
才能は高く評価されていた
エイミー・ワインハウス。
元X JAPANの沢田泰司(TAIJI)はサイパンの拘置先で首を吊り、英国の歌手エイミー・ワインハウスは自宅でナゾの死を遂げた。ここ最近、ミュージシャン死去のニュースが相次ぎ、世界的な波紋を呼んでいる。
TAIJI45歳、エイミー・ワインハウス27歳と世代は違うものの、2人に共通するのはアルコール中毒に苦しんだ過去だった。
「TAIJIは長年酒浸りの生活を送り、アルコール中毒から来るさまざまな症状に苦しんでいました。エイミー・ワインハウスのドラッグ、アルコール中毒ぶりは有名で、今年6月にはセルビアのコンサートで泥酔状態のままステージに登場してブーイングを浴びています。彼女の死因はまだ判明していませんが、現地では『薬物中毒から来る心臓発作』という報道が中心です」(音楽雑誌編集者)
日本では、多くのミュージシャンが薬物使用容疑で逮捕されるなど、薬物事犯に関する当局の締め付けは年々厳しくなっている。「90年代に比べると、薬物の入手が容易ではなくなった」(マネジメント関係者)とされる一方、アルコール中毒に陥るミュージシャンは増加する傾向にあるという。
「一昨年、期待された若手ミュージシャンSがアルコール中毒の治療も空しく、退院直後に亡くなる一件がありました。ミュージシャンの世界では、経済的に苦しいこともあるのか、健康診断を受けることなく、体調管理に無頓着という人があまりにも多い。TAIJIのように、気付いたら心身ともにボロボロになっていた......というケースは、他にも見受けられますね」(前出のマネジメント関係者)
アルコールや薬物中毒とは無関係であるが、解散したビジュアル系バンドKagrra,の元ボーカル・一志が7月18日に自宅で死去したほか、7月27日にはカリスマ的な電子音楽家のレイ・ハラカミが40歳の若さでこの世を去った。ミュージシャンではないが、一時代を築いた音楽評論家・中村とうようの飛び降り自殺もあった。
「1999年頃、スカパラのドラマー青木達之が線路で轢死するなど、ミュージシャンの病死、自殺が相次いだ時期がありました。当時はレコード会社の社員も複数亡くなり、業界内では"死の連鎖か"との声が出たものです。今年後半に同じようなことがなければいいのですが」(当時を知る宣伝プロモーター)
これ以上、悲しい知らせは聞きたくないものだ。
(文=久米信)
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「茂みの奥からガサガサと……?」夏フェスを騒がせる困ったちゃんたち

年々、集客がキビシくなってきている
フジロック。今年はどうなる!?
7月29日~31日、日本最大級の野外フェスティバル「フジロックフェスティバル'11」が開催される。これから9月にかけてが、いわゆる「夏フェス」シーズンだ。大自然の中で楽しく音楽を聴くというなんとも素晴らしいイベントなわけだが、毎年、主催者や運営者を困らせるオーディエンスが後を絶たないのも事実。某フェスのキャンプサイト運営者に話を聞いた。
「僕の持ち場は"キャンプのお悩み相談所"だったんですが、深夜に突然、ハイヒールにミニスカートの、フェスらしからぬ格好をした美女が現れたんです。彼女はほぼ手ぶら状態で、『わたしの泊まるテントどこ~?』と一言。そもそもキャンプサイトはテントや寝袋持参で泊まる場所なので、レンタルのキャンプ道具などは準備していないんです。深夜ということもあり、仕方がないので寝袋代わりに梱包用のエアパッキンを渡し、緊急用に建てた避難用テントに泊まってもらったんですが、さすがにあきれてしまいましたよ。また、解放感からか泥酔する輩も多く、自分のテントに知らない人が寝ていた、っていうことなんかもザラにありますね」
観客の中にはテントも立てられないようなキャンプ初心者も多く、毎年相談所では手を焼かせているようだ。だが、事件はキャンプサイトだけで起きているのではない。ステージ前でもありえない出来事と遭遇することもある。
「人気アーティストの出番で、ステージ前方は身動きが取れないほどのすし詰め状態でした。そんな中、僕の足に生温かい液体がかかる感触が! 後ろから何かかけられているようなんですが、飲み物ではなさそうだし、どうやらおしっこだったみたいで。確か、後ろにいたのは若い女の子のはずでしたが......」(フェス好きの会社員)
トイレに行きたくても人ごみから出ることもかなわず、どうしようもなく放尿してしまったのだろうか。また、伝説のロックフェス「ウッドストック」を彷彿とさせるようなラブ&ピースなエピソードも。
「フェスの会場内に流れる川で遊んでたんだけど、人がいっぱいだったからちょっと下流の方まで歩いていったんだよね。人がいなくなって、こりゃいいやって泳いでいたら、向こうの茂みがガサガサ揺れてて、なんか艶めかしい息づかいが聞こえてくる。何だろうと思ってよく見たら、男女ふたりがよろしくヤッてたんだよ! まさか人が来るとは思ってなかったんだろうね。2人と思い切り目が合っちゃって気まずいのなんの! ちなみに騎乗位でした」(某雑誌編集者)
この他、隣で踊っていた人からもらったラムネが実はいけないおクスリで、知らぬ間にバキバキにキマってしまった、などなどトンデモエピソードを挙げればキリがない。
何万人もの人が集まるからこそ、いろいろな物語も生まれる。楽しい出来事ならウェルカムだが、ケガや他人の迷惑になる行為はなにがなんでも避けたい。夏フェスを謳歌するもいいが、ハジケすぎには要注意!
