「コネがなければ買えばいい」岩波書店の上を行く、中国"究極"理不尽就活事情

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 岩波書店の2013年度の社員募集要項に、同出版社の著者や社員の紹介が応募条件として明記されていたことが、縁故採用ではないかとネット上で話題となった。また、小宮山洋子厚労相も「早急に事実を把握したい」と調査に乗り出す構えを示すなど、日本では国をも動かす騒動となった。  しかし、ところ変われば何とやら。この春、東京の大学を卒業予定で、北京市で就職活動中という中国人男子留学生は意にも介さない。 「なんでこんなことが問題になるのか分からない。中国では、縁故採用は当たり前。親戚や知人に政府関係者や大企業の重役クラスの人がいれば、履歴書の『特記事項』の欄にその名前を書いておくのは常識ですよ。この企業(岩波)は採用基準を正直に申告しただけ透明性が高い」  中国では現在、就職活動がピークを迎えている。卒業月にあたる6月には、過去最大となる約680万人が大学を卒業予定。さらに昨年就職できなかった既卒者約200万人を合わせると、やはり過去最高となる約900万人の大卒資格者が目下、就職活動中ということになる。  一方で、大卒の就職率は6割前後にとどまっており、正規雇用を獲得できずにフリーター生活を続ける「蟻族」と呼ばれる高学歴ワーキングプアを量産している。  男子留学生によると、こうした超就職難の中、コネの有無は就職活動において最重要項目となっているという。  では、コネを持たない就職活動者は、もはや絶望するしかないというのか......。 「コネがないなら購入することもできますよ。中国には"コネ紹介会社"というのがある。彼らに頼めば、企業や役所の人事権に影響力のある人物を紹介してもらうことができる。例えば、鉄道局員や地方公務員のポストは日本円にして36~100万円ほどです」(男子学生)  一方、金銭ではどうにもならない、さらに理不尽な応募条件もある。過去には血液型がO型かB型であることを条件として社員採用を行っていたインテリア会社や、「てんびん座を優先して採用す る」と明言する企業も存在した。男子留学生も「『湖南省出身』ということを理由に、書類選考で落とされたことがある」と自らの体験を話す。  しかし、こうした現状にあっても、男子留学生は達観とも諦念ともいえる態度で就職活動を続けている 「人材市場では我々は商品。数ある商品の中からどれを買うか、その判断や基準は購入者である企業に委ねられてもしょうがない。そもそも世の中に平等なんて、ありえない」  かつて「労働者の平等」を掲げた共産主義国で育った若者は、資本主義国である日本の若者よりも現実的だ。 (文=高田信人)

いま誰もが気になる 中国の大疑問 やっぱりスケールが違う。 amazon_associate_logo.jpg
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新説? 珍説? 日本は「江戸化」が終わり「中国化」する――その心とは?

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與那覇潤氏。
 昨今、巷には中国脅威論を煽る本が並んでいる。『中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史』(文藝春秋)というタイトルだけを見れば、この本もその類の本かと思うかもしれないが、そうではない。多くの人が「近代化は、ヨーロッパから始まったもの」と考えるが、日本近現代史を研究する著者の與那覇潤(よなは・じゅん)さんは、同書などを通じて、「初期近代(近世)まで視野を広げれば、近代化は、宋朝の中国で始まった」と語っている。そして、宋で導入された画期的な社会の仕組みを中国化と名付け、「長い江戸時代」という「独自の近世」が続いていた日本もついに「中国化」し、中国のような社会になる可能性を論じるのである。今回、愛知県立大学で教鞭をとる與那覇さんに、本書のキーワードとなる「中国化」そして「再江戸化」について聞いた。 ――本のタイトルにもある「中国化」という言葉は、そもそもどのように生まれたのですか? 與那覇 現在の職場に着任して、初めて1年間を通して日本近現代史を教えることになりました。せっかくですから、授業では古代史から現代研究まで、多様な学生さんのためにもできるだけ長いスパンを扱って、歴史の見方を変えることができる話をしたいと思ったのです。そこで「近代化」の定義について、再考したいと考えました。一般的に日本における近代化といえば、明治以降の西洋化を指します。しかしそうではなく、むしろ近代化とは、中国化であるという見方をしたら面白いのではないかと。実際、現在の歴史学では「近世」(日本では江戸時代、中国では宋~清朝)をむしろ「初期近代」と解釈しているんですね。その立場に立つことで、明治時代以前・以降に、日本で起こったことを比較しながら考えることができると思いました。 ――「中国化」とは、具体的にはどんなものなのでしょうか? 與那覇 簡単にいうと、社会から確固たる地盤を持った貴族層や、その領地ごとに形成された村落共同体などの中間集団がなくなり、バラバラの個人だけになっていくことだと思ってもらえれば、わかりやすいと思います。 ――それだけ聞くと、中国化と西洋化は近い内容のように思うのですが、両者の違いとは? 與那覇 近代化する前の時代というのは、集団主義で個人が抑えつけられたり、権力者が庶民を支配していたりというイメージがありますね。いわゆる西洋化(これまでいわれてきた「近代化」)とは、貴族の荘園や身分制度が解体されて、経済が自由化すると同時に、政治的にも民主化していく。さらに宗教社会が世俗化して、思想的には多元性が容認される状況になることです。しかし、中国で起こった近代化=中国化では、個人はバラバラで自由になる一方で、政治的な権力はものすごく集権化されたんですね。つまり、個人の経済活動や職業選択の面では自由になりますが、政治的には超強力な中央集権の権力が発動され、その下で思想も画一化される。具体的にいうと、宋朝(960~1279年)の中国では世界で最初に皇帝以外の身分制や世襲制が撤廃され、移動の自由、営業の自由、職業選択の自由が広く行き渡りました。しかし、貴族がいなくなったことで皇帝独裁になり、しかも皇帝に仕えて政治を担うには、科挙と呼ばれる、儒教イデオロギーを徹底的に身につける試験をかいくぐらないといけなくなった。 ――日本は、地理的にも中国と近く、あらゆる面で大きな影響を受けてきました。また、日本もいわゆる儒教文化圏という言い方をされることもあります。しかし、日本は宋の仕組み(中国化)を真似しそこねたと指摘されていますね。 與那覇 唐の時代までは中国を意識的に真似してきたのですが、なぜか宋朝以降の中国の仕組みを受け入れなかった。そして、江戸時代という、中国とはまた別の形の「独自の近代(近世)」を迎えることになります。思想史の研究者が明らかにしてきたことは、そもそも儒教社会をきちんとつくったといえるのは、中国と朝鮮王朝くらいで、日本の江戸時代は儒教社会などではないということです。現に、科挙制度ではなく身分制で社会が運営されていたように、個別の儒学者が何人かいても、政治の仕組み自体が儒教的に正当化されたり、設計されたりしたわけではなかった。むしろ、儒教の影響が出始めるのは幕末で、それは明治維新を通じて完成されていきます。要するに、日本は儒教化の後進国だったのです。 ――本書の中に出てくるもうひとつのキーワードが「再江戸化」という言葉ですが、まず「江戸化」とはどのような意味でしょうか? 與那覇 一言でいうと、一般庶民が「家産」で食べていくことです。江戸時代というのは、家ごとに仕事が与えられ、自分の家の生業をやれば食べていける社会だった。それまでの時代というのは、稲作が十分に普及していなかったため、農業だけで食べていける家はそんなにありませんでした。江戸時代になると、稲作が普及し、自分の家の田んぼを守れば、なんとか食べていける状況になりました。 ――しかし、明治維新以降、産業革命で工業が発達しますね。 與那覇 ところがそうなっても、もともと農家ベースであった家職制度を半ば強引に工業社会に適用させます。これを本書では「再江戸化」と呼んでいます。家職制度を強引に工業社会に適用させた例としては、2つあります。ひとつは主に男性対象で、終身雇用に代表される日本的経営で、一度就職をすれば、よほど悪いことをしない限り、定年まで食べていけるという仕組みですね。これは江戸時代では田んぼだったものが、会社に置き換わったのです。もうひとつが女性を狙い撃ちした、ほとんど強引なまでの離婚率の低さです。家族道徳を異様なほど強調して、一度結婚したら絶対に離婚をするなという仕組みを普及させた。この両者の組み合わせによって、もはや農村社会ではないにもかかわらず、家ごとに(夫が)ひとつの仕事さえきちんとやれば、最低限ご飯は食べられるという江戸時代のような社会を無理やり延命させた。しかし、リストラや離婚が日常茶飯事になった今の日本は、この「再江戸化」も限界に達して、「中国化」へと移行する局面にあるというのが、本書の主張です。 ■日本人が江戸時代に憧れを抱く理由 ――世間一般を見ると、江戸時代、小説やテレビドラマの題材になるなど、特に人気のある時代です。中には「江戸時代に生まれたかった」ということを言う人までいたりします。江戸時代を好む人の多くは、どこに魅力を感じているのでしょうか? 與那覇 ひとつの理由は、先ほど説明した家職制度に見られるような安定性ではないでしょうか。つまり、やれる仕事は家ごとに決まっていて、大金を稼ぐことはできないけど、最低限食べることには困らない。もうひとつ、一方的な勝ち組と負け組に分かれるのが日本人は嫌いなんでしょうね。誰もがお互いに我慢しながらやっていくというのは、日本人がジーンとくるモラルなんです。その究極系が江戸時代なのですが、でも、それはある意味で、100パーセント満足している人が誰もいない社会です。たとえば、武士は政治的には威張っているけど貧乏で、商人は裕福だけど武士より身分が低いから、大名行列が通ると頭をさげなければならない。 ――それに関連してですが、江戸時代の身分制度が、士農工商ではなかったというのは本当ですか? 與那覇 学問的な近世史では昔から常識なのですが、江戸時代の身分制度が、士農工商の4分割だったというのは正確ではありません。制度的には4分割というより、むしろ3大身分制でした。