「スベったら大吉さんに相談すればいい」博多華丸はなぜ、“博多のお父さん”に徹するのか

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吉本興業公式サイトより
「芸談」の意味を知りたくて辞書を引くと、「芸道の秘訣や苦心についての話」と書かれていた。  この手の“濃い話”が芸人に求められる場面は少なくない。芸に対して、どのようなスタンスで取り組んでいるか? ネタ作りにまつわる“秘訣”はあるのか?  ひな壇で、どのようなチームワークを駆使しているか?  いまや、視聴者から高いニーズのあるトークテーマだ。もしくは、プライベートで芸談を展開するタイプも少なくないだろう。  そんな中、頑なに芸談を避けることで定評があるのが博多華丸だ。飲みの席で松本人志と今田耕司と東野幸治の3人が芸談を繰り広げる中、同じテーブルに座るも、華丸は眠りに落ちてしまったと、相方の博多大吉に暴露されている。  華丸の言い分は「難しいんですよ、話が」というもので、彼の“芸談嫌い”はどうやら本物である。 ■華丸が「大吉さんについていけばいいんだ」と気づいた瞬間  10月1日放送『博多華丸のもらい酒みなと旅2 ~京都スペシャル~』(テレビ東京系)に、麒麟の川島明と椿鬼奴がゲスト出演した。この日は華丸と鬼奴、川島とテレビ東京の須黒清華アナウンサーという2組に分かれ、京都の飲み屋街をハシゴ酒するロケが行われている。  華丸と分かれ、川島とペアを組んだ須黒アナは、プライベートの華丸について川島に質問した。すると、川島は華丸のことを“お父さん”だと断言する。 「仕事の話をしないんじゃなくて、(仕事の話に)ならないんです。お父さんとしゃべってるみたいな。いい意味で、仕事の話をしてもしょうがないんです」(川島)  後輩にお笑いの質問をされても「仕事の話は大吉さんに聞け」というスタンスを崩さない華丸。ピュアというべきか、肩の力が抜け切ったそのパーソナリティにはある種の“悟り”のようなものを感じてしまうが、実は、これにはきっかけがあるらしい。  博多華丸・大吉は、『R-1ぐらんぷり 2006』で華丸が優勝したことを契機にブレークの足がかりをつかんだコンビである。しかし、その後は相方・大吉によるセンスあるコメントが定評を集め、コンビ間の関係性が逆転した。  あくまでボケは華丸で、ツッコミを担当するのは大吉。なのに、大吉のみが番組に呼ばれることが次第に増えていく。お笑いコンビでボケが呼ばれないのは、当人にとってかなり複雑な心境になる事態だ。  この時期の華丸が屈辱をどのようにして乗り越えたのか、後輩の川島が明かしている。 「『アメトーーク!』(テレビ朝日系)に“ネギ大好き芸人”ってあったんですよ。みんな、ネギをインカムみたいにつけてて。その時は大吉さんがおらんから『実は俺がおもろい!』って華丸さんはむっちゃ頑張ったんやけど、思ってた笑いが来なくて全然ダメやったんです。で、雨さん(雨上がり決死隊)に『今のボケ、大吉さんが聞いたらどう思いますかね?』と聞かれ、華丸さんがネギのインカムに『すいません大吉さん、スベりました』って言ったら、その瞬間に体がむっちゃ楽になったって。ふわって浮いたって」(川島)  この瞬間、華丸は「スベったら大吉さんに相談すればいいんだ」「大吉さんについていけばいいんだ」と気づき、「俺は“博多の明るいお父さん”になろう」と決心したという。 ■相方との関係性が逆転したコンビは多い  こうした転機は、華大に限った話ではない。エピソードを明かした川島自身、相方の田村裕と立場が逆転したことがある。  容姿と声質が良く、コンビのネタ作りを担当するセンスの持ち主の川島だが、相方との関係性がひっくり返ったのは07年だった。田村が自伝『ホームレス中学生』(ワニブックス)を出版するや、川島への出演オファーは激減。コンビで呼ばれてもピンマイクが付けられるのは田村だけで、川島は田村のピンマイクに向けてしゃべる時さえあったという。  このような例は、いくらでもある。当初は岩尾望が脚光を浴びるも、ツッコミの秀逸さが注目されて後藤輝基が先行することとなったフットボールアワー。アクの強いキャラを持つ春日俊彰より“猛獣使い”若林正恭へのニーズが上回ることとなったオードリー。南海キャンディーズの山崎静代と山里亮太も、こうしたケースに当てはまるだろう。  かつての時代とは異なり、昨今は仲の良さを隠さないコンビが多い。「仕事が終われば会話しない」という関係性が当たり前だった20年前の状況を振り返ると、隔世の感がある。相方も、ある意味でライバルといえる芸能界において人気のバランスは複雑な感情を誘発するが、そのような火種を無事に乗り越えたコンビは、実は数多いのだ。  その絶好例が、博多華丸・大吉だろうか。「すいません大吉さん、スベりました」の一言で屈辱を乗り越えた華丸の境地に、ある意味で今の“コンビ芸人らしさ”が凝縮されている気がする。 (文=寺西ジャジューカ)

