実現すると府民の生活は楽になるの? 徹底検証! 橋下市長が与える経済的影響

【プレミアサイゾーより】 (現在、プレミアサイゾーでは無料キャンペーンを実施中。2012年1月31日まで無料読み放題!) ──2011年11月末に行われた大阪市長選で当選した橋下徹新市長。さっそく積極的な人件費の削減や公的機関の売却などに動き始めている。だが、これらの政策には、例え市の財政を短期的に黒字化しても、中長期的に見れば資産の切り売りをしただけという批判もあるが......。 
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『体制維新──大阪都』(文
春新書)。
 2011年11月のダブル首長選の勝利によって、にわかに現実味を帯びてきた橋下徹・大阪市長が掲げる「大阪都構想」。  だが、選挙の争点と言われ、マスコミをにぎわせてきたこの問題も、実際のところはフワッとしすぎて、一般市民にはどうにもわかりづらい。  近い将来、いわゆる「大阪都」が実現したら、いったい何がどう変わるのか? その先に待つ未来は果たして、「強くて豊かで優しい」のか?  小泉旋風が吹きあれた往時を彷彿とさせる「大阪市をぶっ壊す」といった威勢のいい言葉ばかりが先行する今こそ、徹底的に検証してみたい。 ■「二重行政の解消」にはどんなメリットがある?  そもそも、現行の大阪府と、その中核をなす政令指定都市(大阪市・堺市)を統合して、都と8~12の特別自治区(以下、特別区)に再編するというのが、くだんの「都構想」の大まかな要旨。これを実現することで、二重行政による多大なムダを省き、低迷する大阪経済を活性化。すなわち「企業に儲けてもらい、従業員の給料を上げる」ことでアップした税収を、大規模なインフラ整備や再編された基礎自治体での行政サービスにより効率的に投下すれば経済が活性化されるというのが、大阪維新の会のマニフェストだ。  だが、そこでの最大のメリットとして強調される、水道や公共施設の重複といった「二重行政の解消」からして、我々にはピンと来ないし、一口に「水道料金が安くなる」と言われても、もともとの料金自体がガソリン並に高いというわけでもない以上、市民生活レベルで実感することは皆無に等しいのが実情だろう。  では、大阪の有権者たちは何をもって維新の会を支持したのか?大阪を拠点に取材活動を続けてきたジャーナリストの大谷昭宏氏は、その背景をこう解説する。 「都構想が争点といわれてはいたものの、今度の松井一郎・橋下両氏の当選は、それと結びついていたわけでは決してない。橋下氏の『大阪市をぶっ壊す』というフレーズに、有権者が漠然とした期待感を抱いた結果といったほうが正確でしょう。  実際、府民・市民の生活に『二重行政』が差しせまった問題として影響を及ぼしているかというと、そんなことはないでしょうしね」  既成の政党や既得権益団体に対して、敢然とノーを突きつける市長の姿は、確かに頼もしくはある。だが、府知事と市長が同じ大阪維新の会から出ている今となっては、"都"にしなくても二重行政の解消とやらは可能だとも思えるが......。  その疑問には、慶應義塾大学経済学部の土居丈朗教授が「ある条件を満たせば」として、こう答える。 「現行制度のままでも、ある程度の解消は可能ですが、中長期的に見たとき、より大きな"都"への再編は、府と市のこんがらがった現状への打開策として非常に有効なんです。ただ、そこで注意しなければいけないのは、やれることと、やって意味のあることの峻別をキッチリする必要があるということ。橋下氏の言うところの都と特別区の役割分担を見誤ると、おそらく成功も難しい」  では、その「ある条件」とはなんなのか? 土居氏が続ける。 「ひとつは、役割分担。もうひとつは財源の問題です。基本的に固定資産税と法人住民税の入る市のほうが財源は潤沢です。これを都がどう使うかが、カギになってくるでしょう。  東京都の場合、税金を都がいったんすべて吸い上げて、50%強を23区が、残りを都の広域行政のために使うという取り決めになっている。一方で、固定資産税がドカッと入る千代田・中央・港の都心3区の税収を、足立・葛飾などの低所得者の多い区に再分配するということもやっている。実はそうした仕組みが、それぞれの区が個別に不満を抱えながらも半世紀以上にわたって特別区の制度を維持し得た、ある種の結束力、求心力にもなっているんです」  だとすれば、そうした求心力を、果たして維新の会が標榜する大阪都は持ち得るのか。土居氏は、大阪の問題点を指摘しながら、説明する。 「いくら大阪市が府域の中心で財源があっても、東京都心3区ほどのパワーを持っていないというのが、危惧されるところではありますね。  大阪には北浜という金融の拠点がありますが、全国に5カ所ある取引所の総商いの80%以上を占める東京の兜町に比べたらやはり力不足。区を再編するにしても、その段階で経済の中心である北区や中央区と、他地域との税収格差を是正するなど、充分なメリットを具体的に提示できなければ、仮に現体制で実現したとしても、あとあと反発する自治体が出てこないとも限りません」  事実、大阪市には西成区のように突出して生活保護受給世帯の多い行政区(上段コラム参照)も存在するため、区割り案の集約が困難を極めるのはもはや必定だ。 「国からお金がもらえた"平成の大合併"ですら、あれだけ揉めたんです【※1】から、24もある大阪の区同士が揉めないはずはないでしょう。  阿倍野や天王寺が、『西成となんて冗談じゃない』となるのは当然だろうし、人口の約35%を在日韓国・朝鮮人が占める生野区などでは、住民の希望にかかわらず、どうしても差別的な現象も生まれてくる。その労力を考えれば、二重行政の解消だけに注力するのが現実的だと思いますけどね」(大谷氏)  そんな生々しい対立構造があるなら、都構想など土台無理な話とも思えてくる。しかし、それを回避する手だてとして、土居氏が一定の評価を与えているのが、維新の会が別案として提示する、周辺9都市も特別区に編入するというアイデアだ。 「北隣の吹田市は、財政的には非常に豊かなんですけど、今だ特例市【※2】で権限はほとんど持っていない。となると、財源の不足分を補完する意味でも、そういった周辺自治体を特別区にして、税収の代わりに権限を渡すというバーターを利用していくのもひとつの手です。大阪市の隣接地域には、吹田のほか、中核市の東大阪、特例市の豊中・八尾といった自治体もありますから、そうした利害関係を政治的に活用すれば、あるいは賛同も得やすくなるかもしれません。もっとも、吹田の場合はもともと市長が維新の会所属ですから、ほかとは、多少事情が違いますけどね」(土居氏) ■橋下市長は独裁者なのか?  ところで、都構想をめぐる論議の中でしばしば俎上に上るものとして、「橋下市長=独裁者」といったたぐいのネガティブキャンペーンがある。だが、こうしたわかりやすい図式に異を唱えるのが、自身は「反橋下、都構想反対派」だという大谷氏だ。 「彼の言うことを額面通りに受けとれば、新しくできる特別区には中核市と同等の権限を持たせることになるので、大阪都知事はグランドデザインを描くだけの、たいした権限を持たない統括的な存在になると思っていい。その時都は、具体的な施策を執行する区と区の調整を受けもつ機関、言わば警視庁に対する警察庁のような位置づけになるんだから、仮に彼が市長から知事に返り咲いても、独裁者にはなり得ませんよね」  なるほど、ここまでのお二方の話で、おおよその外郭はつかめたものの、やはり知りたいのは、我々の生活にどう影響してくるかということ。  まず、土居氏の見通しはこうだ。 「冒頭にも言ったように、都構想は中長期的に見て効果のある改革なので、区内の意見がダイレクトに反映できるといった即時的な部分を除いて、市民レベルで画期的に何かが変わるということは、ほとんどないでしょう。現在も『隣接している府と市の浄水場がムダだ』『ゴミ処理は区ごとに行ったほうが効率的だ』といったことが盛んに取り沙汰されていますが、これらにしたってすぐさま生活の中で実感できるかといったら、あやしいもんですからね。  とはいえ、市役所に対する大きな不信感を払拭するという意味での効果は絶大ですし、一元管理による運営の効率化によって人件費などは削減できる。