「大谷翔平スゴイぞ芸人」「スクール☆ウォーズ芸人」に続いての、スポーツネタ3連発となった『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「相撲大好き芸人」(12日放送)。新横綱・稀勢の里ブームに沸く大相撲だが、番組企画は初場所での稀勢の里優勝前だったというから、そのあたりの時流を読む巧さはさすがだ。 芸人たちの話術以上に、相撲の「画力」で見せていた番組構成は非常に好感が持てた。相撲ライトユーザーも、コアなファンも、双方楽しめる内容になっていたのではないだろうか。やはり『アメトーーク!』は、マニアックなネタを大衆向けにマイルドにしていく企画よりも、大相撲のような誰もが知ってはいるけれど……というネタに真正面から切り込んでいくほうが面白い。 それはさておき、12日の放送では、大相撲中継でゲスト解説を務めることもあるデーモン閣下、そして曙×イチロー、白鵬×旭鷲山の知られざるエピソードを語ったキンボシ西田の2人の独壇場だったように思う。 それだけに、リーダーを務めたナイツ・塙宣之のおとなしさが、ちょっともったいなく思えてしまった。もっと塙の“相撲話芸”を披露してほしかったのだ。放送でカットされている分はあるだろうし、リーダーとして、ほかの芸人(特に、普段ラジオなどで名前だけはやたらと紹介しているキンボシ西田)の話を引き出そうとしていた部分はあるだろう。だが、特にこの1年、芸能界で最も相撲人気に貢献していたのは塙宣之であり、ナイツだと思う。 たとえば、ちょうど1年前、2016年2月放送の『炎の体育会TV』(TBS系)では「大相撲が100倍楽しくなるスゴ技映像ベスト3」を熱烈プレゼン。小錦の突っ張り、琴奨菊のがぶり寄り、霧島のうっちゃりについて、映像とともに熱く語り倒していた。 5月29日の『ワイドナショー』(フジテレビ系)では、「相撲界で話題の宇良に迫る」と題して、十両・宇良の珍しい決まり手を、なぜか塙が解説。塙といえば、「ご存じでしょ」とばかりに浅草芸人の名を次々連ねるのがおなじみだが、この日の『ワイドナショー』では同様に、「ご存じでしょ」と十両力士の名を笑いなしで語り続け、「情報量が多すぎる(笑)。宇良君に詳しすぎて笑ってしまう(笑)」という松本人志のコメントを引き出していた。 年末放送のNHK特番『大相撲この一年』では、北の富士、舞の海と並んで角界の1年間を総まとめ。ご意見番2人に負けず劣らずの相撲知識を披露していた。また、相撲における優勝の難しさと、漫才の賞レースで勝つことの難しさについて問われた際には「優勝候補といわれると、自分をよく見せようと思っちゃって、そうじゃないリラックスしているコンビに優勝をかっさらわれるとかありますね。ただ、優勝したいという気迫もないと優勝できない」とコメント。さすがの分析力だった。 ついでに言うと、BS・CSの優れた番組や企画に贈られる「衛星放送協会オリジナル番組アワード2016」のバラエティ部門最優秀賞は、塙がナレーションを担当するフジテレビONE『大相撲いぶし銀列伝』だ。 塙が素晴らしいのは、相撲への愛情や敬意が常に感じられる点はもちろん、番組で披露する相撲話に、“かぶりネタ”が少ない点にある。 『アメトーーク!』芸人に少なからずあるのが、「違う番組でしゃべってたネタ、ここでもまた使ってるな」という場面だ。一度目は面白くても、何度も聞かされると飽きてしまうもの(もっともこれは、芸人の問題よりも、番組サイドの「あの面白い話、またお願いします」というオーダーもあったりするのだろうが)。だが、番組ごとに少しずつ視点を替え、取り組みを替え、力士を替えて相撲の魅力を語る塙を見ていると、その話芸の巧みさと、大相撲の奥深さを知ることができる。 加えてここ最近は、バラエティやスポーツ系番組以外、つまり本業の寄席やテレビ番組で披露する漫才でも「相撲ネタ」が増えてきた印象がある。かつて、「野球はなんにでも例えられる」と語っていた塙だが、同様に、相撲や力士もなんにでも例えることができるようだ。そして、もちろん、この相撲漫才がすこぶる面白い。地方の寄席では、その土地ごとに出身力士の話題を枕に使い、場を盛り上げているという。 新横綱・稀勢の里の誕生に沸く今、やっと来た相撲ブーム。この時流に合わせて、ナイツ塙の相撲ネタ・相撲漫才を披露する機会が、もっともっと増えてほしいと願うばかりだ。 (文=オグマナオト) ◆「熱血!スポーツ野郎」過去記事はこちらから◆マセキ芸能社公式サイトより
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女子アナって、どうしてアスリートが好きなの? ジャニーズと付き合うと、どうなるの?
