
秋クールの注目作『中二病でも恋がしたい!』
も製作委員会方式が取られている
(公式サイトより)。
10月スタートの秋アニメの初回放送が一通り終わり、ファンたちはさまざまな感想を述べている。
現在、アニメ製作の多くを占めるのが製作委員会方式だ。テレビアニメだと、オープニングの最後に表示される「○○製作委員会」のクレジットは、誰もが見たことがあるだろう(近年は妙な名称を付けるものもあるが)。
よく知られている通り、製作委員会方式はさまざまな企業がお金を出し合って作品を制作する方法だ。各企業は出資比率に応じてロイヤリティを得たり、各々が商品化権や海外販売権などで収益を得ることになる。
日本における製作委員会方式は、特にリスクの分散を重視しているとされる。制作側は制作費用の負担で発生するリスクを避けられるし、流通部門の企業は、あらかじめ決まった制作費内のコストで安定したクオリティーのコンテンツを確保することができる。また、広告部門の企業があれば、認知度の確保も可能だ。つまり、マンガや小説を原作にして映像作品やゲームを展開する、あるいはその逆を行うメディアミックスが拡大していく中で、アニメはもとより実写作品でも、製作委員会方式はベストな方法として多用されてきたわけである。
日本で製作委員会方式が導入されたのは、1980年代に独立系の映画会社が登場してからだとされる。80年代には、大手総合商社が原作を保有する出版社と手を組む方法がよく用いられ、90年代に入るとそこにテレビ放送局も参入するようになってきた。アニメでは、84年の『風の谷のナウシカ』を契機に、まず劇場用アニメから製作委員会方式が普及していった。90年代になるとテレビアニメでも製作委員会方式が用いられるようになる。製作委員会方式で成功したとされる作品には、オリジナルアニメから多方面に展開し成功した『新世紀エヴァンゲリオン』や、ライトノベル原作から展開した『スレイヤーズ』などが挙げられる。
しかし現在、製作委員会方式は欠点のほうが目立つようになってきた。アニメのメディアミックス戦略では、放映に合わせて原作のライトノベルやマンガ単行本を販売して収益を得るのは基本中の基本だ。これに加えて、グッズやコラボ商品、それこそ抱き枕から、マウスパッドにタオルにポスターにと、思いつく限りの商品が展開されていく。
ところが、例えば製作委員会に参加している企業が、あるグッズを考えついたとする。すると、「そのジャンルの商品化権は別の企業が……」なんてことが多々あるのだ。製作委員会に参加していない企業がグッズ展開を提案しようとすると、さらに大変だ。要は、権利がやたらと複雑化して、何がなんだかわからない混乱が当たり前に起きているのだ。もちろん、こうした混乱が収益を得る機会の損失を招くこともあり得る。メディアミックスが当然になり、展開の幅が広がったいま、権利関係をシンプルにするスキームが求められている。
さらに、製作委員会の利点であったはずのリスク分散は、作品づくりの足かせともなりつつある。リスク分散は前述の通り、製作委員会方式が普及した大きな理由だ。ところが「リスクを最大限回避する」ために、冒険的な作品が生まれにくくなっている(このことは実写映画では、もっと如実に現れているはずだ)。製作委員会に参加する、どの企業も「どーんと出資して、どーんと稼ごう」なんてところはない。「ちょっとずつ出して、損をしないようにしよう」という思考なのだ。これでは、時代を変えるような新たな作品が生み出されるとは思えない。
「もうアニメは製作委員会方式はやめて、自社製作を中心に据えるほうがよいのではないでしょうか。例えば、劇場用アニメを製作するなら2億円もあれば多いほうです。あえて製作委員会方式を使うメリットが感じられません。かつて、バンダイは『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1987年)時に、ガイナックスに好きに作らせました。結果、赤字になってしまいましたが、ガイナックスは『トップをねらえ!』などを制作して完済しました。ある程度資本力のある企業であれば、作品が一つコケても、ほかがヒットすれば埋め合わせができるはずです」
と、ある製作会社のプロデューサーは話すが、はたしていまのアニメ業界にそんな大バクチをやろうと立ち上がる人材はいるだろうか? いま求められているのは、昭和の時代にいたような剛腕なプロデューサーと出資者だろう。それは、アニメから実写まで同じなのだが。
(取材・文=昼間たかし)
「23」タグアーカイブ
秋の夜長にメカバトル! 期待の秋クールスタートのロボットアニメ

テレビ東京『超速変形ジャイロゼッター』
かっこいいロボットやメカの活躍が見たいんだ!
