「中国か、北朝鮮か、中東か?」国内IP電話への不正アクセスが急増中

 インターネットを利用したIP電話交換機への不正アクセス被害が、急速に拡大している。  警視庁の観測システムでの検知数は、昨年7月から年末までで約13万件、今年も3月までですでに4万件近い数を観測。身に覚えのない国際電話料金の請求が届くなど、被害が全国的に急増しているという。  一部被害の報告を受けているというNTT東日本に話を聞いたところ、「主に海外からインターネットを経由して侵入し、パスワードを読み取り、無断で通話を利用されてしまう」という。  大半のアクセスは「中国から」(警視庁)というが、専門家によると「経由地に利用されているだけの可能性があるので、中国人の仕業とは断定できない」という。 「公安当局がいま躍起になって捜査に乗り出しているのが、北朝鮮による組織的ハッキング。脱北者の証言から、軍幹部らがコンピューターを使った電子戦力の向上に力を入れていることが分かっています。最高の教育機関である北朝鮮自動化大学の学生などを、軍の専門機関に集めて養成。3万人を超えるハッカー部隊がいるというのです」(専門家)  実際、昨年あたりから、アメリカと韓国では国防省など政府機関へのハッキング被害が頻発。今年4月には韓国の農業団体のネットワークシステムが停止する事態もあった。6月には国際通貨基金(IMF)がサイバー被害の報告をしている。 「北の後継者、金正恩氏がサイバー部隊の責任者に就任したという話もあって、電子戦の実績作りをしている可能性があります」(同)  一方、中東を本拠地とする宗教的テロ組織のサイバー攻撃も活発化。世界中を行き交う組織間の連絡に不正アクセスによる通信が使われている可能性も指摘されている。 「先日、インドネシアでは瞑想団体を装う団体の幹部が不正アクセスの疑いで逮捕されています。この人物はテロ犯罪とはまったく無関係だったのですが、宗教の普及で広く電話をかけるためにIP電話への不正アクセスを繰り返し、さらにパスワードが判明したアクセス先を広くばら撒いていたんです。その流出先のひとつが中東のテロ組織だったと言われています」(同)  この瞑想団体は日本にも複数の支部があり、ネットの掲示板などではサイバー的な布教活動が取り沙汰されているが、今のところ国内の不正アクセス被害との関連性は見つかっていない。  北朝鮮か中東か、それとも宗教団体か。いまだ犯人の分からないまま増加を続けるサイバー被害は、頭の痛い社会問題となりそうだ。 (文=鈴木雅久)
核を超える脅威 世界サイバー戦争 始まっちゃった? amazon_associate_logo.jpg
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中央政府と地方政府のイタチごっこ? 現地の生声で知る「中国電力不足ウラ事情」

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 福島第一原発事故の影響で節電ムードが状態化している日本だが、お隣の中国でも今年の夏は過去最大の電力不足が生じると地元紙が報じ、一部の企業では既に節電対応を迫られるなどの影響が出始めている。  中国紙が4月に報じた「中国電力企業連合会」の報告書によると、中国国内の電力供給力は今夏のピーク時に最大で3,000万キロワット(原発約30基分)不足すると指摘。さらに5月には国有電力会社の「国家電網」が、過去最大の4,000万キロワットの電力不足を示唆した。これを受けて国家発展改革委員会では、一部の地域で計画停電を検討中と発表している。  中国の電力不足の背景には、中東情勢の悪化による原油価格の上昇や、華南における大規模なかんばつによる水力発電の供給力低下、福島第一原発事故の影響で石炭価格が高騰しているなど複合的な事情があり、さらには電力卸し料金の政府買い取り価格をめぐる発電会社と中央政府とのイザコザで、発電会社側が意図的に送電抑制を行っているとの指摘もある。  中国で事業を展開している企業の中には、既に当局からの指導を受けて具体的な節電対応を迫られている例もあるようだ。  河南省の日系企業に勤務する日本人男性によれば、この6月1日に省内の各企業に省当局からフレックスタイム制の導入を促す文書が通知され、すでに生産活動を深夜帯に移行した企業も出始めている。 「節電の発令は3月末ごろから他の省にも出始めているようで、5月から6月にかけた今が発令ピークを迎えているようです。知人が働く杭州市では5月23日に同様の通知がきたらしく、電力供給が優先されているはずの上海でも、実は3月30日には発令されています」  停電に備えて自家発電装置を調達した会社もあるといい、一部の時間帯で既に稼働を開始しているという。