
『ラブライブ!』公式サイトより
お正月ムードも一段落というところで、アニメファン待望の1月クールの新作テレビアニメが続々と放送開始している。その中でも特に大きな話題を呼んでいるのが、女子高校生たちのアイドル活動を描く『ラブライブ!』(TOKYO MX、読売テレビほか)である。
昨年夏に開催されたアニソンフェス「Animelo Summer Live 2012 -INFINITY∞-」(以下、アニサマ2012)には、本作のヒロインたちを演じる女性声優陣が劇中のアイドルユニット「μ’s(ミューズ)」として参加。アニメキャラがグリグリ動くミュージックビデオとまったく同じ振り付けを踊って歌うという、あまり他に類を見ないパフォーマンスを披露し、多くの観客が「あの女の子たちは何者だ!?」と圧倒されたことは記憶に新しい。
もともとは、μ’sの歌う楽曲とドラマパートを収録したCD、ミニドラマを交えたミュージックビデオをセットにしたパッケージと、美少女総合エンタテインメントマガジン「電撃G's magazine」(メディアワークス発行)誌上で展開する日常風景を描くショートストーリーという形で、2010年にスタートした本作。これまでは断片的に語られてきたエピソードの数々が、アニメという形で一本の線につながるということで、今回のアニメ化はファンには待望の企画だったというわけである。
そんなアニメ版『ラブライブ!』第1話のあらすじは以下の通り。
東京都千代田区にある女子校「音ノ木坂学院」は、少子化の影響で入学志望者が減少。現在の1年生が卒業する3年後に廃校となることが発表された。そこで、2年生の高坂穂乃果は、母親も卒業した母校の消失を回避すべく回避策を練る。折しも世間では、学校をアピールするアイドル「スクールアイドル」全盛期。ということで、自分たちもアイドル活動を通じて学校をアピールしていこうと思いつく……というもの。
「学校ごとにアイドルがいる」という設定がジャンプ漫画っぽいなあ……とニヤニヤしてしまうが(自分だけか)、ともあれ本作を見てまずは誰もがハイクオリティな作画に目を奪われることだろう。
『ラブライブ!』のミュージックビデオは、5~6分の短い映像を30分アニメと同等の予算と手間をかけて制作されているそうだが、テレビアニメ版『ラブライブ!』はそのミュージックビデオと遜色ないクオリティなのである。「作画崩壊、何それ?」とでも言わんばかりの安定したビジュアルで、リアルな秋葉原界隈をアイドルたちが駆け抜けるアニメ本編の衝撃は、初めてアニサマ2012でμ’sのステージを見た時と同じか、それ以上。あえて言おう。μ'sが俺たちのよく知る秋葉原に「いる」のである!
この「秋葉原にμ’sがいる」という感覚は、『ラブライブ!』をこれまで応援してきたファンこと「ラブライ部員」にとっては非常に重要な概念である。『ラブライブ!』はCDリリースのたびに、東京都千代田区──つまり、作品の舞台となる秋葉原の各所にてアイドルを演じる声優たちとラブライ部員によるイベント「ラブライ部員とμ’sの課外活動」を頻繁に行っており、そこで結束を強めてきたという歴史がある。いわば『ラブライブ!』のもう一人の主役は、秋葉原という街そのものなのだ。テレビアニメ版『ラブライブ!』では今後、秋葉原の風景がどのように描かれるのか、非常に楽しみである。
ラブライ部員も、μ’sの紡ぐドラマにおいて欠かせない重要な登場人物である。数多くのイベントやライブに参加してきた彼らにとって、少しずつ知名度を上げ、大きなコンテンツに育っていく『ラブライブ!』には、「ワシが育てた」的な感慨でいっぱいなのではないだろうか?
そんなファンと一緒に成長してきた、ファン参加型コンテンツ『ラブライブ!』。今回のテレビアニメ化を機に、まだ未体験の読者もぜひ参加してみよう。「にっこにこにこ~」になること間違いなし!
(文=龍崎珠樹)
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劇場版2014年冬「出航」に向けて怪気炎!「モーレツ宇宙海賊 弁天丸職員大納会」レポ

弁天丸の新たな航海が2014年に決定! 昨年12月21日、「モーレツ宇宙海賊 弁天丸職員大納会」が夜の新宿バルト9で開催され、新しく描き起こされたメインヒロイン3人のキャラクターデザイン画と共に、劇場版の公開時期が「2014年冬」と発表された。
冬といっても1、2月と12月とでは1年近い開きがあるが、具体的に何月かということまでは明らかにされなかった。もっとも、あきまん画の新規デザインの初公開だけでも、十二分にインパクトはあった。
発表があったのは、一番最後のトークコーナー。この日のプログラムは以下のようになっていた。
(1)MCを務めるニッポン放送の吉田尚記アナウンサーが登壇、前説
(2)ファン投票によるテレビ版『モーレツ宇宙海賊』セレクション上映第1部、「SAILING 5 茉莉香、決意する」「SAILING 12 永遠(とわ)よりの帰還」
(3)吉田アナ、佐藤竜雄監督、シェイン・マクドゥガル役松風雅也、三代目役松岡禎丞によるトーク
(4)セレクション上映第2部、「SAILING 21 決戦!ネビュラカップ」「SAILING 26 そして、海賊は行く」(最終回)
(5)吉田アナ、佐藤監督、松風、松岡に、加藤茉莉香役の小松未可子を加えてのクイズ大会「モーパイ愛を再確認! リメンバー モーレツ宇宙海賊(パイレーツ)クイズ」「正解を知るのは佐藤監督だけ。劇場版モーレツ宇宙海賊(パイレーツ)クイズ」
このうち、(5)の劇場版に関するクイズでさんざん盛り上がったところで、チアキ・クリハラ役花澤香菜とグリューエル・セレニティ役戸松遥の2人からビデオメッセージがあり、その中で、それぞれ自分が演じるキャラクターの新しい設定画を公開。その後、茉莉香を含め、3人のデザイン画をあらためてスクリーンにババン! と映し、主に制服に関するトークとなった。
吉田アナ 「(スクリーンを登壇者が見上げる恰好となり)全員スカートを下からのぞき込むようになってしまいましたけれども……」
小松 「見えない」
吉田アナ 「小松さん、下からご覧になって、感想は?」
小松 「下からだと、大変たくましく見えます。先ほど、香菜ちゃん(花澤)やとまっちゃん(戸松)が言っていたように、制服に若干のチェンジが」
佐藤監督 「一番の違いは、スカートに柄が入っている」
小松 「そうなんですよ。これ、進級したという感じなんですか?」
佐藤監督 「スカートに関しては劇場ということで、どう情報量を上げていくか。テレビだと大変だから、(模様が)ラインだけだったんですよ。ちょっと頑張ろう、みたいなね」
松風 「螺旋階段をテレビでやると、死ぬ思いだと聞いたことがあります」
佐藤監督 「まあ、回り込み系はね」
松風 「スカートの柄とかも、いけるところはどんどんクオリティが上がっていくということですか?」
小松 「チェックが増えるとか、そういうことですか?」
佐藤監督 「まあ、そうですね」
松風 「(グリューエル・セレニティの制服のデザインが茉莉香と違うのを見て)あれ、グリューエルって、同じ学校に編入しなかったっけ?」
佐藤監督 「これは中等部だからね(高校と中学でデザインが違う)」
