湯婆婆やハクまで登場!? 韓国で『千と千尋』丸パクリ映画が公開へ

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問題の『月光宮殿』
 言わずと知れたジブリの名作『千と千尋の神隠し』にそっくりなアニメが韓国で公開されることがわかり、話題になっている。タイトルは『月光宮殿』。ポスターを見てみると、千尋と同い年くらいに見える少女が、ハクのような龍に乗っている。日本人ならリメイク版かと勘違いしてしまうほど、“うり二つ”だ。  監督のキム・ヒョンジュ氏は、公開にあたり「ある少女が昌徳宮に閉じ込められて一晩を過ごすのだが、そこでどんなことが起こるかを想像して、10年前から企画してきた」と語っている。ちなみに、『千と千尋』が日本で公開されたのは2001年7月で、韓国でも翌年に公開され、大ヒットとなった。 『月光宮殿』はストーリーや設定だけでなく、登場人物、絵柄、雰囲気まで『千と千尋』と似ているため、案の定、韓国ネット民を中心にパクリ論争が巻き起こっている。『月光宮殿』のストーリーは、13歳の少女ヒョン・ジュリが月光宮殿に迷い込み、家に戻るための道を探すというもの。月光宮殿を支配しようとする梅花夫人の計略で危機に陥りながらも、イケメン武士などと力を合わせ、乗り越えていくという。湯婆婆やハクのような登場人物も出てくるというわけだ。  ネット民は「キムチヒロwwwwwwwwwwww」「誰が見てもパクリなのに」「まだ見てないけど、もう見たような気がする」「アイデアの元は神隠しだな」「日本人はこのアニメでまた数年間、われわれをからかうんだろうな」などと、あきれ果てている模様。一方、パクリ疑惑に対して、関係者は真っ向から反論している。  この映画の制作会社代表は、「映画を実際に見れば、払拭される議論」と一蹴。前出のキム監督もマスコミ試写会で「どこが似ているのか、むしろ質問したい」「普通の少女が主人公、ファンジー世界で冒険をする、龍が出る部分などが俎上に載っているが、そういった要素だけで似ているとはいえない」と話している。また、配給会社関係者も「我が国の文化財を基盤にした、とても韓国的なアニメーション」と断言。関係者一同、パクリではないと主張しているわけだ。  ちなみに『月光宮殿』には、韓国テレビ局MBCと、ソウル市の傘下機関であるソウル産業振興院(SBA)が共同出資しており、文化財庁と昌徳宮が推薦する作品とのこと。映画の舞台となっている昌徳宮は世界文化遺産に登録されているだけに、盗作疑惑ははなはだ迷惑な話だろう。 『千と千尋の神隠し』は先日、イギリスBBCが選ぶ「21世紀の偉大な映画ベスト100」で4位に選ばれたばかり。果たして『月光宮殿』がどのような評価を受けるのか、公開が楽しみだ。 ●類似点をまとめたブログ <http://cigar_kuma.blog.me/220794731409

テレビ東京の濱田岳版『釣りバカ日誌』映画化前提で、来年1月に続編放送へ

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テレビ東京系『釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~』番組サイトより
「続編は、局の上層部と松竹の強い要望だそうです。現在、松竹には『寅さん』や『釣りバカ』のような“シリーズ物”がないですからね。そのため、シリーズ化の可能性がありそうな作品は、続編を制作するような流れになってますよ」(テレビ局関係者)  昨年10月クールに放送されたドラマ『釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~』(テレビ東京系)だが、来年1月クールで続編が放送されるという。 「前作は平均で7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、ゴールデン帯としてはあまり高くはありませんでしたが、主演の濱田岳さんが『コンフィデンスアワード・ドラマ賞』で主演男優賞を、スタッフが『エランドール賞』のプロデューサー・奨励賞を受賞したりと、作品の評価は高かったんです。それで、松竹も続編に乗り気になったようです」(芸能事務所関係者)  加えて、重要なキャラ、スーさんこと鈴木一之助を演じる西田敏行の体調が回復したのも大きいという。 「西田さん抜きでは当然、続編は作れませんからね。しかも、映画化まで視野に入れてるみたいですから、撮影は長期間にわたりそうです。松竹も『超高速!参勤交代』と合わせて、息の長いシリーズ物にしたいと意気込んでます。とりあえず、前作よりも数字を取ってくれれば、問題なく映画化に踏み切れます。キャストの人には『映画化も視野に入れている』とは伝えているようですよ」(ドラマスタッフ)  西田版『ハマちゃん』を超えられるか――。

