約1年前の1月30日。イスラム国(IS)に拘束され、殺害予告を受けたジャーナリスト後藤健二さんの“その時”が近づき、日本中の人々がその行方をかたずをのんで見守っていた。 同日午前0時40分。朝日新聞東京本社に、外務省幹部から極めて異例ともいえる一本の電話が入った。 「シリアに、おたくのイスタンブール支局長が入っていますね。とても危険なんです。大臣の指示です。即刻出国してください」 「具体的に脅威が高まっているという情報があるのなら、教えてほしい」 「2人が誘拐されている。3人目を出したくはないんですよ。3人目の拘束者が出たら、どうするおつもりなんですか。3人目の邦人保護なんてできませんよ」 緊迫したやりとりを行ったのは、朝日新聞国際報道部長であり、『戦場記者 「危険地取材」サバイバル秘話』(朝日新書)の著者の石合力氏。およそ20年もの海外取材経験を持つベテラン記者で、2011年に中東特派員として派遣されたときには、“アラブの春”と重なり、エジプトやリビアで政権崩壊にも立ち会った。上記の外務省幹部とのやりとりの返事に、自身の経験から相当高い確率で安全を確保しながら取材できる地域がある、と考え「安全に最大限注意した上で、取材を続ける」と返答した。すると、ほかの新聞や週刊誌からは、シリアで取材を続ける朝日新聞に疑問を投げかけるような記事が出た。 外務省の邦人保護関係者の間に「冒険ダン吉」という言葉がある。それは戦前の人気漫画のタイトルで、南の島の王となった勇気ある少年ダン吉が、機転を利かせてさまざまな敵に打ち勝っていくという内容だ。「危険を顧みず、現場に飛び込むジャーナリスト」の隠語として使われているという。 そんな“ダン吉”とまでいかなくとも、危険地で取材している記者たちが、一体どうやって安全を確保し、取材しているのか? 本書では、爆弾テロが発生したらどのタイミングで近づくのか、どんな場所に宿泊するのか、催涙弾を受けたらどうするのか、危機や紛争に記者とともに現場に飛び込む“戦場運転手”の存在など、危険地取材の舞台裏が、石合氏の身に起きた実際の体験をもとに短いエッセー形式でつづられている。また、戦地で携帯は使えるのか、一日の滞在費用の相場など、一般人の素朴な疑問に対して、戦場の常識があまりにもぶっ飛んでいて、安全を確保することがどれだけ大変なのかを痛感させられる。場所はエジプト、シリア、レバノン、イラク、パレスチナ自治区など、日本人にはあまりなじみのない中東での経験がベースとなっているので、読んでいるうちに、中東情勢が難解ながらも少しずつわかってくる。 危険地に行かないから関係ない――。このご時世、なかなかそうも言っていられない。フランス・パリで起きた同時多発テロのように、いつ先進国の観光地がテロの現場となり、自分たちの身に危険が降りかかってくるかわからない。まして、4年後には東京オリンピックが開催されるのだ。今こそ、サバイバルスキルを上げておくべき、なのかもしれない。 (文=上浦未来) ●いしあい・つとむ 1964年、大阪市生まれ。朝日新聞国際報道部長。88年入社。カイロ、ワシントン両特派員、政治部次長、国際報道部次長、GLOBE副編集長、中東アフリカ総局長などを歴任。フセイン政権下のイラクや“アラブの春”に揺れる中東、アフリカ各国を現地取材。2013年6月から現職。同志社大学一神教学際研究センター共同研究員。『戦場記者 「危険地取材」サバイバル秘話』(朝日新書)
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「これじゃただの広告屋だ!」観光業者とベッタリ癒着の旅行ジャーナリストに批判の声

伊豆諸島・伊豆七島の観光総合情報サイト
「屋久島も西表島もハワイも行く必要なし!」
伊豆七島への観光PRが旅行関係者の間で物議を醸している。10月18日、伊豆七島への客船を運航する東京汽船がマスコミ関係者を集めた東京湾船上でのプロモーションイベントを開催したが、その中でトラベルジャーナリストの肩書きで登場した寺田直子氏が「屋久島も西表島もハワイも行く必要ない」というタイトルでスピーチしたことで、当の屋久島らの観光関係者が激怒しているのだ。
スピーチで寺田氏は、「仕事では世界60カ国に足を運んだが、大島には仕事でなくても行く」と力説。そこまではよかったが、屋久島など3島の景色を写した写真と、それに似た景色の大島の写真を並べたものをスクリーンに大きく映し、大島に行けばこれら3島に行く必要はないという内容をアピール。これを伝え聞いた屋久島、西表島の観光業者が「そんなふざけたPRになんの意味があるんだ!」と痛烈に反論した。
「旅行というのは、場所それぞれに違った魅力があるはず。それなのに、ほかをとがめて特定の場所の優位を説明するなんて、バカバカしいにもほどがある。屋久島、西表島、ハワイともそれぞれ特色があるし、大島だって同じ。屋久島やハワイと大島を比較して、どっちに行くかなんて考える観光客がいるとも思えない。ほかの島に対して「行く必要がない」なんて、よく言い切れたものだ」(屋久島在住の旅館経営者)
また、西表島への観光ツアーを手配する沖縄の旅行会社経営者も「寺田氏は昨年、ブログに“十数年ぶり”として西表島に行ったと記しています。首都圏から身近な伊豆七島に強い思い入れがあるのかもしれないですが、十数年も行っていなかった島をよく比較対象にできるなと思う」と、反論。
さらに、ジャーナリストとしての姿勢にも疑問を投げかけ「そもそも特定の観光地のPRを仕事にしている時点でジャーナリストと名乗るのがおかしい。トラベルジャーナリストと名乗るなら、その場所を取材して掴んだ良い点、悪い点を客観的に別のところで述べるべき。大島のPRで金をもらってヨイショしているのは、ただの広告屋。自分が何度も行っているとか、だからほかに行く必要はないとか、それじゃただの観光客の感想レベル。ジャーナリストとしての資質を疑います」(同)
大島に住んでいる人間が「ほかよりこっちのほうがいい」というのではなく、“世界中を見て回っている”という触れ込みのジャーナリストによるPRだけに、もう少しほかの表現ができなかったのか一考の余地はありそうだ。
GoogleTVにアプリが載る日、世界各国の産業構造が変わる!?
