『ヤマト』も『まど☆マギ』もオタクの内輪受け!? 総集編アニメ映画急増の理由

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オリジナルから新作エピソード映画、総集編映
画と、アニメ映画は花盛りだ。現在、数多くの
アニメ映画が劇場で公開されている。
──2012年の映画界を席巻したアニメ映画。映画不況にあって、アニメ映画は公開・製作本数が増加するなど、気を吐いている。しかし、中には客入りが見込めるのか疑問符のつくような作品もあり……。アニメ映画急増の内幕とは?  2012年の国内映画業界は、「アニメ映画が猛威を振るった一年」だったといえる。オリコンが昨年末に発表した12年の映画興行ランキングを見ると、邦画の歴代初動興収5位を記録したヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』や、興行収入40億円を突破した細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』など、上位10作品のうち4作品がアニメ映画だ。また、13年の正月映画として公開された『ONE PIECE FILM Z』は、公開1カ月で興行収入60億円を突破し、東映史上最大のヒット映画となった。こうしたアニメ映画の隆盛の背景として、日本国内における劇場公開本数の増加がある。興行収入、入場者数共に減少傾向で、映画業界全体が下火なのにもかかわらず、アニメ映画の製作本数は09年は50本から、10年は54本、11年57本、12年には64本と、着実に増加している。  これらの劇場用アニメ映画を大別すると、3つのパターンがある。最初から劇場公開用に製作される”オリジナル映画”、テレビ作品の続編・特別編として製作される”新作エピソード映画”、そして、テレビアニメを新規カットなどを交えつつ再編集、再構築した”総集編映画”だ。近年の例を見ると、先述の『おおかみこどもの雨と雪』のほか、『人狼 JIN-ROH』で高い評価を得た沖浦啓之監督の『ももへの手紙』などがオリジナル映画だ。次に新作エピソード映画では、『ONE PIECE』や『ドラえもん』『ポケットモンスター』シリーズなどの定番ものに加え、女子高生の青春を描く『映画けいおん!』といったアニメオタク向けの作品も人気を博している。そして、総集編映画としては、テレビ放送時から話題となったダークな魔法少女もの『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』や、腐女子にも人気のヒーローもの『劇場版TIGER & BUNNY -The Beginning-』などが公開された。  特に近年新しい動きとして目立つのは、アニメオタク向け作品の総集編映画の増加である。総集編映画に目を向けると、10年は0本、11年はわずか1本だったが、12年はイベント上映作品も含めると8本公開されるなど、漸増している。テレビ版も人気を博した『魔法少女まどか☆マギカ』や『TIGER&BUNNY』ならまだしも、現在公開中の『スタードライバーTHE MOVIE』のように、地上波放映時にヒットしたとは言えない作品までもが製作されている。なぜ、今アニメの総集編映画が増えているのか? その背景をひもといていこう。  京都精華大学マンガ学部准教授でアニメ史を研究している津堅信之氏は、「昔からアニメ映画の主流はテレビ放送が先行した作品であり、日本のアニメ映画はテレビ版の強い影響下にある」と指摘する。歴史を遡れば、戦前より製作されていた日本のアニメ映画だが、終戦後、東映動画(現・東映アニメーション)が『白蛇伝』など、子供向けアニメ映画を続々と製作。それらが「東映まんがまつり」などのラインナップに組み込まれ、冬休みなどの定番映画として普及していく。だが、東映動画としては、年一回のオリジナル映画のみではアニメ映画を商業的に成立させることは難しかった。 「そこで、テレビアニメの再編集版を劇場用アニメとして上映することが、窮余の策として取られました」(津堅氏)  その元祖が、63年に『わんわん忠臣蔵』と併映されたテレビアニメ『狼少年ケン』第2・3話だ。『劇場アニメ70年史』(徳間書店)によれば、この興行は予想以上のヒットを記録し、以降、劇場長編とテレビ作品の組み合わせというスタイルが、後の「東映まんがまつり」の原型になったという。翌64年には、テレビアニメのエピソードを再編集した映画『鉄腕アトム 宇宙の勇者』も上映された。そして、「テレビアニメから劇場映画へ」という流れを決定づける作品が公開される。 「こうした実績もあり、77年、事実上テレビ放映は打ち切りとなった『宇宙戦艦ヤマト』の総集編が、ファンの声にこたえる形で劇場公開されます。翌年には続編であるオリジナル作品『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』が、国産アニメ映画初の配給収入2ケタの21億円を達成。81年公開の劇場版『機動戦士ガンダム』3部作では、テレビ版の総集編という形をとりつつ新規作画を加えるなど、マニア向けの仕掛けが組み込まれるようになりました。この経緯を見てもわかる通り、個人で楽しむテレビアニメと、ファンが集まることでマニアックなネタでも盛り上がれる劇場版という役割分担ができたと考えられます」(同)  これまで見てきたように、総集編映画は、アニメ黎明期より存在していた。では、なぜ12年に総集編映画が急増したのか? 大きな流れとして、「テレビ局の深夜放送枠の価格が、00年代のアニメブームを受けて上昇したことも遠因となっているのでは」と語るのは、コンテンツビジネスに詳しいジャーナリスト・まつもとあつし氏だ。よく知られているように、アニメにおけるビジネスモデルの主流はパッケージビジネスだった。安い価格帯である深夜放送枠をアニメの製作委員会が買い取り、そこでアニメを放送することで世間に認知させた後、DVDなどのパッケージで資金を回収するモデルだ。しかし、競争激化による放送枠の価格上昇とパッケージ販売の冷え込みで、このビジネスモデルが危うくなっていると、まつもと氏は言う。あるアニメ関係者も「確かに、アニメ制作会社の人も、今のテレビ枠は(値段が)高いと愚痴っています。人気の放送枠で流す場合、パッケージのマージンを取られることもあるらしくて、困っていました」と話す。そこで、改めて劇場という伝統的なメディアに注目が集まることとなった。ネット配信といった、さまざまな課金スタイルと比較した時、現状最も効果的なマネタイズが図れるのが劇場アニメという形態だと、まつもと氏は分析する。  加えてまつもと氏は、近年、総集編アニメ映画の意味合いが変化していると語る。ツイッターなどのソーシャルメディアによって、総集編アニメ映画が「ファン同士で盛り上がるためのツール」としての側面を強化されつつあるというのだ。「パソコン文化との親和性が高いアニメファンは、以前から2ちゃんねるなどで”テレビアニメ実況”をして盛り上がっていました。その流れをツイッターといったリアルタイムメディアが加速させた。この盛り上がりを大勢で同時に肌で感じられる場として、劇場が再評価されているのでは」(まつもと氏)と、昨今の劇場アニメブームの理由を推測する。 ■アニメ業界の地殻変動でプロデューサーの露出増  ソーシャルメディアや劇場アニメの隆盛は、新しい動きを生み出しつつある。プロデューサーの前面化だ。 「今、有能なプロデューサーたちは、ネットの声を非常によく見ています。『TIGER&BUNNY』を手がけたサンライズの尾崎雅之プロデューサーは、ツイッターでのファンの声に目を通した上で、必要なアナウンスを行って、間接的にコミュニケーションを取っています。彼らは今、どういう作品が楽しまれているのかというところにも気を配り、仕掛け作りをしています」(まつもと氏)  かつては、今ならステルスマーケティングとして糾弾されかねないやり方で劇場版『宇宙戦艦ヤマト』を大ヒットさせた西崎義展氏や、宣伝のために声優ではなく人気タレントを作品に起用していると噂されるスタジオジブリの鈴木敏夫氏(本人は宣伝的意味合いでの起用を完全否定)などが、アニメプロデューサーとして脚光を浴びていた。