サンドウィッチマンが大盤振る舞い! 「最速でネタに引き込む」漫才技術をビジネスマンに伝授

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グレープカンパニー公式サイトより
 芸能界を離れていた約10年の間、ヒロミがトレーニングジム経営で大成功を収めていたのは有名な話。2015年に『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)へ出演したヒロミは「芸能界でやってこられた人なら、ほかの何をやっても成功できる」と断言している。彼の実績を振り返ると、説得力のある言葉だ。  ほかにも、雨上がり決死隊・宮迫博之の元相方がラーメン店、キャバクラ、芸能事務所、アパレルブランドなどを立ち上げ、成功者となった恵藤憲二氏であることは多くの人が知る事実である。  これらの成功例を、“芸能界で培ったスキルが他業種でも通用する証し”としてもいいものだろうか? ■トレエンが「コンプレックスを武器に変える手法」を伝授  9月18日よりスタートした『漫才先生~ビジネス基礎~』(NHK Eテレ)が面白い。この番組のコンセプトは「漫才師がビジネスマンにビジネス道を熱血指導する前代未聞の若い働きマンへの新ビジネス指南番組」である。  第1回目の講師として登場したのは、トレンディエンジェル。斎藤司はNSC(吉本総合芸能学院)入学以前、楽天に勤務していた経歴の持ち主だ。そんな彼らが、若きビジネスマンたちを相手に講義を行う。今回のテーマは「コンプレックスを最大の武器にせよ」だ。トレエンのコンプレックスといえば、やはり頭髪ということになるだろう。  デビュー当初、トレエンは“ハゲネタ”を避けたネタ作りをしており、ウケを取ることができなかった。いや、それ以前にネタを真剣に見てもらうことすらできなかったという。これは、当時の彼らの知名度のなさゆえ。しかし、ハゲネタを解禁してから、彼らの快進撃は始まる。 斎藤「ハゲは、当時の僕らより有名でしたから。今はハゲを抜きましたけど」 たかし「ハゲを抜くって、ややこしいですけど」  要するに、自分のことを知らない相手への“壁”を突破する方法として有効なのが「コンプレックスを武器にする」という手法だったのだ。  ここからは実践編。「人見知り」をコンプレックスとする生徒が、たかしを相手にいつもの飛び込み営業の様子を披露したのだが、これがどうにも弱腰だ。保険のセールスをしたいのに「時間ないからいいよ」と言われた途端、「わかりました」と退出してしまう。その表情にはすまなそうな感情が出まくっており、俗に言う“困り顔”になってしまっていた。  そんな彼に、斎藤は「話を聞いてもらうことが大事」とアドバイス。その時、武器にしてほしいのがコンプレックスなのだ。「コンプレックスを見せる」と「相手に弱みを見せる」ことになり、それは即ち「心を開いてくれる」ということになるからである。  では、具体的にどうすればいいのだろう? ここで斎藤が見せたお手本は秀逸である。“困り顔”を、見事にプラスに転換してみせた。 斎藤「すいません、佐藤さんいらっしゃいますか?」 たかし「佐藤? ウチにそんな人いない」 斎藤「あれ、いないッスか? ……やっべ、間違えちゃいました! あのぉ、田中さんはいます?」 たかし「田中もいないよ(笑)」 斎藤「あれ? あるんですよ、こういうところ。すいません、失礼します!(退出しようとする)」 たかし「(斎藤が落とした財布を見つけ)あれ、ちょっと!」 斎藤「なんか、すみません。拾ってもらっちゃって。ただごとじゃないな、この関係性は……。じゃあ、またお邪魔しますんで。あっ、これよかったらウチでやってる保険の資料なんでこれ見といてください」 たかし「えっ?」  実はこのくだりには、ビジネスに有効なスキルがいくつか盛り込まれている。まず、質問を繰り返すことで会話をコントロールする「質問話法」を駆使。また、商品をまったく売ろうとしていない斎藤の態度は、会話中にニーズを見つけて「買いたい」と言わせる「売らない営業法」と通ずるものがある。加えて“困り顔”を印象付けることで、相手を助けたくなる「人間の援助行動」も引き出している。「人見知り」のコンプレックスが、相手の気を引くチャンスとして見事昇華されたのだ! ■「最速でネタに引き込む」という企業秘密をさらすサンドウィッチマン  9月25日放送の第2回目に登場したのは、サンドウィッチマン。前回のトレエンは比較的、スピリッツの部分に関する授業を行っていたが、今回のサンドウィッチマンはがっつり営業方法について言及する。というのも、伊達みきおは芸人になる前に福祉用具の営業マンを5年間勤め上げていたのだ。  それにしても、この回のサンドウィッチマンは大サービスだった。自らの漫才台本を掲示し、そのシステムを親切丁寧に解説していくのだから。  サンドの2人がまず始めにアドバイスするのは「最初に一番言いたいことを言う」ということ。いわゆる“ツカミ”に当たる部分である。番組によって一つのネタを「3分にしてくれ」「5分にしてくれ」とリクエストされることなど、芸人にとっては日常茶飯事である。だからこそ「最速でネタに引き込む」が、永遠のテーマとなる。設定に入る前にだらだらさせない。  例えば、サンドのネタにはこういうくだりがある。 伊達「世の中、興奮することはいっぱいありますけど、一番興奮するのはお寿司屋さんに行った時だね」 富澤「間違いないね」 伊達「あっ、お寿司屋さんだ。興奮してきたな。ちょっと入ってみようかな」  上記の流れ、無駄が極力排除されているのだ。「俺、お寿司屋さんやってみたいんだよね」「そうなの?」「俺がお寿司屋さんやるから、あなたがお客さんとして入ってきて」というお決まりの流れが邪魔だと2人は考えた。なので、伊達が「あっ、お寿司屋さんだ」と言うだけに留めている。  そして、すぐにツカミへ突入する。 富澤「ヘイヘイヘイヘイヘイラッシャイ」 伊達「少年野球か、うるせえな!」  これは、ビジネスの世界にも応用できるロジックだ。あらゆるシチュエーションでは、切り口(入り)が大事になってくる。漫才も、テレビも、映画も、プレゼンも、重要なのは最初の1分間。この時点で、相手を引き込めるかが左右される。まさしく“ツカミ”。細かい説明は後回しでいい。とにかく、冒頭1分で本題に入ってしまう。それが重要だとサンドウィッチマンは説く。  それにしても、サンドウィッチマンが明かした手法は具体的すぎる。これって、彼らにとっての企業秘密じゃないのだろうか? 講義を受けたビジネスマンから「こんなに手の内をさらしちゃっていいんですか?」と問われたサンドウィッチマンは「全然いいですよ。台本に上げちゃえばわかるものなので」と、至ってクールな態度を貫いていた。  トレエンもサンドウィッチマンも、職人だ。一つのボケ、言葉が決まるまでに2~3カ月かけることもザラ。実を言うと究極に理論的なその構造は、ブラッシュアップされ尽くしているだけに、あらゆるシチュエーションで応用可能なスキルとなっていたようだ。 「漫才師がビジネスマンにビジネス道を熱血指導する」というコンセプトであるものの、それだけに収まらない『漫才先生』。裏側をあくまで“チラ見せ”することで、芸人がよりカッコ良く見えてくる番組であった。 (文=寺西ジャジューカ)