吉田アナ 「中等部という設定も、どちらかというと、アニメの好きな人たちにいろいろな制服を見せてあげようというサービス精神だと思いますよ」
続けて発表された2014年冬公開の報に対し、「1月か12月かによってだいぶ違ってくると思うんですけど……」と小松が突っ込むと、「誰かそう言うと思ったんだよね」(佐藤監督)、「日本は冬が年をまたぐ国です」(吉田アナ)というリアクション。常識的に考えれば1月なのだろうが、予断は許さない。
ちなみに、クイズは「弁天丸が海賊営業を行うための海賊行為許可証の名前は? 漢字で正しく書いてください」「茉莉香たちヨット部員が通う学園の名前は? 漢字で正しく書いてください」「『劇場版 モーレツ宇宙海賊』のサブタイトルは?」との質問に、鉄拳よろしく油性マジックでスケッチブックに文字を書いて答えるというもの。
こういうイベントでは、雨に濡れた子犬キャラとして定着しつつある松岡が、押し出し式の油性マジックだと気づかず延々キャップを外そうとするボケっぷりを披露。
さらに解答のほうも、解答者3人(佐藤監督は出題者)がボケまくりで珍解答続出、「私掠船免状」という正解に対して、「支りゃく線面条」(松岡)、「私略線麺錠」(松風)、「私鯨船免状」(小松)というありさまだった。正解を狙っていて本気で間違えているのか、笑いを取りたくて狙っているのか、その両方なのか。佐藤監督が「すでにモーパイのクイズじゃなくて、フツーの漢字検定だな」とぼやくほどに答えはずれまくっていた。
なお、2問目の正解は「白凰女学院」だが、解答者は軒並み「白鳳女学院」と誤答。これは佐藤監督によると「鳳は雄で凰は雌だから」とのこと。女子校だから女性形の漢字を当てたというわけだ。
劇場版最新情報も伝え終わると、もう予定の終了時刻は間近。納会というものをまったく体験したことのない小松が「よくわかっていないんですが……」と戸惑いつつも、ヒロインらしく「さあ、鏡開きの時間だ!」と叫ぶと、壇上には大きな酒樽が運び込まれた。その樽には「猛盃(もうぱい)」の漢字二文字、そして「弁天丸職員大納会」の文字の下にはマルシー(著作権表記)も。
「ちゃんと権利関係もクリアになっている樽ですからね。大丈夫ですよ。弁天丸は海賊だけど、海賊版は許しません!」(松風)
佐藤監督が「モーレツ!」と合図すると、全員が「宇宙海賊(パイレーツ)!」と答えて樽が割られ、いよいよイベントはフィナーレを迎える。「乗組員、遅刻欠席厳禁なので、ぜひまた2014年の冬にお会いしたいと思います。今日はどうもありがとうございました!」と松風が呼びかけると、満場のオーディエンスは大きな拍手を送った。尻上がりに評価を高めてきた『モーレツ宇宙海賊』、いっそう高い波に乗っての出航となるか――。1年後(?)が待ち遠しい。
(取材・文=後藤勝)
声優結婚ラッシュに、『黒子』『ココネク』騒動……2012年アニメ業界を総決算!

2012年も残すところあとわずか。ということで、今年アニメ業界を賑わせたニュースTOP10を勝手にピックアップ! ヒット作、話題作、炎上事件におめでたいニュースなど、なんでもアリのランキングで、2012年のアニメ業界を見送ろう。
1位 立て続けの脅迫で、『黒子のバスケ』関連イベント・企画が中止に!
今もなお続くこの事件。何者かによる脅迫により、各種イベントやコミケでの頒布活動が次々と中止に追い込まれてしまった。その損害額は計り知れないだろう。一日も早い解決が待たれるばかりだ。
2位 声優が続々結婚!
山寺宏一と田中理恵、小野大輔と谷井あすかの結婚報道をはじめ、人気声優(とりわけ女性声優)の結婚が立て続けに発表された2012年。毎月のように発表される結婚報告に、僕らの心は祝福したい気持ちと裏切られた気持ちの葛藤にさいなまれるのだった。2013年、僕らは平穏なアニメライフを送ることができるのだろうか。個人的には、舞太の婚約発表がショックでした!
3位 『ココロコネクト』事件で業界全体を巻き込んだ大炎上!
『ココロコネクト』OPテーマを担当したユニット「eufonius」の菊地創による、アキバ系アイドル・桃井はるこへの暴言ツイート。これがきっかけとなり『ココロコネクト』イベントでのドッキリ企画にショックを受ける声優・市来光弘のツイートが発見された。これが引き金となり、『ココロコネクト』関係者周辺が大炎上。eufoniusはいつの間にか主題歌から降板し、声優出演のウェブラジオも放送中止に。さらに、作品とは関係のない声優も巻き込まれるなど、業界全体を巻き込んだ騒動へと発展した。
4位 アニソングランプリが炎上!
次世代のアニソンシンガーを発掘するオーディション企画「全日本アニソングランプリ」。第6回となる今回は、優勝者の歌唱力にネット上では疑問の声が噴出。さらに、アニソン界の帝王・水木一郎がこの件についてツイート。アニソングランプリの在り方そのものへの問題提起とも取れるその発言に、多くのアニメファンは衝撃を受け、総合プロデューサーのTwitterアカウントへ突撃。炎上する騒ぎへと発展した。
5位 『おおかみこどもの雨と雪』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』『魔法少女まどかマギカ』などの劇場用アニメ大ヒット!
例年以上に話題作豊富だった2012年の劇場用アニメ。人気のテレビアニメを編集した『まどマギ』『劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-』や、『おおかみこどもの雨と雪』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』『ゴティックメード』など、アニメファン待望のオリジナル作品などが毎月のように公開され話題を振りまいた。
なお多くの芸能人・文化人を巻き込んで公開前から大フィーバー状態だった『ヱヴァQ』だが、「ヱヴァ:破」までの分かりやすい展開に浮かれていたファンは『ヱヴァ:Q』の難解な内容に困惑した模様。
6位 『さくら荘のペットな彼女』にサムゲタンが無理やりねじ込まれて炎上!
ライトノベル原作のテレビアニメ『さくら荘のペットな彼女』第6話において、風邪をひいたヒロインの一人・七海に主人公・空太の先輩・仁が韓国のお粥「サムゲタン」を作ってあげるシーンが登場。原作ではただのお粥だったのだが、なぜか韓国料理に改変されたことでアニメクラスタは大炎上。同時期に芸能人やメディアがこぞってサムゲタンを取り挙げたことから、「ステマでは?」との疑いも浮上した。
7位 『ジョジョ』テレビアニメ化ァッ!
カルト的な人気を誇っていた人気コミック『ジョジョの奇妙な冒険』が、連載開始25年目にしてまさかのテレビアニメ化。原作独特の擬音を描き文字で表現する演出や色彩感覚には賛否両論だが、今のところおおむね好評の様子?
8位 『機動戦士ガンダムAGE』ガンダムシリーズ最低視聴率記録更新!
『ダンボール戦機』『イナズマイレブン』などが人気のゲーム開発会社・レベルファイブとのコラボで、鳴り物入りでスタートした『機動戦士ガンダムAGE』。しかし、放送前の期待とは裏腹にアニメは大すべり。ガンダムシリーズの歴代最低平均視聴率を下回る2.56%を記録。あまりうれしくない歴代TOPの王冠をゲットしてしまった。
9位 『アイドルマスター』7年目の大飛躍!
