「反グローバリズムデモが世界席巻」? 勘違いも甚だしい報道の甘言

【プレミアサイゾーより】 ──激変するITビジネス&カルチャーの深層を抉る! ──米ウォール街におけるデモからの派生で、世界中の若者が自分たちの置かれた環境に異議を唱えだした......と報道されているが、果たして本当だろうか? 反グローバリゼーションを唱える参加者たちは、現在の世界の構造を本当にわかっているのか、疑義を呈す。
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知らぬは日本の参加者ばかりなり​「東京を占
拠する」前にやれることはまだあったはずだ。
「ウォール街占拠(オキュパイ)デモ」が各国に波及し、世界を一周していると報じられている。本当だろうか?  アメリカのウォール街やローマ、パリなどの欧米諸国で盛り上がったのは事実だ。ローマでは数万人がデモに参加し、暴動にまで発展して銀行が略奪されるなどの騒ぎになった。ウォール街でも数千人が参加し、逮捕者を多数出している。  日本ではどうか。朝日新聞の10月15日の記事にはこうある。 「東京・六本木の公園では正午ごろ、プラカードを手にした若者ら100人ほどが集まり、格差是正を訴えた。参加した学生の一人は『経済成長やグローバリズムを求めるのはやめよう。それは誰かを搾取していることだから』と話した」  写真入りで報じられている割には、参加者はわずか100人しかいなかったという。大手メディアの大半が無視したフジテレビへの反韓流デモだって、数千人は集まっていた。脱原発デモは数万人単位の参加者を集めている。それに比べれば、驚くほど小規模である。  さらに言えば、東南アジアでの参加者はもっと少なかったようだ。あまりソースがないので明確なことはわからないのだが、インドネシアのジャカルタでは20~30人程度がアメリカ大使館前に集合して「米帝国主義反対!」を叫んだだけだったようだし、フィリピンのマニラでも同じように参加者は数十人。おまけにこの参加者については、フィリピン在住の日本人男性がツイッターでこんな指摘をしていた。 「フィリピンでオキュパイデモに参加してたのは貧困層ではなくてネット環境が自宅に完備されてる良家の子息だと言う皮肉ww 貧困層はそんな事何も知らないし暇も無い」 ■「世界中の貧困層の団結」なんて、もはや不可能  前述のように、実態としては、先進国と途上国ではかなりの差があるようだ。ところがマスメディアでは「世界で盛り上がる反格差デモ」などと報じられている。例えば10月16日に、産経新聞はこんな記事を書いている。 「世代間の経済格差に気づかされた若者が自分たちの声を政治に反映させようにも人口構成上、有権者の中では少数派にとどまり、街頭を占拠して声を上げるしか道がない。インターネットを通じた『Occupy(オキュパイ=占拠せよの意)』という呼びかけに欧州やアジアの若者が一斉に反応したのは、構造的な矛盾へのいらだちを共有しているからに他ならない」  まあ言ってみれば、実にわかりやすい「反格差」「反グローバリゼーション」のスローガンがそこにはあって、そういうわかりやすいヒューマニズム(のようなもの)には大手紙は乗りやすいということでしかないのだろう。  だが「反格差」「反グローバリゼーション」の波は、本当に産経の言うように世界中を覆っているのだろうか?同記事ではこうも書かれている。
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■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) 【こんな記事もオススメ!】佐々木俊尚の「ITインサイド・レポート」森 達也×二木 信──公務執行妨害をでっち上げ!?デモに怯える公安警察の亀裂1万人以上が集結するなか、逮捕者も......「気楽に」「楽しく」だけじゃない! 反原発デモは正義なのか?

『ワンピース』頼りで後がない!? 増刊を乱発する「ジャンプ」はもう、死んでいる!?


【プレミアサイゾーより】 ──2010年末より「ジャンプ」の名を冠するマンガ雑誌が急増している。60年代より少年マンガ誌のトップとして君臨する「少年ジャンプ」の内情と共に、現在の「ジャンプ」増刊ラッシュの舞台裏を追った。

