どこか宗教じみたワタミの渡邉美樹氏背後に女性占い師!?

――ただ今無料キャンペーン中「サイゾーpremium」から、本日公開の最新号をいち早くお届け!! ■月刊サイゾー8月号トップニュース 『どこか宗教じみたワタミの渡邉美樹氏背後に女性占い師!?』(2013年8月号「NEWS SOURCE」より)
1308_news_01.jpg
(写真/江森 康之)
■ワタミ女性社員過労死問題 2008年に、居酒屋「和民」の女性従業員が入社2カ月後に自殺。この従業員は、7日間連続の深夜勤務を含む長時間労働など過酷な労働環境に置かれていたことが明らかに。これを踏まえ、裁判所は12年2月に女性の死亡に労災適用を認定した。同社元会長の渡邉氏は、SNSで謝罪の言葉を述べたが、遺族との話し合いには応じていない。  ブラック系企業とそしりを受けながらも7月21日に投開票が行われる参議院選挙に、自民党から公認を受けて出馬を表明したワタミの元会長・渡邉美樹氏。  出馬表明をした同氏は、ブラック企業報道に対して「間違ったこと」と否定し、「『正義は勝つ』と思っています。心は揺れていません」と選挙に向けて強気の姿勢をアピールしている。  だが28日には、同社に勤めていた娘が過労死した遺族が公認撤回を要請するため、自民党本部に乗り込み、『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)では、同党の平沢勝栄衆議院議員が渡邉氏公認の是非について「やめたほうがいいと思う」と発言するなど、党内でも揉めに揉めていたことがわかる。
1308_news_01b.jpg
ワタミ経営の老人ホーム「ワタミの介護」にも随所に“祈り”が。
「実際、アベノミクスでインフレを目指す自民党が、デフレの中で成長してきたワタミと組んでは、政策的に矛盾しているといった印象を支持者に与えてしまうこともあり、党内でも反対意見はあった。ただし、今回公認を取り付けるに当たっては渡邉氏側からなんらかの見返りがあったという話もあり、これが本当なら党執行部としては公認を取り消すワケにはいかないだろう」(自民党関係者)  そして、参院選公示日の7月4日、晴れて渡邉氏は自民党公認候補として出馬が認められた。  本稿執筆時は投票前ゆえ結果は定かではないが、そんな彼が、信奉するという女性占い師の存在が漏れ伝わってきた。 「その人物は、もともと平沼赳夫衆議院議員が信奉していた占い師。渡邉氏は、平沼氏とともに『たちあがれ日本』の代表を務めていた与謝野馨氏から紹介を受けたという。その人物が、彼の政界とのパイプを担っており、自身も相当ご執心なようです」(同)  この占い師の影響は強く、渡邉氏は彼女の広報役としても動いているようだ。  確かに、そのブラックな実態と反して、あまりにキレイ事な「地球上で一番たくさんの ありがとう を集める」などのワタミの社是にも、どこか宗教めいたものが感じられる。果たして、占い師はどんな選挙結果を予言しているのだろうか? (編集部) 【ただ今絶賛無料キャンペーン中「サイゾーpremium」では他にも最新号の記事を続々配信中!】【山本譲二】が語るタブーな演歌!『“パンティー頬ずりしてる”吉幾三が貫いた東北訛り』【石橋杏奈】「ひいき球団とのゲーム差は要チェックです」清純女優はガチ野球ファン!【岸明日香】昭和の歌が好きなんです。
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは?
雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題!ただ今無料キャンペーン中! (バックナンバー含む)

プーチン"ペーペー時代"を知るアントニオ猪木が外交問題に卍固め!!