2011年にテレビアニメ化され大きな話題を呼んだ人気ゲーム『アイドルマスター』だが、今年もその勢いは衰えなかった。11月28日発売された横浜アリーナでのライブを収録したBlu-ray『THE IDOLM@STER 7th ANNIVERSARY 765PRO ALLSTARS みんなといっしょに』が、週間BDチャート1位を記録し、CD「THE IDOLM@STER ANIM@TION MASTER 生っすかSPECIAL 01」が第54回レコード大賞企画賞を受賞。ソーシャルゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」が驚異的なヒットを記録する一方、原作となった本家「アイドルマスター」の人気の健在ぶりを改めてアピールした。
10位 『うぽって』『ガルパン』などミリタリ系美少女アニメがブレイク!
『ストライクウィッチーズ』『ストラトスフォー』など、以前から密かに人気を集めていたミリタリー系美少女アニメだが、今年は『ストライクウィッチーズ劇場版』のヒットに始まり、『うぽって』『ガールズ&パンツァー』といったテレビアニメもヒット。武骨な兵器を操る美少女たちの活躍に今後も期待したい!
というわけで、みなさんの心に残っているニュースはありましたか? 来年も「週刊アニメ時評」は勝手にアニメを応援し、触れてほしくない話題にもズカズカと踏み込んでニュースにしていく所存であります。
(文=龍崎珠樹)
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アニメ界を駆け抜ける嵐! 勢いでアニメ戦国時代を突っ走るショートアニメの世界

TVアニメ『『てーきゅう』
今、ショートアニメが熱い! というわけで、今回オススメしたいのはテニス部員の女子を描きながらも、ほとんどテニス要素なしのギャグアニメ『てーきゅう』だ。本作は、通常5分枠内で放送されるショートアニメの中でも、さらにショートな3分枠で放送される超ショートアニメである。
その魅力はなんといっても、OPテーマを除けば実質の約90秒の本編で繰り広げられる怒涛のギャグとセリフの波状攻撃だろう。異常なテンポの良さで次から次へと展開する本作は、キャラの動きを追いかけるだけでも一苦労。ちょっと立ち止まって考える暇すら与えない構成を見ていると、だんだんと思考を放棄したくなること必至である。現在、ニコニコ動画では第1話から第4話までを無料で視聴できるが、それを立て続けに見ているとちょっとしたドラッグムービーを見ているような、ある種のトリップ感を味わえることだろう。
また、ファンシーな外見ながら、肉と金と女が好きという超俗物なキャラクター・うーさーの魅力が炸裂する『うーさーのその日暮らし』も出色のショートアニメだ。うーさーを演じるのは、クールなキャラクターからエキセントリックなギャグキャラまでなんでもこいの人気声優・宮野真守。彼の渋い演技とうーさーのビジュアルがシュールな笑いを生む本作は、宮野ファンならずとも彼の声の魅力にハートをつかまれることだろう。この作品も、ニコニコ動画でアーカイブ視聴が可能となっているので、興味がある読者はぜひとも一度うーさーの魅力に触れてほしい。
このようにテレビアニメの多様化が進む昨今、密かな盛り上がりをみせているショートアニメというジャンルだが、かつてはテレビ局のキャラクターなどを使った低予算アニメやアクの強い個人制作アニメなどが主流であり、言わばアニメファン向けの商売ができるコンテンツではなかった。しかし現在、アニメファン向けのショートアニメがテレビという媒体と並行してニコニコ動画をプラットホームとして発信されていることは、非常に興味深い。
短い放送時間内に怒涛の勢いで畳み掛ける『てーきゅう』は字幕コメント、弾幕コメントというニコニコ動画ならではの文化や「祭り」というネット特有の現象と非常に親和性が高いといえるし、『うーさーのその日暮らし』の独特の持つ独特のノリは同好の士と実況しながら視聴するのにちょうどいいアングラ感とテンポ感を持っている。
今回は上記の2タイトルをピックアップしているが、現在アニメファンに受けているショートアニメ作品に共通しているのは、いずれも短時間にインパクトと話題性を視聴者に提示する動画サイト時代ならではの作り方を追求しているという点だろう。
つまり、これらショートアニメ作品は、ネット配信のために作られたアニメだということだ。もはやアニメを放送するのに、テレビというフォーマットを想定する時代ではなくなったのだ。アニメーションが誕生して数十年。様々な表現が生み出され、進化を続けてきた日本のアニメ文化だが、ネット文化と結びついたショートアニメから、次世代の表現というものが生まれつつあるのかもしれない。
(文=龍崎珠樹)
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ガンダム史上屈指の空気アニメ『ガンダムAGE』コミカライズ作品を、レビューしてみた!

『機動戦士ガンダムAGE クライマック
スヒーロー』(小学館)
「アニメ版がダメダメだったガンダムのコミカライズやノベライズは、むしろ傑作になる」というガンダムの法則が、一部のガンダムファンの間でまことしやかにささやかれているとかいないとか。
そんな与太話はとりあえず横に置いておいて、11月末に子ども向け漫画雑誌「コロコロコミック」(小学館)で連載されていたアニメ『機動戦士ガンダムAGE』第3~4部コミカライズ版の単行本『機動戦士ガンダムAGE クライマックスヒーロー』(漫画:鷹岬諒)が発売されたので、さっそくレビューしてみよう。
アニメ版『ガンダムAGE』は、あれこれと伏線を張った端から、それをほとんど生かすことなくただ消化していくばかり……というずいぶんとお粗末な内容となっていたが、コミカライズ版は子ども向け月刊誌での連載という縛りから、余分な伏線や登場人物はばっさりとカット。
アニメ版ではぽっと出のボスキャラが大暴れして、取ってつけたような親子三世代の総力戦が描かれた最終決戦も、こちらはシンプルに第3~4部の主人公・キオと第2部から登場したライバルキャラ・ゼハートの戦いへと改変。第2部の主人公を務めたキオの父・アセムの手助けを得たキオが、これまで戦争に巻き込まれてきた人々の意志を継いで勝利。そして、復讐に燃える第1部の主人公にして祖父のフリットを説得し、戦争を終結させるというアニメ版では今一つ弾け切ることのできなかったキオの大活躍が描かれる。
つまり、原作であるアニメ版の持っている「いい部分」を抽出し、余分な要素を排除して再構築しているのだ。いろんな意味でモヤッとした感が拭えなかったアニメ版にはない爽やかなラストを見ると、「むしろこちらが原作?」とでも言いたくなるほどだ。
ところで、「コロコロコミック」連載の『ガンダムAGE』コミカライズといえば、アニメ放送スタートと同時に連載をスタートし、『クライマックスヒーロー』と入れ替わりで完結を迎えた『機動戦士ガンダムAGE トレジャースター』(漫画:吉田正紀)も忘れてはならない。
