仕事としてまず思い浮かべるのは、実際の制作に携わるアニメーター。あるいは、指揮を執るアニメプロデューサーといったものだが、実際、アニメ業界の仕事の種類は多種多様だ。単に作品を作って自分の世界を表現したいなら、アーティストになるのが手っ取り早い。これなら、儲けなど考えずにやりたい放題ができる。しかし、多くの人が携わりたいと思っているアニメ業界が扱うのは、アニメーションではなくてアニメ。1960年代に始まった日本式リミテッド・アニメーションによる商業目的の作品だ。要はビジネスが目的なのだから、必要なのは採算と生産性と継続性。中でも生産性はもっとも重要な要素だと、増田氏は説明する。新海誠氏をはじめ、個人で活動するアニメーション作家もいるが、ビジネスを目的とするならば、やはり集団作業は欠かせないのだ。ゆえに、アニメーションではなく、アニメに携わるなら、まずはどこかの会社に所属することから始まるのである。  「制作=作ること」「製作=プロデュースすること」等々、細かい用語の違いまで説明しながら、増田氏は「作るだけなら誰もできる」という。ビジネスである以上、でき上がった作品を運用し、投入した資金を回収、分配することは必然だ。さらに、作品を流通させる過程もあることを考えると、アニメ業界に関わる仕事は無数に存在するのだ。 「制作と製作は無数に入り組んでいます。バンダイやアニプレックスのように製作を主としながら制作にも深く関わる企業があります。かと思えば、アニメイトのように小売りから作る側へとシフトする企業もあります。実は、業界に入るにもいろいろな道があるし、さまざまな形で関わることができるんです」 ■意外に仕事が豊富なアニメ業界  かつては、アニメ制作会社は「誰でも就職できる企業」だったという話はよく知られる。面接に行ったらその場で採用決定、翌日から出社というエピソードはよく聞かれるところ。中には、アニメのことなど何も知らず、資格は運転免許だけなのに、制作進行に採用されて、社長になった人もいる。今ではそこまで「ザル」ではなくなったとはいえ、それでも「なんでもいいからアニメに関わる仕事を」と思うのならば、難関ではない。  とはいえ、気になるのは「ちゃんと給料をもらえるのか」というところだろう。増田氏は、制作会社では一般的な初任給は15~20万程度(ボーナスなし)と、一般に考えられているほど悪いものではないと指摘する。一方、アニメ業界の薄給の代表格といえば、アニメーターだが……。 「アニメーターは、本質的にミュージシャンなどと同じ自営業です。そして職業としての“アニメーター”は“原画”の仕事から。“動画”(原画に中割りを加えて清書した線画)は見習い期間で、本来ならばお金がもらえるような存在ではありません」  と、厳しい意見も。ちなみに、動画を3年やって原画になれないならば、適性がないとの指摘も。逆に、制作の現場で「オイシイ仕事」は、著作権があるので印税が入るメリットのある脚本家なのだとか……。さらに、求人数が増加しているのはCG制作だという。  いずれにせよ、アニメーターへの道は厳しいのだが、実写に比べて優遇されているという側面もある。というのは、アニメーターの場合は、制作スタジオが機能し、そこで職業人として育ててくれるからだ。アニメに関わる仕事がしたい学生に向け、増田氏がひとまずの結論として述べたのは、「とりあえず、何か仕事に就いてから目指す方向性について考えていけばよいでしょう」というものだ。  ただし、アニメ業界を志望する人の多くは、アニメファンということになるだろうが、実際に業界で成功するのは、冷静にビジネス的な感覚で携われるタイプの人々だ。いまや小売りから製作にまで携わる、アニメイトの創業陣の前身が家具屋だったように、他業種から転身した人々が成功する理由もこの部分だ。  いずれにしても、単に消費者として終わりたくないけれど、絵も描けないし、なんの技術もないという人であっても、一旦、業界の端っこに入り込むことができれば道は自ずと開けるはず。結局、必要なのは自分が好きではない作品でも「これは面白いんですよ!」と、作ったり売ったりできる、メンタルの強さなのではなかろうか。 (取材・文=昼間たかし)
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“覇権”夢幻の如くなり……平成の世に現れた偉大な討死アニメ『ギルティクラウン』

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『ギルティクラウン』公式サイトより
