恋も青春もすべて終わったときに値打ちがわかる。ウディ・アレン至高の境地『カフェ・ソサエティ』

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現代的な印象の強いクリステン・スチュワートだが、ウディ・アレンの手によって1930年代の美女へと変身してみせた。
 人が人を好きになるという気持ちは法律で縛ることはできないし、世間の常識というフェンスが遮っていれば逆にそのフェンスを乗り越えてみたくなる。好きになってしまったものは、もうどうしようもない。映画監督として60年以上(!)のキャリアを誇るウディ・アレンは、そんなアンモラルな恋愛模様をたびたび描いてきた。『マンハッタン』(79)ではダイアン・キートンとマリエル・ヘミングウェイ、『それでも恋するバルセロナ』(08)ではペネロペ・クルスとスカーレット・ヨハンソン……。タイプの異なる美女の狭間で、主人公はまるで永久機関のように反復運動を繰り返してきた。ウディ・アレンの分身役を同じユダヤ系であるジェシー・アイゼンバーグが務める『カフェ・ソサエティ』も2人の美女をめぐるトライアングル・ラブストーリーが奏でられる。  ウディ・アレン監督の初期の傑作コメディ『泥棒野郎』(69)がその後『カメレオンマン』(83)へと進化していったように、今回の『カフェ・ソサエティ』は世界中で大ヒットを記録した『ミッドナイト・イン・パリ』(11)の変奏曲のような内容だ。『ミッドナイト・イン・パリ』では主人公のギル(オーウェン・ウィルソン)は婚約者のイネス(レイチェル・マクアダムス)との結婚を控えていたが、旅先のパリで酔っぱらい、1920年代のモンパルナスへとタイムスリップ。スコット・フィッツジェラルドやアーネスト・ヘミングウェイたちと酒を呑み交わしていたギルはピカソのモデル兼愛人のアドリアナ(マリオン・コティヤール)と出逢い、ひと目惚れしてしまう。現実世界の婚約者イネスか、憧れの時代である1920年代のアドリアナか、自分が選ぶべき相手はどちらかでギルは頭を抱えることになる。  今回の『カフェ・ソサエティ』はタイムスリップものではないが、やはり主人公は2つの世界で心を引き裂かれることになる。時代設定は1930年代のハリウッドとニューヨークだ。ニューヨークはブロンクス生まれの青年ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)は映画業界のエージェントをしている叔父フィル(スティーヴ・カレル)を頼って、ハリウッドへとやってきた。この時代のハリウッドは世界中から人気俳優や映画監督たちが集まったピッカピカの黄金時代。フィルは仕事に追われて相手をしてくれないが、代わりにボビーを連れて西海岸の名所を案内してくれたのはフィルの秘書ヴェロニカ、通称ヴォニー(クリステン・スチュワート)だった。利発でセンスのいいヴォニーにボビーはぞっこん。フィルのアシスタントとして働き始めたボビーは、ヴォニーへ果敢にアタックする。
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『ロスト・バケーション』(16)でサメと大格闘したブレイク・ライブラリーはバツイチのゴージャス美女に。
 子犬のように純朴なボビーからの真っすぐな求愛に、ヴォニーもまんざらではない。「誕生日にはシャレた店へ行こう」と誘うボビーに、「あなたの部屋は? 高級料理は無理だけど、ミートボール・スパゲティーなら作るわ」と約束。こんな台詞を言われたら、男は誰しも夢中になるでしょ! ところがヴォニーは年上の既婚者との道ならぬ恋に身を焦がしていた。ボビーは傷心を抱えて、夢の都ハリウッドを去ることになる。  舞台はハリウッドから東海岸のニューヨークへ。禁酒法が廃止されたニューヨークでは新しくできたレストランや気の利いたバーに人気ミュージシャンやセレブたちが集まる“カフェ・ソサエティ”カルチャーの真っ盛り。裏社会を牛耳る兄ベン(コリー・ストール)が経営するナイトクラブでボビーは働き始め、これが大成功。気配り上手なボビーは有能なマネージャーだった。クラブを切り盛りするボビーは、お客のひとりだった金髪のゴージャス美女ヴェロニカ(ブレイク・ライブラリー)とラブラブに。ヴェロニカと結婚し、公私ともに順風満帆なボビー。だが、そんな自信満々なボビーの前に現われたのが、かつて彼が夢中になったもう一人のヴェロニカ、ヴォニーだった。不倫相手と結婚したヴォニーは以前よりも、ますます美しくなっていた。2人のヴェロニカの前で、ボビーの心は激しく揺さぶられる。  ストーリー自体はチープなメロドラマである『カフェ・ソサエティ』。ウディ・アレンの脚本&監督でなければ、即シュレッダー送りとなっていた代物だろう。失恋からようやく立ち直った主人公が、自分を棄てた相手と再会してしまうというありふれた筋書きだ。ところが恋多き映画監督ウディ・アレンの手に掛かれば、2人のヴェロニカは正反対の魅力を持つ、甲乙つけがたい両極の女神として眩しい輝きを放ち始める。『ミッドナイト・イン・パリ』では1920年代と現代という2つの時代のそれぞれの美女の狭間で主人公は悩んだ。過去と現代を別の言葉に言い換えれば、それはロマンスと現実である。1930年代を舞台にした『カフェ・ソサエティ』では、青春期を過ごしたハリウッドと成功を手に入れた現代のニューヨークという2つの世界でボビーは悶え苦しむことになる。夢と現実、2つの果実の前でウディ・アレンのアパターたちはいつも悩み続ける。
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『エージェント・ウルトラ』(15)でも恋人役を演じたジェシー・アイゼンバーグとクリステン。NYで再会した2人の恋心が再燃。
 ボビーは自分と結婚して、子育てに勤しむ妻ヴェロニカのことが嫌いになったわけではない。でも、妻や子どもを大切に扱えば扱うほど、青春期に出逢ったヴォニーのことが忘れられなくなってしまう。また、片想いで終わったヴォニーのことを心の中で想えば想うほど、自分の傍にいてくれるヴェロニカが愛おしく感じられてくる。『ミッドナイト・イン・パリ』は異なる時代の美女たちに振り回される男の喜劇だが、『カフェ・ソサエティ』は同じ時代を生きる2人のヴェロニカを愛してしまった男の悲劇だ。  結局、恋も青春もすべてが終わってしまったときに、初めてその価値が分かる。ボビーは自分の青春がすでに終わったことを痛感すると同時に、自分が本当に愛した女性は誰だったかを悟ることになる。81歳となるウディ・アレンが描くラブロマンスの閉幕は、とてもほろ苦く、そしてメレンゲ菓子のように甘くて切ない。 (文=長野辰次)
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『カフェ・ソサエティ』 監督・脚本/ウディ・アレン 撮影/ヴィットリオ・ストラーロ 出演/ジェシー・アイゼンバーグ、クリステン・スチュワート、ブレイク・ライブラリー、スティーヴ・カレル、パーカー・ポージー 配給/ロングライド 5月5日(金)よりTOHOシネマズみゆき座ほか全国ロードショー http://movie-cafesociety.com (c)2016 GRAVIER PRODUCTIONS,INC