そこへ前述の尾崎氏やアニプレックスの宣伝プロデューサー・高橋祐馬氏といった若い世代が、インタビューやイベント、はたまたソーシャルメディアを積極的に活用することで、コミュニケーションのハブとしての存在感を増してきている。例えば、尾崎氏は『TIGER&BUNNY』でテレビシリーズ最終話のオールナイト上映会を企画。この様子をライブビューイングで配信するという、ファンを巻き込んだイベントを成功させ、高橋氏はアニプレックス関連のイベントなどへ名物広報として出演している。プロデューサー自らが前に出ることでファンとの距離を縮めるなど、さまざまな試みを行って業界を盛り上げようとしているのだ。  このような流れの中で、総集編アニメはオタクたちに支持され、定着することとなった。しかし、次ページの山賀氏の発言からも、現状、急増する総集編映画は”オタク向け内輪受け”(=ファンイベント)という枠に収まっているようにも思われる。もちろん、アニメ市場を牽引してきたのが、オタクたちであることは間違いない。「オタクたちは『自分たちがブームを作り、業界を動かしている』といってもよいほどのエネルギーを自覚しているはずです。テレビアニメの劇場映画化という動きは、確実にオタクのエネルギーが、その前提として存在しています」と、前出の津堅氏も語る。しかし、日本映画界に元気がない今、従来の”内輪受け”の論理を突き破るような、そんなタブー破りのアニメ映画こそ、到来が待ち望まれているのではなかろうか? 前出のまつもと氏は「『TIGER&BUNNY』の試みは、アニメファンだけでなく、ドラマ愛好者にもファン層を広げるものだったと思います」と、評価する。とまれ、現場で試行錯誤を重ねるプロデューサーたちには、内輪向けのPRにとどまらず、より一層こうした期待にこたえてもらいたいものだ。 (文/富士峰 雄) 【今なら無料で読める!「サイゾーpremium」では他にもアニメ業界の裏側に迫った記事が満載です!】ガイナックス社長・山賀博之に直撃!! 総集編映画って儲かるの?セル画あげるからステマして!? アニメ映画と特典商法の意外な原点アイドル男性声優の極秘結婚は当たり前! 一般芸能化する声優が直面するゴシップ危機
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「五輪は東京で決定しました!」 電通でウワサの”怪情報”を追う

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ロンドン五輪で活躍したメダリストを
多数起用した東京五輪招致ポスター。
首都圏ではいたるところで目にするこ
とができる。
「私、浜田雅功は東京招致できたら、開会式のどこかのシーンで必ず見切れます」(ダウンタウン・浜田雅功) 「私、吉田沙保里は東京招致できたら、8年後、止められても出ます」(レスリング・吉田沙保里)  首都圏に住んでいれば、駅や街の掲示板で、こうしたキャッチコピーを見かけた向きも多いだろう。これは、”東京2020オリンピック・パラリンピック招致アンバサダー”に就任した著名人による、同大会の招致プロモーション『楽しい公約プロジェクト』での公約だ。  浜田の”ドヤ顔見切れ”はさておき、公約を順守するならば、レスリング・吉田選手は、38歳の体に鞭を打ち、五輪に挑戦しなければならなくなった……という話題が、大手広告代理店の電通で囁かれているという──。  11年9月の立候補都市申請を皮切りに始まった、20年夏季五輪招致レース。12年5月の1次選考を経て、現在、候補地として残っている都市は、スペインのマドリッド、トルコのイスタンブール、そして東京の3都市だ。  今後の選考スケジュールは、「今年3月にIOC(国際オリンピック委員会)の評価委員会が3都市を現地視察。7月に各都市がプレゼンテーションを行い、9月7日のIOC総会において開催都市が決定する」(スポーツ紙記者)という流れだが、広告制作関係者のA氏は、今年の年明け早々こんな話を耳にしたという。 「電通内にある五輪絡みの部署では、『五輪が東京に決まった』という話が、まことしやかに囁かれているそうです。すでに電通は、東京五輪開催決定で業務を動かしており、同社にはCM料等、2000億円もの大金が入るとか」  スポーツビジネスに明るい別の大手広告代理店関係者に話を聞くと、「常識的には、この段階で決まるということはまずあり得ない。ロンドン五輪に出場した選手らの告発によって暴力やパワハラが明らかになり、全日本女子柔道の園田隆二監督が辞任した件で、むしろ開催は厳しいという見方もある」と語り、一見、眉唾の与太話にも聞こえる。だが、2000億円という金額と、五輪、そして”広告界のガリバー”電通との関係をひもとけば納得できる部分も少なくはないという。本誌でも再三指摘した電通をめぐる五輪ビジネスについて、まずはその歴史を再考してみよう。  11年に亡くなった電通のドン・成田豊元会長の、「権利の根っこをつかむ」という志とともに、84年ロサンゼルス五輪から始まった電通のスポーツビジネス。それ以降、電通はサッカーW杯、世界陸上などの国際的なスポーツイベントのスポンサーシップ販売権、テレビ放送権を獲得してきた。  06年トリノ五輪と08年北京五輪の2大会で198億円、10年のバンクーバー五輪と12年のロンドン五輪で325億円、14年のソチ五輪と16年のリオデジャネイロ五輪で360億円と、大会ごとに高騰を続ける五輪の放送権料だが、「放送権料は、NHKと民放が共同で番組制作をする放送機構・JC(ジャパンコンソーシアム)がIOCに支払っていますが、日本国内における五輪のテレビCM販売権は電通が独占的に持っています。電通はCM枠を売る際、約20%の手数料を取るといわれますが、そのCM料は、五輪の放送権料によって決まります。それ故、五輪の放送権料が上がれば上がるほど、電通の取り分は多くなることに。04年のアテネ五輪における電通の大会売上高は150億円超といわれますが、大会ごとにその額は増えていっていることになります」(全国紙運動部記者)  このように、五輪とは切っても切り離せない電通だが、20年の五輪が東京開催となれば、その売上額の桁はまるで違ってくるという。 「五輪の大会演出・プロデュース、20年までの7年間に行われる五輪関連イベントのコーディネート、グッズのライセンス契約ビジネス、そして広告需要の拡大……数えきれないほどの五輪関連ビジネスが発生するはずです。事実電通は、自社が仕掛けて開催された02年の日韓共催サッカーW杯では、4年の準備期間でCMやライセンス契約などにより、計1000億円もの収入を得ています。倍近い準備期間がある東京開催の五輪では、当然ながら収入も倍額に達すると考えているようです」(同)  日韓W杯の倍──つまりそれは前述の電通社員が発した「2000億円」と確かに合致するのだが……。 「スポーツ局や関連部署の社員の間では、東京開催決定は周知の事実だそうです。確率でいうと、99%とのこと」(前出・A氏)  怪情報のひと言では片付けられない、とまではいわないが、少なくとも電通社員の中には”その気”になっているおめでたい輩もいるということだ。が、なぜここまで早く東京開催が決定したというのか。前出の運動部記者は、五輪の実態を踏まえて、こう口にする。 「76年モントリオール五輪で10億ドルもの赤字を出したIOCは、未来永劫五輪を継続開催させていくために、84年のロス五輪以降、大会収支の黒字を目指し大会を商業化していきました」  そのためには、大会運営費の半分以上を、各企業からのスポンサー収入で賄う必要があるというが、「スポンサーとして五輪にカネを出す企業は、当然ながら投資額以上のリターンを求めますよね。その効果値がダントツで高い開催地が、今世界経済を最も牽引している東南アジア市場に近く、密接な関係を持つ東京だったということです](同)  財政破たん間近とも囁かれるスペインでは話にならず、経済発展著しいトルコでも、6億人の人口を持つ東南アジアの消費市場には太刀打ちできないのだ。「安倍首相が連携強化を進める東南アジア諸国連合の存在が、『東京五輪開催』の力強い後押しになった」(同)ようなのだ。  