暴力がもたらす痛みをリアルに伝えるのはどっち? 渋谷抗争『クズとブスとゲス』vs『ケンとカズ』

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『クズとブスとゲス』の主演を兼ねた奥田庸介監督。劇中の格闘シーンはすべてガチでやり、ヒリヒリとした生の痛みを感じさせる。
 2016年の邦画界を言い表すキーワードはバイオレンスに他ならない。花沢健吾原作コミックの実写化『アイアムアヒーロー』はゾンビ大量虐殺シーンが強烈なインパクトを残した。人を殴ることに快感を覚える若者たちの無軌道な行動を追った『ディストラクション・ベイビーズ』は単館系ながらロングランヒットとなった。無差別連続殺人鬼がどんな家庭環境で育ったのかを描いた『葛城事件』、違法捜査で出世を遂げる暴力刑事の実録ドラマ『日本で一番悪い奴ら』も今年を代表する作品だろう。渋谷ユーロスペースにて7月30日(土)より公開される『クズとブスとゲス』と『ケンとカズ』の2本も、ドラッグ売買に関わる主人公たちが暴力にまみれる姿を克明に描いた青春犯罪映画となっている。共に30歳と若い監督が撮ったこの2本の作品は、「この映画を撮らずにはいられなかった」という監督の心の中で暗く燃えたぎる情念を感じさせるものとなっている。 『クズとブスとゲス』の奥田庸介監督は1986年生まれ。専門学校時代に撮った自主映画『青春墓場』3部作が評価され、大森南朋や光石研らが出演した『東京プレイボーイクラブ』(11)で一度商業映画デビューを果たしている。だが、トントン拍子で商業デビューを飾ったことに浮かれ、完成した商業デビュー作は不満が残るものになってしまった。清掃業やクラブの用心棒などのバイトで食い凌ぐ一方、気に入らない企画のオファーを断っているうちに、映画の仕事がまったく来なくなってしまった。精神的に不安定な状態となり、「この映画が撮れれば死んでもいい」という想いで作ったのが『クズとブスとゲス』だった。奥田監督の惨状を見かねて、映画業界とは無縁の実の兄がプロデューサーを買って出て、製作費の足りない分はクラウドファンディングで補った。世間に迎合できない奥田監督が身と心を削るようにして撮った作品だ。 『クズとブスとゲス』の奥田監督は主演も兼ねている。見るからに怪しいスキンヘッドの男(奥田庸介)は夜な夜な寂れたバーに現われては、ひとりで呑んでいる女性に近づく。ターゲットに選ばれた女性はグラスの中に睡眠薬を入れられ、スキンヘッドの男の自宅(母親と同居するゴミ屋敷)に連れ込まれ、猥褻画像を撮られる。スキンヘッドの男は、女性を恐喝することで生活費を稼ぐ最低最悪なゲス人間だった。だが、スキンヘッドの男がハメた女はヤクザ(芦川誠)が管理していた商売女だったことから、逆にヤクザに脅され200万円を用意するはめに陥る。手持ちの大麻を売っただけでは足りず、新しい女に触手を伸ばすことに。リーゼントの男(板橋駿谷)はまともな仕事に就けないクズ人間だったが、自分のもとから去っていった恋人(岩田恵里)がデリヘル嬢になっていること知り、その元凶となったスキンヘッドの男の自宅へ殴り込む。かくして、ゲス人間vsクズ人間vsヤクザの三つ巴の争いが勃発する。  奥田監督は学生時代に格闘技を学んだ経験があり、劇中での格闘シーンやリンチシーンでは共演者たちからのパンチや蹴りをガチで受けている。「噓くさいものにはしたくなかった」からだ。ビール瓶を自分の頭でカチ割るシーンがあるが、これも撮影用の飴細工ではなく、本物のビール瓶を割っている。脚本にはなく、演じているうちにその場で衝動的にやってしまった。自主映画時代から一緒に組んできたスタッフだったので、カメラを止めることなくそのシーンを撮り終えた。当然ながら、額から血が噴き出した奥田監督は病院行きとなり、その日の他のシーンは撮影中止となった。だが、奥田監督の狂った情念こそが、この映画を突き動かしている。
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リーゼントの男を演じた板橋駿谷は自主映画『青春墓場』シリーズから出演。奥田監督をよく知るスタッフ&キャストだからこそ完成した。
奥田「自分でもどうかしてると思う。でも、撮影中はいつも『このカットさえ、撮れれば死んでもいい』くらいの覚悟だった。暴力そのものを描きたかったわけではなく、暴力の先にあるものを描きたかった。俺、シルベスタ・スタローンの『ロッキー』が大好きなんです。スタローンの生き様に惹かれるんです。スタローンのことを笑う人もいるけど、『ランボー』や『エクスペンダブルズ』も彼の生き様が作品になっている。『クズとブスとゲス』も自分が思うような映画を撮れず、ずっと苦しかった自分の気持ちをそのまま映画にしたもの。面白いものを観たと思われなくていい、スゲェものを観たと思わせたいんです」  奥田監督にとって暴力シーンは、ヒリヒリとした痛みを伴う生きることの実感を映像に刻み付けるためのものとして存在するようだ。