「小室哲哉が楽曲提供も!?」BIGBANGのエイベックス移籍でK-POP戦争に決着か

どこらへんがイケてるの?
大手レコード会社エイベックスと、韓国の大手音楽プロダクションYGエンタテインメントによる新レーベル「YGEX(ワイジーエックス)」の発足会見が21日開かれ、BIGBANG、2NE1、SE7ENといったYG所属グループの同レーベル移籍が発表された。中でもBIGBANGはユニバーサルミュージック所属の人気グループであるため、音楽業界ではエイベックスとユニバーサルのK-POP覇権争いの行方に注目が集まっている。
「K-POPの売り出しで先行していたのは、少女時代、KARA、BIGBANG、超新星らを抱えるユニバーサルミュージックです。エイベックスとSMエンタテインメントが東方神起分裂騒動などでゴタゴタしている間に、ユニバーサルは幅広い事務所にアプローチしてヒットを生んでいました。しかし昨年、エイベックスがSMエンタテインメントと和解し、社内に専門部署を設けるなどして巻き返しを開始。今回のまさかのYGEX発足で、エイベックスは韓国の大手事務所を二つ抱き込んだ形になりますね」(マネジメント関係者)
レコード会社関係者によると、エイベックスは小室哲哉をはじめとする同社所属のプロデューサーや作曲家をYGエンターテイメント向けに提供することで、日本の音楽市場に最適化された作品づくりを約束したという。レーベル発足にあたっては相応の契約金も積まれた模様だ。
「大ブームを巻き起こしていると喧伝されているK-POPですが、CDセールスはAKB48やEXILEに遠く及ばず、本国の事務所関係者はみな『もっと売れるはずだ』と不満を募らせています。エイベックスはその点、外資日本支社であるユニバーサルに比べて機動的な資金力があり、J-POP界でヒットを出すためのノウハウも豊富だと、K-POP関係者の目には映ったのでしょう。もっとも、日本の音楽市場の冷え込みは深刻で、エイベックスと組んだからといって必ずしもヒットが出るとは限りませんが」(芸能雑誌関係者)
YGEXの発足に続き、エイベックス社内ではSMエンタテイメント専門レーベルの発足も検討されているといい、仮にそれが実現した場合は、K-POP覇権争いでエイベックスが大きくリードすることになる。BIGBANGメンバーの交通事故問題をはじめ、何かとトラブルの多いK-POP界。数多のトラブルを乗り越えてのし上がってきたエイベックスにとっては、馬の合う商売相手なのかもしれない。
(文=外場林太郎)
「SMAPっていったい誰!?」レディー・ガガ映像削除騒動でジャニーズ映像が世界に氾濫中

復活したYouTubeのガガ公式チャンネル「ladygagaofficial」。
先日来日を果たして大ブームを巻き起こしたレディー・ガガ。7月11日に放送された『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の出演映像がYouTubeの公式チャンネルにアップされたところ、著作権侵害の申し出によって映像が削除されたうえ、一度は公式チャンネル自体がアカウント停止に。15日17時現在、公式チャンネルは再開されたものの、レディー・ガガ自身がツイッターで同映像を紹介していたこともあり、世界的な波紋を呼んでいる。
削除要請を行ったのは、テレビ局やレコード会社からの委託を受けて削除申請を行っているメディアインタラクティブ社。同社は以前、宇多田ヒカルの公式チャンネルのPV映像に対し、誤って削除要請を行い、宇多田ヒカル本人の怒りを買うという騒動も起こしている。
「今回の削除要請はテレビ局からの委託によるものですが、アップ直後に削除要請を出したのは、レディー・ガガと一緒に映っていたのがSMAPだからでしょう。ご存知のとおり、SMAPが所属するジャニーズは、事務所が特別に許可したほんの一部のものを除いて、タレントの写真をネット上で一切公開しない方針をいまも貫いています。そのためウェブ制作の現場では、ジャニーズ所属タレントについては、雑誌の表紙写真やCDのジャケット写真一枚でさえも載せないのが鉄則。今回もメディアインタラクティブ社がそうした事情を忖度し、大慌てで削除要請を行なったと思われます」(ウェブ制作関係者)
著作権保護の観点から見れば、メディアインタラクティブの行った措置は何ら問題ない。実際、レディー・ガガの公式チャンネルはフランスのテレビ局から削除要請を受けた前例もある。もっともフジテレビ側としては、レディー・ガガ本人を巻き込んだ形での騒動は避けたかったのが本音ではないか。
「英語圏のブログやtwitterではすでに話題になっていて、『SMAPって一体誰だ?』という書き込みもあるようです。現時点では事実関係が冷静に議論されていますが、SMAPのように、ネット上での露出を厳しく制限する方針は世界的に見ても異例で、今後話題になっていく可能性もある。ネット媒体関係者の中では、今回の騒動が"外圧"となって、ジャニーズがもう少しオープンになることを期待する向きもありますね」(前出の関係者)
その後も、BBCがウェブサイトで詳しく報じるなど、収まる気配のないレディー・ガガの映像削除騒動。結果的にYouTube以外の動画サイトでも問題映像がアップされる事態となっており、ウェブ上の肖像権侵害に厳しい態度でのぞんできたジャニーズがどんな対応を取るか注目される。
(文=外場林太郎)
NMB48の"ブルマ公演"は確定か!? 東方神起、いきものがかりと同日対決