au「三太郎」CMで話題の個性派俳優・前野朋哉が語る少年期「一日中、映画のことばかり考えてた」

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撮影=尾藤能暢
 今年auのテレビCM「三太郎」シリーズの“一寸法師”役でお茶の間でのブレークを果たした俳優、前野朋哉。『桐島、部活やめるってよ』(2012年)をはじめ、最近では人気ドラマ『重版出来!』(TBS系)にもレギュラー出演するなど、俳優としての評価はうなぎ上り。最新作『エミアビのはじまりとはじまり』では芸人役に挑み、なんとアマチュアとして出場した「M-1」の1回戦も突破! 唯一無二の存在感で“いま最もオファーしたい男”前野朋哉の魅力に迫る――。 ――前野さんは、芸人さんの役は初めてですか? 前野朋哉(以下、前野) 正確には2回目ですね。大泉洋さん主演の『青天の霹靂』(原作/監督 劇団ひとり)という映画で、浅草の芸人さん役をやらせてもらったことがあります。 ――そうでしたか。本作『エミアビのはじまりとはじまり』では、芸人さん以上に芸人さんっぽくて、びっくりしました。 前野 僕的には、もっとやれたんじゃないかと……試写で見たときには。 ――俳優さんが芸人さんを演じると、上手なだけに、逆にリアリティが失われることもあると思うんですけど、前野さんの「海野」は、本当にこういう芸人さんライブにいるよな、と。 前野 ありがとうございます。ちょっと作り方が特殊だったんです。監督が「芸人さんに教えてもらわずに、イチから作ろう」と。だから何もわからない状態で、監督と森岡龍君(相方の実道)と3人で試行錯誤しながら作っていったんです。時間はかかりましたね。3人でずっと暗闇を歩いているような感じで。 ――「ツッコミ」って、なんなんだろう……みたいな。 前野 そうです。「笑わせるって、なんなんだ?」とか。テレビでお笑いを見ているときは、ただ「面白いな~」で、そこにテクニックとか芸とか、人の心をつかむ何かとか、そこまで意識はしないじゃないですか。実際やってみて、いかにそれが難しいかがわかりました。最初、僕と森岡君は「2人ならできる」っていう、よくわからない自信があったんですよ。森岡君とは付き合いも長いので。ただやり始めると、思っている以上に難しい作業でした。 ――何か参考にしたものはありますか? 前野 DVDを見たり、実際のお笑いライブにも足を運びました。でも、そこから引用するっていうのは、あまりしてないんです。結局、途中から「芸人としてのキャラクター」が必要になると監督が判断して、それをどう生かしていくかを考えたとき、やっと作り方が見えてきたんじゃないかなと思います。監督のイメージでは、僕の役が蛭子(能収)さんで、実道がGACKTさんだったらしく(笑)。その2人が漫才してたら、すごい面白いでしょうって。あぁそうか、そういうとこからも入っていけるんだと。そこからキャラクターを意識して、でもお互いが持っている性格も取り入れて、どこを面白く伸ばしていくかっていうことを、毎日考えてやっていました。 ――漫才コンビ「エミアビ」の海野は、明確にツッコミでもないんですよね。 前野 そうなんですよ。基本的にはどっちもツッコむし、どっちもボケるっていうのが、「エミアビ」のスタイルです。
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劇中、前野さんと森岡さんが演じる漫才コンビ「エミアビ」/(c)2016『エミアビのはじまりとはじまり』製作委員会 
――ボケとツッコミの立ち位置がその都度変わるのは、難しくなかったですか? 前野 いや、僕は逆に助かりました。ツッコミがやっぱり難しくて、どちらかというと、ボケのほうが気が楽だった(笑)。拾ってもらえる安心感というか。芸人さんの「拾う」って、本当すごいですよね。拾って話を何倍にも膨らますっていう、あの技術。最近バラエティに出させてもらったりすると、目の当たりにするんです。自分が何をしゃべっても、面白くしてくれる。職人というか、本当に芸ですよね。特にツッコミの人は、技術ももちろん、愛が深くないといけないじゃないですか。人間ができてないと、なかなかツッコミはできないなと思いました。 ――対象への愛がないと、ツッコミはできないと……。 前野 森岡君は、ツッコミがうまいんですよ(笑)。 ――M-1の予選にも「エミアビ」として出場されたとか。 前野 1回戦通りました。ラッキーなことに。 ――すごい……。 前野 緊張しました。しかも、なぜかその日のトリで。41組出ていて。その中でアマが3組、あとは全員プロ。ABCブロックに分かれていて、僕らはCブロックだったのでAブロックだけ見ることができたんです。それが、めちゃめちゃ面白かった。「あぁ、普通にお客さんで来たかった」って思いましたもん(笑)。 ――あ、このあと自分もやるんだったと(笑)。 前野 このまま気持ちよく帰りてぇ~って。本番ではネタも飛びつつ、四苦八苦しながらやりました。 ――撮影のときと、どちらが緊張しました? 前野 M-1ですね。でも、得たものも多かった。映画のことも何も知らないお客さんの前で漫才をするのが、初めてだったんです。やっぱりそれをしないとダメだなっていうのは、すごく感じました。客前での緊張とかプレッシャーも込みで、そこの空気をつかんだ人が勝っていくじゃないですか。僕らは、ただラッキーだっただけですけど。 ――2回戦も楽しみです。 前野 はい、今度は10月にあるので、それまでにもうちょっと人前でやれる機会を作って漫才しようと話はしてます。 ――ガチですね! 前野 どうせ恥かくんで(笑)。でも、なんかね……観客に「この程度かよ」みたいに思われたら、僕ら一応映画背負ってるんで(笑)。僕らの漫才があまりにも面白くないと、映画見に来てくれなくなっちゃう可能性があるので。それはちょっとまずいです! ――前野さんといえば、「いま最もスケジュールが取れない俳優さん」といわれていますが、ご自身の中で転機となったのは、どんな作品でしたか? 前野 そうなんですか? 初耳です(照)。俳優としてしっかりと意識して、見られているなと感じたのは『桐島、部活やめるってよ』です。『桐島』の後に、少しずつ声をかけてもらうことが増えました。『桐島』に出ていた役者さんを、その後、いろいろな作品で見るようになったのも、やっぱり刺激的でしたし、「また現場で会いたいな」って思うようになりました。あとやっていて「俳優って面白いな」と思ったのは『日々ロック』かなぁ。結構ガッツリやれたんです。こっちはバンドの話だったんですけど、何カ月間か本当に楽器も練習しましたし。
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――前野さんは俳優業とともに監督もされていますが、実家のご家族には「俳優をやっている」と言い出せなかったそうですね。 前野 一応、大学生のときに「監督としてやっていく」と宣言していたので(笑)、「なんでお前、役者やってるんだ?」ってなるじゃないですか。しかも「監督」というより「俳優」として東京行くことになったので、両親的には「アンタ、それちょっと違うんじゃないの」と。「俳優をやることで現場にも関われるし、監督としての勉強にもなるから」と半ば強引に東京出てきちゃったんですよ。だから、難しかったですね。結婚するときも。 ――結婚のときですか? 前野 最初(親から)言われていたんですよ。「監督としても俳優としてもそんなに稼いでいるわけじゃないのに、どうやって家族を養っていくんだ?」と。痛いくらい正論ですよね。確かに……と思って、いったんは引いて(笑)。『空飛ぶ広報室』(TBS系)というドラマで初めてレギュラーをもらって、そのドラマをたまたま両親が見ていたらしくて。それで「東京でも、ちゃんとやってるようだ」と納得してくれたみたいです。 ――いつも見ているドラマに突然、息子が出てきたらビックリですよね(笑)。 前野 想定外だったようです。さすがに、今は何も言われなくなりました。思えば、両親はまったく映画を見ないのに、昔、僕が「映画を見たい」と言ったときには、すんなり行かせてくれたので、その辺の理解はあったのかもしれません……。 ――素晴らしいご両親じゃないですか! 前野 でも……そうだ。僕小学生の頃、剣道やってたんだけど、すごく嫌だったんです。しんどいし、すぐ手の皮むけるし。剣道の良さが、当時の僕には全然わからなかった。でも、母親は「息子が生まれたら、剣道をさせたかった」みたいなことを以前言っていたんです。そんなの聞いたら、子どもは頑張るしかないじゃないですか。そうやって無理も強いてる分、僕の好きなことも少しはさせてあげなきゃ……って思っていた節もある。だって、映画行くときの僕、すげぇ笑顔だったと思うんですよ(笑)。 ――映画が好きだと思ったのは、いつ頃なんですか? 前野 中学生くらいかなぁ。映画を見るのが大人っぽいというか、ほぼ一日、映画のことばかり考えていました。どうやって部活サボって、映画に行くか(笑)。だって『スター・ウォーズ』公開日に、部活と『スター・ウォーズ』どっちを取るかっていったら、『スター・ウォーズ』取るじゃないですか(笑)。 ――その頃、好きだったジャンルと今好きなジャンルは、あまり変わらないですか? 前野 変わらないですね。結局、話題作は見たい。今なら『シン・ゴジラ』絶対見たいと思いましたもん。僕ミーハーなんですよ。この間、たまたま時間が空いて、よし、ゴジラ行こうと。それで普通に行くんじゃなくて、ちょっと苦労したいなと。すんなり映画館行ってすんなりゴジラ見てすんなり帰るのもイヤだなと思って、映画館まで歩いていったんです。 ――どのくらいの距離を? 前野 9km弱(笑)。 ――ええ?? 前野 暑い中、歩きましたよ。途中、中華料理店に入って休憩して、そこでリオ五輪の情報をチェックしたりしながら。映画館に着いたら、入り口にポスターがバーンとあって「ゴジラが出迎えてくれてる……」って感動しました。ゴジラ待ってくれてた~って。
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――絶対に忘れられない作品になりますね。 前野 映画って、見るシチュエーションが、すごく大事だと思うんです。地方に行ったときに、初めて行く映画館は、すごくワクワクするし。今回みたいに「無理して見る」のも好きですし、時間が空いたときに何も決めずフラッと映画館に行って、インスピレーションで決めるのもいい。 ――たとえば『エミアビのはじまりとはじまり』だったら、どんなシチュエーションで見たいですか? 前野 う~ん。そうですね。僕だったら『シン・ゴジラ』を見て、一度そちらの世界にトリップしながら、この『エミアビのはじまりとはじまり』を見ると、なかなかのテーマ感の振れ幅に『エミアビのはじまりとはじまり』のインパクトがより強くなるんじゃないかなと思います。 ――『シン・ゴジラ』と『エミアビのはじまりとはじまり』の2本立て(笑)。 前野 どちらも熱くなる映画ですし(笑)。あと、お酒飲んで見るのもいいかもしれない。僕よくやるんですけど、お酒飲んで映画見ると、自分の中のリミッターが解除されるとこあるじゃないですか。「ドーピング」って呼んでるんですけど(笑)。 ――今は情報があふれすぎて、あまり自由な状態で映画を見られないのかもしれませんね。 前野 みんな、前情報仕入れて見に行きますもんね。でも、それってめちゃめちゃ選択肢を狭めてると思う。もったいないですよね。もっと楽しめるはずなのに。 ――休憩の中華屋を挟みつつ、汗だくで歩いてたどり着いたゴジラは、普通のゴジラより絶対楽しいと思います。 前野 しかも、そんなことでもないと絶対に入らない、住宅街の中にポツンとある中華屋ですから!  ――いま本当にたくさんの作品に出演されていらっしゃいますが、前野さんの中で「この人と共演したい!」という夢はありますか? 前野 デンゼル・ワシントンと共演したい。 ――おおお!! 前野 昨年公開された『イコライザー』っていう映画がめちゃくちゃ面白くて。映画館で見られなくて、ブルーレイで見たんですけど「久々キタこの! この! デンゼルのこの!!」って。最高でした……。本当に、デンゼル、カッコイイ……。 ――ちなみに、どんな役柄で共演したいですか? 前野 どんな役柄でもいいです。なんなら一発で殺されたい。 ――殺されたい(笑)。 前野 元CIAのすごい殺し屋の役なんですよ、デンゼルが。瞬時にその場の状況を判断して、いかに速いスピードで何人殺すか。そのシーンがカッコイイ。あのシーンの一員になれたら、めちゃくちゃうれしいですよね。 ――前野さんの「殺し屋」役も、ちょっと見てみたいですけど。 前野 いやぁ、でも僕が殺し屋だったら、あんなにスマートに殺せないし、やっぱりそういう役は佐藤浩市さんとか織田裕二さんで見たいし……中井貴一さんもいいだろうな、カッコイイよな……。“昼はサラメシ、夜は殺し屋”みたいな……。 (取材・文=西澤千央) ●『エミアビのはじまりとはじまり』 監督・脚本/渡辺謙作、キャスト/森岡龍、前野朋哉、黒木華、新井浩文、山地まりほか 上映時間/1時間27分 製作/『エミアビのはじまりとはじまり』製作委員会 企画/ブレス 制作プロダクション・配給/ビターズ・エンド 9/3(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー! (C) 2016『エミアビのはじまりとはじまり』製作委員会 <http://bitters.co.jp/emiabi/