『クズとブスとゲス』が第16回東京フィルメックスのスペシャル・メンション受賞作なら、『ケンとカズ』は第28回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門作品賞受賞作である。本作で長編デビューを果たす小路綋史監督は奥田監督と同じ1986年生まれ。どちらもドラッグ売買に手を染める若者たちを描いており、渋谷ユーロスペースで同日公開されることで、観客動員から作品評価まで比較されることになる。ユーロスペースも、両作品が競い合うことを狙って、ブッキングしたようだ。怪優然としたワイルドな容姿の奥田監督と違って、数日後に取材した小路監督はいかにも映画青年風な物静かな雰囲気である。 小路「早い時期に、奥田監督との対談はどうかと打診されたことがあったんですが、それは僕から断りました。奥田監督のあのキャラには勝てない。対談しても、僕は『そうなんですか』とうなづくだけになってしまう(苦笑)。奥田監督は“死ぬ気”で撮ったそうですが、僕もこの映画が完成しなければ、自分には才能がないんだと諦めて、撮影監督を務めた従兄弟と一緒に故郷の広島に帰るつもりでした。この作品に自分を賭けていたという気持ちでは、引けをとらないつもりです。編集作業に2年半を費やしたんですが、終わりが見えなくて頭がおかしくなりそうでした。あのとき、病院で診てもらったら鬱病だと診断されたでしょうね。自主映画って、24時間作品のことばかり考え続けるから、プライベートとの境目がなくなって、どうかしてきちゃうです」
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覚醒剤売買の実態を描いた『ケンとカズ』。ケン役のカトウシンスケは、『クズとブスとゲス』にもキャラの異なる役で出演している。
『ケンとカズ』の舞台は千葉県市川市。幼なじみのケン(カトウシンスケ)とカズ(毎熊克哉)は小さな自動車修理工場に勤めているが、実はその工場は覚醒剤の売上金を洗浄するための見せかけの職場だった。ケンは恋人(飯島珠奈)の妊娠をきっかけにまともな仕事への転職を考えるが、カズは痴呆症になった母親の面倒を看なくてはならず、まとまったお金を必要としていた。そんな中、敵対する覚醒剤の密売グループを相手に、カズたちは暴力沙汰を招いてしまう。市川の寂れた風景が、ザラついた犯罪映画によく似合っている。 小路「市川の月3万5000円の安アパートに、ずっと暮らしていたんです。そのアパートにはヤクザが来たりして、映画の舞台としてリアリティーがある街だなと思ってました。覚醒剤については警察OBや元売人から話をいろいろ聞くことができたので、迷うことなく撮影に臨むことができましたね。今はインターネットを介して宅配便などで届けられているので、映画では人と人が路上で覚醒剤を受け渡しする少し前の時代設定にしています。その方が映画的だなと思ったんです。この映画では覚醒剤を身近に潜んでいるものとして描いていますが、暴力も遠い存在だとは思えない。すごく身近なところに隠れているものだと感じています」  なぜ、暴力映画が次々と作られるのか。社会背景や映画界の内情などに理由を見つけることは可能だろう。ただ、少なくとも『クズとブスとゲス』の奥田監督と『ケンとカズ』の小路監督の場合は、閉塞的な日常生活から脱出するための手段として、暴力やドラッグまみれの痛みを伴うリアルな犯罪映画を撮り上げたことは確かだ。両監督はまだ面識がない。ユーロスペースでばったり遭ったら、どうするか聞いてみた。「争っている意識はまるでない。でも記事として盛り上がるなら、『つかみ合いのひとつでもやりましょうか』と書いてもらってかまいませんよ」と2人とも笑った。この夏、渋谷の円山町で2本のインディペンデント映画が静かに熱い火花を散らす。 (文=長野辰次)
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『クズとブスとゲス』 プロデューサー/奥田大介、小林岳、福田彩乃  監督・脚本・主演/奥田庸介 出演/板橋駿谷、岩田恵里、大西能彰、カトウシンスケ、芦川誠 配給/アムモ98 7月30日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開 (c)2015映画蛮族 http://kuzutobusutoges.com
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『ケンとカズ』 監督・脚本・編集/小路綋史 撮影・照明/山本周平 出演/カトウシンスケ、毎熊克哉、飯島珠奈、藤原季節、髙野春樹、江原大介、杉山拓也  配給/太秦 PG12 7月30日(土)より渋谷ユーロスペースより全国順次公開 (c)『ケンとカズ』製作委員会 http://www.ken-kazu.com

