実は読書嫌いだった? 知られざる田辺青蛙の原点『てのひら怪談』

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『てのひら怪談 庚寅』(ポプラ社)
「日本ホラー大賞短編賞」受賞の小説家・田辺青蛙によるオススメブックレビュー。  気が付けば、プロになってから3年以上が経っていた。まだ専業になれる程の稼ぎもなく、家業の手伝いの合間にちょこちょこと書き溜めたものを出しているのが現状だ。  そもそも、あまり褒められたことじゃないが、読書を嫌っていた私がどうして文章を書くことになったのか......。 切っ掛けは「巫女」+「萌え」という単語をネットで検索したことだった。そのキーワードで引っかかったサイトの、巫女座談会の記事が面白く、記事を読み終えた後、感想をBBSに書き込もうとクリックした。すると、そこではサイトの管理者が受賞したという、とある文学賞が話題になっていた。 「ビーケーワン怪談大賞」  オンライン書店の主催する掌編賞で、応募規約は800文字(原稿用紙2枚)以内のオリジナル怪談作品であること。  800文字くらいだったら、私でも書けるだろうと思い気軽に投稿してみた。それからしばらくして、ふっと思いついたお話があったのでまたそれを書いて投稿してみた。今は応募数が増えて、上限が3作までとなっているが、当時のビーケーワン怪談大賞には投稿数制限がなくて、何作でも投稿出来たのだ。下手な鉄砲も数打てばあたるのか、運よく応募した作品の中の1つが佳作を受賞した。宇治の橋姫の話を元にした怪談話で、ビーケーワン怪談大賞は全ての応募作をブログで公開しているので、今でもこちらで読むことが出来る。軽い気持ちで応募したので、PNも住んでいる町の名、京田辺市にちなんで「田辺」で投稿した。 『薫糖』/田辺 <http://blog.bk1.jp/kaidan/archives/001575.html>  その作品が審査員の1人、東雅夫さんの声かけによって他の受賞作等と一緒に、一冊の本になることに決まった。 『てのひら怪談』  PNもただの田辺じゃ収まりが悪いと言われ、蛙が好きだったので青蛙とつけた。田んぼの蛙......この場限りの名前だと思ったのだけれど、今は本名よりもこちらを名乗ることの方が多い。なんとなく、語呂がいいからと編集者のSさんに名づけられたこの本は、今年で文庫3冊目が発売された。さて、この賞も今年で8年目、応募者も増え、プロも多数輩出している。2010年度は、700作を越える応募作が集まったが来年はどうなることだろう。なんとなく文章を書いてみたいなという思う人がいたら、是非来年応募してみて欲しい。  最後に、私が応募してみようと思い立つ切っ掛けとなったサイトの管理人であった、ヒモロギさんの怪談をご紹介しよう。今までの怪談のイメージを払拭するような凄い内容なので、是非ごらんあれ。 『死霊の盆踊り』/ヒモロギヒロシ <http://blog.bk1.jp/kaidan/archives/002726.html> (文=田辺青蛙) tanabe_prof.jpgたなべ・せいあ 「小説すばる」(集英社)「幽」(メディアファクトリー)、WEBマガジン『ポプラビーチ』などで妖怪や怪談に関する記事を担当。2008年、『生き屏風』(角川書店 )で第15回日本ホラー小説大賞を受賞。綾波レイのコスプレで授賞式に挑む。著書の生き屏風、共著に『てのひら怪談』(ポプラ社)シリーズ。2冊目の書き下ろしホラー小説、魂追い(角川書店)も好評発売中。
てのひら怪談 庚寅 見つめないで。 amazon_associate_logo.jpg
「妖しき本棚」INDEX 【第13回】淡々とした人の狂気こそおぞましい 平山夢明監修『人間崩壊』 【第12回】事実は小説より奇なり 幽霊よりも怖い実話怪談集『現代百物語』 【第11回】"トイレの花子さん"だけじゃない! 便所怪談競作集『厠の怪』 【第10回】節約の先に見える幸せ? 新妻のお助けコミックエッセイ『年収150万円一家』 【第9回】頭が痺れて動けない! 真藤順丈が作る新しいバイブル『バイブルDX』 【第8回】すべてが吹っ飛ぶ極上スプラッタ・ホラー漫画『血まみれスケバンチェーンソー』 【第7回】後味の悪さが尾を引く、究極のマゾヒズム世界『劇画 家畜人ヤプー』 【第6回】妖怪並みの衝撃! 変態おじさんとの思い出がフラッシュバックする『バカ男子』 【第5回】「げに美しき血と汚物と拷問の世界に溺れる『ダイナー』 【第4回】「グッチャネでシコッてくれ」 河童に脳みそをかき回される『粘膜人間』 【第3回】なつかしく、おそろしく、死と欲望の詰まった"岡山"を読む『魔羅節』 【第2回】"大熊、人を喰ふ"史上最悪の熊害を描き出すドキュメンタリー『羆嵐』 【第1回】3本指、片輪車......封印された甘美なる"タブー"の世界『封印漫画大全』