――月刊サイゾーがウェブで読める「サイゾーpremium」から、今ホットな話題に関する記事をご紹介!  21日に投開票が行われる参院選に向け、各党候補者の選挙活動も活発化しています。そんな中、注目したいのが日本維新の会から比例代表で立候補したアントニオ猪木氏(70)。「サイゾーpremium」では過去に猪木氏へのインタビューを行っています。当時、外交問題について熱く語っていた猪木氏ですが、国会議員になった暁には悪化の一途をたどる日中、日韓外交にも闘魂を注入してくれるのでしょうか……。 ■今回のピックアップ記事 『プーチン"ペーペー時代"を知るアントニオ猪木が外交問題に卍固め!!』(2011年1月号「NEWS SOURCE」より)  プロレスラーとしてその名を全世界に轟かし、時には政治家として、時には実業家として活躍の場を変えてきたアントニオ猪木が、プロレスデビュー50周年を迎えた。モスクワや北朝鮮で興行を行い、同国に独自のパイプを持つアントン、今回はマジメに外交問題を聞いた!
1011_inoki.jpg
軟弱な政策にカツを入れる猪木氏。
(写真/ほりぐちあや)
──デビュー50周年おめでとうございます!! 早速ですが、各国に独自のパイプを持つ猪木さんに、昨今の外交問題を伺いたいと思います。まずは尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件では、中国に対する姿勢をはじめ、民主党の及び腰の外交が続いています。この状況はどう見ていますか? 猪木 結局、政治家に余裕がないんでしょうね。自分たちの政権が安定していない中で、そこまで目が向いていかないというか。それと、外交を知っている政治家が本当に少ない。オレは湾岸戦争最中の1990年12月、イラクで人質となった日本人を救出したこともあったけど、そこで学んだことは、日本のモノサシで測るんじゃなくて、相手の立場に立った外交もあるってコト。中国の民主化についても知人の同国要人からは「日本の10倍も国民がいて、民衆に言論の自由を与えると、国家そのものが崩壊してしまう」という声もある。国によって政治の在り方は違いますから、そこは理解した上で話し合うことが大切ですよ。

──北朝鮮も日本にとっては大きな火種です。韓国領土への砲撃が世界中で非難を浴びましたが、95年に北朝鮮で「平和の祭典」を行ったこともある猪木さんは独自のパイプをお持ちとか? 猪木 10月に、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長、まあ、金正日(キム・ジョンイル)にとって一番の側近で外務大臣的な役割の方に会ったんですよ。こう言うと北朝鮮の太鼓持ちのように思われるかもしれないけど、彼らは「拉致問題の生存者を2週間で帰国させるという約束を反故にされた」という気持ちが非常に強い。日本には北朝鮮幹部と独自のパイプを持つ人がいないことも問題なのでしょうが、オレが北朝鮮に行くときに与野党問わず政治家先生にも「一緒に行きましょう」って言ったんだけど、誰も来なかった(苦笑)。今後、北朝鮮は、ますます中国に寄っていくと思うよ。10月の訪朝で見たマスゲームに、獅子が出てきたりパンダが出てきたり、非常に中国に気を使っていることがわかりますから。 ──一方、北方領土問題ではロシアのメドベージェフ大統領が11月に国後島を強制訪問し、マスコミを賑わせました。そういえば、猪木さんは冷戦末期、モスクワで興行も行っていますよね? 猪木 89年のコトだけど、そのときはプーチン首相なんて、KGBの"ペーペー"だった(笑)。そもそもロシアは、表と裏の世界が表裏一体で、裏の世界を通さないと政治家は国政を動かせないんですよ、かつての日本の政治がそうであったようにね。  まあ、東アジアの諸問題にしても、北方領土問題にしても、今の政治家には"体験"がないから。プロの営業マンなら、交渉相手をどうやって切り崩していこうかというポイントがわかるわけじゃないですか。でも、何も経験していない新人は、そのポイントがまったくわからない。それと同じでね、日本の政治家には外交の"プロ"がいないんです。それが一番の問題ですね。 (構成/大貫真之介)
1011_inoki_dvd.jpg
『アントニオ猪木デビュー50周年記念 DVD-BOX』 20枚組、約62時間収録のボックスセットを発売。格闘史に残る名バウトからマサ斎藤との巌流島決戦を初映像ノーカット収録! 発売/ビデオ・パック・ニッポン、販売元/TCエンタテインメント、価格/10万5000円(税込) 「サイゾーpremium」では他にも選挙に斬り込む記事が満載です!】衆院選が浮き彫りにした現行選挙制度の瑕疵参院選に向けて議連の動きが加速……してない!? 「食と政治」打算的な関係学会員、党員、番記者に聞く公明党"禁断"の選挙戦略
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは?
雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む)

アラフォーだらけのジャニーズ V6井ノ原目指して婚活中!?

――月刊サイゾーがウェブで読める「サイゾーpremium」から、今ホットな話題に関する記事をご紹介!  2007年9月に結婚したV6井ノ原快彦と瀬戸朝香夫妻に待望の第2子の吉報が届きました。新ドラマ「警視庁捜査一課9係」にレギュラー出演中のイノッチはNHKの帯番組「あさイチ」でも朝の顔としてすっかり定着して、まさに公私共に順調。イノッチが結婚記者会見を華々しく開いた際には、ジャニーズアイドルたちがこれを機に後に続くか?と思われましたが、その後結婚したのはTOKIOの山口達也、少年隊の東山紀之、そして赤西仁のみ。  果たして行き遅れたアラフォーアイドルたちに、春はやってくるのか?若いアイドルたちもきちんとイイお嫁さん捕まえられるのかしら?なんて余計なお世話全開で「サイゾーpremium」では過去に幾度もジャニーズアイドルたちの恋愛にフォーカス。今回のピックアップはちょっとばかし古い記事なので、「ああ~あの子ったらあんな娘と付き合ってたわねぇ…」なんて母(父)目線でもって愛すべきジャニーズアイドルたちの恋愛遍歴を振り返ってみましょう。 ■今回のピックアップ記事 『アラフォーだらけのジャニーズ V6井ノ原目指して婚活中!?』(2010年8月号「NEWS SOURCE」より)
1008_inohara.jpg
ジャニーズ事務所のタレントは記者会見などでの写真撮影がNGであるため、紙媒体では、妻・瀬戸朝香とのツーショットはほとんど見られず......。
 この春スタートしたNHKの朝の情報番組『あさイチ』が好調だ。エンターテインメント情報など主婦目線の話題を取り入れ、これまでの"NHKっぽさ"を払拭。当初は低視聴率にあえいだものの、6月18日には14・1%の高視聴率を獲得。開始から4カ月を経た今では、平均視聴率が10%前後と、同時間帯の民放番組とトップを競り合うところまで成長している。この大成功の裏にあるのが、有働由美子アナと共にキャスターを務める、V6井ノ原快彦の存在だ。  番組スタートと同時期に妻・瀬戸朝香との間に待望の長男も授かり、まさに幸せ絶頂の井ノ原。仕事面でも息の長い「勝ち組」に躍り出たといえるが、振り返ればジャニーズ事務所もアラフォー世代だらけ。井ノ原の成功を見ていると、このまま下降線をたどるよりも、なかなか結婚を許さない事務所との衝突を覚悟してでも身を固め、良き家庭人をアピールしたほうが賢明かも、とさえ思えてしまう。  というわけで今回は、「目指せイノッチ!」をテーマに、芸能界での生存競争に日々奮闘するジャニタレたちの恋愛模様をチェックしてみよう。

 まずは、井ノ原と公私共に仲が良いTOKIO国分太一。井ノ原の影響もあってか、結婚願望をしきりに口にするようになった彼。昨年「女性自身」(光文社)のインタビューで自ら明かしたテレビ局勤務の"3歳年下女性"と交際を継続中。ただ、ここにきて不穏なウワサが......。 「個人でも数々のレギュラー番組をこなして波に乗っており、いつ結婚してもおかしくない状態ですが、ネックになっているのは彼の思い切りの悪さ。元カノ・aikoとの破局も、彼の優柔不断ぶりに原因があったといわれています。それでいて合コンなんかにも積極的に参加しているらしいですし......」(テレビ局スタッフ)  同じくTOKIOの松岡昌宏も、6年半同棲を続けてきた一般女性と、つい先頃破局したばかり。「(結婚も)約束できない現実に、将来が見えなくなってしまった」というのが彼女が家を出た理由だという。