高畑裕太容疑者逮捕で向井理主演の大作映画“お蔵”危機! 真野恵里菜主演『青の帰り道』も幻に

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「高畑裕太 (@yutatakahata)・Instagram」より
 強姦致傷容疑で逮捕された人気俳優の高畑裕太容疑者。収録済みの複数のバラエティ番組は放送内容を差し替え、『24時間テレビ』(日本テレビ系)内のスペシャルドラマや、レギュラーを務めていた連ドラは再撮に。NHK大河ドラマ『真田丸』で予定されていた高畑淳子との親子共演も消滅し、各局に大混乱を招いている。  そんな不穏な余波は、映画界にも。最も甚大な被害を被っているのが、来年6月公開予定の深川栄洋監督の戦争・時代モノ『何日君再来(仮)』。向井理や尾野真千子らが出演する大作で、今春に撮り終えている。 「撮影は、主演クラス揃いの豪華キャスト陣に加え、エキストラも大勢参加。裕太容疑者がチョイ役であれば、CGで“いなかったこと”にできますが、よりによって重要な役柄。監督や共演者のスケジュール調整は至難のわざで、撮り直すにも、一体いつになることやら。公開延期で済めばいいが、最悪、お蔵入りの可能性も。当然、海外の映画祭にも出品予定だったでしょうから、その損害は計り知れない」(制作会社関係者)  公開を今秋に控える広瀬アリス主演映画『L-エル-』にも、裕太容疑者は6番手で出演。配給の東宝は「対応を協議中」としており、公開延期も否めない状況だ。  また、逮捕時に撮影していた真野恵里菜主演『青の帰り道』は、事件により撮影が中止に。8月中旬には、ライブハウスや葬儀場などで撮影が行われていたようだが、スタッフチームはすでに解散しており、「予算の都合上、お蔵入りしそう」(同)だという。 「裕太容疑者が出演していたCMの違約金なども合わせると、彼に降りかかる賠償額は億単位とも。淳子は現在、都心の一等地に家族で住むための新居を建築中のようですから、そこを売却して充てる可能性も」(芸能記者)  淳子サイドは、謝罪会見を開いた理由を「各方面に大きなご迷惑をおかけしたため」と説明したが、その“迷惑”は想像以上のスケールだったようだ。

平均年齢83歳のヒップホップ! ハリウッド映画化も決定した世界最高齢ダンスグループにインタビュー

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 ストリートで生まれ、若者を中心に人気を博してきたヒップホップダンス。ヒップホップダンス大会の参加年齢は7歳以上というだけあって、踊るのはやはり若い人たちが中心だ。そんなヒップホップに挑んだ話題のダンスグループがある。ニュージーランドの東にある人口約8,000人の小さな島、ワイヘキ。こののどかな島にあるヒップホップダンスグループ「The Hip Op-eration Crew(ヒップ・オペレーション・クルー)」がそれだ。メンバーの平均年齢はなんと83歳! 文句なしに世界最高齢のこのグループが、ヒップホップの世界大会に出場するまでを収めたドキュメンタリー映画『はじまりはヒップホップ』が日本公開となる。人生を謳歌する彼らの様子は、言葉にできない感動を与えてくれる。  そんなヒップ・オペレーション・クルーからメンバーが来日、インタビューに応じてくれた。ジャック・ロングさん a.k.a. JJ Rizzell(85歳)とブレンダ・ロングさん a.k.a.BB Rizzell(83歳)の夫婦、レイラ・ギルクリストさん a.k.a.Leila G(72歳)、マリー・ターフレイさん a.k.a.Missy M(72歳)、レン・カーチスさん a.k.a.Big Deal(75歳)の5人。ちなみに名前の後ろに書かれているのは彼らのヒップホップネームである。
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マリー「(しかめっ面をして)初めてヒップホップの音楽を聞いたときは、思わずこんな顔をしてしまったわ! 想像していたものと全然違ったから。私の家はしつけが厳しかったので、もともと若者に人気の音楽はあまり聴いてこなかったし、バック転したり頭でぐるぐる回ったりするダンスなんて見たこともなかったの。ヒップホップダンスを見たとき、これは私たちの歳で踊るものではないと思ったけど、始めてみたらすごく楽しかったわね」 ブレンダ「ヒップホップの音楽を初めて聴いたときは、とっても驚いたわよ。ショックと言ってもいいぐらいね。それまで親しんできたものとはまったく違うものだったから。私はダンスの経験すらなかったけれど好奇心がわいて、とにかくリーダーのビリーについていってみようと思ったの」  ワイヘキ島の老人たちにヒップホップのダンスを教えようと思いついたのは、彼らのマネジャーで振付師でもある若き女性ビリー。ダンスの経験はないけれど、メンバーたちに楽しい毎日を過ごしてほしいと、家にこもりがちだった老人たちに明るく声をかけ続けた。 レイラ「私はもともとダンスには慣れていたし、孫娘がちょっとヒップホップをやっているから音楽はなんとなく知っていたの。だから踊ること自体はそんなに大変じゃなかった。ただ私はすごいあがり症で、人前に立つのが本当に苦手だったの。でもダンスのコンテストに出るためには自信をつけなくちゃいけない。最初はそれが大変だったわね」
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 ヒップ・オペレーション・クルーのメンバーの年齢は、下は60代から上は94歳まで。ドキュメンタリーの中では94歳のスターダンサー、関節症を患う女性、認知症で入院中の夫を頻繁に見舞う女性など、さまざまな事情や体調を抱えるメンバーが数多く登場する。 レイラ「家族に支えながら活動しているメンバーは多いし、私自身も娘や孫たちが熱心に応援してくれている。ただ、姉たちだけはいい顔をしないのよね(笑)。私はきょうだいの末っ子なのだけど、姉たちに『今ドキュメンタリー映画を作っているのよ』『世界大会に出ることになったの』と説明しても、渋い顔をしてばかりだった。だけどもう、姉たちの反応は気にしないことにしたわ。ダンスを始めたおかげで私は自信がついたし、もう昔の私じゃない。孫たちは『おばあちゃんすごい!』って喜んでくれているから、それだけで充分に嬉しいしね。孫たちは地区大会に駆けつけてくれて、ヒップホップの格好で応援してくれたのよ。でも姉たちも、今ではちょっとぐらい見直してくれているんじゃないかしら」 マリー「ちょっと体調が良くなかったり、少し夜更かしをしたりして、今日は体が重たいわって感じる日もあるけれど、音楽がかかれば気分が乗るので大丈夫。いつもヒップホップの音楽が私を助けてくれているわ」
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 ジャックとブレンダの夫妻はゴルフ好きだったけれど、妻のブレンダは、今はゴルフよりもヒップホップに夢中なのだとか。心の底からヒップホップを楽しんでいる彼らは、ヒップホップのニュージーランド国内大会に出場する。そこで大きな評判を呼び、なんとラスベガスで行われた世界大会に特別招待されることに! 1万5,000人の観客の前でパフォーマンスをするシーンは必見だ。 レイ「あのステージはとても緊張したし、正直怖かったよ。観客を意識しすぎず、会場の後ろを見るようにして、なんとか1曲踊り終えたね。でもだんだんと慣れていったし、何より励みになったのは、会場にいたたくさんの若者や子どもたちの存在だった。会場内を歩いているといろんな国の子どもたちが『ヒップ・オペレーション!』って声をかけてくれたんだよ。感動して泣きそうになったし、本当に忘れられない日になったね」  ヒップ・オペレーションのメンバーがこのドキュメンタリーを通して教えてくれるのは、新しいことに挑戦することの意義。何かを始めるのに年齢など関係ない、ということも。 ブレンダ「メンバー全員、何かを得たでしょうね。私がヒップホップをやって一番良かったと思ってることは、人々との出会い。最初はご近所付き合いをしているだけの間柄で、名前すらわからない人もいた。でもみんなでホールに集まってダンスをするようになってからは、本当にみんなと仲良くなったのよ。今ではしょっちゅうカフェでお茶をしたり、一緒に出かけたり、お互いのバースデーパーティをしたり。ビリーのことは娘のように思っているわね。私たち、すごく幸せな大きい家族なのよ」  観る人にきっとパワーを与えるこの実話、なんとハリウッドで映画化されることも決定している。マネージャーのビリーを主人公にした、奇跡のストーリーとなりそうだ。ヒップ・オペレーションの活動もまたずっと続いていく。これからも目が離せないグループだ。 (取材・文=大曲智子/撮影=尾藤能暢)
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●『はじまりはヒップホップ』 8月27日(土)、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー 配給:ポニーキャニオン コピーライト:(c) 2014 Rise And Shine World Sales / Inkubator Limited / photo_Ida Larsson http://hajimari-hiphop.jp/