そんな少年の心を忘れないアニメファンのためのアニメが、2012年秋クールから続々とスタートする。
まずは、テレビ東京系列の夕方枠でスタートした『超速変形ジャイロゼッター』を挙げたい。ある日突然「君は選ばれたドライバーだから、これに乗りなさい」と言われた主人公・轟き駆流が、巨大な人型ロボットに変形する赤いスポーツカー「ジャイロゼッター・ライバード」を託され、悪者と戦う。
この上なくシンプルで分かりやすく、少年の心を滾らせるストーリーだが、これぞロボットアニメ。『ガンダム』シリーズや『マクロスF』でメカデザインを担当した石垣純哉による、マッシブなロボットのデザインもさることながら、さまざま自動車メーカーの協力で実現した「実在の自動車が変形する」というコンセプトもなかなかそそるものがある。そのロボットがPerfumeよろしくグリグリとダンスを踊るED映像も、一部のアニメファンの間で話題となっている。
もしかしたら、今期アニメにおけるダークホースといえるかもしれない。
アニメファンにとってのゴールデンタイム・深夜枠に目を向けると、『武装神姫』(TBSほか)がなかなかイイ感じだ。
コナミデジタルエンタテインメントが2006年より展開する「MMSフィギュア」と呼ばれる可動モデルに、メカニカルな武装を施した「武装神姫」シリーズを題材とした本作は、主人公の男子高校生・理人と4体の美少女武装神姫たちの生活や活躍を描く。イメージとしては『プラレス3四郎』の世界観でチャム・ファウがMS少女みたいな格好で戦う感じだろうか。違うか。失礼しました。
……さて。この世界では、手のひらサイズの美少女フィギュアである武装神姫たちは量産され、ショップで売られていることが普通となっている。そのため、ヒロインたちはホビーの一種といえる。実際に彼女たちの間接や背中のビス穴などが描かれ、あくまで「フィギュア」として徹底的に描かれる。
その一方で、武装神姫たちは主人公に対する好意を寄せ、時には普通の女の子のように恥じらい、愛情を表現もする。これがまた、ペットのようにかわいらしいのだ。
これだけだと、また「フィギュア萌え族」だのなんだのとバッシングを受けそうだが、いざアクションシーンが始まると巨大でゴテゴテしたメカニックパーツが武装神姫たちの全身を覆い、3D映像を駆使したアクロバティックで非常にスピーディなバトルを繰り広げる。
本作の3D監督を担当するのは、『IS』や『創聖のアクエリオン』も手がけた井野元英二。その名前は知らずとも、仕事ぶりは作品を通して多くのアニメファンが知るところだろう。とにかく少年の心を燃え上がらせる「かっこいい」と「かわいい」。そして、思わず手元に置いておきたくなるようなヒロインたちのキャラクター設定など、心揺さぶられる要素がこれでもかと詰まっているのだ。
ちなみに、本作の主題歌や劇伴を手がけるのは織田哲郎だ。90年代、良質なアニメソングを多数生み出した彼のハイクオリティなサウンドにも注目したい。
そして10月11日より、アニメファン最大の注目タイトル『ROBOTICS;NOTES』(フジテレビ系)がスタートする。ゲーム版に続き、昨年テレビ版が放送され、来年には劇場版の公開が予定されているヒット作『STEINS;GATE』と世界観を同じくする「科学アドベンチャーシリーズ」最新作の本作にも、ロボットが登場する。本作ももともとはゲームが原作だが、アニメ作品としてロボットがどのような活躍を見せてくれるのか。放送が待ち遠しい限りだ。
(文=龍崎珠樹)
■バックナンバー
【第22回】『マブヤー』に続け! 沖縄発ご当地アニメ『はいたい七葉』が全国制覇を狙う!?
【第21回】まるで電波少年!? 『ココロコネクト』ドッキリ事件が業界を巻き込み大炎上中!
【第20回】新ジャンル? 「不憫萌え」の女王・高垣彩陽の演技が光る話題作『ソードアート・オンライン』
【第19回】「売りスレ」では計測不能!? アニメDVDの売り上げを陰で支えるレンタル市場
【第18回】「求められるのは声優ソングばかり……」表舞台を追われたアニソン歌手の現在
【第17回】美少女たちが追いつめられる姿にゾクゾク!? リアル系ロボットアニメ『トータル・イクリプス』
【第16回】夏アニメの穴馬!? “いわく付き”SNSゲームアニメ『探検ドリランド』に熱視線
【第15回】 キーワードはホモソーシャルな描写!? 今夏は「乙女ゲーム原作アニメ」が熱い!
【第14回】「まるで90年代の夕方6時枠アニメ!?」『モーレツ宇宙海賊』の大器晩成ぶり
【第13回】もはや“声優アイドルフェス”!? アニソン重鎮不在の「アニサマ2012」に不安の声
【第12回】「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ
【第11回】「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』
【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号
【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは?
【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情
【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー
【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!?
【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』
【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』
【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』
【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』
【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!
『マブヤー』に続け! 沖縄発ご当地アニメ『はいたい七葉』が全国制覇を狙う!?

『はいたい七葉』公式サイト
さまざまな地方都市をアニメの舞台にすることで、聖地巡礼するアニメファンを観光客として呼び込む「ご当地アニメ」が認知されるようになって久しいが、それをさらに一歩推し進めた「ご当地アニメ」が今秋スタートする。
それが、10月6日より放送開始予定の『はいたい七葉(ななふぁ)』だ。
主人公の三姉妹が、かわいらしいキジムナーやシーサーの精霊と交流する中で不思議な騒動が巻き起こるという本作。監督に『NARUTO』シリーズの多くのエピソードで演出を手がけている木村寛、キャラクターデザインに『もえたん』シリーズのキャラクター原案のPOPなどが起用され、一見して多くの全国区アニメと大差がないように見えるが、キャストはほとんど沖縄県出身で、放送局も琉球朝日放送(QAB)のみ。現地での放送が終了する2013年からは、全国・海外での展開も計画されているという。
本作の総合プロデュースを手がけるのは、沖縄のローカルヒーロー『琉神マブヤー』を生み出した南西産業の畠中敏成社長だ。『マブヤー』は現在、地元・沖縄ではシーズン4まで番組を放送。全国各地でも、U局系列を中心にシーズン3までが放送されているほか、劇場版も昨年10月に沖縄で先行上映された後、今年1月には全国上映されるなどヒットコンテンツへと成長した。
『はいたい七葉』は登場する14人のキャラクターにそれぞれスポンサーを付ける優先キャラクター契約を募集している。現在、劇場版が公開中の『TIGER & BUNNY』でも注目を集めたプロダクトプレイスメントを積極的に取り入れ、作品を通じての広告収入も視野に入れているようだ。
ローカルヒーローとしては、異例の大ヒットを記録した『琉神マブヤー』に続いて、畠中社長は今度は萌えアニメで全国制覇を狙う。
本作のほかにも、近年、地方で企画・制作された「ご当地アニメ」がじわじわと現れつつある。例えば、佐賀県発のセル&クレイアニメ『河童五代目』は、クリエイターと地元学生のコラボレーション企画として誕生。現在第2シーズンまで制作され、海外展開もしている。
また「魅力発信!埼玉県観光アニメ制作事業」と称して、アニメを活用した県の観光資源PRを推進する埼玉県は、「アニメど埼玉」というサイトを立ち上げ、県在住のクリエイターや一般公募によって選ばれた声優を起用した作品を多数公開している。日常系アニメのオムニバス『The Four Seasons』や、美少女巫女の活躍を描く『観光大戦SAITAMA』などを見れば、地上波で放送されているアニメに見劣りしない作品の完成度に驚くことだろう。
特に3人の女子高校生が県のPRムービーを撮影する『埼玉高校放送部』は、出色の出来である。テンポのいい女子トークが繰り広げられ、思わず「もっと見たい!」と思わされること必至。声優は一般公募ということで若干棒くさいところもあるが、それが逆に味になっていると言えなくもない。『らき☆すた』で町興しを成功させた鷲宮という前例があるだけに、そのガチっぷりはほかの地方発「ご当地アニメ」の追随を許さない。さすがである。
これまで、首都圏から発信される作品が中心であった「ご当地アニメ」だが、今後は地方発信の「ご当地アニメ」も増えてくるのではないだろうか。人件費や制作に必要なコストなど、アニメ制作をする上でクリアしなければならないハードルは低くはないだろうが、より地方の魅力をふんだんに取り入れた上で「面白いアニメ」(ここが重要!)が生まれてくれることを願うばかりだ。
(文=龍崎珠樹)
■バックナンバー
【第21回】まるで電波少年!? 『ココロコネクト』ドッキリ事件が業界を巻き込み大炎上中!