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(絵/magma giants)
「週刊少年ジャンプ」(以下、「少年ジャンプ」)は、いわずと知れた集英社発行の日本一売れているマンガ誌である。1968年の創刊後、70年代以降少年マンガ市場のトップをひた走り、ピーク時の90年代半ばには653万部というマンガ誌の最高発行部数を記録した。しかし、その後は雑誌不況もあり部数は右肩下がり、近年は300万部弱で推移している。とはいえ、ライバルである講談社の「週刊少年マガジン」が153万部、小学館の「週刊少年サンデー」が63万部【※いずれも11年1~3月期】という状況を鑑みれば、今でも圧倒的な部数を誇っていることに変わりはない。  また、「ジャンプ」ブランドは青年向けの「週刊ヤングジャンプ」(79年創刊)や中年向けの「ビジネスジャンプ」(85年創刊)など、数々の派生誌を生み出した。本章では、そんな「少年ジャンプ」と「ジャンプ」系雑誌の裏側を、「ジャンプ」関係者や集英社社員の言葉から読み解いてみたい。  まず、その現場である編集部とはどういうところなのだろうか? 集英社に出入りするジャーナリストによれば、「ジャンプ」系雑誌は、少年誌グループ(「少年ジャンプ」「ジャンプスクエア」「Vジャンプ」)と青年誌グループ(「ヤングジャンプ」「ウルトラジャンプ」「ビジネスジャンプ」ほか)でフロアが分かれているという。「どちらのフロアも体育会系ですが、少年誌フロアのほうが花形部署ということもあり、数字にシビアな気がします」。そう語るのは「ジャンプ」関係者。集英社社員が「結局、ウチの収益は『少年ジャンプ』がほとんど出していますからね。社内では、『少年ジャンプ』を、冗談交じりに『ジャンプさまさま』って呼んでますよ(笑)」と語るように、自他共に「少年ジャンプ」がマンガ事業の柱、というより集英社そのものの柱であるという認識があるようだ。 「『少年ジャンプ』の編集部員は全部で30人ほどで、毎年必ず2~3人の新卒が入ってきます。だから玉突きで同じ人数だけ異動になるんですけど、なにしろ花形部署ですから、みんな残ろうと必死です」(前出の関係者)  事実、集英社の現社長・堀内丸恵氏も「少年ジャンプ」出身で、「少年ジャンプ」編集部は集英社のエリート集団といえるだろう。ちなみに、原則としてほかの編集部から「少年ジャンプ」に異動することはなく、基本的に新卒で配属されない限り「少年ジャンプ」編集部員にはなれないそうだ。前出の集英社社員によれば、『Dr.スランプ』(鳥山明)に登場するマシリトのモデルとしても有名な鳥嶋和彦氏(現専務取締役)が「少年の心がわからないと、少年マンガは作れない」と発言した、という話もあり、編集部員は全員男性で、20代が多いという。「少年の心」とは少し違うかもしれないが、同社員はこんなエピソードも語ってくれた。 「本採用された新人は、組合の前で挨拶スピーチをするんですが、無難にこなす人が多い中で、『少年ジャンプ』の新人は一発芸をします。あと、編集部の部署旅行で、寝ている新人の裸をケータイで撮って、その新人のアドレス帳に入ってる女性全員にメールで送信したりと、内輪で盛り上がっている印象があります」 ■単行本が当たるまでタマを打ち続ける!?  そんな「少年ジャンプ」の今の看板作品といえば、97年に連載が始まった『ワンピース』(尾田栄一郎)である。発行部数は、最新64巻が初版400万部、累計2億5000万部と絶好調ではあるものの、社内では「『ワンピース』が終わったらどうするの?」といった話は絶えないようだ。実際、『ワンピース』に続くヒット作『NARUTO』(岸本斉史)と『BLEACH』(久保帯人)はいずれも10年選手で頭打ち、中堅も伸び悩んでおり、次世代の「少年ジャンプ」を担う新人が出てくる気配もない。  このような状況を受けて気になるのが、10年末からの増刊ラッシュである。07年に、「月刊少年ジャンプ」の新装版として創刊された「ジャンプスクエア」が、創刊号、第2号共に重版がかかり、「ジャンプ」ブランドの健在ぶりをアピールしたことは記憶に新しいが、10年末から11年半ばにかけては、「ガールズジャンプ」「アオハル」「ミラクルジャンプ」「ジャンプ改」と、実に4誌もの新雑誌が誕生している。
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■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) 【プレミアにはこんな記事も!】 ・マンガ最大のタブー『ワンピース』──誰も語らないヒットの真相【前編】元「週刊少年ジャンプ」カリスマ編集長の秘策とマンガ業界への愛のムチ「ジャンプ」「マガジン」「サンデー」......エロは読み切り・短期集中連載!? ここがエロいよ、メジャー少年マンガ誌