孤独な男たちから財産をむしり取る悪魔の所業! 大竹しのぶ主演のドス黒系犯罪映画『後妻業の女』

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「じじいを騙すのは功徳や」とうそぶく結婚相談所の所長・柏木(豊川悦司)と会員の小夜子(大竹しのぶ)。持病のある高齢者ほどよくモテる。
 その道のプロから見れば、“婚活連続殺人事件”の木嶋佳苗被告や“京都連続不審死事件”の筧千佐子被告は脇が甘く映ることだろう。その道のプロとは、業界用語で“後妻業”と呼ばれる女たち。独り身の高齢者をターゲットにし、預金や不動産といった遺産を手に入れては、次の獲物へと食指を伸ばす。自分を受取人にした生命保険はあえて作らせない。保険金が絡むと、警察が事件性ありと判断してすぐに動き出すからだ。自分の手を汚さずとも、持病のある高齢者ならすぐに逝ってしまう。死ぬ前に公正証書さえ書かせれば、合法的に遺産を独占することができる。独居老人の寂しさと死ぬまで枯れることがない性欲につけこんだ巧妙な闇稼業である。大竹しのぶ主演の犯罪エンターテイメント『後妻業の女』は、高齢化社会にはびこる闇ビジネスの実態を明らかにしていく。  大竹しのぶには犯罪ドラマがよく似合う。森田芳光監督の『黒い家』(99)では邦画史上に残るサイコパス系殺人鬼を大熱演した。石井隆監督の『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』(10)での鬼婆役も強烈だった。松山ホステス殺害事件の2時間ドラマ化『実録・福田和子』(フジテレビ系)や多重人格障害の主婦を演じた『存在の深き眠り』(NHK総合)での役への溶け込みぶりも忘れがたい。素顔はとてもおっとりされた方だが、女優・大竹しのぶモードになるとスイッチが入ったかのように別人になる。死んだような目がうまいと評される染谷将太や新井浩文よりも、もっとリアルに死んだ目をしてみせる。ひとりの女性が持つ多面性を、これほど巧みかつ自然に演じてみせる役者はそうそういない。  映画『後妻業の女』は賑やかなシニア向け婚活パーティーで幕を開ける。明るい青空が広がるビーチで、いい年した男女が童心に戻ってはしゃいでいる。心臓発作でばったり倒れる人がいないかハラハラするオープニングだ。この婚活パーティーは大阪にある結婚相談所の所長・柏木(豊川悦司)が主催しており、結婚相談所の会員・小夜子(大竹しのぶ)は明るくチャーミングな人柄で、男性陣の熱視線を集めている。80歳になる中瀬耕造(津川雅彦)も小夜子にぞっこんだった。
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笑福亭鶴瓶は大竹しのぶを相手に初めてのベッドシーンにも挑戦。男と女の騙し合いの中に、色欲と本音が入り交じる。
 耕造が知り合って間もない小夜子と電撃再婚すると聞いて、耕造の娘・尚子(長谷川京子)と朋美(尾野真千子)は驚くが、老いた耕造の介護から逃れることができるため、強く反対はできなかった。小夜子がしおらしかったのは最初だけで、再婚してからは、小夜子が用意する料理はコンビニで買ったお惣菜だけ。耕造が服用していた降圧薬は、いつの間にか胃薬にすり替えられていた。ほどなくして倒れた耕造は病院に運ばれるが、小夜子が病室を訪ねた後は決まって酸素マスクや点滴のチューブが外れている。弁護士に相談した朋美は、小夜子が後妻業と呼ばれるプロであることを知るが、すでに後の祭り状態だった。威厳のあった父親があんな女の食い物にされたと思うと悔しくて仕方ない。  小夜子は結婚相談所の所長・柏木とグルなので、裕福な高齢者の個人情報が面白いように手に入る。男の扱いに手慣れた小夜子は、老人たちの死に水を取っては合法的に財産をいただく。儲けは柏木と山分けだ。小夜子にとって、こんな美味しい仕事は他にはない。ところが金の匂いのするところ、同じように鼻の利くハイエナ人間が集まる。弁護士に依頼された探偵(永瀬正敏)が小夜子の過去を洗い、小夜子はこれまでに8度結婚し、夫はみんな結婚してすぐに病死か事故死を遂げていたことが浮かび上がる。さらに自称・不動産王の船山(笑福亭鶴瓶)がにこやかな笑顔で小夜子に近づく。お金とセックスをめぐって、ドス黒い男女の駆け引きが軽妙な関西弁で繰り広げられる。
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尾野真千子と大竹しのぶとの新旧演技派女優バトル。焼肉屋での肉弾戦シーンは長回しで撮られ、女子プロレスばりの盛り上がりを見せる。
 本作を撮り上げたのは読売テレビ出身の大ベテラン・鶴橋康夫監督。読売テレビを退職後もフリーのディレクターとして活躍し、脚本家・野沢尚の遺作『砦なき者』(テレビ朝日系)や池端俊作脚本作『ぶるうかなりあ』(WOWOW)などの意欲作・問題作を次々と放ってきたテレビ界の生き伝説だ。映画監督として『愛の流刑地』(07)と『源氏物語 千年の謎』(11)を撮っているが、どちらもセックスと死を題材にしたもので、本作と繋がるものを感じさせる。男は射精した後の虚無感に耐えきれず、身近にいてくれる女性に愛情を覚えるのかもしれない。見ようによっては、大竹しのぶ演じる小夜子は家族と疎遠になった老人たちの最期を看取る死神であり、また聖女のようでもある。2014年に刊行された黒川博行の原作小説『後妻業』(文藝春秋)は生々しい犯罪ものだったが、鶴橋監督は大竹しのぶから陰と陽の相反する魅力を引き出した上で、したたかに生きる女性賛歌の犯罪コメディへと大胆にアレンジしてみせた。  悪魔のような女・小夜子への反撃を耕造の娘・朋美は試みるが、では朋美は心が清らかな女性かというとそうでもない。建築デザイナーである朋美は、仕事が忙しいことを口実にボケ始めた父親の世話をすることから逃げてきた。そんな自分に後ろめたさを感じていたがゆえに、弱みにつけこんできた小夜子が余計に許せない。焼肉屋で、大竹しのぶと尾野真千子が激しくしばき合うシーンは本作の見どころだ。さらに大竹は笑福亭鶴瓶とのベッドシーンも演じてみせる。大竹の熱演に触発されたのは尾野だけではない。柏木の情婦役を演じる若手女優・樋井明日香は『さよなら歌舞伎町』(15)でもフルヌードになったが、今回はさらに気持ちのよい脱ぎっぷりを見せる。『後妻業の女』に登場する女優たちはみんなキラキラと輝いている。いや、ギラギラと輝く。女たちが眩しく輝く姿に、男はもうひれ伏すしかない。 (文=長野辰次)
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『後妻業の女』 原作/黒川博行 監督・脚本/鶴橋康夫 出演/大竹しのぶ、豊川悦司、尾野真千子、長谷川京子、水川あさみ、風間俊介、余貴美子、ミムラ、松尾論、笑福亭鶴光、樋井明日香、梶原善、六平直政、森本レオ、伊武雅刀、泉谷しげる、柄本明、笑福亭鶴瓶、津川雅彦、永瀬正敏 配給/東宝 PG12 8月27日(土)よりロードショー公開 (c)2016「後妻業の女」製作委員会 http://www.gosaigyo.com

