"業界のタブー"セブン-イレブンの「加盟店いじめ」に下された審判

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1万3,500店舗以上を誇り、いまだ増え
続ける巨大チェーンの問題とは?
 コンビニ・フランチャイズ業界で、トップに君臨し続ける、鈴木敏文会長率いるセブン-イレブン・ジャパン。同社本部が値下げ販売制限等をめぐって約2,600万円の損害賠償を福岡市内の元加盟店オーナーS氏から求められていた訴訟の第一審判決が、9月15日に出た。福岡地裁は、販売制限を独占禁止法違反(優越的地位の濫用)と認め、同社に220万円の支払いを命じた他、加盟店契約内容が説明不十分だと認定し、本部が一審敗訴となった。  元オーナーであるS氏の訴えを簡単にまとめると、「自身の店舗で弁当等のデイリー品の値下げ販売を実施していたことに、同社本部が散々難癖をつけたことは独占禁止法違反であり、不当だ」とするもの。田中哲郎裁判長は判決理由で「(本部が)値下げ販売をやめるように繰り返し指導したことで、店側の取引を不当に拘束した」と独禁法違反を認定した上で、「値下げすれば利益を上げることができた」とも述べた。また、廃棄や万引きで「ロス」となった商品を売り上げに計上し、チャージを徴収する「ロスチャージ」といわれるコンビニ業界で用いられる特殊会計システムについても「計算方式が一般的な方法と異なることについて、加盟店側に理解できるよう配慮する必要がある」と述べ、説明義務違反を認定した。  要約すると、「価格販売の値下げは、加盟店の自由。廃棄リスクのある商品は値下げをしてでも販売した方が利益が上がるのだから、加盟店がそれを実施するのは当たり前。本部に制限する権限はない。ロスチャージ会計も契約時に加盟店に説明せよ」というもので、いわば、これまでの"本部側の常識"を覆す内容で、セブン-イレブン本部ならずとも、コンビニ各社の経営陣を戦慄せしめる判決なのだ。  筆者は2年前の2009年に2度も同社の井阪隆一社長に直接インタビューしたが(参照記事1)、その際「値下げをしても売上げ・利益が伸びるような効果はないし、会計の説明もきちんとしている」という、今回の判決と180度異なる趣旨を語っている。  S氏は1997年にセブン-イレブン加盟店オーナーになったが、2008年に脱退している。しかし、現役コンビニオーナーたちで作る労働組合「コンビニ加盟店ユニオン」はS氏を支援してきた。ある現役オーナーは「勝てる自信はなかった」と語り、本部から大金星を勝ち取ったことを誇った。九州のコンビニ加盟店ユニオンのメンバーには、契約解除を本部から不当に通告されたとして訴訟を検討しているメンバーもおり、この判決は自信となったようだ。  だが、S氏が求めていた約2,600万円の損害賠償金に対して、判決では10分の1以下の金額である220万円の支払い命令でしかなかったことや、「廃棄分のコストの15%は本部が負担していた」と同社本部が語っていたことは事実ではない、としていたS氏の主張は無視された形で、今回の判決は決して「完勝とは言えない」というのが、裁判関係者一同の見解のようだ。 ■ユニフォームで遺体の身元が分かる  今回の裁判を支援してきたコンビニ加盟店ユニオンの活動を筆者は度々報道してきたが(参照記事23)、今年で結成3年目を迎え、先月8月24日には東日本大震災の影響を考慮して、東京ではなく大阪で定期大会を開催した。
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コンビニ加盟店ユニオンの定期大会