ドラマ化でも売り上げは同じ!? 超面倒な『宇宙兄弟』……マンガ編集者座談会

【プレミアサイゾーより】 ──業界分析【記事参照】で見た通り、『ワンピース』など一部の人気作で活況を呈しているように見えるマンガ業界も、マンガ誌の売り上げは下がる一方で、明るい未来はとても描けない状況。そんな中、ケナゲにがんばる現場のマンガ編集者は、このマンガ不況に何を思う!?
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(写真/渡部幸和)
座談会参加者 A...大手出版社勤務(マンガ編集歴4年) B...大手出版社勤務(マンガ編集歴6年) C...中堅出版社勤務(マンガ編集歴15年) D...中堅出版社勤務(マンガ編集歴5年) A さっそくだけど、最近気になってる作品はある? 売り上げだけを見ると、相変わらずトップは『ワンピース』(尾田栄一郎/集英社)だね。オリコンの2011年上半期の集計でも、2336万部以上とケタ違い。ウチにもこういう作品がひとつでもあれば、雑誌が助かるのにな。 B でも、『ワンピース』を読んでも全然面白くないと思うのは、俺がおかしいのかな(笑)。同じランキングで4位だった『進撃の巨人』(諫山創/講談社)は約260万部。あの作品を見て、「絵が下手でも売れるんだ」と思った。 C 絵はもっと下手な人がいる(笑)。『進撃の巨人』は、構成や人物描写は秀逸だよ。それに、連載時から単行本になった時のことを想定していて、単行本の最後に当たる回に「次はどうなるんだろう」と思わせる"引きの場面"を必ず持ってくる。数年前までは、特に大手ではそういった戦略はそこまで顕著には見られなかったけど、マンガ誌が売れない今は単行本でなんとしてでも稼がないとならないから、わかってる編集者はちゃんと考えてる。 D 「Eleganceイブ」(秋田書店)で連載されてる『花のズボラ飯』(原作:久住昌之、作画:水沢悦子/秋田書店)も気になるな。谷口ジローさんなんかとも組んでいて名のある久住さんに、萌え系エロマンガ家のうさくん(作画者の別ペンネーム)を当てたというところが新しい。毎回、主人公の"花"が恍惚とした表情で「ズボラ飯(=手抜きメニュー)」を頬張ってるシーンは、まさにエロマンガ(笑)。 A 確かに。実際にはエロ描写がないんだけどね。それが、昨年10月の単行本発売時、都条例の「非実在青少年」問題なんかが取り沙汰されてる中で、ツイッターや2ちゃんねるでなぜか注目されちゃった。それであちこちで画像が貼られまくって認知度が上がり、ヒットにつながった。 D『花のズボラ飯』と同じ雑誌で連載されてる『嫁姑の拳』(函岬誉/秋田書店)も気になる。『北斗の拳』ばりに嫁姑が戦うという、ぶっとんだ作品なんだよ。秋田書店って結構面白い作品があるのに、売り方が悪いのか爆発的ヒットまでいかないね。 B あの会社、実績あるヤンキー系のマンガは結構刷ってるのにね。どうやら部数の決定権を持つ社員が実質一人らしくて、その人が気に入らないマンガははじかれてるという噂。重版かければ売れるだろうに、もったいないよね。 D 「モーニング」(講談社)のウェブサイトで連載してる宝塚ファンのエッセイマンガ『ZUCCA×ZUCA』(はるな檸檬)は女子ウケしそう。作者は、東村アキコさんのアドバイスを受けて描いたんだとか。「モーニング」の島田英二郎編集長はがんばってるね。読み切りや若手作品を多く掲載している同誌を立ち上げたのも島田編集長。新しい読者層を開拓しようという姿勢がうかがえる。 B 「週刊少年マガジン」(同)で06年から連載している『FAIRY TAIL』(真島ヒロ)は、連載開始当初からライバル誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)の『ワンピース』の「パクりでは?」とネットで陰口叩かれながらも、いつの間にか累計2000万部以上の大ヒット作に成長してるね(笑)。 D 開き直り勝ちだよなあ(笑)。 C 10年末発売された『このマンガがすごい! 2011』(宝島社)のオンナ編で1位2位を独占して話題になったヤマシタトモコさんはどう? 「月刊アフタヌーン」(講談社)で『BUTTER!!!』とか連載中だけど、「そこまで売れるほどのものか?」って思う。同じくBL系の作家さんで、「月刊IKKI」(小学館)に『Golondrina ゴロンドリーナ』を連載してる"えすとえむ"さんも、注目されてるけどどうなんだろう。サブカル好きな書店さんにフィーチャーされて、売れてるように感じるだけな気も......。 D ところで、マンガ家さんがツイッターで発言することについてはどう思う? 「週刊少年ジャンプ」で『BLEACH』を連載してる久保帯人さんが、10年8月、ツイッターでファン相手に「もしBLEACHよりも面白いものが描ける才能があるなら、すぐにマンガ家になるべきだ」と挑発する発言をして話題になったけど。 A 自由にやればいいんじゃない? ツイッターやブログでうまくストレスを発散してるマンガ家が増えていいと思う。以前は、ひたすら閉じこもって描いて、ストレスをためてためて一気に爆発する人もいたからね。 D ツイッターで唯一やめてほしいのは、「今締め切りギリギリです」とかいうつぶやき。それを見たほかのマンガ家さんが「この人がまだ大丈夫なら、俺も大丈夫」って思っちゃう(笑)。 C 最近は、アシスタントが生意気でストレスをためてる人が多いよね。昔は先生に憧れてアシになる徒弟制だったけど、今はドライな"プロアシ"が増えて、「アシが生意気で逆らってくる」とか愚痴ってる。 A マンガ家さんによっては、編集者とそりが合わないこともよくある。09年に『ブラックジャックによろしく』の原稿料をめぐって、自分のホームページに「モーニング」編集者の悪口を書きまくった佐藤秀峰さんは、今、「週刊漫画TIMES」(芳文社)に『特攻の島』を連載してるけど、噂によると、担当編集者とは一切会わないらしい。今年「漫画アクション」(双葉社)で始まった、マンガ家を主人公にした『ボクマン』の原作も、作画の一色登希彦さんと契約面で折り合いがつかなかったとかで勝手に降りちゃったみたいだし、プロとしてどうなのと思うよ。まあ作品を読むと、マンガには真摯に向き合ってる気迫を感じるから、担当編集としては許せるのかな? でも、あんなに毎回毎回揉める作家なんて、正直いやだな。絶対胃が痛くなる。 ■『宇宙兄弟』映画化で小栗旬がモメた!? D「週刊少年マガジン」で4月から連載が始まった久保ミツロウの『アゲイン!!』は面白いね。『モテキ』の映画化も大成功したし、ノッてる作家さんのひとり。
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■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) 【プレミアにはこんな記事も!】 ・「ワンピース」は売れてない!? 書店員が語る有名作の"売れ行き"と"売れるマンガ"疲弊する現役マンガ編集者が絶叫! 「ぶっちゃけ、雑誌増やしすぎ!!」マンガ編集者が大胆暴露! 「『聖☆おにいさん』って面白いか?」「『NANA』は引き延ばしすぎじゃない?」

『ワンピース』4000億円の功罪 角川書店と電子書籍で変わるマンガ業界の勢力図


【プレミアサイゾーより】 ──マンガは好きだけど、マンガ雑誌は買わない......こうした人が増えているためか、マンガ雑誌の売り上げが下がる一方、コミックスの売れ行きは堅調だという。そんなマンガ業界で台頭する新勢力や「自炊」「電子書籍」の広がり、そしてマンガ界が抱える真の問題点を、関係者らの聞き取り取材から浮き彫りにしてみたい。