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『無限の住人』木村拓哉の“悲壮すぎる”猛プロモーション「コケれば帰る場所なし」

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 29日に公開される映画『無限の住人』に主演している元SMAP・木村拓哉が異例の猛プロモーションに励んでいる。  これまでの出演作では舞台挨拶への登壇を拒否していた木村側だが、本作では東京だけでなく、熊本、広島、新潟、仙台など全国10カ所をめぐり、各地のローカルテレビ局にも出演。  さらに、18日放送の『報道ステーション』(テレビ朝日系)にインタビュー出演し、禁断の「SMAP解散」をネタにしながら映画をアピールするなど、マスコミにとっては“大サービス”となる異例の展開となった。 「これには、元SMAPの別メンバーのファンから怒りの声が上がっています。そもそも解散劇の“戦犯”扱いされているキムタクが、自分の映画のためにSMAP解散エピソードを利用していると受け取られても仕方がないですよね」(芸能記者)  そんな中、本作のプレミアイベントが19日、開催されたというのだが、こちらでも必死すぎるキムタクのプロモーションが垣間見える瞬間があったという。 「この日は、映画本編上映前に舞台挨拶があったんですが、上映後にもキムタクがサプライズで登壇したんです。上映前に、キムタクや司会が『映画本編が終わってもエンドロールの最後まで残っていてください!』と、再三呼びかけていたので、何かあるとは思っていたんですけど、まさかキムタク本人が再び出てくるとは夢にも思いませんでした。このことを提案したのもキムタクだったらしくて、三池(崇史)監督が『木村さんが最後に、挨拶に出ようと言うから』と説明もされていました。ここまで宣伝に積極的なキムタクは見たことがありませんから、大丈夫なのかなと、逆に不安になるくらいでした」(イベントに参加した40代女性)  ここでも、キムタクは悲壮感を湛えた発言をしていたという。 「上映終了後、キムタクが登壇する前に場内には拍手が響いていたんですけど、これがキムタクにはうれしかったみたいで『いただいた拍手を自分の中で前に進む勇気に置き換えて』と言った後に、『これからも全力でやるしか自分は能がないので……取り組んでいきたいと思います』と、スピーチしてましたよ」(同)  これだけ必死にプロモーションするには、もちろん理由がある。 「キムタクは中居(正広)のようにテレビ番組のレギュラーがあるわけでもないし、稲垣(吾郎)のようにドラマに脇役で出演するわけにもいきませんからね。『無限の住人』公開後に休暇に入るといわれているので、ここで結果を残せなかった場合、帰ってくる場所がなくなる。必死にもなるでしょう」(前出・芸能記者)  この涙ぐましい結果は、実を結ぶのだろうか……。