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孤独な男たちから財産をむしり取る悪魔の所業! 大竹しのぶ主演のドス黒系犯罪映画『後妻業の女』

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「じじいを騙すのは功徳や」とうそぶく結婚相談所の所長・柏木(豊川悦司)と会員の小夜子(大竹しのぶ)。持病のある高齢者ほどよくモテる。
 その道のプロから見れば、“婚活連続殺人事件”の木嶋佳苗被告や“京都連続不審死事件”の筧千佐子被告は脇が甘く映ることだろう。その道のプロとは、業界用語で“後妻業”と呼ばれる女たち。独り身の高齢者をターゲットにし、預金や不動産といった遺産を手に入れては、次の獲物へと食指を伸ばす。自分を受取人にした生命保険はあえて作らせない。保険金が絡むと、警察が事件性ありと判断してすぐに動き出すからだ。自分の手を汚さずとも、持病のある高齢者ならすぐに逝ってしまう。死ぬ前に公正証書さえ書かせれば、合法的に遺産を独占することができる。独居老人の寂しさと死ぬまで枯れることがない性欲につけこんだ巧妙な闇稼業である。大竹しのぶ主演の犯罪エンターテイメント『後妻業の女』は、高齢化社会にはびこる闇ビジネスの実態を明らかにしていく。  大竹しのぶには犯罪ドラマがよく似合う。森田芳光監督の『黒い家』(99)では邦画史上に残るサイコパス系殺人鬼を大熱演した。石井隆監督の『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』(10)での鬼婆役も強烈だった。松山ホステス殺害事件の2時間ドラマ化『実録・福田和子』(フジテレビ系)や多重人格障害の主婦を演じた『存在の深き眠り』(NHK総合)での役への溶け込みぶりも忘れがたい。素顔はとてもおっとりされた方だが、女優・大竹しのぶモードになるとスイッチが入ったかのように別人になる。死んだような目がうまいと評される染谷将太や新井浩文よりも、もっとリアルに死んだ目をしてみせる。ひとりの女性が持つ多面性を、これほど巧みかつ自然に演じてみせる役者はそうそういない。  映画『後妻業の女』は賑やかなシニア向け婚活パーティーで幕を開ける。明るい青空が広がるビーチで、いい年した男女が童心に戻ってはしゃいでいる。心臓発作でばったり倒れる人がいないかハラハラするオープニングだ。この婚活パーティーは大阪にある結婚相談所の所長・柏木(豊川悦司)が主催しており、結婚相談所の会員・小夜子(大竹しのぶ)は明るくチャーミングな人柄で、男性陣の熱視線を集めている。80歳になる中瀬耕造(津川雅彦)も小夜子にぞっこんだった。
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笑福亭鶴瓶は大竹しのぶを相手に初めてのベッドシーンにも挑戦。男と女の騙し合いの中に、色欲と本音が入り交じる。
 耕造が知り合って間もない小夜子と電撃再婚すると聞いて、耕造の娘・尚子(長谷川京子)と朋美(尾野真千子)は驚くが、老いた耕造の介護から逃れることができるため、強く反対はできなかった。小夜子がしおらしかったのは最初だけで、再婚してからは、小夜子が用意する料理はコンビニで買ったお惣菜だけ。耕造が服用していた降圧薬は、いつの間にか胃薬にすり替えられていた。ほどなくして倒れた耕造は病院に運ばれるが、小夜子が病室を訪ねた後は決まって酸素マスクや点滴のチューブが外れている。弁護士に相談した朋美は、小夜子が後妻業と呼ばれるプロであることを知るが、すでに後の祭り状態だった。威厳のあった父親があんな女の食い物にされたと思うと悔しくて仕方ない。  小夜子は結婚相談所の所長・柏木とグルなので、裕福な高齢者の個人情報が面白いように手に入る。男の扱いに手慣れた小夜子は、老人たちの死に水を取っては合法的に財産をいただく。儲けは柏木と山分けだ。小夜子にとって、こんな美味しい仕事は他にはない。ところが金の匂いのするところ、同じように鼻の利くハイエナ人間が集まる。弁護士に依頼された探偵(永瀬正敏)が小夜子の過去を洗い、小夜子はこれまでに8度結婚し、夫はみんな結婚してすぐに病死か事故死を遂げていたことが浮かび上がる。さらに自称・不動産王の船山(笑福亭鶴瓶)がにこやかな笑顔で小夜子に近づく。お金とセックスをめぐって、ドス黒い男女の駆け引きが軽妙な関西弁で繰り広げられる。
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尾野真千子と大竹しのぶとの新旧演技派女優バトル。焼肉屋での肉弾戦シーンは長回しで撮られ、女子プロレスばりの盛り上がりを見せる。
 本作を撮り上げたのは読売テレビ出身の大ベテラン・鶴橋康夫監督。読売テレビを退職後もフリーのディレクターとして活躍し、脚本家・野沢尚の遺作『砦なき者』(テレビ朝日系)や池端俊作脚本作『ぶるうかなりあ』(WOWOW)などの意欲作・問題作を次々と放ってきたテレビ界の生き伝説だ。映画監督として『愛の流刑地』(07)と『源氏物語 千年の謎』(11)を撮っているが、どちらもセックスと死を題材にしたもので、本作と繋がるものを感じさせる。男は射精した後の虚無感に耐えきれず、身近にいてくれる女性に愛情を覚えるのかもしれない。見ようによっては、大竹しのぶ演じる小夜子は家族と疎遠になった老人たちの最期を看取る死神であり、また聖女のようでもある。2014年に刊行された黒川博行の原作小説『後妻業』(文藝春秋)は生々しい犯罪ものだったが、鶴橋監督は大竹しのぶから陰と陽の相反する魅力を引き出した上で、したたかに生きる女性賛歌の犯罪コメディへと大胆にアレンジしてみせた。  悪魔のような女・小夜子への反撃を耕造の娘・朋美は試みるが、では朋美は心が清らかな女性かというとそうでもない。建築デザイナーである朋美は、仕事が忙しいことを口実にボケ始めた父親の世話をすることから逃げてきた。そんな自分に後ろめたさを感じていたがゆえに、弱みにつけこんできた小夜子が余計に許せない。焼肉屋で、大竹しのぶと尾野真千子が激しくしばき合うシーンは本作の見どころだ。さらに大竹は笑福亭鶴瓶とのベッドシーンも演じてみせる。大竹の熱演に触発されたのは尾野だけではない。柏木の情婦役を演じる若手女優・樋井明日香は『さよなら歌舞伎町』(15)でもフルヌードになったが、今回はさらに気持ちのよい脱ぎっぷりを見せる。『後妻業の女』に登場する女優たちはみんなキラキラと輝いている。いや、ギラギラと輝く。女たちが眩しく輝く姿に、男はもうひれ伏すしかない。 (文=長野辰次)
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『後妻業の女』 原作/黒川博行 監督・脚本/鶴橋康夫 出演/大竹しのぶ、豊川悦司、尾野真千子、長谷川京子、水川あさみ、風間俊介、余貴美子、ミムラ、松尾論、笑福亭鶴光、樋井明日香、梶原善、六平直政、森本レオ、伊武雅刀、泉谷しげる、柄本明、笑福亭鶴瓶、津川雅彦、永瀬正敏 配給/東宝 PG12 8月27日(土)よりロードショー公開 (c)2016「後妻業の女」製作委員会 http://www.gosaigyo.com

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自衛隊は実は強い!? ゴジラに東京をめちゃくちゃにされた本当のワケ『シン・ゴジラ』

