ヒトラー&ナチス映画が最近増えているのはなぜ? 「欅坂46」も巻き込んだナチズムの危険な魅力

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ヒトラー、ヒムラーに次ぐ、ナチスの実力者“金髪の野獣”ハイドリヒ暗殺事件を描いた『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』。
 現代社会に甦ったアドルフ・ヒトラーが毒舌コメディアンとして人気を博し、マスメディアをたやすく牛耳っていくブラックコメディ『帰ってきたヒトラー』(15)はドイツ本国で大ヒットしただけでなく、日本でも2016年に劇場公開され、単館系では異例といえる興収2億円のヒット作となった。『帰ってきたヒトラー』のほかにも、ホロコーストを指揮したアドルフ・アイヒマンに焦点を当てた『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』(15)や『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』(15)、アウシュビッツ裁判が開かれるまでのドイツの実情を暴いた『顔のないヒトラーたち』(14)、ナチ犯罪の爪痕を描いた復讐劇『手紙は憶えている』(15)など様々なヒトラー&ナチ関連映画が日本で公開され、それぞれ話題を呼んだ。  今年もナチ映画の劇場公開が目立つ。7月8日から公開が始まった『ヒトラーへの285枚の葉書』は平凡な労働者階級のドイツ人夫婦が主人公。それまでナチ政権を支持することに何ら疑問を感じることのなかった夫婦が、ひとり息子を戦争で失ったことからヒトラー批判のメッセージカードをベルリン市中に配り歩くようになった実在の事件を描いた感動作だ。8月12日(土)より公開される『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』はナチスによるチェコ支配に抵抗したレジスタンスたちを主人公にしたスリリングな実録映画。映画の後半には激しい銃撃戦が待っている。やはり実話を基にしたユダヤ人少年少女たちのサバイバルロードムービー『少女ファニーと運命の旅』は8月11日(金)より公開される。ユニークな作品としては、ジョニー・デップとリリー=ローズ・メロディ・デップが父娘共演した『コンビニ・ウォーズ バイトJK vs ミニナチ軍団』(公開中)があり、カナディアンナチスを自称した実在の人物エイドリアン・アルカンを元人気子役のハーレイ・ジョエル・オスメントが演じている。
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『ヒトラーへの285枚の葉書』。平凡な労働者階級の夫婦オットーとアンナは、命の危険を省みずヒトラーを批判する。
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1930年代のカナダ、エイドリアン・アルカン(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は反ユダヤ主義を掲げる。『コンビニ・ウォーズ』より。
 なぜゆえ、こうもヒトラー&ナチ関連の映画が最近多いのだろうか。ドイツ現代史研究者で、早稲田大学の非常勤講師を務めている増田好純氏に、日本人があまり知らないドイツの内情について語ってもらった。 増田「ヒトラーやナチスドイツを扱った映画が最近いろいろと作られるようになった背景のひとつとして、戦後70年が経過してドイツでもようやくヒトラーやナチスが歴史として認識されるようになってきたということが言えると思います。戦後のドイツは、ヒトラーやナチスが犯したユダヤ人大虐殺などの大規模犯罪と向き合うことで国際社会からの信頼を得てきたという経緯があります。その反面、自国でヒトラーやナチスを描くことにはとてもナーバスで、タブー視されてきました。『ヒトラー 最期の12日間』(04)は戦後初めてヒトラーを正面から描いたドイツ映画でしたが、政治的な解釈は回避した内容でした。ドイツは戦後ずっとナチ犯罪被害者への補償を続けてきたわけですが、1990年代終わりに持ち上がったナチ政権下における強制労働に対する補償問題は“最後の大規模なナチ犯罪”と呼ばれ、紆余曲折しながらも2001年に基金が設けられ、2007年に補償金の支払いが終了しています。このことから、ドイツ人の喉元にずっと刺さったままだったナチズムの棘が国際政治的にようやく抜けたという感覚になったようです。それ以降、ヒトラーやナチスを題材にした小説や映画などがナチズムの再評価に関わらない限りで容認される雰囲気ができ、ここ数年で次々と形になってきているように感じます」  日本では人気アイドルグループ「欅坂46」が昨年のハロウィンイベントの際にナチス親衛隊を思わせる衣装を着たことが大きな波紋を呼んだが、ドイツでは今でもナチスを連想させる表現は厳しく取り締まられている。 増田「公共の場でヒトラーを賛美したり、ナチスを肯定したりするとドイツでは民衆扇動罪に問われ、逮捕されます。日本は反ユダヤ主義に対して認識がかなり希薄ですが、ドイツでは単なるコスプレでもナチスを思わせる格好で外出することは許されていません。ドイツの学校では現代史の授業に時間が多く割かれますし、生徒が授業中に挙手するときは手を挙げるのではなく、人差し指を立てるようになっています。手を挙げるとナチス式の敬礼を連想させるという理由からです。『帰ってきたヒトラー』はドイツ人の本音をうまく代弁したコメディ映画としてヒットしましたが、ヒトラーに対するドイツでの公的な見識が変わったわけではありません。