吉祥寺から消えた映画館から生まれた『PARKS』過ぎ去った記憶と現代とを音楽で結ぶという試み

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橋本愛主演作『PARKS パークス』。井の頭公園の緑に囲まれ、橋本は軽やかな歌声を披露する。
 吉祥寺は地方出身者にとっては居心地のよい街だ。同じJR中央線にある高円寺ほどテンションが高すぎず、国分寺や国立ほどハイソでもない。古い店と新しい店がほどよくブレンドされて並んでいる。そんな吉祥寺という街のランドマーク的存在だった映画館バウスシアターが閉館したのが2014年6月。最終プログラムとなった音楽映画『ラスト・ワルツ』(78)の終演後のあいさつに立ったオーナーの本田拓夫さんは「物語には続きがある」という言葉を残したが、その言葉が実現化した。ハードウェアとしての映画館は消えてしまったけれど、代わりに生まれてきたソフトウェアが映画『PARKS パークス』。バウスシアターにたびたび通っていた橋本愛主演作として、「井の頭公園」開園100周年にあたる17年に完成した。  バウスシアターの残務処理を終えた本田さんが「吉祥寺と井の頭公園の映画をつくりたい」と電話した先は、“爆音映画祭”の主宰者として知られる映画評論家の樋口泰人氏。“爆音映画祭”はライブハウス機能を併せ持つバウスシアターで歴史を重ねてきた。樋口氏がゼネラルプロデューサーとなり、染谷将太主演作『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(11)でエッジの効いた演出を見せた瀬田なつき監督、『寄生獣』(14)、『寄生獣 完結編』(15)で橋本愛と息の合った芝居を見せた染谷将太、小学生のときに吉祥寺でスカウトされたことがきっかけで芸能界入りした永野芽郁という新鮮味のある顔ぶれが集まった。  主人公の純(橋本愛)はかつて子役タレントとして活躍したが、今は何者にもなれずにいるフツーの女子大生だ。井の頭公園脇のアパートに住んでいる純は同棲するはずだった彼と別れてしまった上に、大学からは留年を知らせる通知が届き、茫然自失状態。ゼミの担当教授(佐野史郎)に頭を下げて、ゼミの課題を大急ぎで提出することになるが、そんなとき純の前に現われたのが不思議な女の子・ハル(永野芽郁)だった。ハルは亡くなった父親(森岡龍)の記憶を辿り、父親がかつて交際していた元恋人・佐知子(石橋静河)を探していた。父親は佐知子から届いた手紙を残しており、そこに記されていた住所が純のいる部屋だった。
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純(橋本愛)の部屋に集まったトキオ(染谷将太)たちは、残された古い録音テープを再生することに。
 ゼミの課題になりそうな予感を感じた純は、ハルと一緒に佐知子の居場所を探し始める。やがて公園近くに暮らす佐知子の孫・トキオ(染谷将太)と2人は出逢う。佐知子はすでに亡くなっていたが、佐知子が持っていた古いオープンリールの録音テープが見つかったとトキオが知らせてきた。息を呑んでテープを再生すると、そこから流れてきたのはハルの父と佐知子が歌うオリジナルソングだった。劣化していたテープは途中で切れてしまうが、歌の続きが気になって仕方がない。純たちは自分たちの手で曲を完成させることで、かつての恋人たちの想いと現代とを繋ぎ合わせる作業に夢中になっていく。  NHK朝ドラ『あまちゃん』(13)のアイドルデュオ“潮騒のメモリーズ”で大人気を博した橋本愛だが、10代の頃の物憂げな美少女から大人の女性へと変わりつつある彼女の等身大の姿が『PARKS』ではそのまま映し出される。緑の多い井の頭公園でのロケ撮影で、いつになく明るい表情を見せ、ギター演奏&歌声を披露している。演技力で定評のある染谷将太は今回は三枚目的な役どころ。純とハルと美女2人に挟まれて有頂天になるお調子者のトキオ役が楽しそうだ。園子温監督の『TOKYO TRIBE』(14)で挑戦したラップの腕前も久しぶりに見せてくれる。橋本愛も染谷将太も、古くて新しいハモニカ横丁の景観にとてもよく馴染んでいる。
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夜更けのサンロード商店街を駆け抜けていく純、トキオ、ハル。このアーケード街には、かつてバウスシアターがあった。
 そして、こちらの想像以上に『PARKS』に初々しい躍動感を与えているのが、橋本と染谷に絡む永野芽郁。テレビで流れるUQモバイルのCMでは消されてしまっているが、自然光で撮影された本作では永野のほっぺの上に小さな小さな“インディアンえくぼ”が浮かび上がることが分かる。小動物のようにコロコロと変わる永野の表情の豊かさに目を奪われてしまう(ちなみに5月20日公開の『ピーチガール』では悪女役を演じ、主演俳優たちを喰っている)。本作で永野が演じるハルは、純の部屋に居候するかなりの不思議ちゃんだ。春風のようにふわふわしたハルは、父の思い出の曲を再現しようとするうちに、井の頭公園をさまよい、若い頃の父や佐知子たちとばったり遭遇してしまう。意識が時空を越えてシンクロしてしまったらしい。タイムマシンなしでうっかり時間旅行してしまうハルの天然ぶりに見蕩れているうちに、物語は瞬く間にクライマックスを迎える。  50年前の恋人たちの曲を蘇らせようとしていることが周囲に知れ渡り、吉祥寺で開かれる人気音楽フェスに出場し、その曲を発表することになる純たち。音楽業界で食べていきたいトキオはやたらと張り切っているが、果たしてフェスまでに曲は完成するのか、純たちの初ステージは成功するのか? バウスシアターという形ある映画館は吉祥寺から消えてしまったけれど、代わりに過去と現代を結ぶ曲と映画が誕生した。映画を見終わった後、橋本愛が歌う曲を思わず口ずさみたくなる。『PARKS』はそんな軽快なエンディングが待っている。 (文=長野辰次)
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『PARKS パークス』 企画/本田拓也 ゼネラルプロデューサー/樋口泰人 音楽監修/トクマルシューゴ 監督・脚本・編集/瀬田なつき 出演/橋本愛、永野芽郁、染谷将太、石橋静河、森岡龍、佐野史郎、柾木玲弥、長尾寧音、岡部尚、米本来輝、黒田大輔、嶺豪一、原扶貴子、斉藤陽一郎、麻田浩、谷口雄、池上加奈恵、吉木諒祐、井手健介、澤部渡(スカート)、北里彰久(Alfred Beach Sandal)、シャムキャッツ、高田漣 配給/boid 4月22日(土)よりテアトル新宿、29日(土)より吉祥寺オデヲンほか全国順次公開  (c)2017本田プロモーションBAUS http://www.parks100.jp

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『無限の住人』木村拓哉、異例の“大盤振る舞い”でPR活動も「SNSの反応が悪すぎて……」

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 29日に主演映画『無限の住人』が公開される元SMAPの木村拓哉だが、現在展開中のPR活動の裏側を、発売中の「週刊女性」(主婦と生活社)が報じている。  木村はTBS系の主演ドラマ終了後の3月末から、映画のヒロインを演じる杉咲花と共に全国10都市を回り、試写会で舞台あいさつを行っている。同誌によると、大抵の作品ならば対象外である広島、新潟、熊本などにも駆けつけ、各地のローカル局のインタビューにも応じていたという。  プロモーション稼働が始まったのは、昨年10月から。関係者向けの試写会後には、ジャニーズ事務所から各媒体に「表紙でやるなら独占取材OK」という“売り込み”もあった。  普段、木村の独占取材は難しく、各媒体はその話に飛びついたようで、現在、発売されている映画専門誌、ファッション誌のみならず、週刊誌までも木村が表紙を飾っているという異例の事態。  また、特典付きの前売り券販売は2月上旬にスタート。タイアップは東京都交通局や大手ネイルサロンなど幅広く展開し、20日放送のNHKの音楽番組『SONGS』では主題歌を歌うMIYAVIと共演するなど、打つ手はすべて打ったようなプロモーションだった。  さらに、先週には5月17日に開幕する「第70回カンヌ国際映画祭」の「アウト・オブ・コンペティション部門」にて公式上映されることが発表され、プロモーションは順調そのものに見えるが……。 「周囲はなんとかして盛り上げようとしているが、世間の反応はイマイチ。さらに、同日公開される『帝一の國』は主演の菅田将暉、野村周平、竹内涼真ら各芸能プロイチ押しの若手がそろい、SNS世代の圧倒的な支持を受ける。それに対して、キムタクの映画は反応が微妙」(映画ライター)  木村はさっそうとカンヌに乗り込むことになりそうだが、その前に観客動員ランキングで『帝一の國』に負けるようなことがあれば、シャレにならないだろう。

