中国ドッキリ番組を無断使用でテレ朝『ワイド!スクランブル』赤っ恥! 背景にはデーブ・スペクターの暗躍?

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「スペクター・コミュニケーションズ」公式サイトより
 黄金色の装飾品が並ぶ宝石店で、わめき立てる客の女。次の瞬間、女性店員に向け、大量の紙幣を投げつけ始める――。  9月23日放送のテレビ朝日系『ワイド!スクランブル』のコーナー「週刊Newスペクター」で取り上げられた、中国河北省で撮影されたという動画である。同コーナー担当のデーブ・スペクター氏によると、「ネックレスを一つずつしか見せない店員に、富裕層の女が激怒した」場面だという。  ところが、「週刊ポスト」(小学館/12月23日号)によると、この映像は中国の地方テレビ局が制作したドッキリ動画で、女性店員と客の女は役者。『ワイド!スクランブル』はそうと知らず、ネット上に落ちていたこの映像を実録映像として無断使用したのだという。記事では映像の無断使用に対する、中国地方テレビ局側の怒りのコメントも紹介されている。  フィクション映像とはつゆ知らず、「中国富裕層の傲慢ぶり」を示す実録映像として放送してしまった番組のマヌケっぷりは目も当てられないが、それだけではない。この一件からは、ネット動画を垂れ流しするテレビ業界の番組制作の怠慢と、それを支えるデーブ氏の共犯関係が見えてくるのだ。  デーブ氏が代表を務める「スペクターコミュニケーションズ」の内情を知る人物は話す。 「あのコーナーで取り上げる動画の多くには、提供元として『スペクターコミュニケーションズ』がクレジットされているが、実際は動画投稿サイトからの拾い物がほとんど。それでも動画1本あたり5万円のフィーを同社に支払っている。これで著作権問題をツッコまれても同社に責任転嫁でき、番組側には安い買い物というわけです。制作費やマンパワーが削減されるテレビ業界で、ネット動画は頼みの綱。同番組以外にも、同社はネットの拾い物を多数『映像提供』している」  デーブ氏は過去に同番組で、中国のパクリ事情について「意識改革しないと」と物申していたが、自分自身と日本のテレビ業界もしかりである。

中国ドッキリ番組を無断使用でテレ朝『ワイド!スクランブル』赤っ恥! 背景にはデーブ・スペクターの暗躍?

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「スペクター・コミュニケーションズ」公式サイトより
 黄金色の装飾品が並ぶ宝石店で、わめき立てる客の女。次の瞬間、女性店員に向け、大量の紙幣を投げつけ始める――。  9月23日放送のテレビ朝日系『ワイド!スクランブル』のコーナー「週刊Newスペクター」で取り上げられた、中国河北省で撮影されたという動画である。同コーナー担当のデーブ・スペクター氏によると、「ネックレスを一つずつしか見せない店員に、富裕層の女が激怒した」場面だという。  ところが、「週刊ポスト」(小学館/12月23日号)によると、この映像は中国の地方テレビ局が制作したドッキリ動画で、女性店員と客の女は役者。『ワイド!スクランブル』はそうと知らず、ネット上に落ちていたこの映像を実録映像として無断使用したのだという。記事では映像の無断使用に対する、中国地方テレビ局側の怒りのコメントも紹介されている。  フィクション映像とはつゆ知らず、「中国富裕層の傲慢ぶり」を示す実録映像として放送してしまった番組のマヌケっぷりは目も当てられないが、それだけではない。この一件からは、ネット動画を垂れ流しするテレビ業界の番組制作の怠慢と、それを支えるデーブ氏の共犯関係が見えてくるのだ。  デーブ氏が代表を務める「スペクターコミュニケーションズ」の内情を知る人物は話す。 「あのコーナーで取り上げる動画の多くには、提供元として『スペクターコミュニケーションズ』がクレジットされているが、実際は動画投稿サイトからの拾い物がほとんど。それでも動画1本あたり5万円のフィーを同社に支払っている。これで著作権問題をツッコまれても同社に責任転嫁でき、番組側には安い買い物というわけです。制作費やマンパワーが削減されるテレビ業界で、ネット動画は頼みの綱。同番組以外にも、同社はネットの拾い物を多数『映像提供』している」  デーブ氏は過去に同番組で、中国のパクリ事情について「意識改革しないと」と物申していたが、自分自身と日本のテレビ業界もしかりである。