──激変するITビジネス&カルチャーの深層を抉る!

「世界のテレビが、変わります」とでも言
われそうな、全く新しいテレビ像である。
ワープロからパソコンへ、ガラパゴスケータイからスマートフォンへというように、テレビも進化する日が近そうだ。アプリ搭載型テレビの登場は、各企業のビジネスモデルのみならず、各国の産業政策をいやおうなしに変化させるだろう──。
GoogleTVという製品が2010年話題になったことがあった。これは、グーグルがソニーやインテル、PC周辺機器メーカーのロジテックなどと組んで発売したテレビ受像機だ。「番組とウェブの動画を同時に検索できる」といった機能が喧伝されているが、この機器は、実はテレビの世界を一変させる可能性を秘めている。
それは何かといえば、テレビ受像機にアプリがインストールできるようになるという可能性だ。現時点ではこの機能はまだだが、おそらく遠くない将来に実装され、そしてここを突破口に、アプリ化の波がテレビに押し寄せてくるのではないかと私は予測している。
ガラケーとスマートフォンの最大の違いは、このオープンなアプリケーションのプラットフォームとなっているかどうかだ。ガラケーは、キャリアが用意したアプリを使うことができるだけ。iモードなどでは外部アプリが利用可能にはなっているが、スマートフォンと比べると自由度は非常に低い。
プレインストールされたアプリから、入れ替え自由でオープンなアプリのプラットフォームへの転換。これはかつてワープロ専用機がパソコンに駆逐されていったのと同じ変化である。80年代に隆盛を誇ったワープロ専用機は、あらかじめワープロや表計算、カレンダーなどのアプリが用意されていたが、それほど使いやすいものではなかったし、機能が気に食わなくても入れ替えることができなかった。だから90年代に入ってパソコンが低価格になり、Windowsの普及によって使いやすさも高まってくると、消費者は一斉にパソコンへと移っていった。当然の流れである。そして今起きつつあるガラケーからスマートフォンへの移行も、同じ方向へと進むのは当然といえる。
そしてこの波が、今度はテレビにやって来るのではないかと私は考えている。現在のテレビ受像機は、完全に機能が固定化されていて入れ替えられない。これがアプリケーションが自由に入れ替えられるようになると、テレビ受像機の役割は劇的に多様化し、インテリジェント化していくことになる。つまりパソコンと同等の機器になっていくわけで、これこそが本当の「通信と放送の融合」ではないかと思うのだ。
そしてこのアプリ化は、テレビの垂直統合ビジネスを最終的に終わらせる引き金となる可能性を秘めている。
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万年赤字の"お荷物"「週刊ポスト」「女性セブン」が小学館社内でクーデター画策中!?

小学館公式サイトより
伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ギョーカイの内部情報を拾い上げ、磨きをかけた秘話&提言。
大手出版社・小学館の分裂騒動が話題になっている。
「小学館発行の『週刊ポスト』『女性セブン』『SAPIO』を本社から切り離し、分社化するという案が急浮上しているらしい。しかしこの3誌は小学館の主要雑誌であり、看板雑誌でもある。『小学館はそこまで危機的状況なのか』と出版業界でも話題になっています」(出版業界に詳しい記者)
分社化といえば2008年、朝日新聞社が「週刊朝日」「AERA」など出版部門を切り離し、朝日新聞出版としたが、この時も本社と比較すると著しく低下した出版会社社員の待遇などをめぐって多くの波紋を呼んだ。小学館は特に業界内でも高給・高待遇で知られる出版社であることから、もし分社化すればその波紋はさらに大きいだろう。
「主要雑誌とはいえこの出版不況で、『ポスト』『セブン』は今期決算でも5億円以上もの赤字が予想されています。今やお荷物雑誌ですからね」(前同)
しかし、取材を進めると意外な事実が浮かびあがってきた。
「分社化という話は実際にあって、小学館内でもここ数カ月その話で持ち切りです。だが、小学館がお荷物雑誌を切り離すということでは決してない。というのも、分社化を主張しているのは『ポスト』発行人であり担当役員の秋山修一郎氏と『セブン』発行人の森万紀子氏の二人だからです」(小学館関係者)
一体どういうことか?
「この二人の発行人は、雑誌が赤字というのは自分たちの責任ではない、むしろ雑誌連載を書籍化したりムックにするとそれなりにヒットする。しかし、その業績は別の部署が持っていってしまい自分たちには金が回ってこない、という不満を持っているのです。さらに小学館ではアドバトーリアル室というタイアップ企画を専門に行う部門があり、『ポスト』だけでなく『セブン』『SAPIO』のブリッジ企画を売りにしていますが、それが上手く機能していない。そのため秋山役員は『分社化すれば自分たちの采配で上手くやれる』と本気で思っているのです」(前同)
実際、秋山役員は副社長である白井勝也氏に分社化を直談判したが「上手くいくはずはない」と相手にされなかったという。
「しかし秋山役員と森氏だけは本気なようです。白井副社長も最後は『勝手にすればいい』と匙を投げたとも言われている」(前同)
いわば二人の発行人による予算の利権争いクーデター騒動というわけだ。だが二人の不満は予算だけではないようだ。別の小学館の内部事情に詳しい関係者はこう証言する。
「『ポスト』『セブン』はここ数年人材不足が顕著です。特に若手は誰も希望しない『嫌われ雑誌』となっている。社員編集者など隙あらば逃げ出したい、という雰囲気ですからね。そのためスタッフの年齢も高くなる一方です。秋山役員は『分社化すれば専属のスタッフも雇えて、人材不足も解消する』と主張しているようですが、そんな問題ではない。何しろ人が逃げてしまう大きな原因は、秋山と森に"人がついてこない"という人徳のなさなのですから(苦笑)」
この関係者によれば「実際に分社化が実現する可能性は低い」という。それにしても、なんとも低レベルな分裂騒動である。
(文=神林広恵)
田原総一朗が「震災報道」に見た既存メディアの問題点と可能性とは【3】

■【1】、【2】はこちらから
浮島さとし(以下、浮島) 田原さんご自身のお話に戻るんですが、今でこそ政治評論の重鎮としてご活躍ですが、お若いころはかなりメチャクチャをされてたというお話を耳にします。
田原総一朗(以下、田原) どうかな。例えば、どんな?