『帰ってきたヒトラー』はヒトラーを主人公にしたというよりも、ドイツを含めて欧州全体に極右勢力が台頭し、移民を排斥しようとする風潮をタイミングよく風刺した作品だったと思います」  ドイツ国内でナチスに対する歴史的な評価が変わることはないものの、ナチス政権は一般のドイツ市民からは意外なほど高い支持を得ていたことが専門家の研究によって最近明らかになってきたと増田氏は語る。 増田「ナチスドイツは結局、戦争に負けるまではドイツ内部で崩壊することはありませんでした。戦争が始まってからも、ドイツの一般市民の多くはナチス政権を支持していたことが戦後間もなく行なわれた世論調査などで分かっています。占領国から奪った食料や物資でドイツ国内は潤い、戦時中も飢えに苦しむことがなかったんです。戦争体験と飢餓が結びついている日本との大きな違いでしょう。『ハイドリヒを撃て!』ではナチ秘密警察の実力者だったラインハルト・ハイドリヒがチェコレジスタンスたちの暗殺の標的になりますが、37歳でハイドリヒはチェコの統治を任されたように、ナチスは実力のある若い世代を中堅幹部に抜擢していたのも特徴です。若くして責任ある立場に就いたことで、ヒトラーの指示以上に彼らは過激な行動に走っていった傾向があります。ワイマール時代に厳しい貧困生活を強いられた若い世代がナチスを支えていたんです。少子化、高齢者と子どもの貧困問題、外国人を排斥しようとする最近の世界情勢は、ナチスが台頭してきた状況と通じるものがありますね」  これまで多くの映画ではナチスは絶対悪として描かれてきたが、ミルグラム実験を題材にした『es[エス]』(02)や米国の高校で実際に起きた事件に着想を得た『THE WAVE ウェイブ』(08)といったドイツ映画では、ファシズムという状況に簡単に順応し、ナチズムというエリート意識に魅了されてしまう人間の危うい一面が描かれている。また、増田氏が執筆者のひとりとして参加した『教養のドイツ現代史』(ミネルヴァ書房)を読むと、これまでヒトラーやナチスが映画や漫画などの世界でどのように描かれてきたのか、またナチスは同性愛や売春を厳しく取り締まる反面、男女間の婚前・婚外の性的関係には寛容だったなどの興味深いテーマについて知ることができる。大衆を熱狂させたヒトラーとナチスの歴史を含め、ドイツ現代史から学ぶべきことは多そうだ。 (取材・文=長野辰次)
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『ヒトラーへの285枚の葉書』 製作国/ドイツ、フランス、イギリス 監督・脚本/ヴァンサン・ベレーズ 出演/エマ・トンプソン、ブレンダン・グリーソン、ダニエル・ブリュール  配給/アルバトロス・フィルム 7月8日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー中 (C)X Filme Creative Pool GmbH / Master Movie / Alone in Berlin Ltd / Pathe Production / Buffalo Films 2016 http://hitler-hagaki-movie.com
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『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』 製作国/チェコ、イギリス、フランス 監督・脚本・編集/ショーン・エリス 出演/キリアン・マーフィ、ジェイミー・ドーナン、シャルロット・ルボン、アンナ・ガイスレロヴァー、ブライアン・カスペ、トビー・ジョーンズ  配給/アンプラグド 8月12日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開 (C)2016 Project Anth LLC All Rights Reserved http://shoot-heydrich.com
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『コンビニ・ウォーズ バイトJK vsミニナチ軍団』 製作国/アメリカ 監督・脚本・編集/ケヴィン・スミス 出演/リリー=ローズ・メロディ・デップ、ハーレイ・クイン・スミス、ジョニー・デップ、ジャスティン・ロング、ハーレイ・ジョエル・オスメント 配給/パルコ、ハピネット 7月1日より新宿シネマカリテほか全国順次公開中 (c)2015 YOGA HOSERS,LLC All Rightshojo-fanny-movies Reserved. http://conveni-wars.jp
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『少女ファニーと運命の旅』 製作国/フランス、ベルギー 監督/ローラ・ドワイヨン 出演/レオニー・スーショー、セシル・ドゥ・フランス、ステファン・ドゥ・グルート、ライアン・ブロディ  配給/東北新社 8月11日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー (C)ORIGAMI FILMS / BEE FILMS / DAVIS FILMS / SCOPE PICTURES / FRANCE 2 CINEMA / CINEMA RHONE-ALPES / CE QUI ME MEUT - 2015 http://shojo-fanny-movie.jp ■イベント情報 2016年12月に開催された「早稲田大学 白バラ・パネル展」が今秋も予定されている。ナチ政権下のドイツで、ヒトラー政権に抵抗するビラを発行し続けた大学生たちを中心にしたグループ「白バラ」の活動内容や時代背景を解説したパネルや写真が展示される。ドイツ映画『白バラの祈り』(05)の主人公のモデルとなったゾフィー・ショルの21歳の生涯に触れたい。 会場/早稲田大学早稲田キャンパス 小野梓記念館(27号館)地下1階ワセダギャラリー