「絶滅黒髪少女」(laugh out loud records)
AKB48の姉妹グループとして大阪・なんばを拠点に活動するNMB48。7月20日にシングル「絶滅黒髪少女」(laugh out loud records)でデビューを飾り、PVは映画監督・行定勲が担当。「オリコン1位が取れなければブルマで公演」というマニフェストを掲げている。そんな7月20日同日にシングルをリリースするアーティストが判明。NMB48が1位を逃し、ブルマ公演を行う可能性はかなり高そうだ。
「同日には、東方神起、いきものがかり、GReeeeN、遊助、河村隆一、KREVA、キマグレン、Buono!、9nine、益若つばさのユニット・Milky Bunnyなどがリリース。中でも東方神起は、2008年4月以降リリースしたシングル10作中7作で1位を記録しており、新曲『Superstar』(avex trax)では、シングル2種類購入で特製シリアル入りカードなどのグッズが合計3万50人に当たるキャンペーンを実施。東方神起は現在、セブンイレブンで、同じくSMエンタテインメント所属の少女時代と共にメンバー公認の『韓国式キムチ冷麺』などを販売する一大プロモーションを仕掛けており、1位を獲るべく動いています」(音楽雑誌の編集者)
一方、意外にも過去に1位を獲得した経験がない、いきものがかりは、11カ月ぶりの新曲となる「笑ってたいんだ/NEW WORLD MUSIC」(ERJ)を発売。「笑ってたいんだ」は『日産セレナ』CMソング、「NEW WORLD MUSIC」はフジテレビ系『めざましテレビ』テーマソングと強力タイアップが付いており、こちらも注目度が高そうだ。だが、NMB48も独自の戦略があるという。
「NMB48は握手会を行う他、AKB48グループの"伝家の宝刀"である"写メ会"を開催。これは、CDを購入するとメンバーと2ショットで携帯の写メが撮影できるというもの。しかし、過去にAKB48、SKE48、SDN48が写メ会を行った際には、写メを撮りたいメンバーを指定してCDが購入できたものの、今回のNMB48は数量5万枚限定で、『写メ大会参加券』か『サイン入り生写真』のどちらかが当たるという形式で販売。写メ会が当たった場合でも、どのメンバーと撮れるかは当日抽選のため分かりません。また、グラマラスなメンバーが多いことでも知られるNMB48は、ついに7月13日発売の「月刊ヤングマガジン」(講談社)で1期生全員のグラビアを披露。話題になること請け合いです」(同)
劇場公演でのメンバーの激しい運動量はAKB48を遥かに凌ぐと言われているNMB48。吉本興業がかかわっているだけに、早くもテレビレギュラー8本も抱えている。ファンとしては1位を獲ってほしい気持ちと、ブルマ公演を見たいというアンビバレントな気持ちで揺れているところだろう。同日発売のアーティストから誰が1位を獲得するのか注目だ。
(文=蛹カルヲ)
「中高年ミュージシャンは元気バリバリ!?」井上陽水の不倫発覚で次に狙われる"大物"とは

『ハンサムボーイ』(SHM-CD)
歌手・ミュージシャンの熱愛スクープが相次いでいる。数年前から芸能マスコミの間でウワサされていた井上陽水とオセロ中島知子の不倫交際が「週刊文春」(文藝春秋)で大きく報じられたのをはじめ、EXILEのUSA、歌手のJUJUにも、それぞれ交際相手が発覚。さらに今週の「女性セブン」(小学館)は、人気若手バンドRADWIMPSのボーカル野田洋次郎が女優の臼田あさ美と交際していると写真付きで報じている。
「所属タレントを固くガードしている芸能系事務所とは違って、音楽系事務所のほとんどは放任主義で、マスコミ対策もできてないですからね。ミュージシャンはコンサート会場やクラブに交際相手を伴って現れることも多いので、音楽業界人に聞き込みをすると一発で交際情報が出てくる。あとは自宅周辺の張り込みをやれば、だいたいウラが取れるんです。実際、EXILEのUSAなどはいつも彼女を連れて遊んでいたから、交際発覚は時間の問題でした」(週刊誌記者)
さすがに井上陽水クラスの大物になると、事務所のガードが固い上に、都内に複数のマンションを所有するなどしているため、プライベートの動きを捉えるのは容易ではないという。だが、週刊誌の中心読者層である50~60代にとって、同世代のスターの熱愛事情は大きな関心事。昨今のスクープ連発を受け、各誌は音楽界の大物に照準を当てた取材活動を開始したようだ。
「音楽界きっての種馬と呼ばれ、今なお現役バリバリの坂本龍一を筆頭に、50~60代のミュージシャンはいたって元気ですからね。仮面夫婦説が出ているY、病気をきっかけに愛人の数を減らしたとウワサされるKなど、ネームバリューのある大物のスクープが近々出るかもしれません」(前出の記者)
意外なところでは、フォーク界の顔であるSや、チャリティーに熱心なIあたりにも、歳若い女性との交際情報がささやかれている。中堅どころでは、カリスマロックミュージシャンのYに一般女性との再婚情報が出ているようだ。CDは売れなくなっても、セレブ価値は高止まりしていると言われるミュージシャン。今年の夏は、芸能記者がこぞってイベント会場やライブハウスに張り込む光景も見られそうだ。
(文=外場林太郎)
「とにかく既存のファミコンの音を壊したかった」影山雅司"音のサンソフト"を支えた男
シンプルだけど無限の可能性に満ちていたレトロゲーム。
「一日一時間!」というお母さんの監視の目をかいくぐり、大冒険を繰り広げた僕らの傍らにはいつもゲームミュージックの存在があった!