浮島 あの、元全共闘のヒッピーが全裸で行った結婚式の取材で、花嫁がノリで列席者全員とセックスすることになり、田原さんも花嫁に請われてその場でセックスしたという話は、あれはガセですか。
田原 しましたね。スタッフもみんな。それで、そのまま撮ってオンエアしましたよ。
浮島 そうですか(笑)。じゃ、ニュージャージー州でマフィアに取材を申し込んだら、マフィアの人間がビリヤード台を指して、この場で売春婦とセックスしたら取材を受けてやると言われて、実際にその場でヤったというのも本当ですか。なんかセックスの話ばかりで恐縮ですが。
田原 本当ですよ。だって取材するためだからしょうがない。取材はなんでもありですよ。
浮島 よくその状態で●●●が立ちますね......。ビビったりしなかったんですか。
田原 なんでビビるの?
浮島 なんでって、周りにマフィアがいるからです。
田原 だって、こっちは取材をしたいんですよ。そのためにはなんでもやりますよ。あのね、取材ってのは最終的にどこか命を張るという部分がないとダメですよ。だから向こうもこっちを信用する。そういうもんです。
浮島 今のお話で思い出したのですが、先日、(政治評論家の)三宅久之さんとお会いしたときに、70年代に起きた「西山事件」についてお聞きしたんです。当時、毎日の記者だった西山氏が、外務省の女性職員と懇ろになって沖縄返還協定に絡んだ機密情報を入手し、それをスクープとして出した。三宅さんは当時、毎日新聞デスクで西山記者の上司だった。
田原 あの時は取材方法が問題視されて、毎日新聞が世論からも同業他社からも批判されましたね。最後には男と女のスキャンダルに話が矮小化されてしまった。
浮島 三宅さんによると、その時ただ一人味方してくれたのが、ナベツネさん(渡辺恒雄・読売新聞社主)だったそうです。記者仲間の飲み会の場で「おまえら、おマ●コまでしてスクープ取ってこれるのか! オレのライバルは西山だけだ!」と言ってくれたと。ナベツネさんといえば今回のプロ野球開幕強行発言で男を下げましたが、これは若かりしころの男前なお話だなと。
田原 だってねえ、取材っていうのは、方法が三つあるの。盗むか、だますか、買収するかなんですよ。その意味で、西山事件は批判されるような問題では全然ない。
浮島 今、日本で盗撮のような手法で取材をして、仮に重大な反社会的行為の事実を引き出したとしても、当局以上に視聴者やネットユーザから取材した側に批判が来ますよね。「おまえら法律に違反してネタ取ってるじゃないか」と。
田原 だろうね、でも叩かれてもいいじゃない。昔ね、アメリカのあるスーパーが腐った肉をミンチにして商品として売ってるという噂があって、アメリカのテレビ局の人間がスーパーの店員に化けてカメラを持ち込んで、腐った肉を加工してる現場の撮影に成功して放送したの。そしたらそれがドキュメンタリーの権威ある賞を取った。
浮島 それはすごいですが、訴訟をされたりとかは。
田原 もちろん訴えられた(笑)。しかも裁判に負けた。で、僕はその取材をした責任者を取材したの。「負けたね、やっぱり違法だね」って。そしたら「そうですね」って。「これからどうする、もうしないの」と聞いたら「方法がまずかった。もっとバレない方法でやる」と。
浮島 コンプライアンスもクソもない(笑)。でも取材方法としては正しいと。もっとも、コンプライアンス自体が悪いわけじゃないですしね。法令遵守は必要なのであって、その解釈がゆがんで独り歩きしていることが問題ということで。
田原 西武ライオンズに東尾修っていうピッチャーがいたでしょ。彼に「ボークの定義って何だ」って聞いたの。そしたら、「アンパイアがボークと言ったらボークです」と。「あなたはボークしないの」と聞いたら、「バレないようにやるんだ」と。そういうもんです。
浮島 圧力に萎縮せずに、したたかに一貫してやり続ける姿勢が求められると。
田原 あと、楽しむことも大事じゃないかな。僕も裁判起こされたりしたけど、誤解を恐れずに言えば、裁判そのものはすごく面白かった。そしたら弁護士がね、こんなの面白がるの田原さんぐらいしかいないって。
浮島 ああ、なるほど。実は田原さんが提訴された時もすぐに事務所にインタビューを申し込んだんです。絶対に今は断られると思ったら、秘書の方は「田原は全然OKだ」と。でも、弁護士がNG出すかもしれないとおっしゃるので、担当弁護士の●●さんに電話で聞いたんです。そしたら●●弁護士も「田原先生は絶対OK出しちゃうと思うけど、今は遠慮してもらえますか」と言ってました。今のお話を伺って、なんか、そのときの空気が理解できました(笑)。
田原 ああ、●●さんがね。そんなことがあったの。
浮島 田原さんといえば『朝まで生テレビ』(テレビ朝日系)です。1980年代後半のかなり初期の放送を、学生だった私は友人と見ていた記憶があるのですが、田原さんが討論のテーマに予定されていなかった天皇制の問題を急に語り始めたんです。当時は天皇制といえば、今とは比較にならないくらいタブー視されていて、テレビで正面から議論するなんてあり得なかった。だから、見ているこちらにも「この司会者、何かやり出したぞ!」とびっくりして。あれ、確信犯ですよね。最初から企んでたのですか?