それによって浮いたお金は、行政サービスにも還元されるようになるわけですから、2~3年でどうこうということはないにせよ、キチンと制度を構築すればやる意味はあるのかな、とは思います」  大谷氏も、都構想そのものには批判的でありながらも、「評価すべき点はある」としてこう語る。 「本来は革新的であるべき労働組合や市民団体が、当然のように補助金をもらってきたという構図が、大阪という街に暗い影を落としてきたのは事実ですから、そういった既得権益層に対して、徹底抗戦を唱える彼の論理は、ある意味正しい。  まぁ、大風呂敷を広げて、だんだん小さくしていくのが、いつもの彼のパターンですけどね」  当事者たる橋下市長ら、維新の会の面々ですら、目下、手探り状態のまま船出している感のある「大阪都構想」。土居氏が「市政の2年目後半から3年目が岐路になる」と語るように、いよいよ青写真が出来上がったその時に、議論に乗り遅れることがないよう、我々も今からその動向には注視していく必要がある。  なにしろ、大阪都の成功いかんによっては、横浜・名古屋といった大都市圏のみならず、地方自治の枠組みそのものが大きく変貌するかもしれないのだから。 【※1】他の都道府県では続々と新たな市町村が誕生した一方、合併協議が遅々として進展しなかった大阪では、隣接する堺市と合併した美原町の事例 があるのみ。 【※2】 都市の規模に応じて、都道府県の権限を一部委譲する制度で、政令指定都市、中核市、特例市にそれぞれ区分されている。人口35万人以上を擁する吹田市は、中核市の要件を満たしているが、現状では特例市のままである。 (文/鈴木 長月) 【プレミア関連記事】二重行政の解消で年間4000億円の確保──大阪都構想によるお値段を調査!弁護士からオバちゃんまで!「橋下市長、大阪コストカットの弊害と府民の声、届いてまっか?」永田町の歓迎ムードで、意外と実現しそう? ダメ元な都構想実現を阻む、数々の障壁
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実現すると府民の生活は楽になるの? 徹底検証! 橋下市長が与える経済的影響

【プレミアサイゾーより】 (現在、プレミアサイゾーでは無料キャンペーンを実施中。2012年1月31日まで無料読み放題!) ──2011年11月末に行われた大阪市長選で当選した橋下徹新市長。さっそく積極的な人件費の削減や公的機関の売却などに動き始めている。だが、これらの政策には、例え市の財政を短期的に黒字化しても、中長期的に見れば資産の切り売りをしただけという批判もあるが......。 
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『体制維新──大阪都』(文
春新書)。
 2011年11月のダブル首長選の勝利によって、にわかに現実味を帯びてきた橋下徹・大阪市長が掲げる「大阪都構想」。  だが、選挙の争点と言われ、マスコミをにぎわせてきたこの問題も、実際のところはフワッとしすぎて、一般市民にはどうにもわかりづらい。  近い将来、いわゆる「大阪都」が実現したら、いったい何がどう変わるのか? その先に待つ未来は果たして、「強くて豊かで優しい」のか?  小泉旋風が吹きあれた往時を彷彿とさせる「大阪市をぶっ壊す」といった威勢のいい言葉ばかりが先行する今こそ、徹底的に検証してみたい。 ■「二重行政の解消」にはどんなメリットがある?  そもそも、現行の大阪府と、その中核をなす政令指定都市(大阪市・堺市)を統合して、都と8~12の特別自治区(以下、特別区)に再編するというのが、くだんの「都構想」の大まかな要旨。これを実現することで、二重行政による多大なムダを省き、低迷する大阪経済を活性化。すなわち「企業に儲けてもらい、従業員の給料を上げる」ことでアップした税収を、大規模なインフラ整備や再編された基礎自治体での行政サービスにより効率的に投下すれば経済が活性化されるというのが、大阪維新の会のマニフェストだ。  だが、そこでの最大のメリットとして強調される、水道や公共施設の重複といった「二重行政の解消」からして、我々にはピンと来ないし、一口に「水道料金が安くなる」と言われても、もともとの料金自体がガソリン並に高いというわけでもない以上、市民生活レベルで実感することは皆無に等しいのが実情だろう。  では、大阪の有権者たちは何をもって維新の会を支持したのか?大阪を拠点に取材活動を続けてきたジャーナリストの大谷昭宏氏は、その背景をこう解説する。 「都構想が争点といわれてはいたものの、今度の松井一郎・橋下両氏の当選は、それと結びついていたわけでは決してない。橋下氏の『大阪市をぶっ壊す』というフレーズに、有権者が漠然とした期待感を抱いた結果といったほうが正確でしょう。  実際、府民・市民の生活に『二重行政』が差しせまった問題として影響を及ぼしているかというと、そんなことはないでしょうしね」  既成の政党や既得権益団体に対して、敢然とノーを突きつける市長の姿は、確かに頼もしくはある。だが、府知事と市長が同じ大阪維新の会から出ている今となっては、"都"にしなくても二重行政の解消とやらは可能だとも思えるが......。  その疑問には、慶應義塾大学経済学部の土居丈朗教授が「ある条件を満たせば」として、こう答える。 「現行制度のままでも、ある程度の解消は可能ですが、中長期的に見たとき、より大きな"都"への再編は、府と市のこんがらがった現状への打開策として非常に有効なんです。ただ、そこで注意しなければいけないのは、やれることと、やって意味のあることの峻別をキッチリする必要があるということ。橋下氏の言うところの都と特別区の役割分担を見誤ると、おそらく成功も難しい」  では、その「ある条件」とはなんなのか? 土居氏が続ける。 「ひとつは、役割分担。もうひとつは財源の問題です。基本的に固定資産税と法人住民税の入る市のほうが財源は潤沢です。これを都がどう使うかが、カギになってくるでしょう。  東京都の場合、税金を都がいったんすべて吸い上げて、50%強を23区が、残りを都の広域行政のために使うという取り決めになっている。一方で、固定資産税がドカッと入る千代田・中央・港の都心3区の税収を、足立・葛飾などの低所得者の多い区に再分配するということもやっている。実はそうした仕組みが、それぞれの区が個別に不満を抱えながらも半世紀以上にわたって特別区の制度を維持し得た、ある種の結束力、求心力にもなっているんです」  だとすれば、そうした求心力を、果たして維新の会が標榜する大阪都は持ち得るのか。土居氏は、大阪の問題点を指摘しながら、説明する。 「いくら大阪市が府域の中心で財源があっても、東京都心3区ほどのパワーを持っていないというのが、危惧されるところではありますね。  大阪には北浜という金融の拠点がありますが、全国に5カ所ある取引所の総商いの80%以上を占める東京の兜町に比べたらやはり力不足。区を再編するにしても、その段階で経済の中心である北区や中央区と、他地域との税収格差を是正するなど、充分なメリットを具体的に提示できなければ、仮に現体制で実現したとしても、あとあと反発する自治体が出てこないとも限りません」  事実、大阪市には西成区のように突出して生活保護受給世帯の多い行政区(上段コラム参照)も存在するため、区割り案の集約が困難を極めるのはもはや必定だ。 「国からお金がもらえた"平成の大合併"ですら、あれだけ揉めたんです【※1】から、24もある大阪の区同士が揉めないはずはないでしょう。  阿倍野や天王寺が、『西成となんて冗談じゃない』となるのは当然だろうし、人口の約35%を在日韓国・朝鮮人が占める生野区などでは、住民の希望にかかわらず、どうしても差別的な現象も生まれてくる。その労力を考えれば、二重行政の解消だけに注力するのが現実的だと思いますけどね」(大谷氏)  そんな生々しい対立構造があるなら、都構想など土台無理な話とも思えてくる。しかし、それを回避する手だてとして、土居氏が一定の評価を与えているのが、維新の会が別案として提示する、周辺9都市も特別区に編入するというアイデアだ。 「北隣の吹田市は、財政的には非常に豊かなんですけど、今だ特例市【※2】で権限はほとんど持っていない。