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■コミックスとマンガ誌の推定販売金額の推移
05年には、コミックスとマンガ誌の売り上げが逆転するなど、縮小を続ける市場において
『ワンピース』が牽引したコミックスの売り上げは、横ばいの印象だ。
(出版月報/2011年2月号より)
 2315億円。これは2010年のコミック単行本の推定販売金額である。前年比はプラス1.8%で、増加に転じるのは実に5年ぶり。一見マンガ業界全体が活況を取り戻してきているとも思える数字だが、出版業界紙「新文化」の元編集長で、業界に詳しいジャーナリストの諸山誠氏は、この回復は、マンガ史上最大のヒット作といっても過言ではない『ワンピース』(集英社)1作による効果だと語る。 「これまで売れ続けていた『ワンピース』の単行本が、10年11月の60巻で初版が340万部、今年11月の64巻で400万部にも跳ね上がり、全巻累計発行部数は2億5000万部を記録。同時に50点以上もある既刊が増刷を重ねました。そのたった1作品がコミック市場全体に影響を与えているのです。一方で逆説的ですが、市場の規模が縮小してきたからこうした現象が起こっているのかもしれませんね」(同)  だが、マンガ誌の売り上げは前年比でマイナス7.2%の1776億円で、実に15年連続のマイナスで、マンガ誌と単行本を合わせた売り上げは4091億円、前年比で見ると2.3%減少しているのだ。 「マンガ誌はファッション誌や情報誌と異なり、商品の購買に結びつきにくいため広告出稿が少なく、雑誌だけでは赤字を出しているところがほとんど。そこから1~2本のヒット作が単行本で莫大な利益を生み、雑誌本体の赤字を補っている。そこから新人を発掘したり、思い切った作品を世に問えるエネルギーも生まれてくるのですが、最近はそのゆとりがなくなってきているのが実情です」  こう語るのは、マンガジャパン事務局長なども務める大御所マンガ家の里中満智子氏。大手マンガ週刊誌の場合、ひとりの連載作家がデビューする裏には、100人以上の新人による持ち込みの繰り返しと、編集者とのやりとりが繰り広げられていると続ける。今はエッセイマンガ家として活動しているAさん(仮名)の例を見てみよう。彼女はかつて、6年間にわたり「週刊少年マガジン」(講談社)に持ち込みを繰り返していた頃をこう振り返る。 「私は新人賞で選外佳作に入ってから担当がついて、『マガジン』に連載を持つマンガ家のアシスタントをやりながら持ち込みをしていたのですが、編集部に10年以上持ち込みを続けている人もザラでした。私は2週間に1回、50ページほどのネームを出していたのですがこれでも少なかったほうで、3日に1回ペースの人もいましたね。企画にOKが出て、新連載のネームを繰り返し描くのですが、中には同じ話を1年以上直している人もいたほどです。結局大勢の新人に対し、掲載枠は限られているため、編集者が時間稼ぎをしている感も確かにありました」  こういった話は、業界が不況に陥る昨今、特に顕著になったようだが、編集部によっては"大物"を逃がすこともあったという。現在、初版100万部という大ヒットを飛ばしている『青の祓魔師』(集英社)の加藤和恵氏もそのひとりだ、と語るのは某マンガ家。 「加藤さんの連載デビューは講談社の月刊誌『少年シリウス』で、そこで連載していた『ロボとうさ吉』はまったく売れずに打ち切り、最終巻の初版はわずか5000部ほどだったそうです。その後、同誌で次回作の打ち合わせを重ねていたそうですが、結局新作のネームは通らないうえに担当編集者の横暴もあって、加藤さんは集英社の『ジャンプスクエア』に移籍。そこで大ヒットとなったのが『青の祓魔師』です」  このように、他社に移籍してヒットを飛ばすマンガ家は少なくない。ただ、どのマンガ誌でもそうだが、アンケートの順位や単行本の売れ行きが悪ければ、即打ち切り。金銭面においても、特に週刊の場合は数人のアシスタントが必要になり、その人件費、仕事場の家賃、食費などが新人作家の肩にかかってくる。これまでは、「最小限のアシスタント人件費を編集部が負担してくれたり、また、編集者がその新人によほど目をかけている場合、ポケットマネーから単行本の印税が入るまでのつなぎとして資金を貸してくれるといったことも少なくなかった」(某マンガ編集者)そうだが、今やそれは小学館や講談社、集英社などの大手出版社に限った話。昨今の出版不況から、単行本化もアテにできないような弱小編集部で短期集中連載などの企画が通ると、体制を整えるためにお金を捻出した結果、かえって"連載ビンボー"になってしまうこともあるとか。
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■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) 【プレミアにはこんな記事も!】 ・累計2億冊のあの名作から知られざるレア作品までメッタ斬り!!タブー破りのマンガ100総部数2億冊は劇場版あっての快挙──『ONE PIECE』大ヒットで本当に"儲けた"のは誰だ!?ドラえもんもびっくり仰天!! 人気マンガのキケンな裏側

「ワンピース」は売れてない!? 書店員が語る有名作の"売れ行き"と"売れるマンガ"


【プレミアサイゾーより】  マンガ市場が落ち込みを見せつつも、その規模から、出版社にとっても書店にとっても、マンガは最も力を入れている商品だといえる。そんなマンガ流通の現場にいる書店員たちが、今本当に売れているマンガからメディアミックスの影響まで──その実情を語った!