淡々とした人の狂気こそおぞましい 平山夢明監修『人間崩壊』

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『黒丸ゴシック1 人間崩壊』(竹書房)
「日本ホラー大賞短編賞」受賞の小説家・田辺青蛙によるオススメブックレビュー。  先日、コンビニまでコーラを買いにいこうと思い、私は夜の9時過ぎ頃に家を出た。今住んでいる家は、一号線にも近く、夜中でも車の交通や人通りが絶えることはない。コンビニまでの距離はだいたい80mくらいだろうか......。  ひゅんひゅんひゅん  何かが空を切るような音を耳にして、私は振り返った。するとそこには、バイク用のヘルメットを被った男が、ゴルフクラブをスウィングしながら歩いている姿があった。周りには、10人近くの人がいたが、駆け寄ってくる人も、声を上げる人もいなかった。  ひゅんひゅんひゅん  あれで、殴られたら死ぬか大怪我だな......。そう考える暇もなく、全速力で走って家に戻った。翌日、警察に行くと、私が目撃した男と同じ格好をした人に背後から襲われて財布を奪われた人がいたという話を聞いた。恐ろしいことこの上ない。あまり背丈は高くなかったので、今思えばあれは中学生くらいの男の子だったのかも知れない。走って逃げる途中、転んでしまったり、また相手の足が私より速かったらと思うと、再び全身に寒気が走った。  ニュースで読み上げられる事件の被害者に、いつ自分がなるかは分かったもんじゃない。  さて、『黒丸ゴシック1 人間崩壊』は黒史郎さんによる実話怪談集。以前紹介した岩井志麻子さんの小説のように、幽霊等が出てくる怪談話ではない。ひたすら恐ろしい淡々とした人の狂気や、事件について書かれた怪談集である。それもそのはず、この本は、あの鬼畜実話怪談でも有名な平山夢明さんが監修しているのだから。  生焼けの男に抱きすくめられた話、夜中にキッチンバサミを持ってカットモデルを探しに徘徊する男。拉致されてガスバーナーで乳首を焼かれて、聞こえる悲鳴。手品の練習に、ペットを殺す恋人。次から次へとなんともいえない気持ちになる話が続くかと思ったら、ホロっとしてしまいそうな物悲しいエピソードも入っている。  個人的には小学生を追いかける赤いオートバイの話が、何とも言えず不気味に感じられた。 「岩橋君はすごく可哀想な子だった」という一文から始まる短編だが、いろいろとグッと来る。「うわぁ、きたきた! タスケテ、タスケテ」とか、言いながら逃げ続けるのだが、誰も赤いオートバイの話を信じてくれず、小学生だからどうしようもないのだ。1人でスタンド使いに立ち向かう普通の人みたいなノリが凄く絶望的な内容で、物凄く印象に残った。  普通に町に生きていて、何もなく平穏に暮らしていたとしても、いつか、悪夢のような体験を味わってしまうかも知れない。この本を読み終えたあと、ぼんやりと夕方のニュースを見ながらそんなことを考えた。  夏も終わり、これから日もどんどん短くなってくる。あのゴルフクラブを持った男に遭遇してから、私も闇が少し怖くなってしまった。  ふと、思い立って祖母の住むお寺に電話をかけてみた。老人しか住んでいない場所で、何か変わったことはないかと聞きたかったのだ。うちの祖母の住んでいるお寺は田畑に囲まれたのどかな所にある。祖母は新婚生活はどうかと私に一通り聞いたあと、ここは田舎なので、毎日が退屈すぎるくらいだと答えた。だが、祖母と他愛ない世間話をし終えたあと、こんな話を聞いた。 「あのね、怖い話ってほどじゃないけど、お寺の近くの西瓜畑でね、ボーガンの矢で西瓜が割られる事件が発生したの。不気味なのが、西瓜のひとつに『お前の頭』と書いてあったらしいよ」 とりあえず私は、祖母に番犬になりそうな犬を飼うように勧めた。  最後に著者による、本書のあとがきを引用しようと思う。 「現実はもっとおぞましく、危険なのです。 災難の蛹は、どこにでも生まれます。もしそれに気づいても、絶対に手を触れぬよう、目を背け、羽化してしまう前に逃げて下さい。 読者の皆さんが崩壊するところを僕は見たくありません。 どうか皆さんが安全な場所で、この本を読み終えてくださるように」 (文=田辺青蛙) tanabe_prof.jpgたなべ・せいあ 「小説すばる」(集英社)「幽」(メディアファクトリー)、WEBマガジン『ポプラビーチ』などで妖怪や怪談に関する記事を担当。2008年、『生き屏風』(角川書店 )で第15回日本ホラー小説大賞を受賞。綾波レイのコスプレで授賞式に挑む。著書の生き屏風、共著に『てのひら怪談』(ポプラ社)シリーズ。2冊目の書き下ろしホラー小説、魂追い(角川書店)も好評発売中。
黒丸ゴシック1 人間崩壊 ひゅんひゅんひゅん。 amazon_associate_logo.jpg