そんなレトロゲームのサウンドを、21世紀に蘇らせようと今年から活動をスタートさせたレーベルが「クラリスディスク」だ。
同レーベルは、『アトランチスの謎』『東海道五十三次』『リップルアイランド』など、一度プレーしたら忘れられないサンソフト製ファミコンソフトのゲームミュージックを、何と200曲以上も収録した『Rom Cassette In SUNSOFT』を6月29日にリリースする。
そこで、今回から3回にわたってサンソフトに縁の深い人物へのインタビューを通じて、テレビゲームが熱かったあの時代を振り返ってみたいと思う。
■「ゲームミュージックのおかげで、本当に必要な音が分かるようになった」
「音のサンソフト」とレトロゲームファンの間では言われる程、サウンドに対してこだわりを見せていたサンソフト。そんな同社のゲームミュージックの中でも、とりわけ高い評価を得ているのが、サンソフト最後のファミコンソフト『ギミック!』だ。
すでにスーパーファミコンやメガドライブが登場し、16ビットマシンの時代に移行しつつあった1992年。そんな時代に8ビットマシンのファミコンソフトとして、『ギミック!』は市場に登場。ポップなグラフィックと、やりごたえが十分すぎてクリアすらままならない程の高難易度で一部のゲームファンの間で話題になりつつも、残念ながらヒットには恵まれなかった不遇の名作アクションゲームである。そんな『ギミック!』は、音に並々ならぬこだわりを見せるサンソフトが独自に開発したチップをファミコンカセットに搭載。ハードの限界を超えたサウンドを実現した意欲作だ。
ジャズ、フュージョンテイストな、およそファミコンらしからぬサウンドで、今もゲームミュージックファンから支持を受ける本作のBGMを手掛けたのは、影山雅司氏。80年代末から90年代半ばにかけて多くのゲームミュージックを手掛け、およそ1000曲以上を発表した名コンポーザーである。
「たまたまサンソフト社内にMacに強いプログラマーがいてね。最初は一つ一つ教えてもらいながら作曲していたんだ」
そう影山氏は、よくライブを聴きに行くというジャズハウス「お茶の水ナル」にて、当時を懐かしむように語った。元々ジャズバンドなどでサックスを演奏していた彼は、ほとんどゲームカルチャーに接することなくゲームミュージックの世界に足を踏み入れたそうだ。
「当時のゲームミュージックは、ほとんどアルペジオでできている物ばかりだったんだよ。だから、これだけじゃあつまらないだろうって思ったんだよね」
ゲームミュージックの世界に入って、彼はまずこう感じたそうだ。そこでまず影山氏が挑戦したのは、「少ない音数で、いかに普通の音楽を作るか」というシンプルにしてハードルの高い命題であった。
「当時は同時に使える音が4つくらいだからとにかく音数との戦いだった。音色も(ROMの)メモリーがそんなにないからたくさんは使えない。だからパズルのように音楽を考えていた。和音って4つの音が出ないとかっこいいサウンドが出ないんだけど、そうすると後は音を鳴らす事ができない。だから2音だけでコードを表現してみたり......。とにかく色々と勉強になったよ。ゲームミュージックをやったおかげで、本当に必要な音っていうのが分かるようになった」
決して恵まれているとは言えない、制限された環境での楽曲制作。通常なら文句の一つもこぼしたくなるところだろうが、彼はこれを逆手にとり印象的なメロディ、当時の他のゲームではあまり耳にすることのないような複雑な構成の楽曲を次々と生み出していった。
「とにかく既存のファミコンの音を壊したかったんだ。一般的に思われている『これがファミコンの音だ』っていうものから、もっとレベルを上げたかった。実験場だったね。いかに少ない音数でかっこいい音楽を作るかって追求できた場だったよ。そして一番大きかったのは、当時の製作スタッフが皆音楽好きだったってこと。テクノやミニマルミュージックに詳しいデザイナー、クラシックに精通しているプログラマーなど本当に面白い人達がいたんだ。音楽以外にもたくさんの刺激をもらったし、影響を受けたよ。彼らに出逢えなければ自由にゲームミュージックを追求することは不可能だったと思う。機会があれば、もう一度彼らと仕事したいな」
サンソフトで音楽制作に没頭していた80年代から90年代は、ミュージシャン影山氏にとってかけがえのない時期だったそうだ。
■「『ギミック!』は、俺にとってゲームミュージックの集大成なんだ」
それにしても『ギミック!』のサウンドトラックのクオリティの高さは、発表されて20年近く経過した今日でも全く色あせることはない。その理由はどこにあるのだろうか。そう尋ねた時、影山氏はとあるファンとのエピソードを語り始めた。
「一度、とある学校の先生が『弁慶外伝』(1989年に発売されたPCエンジン用RPG)のテーマ曲を、吹奏楽部で演奏したいから譜面を送ってくれって手紙をくれたことがあって、その時に「これはやばい。真面目に仕事をしないといけないな」と改めて思い直したの。「次世代の子供にいい音楽を聴いてもらわなければ」って。だってファミコンをやっている子供たちにとって、ゲームミュージックが初めの音楽体験になるかもしれないじゃない。そこから音楽自体に興味を持ってもらいたかったんだよね。そういう気持ちで最初から作った『ギミック!』は、俺にとってゲームミュージックの集大成なんだ」