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書店で膨大な数が並ぶマンガの中で、目立つために台座やPOPなどが
ところ狭しと並ぶ。これがあるとないとでは売り上げに大きく差が出てくる
という。
■座談会参加者 A...中規模チェーンの郊外店勤務
B...萌え系などに強い、都内のマンガ専門店勤務
C...学生街に店舗を構える、都内中規模チェーン店勤務
D...都心の大規模チェーン店勤務 A 今年は大物タイトルが相変わらず堅調という感じだったけど、ヒットしたという意味では2010年末発売の『花のズボラ飯』(作:久住昌之 画:水沢悦子/秋田書店)ですかね。【特集『マンガ編集座談会』参照】 B 僕が働いている書店は、30~40代のいわゆるアキバ系の男性客が9割以上ですが、『花のズボラ飯』はかなり売れました。相当大量に入荷したんですが、それでも品切れになるほど。 C 私のところは学生街なので、大学生が中心の客層。『花のズボラ飯』は最初3冊くらいしか入らなくて即完売。すぐに追加したんですが、それでも30冊程度しか入らず、すぐ売り切れ......の繰り返しでした。 A とにかく品薄でしたよね。しかも発売が年末だったから、重版がかかっても実際に入荷するのが年明けとか、かなりタイムラグがあった。100冊前後入れたのでなんとか年明けまで在庫がもちましたが、ほかの店舗はまったく入らない状況だったみたい。そもそも配本がほとんどなかったから、売れてることに気づいてないところも多かった。 D 私のところも配本がなかったクチ。ただ、年明けに動いているのを知って入荷しましたが、まったく動かなかったです。都心にあるうちの場合、主要客層である20~30代のビジネスマン層にはあまり響かなかったのかも。店舗的には男女比半々で、OLさんも多いですが、その層にもダメ。でも、繁華街の旗艦店では相当売れていましたね。 A 今の勢いでいうと、「コミックフラッパー」(メディアファクトリー)の作品も伸び盛りですね。昨年対比で150~250%伸びていて、本部からも棚を増やすように通達されてます。学生からサラリーマンまで、客層が比較的幅広いうちのような店では、『高杉さん家のおべんとう』(柳原望/メディアファクトリー)をはじめ、一般層にも売れるタイトルが部数を伸ばしていて、全体的に売り上げが底上げされている感じです。書店にとって大事なヒット作って、この手の作品。例えば『ワンピース』(尾田栄一郎/集英社)は、発行部数的には桁違いですが、売り場ではそこまで重要な作品じゃない。 C『ワンピース』や『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博)、『君に届け』(椎名軽穂/共に集英社)といった、置いていて当たり前の作品はコンビニにもたくさん入っていて、必ずしも書店で買ってくれるとは限らないですからね。単行本にしろ、雑誌にしろ、コンビニにないものが書店にとっては大事なタイトル。 A もちろん店舗によっては1000冊以上入荷するところもありますけど、こういう一見さんがフラッと買っていくような作品は、リピーターが中心の店舗では売り上げを左右するほどのタイトルにはなりません。 B アキバ系をターゲットにしたマンガ専門店には、『ワンピース』目当てのお客さんなんていません(笑)。『けいおん!』(かきふらい)など萌え系4コマを多数抱える芳文社や、萌え系、ファンタジー系に強い一迅社の作品のほうが売れますし、入荷も多い。秋葉原のマンガ専門店では、『ひだまりスケッチ』(蒼樹うめ/芳文社)の6巻が1カ月で数千冊売れたなんて話もあるようで、アキバ系の店舗だと「ジャンプ」作品よりこのあたりが売れ筋。 D その売れ行きはさすがに異常だと思いますけど(笑)。私のところでは比較的全国ランキングに近い動きをするんですが、"バトルもの"はあまりウケません。『ワンピース』は3~4番手のタイトルという感じ。それよりも頭脳戦の要素が大きい『HUNTER×HUNTER』や『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦/集英社)が売れます。立地的にサラリーマンが多いからですかね。特に『ジョジョ』はすごい動いて、今年、女性向けファッション誌「SPUR」(集英社)の10月号で荒木先生が表紙を描いていたんですが、男性にもウケて、すぐに売り切れました。 B 荒木先生は別格。うちの店舗でも例外的に「SPUR」を入れましたが、即完売していました。 C 狙って入荷したものが売れるのはうれしいですよね。でも、あてが外れる作品もある。『どげせん』(企画:板垣恵介 画:RIN)は、掲載誌の「週刊漫画ゴラク」(共に日本文芸社)で読んでいて面白かったので、話題になってもっと売れるかと思ってたんですが、案外伸びなかった。「このマンガがすごい! 2011」(宝島社)でオンナ編1・2位を独占したヤマシタトモコ先生の短編集『ミラーボール・フラッシング・マジック』(祥伝社)も思ったほど動きませんでしたね。あれは「カバーデザインが悪い」って声が多いけど。 ■「このマン」、アニメ......メディアの影響は? D「このマン」などのマンガ系アワードは、やはり影響力があります。同じチェーンの旗艦店では「このマン」とかアワード系の特設棚を作ると、上位から下位まで全部売れる。「マンガ大賞」や日販がやってる「全国書店員が選んだおすすめコミック」とかも売れるきっかけになります。 C「このマン」でオトコ編1位の『進撃の巨人』(諫山創/講談社)はすごかった。受賞前からプッシュしてましたが、1位になってからは桁違いの売れ行きでした。 A 僕のところは受賞前にたっぷりプッシュしたので、「このマン」の頃には、もうあまり置いてなかったですね。どこでも売れる作品は、置いても仕方ないので。正直、去年なんか常連さんはみんな、アワードに対して「今年つまんないね」って言ってました。 B 客層が違うからか、うちもほぼ影響ないです。
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オリンパスが犯したもうひとつの罪──不当労働行為の被害者が告発

【プレミアサイゾーより】 ──相次ぐ社長交代や不正会計疑惑に揺れるオリンパス。そんな同社がかねてから抱えてきたトラブルのひとつに、内部通報により、不当な配置転換を強要された現役社員の濱田正晴氏が、同社に対し不当労働行為の取り消しと損害賠償を請求した「オリンパス裁判」がある。この裁判では、8月に出された控訴審判決で濱田氏が全面勝訴したが、9月に会社側は最高裁へ上告。その濱田氏が、現在の裁判制度、内部告発者を守るべき公益通報者保護法が孕む危険性について語るべく、その重い口を開いた。  今回濱田正晴氏が対談相手として選んだのは、オリンパス裁判を通じて濱田氏を実務面、精神面で支援した串岡弘昭氏(後述参照)。
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トナミ裁判元原告で現在は大学や自治体の研修会など
で講師も務める串岡弘昭氏(写真左)と、オリンパス
裁判控訴審で勝訴した原告・濱田正晴氏(写真右)
(写真/山本宏樹)
 串岡氏が起こした「トナミ裁判」(同)がひとつの契機となって成立したともいわれるのが、不正の内部告発者を保護することを定めた公益通報者保護法(通称:内部告発者保護法)である(同法の詳細は別枠参照)。現実にはその趣旨に反して「内部告発者に甚大な被害を与えかねない法律」と指摘する声も多い。今回は同法と因縁の深い2人に、同法の問題点に加え、ある日突然誰もが直面し得る司法や企業に潜む罠について語ってもらった。 ──濱田さんは裁判中の身のため、裁判に支障のない範囲でお話しいただければと思います。 串岡(以下、) 私が代わりに話すから大丈夫(笑)。 ──まず、濱田さんの内部通報のあらましについて教えてください。 濱田(以下、) 07年、私はオリンパスにとって重要な顧客企業の営業担当でした。そこで私は、上司がその顧客企業から、内部の情報を入手して取引を有利に進めるために、複数の社員を引き抜こうとしていることを知りました。これは、不正競争防止法違反の恐れがあったため、「社内で不正行為を知り得た者は内部通報努力義務がある」との社内規定に沿い、社内の通報窓口に通報しました。 ──その後、濱田さんは、会社から報復を受けたのですね?  はい。上司らが私を密室に監禁し、それまで長年従事してきた営業担当とはまったく畑違いの部署へ強制的に異動させたのです。 ──かつて串岡さんが内部通報をした時は、まだ同法はありませんでしたね?  ええ。私は74年にトラック業界の闇カルテル【編註:談合で違法な割増運賃を徴収】を勤務先(当時)であるトナミ運輸社内で内部告発したことがきっかけで、約30年間に及び閑職に追いやられました。 ──お2人は、会社に対し裁判を起こされましたが、裁判を経験されていかがでしたか?  私は地位回復と謝罪を求め02年にトナミ運輸を提訴し、06年の控訴審で会社側と和解しました。民事訴訟では和解交渉になるケースが多いのですが、私が和解交渉を拒否したところ、裁判官は法廷とは表情を豹変させ、「不利になりますよ」という意味のことを、相当キツイ口調で言いました。濱田さんの裁判でも、彼が一審で和解交渉を拒否したところ、裁判官が激高したそうです。 ──濱田さんは、一審の弁護士にも大変苦労されたようですが。  一審の濱田さんの代理人=弁護士が裁判の終盤で、濱田さんの意向を無視して、強引に和解に持ち込もうとし、「濱田氏はオリンパスのブランドを傷つけたので謝罪します」という和解案まで作成していたのです。 ──濱田さんは一審敗訴、二審の控訴審では全面勝訴し、会社の違法配転命令、不法行為が認定されましたが、9月にオリンパスは最高裁に上告しました。  裁判が続くということは、一個人にとって裁判費用の問題のみならず、何より精神的にキツイです。最高裁で判決が確定するまで、会社は濱田さんを継続して過酷な状況に置くことができる。それにより、そのほかの約4万人の社員に向けて、「内部告発者に対して、会社側はとことんやるぞ」という、一種の見せしめを行えるわけです。 ──「精神的にキツイ」ということですが、一番悩んだことはなんでしょうか?
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ガンダムの新作で小学館と角川書店が激突──角川帝国を支えた"ビジネス"の未来