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『シン・ゴジラ』公式サイトより
 絶賛大ヒット中の『シン・ゴジラ』。同作品は、アニメ作品『エヴァンゲリオン』でカルト的人気の庵野秀明監督が挑んだ怪獣映画。伝説的シリーズ『ゴジラ』の新作ですね。  すでに多くの映画ファンに語られている同作品。そこで、ちょっと趣向を変えて“武器”という観点から書きます。    あらゆる映画に武器・兵器は出てきます。実在するものだったり、架空のものだったり、誇張されていたりとさまざまですが、それらを知ることで、映画がより面白くなったり、おかしくなったりします。  怪獣映画とは、未知の存在が人類とその社会を蹂躙していくものです。いかに未知の化け物に、現代の兵器が効かないか? それを見せつける映画でもあるわけです。ミリオタの僕としては「その武器、もうちょい強くして!!」って、思ったりするわけですよ。  もちろん、今回のゴジラに、どんな兵器も効きません。「人類の叡知をバカにしてんのか!?」ってくらい効果がありません。それが『シン・ゴジラ』を見たときの恐怖の正体でもあり、面白さでもあるわけですが。    多少のネタバレは含みますが、気にならない程度に書いていきます。  ゴジラと最初に戦ったのは、自衛隊です。自衛隊って、どのくらいの強さでしょう? 「実戦経験が少ない」「平和ボケ」などの言葉を耳にします。つまり、弱いイメージがあると思います。実のところ、自衛隊はめちゃくちゃ強いです。自衛隊と戦ったことがないので断言はできませんが、強いはずです。いや強くなくてはいけないのです。なぜなら、日本の軍事防衛費は世界でもトップレベルですし、現代における最強兵器「イージス艦」の保有数はアメリカに次いで多いので、ゴジラは相手に不足なしですね。  ゴジラへの最初の攻撃は、ヘリコプターからの機関砲射撃でした。登場するのは「AH-1攻撃ヘリ」通称“コブラ”です。アメリカ製のヘリですけど、自衛隊でも配備されています。劇中に出てくるのは「AH-1S」という強化型です。装備している機関砲は、「M197機関砲」。劇中では「20mm機関砲」と言っています。  ちなみに銃と砲の違いですが、多くの軍隊では、ボーダーラインは20mmとされています。20mm以上を砲、それ未満が銃なので、大きさ順に並べると、銃<20mm≦砲となります。
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アパッチ(イメージ画像 photo by Airwolfhound from Flicker.)
 話を戻します。コブラの20mm機関砲はゴジラに全弾命中。しかし、ゴジラは微動だにしません。そこで立て続けに、攻撃ヘリ「AH-64」こと“アパッチ”が登場します。おそらく、一番有名な軍事用ヘリではないでしょうか? そのアパッチがM230機関砲で攻撃します。これは30mmです。30mmは一発で戦車の装甲を撃ち抜くほどの威力です。 「20mm砲が効かないなら、30mm砲も効くわけないだろ!」そう思われた皆さん、その通りです。全然、効きません。ただ、この30mm砲が効かないことの意味は、かなり大きいです。30mm機関砲は、世界最大級の機関砲です。この機関砲で効果がないなら、ありとあらゆる機関砲はゴジラに効果なしってことになります。  20mmの砲弾は、マジックペンのマッキーくらいの大きさ。30mm弾は1Lのペットボトルくらいの大きさがあります。その集中砲火をまともに食らっても、歩みを止めないゴジラは「頑丈だな! 分厚いな!」となるわけです。  『シン・ゴジラ』では、自衛隊の装備もしっかり再現されていました。装備していた「89式5.56mm小銃」。これは自衛隊の正式採用小銃です。劇中に登場した「10式戦車」は日本の主力戦車で、天下の三菱重工業の製作の国産戦車です。同じく多摩川防衛線でゴジラを砲撃した「16式機動戦闘車」は、なんと映画史上初の登場です。なんたって16年に配備された最新兵器ですからね。ほかにも“平成の零戦”といわれる「F−2戦闘機」、護衛艦の数々、まさに自衛隊兵器のオンパレードです。それでも、役に立たない、世界上位の戦力が歯が立たないんです。  そこで登場するのがアメリカです。アメリカは何をするかというと、「B-2爆撃機」での空爆を決行します。アメリカさまさまです。B-2爆撃機とは、“ステルス戦略爆撃機”のことです。一番形がキレイな航空機ですよね。いや、誰が何と言おうと、僕はそう思います。  B-2爆撃機による「地中貫通爆弾」、通称“バンカーバスター”でゴジラを爆撃します。バンカーバスターは、コンクリートで6メートル強、地面で50メートル以上の深さまで地中を貫きます。ちなみに、劇中に登場したバンカーバスターは発展型で、実は架空の武器なんです。  これは、どうなんだろう? 僕が見た感じでは、多少のダメージはあった。それで怒ってゴジラは火を噴いて、放射能熱線を発射、あるいは、発射できるように進化したと解釈しました。放射能熱線でB-2爆撃機を撃ち落とすってことは、射程が2万メートルくらいあるってことですよ。それで、ステルス爆撃機をゴジラは何機も落としちゃう。あのすごい戦略爆撃機を! アメリカの秘密兵器! 1機2,000億円以上もするのに! 僕はその光景を見て思いました。「落ちたのは、B-2爆撃機じゃない! アメリカの威信だ!」と。  それと、これは僕らミリオタだけの興奮だと思いますけど、アメリカの軍用無人航空機、「MQ-9リーパー」が出てくる! アメリカ映画では何度も見たことあるけど、日本映画は初出演じゃないだろうか!?  見せ場といえば、「無人在来線爆弾(E231系・E233系)」ですよね。内閣官房副長官の矢口(長谷川博己)とその仲間たちが、打倒ゴジラの名の下展開した“ヤシオリ作戦”で登場します。僕らが普段乗る中央快速線やら山手線やらが、走る爆弾になります。あの電車、目一杯爆弾を積んでいるとしたら、相当な威力です。ちょっと、計算してみましょう。  E231系1車両の定員は162名、乗車率200%になると、倍の人数である約320名乗れるとしましょう。一人当たり、成人男性の平均体重65キロとします。65×320=20,800となります。つまり、約20t。1車両あたり20tの爆弾です。それが10車両を1編成とし、10編成で、走っていきます! 2,000tの爆弾です! 2,000t……! 想像つきませんよね!?  爆弾の威力はTNT爆弾を基準とした“TNT換算”を用います。TNT換算で2,000tを計算すると、なんと爆発から半径1.5キロ内のコンクリートビル群が倒壊するレベルです! 東京大空襲でB29が落とした焼夷弾ですら合計1,700tですよ!  2,000tの火薬量をぶつけても、ゴジラは転倒するだけで、大きなダメージはありません。文字通り“バケモノ”です。  という具合に兵器を知っていれば、映画はより面白くなります。「あの武器」が通じない!「あの兵器」が落とされた! それだけで、より映画の世界に引き込まれるわけです。 『シン・ゴジラ』でいうと、ゴジラから発せられる恐怖感が倍増します。まぁ、ゴジラが核融合の塊みたいな存在なので、それ自体が兵器と言ってしまえば、そうなんですけども……。  それにしても、本当に武器っていいものですね〜。 (文=二木知宏[スクラップロゴス])