読者のみなさま、おはようございます。女子アナウンサーのナカムラ(仮名)と申します。このたびは奇っ怪な依頼をいただき、タイトル通りのコラムを執筆させていただくこととなりました。 先にお断りしておきますが、この連載で私が受け取るギャラは「スズメの涙」というヤツです。もっと言うと「お願いされて仕方なくやってます」的なスタンス。そのため、ちょいちょい個人が特定されかねない情報を書いたとしても、その真否について保証はしないので悪しからず。だってアンタ、サイゾーで仕事してるなんて会社にバレたら、私、職を失いますよ。失わなかったとしても、信用と番組を失います。賢明なサイゾー読者のみなさまならきっと理解してくれると思っています。私自身、芸能ウラ情報的なサイトを見るのも大好きですし、なんていうかアンタたち寄りの人間ですから。 ちなみに普段テレビで出している私のキャラは、当然作られたものであり、それは制作側や視聴者から求められているものです。若作りしたキャピキャピキャラでスタートしたツケが回ってきたというか、この年齢になると「ちょっと美味しいもの食べただけでキャピる」の、かなりキツいです。周囲のイメージを壊すのもなんとなく気が引けるんで、ネタりか見るのも会社を出てからにしています。これが営業努力ってヤツですね。 会社から強制(マジ)されてやっているSNSに関しても同様。私みたいなアラサーの痛キャラでも、やはりファンの方は一定数いらっしゃるため、そもそも書けることとかアップできる写真は超閉鎖的です。本気でどうでもいいもの、もしくは宣伝ね。通ってるお店を特定して「今日来てましたよね!」とかツイートされるの、マジでキツいです。ぜひ止めてください。 と、淡々と愚痴ってても盛り上がらないので、とりあえずリクエストされた「恋愛事情」について書いてみます。まず「なんでみんなアスリートと結婚するの?」ってよく言われますけど、これは決してカネ目的ではなく(そういう人もいるんでしょうけど)、仕事で毎日接していると普通に恋愛感情が芽生えるんですよ。で、相手からすれば、女子アナからマスコミに情報が漏れる心配はないと。私たちにしても同じですね。 先輩のある有名女子アナは、キャンプ中から接していたほぼ無名のサッカー選手がグラウンドに立つ姿を見て、「彼の子どもを産んで、その子どもにも彼の勇姿を見せてあげたい」と思ったそうです。ホントかよ。 私たちはお付き合いする男性を相当選んでいるし、実際選べる立場にあります。自分で言うのもなんですが、やはり女子アナって憧れの対象になりやすいんです。見た目や性格ではなく、肩書だけで「付き合いたい!」って思ってしまう男性がいるのも、なんとなく理解できます。倍率何千の関門をクリアしてきた、いわゆる“選ばれた女性”ですからね。希少価値高すぎ。 でも、そんな私たちも一応会社員なわけで、例えばジャニーズ事務所のタレントさんと交際するとなると、強大なハレーションが生まれます。当然ファン離れにつながるため、ジャニーズさんからすれば死活問題。で、局からしても、超大手取引先にダメージを与えることと等しいので、少なくとも女子アナ側は怒られた上に、ほぼ100%別れさせられますね。そういうもんです。独立騒動のリーダーと、黄金時代(笑)のフジの方とか。この時、リーダーはジャニーズさん、女子アナはフジさんから、それぞれこっぴどく叱られたそうです。 しかも最近じゃ、ファンの方から局に、最悪スポンサー様にまでクレーム入れられる、なんて話まで発展するそう。本人たちからすれば「意味わかんねーよ」ですけど、資本主義ってそういうもんかなとも思います。 でもでも、ここ最近の流れですが、ファンからのクレームがないと、意外とスルーしてお付き合いを続けることもできるとか。共演中のシャクレとぽっちゃり(失礼)とかですね。 というわけで、なんだかんだ私たちがお付き合いするのはほぼアスリートか共演の芸能人で、後者の場合は「所属事務所を考慮する」。鉄則です。 こんな私も、これまで数人の芸能人の方とお付き合いしたこともありましたが、こればっかりはここでも書けません。特定されるし。そんなこんなで今日もやる気なく合コンに向かいます。また次回、お楽しみに!(台本読みの声で) (つづく) ■ナカムラ 20××年、某局に局アナ入社したアラサー。一応レギュラー番組を複数持ってる“実力派”。夢はフリー転身だが、ぬるま湯と天秤にかけ続けて早ウン年。何か面白いことないかな~と夢想していたところ、こんなコラムを書くことになってしまいました。イメージ画像
投手か、打者か――プロ野球シーズンオフをにぎわせた、現役&レジェントたちの「日ハム・大谷翔平評」
プロ野球はキャンプイン間近。WBCに挑む侍ジャパンのメンバーもほぼ出そろい、いよいよ「球春到来」といった感じだ。プロ野球の季節が始まる、ということは、オフシーズンのお楽しみ、選手たちのメディア出演も一気に減っていくことを意味する。 振り返ればこのオフ、メディアで引っ張りダコだった選手といえば、大みそかには紅白審査員を務め、元日には嵐と共演した日本ハムの“二刀流”大谷翔平をおいてほかにはいない。ホリプロとマネジメント契約を結んだことも影響してか、メディアでその名を聞かない日はなかった。大谷の出演がなくとも、大谷特集でなくとも、野球絡みの企画であれば、ほぼ間違いなく「大谷」の名が登場。「大谷って、実際どうなの?」「投手と打者は、どっちがすごいの?」といった質問を、ほかのプロ野球選手に質問する番組がやたらと目立った。 では、そこで大谷は、どのように評価されていたのか? そして大谷は、自分の言葉でどんなコメントを残していたのか? キャンプインを前に、今一度おさらいしてみたい。 ■現役組たちの「大谷評」 まず、「打者・大谷」を評価したのが元ヤンキースの松井秀喜。『神ってる!野球伝説55〜教えて松井秀喜先生~』(12月28日放送/テレビ東京系)の中で、大谷がメジャー挑戦するならば、という問いに「バッターで見たい。(日本人)投手の素晴らしさはもう示したので、バッターで(日本人選手の素晴らしさを)示せる稀有な存在」と評した。 同様に「打者・大谷」を推したのが巨人の高橋由伸監督。『たまッチ!』(12月30日放送/フジテレビ系)において、MCの中居正広から「監督として投手と打者、どちらで使いたい?」と質問されると、「僕はバッターで使いたいですね。毎日出せるんで」と評価した。 中居が司会を務める野球番組では、この「大谷は投手と打者どっち問題」が必ずテーマになっていた。その中で、『中居正広のプロ野球魂』(12月27日放送/テレビ朝日系)では、出演した5人のプロ野球選手(巨人・阿部慎之助、ロッテ・涌井秀章、角中勝也、楽天・則本昂大、ソフトバンク・武田翔太)が全員そろって「打者・大谷」推し。 