 「覇権アニメ」というネットで生まれたジャーゴンがある。  ある期間内に放映されたアニメ作品の中で、もっともDVD・BDを売り上げたタイトルのことを指す言葉で、たとえば「『魔法少女まどか☆マギカ』は2011年の覇権アニメ!」のように使う。  「覇権アニメ」が何もないところから生まれてくるケースは極めて珍しい。大ヒット原作のアニメ化(ないしは人気シリーズの最新作)、集客力のあるスタッフ、実力派のスタジオ、人気声優中心のキャスティング、十分な準備期間、入念な広報活動、それらを可能にする潤沢な予算……といったさまざまな要素を積み重ねて整えた下地に、「運」というコントロール不可能な最後の力が加わったとき、アニメファンは大きく揺り動かされ、「覇権アニメ」が生まれる。「努力した者が全て報われるとは限らん/しかし!/成功した者は皆すべからく努力しておる!!」(by鴨川会長@『はじめの一歩』)というヤツである。  先日放送を終えた『ギルティクラウン』(フジテレビ系)は、「覇権アニメ」になるための要素を、必要をはるかに上回る水準で積み上げたタイトルだった。  『マクロスF』を成功に導いたキーパーソンのひとりである吉野弘幸がシリーズ構成を務め、『プラネテス』の大河内一楼が副シリーズ構成として参加するというシナリオの布陣(ちなみにスマッシュヒットを飛ばした『コードギアス 反逆のルルーシュ』では、大河内がシリーズ構成、吉野が副シリーズ構成を担当)。監督は『DEATH NOTE』『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』で名を馳せる俊英・荒木哲郎。制作会社は『攻殻機動隊GHOST IN THE SHELL』など数々の国際的ヒット作で知られる、世界に冠たる実力派スタジオのプロダクションI.Gキャストも梶裕貴、茅野愛衣、花澤香菜、竹達彩奈といったいずれも主演級の声優を集め、広報やパッケージの展開は「覇権アニメ」の大半を送り出しているアニプレックスが担当。さらにはゲーム会社・ニトロプラスも企画に参加し、『魔法少女まどか☆マギカ』の虚淵玄と並ぶ同社のメインライターである鋼屋ジンが各話のシナリオとして参加し、キャラクターデザイン原案はpixivを中心にネットで絶大な支持を集めるredjuiceが手がけ、主題歌はこれまたネットユーザーを中心に若者に高い人気を誇るsupercellのryoが書き下ろす。放送枠も『のだめカンタービレ』や『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』などを送り出してきたノイタミナ。どこをとっても失敗するはずのない布陣になっていた。  ところが蓋を開けてみれば、DVD・BD1巻の初動売上枚数は、オリコン等のデータ調べでは1万枚強にとどまった。累計売上が3,000枚を超えればペイライン、5,000枚を超えればヒット作と言われる昨今だが、上述した通りの豪華な布陣から考えて、関係者の期待値は相当高かったことだろう。あわよくば『まどか☆マギカ』級くらいには考えていたかもしれない。その数字は、多少の誤差を考慮しても、大きく下回ってしまった。  どうしてこんなことになってしまったのだろう。  当然の前提として、作品の出来栄えや評価は、売り上げなどの目に見える数字と必ずしも連動するものではない。かの『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』とて、本放送時には打ち切られている。  しかしながら『ギルティクラウン』の場合はどうか。  映像のクオリティは高かった。テレビシリーズとは思えない破格のビジュアルをほぼ毎週堪能することができた。  ところがストーリーがよくわからない。序盤は、アポカリプスウィルスという謎の奇病が蔓延したことで、超国家間で組織された“GHQ”からの武力介入を受け、実質的な自治権を失った近未来の日本を舞台に、「日本の解放」を目指すレジスタンス“葬儀社”にひょんなことから参加することになった平凡な高校生・桜満集(おうま・しゅう)の成長物語の体裁をとって話が進む。だが、集が何を考え、何に迷い、どうなりたいのかがさっぱりわからない。かわいい女の子に振り回されるまま、偶然手にした、他人の心を“ヴォイド”として具現化し、道具として用いる超能力で場当たり的に行動するだけなのだ。  中盤を過ぎ、葬儀社の活動が大きな転換を迎え、その中心に集が位置するようになってから、ようやく彼の行動は視聴者にも理解可能なものになる。弱さを捨て、強いリーダーとなることを目指す少年の姿は、前半の迷走ぶりをすっかり頭から追いやってしまえば魅力的に見えなくもない。ところが、今度は周囲の仲間たちがそんな彼に対して場当たり的なリアクションを繰り返す。あるときは誉めそやすかと思えば、あるときは強硬路線に反対する。