サンドウィッチマンが大盤振る舞い! 「最速でネタに引き込む」漫才技術をビジネスマンに伝授

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グレープカンパニー公式サイトより
 芸能界を離れていた約10年の間、ヒロミがトレーニングジム経営で大成功を収めていたのは有名な話。2015年に『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)へ出演したヒロミは「芸能界でやってこられた人なら、ほかの何をやっても成功できる」と断言している。彼の実績を振り返ると、説得力のある言葉だ。  ほかにも、雨上がり決死隊・宮迫博之の元相方がラーメン店、キャバクラ、芸能事務所、アパレルブランドなどを立ち上げ、成功者となった恵藤憲二氏であることは多くの人が知る事実である。  これらの成功例を、“芸能界で培ったスキルが他業種でも通用する証し”としてもいいものだろうか? ■トレエンが「コンプレックスを武器に変える手法」を伝授  9月18日よりスタートした『漫才先生~ビジネス基礎~』(NHK Eテレ)が面白い。この番組のコンセプトは「漫才師がビジネスマンにビジネス道を熱血指導する前代未聞の若い働きマンへの新ビジネス指南番組」である。  第1回目の講師として登場したのは、トレンディエンジェル。斎藤司はNSC(吉本総合芸能学院)入学以前、楽天に勤務していた経歴の持ち主だ。そんな彼らが、若きビジネスマンたちを相手に講義を行う。今回のテーマは「コンプレックスを最大の武器にせよ」だ。トレエンのコンプレックスといえば、やはり頭髪ということになるだろう。  デビュー当初、トレエンは“ハゲネタ”を避けたネタ作りをしており、ウケを取ることができなかった。いや、それ以前にネタを真剣に見てもらうことすらできなかったという。これは、当時の彼らの知名度のなさゆえ。しかし、ハゲネタを解禁してから、彼らの快進撃は始まる。 斎藤「ハゲは、当時の僕らより有名でしたから。今はハゲを抜きましたけど」 たかし「ハゲを抜くって、ややこしいですけど」  要するに、自分のことを知らない相手への“壁”を突破する方法として有効なのが「コンプレックスを武器にする」という手法だったのだ。  ここからは実践編。「人見知り」をコンプレックスとする生徒が、たかしを相手にいつもの飛び込み営業の様子を披露したのだが、これがどうにも弱腰だ。保険のセールスをしたいのに「時間ないからいいよ」と言われた途端、「わかりました」と退出してしまう。その表情にはすまなそうな感情が出まくっており、俗に言う“困り顔”になってしまっていた。  そんな彼に、斎藤は「話を聞いてもらうことが大事」とアドバイス。その時、武器にしてほしいのがコンプレックスなのだ。「コンプレックスを見せる」と「相手に弱みを見せる」ことになり、それは即ち「心を開いてくれる」ということになるからである。  では、具体的にどうすればいいのだろう? ここで斎藤が見せたお手本は秀逸である。“困り顔”を、見事にプラスに転換してみせた。 斎藤「すいません、佐藤さんいらっしゃいますか?」 たかし「佐藤? ウチにそんな人いない」 斎藤「あれ、いないッスか? ……やっべ、間違えちゃいました! あのぉ、田中さんはいます?」 たかし「田中もいないよ(笑)」 斎藤「あれ? あるんですよ、こういうところ。すいません、失礼します!(退出しようとする)」 たかし「(斎藤が落とした財布を見つけ)あれ、ちょっと!」 斎藤「なんか、すみません。拾ってもらっちゃって。ただごとじゃないな、この関係性は……。じゃあ、またお邪魔しますんで。あっ、これよかったらウチでやってる保険の資料なんでこれ見といてください」 たかし「えっ?」  実はこのくだりには、ビジネスに有効なスキルがいくつか盛り込まれている。まず、質問を繰り返すことで会話をコントロールする「質問話法」を駆使。また、商品をまったく売ろうとしていない斎藤の態度は、会話中にニーズを見つけて「買いたい」と言わせる「売らない営業法」と通ずるものがある。加えて“困り顔”を印象付けることで、相手を助けたくなる「人間の援助行動」も引き出している。「人見知り」のコンプレックスが、相手の気を引くチャンスとして見事昇華されたのだ! ■「最速でネタに引き込む」という企業秘密をさらすサンドウィッチマン  9月25日放送の第2回目に登場したのは、サンドウィッチマン。前回のトレエンは比較的、スピリッツの部分に関する授業を行っていたが、今回のサンドウィッチマンはがっつり営業方法について言及する。というのも、伊達みきおは芸人になる前に福祉用具の営業マンを5年間勤め上げていたのだ。  それにしても、この回のサンドウィッチマンは大サービスだった。自らの漫才台本を掲示し、そのシステムを親切丁寧に解説していくのだから。  サンドの2人がまず始めにアドバイスするのは「最初に一番言いたいことを言う」ということ。いわゆる“ツカミ”に当たる部分である。番組によって一つのネタを「3分にしてくれ」「5分にしてくれ」とリクエストされることなど、芸人にとっては日常茶飯事である。だからこそ「最速でネタに引き込む」が、永遠のテーマとなる。設定に入る前にだらだらさせない。  例えば、サンドのネタにはこういうくだりがある。 伊達「世の中、興奮することはいっぱいありますけど、一番興奮するのはお寿司屋さんに行った時だね」 富澤「間違いないね」 伊達「あっ、お寿司屋さんだ。興奮してきたな。ちょっと入ってみようかな」  上記の流れ、無駄が極力排除されているのだ。「俺、お寿司屋さんやってみたいんだよね」「そうなの?」「俺がお寿司屋さんやるから、あなたがお客さんとして入ってきて」というお決まりの流れが邪魔だと2人は考えた。なので、伊達が「あっ、お寿司屋さんだ」と言うだけに留めている。  そして、すぐにツカミへ突入する。 富澤「ヘイヘイヘイヘイヘイラッシャイ」 伊達「少年野球か、うるせえな!」  これは、ビジネスの世界にも応用できるロジックだ。あらゆるシチュエーションでは、切り口(入り)が大事になってくる。漫才も、テレビも、映画も、プレゼンも、重要なのは最初の1分間。この時点で、相手を引き込めるかが左右される。まさしく“ツカミ”。細かい説明は後回しでいい。とにかく、冒頭1分で本題に入ってしまう。それが重要だとサンドウィッチマンは説く。  それにしても、サンドウィッチマンが明かした手法は具体的すぎる。これって、彼らにとっての企業秘密じゃないのだろうか? 講義を受けたビジネスマンから「こんなに手の内をさらしちゃっていいんですか?」と問われたサンドウィッチマンは「全然いいですよ。台本に上げちゃえばわかるものなので」と、至ってクールな態度を貫いていた。  トレエンもサンドウィッチマンも、職人だ。一つのボケ、言葉が決まるまでに2~3カ月かけることもザラ。実を言うと究極に理論的なその構造は、ブラッシュアップされ尽くしているだけに、あらゆるシチュエーションで応用可能なスキルとなっていたようだ。 「漫才師がビジネスマンにビジネス道を熱血指導する」というコンセプトであるものの、それだけに収まらない『漫才先生』。裏側をあくまで“チラ見せ”することで、芸人がよりカッコ良く見えてくる番組であった。 (文=寺西ジャジューカ)