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共産党バッシングが『ローマの休日』を生んだ? プロの技で不寛容な時代と闘った男『トランボ』

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海外ドラマ『ブレイキング・バッド』の化学教師役でおなじみ、ブライアン・クランストン主演作『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』。
 新人時代のオードリー・ヘップバーンが可憐な王女に扮した『ローマの休日』(53)は不滅のロマンチックコメディとして、今なお多くの人たちに愛され続けている。だが、もうひとつ別の映画を観ることで『ローマの休日』のイメージはがらりと変わってしまう。ハリウッドにおいて黒歴史となっている“赤狩り”の真っ最中に、息苦しいハリウッドから逃れるようにウィリアム・ワイラー監督たちがイタリアロケを敢行して生まれたのが『ローマの休日』だった。世俗の垢と借金にまみれた新聞記者が、アン王女というイノセントな存在に触れることで自分の魂まで売ってしまうことを辛うじて踏み止まるというベタすぎるほどベタな自己再生のドラマだったことに気づく。そして、そのことに気づかせてくれる映画が『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』である。  ダルトン・トランボはハリウッド黄金時代に活躍した人気脚本家で、『ローマの休日』に続き『黒い牡牛』(56)でもアカデミー賞原案賞に輝いている。他にもローマ帝国時代の剣闘士を主人公にした歴史大作『スパルタカス』(60)、ホロコーストを題材にした実録映画『栄光への脱出』(60)、スティーブ・マックイーン主演の脱獄ものの『パピヨン』(73)など数多くのヒット作、話題作を放っている。多彩なジャンルを手掛けた売れっ子シナリオライターだった。その一方、自身の原作小説をみずから監督した『ジョニーは戦場へ行った』(71)は戦争残酷映画の金字塔になっている。職人的気質と作家性を併せ持った脚本家だったことがフィルモグラフィーからうかがえる。  戦前のインテリ層の多くがそうだったように、トランボ(ブライアン・クランストン)もまた共産党に名前を連ねていた。社会革命を望んでいたわけではなく、映画業界で働く裏方たちの労働条件の向上を願ってのものだった。ところが、戦後になって米国とソ連の関係が悪化。共産党員はソ連の手先と見なされ、迫害されることになる。これが赤狩りと呼ばれるものだ。ジョン・ウェインや後に政治家に転向するロナルド・レーガンらが赤狩りの急先鋒を務めた。共産党員のみならず共産党員と親しくしているだけで、糾弾され、仕事も失ってしまう。左寄りの映画人たちは仕方なく転向することになるが、この風潮を良しとせず、最後まで抵抗したのがトランボをはじめとする映画人たち“ハリウッド・テン”だった。
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脚本家のトランボ(ブライアン・クランストン)は共産党員であることを否定しなかったため、ブラックリスト入りするはめに。
 トランボは下院非米活動委員会の聴聞会に呼び出され、態度を改めなかったために刑務所送りとなる。非米活動委員会は表現者たちを標的にした魔女狩りの場だった。でも、トランボに落ち込んでいる暇はない。妻クレオ(ダイアン・レイン)や幼い子どもたちを食べさせるために、刑務所に入る前も出てからも、ガムシャラに脚本を書きまくった。もちろん実名は出せないので、偽名を使っての裏稼業だった。そんな厳しい環境の中で書き上げられた脚本が、『ローマの休日』や『黒い牡牛』といったアカデミー賞受賞作品だった。ハリウッドはトランボを追放しておきながら、彼が偽名で書いた作品を絶賛していたことになる。その時代時代の政治情勢に左右されるハリウッドセレブたちの底の浅さが浮かび上がる。  キューブリック監督作として知られる『スパルタカス』はカーク・ダグラスが反乱を起こす奴隷剣闘士を演じた歴史活劇だが、トランボの経歴を知ることで、これもまた違った価値観が生じる。メキシコで撮影された『黒い牡牛』もそうだ。『黒い牡牛』は小さいときから牡牛と一緒に育った無垢な少年の物語であり、立派に成長した牡牛は闘牛場へと引っぱり出されて闘牛士と戦わせられることになる。自分が大切に育てた牡牛を死なせたくないあまり、少年は危険な闘牛場の中へと飛び込んでいく。剣闘士スパルタカスが体を張って求めていたものも、メキシコの少年が懸命に守ろうとしたものも、ありきたりな表現に置き換えれば、自由や尊厳という言葉になるだろう。そして、それは『ローマの休日』のアン王女がずっと探し続けていたものでもあった。
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トランボに仕事を回すプロデューサーを演じたのはジョン・グッドマン。『マチネー』『アルゴ』など古き善き時代の映画人役がよく似合う
 自由と尊厳を手に入れるために、トランボは必死で闘い続けた。暴力に訴えるのではなく、タイプライターを叩き続けることで、プロの脚本家として闘い続けた。『ローマの休日』『黒い牡牛』といった名作のみならず、一家の主として妻クレオや長女ニコラ(エル・ファニング)たちと暮らす家を守るために、ギャラの安いB級映画の仕事も断ることなく引き受けた。ペンネームで書くことに抵抗を覚える“ハリウッド・テン”の他の脚本家たちのケツを叩きながら、猛烈な勢いでシナリオを量産した。業界内だけでなく、世間からも冷たい目で見られながら、圧倒的な作品のクオリティーと量とで偏見を凌駕し、トランボはサバイバルし続けた。裁判で勝つか負けるかよりも、自分と家族をちゃんと食べさせていけるかどうかがトランボにとってはいちばん大事だった。それがトランボなりの闘い方だった。  映画の世界に政治の嵐が吹き荒れたのは、米国だけではない。米軍の占領時代にあたる1946年~1948年には、日本では“東宝争議”が起きている。中でも1948年の第3次東宝争議では組合員たちが東宝砧撮影所に立て篭り、日本の警察だけでなく米軍の偵察機、戦車まで出動し、撮影所内が戦場になる寸前だった。東宝の人気俳優だった大河内伝次郎、長谷川一夫、高峰秀子らは政治活動を嫌って組合から脱退。このとき東宝第二撮影所(今の東京メディアシティ)が設立され、新東宝が誕生している。一方、スター俳優が抜けた東宝は東宝ニューフェイスを募り、三船敏郎や久我美子らがデビューすることになる。新東宝は1950年代後半にはジリ貧となり、やがてエログロ路線に活路を求めていく。『トランボ』みたいな実録ドラマ、日本でも作られないだろうか? (文=長野辰次)
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『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』 原作/ブルース・クック 脚本/ジョン・マクナマラ 監督/ジェイ・ローチ  出演/ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、エル・ファニング、ヘレン・ミレン、ルイス・C・K、ジョン・グッドマン、マイケル・スタールバーグ 配給/東北新社 STAR CHANNEL MOVIES 7月22日(金)より日比谷TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー Hilary Bronwyn Gayle(c)2015 Trumbo Productions, LLC. ALL RIGHTS RESERVED http://trumbo-movie.jp

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ネタバレ避け? まだ完成してない? 『シン・ゴジラ』試写会ナシの異常事態

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『シン・ゴジラ』オフィシャルサイトより
「29日には初日を迎えるのですが、今のところ一度も試写会が行われていないんです。業界では、この期に及んでまだ完成していないんじゃないかって声まで上がっていますよ」(映画関係者)  29日に公開される怪獣映画『ゴジラ』の最新作『シン・ゴジラ』(庵野秀明総監督・脚本、樋口真嗣監督・特技監督)。日本で12年ぶりに製作され、主演に長谷川博己、ヒロインに石原さとみを配し、竹野内豊や高良健吾など総勢328名もの出演者がいる話題作だけに、試写会がないことが異例中の異例だという。 「実は、公開前の25日には出演者をはじめスタッフも総出でレッドカーペットセレモニーイベントを行うのですが、ここでも正式な作品は上映しないというのです。おそらく、東宝も試写会をすることで得られる宣伝効果よりも、ネタバレを恐れたんじゃないかってもっぱらですよ」(芸能事務所関係者)  実際、『ゴジラシリーズ』はコアなマニア層に支えられている部分があり、試写会を行うことでネタバレを含むレビューがネット上にあふれるなどして、公開時の動員記録に影響を与えるといわれている。事実、過去の『ゴジラシリーズ』は初週の成績はそこそこでも、2週目になると明らかな減少傾向を見せることもあったという。 「そういうこともあるので、東宝としては秘密主義で今回の公開までいこうと決めたんでしょうね。ただ、先日行われた『とやま映画祭』で、ゲストだった樋口監督と尾上克郎准監督が、作品そのものがまだ完成していないという趣旨の発言をしたのも事実ですが(苦笑)」(広告代理店関係者)  果たして、この決断が吉と出るか凶と出るか――。