「妖しき本棚」INDEX 【第12回】事実は小説より奇なり 幽霊よりも怖い実話怪談集『現代百物語』 【第11回】"トイレの花子さん"だけじゃない! 便所怪談競作集『厠の怪』 【第10回】節約の先に見える幸せ? 新妻のお助けコミックエッセイ『年収150万円一家』 【第9回】頭が痺れて動けない! 真藤順丈が作る新しいバイブル『バイブルDX』 【第8回】すべてが吹っ飛ぶ極上スプラッタ・ホラー漫画『血まみれスケバンチェーンソー』 【第7回】後味の悪さが尾を引く、究極のマゾヒズム世界『劇画 家畜人ヤプー』 【第6回】妖怪並みの衝撃! 変態おじさんとの思い出がフラッシュバックする『バカ男子』 【第5回】「げに美しき血と汚物と拷問の世界に溺れる『ダイナー』 【第4回】「グッチャネでシコッてくれ」 河童に脳みそをかき回される『粘膜人間』 【第3回】なつかしく、おそろしく、死と欲望の詰まった"岡山"を読む『魔羅節』 【第2回】"大熊、人を喰ふ"史上最悪の熊害を描き出すドキュメンタリー『羆嵐』 【第1回】3本指、片輪車......封印された甘美なる"タブー"の世界『封印漫画大全』

事実は小説より奇なり 幽霊よりも怖い実話怪談集『現代百物語』

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『現代百物語』(角川書店)
「日本ホラー大賞短編賞」受賞の小説家・田辺青蛙によるオススメブックレビュー。  見開き2ページで1話完結の実話怪談集『現代百物語』。どちらかと言うと、幽霊よりも人間の方が怖いと思わせる内容の怪談となっている。岩井志麻子さんは、「週刊新潮」(新潮社)で実際の事件を小説仕立てに書く連載「黒い報告書」も行っているだけあって、内容のリアリティーがハンパじゃない。一時期日本中で話題となった、結婚詐欺師の話に、韓国の連続殺人犯、レズビアンの食人鬼、整形手術の後、何を嗅いでもウン○の臭いに感じるようになった女の話......。岩井さんらしい、エロネタもあって、悲惨なグロ話が続いたあとにニヤリともさせられる。  そんな中、一つ気になる話があった。「奇妙なインタビュー」というエピソードで、岩井さんが取材の依頼を受けると、日本語のアクセントのおかしい女性がインタビューにやって来た。彼女は何故か岩井さんに質問をふらずに不幸な香港女の話ばかりを語り、取材は終わるのだが、後日岩井さんが聞くと、出版社も雑誌もそんな依頼はしていないし、彼女の存在も知らないという。  何故この話が気になったかというと、以前インタビューした某ホラー作家からも同じような女の話を聞いたことがあったからだ。もしかすると同一人物だったのかも知れない。何故、彼女がありもしない依頼をでっち上げてホラー作家にインタビューを迫っては、不幸な香港女の話をするのか......一度その理由について、彼女にインタビューしてみたいと思った。  そして、私自身も奇妙なインタビューの依頼を受けたことがある。それは新人賞を取ってから、一カ月程経った日のことだった。『授賞式で貴女のことを知りました。コスプレ作家として取材したいので、コスチュームを着用したまま、○○ホテルのラウンジに来て下さい』という内容のメールをもらった。会社名も雑誌の名前もメールには明記されていたが、どちらも聞いたことも見たこともないものだったので、ネットで検索してみることにした。 すると、一件もヒットしないし、ホームページも存在しない。電話をいつかけても留守電話だった。Googleマップで待ち合わせに指定された場所も念のために検索してみると、それはホテルではなく普通の住宅地にあるマンションだった。何だか怖くなって、メールに返信しないまま、待ち合わせの日が来たが、私は当然行かなかった。すると翌日、『どうして来てくれなかrけあえま。』(原文ママ)無題の件名にこの一文だけのメールが来て背筋がゾッとした。 「富士山麓鸚鵡無く」という一文を必ず冒頭につけてメールをくれたミニコミ紙を名乗る編集者がいて、妖怪を見た話を書いてくれと頼まれた。しかもその依頼されたメールの文章がまるで、機械翻訳にでもかけたかのような珍妙な文体で、これもまた別の意味で怖かった。  何故だか、変な取材依頼というのは重なるようで、他にも20万を振り込んだら記事にしてやるといった内容の電話がかかって来たこともある。こういうことが続くと、さすがに気味が悪くなったので、同じ時期にデビューした作家さんに相談を持ちかけたところ、そんなメールや電話は自分に来たことはない。変な依頼が今後来たら、出版社を通して断ってもらうといいというアドバイスを受けた。しかし、どういったわけかそのアドバイスを受けてからは変な依頼が来たことはない。彼らはまた別の新人作家に、奇妙な依頼をし続けているのだろうか?  そして、本書の中で個人的に物凄く怖いと思った話。「子供への無関心」と題された話で、二人の子どもを持つ母親が出てくる。