キングオブコント優勝「かまいたち」 フジテレビの“黒歴史”がトラウマで、上京できない?

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吉本興業公式サイトより
 コント日本一を決定する『キングオブコント2017』(TBS系)。衝撃的な「リズムなわとびの大会」のネタで男女コンビ・にゃんこスターが話題をかっさらった一方で、優勝に輝いたのは関西を中心に活動する「かまいたち」だった。業界内での彼らの評価は、かなり高い。 「関西ではレギュラー8本を抱えており、すでに大活躍中です。ひな壇でのフリートークも面白いし、ロケに出ても面白い。そして、もちろんネタも面白いということで、関西のテレビ業界では、完全な“主力”ですよ」(関西お笑い関係者)  実力十分のかまいたち。今回のキングオブコント優勝をきっかけに、全国区の人気を得るべく、東京に進出……といきたいところだが、なかなか難しい事情があるようだ。 「もしここで東京進出となったら、関西ローカルの番組への出演は、ある程度減らさないといけない。すでに2人は結婚していますし、収入のことを考えると、今のまま続けたいというのが本音だと思います。また、ここ数年、キングオブコントの優勝者がまったくブレークできていないという厳しい現状もあります。つまり、世間的には“キングオブコント優勝者に興味がない”ということであり、いくら実力があるかまいたちといえども、勝算があるとは言い難い。この状況で東京に出てくるのは、正直リスクが高すぎますね」(同)  そんな彼らだが、実は約8年前に上京するチャンスがあった。2008年10月、フジテレビが次世代芸人を発掘するための番組『新しい波16』をスタートさせた。この番組は、『めちゃめちゃイケてるッ!』メンバーを発掘した『新しい波』と、『はねるのトびら』メンバーを発掘した『新しい波8』の流れをくむ番組で、登場した芸人の中から選抜して、新たなコント番組を始めるというコンセプトだった。  そして、『新しい波16』に出演したかまいたちは見事選抜に残り、09年4月にスタートしたコント番組『ふくらむスクラム!!』のレギュラーの座を勝ち取ったのだ。 「当時、かまいたちはテレビでの活躍はまだでしたが、ネタで評価され始めた頃。関西の若手お笑い賞レースでは結果を出していました。そんな中での『ふくらむスクラム!!』レギュラー決定だったので、このまま東京に移って大活躍するかと思われていました。しかし、フタを開けてみたら、番組は人気が上がらず、約半年で終了。『1ばんスクラム!!』としてリニューアルするも、それも半年で終わり、結局 彼らは上京できなかった。その後、関西に根を張って活躍することになるのですが、本人たちにとっては、『ふくらむスクラム!!』での挫折がトラウマになっていて、なかなか東京に足が向かない のかもしれませんね」(テレビ局関係者)  ちなみに、『ふくらむスクラム!!』に出演していた芸人は、かまいたちのほか、オレンジサンセット、少年少女、ヒカリゴケ、しゃもじ、ニッチェというメンバー。このうち、オレンジサンセット、少年少女、ヒカリゴケの3組はすでに解散している。また、『1ばんスクラム!!』では上記のメンバーに加え、小森純と当時AKB48のメンバーだった前田敦子がレギュラー出演していた。 「辛うじてニッチェが売れましたが、基本は鳴かず飛ばず。後から合流した小森も、ペニオク騒動で消えてしまいました。売れる前の前田が出演していたことはすごいとしても、フジテレビバラエティ班的に『ふくらむスクラム!!』『1ばんスクラム!!』は黒歴史といえる。かまいたちも、そこをかなり気にしているのではないでしょうか」(同)  二の足を踏んでいるかまいたちだが、周囲は大ブレークを期待している。特にキングオブコントを放送しているTBSとしては、是が非でも売れてほしいというのが本音だろう。 「2012年キングオブコント優勝のバイきんぐは売れましたが、その後のかもめんたる、シソンヌ、コロコロチキチキペッパーズ、ライスという歴代優勝コンビは全然売れていない。このままではキングオブコントの継続も怪しくなってくるということで、TBSとしてはその権威を失墜させないためにも、かまいたちにはしっかり全国区で売れてほしいと考えているようです。それは、彼らが所属する吉本も同じで、これから年末にかけて、TBSと吉本は、かまいたちが売れるよう ある程度のバックアップはしていくはずです」(同)  上京に慎重になっているかまいたちが、東京でブレークする日は来るのだろうか……。