さらに、12年5月の1次選考時、”原発事故による夏季のピーク時における電力不足”と”国民及び都民の低い支持率”の2つが東京の”課題”とされていたが、「電力は、昨夏も原発が止まっていたにもかかわらず問題なかったし、安倍首相は原発の新設まで示唆しています。支持率も、1月30日、都民を対象にした世論調査で、五輪招致の支持率が73%と初めて70%を超えたことを招致委員会は発表しました」(同)と、すでに2つとも解決済みの感すら漂っている。  こうした流れについて、前出の大手広告代理店関係者は「経済状況が不安定なスペインでの五輪開催は難しいだろうが、何らかの政治的理由でトルコが辞退すれば、東京での開催は充分に考えられる」というが……。このご時世、景気の良い話に鼓舞する一部の電通マンの気持ちはわからなくもないが、さすがに早計ではなかろうか? (構成/編集部) 【今なら無料で読める!「サイゾーpremium」では他にもスポーツの闇に迫った記事が満載です!】中田英寿の祖父は朝鮮総督府のエリートだった!? 覗き見厳禁! 狂気のスポーツタブー本もはや広告ではペイできない? 325億円にまで高騰する日本の放映権料 不良債権化する五輪放送五輪の申し子・橋本聖子が壮絶な五輪愛を激白!「生理も止まった執念の十二年史」
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故郷の友は「遠くにありて思う」もの 世界と生き方で棲み分けされる友達関係

【サイゾーpremium】より 3月無料購読キャンペーン開催! SNS隆盛の昨今、「承認」や「リクエスト」なるメールを経て、我々はたやすくつながるようになった。だが、ちょっと待て。それってホントの友だちか? ネットワーク時代に問う、有厚無厚な人間関係――。
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『人はなぜ学歴にこだわるのか』
 1カ月ほど前、仕事の関係で「面影ラッキーホール」というファンクバンドのメンバーと話をする機会があったのだが、その時、リーダーのACKYさんという人が紹介してくれた話が面白かった。 「リアルなヤンキーと間近で会える機会って、免許の更新の時ぐらいしかないですからね」  と、彼は言っていた。ACKY氏によれば、ホワイトカラーとブルーカラーでも大卒と高卒でもよいが、社会的な階層分化は、その中に住んでいる我々の意識とは無関係に、常に、粛々と進行している。だから、押されている烙印の違う人間同士は、そもそも顔を合わせる機会を持たない。 「社会っていうのは、そういうふうに設計されているんですよ」  至言だと思う。  私自身、昨年の12月に免許の更新で江東区の運転免許試験場に出向いたばかりなのだが、違反者講習の教室には、たしかに、ふだん出会うことのないタイプの人間が勢揃いしていた。背中にデカい動物模様の入ったジャンパーを着ている兄ちゃんや、金髪ツケマの小年増が、私の生活圏の中にまったく住んでいないというのではない。が、普通に暮らしている限り、私の生活は、彼らとは無縁なレイヤーの上で進行していくことになっている。だから、普段は視界に入ってこない茶髪のオヤジやラメ入りのブラウスを羽織ったおばちゃんが、思い思いに座って化粧を直していたり、携帯をいじくっていたりする姿は、やはりなんというのか、新鮮な驚きだったのである。  免許証の更新手続きは、年齢、学歴、年収、職歴といった個々人の属性は一切勘案せず、東京中の自動車運転免許証所有者を、誕生日という一点で機械的にソーティングした上で招集している。だから、更新手続きが行われる運転免許試験場に集った人間たちには、生まれ月以外に、共通項がない。  ともかく、そうやって無作為抽出の人口統計データに最も近い人々に直面してみて、改めてはっきりするのは、我々が「分離されている」ということだ。  特に大学を出た人間は、地域から分断される。このことはぜひ強調しておきたい。我々の社会では、エリートコースと呼ばれる人生を歩むことは、生まれた町の地域社会とは別の枠組みに組み入れられることを意味しているのである。  昔、英文学の教授がこんなことを言っていた。 「日本の男が、会社がハネた後にも同僚と飲んで歩くのは、地域社会が崩壊しているからです。イギリスの会社員は、一旦自宅に帰ってから、改めて地元のパブに飲みに行きます」 「地元のパブには地元の仲間がいます」 「イギリスでは、子どもの時からの仲間と一生涯付き合うのが普通なのです」  もっとも、イギリスにしばらく住んでいたことのある人間の意見は少し違う。 「うーん。一生地元の友だちとツルんでいるっていうのは、ワーキングクラスの話じゃないかなあ」  彼によれば、シティーの中心部で働いているホワイトカラーの連中が、どういうパブで飲むのかは、話が別らしい。 「ほら、出身校とか、なんかのクラブとか、そういうのが拠点だと思いますよ。でもまあ、どっちにしろ会社の同僚と飲み歩くことはありませんね」 「というよりも、ワーキングクラスとミドルクラスはそもそも住んでる町が違いますから」  イギリスの社会がどうなっているのかは知らないが、我々の国の社会は、同じ町に別のレイヤーを重ねるカタチで形成されている。つまり、我が国では、階層別に住む町が違うというほど露骨な分化は進行していないものの、同じ町に住んでいる人間が、階層別に、行きつけの店や集まる場所を変えることで、世界と生き方を棲み分けているのである。  だから、地元の区立中学校を卒業すると、地元のコミュニティとの縁は、その時点でとりあえず切れる。で、高校生は、より広い地域の、学力においてより近いクラスメイトと出会う。というよりも、もう少し露骨ないい方をするなら、生まれてからしばらくの間、地域で分類されていた子どもたちは、15歳を過ぎると、学力という基準で再分類されることになるのである。  高校でも大学でも、もちろん友だちはできる。 「同程度の学力の同級生」や「よく似た文化的背景から出てきた子ども」である、高校・大学の仲間は、「同じ町に住んでいる子ども」であった小中学校の友だちよりは、ある意味で、付き合いやすいかもしれない。そういう意味では、生徒たちを学力別に再分類することが、我々を分離していると、一概に決め付けることはできない。  ただ、「学力」や「社会的な分類」や「階層的な同質性」を基準に集められたり分離されたりする中で形成される人間関係は、やはり、脆いといえば脆い。卒業してそれっきりになってしまうケースも多いし、なにより、このシステムに乗っかっている限り、進学、就職、退職、転職、結婚、出産………と、人生のステージが進むたびごとに、友だちを選び直さなければならなくなる。  さて、進学校の高校に進学して、大学を出た人間が地元から分断されるのだとして、では、そうでなかった生徒たちはどうしているのだろう。  簡単に答えの出せる質問ではない。  他府県から東京の大学に進学してきた人々の立場は、わりあいにはっきりしている。彼らは、かなりの程度、田舎を捨てる覚悟を持っている。  なにより、就職に際して、東京に本社のある一流企業を志望すること自体が、そのまま、生まれ故郷での生活を断念することを意味している。だから、彼らの出世双六の中では、スタート地点の故郷は、比較的早い段階で「遠くにありて思うもの」に設定し直されているわけだ。  東京出身の人間である私のような者の立ち位置は、多少歯切れが悪い。地元の友だちは、いないといえばいない。が、地元に住んでいる以上、顔を合わせれば挨拶ぐらいはする。でも、友だちではない。それはお互いにわかっている。  大学を出て5年ほどたった頃だろうか、地元の商店街を歩いていて、10人ほどの男女の集団に声をかけられたことがある。 「おい、オダジマ」  振り返ると、中学時代の同級生だ。クラス会というほどのものでもないのだが、彼らは、時々集まって飲んだり遊んだりしているようだった。で、その日は、私もゲスト待遇で参加することになった。ゲスト待遇といったのは、集まったメンバーの中で、大卒は私だけだったし、結局、私は、最後まで「お客さん」扱いだったからだ。  話が合わないとか、邪険にされたとか、そういうことではない。