気になる人“ポスト・ムツゴロウ”パンク町田が、明かされることのない動物園の裏側を赤裸々トーク

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この人が動物研究家のパンク町田氏。猛獣、猛禽類、爬虫類から昆虫に至るまで、様々な動物たちの生態に精通しているのだ。
 ア~ア、ア~ッ! 千葉県在住のターザンが都内の映画館に現われた。“千葉のターザン”ことパンク町田氏は動物研究家として知られ、畑正憲さんが“ポスト・ムツゴロウ”と認めるほどディープな愛情を動物たちに注いでいる。『変態ペット図鑑』(飛鳥新書)、『飼ってはいけないマル禁ペット』(どうぶつ出版)など猛獣や猛禽類の飼育方法を解説した様々な本を出版するだけに留まらず、千葉県旭市では人間と動物との新しい可能性を研究するための施設「アルティメット・アニマル・シティ」を運営しているのだ。7月17日、ムツゴロウさんばりにキャラの濃いパンク氏が、マニアックな映画70本を絶賛上映中の新宿シネマカリテの“カリコレ2016”の一本『ZOOMBIE ズーンビ』のトークゲストとして登場。動物たちの隠された生態について語った。
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こちら新宿シネマカリテで上映中の『ZOOMBIE ズーンビ』。猛獣たちがゾンビ化して、動物園が大変!
 ちなみにこの『ZOOMBIEズーンビ』は、低予算映画でおなじみ米国アサイラム社が製作した動物パニック×ゾンビ映画のハイブリッド作品。世界各地の絶滅危惧種の野生動物を集めたエデン自然動物園で、一匹のちっちゃな猿がゾンビ化し、次々と他の動物たちに感染。ただでさえ獰猛なライオンやゴリラたちがゾンビ化し、ますます凶暴に。木の上に逃げても、ゾンビ化したキリンたちが襲ってくる。さらにはかわいいコアラまでゾンビ化して、ちびっ子が大ピンチ。楽しいはずの動物園が、逃げ場のない阿鼻叫喚地獄に早変わりしてしまうというものだ。  終映後に登壇したパンク町田氏。世界の辺境やジャングルを旅して猛獣や珍獣たちと触れ合ってきただけに、体験談が異様に面白い。MC役のお宝映画発掘家の中野ダンキチ氏を相手に、パンク節が冴え渡った。 パンク町田「この映画に出てくるゴリラは、西アフリカに生息するクロスリバーゴリラといって、すごい希少動物なんです。俺もまだ直接逢ったことがないので、映画に出てくるエデン自然動物園がすごく羨ましかった。動物たちは次々と感染してゾンビになるけど、なぜか人間には感染しないってことになっているんですよね? そこがちょっと疑問だった。ゴリラと人間は遺伝子レベルで見れば、97~98%は同じなんです。だから人間に感染しないなら、ゴリラも感染しないはず。ゴリラがゾンビ化するシーンはどうかなって思いましたね」  アサイラム社のB級映画に科学的なツッコミを入れ、パンク氏はこの日満席だったお客さんたちのハートを速攻でつかむ。ダンキチ氏からの「普段はおとなしいけど、怒らせると怖い動物は?」という質問に、パンク氏は「ゾウ!」と即答する。 パンク町田「人喰いゾウって、本当にインドにいたんです。そのゾウが人喰いになったのは、ちゃんとした理由があったんです。ある村人が子どものゾウをさらって、売り飛ばしたんですね。それで母親ゾウが復讐して、村人を殺したんだけど、それだけじゃ気が収まらなくて、食べちゃったの。当然、そのゾウは射殺されたけど、胃の中から人肉が出てきたそうです。だから、頭がいいゾウは怒らせちゃ絶対にダメ」
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「闘わせたら面白い動物? アンタッチャブル柴田さんと武井壮さんを闘わせたら面白いと思いますよ」とユーモアセンスも素晴しい。
 パンク氏はさらにゾンビ化したら恐ろしい動物について語った。 パンク町田「カラスなんて、あちこちにいるからゾンビ化したら恐ろしいよね。犬もゾンビ化したら、怖いですよ。犬って人間にとっていちばん身近なペットになっているけど、犬が怒って本気になると凄いんです。20kgある犬だと、40kgあるイノシシを倒してしまうほど強い。人間は60kgあっても40kgのイノシシに勝てないですよ。犬は強いし、敏捷性もあるから、ゾンビ犬になったら恐ろしい。ポチとか名前を付けてる飼い犬でも、大変なことになりますよ」  その道の達人が解説を加えることで、低予算映画にほんのり含有されていた面白みがぐんぐんと膨らんでいくではないか。ちなみにパンク氏の生業だが、海外から輸入してきた野生動物たちを、餌付けしたり檻の生活に順応させてから国内の動物園に引き渡す仲介業になるそうだ。それゆえ、一般人が普段知ることがない動物園のブラックな部分についても詳しい。 パンク町田「動物園にいる動物たちの中で、性格が悪いのはカピバラですね。仲間と一緒に温泉で和んでいるイメージがあるかもしれないけど、仲がいいのは同じ群れ同士だけ。カピバラの数が少なくなって、見栄えが悪いからと後から数匹のカピバラを補充して同じ檻に入れると、血まみれの殺し合いになります。大人だからダメなんだろうと子どものカピバラを入れた動物園では、子どものカピバラが血まみれにされた。カピバラの数を増やすときは、以前からいたカピバラはどこかへやってからじゃないとダメなんです。カピバラって陰険なんですよ。血まみれの檻を見て以来、カピバラのことが嫌いになった。それで俺、いつも『カピバラみたいな大人にはなるな』って言ってるんです」  他にも人気動物園にまつわるダークな裏話が飛び出したが、そのネタを活字化するのは封印しておこう。せっかくなので、パンク氏に「猛獣に襲われて、いちばんヤバいと思った体験は?」と尋ねてみた。ライオン、トラ、ヒョウ、ニシキヘビなど様々な猛獣たちに襲われたパンク氏だが、いちばん怖かったのは……。
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20年ほど前にヒョウに襲われたときの傷跡。全身傷だらけになりながらも、猛獣たちを愛してやまない。
パンク町田「ニューギニアに行ったときの体験ですね。おしっこがしたくなって、その場でするのは気が引けたので、フェンスを乗り越えて、用を足そうとしたんです。小さい山があったので、そこにしょんべんしていたら、イリエワニのデカい奴が現われて、追っかけてきた。あやうく捕まりそうになったけど、しょんべんを出したまま走って、ベリーロールでフェンスを乗り越えたの。しょんべんまみれになりながら逃げた。体育の授業は嫌いだったけど、ベリーロールだけは覚えていて良かった。フェンスでモタモタしてから、確実に喰われたよ。俺がしょんべんした山って、ワニが卵を孵化させるための巣だったの。大事な卵におしっこされたら、ワニじゃなくても怒るよね。ワニって動きが鈍そうだけど、本気を出すとギャロップ状態になって時速15kmで走るから、人間よりも速いよ。ワニが襲ってきた瞬間は、本当に『死ぬな』と思った。危なかった」  30分間にわたるトークでお客さんを楽しませた後のパンク氏に、「猛獣に襲われた痕が見たい」と頼むと、「いいよ」と気軽に上半身裸になってくれた。肩の傷跡はインドネシアでヒョウに引っ掻かれたときのもので、11針縫ったそうだ。何度も痛い目に遭いながら、それでもパンク氏は動物のことが好きで好きで堪らないらしい。タブーだらけの人間社会と違って、動物たちと本音で接しているパンク氏。これから、ますます引っ張りだこになりそうな注目キャラなのだ。 (文=長野辰次)
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『ZOOMBIE ズーンビ』 製作/デヴィッド・マイケル・ラット 監督/グレン・ミラー  出演/アイオン・バルミー、アンドリュー・アスパー、マーカス・アンダーソン、キム・ニールセン、ララ・ネスター 新宿シネマカリテ(カリコレ2006)にて公開中 (c)2016 SLIGHTLY DISTORTED PRODUCTIONS,LLC All Right Reserved.

