
受付には盛大なお花がファンのみなさんから。
サイゾーテレビの人気番組『小明の副作用』でもお馴染みのアイドル・あかるんこと小明のニューシングル『君が笑う、それが僕のしあわせ』が4月1日にリリースされた。小明のCDとしてはなんと2003年の『秋葉のいもうと』以来となる、ファンにとってはまさに待望の......というか、前のシングルが出ていた当時のことを知っているファンがほとんどいなくなってるくらい久々の新譜だ。
約8年という、普通のアイドルなら「デビュー→ブレイク→人気低迷→結婚→妊娠→引退」くらいの歴史を刻んでいてもおかしくないロングな充電期間を経てリリースされた今作は、「あ、まだアイドルだったんだ」「アイドルという職業の定義は何か」など、様々な思いを喚起させられずにはいられない一枚となっている。

物販コーナーも盛大に展開。いったい何枚買えばいいというのか。
さて、そんなシングルのリリースを記念した先行発売イベント「NEW SINGLE『君が笑う、それが僕のしあわせ』記念イベント 【サイゾーナイト】『小明の副作用』CD発売&番組存続祈願スペシャル!」(タイトル超長いッ!)が3月18日、新宿ロフトプラスワンにて開催された。しかも、昼・夜の2部制で! のべ300人超の来場者を記録し、もはやフェスと言っても過言ではない規模の一大イベントに、会場の熱気は開演前からガンガングングンズイズイ上昇!

会場はまさに立錐の余地なし。
そしていよいよイベントの幕が切って落とされる。司会の北村ヂン、『小明の副作用』マスコットキャラクターの「もぐもぐ」(ブタ)に呼び込まれ、この日の主役(ヒロイン)・小明が登場し、会場はいきなり異常なテンションに包まれた。

面白いトークをしながらCDを紹介する北村。

ファンにもみくちゃにされるもぐもぐ。人気者である。

我らがアイドルの登場。この日ばかりは
ちゃんとしたメイクさんが入っています。
「この間、マツコデラックスのWikipedia見てたら、もぐもぐの中の人と同じ体重だったよ~」
ウオオオオオーッ!
「今日は着替え持って来てないから、夜の部でも同じ衣装だゾ!」
ウオオオオオオオオオーッ!
登場するやいなや、何とも言えないぼんやりトークをぶちかます小明にも、客席は120%のテンションでレスポンスを返す。見ているこっちがビビるくらいの反応のよさ。その熱狂っぷりは、あたかも新手の自己啓発セミナーか、新興宗教団体の集会のごときノリ。場所は新宿歌舞伎町地下2階のサブカル魔窟・ロフトプラスワン。まさにサブカル・サバトといった様相だ!

楽しそうな3人。
そんな中、昼の部のゲスト、サブカル映画界の巨匠・河崎実監督が登場。今回のシングル曲のミュージックビデオを担当した河崎監督だが、よくよく考えてみれば『地球防衛少女イコちゃん』シリーズをはじめ『いかレスラー』『ヅラ刑事』『ギララの逆襲』など、数々の有名サブカル映画を手がけてきた大御所。会場の誰もが、大歓声で迎えつつも「どうしてこの仕事、引き受けたんだろう......しかもレコ発イベントにまで来てくれて」という疑問を抱えていたことだろう。

河崎監督と小明さん、和やかにトーク。
そんな空気を察知したのか、小明が早速「私を撮ったところでメリットなんてないじゃないですか」とストレートな質問をぶつけると監督は「まあオレ、チャレンジャーだからさ。この秘境(小明)にも挑戦しようと思って......」。どんなに険しい秘境の撮影を依頼されようとも、臆することなく挑んでいくこのチャレンジ精神! 常識にとらわれない発想で日本映画界に一石を投じてきた河崎監督の創作原動力の一端を見せつけられたような気がする。
さらに質問コーナーでの「小明を女性としてどう見ているか?」との問いには「お嫁さんにしたい」「愛人にしたい」「セフレ程度なら」などの、ちょいとセクシャルな回答が期待される中、監督のフリップに書かれた答えは「たまに会いたい」という妙にリアルなもの。「いや、結婚とかじゃなくてね......友達としてたまに会うくらいが......」普段は饒舌な監督の、この歯切れの悪さ! 友達としても、そんなにしょっちゅうは会いたくない「たまに会いたいアイドル」誕生の瞬間である。