映画製作を禁じられた国際派監督のトンチ人生!! 車中から見えてくるイランの内情『人生タクシー』

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ジャファル・パナヒ監督自身がタクシーを運転する『人生タクシー』。映画監督では食べていけずに転職? それともネタ探し?
 マーティン・スコセッシ監督の名作『タクシードライバー』(76)から、ジム・ジャームッシュ監督の『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91)、梁石日の小説を映画化した『月はどっちに出ている』(93)、ジェイミー・フォックスが犯罪に巻き込まれる『コラテラル』(04)など、タクシー運転手を主人公にした作品は味わい深いものが多い。タクシー映画ではタクシーが走る街そのものが主人公であり、またそんな街に身の置き所を見つけることができずにいるタクシー運転手の哀愁も排ガスと共に漂う。2015年のベルリン映画祭で金獅子賞を受賞したイラン映画『人生タクシー』もまた、ワケありなタクシー運転手のドラマだ。  ジャファル・パナヒ監督の『人生タクシー』(原題『TAXI』)が他のタクシー映画と比べてかなりユニークな点は、パナヒ監督自身がタクシードライバーとして登場するということ。POVスタイルの作品となっている。パナヒ監督はワールドカップのイラン戦を生観戦するために男装してスタジアムに忍び込む女の子たち(イランでは男性競技を女性が見ることを禁じている)を主人公にした『オフサイド・ガールズ』(06)などのドキュメンタリータッチの作品で国際的に高い評価を得ている。だが、現在のイランでは自由な表現活動は認められておらず、パナヒ監督の師匠にあたるアッバス・キアロスタミ監督はイタリアや日本で映画を撮るようになり、16年にパリで客死している。母国で映画を撮り続けていたパナヒ監督だが、『オフサイド・ガールズ』や仮釈放中の女囚たちを主人公にした『チャドルと生きる』(00)は反体制的な映画だとされ、2度にわたって逮捕された。それでも自宅で軟禁状態に置かれている様子をデジカメ撮影し、『これは映画ではない』(11)としてカンヌ映画祭で発表するなど、ものすごく気骨のある映画監督である。  そのパナヒ監督がタクシー運転手となって登場する。軟禁状態は解かれたようだが、裁判所からは「20年間にわたって映画製作、脚本執筆、海外旅行、インタビューを禁じる」と言い渡されている。そこでパナヒ監督は「僕は映画監督ではなくタクシー運転手」であり、「これは映画ではなく、タクシーに置いていたカメラにたまたま映った映像」という逃げ口上を考えたわけだ。まるで一休さんと将軍・足利義満とのトンチバトルではないか。まぁ、パナヒ監督とイラン政権との関係を知らずに観ていたら、「映画監督で食べていくのが大変なので、副業でタクシー運転手を始めたのかな」と思われかねない。頭の固い役人や政治家たちを相手に映画を撮るには、トンチと勇気が必要であることをパナヒ監督は身を持って示している。そんなドキュメンタリー映像なのか劇映画なのかよく分からないものとして、パナヒ監督が運転する『人生タクシー』は発進する。
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「道も知らないし、運転も下手くそ」とパナヒ監督をボロクソにけなすご婦人たち。どの国でもオバサマたちは毒舌だ。
 渋滞気味のテヘラン市内でいろんな客を拾っていくパナヒ監督。ダッシュボードに小型カメラが設置されているが、乗客たちは防犯用カメラだと思い、あまり気にはならないらしい。まず驚くのは、イランのタクシーは乗り合いスタイルだということ。お客がすでに乗っていても、「俺も乗せてくれ」と窓を叩いて乗り込んでくる。車内では名前を知らない者同士が「最近のイランは窃盗事件が増えている。見せしめのために処刑すべきだ」「中国みたいにやたら処刑するのは止めるべきよ」と死刑問題についての熱い論争を始める。麻薬を所持していただけで厳罰が待っているイランは、民族紛争が絶えない中国に次いで死刑執行数が多い国でもある。名前も素性も知らない者同士だから、気にせず本音が飛び交う。パナヒ監督はそんな乗客たちの論争をニコニコと聞きながらハンドルをさばいていく。  バイク事故に遭った夫婦を乗せて、病院へ搬送するという緊急事態も発生する。夫がこのまま死んだら財産がもらえなくなると、妻は頭から血を流している夫に遺言を残すように促す。紙とペンがないので、スマホに向かって夫は遺言メッセージを残すことに。このとき、カンヌ・ベネチア・ベルリン世界3大映画祭で受賞歴のあるパナヒ監督が自前のスマホで、初対面の男性客の遺言メッセージを撮るはめになる。国際的な巨匠監督が撮る、なんとも贅沢な遺言動画である。その一方、タクシー運転手がパナヒ監督であることに気づく映画マニアも現われる。車内カメラに気づいたこの小柄な男性客は、海賊版のDVDを売り歩いている闇業者。携帯電話に注文があり、頼まれたDVDを先方へと渡しにいく闇ビジネスの真っ最中。届けた先は大学の映画学科に通う学生で、闇業者と一緒に憧れのパナヒ監督がいることにビックリ。パナヒ監督が勧めるDVDを学生が全部レンタルしたことに味をしめた闇業者は、パナヒ監督に「これからも2人でコンビを組んでやっていこう」と持ち掛ける。このときのやりとりから、性描写やバイオレンスシーンの多いハリウッド、日本、韓国など海外の映画はイランでは発禁扱いになっているものの、海賊版で実はかなり普及していることが分かる。車に設置したカメラから、現代イランの内情が次々と浮かび上がってくる。  中盤からは、いよいよ本編のヒロインが登場する。パナヒ監督のおしゃまな姪っ子のハナちゃんだ。ハナちゃんが通う小学校へパナヒ監督は迎えに行くが、パナヒ監督が遅れてきたこと、しかもタクシーで迎えにきたことにご機嫌ななめ。でも、映画監督であるおじさんのことが大好きな様子が、その表情の端々から伝わってくる。小学校では授業の課題として映画を撮ることになっており、ハナちゃんは映画になりそうな題材を求めてスマホを動画モードにして待ち構えている。タクシーに乗りながら、共に映画のネタを探し回る似た者同士の2人。またこのときのパナヒ監督とハナちゃんの会話から、イランの劇場で上映が許可される優れた映画とは、「女性と男性は触れ合わないこと」「善人は聖人の名前であること」「俗悪なリアリティーは描かないこと」などの決まり事を守った作品であることが分かる。リアリティーを追求するパナヒ監督の作品は、やはりイランの映画館では上映されそうにない。おじさんがダメな分、私が頑張るわと言いたげなハナちゃんの意気込みぶりが何とも愛らしい。
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パナヒ監督の姪っこ・ハナちゃん。純真な子どもを使って、社会の問題点を浮かび上がらせる手法はイラン映画の伝統。
 パナヒ監督が古い友人に会うために車をちょっと離れた間に、見逃せないドラマが起きる。駐車された車の中から面白い題材はないか周囲の光景をスマホで撮影していたハナちゃんだが、そのスマホが最高の被写体を見つけた。新婚旅行にこれから出発しようとしている新婚カップルを友人が記念撮影していたのだが、その友人がポケットに入れていた財布を路上に落としてしまう。財布が落ちたことに気づいたのは、スマホを回していたハナちゃんと近くのゴミ箱を漁っていたホームレス風の男の子の2人だけ。財布をネコババしようとする男の子に向かって、ハナちゃんは持ち主に返すようにと呼び止める。ドキュメンタリー映画を撮影していた監督が被写体に向かってリテイクを、そして演技を求めた瞬間である。「財布をネコババすれば犯罪者だけど、返せばあなたはヒーローになれるわ」と男の子を懸命に説得しようとするハナちゃん。ヒーローになるか、犯罪に手を染めるかで心が揺れる男の子。このときハナちゃんは、カメラを通して人の心を撮るという行為は、監督自身の心も真っ裸になってしまうということを学ぶ。パナヒ監督が目を離していた数分の間に、ハナちゃんは映画監督として急激に成長を遂げていく。  パナヒ監督の作品において、どこまでが無作為でどこからが作為であるかのボーダーを引くことはあまり意味がない。パナヒ監督は作為と無作為の向こう側にある真実をカメラに収めようとしている。作為と無作為は、イラン社会の建前と本音に言い換えることもできる。イランの社会体制と体制寄りのイラン映画界を揶揄した本作はイランでは上映できないし、パナヒ監督だけでなく本作に登場した人たちまで当局に睨まれる恐れがある。イランでの映画づくりは本当に命がけだ。それでもパナヒ監督はそんな母国イランで、映画らしくない映画をこれからも撮り続けるに違いない。人生いろいろ、映画もいろいろ。パナヒ監督のユーモアとアイロニーがテヘランの路上に咲き乱れる。 (文=長野辰次)
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『人生タクシー』 監督・出演/ジャファル・パナヒ 配給/シンカ 4月15日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開 (c)2015 Jafar Panahi Productions http://jinsei-taxi.jp