【プレミアサイゾーより】 ──アニメ界に君臨するガンダムシリーズ。その関連ビジネスは幅広いが、中でも紙媒体での展開で近年深く結びついてきたのが角川書店だ。しかし今期放映が始まった『ガンダムAGE』では、そのお株を小学館に奪われている。角川のガンダムビジネスに何があったのか?三大出版社を追い上げる、オタク系の雄の未来を考える。
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(絵/都築潤)
2011年10月より、ガンダムの最新テレビシリーズ『機動戦士ガンダムAGE』(TBS系/以下、AGE)が、満を持してスタートした。『機動戦士ガンダム00』から4年ぶりのテレビシリーズということで、制作サイドも気合が入っているようだ。『レイトン教授』シリーズや『イナズマイレブン』など子ども人気の高い作品を多く手がけるゲーム会社・レベルファイブを企画協力に、ストーリー&シリーズ構成・脚本に同社の社長・日野晃博氏を迎え、ガンダムシリーズ史上初となる、ゲーム化を前提としたメディアミックスの形で企画が始動。同じ血脈の3世代の主人公を据えてストーリーが展開し、1年間放送される予定だ。主人公のフリット・アスノが14歳であることや、キャラクターデザインがずいぶん子ども向けであることを見てもわかるように、コアなターゲットを従来の年齢層からグッと下げて、ガンダムシリーズに触れたことがない小中学生に焦点を絞っているのが特徴といえる。従来のガンダムファンからは、「キャラが子どもっぽすぎる」「世界観がこれまでと違いすぎる」など、放送開始前から否定的な声が大きく、案の定1話放映後は日野氏のツイッターに作品に対する批判が殺到し、炎上寸前になった。  前途多難な出だしとなった『AGE』だが、放送前からマンガ版が展開されていた点も要注目だ。いち早くコミカライズ作品を掲載したのが、小学館の少年誌「月刊コロコロコミック」(『機動戦士ガンダムAGE トレジャースター』【1】)。前述の『イナズマイレブン』などのコミカライズで前例があり、レベルファイブとのかかわりが強いことから今回初めてガンダムシリーズと小学館がタッグを組んだと思われるが、ガンダム作品のコミカライズといえば、「ガンダムエース」というガンダムマンガ専門誌を持っている角川書店がお決まりのコースとなっていたはずである。  同誌はもともと『機動戦士ガンダム』(以下、1stガンダム)の再構成を主とした『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』【2】(作画は『1stガンダム』のキャラデザを手がけた安彦良和。11年8月号で連載終了)のために創刊された。そのほかにも、現在OVA(オリジナルビデオアニメ)でシリーズ発売され、アラフォー世代のガンダムファンの間で人気を博している『機動戦士ガンダムUC』の原作小説(作・福井晴敏)やそのマンガ版『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』【3】が連載されるなど、ガンダムシリーズの要となるような作品のコミカライズ版やアナザーストーリーが多数掲載されている(なお、『AGE』の別バージョンのコミカライズは同誌にも掲載されている)。また、『機動戦士ガンダムさん』【4】『トニーたけざきのガンダム漫画』【5】など、アニメ制作会社・サンライズのお墨付きならではのギャグマンガやパロディマンガも掲載されている。このように、"ガンダムビジネスの出版部門を担うのは角川書店"という印象が強いわけだが、そもそも、角川書店とガンダム、ひいてはサンライズ社の蜜月は、いつから始まったのだろうか? ■「ニュータイプ」創刊がすべての始まりだった  当特集の年表を読んでいただければわかるように、『1stガンダム』の、富野由悠季監督による小説版は朝日ソノラマから、マンガ版は秋田書店から刊行されるなど、ガンダムシリーズは始動当初から、角川書店とタッグを組んでいたわけではない。むしろ、「SDガンダム」シリーズやガンプラ人気を盛り上げたのは講談社の少年誌「コミックボンボン」掲載作『プラモ狂四郎』(クラフト団・やまと虹一)や『SD武者ガンダム』シリーズなどであり、この頃は同社との関係が深かったことが伺える。角川書店とサンライズが深くかかわるようになり始めたのは、「角川書店の現取締役社長の井上伸一郎氏と、『ファイブスター物語』【6】などで有名なメカニックデザイナーでマンガ家の永野護との付き合いが発端ではないか」と、アニメ史に詳しいライターは言う。
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【刈谷友衣子】──"非笑顔"の美人中学生が女優業に開眼