その言葉を裏付けるように、『ギミック!』で使用されたゲームミュージックはフュージョン風なオシャレなサウンドから、聴いているだけでも心が躍るようなポップス。重低音をきかせたアシッドな曲。浮遊感たっぷりなファンタジーな曲。ドラマティックなハードロック風な曲。映画主題歌のような、美しいメロディがキラリと光るエンディングテーマ。果ては影山氏がノリノリでサックスをプレーしている姿が想像できるような、アドリブパートを盛り込んだ楽曲など、様々な方向性のサウンドがいずれも高いクオリティでまとめ上げられている。
「『ギミック!』のBGMにはアドリブが入っているんだけど、それってつまりジャズやフュージョンでやっていることなんだよ。でもそういう音楽って一般の人はあまり聴かないし、聴く機会がない。だから、あえてそういう要素を盛り込んだんだ。歌謡曲とか売れてる曲はどこに行っても聴くことができる。でもジャズとかフュージョンなんてのはなかなか聴く機会がないから、自分の曲の中にそのエッセンスを入れたのかもしれない」
ミュージシャンとしての使命感とプライドによって紡がれた楽曲の数々は、当時ゲームをプレーした子供たちの心にしっかりと届き、今もなおゲームミュージックファンの間で高い評価を受けている。
そんな影山氏は1990年代後半に入ると作曲活動から身を引き、今はフォトグラファーに転身。国内外のジャズミュージシャンのライブフォトを多く手掛ける一方、2010年には銀座4丁目交差点にあるリコー三愛ビル、リングキューブ袖看板に作品が展示されるなど、気鋭のフォトグラファーとして活躍している。
なぜ彼はサックスからカメラに持ち替えるようになったのだろうか。そう尋ねられた影山氏は、ある人物の名を挙げた。
「『ギミック!』のプログラムやグラフィックを作った酒井智巳君が何でもできる人でね。彼が写真を初めてすぐに賞を取ったのを見て、あいつにできるなら......ってライバル心を出したのが始まり。(苦笑)。彼のモノクロ写真を見なければ写真をやってみようなんて思わなかったかも。それまで全然興味なかったから(笑)」
影山氏が親友であり、ライバルであり、そして尊敬する人物として挙げた酒井氏こそ、8ビットマシン全盛期のサンソフトを支えた名プログラマーである。
「俺、酒井君にものすごく影響を受けたんだよ」
影山氏をしてこう言わせる酒井智巳とはどんな人物なのだろうか。そして、彼がサンソフトで活躍した80年代から90年代はゲーム開発者にとってどんな時代だったのだろうか。次回は『ギミック!』を生んだもう一人の人物・酒井智巳氏に当時のエピソードを伺ってみよう。
【取材場所】ジャズハウス「NARU」お茶の水店
http://www.jazz-naru.com/
国内外一流ジャズメンが毎日出演、エキサイトなライブが聴けるジャズクラブの老舗。 11:00~17:00まではランチ、カフェとしても営業しています。
・影山雅司氏へのメッセージはこちらまで
the845@excite.co.jp

ディスク:1
1. スーパーアラビアン
2. ルート16ターボ
3. いっき
4. アトランチスの謎
5. 東海道五十三次
6. マドゥーラの翼
7. 天下の御意見番 水戸黄門
8. 上海
9. リップルアイランド
10. 超惑星戦記メタファイト
11. マハラジャ
12. バットマン
ディスク:2
1. ラフワールド
2. なんてったって!! ベースボール
3. グレムリン2 新・種・誕・生
4. へべれけ
5. バトルフォーミュラ
6. ダイナマイトバットマン
7. ギミック!
ディスク:3
1. マドゥーラの翼(MUSIC BY ATOMIC WAVE、テープ音源)
2. デッドゾーン(MUSIC BY ATOMIC WAVE、テープ音源)

現在は写真家として活動する影山氏。
上/去年の4~10月まで銀座4丁目
交差点リコー三愛ビル、リングキューブ
の袖看板に採用されていた作品。下/
ドン・フリードマン。影山氏はここ数年、
国内外のジャズ・ミュージシャンを中心
に撮影しているそうだ。
上/去年の4~10月まで銀座4丁目
交差点リコー三愛ビル、リングキューブ
の袖看板に採用されていた作品。下/
ドン・フリードマン。影山氏はここ数年、
国内外のジャズ・ミュージシャンを中心
に撮影しているそうだ。
Rom Cassette Disc In SUNSOFT(初回限定CD付3枚組) [Limited Edition] ●サントラ初収録音源+19タイトルの大ボリューム3枚組! 名曲が多く存在する「サンソフト」を代表する19タイトルからOP、ED曲はもちろん、名曲、名場面BGM、ボス戦BGMなどこれまでにないラインナップを実装した豪華版、しかも特大ボリュームの2枚組!『ギミック!』ももちろん収録! なんとサウンドテストでも聴くことのできなかった曲も完全収録しています。さらに毎月抽選でもらえた「お楽しみプレゼント」賞品のカセットテープに収録されたシンセサイザーアレンジ曲も完全収録した特典CDも付属。 今や貴重となったレトロゲームの名曲の数々をご堪能ください!