週末だけ風俗で働く彼女が手に入れたものは何? 震災風俗嬢の日常『彼女の人生は間違いじゃない』

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被災地の景観を撮り続けるカメラマン役の蓮佛美沙子。サバイバーズギルトを題材にした『RIVER』(12)に続いての廣木隆一作品となる。
 福島の仮設住宅で暮らしているみゆきには、本名とは別にもうひとつの名前がある。普段のみゆきは地元の市役所に勤めているが、週末は深夜バスに乗って上京し、YUKIという名のデリヘル嬢として働いている。震災以降、仮設住宅に父親と2人で暮らしているみゆきにとって、YUKIとして東京で過ごす時間はかけがえのないものとなっていた。今週末もまた、みゆきは高速バスに揺られて東京へ向かい、見知らぬ男たちを相手に性サービスに従事する。『ヴァイブレータ』(03)、『さよなら歌舞伎町』(15)など官能映画の名手として知られる廣木隆一監督のオリジナル作『彼女の人生は間違いじゃない』は、廣木監督の故郷・福島を舞台にした社会派官能ドラマとなっている。  近年は有村架純主演『ストロボ・エッジ』(15)や二階堂ふみ主演『おおかみ少女と黒王子』(16)など少女コミック原作の、いわゆるキラキラ映画のオファーが続いていた廣木監督だが、本作の主人公であるみゆき(瀧内公美)はキラキラと輝くことができない女性だ。そんな彼女の日常生活を、廣木監督はカメラで丹念に追っていく。みゆきは震災で母親を失い、当時交際していた恋人の山本(篠原篤)との関係もぎくしゃくして別れてしまった。農業を再開するめどが立たず、父親の修(光石研)はパチンコに通う日々が続いている。みゆきは市役所に勤め、補償金も振り込まれるため、生活費には困っていない。でも、みゆきは今の生活が息苦しくて堪らない。じゃあ、震災前の生活は満たされたものだったのか? 震災後いろいろありすぎて、もはやそれもわからない。高速バスを降りたみゆきは駅のトイレでメイクを整え、YUKIへとスイッチを切り替える。そしてホテルで待つ男性客の求めに応じて、女子高生風の制服やセクシーな下着に着替え、男たちの欲望の海へと身を投げ出す。
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農業ひと筋で生きてきた修(光石研)だが、原発事故によって再開の見通しが立たない。パチンコと酒で憂さを晴らすしかなかった。
 本作には廣木作品の様々なヒロイン像が垣間見える。荒井晴彦脚本作『さよなら歌舞伎町』ではラブホテルのマネジャー(染谷将太)の妹(樋井明日香)は学費を稼ぐため、塩竈から週末だけ上京してAV女優となった。このエピソードを廣木監督が独自に膨らませたキャラクターが本作のみゆきだ。秋葉原通り魔事件を題材にした『RIVER』(12)では蓮佛美沙子が恋人を失った喪失感を埋めようと秋葉原をさまよった。本作にも蓮佛は出演しており、被災地の変わりつつある景色を記録しようとするアマチュアのカメラマンを演じている。福島と東京を高速バスで往復しながら、自分の居場所を探し続けるみゆきの姿は、廣木監督の代表作『ヴァイブレータ』の寺島しのぶと重なり合うものがある。  オーディションによってみゆき役に選ばれたのは、『日本で一番悪い奴ら』(16)で悪徳刑事役の綾野剛を相手に大胆な濡れ場を演じてみせた瀧内公美。本作ではより繊細に、よりむきだしの姿で、みゆきがYUKIへと変身せざるをえない心情を演じてみせる。みゆきをスカウトしたデリヘル業者の三浦に、廣木作品の常連俳優・高良健吾。みゆきと同じ市役所に勤める同僚の新田を演じる柄本時生は、廣木監督のWOWOWドラマ『4TEEN フォーティーン』(04)が印象に残る。みゆきの父親・修役の光石研、元カレ役の篠原篤は、震災後の日本を見つめた橋口亮輔監督の『恋人たち』(15)での演技が高く評価された。実力派俳優たちのアンサンブルによって、補償金の給付がきっかけでバラバラになってしまった家族、仮設住宅に頻繁に現われる新興宗教の勧誘など、被災地の実情が綴られていく。  瀧内公美の裸体に惹かれて本作を観ていた男性たちには、物語の後半にキツ~い一発が待ち構えている。みゆきの元カレ・山本(篠原篤)が久しぶりに故郷に戻り、みゆきに復縁を迫る。山本は何度もみゆきの前に現われ、このままではストーカー化しかねない。仮設住宅の前でみゆきの帰りを待っていた山本に、みゆきは言い放つ。「ホテルへ行こう。前みたいにSEXできたら、また付き合う。そうじゃなかったら、もう会わない」。  場面変わってホテルの一室。ベッドに横たわる裸のみゆきと山本。さぁ、これからというタイミングで、みゆきはデリヘルで働いていることを山本にカミングアウトする。丸裸のみゆきを前にして、彼女が風俗で働いているショックと、このSEXに失敗したら二度と抱くことができないというプレッシャーから、山本の下半身はみるみる萎えていく。それでも、みゆきを手放したくない山本は懸命にカクンカクンと腰を降り続ける。山本の意に反して、肉体は一向に言うことを聞こうとしない。かつては愛し合ったはずの恋人たちの間からは、すでに大切なものがこぼれ落ちていた。昔のような2人には、もう戻ることはできなかった。
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ピンク映画出身の廣木隆一監督。自分の欲望に正直なヒロイン像は、「岡崎京子さんの『pink』などのコミックから多大な影響を受けた」と語っている。
 みゆきとYUKIの心と体も一致しない。デリヘル中のYUKIは本番を強要する乱暴な客に対しては「お店のルールですから」と断固拒否する。でも、福島でモヤモヤすることが重なった週末は、ついつい気持ちが高ぶって男性客の上に自分から股がり、男の欲棒をそのまま受け入れる。行為を終えたYUKIは素顔のみゆきに戻っていた。ホテルのバスタブにひとりで浸かりながら、少女のようなあどけない無防備な表情を見せるみゆき。デリヘル中はYUKIに変身しているつもりのみゆきだったが、結局のところみゆきもYUKIも傷つきやすい生身のひとりの女の子でしかない。  顔バレをはじめ、いろんなリスクを負ってまで、みゆきはなぜYUKIとして風俗の世界で働くのだろう。週末だけデリヘル嬢としてお金を稼いでも、稼ぎの半分はデリヘル業者に経費として差し引かれる。1回2万円のデリヘルだとして、1万円しかみゆきは手にすることができない。福島から東京の往復バス代7,000円をさらに引くと数千円しか手元に残らない。東京での秘密のアルバイトを終えて仮設住宅に戻ってきたみゆきは、パチンコ通いから足を洗うことを決意した父親の修に「子犬を飼いたい」と子どものようにねだる。  みゆきがYUKIとして体を張って手に入れたもの。それは一匹の子犬を飼うためのエサ代として消えていく。そんな彼女の生き方を、廣木監督はカメラに収める。彼女の人生は間違いじゃない。リスクを覚悟の上で、自分の欲望に正直に生きようとするヒロインを廣木監督は全肯定してみせる。 (文=長野辰次) 『彼女の人生は間違いじゃない』 原作/廣木隆一 脚本/加藤正人 監督/廣木隆一 出演/瀧内公美、高良健吾、柄本時生、戸田昌宏、安藤玉恵、小篠恵奈、篠原篤、毎熊克哉、趣里、松永拓野、古谷佳也、碓井将大、キタキマユ、高麗道子 田中仁人、萱裕輔、波岡一喜、麿赤兒、蓮佛美沙子、光石研 配給/GAGA R15 7月15日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次公開 http://gaga.ne.jp/kanojo

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『兄に愛されすぎて困ってます』はビミョーなスタート! 主演映画続く土屋太鳳の、気になる“観客動員力”