 同大会には、北海道から九州まで全国のコンビニオーナーが参加し、中には被災地である福島県や宮城県といった東北のオーナーも姿を見せた。  宮城県でセブン-イレブン美里町関根店を経営する中林茂男氏は震災直後の状況を語り、しばらくはお店をまともに開店するどころか自分が食べるものすらなく、九州のオーナー仲間から食料が届いたときのありがたさや、水道供給停止中はトイレ使用を制限せざるを得なかったことや、いまだ行方不明のオーナーや従業員がいる切実な被災地店舗の状況を話した。特に「セブン-イレブンのユニフォームを着た従業員の遺体が発見された時、警察は『良かった。これなら身元が分かる』とホッとしたそうです」という逸話は、被災地の行方不明者たちの発見作業の熾烈さを垣間見せるものだった。  また、東日本大震災や原発事故の影響で、例年より国会議員の挨拶は少なかったが、それでも「フランチャイズ法を考える議員連盟」の事務局長・姫井由美子参議院議員と事務局次長・長尾敬衆議院議員が顔を見せた。震災でストップしていたフランチャイズ議連の活動も8月から再開しており、長尾議員は「政局がどうなろうと、フランチャイズ問題に取り組む」と、フランチャイズ法制定に取り組む強い信念を述べた他、姫井議員は「次の大会では首相を連れてくる」とまで発言した。鉢呂吉雄前経済産業大臣辞任劇に始まりドタバタの船出となった野田佳彦首相を、姫井議員はコンビニ加盟店ユニオンの定期大会に連れてくることができるのか?  福岡地裁の判決で、コンビニ本部による加盟店への不当な締め付けの実態はより明らかになった。こうした店を取り締まるフランチャイズ法の制定は、政界・法曹界の今後の大きなトピックとなりそうだ。 (文=角田裕育)
セブン-イレブンの真実―鈴木敏文帝国の闇 真っ暗。 amazon_associate_logo.jpg
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セブン-イレブン、業績好調もいまだ続く内紛──サイゾーが追ったセブン-イレブン問題

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セブン-イレブン・ジャパン公式HPより。
──「日刊サイゾー」で話題のあの記事をただ読む以上に、さらなる知識を知りたいそんなアナタのために、話が100倍(当社比)膨らむ" プレミアム"な記事をサイゾー目線で厳選レビュー!  今や我々の生活に欠かせないものとなったコンビニエンスストア。日本フランチャイズチェーン協会の発表によると、全国で42879店(2010年5月度発表)ものコンビニが現在営業をしているそうです。その中でも知名度、店舗数ともに圧倒的なのが、皆さんご存知、セブン-イレブン。セブン-イレブンを運営するセブン-イレブン・ジャパンの発表(6月末の時点)では総店舗数は12771店と、総コンビニ数に占める割合は実に25%近くに上ります。コンビニの4店に1店はセブン-イレブンであり、この不況下においてもその絶好調ぶりを見せつけている同コンビニ。しかし、昨年6月には見切り販売を制限していたとして公正取引委員会から排除命令が下るなど、その経営システムについては手放しで称賛できるものではないご様子。今年5月には加盟店オーナーがユニオンを結成し、株主総会で経営陣に詰め寄る事態が起こるなど問題は山積しています。  ところが、こうした問題を大手マスメディアはほとんど取り上げません。なぜならコンビニ最大手であるセブン-イレブンは、新聞や週刊誌の大事な取引相手であり、さらにテレビ局にとってはCMをバンバン打ってくれる大事なスポンサー様なのです。しかし、サイゾーではそうした流通タブーやスポンサータブーにひるむことなく、当時からばっちりとこの問題を取り扱っております。  そこで今回のレベルアップ案内では、いまだにくすぶり続けるセブン-イレブンの闇に切り込んだ記事を時系列に沿ってご紹介しちゃいます。ロスチャージと見切り販売制限にあえぐ現場の声からセブン-イレブン社長の反論、口を閉ざすマスメディアのヘタレっぷりまでをずらりとラインアップ。いつも店内ピカピカ、煌々と光り輝くコンビニエンスストアの、表からは見えない裏側を覗いてみませんか? そこで行われているのは、非情なる現代の「蟹工船」かもしれません......。 【日刊Pick Up記事】 セブン&アイ株主総会で経営陣とオーナーが激突!? 