【プレミアサイゾーより】
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 NHKにて10月まで放送されたケータイ小説を原作にしたドラマ『金魚倶楽部』で、激しいイジメを受けるヒロイン役を熱演した刈谷友衣子。4月クールに放送された『鈴木先生』(テレビ東京系)など話題の学園作品への出演が相次ぐ、注目の若手女優だ。 「今まではなんとなく『お芝居は楽しいです』と言ってたんですけど、『金魚倶楽部』を通して、初めて演じることの面白さがわかった気がします。撮影現場では『もういやだ!』って思うんですけど、終わったら、またすぐに現場に戻りたくなるんですよね」  女優として着実に成長を重ねるそんな彼女が、初の写真集『つぼみ』(マガジンハウス)を発売。雑誌モデルとしての活動も長いから、撮られるのは慣れていたのではないですか? 「私が専属モデルを務めていた『ラブベリー』(徳間書店)はティーン誌なので、"キャピキャピ"っていう雰囲気が求められたんですけど、今回は"非笑顔"というか(笑)、ふとした瞬間の表情を撮っていただけたので、すごく雰囲気のいい写真集になったと思います」
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火事場泥棒話はなぜ報じられない? 東日本大震災で露見したタブーだらけのマスメディア

──東日本大震災によって国内の各業界に少なからぬ影響が出ているのは周知の通りで、それはまた報道の世界においても例外ではなかった。半年がたった今、今回の震災で新たに生まれ、固定化されつつある報道における規制には、どんなものがあるのだろうか?
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津波に飲まれて亡くなった人物の手と、それを見
つめる家族らしき人物の写真をニューヨーク・タイ
ムズが一面掲載。日本と海外メディアではこうし
た災害でも報じ方が異なっている。
 東日本大震災から半年余りが経過した。復興に向けた動きが草の根レベルから続いているが、この情勢下で新たな政権が組閣されるなど、日本全体が混迷している。また、同時に起こった福島第一原発事故もまったく収束の気配を見せず、社会にはうっすらと疲弊した空気が堆積したままだ。放射性物質の拡散や被ばく被害について、さまざまな情報が錯綜し、神経を尖らせて過ごす人も増えていることだろう。  神経を尖らせているのはまた、そうしたニュースを報じるマスコミも同様である。震災発生直後、国家レベルの非常事態に世間が浮き足立つ中で、何をどのように報じるか、各媒体の姿勢が問われた。特に、常日頃から大手マスコミを「マスゴミ」と呼んではばからないネット住民などは、それらの報道体制に対して、揚げ足取りレベルでも容赦ない批判を繰り返した。もちろん、災害発生直後となると規模が大きく体力のある報道機関しか現地取材に入ることは難しく、大手メディアが流す情報に頼らざるを得ない部分があったため、批判も生じたと考えられる。  当特集【2】の図【1】【3】のように、3月時点の報道において、テレビ局関係者による問題行動や発言がいくつかあったのは事実。『スッキリ!!』(日テレ)の大竹真レポーターや、首相会見中継におけるフジテレビスタッフなど、たとえ音声切り替えミスによる事故だったにせよ、非常時に報道に臨む者がそのような姿勢でいることは、批判されても仕方のないことだろう。 「中継中のああいった事故は珍しくないですが、大竹さんはタイミングが悪すぎた。中継が切れまくることへの皮肉だった、という話もありますが、被災直後の混乱した現場じゃ機材トラブルがあるのだって別に不思議はない。まぁ彼はレポーター系大手の圭三プロダクション所属ですし、あんなことがあっても、テレビ関係者の間ではクビになることはないと思ってる人が大半でしたけどね」(制作会社社員)  一方で、【2】のように、仕方なしに取った処置に対して、「不謹慎」という言葉を盾にした視聴者からの苦情も発生した。 「『非常事態をいいことに、ACが広告枠を買い占めている』と思った人もいたとかで、たいへんな誤解ですよ。通常のCMが入れられないから、差し替えでAC広告を入れてるのにね。『ポポポポーン』が耳障りだってところには同意しますけど(笑)、やり場のない苛立ちやストレスをぶつけた人が大半だったんじゃないでしょうか。一般企業のCMが再開したら再開したで、『まだそれどころじゃないだろう』と苦情が入るっていうんだから、じゃあどうすればいいんだよ!? って話ですよ」(キー局営業社員)  こうした報道をめぐる事件の中で最も大きなものは、東海テレビの「セシウムさん」騒動【4】だろう。午前の情報番組で、視聴者プレゼントの当選者名が表示されるべきところに「怪しいお米 セシウムさん」などと書かれたテロップが流れ、世間は騒然。表示する内容が決まるまで、仮で入れていた文字が誤って流れたものとされたが、制作時にスタッフ間でふざけてそうした文言を書いていたのだとしたら、よりタチが悪い。 ■破られた東電タブーそれでもテレビは......  原発事故をめぐる報道については、当初、マスコミにおける「東電タブー」によって、きちんと報じられないのでは? と、そうした事情を関知する人の間でささやかれた。  東京電力が毎年マスコミ各社に支払う広告宣伝費は300億円近くになるとされ、また、電力会社各社が加盟している電気事業連合会が支払う宣伝費も合計すると、1000億円に上るとする意見もある。マスコミ業界に厳然と存在する「スポンサータブー」から、原発事故には踏み込めないのではないかと危惧されたわけだ。しかし事故の規模は無視できるレベルになく、雑誌メディアを中心に、さまざまな独自取材記事が世に出ることとなった。  このように、従来は週刊誌等の雑誌においても、広告出稿の都合からタブー視されていたものの重しが外れたのは、今回の震災で大きく変わった点だろう。それでも、テレビのように幅広い層を対象にした媒体では、報じ方が難しいことには変わりがなかったという。
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■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) 【プレミアにはこんな記事も!】 ・"奇形の人なんて存在しない !?"  表現規制が生む新たな差別を考える急成長ケータイコミックへの表現規制がマンガの市場を殺す!?テレビのタブーを破った男が激白! マツコ起用の理由「デカくて面白いから使っただけ!」

[対談]"東北学"から読み解く被災地の闇──日本の植民地たる東北で、タブーなき復興とは?