となると、財源の不足分を補完する意味でも、そういった周辺自治体を特別区にして、税収の代わりに権限を渡すというバーターを利用していくのもひとつの手です。大阪市の隣接地域には、吹田のほか、中核市の東大阪、特例市の豊中・八尾といった自治体もありますから、そうした利害関係を政治的に活用すれば、あるいは賛同も得やすくなるかもしれません。もっとも、吹田の場合はもともと市長が維新の会所属ですから、ほかとは、多少事情が違いますけどね」(土居氏) ■橋下市長は独裁者なのか?  ところで、都構想をめぐる論議の中でしばしば俎上に上るものとして、「橋下市長=独裁者」といったたぐいのネガティブキャンペーンがある。だが、こうしたわかりやすい図式に異を唱えるのが、自身は「反橋下、都構想反対派」だという大谷氏だ。 「彼の言うことを額面通りに受けとれば、新しくできる特別区には中核市と同等の権限を持たせることになるので、大阪都知事はグランドデザインを描くだけの、たいした権限を持たない統括的な存在になると思っていい。その時都は、具体的な施策を執行する区と区の調整を受けもつ機関、言わば警視庁に対する警察庁のような位置づけになるんだから、仮に彼が市長から知事に返り咲いても、独裁者にはなり得ませんよね」  なるほど、ここまでのお二方の話で、おおよその外郭はつかめたものの、やはり知りたいのは、我々の生活にどう影響してくるかということ。  まず、土居氏の見通しはこうだ。 「冒頭にも言ったように、都構想は中長期的に見て効果のある改革なので、区内の意見がダイレクトに反映できるといった即時的な部分を除いて、市民レベルで画期的に何かが変わるということは、ほとんどないでしょう。現在も『隣接している府と市の浄水場がムダだ』『ゴミ処理は区ごとに行ったほうが効率的だ』といったことが盛んに取り沙汰されていますが、これらにしたってすぐさま生活の中で実感できるかといったら、あやしいもんですからね。  とはいえ、市役所に対する大きな不信感を払拭するという意味での効果は絶大ですし、一元管理による運営の効率化によって人件費などは削減できる。それによって浮いたお金は、行政サービスにも還元されるようになるわけですから、2~3年でどうこうということはないにせよ、キチンと制度を構築すればやる意味はあるのかな、とは思います」  大谷氏も、都構想そのものには批判的でありながらも、「評価すべき点はある」としてこう語る。 「本来は革新的であるべき労働組合や市民団体が、当然のように補助金をもらってきたという構図が、大阪という街に暗い影を落としてきたのは事実ですから、そういった既得権益層に対して、徹底抗戦を唱える彼の論理は、ある意味正しい。  まぁ、大風呂敷を広げて、だんだん小さくしていくのが、いつもの彼のパターンですけどね」  当事者たる橋下市長ら、維新の会の面々ですら、目下、手探り状態のまま船出している感のある「大阪都構想」。土居氏が「市政の2年目後半から3年目が岐路になる」と語るように、いよいよ青写真が出来上がったその時に、議論に乗り遅れることがないよう、我々も今からその動向には注視していく必要がある。  なにしろ、大阪都の成功いかんによっては、横浜・名古屋といった大都市圏のみならず、地方自治の枠組みそのものが大きく変貌するかもしれないのだから。 【※1】他の都道府県では続々と新たな市町村が誕生した一方、合併協議が遅々として進展しなかった大阪では、隣接する堺市と合併した美原町の事例 があるのみ。 【※2】 都市の規模に応じて、都道府県の権限を一部委譲する制度で、政令指定都市、中核市、特例市にそれぞれ区分されている。人口35万人以上を擁する吹田市は、中核市の要件を満たしているが、現状では特例市のままである。 (文/鈴木 長月) 【プレミア関連記事】二重行政の解消で年間4000億円の確保──大阪都構想によるお値段を調査!弁護士からオバちゃんまで!「橋下市長、大阪コストカットの弊害と府民の声、届いてまっか?」永田町の歓迎ムードで、意外と実現しそう? ダメ元な都構想実現を阻む、数々の障壁
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『けいおん!』人気にも便乗!? AKB48のマーケティング戦略とは?

──気になるあのニュースをただ読む以上に、さらなる知識を知りたいそんなアナタのために、話が100倍(当社比)膨らむ" プレミアム"な記事をサイゾー目線で厳選レビュー!現在、「プレミアサイゾー」では無料購読キャンペーンを実施中。1月31日までは無料で全記事が読めちゃいます!!
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『AKB48 よっしゃぁ~行くぞぉ~!in
西武ドーム スペシャルBOX』
 今月22日、今をときめくアイドルグループAKB48(以下、AKB)が、4日間かけて行われるコンサート『リクエストアワーセットリストベスト100』の最終日を迎えたことが話題となりました。同コンサートでは、AKBの新曲『GIVE ME FIVE!』を初披露。同曲はAKBメンバーたちによるバンド演奏の形式を取り、多くのファンを驚かせました。  奇しくも現在、女子高生の軽音楽部での日常を描いたアニメ映画『けいおん!』が大ヒット中。さすが時代のカッティングエッジを突っ走るプロデューサー・秋元康氏の手がけたアイドルグループだけあって、最先端のムーブメントを牽引する力を感じさせ、AKBのさらなる発展を感じさせるには十分なイベントだったといえるでしょう。  もはや"時代と寝た"アイドルといっても過言ではない彼女たちですが、もちろんサイゾーもAKBのことが気になる......。ということで、今回は今までサイゾーが追ってきたAKBの記事でオススメのものをピックアップしてみました。AKBを広告塔に使うIT企業の黒い噂や昨年のレコ大受賞の裏でうごめくコワモテ事務所の影から、松井玲奈ちゃんのグラビアまで──AKBの裏までわかる大特集をご一読あれ! 【プレミアムな関連記事】 土壇場の大逆転劇──AKB48レコ大受賞を"許した"バーニング&エイベックスの狙い 2012年1月号(プレミアサイゾー) EXILE兄さん、譲ってくれてあざーす! 「ヤンジャン」は他誌の2倍起用!! マンガ誌が愛す"グラビア登場回数"加点式AKB48ランキング 2011年12月号(プレミアサイゾー) グラビア人気は総選挙とはガラリと違う? 高岡蒼甫、平野綾、AKB48まで──芸能マネージャーが語る「ツイッターは百害あって一利なし!」 2011年10月号(プレミアサイゾー) Google+でも積極的に活動を始めたAKB。広告費が出れば利益のほうが大きいのかな。 アウトローには板野友美が大人気!? 瓜田純士、元ヤクザたちの推しメンとAKB48論 2011年9月号(プレミアサイゾー) 悪いメンズたちもAKBに夢中。 AKB48オーナーに囁かれるさらに黒い履歴とマスコミ統制 2011年8月号(プレミアサイゾー) AKBとエイベックス急接近の裏側には。 マルサの女──松井玲奈(SKE48)推しメンはきしめんなんです。 2011年10月号(プレミアサイゾー) こんな大人の色気も出せちゃうのです。 ■特集企画:醜聞にまみれたAKB48の明暗 2011年8月号(プレミアサイゾー) 研究生の実態、所属プロの本音──事務所は太田、狙い目はSDN? AKB48の芸能界サバイバル術 "セレクション"で強制卒業!? AKB48"伝説"の元8期生・三木にこるが語る研究生の"報われない"現実 オーディション経験者が匿名で大暴露! "非情オーディション"と"生き残れる女たち"とは? 新進気鋭の政治学者(大島優子推し)が徹底解析!! 『もしもAKB48総選挙を"ガチで"分析したら』 みんながんばってるんだね。 ■特集企画:AKB48広告効果の舞台裏 2011年8月号(プレミアサイゾー) 業務停止命令の問題企業もOK? 公演チケットを餌に集客「AKB48に群がる黒いIT企業」 セカンドライフは黒歴史になるか? AKB48を起用するIT企業のブラック度を徹底検証! やっぱりともちんは"底上げ"されてた!? だからAKB48のCM起用の理由を直接聞いてみた AKBの人気に便乗しようとする不届きな輩もいるらしいです。気をつけて!