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伝説のプロデューサーと新鋭監督がガチゲンカ!! アウトロー映画『ろくでなし』に漂う不穏な熱気

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大西信満と渋川清彦のダブル主演作『ろくでなし』。映画の完成後、奥田庸介監督と山本政志プロデューサーは完全決裂した。
 ザラザラと乾いた肌感触。口の中を切ったときに感じる、あの血の味わい。北野武監督の初監督&主演作『その男、凶暴につき』(89)を初めて観たときの衝撃が忘れられない。ザラついた肌触りと血の味は本来なら不快なもののはずなのに、北野監督の処女作にはそれが甘い陶酔感に感じられた。同じような感触を、ヤン・イクチュン監督の長編デビュー作『息もできない』(08)やニコラス・ウィンディング・レフン監督のハリウッド進出作『ドライヴ』(11)を観たときにも感じた。どの作品の主人公たちも現実社会に苛立ち、ふとしたことで溜め込んでいた感情を暴力という形で炸裂させる。歩く不発弾のような危ない男たちだ。奥田庸介監督の新作『ろくでなし』も、いつ爆発するか分からない不発弾を抱えて生きる男たちのザラザラとした肌触りと血の味を感じさせるドラマとなっている。  物語の舞台は現代の渋谷。新潟の刑務所を出てきたばかりの一真(大西信満)は流れるようにして東京に辿り着いた。建設現場で働くも、長くは続かない。そんなとき、夜の渋谷で見かけた女・優子(遠藤祐美)を一方的に“運命の女”と思い込み、優子の勤めるダンスクラブへ。クラブでガンを飛ばしてきた若者相手に大立ち回りを演じる一真だったが、その腕っぷしの強さを買われてクラブのオーナー・遠山(大和田獏)の用心棒として雇われる。裏社会の住人でもある遠山は頭のネジが数本外れており、遠山が撲殺した裏社会の顔役の死体を兄貴分・ひろし(渋川清彦)と共に処理することに。暴力まみれの生活を送る一真だが、その一方では優子への想いを募らせ、彼女の帰り道を追ってアパートまで付いていくようになる。だが、一真にとっての“運命の女”優子は男関係や金銭問題など様々なトラブルを抱えている女だった──。  無口な男・一真は、若松孝二監督の反戦映画『キャタピラー』(10)で手足を失った芋虫男を、大森立嗣監督の官能作『さよなら渓谷』(13)で真木よう子を相手に大胆な濡れ場を演じた大西信満。一真と同じ新潟の刑務所出身という自慢できない“同窓生”ひろしに『お盆の弟』(15)と『下衆の愛』(16)で売れない映画監督を哀愁たっぷりに演じた渋川清彦。オーディションでヒロイン・優子に抜擢された遠藤祐美は、薄幸系女優と呼ばれた麻生久美子をさらに幸薄そうにした雰囲気が本作によく合っている。ひろしの舎弟・由紀夫を演じた『ケンとカズ』(16)の毎熊克哉、優子の妹・幸子を演じた上原実矩も、みんな不機嫌そうな面構えだ。ままならない現実に苛つきながら生きている。でも、あまりに不満を呑み込みすぎると、クラブのオーナー・遠山(大和田獏が怪演!)のような狂人になりかねない。そうならないよう、彼らは不器用ながらも自分たちなりの幸せを掴もうと懸命にもがき続けている。
伝説のプロデューサーと新鋭監督がガチゲンカ!! アウトロー映画『ろくでなし』に漂う不穏な熱気の画像2
どうしようもなくダメ男を引き寄せてしまうオーラの持ち主・優子には、「シネマ☆インパクト」参加者の遠藤祐美が選ばれた。
 人気コミックの実写化が花盛りの日本映画界において、そんなブームなんて知ったこっちゃねぇと泥くさいオリジナルのアウトロー映画を撮り上げたのが奥田庸介監督だ。1986年生まれの奥田監督はこれが長編3本目となる。クラウドファンディングで資金を調達した前作『クズとブスとゲス』(16)は「この映画が撮れれば死んでもいい」という奥田監督の気迫がこもった規格外の逸品だった。『クズとブスのゲス』の酒場のシーンで、主演も兼ねていた奥田監督はスキンヘッド状態の頭で本物のビール瓶をカチ割るという狂気のアドリブ演技を見せた。そのシーンを撮り終えた後はもちろん病院行きとなっている。  そんな奥田監督の変人ぶりを気に入ったのが山本政志プロデューサー。山本政志プロデューサーは実践型ワークショップ「シネマ☆インパクト」を主宰し、ワークショップ受講者たちをメインキャストにした大根仁監督の『恋の渦』(13)などのヒット作を生み出している。また、監督作『闇のカーニバル』(82)や『ロビンソンの庭』(87)といったインディーズ作品で海外にも名を馳せた伝説的な映画人である。新興宗教を題材にした『水の音を聞く』(14)でも監督としての健在ぶりを示した。強烈な個性を持つ2人がタッグを組んで企画がスタートしたのが『ろくでなし』だった。ところがボルテージの高い者同士の顔合わせは、あまりにも危険すぎた。脚本段階で両者は大ゲンカとなってしまう。2016年の夏、『クズとブスとゲス』の公開前に奥田監督を取材した際、奥田監督が携帯電話で激しい口論を始めたので驚いたが、その相手が山本政志プロデューサーだった。  奥田監督と山本政志プロデューサーとの間に生じた軋轢は深刻で、クランクイン直前を控え、撮影中止にするかどうかという瀬戸際まで行っていた。映画が完成した今も2人は和解しておらず、そこで『公開大討論会!「おい、ろくでなし!今夜、決着つけようじゃないか」』(4月2日、渋谷ユーロライブ)が開かれた。両者が激昂してつかみ合いにならないよう、キックボクシングの元世界王者・小林さとし氏がステージ上で立ち会い、『ろくでなし』を上映するユーロスペースの支配人・北條誠人氏が司会進行を務めるというもの。