さらに同省では、ショッピングモールなどの公共施設では空調温度を26℃以下に設定することを禁止する旨の通知も発令され、節電ムードは一般住民にも浸透しつつあるようだ。先の男性が続ける。 「電力不足は中央政府が早い段階からつかんでいたようで、電力コストが高い業種を再編するために昨年から動き始めていたと聞いています」  「電力コストが高い業種」とは、一般に粗鋼製鉄所、セメント製造、ガラス製造、アルミ製造などの高エネルギー消耗企業群のこと。既に一部では支社や関連施設を統廃合しながら効率化が進められている。  また、こうした流れに地方政府が逆行した動きを見せているとの声もある。計画停電の実施がウワサされている重慶市で、日系IT関連企業に勤務する中国人男性は、「うちの市の話ではないが」と前置きした上で次のように説明する。 「地方政府にとっては企業が消滅してしまうと税収減で大打撃です。ただでさえ、中央の共産党幹部から押しつけられた不動産を大量に抱えている地方政府は、来るべき不動産バブルの崩壊におびえて青色吐息の財政状態ですから。このため、中央が進める統廃合を、地方がその場しのぎの対応で時間かせぎをしているというのが実態です」  たとえば、中央からの命令に対して、大幅な節電と引き換えに事業所の存続を訴えたり、それも認められない場合は、一時的に自家発電装置を利用して表面上の電力消費を減らし、中央の目を盗みながら事業所の延命に走る例さえあるという。これに対し、中央政府はしばしば抜き打ち調査を敢行し、"闇営業"の摘発を活発化させている。  一方で「統合は必ずしも地方にとってマイナスばかりではない」と言うのは、華南でコンサルティング業を営んでいる日本人男性(41歳)だ。 「企業がなくなれば税収は減りますが、その跡地を地方政府がデベロッパーのように整備し、売却益でかなりの利益をあげている例もあります。それに、廃止で企業がなくなる町もあれば、逆に統合して増える町もありますから。そういう町は中央政府のお達しを進んで受け入れています」  こうした中、日系企業が配慮すべき点は何だろうか。マーケティング・コンサルティング会社「ブランド・コア」(東京都新宿区)代表取締役の福留憲治氏は次のように言う。 「中国では、2004年には3,500万キロワットの電力不足が生じるなど、インフラ不足のリスクは常に内在しています。これまでは外資系企業へ優先的に電力供給が図られるなどの優遇措置があって表面化してきませんでしたが、現在は国内企業の育成に中央政府が方針転換していますから、今後は便宜は期待できないでしょう。こうした状況下では、リスクと課題を把握して詳細なプランを策定することはもちろん、現地スタッフが迅速に意思決定できる体制を作ることが必須です。日系企業はそれができていないために問題が拡大しているケースが多いのです」  これについては、前出の華南のコンサルタントが補足する。 「電力に限らない話なんですが、地方政府から何かと便宜を引き出すには政治的な"配慮"が必要です。たとえば、地方政府の幹部の親族が経営している会社に仕事を発注して便宜を図る。しかもこれは、地方政府が決断を下す前に迅速にやる必要がある。そのためには現地に決裁権が必要なんですが、日本の企業は何を決めるにも東京本社の会議室で時間をかけて、1カ月して答えが出たことろには中国支社は処分されてたりする。他の国と比べてやり方がヘタですよね」  お国柄に応じた機動的な"政治力"は常にこの国では求められそうだが、最終的に電力不足が向かう先には何があるのか。中国事情に詳しい作家の宮崎正弘氏に、総括的な予測をしてもらった。 「計画停電と報道されていますけど、中国の場合は実際には計画的な停電というのは、ほとんどないんです。実質的な無計画停電です。予告もなく突然電気が切れてしまうから、困るのは工場を抱えるメーカーです。生産スケジュールが立てられませんからね。生産が滞れば輸出量が伸び悩みますから、その先に待っているのは外貨準備高の不足ということになります。結局は不況に突入せざるを得ないというのが一般的な見方ではないでしょうか」  慢性的なインフレで国内消費が鈍化し、過剰生産が顕在化しつつある今の中国。マンション価格も「オフィスを更新したら4割引きになった」(上海の某企業)例もあるなど、不動産バブルは水面下で既にはじけているとの指摘も聞かれる。過去最悪の電力不足を目前に控え、中央政府はかつてない厳しい対応を迫られそうだ。 (文=浮島さとし)
中東民主化ドミノは中国に飛び火する どうなる中国。 amazon_associate_logo.jpg
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中国で流行するロイヤルウエディング事情

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英国王室もビックリ!?