人気タレントの妻と、芸能ビジネスを乗り切る経営者……2つの顔を融合する京子スペクター

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 浮き沈みの激しい芸能界で20年以上も活躍し、さらに成長を続けるには――。そんな秘訣をまとめた『デーブ・スペクターの作り方』(東京書籍)を7月に上梓した京子スペクターさん。人気タレントのデーブ・スペクターさんの妻であり、所属事務所「スペクター・コミュニケーションズ」の社長でもある。妻と経営者、2つの顔を使い分けながら実践してきたショービジネスや版権ビジネスの世界を勝ち抜く戦略と、人気タレントを作り上げた手腕について聞いた。 ――「スペクター・コミュニケーションズ」という社名からもわかるように、京子さんはデーブ・スペクターさんをメインのタレントとして扱っている芸能事務所を経営されているわけですが、今日のデーブさんの高い認知度や安定した人気をどう見ていますか? 京子スペクター(以下、京子) デーブに対しては多くの方が、普段何しているのか、本業はなんなのかなどの疑問を持っているかもしれません。だからといって「あの人は今」みたいな消えたタレントのような立ち位置ではなく、20年以上も芸能界で活動を続けられているのは、デーブ・スペクターという人間に「何か」があると思って興味を持ってくださるとうれしいですね。 ――いまだに未知数の部分がある。つまり、タレントとして飽きられていないということでしょうか? 京子 そうですね。視聴者の方々が“まだ何かあるのではないか”と。デーブは同じエピソードを使い回したりせず、常に新しいものをキャッチしています。その上で「近い将来にこういうことがあるのではないか」という提案的なコメントをしたりする。大げさに聞こえるかもしれませんが、時代と共に歩んで、一歩ぐらい先を見せるようにしているんです。 ――社長としては、そのあたりのことを意識的に指示していたりするんですか? また、タレントとしてのデーブ・スペクターを「作る」にあたり、どういったことを実践されていますか? 京子 まだまだ積極的に攻めるべきだと思っているので、意識的というよりは、自然にやっているという感じです。それと、受ける仕事に基準を設けて、こちらの想定外のイメージがつかないように気をつけていますね。例えば講演の仕事はどういう会社からのオファーなのかを徹底的に調べ、わからない会社のものは受けないようにしています。テレビは、はやっている番組の出演依頼は、なるべく受けます。より好みしているようでしていないし、していないようでしている。時代時代に合ったもので、今どれが一番必要かを見極めているんです。 ――競争の激しい芸能界で、デーブさんが生き残っている理由は、そこにあるんですね。 京子 そう思って頑張っています。あとは、常に最新の情報を収集しているということ。情報というのは必ずしも、新聞やニュースでわかることだけではないんです。芸能、スポーツ、文化など、あらゆる方面に情報網を張り巡らせて、敏感にキャッチしている。だからこそ、これからのブーム予想や、提案するべきアイデアが生まれてくるんです。 ――デーブさんのミステリアスな部分と情報収集力が合わさって、世の中では「デーブさんCIA説」がささやかれていますが、どう思ってらっしゃいますか? 京子 それは昔から言われていますが、「皆さんおっしゃっているな」くらいの認識ですね。でも、デーブの情報収集能力はCIA並みですよ(笑)。CIAの分析官でも、ここまでやらないと思います。本当に徹底的に調べますので。 ■経営者として心がけていること ――ここで、あらためてスペクター・コミュニケーションズについてお聞きしたいと思います。タレント事務所や版権ビジネスなど幅広く展開されていますが、メインの業務はなんですか? 京子 デーブやほかのタレントさんのテレビ出演が一番のメインですね。それにプラスして、いろいろな最新情報を持っていますので、使わないのはもったいないということで、情報をメディアに流すということも始めました。もともとはデーブがアメリカ人ということもあってアメリカの情報が多かったのですが、今ではアメリカだけでなく世界中の情報を紹介しています。  最近では、イギリス王室のロイヤルベビー出産に関する、まだ日本に上陸していなかったネタをテレビ番組でご紹介しました。日本のメディアがどこも放送していない情報を、最初にうちが紹介しなければ意味がない。同じようなことをやっている会社はほかにもありますので、ほかとは違う特化した何かがないと競争に勝てないんですね。同じようなニュースをどの局でもやっているということであれば、デーブじゃなくてもいいわけです。どこも持っていない情報を手に入れて、どこにも出ていないニュースを最初に発表するのが、スペクター・コミュニケーションズの特長だと考えています。 ――記憶に新しいところでいうと、マイケル・ジャクソンが亡くなったとき、デーブさんはテレビに出ずっぱりでしたよね。今回のロイヤルベビー誕生も、デーブさんはかなり準備していたんですか? 京子 寝ないでやっていましたね。いつ生まれるかわからないですし、どのテレビ局からお声がかかるかもわからないので、1週間寝ずに過ごすみたいな感じでした。普段も睡眠時間は3~4時間で決して長いわけではないのですが、それでもずっと起きているのはしんどいようです。そんなとき、デーブは必ずユンケルを飲みますね。以前は一日2~3本飲んでいたんですけど、漫画家のやくみつるさんに「飲みすぎはよくない」と言われて、ここ1年くらいは1本にしています。 ――スペクター・コミュニケーションズは、ご夫婦で経営されているそうですが、デーブさんが経営について口を出してくることはあるのでしょうか? 京子 それはないですね。そもそもデーブはお金に無頓着なので、会社の運営には向かないと思います。一方で私は経営者ですから、予算やビジネスの観点で、どうしたら会社がうまく回っていくかを考えています。その意味では、デーブが伸び伸びと活動できる環境を作ってあげるのが私の役目だと思っています。 ――スペクター・コミュニケーションズにはデーブさん以外にも、自民党の片山さつきさんや若貴兄弟の母である藤田紀子さんも所属していますが、かなりの少人数で運営されていますよね。少数精鋭の経営スタイルは、意識してそうされているんですか? 京子 そうですね。今のスタッフは知り合いからの紹介で採用したのですが、全員長く続いています。紹介してくださる人が続けられそうな優秀な人を、責任を持って紹介してくれるということもあるんでしょうね。ですから、今でも事あるごとに「誰か、いい方いませんか?」とアピールしています。 ――京子さんとスタッフの方たちの関係を見ていると、経営者でありながら、上司にもチームメイトにもお姉さんにもなっているように感じるのですが、自分の立ち位置を意識されていますか? 京子 小さな会社ですので、誰もが私(経営者)のことだけを見て動いているわけじゃありません。来社したお客様への対応や、汚れているところがあれば掃除をするなど、率先して動く意識をみんなが持っているのです。私が指揮官という感じで操作しているわけじゃないんです。それぞれの意思で動くことは小さい会社では必要なことだと思っていますし、小さいなりの利点もあります。 ――京子さんは、大学やどこかの会社で経営学を学んだというわけではないですよね。どうやって経営者としての勉強をしてきたのでしょうか? 京子 父が会社を経営していましたので、その背中を見て育ったというのが大きいですね。お父さん子ということもあって、常にそばでビジネスを学んでいました。