批判本の内容は事実無根と一蹴 (2010年6月25日付) フランチャイズ契約は奴隷契約なのか!? プレミアムな記事紹介はこちら↓ 【プレミアムな関連記事】 [レベル1:現場から聞こえる悲鳴] ボロ雑巾のように酷使される "名ばかり管理職" 店長の悲鳴 2008年7月23日付(日刊サイゾー) 本部>オーナー>店長の弱肉強食は変えられない? [レベル2:経営システムの功罪とは] セブン-イレブン「最強ゆえの光と影」 評価する側、批判する側の言い分(前編) 2009年3月号(プレミアサイゾー) 結局、扱う人間次第かも。 [レベル3:不当な搾取の仕組み] 加盟店vs本部の「最大の争点」 ロスチャージ、コンビニ会計とは? 2009年8月号(プレミアサイゾー) 利益0でも売上が出ちゃう不思議な錬金術。 [レベル4:激動の09年6月を総復習] セブン-イレブン帝国崩壊への序章 "排除命令""労組結成"で激震中!【1】 2009年8月号(プレミアサイゾー) でもやっぱり値引きしてるところって全然ないよね。 [レベル5:票田としてのコンビニ] 民主党政権誕生を支えた「コンビニ経営者ユニオン」 2009年10月号(プレミアサイゾー) 政治家さん、"食いつくのは選挙中だけ"とかダメですよ? [レベル6:セブン-イレブン側の見解を知る] セブン-イレブン会長&社長を直撃! "加盟店いじめ"をどう見ているのか? 2009年10月号(プレミアサイゾー) どちらかが折れなきゃ平行線は交わらない? [レベル7:さらに深~く追求] 再び セブン-イレブン 社長を直撃! "加盟店の反乱"をどう見る? 2009年12月号(プレミアサイゾー) nanacoのマスコットはキリンだけど、タヌキのほうが似合うかもね。 [レベル8:フランチャイズシステムの問題点を紐解く] 「いい気分♪」なんて言ってられないセブン-イレブン 搾取の実情を暴く本 2009年11月20日付(日刊サイゾー) コンビニでは絶対買えない本だってある。 [レベル9:大手メディアが報道しない理由] いまだセブン-イレブンを恐れる週刊誌に明日はあるのか? 2010年2月号(プレミアサイゾー) サイゾーはびびってなんかないんだからね! [レベル10:本格化する訴訟] オーナーは救われるか......セブン-イレブン「ロスチャージ問題」訴訟が九州で火蓋 2010年4月17日付(日刊サイゾー) 悪いものは悪いと言える九州男児。 プレミアサイゾー http://www.premiumcyzo.com/
なぜ、セブンでバイトをすると3カ月で経営学を語れるのか? バイトしたけど語れません(泣)。 amazon_associate_logo.jpg

セブン&アイ株主総会で経営陣とオーナーが激突!? 批判本の内容は事実無根と一蹴

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株主総会で、批判本を「事実無根」
と断言した井坂社長(左)。
 これまで、セブン-イレブン本部による、不当な加盟店の扱いを批判してきた筆者だが(参照記事)、そんな筆者にとって看過できないことが5月27日に開催された、セブン-イレブン、イトーヨーカ堂などをグループ内に収めるセブン&アイ・ホールディングスの株主総会で起きたので報告させていただきたい。  同総会参加者の中には、「この日のために自社株を買った」というコンビニ加盟店ユニオン(本部の事業改善を望む加盟店オーナー団体)のメンバーもいた。コンビニ加盟店ユニオンは現在、岡山県労働委員会に労働組合としての認定を申請中だが、まだ正式な認定は得ていない。過去にプロ野球選手会など、個人事業主の労働組合が労働組合法適応対象として認定され、団体交渉権を保有するに至ったことはあるが、審査には時間がかかるようだ。そのため、株主という立場で、経営陣に事業改善を交渉する加盟店オーナーは過去にも存在した。  株主総会の壇上に現れた経営陣たちは、同ユニオンメンバーの参加者がいるのを知ってか一様に緊張した面持ち。ポーカーフェイスの鈴木敏文会長もどこか覇気がなく弱気な雰囲気が漂うように思われた。  そして、株主質問を向かえて、その経営陣の度肝を抜く事態となった。質問者のトップバッターが、ユニオンメンバーである加盟店オーナーだったのである。  その内容も経営陣には頭が痛いものであった。