(現地メディアの報道より)
 沿道に手を振るウエディングドレス姿の花嫁と赤い軍服に身を包んだ新郎を乗せた馬車を騎馬近衛兵が先導し、アストンマーチンの車列がそれに続く。彼らが向かうのはバッキンガム宮殿かと思いきや、新郎新婦は英国紳士・淑女ではなく、どこからどう見てもアジア人である。  実はこれは、中国で流行している"ロイヤルウエディング"の様子である。イギリスのウィリアム王子とキャサリン妃をマネた結婚式が、中国各地で執り行われているのだ。    これまで中国では、ウィリアム王子がキャサリン妃に贈った婚約指輪から、キャサリン妃のウエディングドレス、さらに結婚記念品に至るまで、世紀のロイヤルウエディングに便乗したさまざまな模造品が出現してきた。しかし結婚式を丸ごとパクってしまうとは、もうあっぱれと言うしかない......。  しかも、広東省で偽ロイヤルウエディングを目撃した日本人によれば、仕込みの観衆まで動員した大掛かりなものだと言うのである。 cw00.jpg 「道路がやたら渋滞していたので不思議に思っていたら、公道の真ん中を馬車が走っていた。新郎新婦の姿は見えませんでしたが、馬車の頭上には五星紅旗ではなくユニオンジャックがはためいていました。沿道にも多くの住民が集まり、手を振っていたので、よほど人望のある人なのだろうと思っていたのですが、沿道の参加者いわく『誰の結婚式かは全く知らないが、こうして手を振ると引き出物がもらえる』とのことでした」  偽ロイヤルウエディングを行っている、浙江省のある結婚式プロデュース会社にコンタクトを取ったところ、その費用はおよそ20万元(約260万円)とのこと。これは、通常の結婚式に比べ3倍以上の予算に当たるということだが、「希望者は多く、予約待ちの状況」だという。  偽ロイヤルウェディングが中国で流行している背景について、ルポライターで『中華バカ事件簿』(扶桑社)の著者、奥窪優木氏はこう話す。 「中国では伝統的に結婚式が盛大に行われますが、現在、結婚適齢期を迎えている世代は一人っ子政策後に生まれたいわゆる小皇帝。特に富裕層では、両親や祖父母に至るまで家族の張り切りようは半端なく、ハデ婚が流行している。そんな中イギリスで行われた、ウィリアム王子の結婚式はまさに彼らのあこがれとなった。地方なら、警察にわいろを渡せば道路を借り切ることができるし、こんな結婚式が可能なのは中国ならではでしょう」 中国の富裕層には結婚式だけでなく、英国貴族のノブレス・オブリージュまでもマネてもらいたいものだ。 (文=高田信人)
中華バカ事件簿 すげーよ、中国! amazon_associate_logo.jpg
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日本の事故処理に人民13億が疑念 中国で既成事実化する「日本核武装疑惑」

 開いた口がふさがらなくなりそうな陰謀論が、中国で既成事実となりつつある。 「日本は福島第一原発に核兵器を隠している」  中国メディアでは、そんな福島原発に関する根も葉もないガセネタ報道が相次ぎ、まかり通っているのだ。  荒唐無稽な陰謀論に火を付けたのはネットメディアだった。例えば「spn睿商在線」は3月17日、「核開発推進の立場を取ってきた石原都知事などが中心となり、ひそかに核開発が進められていた。津波と地震は地下核実験の失敗によるもので、原発事故は漏れ出した放射能を隠ぺいする日本政府による自作自演」と報じている。  ただ、中国の有象無象のネットメディアでは、この程度のトバシ記事はご愛嬌ではある。  ところが4月15日になると、なんと共産党系の新聞「環球時報」までが、こうした陰謀論を報じ始めたのだ。  記事によると、「日本の著名ジャーナリスト、島津洋一氏が米ネットメディアで、日本が福島原発内で密かに核兵器を開発していた可能性を指摘する記事を発表し、国際世論を騒然とさせている」というのだ。  島津氏が著名ジャーナリストなのかどうかはさておき、そんな記事が国際世論を騒然とさせている気配はもちろんない。  しかしついには、共産党機関紙「人民日報」も4月26日、日本の核開発疑惑について取り上げている。  その内容は「日本政府が福島原発での放射能漏えいに関する説明会を北京で開いたが、出席した独立行政法人『原子力安全基盤機構』の佐藤達夫理事と日本大使館の山崎和之公使は、記者団の質問に答える形で日本の核開発疑惑を否定した」というものだ。  もはや「当たり前だろ!」とつっこむことさえ虚しいレベルだが、こうした根も葉もないガセネタ報道が既成事実化していることについて、ルポライターで『中華バカ事件簿』(扶桑社)の著者、奥窪優木氏はこう語る。 「中国のメディアも、今や売ってナンボ。人民の目を引くセンセーショナルなネタを競って飛ばしている。一方の人民は、共産党支配の下『政府はウソしかつかないものだ』という感覚が身にしみており、原発事故への日本政府ののらりくらりとした対応に、『なんか怪しい』と直感的に考えてしまう。そこに、メディアがこぞってこうした陰謀論を書き立てれば、『さもありなん』と思う人は少なくないでしょう」  今後、日本政府が原発の事故処理を速やかに行わなければ、中国メディアに食い物にされる一方ということか? (文=高田信人)
中華バカ事件簿 トンデモ! amazon_associate_logo.jpg
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被災地救援の「チーム陳」代表、陳光標が寄付金水増し疑惑でピンチ!?