小さいときから将来サラリーマンと結婚するというイメージはなく、自分で事業を起こして何かやりたいと思っていました。 ――京子さんがいろいろな仕事をされていたということは、実はあまり知られていないと思います。もともとはアメリカのホテルニューオータニのコンシェルジュだったんですよね。コンシェルジュは多種多様な要望に応えなければならない、すごく難しい仕事ですが、そういった経験は今に生かされていますか? 京子 アメリカでは不動産業と旅行会社とコンシェルジュを経験しましたが、コンシェルジュの経験はすごく役に立ちましたね。聞かれたことに、なんでも答えなければいけないので。 ――アメリカで社会人経験を積んだあとは、日本に帰国してデーブさんの仕事を手伝いながら、そのまま経営者になったんですよね。実際に経営をしていく中で学ぶことは多かったのでしょうか? 京子 それが一番多かったですね。実際に自分で起業・経営してみて思ったのですが、商売には向き不向きがあって、まず自分自身が商売をすることが好きでなければできないと思うんです。それがベースで、そこから何ができるかというときに、オファーを受けるか否かの判断が一番難しいと思いますが、まずやってみなければわからないので、チャンスを逃さないでほしいですね。まずやってみる。チャンスが来たときは、もったいないかそうじゃないかを考えるんです。自分にできることなのに、断ってしまうのはもったいない。 ――「スペクター・コミュニケーションズ」にとって、転機はなんでしたか? 京子 『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)への出演ですね。デーブはそれまで『笑っていいとも!』(フジテレビ系)などのバラエティ番組がメインだったのですが、自分の意見をしっかり発言できたのが『朝生』でした。あそこがコメンテーターの原点だと思いますね。 ――出演するときは「これはチャンスだ」と意識していたんですか? 京子 もちろんそうです。ああいうチャンスは、なかなかありませんので。『笑っていいとも!』やそれまで出ていたクイズ番組は、ほかの外人タレントさんと一緒でしたが、デーブ・スペクター個人として一人で出演したのは『朝生』が最初でした。しかも、こちらから売り込んだのではなく、番組からのオファーだったので、まさにチャンスでした。 ――最近のお仕事で、飛躍のきっかけになったものはありますか? 京子 今はやはり、海外の映像の独占での提供ですね。デーブが入れなくていいと言っていたので、今までは画面に「スペクター・コミュニケーションズ」のクレジットを入れていなかったんです。しかし弊社は広告もやっていないし、宣伝に一切お金をかけていませんので、名前を売るために今は提供した映像に必ず「スペクター・コミュニケーションズ」と明記するようにしています。『とくダネ!』(フジテレビ系)には何年も映像を提供していますが、クレジットを入れたのは今年に入ってからですね。デーブを何度も何度も説得して、やっと今年OKが出たんです。 ――夫婦円満というと、すべてにおいてイエスマンでいることが大事だと思われがちですけど、意見のぶつかり合いは普通にあることですよね。 京子 そうですね。特にビジネスに関しては。お互い意見をぶつけ合うからこそ、しこりが残らない。経営者としても夫婦としても大事なことです。意見の対立ですので、いいアイデアが出てきたりもしますし。 ■パートナーだからわかるデーブ・スペクター ――京子さんは、妻としてデーブさんをどう見ていますか? 公私共にパートナーでいらっしゃいますが、どのように折り合いをつけているのでしょうか? 京子 デーブがやりたいことを第一に考えるようにしています。私がこうしてほしいということではなくて、デーブが気持ちよく仕事ができる状況が、私にとっても気持ちがいい状況なんです。ですから、デーブが忙しすぎて私と一緒に過ごす時間が取れない、といった不満はないです。本当は一緒に旅行に行けたらいいのですが、それができないのは見ていてわかるので。彼がやりたい状況を作ってあげられることが私の喜びですから、不満じゃないんですよね。