それなりに楽しく飲めたし、旧交をあたためたといえばそういえないこともない。ただ、心外だったのは、私が終始「優等生」という役柄を担わねばならなかったことだ。  何を言うんだ。数学のO崎に一番たくさん殴られたのはオレだぞ、と私は言ったが、 「それだけ目をかけられてたってことだろ」  と、その言葉は一蹴された。しかも、私は、登下校の道筋でいじめられたことになっている。 「えっ?」  話を聞けば、覚えている。学校の帰り道に、電柱ごとにじゃんけんで負けた者が全員の鞄を持って歩くゲームが流行ったことがあって、私はそのゲームでよく負けていたのだ。  布製の肩掛け鞄を10個もかけられて、ふらふらして歩いた記憶もある。でも、あれは単なるじゃんけんのゲームで、いじめではない。 「犬の糞を踏ませたこともあるぞ」  そう。確かに踏んだ。でも、あれもゲームだった。要するに私が偶然ジャンケンで負けたという、それだけの話じゃないか。  なのに、彼らの記憶の中では、私が優等生で、犬のクソを踏まされるタイプのいじめられっ子だったということになっている。  私は、かなり執拗に抗弁したが、多勢に無勢、相手にならなかった。  こんなふうにして、分断は進む。  違う道を歩くことになった昔の同級生たちは、互いに、記憶を再編成していたりする。  だから生まれた町に友だちはいない。  友だちはたぶん回線の向こう側にいる。 小田嶋 隆(おだじま・たかし) 1956年、東京赤羽生まれ。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。営業マンを経てテクニカルライターに。コラムニストとして30年、今でも多数の媒体に寄稿している。近著に『小田嶋隆のコラム道』(ミシマ社)、『もっと地雷を踏む勇気 ~わが炎上の日々』(技術評論社)など。 【今なら無料で読める!「サイゾーpremium」では他にも多彩な識者人たちのためになる連載記事が満載です!】町田康の続・関東戎夷焼煮袋「お好み焼きの焼きスタイル その多様さに神髄あり」宇野常寛の批評のブルーオーシャン「峯岸問題」法社会学者・河合幹雄の法痴国家ニッポン「児ポ法の悪法たるゆえんを河西智美『手ブラ騒動』に見る」
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"トクホ"コーラのバカ売れに踊らされる消費者 無機能トクホブームの利権

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トクホ商品は、ひとつヒットが出ると他メーカー
が追随する傾向にある。例えばお茶類でも、「ヘ
ルシア」や「黒烏龍茶」に続いて、類似商品が続
々登場している。
 この健康志向時代において、新商品が発売されるたびにブームとなる特定保健用食品(トクホ)。12年に2社が発売したトクホコーラも1億本以上売り上げており、まさに現在、ブームの渦中にあるといえよう。だが一方で、トクホは数々の回収騒ぎや効果に対する疑問も指摘されており、イマイチ信頼性が薄い商品であるようだ。こうした怪しいトクホの実態とブームに群がり利権を貪る面々について追った──。  このところ「トクホ」が再びブームになっている。  これまで、1999年花王・食用油「エコナクッキングオイル」、03年花王「ヘルシア緑茶」、06年サントリー「黒烏龍茶」など、続々とトクホ商品がヒットを飛ばしてきたが、今回はコーラだ。  12年4月に発売された、キリンビバレッジの「メッツコーラ」は、発売から6カ月で550万ケース・1億3000万本の販売を記録。一部で生産が追いつかず、店頭で大幅な品不足となる事態にまで陥った。これはトクホ商品としては異例の480ml・150円の低価格ということもあって(ヘルシアの場合、350mlで1本180円~350円)、人気に火がつき「ヒット商品番付」(日経MJ)にも登場したほどだ。  このヒットに乗ってサントリーもトクホ商品「ペプシスペシャル」を11月に発売するや、わずか2週間でキリン「メッツコーラ」を上回るペースで130万ケースを販売した。3年後には年間1000万ケースまで売上規模を伸ばし、主力商品にする計画だという。こちらは490ml・158円だ。  これまでコーラは「若者の飲み物」というイメージがあったが、このトクホコーラは、30~40代の男性をターゲットにしているところが特徴だ。「メッツコーラ」はCMキャラクターに「あしたのジョー」を、「ペプシスペシャル」は俳優の織田裕二を起用し、「脂肪の吸収を抑える」効果をアピール。仕事で日中外に出て脂っこい食事が多く、健康にも気遣う30~40代男性の心をガッチリとつかんだ格好だ。  では、そもそもトクホとは、どんなものなのか? トクホ制度ができたきっかけは、84年に文部省(当時)が行った「食品機能の系統的解析と展開」という研究だ。この研究の中で、「食品には体調を調節する機能がある」という点に注目が集まり、産官学が一体になった「機能性食品」構想が持ち上がった。  その後、厚生労働省が主導し、制度化に当たっては、「機能性」から「特定保健用」に名称変更がなされ、91年に特定保健用食品、通称トクホ制度がスタート。(90P年表参照)  この制度では、当該商品が、血圧、血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、整腸機能に役立つなど、特定の保健効果があることを証明するために、国による審査を受ける必要がある。  その審査には、ヒトを対象とした実験の結果を含めた「食品及び関与成分に係る保険の用途を医学的・栄養学的に明らかにした資料」の提出が義務付けられている。『消費者委員会』、『食品安全委員会』、『厚労省医薬食品局の審査、独立行政法人国立健康・栄養研究所』もしくは『登録試験機関』の分析を経て、許可に至るのだが、「この資料は医学・栄養学等の学術書、学術雑誌等に掲載された知見を含む」としていることから、実験結果は学術論文の形をとることが多い。  こうして認可を受けた製品は、"トクホマーク"を用いて、その効果を表示することができる。また、国が定めた栄養成分を1つでも含んでいれば、国の許可を得ることなく表示できる「栄養機能食品」と共に、トクホは「保健機能食品」というカテゴリに入る。  トクホは97年には許可品目が100品目に到達し、05年には500品目、12年5月に1000品目に到達するなど、飛躍的に増大してきた。市場規模も急拡大し、97年には1000億円程度だった市場が、07年には7000億円近くまで売り上げを伸ばした。厚労省をはじめとした産官学が作り上げたこのビジネスを、08年に同省が自らスタートしたメタボリックシンドローム検診の義務化などを追い風にして、消費者の健康志向の高まりが、トクホ市場の拡大を支えてきた。  しかし、2000年代後半は、逆風に見舞われることもしばしば。トクホ市場がピークだったのは07年で、年を追うごとに売り上げは低迷し、11年には5175億円まで下がってしまった。  09年9月には花王「健康エコナ」が、体内で発がん性物質に変わる可能性のある物質を、ほかの油よりも多く含んでいることが判明し発売中止になった「エコナショック」の直撃を受けた。  また、同年同月には消費者庁が設立され、トクホの制度が消費者庁の管轄に移行。消費者庁は10年に「健康食品の表示に関する検討会」による報告書をまとめ、トクホについて表示許可手続きの透明化など抜本的な見直しを提言した。厚労省時代に比べるとじっくりと審査されているためか、消費者庁によるトクホの許可手続きはスピードが落ちたという。 ■抑制効果がたったの1割 効果の薄いトクホ食品  とはいえ、いまだに5000億円規模の市場があるトクホ業界、12年のトクホコーラブームで、再び盛り上がりも見せている。こうした中で、トクホをめぐっては大きく分けて2つの批判が取り沙汰されてきた。まずは”効果”に関する疑惑である。 「脂肪の吸収を抑える」効果が実は眉ツバモノだという声は、03年にヘルシア緑茶が発売され、トクホ商品がブームになって以降、多くの専門家から噴出している。