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今年3月10日、雲南省地震の被災地を訪れた
陳光標氏と、氏から寄付された札束を手に
する被災者(現地メディアの報道より)。
 東日本大震災発生直後、私設救援隊を率いて被災地入りした中国人富豪、陳光標氏。日本でも「救援やってます!」と言わんばかりのキメキメポーズで撮影された彼らの活動の様子がネット上で話題となり、「チーム陳」という愛称も誕生した。  彼は中国ではかねてから慈善家として知られていた人物で、これまでに総額100億円を慈善活動に投じたと言われている。例えば東日本大震災の直前には台湾を訪れ、低所得者に対し約14億円を寄付し、中国・四川大地震の際にも60台もの建設機器を被災地に投入して救援に当たったほか、8,000万円を寄付したと主張している。   しかし、そんな陳氏の慈善活動に、 ニセモノ疑惑が浮上している。  中国紙「南方都市報」などの報道によると、 陳氏が主張する寄付金の額は、売名行為を目的に大幅に水増しされた金額であるというのだ。例えば、昨年のハイチ地震の際に陳氏は「中国青年基金会」と「中国人権基金会」を通し、被災地に約1億円の義援金を送ったとしているが、この2つの機関は実際には存在しないことが判明したという。また、陳氏が昨年、約2億7,000万円を寄付したというある団体は、7,800万円しか受け取っていないことも明らかになった。  こうした報道に対し陳氏は「98%ウソ。メディアはあら探しばかりだ」と反論しているが、寄付の金額が事実である証拠は呈示できていない。  しかし、金額の大小の問題はあれ、彼がかなり規模の大きい慈善活動を行っていることは確か。「やらない善よりやる偽善」という言葉もある。こうしたバッシングにめげず、パフォーマンスでも中身の伴った慈善活動ならば続けてもらいたいものだ。(文=高田信人)
「社会を変える」お金の使い方 教えて。 amazon_associate_logo.jpg
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名乗り出た海上保安官の逮捕見送りで、「実名」「顔出し」めぐりマスコミ紛糾

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国民的関心事となった"YouTube流出"
 中国漁船衝突シーンの映像流出事件は、異例尽くしの展開になってきた。  「私がやった」と名乗り出た神戸海上保安部の一色正春保安官(43)をめぐり、新聞・テレビは「近く逮捕」と連日報じたが、警察と検察当局は15日に「あの映像を漏らしたことをもって、刑事罰を加えるほどの守秘義務違反に相当するとは現状言えない」という理由で逮捕を見送り、任意捜査を続行することになった。  16日未明には、"軟禁"先の神戸海保に詰め掛けていた報道陣の前に、いきなり一色保安官本人が姿を現し、深々と頭を下げるという思わぬハプニングも起きた。本人は無言のままだったものの、代理人の弁護士が「今回の行動が正しいと信じております」と声明を読み上げると、当局を刺激しかねない内容だけに、報道陣はまたまたショック。あの、ミャンマーの政治犯として長年軟禁されてきたアウン・サン・スー・チーさんの釈放シーンを彷彿とさせる事態となったからだ。 「実はこうした慌てふためく報道合戦の裏で、一色氏の実名や顔写真を出すかどうか、真剣な議論になったんです。任意捜査とはいえ、被疑者扱いをされているので、逮捕もしくは起訴されるまでは人権に配慮して名前や顔を伏せるのが通例。でも、彼の行動を"英雄視"する世論も一方にある。悩ましい問題でした」(大手紙社会部デスク)  この社会部デスクによると、逮捕見送りを決めた15日の新聞・テレビ各社はそもそもドタバタ続きだったという。 「この日、警察と検察の捜査担当者が協議を行うという情報があり、てっきり逮捕するものと構えていたら、夕方にいきなり『逮捕見送り』が決まり、速報合戦の火蓋が切られたんです」  テレビ各社は午後4時30分ごろから、次々と「逮捕見送り」とテロップで速報。新聞各社は、1面のトップ記事や政治面の政界反応、社会面のドキュメント記事や解説などフルメニューの作業に追われていたところ、午後11時になり、「保安官が庁舎を出るようだ」と現場で騒ぎに。さらに「弁護士がコメントを読み上げるようだ」「会見になるかもしれない」と情報が入り乱れ、収拾がつかなくなった。 「もし会見になれば、まさにスー・チーさんの釈放会見さながらの事態になる。実名報道に切り替え、顔出しOKとなれば、1面から社会面までガラッと紙面を替えないといけない。