デーブの喜びが私の喜びなんです。 ――ご夫婦の中で「このときは一緒に過ごす」みたいな決まりごとはありますか? 京子 一切ないですね。自由です。ただ帰ってきたら必ず挨拶して、仕事がどうだったかを確認します。そういった報告も含めて、夫婦の会話は多いです。よく結婚してから会話がなくなるなんて聞きますけど、うちは全然そんなことないですね。 ――デーブさんも京子さんもサービス精神のある方なので、お互いに自然と会話をするのかなと思うのですが。 京子 そうですね。それはありますね。無理していたら、30年以上も続きませんから。 ――夫婦の会話といえば、デーブさんは、ご家庭でもダジャレを言うんですか? 京子 言います(笑)。裏表のない人ですから。あのままです。 ――今も会社が成長し続けているのは、お2人の絆と、たゆまぬ努力があるからなんですね。 京子 それが理想です。あとはデーブの人のよさ。計算高くテレビに出演していたら、たぶんここまで来ていなかったと思います。悪意はないし、計算もしないですから。例えば先日デーブが『サンデージャポン』(TBS系)でこの本を紹介したのですが、『デーブ・スペクターの作り方』の「作」の文字が手で隠れてしまったんですよ。私だったら気を利かして表紙が全部見えるように持ちますが、デーブは計算も何もなく、ただ持って見せてしまう。ジョークを言うのも自分が褒められたいということではなく、みんなに楽しんでもらいたいんです。そんな具合に本当に計算していないので、「あのときこうしておけばよかったじゃない」ということがいっぱいありますね。 ――最近では、ご夫婦でのテレビ出演も増えてきました。30数年の結婚生活を経ても芸能界の第一線にいるのはすごいことだと思いますが、そうなった今、夫婦で目指していることはありますか? 京子 特別に意識してはいませんが、やはり私とデーブは思いが同じで、今よりもっと向上したいという意識があります。現状に全然満足していないんですよ。夫として見たデーブは、もう100点満点以上です。でもタレント、デーブ・スペクターとして見たときは、まだまだ現状には満足していません。満足していない部分を毎日埋めているという感じです。これからも、努力は怠らずに成長していきたい。そう思っています。 (取材・文=丸山佑介/犯罪ジャーナリスト) 株式会社スペクター・コミュニケーションズ <http://www.spector.co.jp/> デーブ・スペクターのTwitter <http://twitter.com/dave_spector>

「なぜ"24時間ニュース番組"がない?」デーブ・スペクターが日本の震災報道を斬る!

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震災後、得意の"クールギャグ"で
日本中に笑いを届けたデーブ氏。
 東日本大震災から3カ月。この間、地震と津波、そして原発事故という三重苦をさまざまな形で報じてきた日本のテレビメディア。衝撃的な映像とともに多くの情報を視聴者のもとへ届けてきたが、その内容には懐疑的な声も少なくない。一部では海外メディアの報道姿勢と比較しながら、政府の"大本営発表"をタレ流ししてきたと指摘する声も多い。そこで、日米両国のテレビ事情に詳しいデーブ・スペクター氏に、災害報道における日米の違いや、制作サイドから見たテレビの問題点を語ってもらった。(聞き手=浮島さとし/フリーライター) ――東日本大震災から3カ月が経ちました。デーブさんも連日テレビに出演されていたわけですが、当時のスタジオの空気はいかがでしたか? デーブ氏(以下、デーブ) 経験したことがない異様な雰囲気でしたよね。スタッフもみんな寝てないし、判断力も落ちてたし、疲労でイライラしてて。それでいて、原発の危険さをあおってはいけないというようなムードもありましたし。何をしゃべっていいのか、よくないのか。そんな空気が充満してましたよね。 ――スタッフから「こういう発言はしないように」という指示はあったのですか。 