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 土屋太鳳主演映画『兄に愛されすぎて困ってます』が6月30日に公開され、週末の観客動員数は14万3,000人(興行通信社調べ、以下同)、興行収入は1億6,500万円で、同ランキング3位に初登場の発進となった。  ただ、2位に入った嵐・大野智主演『忍びの国』は動員40万4,500人、興収4億8,500万円で、『兄に愛されすぎて』とは大差をつけており、なんともビミョーなスタートだ。  土屋は3月25日に公開された、KAT-TUN・亀梨和也主演『PとJK』にもヒロイン役で出演したが、第1週の週末観客動員、興収は今作と同レベルで、とても「動員力がある」とは言えそうにない。 『兄に愛されすぎて』は夜神里奈による漫画が原作で、日本テレビが企画・製作を担当。映画初出演のGENERATIONS from EXILE TRIBE・片寄涼太が準主役に起用された。上映に先駆けて、日テレでは4月から5月に全5話でドラマを放送したが、深夜帯でのオンエアだったため、さして映画のプロモーションにはつながらなかったようだ。  15年前期のNHK連続テレビ小説『まれ』でブレークした土屋は、同12月に公開された『orange-オレンジ-』で主演。同映画は『まれ』同様、山崎賢人とコンビを組むとあって注目を集め、興収32億5,000万円と、そこそこのヒットとなった。だが、その後の主演映画『青空エール』(昨年8月公開)は、興収12億5,000万円と惨敗を喫した。  昨年は映画、ドラマともに獅子奮迅の活躍だった土屋だが、現状では映画に軸足を置いている。今後も、『トリガール!』(9月公開)、『8年越しの花嫁』(12月公開)、『となりの怪物くん』(来年公開)と主演映画がめじろ押し。そうなると、やはり気になるのは、その“観客動員力”だ。 「『兄に愛されすぎて』は爆死ではないものの、決して好スタートとは言えません。『8年越しの花嫁』は佐藤健とのW主演、『となりの怪物くん』は菅田将暉とのW主演であるため、それなりに期待はできそうですが、キャストが弱い『トリガール!』は苦戦を強いられるのでは? 単独主演作でヒット作を出していかないと、今後主演オファーは減っていくでしょうね」(映画ライター)  映画を主たる活動の場にする以上、やはり観客動員という結果が必須。その意味で、土屋にとっては、この先の主演映画が正念場となりそうだ。 (文=田中七男)

『兄に愛されすぎて困ってます』はビミョーなスタート! 主演映画続く土屋太鳳の、気になる“観客動員力”

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 土屋太鳳主演映画『兄に愛されすぎて困ってます』が6月30日に公開され、週末の観客動員数は14万3,000人(興行通信社調べ、以下同)、興行収入は1億6,500万円で、同ランキング3位に初登場の発進となった。  ただ、2位に入った嵐・大野智主演『忍びの国』は動員40万4,500人、興収4億8,500万円で、『兄に愛されすぎて』とは大差をつけており、なんともビミョーなスタートだ。  土屋は3月25日に公開された、KAT-TUN・亀梨和也主演『PとJK』にもヒロイン役で出演したが、第1週の週末観客動員、興収は今作と同レベルで、とても「動員力がある」とは言えそうにない。 『兄に愛されすぎて』は夜神里奈による漫画が原作で、日本テレビが企画・製作を担当。映画初出演のGENERATIONS from EXILE TRIBE・片寄涼太が準主役に起用された。上映に先駆けて、日テレでは4月から5月に全5話でドラマを放送したが、深夜帯でのオンエアだったため、さして映画のプロモーションにはつながらなかったようだ。  15年前期のNHK連続テレビ小説『まれ』でブレークした土屋は、同12月に公開された『orange-オレンジ-』で主演。同映画は『まれ』同様、山崎賢人とコンビを組むとあって注目を集め、興収32億5,000万円と、そこそこのヒットとなった。だが、その後の主演映画『青空エール』(昨年8月公開)は、興収12億5,000万円と惨敗を喫した。  昨年は映画、ドラマともに獅子奮迅の活躍だった土屋だが、現状では映画に軸足を置いている。今後も、『トリガール!』(9月公開)、『8年越しの花嫁』(12月公開)、『となりの怪物くん』(来年公開)と主演映画がめじろ押し。そうなると、やはり気になるのは、その“観客動員力”だ。 「『兄に愛されすぎて』は爆死ではないものの、決して好スタートとは言えません。『8年越しの花嫁』は佐藤健とのW主演、『となりの怪物くん』は菅田将暉とのW主演であるため、それなりに期待はできそうですが、キャストが弱い『トリガール!』は苦戦を強いられるのでは? 単独主演作でヒット作を出していかないと、今後主演オファーは減っていくでしょうね」(映画ライター)  映画を主たる活動の場にする以上、やはり観客動員という結果が必須。その意味で、土屋にとっては、この先の主演映画が正念場となりそうだ。 (文=田中七男)