涌井の「僕、投げ勝ってますから」という理由はともかく、則本は「大谷選手のバッティング練習って、ご覧になったことあります? 東京ドームの看板に当ててますからね」と興奮気味。パ・リーグ首位打者・角中をはじめ、最も間近で接している「現役組」が打者評価だった、というのは実に興味深かった。 ■レジェンドたちの「大谷評」 現役組や、世代が近い松井&高橋由伸といった面々がそろって「打者推し」だったのに対して、はるか上の世代はまったく違う評価を示した。 前述した『たまッチ!』で中居から促され、大谷について語ったのが長嶋茂雄と王貞治という球界屈指のレジェンド2人。王が「自分が率いていたら、ピッチャー。絶対勝ってくれる存在ですから」と語ると、長嶋も「ピッチャーですね。バッティングも素晴らしいですよ。それ以上に、ピッチングの内容、投げ方。ピッチャーとして魅力を感じるね」と続いた。 かつて、「大谷はピッチャーで勝負すべし。二刀流なんてけしからん」と語ったことがある野村克也は、『フルタチさん』(12月11日放送/フジテレビ系)で「最初は反対してたんだけど、やっぱり、俺が監督でも(二刀流を)やらせたくなるわ」とコメント。「大谷さん、すみませんでした」と頭まで垂れた。 一方、同じ『フルタチさん』の中で、「(二刀流に)成功したっていうけど、成功のうちに入らない」と語ったのは“エモやん”こと江本孟紀。「記憶に残っても、記録に残らない。早くやめたほうがいい。今年が目いっぱい。投手一本なら、25~30勝していた可能性がある」と、二刀流を完全否定。 同様に400勝投手・金田正一も、『サンデーモーニング』(1月8日放送/TBS系)で「ピッチャーならピッチャー、バッターならバッターでいいから一本にせい!」といまだに二刀流には否定的。その頭の固さ、頑固さもいかがなものかと思う一方、ここまで意見を曲げないのであれば、むしろすがすがしいと感じてしまう。いずれにせよ、レジェンドOBと現役組とで意見が割れる点に、大谷翔平という存在の唯一無二性が見て取れる。 ■大谷翔平は、何を語ってくれるのか? 解説者目線で大谷の魅力をとことん掘り下げていたのが、『スポーツ酒場“語り亭”』の「とことん大谷翔平」回(12月30日放送/NHK-BS)。投球フォーム、肉体、目的意識など、さまざまな視点から「大谷翔平165キロの理由」を探っていたのだが、イチローと大谷の共通点を「ともに二刀流(イチローも投手経験あり)で右投げ左打ち」という点から探っていたのは新しい発見だった。 このように、さまざまな番組で「大谷翔平評」が盛り上がっていたわけだが、その実、大谷自身のコメントはなかなか注目されない。そこが、大谷の次の課題ではないだろうか? どうにもコメントが真面目すぎるのだ。雑誌でのインタビュー記事はさすがに読ませるものも多いが、テレビでは照れもあるのか、単語レベルでのやりとりが多かった。だが、名選手やスター選手ほど、「自分の言葉」を持っているもの。このへん、過去のスター選手たちと比べると、なんとも物足りない。 そんな中、大谷の魅力をうまく引き出していたのが『リポビタンD presents あなたの夢、何ですか? KAZU×大谷翔平』(12月25日放送/テレビ朝日系)だ。この番組に関しては、カズのホスピタリティもあって、徐々に大谷が雄弁になっていくのが面白かった。 「(高卒で即メジャーに進まなかったことを)後悔もないですし、今の自分に期待しています」と語る大谷は、実に頼もしい。ただ、そうはいっても、カズとの“役者の違い”が顕著だったのも事実。もっともっと、大谷自身の言葉を届けてほしい。 ……と思っていたら、大谷、2月末に初の自著『不可能を可能にする 大谷翔平120の思考』(ぴあ)を刊行予定だ。メディアで気の利いたコメントを出すよりも、こっちを読んでほしいということかもしれない。 (文=オグマナオト)「大谷翔平(北海道日本ハムファイターズ) 2017年 カレンダー」(トライエックス)
2017年のスポーツ報道をリードするのはテレ朝? 見応えあった「年末年始スポーツ特番3選」
年末年始を盛り上げた、さまざまなスポーツ特番。その中でも、特に印象的だった番組を3つ、振り返ってみたい。 ●『中居正広のプロ野球魂』(12月27日深夜/テレビ朝日系) シーズンオフということもあって、スポーツ特番でも特に多いのが野球番組。中でも、頭ひとつ抜けた出来だったのが、年末恒例『中居正広のプロ野球魂』の人気企画「俺の侍ジャパン」だ。 今年は阿部慎之助(巨人)、涌井秀章&角中勝也(千葉ロッテ)、則本昂大(楽天)&武田翔太(ソフトバンク)という3組で、ドラフト形式によるドリームチームを編成。野球ファンなら誰もが一度は妄想する「自分が監督だったら……」の究極版だ。 この番組、何が素晴らしいって、昨今のバラエティではいて当たり前の「にぎやかしタレント」を置かず、極力最小限の、しかも野球に精通したタレントだけを起用したこと。今回の出演者であれば、MC(コミッショナー)の中居のほかは、伊集院光、井森美幸、武井壮の3名のみ。伊集院と武井は自らスポーツ番組のMCを務めるほどのスポーツ通だし、井森もまた、野球ファンの間ではおなじみの存在だ。 だから、過剰なリアクションもないし、流れを止めるギャグもない。ただただ純粋に、プロ野球選手が他の選手をどう評価しているのか、という主眼を楽しむことができる。 選手も楽しめ、野球ファンも楽しめ、出演者も楽しめる。それが『中居正広のプロ野球魂』なわけだ。前回放送回(2015年12月)でギャラクシー賞奨励賞受賞も納得で、早くも1年後が楽しみな特番といえる。 ちなみに今回、例年と違っていたのが、これでもかというほどSMAPの楽曲をBGMやSEで用いていたこと。SMAP解散日である大みそか直前の放送ということもあって、より耳に残ったのは間違いない。この点も次回どのような演出にしてくるのか、注目してみたい。 ●『夢対決2017とんねるずのスポーツ王は俺だ!! 5時間スペシャル』(1月2日/テレビ朝日系) 「卓球(vs.福原愛&男女メダル軍団)」「テニス(vs.錦織圭)」「リアル野球BAN(vs.侍ジャパン)」「ゴルフ(vs.石川遼&松山英樹)」「サッカー(vs.カズ)」と、毎回おなじみのコンテンツが並んだこの番組。マンネリといわれて久しいが、お屠蘇気分でのんびりまったり見るには、これくらいがむしろちょうどいい。 『とんねるずのスポーツ王』といえば、毎年話題になるのが「リアル野球BAN」。だが、今年目を引いたのは「卓球」企画だ。この番組の功労者ともいえる福原の16歳から28歳まで、番組出演12年史の振り返り。