締め切りも迫り、緊迫した状況でした」(前出・社会部デスク)  現場では、実名報道をめぐり報道各社と弁護士サイドが激しい議論を展開。日付は翌16日に変わったが、結論はなかなか出そうになかった。そうこうしているうちに、一色保安官本人が庁舎外に姿を現す直前になり、「実名報道と顔写真はやめてほしい」という本人の申し出が各社に伝わり、名前も顔を伏せた形での釈放報道になったという。  それにしても、新聞・テレビがここまで実名報道に神経を尖らせるのは、なぜか。 「実は、釈放直前に行われた世論調査で、80パーセントを超える人が『流出させたビデオ映像は国家秘密に当たらない』と答え、保安官は逮捕すべきではないという世論が大勢を占めたんです。この調査結果は各社に深刻な影響を与えました。世論に応えるためにも、逮捕が見送られたら被疑者扱いではなく、いわゆる内部告発者として実名報道に切り替えるべきでは、との声も実際上がりました」(前出同)  マスコミは一色保安官が被疑者になる前提でこれまでの報道ルールに則り、「逮捕までは」と匿名報道を続けてきたわけだが、その線はなくなった。また、同保安官はすでに個人的な声明を実名入りで出しているし、市民の知る権利に応えようと内部告発をしたわけだが、その絶大な影響力を考えると、情報発信者として重大な責任を伴う保安官の名前を明確にすることは公益性に適うと言える。  新聞・テレビは今も、実名報道にいつ切り替えるのか、ジレンマを抱えている。犯罪になるかどうかという側面だけにとらわれすぎると、菅直人政権がむやみやたらと情報開示を拒んできたその隠ぺい体質に目を背けることになることを銘記すべきではないだろうか。
日本人が行けない「日本領土」 北方領土・竹島・尖閣諸島・南鳥島・沖ノ鳥島上陸記 遠い"日本"。 amazon_associate_logo.jpg
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レアアースだけじゃなかった! 尖閣問題がもたらすオタク産業大変動の可能性

 尖閣諸島問題に端を発して、コジれまくっている日中関係。ハイテク製品に欠かせないレアメタルの輸出規制は、広く注目を集めている。レアメタルに限らず、今や中国はあらゆる産業にとって不可欠な生産拠点。もちろん、オタク産業も例外ではない。微妙な日中関係にオタク産業の現場はどうなっているのか?  日本向けのレアアース輸出停止がマスコミを騒がせた、9月下旬。中国にオタク向けグッズを発注している業者にも、騒動が起きていた。何の前触れもなく、一部の荷物が輸入されなくなってしまったのだ。原因は、中国側で通関業務が停止してしまったこと。 「中国ではこれまでも、突然理由なく通関が止まってしまうことは、何度かありました。なので、いつものことだとは思う反面、長引けば冬のコミックマーケットあたりに影響が出るのではないかと、不安な声も流れていました」(オタク向けグッズを扱う業者)  現在、輸入は再開されているものの、仮に停止状態が続けば冬のコミックマーケットで扱われる同人誌以外のグッズが姿を消し、企業から同人サークルまで大きな打撃を受けたことは間違いない。  ただ中国では、突然、税関が輸出品にストップをかけるのは「時々、起こりえること」。話を聞いた業者も、以前にキャラ物のトートバックを中国現地の工場に発注した際、輸出段階で突然、現地の税関にストップをかけられ困惑したことがあるという。 「後から分かったのですが、麻薬の密輸に利用されているのではないかと、疑われていたようです。ところが、理由も教えてもらえないので、注文主に満足いく説明ができず困りましたね」(同)  このあたりが、日本とは大きく違うところ。日本側の税関の場合、何らかの疑いで水際でストップさせても、理由はある程度説明してもらえるもの。非常に官僚主義的な対応なのだが、一方で「ある程度のことはカネを握らせればなんとかなる場合も......」と言われるのだから、不思議な国である。  もう一つ気になるのは、尖閣諸島問題は現地の業者とビジネスを行う上でなんらかの障害となっているのではないか、ということ。 「それはまったくありません。中国人はビジネス面では非常にドライ。もちろん、内心では"尖閣諸島は中国の領土だ"と思っているかも知れませんけど、自分のビジネスには無関係の問題だと思っているし、商売の相手(日本人)には、そんな話題は持ち出しませんよ」(同)  日中双方で「愛国心」を錦の御旗に騒いでいる人々が注目されているが、所詮、彼らは外野で騒いでるだけ、ということだ。  とはいえ、尖閣諸島問題が今後のビジネスに、まったく影響を与えないとは限らない。そもそも、他国とのビジネスには商習慣から政治体制の相違まで、さまざまなリスクがあるもの。