このときの両者の殺伐としたやりとりを聞くと、奥田監督の書き上げた脚本の初稿に山本政志プロデューサーは納得できず、改稿したことがケンカの発端だった。自分の脚本に手を入れられたことが奥田監督は気に入らず、両者の間に溝が生じてしまった。山本政志プロデューサーにしてみれば、「街を舞台にし、情感は排したものにしようと打ち合わせていたのに、情感の部分が守られていなかった」ので修正した。また、奥田監督が撮影現場で初稿に戻そうとするのが許せなかったという。奥田監督いわく「現場で自由に撮れないのなら監督である意味がない」「プロデューサーという上からの立場で言われるので、打ち合わせになっていなかった」とのこと。山本政志プロデューサーがアウトローものとしてのリアリティーを高めるために、本職の方たちを現場に招いていたことも、奥田監督との距離を生む要因となったようだ。結局、山本政志プロデューサーはプロデューサーという肩書きではなく、アソシエイトプロデューサーとしてクレジットされている。
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『ケンとカズ』(16)のドラッグディーラー役で注目された毎熊克哉。出番は多くないが、観客の印象に残る美味しい役だ。
 公開討論は最後まで平行線のまま、お互いに一歩も歩み寄ることなく決裂した形で終わりを告げた。個性が強すぎるクリエイター同士のケンカはガチだったことだけは、成り行きを見守っていた観客にもひしひしと伝わった。ろくでもない討論会だったわけだが、両者が火花を散らしながら完成させた『ろくでなし』がダメな映画かというと全然そんなことはない。撮影裏の不穏な空気をはらみつつも、キャスト陣はベストの演技、いやベスト以上の演技を見せている。監督が100%自由に撮りたいものを撮ることが許された恵まれた現場で傑作が生まれるかというと、必ずしもそうでない。その逆も然りということだ。  作品としては欠点を持っていても、堪らなく魅力的なシーンや役者が瞬間的に放った輝きが脳裏に焼き付く映画もある。今回の『ろくでなし』でいえば、ラブホテルで枕営業をしようとしていた優子の前に一真が立ちはだかり、路地裏でお互いボコボコに殴り合う長回しシーンが忘れられない。それぞれの感情が爆発するこのシーンを撮る瞬間、監督とプロデューサーの軋轢など舞台裏のトラブルはいっさい関係なく、役に没頭した2人が共に殴り合うことで、そこに愛らしきものがあることが浮かび上がってくる。痛くて、無様で、かっこ悪くて、でも放っておくことができない愛しい映画。それが『ろくでなし』だ。監督とプロデューサーはケンカ別れしてしまったが、その分観客に愛される映画になってほしい。 (文=長野辰次)
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『ろくでなし』 監督/奥田庸介 プロデューサー/村岡伸一郎 アソシエイトプロデューサー/山本政志、松本治朗 出演/大西信満、渋川清彦、遠藤祐美、上原実矩、毎熊克哉、大和田獏 配給/C・C・P 4月15日(土)より渋谷ユーロスペース、新宿K’s cinemaにてロードショー (c)Continental Circus Pictures https://www.rokudenashi.site

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『ゴースト・イン・ザ・シェル』公開で、“干され”監督のゲス不倫が再びクローズアップ!?

『ゴースト・イン・ザ・シェル』公開で、干され監督のゲス不倫が再びクローズアップ!?の画像1
映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』公式サイトより
 4月7日、士郎正宗原作の世界的人気コミック『攻殻機動隊』のハリウッド実写版映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』が、全国327館で大々的に公開された。  主演の少佐役をスカーレット・ヨハンソンが演じるほか、ビートたけしも出演するなど話題を呼んでいるが、本作を手がけたルパート・サンダース監督の“過去”が改めてクローズアップされ、作品のファンが騒然となっているという。 「サンダース監督は2012年の監督作『スノーホワイト』をヒットさせましたが、その作品に出演している女優と夫婦でありながら、主演のクリステン・スチュワートとのキス写真がバラ撒かれ、スキャンダルに発展。結局、サンダース監督自身も“ゲス不倫”していたことを認め、謝罪するハメとなりました。その後、妻とは離婚。映画界でも干され、昨年公開された『スノー~』の続編では監督から外されています」(映画誌編集者)  サンダースにとって、今回の『ゴースト~』は因縁の『スノー~』以来の監督作。映画界に返り咲くための勝負作だけに、クリステンと不倫したことは「一時的な気の迷い」と釈明、「不倫した人間を追い出していたら、アートを作る人間がいなくなってしまう」と、強気の姿勢を貫いている。  しかし、北米では初登場3位。興収は期待の半分程度と、出だしはやや期待外れ。 「観客や評論家の評価も、中の下といった平凡なもの。重要な部分をCGに頼りきる演出法には眉をひそめた観客も多かったとか。日本でどこまで客足が伸びるか、不安しかありませんね」(前出・映画誌編集者)  映画ファンからは「本当に才能があったら干されない」との厳しい声も上がっているが、はたして汚名返上できるだろうか。