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【みうらじゅん】──既成概念に唾を吐く"パンク"な料理番組

 これまで"仏像""アウトドア般若心経""ゆるキャラ""いやげもの"など、数々の独創的な"マイブーム"を世に打ち出してきたみうらじゅん。そんな彼が50歳を過ぎて料理に開眼したらしい。なぜ今さら? なぜ料理? このあまりにも普通なチョイスの先に、いったい何を、どこを目指しているのか? みうら氏がお友達を招いて各種料理に挑戦する番組『みうらじゅんのマイブームクッキング』のシーズン2となるDVDの発売を記念して、あらためて番組の魅力とコンセプトを探っていくうち、マイブームという概念の本質にまで迫る貴重な証言を得ることができた。なお、本文の後半には音楽用語が頻出するが、本稿はあくまで料理番組に関するインタビューである。
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(写真/磯部昭子 A/M)
──まず最初に気になったのは、番組のホームページに「ひょんなことから料理に開眼」と書いてあって、いったい"ひょんなこと"ってなんだろうと。 みうら うーん、正直、それは俺が言ったんじゃないからなぁ。きっと宣伝の人が"ひょん"はキャッチーだと思ったんだよ。「あのみうらじゅんが料理?」って言わせたいんだね。 ──きっと世間の人は言うと思いますよ。 みうら でも実際は、シーズン1のDVDを出した時に「今まで天狗とかゴムヘビとか言ってたのに、今さら料理って普通ですね」って言われたんだ。 ──確かにマイブームが料理って、なんの驚きもないです(笑)。 みうら でも、よく考えてみてよ。本当に心から天狗やゴムヘビが好きだと思う? ──え? 好きじゃないんですか? みうら そこまでは好きじゃないよ。 ──えぇぇぇー!!! みうら なんかマイブームには「好きじゃないとやっちゃダメ」みたいな暗黙のルールがあるんだよね。もうみんな真剣だもん。これはどのジャンルでもそうだけど、何年もやってるとマジになってくるんだよ。だからマイブームという言葉が誕生した時から俺は、自分で自分の首を絞めてるんだ。 ──それはもう"ひょんなこと"っていうか、業の深い話ですね。 みうら うん。それでいろいろと「変なものを見つけなきゃ」って思いながら必死に探してたんだけど、結局は行き着いた先が料理。ものすごく普通なところに来ちゃった。 ──でもみうらさんのマイブームは「オリジナルであること」にこそ、その神髄があると思うのですが、料理ってすでにパイオニアがたくさんいますよ。 みうら そうなの。だから目指すは料理界のパンクだね。もう確立したジャンルなんだから、俺は中に入って唾を吐くしかない。 ──まさにサーチ&デストロイですね。 みうら 番組を見てる人に訴えかけるためには、「してはいけないこと」をどれだけやるかでしょ。不謹慎ギリギリを常に思いっきりやってる。そもそも長髪がコック帽からハミ出ちゃってるし、サングラスかけてるから、塩とこしょうの区別もつかないんだもん。 ──みうらさんの長髪&サングラスは、パンクスにとっての革ジャンだと。 みうら さらに言えば"料理してるのにこのスタイル"っていうのは、"夏なのに"革ジャンってことと同じだね。 ──なぜそこまでスタイルにこだわるんですか? みうら だって普通の料理番組を見てても、手際が良すぎてわからないでしょ。あっという間に出来上がるから、手品かと思っちゃう。この番組のいいところはさ、一度も料理なんかしたことない人間が、いきなりハードルの高い蔘鷄湯(サムゲタン)とか寿司とかに挑んでいって、手際も見た目も良くないなりに、それでも「なんとなく普通にできた」っていう中途半端を見せるところにあるのよ。 ──パンクには「テクニックなんかなくていい」と。 みうら その通り。そもそものコンセプトが「おいしいものを作りたい」じゃないから。味なんか問わない。だって番組見てる人が、俺が作ったもの食べるわけじゃないからね。この番組は、今まで「すごくおいしい」を喜ぶか、「すごくまずい」を笑うしかなかった既存の料理番組に対するアンチテーゼなんだよ。 (文/おぐらりゅうじ) みうらじゅん 1958年、京都府生まれ。イラストレーター・エッセイスト・小説家・ミュージシャン。武蔵野美術大学在学中に雑誌「ガロ」(青林堂)でマンガ家としてデビュー。97年に自らが命名した造語「マイブーム」で新語・流行語大賞を受賞。その後も"らくがお""とんまつり""地獄"など、世にあふれる奇形や異物や不思議な現象を自分だけのブームとして発表し、常に世間の度肝を抜き続ける生粋のオリジネーター。
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(c) 2011「みうらじゅ
んのマイブームクッ
キング」製作委員会
『みうらじゅんのマイブームクッキング2』vol・1~4 まったくの料理初心者だったみうらじゅんが、ひょんなことから料理に開眼し、すっかり「マイブーム」になったという設定で始まった料理番組のDVD化・第二弾。みうらがシェフを務めるレストラン「キッチン・マイブーム」では、常連のウクレレえいじ(芸人)ほか、毎回やって来る豪華ゲストに対し、みうらが"自分の食べたい料理"だけを作ってもてなしていく。「盛り付けとか見た目とかに興味はない」「とにかく褒められたいんだよ」と語るみうら。果たしてお手製料理のお味と出来栄えはいかに!? 発売元/「みうらじゅんのマイブームクッキング」製作委員会 販売元/アニプレックス 発売日/vol・1&2:12月14日 vol・3&4:1月11日(レンタル同時開始) 価格/各2940円(税込)

【森下悠里】──男子諸君! 映画"ふたりエッチ"で、マンネリエッチを反省すべし!

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(写真/諏訪 稔)
 恋愛系のイベントが続くこの季節だからこそ、女子のハートはしっかりキャッチしておきたい! そんな悩みの尽きない男子諸君にやさしくアドバイスをくれるのが、森下悠里ちゃん。この2月に早くもDVDが発売される『映画版 ふたりエッチ セカンド・キッス』でヒロイン・小野田優良役を演じている。 「やっぱりエッチだけだとマンネリになっちゃうし、日ごろのコミュニケーションやスキンシップは大切。映画の中でも優良さんが(夫の)真さんに頼まれてセクシーな下着をつける場面がありますけど、そういうこともちゃんと男の子から言ってあげてほしいですね」  なんでも、プライベートでも好きな人に尽くしてしまう「優良さんタイプ」だという彼女によれば、「女の子から積極的にアクションを起こして断られたときのショックは、男の人とは比べものにならない」とか。誰にも起こり得るすれ違いや倦怠期を回避するには、どうやら男性陣からのアプローチが不可欠であるらしい。 「あと、女の子はみんなヤキモチ焼き。私も、ファンの人が自分と全然違うタイプのコを応援してたりするだけで、ちょっと妬いちゃいますからね(笑)」  気がついたら心身共に凍えてた、などというお寒いことにならないためにも、今一度、女心に向きあってみてはいかがかな。 (文/鈴木長月)
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森下悠里(もりしたゆうり) 1985年、東京都生まれ。Gカップの巨乳を生かしたグラビア活動をはじめ、テレビのバラエティ番組や舞台、CMなどで活躍。もちろん本誌にも登場多数のサイゾーファミリーの一員だ。 公式ブログ〈http://ameblo.jp/yuurimorishita/

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(c) 2011 克・亜樹/
白泉社・「映画版
ふたりエッチ セカ
ンド・キッス」製作
委員会
『映画版 ふたりエッチ セカンド・キッス』 Hマンガの金字塔『ふたりエッチ』の映画化第2弾がDVDになった。童貞と処女同士で結婚した2人が、試行錯誤しながらセックスを学んでいく。人気セクシー女優・明日花キララやグラビアアイドルの谷桃子も出演し、お色気パワーアップだ! 発売 「映画版 ふたりエッチ セカンド・キッス」製作委員会/販売 ハピネット/価格 3990円/発売日 2月2日/価格/DVD版 3990円 Blu-ray版 4935円(共に税込)

※サイゾー本誌2月号のお詫びと訂正※ サイゾー2月号の連載『P様の匣』内掲載の同記事「男子諸君!"ふたりエッチ"で、マンネリエッチを反省すべし!」(43ページ)におきまして、 編集過程でのミスにより、DVDの発売情報に関するキャプションが間違っておりました。同作には関係のない、ポニーキャニオンさまのお名前が入ってしまっております。訂正するとともに、読者、関係者の方々ならびに、販売元であるハピネットさまに謹んでお詫び申し上げます。 サイゾー編集部