城定監督『方舟の女たち』、いまおか監督『夫がツチノコに殺されました。』ほかピンク傑作選が一般上映

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城定秀夫監督らしいハートウォーミング作『方舟の女たち』(R-18タイトル『痴漢電車 マン淫夢ごこち』。監督作は100本目前!
 今年もテアトル新宿に心くすぐるピンク色の風がそよぐ季節が到来する。そう、ピンク映画の雄・大蔵映画の近年の珠玉作がR15作品として特集上映される「OP PICTURES+フェス2017」が7月1日(土)~6日(木)、7月8日(土)~14日(金)の13日間にわたって開催されることに。昨年より1か月早いけれど、ハズレなしの“天才映像職人”城定秀夫監督の新作『方舟の女たち』、異才・いまおかしんじ監督の『夫がツチノコに殺されました。』など、選りすぐりのピンク映画13本が日替わりで上映される見逃せないプログラムとなっている。  人気シリーズ『デコトラ・ギャル』や『エロいい話』などのエッチ系Vシネマでも名職人ぶりを見せている城定監督は、今年のピンク大賞最優秀作品賞&監督賞に輝いた七海なな主演作『舐める女』、昨年のピンク大賞優秀作品賞&新人女優賞を受賞した古川いおり主演作『悦楽交差点』をアンコール上映(参照記事)。どちらも「ピンク映画って、こんなに面白いんだ!」と喝采を送りたくなるハイクオリティーな作品。これまでピンク映画を喰わず嫌いしていた人は、ぜひものですよ。  城定監督の新作『方舟の女たち』は、銀行員(希島あいり)、図書館員(竹内真琴)、女刑事(松井理子)という見ず知らずの3人の女たちを主人公にした痴漢電車もの。男運のまるでない女たちの後ろに、サソリ(守屋文雄)と呼ばれる“痴漢の神さま”がそっと現われ、天才的かつ大胆なフィンガーテクで彼女たちをエクスタシーへと導いていく。女性人権擁護団体の関係者が見たら血管がブチ切れそうな設定だが、城定監督は殺伐とした朝の通勤電車を、人と人とが出逢い、袖触れ合う一期一会なファンタジー空間として描いている。城定作品に登場するのは、生きるのが下手な不器用な人間たちばかりだ。今回の城定ワールドでは、クライマックスに札束の雨が降り注ぐ。お金や世間の常識よりも、人間が生きていく上でもっと大切なものがあるんじゃないの。そんなことを思わせるエロくて、ハートウォーミングな75分間。やっぱ、城定作品はいいなぁ。  恵比寿マスカッツにも参加していたセクシータレントの希島あいりは、本作がピンク映画初主演。一本を基本3日間で撮り切るというハードスケジュールのピンク映画業界だが、女優として劇場映画に参加できることが希島はうれしかったそうだ。自己主張できないメガネ女子役の竹内真琴にも、天使として輝く場が用意されている。一見すると地味な女性や演技キャリアのないセクシータレントから素の良さを引き出してみせるのが、城定監督は本当にうまい。どんな女性も自慢の指技でイカせてみせる“痴漢の神さま”サソリとは、どんな女優も演出次第でキラリと光らせてみせる城定監督自身なのかもしれない。
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凉川絢音がツチノコと戦うブッ飛びドラマ『夫がツチノコに殺されました。』(R-18タイトル『感じるつちんこ ヤリ放題!』)。
 林由美香が主演したピンク映画不朽の名作『たまもの』(04)で知られる いまおかしんじ監督の大蔵映画での第2作目『夫がツチノコに殺されました。』は、いまおか監督が長年にわたって温めてきた企画。タイトルのまんま、“幻の珍獣”ツチノコに咬まれて夫が亡くなり、若くして未亡人となった園子(涼川絢音)の物語。あまりにも夫が残念な死に方をしたため、自暴自棄となった園子は自宅に篭って、パンの耳を齧るだけの生活を送っていた。たまたま求人募集していた場末のスナックで園子は仕方なく働き始めるが、そこは本番ありの連れ出しスナック。社会のどん底へと転げ落ちていく園子だったが、そんなどん底社会で様々なワケありな人たちと出逢う。社会の底辺で生きるダメ人間たちとのおかしな交流を、いまおか監督は愛おしく紡ぎ出していく。  いまおか監督の作品はどれも独特のユーモアを感じさせるが、青春Hシリーズ『川下さんは何度でもやってくる』(14)など若くして死んだ友人を仲間が弔うストーリーが度々描かれる。いまおか監督と仲の良かった呑み友達が素人童貞のまま亡くなったことがモチーフになっているそうだ。現実世界で死者を甦らせることは不可能だが、フィクションである映画の世界では自分の前から姿を消した大切な人にまた逢うことができる。いまおか監督が撮るコメディには、そんな切なさが付きまとう。おもろうて、やがて哀しき いまおかワールドなのだ。  本作の脚本を書いたのは、自主映画『まんが島』で今年監督デビューを果たした守屋文雄(参照記事)。城定監督の『方舟の女たち』では“痴漢の神さま”を演じ、本作ではツチノコハンター役も演じている。ピンク映画に出ているときの俳優・守屋文雄は、とても生き生きとしている。
城定監督『方舟の女たち』、いまおか監督『夫がツチノコに殺されました。』ほかピンク傑作選が一般上映の画像3
ノワール風な官能作『静寂(しじま)に抱かれる女』(R-18タイトル『人妻漂流 静寂のあえぎ』)。
 売れっ子オジサン俳優・川瀬陽太が主演した『犯る男』(15)が90分のロングバージョンに再構成された『犯る男 最終版』として今回上映される山内大輔監督の『静寂(しじま)に抱かれる女』もかなりの異色作だ。幼い娘を交通事故で失ったショックから言葉を発することができなくなった女(朝倉ことみ)が、男たちに翻弄されながらも図太く生きていく姿を描いたノワール調のロードムービーとなっている。全編にわたって台詞はほぼなし。会話がない分、女たちの喘ぎ声や腰づかいが印象に残る。今の時代にサイレントムービーさながらの無言劇が許されるのも、自由度の高いピンク映画ならでは。山内監督とのタッグ作が多い朝倉ことみには今年のピンク大賞主演女優賞が贈られ、本作はピンク大賞優秀作品賞との2冠に輝いている。  今年のピンク大賞監督賞ほか3冠を獲得した竹洞哲也監督の『初恋とナポリタン』はピンク映画のエロイメージからずいぶんと掛け離れたタイトルで、エロ描写も控えめ。地方都市でタウン誌の編集をしている桐子(辰巳ゆい)を主人公にした本作は、『SRサイタマノラッパー』(09)のホームタウンとして知られる埼玉県深谷市でロケ撮影されたもの。喫茶店で流れる「パッヘルベルのカノン」をきっかけに常連の男性客と親しくなる桐子、夫や不倫相手から「おい」「お前」と呼ばれることにげんなりしている人妻(加藤ツバキ)など、女性寄りの視点から描かれた非常にナイーブなドラマとなっている。城定作品でおなじみだった演技派女優しじみは、桐子の同僚役で好演&いい脱ぎっぷりを披露。イケてない地方都市在住のアラサー女子たちの『セックス・アンド・ザ・シティ』のよう味わいがある。  時代のトレンドとは逆行した世界だが、入場者のハートと下半身をじんわりと気持ちよくしてくれるピンク映画傑作選。テアトル新宿に通いたくなる夏フェスである。 (文=長野辰次)
城定監督『方舟の女たち』、いまおか監督『夫がツチノコに殺されました。』ほかピンク傑作選が一般上映の画像4
大人の恋愛に踏み出せない30女を主人公にした『初恋とナポリタン』(R-18タイトル『弱腰OL 控えめな腰使い』)。
『OP PICTURES+フェス2017』 7月1日(土)~6日(木)、7月8日(土)~14日(金)テアトル新宿にて上映 R15 (c)OP PICTURES ■上映作品 7月1日(土) 『出会っていないけど、さようなら』 2日(日) 『静寂(しじま)に抱かれる女』 3日(月) 『サイコウノバカヤロウ』 4日(火) 『私みたいな女』 5日(水) 『初恋とナポリタン』 6日(木) 『犯る男 最終版』 8日(土) 『静寂に抱かれる女』『出会っていないけど、さようなら』 『恋愛図鑑』『方舟の女たち』 9日(日) 『サイコウノバカヤロウ』『コクウ』 『プリンセス 甘く危険な休日』『夫がツチノコに殺されました。』 10日(月) 『私みたいな女』 『悦楽交差点』『舐める女』 11日(火) 『初恋とナポリタン』 『方舟の女たち』『夫がツチノコに殺されました。』 『私みたいな女』 12日(水) 『コクウ』 『舐める女』『悦楽交差点』 『静寂に抱かれる女』 13日(木) 『出会っていないけど、さようなら』 『プリンセス 甘く危険な休日』『方舟の女たち』 『初恋とナポリタン』 14日(金)『サイコウノバカヤロウ』 『夫がツチノコに殺されました。』『恋愛図鑑』 『コクウ』 ※上映時間や来場ゲストはHPを要チェック! http://www.okura-movie.co.jp/op_pictures_plus