少しふてくされながら番組に出ていた10代の少女がメダリストになり、女子卓球のリーダーとなり、結婚するまでの“精神的な”成長譚は、ずっと卓球を追っていたとんねるずと、この番組だからこその芸当ともいえる。 そして、とんねるず抜きの、卓球男女メダリスト対決の白熱ぶり。10回を超えるラリーは実に見応えがあり、最後にミスをしたのがこの日、結婚ネタをいじられまくった福原。「卓球は精神面がすごく大事なんだなと思いました」という福原の締めコメントも含め、見事な流れができていた。 ただ、とんねるずも、もう55歳。いよいよ還暦が見えてきた中で、この番組は今後どの方向に向かっていくのか? “ガチンコ対決”にも疲労が見え隠れする。 その点で今後に期待させたのが、女子レスリング・伊調馨と木梨の特別対談。対決が売りの番組なだけに、コーナーとしては「かぶって叩いてじゃんけんぽん対決」をうたってはいたが、実際は『情熱大陸』(TBS系)を意識した構成(実際、ナレーターも、ここだけ『情熱大陸』でおなじみの窪田等に切り替わった)に加え、相手の懐にスッと入っていく木梨ならではのトークと間合いの詰め方で、テレビ嫌いの伊調から笑顔を引き出していた。 もともとこの番組の魅力は、勝負そのものよりも、勝負の合間にとんねるずとの掛け合いで見せるアスリートの素の部分であるはず。今後はもっと実直な対談やインタビュー形式が増えてもいいと思うし、それでも面白くできる話術とスポーツ知識、人脈が、とんねるずにはあるはずだ。 ●『日本サッカー新時代~2018年への旅~』(1月8日深夜/テレビ朝日系) W杯出場を懸けたアジア最終予選の真っただ中だというのに、今ひとつ盛り上がりに欠ける日本サッカー界。そのせいか、サッカー特番、と呼べるものも数が少なかった。 ひとつには「スター不在」という側面があるはずだ。サッカー選手でいま、最もCMに起用されているのが、50歳になろうという三浦知良(横浜FC)。本田圭佑(ACミラン)や香川真司(ドルトムント)、内田篤人(シャルケ04)らこれまでの人気選手が結果を出せていない今、番組作りとしても難しいものがあるはずだ(実際、前述したとんねるず特番でも、今年はカズとのPK対決だった)。 その中で、新しい世代にスポットを当てていたのが『日本サッカー新時代』。2010年の南アフリカW杯後から始まった年1回の特別番組も、今回で7回目。これまでは、本田、香川、岡崎慎司(レスター)らの世代に密着してきたこの番組も、ついに清武弘嗣(セビージャFC)、原口元気(ヘルタ・ベルリン)、大迫勇也(1.FCケルン)、久保裕也(BSCヤングボーイズ)、小林祐希(SCヘーレンフェーン)ら、昨年の代表戦を牽引した選手たちをメインに取り上げていた。 興味深かったのは、清武と原口の対談で、2人が声をそろえて「目指すべきサッカーはない。勝つのが正解」と発言したこと。2014年のブラジルW杯において、選手が口々に「自分たちのサッカーを!」と発言し、無惨な結果に終わった点と比較してみると、世代間の意識の差が顕著に出ている。こうした番組を通して、新たなサッカーファンもきっと増えるはずだ。 余談だが、正月恒例の『ウルトラマンDASH』(日本テレビ系)のサッカーチャレンジ企画でも、今年起用されたのは清武。これまで常連だった中村俊輔(ジュビロ磐田)や遠藤保仁(ガンバ大阪)を押しのけ、世代交代の波がしっかりと見て取れた。 ほかにも印象に残ったスポーツ特番、面白かった企画はあるのだが、スポーツへの愛情と敬意、局としての勢いを感じる点で、テレビ朝日系の3つの番組を取り上げてみた。WBCやサッカーW杯アジア最終予選といった、2017年の注目競技の放映権を持っているテレビ朝日なだけに、今年の「攻勢」を引き続き期待していきたい。 (文=オグマナオト)
2017年ネクストブレーク芸人は……360°モンキーズ・杉浦双亮に“元プロ野球選手”特需が来る!?
お笑いコンビ「360°モンキーズ」の杉浦双亮が、芸能活動を本格的に再開した途端、引く手あまたでうれしい悲鳴を上げている。テレビ番組から有名人が経営する飲食店まで、さまざまなところから熱烈オファーが届いているというのだ。 杉浦は野球の強豪・帝京高校野球部出身で、当時最速141キロをマークした実力の持ち主。プロ野球選手になる夢をあきらめきれず、2015年10月、独立リーグ「四国アイランドリーグplus」のトライアウトにチャレンジ。奇跡的に合格を果たし、昨年1月に愛媛マンダリンパイレーツに正式入団した。その後は「登録名・サブロク双亮」としてプレー。投手として9試合に投げて0勝0敗ながら防御率1.98。夢を実現させ、芸人とプロ野球選手の“二刀流”として注目を集めるだけでなく、世間が、あっと驚く活躍をやってのけた。 そして先月「やりきった感が強い。非常に楽しく野球ができました。もう満足です」と、惜しまれながら1シーズン限りでの引退を表明した。 そんな杉浦に「早く戻ってきてほしい」と願っているのが、芸人・千原せいじが経営する飲食店「せじけんバー」を知る人たちだという。 「杉浦は、もともと芸能活動を行いながら『せじけんバー』でバイトして生計を立てていた。サービス精神旺盛で、お店で大人気だったんです。『野球選手を引退したなら、早くお店で働いて』と店の従業員や常連さんが復帰を待ち望んでいる」(芸能関係者) ただ、杉浦には、次々とおいしい仕事が舞い込んでいるのだとか。前出の芸能関係者が言うには「独立リーグでの経験談を聞かせてほしいというテレビの仕事や、雑誌、新聞の取材が殺到している」とのこと。 杉浦は今年、東京都内のマンションの賃貸契約を残したまま、愛媛県松山市でもアパートを借り、二重生活をしていた。前出の芸能関係者は「今年は1年間、相方に無理を言って芸能活動もセーブして野球に打ち込んでいた。野球の第一線で厳しさ、楽しさ、感動、悲嘆、すべてを肌で体験してきたのが杉浦。そんな体験をきちんと話せる人は、そう多くない。引く手あまたですよ」と言う。 1月下旬には著書『40歳、夢をもう一度』(仮題/ベストセラーズ)を発売することも発表されている。テレビのテレビ番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)内の「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で、元日本ハム・イースラーらの野球ネタで人気を集めてブレークしたが、今回はプロ野球経験を生かした第二次ブレークとなりそうだ。太田プロダクション公式サイトより
2017年ネクストブレーク芸人は……360°モンキーズ・杉浦双亮に“元プロ野球選手”特需が来る!?