【第20回】新ジャンル? 「不憫萌え」の女王・高垣彩陽の演技が光る話題作『ソードアート・オンライン』
【第19回】「売りスレ」では計測不能!? アニメDVDの売り上げを陰で支えるレンタル市場
【第18回】「求められるのは声優ソングばかり……」表舞台を追われたアニソン歌手の現在
【第17回】美少女たちが追いつめられる姿にゾクゾク!? リアル系ロボットアニメ『トータル・イクリプス』
【第16回】夏アニメの穴馬!? “いわく付き”SNSゲームアニメ『探検ドリランド』に熱視線
【第15回】 キーワードはホモソーシャルな描写!? 今夏は「乙女ゲーム原作アニメ」が熱い!
【第14回】「まるで90年代の夕方6時枠アニメ!?」『モーレツ宇宙海賊』の大器晩成ぶり
【第13回】もはや“声優アイドルフェス”!? アニソン重鎮不在の「アニサマ2012」に不安の声
【第12回】「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ
【第11回】「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』
【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号
【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは?
【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情
【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー
【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!?
【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』
【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』
【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』
【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』
【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!
不祥事で人気声優が移籍!? アニメ誌が絶対書かない、隠されたオタク業界の”闇”
【サイゾーpremiumより】
日本を代表する文化であるアニメ、ゲームといった”オタク”文化だが、これらオタク業界のゴシップやタブーといった話題がメディアの俎上に上ることはそう多くない。業界内で封殺されることも多いというオタク界隈のタブーを、関係各所に聞いて集めてみた――。
月額525円で読み放題! (バックナンバー含む)
アニメ、声優、ゲームといったオタク文化が、日本を代表する文化と呼ばれるようになって久しい。 テレビアニメ『けいおん!!』の主題歌CDが2010年8月16日付のオリコン週間ランキング2位を獲得するなど、アニメや声優のCDがチャート上位を席巻することは、もはや珍しくない。『NHK紅白歌合戦』にも3回連続出場している人気声優・水樹奈々は、10年に声優として史上初のオリコンシングルチャート1位を獲得。さらに11年末、東京ドームで2日間にわたるコンサートを成功させた。 その勢いは映画業界にも及んでいる。現在公開中のアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』は公開1カ月で興行収入30億円を突破。12年の映画の年間興行成績ランキングでトップ10入りするのはほぼ確実視されている。さらに、ハリウッドでは『メタルギアソリッド』『ワンダと巨像』など、国産ゲームを題材とした実写映画が続々と製作決定している状況だ。 また、今年8月には、国民的RPGの『ドラゴンクエストX』がシリーズ初のオンラインゲームとして発売され、わずか3週間で50万本以上を売り上げた。同記録はパッケージでのソフト販売を行うオンラインゲームとしては異例の数字で、コアユーザー向けと思われていたオンラインゲームを一般層に普及させることで、ゲーム業界のさらなる鉱脈を切り開くことが期待されている。 そのほか、『らき☆すた』の埼玉県久喜市鷲宮や『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の同県秩父市などを筆頭に、アニメの舞台となった街が「聖地」として観光PRに利用されるなど、オタク文化の一般社会への貢献は著しいものとなってきた。 そんな華やかなニュースが続くオタク業界だが、同業界のゴシップやタブーに触れた話は、広告を入れてもらい、宣材や取材を取り計らってもらう立場であるアニメ誌やゲーム誌といった専門誌で書かれることは当然ない。せいぜい信ぴょう性の薄いネットでの流言をお目にかかるぐらいだろう。だが、不況下で好調を呈し、産業として巨大化しているのならば、表に出てこない黒い噂のひとつや2つあってもおかしくないはず……。 「アニメ業界に顕著ですが、制作現場では同業者間の交流が多いため、悪い噂などが広がりやすい環境です。なので、業界全体で、悪評が立つ人物などは自然と業界を干されるという”自浄作用”が働いているといえるかもしれません。 一方で、オタク業界は『夢を売る』業界であり、『イメージ』を最も重要視するため、ゴシップなどを内々で処理してしまう傾向も見受けられます。声優のスキャンダルは声優事務所同士がスクラムを組んで外に漏れないようにするなど、閉鎖的な世界を作っていると感じることも多いです。事実、人気アニメ『けいおん!』に出演していた声優が不祥事を起こして事務所を放出されたものの、外に向けては単純な移籍と報じられましたから」 そう語るのは、アニメ・声優系業界関係者。オタク業界では、”二次元の夢”を守るため、業界全体が軌を一にしている部分があるという。 そんな中、関係各所への聞き込みを通じて見えてきた、「イメージ」というヴェールの向こう側にある「タブー」をご開陳。”オタク業界のタブー”を、とくとご覧あれ。 (文/菅 桂真) 【続きはこちらから!! 「サイゾーpremium」では他にもオタク業界のタブーをぶった斬る記事が満載!】 ・「歌ってみた」に群がる素人と芸能界――芸能事務所にも所属済み! ニコ動”歌い手”たちの傲慢と嘘 ・【完全保存版!?】声優の恋愛事情に、消された作品たち……オタク業界のタブー ・「紅白出場」声優アーティスト・水樹奈々が登場! 「二股活動」にかけるオモイとは?シリーズ初のMMO(大人数同時参加型オンライン)
RPGとして、今夏発売された『ドラゴンクエストX』。
"ダイス賭博"といった微妙な問題も取り沙汰され
たが、業界内外では評判も高い。
■「サイゾーpremium」とは? 雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円で読み放題! (バックナンバー含む)
再放送に恵まれなかった隠れた名作も発掘! 視聴者が選ぶ「タツノコプロ名作アニメ総選挙」

TOKYO MX公式サイトより
見たい再放送アニメを、視聴者が投票で決める!