「たまに会いたい」
さて、ゲストコーナーの締めは、河崎監督の手による『君が笑う、それが僕のしあわせ』のミュージックビデオの上映。この映像はこの時が本邦初公開だった(小明自身も初めて観たらしい)。河崎実テイストをふんだんに取り入れつつも、基本的には全編フツーのアイドルMV風な出来ということで自信満々で公開した制作陣だったが、いざ上映がはじまってみると、なぜか会場からは「あれ、何でここで笑うの?」「すごくかわいく撮れている表情じゃん!?」「胸元アップのセクシーショットだよ!?」と、制作陣の予想外のタイミングでドッカンドッカン爆笑が巻き起こったのだ。

小明さんのアイドルっぽい(かわいい)映像が映し出されると、会場から爆笑が。
「何で笑うの!? ナンデナンデッ!」状態で困惑する監督に、お客さんたちからは「あかるんが真面目にアイドルやろうとしているのが笑えて笑えて......」との声が。お笑い映画を追求し続けてきた河崎監督が、お笑いアイドルである小明を真面目に撮影し、ガチなアイドルMV作った結果、一周回ってファン大爆笑モノのバカ映像と化してしまったのだろうか!?(いや、ホントに普通にカワイイMVだと思うんだけどなぁ......。真偽の程はDVD付き限定シングルを買って確かめよう!)

終演後の楽屋でぱちり。おつかれさまでした!
つづいて夜の部では、今回のCDプロジェクト最大の貢献者であるとともに、ある意味、最大の被害者と言ってもいいであろう、作曲家にしてプロデューサーの樫原伸彦先生が登場。製作スケジュールが延びに延び、かつて尾崎豊のバックバンドを務め、現在ではAKB48やSKE48、ももクロなどガチなアイドルの楽曲も手がける巨匠・樫原伸彦を3年越しで付き合わせる結果となったのだから......。

登場するやいなや巨もぐに興味津々の樫原先生。
ビクビクしながら「樫原先生がこのお話を受けて頂いたおかげでCDを出すことができたわけですが......正直、後悔してますか?」とうかがいを立てる小明に「そりゃしてますよ! 2010年の夏前くらいに話を受けて、少なくとも年明け頃には発売されると思ってたのに、まさか発売までに3年またぐとは!」と魂の叫びを上げた。
スケジュールがそこまで延びまくった最大の原因は小明の作詞作業の難航にあったという。「最初に会った時に『私の口から出る言葉はすべて詩です』と言ってたし、ライターさんだから作詞は安心して任せてたんだけどねぇー......」「いやぁ、いざ書いてみたら私の恋愛引き出しの中身のなさが露呈してしまいまして」などと裏話を披露。いざレコーディングに入ってからも作業は混迷を極め、一曲通してパーフェクトに歌いきるのは不可能と判断し、とにかく録りに録りまくった50テイク以上もの歌唱トラックのいい塩梅なパーツを組み合わせて一曲を完成させたという。小明自身も「パッチワークみたいなCDですね」と会場の笑いを誘っていた。
一方、小明の歌声に関しては樫原先生も絶賛。「声質もキレイだし、ピッチ(音程)もいいじゃないですか。頭のいい子って歌が上手いんですよ。アイドルのレコーディングでは、歌が全然ダメで困っちゃうこともあるんですけど、小明ちゃんに関してはその心配はありませんでしたね」「......そのわりに、一曲の歌入れに11時間半もかかりましたけどね」「いや、その分じっくりレコーディングできたってことだから。なかなか、こんなに時間をかけてレコーディングできることってないですよ」「どうせスケジュールがスカスカなんで......」小明お得意の自虐トークに巨匠・樫原伸彦が必死にフォローの回るというワケの分からないトークが繰り広げられた。

みんなが今だから言える苦労を打ち明け、苦笑いが絶えない壇上。
つづいての質問コーナーでは、河崎監督にもぶつけた「小明を女性としてどう見ているか?」という質問が。対する樫原先生の答えは「たつかなぁ?」......。河崎監督といい、樫原先生といい、これだけおじさんたちからセクシャルな目で見られない、枕営業ノーサンキュー・アイドルも珍しいよ! であるにも関わらず、両巨匠が大してお金にもなりそうにないこのプロジェクトに快く参加してくれたというのは、やはり小明の人徳のなせる業なのだろうか......!?