田原 あれはね、あのとき昭和天皇のご容態が思わしくないころで、今ここで天皇制の議論を避けるのはどう考えてもはおかしいだろうと、前もって局のプロデューサーに持ちかけたんですよ。そしたら彼も悩んでたけど、やっぱり無理だと。だから分かったと。その代わり、「生放送だから、たまたま話がそっちへ流れてしまうことは、アクシデントとしてはあり得るよね、その場合の責任は僕が持つしかないよね」と言ったの。そしたら彼は黙ってた(笑)。それを僕は暗黙の了承と受け取った。
浮島 あのとき田原さんが「今、天皇陛下が......」と切り出した途端、パネラーの間に緊張が走ったのが画面を見ていてもわかりました。猪瀬(直樹)さんですら動揺してましたから。田原さんも視線を盛んにチラチラとスタッフの方に動かしていて、スタジオが右往左往している空気が伝わってきたのを鮮明に覚えています。結局、栗本慎一郎さん(当時:明治大学教授)が「聞いてない!」って顔を真っ赤にして退席しちゃうし。あれはしびれましたね。
田原 しかけてナンボですからね。テレビというものは。
浮島 「朝生」はご自身で構成を考えるのですか。
田原 そう。全部こちらでやる。出演者もほとんど自分で選びます。で、このメンバーだか、ら、だいたいこういう話の流れで、という感じで。ついでにスポンサーまで自分で見つけてくることがありますよ。
浮島 その構成通りにいくものですか?
田原 一回もいったことない。むしろ、いきそうになるとこっちからかき回すから。当たり障りない答えばかりされるとつまらないでしょ。
浮島 スポンサーという言葉が出ましたが、よく「スポンサーの圧力」という言葉が使われますよね。スポンサーや広告代理店から電話がかかってきて「番組やめろ」みたいな。朝生では実際のところどうなんですか。
田原 あのね、スポンサーだって出資している以上は視聴率には敏感だけど、圧力をかけて番組をつぶすなんてことはまずありませんよ。それを言ってる局の人間がいたら、ただの言い訳。自分の力の無さを責任転嫁してると思っていい。そりゃね、トヨタ批判をする番組をトヨタのスポンサードでは作れませんよ。でも、そういう極端な形でない限り、スポンサーは文句なんて言ってきませんよ。
浮島 『朝生』を長くやってこられて、局のスタッフも世代交代してきて変化もお感じになると思うのですが、何か一貫したテーマとして掲げているものはありますか。
田原 まぁ、全体的に昔よりやりづらくなったけど一言で言えば、やりにくいものをどこまでやるかがテーマですかね。さっきもあなたが言ったけど、コンプライアンス部の監視体制も厳しいしね。
浮島 正直言って、段々つまらなくなってきたんじゃないですか。
田原 それはないでしょ。僕はね、テレビ局の監視体制が強まってくるのは、半ば歓迎してるの。つまりケンカでしょ。ケンカする局面がいっぱい出てくるっていうのは楽しいことだよ。
浮島 でも、昔はできたことができなくなると、自分の伝えたいものとは違う番組になるとか。
田原 それはならないでしょう。こういうふうにやってできなければ、こっちからやるか、あっちからやるか。要はやりようですよ。
浮島 それを若いスタッフやディレクターさんに伝えていかれるのですか。
田原 いつも言ってますよ。僕は昔から言ってるの、民放のディレクターなんてのは自分の表現したいことができるはずがないって。なぜなら、テレビは総務省が監督官庁として完全に管理してるから。スポンサーもいるから視聴率も無視できない、上層部からの圧力だってある。三重に縛られてるんです。じゃあ、自分のやりたいことが全然できないかというと、逆に考えれば三重に縛られてるから面白いんだって。縛りの中でいかに自分のやりたいことをやるか。縛りがないところでやりたいなら同人誌が一番縛りがないからね。でも、それじゃ面白くないでしょ。やっぱり文句を言われるから面白いんですよ。
田原総一朗が「震災報道」に見た既存メディアの問題点と可能性とは【2】

撮影=笹村泰夫
■【1】はこちらから
浮島さとし(以下、浮島) 取材力の話に関連するのですが、警察情報を記者が記事にする場合、被疑者が警察に拘束されていると、情報の裏を取るのが非常に難しい。結果、警察が言っていることをそのまま書くしかない。それがパターン化しているという現状があります。
田原総一朗(以下、田原) もともとマスコミってのは、取材源に対して立場が弱いんですよ。典型的なのが、今言った警察や検察に対して。例えば今、ホリエモンが逮捕されたとしますよね。検察は堀江さんを有罪にしたいから、いかに彼が悪人で汚い人間かという情報を一方的にリークする。身柄は当局に拘束されているから裏が取れない。なので、メディアは取材をせずに、リーク情報をそのまま世にはんらんさせ、それで世論が形成される。
浮島 検察が意図した通りに世論が作られる。あるいは、検察に批判的な記事を書く記者は(記者)クラブに出入り禁止とか。
田原 それもある。検察の意図に沿って流さないと、嫌がらせをして取材を拒否したりね。拒否されたら、検察情報が一切入ってこないから紙面が作れない。従って、検察の批判記事は基本的に新聞に出てこないという構図があったわけだけど、例の村木厚子さんの冤罪事件では、さすがに各紙ともここぞとばかりに検察をたたいてましたね。ただ、あの事件については批判できたけど、また別の事件については前と同じで、検察の圧倒的な優位性は変わらないでしょう。