長男は酷い風邪をひいても母親にろくに看病もされず放ったらかしにされて、脳炎になった。長女は、行方不明になっても、捜索届けすら出されなかった。そして行方不明になってから二日後、長女は、性器やお尻の穴も裂けた状態で、傷だらけの廃人となって帰って来た。それでも母親は無関心で、長女はいまだに口もきけない状態だという。しかも、そんな家族の状態を何とも思ってないように淡々と語る夫の存在も恐ろしい。  今もなお、どこかにこんな家族がいるかと思うと何ともいえない気持ちになってしまった。本当に怖いのは、幽霊なのか、人なのか......。  1話あたりが短く直ぐ読めるので、寝苦しい熱帯夜のお供にお勧めの一冊だと思う。ただ、そのまま眠ると悪夢を見てしまう可能性があるかも知れない......。 (文=田辺青蛙) tanabe_prof.jpgたなべ・せいあ 「小説すばる」(集英社)「幽」(メディアファクトリー)、WEBマガジン『ポプラビーチ』などで妖怪や怪談に関する記事を担当。2008年、『生き屏風』(角川書店 )で第15回日本ホラー小説大賞を受賞。綾波レイのコスプレで授賞式に挑む。著書の『生き屏風』、共著に『てのひら怪談』(ポプラ社)シリーズ。2冊目の書き下ろしホラー小説、『魂追い』(角川書店)も好評発売中。
現代百物語 げに怖ろしき。 amazon_associate_logo.jpg
「妖しき本棚」INDEX 【第11回】"トイレの花子さん"だけじゃない! 便所怪談競作集『厠の怪』 【第10回】節約の先に見える幸せ? 新妻のお助けコミックエッセイ『年収150万円一家』 【第9回】頭が痺れて動けない! 真藤順丈が作る新しいバイブル『バイブルDX』 【第8回】すべてが吹っ飛ぶ極上スプラッタ・ホラー漫画『血まみれスケバンチェーンソー』 【第7回】後味の悪さが尾を引く、究極のマゾヒズム世界『劇画 家畜人ヤプー』 【第6回】妖怪並みの衝撃! 変態おじさんとの思い出がフラッシュバックする『バカ男子』 【第5回】「げに美しき血と汚物と拷問の世界に溺れる『ダイナー』 【第4回】「グッチャネでシコッてくれ」 河童に脳みそをかき回される『粘膜人間』 【第3回】なつかしく、おそろしく、死と欲望の詰まった"岡山"を読む『魔羅節』 【第2回】"大熊、人を喰ふ"史上最悪の熊害を描き出すドキュメンタリー『羆嵐』 【第1回】3本指、片輪車......封印された甘美なる"タブー"の世界『封印漫画大全』

"トイレの花子さん"だけじゃない! 便所怪談競作集『厠の怪』

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『厠の怪 』(メディアファクトリー)
「日本ホラー大賞短編賞」受賞の小説家・田辺青蛙によるオススメブックレビュー。  鈴木光司さんの書いた、怖い話の印刷されたトイレットペーパーが売れているらしいですね(参照記事)。トイレで唸りながら怪談を読みたがる人間がそんなに多くいるということ自体、ホラーかも知れません。  あ、今回のレビューはお食事中の方は読まない方がいいかも知れませんよ!!  『厠の怪』はタイトルから見て分かる通り、便所に纏わる怪談の競作集です。  私の祖母の生家は寺で、そこの便所が壮絶に怖かった思いがあります。汲み取り式で屋外にあって、そこに辿り着くには本堂の渡り廊下を通って行かなくてはなりませんでした。  こういうことを言ってはバチが当たってしまうかも知れませんが、当時の私にとって仏像は恐怖の対象でした。どこを見ているか分からない、半開きの目に剥げた塗装......便所に行く途中、仏像の目がチロっと動いたりしそうで嫌だったんです。しかも恐怖の対象は仏像だけではありませんでした。渡り廊下には時折ムカデが、黄色い足をワキワキさせながら丸い円を描いていることがあり、一度、うっかり素足で踏んでしまって大変な目にあったことがあります。ムカデに刺されると足は青紫色になって、パンパンに膨れ上がって、強烈に痛痒いんですよ。なので、1人で便所に行くというのは大変な勇気を要しました。  この競作集の1作目は、京極夏彦さんの「便所の神様」。夜に便所に行くというだけのお話なのに、なんだか異様に不気味で、読んでいると肌がざわざわしました。ただ、便所に行くだけの話が、どうしてこんなに不気味で怖いのか......小さな虫が這い回っている描写とか、ちょっとした文章が、肌に染み入るように、グッと来ます。  そして、2作目は平山夢明さんの「きちがい便所」。先日、某社の依頼で、「きちがい」って言葉は今は使っちゃいけないから、他の言葉にしてくださいって言われたんですけど、平山さんならOKなんでしょうかね。まあ、そんなわけで、感想ですが、最初はほのぼの家族のウキウキ田舎ライフですが、後半は......。