その株主オーナーは、「『セブン-イレブンの真実』(日新報道)、『セブン-イレブンの正体』(金曜日)、『セブン-イレブンの罠』(同)という三冊の(同社に批判的な)著書の内容を経営陣はどう思うのか? この本の内容が事実無根なら名誉毀損等で提訴すべきではないか?」という趣旨の質問をした上、「こうした本が出た後、セブン-イレブンの経営を誇りを持ってできない」と付け加えた。  これらの著書の内容の事実関係について、セブン-イレブンの井阪隆一社長の回答も驚くものだった。「それらの本の内容は事実無根であるし、記述が曖昧」と著書の内容を全面否定する発言を行ったのである。『セブン-イレブンの真実』は筆者の著作であり、『セブン-イレブンの正体』の執筆にも筆者は関与している。『セブン-イレブンの罠』にも協力をしている。ゆえに、この発言は看過できない。  2009年10月号の「サイゾー」誌上において、井阪社長は筆者に対して「セブン-イレブンのもっとポジティブな面も取材してもらいたい」と発言はしたが、これらの著書の内容を否定する言辞は一言もなかっただけに、この期に及んでの「事実無根」発言に、筆者は驚愕すると同時に自著への誹謗中傷に憤慨した。  さらに、この勇気ある株主オーナーは同社の矛盾を突く数々の鋭い質問を行ったが、井阪社長がうろたえ、まともな発言ができなくなった上、議長が発言を遮るので、結局、質問者が納得いくような回答は得られなかった。  そもそも、拙著などを「事実無根」と言い切るなら、株主オーナーの言うように、なぜ筆者らを名誉毀損らで提訴しなかったのか? 井阪社長は、前述のインタビューも含め、2度面会しているが、「この本を読むと、『セブン-イレブンに入ると地獄だ、地獄だ』というような内容で寂しくなります」と同社の暗部のみにスポットを当てたことを遺憾だと表明したが、「この本の内容はデタラメだ」とは一言も発言しなかったではないか。  他にも、近隣店舗にセブン-イレブンを出店する「ドミナント戦略」(特定地域内にセブン-イレブンを集中出店させる戦略)が自分の店舗の地域で行われ、売り上げ・利益が低迷しているので迷惑しているという株主オーナーの発言も飛び出した。  これには鈴木会長自らが回答し、「セブン-イレブン・ジャパン全体では、売り上げは伸びていますから心配しないでください」と、加盟店を軽視する発言を行ったのである。  ドミナント戦略の効果は、地域内におけるのセブン-イレブンチェーンの認知効果を上げるために行い、その結果、各加盟店の売り上げが伸びるという相乗効果を生み出すというのが本部の主張だったはず(事実、コンビニが認知されていない時代は、ドミナント戦略は相乗効果を産んだと古参オーナーから聴いている)。  だが、取材してみて明らかなことは、タダでさえ競合店も多いうえに、同一チェーンを近隣に出店されると売り上げが低迷し苦境にあえぐと、北海道から九州まで全国各地のオーナーから嫌というほど聞かされてきた。また、顧客としてコンビニを使用してみても、それはよく分かる。立ち寄ったセブン-イレブンで、品切れのセブンPB商品等があると、近所のセブン-イレブンに行ってしまうからである。  こうした質疑応答に会場からは時折、野次が飛んだかと思うと、「私はセブン-イレブンのメロンパンが大好きなんです」と本部が用意したと思しきサクラ的な株主の発言や、長年の株主が、「鈴木会長はそろそろ世代交代してはどうか」という発言も飛び出した。  最後に、株主一同に対して、セブン&アイ・ホールディングス経営陣は揃って一礼したが、鈴木会長のみは礼もせず、しかめ面をしていた。さすがに今回は強気になりようがなかったようだ。なにしろ、コンビニ加盟店ユニオン結成以来の株主総会であるし、また、昨年の公正取引委員会の立ち入り検査と排除措置命令が響いて同社の株価は約4割も下落しているのであるから、これでは強気になりようがあるまい。まずは、オーナーや株主からの批判に真摯に耳を傾ける姿勢を見せてほしいものだ。 (文=角田裕育)
セブン-イレブンの真実―鈴木敏文帝国の闇 メロンパンは、たしかに美味しいよね。 amazon_associate_logo.jpg
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