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向井理……主役は当分無理!? 『神の舌を持つ男』に続き、自ら企画した映画『いつまた、君と』が壮絶爆死!

向井理…主役はもう当分無理!? 『神の舌を持つ男』に続き、自ら企画した映画『いつまた、君と』が壮絶爆死!の画像1
 6月24日に公開された、尾野真千子と向井理のW主演映画『いつまた、君と~何日君再来~』が「週末観客動員数ランキング」(興行通信社の調べ)で初登場7位を記録。邦画では、3週目の藤原竜也&伊藤英明主演『22年目の告白―私が殺人犯ですー』(1位)、上戸彩主演『昼顔』(3位)、2週目の滝沢秀明主演『こどもつかい』(5位)に大きく水をあけられた。  本作は、向井の実の祖母の手記を、向井自身が企画に携わり映画化した作品。監督は映画『60歳のラブレター』(2009年)、ドラマ『偽装の夫婦』(日本テレビ系、15年)などの深川栄洋、脚本は向井が出演したNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』(10年)、NHK大河ドラマ『八重の桜』(13年)などの山本むつみが務めた。13日に亡くなった野際陽子さんの遺作ともなったことで注目を集めていたが、フタを開けてみれば散々な興行成績となってしまった。  向井といえば、昨年7月期に主演した堤幸彦原案・演出連続ドラマ『神の舌を持つ男』(TBS系)が平均5.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と大爆死。製作チームからTBSが離脱しながらも映画化が強行され、同12月に公開された劇場版『RANMARU 神の舌を持つ男』(略称)は、予想通り閑古鳥が鳴くありさまだった。  2作連続で主演映画が大コケとなってしまった向井。ネット上では「向井の自己満足的な映画なんて、向井のファン以外見に行かない」などといった手厳しい意見も見受けられるが、今作は向井自身の企画だっただけに、その責任は軽くない。  向井は7月9日にスタートするWOWOW連続ドラマW『アキラとあきら』で、斎藤工とともにW主演を務める。原作は『半沢直樹』シリーズなどを生み出した人気作家・池井戸潤の作品とあって注目度は高いが、WOWOWドラマであるため、視聴率が出ないのは向井にとってはラッキーかもしれない。  主演映画、ドラマの爆死が続いている向井だけに、映画、地上波局からは当分、主演のお呼びが掛からない可能性もありそうだ。 (文=田中七男)

向井理……主役は当分無理!? 『神の舌を持つ男』に続き、自ら企画した映画『いつまた、君と』が壮絶爆死!

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 6月24日に公開された、尾野真千子と向井理のW主演映画『いつまた、君と~何日君再来~』が「週末観客動員数ランキング」(興行通信社の調べ)で初登場7位を記録。邦画では、3週目の藤原竜也&伊藤英明主演『22年目の告白―私が殺人犯ですー』(1位)、上戸彩主演『昼顔』(3位)、2週目の滝沢秀明主演『こどもつかい』(5位)に大きく水をあけられた。  本作は、向井の実の祖母の手記を、向井自身が企画に携わり映画化した作品。監督は映画『60歳のラブレター』(2009年)、ドラマ『偽装の夫婦』(日本テレビ系、15年)などの深川栄洋、脚本は向井が出演したNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』(10年)、NHK大河ドラマ『八重の桜』(13年)などの山本むつみが務めた。13日に亡くなった野際陽子さんの遺作ともなったことで注目を集めていたが、フタを開けてみれば散々な興行成績となってしまった。  向井といえば、昨年7月期に主演した堤幸彦原案・演出連続ドラマ『神の舌を持つ男』(TBS系)が平均5.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と大爆死。製作チームからTBSが離脱しながらも映画化が強行され、同12月に公開された劇場版『RANMARU 神の舌を持つ男』(略称)は、予想通り閑古鳥が鳴くありさまだった。  2作連続で主演映画が大コケとなってしまった向井。ネット上では「向井の自己満足的な映画なんて、向井のファン以外見に行かない」などといった手厳しい意見も見受けられるが、今作は向井自身の企画だっただけに、その責任は軽くない。  向井は7月9日にスタートするWOWOW連続ドラマW『アキラとあきら』で、斎藤工とともにW主演を務める。原作は『半沢直樹』シリーズなどを生み出した人気作家・池井戸潤の作品とあって注目度は高いが、WOWOWドラマであるため、視聴率が出ないのは向井にとってはラッキーかもしれない。  主演映画、ドラマの爆死が続いている向井だけに、映画、地上波局からは当分、主演のお呼びが掛からない可能性もありそうだ。 (文=田中七男)