宇宙に強い憧れを持つ少年・ダイキが宇宙キャラバン「トレジャースター号」に、父親の作ったモビルスーツ「ガンダムAGE-1」とともに乗り込み、伝説の宝物「大いなる翼」を探し求める。という王道の冒険ものといった趣の本作。子ども向け漫画雑誌らしい、ドタバタギャグと理屈抜きのアクション満載ながら、ダイナミックなSF要素を盛り込んだ壮大なストーリー展開。「なぜダイキの父親がガンダムAGE-1を作ることができたのか(『ガンダムAGE』の世界では、ガンダムは世界に1機のみである)」、「大いなる翼とはなんなのか」など、一見アニメ本編とリンクしてなさそうで丁寧に練られた設定は、読みごたえ十分だ。
また、キャラクターやメカも個性豊かだ。これでもかと弾薬を積み込んだ、大阪弁のパイロット・コテツの愛機・コテツジェノアスや、ひたすら高機動性を追求した、猫耳美少女パイロット・ルーガの愛機・ルーガエグゼスなど、キャラとぴったりマッチしたメカが大活躍。往年のスーパーロボットものの要素と、「ガンダム」ファンも納得のミリタリ設定が共存したオリジナルの量産型モビルスーツの数々は、ロボフェチ読者の胸を躍らせることだろう。さらにダイキの駆るガンダムAGE-1も、仲間のピンチを救うべくフェニックスウェアという『トレジャースター』オリジナルの進化を果たすといった具合に、外伝のコミカライズと一言で言ってしまうにはもったいないくらい、多くのアイデアが詰め込まれているのだ。
そんな本作のクライマックスは、ガンダム史上類を見ない大スケールなストーリーが展開する。アニメ版では、時系列に沿ったストーリーテリングで世代間のドラマを描いた『ガンダムAGE』だが、本作はそれとは全く異なった切り口で描いてみせる。誰もが予想だにしなかった形で、人が積み重ねてきた歴史の重みを感じることとなったダイキが迎えるラストシーンは必見。少年漫画らしい熱血要素もありつつ、骨太なSFドラマを描き切った最終話を読み終えると、「こういう内容なら、子ども向けのガンダムもありかも……」
と誰もが思うこと必至だ。
そういえば『ガンダムAGE』は、ファン年齢が上がりすぎた『ガンダム』というコンテンツを、子どもでも楽しめるようにする――。というコンセプトの下に制作されたという話を聞いたことがあるが、本編のアニメ版では途中からすっかりその目的が忘れられていたように感じられる。そういう意味で初志を貫徹した『トレジャースター』こそが、本来作られるべき『ガンダムAGE』だったのではないだろうか。
また、今回のレビューでは取り上げなかったものの、小太刀右京によるノベライズも忘れてはならないだろう。アニメではフォローされなかったキャラクター描写や、「それってどうなの?」と誰もがツッコミたくなるようなシーン、なかったことになった設定などを、丁寧に補完・改変し、アニメ版のダメ要素をことごとく良アレンジ。「こっち(ノベライズ版)をアニメ化しろよ!」というガンダムファンの声もあるとかないとか。
というわけで、今もなおプラモデルなどの商品展開は続くものの、関連書籍のリリースも一段落ついて、とりあえず終わりを迎えた感のある『ガンダムAGE』。
「正直言って、『ガンダムAGE』の盛り上がらなさは異常でした。放送終了と同時に、なんとなく業界全体に『ガンダム』オワコン化の雰囲気をもたらしてしまったほどです」
とある出版関係者はこう語るが、アニメ版だけ見て『ガンダムAGE』は語っちゃいけない! 千に一つ、万に一つの確率でも『機動戦士ガンダムAGE オリジン』とかなんとか言ってリメイクの機会があれば、これら原作の持ち味を最大限に生かして再構築したコミカライズ&外伝作品の要素を取り込んだ、真の『ガンダムAGE』が見れるはず! そんなドリームを見るくらい許してくださいよ! カテジナさん!
(文=龍崎珠樹)
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例えるならば猫カフェ!? ただひたすらに萌えさせる『おにあい』

テレビアニメ『お兄ちゃんだけど愛さえあれば
関係ないよねっ』
通称「おにあい」こと『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』(TOKYO MXほか)が、妙に面白い。タイトルを見れば、その内容は一目瞭然。いわゆる「妹もの」のアニメである。
念のためあらすじを解説すると、両親の事故死で別々の親類の家に身を寄せていた双子の兄妹、姫小路秋人と姫小路秋子は、6年ぶりに一緒に生活することになったが、離れ離れの期間に秋子は極度のブラコンになっていた。兄妹の一線を越えるべく、日々秋子は秋人にアタックするが、毎回スルーされてしまう。そんな2人のもとに秋人に思いを寄せる美少女たちが次々と集い、奇妙な共同生活がスタートする、というもの。
どこからどう見ても「妹もの」と「ハーレムもの」のフォーマットを踏襲した設定であり、お察しの通り、毎回何かしらの「ラッキースケベ」イベントが発生。ヒロインたちが若い肢体を惜しげもなくモニターに晒してくれる。
ところが、唯一の男性キャラである主人公・秋人君は、美少女たちのアタックに対して眉一つ動かさず、圧倒的なスルースキルを発動するのだ。甘い言葉を囁こうが、甲斐甲斐しく身の回りの世話をしようが、水着に着替えようが、全裸になろうが、まったく動じることはない。草食系どころか賢者系男子とでも言うべきか。
とりわけ実妹の秋子に対するスルーぶりは群を抜いており、この先、どんなことがあろうとも秋人と秋子の禁断のラブ展開が起こることがないと視聴者に確信させてくれる。ある種、この秋人のリアクションが「本作はあくまでもコメディである」「一線は越えない」「ドロドロのシリアス展開はない」という安心感を作品に与えており、それゆえに難攻不落の主人公にあの手この手で迫るヒロインたちの姿は、よりかわいらしさと滑稽さが強調されるのだ。
通常、この手の作品は主人公がヒロインたちに振り回される一方、ヒロインも主人公に惹かれていくがゆえに挙動不審になっていく。この微妙な駆け引きがドラマを構成する要素となるのだが、本作に関してはそんな要素はほぼ存在しない。基本的にのれんに腕押しな秋人にアタックするヒロインたちが、そのスルースキルの前に一方的に自爆していくコミカルな姿が延々と描かれるのだ。
こういうと、「内容のない作品だ」と思われるかもしれないが、その通りである。例えるならば、猫カフェにて自分の周りで戯れる子猫たちを見てニヤニヤしている感覚とでもいうか。誰も傷つかない世界でじゃれ合う美少女たちの姿を、遠くから「この子たちはおバカでエッチでかわいいなあ」と愛でるのが本作の正しい楽しみ方なのだ。かわいいものを楽しむのに理屈などいらないのである。
もう一つのポイントが、秋子を演じるのは、本作がデビュー作となる現役女子高生声優・木戸衣吹ということだ。はっきり言って、DT男子の妄想と欲望の塊のような本作。もちろん過剰なお色気シーンもあるのだが、そのメインヒロインを、まだまだあどけなさの残る15歳が演じるなんて! どんな状況でアフレコが行われているのだろうか、と想像するだけでもご飯三杯はいけそうである。とはいえ木戸の演技は、とてもデビューしたてとは思えないほど安定感抜群。今後、彼女のさらなる飛躍にも期待がかかる。
このように能天気で、下半身方面への欲望に忠実なエンタメ作品である『おにあい』だが、最終話近くで急にとってつけたようなシリアス展開になりがちなのが、昨今のラブコメアニメの悪いところだ。物語に起伏をつけ、ラストを盛り上げるためには仕方のないことかもしれないが、終盤の唐突なシリアス展開はそれまでの作品の雰囲気をぶち壊しにしてしまう諸刃の剣でもある。