トクホの許可を受けるためには、申請する食品を用いたヒトに対する実験結果が必要となるが、このための試験には、効果が出やすい人を被験者としていることが多いという。 「例えば、トクホコーラではBMI(ボディマス指数:ヒトの肥満度を表す体格指数)が軽度肥満との境界線に近い30~40代が被験者になっています。これは、検査の基準の中に、全年齢を対象とする旨が盛り込まれていないからなのですが、これでは誰にでも効果があるかどうかわかりません」(科学ジャーナリスト)  また、食品問題に詳しい専門家は、その効果の疑わしさを指摘する。 「トクホコーラの売りである『脂肪の吸収を抑える』のは、難消化性デキストリンが入っているためです。この成分が入っているコーラと入っていないコーラを比較したところ、血中中性脂肪の上昇はピーク時の4時間後に1割強抑制されますが、効果がこの程度であれば、トクホコーラを飲むよりも脂肪分の多い食事を抑制する方が、よっぽど肥満に対して効果があるでしょう」  この難消化性デキストリンは食物繊維の一種であり、科学的に整腸機能、食後血糖値・血中中性脂肪の上昇抑制機能が確認されている。難消化性デキストリンの含有量が一定の基準を満たしていれば、整腸機能、食後血糖値の上昇抑制機能についてはトクホの有効性試験を省略できるため、業界で人気の成分となっている。これまでに許可されたトクホ商品のうち約3割が、難消化性デキストリンを(トクホ許可に必要な関与)成分としているほどだ。(※トクホコーラの成分に関する詳細は92Pを参照) ■やっぱりオイシイトクホ利権 検査機関に厚労省OBが多数  そしてもうひとつの批判は、厚労省OBによる”天下り”問題だ。 「トクホは、いまや一大ビジネス。トクホ審査をするのは消費者庁ですが、有効性や安全性の分析を依頼するのは、『独立行政法人国立健康・栄養研究所』もしくは『登録試験機関』。一連の審査をサポートするのは、『公益財団法人日本健康・栄養食品協会』といった法人。トクホの商品が増えるほどに、当然、彼らにもお金が流れ込む。残念ながらというべきか、やはりというべきか、こういった法人の役員には、トクホ制度を立ち上げた厚労省のOBたちが名を連ねており、天下りとして問題視されてきました」(科学ジャーナリスト)  確かに、国立健康・栄養研究所の理事は厚労省の出向組であり、日本健康・栄養食品協会の理事長は「元厚労省健康局長」、評議員には「元厚労省大臣官房審議官」「元厚生省生活衛生局衛生課長」といった肩書が並ぶ、まさに天下り機関なのだ。 「特に日本健康・栄養食品協会は、正会員696社で、ほとんどの食品メーカーが名を連ねています。花王、サントリー、キリンビバレッジといったトクホビジネスで大儲けしている企業も正会員です。トクホの申請には『学術誌での発表』も求められていますが、この協会は『健康・栄養食品研究』という学術誌を発行していて、トクホ関係の論文も掲載しているのです。これではお手盛り論文になってしまい、また、審査をサポートする側、分析する側に厚労省人脈が入り込んでいることからも、適正な審査ができるか疑問です」(同)  効果が期待できず、企業と関連機関だけが潤っていく……。これでは、トクホ制度は、「トクホ」=健康というイメージを作り上げ、カネのなるブランドと、新たな天下り先を生み出しただけ、という謗りを受けても仕方がないだろう。企業と官僚がグルになって、健康志向の消費者を惑わそうとしているようにも見える。本特集では、2つの”批判”を再検証しつつ健康信仰をお金に変える錬金術について迫っていく。 (文/松井克明) 【今なら無料で読める!「サイゾーpremium」では他にもトクホ利権の裏側に迫った記事が満載です!】ヤバイのはエコナだけじゃない!! トクホスキャンダル年鑑トクホコーラの実態をサイエンスライターが解説 一週間毎日2本飲んでやっと効果が…精神科医・岩波明が注目する 閉鎖病棟独特の”閉塞感”をリアルに描いた映画
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最後に勝つのは、実はアマゾンか?ハードベンダーの限界を見据える

【サイゾーpremium】より 進化の歩みを止めないIT業界。日々新しい情報が世間を賑わしてはいても、そのニュースの裏にある真の状況まで見通すのは、なかなか難しいものである――。業界を知り尽くしたジャーナリストの目から、最先端IT事情を深読み・裏読み!
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『アップル、アマゾン、グーグルの
競争戦略』
(エヌティティ出版)
「アップル神話」に陰りが見え始めたと、囁きあう声が聞こえてくる──。最近、アップルの株価が急落した。一時は時価総額世界1の座にまで就いたものが、どうしたのだろうか? これには、同社だけに限った話ではない「ハードベンダーの限界」という問題が密接に関わっているのだ。アップルの株価が急落している。2012年9月の最高額から4割近くも下落したというから尋常ではない。  アップルのティム・クックCEOはこの原因について、市場の不振に加え、MacとiPadの「共食い(カニバル)」があったと説明している。つまりパソコン市場が縮小して、タブレットに食われている。それがアップルの中でもMacからiPa dへの移行として表れているのだという説明だ。  クックはこうも発言している。 「カニバルは数字はマイナスだが、大きなチャンスでもある。われわれの基本方針はカニバルを恐れないということだ。もしカニバルを恐れれば、ほかの企業がその部分に食らいついてくる」  これは正しい認識だ。これまでもさまざまな企業が、自社内でのカニバルを避けるために新しい市場創出を尻込みし、結果としてその先の市場を他社に奪われてしまうというようなことを引き起こしてきた。それに対して、自社の製品が売れなくなる可能性も承知で、タブレットやスマホの市場創出に向かっていったアップルはあっぱれというしかないし、Macの売り上げが落ちていることを悲観材料にする必要はない。  しかし一方で、この先のアップルがどうなるのか? を考えると、かなり厳しいともいえる。なぜならハードベンダーであるアップルは、常に新製品によってイノベーションを繰り返していく必要があるからだ。  アップルはiPhoneとiPadによって、スマホとタブレットという、これまで存在しなかった新しい市場を創出した。これは素晴らしいイノベーションだ。しかし一方で、いったん作られた市場はどんどん進化し、拡大し、それまでの製品をコモディティ(日用品)化していく。サムスンやHTCなどの追い上げでAndroidをベースにした安価な機器が大量に投入されていくと、アップルの製品は高級さやデザインの良さでは相変わらず他社の上を行っているとはいえ、市場全体でのシェアは当然ながら低下していく。  すでに先進国のスマホ市場は飽和してきていて、今後期待される市場は中国やインド、東南アジアなどの新興国に移ってきている。ところがこういう市場では、iPhoneやiPadのような高価な製品はなかなか売れない。Androidベースの安価な韓国製、台湾製のスマホのほうが、圧倒的に競争力が高いのだ。そしてこういう新興国市場に今一番食い込んでいるのが韓国のサムスンで、世界市場全体では同社の市場支配力がどんどん高まっている。  実際、12年の第4四半期の数字を見ると、サムスンのスマホ販売台数は6300万台とトップで、アップルより1500万台あまりも多かった。市場シェアではサムスンが29%でアップルが22%。この差は、徐々に広がってきている。これは明らかに新興国マーケットに主軸が移ってきていることの表れだ。  アップルはサムスンなどに対抗するため、廉価版のiPhoneを出すのではないかという噂もある。真偽は定かでないが、高級イメージのブランド戦略で戦ってきたアップルが、サムスンと同じような安価なブランドイメージに対抗して果たして大丈夫なのか? という懸念もある。  これはハードベンダーが成長して巨大化していくと必ず抱えてしまうジレンマで、アップルとしては難しい選択になるだろう。iPhoneやiPadの先にさらに先進的な製品を出し、ユーザーを惹きつければいいのだが、そんなことはジョブズが生きていたってそう簡単ではない。 ■革新性がなくてもいいグーグル、アマゾンの強み  そもそも、イノベイティブなハードウェアを出し続けなければならない、というところに無理がある。  例えばグーグルやアマゾンに、革新的な新製品を期待している人はいない。それぞれNexus 7とKindle FireというAndroidベースのタブレットを出していて、よく作り込まれていて速度も速く、使いやすい製品だが、ものすごく先進的というほどではない。しかしだからといって、この2社がタブレットの革新性のなさを批判されることはあまりない。  なぜなら、2社がハードベンダーではないからだ。アマゾンはオンラインショッピングと電子書籍、それにクラウドサービスが本業。タブレットを売っているのは、その販売で儲けるためではなく、そのタブレットを使って電子書籍を読んだり、オンラインショッピングしてもらうことを狙っているからである。広告が本業であるグーグルは、Androidのモバイルデバイスが普及し、それで人々がブログを読んだり音楽や書籍や動画を楽しみ、SNSのGoogle+を使うようになれば、そこにさまざまな広告を付与できる可能性が高まるという未来像を描いているとされる。Nexusシリーズのタブレットやスマホを販売しているのは、それらの安価なハードウェアによってユーザーのデバイス体験をより増やしていきたいという狙いがあるからだ。  だからグーグルにしろアマゾンにしろ、販売すべきタブレットやスマホは高級品ではなく、安価で使い勝手の十分に良いもの、という結論になる。実際、両社の製品は非常に戦略的に安い価格で販売されている。そして確かに、売れている。アマゾンやグーグルの優位性は、ユーザーを囲い込むことによって持続可能なシステムを作り出しているところにある。両社がやっているのは、ユーザーが「アマゾン”の”モノを買う」「グーグル”の”コンテンツを観る」ということではなく、ユーザーが「アマゾン”で”モノを買う」「グーグル”で”コンテンツを観る」行動を取らせているということ。つまりは、ユーザー体験の基盤であるプラットフォームを作っているのだ。  もちろん、アップルもプラットフォーマーだ。iPhoneやiPa d上に垂直統合されたiTunes Storeを通じて、人々は音楽を買い、映画を観、アプリを利用する。しかし問題は、アップルの今の収益構造では、プラットフォームビジネスはあまり大きな割合を占めていないということだ。アップルのiTu nesからの売上高は10%程度でしかない。大半をiPhoneとiP ad、それにMacというハードの売り上げが占めている。特にこの4年ほどの間にiPhoneとiPa dが急成長したため、売上高の6割ぐらいをこの2つが占めるようになり、依存度は急速に高まっている。  これは素晴らしい結果だが、同時に将来への大きな不安材料である。常に革新的な製品を出し続けなければ、ハードの売り上げはいつかは縮小していく。プラットフォームが囲い込むビジネスのような持続性はハードの世界には乏しい。  そう考えれば、オンラインショッピングの入口出口をがっちりと握って収益力も高く、同時に「囲い込み」力もきわめて高いアマゾンが、最終的な覇権を奪う可能性が高いのではないか。私は最近、そう考えている。 【佐々木が注目する今月のニュースワード】 ■BEACON LOUNGE 赤坂にできた「ビジネスコンビニエンスラウンジ」というコンセプトのカフェ。理容室を併設し、ズボンプレスやスチームアイロン、電源なども無料。ビジネスマンのノマドワーキング向けに、こういう店が今後増えそう。 ■鯖江市 行政データをXML形式で提供することを決めた福井県鯖江市。北陸の小さな街だが、メガネの製造では世界的に有名で、IT政策にも非常に力を入れている。オープンガバメント的な方向に日本の自治体がここまで踏み込むのは初めてで、今後注目。 ■アーロン・シュワルツ プログラマーであり、インターネットの活動家としても常にその言動が注目されていた26歳のアメリカ人。検察庁などの不当な訴追を苦に、1月に自殺した。ネット犯罪の捜査や訴追のありかたについて、アメリカで大きな議論に。 佐々木俊尚(ささき・としなお) 1961年生まれ。毎日新聞、アスキーを経て、フリージャーナリストに。ネット技術やベンチャービジネスに精通。主な著書に『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『キュレーションの時代』(ちくま新書)、『「当事者」の時代』ほか。 「サイゾーpremium」では他にもITの裏側に迫った記事が満載です!】ソニーのセキュリティ意識はユルユル!?お粗末IT事情を関係者が徹底暴露!!「楽天は意外とオススメ」「ヤフーはまるで公務員」 IT賢者が有名企業を採点!セカンドライフは黒歴史になるか? AKB48を起用するIT企業のブラック度を徹底検証!
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ジャーナリスト・武田徹が推挙 メディアの矛盾と欺瞞を突くドキュメンタリー映画

【サイゾーpremium】より ■武田徹(たけだ・とおる) [ジャーナリスト]1958年生まれ。恵泉女学園大学人文学部日本語日本文化学科教授。著書に『私たちはこうして「原発大国」を選んだ』(中公新書ラクレ)、『原発報道とメディア』(講談社現代新書)など。
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 今回、メディアのタブーに挑んだ映画を紹介するということで、メディアとは、ジャーナリズムとは何かという問いを、見る者に突きつけるドキュメンタリーを3本選びました。 『チョムスキーとメディア』【1】は、哲学者であり言語学者でもあるノーム・チョムスキーが延々としゃべり続けているのに圧倒されるのですが(苦笑)、テーマはマスメディアによって合意がいかに捏造されていくかということ。彼は作品内で、たとえばカンボジアの虐殺に比べて、ティモールの虐殺はなぜ西側諸国で報道されなかったのかといった問題を突き詰めながら、寡占状態となっているメディアが、国家の利益と一致する形で情報を出すことで、世間の合意が作られていくということを論証しようと試みます。ただし、先進国でそれは国家の検閲によるものではなく、マスメディアが持つシステムによって自然に行われていると訴える。マスメディアの中で現状に批判的な意見は少数派のものとして影響力を持てない。しかしそれでも言論の自由は大切で、彼はユダヤ人でありながら、ホロコースト否定論者に発言の機会を与えないメディアを批判します。言論の内容は肯定できなくても、言論の自由は保証されなくてはならないとする姿勢は極めて筋が通っています。メディアをとことん疑いながらも、人間は話せばいつかわかり合えるのだという理想を追い続けて話し続けるチョムスキーに、希望を感じさせられますね。 『311』【2】は、森達也ら4人の監督が、震災約2週間後にワゴン車に乗って東北に行き、各々カメラを回して現地の様子を撮影した作品。まず原発を撮りに行こうとするものの、装備が不十分で被爆しかねないので撤退、津波被害地域を見に行くことに。こうして彼らがうろたえるさまは、震災後、我先に現場入りしようとしたフリーのジャーナリストたちの姿をカリカチュアライズしているかのように見えます。最後は津波で多くの子どもが流された大川小学校に行って、遺体と遺族の対面のシーンを撮ろうとして、怒った住民から角材を投げつけられる。災害という大きな悲劇の前で、取材の正当性を主張して、悲しみにくれる人たちの心情を土足で踏みにじるメディアの暴力性を反面教師的に見せつけますが、同時に、それでも伝えることを諦めてはならず、歴史的事実を伝えていくべきだと訴えかけてくる内容です。  原発をめぐる作品としては、ドイツの原発関係施設を淡々と映し続けた『アンダー・コントロール』【3】も、示唆に富む作品です。巨大原発施設とそこで働く人々を見ているうちに、どうして人類が原発を求めたのかが言語を超えた説得力で迫ってくる。大きな力を制御したいというマッチョイズムが原発を生み出した根源であることが、表面的なイデオロギーを凌駕して伝わってきます。そして同時に自らが生み出した技術を制御しきれない人間の悲しさを感じる。脱原発にいち早く舵を切ったドイツですが、実は実際にそれを成し遂げる目途は立っていない。  では日本はどうか。3・11後、民主党は30年後に原発撤廃と言っていたのを、反原発派は30年も待てないと反対しているうちに、選挙に敗れ、自民党ではなし崩し的に原発再稼働へと進みつつあります。原子力の力を求めるマッチョイズムに、反原発の声の大きさで勝とうとする別のマッチョイズムで戦うことに問題があったのでは。反原発を主張する映画が多い中、限りなく静かなこの映画は原子力のあり方を見つめ直すヒントとなり得るように思います。 (構成/里中高志)