これまで「近い」「安い」で持て囃されてきた中国はリスクの高い部分もあることに、多くの人々が気づいてしまったからだ。 「人件費の面では、特定の技術職を除けば、中国の人件費は未だに安く押さえられている。とはいえ、輸入がストップしてしまった一件で、一国に依存すると危険だということを、多くの人が知ってしまった」(同)  これは、中国に取って大きなダメージ。もちろん、すぐに生産拠点をごっそり移動させることは不可能だ。とはいえ、今回の騒動以前から既に中国以外に生産拠点を求める動きは進んでいる。その一つが近年、経済発展が目覚ましいインドだ。 「フィギュアなどの金型を成形する技術は高い。それ以上に、コストが安く製品の質が高いのが布製品です。オタク産業に限らず、世界的に布製品の生産の中心はインドになりつつあります」(同)  そのうち、インドに抱き枕の巨大な生産工場が立ち上がったりするのだろうか。  現在、オタク向けグッズは安価な海外工場で生産するものの、主な市場は日本国内。方やテレビゲームの場合は、もはや日本企業が世界各国に拠点をつくり、市場を築いている。工場が中国から、他国へ拡散することでオタグッズも海外市場が生まれることになるかも知れない。 (取材・文=昼間たかし) 
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なぜ、保安官はなかなか逮捕されない? 専門家たちの「無罪」発言にピリピリの当局

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刑事処分か、はたまた行政処分なのか。
現場は混乱を極めている。
 中国漁船衝突シーンのビデオ映像流出事件は、その後の雲行きが怪しくなってきた。 「自分がやった」と上司に告白した神戸海上保安部のベテラン保安官(43歳)は、昨日10日に警視庁の事情聴取を受けたものの、逮捕令状の執行は見送られたからだ。今日11日も引き続き聴取は行われているが、逮捕されるかどうか不透明な情勢が続いている。  新聞・テレビ各社では、「このまま逮捕方針を伝えていても大丈夫なのか」と上を下への大騒ぎ。読者や視聴者からは「逮捕されない事情があるのではないか」「誤報だろう」と問い合わせも相次ぎ、事態は混沌としてきた。  大手紙の社会部記者が事情を説明する。 「事情聴取に当たっている警視庁捜査1課は、国家公務員法の守秘義務違反で保安官を逮捕するつもりでいましたが、警察庁と検察庁が『待った』をかけたんです。というのも、衝突現場の当事者である石垣海上保安部の職員が漏らしたのなら『捜査情報の漏えい』に当たるわけですが、事情は一変。神戸にいながらビデオ映像を入手できたとなると、いわゆる研修用ビデオとしてふだんから保安部同士で互いに利用し合っている現場映像のひとつに過ぎず、職員なら誰でも利用できる類のものであるなら、行政上の資料を外部に持ち出しただけであり、刑事処分ではなく、行政処分で済むケースかもしれないのです」  実際、新聞・テレビに登場するコメンテーターからも、逮捕状の執行に異論が噴出。例えば、情報管理に関する法制に詳しい堀部政男・一橋大名誉教授は各社の取材に対し、国家公務員法違反の要件となる「職務上知り得た秘密の漏えい」なのかどうか、はなはだ疑問と指摘。最高裁判例ではこの「秘密」というのは、情報開示せずに公務員側が保護しておくに値する情報に限られるとしており、すでに国会議員に一部開示されたものを今さら「秘密」と言うには問題が多く、逮捕しても起訴できないのではないかとコメントしている。 「警察庁も検察庁も、幹部たちはこうした新聞・テレビでの専門家のコメントが世論に与える影響力を非常に気にしている」と司法クラブ記者。  こうした逮捕をめぐる議論にさらに拍車をかける事態も起きている。  日本テレビ系列の在阪局「読売テレビ」の記者が、取り調べ前に神戸の海上保安官本人を直接取材していたとする独占ニュースが10日夕のニュース番組内で流れ、この中で保安官は、インターネットにアップした動機について「あれを隠したままでいいのだろうか。闇から闇に葬られてしまうのでは。国民には映像を見る権利がある」と、公益性をアピールするような告白をしたのだ。  この報道に新聞各社は衝撃を受け、ニュース価値があると判断。同日夜、朝日、読売、毎日が自社ホームページのニュースサイトで次々とこの読売テレビの報道を転電するという、これまた異例の扱いを行った。 「民放テレビ内の報道にとどまるなら、捜査当局も無視できた。ところが大手紙3紙がこぞってこの報道を伝えたことで、いわば全国中に知れ渡ってしまい、この事前インタビューの存在によって『やはり逮捕するな』という声が高まれば、逮捕に重大な影響を与えかねないのです」(前出・社会部記者)  そうでなくても海上保安庁には、保安官の自首前から「犯人捜しをしないで」とビデオ映像を流出させた人物をかばう声が殺到し、むしろこれまで隠し通してきた菅直人政権の姿勢を批判する世論がじわじわと形勢されている。  捜査当局では、このあやふやな政権に乗っかって保安官に逮捕状を執行していいのか、逡巡が続いているのだ。