こりゃ、タイトルにきちがいを使いますよね、ええ、狂ってます、もう狂いまくってますよ、ええ、もう......お父さん、それは駄目でしょうって感じの内容でした。多分、この感想だと意味が分からないと思いますが、読んでみて下さい、多分納得出来ますから。一つの目的に魅入られて狂っていく情景が半端じゃないんです......。  3話目の福澤徹三による「盆の厠」は、田舎にやって来た少年が語る夏休み。田舎ののどかでありながら、ちょっと不気味な情景と、思春期に差し掛かった少年の性への戸惑いの描写がリアルです。読み終えた後、忌々しい思い出ばかりなのに、祖母の家の便所がちょっと懐かしく思えて来ました。  4作目は毎回、問題作として話題になる飴村行さんによる「糜爛性の楽園」。内容は、犬の交尾を見て性の知識を得た主人公赤間スエが、近親相姦をしまくります。やがて、彼女は人ではない不思議な子ども『便蔵』を便所で見かけるようになるのですが......。堕胎、乱交、マラ様......相変わらず何でもありな、凄い作品となっています。  5作目は黒史郎さんの「トイレ文化博物館のさんざめく怪異」で、便所に関するトリビアが入り混じりながらストーリーが展開していく。セレベスのプギス族の亀が海に帰る習性を利用した、亀の甲羅の上で用を足すという、もっとも自然な水洗便所の話や、ボルネオの筏を利用した水上トイレ。著者に確認したところ、創作ではなく、実際にこれらのトイレは存在するらしい。終盤のトイレで体験した、今まで一番怖かった時の話は壮絶です。  そんなわけで、誰しもが馴染みの深い便所。今年はいろんな怪談本が出ているが、その中でもこれは異色の一冊だと思います。  上記の5作品以外にも、長島槇子さんや水沫流人さん、岡部えつさん、松谷みよ子さんによる、全く味わいの異なる便所の話が繰り広げられています。小学校の頃に、トイレの花子さんの話を聞いたなんて人や、夜便所に行くのに怖い思いをしたなんて人は是非お手に取ってみて下さい。巻末の東雅夫さんによる、「厠の乙女 便所怪談の系譜」も含めて凄い本です。 (文=田辺青蛙) tanabe_prof.jpgたなべ・せいあ 「小説すばる」(集英社)「幽」(メディアファクトリー)、WEBマガジン『ポプラビーチ』などで妖怪や怪談に関する記事を担当。2008年、『生き屏風』(角川書店 )で第15回日本ホラー小説大賞を受賞。綾波レイのコスプレで授賞式に挑む。著書の『生き屏風』、共著に『てのひら怪談』(ポプラ社)シリーズ。2冊目の書き下ろしホラー小説、『魂追い』(角川書店)も好評発売中。
厠の怪 便所怪談競作集 トイレに行けなくなるね。 amazon_associate_logo.jpg
「妖しき本棚」INDEX 【第10回】節約の先に見える幸せ? 新妻のお助けコミックエッセイ『年収150万円一家』 【第9回】頭が痺れて動けない! 真藤順丈が作る新しいバイブル『バイブルDX』 【第8回】すべてが吹っ飛ぶ極上スプラッタ・ホラー漫画『血まみれスケバンチェーンソー』 【第7回】後味の悪さが尾を引く、究極のマゾヒズム世界『劇画 家畜人ヤプー』 【第6回】妖怪並みの衝撃! 変態おじさんとの思い出がフラッシュバックする『バカ男子』 【第5回】「げに美しき血と汚物と拷問の世界に溺れる『ダイナー』 【第4回】「グッチャネでシコッてくれ」 河童に脳みそをかき回される『粘膜人間』 【第3回】なつかしく、おそろしく、死と欲望の詰まった"岡山"を読む『魔羅節』 【第2回】"大熊、人を喰ふ"史上最悪の熊害を描き出すドキュメンタリー『羆嵐』 【第1回】3本指、片輪車......封印された甘美なる"タブー"の世界『封印漫画大全』

節約の先に見える幸せ? 新妻のお助けコミックエッセイ『年収150万円一家』

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『年収150万円一家』
(著:森川弘子 /メディアファクトリー刊)
「日本ホラー大賞短編賞」受賞の小説家・田辺青蛙によるオススメブックレビュー。  去年の暮れぐらいでしょうか、某所でこういう会話が交わされました。 「SF作家の人と今交際中で、今度結婚するかも知れないんですよ」 「ああ、そうですか」 「変わった人なんですけどね、なんだか気が合うのです」 「相性なんて、そんなもんでしょう。うちもそうやったから」  それからしばらくして、私は入籍して先月お披露目会を行いました。家事も殆どやったことが無かったような私なので、いろいろと失敗も多いですが、何とかまあ......生きております。さて、そんな日々の生活の中で意外!? と役に立ちまくっている一冊を、今回はご紹介しましょう。  『年収150万円一家』は、食費は月1万円! 家賃は月6万! で生活、でも年に一度は海外旅行へ行く。そんな生活をしているイラストレーターの奥さんとSF作家の旦那さん、そして娘のコハルちゃんによる生活の記録です。