浮島 検察タブーと関連するのですが、田原さんがメイン司会者だった『サンデープロジェクト』(テレビ朝日系)の打ち切り理由は、検察批判の急先鋒である元検察官の郷原信郎氏を、田原さんが番組に呼んで自由に発言させたことに対して、局の上層部から圧力がかかったからだという話もありますが。
田原 郷原氏を今後も番組に出すのであれば朝日の司法記者を出入り禁止にすると、検察からそう言ってきたという話は聞いています。
浮島 検察から記者を出入り禁止にされたら、朝日新聞は記事が作れない。困った上層部は、田原さんを切ったと、こういう構図ですか。
田原 まぁ、必ずしもそれだけとは言いませんけどね。あの番組がいろんな意味で局の上層部にとって重たい存在だったのは確かでしょうね。
浮島 局の上層部からしたら、田原さんが"空気を読まない"番組作りばかりするので負担だったのではないでしょうか(笑)。その意味では、鈴木宗男前衆議院議員が収監される前にもインタビューをされていますが、あれも地上波では放送できないのでニコニコ動画で流したのですか。
田原 そう。収監前にどうしてもメッセージを撮りたかった。彼は裁判について言いたいことがいっぱいあるわけだから。テレビに持ちかけたらNGだというので、それでニコニコ動画に「やらないか」と言ったら「やりましょう」と。それで70分流しました。
浮島 宗男さんがNGだというのは、刑事被告人や容疑者だからという理由は分かるのですが、そういうNGの基準って各局の規則やガイドラインにでも明記されているのですか。
田原 明記はされてないけど、起訴されて裁判中の人間は出さないのが一応はテレビ界の大原則なんです。
浮島 しかし、それを言ったら堀江貴文さんもそうだし、もっと言えば田原さんも裁判中じゃないですか(編注:北朝鮮による拉致被害者の有本恵子さんの両親が田原氏の発言をめぐって2009年7月に神戸地裁へ提訴)。
田原 そう。だからそこらへんはあいまいというか、ガイドラインとして明文化されてるわけじゃないから。今のところでいうと、「堀江さんはOK、ただし裁判のことは言っちゃいけない」みたいな空気にはなっていますね、テレビでは。
浮島 でも、そういう「空気」も黙ってて自然に出来上がるわけではないですよね。田原さんが堀江さんをテレビに引きずり出したいと思っても、局から「被告人だからダメ」と言われ、そこから折衝して出演までこぎ着けるわけですよね。今でこそ堀江さんは普通にテレビへ出ていますけど。
田原 もちろんそう。僕はね、「番組を作る」とか「表現をする」ってことは、(テレビ)局側とのケンカだと思ってるんです。あるいは新聞社の「社」でもいいですね。雑誌だったら編集部。そことどこまでケンカできるかだと思います。逆に言えば、それがあるから面白いんじゃないですか。
浮島 田原さんは1964年に東京12チャンネル(現:テレビ東京)に入社以来、45年以上テレビ業界に携わっていらっしゃるわけですが、当時と今では世の中の状況もテレビ局員の社会的地位も全く違うと思うのですが。
田原 違うね。僕が東京12チャンネルに入ったころは、テレビがとてもいいかげんな時代だったの。ステータスも全然なかった。特に東京12チャンネルはできたばかりの「テレビ番外地」みたいな、インディーズ的な会社だった。誰にも相手にされないから、今のニコニコ動画みたいにいろんな番組が自由に作れたんですよ。でも、徐々にテレビ会社も就職試験が難しくなり、一種のステータスになってくると、だんだん縛りが強くなってきた。
浮島 テレビが自由にできたというのは、当時はまだ活字媒体の方が社会的地位がはるかに高くて、視聴者もテレビをそんなに信頼していなかったという要素があったと思います。まさに今のネットと同じで。自由な番組作りができるというネットメディアも10年後は、テレビと同じ道をたどるとは言わないまでも、今と違った形になると考えられますよね。
田原 確かに違った形にはなると思うけども、ただネットメディアは誰もが発信者になれるというのが最大の特徴だからね。これはテレビなどの既存のメディアとは大きく違うところなんで、同じ道をたどることはないと思う。ただ、ネットは「金を払わない」というのが主流だからね。ビジネスモデルの構築が大きな課題ですね。堀江(貴文)さんなんかは有料メールの会員を相当抱えているようだけど、誰もができるモデルではないからね。ニコニコ動画なんかは、ようやくビジネスになり始めたというけど。
(【3】につづく)
田原総一朗が「震災報道」に見た既存メディアの問題点と可能性とは【1】

撮影=笹村泰夫
『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)の顔として、テレビジャーナリズムの可能性を切り開いてきた田原総一朗氏。1964年の東京12チャンネル(現:テレビ東京)入局以来、約半世紀にわたりテレビ業界を見続けてきた。また、緻密な取材を基にこれまで150冊を超える著書を出すなど、活字ジャーナリズムの世界でも第一人者として活躍を続けている。その田原氏が、3月11日以来続く一連の「震災報道」の問題点や、『サンデープロジェクト』(同)打ち切りの真相、さらには若かりしころの破天荒な仕事ぶりなどを激白。既存メディアの可能性や問題点を浮き彫りにしてもらった。