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サムスン、LG……日本に進出する新興勢力の人気度「あなたは、韓国企業で働きたいですか?」

──世界的企業へと成長を遂げた韓国企業。しかし、今後が期待されているわりには、日本人からは「働きたい」という憧れの声がやや少ないように思えるのはなぜなのか? 韓国系有名企業で日本人が働いてみるとどうなるのか、転職業界関係者の声や、韓国経済に詳しい識者の意見から探ってゆく。
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(絵/河合寛)
 年が明けて間もない1月2日、「サムスン電子が日本のテレビ市場に再参入する予定」と韓国メディアが報じた。日本ではNTTドコモのスマートフォン・GALAXYシリーズで一気に国内での知名度を上げた同社は、韓国の財閥企業・サムスングループ系列の電機メーカーであり、薄型テレビで世界シェア1位を誇るトップ企業だ。テレビ市場では2002年に日本に初参入、売り上げが伸びず07年に一度撤退したが、00年代後半から現在に至るまでの世界市場での成長ぶりをもって、再び日本に挑む格好となった。同じく韓国の電機メーカーで、薄型テレビ世界シェア2位、LED液晶パネルでは1位のLGエレクトロニクスも、10年に日本のテレビ市場に再参入を果たしている。  サムスン電子とLGエレクトロニクスの2社は、各種経済動向をチェックしている人間であれば知らない者がいないほどその名が響きわたっている。サムスンとアップルのスマホ・タブレットをめぐる一連の訴訟問題など、あまり喜ばしくないニュースも含めて、世界的に注目されている企業だ。  しかしながら、日本の転職・就職サイトで発表されている各社調べの「人気企業ランキング」などでは、この2社の名前を見ることがない。周囲を見渡しても、欧米の外資系企業とは異なり、「韓国系企業で働きたい!」という人はほとんどいない印象だ。今が伸び盛りの企業であるのに、日本では働く先として人気がなさそうなのはどういうわけだろうか? 外資系の転職エージェントに聞いてみた。 「日本支社での求人に関しては、関連部品や製品の輸出入管理とアフターサービスが主な業務で、やりがいが期待できないためか、あまり人気がありません。本社やその他韓国内の求人に関しては、留学経験があって韓国語が堪能な方や韓国にルーツを持つ方を除けば、サムスンやLGの名前を出しても反応はいまいち。人によっては『絶対嫌だ』という方も。  両社とも相当な実力主義であることが、敬遠されているゆえんのようですね。今後が期待される会社ではありますが、これまでの成長の過程で相当な数の社員が振り落とされているわけです。結果が出せなければ、すぐ解雇される。サムスン電子の韓国本社では、退職年齢も若く、大体が50代半ばで退職している。能力に自信があり、ステップアップを求める人にとってはいい環境でしょうが、日本的雇用とは真逆。また、一般的な認識としては急に台頭してきた企業なので、この好調がいつまで続くかわからないというのも不安材料のようです」  これに対し、2社の同業たる日本のメーカーに勤める技術系社員はこう言う。 「知人で、日本の大手メーカーからLGに転職した技術畑の人間などはいます。日本メーカーからの引き抜きは盛んなようですよ。年俸制で、給料はかなり上がったと聞きました。でも今のところ日本には2社とも大きな生産拠点もないので、多くは韓国に行かざるを得ず、言葉の壁が大きいですよね。個人的には、日本ではいわゆる"花形"の開発が広くやれるわけでもなさそうなので、そんなに行きたくはないかな」  どうやら、日本企業とは大きく異なる働き方が不安、かつ転職したとして、何ができるのかがいまいち不透明で二の足を踏む──というのが、転職市場における主な不人気の理由のようだ。 ■オーナー経営に実力主義韓国式経営はここが違う  日本と韓国の企業で、大きく社風が異なる理由はどこにあるのか? 多摩大学経営情報学部教授で『なぜ韓国企業は世界で勝てるのか』(PHP新書)の著者・金美徳氏に聞いた。 「サムスンやLG、現代(ヒュンダイ)、SKグループ【編注:通信会社・SKテレコムやエネルギー企業・SKエナジーを中核に抱える。両社はそれぞれ韓国内シェア1位を占めている】など、韓国4大財閥系企業と日本企業の一番の違いは、オーナー企業であるかどうかでしょう。韓国企業では、会長であるオーナーの権限が一番強くて、社員もその言葉をよく聞いている。日本と違って、トップの影響力がとても強いんですね。大企業であっても即断即決、上司も曖昧なものの言い方はしません。それには軍隊経験があることも影響していると思います。また、総合職であれば個人の裁量は大きく、代わりに業績不振やトラブルが発生したときの責任の所在も明確です。日本の大企業だと組織、あるいは部署の責任になることが多いですが、韓国ではそういうことはない」  実際、サムスングループでは会長の李健熙(イゴンヒ)氏が全権を握り、グループ会社各社に不正や業績不振が発生した際には、各社社長の即時更迭を含めた大人事異動を行うなど、その影響力は甚大だ。さらに、前出の転職エージェントが述べた通り、韓国企業の実力主義は相当に苛烈なものだという。 「韓国では学校教育の段階からリーダーシップ教育を重視しており、それは企業体でも変わりません。そのあたりも日本との大きな違いでしょう。韓国企業はその分エリート主義がとても強いので、社内での競争に負けたら、どんどん切られていきます。今成長している韓国企業は、世界的に見て早い段階からBRICsなどの新興国での市場開拓に着手しましたが、その過程でも失敗をすれば、どんどん人員を切ってきた。国内でも海外でも、成果が出せなければすぐクビになりますから」(前出・金教授)  元サムスン電子常務の吉川良三氏も、経済メディアのインタビューで 「サムスン電子では、目標達成のために土日も深夜もなく社員は働いている。目標を超えて利益を出せば、一部が年俸以外の特別ボーナスとして支払われるが、自分の所属する部門が収益を出せないとゼロ。社員にとっては死活問題なので、皆がむしゃらに働く」「成果に応じて、部門だけでなく個人、なかでも幹部を中心に大きな報酬を与え、格差をつける。役員になれば運転手付きの車や自宅と、福利厚生も充実している。あえて差をつけることで、社員を奮起させる狙いがある」という旨を述べている。日本では、富士通やマクドナルドなど、能力給制度を導入した企業が結局うまくいかずに従来の年功序列制に戻したという経緯からも、成果主義はなじまないといわれている。それでは日本的経営に慣れた人材が移動する転職市場で、人気が出ないのも納得だ。  ちなみに、金教授によれば、学生の間でもあまり人気はないらしい。 「韓国では、4大財閥系企業はものすごく人気があるので、就職の倍率は高いです。ですが例えば日本人の学生に『もし、韓国企業で働くという選択肢があったらどうする?』と尋ねると、彼らは悩んでしまう。なぜかと聞くと、『日本に貢献できない』とか『生きがいを感じられそうにない』と言うんです。でも、日本支社なら日本に法人税を払っているんだから貢献できるし、日本の企業に行ったところで素晴らしい上司やリーダーに恵まれて生きがいを感じられるのかといったら、そんなのわかりませんから、屁理屈だと思いますけどね(苦笑)」(同)  なお、本誌11年2月号で報じた通り、サムスン、LGも、社内にそれぞれ爆弾を抱えている。サムスンが現在アップルと世界各地で訴訟中であるのと同様に、LGもシャープやソニー、日立といった日本の大手メーカーから特許侵害で複数件の訴訟を起こされている。サムスンはサムスンで、半導体工場で働いていた労働者が相次いで白血病やリンパ腫にかかり、なかには23歳の若さで亡くなった女性もいたことから、工場の労働環境が原因であるとしてデモや訴訟を起こされた。最近では、ブラジルの工場でも労働者の虐待が問題化した。また、こちらも注目企業の現代自動車では、「ストの現代」と呼ばれるほど労働争議が激しく、組合員とホワイトカラーが鉄パイプや火炎瓶を用いて武闘派な応酬を繰り広げている。そうした争議による年間損失額が、1兆ウォンを超えるとする試算もあるほどだ。  こうした問題は基本的に韓国内において発生していることなので、現段階での日本支社で働こうと思う日本人にとっては直接的に影響はない。しかし、好調が喧伝される各社であれど、スネに傷のひとつやふたつ存在することは、知っておいたほうがいいだろう。 ■IT企業はやや人気、芸能関係はからっきし!?  日韓の企業風土の違いと、日本での就職人気の低さの理由についてここまで見てきた。だが一方で、電機メーカーと同じく韓国企業の得意ジャンルであっても、日本人からそこそこ人気のジャンルもある。それはITだ。 「オンラインゲームコミュニティサイトのハンゲームや検索ポータル・NAVERを運営するNHNジャパンは、IT業界やメディア関係に勤める人の間では、転職先としてそれなりに人気があります。