お笑いコンビ「360°モンキーズ」の杉浦双亮が、芸能活動を本格的に再開した途端、引く手あまたでうれしい悲鳴を上げている。テレビ番組から有名人が経営する飲食店まで、さまざまなところから熱烈オファーが届いているというのだ。 杉浦は野球の強豪・帝京高校野球部出身で、当時最速141キロをマークした実力の持ち主。プロ野球選手になる夢をあきらめきれず、2015年10月、独立リーグ「四国アイランドリーグplus」のトライアウトにチャレンジ。奇跡的に合格を果たし、昨年1月に愛媛マンダリンパイレーツに正式入団した。その後は「登録名・サブロク双亮」としてプレー。投手として9試合に投げて0勝0敗ながら防御率1.98。夢を実現させ、芸人とプロ野球選手の“二刀流”として注目を集めるだけでなく、世間が、あっと驚く活躍をやってのけた。 そして先月「やりきった感が強い。非常に楽しく野球ができました。もう満足です」と、惜しまれながら1シーズン限りでの引退を表明した。 そんな杉浦に「早く戻ってきてほしい」と願っているのが、芸人・千原せいじが経営する飲食店「せじけんバー」を知る人たちだという。 「杉浦は、もともと芸能活動を行いながら『せじけんバー』でバイトして生計を立てていた。サービス精神旺盛で、お店で大人気だったんです。『野球選手を引退したなら、早くお店で働いて』と店の従業員や常連さんが復帰を待ち望んでいる」(芸能関係者) ただ、杉浦には、次々とおいしい仕事が舞い込んでいるのだとか。前出の芸能関係者が言うには「独立リーグでの経験談を聞かせてほしいというテレビの仕事や、雑誌、新聞の取材が殺到している」とのこと。 杉浦は今年、東京都内のマンションの賃貸契約を残したまま、愛媛県松山市でもアパートを借り、二重生活をしていた。前出の芸能関係者は「今年は1年間、相方に無理を言って芸能活動もセーブして野球に打ち込んでいた。野球の第一線で厳しさ、楽しさ、感動、悲嘆、すべてを肌で体験してきたのが杉浦。そんな体験をきちんと話せる人は、そう多くない。引く手あまたですよ」と言う。 1月下旬には著書『40歳、夢をもう一度』(仮題/ベストセラーズ)を発売することも発表されている。テレビのテレビ番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)内の「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で、元日本ハム・イースラーらの野球ネタで人気を集めてブレークしたが、今回はプロ野球経験を生かした第二次ブレークとなりそうだ。太田プロダクション公式サイトより
ジャニーズ勢がNHKスポーツ番組で大健闘! 2016年のスポーツメディア考
リオ五輪のメダルラッシュあり、広島カープの25年ぶりのリーグ優勝あり、長友佑都や福原愛の結婚報道ありと、明るい話題が多かった2016年のスポーツ界。一方で、清原和博の逮捕、野球賭博問題といった物議を醸すネタにも事欠かなかった。それらスポーツの話題や情報を、スポーツメディアはどのように扱ったのか? 特に「2016年ならでは」と感じたエピソードをおさらいしたい。 ■SMAP騒動を通じて考える「スポーツ新聞のあり方」 1月のSMAP解散騒動に始まり、大みそかの解散で幕を閉じる2016年。その余波は、スポーツメディアにも大きな影響を与えた。 そもそも、SMAP解散騒動の発信源はスポーツ紙。1月13日付朝刊のスポーツニッポン、日刊スポーツの2紙による「情報解禁」から始まり、以降1月のスポーツ紙1面はほとんどがSMAP独占となった。 もちろん、国民的関心事ということを考えれば、1面独占自体は仕方がないことかもしれない。だが、スポニチと日刊は12日間連続でSMAP1面。それは「スポーツ新聞」としてあんまりだ。毎日、“活字スポーツ”に飢えている読者をないがしろにしすぎではないか? あるスポーツ紙デスクは「こんなに売れて、注目されたのは久しぶり」と相好を崩していたが、目先の甘い汁に溺れて本分を忘れてしまうようでは、コアなファンすら失いかねない。 ■NHKスポーツもジャニーズ勢が浸食!? これまで、スポーツバラエティのMCやオリンピック民放キャスターなどに抜擢されることが多かったジャニーズ勢。今年のリオ五輪でも、TBSでSMAPの中居正広が、日本テレビで嵐の櫻井翔がキャスターを務めた。 そして今年、これまでその聖域を守ってきたNHKスポーツでも、ついにジャニーズ・キャスターの就任を許してしまった。NHK総合では、嵐の相葉雅紀が『グッと!スポーツ』のMCに就任。パラリンピックではジャニーズ俳優・風間俊介が現地キャスターを務め、V6の三宅健がハイライト放送『みんなで応援!リオパラリンピック』のメインパーソナリティに就任した。 ただ、さすがはNHK。番組作りにおいてはジャニーズありき、ではなく、アスリート目線、小池百合子都知事の言うところの「アスリート・ファースト」を徹底していた点は好感が持てた。また、風間は以前からEテレの福祉番組『ハートネットTV』でMCを務め、三宅にしても『NHK みんなの手話』でナビゲーターを務めるなど、障害者とパラスポーツに対しての「視点」を持っていたため、コメントにも説得力があふれていた(参照記事)。 民放でも同様に、タレントありきではなく、企画ありき、スポーツありきの番組作りが広がれば、「またジャニーズか……」と見る前から拒否反応を示す層も減るのではないだろうか? ■ゾクゾク開始。パラスポーツ番組がアツい 2016年の「メディアとスポーツ」の関係性で、大きく比重が増えたジャンルがある。それがパラスポーツ番組だ。これは、リオパラリンピックを盛り上げるため、という側面以上に、2020年への先行投資の意味が大きい。 BS日テレではくりぃむしちゅー・上田晋也がナレーターを務めるスポーツドキュメンタリー『ストロングポイント』が2月にスタート。