ちなみにこの家族は、別にテレビの企画でこういう生活をしているわけではありません。  本になった経緯もただ奥さんが、パンの耳で生活している芸人がいることをテレビで知り、それならうちでもやっていると、雑誌「ダ・ヴィンチ」(メディアファクトリー)で募集している「コミックエッセイプチ大賞」に「パンミミ生活」という作品を送ったのがきっかけだったとか。  パンの耳生活は、細長いパン耳ではなく、パンの端と端についている四角い切り落としの部分。それにバターを塗って、バタートーストにしたり、チーズやトマトソースを乗せてピザトーストにするのです。四角い切り落とし部分のパン耳は、袋いっぱい入って30円(ランチ約一週間分)。他にもいろんなレシピも書いてあり、手作りでキムチが出来ることも知ったので、私も次の冬に仕込んでみようと思っています。  内容は節約料理や食材だけでなく、フリマ活用術から、懸賞の秘策まで盛りだくさん。私もこの本を読んで、ネットの懸賞に応募してみたら、諸々のブツが当たりました(ほくほく)。掃除の裏技もあって、窓ガラスは新聞で拭くと綺麗になるのは、本当にやってみたら驚くほどピカピカになりました。柑橘類の皮や、使用済みのティーバッグもお掃除に大活躍中です。  いわゆる生活の知恵や、これはさすがにやり過ぎでしょうといいたくなるような節約術が、可愛い漫画で綴られている『年収150万円一家』。海外旅行のエピソードやお役立ちも物凄く面白かったので、お役立ち本としてだけでなく、読み物としても十二分に堪能させていただきました。それにしても作中に出てくる3人家族はとっても仲良しで、本当に幸せってみんなが同じことを楽しんですることじゃないかなと思ってしまったり。  で、私が「SF作家と交際中」と打ち明けたSF作家さんの人が、このエッセイの著者の夫だと後日判明するのですが......。いや、本当に驚きましたね。書店で偶然手に取っただけなのに......意外と世間は狭いもんです。さて、そんなわけで偶然の繋がりの持つ恐ろしさなどについて書かれた、怖いお話の本を次回は紹介したいと思います。 (文=田辺青蛙) tanabe_prof.jpgたなべ・せいあ 「小説すばる」(集英社)「幽」(メディアファクトリー)、WEBマガジン『ポプラビーチ』などで妖怪や怪談に関する記事を担当。2008年、『生き屏風』(角川書店 )で第15回日本ホラー小説大賞を受賞。綾波レイのコスプレで授賞式に挑む。著書の『生き屏風』、共著に『てのひら怪談』(ポプラ社)シリーズ。2冊目の書き下ろしホラー小説、『魂追い』(角川書店)も好評発売中。
年収150万円一家 でも、欲しいものはガマンしたくないです。 amazon_associate_logo.jpg
「妖しき本棚」INDEX 【第9回】頭が痺れて動けない! 真藤順丈が作る新しいバイブル『バイブルDX』 【第8回】すべてが吹っ飛ぶ極上スプラッタ・ホラー漫画『血まみれスケバンチェーンソー』 【第7回】後味の悪さが尾を引く、究極のマゾヒズム世界『劇画 家畜人ヤプー』 【第6回】妖怪並みの衝撃! 変態おじさんとの思い出がフラッシュバックする『バカ男子』 【第5回】「げに美しき血と汚物と拷問の世界に溺れる『ダイナー』 【第4回】「グッチャネでシコッてくれ」 河童に脳みそをかき回される『粘膜人間』 【第3回】なつかしく、おそろしく、死と欲望の詰まった"岡山"を読む『魔羅節』 【第2回】"大熊、人を喰ふ"史上最悪の熊害を描き出すドキュメンタリー『羆嵐』 【第1回】3本指、片輪車......封印された甘美なる"タブー"の世界『封印漫画大全』

頭が痺れて動けない! 真藤順丈が作る新しいバイブル『バイブルDX』

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『バイブルDX』メディアファクトリー
「日本ホラー大賞短編賞」受賞の小説家・田辺青蛙によるオススメブックレビュー。  昔から宗教というものに特にこだわりはなかった。祖母の生家である寺院で、僕は「マリリン・マンソン」を聞きながら『水木しげるの妖怪図鑑』(講談社)を読み、妹はミッション系の学校に通っていた。だから探せば家のどこかに聖書はあるんだろう。ああ、『手塚治虫版の旧約聖書物語』(集英社)なら読んだ記憶があるから、僕の部屋の本棚には確実にある。そんな日本人にとって、クリスチャン以外には、馴染みが薄いと思われている聖書。だが、そんな日本でもキリスト教の異説を取り入れた『ダヴィンチ・コード』(角川書店)は大ヒットしたし、1995年からずっと話題作であり続けている、『新世紀エヴァンゲリオン』は聖書の用語がふんだんに使われている。おおまかな内容を知っているようで知らない聖書。それを1から物語の中で作り出そうとしたのが、真藤順丈さんだ。  