武士は当然一番上なのですが、残りは百姓と町人にわかれて、どちらが上の身分というのはなかった。しかも今の戸籍にあたる宗門人別帳のうち、村の台帳に載っている人が百姓で、町の台帳に載っている人が町人なので、百姓だからといって「農民」とは限らない。そもそも士農工商は漢文のフレーズです。士農工商の「士」を日本人は武士だと思っていますが、それは日本が儒教の導入が遅かった特殊な社会だからです。儒教社会である朝鮮や中国では、士は武士のことではなく士大夫の士です。つまり、科挙に受かって儒教思想をよりよく修め、国家に認められ、天下国家を担う人が士なんです。 ――他にもプロの歴史学者と一般の歴史ファンでは、とらえ方が違うなというものはありますか? 與那覇 本書でも書きましたが、それはもう戦国時代ですね(笑)。今も昔も戦国時代ファンは多いですが、多くの人が思っているような時代ではありません。どうしてあれだけ戦争をしていたか。それは食べ物がないから、食糧の奪い合いだったわけです。先ほども述べたように江戸時代初期の新田開発までは、稲作が完全には普及していないので、毎年、慢性的な大飢饉状態が続いていたのが戦国時代です。 ――まさに生存競争を繰り広げていたと。 與那覇 そうです。ドラマなどでは武将たちが高邁なビジョンを掲げ、それを競い合うカッコいい合戦の様子が描かれていますが、実情は、飢える寸前で、血みどろで食べ物の取り合いをしているのが戦国時代です。大河ドラマなんかよりも、たとえばアフリカの内戦のドキュメンタリーとかを見た方が、「本当の戦国時代」に近づけると思いますよ。逆にいうと、それを克服して生まれた秩序だったから、日本人はいつまでも「江戸化」を諦めきれない。 ――本書は話題を呼んでいますが、一方で困った反響などはありますか? 與那覇 タイトルだけを見て悪口を言うのはやめてほしいですね(笑)。もうひとつ、「中国化が優れていると著者は主張している」という誤読が多いです。中国のほうが歴史的には「進んだ」社会で、これからは日本も「再江戸化」が維持不可能になって、中国のような社会になるとは言っていますが、それが「良いものだ」とは一言も書いていません。そういう誤読をする方は、無意識のうちに「進んでいるというのは良いことだ」という価値観を前提にしている。それは要するに、人類は進歩しているという幻想を信じているということです。多くの宗教的世界観では、人類はむしろ退化していく。人類が進歩しているという思い込みこそが、近代ヨーロッパに見られる特殊な歴史観で、いま、先行きの見えない不安定な世界で私たちが直面しているのは、そういう思い込みの「終わり」です。  本書は歴史に詳しくない著者でも十分に楽しむことができた。何といっても、この本を読むと、現在の社会を見る新しい視座が与えられることだろう。お薦めです。 (構成=本多カツヒロ) ●よなは・じゅん 1979年生まれ。東京大学教養学部超域文化科学科卒。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員等を経て、現在、愛知県立大学日本文化学部歴史文化学科准教授。専攻は日本近現代史。著書に、『翻訳の政治学――近代東アジア世界の形成と日琉関係の変容』(岩波書店)、『帝国の残影――兵士・小津安二郎の昭和史』(NTT出版)がある。
中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史 自然な流れ? amazon_associate_logo.jpg
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アンチ中国人デモも……香港で高まる大陸中国人への反感

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香港ディズニーランドで、
ポップコーンを食い散らかす大陸中国人の子どもたち。
 1997年に中国に返還されてから今年7月で15年を迎える香港。一国二制度の中、特別行政区という特別な地位を与えられて中国に復帰した香港だが、中国人と香港人の間には、今なお深い溝があるようだ。  昨年、香港大学が市民を対象に、世界の国と地域の住民に対する好感度についてアンケート調査を実施したところ、好感度第1位は日本人。逆に反感度第1位となったのは、なんと同胞のはずの大陸中国人だった。  こうした香港人の反中国人感情が、最近さらに高まっている。きっかけは、北京大学の孔慶東教授が、動画ニュースサイト上で香港人のことを「イギリス植民者に飼いならされた犬」と罵ったことである。孔氏は、動画投稿サイトで公開された、香港の地下鉄内で子どもに菓子を食べさせていた大陸中国人の母親に香港人が注意している動画が気に入らなかったらしい。香港では地下鉄での飲食は禁止されているが、孔氏は「法律で秩序を維持するのは、自主性がないことの証」とも放言した。  これに対し、香港のネット市民は一斉に反発。ネット掲示板では大陸 中国人批判の大合唱となった。また、市内ではネット上での呼びかけをきっかけとする、アンチ大陸中国人デモも行われている。  ちなみに以下は、香港市民によってネット掲示板に投稿された、香港を訪れた大陸中国人による非文明行為を撮影した写真の数々だ。現実を突き付けられた中国人は、ぐうの音も出ない?