反日思想とも自虐史観とも異なる歴史サスペンス!“猟奇的な花嫁”チョン・ジヒョン主演作『暗殺』

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「お父さん、ありがとう」という感謝の言葉の代わりに『暗殺』の花嫁(チョン・ジヒョン)は拳銃を向ける。“父殺し”は本作の裏テーマだ。
 8月15日は日本人にとって終戦記念日として認識されているが、お隣の韓国では日本からの独立を果たした“光復節”として祝日となっている。もうひとつ、8月29日も韓国人にとっては忘れられない記念日だ。こちらは“庚戌国恥日”とされ、1910年に朝鮮半島が日本に併合された国辱記念日となっている。1910年8月29日から1945年8月15日までの36年間は“日帝時代”と呼ばれ、多くの韓国人の脳裏には暗い時代として刻まれている。そんな日帝時代の京城(現ソウル)を主舞台にした韓国映画『暗殺』は、抗日ゲリラとして歴史の裏側で暗躍した人々を主人公にしたアクション大作として韓国で記録的なヒット作となった。一見すると日本人を悪者として描いた反日映画かと思ってしまうが、ラストシーンまで観ることで韓国人にとっても日本人にとっても、実に味わい深い歴史ドラマであることに気づく。  日帝時代は韓民族にとってなかったことにしたい時代であり、この時代を題材にした映画はヒットしないと、タブー知らずの韓国映画界でもタブー視されてきた。日本と韓国で、また韓国内でも歴史認識が大きく異なる複雑な時代なのだ。日本に併合される以前の朝鮮半島は、ずっと封建体制が続いたままの弱小国だった。併合をきっかけに、半島内のインフラや教育制度が整い、各種産業が発達し、近代化への足掛かりとなった歴史の転換期でもあった。ギャンブラーを主人公にした『タチャ イカサマ師』(06年)でブレイクし、犯罪エンターテイメント快作『10人の泥棒たち』(12年)を大ヒットさせたチェ・ドンフン監督は、この激動の時代を価値観が定まっていなかった描きがいのある時代として捉えている。善悪という道徳論に囚われないアウトローたちが活躍するチェ・ドンフン監督作品のキャラクターたちにとっては、逆に魅力的な時代なのだ。 『暗殺』には表の主人公と裏の主人公がいる。表の主人公となるのは、『猟奇的な彼女』(01年)が日本でも大ヒットした人気女優チョン・ジヒョンが演じる愛国義士のアン・オギョン。満州で抗日スナイパーとして活躍していた彼女は、韓国臨時政府から速射砲(チョ・ジヌン)、爆弾職人(チェ・ドクムン)たちと共に召還され、京城にいる日本政府の高官と日本に媚びを売って利権を手に入れた親日派の朝鮮人実業家を暗殺せよと命じられる。オギュンたちは日韓政略結婚を控えた日本高官と親日派の実業家が会食に出掛ける機会を暗殺決行日に定めるが、この暗殺計画は日本側に漏れており、日本側に雇われた賞金稼ぎハワイ・ピストル(ハ・ジョンウ)がオギュンたちの行く手を阻む。スナイパーとしての凄腕ぶりを発揮するオギュンだったが、奮戦むなしく暗殺は失敗。多大な犠牲を払ったオギュンは単独でのリベンジマッチを誓う。
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舞台は1933年の京城(現ソウル)。速射砲、アン・オギュン、爆弾職人の3人は、日本の政府高官と親日派の実業家の暗殺計画を実行に移す。
 オギュンが自分の命と引き換えに逆襲の場に選んだのは、政略結婚の披露宴会場だった。当時の最新トレンドスポットだった京城三越百貨店で日本軍関係者と親日派の来賓が集まって盛大な披露宴が催されるが、この披露宴にオギュンは大胆にも花嫁に扮して潜入。純白のウェディングドレス姿のオギュンは花束ブーケに隠した拳銃で、武装解除していた日本の軍人たちを次々と射殺する。晴れやかな結婚式場が一瞬にして血の海に変わっていく、衝撃のサプライズ演出! 映画史に残る血まみれの結婚式だと言っていいだろう。『猟奇的な彼女』ならぬ“猟奇的な花嫁”の誕生である。  実はこのオギュン、双子という設定になっている。サスペンス映画で双子設定は禁じ手だが、禁じ手を使ってまでもチェ・ドンフン監督は2つの青春を描きたかった。オギュンと姉の満子(チョン・ジヒョン2役)は幼い頃に生き別れとなり、オギュンは満州の寒村で抗日ゲリラとして育った。一方の満子は親日派の実業家である父親のもとで、自分の幸せに疑問を抱くことなく成長した。運命の糸によって手繰り寄せられたオギュンと満子の間に、2つの異なる価値観が激しく火花を散らし合う。オギュンは貧しいながらも気高い戦士として育った。対する満子は洗練された美しい女性だが、韓民族としてのアイデンティティーは持っていない。年頃の女性らしくオシャレして恋愛も経験してみたいとオギュンは心の底で願っており、満子は自分が失ってしまったアイデンティティーを懸命に求めようとする。双子の想いがまるで太極旗の陰と陽のように渦を巻き、ウェディングドレスに身を包んで銃を乱射するという最強の女コマンドーへと双子は変貌を遂げる。  オギュンが表の主人公なら、裏の主人公はオギュンたち暗殺部隊を京城まで導いた韓国臨時政府の警務隊長ヨム・ソクチン(イ・ジョンジュ)だ。ソクチンは若い頃は抗日ゲリラとして名を馳せたが、日本軍に捕まった際に命乞いをして二重スパイになっている。オギュンたちの暗殺情報を日本側に流していたのはソクチンだった。朝鮮人を人間扱いしない胸くそ悪い日本人も登場するが、それ以上に悪辣なのが、祖国と日本とを天秤に掛けるソクチンや自分の野心のために妻や子どもを平気で殺してしまう親日派の実業家たちである。朝鮮半島がずっと強国の支配下にあり、今も分裂国家のままなのは、自分の利益のことしか考えず、同胞同士で足を引っ張り合う輩があまりにも多すぎるためだと本作は物語っている。
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韓国臨時政府の警務隊長ヨム・ソクチン(イ・ジョンジェ)は日本軍と通じている二重スパイだった。戦後、裁判を受けるはめになる。
 えげつない男ソクチンを裏の主人公に据えることで、チェ・ドンフン監督は本作が薄っぺらい反日映画に陥ることを防ぎ、韓民族にとって苦味のあるリアルな歴史ドラマに仕立てている。ソクチンもまた単なる悪役ではない。先行きの見えない時流の中で、常に神経を張り巡らして強いほうに付くことでサバイブしてきた。民族独立という理想のために身を捧げるオギュン、冒険と恋に生きるロマンチストのハワイ・ピストルとも異なる、徹底したリアリストなのだ。『イルマーレ』(01年)など実直な青年のイメージが強かったイ・ジョンジュがこの難役に挑んでいる。「まさか韓国が独立する日がくるとは思わなかった」と彼が最期に漏らす台詞が印象的だ。  本作に登場する人物は日本兵も含めて、すべて韓国人キャストが演じており、従って日本兵は奇妙ななんちゃって日本語を話す。このことに違和感を覚える人もいると思うが、これもドンフン監督の演出だと考えたい。本作は日本人を悪者として描くことを主眼としておらず、あくまでも韓民族内部の問題として日帝時代を振り返りたかったのではないだろうか。チョン・ジヒョン、ハ・ジョンウたちがノースタントで挑んだド迫力のアクション映画としても充分に面白いが、善悪の二元論に収まらない歴史ドラマとしてもずしりとした重みを感じさせる。 (文=長野辰次)
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『暗殺』 監督・脚本/チェ・ドンフン 出演/チョン・ジヒョン、イ・ジョンジェ、ハ・ジョンウ、オ・ダルス、チョ・ジヌン、チェ・ドクムン、イ・ギョンヨン、チョ・スンウ、キム・ヘスク、パク・ビョンウン、キム・ウィソン、イ・ヨンソク  配給/ハーク 7月16日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー (c)2015 SHOWBOX AND CAPER FILM ALL RIGHTS RESERVED. http://www.ansatsu.info