「おしゃべりクソ野郎」から10年! 有吉弘行が予見していた“あだ名芸”の行く末

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 この10月、『有吉反省会』(日本テレビ系)のレギュラー放送がスタートして4年半がたった。同番組のHPには、以下のような文言が記されている。 「大御所芸能人、文化人、一流スポーツ選手の皆様、私、有吉弘行の目の前で自らの過ちを告白し、悔い改めていただきます」  9月30日放送の同番組に、亀田興毅が出演した。彼の登場理由は「食リポブログで、何を食べても感想が全部『最強』になってしまう事を反省しに参りました」であった。  そんな“反省人”の亀田に対し、MCの有吉弘行は番組早々「刑務所から出てきたみたい」と痛烈な一言を浴びせている。  しかし、そこからは決して踏み込まない有吉。“反省人”という立場のゲストを詰めにいってもいいように思うが、決していかない。それどころか、親身になってゲストの言い分を聞き出そうとするのが、彼のこの番組での一定したスタンスだ。  そんな有吉に対し、亀田がある相談を持ちかけた。 「有吉さんもそうなんですけど、結構みんな自分のことをイジらないんですよ。『興毅!』くらいの勢いできてくれたほうがやりやすいんですけど、イジらない人は『興毅くん』とか『興毅さん』なんですよ。さん付けされたら『あぁ……』って」  この相談に対し、有吉は「チャンピオンだし、敬意を表して。それに『興毅!』って言ってくるのは、ヤバい人たちばっかりでしょ? 俺らみたいに繊細な文化系は『興毅くん』ってなるよ」と返答。そう考えると、オープニングでの「刑務所から~」というイジりも“らしくない”発言だったということになるだろうか。 ■苦行に耐える、10年前の攻め気  有吉が見事な“返り咲き”を果たしてから、長い年月がたった。品川庄司・品川祐への「おしゃべりクソ野郎」発言が2007年の出来事だったので、あれから丸10年ということになる。  その後の有吉には、過酷な“あだ名芸”が課せられることとなった。出演番組で次々に降りかかる「あだ名付けてよ」のリクエストは、苦行としか言いようがない。端的に言えば、雑な振りを受けての大喜利でしかないのだから。  しかし、テレビからお呼びのかからない潜伏期間を「地獄」と回想する有吉は受けて立った。その作品の数々は、いま見ても見事だ。例えば、中居正広のことを「偽SMAP」、武田修宏のことを「スケベなタラちゃん」、ルー大柴のことを「ナプキンを食べる妖怪」、森光子のことを「ファイナルカウントダウン」などなど。  このセンスを見れば、「文化系」に彼をカテゴライズしても問題のないことがわかる。それでいて、攻め気も兼ね備えていた当時の有吉。この頃、亀田を前にしていたならば、どんなあだ名を付けていただろう? 想像しただけでワクワクしてくる。 ■冠番組を望んでいなかった8年前  ネット上で「保身に回った」といわれることの多い、現在の有吉。毒っ気がなくなり、スーツを着てMC席に収まる彼に視聴者が魅力を感じなくなってしまったということか?  09年に発行された『本人』(太田出版)のvol.11に、有吉のインタビューが収録されている。当時は、有吉が“あだ名芸”と対峙していた時期。世間の大部分が彼に味方していたが、その頃に彼はこんな発言を残していた。 「芸人仲間をあだ名で叩くっていう、そのスタイルとかやり口が汚いと自分では思ってるので、蔑まれてるだろうなっていうのがあって。どこかしら負い目がある」  しかし、有吉は世の大半の支持を獲得し、多くの芸人から一目置かれるポジションを築いて売れた。あの頃の勢いがあれば、当然の結果だ。しかし、そんな未来を予測しながら、“09年の有吉弘行”は意外な発言を残している。 「いまの感じで仕事していって収入がちょっと安定しちゃうと、その位置から人を叩いてたらどっかで破綻するなと思う」 「そうするとただの高圧的な人になっちゃうことがあるので、これはそんなに続かないと思いますね。だからといって新しいものを見つけるっていっても、無理やりキャラ作ってもなって……」  現在はMCとしていくつもの冠番組を持つ有吉だが、このインタビューでは、番組を持つことについて「傷つくのも嫌なんですよ。ダチョウさんの例(半年で終了したダチョウ倶楽部のTBS番組『王道バラエティ つかみはOK!』のこと)じゃないですけど」とも口にしており、もともとそんな欲を持ち合わせていなかった事実も、このインタビューからはうかがうことができる。 「おしゃべりクソ野郎」から10年がたち、このタイミングでいろいろ振り返ってみると、彼はこの状況をナチュラルに予見していたようにも思える。かつてのような“毒舌”を彼に望みたいのはヤマヤマだが、人間は変わる。もはや、あの頃の有吉ではないのかもしれない。  現在の有吉は活字メディアからのインタビュー取材について、ほぼほぼ断る姿勢を貫いており、今の彼が仕事に対し、どのような心境を抱えているか探る作業は困難だ。 (文=寺西ジャジューカ)

KOC準優勝「にゃんこスター」をナベプロが即採用 年末年始にかけてテレビ業界への猛プッシュ始まる!?