(聞き手=浮島さとし/フリーライター) 浮島さとし(以下、浮島) 3月11日の大地震から早くも1カ月がたちました。一連のマスコミ報道をご覧になっていてお感じになることはありますか。 田原総一朗(以下、田原) 新聞やテレビが政府の発表をそのまま垂れ流していますよね。たとえば、11日の大地震の翌日に福島第一原発の1号機が水素爆発を起こした。これで建屋が吹っ飛びました。ところが、建屋の内部で爆発するほど気圧が上がる理由は、普通はないわけですよ。であれば、どこからか高い気圧が漏れてきたということになる。建屋内部で気圧が高い箇所といえば、圧力容器の中と考えるのが妥当なんです。 浮島 あの時点では、まだ政府は圧力容器の損傷はないと言っていたわけですが。 田原 政府は確証情報しか出さないからね。でも、順を追って普通に考えれば原子炉が原因と推測できるはずです。ということは当然、圧力容器が破損していると見なければならない。圧力容器が破損するということは、燃料棒が溶融している。もちろん、それは推測です。しかし、そういう推測を政府は発表しない。政府が発表しないと、マスコミも報じない。でも本来マスコミは、その可能性を報じないといけないんですよ。 浮島 専門家の中にはツイッターやブログなどで炉心溶融の可能性を示唆していた人もいましたが。 田原 そういう声がテレビになかなか出なかった。破損している可能性が高いと論理的に確証を持って言える専門家は居たわけで、たぶん記者もそこは取材しているはずなんですよ。でも、怖いからそれを発表しない。なぜか。「危機感をあおっている」「風評被害だ」と言われるのが怖いから。その結果、無難な報道に徹してきた。無難な発表というのは政府の発表をそのまま伝えるということなんですよ。 浮島 いわゆる、大本営発表。 田原 その通り。大本営発表ですよ。でも、戦争中は言論統制が厳しくて戦争反対なんて言えなかったけど、今は統制なんてないわけ。なのに、なぜかマスコミは大本営発表をだけを垂れ流す。理由は無難だからですよ。 浮島 それと、地震から4日目くらいですか、一斉にどこの局も番組編成を通常の形に戻し、バラエティー番組も始まりました。NHKも大河ドラマを始めて、気付いたら地震報道をしている地上波が一局もないという状態になりました。あの時は、建屋内部が冷却できずに温度が上がり続けていて、恐ろしく緊迫していたはずなのですが。 田原 それも無難だから。バラエティーを始めたら時期尚早と世間からたたかれるかもしれない。やるならみんなで一緒にやりましょうと。自分のところだけたたかれないで済むわけだから。自粛だってなぜするかといえば、無難だからですよ。自粛しないと批判される。とにかく無難でさえあればいいという。その結果、事実が視聴者に伝わらない。それが一番の問題です。 浮島 田原さんはよく「今のメディアは守りに入りすぎて面白くない」という趣旨の発言をいろいろな場でされています。昨今は各局ともコンプライアンスを専門に取り扱う部署が発言力を持ち、思い切った番組作りができないという話も聞きます。コンプライアンスという言葉が独り歩きをしているとの指摘もあるようです。 田原 コンプライアンス部ってのは、クレームをつけるのが仕事の部署なんですね。例えば「視聴者からこんなクレームがあった」と大騒ぎする。大騒ぎしないとサボってるってことになる(笑)。それもあって、テレビも新聞も非常に神経質になってる。最近ね、相撲に対しても政治に対しても、あるいは19歳の受験生がカンニングしたことに対しても、新聞記事やテレビの番組にクレームがいっぱいくるわけ。世間の目が非常に厳しいよね。僕は一種のいじめだと思うけどね。 浮島 制作サイドが思い切ったコンテンツ作りをできない大きな理由は、クレームを恐れた過剰なまでの組織防衛の風潮だということになりますか。 田原 それが一つね。もう一つ大きいのが経費の問題。結局ね、新聞もテレビも不況なんですよ。広告費が落ちて景気が弱くなると経営がそれだけ弱気になる。新聞なら取材費、テレビなら制作費を落とそうとする。これにより取材が十分にできなくなる。すると、取材に自信を持てなくなる。自信がなくなると臆病になって、その結果、「危険なことはやめよう」「無難にやろう」という動きになる。それが今のコンプライアンスとやらの実態だよね。 浮島 実際、取材経費が出ないという状況が珍しくなくなりました。先日、野村総研の上海支社で幹部が強制わいせつを働いたという事件があったのですが(記事参照)、取材をしたら被害者が上海に居るという。一次情報を得るために上海まで行ったのですが、ビジネスとして見たらまるっきり赤字でした。これがネット媒体ならまだしも、週刊●●とか、××とか、結構な大手出版社でも「上海? 遠いな、無理」って感じですから。 田原 ああ、そう(笑)。昔は(週刊)ポストでも(週刊)現代でも、経費で海外取材が当たり前だった。僕はずいぶん行きましたよ。今はだんだんケチになってる。あとね、これ良くないことに、テレビが制作費を削減するでしょ。それでも番組ができるでしょ。「しめた」と思っちゃう、管理職が。だから、これから景気が良くなっても制作費を上げませんよ。 浮島 安く作れるノウハウを覚えてしまうと......。 田原 そう。覚えた、と思っちゃう(笑)。本当はそんなもの、ノウハウでもなんでもないのにね。それだけ取材がおろそかになって番組は劣化するんですよ。 浮島 私も良くないとは思いながら、特に遠方だと移動経費と時間がもったいなくて、ついつい電話取材で済ませてしまうことがあります。 田原 それが良くない。あのね、新聞記者を一番ダメにしてるのはケータイですよ。記者は政治家の携帯番号を知ってるわけだ。会わずに「どうですか」と聞いちゃう。そりゃ聞けば答えはするけど、ケータイ程度にしか答えないからね。Face to faceで押し込んでいくのと、ケータイで聞くのとは全く違いますよ。なのに、それで取材できたと思っちゃう。ここが問題ですよ。便利になりすぎたんだ。 浮島 確かに楽なんです。電話で20~30分聞いて、それなりに記事が書けちゃう。でも、会って顔を見て話すのとは、出てくる言葉が違いますよね。 田原 全然違う。ケータイが普及したことはね、新聞やテレビの記者の取材力を相当減退させたと僕は思ってますよ。 (【2】につづく)