ここは一つ、「ただひたすらに萌えさせる」という初志(勝手に決め付けているが)を貫徹して、最後まで我々視聴者をヌルく楽しませてほしいものである。
(文=龍崎珠樹)
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「最初から優勝者はほぼ決まっている」水木一郎の苦言で波紋を広げる「アニソングランプリ」選考の内情

「第6回全日本アニソングランプリ」公式サイトより
「昨日放送のアニソングランプリの評価は観たみなさんの感じたままをきちんと受け止めるべきだろう。審査に関われない大会委員長の立場はもどかしくもあり、今回は俺の意思が審査員に伝わってなかったのかと思うと自分の力のなさを感じてしまう。アニソンの未来のために、原点回帰も必要ではないか」(Twitterより引用)
アニソン界の帝王・水木一郎によるこのツイートが大きな波紋を呼んだのは11月5日のことだ。この発言は前日にテレビ放送された「第6回全日本アニソングランプリ」の決勝大会に関する言及であり、同大会委員長という地位にありながら水木本人には優勝者の審査に関する発言権がないというショッキングな事実を露呈させた。
ネット上では番組放送直後より、今大会の優勝者の歌唱力の低さやビジュアル重視の選考基準について物議を醸していたが、この水木の発言が決定打となり、番組を見ていなかったアニメクラスタにも話題が飛び火。審査委員長「やまちゃんぐ」氏のTwitterアカウントが炎上し、やまちゃんぐ氏が、
「簡単に短く説明出来る話ではないし、一個人として言える限界もあります。ただ、全てきちんと受け止めて、この先に生かして行きますので」(Twitterより抜粋・引用)
と、謝罪する事態にまで発展した。
そもそも「全日本アニソングランプリ」とは、アニメ専門チャンネル「アニマックス」が主催するアニメソングシンガーのオーディションであり、優勝者にはアニマックスで放送されるテレビアニメの主題歌でのメジャーデビューが約束されている。審査委員はアニプレックス、ソニーミュージック、エイベックス、ポニーキャニオン、EMIミュージックジャパンなどが参加するほか、ホリプロ、スペースクラフトをはじめとする大手事務所も名を連ねており、次世代のアニメソングシンガーを毎年輩出する一大オーディションである。
特に問題となった第6回は、1万人以上の応募があったという。この記録は第4回から途切れることはなく、名実ともに国内最大規模のオーディションとなっていることから、いかにこの企画が注目を集めているかがわかるだろう。
しかし、「アニソングランプリ」の内情を知る業界関係者はこう語る。
「一般からの応募という名目で行われている『アニソングランプリ』ですが、実のところ最初から優勝者はほぼ決まっているようなものです。毎年、各事務所・レーベルが持ち回りで優勝者を獲得することが決められており、誰を採るか、かなり最初の段階から目星をつけているそうです」
別の関係者によると、「少なくとも準決勝段階にはほぼ優勝者は内定している。場合によっては、優勝者でなくとも、この段階でデビューが決まるファイナリストもいる」そうだ。
つまり、「全日本アニソングランプリ」優勝者は、ほぼ各事務所・レーベルの意向であらかじめ決定されており、決勝戦における関係者以外の意見はあってなきが如し、という状況らしいのだ。歌唱力を重視する事務所・レーベルが獲得権を持っている年はそのような出場者がグランプリを獲得し、ビジュアル・タレント性を重視する年は……ということである。
しかし、アニメソングとは本来裏方であり、いかにアニメの世界観を楽曲で表現するかがシンガーには求められるジャンルだ。水木の苦言は、そのようなアニメソングの、そして「全日本アニソングランプリ」の本来の目的を見失い、ただの新人アイドルオーディションの様相を呈してしまった今回の結果に対するものだったのだろう。
だが、出場者本人には、なんの罪もないことは確かである。
「『アニソングランプリ』で優勝した人には何も責任はありませんし俺は大会委員長としてフォローしていますよ。頑張ってデビューしてアニソン界を牽引してくれたら嬉しいのは確かなことです。アニソン歌手を夢見ている人のためにもみんなに認められ愛される歌手になってほしいと心から願います」(Twitterより引用)
そう水木も冒頭のツイートの後にフォローしているが、アニメソングシンガーとしてのデビューという夢をかなえた優勝者は、この逆境にへこたれることなく、胸を張って次世代のアニソン界を引っ張っていってほしいものだ。
(文=龍崎珠樹)
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原作愛あふれる演出にファンも太鼓判! テレビアニメ版『ジョジョの奇妙な冒険』を徹底分析

テレビアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』
『ジョジョ』といえば、1987年、「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて連載がスタートした荒木飛呂彦の人気コミックである。ジョースター一族と邪悪な吸血鬼・DIOとの戦いをさまざまな時代、世界で描く大河バトル作品である本作が、10月に初のテレビアニメシリーズを開始するにあたり、多くのファンは「大丈夫なのか?」と不安に思っていたことだろう。
本作は数多くの魅力的なキャラクターが発する「名言」や「迷言」、アバンギャルドなビジュアルなど、ほかの少年漫画とは一線を画す要素のほかに、昨今のアニメ事情からすると少々ハードなホラー、グロテスク描写もあるということから中途半端な映像化となり、結果「なかったことに」なるのでは……。また、あまり高いとは言えないクオリティや諸般の事情でソフト化が今後も絶望的な、2007年に公開された第1部の劇場アニメの二の舞いになるのでは……。
事実、ネット上のアニメクラスタの発言を振り返ると、そのような不安を感じさせる発言や、ある種ネタアニメ扱いするかのような発言が多かったように思える。ところがどっこい。いざフタを開けてみれば、絶賛の嵐! 間違いなく、2012年秋クールアニメの台風の目といえる存在感を醸し出している。
そこで、今回はテレビアニメ版『ジョジョ』のどこが面白いのかを勝手に分析してみた!
■その1 ハート震えるキャスト陣の演技
『ジョジョ』といえば、あまりにも濃いキャラクターたちが放つ、あまりにも強烈なセリフの数々。キャラクターは知らなくとも、セリフは知っている。そんな『ジョジョ』ビギナーもいるとかいないとか。問題は、そんな名言たちをいかに誰もが納得できる形で音声化するか。もしくは、原作とはまた異なる要素を盛り込んで新たな魅力を発掘するか、である。スタッフもここにはこだわっているらしく、本作のキャストは実力派の中堅声優からベテランを多く起用。
また、アニメ雑誌の記事には、DIOが「ズキュウウウン!」とエリナに強引なキスをするシーンに出てくる名言「そこにシビれる! あこがれるゥ!」を担当することになった声優・松岡禎丞が音響監督から「このセリフをちゃんとやれないと、すべてのファンに恨まれるよ」と釘を刺されたというエピソードが掲載され、多くのジョジョファンの心を打った。(なお、劇場版では、このセリフは全カットされていた!)