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ワタナベエンターテインメント公式サイトより
「かまいたち」の優勝で幕を閉じた『キングオブコント2017』(TBS系)。しかし、最もインパクトを与えたのは、準優勝となった結成5カ月の男女コンビ「にゃんこスター」だろう。  アンゴラ村長とスーパー3助という2人のピン芸人が、今年5月に結成したにゃんこスター。決勝1本目では「リズムなわとびの大会」という設定で、アンゴラ村長が大塚愛の「さくらんぼ」に合わせて妙なダンスを披露するという衝撃的なネタを披露。さらに、2本目では「リズムフラフープの大会」という設定で再度衝撃的なダンスを見せ、審査員たちの度肝を抜いた。  そんなにゃんこスターは、事務所に所属しないフリーという立場で本大会に参戦したが、放送終了後すぐにワタナベエンターテインメントの所属となった。 「番組終了後、優勝者に対する囲み取材があったんですが、記者が彼らの問い合わせ先を訊ねると、TBSの広報は『とりあえずTBSが窓口になります』と答えていましたが、その直後にナベプロへの所属が決定。もしもTBSが窓口になっていたら、他局の番組に出るのも難しかっただろうから、本人たちにとってはよかったと思います」(芸能記者)  衝撃的なダンスを披露したアンゴラ村長は、ワタナベコメディスクールの卒業生。2016年9月まで「暇アフタヌーン」というコンビでナベプロに所属していた。つまり、古巣に復帰したという形なのだ。 「ナベプロとしては、アンゴラ村長がこんな形で帰ってくるとは思ってもいなかったでしょうが、番組を見て所属復帰を即決したようです。これから年末年始にかけて、ナベプロはにゃんこスターをバラエティ番組にガッツリ押していくことになるでしょうね」(同)  ナベプロといえば、サンシャイン池崎、平野ノラ、ブルゾンちえみと、ここ最近の若手ブレーク芸人を次々と輩出している。 「1年に2組、上半期と下半期に分けて、プッシュする芸人を設定するというのが最近のナベプロです。今年は上半期にブルゾンちえみを押しまくりましたが、下半期に押せる芸人がまだいなかった。そこに登場したのがにゃんこスターだったということで、ブルゾンちえみの影が薄くなってしまうくらいに、いろいろな番組にブッキングされると思います」(同)  急激にブレークする芸人は“一発屋”になりやすいという傾向があるが、ナベプロの場合は意外とそうでもないようだ。 「確かに、売れている間は際限なくいろいろな番組に出しまくるので、ネタが消費されやすいのは事実です。ただ、ナベプロは、普通のバラエティ番組だけでなく、クイズ番組やドラマなどにも芸人を積極的に売り込んでいく。そういうところから、ネタ以外の魅力が発揮されることも多いので、意外と生き残ったりもするんですよ。アンゴラ村長は早稲田大学卒のインテリですし、ネタ以外の部分でも活躍できるかもしれませんね」(同)  お笑い賞レースは、優勝コンビよりも準優勝コンビのほうが売れるというジンクスがあるが、どうやら今回もそうなりそうだ。

オードリー・春日は東大、ロンブー淳は青学……お笑い芸人の「大学受験企画」は、なぜウケるのか

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『得する人損する人』(日本テレビ系)で東大受験企画に挑戦中のオードリー・春日俊彰。番組では京大大学院卒の個人教師をつけ、春日の学力は上昇中だという。春日の最終学歴は日本大学商学部卒。附属校の日大二高出身だが、内部進学に漏れ、難易度の高い一般受験で合格している。こうした努力家の性格が東大受験において“ミラクル”を起こす可能性を秘めているともいえよう。  お笑い芸人の大学受験企画は、過去のバラエティ番組でも多く行われてきた。 「有名どころとしては、ナインティナインの岡村隆史がいますね。『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)において1999年に筑波大学と早稲田大学を受験しています。これは最強素人として知られるヨモギダくんの大学受験に合わせたもので、同時に早稲田に推薦入試で合格した広末涼子の同級生になるという目的もありました。各教科ごとに家庭教師をつけ勉強に打ち込み受験に挑みますが、いずれも不合格となっています。ただし、早稲田の第二文学部の小論文では『笑いについて』がテーマに出るなど、予期せぬドラマも生まれました」(放送作家)  大学受験企画は本番までの過程と「合格」「不合格」の結果がはっきりと出るため、ドキュメント性が高い点が人気なのだろう。岡村の場合、無謀な挑戦といえるが、実際に合格を勝ち取りかけた例もある。 「ウッチャンナンチャンの内村光良ですね。もともと映画監督志望だったため『ウンナン世界征服宣言』(日本テレビ系)で、1995年に日本大学芸術学部の映画学科を受験します。日芸は一次に筆記試験、二次に実技と面接試験が課されますが、内村は一次試験を突破。しかし、面接で芸能界を完全に辞めるよう求められ、入学は断念しました。これもリアリティのあるドラマが生まれた瞬間といえるでしょう」(同)  2018年の芸人の大学受験はオードリー春日の東大受験のほか、ロンドンブーツ1号2号の田村淳が青山学院大学、浅草キッドの水道橋博士となべやかんが明治大学受験を宣言している。特に明大は、博士となべにとって師匠ビートたけしの母校であり、博士は一度入学するも4日で中退、なべは替え玉受験をしてしまった大学であるだけに、結果には注目だ。 (文=平田宏利)

“保毛尾田保毛男騒動”におびえるお笑い関係者 あの大物のネタもNGに?