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どこにでも座り込んで休憩してしまう大陸からの買い物客。
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夢の国ディズニーランドの園内で、子どもに小便をさせる大陸中国人。
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洗面台を占領して子供の足を洗う大陸中国人。
(文=高田信人)
中華バカ事件簿 デカイ国なので、いろいろあります。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・ハンマーでぶっ壊された上海ミスドが裁判で勝てない理由とは?毒餃子事件再発の影でささかれる「ジャッキー・チェンの呪い」のうわさ欧米メディア・人権団体から非難囂々 中国「小人テーマパーク」に行ってみた

アンチ中国人デモも……香港で高まる大陸中国人への反感

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香港ディズニーランドで、
ポップコーンを食い散らかす大陸中国人の子どもたち。
 1997年に中国に返還されてから今年7月で15年を迎える香港。一国二制度の中、特別行政区という特別な地位を与えられて中国に復帰した香港だが、中国人と香港人の間には、今なお深い溝があるようだ。  昨年、香港大学が市民を対象に、世界の国と地域の住民に対する好感度についてアンケート調査を実施したところ、好感度第1位は日本人。逆に反感度第1位となったのは、なんと同胞のはずの大陸中国人だった。  こうした香港人の反中国人感情が、最近さらに高まっている。きっかけは、北京大学の孔慶東教授が、動画ニュースサイト上で香港人のことを「イギリス植民者に飼いならされた犬」と罵ったことである。孔氏は、動画投稿サイトで公開された、香港の地下鉄内で子どもに菓子を食べさせていた大陸中国人の母親に香港人が注意している動画が気に入らなかったらしい。香港では地下鉄での飲食は禁止されているが、孔氏は「法律で秩序を維持するのは、自主性がないことの証」とも放言した。  これに対し、香港のネット市民は一斉に反発。ネット掲示板では大陸 中国人批判の大合唱となった。また、市内ではネット上での呼びかけをきっかけとする、アンチ大陸中国人デモも行われている。  ちなみに以下は、香港市民によってネット掲示板に投稿された、香港を訪れた大陸中国人による非文明行為を撮影した写真の数々だ。現実を突き付けられた中国人は、ぐうの音も出ない?
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どこにでも座り込んで休憩してしまう大陸からの買い物客。
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夢の国ディズニーランドの園内で、子どもに小便をさせる大陸中国人。
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洗面台を占領して子供の足を洗う大陸中国人。
(文=高田信人)
中華バカ事件簿 デカイ国なので、いろいろあります。 amazon_associate_logo.jpg
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毒入り食塩摘発で明らかとなった中国ニセ食品業界の驚きの高利潤体質

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 中国でまたまた新たなにニセ食品が誕生してしまった。中国大手ニュースサイト「新華網」によると、安徽省で公安に押収された密造塩18トンから、除草剤の原料として使用されるグリホサートという物質が大量に検出されたのだ。  この毒入り食塩は江蘇省の製塩業者が製造したもので、すでに 1万4,000トンが、全国12省の市場に出回っていることが明らかとなった。この食塩を知らずに口にしてしまった人々の健康被害も心配されるところだが、しかし、驚くべきはその流通チェーンにかかわる中間業者の多さと利益率の高さである。  調査によると、このニセ食塩を製造した製塩業者は、廃棄された除草薬を入手し、それを工業塩へと加工。こうして1トン当たり1,200円ほどで生産された工業塩を、4,000円前後で密造塩卸売業者に販売していた。そしてさらにこの卸売業者は、1トン8,000円ほどで食糧業者に卸すと、その食糧業者は1トン1万5,000円ほどで食品小売店に販売していたという。  小売店がこのニセ食塩にどれだけの利益を乗せて販売していたかは不明だが、末端価格は最低でも、生産コストのゆうに12倍以上ということになる。さらに、小売店以外の中間業者のすべてが100パーセ ント以上の利益を得ているのだ。  それにしても、段ボールから肉まんを作ったり、下水から食用油を作ったり、中国のニセ食品事情には驚くばかりだが、その背景にはこうした高利潤があるようだ。その発想力と技術力をもう少し別のモノに生かせる日はいつになることだろうか......。 (文=高田信人)