情報セキュリティガバナンス―情報漏えい対策と内部統制 徹底させなきゃ。 amazon_associate_logo.jpg
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重要参考人に別の巡視船保安官2人も 逮捕必至の神戸保安官との関係追及中

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ネット上では、くだんの海保職員を全力で支持する、
との声も相次いでいるが......。(YouTubeより)
 中国漁船衝突シーンのビデオ映像流出事件で、今日、新たな展開があった。神戸海上保安部に所属する巡視艇「うらなみ」のナンバー3に当たる40代の海上保安官が、上司の艦長に「自分が関わった」と告白していたことが判明。警視庁は同日中に、国家公務員法の守秘義務違反などの容疑で逮捕する。  ところが、神戸海保やその上部組織に当たる第5管区海上保安本部(神戸)は衝突事件の捜査に関わっておらず、ビデオ映像がいったい誰の手によって神戸の保安官にもたらされたのか、依然として謎のままだ。  実は、海上保安庁の内部調査から、漁船と衝突した当の巡視船保安官2人が厳重な監視の下、調べを受けていることが本サイトの取材で分かったので、ご報告しよう。この2人の重要参考人は、今回の衝突事件そのものに深く関わっているため、ここでビデオ映像について振り返っておく必要がある。  動画投稿サイト「YouTube」にアップされたビデオタイトルは「本当の尖閣 海上保安庁」。仙谷由人官房長官を連想させる「sengoku38」なる人物が投稿した、トータル約44分にわたる映像だった。  ビデオ映像によると、9月7日午前10時すぎ、尖閣諸島周辺の海域で操業していた中国漁船が突然動き出し、海上保安庁の巡視船「よなくに」の後方に激突。ドーンというぶつかった音がビデオ映像に残されていた。さらに、駆けつけた巡視船「みずき」にも後方から猛烈なスピードで襲撃した。  3日前、本サイトで指摘したように(参照記事)、巡視船に乗り組んだ保安官たちは衝突時に「止まれ!」などと絶叫し、命懸けの警戒行動に当たっていた。まだネットには投稿されていないが、未公開映像の中には、中国漁船に飛び移り、船長らの身柄を押さえたとき保安官たちが激しい抵抗に遭っているシーンが見られるといい、「それを見ればいかに中国漁船がひどい公務執行妨害行為に及んだか、一目で分かる」と海保関係者は口をそろえている。  このビデオ映像を実際見た当時の前原誠司・国土交通相も、迷うことなく中国人船長らを逮捕するよう指示したが、日中関係の悪化に伴って一転、官邸の介入によって船長を釈放したため、海上保安庁の誰もが怒りをこらえられなかったという。 「中でも一線の捜査に当たった石垣海上保安部の保安官たちの怒りは収まらず、内部調査でもそうした動機面から容疑者が絞られていったようです」(社会部記者)  ここでズバリ、明らかにしよう。  内部調査で浮上したのは、最初に漁船の衝突を受けた巡視船「よなくに」のほぼトップに位置する幹部保安官。現場でビデオ撮影を担当し、流出した44分ビデオに編集し直した張本人でもある。  「彼は過去に、私的に船に乗ったという理由から処分を受けている」と打ち明ける海保関係者は、「本当に義憤に駆られたのか、それとも処分への不満がくすぶっていたのか、判然としない」と動機面に疑問符を付けている。内部調査にも否認しており、捜査に乗り出した警察当局もまだ容疑者特定とまでは至っていなかった。  また、石垣島民への聞き込みから、「いつでもビデオを出してやる」と居酒屋で息巻いたという巡視船の別の保安官の存在も浮上しており、厳しい監視下に置かれているという。  海保の反感を一身に買った官邸の主・仙谷由人官房長官は、ビデオ映像流出直後の5日、「相当大きなメスを入れる改革が必要だ」と組織的犯行との見方を示していた。実際に海保から逮捕者が出る情勢となり、さらに複数の海上保安官が重要参考人に浮上したことで、海保全体をターゲットに据えた徹底した責任追及に乗り出すのは必至だろう。  しかしである。一方で、「犯人捜しはやめて!」という声が海保やマスコミに多数寄せられており、果敢に対処した海上保安官たちをないがしろにするような態度に出れば、官邸は取り返しのつかないしっぺ返しを食らうことを心に銘記しておくべきだろう。