──震災前、すでに活力を失いつつあった東日本大震災の被災地。"日本の植民地"たる東北に、描くべき未来はあるのか? 気鋭の社会学者・小熊英二氏と、震災で甚大な被害を受けた南三陸町出身の山内明美氏が、その難問に挑む。
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 東日本大震災から7カ月が過ぎた。その被害は甚大で復興にはいまだほど遠く、メディアに登場する被災地、そしてそこに生きる被災者の姿はいきおい、「かわいそうな被災者」、そして「そんなつらい現実を受け止め、懸命にがんばる人々」と、感傷的に描かれがちだ。いや、現にそうである以上、そのこと自体を非難はできまい。しかし、そのように"のみ"被災地が語られてしまうことで、覆い隠されていること─タブー─がありはしまいか?  被災地の大部分は、震災前からすでに疲弊しきっていたのではなかったか。そうした被災地にとって、国からただ予算を引っ張るだけの、そしてその代わりに国の要求に沿う形でただ町や村を再生させるだけの「復興」に、一体いかほどの意味があるのか─。  かような問題意識のもと、7月に緊急出版されたのが『「東北」再生』(イースト・プレス)だ。同書では、「東北学」を提唱してきた民俗学者の赤坂憲雄氏、『単一民族神話の起源―〈日本人〉の自画像の系譜』『〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性』(共に新曜社)などで日本の歴史を問い直してきた社会学者の小熊英二氏、そして、小熊氏の学問上の弟子に当たり、また今回の震災で甚大な被害を受けた町のひとつである宮城県南三陸町で生まれ育った歴史社会学者の山内明美氏が、これからの東北の、そして日本のあるべき姿を語り合っている。  そこで今回は、東日本大震災復興構想会議の委員職を務め多忙な赤坂氏を除く2人に、「震災前の被災地」がもともと抱えていた問題と、それを踏まえた上での被災地の今後のあるべき姿を、あらためて語ってもらった。 山内明美(以下、) 陸の孤島─。私が生まれ育った宮城県南三陸町を含めた三陸沿岸の町々は、そう呼ばれてきました。以前から後継者不足に悩む漁村や農村、そして、公立病院にさえ産婦人科・小児科もないというような医療過疎の町です。2005年に旧志津川町と旧歌津町が合併して、南三陸町に名前が変わりましたが、ほぼ限界集落の寄せ集まりであることに変わりはありません。少子高齢化の進んだ町です。地元の高校を卒業しても、長男は家督を継ぐために残りますが、それ以外の者は町を出て行かざるを得ない。そもそも働き口が町役場かJAくらいしかないんです。農閑期には、出稼ぎに行く人もたくさんいました。  私の場合は、高校卒業後、町の臨時職員になって、志津川の「民俗資料館」へ勤務しました。この民俗資料館は、80年代の国の農業構造改善事業からの出資で運営が始まったため、管轄は農林課でした。そういった経緯からか、村の大地主の民家を修復保存して公開していました。  その後、もっと違った形での町づくりについて学びたいと、24歳の時に上京して、大学に入学したんです。 小熊英二(以下、) 公民館などの「箱モノ」が地方で盛んにつくられたのは、80年代末から90年代。日米構造協議で日本が内需拡大を求められたのと、不況対策で公共事業が増えたのとが大きな要因です。そうやって国から降ってきたお金を、地方自治体は「箱モノ」にばかり使ってしまい、国にも地方にも財政赤字だけが残ってしまった。もう少し有効な使い方ができていれば、今とは違っていたかもしれません。  そうなんです。南三陸町の民俗資料館も、まさにそんな状態でした。80年代の国のばらまき政策で多くの箱モノを建てたはいいけれど、それにかかる莫大な維持費を、自治体の予算ではとても工面できなくなっていた。そうして累積赤字の積もった町には県の指導が入り、自分の町の予算さえ自分たちで決められないという状態に陥っていた。 ──『「東北」再生』において民俗学者の赤坂憲雄氏は、東京に食料と労働力、電力を供給し続けてきた東北を「日本の植民地」と表現している。その「植民地化」の歴史についても、小熊氏が同書で解説している。以下に要約してみよう。  本来は米作には適さない土地であった東北が「米どころ」のイメージを確立したのは、実は戦後から。朝鮮半島や台湾を失ったために困窮した食料自給を補うためだった。そのため、漁業の町である気仙沼や石巻も栄えた。  また、一次産業以外でも同様のことが起こる。鉄鉱山があった岩手県釜石市には、鉄の需要増加を受け、日本中から労働者が集まる。農村女性をはじめとした低賃金の非正規労働者をあてにして、東北各地に下請けの部品工場などが誘致された。と同時に、集団就職や出稼ぎで、若い労働力は東京をはじめ大都市へと向かった。  しかし、まずは一次産業が、70年前後から都市の食品供給が間に合ってきたことによる米の減反政策がきっかけとなり、立ちゆかなくなる。さらに鉱工業においては、80〜90年代の国際化の中、東北よりもさらに安価な労働力を有するアジアとの競争にさらされていく。そんな中、釜石の新日鐵釜石は、89年に製鉄をやめてしまう。  その次にやってくるのが、地方にスキー場やゴルフ場、テーマパークなどを作るリゾート化の流れ─典型的な公共事業の時代だ。東京とリゾート地を結ぶため、公共事業で高速道路や空港がつくられ、東京の広告代理店と地方の土建業者の合作のような計画が各地で進んでいった。  しかし、90年から2000年代以降、この流れは破綻する。地域を活性化させてくれるはずだった道路を使い、若者はどんどん都会に出ていった。駅前の商店街は、シャッター通りになった。東北の人口変動は、60年代前半をピークにして、あとは減少の一途をたどるのみ。東北に雇用などなく、補助金で地域を下支えできた時代など、震災前にとうに終わってしまっていたのだ。  そして、そんな状況に追い打ちをかけるように、突如として震災が町を襲った──。  三陸沿岸の町は、公共事業や補助金がふんだんに降ってきた時代の幻影をいまだに追っているように見えます。  震災後、「これでまた公共投資が降ってくる」などと浮き足立っている首長や建設業者などは多いでしょうね。一時的にそういった流れはあるでしょうが、絶対に長くは続かない。リーダーの人たちは、まずは「夢の時代」を忘れることから始めないと。
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■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) 【プレミアにはこんな記事も!】 ・『震災以降も「原子力ムラ」は何も変わっていない』 原発と共に生きる人たちの現実【前編】ブータンと水俣市に学ぶ震災後のあるべき日本の姿【前編】瓦礫撤去、産廃処理から義援金詐欺、人身売買まで──ヤクザも訝しがる復興事業"儲けのカラクリ"