僕が生まれて初めてお会いした小説家が、京極夏彦さんだったせいもあるけれど、文筆家のイメージというのは、眉間に皺を寄せて気難しいそうなことを言っている渋い人という思いがあった。だが、07年に日本ホラー小説大賞の授賞式で、飴村行さんと共に出会った真藤順丈さんはそうではなかった。髭に帽子で、海外に長く住んでいる日本人のような風貌。個性派的な俳優......いや、ラッパーとかDJとかそういうタイプにも見える。とにかく、真藤さんの見かけは小説家らしくなかった。そして、経歴も普通ではなかった、4つの異なる新人賞を取ってデビュー。それもたった一年の間に、だ。受賞したのは、ダ・ヴィンチ文学賞大賞、日本ホラー小説大賞大賞、電撃小説大賞銀賞、ポプラ社小説大賞特別賞[http://bookjapan.jp/interview/081110/note081110.html]。すげぇ人だなと思った、そして敵わないなあ......とも。そんな凄い経歴にも関わらず、真藤さんはハニカミ屋さんだったのか、それともプラグスーツを着た僕に絡まれたくなかったのか、どちらかは分からないけれど授賞式ではあまりお話することが出来なかった。ただ、礼儀正しい言葉遣いと、照れた笑顔がとても印象的だった。  次に真藤さんに出会ったのは、映画の中だった。鬼才、平山夢明氏が監修・脚本・監督した『大日本ノックアウトガール』という作品で、彫順という名の刺青彫師役。主人公の少女に助言を与えながら、刺青を入れていくシーンには思わず痺れた。初めてとは思えない玄人裸足の演技に、渋い言い回し。早速、僕の担当編集者のKにこの作品を紹介すると「真藤をただ作家にしておくのはもったいないかも知れない、役者としてもこれほど才能があるだなんて......」と驚いていた。真藤さんは立て続けに受賞作を発表し、飄々としていながらもハニカミがちな喋り方で、テレビに出ている姿や、雑誌でのインタビューも頻繁に見かけることとなった。ライトノベルもホラーも純文学も、何でも書けるカッコいい兄ちゃん風の作家。  そんな真藤さんが書いた、『聖書』を越える雑誌を作り出す物語。この世でもっとも出版部数が多く、歴史的にも影響力が一番強かったといわれるあの聖書を題材に書く。今まで、聖書を研究したり、物語をそのまま再現して追ったり独自の解釈で書いた人はいたけれど、新しい聖書を書くとはどういうことだろう? しかも聖書的な雑誌って何だ? 僕はあらすじを知ると、朝一番に書店に駆け込み、『バイブルDX』を手に取った。  読み終えた後、何でも出来そうな充実感が指先まで満ちているのに、頭は痺れて動けない。不思議な感覚が体中に満ちているのが分かった。「どうだった?」と感想を妹に求められたのだけれど、上手くこの感動を伝えることが出来ず、僕は彼女にこの本を手渡した。今、妹は何かに取り憑かれたように『バイブルDX』を読みふけっている。  奇跡を起こす人物を探し、側にいて取材しながらキリストの選定を行う。どの聖者的な人物も一癖も二癖もあって、それでいてどうしようもなく魅力的だった。奇跡の内容については、どれも思わずぐぐっと本の中に頭を掴んでずるずると引きずりこまれてしまいそうなほどだった。身近にいるかも知れない、そう思わせるキリスト候補者もいれば、突拍子も無いエピソードの中で台風のように荒れ狂う候補者もいる。彼らがどんな奇跡を呼び起こすかは本書を読んで確認してもらいたい。  とにかく、真藤さんは人類未踏のことを次々とやってのけるタイプってことは間違いない。4つの新人賞を立て続けにとったことといい、映画に出て主人公を食ってしまう演技を見せていたことや、それにこの『バイブルDX』。僕は今後も真藤さんをどこかで見かけるたびに「すげぇなぁ、敵わないなぁ」と言うことになりそうだ。真藤さんはこれからもひょいっと何か想像もつかない凄いことを仕出かしてくれるだろう。そして僕はそのことを物凄く楽しみにしている。 (文=田辺青蛙) tanabe_prof.jpgたなべ・せいあ 「小説すばる」(集英社)「幽」(メディアファクトリー)、WEBマガジン『ポプラビーチ』などで妖怪や怪談に関する記事を担当。2008年、『生き屏風』(角川書店 )で第15回日本ホラー小説大賞を受賞。綾波レイのコスプレで授賞式に挑む。著書の『生き屏風』、共著に『てのひら怪談』(ポプラ社)シリーズ。2冊目の書き下ろしホラー小説、『魂追い』(角川書店)も好評発売中。
バイブルDX 神って? 聖書って? amazon_associate_logo.jpg