まるで現実の政治に対する日本国民の反応を見るかのようで、悪意のある戯画と捉えれば面白くはあるが、そうした裏目読みを試みなければ見ていて混乱するばかりだ。  そして終盤になると、集を中心とする、極めてプライベートな人間関係のいざこざに話は収斂されてしまう。社会や政治に対する要素を後景に追いやり、キャラクターたちの愛憎劇に絞りこむことは、わかりやすい盛り上がりは生むものの、作品に真摯に向き合ってきたファンであればあるほど、怒りを覚えるものだったのではないか。  ようするに、売り上げがいまひとつ伸びなかったのは、作品としての出来の悪さ――主にストーリー展開の難――に起因していると言えそうなのだ。  誤解のないようにして欲しいが、これは吉野・大河内コンビが悪いという話では、おそらくない。誰も主導権を握れず(監督も、プロデューサーも、他のスタッフ陣も、最初から実際に形になったような『ギルティクラウン』が作りたかったようには思えない)、全体の総意から生まれる最適解も作れないまま、企画が迷走してしまった結果なのではないか。もしこの想像が当たっているとしたら、なんとも残念な話である。  「覇権アニメ」を目指し、鉄壁の陣容を揃えながらも、「運」を味方にできなかったために天下は獲れなかった。いうなれば『ギルティクラウン』は、織田信長の如き豪快な討ち死にっぷりを平成の世に示した逸品なのである。そう見立て、無常を噛み締めながら見る分には、『ギルティクラウン』は悪いアニメではない。  滅びの美学に飢えているあなたは、ぜひ手を伸ばしてみてほしい。 (文=麻枝雅彦)
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交通網が大混乱でも来場者多数! 「アニメコンテンツエキスポ2012」ついに開催

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 角川書店やアニプレックスなど55社の企業が出展するイベント「アニメコンテンツエキスポ(ACE)2012」が3月31日(土)、幕張メッセ国際展示場で開幕した。アニメ業界最大級のイベントということで前売り券は売り切れ、わずかな枚数の当日券を求める人で会場は混雑することが予測されていた。しかし、会場に到着するまで、多くの人が長い戦いを強いられることになるとは、誰も予想しなかった……。  当日の午前9時20分頃、筆者は地下鉄日比谷線からJR京葉線八丁堀駅へ向かった。そこで流れるのは無情なお知らせ。
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京葉線はもはや動く気配すらなかった。
 「強風のため速度を落として運転している」という旨のアナウンスが繰り返し流されているのだ。強風ならば仕方がない。ひとまず駅を出てタバコを一服。さらに、牛丼屋でゆっくりと朝食をとって駅に戻ると、事態はさらに悪化していた。いよいよ運転が中止となり、幕張メッセだけでなく、東京ディズニーランドへ向かう家族連れも多い八丁堀駅の窓口には振替乗車券を求め長い行列ができていたのである。
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幕張本郷駅前には次々バスがやってくるが、それでも長い行列が。
 こうして幕張メッセまでの長い旅路が始まった。八丁堀駅から地下鉄日比谷線で茅場町駅へ。地下鉄東西線に乗り換えて西船橋駅。ここからJR総武線に乗り換えるも、なかなか列車はやってこない。ようやく列車がやってきたかと思えば、「次の列車は運転を見合わせているので必ずこちらにご乗車下さい」とのアナウンスが。きっと、次の列車に乗ったまま、身動き取れなくなった人が数多くいたことは想像に難くない。そして、ようやく到着した幕張本郷駅。ここから、本来の目的地・京葉線の海浜幕張駅までは臨時バスも運行。次々とバスはやってくるのだが、長大な行列はすぐには動かない。かくて、ようやく会場にたどり着いた時には、時計は12時半を回っていたのである。  もちろん、帰り道も事態は変わっていなかった。海浜幕張駅には、バスを待つ長い長い行列ができていたのだ。さすがに疲れ果てたのか、駅の改札周辺には萌え袋の傍らに、満足そうにぐったりと座り込む人々も見られた。
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電車の動かない京葉線・海浜幕張駅で戦利品を手にぐったりとする人々。