そんな試みがこの夏、TOKYO MXで実施された。
「タツノコプロ名作アニメ総選挙」として、タツノコプロ制作のアニメの中から選出された10作品の、それぞれ第1話を8月中に放送し、視聴者による投票数が1位になったアニメが、秋から全話再放送されるというもの。
今回のラインナップは、『マッハGoGoGo』『黄金戦士ゴールドライタン』『ハクション大魔王』『タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン』『タイムボカンシリーズ タイムパトロール隊 オタスケマン』『宇宙の騎士テッカマン』『一発貫太くん』『破裏拳ポリマー』『とんでも戦士ムテキング』『未来警察ウラシマン』の10作品。誰もが知っているメジャーな作品から、なかなか再放送の機会に恵まれていないような作品まで、バラエティに富んだ10作品だ。
総選挙の企画自体はタツノコプロ側から提案されたものだが、ラインナップを決定したのはTOKYO MXとのこと。同局の編成担当者に聞いた。
「これまで『ヤッターマン』や『ガッチャマン』など、人気作の再放送はやってきていたのですが、今回は埋もれてしまっているような、今までほとんど再放送されていないようなものもなるべくピックアップしたいと思いました」
その狙いは当たったようで、視聴者からの反響もかなり大きかったという。先日、総選挙の結果が発表され、『未来警察ウラシマン』が堂々の1位を獲得した。ちなみに2位が『イッパツマン』で、3位が『ポリマー』という結果。この総選挙の投票結果を踏まえ、11月からの『ウラシマン』の再放送が決定した。
「途中経過を発表させていただいたのですが、そのときは『ウラシマン』は僅差での3位だったんです。そこから票がどんどん伸びて、最終的にはブッチギリの1位でした。投票に寄せられたご意見も、作品への熱い愛が伝わるものばかり。なかなか再放送もされないものを、という当初の狙い通りでもあり、なおかつ質も高い作品が選ばれたという結果になりましたね」(同)
アニメやドラマなど、近年地上波での再放送といえば、新作としてその時期に放送されるドラマの出演者が過去に出た作品だったり、劇場版の公開が予定されているなどの「関連物件」であることが多い中、そういったしがらみの薄い、視聴者目線での今回の試みは、珍しいケースではある。前出の担当者は今後の展望について、こう言う。
「今回の総選挙のように、視聴者の皆様のご意見を尊重して、視聴者が本当に見たいものをお届けできたらと思います。今後は、タツノコさん以外の作品でもこのようなことをやってみたいと検討中です」
サンライズ総選挙や円谷総選挙など、夢が広がりそうだが、制約にあまりとらわれず、視聴者が見たい番組を見せてくれるというのは、ある意味で理想のスタイルかもしれない。
「ネコ」役・小松未可子をゲストに、アニメ『K』赤ワインありの小洒落た先行上映会+α!!
8月28日夜22時という、やや深い時刻から、大掛かりなプロモーションとミステリアスな雰囲気で話題のアニメ『K』第一話の先行上映会がおこなわれた。
場所は、11月17日に移転オープンするアニメイト池袋本店新店舗のすぐ隣にある、アニメイトカフェ。品のいい内装の、落ち着いた店舗に、正装の給仕がてきぱきと動く。この場所柄もあってか、とても穏やかでゆるやかな空気のイベントとなり、ゲスト登壇の「みかこし」こと声優の小松未可子の舌もよく廻った。
高倍率の抽選を通り、着席できた幸運なファンは50人。赤ワイン(ノンアルコールも選べる)と食事が付いたトーク(+じゃんけんによるプレゼント大会)ののち、第一話の先行上映という構成だった。まだ放映開始前ということで、最大に盛り上がったカットで無情の「一時停止」。先日開催された制作発表会につづく寸止めに一同身悶える結果となったが、言い換えるとそれだけおもしろさが伝わったようでもあった。
男性キャストの豪華さから女性ファンが多い『K』だが、この日は男性ファンが大勢を占めているのが特徴的だった。トークではみかこし演ずるキャラクター「ネコ」の魅力もふんだんに語られ、男性ファン開拓の役に立ったかもしれない。
なおまだオンエア前だというのに会場内限定でのキャラクター人気投票がおこなわれたが、第一位は「ネコ」。空気を読んだ優しい会場でのひとときを過ごしたみかこしが、イベント終了後、報道陣の囲み取材に応えてくれた。その模様をお届けしよう。
──「ネコ」役を演じた感想は?
小松未可子 ネコちゃんは、自分のなかでは一話から最終話まで、ずっと謎のキャラクターで。でもあきらかにされない分、彼女の抱えている寂しい部分だったり、シロに対する愛情がどこから生まれてくるのか、バックボーンを考えながら演じていました。
こういうかわいいキャラクターは初めてなんですよ。いままでは気が強い役や、少年役が多かったので、初めての挑戦というか。みんなから愛されるキャラクターづくりに苦戦しつつ、媚びないわけではないけれども、あざとくない、自然体でかわいらしいキャラクターにするにはどうしたらいいかを試行錯誤して演じました。
──エンディングテーマ曲はどんな曲ですか?
小松 詞や曲調に、あまり本編では出ていなかったネコの内面がすごく現れていて。『K』の世界観がメロディに封じ込められているから。壮大な曲でもあり、寂しい曲でもあり。ネコ目線で『K』の世界観を歌った、という感じの曲ですね。
──1話の映像を観てびっくりしたところは?