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映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』公式サイトより
 4月7日、士郎正宗原作の世界的人気コミック『攻殻機動隊』のハリウッド実写版映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』が、全国327館で大々的に公開された。  主演の少佐役をスカーレット・ヨハンソンが演じるほか、ビートたけしも出演するなど話題を呼んでいるが、本作を手がけたルパート・サンダース監督の“過去”が改めてクローズアップされ、作品のファンが騒然となっているという。 「サンダース監督は2012年の監督作『スノーホワイト』をヒットさせましたが、その作品に出演している女優と夫婦でありながら、主演のクリステン・スチュワートとのキス写真がバラ撒かれ、スキャンダルに発展。結局、サンダース監督自身も“ゲス不倫”していたことを認め、謝罪するハメとなりました。その後、妻とは離婚。映画界でも干され、昨年公開された『スノー~』の続編では監督から外されています」(映画誌編集者)  サンダースにとって、今回の『ゴースト~』は因縁の『スノー~』以来の監督作。映画界に返り咲くための勝負作だけに、クリステンと不倫したことは「一時的な気の迷い」と釈明、「不倫した人間を追い出していたら、アートを作る人間がいなくなってしまう」と、強気の姿勢を貫いている。  しかし、北米では初登場3位。興収は期待の半分程度と、出だしはやや期待外れ。 「観客や評論家の評価も、中の下といった平凡なもの。重要な部分をCGに頼りきる演出法には眉をひそめた観客も多かったとか。日本でどこまで客足が伸びるか、不安しかありませんね」(前出・映画誌編集者)  映画ファンからは「本当に才能があったら干されない」との厳しい声も上がっているが、はたして汚名返上できるだろうか。

神木隆之介の「将棋」だけじゃない!? 役にドハマリして“マジ”になっちゃった役者たち

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 俳優・神木隆之介が将棋のアマチュア初段を獲得、専門誌「将棋世界」に名前が掲載され、話題となっている。同号には松山ケンイチと東出昌大も初段として名前が掲載されている。  3名はともに将棋を題材とした映画(神木は『3月のライオン』、松山と東出は『聖の青春』)に出演しており、棋士を演じるにあたり、本格的に将棋をマスターした。松山に至ってはぽっちゃり体形の村山聖を演じるにあたり、20キロの増量を行ったことも話題になった。このように、役柄にのめり込むあまり、“マジ”になってしまう俳優は多い。 「刑事ドラマ『Gメン』シリーズで人気を博した丹波哲郎は、警察にスピード違反で検挙された際、『俺はGメンだ』と述べ、見逃してもらおうとしたそうです。もちろん、これのエピソードはことあるごとに披露されており、かなり“盛っている”と思いますが……。松田優作も、映画『蘇える金狼』などで演じたハードボイルドな役柄が抜けず、プライベートでは大変だったようです」(業界関係者)  役柄にのめり込んでしまうのは、俳優ばかりではない。女優であっても同じだ。 「岩下志麻は『極道の妻たち』シリーズに出演した際、役柄になりきってしまい、新幹線で騒いでいた子どもにドスを効かせた言葉遣いで怒ってしまったそうです。当時は本物の極道が岩下を見かけると、深々と礼をしたといいますから、相当なオーラを放っていたのは確かでしょう」(同)  役柄への入り込みは、役者にとっては名物エピソードであり、ある意味、勲章であるのは確かだろう。 (文=平田宏利)

恋愛において“ナカメ作戦”は果たして有効か? 星野源主演の劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』