■会場は大混雑だが……  ただでさえ都心から離れた幕張メッセ。それに加えて、遠回りを強いられてかなりの人が苦労したはず。それでも、会場内は足の踏み場もないほど大混雑であった。販売ブースによっては2時間待ちになっているところも見られた。コスプレのスペースに至っては、人が多すぎて、コスプレイヤーがどこにいるのかよくわからないほどの混雑に。出展している作品をテーマにしたメニューが並ぶ、フードコーナーは90分待ちの大混雑にも関わらず、一人で何品も買い込む人が多かった。詳細なレポートは、専門のニュースサイトなどで報じられるだろうが、ある程度の額の資金を持っていけば、十分に楽しめるイベントだったのは間違いない。
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会場内は大混雑で各ブース共に長い行列ができていた。
 そもそもこのイベントは、一昨年に漫画やアニメの表現の自由を侵害する可能性があると批判を浴びた「東京都青少年健全育成条例」の改正問題が発端となったものだ。  この条例正案が可決されるに至り、小学館や集英社などで構成するコミック10社会は、東京都が主催する「東京国際アニメフェア(TAF)」のボイコットを決定。この状況の中でアニプレックスや角川書店などを中心としてACEが立ち上がった経緯がある。その後、昨年は、両イベントの同日開催が注目を集めるものの、東日本大震災によって両イベントとも中止。今年は一週間ずらした日程での開催となった。  以前から双方の主催者共に「分裂」という見方を避け、「棲み分け」というスタンスを示していたが、そのことは会場を訪れてよく理解できた。TAFは、アニメもアニメーションも包括して扱う、ビジネスを主体にした見本市志向。対してACEは、アニメのプロモーションとファンサービスを目的としたお祭りである。都条例がきっかけだったとはいえ、TAFの低年齢・家族向けアニメやアニメーションにオタク向けまで、ごった煮でやっていた状況はうまく整理できたのは確かだろう。来年以降、今年のような別開催になるのか、あるいは再びTAFに統合されるのかはわからない。それはアニメ業界にとって、どちらが利益があるか次第であろう。先に開催されたTAFの側は、前回よりも来場者数は減ったものの、海外からの来場者数は増加するという結果となった。ACEの側も、単に来場者数だけでなく、属性なども含めて、どのような結果を示すのか気になるところだ(印象で語ると、全体的に若年層が多い印象を受けた)。
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海浜幕張駅から幕張本郷駅にも再び行列が。
 ちなみに、ACEで配布されたパンフレットにも、会場内の出展にも都条例や表現の自由に関するものは、一切存在しなかった。あくまで「ファンに向けたお祭り」であることを考えれば、そうしたものはなくて一向に構わない。仮に、会場内に「表現規制反対!」なんて横断幕が垂れ下がっていたとしたら、多くの来場者が無粋に感じるに違いない。  まだ、多少不備な点も見られたが、ファンに向けたお祭り、番組改編期にあたっての総合的なプロモーションイベントとしては、大変充実したものになっているといえる。来年以降どうなるかも注目していきたい。 (取材・文=昼間たかし)
強風 春の嵐。 amazon_associate_logo.jpg
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交通網が大混乱でも来場者多数! 「アニメコンテンツエキスポ2012」ついに開催

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 角川書店やアニプレックスなど55社の企業が出展するイベント「アニメコンテンツエキスポ(ACE)2012」が3月31日(土)、幕張メッセ国際展示場で開幕した。アニメ業界最大級のイベントということで前売り券は売り切れ、わずかな枚数の当日券を求める人で会場は混雑することが予測されていた。しかし、会場に到着するまで、多くの人が長い戦いを強いられることになるとは、誰も予想しなかった……。  当日の午前9時20分頃、筆者は地下鉄日比谷線からJR京葉線八丁堀駅へ向かった。そこで流れるのは無情なお知らせ。
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京葉線はもはや動く気配すらなかった。
 「強風のため速度を落として運転している」という旨のアナウンスが繰り返し流されているのだ。強風ならば仕方がない。ひとまず駅を出てタバコを一服。さらに、牛丼屋でゆっくりと朝食をとって駅に戻ると、事態はさらに悪化していた。いよいよ運転が中止となり、幕張メッセだけでなく、東京ディズニーランドへ向かう家族連れも多い八丁堀駅の窓口には振替乗車券を求め長い行列ができていたのである。