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 9月28日に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)で、往年のキャラクター・保毛尾田保毛男が復活。同性愛者を揶揄する表現に抗議が寄せられた。この件について、石橋貴明はコメントを出していないが、番組制作の現場では、別の大物芸人のコントの“危険性”が指摘されている。  当日の『みなおか』は、30周年記念の特番だった。番組にはビートたけしやタモリが登場し、かつて人気を集めた石橋扮する保毛尾田も復活。しかし、LGBTへの理解が社会的に求められる中、「ホモ」という単語が放送で幾度も流れ、明らかに同性愛を揶揄する内容に怒りの声が上がり、同局の宮内正喜社長が陳謝する事態となった。今回の騒動について、あるテレビ関係者が語る。 「フジがあの内容のものを、このご時世に放送したことには、本当に驚きました。番組の制作現場では今、『何が面白いのか?』と同じぐらい『その表現に問題はないか』ということに心を砕いています。視聴者から批判の声が殺到した場合、『差別する意図はなかった』などという言い訳は許されません。『だからテレビがつまらない』という批判があるのは承知していますが、トラブルで番組が終わってしまったら、責任者は『無能なヤツ』と評価される。決して誰も『タブーに果敢に挑戦した、勇気ある番組制作者』とは見てくれません」  ケガ、暴力、差別、「イジメにつながらないか」など、考えることは多岐にわたるという。最近では、こんな例もあったそうだ。 「お笑いコンビのカミナリがダウンタウンの番組で明かしましたが、NHKに出演した際に、彼らの持ち芸である“激しく叩くツッコミ”を禁じられたそうです。そのエピソードを聞いたダウンタウンは首をひねっていましたが、『あれを見た子どもがマネをするのではないか?』という危険性を、いまや番組制作者は考える必要があります。今回の保毛尾田の件についてスタッフ同士で話していた時に、『じゃあ、志村けんのボケ老人コントはいいのか』という話題になったんです。みな一様に『う~ん……』『確かになぁ……』と言うばかりで、はっきりと『あれはOK』とは誰も言わなかったですね」(同)  さらに、少しでも表現に問題があった場合、テレビ局には5秒後に電話がかかってくるそうで、「どう考えても、テレビ局の電話番号を登録しているとしか思えません」と関係者。  いまや伝統芸と化した志村けんの老人コントが(ちなみに「老人」という言葉も、番組によっては「お年寄り」に変えるよう指導されるとのこと)、封印される可能性は十分にありそうだ。

視聴者の心に刺さるコメントはNG!? 毒にも薬にもならない「芸人コメンテーター」は本当に必要なのか

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カンニング竹山 単独ライブ『放送禁止2015』(リバプール)
 お笑い界には“まともな職業に就いても出世したタイプ”と“芸人としてしか生きられなかったタイプ”の2つがある。前者にはタモリやビートたけしが挙げられるだろうし、ジミー大西やウド鈴木などは完全に後者だ。  昭和の時代、“まともな職業に就いても出世したタイプ”のほうがレアだったはずのお笑い界だが、それも様変わりした。いまや、ある程度の知識と良識がないとバラエティにはフィットしない。ボケよりもツッコミのほうが重宝されるという風潮からも、その現実はうかがえるだろう。  結果、ついにはお笑い芸人が「コメンテーター」として活躍するようになった。カンニング竹山やオリエンタルラジオ・中田敦彦といった社会派芸人らの存在は、もはやおなじみだ。  この方向性には、理由がある。言うまでもなく、テレビで最も大事なのは視聴率だ。もちろん、すべての層がニュースやワイドショーを視聴するわけではない。だからこそ、間口を広げる目的で、お笑い芸人が起用される。芸人が映れば絵力が強まるし、一気に画面が華やかになる。「この人が出ているなら見てみようか」と、クロスオーバーするはずのなかった視聴者を取り込む契機にもなる。 ■「合格点を取るためにコメントするなんて本末転倒」(博多大吉)  芸能界は椅子取りゲーム。そう考えれば、芸人の側からすると新たな“椅子”(コメンテーター席)が生まれたということになるだろうか。  9月13日、博多大吉がMCを務める『いつかボクらもご意見番 コメンテーター予備校』(日本テレビ系)が放送された。今年になってから不定期で放送されている特番の第2回である。  タイトルの通り、各タレントが優秀なコメンテーターになるべくコメント力を学ぶのが番組の趣旨。「コメンテーター」はもはや余芸ではなく、芸能活動のれっきとした本道として認識されたようだ。  大吉やブルゾンちえみ、林修といった面々が、番組の指定するトピックに対して自分なりのコメントを発し、その内容を一般視聴者に採点されるこの番組。例えば、こうだ。 ――人気女子アナと交際、小栗旬芸人浮気騒動についてコメントせよ。 「私は欲張りボーイにはついていけない。好きな人ができたなら、そっちに行ってください。地球上に男は35億人いますし、こっちもアナタだけじゃないんだよ。Good Bye!」(ブルゾンちえみ) ――「会社辞めます」、LINEで退職願はアリ? ナシ? 「『引き継ぎだけは頼むよ!』というLINEを送り返してはいかがですか? ここで『非常識だ』『俺ら世代は……』と揉めると心のしこりが残るし、その人に説教するのは残りの人生を考えると時間がもったいない。だから、ここはLINEで『引き継ぎだけは頼むぞ』と伝え、あとはもうお別れでいいんじゃないですか。そういった意味も込めて、送る時間は3時47分。『サ(3)ヨ(4)ナ(7)ラ』ということで」(大吉)  両者が獲得した評価だが、ブルゾンは100点中63点、大吉は100点中68点。番組は70点を“合格ライン”に設定しているので、2人は不合格ということになる。  番組のエンディングにて、大吉はこんな発言を残している。 「『合格点を取るために、こういうことを言おう』って、本末転倒でしょ? そんなのだったら、自分がやる仕事じゃないし」  大吉とブルゾンの回答を振り返ると、もはや大喜利でしかない。本意を込めるのか、向こう受けを意識するのか。“芸人コメンテーター”が担う役割は、いろいろと破綻している気がしてならない。 ■印象に残らないコメントを心がけるカンニング竹山、刺さるコメントを求める制作陣  9月21日に放送された『アメトーーク!』(テレビ朝日系)のテーマは「コメンテーターやりたい芸人」であった。出演したのは品川庄司・品川祐やアンジャッシュ・児嶋一哉、TKO・木下隆行といった面々。  なぜ、彼らはコメンテーターになりたいのだろう?   「まずイメージとして、賢そう! ちょっと文化人っぽく思われるというか」(TKO木下)  そして“ご意見番”として、今回はカンニング竹山も登場している。いまや、3番組でコメンテーターを務める「Mr.コメンテーター」である。  彼はオープニングで、コメンテーターとしての秘訣を明かしている。 「心に残ることを言っちゃダメなんです! 心に残ることなんか言ったら、印象に残っちゃうから。邪魔になるんですよ。どうでもいいことを難しそうに言うのがコツなんです」  これって、ポジショントークを推奨しているのだろうか? 本音を吐露し、もしもそれが視聴者の心に刺さったとしたならば? 竹山のロジックからすると、それはNGということになる。  ちなみに、この日の放送では『羽鳥慎一モーニングショー』(同)のスタジオを借り、芸人たちがコメンテーターとなって仮想のワイドショーを収録。コメンテーターとしての実力を測定している。しかも、収録後は『モーニングショー』のチーフ・プロデューサーが全芸人のコメント力を評価するというガチぶりである。  結果、最も高評価を獲得したのはロッチ・中岡創一であった。彼は「プレミアムフライデーの定着には何が必要?」というテーマに対し、「“プレミアムフライデー祭り”みたいなことがあれば『じゃあ、祭りに行こうか』ということになる。イチゴが名産の土地だったら“イチゴ食べ食べ祭り”みたいな」と、コメントしていた。  このコメントの何がいいのだろう? チーフ・プロデューサーいわく「突拍子もない意見だが、よく聞くと説得力がある。そういう発想がコメンテーターには大事」とのことだ。要するに、置きに行くコメントは評価されない。人とは違う発想、そして視聴者にどれだけ刺さるかが、制作がコメンテーターに求める要素である。  しかし、だ。この考え方と竹山が心がける「心に残ることを言っちゃダメ」は、完全に相反している。制作の求める方向性と演者が心がけるコツは、正反対なのだ。  現代は、うかつなことを言った途端にネットニュースとして取り上げられる時代。もしくは視聴者に切り取られ、SNSでネガティブな形で拡散されることもしばしば。芸人が発言の一つ一つに細心の注意を払うのも無理はない。  本音を言うのがはばかられる時代。印象に残らないコメントを心がける演者。刺さるコメントを求めにいく制作側。  交わらない三者が一緒くたになり、芸人コメンテーターを取り巻く状況が出来上がった。これって、誰も得しない大喜利でしかない。  落語家の桂春蝶は、9月26日にTwitterでこんなつぶやきを発信している。 「‏一部のワイドショーが求めるコメンテーターの資質って… 『当たり障りの無い意見をどれだけ大きい声で言えるかどうか?』 なんだって。 特に東京発信の番組はそれなんだと。 誰がそんな番組出たいんかね?笑」  確かに、「コメンテーター」も芸人にとって大事な仕事のひとつだろう。生活のために引き受けた者だっているかもしれない。でも、考えれば考えるほどに破綻している。「武士は食わねど高楊枝」を求めるのは無責任だと、百も承知である。それでも、「コメンテーターなんてやめたほうがいい!」と、芸人たちに訴えたい気持ちでいっぱいだ。 (文=寺西ジャジューカ)