10年にライブドアを完全子会社化し、今年1月1日付で旧ライブドアのポータルサイト運営事業とネイバージャパンを吸収合併して本格的に新体制へ移行するなど上り調子ですし、日本のIT企業とも似た、若くて自由な社風。もともと日本人スタッフのほうが多いようですしね。  韓国系IT企業への転職については、メーカーの場合に比べて反発が少ないです。理由としては、働く日本人の側の世代が比較的若いこととリベラルな雰囲気が強いこと、そもそも業界的に国内・海外の垣根が低いことが挙げられます」(前出・転職エージェント)  IT業界に勤める人もこれに同意する。 「11年12月には、韓国オンラインゲーム大手のネクソンが東証1部に上場して話題になっていましたよね。韓国は政策としてIT産業に力を入れているためか、カンファレンスなどで同席すると、優秀な人は多いと感じます。それと、日本語ができる人もかなりの数いるんじゃないかな。だから韓国系IT企業は、日本人にとって働きやすい環境なんじゃないでしょうか」  ちなみに、これもまた海外進出の成功例としてよく挙げられるKポップ関連企業に関してはどうだろうか? 韓国の芸能事務所各社や、イベント会社と仕事をする日本人に尋ねてみると、どうやら苦労が多い様子である。 「口約束やハッタリが多すぎる。商習慣の違いなのかもしれないが、やりづらくて困ってる。特に最近は、日本に行けばある程度売れると思ってる事務所などもあるから、少しでも条件が折り合わないとすぐヨソに話を持って行ったりして、じっくり仕事するのが難しい」(レコード会社社員) 「撮影のドタキャンや、イベントの急な内容変更が多くて振り回されますね。写真のレタッチや見え方に関する要求も、日本の芸能事務所より細かかったり、無茶なことを言ってきたり。それと、韓国の事務所と日本支社でコンセンサスが取れていないことがあって、そのせいで話が混線したりと、実に厄介です」(韓流雑誌編集者)  彼らに「韓国の芸能プロやマスコミで働きたくない?」と聞いてみたところ、「取引でも面倒なのだから、一緒に働くなんて無理」「それならいちファンとして見てるだけで十分」との答えが返ってきた。この世界で働きたいと思っているKポップファンの諸兄は、覚えておいて損はないかもしれない。 ■日本メーカーがここから巻き返すには?  あらためて振り返ると、2011年は、フジテレビデモに代表される嫌韓ムードが一部で高まったような年だった。そうした動きは、かねてより存在した大手メディアへの不信感と、サムスンなどのケータイ市場席巻、09年頃から続くKポップブームなど、韓国から出てきたものが日本人の生活に入り込んできていることへの(それ自体を捏造とする向きもあるが)反発が結託して始まっていたといえるだろう。では、韓国の企業が日本をはじめとする諸外国市場へ乗り込むことに積極的なのはなぜだったのだろうか? 「韓国は、人口が約5000万人と国内マーケットが小さく、企業は海外市場を目指さざるを得ないのです。そのため、グローバル意識、さらにいえばアジア圏を意識して商売をしてきた。韓国企業は、国内で儲けたお金を海外に投資します。例えば現代自動車でいうと、海外ではエアバッグは標準装備ですが、国内では高価なオプションになる。そうしたことが可能なのは、同社が国内の自動車市場で8割を占め、圧倒的な影響力を持つ寡占企業だからです。  そうして得た利益を、海外展開に投資している。日本はずっと逆で、国内に十分な市場があったため、新興国ビジネスに着手するようなグローバル意識は持てなかった。その差が、今のサムスン電子やLGと日本メーカーの差であり、日本メーカーの今後の課題なのではないでしょうか」(前出・金教授)  確かに、日立やパナソニックはテレビ部門の縮小を発表し、ソニーが4年連続で赤字となるなど、国内メーカーの業績不振が続く今、もはやこれまで通りのビジネスが通用しないのは明白である。  そして11年は、東レやJX日鉱日石エネルギー、住友化学工業など、韓国に工場や開発拠点を移す企業が増えた年でもあった。もともと法人税が高かったところに加えて、原発事故を受けての電力インフラ不安、輸出業に大打撃を与える超円高と、日本国内に生産拠点を置いておくことのメリットは少なくなっている。韓国であれば、アメリカとのFTAと政府主導のウォン安政策で輸出もしやすく、日本より法人税も安い。インフラ不安も今のところはなく、サムスンやLGなど、部品・素材の買い取り先が見込めることが移転の要因となっている。 「日本は長い間、アジアを軽視してきました。自分たちが教え導いてあげる存在だと思ってきた。それが今の日本の壁になっていると感じますね。だからこれからは、『韓国企業に学ぶ』というわけではありませんが、日本人のやり方でアジアとフラットに付き合っていく方法を模索するしかないでしょう。特にこれからの若い人は、アジアが成長期を迎えたことを前提に生きていくしかないのですから」(同)  明治初期に「脱亜入欧」が唱えられてから約140年。韓国企業の進出によって日本の労働市場にも動きが生まれてくれば、この呪縛も解ける時が来るのかもしれない。 (文/小宮明洋)
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業務停止命令の問題企業もOK? 公演チケットを餌に集客「AKB48に群がる黒いIT企業」

──CM業界では、2011年、"AKBバブル"の恩恵にすがるべく、実に、計50社以上の企業が彼女たちの起用に踏み切っている。しかし、彼女たちの"集客力"に食いついた登録者数命のIT企業には、影のある企業も多いようで......?
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11年12月、「AKB48新戦略発表会」と題
した記者会見が突如行われ、AKB48グル
ープ全面協力によるGoogle+の"活性化"
タイアップが発表された。(c) AKS
 2011年のエンターテインメント業界は、長引く不景気に加え、東日本大震災で生まれた自粛ムードが追い打ちとなり、全体的に停滞した1年であった。そんな中、唯一の勝ち組と言っても過言ではない活躍を見せたのが、AKB48(以下、AKB)だ。11年にリリースした5枚のシングルはすべてがミリオンセラーを達成。アーティスト別トータルセールスでは、女性グループ史上最高記録の約162億8000万円を叩き出し、次々にデビューさせた関連グループなども合わせると、グループ全体のパッケージビジネスだけで200億円を超える圧倒的な売り上げを記録した。  当然、そんなAKBをCM業界が見過ごすはずはない。ニホンモニターが発表した「2011タレントCM起用社数ランキング」では、女性部門の第1位を19社で大島優子が獲得。2位には17社の篠田麻里子、前田敦子、続いて16社の板野友美が後を追い、トップ10内には高橋みなみ、小嶋陽菜、柏木由紀、渡辺麻友ら計8人がランクインした。AKBグループ全体としては、実に50を超える企業とのCM契約を行っており、その経済効果は150億円を超えると推測されている。広告の効果測定を行い、AKBとカゴメのマーケティングにも携わる株式会社テムズの鷹野義昭氏はこう分析する。 「もちろん、企業とのこれまでの付き合いの度合いによっても異なりますが、AKBをグループで起用した場合は年間で3000万~5000万円。人気メンバーの単体起用なら年間で1000万~2000万円の契約料が発生すると予測され、契約料としては、ほかの人気タレントと比べても決して高くはありません。各媒体への広告費などを含めると、キャンペーン全体では数億円規模の投資が推定されますが、"起爆剤"を求める広告主側にとっては、AKBは失敗するリスクの少ない、魅力的な広告塔として映るようです」  というのも、AKBを起用後、アサヒ飲料の缶コーヒー「WONDA」は前年比107%でおよそ50億円、カゴメの「野菜一日これ一本」は130%でおよそ15億円の売り上げアップに成功し、その費用対効果は実証されているのだ。広告業界においても今、「AKBバブル」真っ只中なのである。  そんな中、その"起爆剤"効果を求め、CMやイメージキャラクターとしてAKBを積極的に起用しているのが、IT企業だ。登録者数やPV数に業績が大きく左右される同業界において、ファンがそのまま利用者につながる可能性の高いAKBは、これ以上ない"販促ツール"となっている。中でも、11年12月8日に発表されたグーグル社のSNS「Google+」【編註:同年6月よりサービスを開始。関係に応じてグループわけをし、そのサークルに登録したユーザーと情報を共有できる。Facebookに近く、サークル内ユーザーの投稿に対し、コメントも可能】とのコラボは、記憶に新しいところではないだろうか。同サービスの利用が可能となる18歳以上のメンバー全員(姉妹グループのメンバー含む)と、総合プロデューサー秋元康氏のアカウントが即日作成され、順次記事の投稿がスタート。また、同月20日に行われたコンサート「AKB48紅白対抗歌合戦」の映像がYouTubeで独占配信【編註:Google+内のみでメンバーたちによって投稿されたURLからのみアクセスが可能】されるなど、話題を呼んだ。 