そのほか、吸血鬼の「URYY」という独特の雄たけびを、DIO役の子安武人は微妙にニュアンスを変えていくことで少しずつ覚醒していくDIOを見事に演じてみせるなど、原作愛あふれまくる演技が続出している。個人的には塩屋翼演じるツェペリ卿の、「パパウパウパウ」のドライブ感あふれる演技に感動した。
■その2 燃え尽きるほどヒートするテンポのいい構成
本作は2クールにわたり、原作コミックの第2部までを映像化する模様だ。ジャンプコミックス12巻までを、およそ26話で駆け抜けるということで、のんびり原作のエピソードを消化すると、すぐにタイムアップしてしまう。そこで本作は、原作を大胆に編集。非常にテンポ良く物語は展開する。
分かりやすいのがジョジョとDIOが出会い、対立を深めていくすべての発端を描く第1話だろう。BGMと印象的なセリフでエピソードをつなぐことで、詳細は語られなくとも、雰囲気でストーリーを視聴者が理解できるような編集は、まさに匠の技といってもいい。そのほかにも、冗長になりかねないエピソードは回想シーンとして処理し、重要な部分だけを抽出するというダイナミックなアレンジも散見。
感覚としては、劇場版『ターンAガンダム 地球光』のオープニングのようなノリか。原作をザクザクと切り刻んでつなぎ直すという、テレビアニメ版『ジョジョ』の構成は、ともすれば原作のテイストをもそぎ落としかねない危険と隣り合わせだが、そんな違和感はほとんどない。アニメスタッフの『ジョジョ』という作品への理解度が、こういう部分からもうかがえるというものだ。
■その3 ジョジョテイストがオーバードライブする作画&演出!
テレビアニメ版『ジョジョ』最大の見どころといえば、やはり「メメタァ」「ズギュウウウン」「ズギュンズキュン」など、いったいどういう音なんだよ、と言いたくなるような個性的な擬音を、あえて「書き文字」で再現しているところだろう。
ここで下手な効果音を入れようものなら、ファンは激怒したであろうが、これは英断である。また、そういった重要な場面では基本的にキャラクターは動くことはなく、止め絵を引いたりパンさせることが本作では多い。この演出が、漫画の手法でいうところの「見開き」のようなインパクトを画面に与えている。これは推測になるのだが、テレビアニメ版『ジョジョ』の現場では、それほど多くの予算が用意されていないのだろうか。最近のテレビアニメにしてはキャラクターがあまり動かないシーンや、ブラックでキャラクターを塗りつぶすことで描き込みを省略しているシーンがちらほら見受けられるのだ。だが、そこを逆転の発想で「インパクトのある止め絵」という漫画表現を取り入れることで、『ジョジョ』らしいアバンギャルドな画面作りと予算からくる動画枚数の少なさを両立させたスタッフのセンスには感服である。
言うなれば、テレビアニメ版『ジョジョ』には、手塚治虫が開拓したリミテッドアニメーションの思想が受け継がれているといえる。また問題のホラー、グロテスク描写も影やブラックを演出で取り入れることで、はっきりと描くことなく、きちんと「描ききっている」部分に感動だ。このスタッフ、分かっているッ!
■その4 主題歌が熱すぎる!
「てっにっいっれろっ! ドラゴンボール!」「セインセイヤァー!」などなど、一度聴いたら忘れられない往年のジャンプアニメ主題歌たち。テレビアニメ版『ジョジョ』も、その系譜を受け継ぐ正統なジャンプアニメなのだ! 何はなくとも、『サクラ大戦』『キングゲイナー』など、情熱的なアニメソングに定評のある作曲家・田中公平が手がけたオープニング主題歌「ジョジョ~その血の運命(さだめ)~」の盛り上がりは異常である。『FNS地球特捜隊ダイバスター』主題歌を歌った富永TOMMY弘明による「ンジョォォオオオジョォォォオオオオオ!」のシャウトは必聴。
そしてエンディングテーマは、英国のプログレバンド・YESの「Round about」という渋すぎるチョイス。8分超の大作を90秒に再構成するという、ウルトラCをやってのけているのだ。
『ジョジョ』シリーズには、洋楽アーティストの名前を冠したキャラクターやスタンド(第3部以降、登場する戦闘用の背後霊みたいな存在)が多数登場するということもあり、作品にはぴったりの選曲だといえる。
そんな感じで、とにかくテレビアニメ版『ジョジョ』は、いろいろな意味でスゴいのだ! まだまだ物語は第1部の中盤。これからジョジョとDIOの因縁の対決は本格化していくタイミングなので、本作に乗り遅れた人も、これから見始めてもストーリーに追いつくことはできるはず。ぜひとも奇妙なジョジョワールドを体験してみよう!
(文=龍崎珠樹)
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「自分はハッピーエンドのつもりでいた」脚本家・虚淵玄が語る『魔法少女まどか☆マギカ』の未来
オリジナル・テレビアニメ作品として昨年放送された『魔法少女まどか☆マギカ』(以下、『まどか☆マギカ』)。2012年10月現在、その再編集版という位置付けで、劇場版の前後編である『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[前編]/始まりの物語』、『劇場版 魔法少女 まどか☆マギカ[後編]/永遠の物語』が上映中だ。本作は、テレビシリーズの再編集版であることに加え、全国43スクリーンでの数少ない上映という条件の中、後編が初日2日間の興行収入ランキングで第1位を記録。まさに"社会現象"を巻き起こしている。 それぞれの思いを胸に魔法少女として魔女に立ち向かうことを選んだ少女たちの戦いを描いた同作は、パッと見、可愛らしい「魔法少女もの」だが、フタを開けてみればこれまでの魔法少女ものとは一線を画すショッキングな展開や視覚表現・構成がうけ、放送当初から人気に火がついた。同作のBlu-ray Disc1~3巻の売上げは、日本でのテレビアニメ歴代売上げ3位までを総ナメするという大記録を樹立。また、「第43回星雲賞メディア部門」をはじめとした数多くの賞を受賞するなど、高い評価を受けた。 今回は、そんな話題作の脚本を務める虚淵玄(ニトロプラス)氏に直撃インタビューを敢行! 劇場版に対する所感から、虚淵氏の制作に対する姿勢、さらには先日発表された完全新作の劇場版第3作の話までをうかがった── ──現在公開中の劇場版前後編は、テレビで放送されたものを再構成した作品ということですが、実際に今回の劇場版をご覧になっていかがでしたか? 虚淵 まず、テレビ放送中から話題になっているのは見聞きしていましたが、その時は視聴者の顔は見えませんでした。しかし、今回の映画で、シネコンに行ったら『まどか☆マギカ』の看板がかかっていて、そこに吸い込まれていく沢山の人の顔を見ることができた。大変嬉しいことだと実感すると同時に、改めて『まどか☆マギカ』の人気はスゴいことになっていると驚きました。 作品に関しては、ただの総集編かと思って油断していたんですけど、ほぼ作り直したようなすさまじい仕上がりでしたね。純粋に、テレビですでに観た視聴者にももう一回観てもらえるだけの素晴らしい作品になっていると思います。 ──一番印象に残ったシーンはどこですか?(C)Magica Quartet/Aniplex・Madoka
Movie Project
虚淵 強烈だったのは、新しく描き直された背景でした。それに、新たな音響演出や、追加された魔法少女の変身シーンによって、ひときわキャラが強烈になりましたね。二度変身した(魔法少女の1人である巴)マミさんなんか、変身カットは使い回すかと思いきや二回とも作り直されていて……しかも、バックの音楽がボーカル付きという好待遇でしたから(笑)。 ──今回の劇場版では、ストーリーはそのままに、画作りにすごく凝っていた印象です。 虚淵 この作品を劇場版にするという時に、テレビ版から脚本を再構成しようという話も当然ありました。ただ、やはり物語の進行上、テレビ版から構成を動かすことはできないということになったんです。オープニングの挿入や(魔法少女の1人・暁美)ほむらの回想も、ここからは動かせないだろう、と。 ──すでにテレビ版の時点で、構成として完成されていたということですね。そんな『まどか☆マギカ』のテーマというのはなんだったのでしょうか?変身カットでは、厚遇されている(?)魔法少
女・巴マミ。(C)Magica Quartet/Aniplex・Mad
oka Movie Project