小松 いままでの出演作とはまた違った世界観だったり、物語もそうなんですけど、すごく映画的な撮り方をしているな、と。すごくリアルな、実際の人の視点から映しているというのが、驚いた部分ですね。あとは、アフレコの時点で絵がかなりできていたこと。絵が完成されていると、その分命を吹き込むことが難しくなるんですが、それだけにやりがいがあるというか。どう命を吹き込むか、苦戦しつつ色付けを楽しんでやっていた印象があります。
──きょうは男性ファンがたくさん詰めかけていたんですけれども、男性に『K』のここを楽しんでよ! というのは、どんなところですか。
小松 そうですね、純粋に世界観に浸れる作品だと思うんですね。ひとつの物語をいろいろな角度から観られる作品なので、女性キャラクターにも魅力がありますけれども、戦う理由、それぞれの信念がいろいろな面から恰好よく描かれているところを、アクション込みで楽しんでいただきたいなと思います。お色気もありつつ、純粋に楽しんでいただけると思うので。あとは、自分のキャラクターになりますが、ネコちゃんの動きも楽しんでいただけたらな、と思います。
──抜刀にまつわるエピソードを。
小松 意味は知っているんですけれども、アニメでもあまり聞かない言葉で。でもそれを掛け声にするのが、すごく恰好いいな、と。第一話では次々に「セプター4」が剣を抜いていき、最後に宗像礼司が「抜刀!」と言う、あの一連のシークエンスは観ていて締まる、恰好いい印象があります。
アフレコでは男性陣が、ふざけるのが大好きで、ラジオでもそうなんですけれども、みんな思い思いに抜刀という言葉を使っているんですよね。アニメにひとつ必ずある決めゼリフになりつつある、それくらい各キャストが大好きな言葉になっていますね。
──ファンのみなさんにメッセージをお願いします。
小松 はい。Webラジオでご紹介していても、まだまだ謎が多く、上がっている設定資料を見ただけではわからない作品ですので、本編をご覧いただいて。いろいろと予想を裏切られつつ、楽しみつつ、奇想天外な展開になっていますので。ぜひオンエアを楽しみにしたいただけたらと思います。
アニメ『K』はMBSで10月4日、TBSで10月5日、AT-Xで10月13日から放送を開始する予定。男性向けの多い深夜帯で秋アニメに異色の空気をもたらすか、乞うご期待といったところだ。
(取材・文=後藤勝)
大型フェリーでコスプレ撮影会も!「OKESA!アニメクルージング」開催へ

大型フェリーでトークとコスプレ、さらに寄港地でアニソンまでもが楽しめる一大イベントが、9月16日に新潟で開催される。昨年初開催されて、大好評を博した「OKESA!アニメクルージング」が、それだ。このイベントは新潟と佐渡島を結ぶ航路を運航する佐渡汽船が主催し、全国に知られる同人誌即売会・ガタケット事務局と、同人誌印刷会社・ねこのしっぽの共催で行われるもの。
昨年は、全国から300人あまりが集まり大盛況となった、このイベント。今回は、さらに内容をパワーアップ。中でも目玉は、船内でコスプレができるという新たな試みだ。
「船内で自由にコスプレ撮影を行っていただけます。似合うコスですか? ONE PIECEとかヘタリアなんてよいんじゃないでしょうか」
と、ガタケット代表の坂田文彦さんは話す。
ちなみに、イベントに使われる船はカーフェリー・おけさ丸。なかなかの巨大な船なので撮影スポットは数限りない。様々な場所で、コスプレイベントが開催されるようになって久しいが、航行中の船内でコスプレができるというイベントは、おそらく史上初である(なお、筆者が佐渡島に似合うコスとして『カムイ伝』を提案したところ、坂田さんは渋い顔を……ごめん)。
イベントは新潟港を出港後に、船内でトークライブ、佐渡に到着後ライブを開催するというスケジュールだ。今年は、ゲストに、影山ヒロノブ・置鮎龍太郎・阪口大助・石田燿子が名を連ねており、男女共に楽しめる仕掛けになっている。
また、このイベントの魅力は新潟県民以外はなかなか訪れる機会のない、佐渡島に行くことにもある。筆者も、佐渡島には金山くらいしかイメージがないが、実際にはどうなのか?
「やっぱり金山です。それに、古来から高貴な人たちが流された島でもあるので、島内に多くの史跡があるんです。さらに、佐渡の米は、米どころの新潟県内でも特に美味しいと評判ですし、併せて酒蔵も多いです。海産物も美味しいし、じっくりと楽しんでほしいですね」(坂田さん)
なるほど、まず食べ物と酒が美味いということだけでも行く価値は高そうだ(余談だが、筆者の知人が佐渡に移住して、「美人が多い」と絶賛していたのを思い出した)。
そんな佐渡を満喫するために、イベントの乗船券は翌日まで有効になっており、イベントを楽しんだ後に宿泊し、翌日は佐渡島観光を楽しんで帰ることもできる設定だ。
地方でも例を見ない一大「まんが王国」と知られる新潟県。その地の利を存分に生かしたともいえる、このイベントは、是非体験してみる価値がある。
(取材・文=昼間たかし)
●OKESA!アニメクルージング2
2012年9月16日(日) 事前申込制
ゲスト:影山ヒロノブ・置鮎龍太郎・阪口大助・石田燿子(友情出演)
MC:ショッカーO野
詳細は、公式サイトから
http://gataket.com/okesa2/
まるで電波少年!? 『ココロコネクト』ドッキリ事件が業界を巻き込み大炎上中!