長すぎる春は良い結果を招かないようだ。  また、同じく男側が煮え切らないのが、V6坂本昌行と元モーニング娘。中澤裕子のカップル。5月に行われた舞台『アリバイのない天使』の制作発表で坂本が交際をバッサリ否定したにもかかわらず、直後にツーショットがスクープされてしまうというカッコ悪さ。 「それでも、舞台開幕の際には再び『(中澤は)お友達』と発言。『ファンの方が天使ちゃんですから』なんてアイドルぶってましたが......悪あがきとしか思えません」(芸能ライター)  坂本も今年で39歳。「今のうちに結婚しておかないと、老後はどうするの?」などとファンからは心配される始末。交際否定は事務所の意向ともいわれているが、坂本ごときの結婚をなぜ許さないのか、謎は深まるばかりだ。 ■女で株を上げる山Pに逆切れで株を下げた田口  そんな坂本とは対照的に"一途愛"を認めてイメージアップに成功しているのがV6森田剛。お相手の上戸彩とのホワイトデーお泊まり愛の発覚直後、上戸自身が「AOKI」のCM発表会で「ずっといい恋してます」と発言。それを受けとめるかのように森田も、V6のツアー終了後、「交際は順調?」との直撃に「大丈夫です」とキッパリ答えた。 「実は当時、上戸と事務所(オスカープロモーション)の現場の関係があまりうまくいっていなかったようなんです。そうしたゴタゴタへの反発もあって、上戸が意味深なコメントを発したらしく、事務所側はかなり慌てたようですね。昔から結婚願望が強い彼女のことですから、いずれは強行突破......なんて可能性もあるかも」(同)

1008_yamashita.jpg
山P、オンナ遊びで北川景子を泣かしちゃダメだよ!!
 また、誰はばかることなく順調な交際を続けているのが、TOKIO長瀬智也と相武紗季の公認カップル。さらに最近では、それに倣うかのように、山下智久と北川景子も堂々とラブラブぶりを見せつけている。 「一時はスキャンダル連発で遊び人のイメージがあった山下ですが、近ごろでは評価も再上昇。相手がポジションを確立した女優であることもイメージアップの源かもしれません。そういう意味では、嵐・松本潤と柴咲コウのマンションお忍び愛も、それほどダメージはないはず。ただ、あの報道はジャニーズべったりの『女性セブン』(小学館)発信なので、月9を前にした話題作りという説も......」(女性誌記者)  逆に、KAT-TUN田口淳之介と小嶺麗奈カップルは、評価ダウンの典型だろう。 「三流女優という点はさておき、ツーショットでのハワイ旅行を東スポに直撃されて逆ギレした小嶺の言動に『頭が悪すぎる』と周囲も猛反発。当然『あんなバカ女を選ぶなんて』と、田口も株を下げた」(同)  かつてのように盲目的なファンも減り、「アイドルだって恋して当然」という風潮が高まりつつある今、どんな相手と恋をしているのかもタレントを評価する大きなポイントとなっている。所属アイドルの多くが結婚適齢期にさしかかっている現状を考えても、今後は、いい恋、いい結婚をプロデュースしていくことが、ジャニーズ事務所の大きな課題となりそうだ。 (竹辻倫子&平松優子) 「サイゾーpremium」では他にもジャニーズ関連記事が満載です!】ジャニーズ事務所の高岡蒼佑潰しも始まった宮﨑あおい離婚問題の顛末東山紀之と森光子の仲はすでに冷え切っていた!? 本誌が知る2人の本当の関係赤西長女も早々とデビュー? ネットに流出して「かわいすぎる!」と賞賛された赤西仁と黒木メイサの長女
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは?
雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む)

教育改革は宗教から始まった? 歴史から見る宗教と教育の深〜いカンケイ

――月刊サイゾーがウェブで読める「サイゾーpremium」から、今ホットな話題に関する記事をご紹介!  昨年12月に行われた都知事選に立候補し一部で話題となった尖閣ロッカー(?)トクマ氏(幸福実現党)が、21日に投開票が行われる参議院議員選挙にも立候補! 今回はどのような結果になるのか果たして。宗教ウォッチャーの一面も持つ「サイゾーpremium」では過去に幾度も「幸福の科学」をはじめとする宗教のあれやこれやを取り上げています。今回はその中から「宗教」と「教育」を巡るこんなネタをピックアップしてみました。 ■今回のピックアップ記事 『教育改革は宗教から始まった? 歴史から見る宗教と教育の深~いカンケイ』(2010年4月号「"宗教と教育"最前線」特集内より) ──現在、宗教団体を母体とする教育機関が数多く存在しているが、歴史を振り返ってみても宗教と教育は密接な関係がある。だが、それぞれの団体が打ち出している宗教教育の方針は、多種多様だ。ここでは、新しく学校法人を設立する幸福の科学と、幼稚園から大学までを備えた創価学会を中心に、宗教と教育の"今"を考察してみたい。
1004_2toku_tobira.jpg
(絵/花くまゆうさく)
 今年4月、宗教法人「幸福の科学」の系列学校「幸福の科学学園」が開校する。同校と幸福の科学の関係については、当特集【2】の学園理事長のインタビューに詳しいが、これに限らず、現在の日本の教育機関には、キリスト教系のミッションスクール、創価学会、PL教団、天理教など、宗教団体、もしくはその創始者が創立し、各宗教団体の教義を取り入れたものは多い。さらに、伝統宗教として仏教系、神道系の学校を加えると、その数は相当数にのぼるだろう。  こうした中、「歴史を振り返ってみても、一般に開かれた教育機関の広がりに、宗教が果たした役割は大きい」と語る、国学院大学神道文化学部教授の井上順孝氏に宗教と教育のつながりについて解説してもらった。 「教育の重要性に早くから気づいていたのが宗教です。日本の場合、16世紀半ばにカトリックの宣教師がヨーロッパからやってきました。彼らは宣教を兼ねた一般人の教育に関わり、中でも若者を中心に教育して、キリスト教の理念を広めようとしたわけです」  平安時代にも、貴族の子息や仏教僧を対象にした教育機関的なものは存在したが、近代になって、一般庶民に宗教的理念に基づく教育をはじめたのは、プロテスタントの宣教師だったのである。彼らは、教育を行いながら、キリスト教の布教のために教会を建てた。その中には、私塾的なものから、学校へと発達したものも多い。  こうした状況に脅威を感じたのが仏教界だ。 「キリスト教の宣教師による教育への取り組みを見て、『若い人の多くがキリスト教を信仰するようになってしまうのではないか』と仏教僧は危機感を感じたのです。仏教には近世に僧侶を育てるための教育の機関(『学林』などと称された)がありましたが、これはあくまで僧侶になる人を対象としたもの。一般の人に広く門戸が開放されたキリスト教系の学校のあり方を見て、一般の人にも仏教的な理念に基づく学校の設立が重要だと考えるようになりました」  世界に広がったキリスト教には、中世より教育の場を通じて、一般の人に信仰を伝えていくためのノウハウが蓄積されており、聖書もしばしば教材として用いられた。一方、仏教系の学校も相次いで設立され、キリスト教と競うようにして教育に取り組んだ。その傍ら、このような道を取れなかったのが神道である。 「(宗教に含まれないとされる意見もあるが)神道は古代よりの土着の信仰です。