中華バカ事件簿 トンデモ! amazon_associate_logo.jpg
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「今なら摘発されない?」iPad商標訴訟にアップル敗訴の広東省で盗作品が増殖中

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 今月13日、中国大陸でもiPhone4Sが販売開始を迎えた。販売日当日には国内5カ所のアップルストアには、夜を徹しての長蛇の列が作られ、客と警官隊が衝突する騒ぎも見られた。また、転売業者による買い占めが相次いだため、アップルストアでは販売を無期限停止する措置をとらざるを得ない事態となり、北京の店舗では怒った客が生卵を投げつける一幕もあった。  中国大陸でもまさに旋風を巻き起こしているアップルだが、一方では頭の痛い問題に直面している。  アップルは、iPadの商標権を主張する広東省深セン市のIT企業「唯冠グループ」と訴訟合戦を展開してきた。しかし昨年12月、深セン市の地方裁判所で出された判決は、アップル側の主張を退けるものであった。    本家本元が商標を横取りされるケースは、『クレヨンしんちゃん』をはじめ中国では枚挙にいとまがないが、iPadの場合、その人気の高さゆえ、これまでに類を見ない大きな弊害が出始めているという。 「深セン市にある広東省最大の電気街、華強北路にはアップル製品の山寨(パクリ製 品)が以前から溢れていましたが、見かけはiPadのもろパクリでも、『lPad iRad』といったように、商標は微妙に変えられていたんです。これはパクリ王国といわれる中国であっても、商標法違反に対しては取り締まりが意外と厳しかったから。『iPad』のロゴが書かれてある商品も中にはありましたが、店頭ではその部分に黒いシールが張られ、隠されていたんです。ところがアップル敗訴の判決以降、iPadと堂々と書かれた商品が並んでいる。iPadの商標の帰属が確定していない現在なら、摘発されることもないと踏んでのことでしょう」(現地在住ライター)  ちなみに唯冠グループは、商標を無断で使用されたことに対する損害賠償として、100億元(約 1,250億円)をアップルに請求する考えを示しており、アップルはiPadを改名せざるを得ない可能性も、現実味を帯び始めている。 (文=高田信人)
中国商標実務基礎 ワル知恵満載? amazon_associate_logo.jpg
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今も燻るフォックスコン連続自殺 生産拠点の移転とともに内陸部へ飛び火

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Foxconn Technology Group公式サイトより
 中国でiPadやiPhoneなどのアップル社製品を受託生産する世界最大のEMS企業・フォックスコンは、100万人を超す従業員の中から優秀従業員として選出された200名を表彰し、副賞としてiPhone4や現金約5,000元(日本円で約6万円)、台湾旅行などを贈呈した。  フォックスコンといえば昨年、広東省深セン市にある工場で10人以上の従業員が相次いで飛び降り自殺を図る「連続自殺騒動」が起こり、過酷な労務環境が取り沙汰されたことも記憶に新しい。  そんななか行われた今回の表彰は、同社が従業員に配慮した企業であることをアピールする狙いがあると思われる。  連続自殺騒動のさなかにも、同社では再発防止策として賃上げや労働時間の見直し、さらに従業員への心理カウンセリングや僧侶による自殺者の供養などを実施した。その甲斐あってか、2010年11月に深セン市で23歳の男性従業員が自殺をしたのを最後に、自殺者は出ていなかった。   ところが最近になって、フォックスコンで再び従業員の自殺が立て続けに発生している。  今年7月18日、深セン市内の同社従業員寮で21歳の男性従業員が従業員寮の6階から飛び降りて即死。10月15日にも同地から目と鼻の先にある場所で、18歳の女性従業員が飛び降りて自殺を図った。  また、連続自殺騒動は、深セン市内のみならず中国全土にあるフォックスコンの生産拠点でも巻き起こりつつある。  5月26日、四川省成都市にある同社工場併設の寮で20歳前後の男性従業員が飛び降りて死亡。さらに11月23日には、山西省太原市の生産拠点で、21歳の女性従業員が飛び降りて死亡している。  これまで深セン市を主要拠点としてきたフォックスコンだが、沿岸部の人件費が高騰していることなどから、内陸への生産拠点の移転を進めている。しかしそれに伴い、連続自殺も各地に飛び火してしまうとは、実に皮肉な話である。  労務環境や福利厚生を改善しても、とどまるところを知らないフォックスコンの連続自殺。この騒動を引き起こしている本当の原因とはなんなのだろうか。 (文=高田信人)
スティーブ・ジョブズ I ジョブズも悲しんでるよ。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・「中国による乗っ取り!?」国内自動車マツダに中国・長安汽車が敵対的TOBか中国当局がひた隠しにする「連続飛び降り自殺」騒動ジョブズ氏の死をきっかけに密かに広がる「サムスン不買」の輪