大みそかには特別篇も放送される力の入れようだ。 また、ラジオのニッポン放送では10月から俳優・鈴木亮平が障がい者スポーツの世界を掘り下げる『鈴木亮平Going Up』がスタート。2018年のNHK大河ドラマ主演が決まった鈴木とあって、今後ますます注目を集めそうだ。 地上波でも、5分弱の短い枠ではあるものの、フジテレビ系でパラスポーツ応援番組『PARA☆DO!』、TBS系で『勇気のシルシ〜パラアスリートの挑戦~』といった番組がレギュラーで放送されるなど、パラスポーツを取り上げた番組はほかにも多い。これらの番組の中から、人気企画や注目アスリートが出てくる可能性もあるだけに、2017年もその広がり・盛り上がりを大いに期待したいジャンルだ。 ■スポーツ中継とradikoの可能性 広島カープ対北海道日本ハムファイターズという組み合わせになった今年のプロ野球・日本シリーズ。全国的にも20%近い好視聴率に沸いたが、それぞれのお膝元、広島と北海道では瞬間最大視聴率が50%を超える場面もあったことがニュースとなった。 あらためてスポーツにおける「地方隆盛」を証明してみせたわけだが、そこでぜひ、期待したいのがIPサイマルラジオサービスradikoの「エリアフリー」機能と、10月から運用が始まった新機能「タイムフリー」の活用だ。 従来、ラジオを聞き比べるためにはザッピングするしかなかったわけだが、スポーツ中継の場合、それでは決定的な場面を聞き逃しかねない。だが、radikoの「タイムフリー」と「エリアフリー」を活用すれば、たとえば同じ日ハム・大谷翔平のホームランにしても、まずは北海道サイドのラジオ番組ではどのように実況したのかを楽しみ、後から、打たれた広島サイドはどのような落胆実況だったのか、なんてことを検証するのも可能になる。 現状、スポーツ中継ではなぜかタイムフリーを利用できない場合も多いだけに、より柔軟な運用を期待したい。 ■総括 こうして振り返ると、SMAPが解散する今年、SMAPが2020年に向けて「応援サポーター」を務めるはずだったパラスポーツが大きな注目を集めることになったのはなんとも皮肉だ。逆にいえば、SMAPが予定通り応援サポーターを務めていればもっと盛り上がっていたかもしれず、その点は返す返すも残念でならない。 SMAPの後任には、今年10月にNHKで放送された特別番組『東京2020 12時間スペシャル』にも出演した嵐が務めることに……なんて情報も流れたが、まだ正式決定のニュースは聞こえない。そんな中、年明け1月3日には、ドラマ『君に捧げるエンブレム』(フジテレビ系)で、櫻井翔が主役である車椅子バスケ日本代表選手を演じることになっている。 4年後に向けた「出場枠」をめぐる芸能界のつばせり合いは、すでに始まっている、というわけだ。 (文=オグマナオト) ■「熱血!スポーツ野郎」過去記事はこちらからイメージ画像(Thinkstockより)
イチローやダルビッシュの“本音”を引き出す、元日ハム・稲葉篤紀のインタビュー力
「神ってる」をはじめ、今年もさまざまな言葉でにぎわいを見せたプロ野球。「野球は言葉のスポーツ」とよく言われるが、実際に選手・監督らから言葉を引き出し、紡ぎ出す記者やインタビュアーの力量次第で、野球報道はいかようにも面白くなり、深みを増していく。 その中で、今季もっとも神がかっていたインタビュアーは、間違いなく元・北海道日本ハムファイターズの稲葉篤紀だろう。 まずは春先、『報道ステーション』(テレビ朝日系)でのイチロー独占インタビューが素晴らしかった。 稲葉×イチローの絡みは、昨年、マイアミ・マーリンズに移籍したばかりのイチローをアポなしで訪れ、「稲葉さんなら」とイチローが快諾したもの。出身地が隣町同士という間柄だからこその軽快なやりとりは、これまでのどのイチローインタビューとも趣が違っていた。 イチローインタビュー、というか、イチローの言葉は、取材者を通り越して視聴者にも緊張を強いることがある。それもまたイチローらしさのひとつではあるのだが、稲葉を介したときのイチローの言葉は不思議と重さが取り除かれ、スッと耳に入ってくる。 迎えた今年の第2弾では、高校からプロ入りして数年までイチローがイップス(運動障害)に悩んでいたという、これまでどこにも語られていなかった事実が語られた。そして、最大の注目点は、テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有や日本ハムの大谷翔平が率先して取り組み、昨今の球界トレンドのひとつとなっている「巨大化トレーニング」の是非について、イチローの見解を引き出したことだ。 「持って生まれたバランスがあるから、それを崩しちゃダメですよ。トラとかライオンは、ウエイトトレーニングしないですから」 「筋肉は大きくできても、それを支える関節や腱は鍛えられない。だから、けがをする」 というイチローの回答は、他のメディアでも拡散されたので、ご存じの方も多いだろう。 インタビュアー稲葉が素晴らしかったのは、このイチローインタビューへのアンサーソングともいうべき、別なインタビューを行ったことだ。10月16日の『Get Sports』(同)で特集された「ダルビッシュ有×稲葉篤紀 スペシャルインタビュー」がそれ。イチローの筋トレ不要論をダルビッシュはどう考えるのか? 稲葉が直撃取材した。こちらは深夜帯という時間も影響してか、イチローインタビューほど話題にならず、拡散も少なかったので、知らない人も多いかもしれない。 「今、シマウマがトレーニングを始めて、ライオンたちよりも強くなっている。だから、ライオンだってトレーニングをしなきゃいけない時代になった」 「イチローさんは、もともとめちゃくちゃ頭のいいライオン。ほかのライオンにはできない特殊能力があるから、今までもずっとエサを獲ることができた。