デーブ それはなかった。ただ、重たい空気はありましたよね。常識に照らして暴走した発言はしないようにって、みんなピリピリしてました。山本太郎みたいな人もいたわけなんですけど。 ――スポンサーサイドからは何か圧力があったとかは? デーブ 無いってことになっているんですけどね。直接の圧力がなくても、東電が大スポンサーなんで配慮はあったとしか思えないけど。気を使いすぎだとボクは思いますね。 ――海外メディアは震災発生当初から原発の危険性を遠慮なく報じていたようですが。 デーブ 日本よりもっと扇情的にやってましたね。早くから「メルトダウンはしてるかも」とか。今思えばその騒ぎ方が正しかったわけですけど。日本は伝える側も放射能や原発のことを理解できていなかったでしょう、もちろんボクらコメンテーターも。分かるのは津波の被害とか瓦礫のこと。だからそれを流すしかない。だって、専門家だって分かってないんだから。 ――アメリカでも自然災害は多いわけですが、日米で報じ方に違いはありますか。 デーブ 文化の違いだと思いますが、たとえば日本人って生まれ育った土地へのこだわりが強いでしょう。とても不便な面があるけれど自然が豊かな山間部の土地に何世代も住んで、そういう生き方をリスペクトする文化がある。そこで土砂災害とかあっても、間違っても「そんなところに住んでいるからだ」なんて言われない。でも、アメリカでは結構言うんですよ。言われる側も、それをある程度承知してるというかね。トレーラーハウスに住んでる人は、ハリケーンで飛ばされるリスクを承知して生活をしてますからね。 ――土地に対する信仰心がまるで違うんでしょうね。日本は森羅万象に神が宿る自然崇拝の国なんで。アメリカ人はもっと合理的に引っ越しちゃうわけですか。 デーブ そう、合理的。1990年代にフロリダにハリケーン「アンドリュー」が来たのですが、もともとフロリダはハリケーンが多くて、あまりに多いから「もう住んでられない」って、あの時は10万人くらいが移住したんです。日本では埼玉の夫婦が定年後は沖縄に住もうとか、あんまり思わないですよね。田舎暮らしって一部だし。でもアメリカだと、寒い土地の人が老後にアリゾナとかへ抵抗なく移住してる。どちらがいいという問題じゃなくて、違いですよね。それによって報じ方も違ってくるということで。 ――テレビ業界のプロとして伺いますが、今回の震災報道の中で「テレビ」と「活字」の違いをどうお感じになりましたか。 デーブ これはね、ものすごく感じました。まず、テレビというのは映像の必要性が先行するでしょ、『朝生』(テレビ朝日系)を除いて。どうしてもいい画を求める。これは仕方ない。そういう縛りの中で、今回のように内容が専門的で、暴走するとクレームが来るという状況だと、もう無難に収めるしかないんですよね。批判精神なんかゼロ。でも、新聞にはすごく細かくて具体的で批判的な情報がたくさんあったでしょ。週刊誌はさらに細かくて、スクープもあったし。つまり、テレビで伝えきれない情報が紙の上にたくさんあった。でも、地上波を責めるのも酷なんですよ。だって、専門家にコメントもらおうにも「尺」がないんですよ、2、3分しか。伝えきれない。 ――アメリカとの違いがあるとすれば、一番は何ですか。 デーブ 一番の違いは、日本に24時間ニュース番組がないってこと。これにつきますよ。CNNとかFOXとかがない。全然ない。一つもない。ゆっくりニュースを放送する局が一個もない。アメリカで今回みたいな災害が起きたら、地上波は最初の数時間は流すけど、あとはニュース専門局に完全にシフトするんです。視聴者はニュースをそこで見る。 ――日本もBSやCSでそれに近い形のものはありませんか。 デーブ だってあれ、本気じゃないでしょ。同じニュースを繰り返し流してるだけだし、自前で取材したわけじゃない。しいて言えば、『BSフジLIVE PRIME NEWS』が近いかな。一つのテーマを2時間じっくりやってる。あれなら新聞情報にもじっくり触れられるけどね。 ――アメリカ人はネットでも結構ニュースを読んでますよね。 