『ココロコネクト』公式サイトより
「ドッキリ」というと、古くから存在するバラエティ番組の演出の一つである。仕掛け人やスタッフが事情を知らないターゲットのタレントに対して、ウソの番組企画やいたずらを仕掛けて、そのリアクションを視聴者が楽しむという「ドッキリ」は、タレントの素の表情やリアクションが飛び出し、予測不能の笑いを生むことから、バラエティ番組の定番企画となっている。
しかし、ドッキリを仕掛けられることでタレントのイメージが崩れることや、ドッキリ企画を受けた事務所やテレビ局とタレントの関係が悪化することも少なくないことから、近年はイジられてナンボのお笑いタレントが、そのターゲットとなることが多い。つまり「ドッキリ」はリスキーな企画でもあるのだ。
そんな「ドッキリ」に安易に手を出してしまい、ファンのみならずアニメ業界を巻き込む大炎上を引き起こしてしまったのが、アニメ『ココロコネクト』(TOKYO MXほか)である。
7月からスタートした『ココロコネクト』は、人間関係に重大な影響を及ぼす超常現象に巻き込まれた高校生の男女5人の姿を描く、日常系SF。人気ライトノベルのアニメ化作品ということで放送前から注目を集めていた話題作であった。しかし、6月24日に開催された第1話先行上映会で番組スタッフが一丸となって用意したドッキリ企画が、今になって大きな問題を呼んでいる。
このイベントは出演声優のほかに、シークレットゲストとして声優・市来光弘が出演。「アニメのオリジナル企画がある」と聞かされていた彼は、てっきり「アニメのオリジナルキャラ」を演じることが発表されると思っていたのだが、事態は思わぬ方向に。突然「宣伝部長」に任命され、『ココロコネクト』公式Twitterアカウントのフォロワーを2万人以上にすること、そして、キャンペーンカーに乗って全国各地に赴き、プロモーション活動することを命じられたのだ(当然、アニメ本編への出演はない)。
実はこの企画、オーディション段階からの仕込みだったらしく、現場ではオーディション会場で必死に演技をする市来の姿も上映された。オーディションを受けた上でイベントに呼ばれた市来は本気で「アニメに出演できるもの」と信じていた模様で、ショックのあまりその場で崩れ落ちてしまうも、その姿に他の出演者やスタッフは爆笑。その意味では「ドッキリ大成功」だったといえるだろう。
しかし、その後、市来は周囲のスタッフや同業者に、ダマされた怒りと屈辱を何度も吐露。先輩声優・杉田智和や今井麻美のラジオ番組に出演した際には、彼らから同情とともに慰めの言葉をかけられ、特に杉田に関しては「俺がやられたら、その場の人間の顔全員覚えて帰る」と、『ココロコネクト』スタッフに対して怒りをあらわにする始末。そのほか、事態を知った業界関係者がこの「事件」について、Twitterで続々と発言。その大半が市来を擁護するものであったが、中には放送作家・稲葉央明氏のように「イジメやタチの悪いイジリやハラスメント以外の何ものでもないと思う」とスタッフを断罪するコメントも。現在この件に関して、関係者および発売元のキングレコードは一切の沈黙を貫いてはいるが、日増しに周囲の批判の声は大きくなるばかり。
今回の企画に関わった関係者は、この事態をどう沈静化させるつもりなのだろうか。なお、この炎上を受けて制作会社シルバーリンク代表取締役・金子逸人氏は「市来さんは14話から出演が決定しております」「これは企画当時より決定しておりました」とTwitter上で発言するも、直後に削除。現場の混乱具合がうかがえる。
ちなみにこの炎上事件の発端となったのが、主題歌を歌うユニットeufoniusのコンポーザー・菊地創氏がTwitter上で、歌手の桃井はるこに暴言を吐いたという事件だ。この一件をきっかけに、菊地氏の過去の問題発言がアニメファンによって発掘され、そこから今回のドッキリ企画についての発言も発見。そこから芋づる式に、関係者の発言や先述の市来のツイートも発掘されたというわけである。
くしくもアニメ本編のように、現実世界でも人間関係に大きな問題を発生させてしまった『ココロコネクト』。願わくば、物語のようにハッピーエンドになってほしいものである。
(文=龍崎珠樹)
■バックナンバー
【第20回】新ジャンル? 「不憫萌え」の女王・高垣彩陽の演技が光る話題作『ソードアート・オンライン』
【第19回】「売りスレ」では計測不能!? アニメDVDの売り上げを陰で支えるレンタル市場
【第18回】「求められるのは声優ソングばかり……」表舞台を追われたアニソン歌手の現在
【第17回】美少女たちが追いつめられる姿にゾクゾク!? リアル系ロボットアニメ『トータル・イクリプス』
【第16回】夏アニメの穴馬!? “いわく付き”SNSゲームアニメ『探検ドリランド』に熱視線
【第15回】 キーワードはホモソーシャルな描写!? 今夏は「乙女ゲーム原作アニメ」が熱い!
【第14回】「まるで90年代の夕方6時枠アニメ!?」『モーレツ宇宙海賊』の大器晩成ぶり
【第13回】もはや“声優アイドルフェス”!? アニソン重鎮不在の「アニサマ2012」に不安の声
【第12回】「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ
【第11回】「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』
【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号
【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは?
【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情
【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー
【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!?
【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』
【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』
【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』
【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』
【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!
まさに“シンガポール・ドリーム”! 国宝級アート・ディレクターが、憧れの地・日本でブレイク間近

テセウスがアート・ディレクターを務めた、ルイ・ヴィトンと
草間彌生氏のコラボレーションを記念したファイン・ブック。
『AKIRA』『ドラゴンボール』『ドラえもん』......子どものころ、僕らの心をアツくさせた漫画やアニメが、海の向こうに住むアジアの子どもたちの心にも火をつけていた。今や日本人だけのものではなくなった、日本のポップカルチャー。その影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエーターたちを紹介します。
第30回
アート・ディレクター
テセウス・チャン(Theseus Chan)
今年建国47周年という若い母国よりも少しだけ年長のテセウスは、「国宝」(!?)の呼び名さえ持つ、シンガポールを代表するアート・ディレクターだ。歴史の浅いシンガポールのデザイン業界において、初めて世界的な評価を得たクリエイターであり、現地の若手が崇拝するマスター的存在。当地のヒーローであるPHUNKやクリス・リーも、テセウスにだけは決して頭が上がらないという。