虚淵 『まどか☆マギカ』は、「魔法少女もの」というお題の前提として、「祈り」(=願い)を意識しています。今作のテーマは、「少女の祈りを世界が良しとするか否か」という点です。少女の祈りを突っぱねて、ただただ無情に運命が転がっていくだけの世界が、(彼女たちの)祈りを肯定する世界に切り替わる物語にしたいな、とは思っていました。つまり、『まどか☆マギカ』は「魔法少女」というジャンルを全肯定する作品にしたかったんです。 ■作品はエンターテイメントがすべて 虚淵氏はこれまでも、明示的な「全肯定」を与える物語ではなく、むしろ「無情に運命が転がっていくだけの世界」を背景とした作品を多く手がけている。元々、有名アダルトゲームメーカーで18禁ゲームの脚本を担当してきた氏の描く物語は、主要キャラが容赦なく殺されたり、複雑に張り巡らされた因果の糸に絡めとられていくような重厚な展開で知られていた。それは氏がシナリオを担当してカルト的人気となった18禁ゲーム『沙耶の唄』や、近年テレビアニメ化された『Fate/Zero』(原作)などにも通底している。それでは、虚淵氏が物語を作る上で心がけていることとは── ──新作も今後公開されるとのことでしたが、『まどか☆マギカ』はすでにコミカライズに加え、スピンオフであるマンガ版『かずみ☆マギカ』『おりこ☆マギカ』(共に芳文社)など、かなり多角的に展開されています。こうしたスピンオフ作品は劇場版新作とはかかわってきたりしないんでしょうか? 虚淵 しないですね。 ──そもそも、こうしたスピンオフ作品には虚淵さんは基本的に携わっていないのですか? 虚淵 そうですね。設定上の不整合があったときには、指摘する場合もある程度です。もし、自分が『まどか☆マギカ』を一人で書いて独占していたら、それはただの"作品"として、印税をもらえるだけのものでしかありません。でも、『まどか☆マギカ』のように、色々な人たちによって語り継がれることで物語は"伝説"になっていく。自分はそれが「物語」というものの健全な進化だと思うんです。産み落とした子どもに養い続けてほしいか、独り立ちして名を成してほしいか。どちらを望むかというだけの話です。 ──小説などと違い、ゲームやアニメという共同作業が前提の業界で活躍されているからこそ培われた感覚なのかもしれないですね。元々、虚淵さんは18禁ゲームでシナリオを執筆されていました。そこから、一気にテレビアニメの脚本家としてスターダムに登ったという実感はありますか? 虚淵 そもそも自分がスターダムに登ったとは思っていません。自分を取り巻く状況に変化はありましたが、自分の創作の軸は変わっていない。何であろうとエンターテイメントとして作品を作る。それがすべてですから。主人公である鹿目まどかを始め、魔法少女たち
の「祈り」を肯定する本作。(C)Magica Quartet/
Aniplex・Madoka Movie Project
──「エンターテイメントがすべて」とおっしゃいましたが、『まどか☆マギカ』では、風力発電の風車が出てくるなど、「偶然ながらも、昨今の風潮を反映したような未来が描かれている」といった、社会的な観点からの評価も聞こえてきます。テレビ本放送時は最終回を含む数話が東日本大震災で一時放送中止になったことからもわかるように、震災の時点ですでに最終話は完成しており、この符号は偶然ではあったのですが、普段の執筆の際にその時々の世相を物語に反映することはあるのですか? 虚淵 仮にも現代を生きているわけだから、もしかしたら無意識に影響を受けている部分はあるかもしれないです。だけど、ことさらそれを意識するということもないですね。 ──東日本大震災後に執筆された新作に関しても同じことなのでしょうか? 虚淵 そうですね。「震災でこれまで信頼していたものが揺らいだ」と言っても、自分の中ではとっくの昔に世界の底は抜けていましたから。それこそ、僕らの世代では、オウムのサリン事件や阪神大震災などがありましたし。 ■ テレビ版のエンディングに対する新房監督との解釈の違い あくまでエンターテイメントとしての作品にこだわり、制作を続ける虚淵氏。今回の映画の続編となる完全新作『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』は、すでに脚本も完成しているという。『劇場版 魔法少女 まどか☆マギカ[後編]/永遠の物語』の最後に流れる新作の予告編も気になるのだが、その内容と制作の裏側を直撃すると── ──劇場版3作目は完全新作ということですが、制作の経緯としては? 虚淵 テレビ放映の最後のほうから話は上がっていました。ただ、自分の中では完結した作品だったので、どんな話を作ればいいか、入り口が見えるまでは大変な苦労でしたね。新作に関しては、テレビ版の脚本を書き上げた後で付け加えられた演出や美術の追加設定を足がかりにしなければ到底生まれないストーリーでした。とっかかりができてからは、あっという間に話は進んでいきましたが。 ──内容に関してもうかがってよろしいでしょうか? 虚淵 現段階では、自分は何もコメントできないんです(笑)。公開された予告編がすべてです、ということで……。未来的な街並みの中に、風車のある背景が描か
れている。(C)Magica Quartet/Aniplex・Madoka
Movie Project
ただ、今回の新作ができたきっかけとしては、テレビ版のエンディングに対する自分と(監督の)新房昭之さんの解釈の違いがあったということは言えます。自分はハッピーエンドのつもりでいたんですが、新房さんとしては必ずしもそうではなかったようなんです。それを聞いてはじめて自分のなかで意識の切り替えができて、新作に向き合うことができました。それに、劇場版新作の後もテレビシリーズをやりたいと思っているので。と言っても、具体的な話はまだ何もないですが(笑)。 せっかく色々なクリエイターさんによるスピンオフが出て『まどマギ』の世界観の可能性は立証されているので、その可能性の芽を摘まずに、作品にとって一番良い未来を考えていきたいです。 名実共に伝説化し続けている『まどか☆マギカ』サーガはまだまだ終わらない。現代の新たな神話の誕生という歴史的瞬間に立ち会うためにも、ひとまず現在公開中の劇場版を観に行って、来たるべき新作に備えよう! ■虚淵玄(うろぶち・げん) 1972年生まれ。シナリオライター。ゲーム制作会社・ニトロプラスに所属しゲームのシナリオライターとして活躍する一方、『ブラスレイター』などでアニメ作品にも携わる。シリーズ構成から全話の脚本までを初めて一人で担当したTVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』(TBS系)が大ヒット。2012年10月からはストーリー原案・脚本を担当するTVアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』(フジテレビ系)が放送中。テレビ版のエンディングに対する監督との解釈
の違いが、新作のきっかけとしてあるという。
(C)Magica Quartet/Aniplex・Madoka Movie
Project
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[前編] 始まりの物語』 『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[後編] 永遠の物語』 『化物語』『さよなら絶望先生』をはじめ、多くの作品でタッグを組む新房昭之監督×シャフト制作に加え、キャラクターデザインにマンガ家の蒼樹うめ女史、脚本にシナリオライターの虚淵玄(ニトロプラス)氏という、豪華なスタッフ陣が集結し、制作された『魔法少女まどか☆マギカ』の劇場版。テレビシリーズでは、2011年に第15回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞、2012年に、第43回星雲賞メディア部門などを受賞している。現在、テレビシリーズの総集編である劇場版が、前編・後編ともに全国の映画館にて公開中。 公式サイト:http://www.madoka-magica.com/
■プレゼントのお知らせ 今回、お話をうかがった虚淵氏のサイン入り『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』のパンフレット(前後編)をセットで1名様にプレゼントします。ご応募はこちらから。 【応募〆切:2012年11月11日(日)23時59分まで】
製作総指揮・クリムゾンが語る『蒼い世界の中心で』の魅力とは

(c)2012 Crimson
「最も危険なWEBコミック」というキャッチコピーが躍るWEBコミック『蒼い世界の中心で』が、TOKYO MXほかでテレビアニメ化される!