「後藤真希、事実上の引退へ」周囲の説得も空しく――"ゴマキ"活動休止の背景

『LOVE(DVD付)』(avex trax)
「ゴマキではない自分に戻りたい」との自筆メッセージとともに、年内での芸能活動休止を発表した後藤真希。休止期限を設定しない事実上の芸能界引退表明に対し、驚きの声が広がっている。
「芸能界引退は後藤真希本人の強い意思のようで、エイベックスの必死の説得にも応じなかったと言います。エイベックスにしてみれば、今年に入ってアルバム制作やツアースケジュールを用意し、いよいよ本格的に売り出そうというところでしたから痛手でしょうね」(音楽関係者)
後藤真希がエイベックスに移籍し、ソロで再デビューしたのは昨年のこと。これまでに3枚のミニアルバムを発売しているが、いずれも1万枚程度の売り上げにとどまり、ヒットシンガーに返り咲いたとは言い難いのは事実。しかし、エイベックスといえば、鈴木亜美などかつての人気歌手を引き取り、契約を続行してきた実績を持つ「音楽業界ではズバ抜けて面倒見の良い会社」(前出の関係者)。それだけに、ビジネス面からはゴマキ引退の理由は見えてこない。
「一番大きいのは、後藤真希本人のやる気の問題ですね。後藤は意外としっかりした性格で、ハロプロ在籍時から稼ぎのほとんどを貯金していて、今も一定の資産があると言われています。一方、エイベックスグループ入りをしてからは、売り上げが伴わないだけに、さほど良い給料は受け取っていない。蓄えがあって生活の不安があるわけでもないのに、やる気が出ない状態で続けても仕方がない――と本人が考えたとしても不思議ではありません」(マネジメント関係者)
メディア関係者によると、後藤真希本人はテレビやラジオの収録現場で明るく振舞っていたものの、昨年死去した母親の話が出ると感情を乱すような場面もあったという。また、一見派手な外見から「遊び人」と思われがちな彼女だが、家にこもって漫画を読んだり、ゲームをしたりするのが大好きな内向的な面もある。そうした点からも音楽・芸能関係者の間では、「母親を失ったショックから立ち直れない」という後藤自身の説明に同情する声も多い。
かつては派手な男性関係で芸能マスコミを沸かせた後藤真希だが、ここ数年は目立った交際情報もない。趣味のパチンコも卒業したと見られ、このまま本当に引きこもり生活に移行してしまうのか。13歳でデビューしてから、日本の芸能界に大きな足あとを残した彼女。まだ25歳だけに、このまま消えるのは何とも寂しい。
(文=外場林太郎)
まるで宗教!? インストバンド→ Pia-no-jaC ←が生み出す恐るべき一体感の理由

(撮影/市村岬)
ステージ上にはピアノと、なんだかよく分からない箱型の打楽器(カホンというらしい)。渋谷の駅前かなんかで演奏していそうなバンドが、そのままステージ上で豪快にロックするのが、HAYATO(ピアノ)とHIRO(カホン)の2人からなるインストゥルメンタルバンド・→ Pia-no-jaC ←(ピアノジャック、以下PJ)だ。
2008年のデビュー以来、7枚のアルバムを発表し、嵐・二宮和也からのラブコールでアルバム『僕の見ている風景』のニノのソロ曲にも参加。またライブハウスからインストアイベント・夏フェス出演など、年間200本以上のライブをこなし、全国各地でじわじわと人気を得ている。
そんな彼らが、全国22カ所24公演を回り、延べ1万4,000人を動員した「Travellin' Band Tour 2011」のファイナルを、6月18日、東京・渋谷C.C.Lemonホールで開催した。
リズミカルで力強いカホンのリズムと、疾走感あふれるピアノを駆使したオリジナル曲に加え、ヴェートーベン「第9」やドヴォルザーク「新世界より」などのクラッシクの名曲を、ジャズに、ファンクに、時にはデスメタル調(!?)にアレンジした楽曲も人気の彼ら。この日も、メンデルスゾーンの「結婚行進曲」やヨハン・シュトラウス2世の「美しく青きドナウ」などを次々と演奏し観客を引き込んでいく。さらにリムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」では、会場の照明を消して真っ暗な中、蛍光塗料を塗った2人の手の部分だけが光るという演出も。加えて演奏の合間には、この演出を生かしたパントマイムも披露。HAYATOは電子ピアノを立てて弾くという荒業まで繰り出した。
「ライブというよりショーに近いと思います」(HAYATO)と自ら語る通り、毎回多彩なパフォーマンスで観客を巻き込むPJのライブ。こうした演奏以外の演出をふんだんに取り入れたライブはどうやって生まれたのだろう?
「まだ路上でやっていた時に、ピアノとカホンでやってるだけでは全然人々が立ち止まってくれなかったんです。歌がない分、どっかで惹きつけないとと思って、そういういろんな巻き込み方を勉強しました」(HAYATO)

HAYATO
「駅前で演奏してると、酔っ払いが乱入してくるわ、外人が横でいきなりセッションし始めるわで、何が起きるかわからない。音楽はできて当たり前なんで、おもろいことを思いついたら、どんどんやっていこうっていうのがありますね」(HIRO)

HIRO
その他にもツアーファイナル当日は、風船パントマイムやタオル回しなど数々の"ネタ"を繰り広げ、そのたびに観客は拍手喝采、ライブ終盤には会場がものすごい熱気と一体感に包まれていた。
今回のライブを終え、直後のインタビューで「震災で暗くなってる人たちに笑顔を届けたかった」と語るPJの2人に対し、「では、自分たちのライブが人に元気を与えられてると思うのか?」と、少しいじわるな質問をぶつけた。するとHIROは「そうですね。被災地に行きたくてもいけないアーティストがいる中で、俺たちはZEPP仙台でもやりましたし、そうした自覚はもちろんあります。今回は、とにかくお客さんを楽しませるというところを突き詰めました」と、即答。2人の目指す道に揺るぎはない。
9月7日にはベスト盤を発売し、それを引っさげ全都道府県を巡るコンサートツアーも開催が決定。他にも「SETSTOCK'11」や「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2011 in EZO」などの夏フェス、さらにはインストアライブなど、これからもドサ回りさながらの全国行脚を繰り広げていくだろうピアノジャック。ますます自信をつけて突き進む彼らが放つエンタテイメントを、必ずどこかで体感してほしい。
●→Pia-no-jaC←(ピアノジャック)
ピアノのHAYATO、カホンのHIROにより2005年4月に結成されたインストゥルメンタルユニット。08年の1stアルバム『First Contact』から7枚のアルバムを立て続けに発表。その後、数々のアーティストとのコラボや、企画盤への参加、国内外のフェス出演を含む、年間200本以上のライブ行うなど、精力的に活動している。11年1月からは、CMクリエイター箭内道彦が手掛けるシューズブランド「ピーエフフライヤーズ」のCMソングに楽曲提供。9月からは、初の全47都道府県ツアー"→Pia-no-jaC←「EAT A JAPAN TOUR 2011」"も開催予定。なおユニット名は、左からピアノ、右からカホンと読むことができる。公式サイト<http://pia-no-jac.net/>
「リスナーを裏切っていきたい」サブカル系バンド・アーバンギャルドが目指す次のステージとは?