現場放棄、東電批判を"自粛"……震災であぶり出される大手メディアの素顔

「週刊新潮」4月7日号(新潮社)
伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ギョーカイの内部情報を拾い上げ、磨きをかけた秘話&提言。
福島第一原発事故以降、メディアの現場でもそのスタンスが問われかねない"事件"が起こっている。その最たるものが「週刊新潮」(新潮社/4月7日号)で報じられた共同通信福島支局の現場放棄事件だ。爆発事故をテレビで見た東京の社会部幹部が、福島支局員たちの県外退避を指示、一時、福島市にある共同の福島支局が不在になる異常事態となったというもの。「新潮」も「ニュースの担い手が真っ先に逃げたら、パニックを増長する」と苦言を呈した。
だが、これにはさらなるトンデモ後日談があった。
「退避後、共同上層部が『すぐに戻れ』と指示を撤回し、支局長以下支局員たちは福島に戻りました。この職場放棄事件はもちろん、福島の他テレビ・新聞社にも知れわたっていた。そのため、福島支局長は仕方なく記者クラブで関係者に謝って回ったんです。その際、支局長は首にガイガーカウンター(放射線量測定器)をぶら下げていて、さらなるひんしゅくを買ったんです」(大手紙社会部関係者)
市民にさえも避難勧告が出されていない中、日本を代表する通信社の"放射能パニック"は大ひんしゅくモノだ。中には「あんたら(共同通信)は原発を推進してきた張本人だろう」と言い放つ関係者もいたという。というのも、数年前、共同は電通と組んで「原発は安全」というPR広告を共同加盟社に流した"前科"があるからだ。
その後、この支局長には自宅待機の処分が言い渡された。だが、この処分も支局長にとってはラッキーなことだったという。
「支局長の自宅は東京ですからね(笑)。福島から離れて放射能の恐怖から逃れられたと思ったのか、なんだかうれしそうにも見えました。その後、支局長は校閲部に左遷されましたが、直後に銀座で行われた脱原発デモに参加し、写真を自分のTwitterにアップまでしていた」(同大手紙関係者)
なんともはや、である。だがこの事態を招いたA級戦犯は「独断でパニックになり現場を混乱させた社会部幹部A氏」(某大手通信関係者)だ。
「支局長が更迭されたのに、Aさんがなぜ処分できないのかと、社内でも不満を漏らす記者は多い。Aさんは爆発直後からパニック状態になり、避難指示の前も『一人の被爆者も出すな!』『水は絶対飲むな』『支局から出るな』と、とんでもない指示を出しまくっていた。社内でも『Aさんがメルトダウンした』と嘲笑されていました」(前同)
しかし、共同の体たらくを報じた「新潮」も、彼らを批判する資格などない。原発事故以降の「新潮」を見ると、東電批判が一切ないという異常事態が続いているからだ。いや、批判しないどころか、東電社員の美談を掲載する始末。その理由はもちろん「広告」だ。
「これまでテレビはもちろん新聞・雑誌など多くのメディアは、東電、そして各電気会社の連合会である電事連から莫大な広告出稿という恩恵にあずかってきました。東電だけで年間220億円以上もの広告費が垂れ流されていた。ゆえにめったなことで東電批判はしない、タブーとなっていた」(メディア事情に詳しい関係者)
そのため原発事故当初、多くのメディアはあからさまな東電批判を控える傾向にあった。しかし事態は長期化し、放射能汚染が続くと、そんな平時の論理は通用しなくなった。さらに「東電という企業が今のまま存続しないのではないか」(前同関係者)という、何ともご都合主義的な判断から、雑誌メディアを中心に東電批判も展開されるようになる。そんな中、「新潮」だけが一貫して東電批判を控えているのだ。
「逆に言えば、手のひら返しをするメディアに比べ一貫しているのかもしれません。もちろん皮肉ですが(笑)。『新潮』はかつて批判していた阿含宗の広告をいつの間にか掲載していたり、パチンコメーカーに擦り寄るなど、広告に関しては商業主義丸出しでしたからね。しかも、今回の地震では千葉にある倉庫でスプリンクラーが誤作動し、出荷直前の書籍が水浸しになる大損害を被ったと言われています。事態が収束した後、また東電から広告をもらおうとする意図がミエミエ」(前同)
今回の大震災・原発事故が硬派ジャーナリズムを気取る「新潮」、そして日本を代表する共同通信といったメディアに内在する問題を、見事にあぶり出したと言える。
「しかし、メディアとはいえ企業です。社員(記者)を守り、利益を出すという義務がある。一方で、情報を発信し報道を続けるというメディアとしての使命もある。今回の原発事故は、こうしたバランス・メディアや記者個人のスタンス・存在意義を究極的に試されている事態なのです」(メディア事情に詳しいジャーナリスト)
骨のないメディアにとっては、頭の痛い日々が続きそうだ。
(文=神林広恵)
ピアノ演奏も!? "中年ジゴロ"山路徹が奇想天外な動画メルマガを創刊!