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実質“干されている状態”黒木瞳「女版・北野たけし」計画も、霧散で……

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『ひとみごちて―黒木瞳「阿修羅のごとく」』(角川書店)
 映画『嫌な女』(6月25日公開)で初監督を務めた黒木瞳だが、残念ながら作品の評価は芳しくないようだ。 「W主演の吉田羊と木村佳乃の演技力は称賛されているものの、映画としての評価は0点に近い。無駄なドアップや長回しが多く、照明も暗い。正直、レベルは低いと言わざるを得ない。興行収入は、ヘタしたら1億円もいかないのでは」(映画ライター)  そもそも女優が本業で、監督としての勉強をしてきたわけではないのだから、この結果は当然ともいえる。しかし、最近の黒木は、賭けに出ざるを得ない状況に追い込まれていたという。業界関係者が明かす。 「一見、以前と変わらず活躍しているように見えますが、黒木は今、業界では“干されている”といってもいい状況なんです。というのも、2011年に、長年二人三脚で歩んできた所属事務所の女社長が死去。黒木は、お世話になった事務所をあっさり見捨て、個人事務所を設立して出ていった。この義理を欠いた行動に、オファーが激減してしまったんです。電通マンの夫の力で、なんとかわずかばかりの仕事が回ってきますが、このままではジリ貧なことは彼女自身、よくわかっていた。そこで、映画監督として女版・北野たけしを目指し、『文化人』の肩書を得ようとしたわけです」  しかし、もくろみは見事に失敗。やはりファンが黒木に望むのは、映画監督ではなく女優……それも、代表作『失楽園』を超える過激濡れ場ではなかろうか?

実写映画『テラフォーマーズ』大爆死で続編計画が中止! 伊藤英明の黒歴史に……

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映画『テラフォーマーズ』オフィシャルサイトより
『鋼の錬金術師』や『銀魂』など人気コミックの実写化が発表される中、その行く末を暗示するように大コケしたのが、今年4月に公開された伊藤英明主演の映画『テラフォーマーズ』(ワーナー・ブラザーズ)だ。  豪華キャストに加え、監督は大御所・三池崇史氏。原作漫画は累計1,500万部を突破する人気ぶりだったが……。 「配給元の興収目標は30億円。ゴールデンウィークに合わせて全国327スクリーンで公開されるなど、相当力が入っていた。それがフタを開けたら、目を覆いたくなるほどの大爆死。公開週の興収は1億5,000万円余り。スタッフ全員が顔面蒼白になったそうです」(映画関係者)  目標の30億円どころか、最終興収成績は10億円にも遠く及ばなかったという。 「映画を見た人ならわかると思うが、同作はあえて続編を意識した作りにしていた。それがあまりの不入りで、続編は白紙になった」(同)  公開されるはずの映画が中止になるのは、最近では“第2の寅さんシリーズ”を狙った大沢たかお主演の映画『築地魚河岸三代目』(松竹)と、連ドラの段階で大惨敗したEXILE・AKIRA主演の『HEAT』(フジテレビ系)くらいのもの。主演の伊藤にとって『テラフォーマーズ』は“黒歴史”になってしまったようだ。