「実は、Google+の日本における登録者数がかなり伸び悩んでおり、本国から"忠告"が入ったようなんです。11年度内にどうにかできなければ、"テコ入れ"をすると。そこで躍起になった日本法人が、人気芸能人の起用に踏み切った。結果、AKBメンバーの参入によって、数十万人規模のアクティブユーザーの登録と、登録だけしていたユーザーの活性化に成功したのは間違いないと思います」(某IT企業関係者)  天下のグーグルまでもがその人気にあやかろうというのだから、業界との親和性の高さがうかがえる。実際、前田敦子ら人気メンバーの投稿には上限数である500コメントが数分間でつくこともざらにあり、早速、同サービスは活性化されている。  そもそも、AKBとIT企業との親和性は、結成当時から確立されてきたものだ。まず、サイバーエージェント社の「アメーバブログ」。05年のAKBプロジェクト開始当初から、AKB48劇場支配人・戸賀崎智信氏が同ブログを使用し、積極的にAKBに関する情報を流している。場合によってはメンバーが知るよりも早くオフィシャルな情報を得ることができる場として、ファンに活用されてきた。また、大島優子、秋元才加らが合格した06年の第二期オーディションでは、NTTドコモとのタイアップにより、テレビ電話を使った面接を実施。秋元氏ら審査員と、地方に住む応募者がテレビ電話を通して面接するという試みで、話題を呼んだ。さらに、08年4月からAKB48劇場の公演を動画配信サイトDMM.comで配信するなど、ITの発展と歩を合わせるように、AKBは多様な展開を行ってきたのだ。 ■企業の素行は関係なし?来る者拒まずのAKB  だが、AKBとIT企業のコラボレーションはすべて成功だったのか? というと、もちろんそうではない。サイバード提供のバラエティ番組『さしこのくせに』(TBS)では、こんなトラブルが起きている。同番組は、11年1月に5期生・指原莉乃の初の冠番組としてスタートし、2月8日放送時に、同社が運営する有料の番組サイトにて「3月末までに3万票集めなければ番組打ち切り」とした番組存続のための投票が行われることが発表された。結果、20時間ほどで目標数に達したのだが、この時、1票当たり50円という課金制(3万票で150万円)であることが番組内では明らかにされておらず、「放送倫理・番組向上機構」の「放送と青少年に関する委員会」で取り上げられるまでに発展。「番組と広告が渾然としており、その境目が見えないところが気になる。また、結果的に青少年からお金を吸い取るような構図になっている」などと指摘され、番組の倫理面に関しての議論が交わされた。結果、視聴率は良かったものの、同番組は9月いっぱいで打ち切りとなっている。  そもそもこのサイバードという会社、ドコモのiモードの普及に合わせて98年にモバイルインターネットサービス企業として設立され、00年にジャスダックに上場。しかし、最高潮の頃の12分の1にまで下がってしまった株価の低迷により、07年にMBOを実施、上場を廃止している。さらに11年1月には、同社の設立メンバーであり(当時副社長)、現KLab社長の真田哲弥氏に、不倫相手への傷害疑惑が浮上。六本木ヒルズに構えていた本社オフィスも同月に移転するなど、ITバブルからの"転落"というイメージが強い。  07年のブレイク前にタイアップしたセカンドライフの失敗例含め、IT系ベンチャーと安易に結託することは、AKBサイドにとって、危険をはらんでいるように思える。 「最近ではグリーやモバゲーなど、人気芸能人が積極的にCM起用されている例もありますが、ライブドア事件以降、芸能事務所はIT企業とタイアップすることに対して、ある程度距離を置く部分があると思いますよ。そんな中、AKBの運営会社であるAKSは、警戒心が薄すぎるように感じますね」(前出・鷹野氏)  登録者を増やすだけではなく、名前を売りたい、イメージアップしたいというIT企業にとって、AKBは障害の少ないネームデベロッパーとなっているのだろう。その最たる例が、フルキャストマーケティングとタイアップした「AKB OFFICIAL NET」ではないだろうか。「わたしと赤ちゃん作らない?」というキャッチフレーズで、大島優子が赤ん坊を抱えるCMを覚えている人も多いことだろう。これは、同社がAKBと組んだプロバイダサービスで、「@akb48.ne.jp」ドメインのメールアカウントが取得できるほか、随時配信されるAKBメンバーと自分の顔を合成して、2人の子どもの顔を作成可能な「AKBaby」を利用できる特典などが付いている。さらに、ファンにとって最大の魅力だったのは、AKB48劇場公演の「AKB OFFICIAL NET」会員枠が与えられるという特典だ。現在、劇場公演のチケットは、各チームとも抽選倍率100倍以上といわれ、まったく会いに行けないアイドルとなっている。そんな劇場公演に行けるのであればプロバイダ契約する! というファンは当然殺到した。しかし、サービス開始から約1カ月後の12月28日、早くもその枠の廃止を発表。理由は、プロバイダ契約ができるのは18歳以上、クレジットカード所有者のみという条件があるため、"不公平だから"と公表している。契約解除による退会手数料なども無料としたものの、ほかのプロバイダから乗り換えるために違約金を払ったファンもいるため、「(劇場公演の観覧を餌にした)詐欺ではないのか?」という声も上がっている。  しかし注目すべきは、AKBサイドがフルキャストマーケティングとのタイアップに疑問を持たなかったのか、という点。同社は、違法な労働派遣によって07年に業務停止命令を受けたフルキャストの子会社で、同社自体も、ヤフーBBの代理店業務を行う中で、その電話による執拗な勧誘方法に問題があるのではないか? と一部でささやかれるなど、決して印象は良くない。 「(会員枠の停止は)やっぱりというのが率直な意見です(苦笑)。そもそも、サービス内容が魅力的でも、過去に流出問題を起こしたフルキャストが親会社ということを考えると、個人情報を渡すのは正直怖いですよね」(某IT企業社員)  しかし、その節操なきタイアップを促しているのは、担当広告代理店である電通ともいえるのではないか。 「IT企業からは会員数獲得の起爆剤としてAKBが安易に消費され、運営サイドも"稼げる時に稼ぐ"と言わんばかりに、タイアップ先を選ばない展開を推進している節があります。おそらく担当広告代理店が、安く起用できる代わりに、『掛け持ちしてもOK』という契約をさせているのでしょう。結果、パソコンメーカーの日本ヒューレット・パッカードとNEC、SNSサービスを展開するグーグルとサイバーエージェントなど、競合のタイアップを同時に行ったりもできる。しかし、すぐに効果を出すための販促ツールとしての短期的な起用は、企業やブランドにとっても、信頼を喪失しかねないと思いますが......」(鷹野氏)  中高生だけでなく、さまざまな世代にファンを拡大し、国民的アイドルへと成長したAKBのメンバーたち。しかし、そのファンたちの消費力に目をつけた広告業界による節操なきタイアップは、彼女たちのイメージダウンにもなりかねない。スポンサーによってメンバーが足を引っ張られることのないよう、"お付き合い"すべき企業は見極めていっていただきたいものだ。 (文/サワダヤスヒロ)
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金正日総書記死後も変化なし!? チョン・テセが語る朝鮮とサッカー

 暮れも押し迫った11年12月19日、衝撃的なニュースが舞い込んだ。朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の朝鮮中央テレビが、国家指導者である金正日総書記が同月17日に死去したことを公表したのだ。日本のマスコミは北朝鮮情勢に関する報道一色に染まったが、そこに映るのは金正日総書記の訃報を受けて泣き崩れる北朝鮮の国民たち。しかしそれが、本当の北朝鮮人の姿だと思っている日本人は少ないはずだ。隣国であり日本とも関係が深いにもかかわらず、我々はこの国のことをよく知らない。一体北朝鮮とはどういう国なのか? 日本で生まれ育ちながら「韓国籍」を持ち、北朝鮮代表になることを選んだチョン・テセ選手に話を聞いた。
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11年12月末、家族と正月を過ごすために久しぶりに帰
国したテセ選手は、懐かしい川崎の土地で、握手を求め
るファンにも快く対応していた姿が印象的だった。
(写真/江森康之)