本業は真面目なジャーナリストです。
不倫騒動で一躍有名になったジャーナリストの山路徹氏が有料メールマガジンを創刊したが、その内容が興味深い。
メルマガのタイトルは「ロックオン通信~山路徹的ニュースの読み解き方」。動画メルマガとなっており、3月20日に発行された無料サンプル号では、山路氏がカメラの前に座り、渋い声でメルマガのコンセプトを「情報化社会の中であふれる情報が、自分たちの生活にどういった意味を持つのか、ユーザーが理解できるように解説していく。情報リテラシーを磨くお手伝いをしたい」などと語っている。山路氏自身によるニュース解説、同氏が代表を務めるAPF通信社による映像レポートなどが主な配信内容になるようだ。
「良くも悪くも知名度を上げたタイミングで動画メルマガを始めるのは、うまい方法と言えます。山路氏は、麻木久仁子さんと離婚して、彼女からの活動資金援助も途絶えてしまった。マスメディアではできない、より自由な情報発信をしたいという理念の実現もそうですが、少しでも収入を増やさなければいけないという、経済的事情もメルマガ創刊の理由でしょう」(山路氏を知る関係者)

「ロックオン通信」より
圧巻なのは、「山路ワールド」と名付けられたコーナー。山路氏の趣味のピアノ・料理・モータースポーツなどを紹介するということだが、サンプル号ではライトを落としたムーディーな室内で、山路氏がキーボード演奏を披露。カナダの作曲家、アンドレ・ギャニオンの「やすらぎの訪れ」というメロウな曲を弾きながら、所々で「間違えちゃった」と照れるしぐさを見せている。
「不倫騒動の最中には、『ピアノで冬ソナのテーマを弾きながら、女性を口説く』などと一部で報じられて、本人は否定していましたが、どうしてどうして。このテクニックがあって、口説くのに利用しないほうがおかしいでしょう。『ジャーナリストが何をやってるんだ』と周囲に突っ込まれることなど気にせず、ピアノ演奏をネットで配信するっていう自由で無邪気なところが、山路さんの男性としての魅力でしょうね」(山路氏をウオッチする女性編集者)

「ロックオン通信」より
最近は、皮肉にも元妻2人よりも、バラエティー番組や情報番組への出演も多い山路氏。天性のタレント性が開花しつつあるようだが、もちろん本業も怠ってはいない。現在は東日本大震災の被災地を取材し、支援不足に苦しむ現地の実情をネットで伝えている。3月30日発行のメルマガ最新号でも、福島原発から半径30キロ圏内ということで孤立化してしまった南相馬市を取材。さらに、避難指示が出ている20キロ圏内にいまだにとどまる市民たちの声や、取り残された無数の飼い犬たちの悲しい姿を届けている。
動画メルマガという新たな武器を手にしたジャーナリストの活躍を期待したい。
■ロックオン通信~山路徹的ニュースの読み解き方
<http://www.mag2.com/m/0001264451.html>
(申し込み当月分は無料)
「週刊朝日」名物編集長交代の裏に、あの小沢一郎の存在!?

朝日新聞出版公式サイトより
伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ギョーカイの内部情報を拾い上げ、磨きをかけた秘話&提言。
「週刊朝日」(朝日新聞出版)の編集長が更迭!? そんな情報が出版界で駆け巡っている。
「2月下旬ごろ、『週刊朝日』の山口一臣編集長が交代するという情報が入った。4月の通常人事だという話でしたが、これに首をかしげる関係者は多かった。事実上の更迭では? とね」(「週刊朝日」関係者)
山口編集長と言えば、05年に編集長に就任以来、『発掘! あるある大辞典』(フジテレビ系)の納豆捏造や、酒井法子の独占手記を掲載するなど数々のスクープを手がけてきた。またテレビ朝日系のワイドショー番組『スーパーモーニング』のコメンテーターを務めるなど"名物編集長"とも言える存在だ。
「確かに6年の"長期政権"ですし、そろそろ交代の時期に思えるかもしれません。しかし、ここ3年間連続で増収増益を挙げるなど出版不況の中での実績もまずまずだった。そんな状況の中であえて交代ですからね。疑問を持つ関係者も少なくなかった」(某出版関係者)
更迭説が噴出する大きな理由が小沢一郎の存在だ。というのも「週刊朝日」は小沢一郎に土地購入をめぐる疑惑が表面化した09年以来、一貫して"反検察"のスタンスを貫いてきた。そのため、他マスコミが"小沢一郎追い落とし"を続ける中、小沢擁護とも言える報道を続けてきたのだ。
「2010年、小沢一郎の秘書だった石川知裕衆議院議員が政治資金規正法違反で逮捕されました。この際、東京地検特捜部が石川議員の女性秘書を不当に取り調べたのをスッパ抜いたのは『週刊朝日』だった。それ以外でも、厚生省の村木厚子事件も逮捕当初から冤罪疑問を呈していたのが『週刊朝日』だった。裏金、調書捏造などで検察が大打撃を受ける下地を作ったとも言える」(週刊誌事情に詳しい関係者)
ジャーナリズムとしては当然の姿勢ではあるが、これらは大きな波紋を呼ぶ。当時から"小沢は極悪人"という日本中の風潮の中で、「そんな小沢を擁護するとはけしからん」という声は大きかったようだ。
「一部幹部の間でも『日刊ゲンダイ』のような小沢贔屓の誌面はいかがなものか、といった空気があり、それが蔓延していったようです。そのため1年ほど前にも山口編集長を交代させようという動きがあった。この時は山口が抵抗し一度は撤回されたようですが、遂に今回の交代となったようです」(前出関係者)
さらに後任となったのがKデスクだったことも更迭説に信憑性を与えている。編集部内外で、次期編集長と目されていたのはIデスク。だが、その予想を裏切ってのKデスク就任だったからだ。
「Iデスクは、これまでも山口編集長を支えた"山口チルドレン"。ですからIデスクが編集長になれば山口路線を継承することになる。それでは山口を辞めさせる意味がない、ということでしょう」(前出関係者)
それにしても、マスコミの"小沢一郎嫌い"は異常である。奇しくも編集長交代と同時に番組打ち切りが決まった『スーパーモーニング』において、その遠因として指摘されるのもまた小沢一郎なのだ。
「昨年9月に、小沢一郎が『スーパーモーニング』に生出演しました。この際もコメンテーターが小沢寄りすぎるという批判が上がった。さらに同局の番組審査会でも問題になったのです」(テレ朝関係者)
政界、官界、そしてマスコミが繰り広げる"小沢追い落とし大作戦"。その背後には彼らが死守したい既得権益がある。いったい極悪なのはどちらなのか。
ちなみに山口編集長の異動先は販売部だという。
(文=神林広恵)