ポップでエレクトロニカで「病的にポップ。痛いほどガーリー」な音楽を目指し、日本の音楽シーンのアンダーグラウンドで活躍してきたトラウマテクノポップバンド・アーバンギャルド。「水玉」「少女性」「処女」をテーマに、音楽・映像・詩の朗読などを駆使した立体的なライブパフォーマンスにも定評のある彼らだが、7月20日にユニバーサルJからシングル「スカート革命」でメジャーデビューすることが発表された。
キッチュで、時に暴力的ですらあるポップな世界観でファンを魅了し続けてきた彼らが、自由な表現を可能とするインディーズではなく、なぜメジャーシーンを目指すのか。そして、彼らが一貫して描き続けてきた物とは一体何なのか。次のステージに向かう今だからこそ、あらためて聞いておきたい質問をバンドのフロントマンであるヴォーカル・松永天馬と浜崎容子にぶつけてみた。
■メジャーに切り込む新曲「スカート革命」!
──いきなり新曲「スカート革命」を聴かせていただいて、PVも拝見したわけですが、メジャーに行っても全力で攻めてますね!
松永天馬(以下、松永) そうですね。今回はボーダーラインをユニバーサルJさんといろいろやりとりしまして、この形に落ち着きました。
──ユニバーサルJさんから「これはやめてくれ」とか「あれはダメ」とか制限はかからなかったんですか?
松永 それは意外に言われてないですね。野放しです。放牧されています
浜崎容子(以下、浜崎) ユニバーサルJさんからは「出してきたものがダメだったら、ダメって言うから」って言われています。今のところセーフみたいです(笑)。今は泳がせておいて、どういう所に入れたらいいのかなって探っているのかも。
松永 気が付いたら、だんだんユニバーサルJさんの年間許容量が増えていってるかもしれませんが。
──もし「この表現がダメだ」と言われたら、それは受け入れますか?
松永 ダメだと言われても、その枠の中で表現するのが面白いと思うんですよ。浜崎さんはゲンズブール(※1)が好きなんですが、彼はフランス・ギャル(※2)に「アニーとボンボン」っていう一見アイドルソングなんだけど、実はフェラチオを意識したような曲を歌わせているんです。ここで「フェラチオしたいぜ!」って言ってしまったら面白くもなんともない。隠ぺいし、ぼやかすことで出てくる面白みがあると思うんです。隠すことで燃える、みたいなものがあるので、我々もそういう方法で一番いい物を作りたい。
浜崎 「スカート革命」のPVでも、パンチラを全部イチゴで隠してるんです。「あー! もうイチゴ邪魔だよ!」っていうのがいいんですよ。それをコマ送りで見ちゃったり。
松永 あれも別にイチゴで隠せって言われたわけじゃないです。僕がそういうフェチなだけなんです。だから、たとえ制限されたとしても、僕らはそういう所を楽しむと思いますよ。
■アーバンギャルド的POP論
──ここ最近の芸能というと、どちらかというと安定したもの、変化しないものが市場に氾濫していますよね。テレビのバラエティー番組だと、ひな壇芸人が並んで身内ネタで盛り上がる。音楽だと「共感」を歌う。ある程度、予定調和に則った娯楽が世にあふれている中、アーバンギャルドはもともと芸能が持っていたアングラさ、何をやるのか分からない怪しさを持っていると思います。

松永 そうですね。POPっていう言葉は「爆発する」とか「弾ける」という言葉なんです。つまり我々はPOP「される」んじゃなく、我々がPOP「しないといけない」んですよ。受け手の脳みそをPOP「する」ということだと思うんです。だから、自分たちがPOPされてやんわりしたもの、ゆるふわなものを作っていればいいということは全然ないんですよ。本来ポップスっていうものは、表現者がPOPするものだったんですよ。でも気が付いたら表現者がPOPされている。だから共感なんてねえ......。共感はしなくていいですね(笑)。
浜崎 共感っていうか、「痛いところを突かれた」っていうのがアーバンギャルドの歌詞にはある気がしますね。「言われたくなかった」「できれば隠したかった」ものをズバっと言っちゃってる。そういうところを嫌だと思ってもらっても構わないし、反対にドキッとして聴いてみよう思ってくれても構わない。ただ、この歌はこういう風に思ってくださいと投げかけるのは絶対にNGだと思っています。そう言ってしまったら、もうそういう風にしか世界観が広がらないから。受け取った人がどう受け取ろうと自由というスタンスでやっています。でも、それって無防備な状態ということでもあるので、攻撃される時はすごくされるんですけどね(笑)。
松永 自分たちはマイノリティーな人間というよりも、誰もが持っているマイノリティーな感情を歌っているだけなんです。僕らは奇をてらっているという意識はなくて、まっとうに作品を作っているという意識が強いです。
──一見してアーバンギャルドの作品は「病んでいる」側のものにも見えますが、実は普遍的なテーマを歌っていたと。
松永 僕には描かなければいけないものとして病や傷があって、それは自分の中にもある感情なんです。つまり自分の中にあるマイノリティーな感情を描いているだけなんです。だからアーバンギャルドってある意味硬派だし、汗臭いと思いますよ。
■目標は西野カナとの対バン!?