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激怒していた海保、顔色を失う政府……尖閣"YouTube映像流出"狂想曲

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一度流出した動画は決して完全に消し去ることはできない......。
 政府があれほど公開を拒んでいた中国漁船衝突シーンのビデオ映像が、動画投稿サイト「YouTube」にいともたやすく流出し、菅直人首相をはじめ閣僚たちはあまりのショックに顔色を失っている。 「来週予定されているアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議をきっかけに、中国の胡錦濤総書記と会談を行い、日中関係の回復を図ろうと目論んでいたからです。官邸サイドは『これで衝突事件発生時と同じ、振り出しに戻った。これまでの努力が水の泡』と怒りを隠しません」(政治部記者)  問題のビデオは、撮影した海上保安庁と捜査に当たった検察庁で保管しており、いったいどこから漏れたのか真相はまだまだヤミの中。ところが、官邸はすでに「海保による組織ぐるみの犯行」と唱えており、その思い込みの激しさも含め、実にきな臭い雰囲気に包まれている。  沖縄県・尖閣諸島海域で起きた衝突シーンの映像を見ると、海上保安庁の巡視船「よなくに」と衝突した中国漁船が、今度は別の巡視船「みずき」にも自ら船首を向けて突っ込んでいく様子が赤裸々に映し出されていた。映像には、巡視船の乗組員が衝突時に「止まれ!」「ぶつかった」などと絶叫する声も収録されており、海保にとって命懸けの警戒行動だったことが手に取るように分かる。  そんな彼らに応えようと、当時の前原誠司・国土交通相は自ら進んで船長の逮捕を指示。ところが、日中関係が悪化すると、手のひらを返すように船長を釈放した。その首謀者は、前原大臣とその後見人である官邸の主・仙谷由人官房長官だったことは、国会や各メディアで取りざたされた通りだ。 「この2人の日和見な対応に、捜査に当たった海保サイドはカンカンでした。自らの職務を否定されたわけですからね。海保を取材をしていると、『いつでもビデオを出す用意はあるんだ』と語気荒い海保関係者はゴマンといましたよ」(社会部記者)  こうした一発触発の空気を官邸もうすうす察知していたのだろう。仙谷氏は5日の記者会見で「公務員が故意に流出させたとすれば、国家公務員法違反になる」と官僚の仕業だと言わんばかりに警告を発した上で、「捜査資料が外に出るのは大変な事態。相当大きなメスを入れる改革があらゆるところで必要だ」と大胆な発言に及んだ。この発言の趣旨を前出の政治部記者が解説する。 「あのような大胆なビデオ映像の流出劇は、個人の判断ではできないだろうから、海保ぐるみに違いないと読んでいるんです。『相当大きなメスを入れる』とは、海保を解体してでも犯人を突き止めてやる、とすごんでいるわけですよ」  ここで、保管元の事情を見ておきたい。  報道でも明らかになっているように、検察庁では当初、最高検と那覇地検の専用サーバーにビデオ映像が保存され、パスワードを管理する公安担当の検事や事務官数人がアクセスしたが、流出の形跡はなかったという。今はサーバーからも削除され、データを記録するUSBメモリーが金庫内に厳重に保管されているが、不審な点は見当たらないらしい。  一方、海上保安庁では編集されたDVDを担当課に置き、最終的に庁内の金庫に保管したが、すでに廃棄したと説明。ビデオ映像の原本は、石垣海上保安部(沖縄県石垣市)の金庫に保管され、第11管区海上保安本部(那覇市)が必要に応じてコピーしたというが、「保管状況の全容はまだつかめていない」と幹部はコメントしている。やはり、証拠品の保管状況では、海保の方が分が悪いかもしれない。 「官邸サイドは、海保の幹部も黙認する形でビデオ映像が流出し、それが右翼系のネットマニアを通じてYouTubeにアップされたのではないかと見ているようですね。なぜ『右翼』なのか。それは、流出映像に付いていた名称『sengoku38』が、『仙谷・左派(さは)』と読めるからです(笑)」(前同記者)  とはいえ、映像データが盗み出された可能性も消えたわけではないのに、官邸サイドが「意図的流出」とアナウンスするのはいかがなものか。そんなに先走っては、相手の思うつぼなのに......。 ◆YouTube検索-尖閣諸島衝突
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