デーブ めちゃめちゃ読みます。アメリカのテレビだってすべては伝えきれないけど、新聞系のサイトは相当読まれてますよ。ネットから取得する情報がものすごく多いんです。日本人は「Yahoo! JAPAN」しか見ないでしょ。あれは、要約されたニュースがトピックスとして並んでいて、見出しみたいなものですよね。一つの情報を掘り下げて読むのとは違うから。 ――日本にニュース専門局ができない理由は、国民がニュースを見ない、読まないということに加えて、一番はやっぱりお金ですかね。スポンサードする企業がない。 デーブ そう、お金はものすごくかかる。通信社から買わずに独自で取材するようになったら、もう大変ですよ。この不景気な時代に視聴率が取れないニュース専門局にお金を出そうなんて企業は、今の日本にないでしょう。やれるとしたらNHKだろうけど、そしたら地上波を見なくなるからね。NHKの視聴率はニュースが支えてるから。地震があったらとりあえずテレビはNHKをつけるとかね。そのNHKが専門局を始めたら、視聴者はそっちに流れるだろうから。だから、共食いになっちゃうんですよ。 ――民放はともかく、NHKは共食いしてでもやるべきかもしれませんけどね。 デーブ だと思いますけどね。これだけテレビ文化が成熟してる国なのに、24時間ニュース局がないなんて不思議なんです。ラジオでさえやってないんだから。ラジオなんて、一社提供の持ち込み企画とか、事務所のお荷物のタレントに番組を持たせたりとか、古いやり方をずっとやっている。流動性がないんだよね。ラジオでやれないんだから、テレビだと100年かかるかもね。 ――メディアと言えば、今やTwitterも一つのメディアと言える時代ですが、デーブさんの震災直後のつぶやきが大反響でした。「低気圧にお願いです。被災者ではなく、原発を冷やしてください。ボクも一所懸命、寒さを原子炉に送りますんで」とか、「日本で略奪があるのは愛だけですからね、山路さん」とか(笑)。日本全体が重苦しい空気の中で、デーブさん流のギャグで癒やされたという日本人は多かったようです。 デーブ クールギャグと呼んでるんですけどね(笑)。あれはびっくりしました、反響がすごくて。普通にいつものようにつぶやいてただけなんですけど。あのころはまだ「冗談言っちゃいけない」みたいな空気で。日本全体が首を絞められてるような、なんていうのかな......。 ――閉塞感のような。 デーブ そうそう、閉塞感。それがあったでしょ。みんな笑いたかったのに笑えなかった。そこにニーズがあったんでしょうかね。 ――それを一冊にまとめた『いつも心にクールギャグを』(幻冬舎)が発売中ですが。本を出されるのが10年ぶりくらいとのことで、意外ですね。 デーブ ボクは基本的に本は出さない主義なんです。だって、さほど伝えることもないのに、タレントだから本を出すというのも、ちょっと抵抗があるというか。今回はちょっと特別で、社会現象としてあまりに反響が大きかったし、残しておこうというのもありまして。ま、脱力して気楽に読んで、癒やされていただけたらうれしいです。 ●でーぶ・すぺくたー アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身。日本を拠点に活動する米国人テレビプロデューサー・放送作家・コメンテーター。1983年、米国ABC放送の番組プロデューサーとして来日。ポイントをおさえた的確なコメント、鋭い批評は多方面から好評を博し、テレビ出演の他、全国各地の講演や執筆活動等で多忙な毎日を送っている。2009年「オリコン好きなコメンテーターランキング」第1位獲得。話題のTwitterは「ツイナビ」アカウントランキングで『総合TOP100』『有名人・芸能人』『エンタメ』各部門で第1位(2011年3月22日ツイナビ調べ)。
いつも心にクールギャグを 定価1,260円/幻冬舎刊/好評発売中。 amazon_associate_logo.jpg
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