日本はいつまでもシマウマじゃ、これから先、どんどん食べられてしまう」 Twitterやブログで自ら言葉を発信し、イチロー同様、普段はあまりメディア取材を受けないダルビッシュからこの回答を引き出したという点で、稲葉の功績は間違いなく大きい。 イチロー、ダルビッシュ以外でも、日本ハムの大谷、栗山英樹監督、中田翔、横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智といった、今季の球界を支えた人物たちを継続して追いかけていた稲葉。興味深かったのは、ソフトバンクと日本ハムが直接対決した今季のパ・リーグ天王山(9月21日)の試合直前、栗山監督にインタビューした際、「2点先に獲って、大谷で逃げ切りたい」というコメントを引き出したこと。果たして試合はその言葉通り、日本ハムがホームランで2点を先制し、大谷が見事に完投勝利。この試合で、ほぼ今季のパ・リーグの雌雄が決した、といわれる試合だっただけに、実に意義のあるインタビューとなった。 普段、メディアの取材を受けないことで知られるイチローやダルビッシュが稲葉の前では胸襟を開くのは、稲葉がどこまでも謙虚であることが大きな要因だろう。 《人気にあぐらをかいてはいけない。クールになってもいけない。謙虚な気持ちを抱きつつ、初心を忘れることなく、つねに挑戦者のつもりで熱く闘わなければいけない。僕たちこそ、マンネリズムに陥ってはいけないのです》 これは、引退した際に上梓した自著『THANKS FANS! 北海道に僕が残したいもの』(宝島社)に収められた一節。日本ハムが今後も強く、人気を保つために必要な心構えについて書いたものだが、これはそのまま、情報を伝える側に回った稲葉自身のモットーのように思えてならない。 そんな稲葉は以前、イチローにインタビュアーの心構えを聞かれて、こう答えている。 「選手の立場がすごくわかるから、もうしわけない。これ聞いて大丈夫かなと。視聴者は『コレを聞いて欲しいんだろうな』というのもわかるけど……まだまだ」 プロフェッショナルとしては変わらなきゃいけないと思う、と語る稲葉だったが、むしろ変わる必要はない。選手たちから慕われ、視聴者にも好印象を与えられるインタビュアーは、それだけで稀有な存在だ。2017年も魅力的な言葉を選手たちから引き出し、野球報道に一石を投じてほしい。 (文=オグマナオト) ■「熱血!スポーツ野郎」過去記事はこちらから稲葉篤紀 Aiプロジェクト公式HPより
マニアックすぎ!! ネタの「狭さ」で勝負をかけるNHK『球辞苑』とフジ『スポーツの神様たち』
年末年始はスポーツ系特番も花盛り。12月5日放送のテレビ朝日系『中居正広のスポーツ!号外スクープ狙います!』を皮切りに、ここから怒濤のようにアスリートを「ネタ」にした特番でにぎわうはずだ。 プロ野球やJリーグが束の間のオフシーズンを迎える今、アスリートの素顔に迫るコンテンツは、それはそれで価値がある。ただ、年末特番という性質上、ターゲットを広く構える必要があるため、どうしたって薄くてぬるくて物足りない企画に陥りがちだ。 冒頭で挙げた『中居正広のスポーツ!』にしても、その内容に「スクープ」と呼べるようなネタは(当たり前だが)なく、むしろ、TBSの『プロ野球戦力外通告・クビを宣告された男達』と『壮絶人生ドキュメント プロ野球選手の妻たち』の二番煎じ的な話題も多かった。個々のキャラクターでの面白さや発見はあっても、見終わった後に何か心に残るものはほとんどない。 そんな低温調理が並ぶスポーツ特番をあざ笑うかのように、レギュラー番組で圧倒的な熱量を誇るスポーツ番組がある。NHK-BS『球辞苑~プロ野球が100倍楽しくなるキーワードたち~』(毎週土曜23時~)だ。 究極の野球辞典「球辞苑」の編さんを目的に、野球界で話題となったキーワードを、選手・研究者のVTR証言を基にスタジオトークで研究していく、というこの番組。2014年から不定期な特番として回を重ね、今年7月、第6回衛星放送協会オリジナル番組アワードで「情報番組・教養番組部門」の最優秀賞を獲得。この受賞が決め手となったのか、11月から満を持してのレギュラー昇格を果たしたのだ。野球ファンが今、最も見るべき番組が、この『球辞苑』だと思う。 ランチビュッフェのように、企画もタレントもとにかく数を並べようとする多くのスポーツ特番と違い、『球辞苑』の魅力は「一品」勝負であること。そしてその「一品」が、本来であればメニューの裏面に小さく載っているようなキーワードばかりなのがたまらない。 たとえば、レギュラー放送1回目のテーマが「クイックモーション」。MC(球辞苑編集長)のチュートリアル・徳井義実をして、「第1回にして、くっそ地味でしょ!」が第一声だった。ちなみに、先週放送の第3回テーマ「インハイ」では、「また狭いですねぇ……球種でもなく、コースに絞ってお送りするという」が第一声。自ら重箱の隅をつついていくようなこの「狭さ」こそが、『球辞苑』の肝だ。狭い分、とにかく深く深く掘り下げていく。 野球という競技は、プレーや試合の価値を「技術」「データ」「歴史」「キャラクター性」など、さまざまな側面から語り合えるのが魅力のひとつだ。そこで『球辞苑』では、「技術」については解説者と現役選手が、「データ」についてはアナリストが、「歴史」は野球ライターが、「キャラクター」は徳井とリポーターのナイツ・塙宣之が……といった具合にうまく役割分担がなされていて、にぎやかしの女性タレントなどひとりもいないが、見ていて飽きることがない。 そして、取材VTRがまた見どころばかりで、名言もよく飛び出す。稀代の名捕手・野村克也が語った「クイックモーション開発秘話」は、さながら同局の『プロジェクトX~挑戦者たち~』のようだったし、世界の盗塁王・福本豊がいたからこそクイックモーションは生まれた、として語った「ライバルこそが最大の功労者」は、さすがの野村節だ。 今後の放送予定はというと、明日12月10日が「外野手の補殺」。