さぞや押しの強そうな人物と思われるかもしれないが、実際には「多くの前世を経験し、徳を積んでこられたのでしょう」と拝みたくなるような、一見お坊さんのような風貌。本人はいたって腰が低く、注目されるのが苦手で、業界のパーティーなどにはまず足を運びたがらない。
テセウスがデザイナーという職業を意識しだしたのは、かなり早かったという。

「WERK No.18」
「僕が学生の頃は、デザイナーになるなんて言ったら、“馬鹿なことはやめろ”と説得されるか、変わり者扱いされるのがオチでした。銀行員か公務員になって安定した収入を得るのが一番の親孝行、と、多くのシンガポール人が信じて疑わなかった時代です」
そんな状況も、ここ10年ほどで随分変わってきた。シンガポールをアジアのアート&デザインのハブにし、経済効果を狙うというもくろみの下、政府主導のさまざまなバックアップ施策が実行されてきたのだ。一般市民へのデザインの認知度も上がり、クリエイターをめぐる環境もだいぶ整えられたように見える。若手デザイナーの数も増え、デザイナーを目指す学生を応援こそすれ、それを止める親や親戚もいなくなった。

「WERK No.18」

「WERK No.18」
しかし、テセウスからすると、事態はそれほど楽観できたものではない。
「残念なことに、今、多くのデザイナーは、クオリティーを追求したり、そのプロジェクトが自分のキャリアやクライアントにもたらす成果のために努力するのではなく、とにかく“仕事をとる”ことに精力を傾けがちです。そのためのダンピングもお構いなし。デザイナーはプライドをなくし、クライアントのデザインに対する意識は低いまま。市場は成熟するどころか、後退しているようにさえ感じます」
辛口なようだが、「上から降ってくる」施策を享受した、いかにも教科書的なデザインが大量生産されれば、競争のポイントはクオリティーからずれていくばかり。むしろ網の目をくぐり、破り壊してでもやり遂げたい、強いデザインスタイルを持つべきなのだ、とテセウスは言う。
テセウスがデザインで常にお手本にしていたのは、80~90年代の日本の雑誌。「流行通信」「スタジオボイス」「Mr.ハイファッション」……行ったこともない日本の雑誌を手に入れては、ボロボロになるまで研究していた。中でも、コム・デ・ギャルソンが1988~91年に出していたフリーペーパー「six」は、テセウスのデザイン・バイブルといっていい。シックでゲリラ的精神にあふれ、妥協のないビジュアル・センスで見る者を圧倒する……それはテセウスに、自らのクリエイティブの発露をも促し、2000年から、世界のマガジンフリークの垂涎の的である「WERK(ヴェルク)」を、年に2回自費出版し続けている。同時に「いつか縁があって、自分のデザインを認めてくれる人たちと日本で仕事ができれば」と夢見ていたという。

「OnPedderNewNews 2012 S/S」
そんなテセウスの夢が、ここ数年で次々と現実化している。日本がらみのプロジェクトが目白押しなのだ。2009年に「師匠」と呼ぶ田名網敬一氏との出会いをきっかけに、2010年、田名網氏とPHUNKのコラボ展覧会のPR誌「The Tanaami Times」のアート・ディレクションを担当。2011年に田名網氏をフィーチャーした「WERK No.18 Keiichi Tanaami - Psychedelic Visual Master」を発行。2012年の1月と3月には、同じく田名網氏を迎え、長年アート・ディレクターを務める香港の高級セレクト・ショップOnPedderの顧客向けマガジン「OnPedderNewNews」(http://onpedder.com/pedderzine_fullbook/part7/index.html)での競演を果たしている。

「LV - YK」ファイン・ブック
7月には、彼がアート・ディレクターを務めた、ルイ・ヴィトンと草間彌生氏のコラボレーションを記念したファイン・ブック(発行:ルイ・ヴィトン ジャパン。ドーバーストリートマーケット銀座のみでの期間限定販売/http://ginza.doverstreetmarket.com/new/louis_vuitton.html)が発表され、大きな話題となった。アーティストへの深い理解とリスペクト、そしてチャレンジ精神を120%出し切った本の出来栄えに、草間氏本人も大絶賛したという。ユニクロ銀座では、8月に「UT 東京土産」プロジェクト(http://www.uniqlo.com/jp/store/feature/uq/ut/tokyoomiyage/)をリリース、テセウスが来日のたびに気になっている日本語をモチーフにデザインしたTシャツが販売されている。

「UT 東京土産」プロジェクト
さらには今年12月、日本のグラフィック・デザインの殿堂、ggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー/http://www.dnp.co.jp/gallery/ggg/)での日本初個展が開催されるなど、まさに今年は「テセウス祭り」とでも呼びたくなるほどの盛り上がりを見せている。
「僕にとって、日本はクリエイティブのお手本にあふれた国。自分たちの仕事を気に入ってくれる人たちが日本にもいると思うと、本当に勇気づけられます」というテセウス。今年の「祭り」はほんの序の口。来年は、日本中にテセウスのデザインがあふれていくことだろう。
●テセウス・チャン
WORK代表/WERKマガジン クリエイティブ・ディレクター。1961年シンガポール生まれ。マッキャン・エリクソンなどを経て、97年に、広告・デザイン・ファッション・出版の枠を超えて活動するデザイン・オフィスWORKを設立。2000年に創刊した「WERK」は、印刷技術の限界に挑むインディペンデント・マガジンとして、世界中に熱狂的なファンを持つ。04年から09年まで、東南アジアで唯一のコム・デ・ギャルソン ゲリラストアを運営。同時にビジュアル誌「Guerrilazine」を制作。06年、シンガポール・プレジデンツ・デザイン・アワード受賞。09年「WERK」16号でD&AD賞イエローペンシル受賞。
<http://www.workwerk.com/>
<http://www.ashu-nk.com/ASHU/work.html>
●なかにし・たか
アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com >
オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/>
■バックナンバー
【vol.29】「ゴジラに出てくる怪獣が大好きだった」インドネシアの“落書きアーティスト”が描くジャカルタの今
【vol.28】香港フィギュアブームの火付け役! ‟『AKIRA』にヤラれた”作家が手がける近未来物語
【vol.27】“田名網チルドレン”続々……アジア各地で熱烈支持されるサイケデリック・マスター
【vol.26】『銀河鉄道999』はアップル並みのインパクト? 韓国の催眠術的ポートレイト
【vol.25】ネタ元は日本の特撮ヒーロー? インドネシア式ファンタジー
【vol.24】"80後"世代の代弁者 中国売れっ子写真家の「未来系アート」
【vol.23】「ヤクルトとカップヌードルに洗礼?」MOJOKOのユーモラスな世界
【vol.22】「狂気とポップカルチャーが融合!?」香港のアーティストが追求する"不完全な美"
【vol.21】「人間の欲望を視覚化?」香港人気キャラの生みの親が追求する"醜さの美学"
【vol.20】「故郷・ボルネオ島での原体験が創造力の源」世界で活躍するマレーシアの"ケンヂ"
【vol.19】「人生に起きるすべてのことを細かく観察したい」中国ネット世代のアーティスト