しかし、近代教育においては、仏教やキリスト教のように一般の人に対する体系だった教育法を確立できなかった。寺や教会といった人々が集まれる建物、宣教師や牧師、僧侶といった、人々への教化に比較的慣れていた人の存在など、学校教育に必要なインフラ整備が十分でなかったし、また仏教やキリスト教のように中世以来続いてきた教育のノウハウを持っていなかったからです」 ■神道は、なぜ教育で後れをとったのか?  だが、明治時代には、国家神道【註1】が推し進められるなど、国策と密接にかかわってくる。 「維新当初、神道による国民教化を図ろうとした政府は、試行錯誤をへて、神道の中でも特に、神社は宗教ではなく"祭りごと"であるという方針をとるに至りました。このことで教育によって人々を神道教化する道は大きく狭まりましたが、他方で、神社崇敬は日本人なら当たり前という、現在も一定程度保たれている共通の認識を広めることには成功しました」  戦後すぐに、宗教法人令が公布され、神社も宗教法人のひとつとなった。現在、神道系の大学としては、国学院大学と皇学館大学の二つがあるが、「その数がほかの宗教系の学校に比べると圧倒的に少ないのは、こうした背景が影響しているため」だという。  さて、敗戦後、GHQによって国家神道は解体され、宗教は自由競争時代に入る。キリスト教、さらに新宗教も、戦前に比べると遙かに自由に布教することができるようになった。
1004_soukadaigaku.jpg
学校法人・創価学園 宗教法人・創価学会系列の学校法人。19
67年に創価学会会長(当時)・池田大作氏
により設立。当初は創価中学・高等学校の
みだったが、71年には創価大学が設置され、
現在では幼稚園から大学までの機関が、
東京、大阪、札幌にある(写真は東京都
八王子市にある創価大学)。
「しかし、教育を通しての布教という点では、キリスト教は以前ほど熱心ではなくなりました。社会的に認知を得たこともあってか、受験校や進学校として有名になったり、父母が躾を期待して入学させたりということが目立ってきます。キリスト教の布教の意欲が、戦前ほど強くないことも関係しているでしょう」  戦後という混乱する時代の中に、人々の抱える問題に対し、伝統宗教よりも積極的に人々に向かいあうことで組織を拡大したのが新宗教【註2】である。  都市化、産業化など急激に発展した社会情勢の中で生まれた新宗教は、都市部を中心に信者を増やしていった。こうした中、学校法人を持つ代表的な新宗教としては、すでに戦前に金光教(1897年に金光中学設立)、天理教(1908年に天理中学を開設)の例があるが、戦後は創価学会(68年に創価高等学校を開設)、立正佼成会(56年に佼成学園中学・高等学校を開設)、PL教(55年にPL学園高等学校を開設)など一気に数が増加した。では、なぜ新宗教に教育機関が必要になるのだろうか? 「大きくいうと、その理由は2つあります。社会的な認知に関係することと、後継者の育成をすることです」  創価学会を見てみると、前身である創価教育学会を設立した牧口常三郎は教育者だった。 「牧口氏は独自の教育論を展開し、小学校教員などを中心に会員を増やしました。実際に会を大きくしたのは、2代目の戸田城聖氏、3代目の池田大作氏ですが、10代で信念を固めれば生涯信仰を持ち続ける割合が高くなると、牧口氏は教育の重要性を自身の体験から感じ取っていたと思われます。この考えは戸田氏以降にも引き継がれ、教育機関を持つ前の50〜60年代の初期の段階から、若い人を積極的に折伏しました。