以降、「リード(離塁)」「ホームランキャッチ」「ファウル」「球持ち」……と渋すぎるラインナップが続く。このままブレずに続いてほしい。 この『球辞苑』同様、「狭さ」勝負を挑んでいるのがフジテレビ系『村上信五とスポーツの神様たち』だ。この秋から新企画「○○だけで30分」がスタート。「他のスポーツ番組ではぜったいに扱わないネタだけで構成。果たしてこれで30分持つのか!?」というコンセプトで、ここまで「ヒーローインタビュー」「胴上げ」「ユニフォーム」「ロッテファン」の4回を放送。ひな壇のタレントの数も少しずつ減らし、洗練度も増してきている。 『球辞苑』がどちらかといえば、データと理論、VTRが中心とすれば、『スポーツの神様たち』はパッションとエピソード重視。「ロッテファン」の回では、熱狂的ロッテファンとして知られるリットン調査団・藤原光博がプレゼンター。地上波は4年ぶりの出演だったというが、タレントありきではなく、企画ありきだからこその人選は好感が持てた。 にぎやかしばかりの特番が続いて、食傷気味になりそうな年末年始。コツコツと地道な企画を積み重ねるレギュラー番組たちの狭くて深い魅力も、ぜひとも味わってもらいたい。 (文=オグマナオト) ◆「熱血!スポーツ野郎」過去記事はこちらから◆NHK-BS『球辞苑~プロ野球が100倍楽しくなるキーワードたち~』
気配りの人、中居正広が語った「野球と自分とSMAPと」
SMAP・中居正広にとって激動の1年が、間もなく終わろうとしている。振り返れば今年、彼は自分の境遇が騒がれているはずなのに、周りを慮ってばかりだった。 SMAP解散騒動に揺れる中、むしろ番組では、それをネタにして場を和ませる姿を何度となく披露した。またある時は、引退危機にすら追い込まれていたベッキーのテレビ復帰を、見事にプロデュースした。先月放送された『中居正広のプロ野球珍プレー好プレー大賞2016』(フジテレビ系)では、徳光和夫とみのもんたという、立教大学放送部の先輩後輩による不毛ないざこざを軽快にいなしていた。 解散決定の報が世に出たのは、自身がTBSの五輪キャスターを務めているまっ最中。だからこそ彼はラジオ番組を通して、「リオのオリンピックの期間中に発表ということになったことを、スポーツ関係者の皆さま、アスリートの方々、それを支える方々、そして日本中で応援している方々、自分がキャスターとしてやらせてもらっているにもかかわらず、水を差すような時期だったことは申し訳なく思っております。深くお詫び申し上げます」と謝罪した。 いつも、周りの誰かに気を使っていた。 そんな中、先日放送された、フジテレビ系『たまッチ!』(11月13日深夜)では、今年現役引退を表明した巨人・鈴木尚広を交えて、こんなやりとりがあった。 「でもね、会見すら、試合すら、コメントすら残らず、本当に1行で『戦力外通告・引退』。これすら載らない選手のほうが、圧倒的に多いんですよね。そういう選手もいるっていうことを、頭に入れてほしいなって」 今の中居が発するからこそ、より重みのあるメッセージだった。 言いたいことも言えない状況だからなのか、野球を通して、何かを伝えようとする姿が目立った1年でもあった。そんな彼にとって救いだったのは、雑誌「週刊ベースボール」(ベースボール・マガジン社)で月1連載コラム「中居正広のとことん野球好き!!」が始まったことだったのではないだろうか。 好きな野球について、好きに語れる場。テレビでもその機会はあるだろうが、野球専門誌という立ち位置で語れることに対する喜びも大きかったはず。だが、彼の書くコラムは、マニアックな内容ではあるものの、決して好き勝手な話題ではなく、野球選手への配慮と尊敬、そしてここでも「気配り」が前に出る内容ばかりだった。 《(選手や監督と)仕事でご一緒することはありますけど、彼らと僕とでは立っているステージがまったく違うもの。それこそ1球で自分だけでなく、周りの人生にまで影響するような、すごい勝負をしているわけですから。あくまでも僕は一ファンとして「ああだ、こうだ」と考えて野球を満喫しているだけ。でも、それこそが野球ファンの醍醐味でもあるんですよね》(コラム第1回より) そんな彼は、この連載コラムを通して、野球以上に「自分」を語っていた。 自分が野球を好きになったキッカケ。 父親との、野球を通したコミュニケーション。 元野球少年から、今の野球少年へのメッセージ……etc. それは、SMAPファンやジャニーズファンでなくとも、ひとりの野球少年の歩んできた道程として、味わい深いものだった。 そして、ときにSMAPについての言及もあった。 《野球漬けの生活を過ごした小学校時代、僕は野球を通して学んだことがたくさんありました。その中の1つが「全員がエースや四番にはなれない」ということです。(中略)そのとき、ようやく分かったんです。自分の役割は“エースで四番”ではないんだ、ということが。(中略)例えばSMAPの中で僕の役割って何なのかなと考えたときに、まず歌ではないなと(笑)。もちろん僕だってセンターで歌いたいと思っているんですよ、一番華のあるポジションですからね。でも、まあ違うなと。(中略)歌は他のメンバーに任せて、自分はおしゃべりで一番になれるように精いっぱい頑張ろうと。》(コラム第4回より) 大好きな野球というフィルターを通して語る、大好きな(はずの)SMAPについて。それは、中居だからこそできる芸当であり、今さらながら伝わるものがあった。 そんな彼が、SMAPのメンバーであるのは、残り1カ月。いまや彼のライフワークのひとつともいえる『たまッチ!』は、12月30日にも放送される。NHK紅白出場がなくなった(とされる)今、ひょっとして「SMAP中居」としては、最後のテレビ出演かもしれない。好きな野球を通して、ファンにどんなメッセージを届けるのか? SMAPファンでなくても、注目して待ちたい。 (文=オグマナオト)