自衛隊は実は強い!? ゴジラに東京をめちゃくちゃにされた本当のワケ『シン・ゴジラ』

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『シン・ゴジラ』公式サイトより
 絶賛大ヒット中の『シン・ゴジラ』。同作品は、アニメ作品『エヴァンゲリオン』でカルト的人気の庵野秀明監督が挑んだ怪獣映画。伝説的シリーズ『ゴジラ』の新作ですね。  すでに多くの映画ファンに語られている同作品。そこで、ちょっと趣向を変えて“武器”という観点から書きます。    あらゆる映画に武器・兵器は出てきます。実在するものだったり、架空のものだったり、誇張されていたりとさまざまですが、それらを知ることで、映画がより面白くなったり、おかしくなったりします。  怪獣映画とは、未知の存在が人類とその社会を蹂躙していくものです。いかに未知の化け物に、現代の兵器が効かないか? それを見せつける映画でもあるわけです。ミリオタの僕としては「その武器、もうちょい強くして!!」って、思ったりするわけですよ。  もちろん、今回のゴジラに、どんな兵器も効きません。「人類の叡知をバカにしてんのか!?」ってくらい効果がありません。それが『シン・ゴジラ』を見たときの恐怖の正体でもあり、面白さでもあるわけですが。    多少のネタバレは含みますが、気にならない程度に書いていきます。  ゴジラと最初に戦ったのは、自衛隊です。自衛隊って、どのくらいの強さでしょう? 「実戦経験が少ない」「平和ボケ」などの言葉を耳にします。つまり、弱いイメージがあると思います。実のところ、自衛隊はめちゃくちゃ強いです。自衛隊と戦ったことがないので断言はできませんが、強いはずです。いや強くなくてはいけないのです。なぜなら、日本の軍事防衛費は世界でもトップレベルですし、現代における最強兵器「イージス艦」の保有数はアメリカに次いで多いので、ゴジラは相手に不足なしですね。  ゴジラへの最初の攻撃は、ヘリコプターからの機関砲射撃でした。登場するのは「AH-1攻撃ヘリ」通称“コブラ”です。アメリカ製のヘリですけど、自衛隊でも配備されています。劇中に出てくるのは「AH-1S」という強化型です。装備している機関砲は、「M197機関砲」。劇中では「20mm機関砲」と言っています。  ちなみに銃と砲の違いですが、多くの軍隊では、ボーダーラインは20mmとされています。20mm以上を砲、それ未満が銃なので、大きさ順に並べると、銃<20mm≦砲となります。
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アパッチ(イメージ画像 photo by Airwolfhound from Flicker.)
 話を戻します。コブラの20mm機関砲はゴジラに全弾命中。しかし、ゴジラは微動だにしません。そこで立て続けに、攻撃ヘリ「AH-64」こと“アパッチ”が登場します。おそらく、一番有名な軍事用ヘリではないでしょうか? そのアパッチがM230機関砲で攻撃します。これは30mmです。30mmは一発で戦車の装甲を撃ち抜くほどの威力です。 「20mm砲が効かないなら、30mm砲も効くわけないだろ!」そう思われた皆さん、その通りです。全然、効きません。ただ、この30mm砲が効かないことの意味は、かなり大きいです。30mm機関砲は、世界最大級の機関砲です。この機関砲で効果がないなら、ありとあらゆる機関砲はゴジラに効果なしってことになります。  20mmの砲弾は、マジックペンのマッキーくらいの大きさ。30mm弾は1Lのペットボトルくらいの大きさがあります。その集中砲火をまともに食らっても、歩みを止めないゴジラは「頑丈だな! 分厚いな!」となるわけです。  『シン・ゴジラ』では、自衛隊の装備もしっかり再現されていました。装備していた「89式5.56mm小銃」。これは自衛隊の正式採用小銃です。劇中に登場した「10式戦車」は日本の主力戦車で、天下の三菱重工業の製作の国産戦車です。同じく多摩川防衛線でゴジラを砲撃した「16式機動戦闘車」は、なんと映画史上初の登場です。なんたって16年に配備された最新兵器ですからね。ほかにも“平成の零戦”といわれる「F−2戦闘機」、護衛艦の数々、まさに自衛隊兵器のオンパレードです。それでも、役に立たない、世界上位の戦力が歯が立たないんです。  そこで登場するのがアメリカです。アメリカは何をするかというと、「B-2爆撃機」での空爆を決行します。アメリカさまさまです。B-2爆撃機とは、“ステルス戦略爆撃機”のことです。一番形がキレイな航空機ですよね。いや、誰が何と言おうと、僕はそう思います。  B-2爆撃機による「地中貫通爆弾」、通称“バンカーバスター”でゴジラを爆撃します。バンカーバスターは、コンクリートで6メートル強、地面で50メートル以上の深さまで地中を貫きます。ちなみに、劇中に登場したバンカーバスターは発展型で、実は架空の武器なんです。  これは、どうなんだろう? 僕が見た感じでは、多少のダメージはあった。それで怒ってゴジラは火を噴いて、放射能熱線を発射、あるいは、発射できるように進化したと解釈しました。放射能熱線でB-2爆撃機を撃ち落とすってことは、射程が2万メートルくらいあるってことですよ。それで、ステルス爆撃機をゴジラは何機も落としちゃう。あのすごい戦略爆撃機を! アメリカの秘密兵器! 1機2,000億円以上もするのに! 僕はその光景を見て思いました。「落ちたのは、B-2爆撃機じゃない! アメリカの威信だ!」と。  それと、これは僕らミリオタだけの興奮だと思いますけど、アメリカの軍用無人航空機、「MQ-9リーパー」が出てくる! アメリカ映画では何度も見たことあるけど、日本映画は初出演じゃないだろうか!?  見せ場といえば、「無人在来線爆弾(E231系・E233系)」ですよね。内閣官房副長官の矢口(長谷川博己)とその仲間たちが、打倒ゴジラの名の下展開した“ヤシオリ作戦”で登場します。僕らが普段乗る中央快速線やら山手線やらが、走る爆弾になります。あの電車、目一杯爆弾を積んでいるとしたら、相当な威力です。ちょっと、計算してみましょう。  E231系1車両の定員は162名、乗車率200%になると、倍の人数である約320名乗れるとしましょう。一人当たり、成人男性の平均体重65キロとします。65×320=20,800となります。つまり、約20t。1車両あたり20tの爆弾です。それが10車両を1編成とし、10編成で、走っていきます! 2,000tの爆弾です! 2,000t……! 想像つきませんよね!?  爆弾の威力はTNT爆弾を基準とした“TNT換算”を用います。TNT換算で2,000tを計算すると、なんと爆発から半径1.5キロ内のコンクリートビル群が倒壊するレベルです! 東京大空襲でB29が落とした焼夷弾ですら合計1,700tですよ!  2,000tの火薬量をぶつけても、ゴジラは転倒するだけで、大きなダメージはありません。文字通り“バケモノ”です。  という具合に兵器を知っていれば、映画はより面白くなります。「あの武器」が通じない!「あの兵器」が落とされた! それだけで、より映画の世界に引き込まれるわけです。 『シン・ゴジラ』でいうと、ゴジラから発せられる恐怖感が倍増します。まぁ、ゴジラが核融合の塊みたいな存在なので、それ自体が兵器と言ってしまえば、そうなんですけども……。  それにしても、本当に武器っていいものですね〜。 (文=二木知宏[スクラップロゴス])