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幕張本郷駅前には次々バスがやってくるが、それでも長い行列が。
 こうして幕張メッセまでの長い旅路が始まった。八丁堀駅から地下鉄日比谷線で茅場町駅へ。地下鉄東西線に乗り換えて西船橋駅。ここからJR総武線に乗り換えるも、なかなか列車はやってこない。ようやく列車がやってきたかと思えば、「次の列車は運転を見合わせているので必ずこちらにご乗車下さい」とのアナウンスが。きっと、次の列車に乗ったまま、身動き取れなくなった人が数多くいたことは想像に難くない。そして、ようやく到着した幕張本郷駅。ここから、本来の目的地・京葉線の海浜幕張駅までは臨時バスも運行。次々とバスはやってくるのだが、長大な行列はすぐには動かない。かくて、ようやく会場にたどり着いた時には、時計は12時半を回っていたのである。  もちろん、帰り道も事態は変わっていなかった。海浜幕張駅には、バスを待つ長い長い行列ができていたのだ。さすがに疲れ果てたのか、駅の改札周辺には萌え袋の傍らに、満足そうにぐったりと座り込む人々も見られた。
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電車の動かない京葉線・海浜幕張駅で戦利品を手にぐったりとする人々。
■会場は大混雑だが……  ただでさえ都心から離れた幕張メッセ。それに加えて、遠回りを強いられてかなりの人が苦労したはず。それでも、会場内は足の踏み場もないほど大混雑であった。販売ブースによっては2時間待ちになっているところも見られた。コスプレのスペースに至っては、人が多すぎて、コスプレイヤーがどこにいるのかよくわからないほどの混雑に。出展している作品をテーマにしたメニューが並ぶ、フードコーナーは90分待ちの大混雑にも関わらず、一人で何品も買い込む人が多かった。詳細なレポートは、専門のニュースサイトなどで報じられるだろうが、ある程度の額の資金を持っていけば、十分に楽しめるイベントだったのは間違いない。
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会場内は大混雑で各ブース共に長い行列ができていた。
 そもそもこのイベントは、一昨年に漫画やアニメの表現の自由を侵害する可能性があると批判を浴びた「東京都青少年健全育成条例」の改正問題が発端となったものだ。  この条例正案が可決されるに至り、小学館や集英社などで構成するコミック10社会は、東京都が主催する「東京国際アニメフェア(TAF)」のボイコットを決定。この状況の中でアニプレックスや角川書店などを中心としてACEが立ち上がった経緯がある。その後、昨年は、両イベントの同日開催が注目を集めるものの、東日本大震災によって両イベントとも中止。今年は一週間ずらした日程での開催となった。  以前から双方の主催者共に「分裂」という見方を避け、「棲み分け」というスタンスを示していたが、そのことは会場を訪れてよく理解できた。TAFは、アニメもアニメーションも包括して扱う、ビジネスを主体にした見本市志向。対してACEは、アニメのプロモーションとファンサービスを目的としたお祭りである。都条例がきっかけだったとはいえ、TAFの低年齢・家族向けアニメやアニメーションにオタク向けまで、ごった煮でやっていた状況はうまく整理できたのは確かだろう。来年以降、今年のような別開催になるのか、あるいは再びTAFに統合されるのかはわからない。それはアニメ業界にとって、どちらが利益があるか次第であろう。先に開催されたTAFの側は、前回よりも来場者数は減ったものの、海外からの来場者数は増加するという結果となった。ACEの側も、単に来場者数だけでなく、属性なども含めて、どのような結果を示すのか気になるところだ(印象で語ると、全体的に若年層が多い印象を受けた)。
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海浜幕張駅から幕張本郷駅にも再び行列が。
 ちなみに、ACEで配布されたパンフレットにも、会場内の出展にも都条例や表現の自由に関するものは、一切存在しなかった。あくまで「ファンに向けたお祭り」であることを考えれば、そうしたものはなくて一向に構わない。仮に、会場内に「表現規制反対!」なんて横断幕が垂れ下がっていたとしたら、多くの来場者が無粋に感じるに違いない。  まだ、多少不備な点も見られたが、ファンに向けたお祭り、番組改編期にあたっての総合的なプロモーションイベントとしては、大変充実したものになっているといえる。来年以降どうなるかも注目していきたい。 (取材・文=昼間たかし)
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