──アーバンギャルドはさまざまな音楽ジャンルを横断しているバンドですよね。
松永 パンクバンドがずっとパンクをやっていた所で、突然アニメソングみたいなのを歌い始めたらそれこそパンクじゃないですか。そういう意味ではアーバンギャルドはパンクだと思います。歌っている曲は全然違うけど、やっていることはパンクだと思います。
──精神的には反体制のような。
松永 元々、テクノポップというもの自体が資本主義に溶け込みつつ、資本主義に皮肉をぶつけるっていうパンクな存在だと思うんですよ。だからテクノポップっていう風に自分たちで名乗っているのは、その精神性──一見資本主義に則っていながらも、アイロニカル、シニカルであるというテクノポップの政治性にすごく意識的だからだと思います。
──そんなアーバンギャルドもメジャーデビューすることで、「今までと変わってしまうのではないか?」と心配するファンもいると思うんですが。
松永 自分たちのやるものが、「制限されるか否か」という意味で変わったりはしません。段階の移行としてメジャーデビューなんです。これまでに出してきた3枚のアルバムの延長線上にある通過点として、メジャーデビューがあると思っています。そして、自分たちがやっていることがマニアックだという意識もないです。自分たちがやっていることは普遍的だと思うので。

──アーバンギャルドは、いわゆる「病んでいる」状態やそういう子達の心情を扱った、ややアングラな題材を歌ったりもしていますが......?
松永 現代人は誰もが病んでいると思うので、「病んでいる」という事実はメジャーなものだと思います。だから、それをより広いところに訴えかけていくための方便として、メジャーデビューを選んだんです。それに、うちはどんどんリスナーを心配させていきたいんです。だってバンドなんていつ解散するかわからない。今、バンドが続いていること自体が奇跡だと思うので、僕らの一瞬その一瞬を見てほしいからこそ変えていかないといけないんですよ。
浜崎 だから、「メジャーに行っても変わらないから安心してね」とは言わないです。メジャーに行っても表現のやり方っていうのが自分たちの中で、やりたいことが突然変わるかもしれない。今までのインディーズでの活動の間でも変わる時は変わっていたと思うので、危機感はずっと持っていてほしいです。
松永 誰もが成長して考え方が変わるように、アーバンギャルドも常に常に変わり続ける。でも、今のこの瞬間は大事にしたい。だから、皆さんもそのバンドが好きだったら好きなうちにCDを買うべきだし、ライブに行くべきですよ。一期一会です。いつその気持ちが変わるか分からないし、いつそのバンドが活動休止しちゃうかもわからないので、そこはけちけちするところじゃないと思います。だからぜひとも会いに行くべきですよ。AKB48みたいに。
──なるほど。それでは、今後どういう活動をしていきたいと思いますか?
浜崎 もう絶対にありえないイベントとか打ちたいですね(笑)。
松永 西野カナや青山テルマと対バンしたいですね。彼女達のファンのギャルとアーバンギャル(アーバンギャルドのファンのこと)が一緒にいるライブ会場って見たくないですか?
浜崎 それは見たい! 一緒にアンコールで歌ったりして、「なんで一緒にいるんだろう」って(笑)。
──わはははは! それ、すごく見てみたいです(笑)。そういえば「小悪魔ageha」(インフォレスト)でも、「病特集」とかやってましたよね。
松永 だから、僕らって意外とギャル受けすると思うんですよ。僕らのファンの中にもギャルの子とかもいるし。
浜崎 いるいる。ギャルの子も意外と手首を切ってますからね(笑)。
──いや~。本当にそんなイベントが実現したら、絶対に見に行きます(笑)。では最後にサイゾー読者に向けてのコメントをお願いします。
浜崎 我々みたいな人間がメジャーシーンに行こうとしているので、その姿を見ながら私達を笑ってくれてもいいし、勇気づけられてもいいですよ。
──ありがとうございました!
(取材・文=有田シュン)
※1 セルジュ・ゲンズブール
1960年代後半から1970年代にかけてフランスのポピュラー音楽において中心的役割を果たしたミュージシャン。『夢見るシャンソン人形』をはじめ、数え切れないほど女性アーティストに楽曲を提供した。
※2 フランス・ギャル
1960年代中期にフランス本国のみならず、日本でも『夢見るフランス人形』で大ブレイクした歌手。
●アーバンギャルド
21世紀東京生まれの「トラウマテクノポップ」バンド。狂った電子音に濃厚なアンサンブル、女性・男性ツインボーカルがはじける唯一無二のサウンド病的にポップ。痛いほどガーリー。童貞処女、オタク、サブカルチャーといったマイノリティへの愛と叱咤激励を込めた詞は現代日本の病理とシンクロし、ネットを中心に熱狂的なファンを生んでいる。
<http://urbangarde.net/>