日本を壊滅寸前に追い詰めた“透明な怪獣”とは? 多角的視点で描いた実録パニック映画『太陽の蓋』

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福島第一原発に関する情報が官邸にまるで入ってこないため、菅総理(三田村邦彦)のイライラがどんどん募っていく。
 映画史上もっとも臨場感に溢れた、おぞましい“怪獣映画”が日本で公開される。ハリウッド超大作を遥かに凌ぐ、迫真のディザースタームービーだと言っていい。インディペンデント映画『太陽の蓋』こそ、史上最悪にして最凶の怪獣映画だ。この映画に登場する怪獣とは目に見えない放射能であり、それまで安全神話に守られてきた見えない怪獣によって、日本が壊滅寸前にまで追い込まれた3.11の恐怖をまざまざと再現している。  2011年3月11日、マグニチュード9.0という大地震に東日本が見舞われる。だが、それは単なる予兆にしか過ぎなかった。続いて、それまで見たことのなかった黒い巨大な大津波が太平洋沿岸一帯に襲い掛かり、街や人を呑み込んでいく。さらに大地震&大津波という大自然の脅威は、福島第一原発のすべての電力システムを破壊。これにより冷却機能を失った福島第一原発の炉心は、想定外の暴走を始める。人類の英知が生み出した最新科学の結晶だったはずの原発は、大量の放射能を撒き散らす邪悪なモンスターへと変貌していく。  超ヘビーなノンフィクション本『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の500日』(門田隆将著、PHP研究所)では被災時の福島第一原発所長・吉田昌郎の視点から、テレビ中継ではうかがい知ることができなかった事故現場の内状が生々しく語られた。まさにイチエフで地獄の扉は開きつつあったのだ。一方、『原発危機 官邸からの証言』(福山哲郎著、ちくま新書)をベースにした映画『太陽の蓋』では東京の総理官邸の地下にある危機管理センターを中心に、同じく官邸内にある記者クラブ、東京で暮らす一般家庭、そして福島第一原発近くにある地元育ちの所員の自宅、と複数の視点から多角的に福島第一原発事故を描き、当時の日本がどれだけパニック状態に陥っていたかを冷静に振り返っている。  実在の政治家たちが登場する『太陽の蓋』の主舞台となるのは総理官邸だ。地下にはこの日のために造営されていた危機管理センターがあったが、福島第一原発事故に関してはまったくと言っていいほど機能しなかった。菅総理(三田村邦彦)、枝野官房長官(菅原大吉)ら閣僚たちが大地震発生を知って官邸に次々と集まるが、気になる福島第一原発がどのような状況なのかという情報はまるで危機管理センターに入ってこない。菅総理は終始イライラしている。原子力安全保安院の院長(島英臣)に「原発はどうなっている?」と尋ねても、「分かりません。私は東大の経済出身です」とトンチンカンな回答しか返ってこない。原子力安全委員会委員長の万城目(岩谷健司)に至っては、「爆発なんかありえない」と言ったその日に1号機が水素爆発を起こす。1号機の屋根が吹き飛ぶ映像を見た万城目は「あちゃー!」と頭を抱える。もっとも重要な判断が求められる総理官邸で、緊張感のない脱力的なやりとりが繰り広げられる。この国は本当に壊滅の一歩手前まで追い込まれていたことが、ひしひしと伝わってくる。
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政治記者の鍋島(北村有起哉)は原発に詳しい元記者(菅田俊)から「家族がいるなら、東京から避難させたほうがいい」と告げられる。
 官邸内の記者クラブに詰める新聞記者の鍋島(北村有起哉)は重大な情報を政府は隠しているのでは探りを入れるが、悲しいことに当時の菅政権は隠すだけの情報を何も持っていなかった。水素爆発も発生から1時間後にテレビ中継を見て知った有り様だった。その間にも姿の見えない怪獣の脅威はますます増していく。1号機、さらに3号機の水素爆発によって、周辺の民家に白い粉が漂う。福島第一原発が『ウルトラQ』に出てきた毒花粉を撒き散らすマンモスフラワーのように思えてくる。オフィス街に突然現われたマンモスフラワーは空からの化学薬品の散布と根っこを火炎放射攻めすることで根絶できたが、高い放射線量を放つ福島第一原発にはうかつに近寄ることはできない。  福島第一原発に勤める若い所員・修一(郭智博)は3.11当日は運良く非番だったが、職場の異変を察知し、家族が反対するのを押し切って事故現場に駆け付けた。だが、「若い所員に危険な作業を任せるわけにはいかない」と修一は待機を命じられ、先輩社員たちが高い線量の中へと入っていく。いくら防護服を着ているとはいえ、原子炉近くは線量がどこまで上がるか分からない。想像を絶する恐怖だ。修一に向かってかっこいい台詞を吐いていた先輩所員だったが、ベントを手動で行なうという精神的にも肉体的にもギリギリの作業によって、ボロボロになっていく。福島第一原発内の免震棟は放射能からは守られてはいたが、その内部は野戦病院さながら惨状だった。  福島第一原発で所員たちが懸命の復旧作業に当たっている中、日本国を確実に滅亡に導く提案が閣僚にもたらされていた。福島第一原発は制御不能状態に陥っているので、施設内に残る700名の所員たちを全員退避させようという声が上がる。『死の淵を見た男』でも書かれていたが、これは原発事故現場から出た声ではない。東京電力の本社でテレビモニター越しに彼らの奮闘ぶりを眺めていた本社の幹部たちが言い出したものだった。人命優先を訴えるこの声を、菅総理は「撤退はありえない」と完全否定する。所員たちはその命と引き換えに福島第一原発を死守せよという、国家の最高責任者からの厳命だ。御国のために命を捧げよ、という戦争映画でしか聞くことがなかった台詞のやりとりが本作のハイライトシーンとなっている。このとき、東京電力本社の指示に福島第一原発の現場が従っていたら、本当にこの国はどうなっていたのだろう。そのことを考えると、猛烈な寒気に襲われる。
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放射線量がどんどん高まる中、地元生まれの修一(郭智博)たち福島第一原発の所員たちは懸命に事故対応にあたった。
 国産の怪獣映画第1号といえば、『ウルトラQ』から始まる『ウルトラ』シリーズを手掛けた円谷英二が特殊技術として参加した『ゴジラ』(54)であり、海底の奥深くに眠っていた太古の巨大生物が水爆実験によって目を覚まし、東京を壊滅させるという内容だった。説明するまでもなく、ゴジラは核兵器がもたらす恐怖のメタファーだ。怪獣映画『ゴジラ』には広島、長崎に投下された原爆がもし東京にも落とされていたら……という終戦からまだ9年しか経っていなかった日本人のリアルな恐怖心が反映されていた。実録映画『太陽の蓋』は、3.11からわずか5年ですでに風化しつつある放射能の恐ろしさを観客の脳裏にもう一度蘇らせる。  東京を火の海にした“破壊神”ゴジラは、芹沢博士(平田昭彦)が自分の命と引き換えにすることで、ようやく撃退される。福島第一原発に最後まで残って指揮を執り続け、2013年7月9日に壮絶死を遂げた吉田所長と芹沢博士のイメージが重なる。だが、『太陽の蓋』に登場する“見えない怪獣”はゴジラよりもさらに始末が悪い。東京では民主党から、原発を日本各地に建設することを推進してきた自民党に政権が戻り、また以前と同じような日常生活が繰り返されている。でも、福島では大量の除染土壌が山積みとなり、どう処分するか決めかねている状態だ。修一ら原発所員は世間の厳しい目にさらされながら、危険が伴う原発の解体作業に従事している。廃炉化の作業が終わるのは、30年か40年先になる。修一の代だけでは終わりそうにない。カメラは最後に、双葉町に掲げられていた「原子力明るい未来のエネルギー」という看板を映し出す。この皮肉めいた看板は2015年12月に撤去され、今はもう見ることはできない。 (文=長野辰次)
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『太陽の蓋』 製作/橘民義 監督/佐藤太 脚本/長谷川隆 音楽/ミッキー吉野  出演/北村有起哉、袴田吉彦、中村ゆり、郭智博、大西信満、神尾佑、青山草太、菅原大吉、三田村邦彦、菅田俊、井之上隆志、宮地雅子、葉葉葉、阿南健治、伊吹剛  配給/太秦 7月16日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開 (c)「太陽の蓋」プロジェクト/Tachibana Tamiyoshi http://taiyounofuta.com