このニュースを聞いて「いろいろと大丈夫なの?」と、驚きよりも先に、心配をしてしまったオールドゲーマーは少なくないだろう。
覇権(シェア)をめぐり、ニンテルド帝国とセグア王国が激しく争うコンシューム大陸。「炎帝・マルクス」率いる強国ニンテルド帝国は、特殊能力を持つ優秀なキラーの力であっという間に大陸の覇権を握り、近隣諸国をも傘下に収めていた。有効な打開策を見出せないセグア王国は防戦一方。しかし、「青い音速」ことギアの登場で、戦局は大きく動き出していく、という一見ファンタジー戦記モノっぽいあらすじの本作だが、読んでいただければ分かる通り、出てくる名称がいちいちゲーム業界を彷彿とさせるものばかり。こういうネタは誰もが一度は想像するけれども、それを実際に作品として発表し、あまつさえちゃんと「面白い作品」になっているのが本作のすごいところだ。
「もともとこういう漫画は描いてみたいと思っていて、これまで自分を育ててくれた“ゲーム”への感謝の気持ちで描き始めました。“ゲーム”は世界的にはとても評価されているにもかかわらず、日本国内での評価はまだそれに見合うものではないと感じています。国内でも、もっとその価値が認められるようになったらいいなと思います」
そう執筆の動機を語るのは、原作であるWEBコミック『蒼い世界の中心で』の作画を手がけ、アニメ版の製作総指揮も担当するクリムゾン氏だ。
ゲームとともに成長し、ゲームから多くのことを教えてもらった氏が描く『蒼い世界の中心で』の世界は、ゲームへの愛情に満ち溢れている。1980年代以降の国内コンシューマゲーム市場の動向を下敷きに描かれる壮大な戦国絵巻である本作の物語は、ほぼ史実に基づいたものだ。
「やはり一から創作するとなると、よほど練り込まない限りは薄っぺらいファンタジーになってしまうので、実際の歴史をエッセンスのように取り入れてはいます。実際の歴史が8割くらいのつもりです。
物語の細かいところに思い出を詰め込む作業は楽しいですね。とあるゲーマーの方から“『蒼い世界の中心で』は本気でゲームを愛していた人ほど細かい部分で泣けるマンガ”という評価をもらったときはうれしかったですね」

「ニンテルド」と「セグア」の抗争という基礎設定だけで、思わずニヤリとしてしまう読者も少なくはないだろうが、その戦いにニンテルドと友好関係を結んでいた「ハビド」が「ピシエ王国」と結託し、突如第三勢力として参戦。さらに、敵か味方か、北方からやってきた穴に棒を入れたがる謎の傭兵・アレクセイ=テジロフ(好きな数字は4で、パズルと呼ばれる魔道を使って戦う)などが登場し、物語が進むにつれてコンシューム大陸は混迷を深めていく。しかし、覇権を目指して登場人物たちはみな生き生きと戦場を駆け抜け、各陣営は強化戦士である「キラー」を駆使して必死に生き残りをかける。その光景は、まるで活気に溢れていたひところのゲーム業界の縮図そのものといってもいいかもしれない。
そんな驚異の擬人化(?)アニメ『蒼い世界の中心で』だが、冒頭にも書いた通り、原作には「最も危険なWEBコミック」というキャッチフレーズがついたほど「ここまで描いちゃっていいの?」と思えるような業界ネタや、マニアックなゲームネタがたっぷりと盛り込まれている。果たしてアニメ版では、この危険な要素はどの程度再現されるのだろうか。この疑問にクリムゾン氏は、
「製作総指揮を原作者である私自身が務めていますので、その辺りは大丈夫だと思います。キャラクターデザイン、脚本、絵コンテ、アフレコ、動画チェックすべてにおいて参加していますので、原作のテイストを可能な限り残すように頑張りました」
と自信満々に回答。氏のゲームに対する深い理解と愛情は、アニメ版でも健在のようだ。
また、アニメ版では躍動感溢れるアクションシーンはもとより、原作ではまだ一度も戦ったことのないニンテルド最強の男・マルクスの戦闘シーンも描かれるということで、原作ファンも見逃せない内容となっている。個人的にはキャラクターのアクションに加えて、演出やSEといった要素でも、どこまでネタを再現できるのかにも注目したいところだ。
そんな問題作を作り上げてしまったクリムゾン氏。WEBコミックからスタートし、ついにテレビアニメまで成長してしまった本作を作る原動力となった「ゲーム業界」の魅力とは、いったい何なのだろうか?

「0と1と夢とで、0から1を生み出すことができることですね」
自身が作詞を手がけ、ネル役の三森すずことオパール役の橘田いずみが歌うEDテーマ「0と1の花」の一節を引用して語るクリムゾン氏。その言葉からは、揺るぎのないゲームへのリスペクトと愛情が感じられる。
クリムゾン氏は、「普通の少年漫画として見てもいいし、壮大なコント作品として見てもいいところ」が本作最大の魅力だと言うが、コントも突き詰めれば立派にドラマを語れるのだ。原作コミックを読んだことのある人なら、誰もがそう感じたことだろう。
前代未聞のチャレンジ精神とゲーム愛。そしてほんのちょっぴりのノスタルジーに満ちた『蒼い世界の中心で』第1話は、10月20日にTOKYO MXにて。11月9日にAT-Xにて放送予定。第2話、第3話は2013年春に放送を予定している。
余談ではあるが、もともとクリムゾン氏といえば同人業界のヒットメーカー。商業ベースの作品を発表する上で、何か違いや新たな発見がないかを尋ねたところ、
「実は今回のアニメ化以外にも、ここ数年の間に携帯コミック化、アダルトビデオ化、OVA化などいろいろやっているのですが、もちろん新しい発見が数多くありました。すごく面白くて貴重な体験もありますので、いずれ自叙伝とか出して語りたいです(笑)」
とのこと。クリムゾンファンは、こちらにも期待してもいいのかもしれない。
(取材・文=有田シュン)