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【1】『チョムスキーとメディア』 監督:ピーター・ウィントニック、マーク・アクバー/出演:ノーム・チョムスキー/発売:トランスビュー(5040円) ノーム・チョムスキーが、民主主義のプロパガンダはマスメディアのシステムによって自然に行われると、問いを投げかけていく様子と行動を追い続ける。(92年公開)

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【2】『311』 監督、出演:森達也、綿井健陽、松林要樹、安岡卓治/マクザム(5040円) 4人の映像ジャーナリストが、震災をその目で確認したいという動機で被災地に入り、ビデオカメラを回すことで生まれた作品。遺族を前に撮影をする彼らは厳しい批判を浴びる。(11年公開)

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【3】『アンダー・コントロール』 監督:フォルカー・ザッテル/配給:ダゲレオ出版 福島第一原発事故を受けて、2022年末までに原発を完全に停止することを決めたドイツ。本作は福島原発事故以前から撮影され始めていた作品だが、ドイツにおける原発の終焉を記録した映画としての意味を持つことになった。(11年公開)

「サイゾーpremium」では他にも映画のタブーに迫った記事が満載です!】元警察官・高橋功一が見る 潜入捜査官の苦悩を描き切った『ディパーテッド』サイエンス作家・竹内薫が推す ノーベル賞研究に剽窃疑惑!? 真実を追った作品精神科医・岩波明が注目する 閉鎖病棟独特の”閉塞感”をリアルに描いた映画
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[ムチでたたいちゃう女]小向美奈子──Sに見えるけど、 ホントは ドMなんです。

──ナイスバディなグラビアタレントさんの下着や水着へのこだわりを拝聴し、げに理解しがたきオンナゴコロに迫りませう!!
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(写真/三浦太輔 go relax E more)
 AVの撮影の時は、中の下着よりも外の衣装のほうに気を使っちゃうんだよね。逆に仕事で下着にこだわるのは、ストリップの時。動いてもズレないようなフィット感があるものか、ズレてもかわいく見えるものを選んでる。ヒモだったり、ヒモじゃなくてもピカピカしててかわいい色とデザインのものが好き。ちなみにストリップのコツは、お客さんに、いかにパンツを「脱ぐの? 脱がないの?」って思わせるところ。まあ、脱いじゃダメだから結局脱がないんだけどね(笑)。  自分の下着は10着以上は持ってるかな~。でもね、デザインとかはそんなにこだわれないんだよね。もう、おっぱいが入ったらなんでも好き!って感じ。Hカップで96センチもあるから、そもそもサイズが合うものがほとんど売ってないんだよ。まあでも、その中でも好きなのはシースルーのもの。レースで伸びる生地のが好き。下はヒモとかTバックとか。ピタっとしたデニムなんかをはいてもラインが出ないし、動きやすいし。でも、基本はいつもミニスカだけどね。だから、コケたらお尻が丸見えになっちゃう(笑)。あと、酔っ払うと足を開いて座っちゃうから、パンツに天使のプリントが入ってるのなんかをあらかじめはいてって、スカートをめくって「エンジェルだよ~」って人に見せたりして。もうネタだよね。笑いを取るか男を取るかでいえば、確実に笑いを取ってんの(笑)。
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(写真/三浦太輔 go relax E more)
 肌が白いから、水着は濃い色を選ぶことが多いかな。黒とかショッキングピンク系の紫とか。デザインは、あんまチャラチャラしてない、シンプルなやつ。まあ水着も、おっぱいが大きいせいで選択肢は少ないけどね。でも普段はまったく着なくなったな。去年は海に着て行ったけど、ずっと浜辺で酒飲んでたし。いや、飲んでたっていうか、浴びてた(笑)。あとは、ジムで競泳水着を着るくらいだね。  グラビアアイドル時代は、当時の事務所の方針で清純派で売ってたから、面積のすごいデカいパンツの水着を着せられてて。腰のとこの布の幅が何センチ以上じゃないとダメとか決められてた。ローライズがはやってきた時は、「なんで自分だけこんなダサいのはかされなきゃいけないの?」ってイラついてた。三角ビキニがいちばんキレイに見えるのになーって。で、デビューから5~6年たったらもう我慢できなくなって、最終的には「サイズがちっちゃくても、着方によってキレイだから! 今後は私が決めるから!」って事務所を説得して、それからは自分の好きな水着しか着なくなっちゃった。  今日着た衣装は自前なんだけど、もう自分では下着みたいなものなんだよね。これ着てSMバーにも行くし、すごくカラダに馴染んでる。ムチを持ってるけど、ホントはドMだよ。ただ、MだからこそSの気持ちがわかっちゃう。たたくのも好き。セックスの時も、男のイク顔を見るのがすごい好きだし。  これからは何しようかな? AVの監督とかやってみたいかも。監督しつつ、主演も自分で、みたいな。ストーリーものとか、私がやってたら楽しそうじゃない? (構成/岡島紳士) (ヘア&メイク/Toyoda Yousuke Rooster) 小向美奈子(こむかい・みなこ) 1985年5月27日、埼玉県生まれ。身長156センチ、B96(Hカップ)W61H88。15歳の時にグラビアアイドルとしてデビュー。09年6月にストリップ嬢として浅草ロック座に出演。小屋には「昔からのファンが通ってくれてて。帰りに一緒に飲みに行ったりすることもある(笑)」とか。11年10月には、アリスJAPANから『AV女優小向美奈子』でAVデビュー。 公式サイト〈http://www.minakokomukai.com/
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『小向美奈子×アリスJAPAN 人気シリーズ完全網羅スペシャル』(アリスJAPAN) アリスJAPANの人気シリーズ『出会って4秒で合体』『デカチン味くらべ』『女尻』『汗だく汁まみれ性交』『会心の一撃顔射』『本能を呼び覚ます濃厚なるSEX』の6作品を、小向美奈子が完全制覇。ヌキどころ満載の240分。すべて撮り下ろしの大ボリュームだ。 価格/3990円(税込)

AKB映画の監督・高橋栄樹インタビュー メンバーに語らせたスキャンダルの真相

【サイゾーpremium】より ── 公開前日にメンバーの峯岸みなみが熱愛報道を受けて丸刈りにし、試写の時点では編集中と伏せられていた板野友美の「卒業」が劇中で発表されるなど、話題を呼んでいるAKB48ドキュメンタリーの最新作『DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN~少女たちは涙の後に何を見る?』。アイドル映画の最新型ともいえるメタフィクション型の最高峰を極めたAKB48ドキュメンタリーの監督、高橋栄樹氏にインタビューを決行!アイドル映画のタブーを次から次へと破るAKBドキュメンタリー、その舞台裏とは?