「中国による乗っ取り!?」国内自動車マツダに中国・長安汽車が敵対的TOBか

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マツダHP
 日本の自動車メーカーも中国に乗っ取られてしまうのか。  「東京モーターショー2011」では、新世代のコンセプトカー「雄(TAKERI)」を世界初公開したマツダだが、一方で中国の5大自動車メーカーのひとつ長安自動車(長安汽車)に買収されるのではないかという見方が業界内でささやかれている。  マツダは2006年から中国で長安、フォードと3社の合弁会社でマツダ車を生産してきたが、来年にはフォードが抜けた「長安マツダ」の2社合弁となる予定で、中国政府の認可を待っている。そんな中、長安が香港の投資顧問会社を使ってマツダ株に関する調査を内外の証券会社などに寄せていたことが伝えられており、これがマツダ株の取得に乗り出したのではないかと見られている。  「米有力投資ファンドのアライアンス・バーンスタインなど2社が夏にマツダ株を12%も取得していることもその動きの可能性があります」とモータージャーナリスト。  こうした見方があるのは、その背景にマツダの経営難があると見られる。リーマンショック以降は株価が低迷、3月の震災でも大きな打撃を受けた。さらに、ヨーロッパの金融不安に伴う円高ではユーロ安が、国内生産に頼り欧州向け輸出車の多いマツダを直撃している。 「実際、10億円の黒字を当初見込んでいた来年3月期の連結最終損益が、190億円の赤字になると発表されました。最終赤字への転落はこれで4期連続で、非常に苦しい」(前出ジャーナリスト)  山内孝会長兼社長は30日、この経営状況について「円高環境下でも日本で造る車で収益を出すよう取り組んでいる」としたものの、一方では「円高だけは企業がコントロールできるものは何もない。糸が切れそうになる直前」とも発言している。  前出ジャーナリストは「この危機に長安が敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けてくることも十分予想されます。仮にそうなれば、マツダの経営権を得てロータリーエンジンに象徴される高い生産技術などが中国に流れてしまう」と危惧する。  いまや中国の食指はすでに他業種では顕著で、これまで三洋電機やレナウン、ラオックスなどが中国企業に買収されており、日本の主要産業である自動車も標的の例外ではないだろう。ある投資家からは「マツダ株を保有している日本の銀行も黙って見ているわけはないので、そう簡単にはいかない」という声も出ているが、将来の日本を左右する可能性を持つ問題だけに心配は大きい。 (文=鈴木雅久)
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毒餃子事件再発の影でささかれる「ジャッキー・チェンの呪い」のうわさ

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ジャッキー・チェンが出演していた
政府広報ビデオ。
 中国で、毒餃子事件が再び発生した。北京五輪の公式スポンサーでもあり大手食品メーカーの「思念食品」が製造した冷凍水餃子から黄色ブドウ球菌が検出され、販売中止となったのだ。  この騒動に関し、中国のネット上ではある"呪い"がまことしやかにうわさされている。  回収騒ぎとなった商品の広告塔を務めていたのは、世界的スターのジャッキー・チェン。ところが、このジャッキーが過去に広告塔となった商品や企業が、次々と悲運に苛まれているというのだ。  中国版Twitter「微博」に書き込まれたネット市民らのつぶやきによると、ジャッキーの呪い伝説の始まりは、今から15年ほど前にさかのぼる。ジャッキーはVCD機メーカー「愛多VCD」のCMに出演。広告効果は上々で、同社は業界トップ3の座へと躍り出た。しかし、それも束の間、数年のうちに同社は経営破綻。経営トップは詐欺罪で逮捕され、懲役8年の刑に処せられた。  またその後、ジャッキーがCM出演していた中国産コーラ「汾湟可楽」も、間もなく市場から姿を消している。ジャッキーへの出演料も含め、年間1.5億元という巨額なテレビ広告費も、足を引っ張ったといわれている。  また最近では、昨年7月、ジャッキーがイメージキャラクターを務めていた、育毛促進漢方薬配合のシャンプー「覇王」の成分に、発がん性物質のジオキサンが含まれていたことが判明。製造元の覇王集団の株価は14%急落する事態となった。  ちなみにジャッキーはかつて、各地の出国審査場で放映される、中国からの模造品の持 ち出し禁止を呼びかける広報ビデオにも出演していた。これは、北京五輪が行われた2008 年に製作されたもので、「我が国は模造品密輸対策を行っていますよ」という世界にアピールするものだ。ところがその後、中国から世界への模造品輸出は減るどころか増加傾向にあり、世界に溢れる模造品の3分の1が中国産という不名誉に甘んじている。これもやっぱりジャッキーの呪い!? (文=高田信人)
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流通過程で殺され続ける動物たちの慟哭を聞け!!