君がアル中で、どんなキチガイでもいいんだぜ! ゆうばりグランプリ受賞作『トータスの旅』

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クライマックスで「いいんだぜ」を熱唱する木村知貴。本作の熱演で、2016年の田辺・弁慶映画祭男優賞を受賞した。
 誰かの葬式に参列し、焼香する度に、中島らもの自伝的小説『バンド・オン・ザ・ナイト』を思い出す。小説の中でらもさんは「葬式には行かなかった。葬式に行かないのはおれの流儀で、あの黒枠に囲まれた写真を見てしまうと、もうほんとうにお別れだと感じてしまう。葬式に行かずに、あの黒枠の写真さえ見なければ、いつかどこかの街でばたっと会うような、そんな気のままでいられるからだった」と語った。らもさんを見習いたくもあるけど、亡くなった人の思い出だらけのままでは生きづらい人もいる。若手監督の登竜門として注目される「ゆうばりファンタスティック映画祭」オフシアター部門で今年のグランプリを受賞したのは、永山正史監督の『トータスの旅』。自分の前から姿を消した大切な人を弔うために七転八倒する男たちのロードムービーとなっている。  上映時間82分と短い尺だが、中身はなかなか濃い『トータスの旅』。サラリーマンの次郎(木村知貴)が、ひとり息子の登(諏訪瑞樹)と暮らすアパートから物語は始まる。次郎は妻に先立たれてから、ずっと空っぽな日々を過ごしてきた。その空っぽさを隠すために、登の前ではいい父親であろうと努めている。反抗期に入った登は、常識を押しつけようとする父親も学校も大嫌いだった。ある朝、ずっと音信不通だった次郎の兄・新太郎(川瀬陽太)が婚約者の直子(湯舟すぴか)を連れて現われ、「これから結婚式だ、支度しろ」と言い出す。会社に通ってはいるものの心は虚ろな次郎と不登校状態が続いていた登を連れて、強引に車中旅に向かう新太郎と婚約者。登が生まれる前から次郎が飼っているペットの亀も一緒だ。  人前で常に常識人であろうとする次郎と自称芸術家である新太郎は性格が真反対で、旅行中ことごとくぶつかり合う。この兄・新太郎役を演じている川瀬陽太は、インディーズ映画やピンク映画に猛烈に出まくっている個性派俳優。冨永昌敬監督の『ローリング』(15)やピンク映画『犯る男』(15)に主演し、2016年度の「日本映画プロフェッショナル大賞」男優賞を受賞している。今年に入ってもオールタイロケ作品『バンコクナイツ』(17)や入江悠監督の深夜ドラマ『SRサイタマノラッパー マイクの細道』(テレビ東京系)などの注目作に次々と出演しており、社会からドロップアウトした変人・奇人役をやらせると、とても美味しい風味を醸し出すオッサン俳優である。『トータスの旅』でもファミレスで次郎に絡んできたゴロツキをスリーパーホールドで締め落とし、旅先の見知らぬ他人の家にお邪魔してお風呂をいただき、式を挙げる前の直子との青姦に励む。本能の趣くまま、新太郎はやりたい放題だ。  自由奔放な新太郎に無理矢理連れ出された次郎は、旅の目的地が近づくにつれて顔がこわばっていく。新太郎と直子が結婚式を挙げる予定の島は、次郎と妻が式を挙げた思い出の地でもあった。しかも、妻が交通事故で亡くなった忌わしい場所にも近い。兄に散々振り回され、息子の登は相変わらず自分に心を開いてくれない。次郎が唯一安らぎを覚えるのは、妻と一緒に世話をしたペットの亀だけだった。でも、次郎の心の拠り所だった亀は、旅先で姿を消してしまう。いくら探しても亀は見つからない。それまでずっと理性を守り続けてきた次郎だが、暴風雨の到来と共に感情がぐしゃぐしゃになって爆発する。
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メジャー、インディーズを問わず、映画に出まくっている川瀬陽太(47歳)。今が旬のオジサン俳優なのだ。
 土砂降りの大豪雨が降る中、次郎が向かったのは一軒の居酒屋だった。ズブ濡れになったシャツを脱ぎ、上半身裸でカウンターに座る次郎に、「いらっしゃい」とクールに対応する居酒屋のまだ若いマスター。2人のただならぬやりとりから、このマスターが妻を轢いた加害者だったことが分かる。彼も相当に苦しんだらしい。だから、次郎はこれまで彼を責めることはせず、この店にも事故現場にも近寄らないようにしていた。焼酎を立て続けにいっき呑みした次郎は酔眼になり、常連客が手にしていたギターを奪い取る。いつの間にか新太郎も店に現われ、次郎のパンツをズリ下ろした。生まれたまんまの姿で、次郎は歌い出す。 「いいんだぜ いいんだぜ 君が躁鬱で ヒステリーで アル中で どんなキチガイでも いいんだぜ いいんだぜ」  本作が長編映画初主演となる木村知貴が全裸ギターで絶唱するのは、中島らもが作詞作曲した「いいんだぜ」。放送禁止用語満載でテレビやラジオではオンエアされないが、アルコール依存症や躁鬱病を患い、肝炎に苦しみながら小説やエッセイを書き続けた中島らもが生きとし生けるものすべてを全肯定してみせたロケンロールな曲である。そんな不朽の名曲に気後れすることなく、次郎役の木村知貴は一糸まとわぬ姿で大熱唱する。店の外を吹き荒れる暴風雨と同じくらい、次郎の心の中も嵐が吹き荒れている。それまで、ずっと常識という名の甲羅に閉じ篭っていた次郎は、「いいんだぜ」を歌いながら身も心も素っ裸になっていく。
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新太郎の婚約者・直子(湯舟すぴか)。彼女もまた、壊れた家庭で育ったという生い立ちがあった。
「いいんだぜ いいんだぜ 君がクラミジアでも ヘルペスでも 梅毒でも エイズでも 俺はやってやる なでてあげる 舐めてあげる ブチ込んでやるぜ」  永山監督は中島らもの代表作『今夜、すべてのバーで』や『中島らもの明るい悩み相談室』といった作品から多大な影響を受けているそうだ。中島らもは超進学校・灘高に学年8番で入学するなどIQ185という高い知能指数を持つ一方、就学前の幼児のような好奇心に突き動かされながら、自由気ままに生き、そして52年間の濃厚な人生を終えた。らもさんの葬式は行なわれず、その遺灰は海に撒かれている。エッセイ集『固いとうふ』の最後に「(自分の死体は)目玉、内臓、せきずい、使えるところはみんな他の人のために使ってほしい。残った部分はミンチにして海に投げ込み、魚のエサにしてほしい」と語っている。らもさんの遺灰が肥やしになって、一本の映画が誕生した。それが永山監督が撮った『トータスの旅』である。 (文=長野辰次)
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『トータスの旅』 監督・脚本・編集/永山正史 出演/木村知貴、諏訪瑞樹、川瀬陽太、湯舟すぴか、竹中友紀子、柳谷一成、大宮将司、たくしまけい、近藤善樹、小田篤、上山学、竹下かおり、田中一平、岡本裕輝、満利江、山口陽二郎 7月1日(土)より新宿K’s cinemaにてレイトショー上映 (C)永山正史、武田祥

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やっぱり世の女性は“不倫”がお好き!? 上戸彩『昼顔』劇場版が好スタートで、フジがドラマの続編に意欲!