苦難乗り越え……東京03・豊本明長との結婚&妊娠を報告した女子プロレスラーのミス・モンゴルが独白

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 まさに苦難を乗り越えた……というべきか。女子プロレスラーのミス・モンゴル(上林愛貴=41)が25日、自身のブログで、お笑いトリオの東京03・豊本明長との連名で、“初夏の良き日”に婚姻届を提出し、現在妊娠中であることを報告した。  今後、モンゴルは師匠である大仁田厚の引退興行(10月31日=後楽園ホール)まで、裏方やセコンド業務をこなし、同月いっぱいでプロレスの仕事は産休に入る。ただ、11月以降も、現在行っている子宮頸がん啓発キャンペーン、ペットの殺処分ゼロの活動については、体に負担のない範囲で続けるという。  モンゴルは2014年12月27日、自ら主宰する「世界プロレス協会」の東京・新木場1stRING大会のリング上で、かねて交際中だった豊本に逆プロポーズ。豊本もそれを快諾し、婚約。その後は事実婚状態が続いていた。婚姻届を提出しようとしたこともあったが、書類の不備で受理されなかったこともあり、未婚のままだった。  そんな中、2人にピンチが訪れたのは、今年3月下旬のこと。写真週刊誌「FLASH」(光文社)で、豊本と女優・モデルの濱松恵との親密交際が報じられ、2人がやりとりしたLINEの一部が流出したのだ。同誌によれば、豊本と濱松は昨年11月、知人の紹介で知り合い、男女の関係に発展したという。報道を受けて、豊本は騒動を謝罪し、「モンゴルを大事にしていく」と表明していた。  諸々の事情により、結婚の日を明らかにできないようだが、初夏というからには、6月から7月上旬頃とみられる。  結婚に関して、モンゴルは筆者の取材に対し、「騒動の前から、『今年の良き日に籍を入れよう』と話し合っていました。そんなとき、あの報道があったんですが、私はすでに知っていました。これが初犯というわけでもなかったんです(笑)。ただ、あの件で彼が痛い目に遭って、“いい薬”になったようです。それで当初の予定通り、籍を入れることになりました。よく芸人さんの遊びは、“芸の肥やし”とか言われるけど、私はそれを容認するつもりはなく、『次にやったら、今度はどうなるかわからない』って思ってます」とコメント。  モンゴルは20代のときに、子宮頸部高度異形成を発症し、手術を受けた経験がある。その後も、排卵しない高プロラクチン血症と診断されたこともあり、病気を克服しての妊娠に感慨もひとしおのようだ。  騒動を乗り越えて結ばれたモンゴルと豊本。「雨降って地固まる」ではないが、幸せな結婚生活を送ってほしいものだ。  なお、モンゴルは「引退の意向はありません。出産後もできるだけ早く復帰したい」と、現役続行を宣言した。今年前半、かつて「カタモミ女子」や、「info.m@te」のメンバーとして活動していた元アイドルレスラー・中野たむとの“ブス対カワイイ”抗争でプロレス界の話題をかっさらったモンゴルだけに、ママさんレスラーとしての活躍に期待したい。 (文=ミカエル・コバタ)