恋愛においてナカメ作戦は果たして有効か? 星野源主演の劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』の画像1
オモチロイことが大好きな黒髪の乙女(声:花澤香菜)は、夜の京都で様々な変人奇人たちと遭遇する。
 純愛とストーカー行為は紙一重の違いであり、相手に受け入れられれば運命の恋として成就し、拒絶されれば変質者、もしくは犯罪者の烙印を押されることになる。日夜SMプレイに励んでいた熱愛カップルの場合、どちらか一方の恋愛感情が萎えてしまうと、その途端にSMプレイは忌わしいドメスティックバイオレンスと化してしまう。この世で恋愛ほど不条理なものはない。それでも、世の多くの人たちはそんな不条理な状況に自分が陥ることを願ってやまない。森見登美彦の人気小説を湯浅政明監督が劇場アニメーション化した『夜は短し歩けよ乙女』は、思い出すだけで恥ずかしさのあまり身悶えしてしまう、一方通行な恋愛あるあるストーリーが描かれている。  舞台は森見作品でおなじみの京都。原作小説の装画にもなっている中村佑介が描いた、ちょっとレトロな雰囲気を漂わせた美少女・黒髪の乙女(声:花澤香菜)が夜の京都をずんずんと歩き通す。大学で同じサークルに所属する先輩(声:星野源)は、そんな乙女に出逢ったときから一方的に想いを寄せ、“ナカメ作戦”を実行中だ。ナカメ作戦とは「なるべく彼女の目にとまるようにする作戦」のコードネーム。木屋町で開かれた春の宴会では、ひとり夜の先斗町へと繰り出していく乙女の後を追い掛けるも、次々と邪魔が入って思うように乙女に近づけない。下鴨神社で開かれる「下鴨納涼古本まつり」に乙女が出掛けるという情報をキャッチすれば、乙女がお目当ての本に手を伸ばした瞬間に自分も手を出し、紳士的に乙女に譲るという姑息な手段を考える。さらに秋の学園祭では、野外演劇の舞台に急遽出演することになった乙女の相手役の座を狙って野獣のように目を光らせる。すべては偶然を装って、自分こそが運命の男だと乙女の潜在意識に訴え掛けるためである。そんな先輩の苦労を乙女は露知らず、「また逢いましたね」とニコッと笑って、ずんずんずんと歩き去っていく。  森見原作&湯浅監督の顔合わせは、2010年にオンエアされたTVシリーズ『四畳半神話大系』(フジテレビ系)に続いての2度目。京都市左京区ならではのロケーション、森見作品特有のシュールさ、湯浅監督の鬼才ぶりが『四畳半神話大系』では見事に融合したことから、同作のスタッフを再び召集して『夜は短し歩けよ乙女』を劇場アニメーション化することが決まった。『四畳半神話大系』の登場人物そっくりなキャラクターも現われ、『夜は短し歩けよ乙女』と『四畳半神話大系』はパラレルワールド的な関係であることを思わせる。
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先輩役は星野源。多忙だった星野だが、湯浅監督の『マインド・ゲーム』の大ファンだったことから出演を快諾。
 オモチロイことが大好きな乙女は博愛主義者であり、かつ自分のかわいさには無自覚で、グラスに注がれた酒はきれいに飲み干すという気っ風の良さを併せ持つフィクションの世界ならではの聖女的な存在なのだが、多くの男性はこーゆー女の子を見つけると夢中になってしまうもの。偶然を装うために汗みどろになって先回りしようとする先輩の姿は、誰しも心当たりがあるはず。ようやく出逢っても「やぁ、たまたま通り掛かったものだから」とひと言交わしただけで別れてしまう。延々と外堀を埋め続ける日々。大坂夏の陣はいつまで経っても始まらない。湯浅監督いわく「踏み出さなくちゃいけないのに、なかなか踏み出せない迷いは僕にもよく分かる(笑)。先輩の場合はひどくこじらせてしまっているけど、それが面白く、みんな共感する部分でしょう」とのこと。そんなこじらせた先輩役に、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で大ブレイクした星野源を起用。『逃げ恥』の放送前に行なわれたキャスティング会議で先輩=星野源案が異様に盛り上がり、湯浅監督が星野宛てに手紙を送ることで理想のキャスティングを実現させた。  湯浅監督にとって『夜は短し歩けよ乙女』は劇場デビュー作『マインド・ゲーム』(04)以来となる劇場公開作品。『君の名は。』(16)の新海誠監督や『サマーウォーズ』(09)の細田守監督ほどの大ヒット作は放っていないものの、アニメ好きな間では天才アニメーターとして絶賛されている。『マインド・ゲーム』での性交渉時の絶頂シーン、脚本&絵コンテ&演出を担当した『ねこぢる草』(01)での臨死体験シーンなど、アニメーションでしか表現できない世界を描かせると他の追随を許さない異能ぶりを発揮する。『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』(92)の音楽パートの作画・演出を手掛けたことでも知られており、『夜は短し歩けよ乙女』でも学園祭シーンは原作では単に野外演劇だったのをミュージカルに仕立て、星野源に加え、歌手活動もしている花澤香菜、ミュージカル女優の新妻聖子、ロバートの秋山竜次らによる華々しいステージが繰り広げられる。音楽に合わせてキャラクターたちが歌い踊るこのシーンは、序盤の“詭弁踊り”と同様に観る者に心地よい陶酔感をもたらせてくれる。2018年に配信予定の完全版デビルマン『DEVILMAN crybaby』も話題の湯浅監督だが、5月19日(金)には劇場用オリジナルアニメ『夜明け告げるルーのうた』も公開待機中で、こちらはミュージカルパートがよりふんだんに盛り込まれ、湯浅監督の天才アニメーターぶりを存分に味わうことができる。
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下鴨神社糺の森で開かれる古本市。乙女は思い出の絵本『ラ・タ・タ・タム』を求めて、活字の海を泳ぐ。
 原作のテーマ性をうまく際立たせた形で劇場アニメーションにまとめ上げた湯浅監督と『四畳半神話大系』に続いての参加となった脚本家・上田誠(劇団『ヨーロッパ企画』主宰者)のアレンジ力もお見事。納涼古本まつりで古本市の神さまだと自称する少年(声:吉野裕行)は、先輩が気にしていたシャーロック・ホームズ全集を起点に、コナン・ドイル→ジュール・ベルヌ→アレクサンドル・デュマ→黒岩涙香→山田風太郎→横溝正史……と古本市に並ぶ本はすべて平等で、自在に繋がっていると説く。活字の世界はひとつの海であり、人間はその海で暮らすお魚みたいなものらしい。やがて京都に寒い冬が訪れる。『四畳半神話大系』の主人公だった“私”がひとりぼっちの四畳半でコドクの無限ループに迷い込んだように、我々の分身でもある『夜は短し歩けよ乙女』の先輩もまた重い風邪を患い、夜の四畳半部屋でコドクさを噛み締めることになる。春から延々と続けてきたナカメ作戦は、やはりまったくの徒労だったのか?  世の不条理さを呪う先輩だったが、不条理な世の中ゆえに想像もしなかった不思議なクライマックスが訪れる。フィクションならではのご都合主義と笑うなかれ。活字の世界だけでなく、どうやら人間の世界も有機的にひとつに繋がっているらしい。良くも悪くも、ナカメ作戦は100%の無駄ではなかったということ。先輩の上に重くのしかかっていたコドク感は、一杯の温かいたまご酒によってホロホロと溶きほぐされていく。長い長い夜がようやく明けようとしていた。 (文=長野辰次)
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『夜は短し歩けよ乙女』 原作/森見登美彦 脚本/上田誠(ヨーロッパ企画) キャラクター原案/中村佑介 監督/湯浅政明 声の出演/星野源、花澤香菜、神谷浩史、秋山竜次、中井和哉、甲斐田裕子、吉野裕行、新妻聖子、諏訪部順一、悠木碧、檜山修之、山路和弘、麦人 配給/東宝映像事業部 4月7日(金)より全国公開 (c)森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会 http://kurokaminootome.com
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『夜明け告げるルーのうた』 監督/湯浅政明 脚本/吉田玲子、湯浅政明 主題歌/「歌うたいのバラッド」斉藤和義 声の出演/谷花音、下田翔大、篠原新一、柄本明、斉藤壮馬、寿美菜子、大悟、ノブ 配給/東宝映像事業部 5月19日(金)より全国ロードショー (c)2017ルー製作委員会 http://lunouta.com
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『DEVILMAN crybaby』 原作/永井豪 音楽/牛尾憲輔(agraph) 監督/湯浅政明  2018年初春にNetflixにて配信 (c)Go Nagai Devilman Crybaby Project

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