トーク後半では、樫原先生の愛弟子・丸果尻ゆうこちゃん(左)と
長谷川美子ちゃん(右)もステージへ。
さて、昼の部、夜の部ともに、イベントの締めはもちろん(レコ発イベントだからね!)歌のコーナー。普段のイベントでもカラオケ......しかも、さだまさしや中島みゆきの暗い曲などを中心に歌ってはいるものの、自分の持ち曲でのライブは数年ぶりという小明。ライブ前には、さすがにやや緊張の面持ちを見せていたが、サプライズでファンたちが取り出したサイリウムに会場が白光色に包まれると、今日一番の笑顔を浮かべた。......埋め尽くされたサイリウムの中に若干、ももクロのペンライトを見つけて「ケッ、......まあ誰のでもいいよ!」という捨て台詞も吐いてはいたが。

真っ暗な場内に白いサイリウムの光が浮かび上がる......!

そのステージで歌い、踊る姿はまるでアイドル......!

というより教祖......!
一曲目の「君が笑う、それが僕のしあわせ」では、アップテンポなアイドル・チューンに合わせ、会場一体となった「オイ! オイ!」というかけ声が上がる。そして決め所である客席との「殺すよ~♪」「コ・ロ・シ・テーッ!」のコール&レスポンスもバッチリ決まり、てっきり本当のアイドル・ライブに来ているかのような錯覚を覚えた(......というよりは、スターリンあたりのパンクバンドのライブのノリではあったが)。

2曲目はしっとりと......。
つづいて今回のシングルのC/Wであるバラード曲「星が見えない会えない夜は」を、サイリウムの光の中、しっとりと感動的に歌い上げる。途中、ギックリ腰の再発でステージ上にヘコッと倒れ込む場面もあったものの、それすらも、ある意味エモーショナルに感じることができた、「やればできるじゃないか!」(だったら普段からヤレ!)感満点のライブ。

サイリウムを振る樫原先生。
曲が終わっても止まない歓声に、普段は口を開けば毒・愚痴・自虐という小明もさすがに感極まり「みなさんの振るサイリウムの光の波の中でサイゾーの船に乗せてもらって、今があります! ありがとうございました!」と感謝を述べていた。
事務所を辞め、フリーのアイドルとなってからは、本流アイドル道から完全に逸脱したオモシロ珍アイドルとして何とかかんとか生きながらえてきた小明が、齢27歳にして樫原伸彦、河崎実という両巨匠の協力を得、さらにはファンたちの後押しによって、普通のアイドル(風)として今、ステージに立っている。「この世に不可能なことなんてない、言い張れば誰だって、何歳だってアイドルだ」......時空の流れをねじまげた奇跡を目の当たりにし、見ていたボクも不覚にもグッときてしまった。
ところで、このライブの成功で気が大きくなっちゃったのか、一部ファンのツイッター等で「小明、アイドルフェスに混ざってても見劣りしないよ! 今年のTOKYO IDOL FESTIVALあたりに出て欲しい」というような世迷い言を散見したが、あまりに大きすぎる期待は、子どもをつぶすと言いますよ......。これからも、ほどほどの期待感で末永く見守って頂きたいと思うばかりだ。
セット・リスト
<昼の部>
01: 君が笑う、それが僕のしあわせ
02: 星が見えない会えない夜は
EN: 君が笑う、それが僕のしあわせ
<夜の部>
01: 君が笑う、それが僕のしあわせ
02: 星が見えない会えない夜は
EN: 君が笑う、それが僕のしあわせ