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(写真/後藤秀二)
──ファンの間では「唯一叩かれないAKBの映像を撮る監督」として崇められ、2月1日より公開されているAKB48(以下、AKB)のドキュメンタリー映画第3弾『DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN~少女たちは涙の後に何を見る?』も手がけた高橋監督ですが、そもそも、AKBを撮ることになったきっかけはなんだったのでしょうか? 高橋監督といえば、THE YELLOW MONKEYの”第5のメンバー”と呼ばれ、「SPARK」や「楽園」をはじめとした、ロック系ミュージックビデオ(以下、MV)のイメージが強いですよね。 高橋 実は僕、アイドルMVを撮ったことはまったくなくて。たまたま仲の良かった友人がデフスターレコーズ【編註:07年当時、AKBが所属していたレーベル】の担当者と知り合いで、突然電話で「『秋葉原48』というグループがいるんですけど、興味ありますか?」って聞かれたんですよ。デフスターっていったら、ヒップホップとかR&B系のミュージシャンが多数所属しているイメージだったので、勝手に「UB40」【編註:イギリスのレゲエ・ポップバンド】的なグループが、石丸電気の上で「YO!」ってやってるようなところをイメージしちゃったんですよね(苦笑)。それで、なんの気なしに「はい、やります」と。 ──ところが、ふたを開けたらアイドルだった(笑)。抵抗はありませんでしたか? 高橋 最初が「軽蔑していた愛情」(07年)っていういじめと自殺の曲だったから、シリアスに制作することができて、そういう部分では難しくありませんでした。この次のシングルが「BINGO!」(07年)という曲なんですけど、そっちは海辺の明るい歌だったんで。まぁ、後にそういう曲も撮りましたけど、もしそっちが最初にきていたら、僕には無理だったかもしれません(苦笑)。  当時、「センター」っていう概念もわかっていなくて、グループの中心人物が真ん中にいるということの重大さに気づいたのも、3本くらい撮ってからでした。だから、「軽蔑していた愛情」のセンターは高橋みなみさんなんですけど、MVの主役は大島優子さんなんですよね。秋元康さんからも「歌のメインはいるけれども、ドラマは撮影してみて良かったかものから選んでもらっていい」と言われていたので、とにかく画面から来るオーラのようなもので選んでいったんです。それが大島さんだった。 ──初期から見てきて、変化の大きかった子はいますか? 高橋 いますね。特に前田敦子さんは、いろいろな意味でメキメキと変わっていきました。最初は、言われたことを黙々とやっていただけだったので、「この子はどうしたいんだろう」と思っていましたが、段々感情表現がうまくなってきて、それがスキルとしてビルドアップされていった。その点は、渡辺麻友さんも同じです。渡辺さんを初めて撮った「夕陽を見ているか?」(07年)では、総尺10秒も映していないんじゃないかな。その頃は正直、映像的に彼女のどこを使ったらいいかわからなかったんですよ。本当に普通の女の子だったから。 ──メンバーから、もっと映してくれと言われたりは? 高橋 指原莉乃さんからはほぼ毎回、ネタのように言われてますね(笑)。とても悔しかったんでしょう、「大声ダイヤモンド」(08年)の時に初めて選抜に入ったけど、全然映っていなかったから。あの曲は、キングレコードに移籍して最初のシングルで、松井珠理奈さんと前田さん、この2トップで状況を打開したい……という勝負曲だったんです。だから指原さんをMVの中でフィーチャーする余裕がなかったんですよ。 ──それが成功し、「大声ダイヤモンド」はAKBをブレイクさせる曲になりました。そこから一気にスターダムを駆け上がり、10年からは毎年ドキュメンタリー映画も上映されるわけですが……第1弾は岩井俊二さんが総指揮、寒竹ゆりさんが監督を務められましたよね。どういった経緯で第2弾から高橋監督が担当することに? 高橋 正直、経緯はまったくわからないんですよ。お話をいただいたのは11年の10月くらいで、本当に突然でした。ちょうど、じゃんけん大会の曲となった「上からマリコ」のMV編集をしている時に電話がかかってきて、3カ月で作ってくれと。 ──かなり強行スケジュールですね。テーマはもともと決まっていたんですか? 高橋 最初に1度、秋元さんと打ち合わせさせて頂いて決めました。なんと言っても、11年は東日本大震災について語らない訳にはいかないだろうと。それで、被災地支援活動を通してAKBの存在意義を語ることになったんです。 ──ただ、エンタメを撮るために震災を利用するな、という批判もありましたけど、それについては…… 高橋 それは特に気にしませんでした。実際、被災地支援活動は現地の皆さんに楽しんで頂けてたと思うし、僕自身、地元が被災していたので、被害状況もある程度は分かっていました。ここに娯楽があったほうが絶対にいいという確信があったので、周りがどう言おうと気にしてもしょうがないと思って。 ■菊地あやかに語らせた指原莉乃の処分
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2月1日、公開初日にはメンバーを迎えて舞台挨拶
が行われた。この際、メンバーの板野友美が卒業を
改めて発表していた。(c)AKS
──前作に対して、今作は、よりプライベートを見せる内容でしたよね。過去に彼氏とのプリクラが流出して解雇され、研究生からやり直した経験のある菊地あやかさんに、HKT48への移籍するのみに留まった、指原さんの熱愛報道の処分についてどう思ったかと聞いたり。あれは、高橋監督のアイデアだったんですか? 高橋 そうです。今回のメインテーマは「センター」だったんですが、センターについて語ると、恋愛問題がついて回る。辞めた子、残っている子について、語らなければならないからです。AKBにおける「センターとは何か」を描くことはつまり、グループ内のヒエラルキーを描くことなんですよね。トップを描くということは、その下も、そこから出て行った人も描く必要がある。本人が喋るかどうかは、撮影の時になってみないとわかりませんでした。 ──AKBのメンバーに率先して自らの恋愛問題について語らせていくというのは、戦略的なことなんでしょうか。 高橋 もちろん秋元さんにもご一考あると思いますが、撮影前にこちらから、「この内容は入れますか?」「ここは止めておきますか?」とお伺いを立てることはないんですよね。 ──思春期の女の子たちですから、「ここは撮られたくない」と言われることはないですか? 高橋 正直、なくはないです。ただし、AKBにいる以上、オフィシャルで動いている時はカメラが回ることが約束ごとだから、仕方がない部分もあります。増田有華さんのパートで、翌日に発売される週刊誌を前に、スタッフと今後の進退について話をしているところも入れているんですが……あれは、運営のカメラが撮ったものなんです。増田さんもこの時はさすがに、「ここも撮るんですか?」と動揺していたようです。編集にも細心の注意を払ったつもりですが、本当に難しい。 (構成/林 永子) まだまだ続く高橋監督のインタビュー!続きは「サイゾーpremium」で! 高橋栄樹(たかはし・えいき) 1965年、岩手県生まれ。大学生時代にウィリアム・S・バロウズに関するビデオアート作品『Alone at Last』を制作し、第2回ビデオテレビジョンフェスティバルでグランプリを受賞。凸版印刷入社後、MVを中心に映像ディレクターとして活躍する。「SPARK」や「楽園」など、THE YELLOW MONKEYのPVを数多く手がけ、”第5のメンバー”と呼ばれるようになる。映画監督としてのデビュー作品も、彼らの主演映画『trancemission(トランスミッション)』(99年)だった。
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『DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN~少女たちは涙の後に何を見る?』 監督:高橋栄樹/出演者:AKB48/配給:東宝映像事業部 AKB48の2012年を振り返ったドキュメンタリー。今作は、前田敦子の卒業から「センター」の存在について改めて振り返りつつ、昨年起こった恋愛問題についても追っている。また、作中で人気メンバーの一人、板野友美が「卒業」を発表するなど、メンバーたちが「本音」を語る場としても活用されている。(13年公開) 「サイゾーpremium」では他にもAKB48関連記事が満載です!】アイドル映画の20年史 アイドルたちが"ドキュメンタリー"となった悲しき地獄元AKB48研究生・豊田早姫が衝撃告白! 「もう活動させられない……」画像流出事件の真相とは?研究生の実態、所属プロの本音──事務所は太田、狙い目はSDN? AKB48の芸能界サバイバル術
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