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『銀魂』小栗旬で実写化に「イメージ崩れる」「荒木飛呂彦先生を見習え」批判殺到!

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 単行本発行部数累計5,000万部を超える人気コミック『銀魂』(集英社)が、俳優の小栗旬主演で実写映画化されることが1日、公式発表された。  同作は、パラレルワールドの江戸を舞台にした痛快エンターテインメント。小栗が演じる主人公は、天然パーマの銀髪が特徴の剣豪・坂田銀時。監督は、テレビ東京の連続ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズや、映画『HK 変態仮面』シリーズの福田雄一氏。公開は2017年夏予定で、撮影は今月から開始しているという。 「先月7日、広島の自民党衆議院議員・小林史明氏が、自身のTwitterで『<銀魂>の実写版のロケが鞆の浦であるそうです』(現在は削除)などと、お漏らし。多くの原作ファンが悲鳴を上げ、『#銀魂実写化絶対反対』というハッシュタグが作られるなどの騒ぎとなりました」(カルチャー誌ライター)  さらに先月、小栗の妻・山田優のインスタグラムに投稿された食卓写真について、ゴーヤチャンプルの器に「小栗が映っている」と話題に。この時すでに、一部ニュースサイトが「主人公は小栗」との関係者情報を報じていたのだが、器に映っていた小栗の髪型が『銀魂』の主人公にそっくりだったことから、ネット上では「その髪型はやめてくれ!」「今すぐ坊主にしろ!」との声が上がっていた。 「以前からウワサされていた同実写化ですが、公式発表された現在も、ネット上では『ウソであってくれ!』『銀さんのイメージが崩れる』などと否定的な意見が殺到。また、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)の実写化が嵐・松本潤主演で進んでいたものの、原作者の荒木飛呂彦がOKを出さなかったため破談になったとの一部報道を受け、『銀魂』原作者に対し『荒木先生を見習え!』との野次も」(同)  近年、激しい批判が付き物となっている人気漫画の実写化。『銀魂』は、思い入れの強いファンを納得させることができるだろうか?

せっかく再ブレーク果たしたのに……麻生久美子が第2子懐妊のため当面休業でファン落胆

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 女優・麻生久美子(38)が第2子を妊娠し、当面休業することになり、ファンを落胆させている。出産は秋頃の予定だという。  麻生といえば、とてもアラフォーとは思えないキュートなルックス、個性的な演技が魅力で、ファンの年齢層も幅広い。最近では、電子書店パピレス「Renta!」のCMで、鮮烈なインパクトを残している。また、6月12日に放送を終えた連続ドラマ『奇跡の人』(NHK BSプレミアム/銀杏BOYZ・峯田和伸主演)では、子持ちの元ヤン役を好演したばかり。  1995年公開の映画『BAD GUY BEACH』で女優デビューした麻生は、『カンゾー先生』(98年公開/柄本明主演)で大胆な濡れ場にも挑戦し、「第22回日本アカデミー賞」新人俳優賞、最優秀助演女優賞など数多くの賞を受け、一躍脚光を浴びる。  映画をベースに活動していた麻生だが、2006年1月期『時効警察』(テレビ朝日系/オダギリジョー主演)で久々の民放連ドラ出演。これまで経験がなかったコミカルな演技に挑み、新境地を開拓した。  07年度には『夕凪の街 桜の国』で、「第50回ブルーリボン賞」主演女優賞、11年度には『モテキ』(森山未來主演)で「第35回日本アカデミー賞」優秀助演女優賞などを受賞した演技派の女優だ。  07年12月にスタイリストの伊賀大介氏と結婚し、12年5月に第1子となる女児を出産。ここ数年は映画を中心に、マイペースな活動を続けていたが、昨年1月期『怪奇恋愛作戦』(テレビ東京系)で連ドラ初主演。さらに、昨年7月期のTBS系連続ドラマ『ナポレオンの村』(唐沢寿明主演)でヒロインに起用され、再ブレークを果たした。  これまで、映画に軸足を置いてきた麻生だが、ドラマやCMにも積極的に出演するようになって、ファン層も拡大。これからという時期での産休には、ファンからは落胆の声が数多く聞かれるが、事情が「おめでた」だけに、致し方ないところ。さしあたって、麻生は7月9日公開予定の映画『森山中教習所』(野村周平&賀来賢人主演)に出演するが、これが当面の見納めになりそう。  出産後も、映画を中心に女優活動をしていく予定だというから、ガッカリしているファンは、復帰を心待ちにするしかなさそうだ。 (文=森田英雄)