──早速ですが、チョン・テセ選手がなぜ北朝鮮代表を選んだのか、あらためて教えてください。 チョン・テセ(以下、テセ) 小学校の頃から、朝鮮学校に通っていたことが大きいですよね。教育の中で、「自分は何人なのか」というアイデンティティが確立されたからです。 ──それは、どのような教育なんでしょうか? テセ 一番大きいのは、在日の歴史ですね。歴史を掘り下げることで、自分たちの民族に誇りを持てるようになりました。もちろん歴史には二面性があるから、それぞれの国が、それぞれに都合のいいことを教えてしまうのは否めない。けれど自分が受けた教育にはそれなりの理由があるし、その歴史観に対する自分の中での確信もあります。 ──逆に日本人は、アイデンティティが薄いようには感じませんか? テセ それはどの国も同じですよ。僕たちは日本の中で"マイノリティ"として暮らしているから、民族としてのアイデンティティが自然と芽生える。日本人は日本社会の中でそういうことを意識しなくても、なんの問題もなく生きていけますから。ただ、日本人の歴史に対する意識の薄さだけは感じます。例えば、韓国人が竹島について日本人に聞いても、「よく知らない」で終わってしまう。どちらが正しいということではなく、単純に知らないんです。とはいえ最近は、歴史に対する認識の違いを話し合う必要があるのかと、考えたりもします。グローバルな時代には、そのことが足かせになるんじゃないかと。 ──以前あるインタビューで「結婚するなら在日」と答えていましたが、ドイツ人女性に興味はないですか? テセ ないですね。単純に母語が違うと口説くのが面倒なんで(笑)。同じ理由で韓国人とかもあんまりね。朝鮮学校は基本的に朝鮮語で話さないといけないんですが、やっぱり在日は、ボキャブラリーに乏しいんですよ。  10年に民主党の目玉政策でもあった高校授業料無償化が実施された際、朝鮮学校では、無償化が適用されなかった理由として、偏った教育がなされているというニュースが流れた。だが少なくとも、小中高大16年間にわたって朝鮮学校で教育を受けたテセ選手の考え方は、とてもバランスが取れている。その理由のひとつを、「朝鮮学校も日本社会の一部だから」というテセ選手だが、そんな日本社会で育った彼から見て、北朝鮮の人々はどう映ったのだろうか? また日本のマスコミでは伝えられない、金正日総書記死去に対する在日朝鮮人の本音はどうなのか? ──ワールドカップの代表活動を通じて、北朝鮮の人たちと触れ合って感じたことを教えてください。 テセ 当たり前のことですけど、触れ合ってみて悪い人なんていないですよね。国民は普通に生活しているんです。ただ朝鮮の人は、新しいものを受け入れるキャパはあるのに、それを埋められる環境がない。だからみんな、子どもみたいに好奇心は旺盛ですよ。「日本でどんな生活をしているんだ」とか「どんな車に乗ってるんだ」とか「女は好きか」とか、うざいぐらい聞かれますから(笑)。それと朝鮮は、団体行動が基本なんです。個人に対して、ある意味でデリカシーがない。デリカシーって資本主義社会で生まれる概念で、向こうはプライベートまで共有しているんです。例えば朝鮮の人は写真を見るのが好きで、ずっと僕の携帯電話に保存されている写真を見ている。日本人だったら嫌がりますよね。"国内の常識は海外の非常識"なんて言いますから、これが向こうの文化と考えれば違和感はないですけど。 ──ただ、ユニフォームを自分で洗ったり、道具を全部自分で用意しなければならないことには苦しんだとか。 テセ 環境は心の底から嫌でしたね。自分が描いていた代表の環境とは、やっぱり日本代表だった。そこまでいかないにせよ、自分が不便を感じない程度のものを想像していたので、非合理に感じましたね。彼らにとっては選手に負担をかけることが罪じゃないし、選手もそれが当たり前だと思っている。それが向こうの常識なのかもしれないけど、外の世界を知っている僕からすると、やっぱりワールドスタンダードを目指さなきゃいけない。用具係ひとり雇うだけでも環境は変わるはずだし、予算だけの問題じゃなく、そういう意識が芽生えていけばいいと思います。 ──北朝鮮代表として、初めて日本代表と対戦した08年の東アジア選手権。「君が代」が流れて、号泣するテセ選手がテレビに映し出されていましたが。 テセ 日本で生活しているから、「君が代」に耳なじみがあるじゃないですか。それでなのか、朝鮮の国歌と勘違いしちゃったんです。次に自分たちの本当の国歌が流れてきて、「やっちゃった!」って焦りましたね(笑)。それで、試合が終わったあと、ほかの選手にワーワー言われて、言葉が早くて聞き取れなかったんで、「そうそうそう」と適当に相づちを打ってたんですよ。そしたら同じ在日の選手に、「お前、さっき『日本が自分の国だと思ってんの?』って聞かれてたんだぞ」って言われて。みんな笑ってましたけどね。 ──その一方で、11年11月に平壌で行われた日朝戦では、試合前に「君が代」が流れて、北朝鮮の観客側から大ブーイングが起きました。試合終了後、テセ選手はツイッターに「申し訳ない気持ち」と書かれていましたが、どういった心境だったのでしょうか? テセ あのブーイングは、自分の生き方、自分の目指しているものとは方向性が違うものでした。単純に、スポーツに政治は介入してほしくない。もちろん過去に戦争していた国に、しかも朝鮮のような国に、それを求めるのは少し難しいかもしれない。でもこれから朝鮮代表が成長していくためには、歴史上の国家間の問題よりも、まずは自分たちの技術を見つめないと。「まだまだなんだな」という意味も含めて、悲しかった。 ──金正日総書記が死去し、北朝鮮の国民が泣き崩れる映像がテレビで流れましたが、在日社会に変化はありましたか? テセ 僕はドイツのプロリーグに所属しているので、周囲の変化はわかりませんが、一個人として、ひとりの人が亡くなったことに対する悲しみはあります。とはいえ、行動が制限されているようなことは特にないです。個人的にも、日常を変えたくないと思っています。だから、(報道があった19日に)ミチ【編註:現在ドイツのフィテッセにいる安田理大選手のこと】の誕生会の写真もブログにアップしたし。とにかく僕が望んでいるのは、(北朝鮮の)国民の幸せだけです。ただひとつ言いたいのは、在日の人たちから強引にコメントを取ろうと、メディアの人たちが朝鮮学校に押しかけるのはやめてほしい。テレビ局は数字の勝負なんでしょうけど、政治的問題を過剰に報道して注目を煽るのは、不信感を抱きます。  テセ選手は、在日である自分の存在を「歴史の生んだ矛盾」という。確かに日本と北朝鮮には、歴史観の問題や拉致問題など、乗り越えなければならない壁が山ほどある。しかし、近くて遠い国・北朝鮮を理解するためにも、今後テセ選手のような在日の人たちが、意義深くなっていくのではないだろうか。次号でも、彼のサッカー選手としての心境の変化に、引き続き追っていきたい。 (構成/大熊信) チョン・テセ 1984年、愛知県生まれ。サッカー選手。川崎フロンターレでFWとして活躍し、10年にはドイツ・ブンデスリーガ2部のボーフムに移籍。韓国籍を持って日本に生まれながら、ワールドカップでは北朝鮮代表としてプレーする。
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【衛藤美彩】──いきなりミスマガの"シンデレラ"


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(写真/石黒幸誠 go relax E more)
 ちょっと古い団地をバックに佇むこの美少女の名は、衛藤美彩ちゃん。11年春、高校卒業後に上京、その直後の7月にミスマガジン2011グランプリに選ばれ、話題の新ユニット乃木坂46にも参加しているというシンデレラガールなのだ。 「昨年は、本当に激動の1年でした。初めて親元を離れたので心細かったけど、ずっと憧れていた芸能界への道がスタートして、あっという間に過ぎていきました」  18年間過ごした地元の大分県では、ローカルアイドルとしても活動していた彼女。だったら、アイドル活動には慣れていたんじゃ? 「でも、グラビアは全然違いました。人前で水着になることなんてほとんどなかったから、やっぱり恥ずかしかったですね(笑)」  沖縄・石垣島で撮影されたファースト写真集には、そんな彼女の初々しい素顔が詰まっている。 「写真集のお話を頂いてうれしい半面、自分にできるのかって、ずっと緊張してたんです。でも、石垣島は空気も景色もすごく綺麗で、不安は吹っ飛んじゃいました」  ホームシックはない? 「最初の2~3カ月は寂しかったけど、だいぶ慣れてきました。今年は、去年学んだことをプラスにできるよう、なんにでもチャレンジしていきたいですね!」  幼い頃からの夢をかなえたい。そんなピュアで前向きな姿は、僕らを勇気づけてくれる。衛藤美彩の上京物語は始まったばかりだ。 (文/エリンギ) 衛藤美彩(えとうみさ) 1993年1月4日、大分県生まれ。身長162センチ、B82W59H78。11年7月、約1万5000人の応募者の中から、グラビアアイドルの登竜門「ミスマガジン2011」のグランプリに選出。乃木坂46の第1期メンバーとしても活動中。1月31日に待望のファースト写真集『彩(いろどり)』(ワニブックス)が発売。2月4日には発売イベントを開催予定。
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