【vol.18】「ヒーローは宮崎駿と奈良美智」シンガポールのマルチスタイル・アーティスト
【vol.17】「ルーツは『天空の城 ラピュタ』」ウォン・カーウァイに見い出された香港の若き才能
【vol.16】怖かわいい魑魅魍魎が暴れ回る! ヤン・ウェイの妖魔的異界
【vol.15】「原点は日本のコミック」東南アジアを席巻する都会派クリエーター
【vol.14】エロ×宗教×故事が混在!? 中国版・寺山修司が造り出すカオスな世界
【vol.13】昼間はOL、夜は寡黙なアーティスト ソン・ニが描く秘密の快楽の世界
【vol.12】まるで初期アニメ ローテクを駆使する南国のアート・ユニット「トロマラマ」
【vol.11】「造形師・竹谷隆之に憧れて......」 1000の触手を持つ、マレーシアのモンスター
【vol.10】"中国のガロ系"!? 80年代以降を代表するコミック・リーダー ヤン・コン
【vol.9】大のラーメンおたく!? シンガポールデザイン界を率いる兄貴、クリス・リー
【vol.8】メイド・イン・ジャパンに憧れて...... 香港の文学系コミック作家・智海
【vol.7】「血眼になってマンガを追いかけた」海賊版文化が育んだ中国の新しい才能
【vol.6】裸人間がわらわら 香港ピクセル・アートティストが放つ"アナログデジタル"な世界
【vol.5】ダメでも笑い飛ばせ! 香港の国民性を体現したグラフィック・ノベリスト
【vol.4】「教科書はガンダムの落書きだらけだった」 香港・原色の魔術師の意外な原点
【vol.3】「懐かしいのに、新しい」 読むほどにクセになる"タイ初の日本漫画家"タムくん
【vol.2】 マイブームはBL!? 香港の腐女子が描きとめる、消えゆく都市の記憶
【vol.1】「 :phunk版ガッチャマンが作りたい」 シンガポール発のデザイン集団が描く夢
新ジャンル? 「不憫萌え」の女王・高垣彩陽の演技が光る話題作『ソードアート・オンライン』

『ソードアート・オンライン』公式サイトより
多くの声優が活躍する百花繚乱のアニメ業界だが、その中でもひときわ光を放っている声優が高垣彩陽だ。誤解を恐れずにいうなら、彼女こそ、現在の若手声優の中で最も「不憫な役が似合う声優」である。
普段は気丈に振る舞っているが、その気の強さゆえに本心をさらけ出すことができず、つらいことがあっても周りに気を使って「大丈夫だよ」と無理に笑顔を作って言ってしまう。そんなナイーブで優しいけれど、なぜか報われないキャラクターを演じさせれば彼女の右に出る者はいない。これまでに彼女が演じた役を振り返っても、『機動戦士ガンダム00』のフェルト・グレイス、『みつどもえ』の丸井みつば、『Fate/Zero』のシャーレイ、『機動戦士ガンダムAGE』のデシル・ガレットなど、男女問わず、なぜかハズレくじを引いてしまう不憫なキャラクターが非常に印象深かったりする。
そんな彼女ならではの不憫萌え演技が炸裂したのが、今クールの話題作『ソードアート・オンライン』第7話「心の温度」である。
この作品で高垣が演じるのは、架空のオンラインRPGの世界で鍛冶屋を営む少女・リズベットだ。ゲーム世界に囚われてしまったプレイヤーのために武器を作ることを生業としている彼女は、主人公・キリトとともに強力な武器の素材を手に入れるためにドラゴンの巣に挑む。当初はキリトに対してツンツンしていたリズベットだが、道中でのやりとりやドラゴンとのバトルを通じてキリトに惹かれていく。そして、キリトに「好きだ」と告白したり(ただし、大事な時に肝心のセリフが聞き取れないという、定番の逆地獄耳が発動しキリトには伝わらず)、「専属のスミス(鍛冶職人)にしてくれ」とお願いしたりと、リズベットは熱烈なアプローチを繰り出すも、親友のアスナがキリトといい雰囲気であることを察知。「そうか」と納得した彼女は、無理に笑顔を作って「悪い人じゃないわね。応援するわ」とあえておどけてその場から去ってしまうも、外で泣いているところをキリトに発見されてしまう。
自身の恋心に気付いたそばから早々に身を引いてしまうことになるわけだが、ここで高垣による不憫力がいかんなく発揮される。「大丈夫」と涙をこらえつつ気丈に振る舞うリズベットの健気な姿を見ていると、「全然大丈夫じゃないじゃん!」と思わず抱きしめたくなること請け合いである。不憫かわいいよ、リズベット。
このように、決して報われることのないかわいそうなキャラクターを多く演じている印象の強い高垣だが、それでもキャラクターに卑屈さや必要以上の暗さを感じさせないのは彼女の演技力もさることながら、自身の性格的な部分によるところも多いのだろう。参加する声優ユニット・スフィアのコンサートでは、小さい体をフルに使って力強いパフォーマンスを見せ、PVなどではクルクルと表情を変えて我々を楽しませてくれる。
暗いニュースに意気消沈しがちな今日この頃の日本だが、そんな時代だからこそ、どんな状況でも明るく振る舞う彼女のような存在にファンも癒やされているのかもしれない。そして、そんな彼女だからこそ、どんなに不憫なシチュエーションでも決して屈することのないキャラクターを演じることが可能なのだろう。まるでパンドラの箱の底に残っていた最後の希望のような存在である高垣彩陽こそ、「不憫萌えの女王」なのだ。
さて今後のリズベットだが、原作ではこのエピソード以降もイチャイチャぶりを見せ付けるキリトとアスナの脇で不憫キャラを貫くということで、高垣の演技にも期待大である。
(文=龍崎珠樹)
■バックナンバー
【第19回】「売りスレ」では計測不能!? アニメDVDの売り上げを陰で支えるレンタル市場
【第18回】「求められるのは声優ソングばかり……」表舞台を追われたアニソン歌手の現在
【第17回】美少女たちが追いつめられる姿にゾクゾク!? リアル系ロボットアニメ『トータル・イクリプス』
【第16回】夏アニメの穴馬!? “いわく付き”SNSゲームアニメ『探検ドリランド』に熱視線
【第15回】 キーワードはホモソーシャルな描写!? 今夏は「乙女ゲーム原作アニメ」が熱い!
【第14回】「まるで90年代の夕方6時枠アニメ!?」『モーレツ宇宙海賊』の大器晩成ぶり
【第13回】もはや“声優アイドルフェス”!? アニソン重鎮不在の「アニサマ2012」に不安の声
【第12回】「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ
【第11回】「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』
【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号
【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは?
【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情
【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー
【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!?
【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』
【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』
【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』
【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』
【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!