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 上戸彩と斎藤工のコンビで、不倫を描いた映画『昼顔』が好スタートを切り、製作に携わるフジテレビは、ドラマの続編放送に強い意欲を見せているようだ。  連続ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち』(フジ系)は、2014年7月期にオンエアされ、平均13.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の高視聴率をマーク。特に終盤の4話は、すべて15%を超え、尻上がりに注目度が増す中、終わりを迎えた。「昼顔」の単語は、同年の「新語・流行語大賞」の候補50語にノミネートされて、流行語となるなど社会現象にもなった。  あれから約3年の月日を経て、劇場版『昼顔』が6月10日に公開された。上戸、斎藤、伊藤歩の主要キャストはドラマ版からそのまま。監督はドラマで演出を手掛けた西谷弘氏、脚本も井上由美子氏が担当するなど、可能な限り、ドラマの流れをくんだ格好。設定はドラマの結末から3年後が描かれている。  その劇場版『昼顔』は、興行通信社の調べによると、第1週の週末(同10日、11日)で、21万人を動員し、2億9,400万円の興行収入をあげた。同日に公開された『22年目の告白―私が殺人犯です』(藤原竜也&伊藤英明W主演)が、動員23万3,500人、興収3億2,100万円を記録したため、「週末観客動員数ランキング」は、惜しくも2位にとどまった。  しかし、12日以降の平日の動員がよく、「週間観客動員数ランキング」(同10日~16日)では、『22年目の告白』、大ヒット中のディズニー映画『美女と野獣』などを押しのけて堂々のトップに立った。また、第2週の「週末観客動員数ランキング」(同17日、18日)でも、動員13万6,000人、興収1億9,400万円で3位に食い込んだ。  4月29日以降に封切られたおもな邦画の中で、第1週の週末興行成績は、木村拓哉主演『無限の住人』が14万5,000人(動員、以下同)、1億8,900万円(興収、以下同)。菅田将暉主演『帝一の國』が16万6,000人、2億1,400万円。岡田准一主演『追憶』が18万人、2億2,700万円。野村萬斎主演『花戦さ』が10万7,000人、1億2,600万円。滝沢秀明主演『こどもつかい』が12万人、1億5,000万円といったところで、『昼顔』は、それらの大きく上を行くヒットとなった。 「ドラマの主たる視聴者層は女性、特に主婦層でした。その傾向は劇場版も同様で、観客のほぼ9割が女性。やはり、ほとんどの観客はドラマを見ていた人のようです。主婦層の観客が多いため、平日でも好調な動員ぶりです」(映画ライター)  ここ最近、まるでいいことがないフジにとって、劇場版『昼顔』のヒットは、久しぶりの明るい話題だ。こうなれば、ドラマの続編放送プランを本格的に推し進めることになるだろう。ポイントとなるのは、15年4月期の『アイムホーム』(テレビ朝日系)以来、ドラマから離れている上戸を、フジが口説き落とせるかどうかだ。 (文=田中七男)

やっぱり世の女性は“不倫”がお好き!? 上戸彩『昼顔』劇場版が好スタートで、フジがドラマの続編に意欲!

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 上戸彩と斎藤工のコンビで不倫を描いた劇場版『昼顔』が好スタートを切り、製作に携わるフジテレビはドラマの続編放送に強い意欲を見せているようだ。  連続ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち』は2014年7月期にオンエアされ、平均13.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の高視聴率をマーク。特に終盤の第4話はすべて15%を超え、尻上がりに注目度が増す中、最終回を迎えた。「昼顔」という言葉は、同年の「新語・流行語大賞」の候補50語にノミネートされて流行語となるなど、社会現象にもなった。  あれから約3年の月日を経て、劇場版『昼顔』が6月10日に公開された。上戸、斎藤、伊藤歩の主要キャストはドラマ版からそのまま。監督はドラマで演出を手掛けた西谷弘氏、脚本も井上由美子氏が担当するなど、可能な限り、ドラマの流れをくんだ格好。ドラマの結末から3年後が描かれている。  興行通信社の調べによると、第1週の週末(同10日、11日)で21万人を動員し、2億9,400万円の興行収入を上げた。同日に公開された藤原竜也&伊藤英明W主演『22年目の告白―私が殺人犯です』が動員23万3,500人、興収3億2,100万円を記録したため、「週末観客動員数ランキング」は惜しくも2位にとどまった。  しかし、12日以降の平日の動員がよく、「週間観客動員数ランキング」(同10日~16日)では、『22年目の告白』、大ヒット中のディズニー映画『美女と野獣』などを押しのけて堂々のトップに立った。また、第2週の「週末観客動員数ランキング」(同17日、18日)でも動員13万6,000人、興収1億9,400万円で3位に食い込んだ。  4月29日以降に封切られた主な邦画の中で、第1週の週末興行成績は木村拓哉主演『無限の住人』が14万5,000人(動員、以下同)、1億8,900万円(興収、以下同)。菅田将暉主演『帝一の國』が16万6,000人、2億1,400万円。岡田准一主演『追憶』が18万人、2億2,700万円。野村萬斎主演『花戦さ』が10万7,000人、1億2,600万円。滝沢秀明主演『こどもつかい』が12万人、1億5,000万円といったところで、『昼顔』はそれらの大きく上を行くヒットとなった。 「ドラマの主たる視聴者層は女性、特に主婦層でした。その傾向は劇場版も同様で、観客のほぼ9割が女性。やはり、ほとんどの観客はドラマを見ていた人のようです。主婦層の観客が多いため、平日でも好調な動員ぶりです」(映画ライター)  ここ最近、まるでいいことがないフジにとって、劇場版『昼顔』のヒットは久しぶりの明るい話題だ。こうなれば、ドラマの続編放送プランを本格的に推し進めることになるだろう。ポイントとなるのは、15年4月期の『アイムホーム』(テレビ朝日系)以来、ドラマから離れている上戸をフジが口説き落とせるかどうかだ。 (文=田中七男)