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中国の「花鳥市場」で販売されている、動けないほどの狭いケージに
閉じ込められた犬。値段を聞くと「1,500元(約1万8,000円)」。
「観光客価格です。現地人なら900元(約1万円)まで下がる」と、
中国やヨーロッパなどで動物愛護に取り組んでいる上海在住の
日本人Aさん(35歳)は明かす。
 経済成長を続ける中国で、生活の豊かさを背景にペットブームが拡大している。中国のあるペット専門誌の調べでは、中国の20主要都市で飼われている犬の数は約5,800万匹。これは日本国内の犬と猫を合わせた飼育頭数約2,200万頭(2009年ペットフード工業会調べ)の2.6倍に相当する。また、北京市保護小動物協会の05年の統計資料によれば、同市のペット市場規模は6億元(約72億2,000万円)を突破したという。  マーケットが拡大を続ける中、中国人のずさんな動物の扱い方も問題視されている。中国メディア「京華時報」は09年4月、北京市郊外のペット市場で一部の業者が犬の体毛を染色したり、塩水注射で口元を整形した犬を販売し、活発な犬に見せるために興奮剤を飲ませる業者もいるとの記事を配信。業界の慢性的なモラル欠如を告発している。  モラル欠如の象徴としてしばしば指摘されるのが、「花鳥市場」の存在だ。花鳥市場とは中国国内に多数存在する"なんでも市場"ともいうべき巨大な青空市で、犬や猫、鳥、魚、昆虫、植物、衣類、生活雑貨など、生き物から物品まであらゆる商品が売られている。正規のペットショップを利用する客は一部の層に限られ、多くの国民はこの花鳥市場で犬や猫などのペットを購入している。たとえば上海では、市内全体で60~70カ所の花鳥市場があり、法律上はそのすべてを政府が管理。出店希望者は上海市住房保障和房屋管理局の市場部に申し込み、当局と賃貸借契約を結ぶことで誰でも商売が可能となる。  中国やヨーロッパなどで動物愛護に取り組んでいる上海在住の日本人Aさん(35歳)は、「花鳥市場で売られている動物たちは例外なくルートが不明で、扱いも虐待に近いほどひどい」と説明する。 「花鳥市場では、基本的に野良犬や野良猫を捕まえて繁殖させ、商品価値のありそうな犬猫を販売していますが、新しい犬猫がどんどん入ってくるため、売れ残った動物は、ところてん式に押し出されて殺されていきます。狂犬病ワクチンの予防接種などは一切打たれていません。あまりに環境がひどすぎるため、欧米の愛護団体などが場内で業者と揉めるなどのトラブルも起きており、最近はナーバスになっている業者が写真撮影している外国人を怒鳴っている光景も目にします」  そのAさんの案内で、上海市内の花鳥市場を見てみることにした。場所は上海北部郊外にある普陀区。同区だけで5カ所の花鳥市場があるという。そのうちの一つを訪れると、およそ300坪ほどの敷地に、さまざまな店がひしめきあうように立ち並んでいた。動物たちは例外なく狭いゲージに折り重なるように詰め込まれ、中には死んで動かない動物も見受けられる。子猫の顔をよく見ると、顔全体に黒くまだらな点々が見える。「これ全部、ノミの糞ですよ」とAさんが嘆息する。
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顔中の黒いまだらの点は「ノミの糞が散らばったもの」(Aさん)。
環境の劣悪さが分かる。
 別の店では、毛が抜けて明らかに病気と思われる犬が、別のケージに隔離されている。投薬などの措置が施されている気配はない。場内に立ち込める悪臭に顔をゆがめると、Aさんは「今日はまだ涼しいからマシです。夏はとてもじゃないけど来られませんよ」と苦笑いした。 「新しい犬や猫を次々に仕入れてきては、弱った順に殺されていく。今ここにいる犬や猫たちも、来週にはいるかどうか分かりません」(Aさん)
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激しく毛が抜け落ちてぐったりとする犬。
商品価値がなくなった動物は処分されるだけだという。
 こうした中、中国でも動物愛護意識は高まっており、ずさんな扱いを虐待行為と批判する声も増えている。中国では今年4月、食用の犬約520匹を積んだトラックが、高速道路上で約300人の愛犬家グループに囲まれるという事件が発生。愛犬家らはすべての犬を買い取ることで運転手と話をつけたが、あまりの数の多さに結局は引き取ることができなかったと地元紙が報じている。  また、法規制の動きもあり、09年には中国社科院法学研究所の専門家たちが「反虐待動物法」という法案を提出したものの、同法案には中国国内にも賛否両論あり、現在は事実上ストップしている状態だという。  一方、「ペット市場の環境が劣悪だという点においては、日本も外国のことを言える立場にありません」と言うのは、公益財団法人どうぶつ基金(http://www.doubutukikin.or.jp/)の佐上邦久理事長だ。 「生まれたばかりの犬や猫は、環境の変化や輸送に弱いためと、母親や兄弟との触れ合いで社会性をつけるために、欧米の国や州では生後8週齢(約2カ月)未満の犬猫の取引は法律で禁止されているところがほとんどです。ところが日本では、生後すぐに子犬を母犬から引き離して売ってしまう。仮に病気に感染している場合、発症する前の小さくてかわいいうちに売り払ってしまったほうが、業者にとって利益になるからです」
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福岡市内の悪質なブリーダーから市民団体に救助された全身皮膚病の雌犬(写真左)。
ひたすら出産のみを義務付けられ、病の治療は一切行われなかった。
現在は佐上理事長に引き取られ、一年かけて健康体を取り戻した(写真右)。