高倉健が淹れたコーヒーは実は美味しくなかった!? 人格者ではない“昭和のスター”の人間くさい素顔

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“最後の映画スター”高倉健。これまであまり語られることがなかったが、海外からも様々な出演オファーが届いていたことが明らかになっていく。
 スクリーンの中のこの人に何度励まされたことだろう。この人の映画を観る度に、自分の抱えている悩みはとてもちっぽけなものに思えた。到底手が届かないスターとしての風格を備えながら、でも遠い親戚のような親しみやすさも感じさせた。この人がいなくなって、本当に淋しい。2014年11月10日に映画俳優・高倉健が亡くなって、もうすぐ2年になる。男女を問わず、誰もが憧れた“昭和の大スター”高倉健の魅力を検証した初のドキュメンタリー映画が『健さん』だ。『ブラック・レイン』(89)で共演したマイケル・ダグラス、長年にわたって手紙でのやりとりを重ねていたマーティン・スコセッシ監督、高倉健への憧れから『君よ憤怒の河を渉れ』(76)のオマージュ作を製作中のジョン・ウー監督ら海外のビッグネームたちに加え、実妹の森敏子さん、元付き人の西村泰治氏ら総勢20人以上がそれぞれの心の中に今も生きている高倉健について語っている。  本作を撮ったのはNY在住、写真家として活躍する日比遊一監督。俳優としてのキャリアも持つ日比監督は高倉健の大ファンだったが、生前の高倉健とは直接的な交流はなかった。言ってみれば本作は、海外在住歴の長いひとりの日本人クリエイターが、映画俳優・高倉健の中に失われつつある日本人像、日本人の美意識を見出し、その残像を追い求めたものとなっている。 日比遊一「僕が日本を出て、米国に渡ってもう30年になります。昭和から平成に変わる頃でした。ある意味、日本で暮らしている日本人以上に僕は日本人っぽいと思うことが多いんです(笑)。今の日本人は昭和の日本人の美しさを忘れかけているように、僕には思えるんです。昭和の日本人の美しさって、高倉健さんの美しさでもあるわけです。昭和を生きた男・高倉健さんのかっこよさを多くの人にきちんと伝えたいという想いから、この映画を撮ったんです」
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NYから帰国した日比遊一監督。「高倉健さんの俳優としての評価をきちんと伝えるものを残したかった」と語る。
 日比監督は名古屋出身の1964年生まれ。高倉健の代表作『昭和残侠伝』シリーズが始まったのが1965年だから、高倉健の人気が爆発した任侠映画の全盛期をリアルタイムで体感したわけではない。高校卒業後に上京し、新宿駅南口にあったヤクザ映画専門館「昭和館」などに通い、東京でひとり暮らしを始めた日比監督は唐獅子牡丹を背負った高倉健の姿に魅了されていった。 日比「高校まではずっとスポーツひと筋で過ごし、あまり映画は観たことなかった。それなのにTVドラマ『探偵物語』に主演していた松田優作さんに憧れて上京し、日活の俳優養成学校(日活芸術学院)に入ったんです。学校ではロバート・デ・ニーロ派とアル・パチーノ派に分かれて演技論が飛び交っていたけど、僕はちっとも理解できなかった(笑)。それでオールナイト上映をやっている映画館に通って、浴びるように映画を観ているうちに、高倉健さんが主演している任侠映画の大ファンになったんです。当時は新宿の昭和館の他にも、池袋や鶴見にも任侠映画を上映している映画館がありましたね」  松田優作への憧れも冷めることなく、日活の撮影所に松田優作が現われたと聞くと、「弟子にしてほしい」と本人に頼み込みに行った。このとき、弟子入りは断られたが、松田優作から掛けられた言葉が、日比監督の生涯を大きく変えることになる。 日比「優作さんに『俺がお前くらいの年齢なら、米国に渡っている』と言われ、その言葉を真に受けて、渡米したんです。若気の至りってやつですね(笑)。すぐには英語が話せなかったので苦労しました。そんなとき、日本から持ってきた高倉健さんの主演映画をビデオで見たり、健さんが書いた本を読むことで元気をもらっていたんです。健さんは僕にとってバイブルみたいな存在なんです」  この頃、日比さんが観ていた映画は、『昭和残侠伝』シリーズや『網走番外地』(65)に『冬の華』(78年)といった硬派な作品。映画の中で懸命に耐える健さんに励まされながら、日比監督は一本気な性格のまま米国で根を降ろすことに。 日比「俳優として渡米したものの、ハリウッドでもNYでもなかなか仕事はなく、日本と米国を行き来していました。『波止場』(54)や『エデンの東』(55)を撮ったエリア・カザン監督が第2回東京国際映画祭のゲストで来場していたことから、下手なりに懸命に自分の想いを綴った手紙を送ったところ、カザン監督はとても親切な人で、『米国に来たら訪ねて来い』と返事をくれたんです。それで本当にお邪魔して、3カ月間ほど自宅に居候させてもらい、いろんなことを学ばせてもらった。しかもアクターズ・スタジオの共同設立者ロバート・ルイスを紹介してもらい、彼に弟子入りして7年間ほどアクターズ・スタジオで勉強させてもらったんです。その間、デニス・ホッパーに僕が撮った写真を褒められたこともあって、写真も撮り続けていたら今では写真家としての稼ぎのほうが多くなりました(笑)。でも、写真はあくまでも映画を撮るための絵コンテの勉強のつもりで、自分からは写真家と名乗ったことはない。映画への憧れはずっと変わらず持ち続けたんです」
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マーティン・スコセッシ監督は高倉健と手紙を交わす仲だった。遠藤周作原作『Silence』への出演を打診していたことを打ち明ける。
■高倉健は本当は器用な俳優だった!  米国で山あり谷ありの人生を歩んできた日比監督。そんな日比監督は高倉健の佇まいの美しさだけでなく、日本人としてのブレのなさにも魅力を感じている。その一例としてハリウッド映画『ブラック・レイン』を挙げた。 日比「松田優作さんが出演していることもあって、『ブラック・レイン』の撮影現場には何度か足を運んだんです。遠くから見ていただけで、撮影が終わってから優作さんと少し話したりはできましたけどね。完成した『ブラック・レイン』には感激して、劇場で10回は観ましたね。健さんがソバをすするシーンがあるんですが、健さんはズルズルと音を立てながら食べるんです。日本人って外国人の前では『音を立てて麺類を食べるのは恥ずかしい』と思いがちだけど、健さんは『ソバは音を立てて食べるもんだよ』と日本人のスタイルを変えなかった。ハリウッド映画だからといって、変えてしまうと日本の文化のひとつがなくなってしまうわけです。健さんは日本人のスタイルを守り、日本人はかっこいいんだということを海外にも伝えていたように思うんです」  撮影現場の待ち時間は椅子に腰掛けることがなかったなど、高倉健の人格者としての逸話は有名だが、本作ではこれまであまり語られることのなかった意外な素顔を伝えている。東映時代の高倉健はいつも寝坊して、撮影現場に遅れて現われることが多かった。また同じく東映出身で共演する機会が多かった八名信夫は、高倉健が淹れたコーヒーを「美味しくなかった。ミルクや砂糖を入れようとすると怒られた」と打ち明ける。意外と疑り深い性格だったことも触れられる。 日比「マイケル・ムーア監督の突撃インタビューみたいなスタイルではないので、スキャンダルを暴くという狙いのものではありません。かといって健さんのことを聖人君子として語っても面白くない。健さんの意外な一面や人間くさいエピソードを盛り込んでいますが、それでも尚かつ健さんのことが好きになってしまうはずです。取材をしながら、健さんは自分が思っていた以上の高みにいた人だったんだなと感じさせられることが多々ありましたね」
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高倉健に憧れ続けたジョン・ウー監督。『ミッション:インポッシブル2』(00)のトム・クルーズは高倉健のイメージで演出した。
 写真家の立木義浩氏は「車を出た瞬間から高倉健を演じていた」と語る一方、降旗康男監督は「高倉健という看板を掲げていたが、『俺は小田剛一だ』という想いが彼の俳優としての成り立ちだったように思う」とコメントする。高倉健の海外でのマネージメントを担当していた阿部丈之氏は「俳優・高倉健と本名の小田剛一との二面を持ち、周りの人によって使い分けていた」と振り返る。様々な高倉健像が語られ、実に興味深い。 日比「『不器用ですから』というCMの影響で高倉健さんのことを不器用な人と思った人も少なくないようですが、健さんはとても器用な人です。不器用を演じられるほど器用だった。晩年は寡黙なキャラクターを演じることが多くなったけれど、『網走番外地』などはものすごい量の台詞をしゃべっています。あれだけの台詞をうまくコントロールしながら演技ができる俳優って、今の若手俳優ではそうそういない。ひとりの人間はいろんな面を持っているように、健さんも様々な面を持っていたと思います。そういうところも含めて、健さんは僕にとってのアイドル。憧れのアイドル(偶像)を持つのは、とてもいいことだと思うんです。アイドルに少しでも近づこうと頑張るわけじゃないですか。今はAKB48みたいに手の届くアイドルが人気なんでしょうけど、健さんは僕がどれだけ頑張っても手が届かない永遠のアイドルなんです。40歳の若さで亡くなった松田優作さんもそうだけど、昭和って時代にはこんなにかっこいい男たちが日本にはいたんだぞ、と若い人たちに伝えたいんです」  このドキュメンタリー映画を見終わった人は、きっとこう叫びたくなるだろう。「健さん!」と。高倉健は今もスクリーンの中に、そしてファンの心の中に生き続けている。 (取材・文=長野辰次/撮影=尾藤能暢)
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『健さん』 監督/日比遊一 出演/マイケル・ダグラス、ポール・シュレイダー、ヤン・デ・ボン、ユ・オソン、チューリン、ジョン・ウー、マーティン・スコセッシ、阿部丈之・真子、石山希哲・英代、今津勝幸、梅宮辰夫、遠藤努、老川祥一、川本三郎、佐々木隆之、澤島忠、関根忠郎、立木義浩、中野良子、西村泰治、降旗康男、森敏子、八名信夫、山下義明、山田洋次、中井貴一(語り) 配給/レスペ 8月20日(土)より渋谷シネパレス、新宿K’s cinemaほかロードショー (c)2016 Team“KEN SAN” http://respect-film.co.jp/kensan
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●ひび・ゆういち 1964年愛知県名古屋出身、NY在住。フォトグラファーとして活躍する一方、映画監督として写真家ロバート・フランクのドキュメンタリー『A Weekend with Mr. Frank』を製作。2013年には長編プロジェクト『ROAD KILL』がカンヌ映画祭アトリエ部門に米国代表として招待された。現在、コンスタンチン・スタニスラフスキーの“メソッド”を探るドキュメンタリー『Method or Madness ?』を製作中。