「妖しき本棚」INDEX 【第8回】すべてが吹っ飛ぶ極上スプラッタ・ホラー漫画『血まみれスケバンチェーンソー』 【第7回】後味の悪さが尾を引く、究極のマゾヒズム世界『劇画 家畜人ヤプー』 【第6回】妖怪並みの衝撃! 変態おじさんとの思い出がフラッシュバックする『バカ男子』 【第5回】「げに美しき血と汚物と拷問の世界に溺れる『ダイナー』 【第4回】「グッチャネでシコッてくれ」 河童に脳みそをかき回される『粘膜人間』 【第3回】なつかしく、おそろしく、死と欲望の詰まった"岡山"を読む『魔羅節』 【第2回】"大熊、人を喰ふ"史上最悪の熊害を描き出すドキュメンタリー『羆嵐』 【第1回】3本指、片輪車......封印された甘美なる"タブー"の世界『封印漫画大全』

すべてが吹っ飛ぶ極上スプラッタ・ホラー漫画『血まみれスケバンチェーンソー』

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『血まみれスケバンチェーンソー』
(著:三家本 礼/エンターブレイン刊)
「日本ホラー大賞短編賞」受賞の小説家・田辺青蛙によるオススメブックレビュー。  疲れている時、あなたは何をしたいですか? 頭を休めたい時、気分転換に何をしますか? 睡眠? ゲーム? 動画鑑賞? スポーツ?  僕の場合、物凄く頭の悪そうなホラー作品を手に取りたくなります。今回ご紹介する『血まみれスケバンチェーンソー』はどこに出しても恥ずかしくない、極上の馬鹿スプラッタ・ホラー漫画。いきなり「けだもの幼稚園」のバスがゾンビ軍団に襲われているところから始まります。  そして園児に応援されながら、パンチラならぬ、褌チラ全開の晒しを巻いた巨乳女子中学生、ギーコちゃんがゾンビをチェーンソーで蹴散らします。ゾンビはいろんな種類が用意されてて、触手がついてたり腕が四本あったりします。イエーイ! 女ゾンビは倒れる時、首から血を流しながらポロリのサービス。もう凄いですね、お寿司を頼んだらケーキとステーキと、ラーメンが出てきたようなてんこ盛りですよ。  ノーパン女子中学生ゾンビ(優等生らしい)が腕からミサイルを発射した後、足をくるくる回転させながら、あたりを火の海にしたかと思いきや、股間からロケットミサイルですよ。劇中の○○○とか伏字に意味はあるんでしょうか? 主人公のギーコが、きったねぇ親父二匹(別にゾンビじゃない)にレイプされそうになったら、チェーンソーで手足をバッラバラでギッタンギタンですよ。倫理? 何それ、食えるの? ってな感じでノンストップですよ。いいぞ、もっとやれ、ギヒヒヒヒですよ。同級生がゾンビ化して襲ってきたら「何時だと思ってんだてめら~~~!!」と言って火だるまにした後に細切れですよ。『ゾンビ屋れい子』や『サタニスター』、『巨乳ドラゴン』などの作品でも知られる通り、三家本礼の描くスプラッタシーンは物凄くスピーディー。スパスパスパスパっと、まるで切られたことに気がついてないトマトみたいにゾンビがなぎ倒されていきます。(時々人間も混ざってますが)  凄いのはスプラッタシーンだけじゃありません。敵も味方も入り混じって、急に出てくるシャワーシーンに巨乳のドアップ、わざとらしいお色気絵。これでもかというほどのB級要素満載、物理法則? 何それ、美味しいの? ですよ。  いろんな嫌なことがあったらこの漫画を手にとって下さい。きっとギーコが悩みをぶった斬ってくれると思いますから。とにかく、ゾンビとか巨乳とかB級好きなら読んで損はない漫画です。もう僕は近所の子どもとかに「ボウズ、ゾンビ好きか?」とか聞きながら布教したいくらいに好きな漫画です。(いや、実際にはしませんよ当然。最近は子どもに声をかけただけで逮捕される世の中ですからね)  そして最近漫画のレビューばかりが続いているので、次は小説について書こうと思います。多分......。 (文=田辺青蛙) tanabe_prof.jpgたなべ・せいあ 「小説すばる」(集英社)「幽」(メディアファクトリー)、WEBマガジン『ポプラビーチ』などで妖怪や怪談に関する記事を担当。2008年、『生き屏風』(角川書店 )で第15回日本ホラー小説大賞を受賞。綾波レイのコスプレで授賞式に挑む。著書の『生き屏風』、共著に『てのひら怪談』(ポプラ社)シリーズ。2冊目の書き下ろしホラー小説、『魂追い』(角川書店)も好評発売中。
血まみれスケバンチェーンソー 1 非実在青少年問題なんてなんのその。 amazon_associate_logo.jpg
「妖しき本棚」INDEX 【第7回】後味の悪さが尾を引く、究極のマゾヒズム世界『劇画 家畜人ヤプー』 【第6回】妖怪並みの衝撃! 変態おじさんとの思い出がフラッシュバックする『バカ男子』 【第5回】「げに美しき血と汚物と拷問の世界に溺れる『ダイナー』 【第4回】「グッチャネでシコッてくれ」 河童に脳みそをかき回される『粘膜人間』 【第3回】なつかしく、おそろしく、死と欲望の詰まった"岡山"を読む『魔羅節』 【第2回】"大熊、人を喰ふ"史上最悪の熊害を描き出すドキュメンタリー『羆嵐』 【第1回】3本指、片輪車......封印された甘美なる"タブー"の世界『封印漫画大全』