 また、犬や猫を糞尿だらけの小さなカゴに詰め込んで飼育するブリーダーは、日本にも数多くいるといい、中には数を増やすことだけを目的に、父犬と娘犬や孫犬との近親交配も、一部の業者では常態化していると指摘する。 「環境省が公表している『犬猫調査のまとめ』によると、年約15万頭の犬や猫が業者によって生産され、そのうち生きて消費者に販売されるのは約6万頭。残りは死産や売れ残りという理由で処分されています。トレーサビリティ(流通履歴)の確保もされていません。年間約24万頭の犬猫が保健所で殺処分されているニュースは目にすることはありますが、流通ルートで10万頭近くが処分されている事実を国民は知るべきです。こんな国は先進国では日本だけです」  また、多くの国で禁止されている店頭での陳列販売が、日本ではほとんど問題視されていない現状に驚愕する欧米の愛護団体も多い。前述のAさんが、日本では一般的な「生体市場(オークション)」の問題点を次のように指摘する。 「日本のペットショップではオークションで仕入れた犬や猫が店頭のガラスケースに陳列されて売られていますが、狭いケースで陳列される環境は子犬には非常に苛酷で、ストレスから精神的に大きな負担を強いるために、イギリスでは法律で禁止されています。また、オークションでは動物たちが病気に感染しているかなどの健康状態を知ることができないため、店頭で他の子犬に感染を広めてしまうこともあるのです」  ヨーロッパの動物事情に詳しいある外資系メディアの記者は、日本や中国のペット市場には法律や条例による規制が今すぐ必要だと考えている。 「ドイツでは飼育面積などの規定も動物の種類ごとに法律で細かく規定されていて、犬については小屋の材質や散歩する時間、リードの長さまで決められています。また、無責任に犬を飼えないように『犬税』も存在します。ペット後進国の日本や中国は、こうした動きを積極的に導入していくべきでしょう」(同記者)  日本で法規制が遅々として進まないのはなぜだろうか。最大の原因は「悪質な業者の利益を関係省庁の天下り団体が守っている構造にある」と指摘するのは、前出の佐上理事長だ。8週齢未満での取引禁止などが法制化されると、手間やコスト面で業者にとっては大きなマイナスとなる。このために業界団体が環境省や農水省などからの天下りを受け入れることで、業界に不利な法規制に歯止めをかけているというのだ。 「動物愛護法の改正については、環境省の諮問機関である中央環境審議会動物愛護部会で審議されますが、ここの委員は過去に『日刊サイゾー』で助成金詐取が暴露された『日本動物福祉協会』のお抱え獣医師(※記事参照)や、農水省の天下り先である「ジャパンケネルクラブ」の理事長らが顔をそろえています。前回の法改正時には幼齢犬の分離を56日にする案が出されていたのに、土壇場でなぜか廃案。その直後に当時の環境省動物愛護管理室長は、動物愛護部会と小委員会臨時委員を輩出している業界団体『日本愛玩動物協会』の理事に天下りしています。しかし、新聞もテレビもこれを報じない。政治家と業界、官僚がズブズブの関係なんです。これでは適正な法改正などできません。ましてや中国を批判なんて恥ずかしくてできませんよ」  では、現状を変えるためには何が必要なのか。佐上氏は、一部の欧米諸国で導入されている飼育免許制度の導入と、流通構造の抜本的な改革が必要だと主張する。 「ペットを飼いたい人は講習を受けて飼育免許を取得する。流通構造については、問題の温床である店頭販売やセリを法律で禁止し、店で買わずに保健所やNPO団体が行っている保護施設から譲り受ける。どうしても買いたい人は、ブリーダーに予約して直接購入する。こうした改革が急務です。幸いにも、現在の環境省動物愛護管理室の職員は、問題の本質を受け止めながら真摯な態度で法改正に取り組んでいます。彼らの自浄能力に期待しています」  一方、市民レベルでの意識改革が必要だと説くのは、中国・上海で猫の里親探しなどの活動を続けている民間組織「ストレイ上海(Stray-Shanghai)」(http://stray-shanghai.jimdo.com/)だ。一人ひとりができることを考え、可能な範囲で実践に移していくことが何より大事だと指摘する。 「できることは人のキャパによってさまざまですので、絶対的な答えはありません。お金に余裕があれば資金面での支援ができますし、そうでなくても、近所の野良猫に去勢や避妊手術をする活動に参加することも可能です。一人ひとりが意識を変えなければ存在する問題を直視できませんし、現状を変えることは不可能です。まず、彼らの存在に気がついてあげられる事、そこが一番大事なポイントだと思っています」  事実、ストレイ上海のロシア支部「ストレイ・ピーターズバーグ」(Stray-Petersburg)では、2000年からサンクトペテルブルグ市に働きかけを続けてきた結果、これまで薬殺処分されていた野良犬に対し、国家予算での治療(チップの装着、不妊去勢手術、ワクチンや狂犬病の予防接種など)を行政に義務づける条例改正を06年に実現。また、同団体はフィンランドやスウェーデン、ドイツ政府とも協力し、野良犬の里親探し活動で300件あまりの成果を上げている。  仮にも先進国の日本がペット大国と言われながら、その劣悪な市場環境を理由に中国と並んで国際的な非難を受けているのであれば、恥ずべき現実という以外ない。一刻も早い法整備へ向けた審議が求められる。また、草の根レベルでの意識改革を図りながら、天下りなどの構造的な問題へも、社会全体で厳しく目を向けていく必要があるだろう。 (文=浮島さとし)
殺処分ゼロ―先駆者・熊本市動物愛護センターの軌跡 小さな命を守れ! amazon_associate_logo.jpg
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