教団が社会的に認知され、信者が一定数に達し、お布施などによる財源もある程度安定的に得られるようになると、信者育成の面でも宗教教育を手がけ、学校を持つというのは当然生まれてくる発想ということになります」  かといって、宗教系の教育機関すべてが、熱心に宗教教育を施しているかといえば、そうではない(創価学会の教育については、当特集【3】を参照)。確かに、天理教のように教団の教義を取り入れ、積極的に信仰を育む学校もあるが、特別な宗教教育を行わない学校も少なくはないのだ。 「それは信者の割合を見れば明らかです。天理大学は、生徒や先生の多くが天理教関係者ですので、天理教に根ざした教育に力を入れています。また、創価学園は宗教教育を行なっていないと表明していますが、実際の教育環境からするなら、学生のほとんど、また教授の多くは信者ですから、実質的に宗教教育がなされているとみなせます。  一方、信者以外の生徒が多数いる学校として、立正佼成会の佼成学園や、霊友会の明法学院などがありますが、これらの学校の授業に宗教色はほとんどありません」  こうした違いは、宗教上の理念や規模によるという。一般の人から見ると新宗教は、まったく新しい宗教と思えるかもしれないが、教義や実践内容は、基本的に伝統宗教をふまえている。 「新宗教には、自分たちの独自性を前面に出すタイプと、それほどでもないタイプがあり、これが教育への関わりにも影響していると考えられる。一般社会の教育理念とあまり変わらないなら、宗教教育はそれほど推進しなくても、儀礼への参加などを通して、宗教的情緒を養うといったことでもそれほど問題はありません。しかし、その教団の理念がかなり特徴的である場合には、教育もまた独自にほどこす割合が高くなると考えられます」 ■新宗教の排他性と高度成長期の潮流  この点はほかの宗教に対する寛容性とも関係がある。寛容性が高い新宗教ほど、信者以外の生徒が多くなる傾向を見てとれる。立正佼成会は開祖である庭野日敬の精神が反映され、新宗連(新日本宗教団体連合会)への加盟など、積極的にほかの宗派や教団との連携に取り組んでいる。一方、こうした思想面で大きく異なるのが創価学会だ。最近は他宗教批判があまり見られなくなってきたが、かつての創価学会は、他宗教を邪教として強く批判していた。この排他的な性格には、日蓮の教えが強く関係している。 「現在では破門されていますが、もともと創価学会は日蓮正宗の在家の信徒集団です。そもそも日蓮がほかの仏教宗派を強く批判していました。『真言亡国、禅天魔、念仏無間、律国賊』(四箇格言)という有名な言葉が示すように、ほかの宗派を信じると、とんでもないことになるという意味のことを言っているわけです。しかし、そういう宗教団体は、実はごく一部で、大半はむしろ神社や伝統的仏教信仰との共存を前提としています」
1004_kohukunokagakugakuen.jpg
学校法人・幸福の科学学園 宗教法人・幸福の科学系列の学校法人。2009年12月
設立。創立者は幸福の科学・大川隆法総裁。2010年
4月に幸福の科学学園中学校・高等学校が栃木県那須
町に開校。男女共学、全寮制を採用。16年には、大学
も開校予定。初代校長には元CMプランナーの喜島克明
氏が就任。
 こうした中、70年代、80年代あたりから、日本の伝統的宗教に根ざさない教団が増えているという。この時期に活動を活発化させ、社会的に注目を集めた宗教としては、GLA総合本部、オウム真理教、法の華三法行、幸福の科学などがあるが、宗教社会学者の中には、これらを新新宗教と呼んだり、またハイパー宗教という特徴づけがされることもある。こうした教団が設立された背景として、情報化社会、グローバル化など社会の変化が考えられる。 「高度成長期はある意味で、近世との最終的断絶が進行する時期ともいえます。このとき、伝統的な宗教についての知識も急速に薄れていきました。神棚も仏壇もないという家が増えているのが、ひとつの例です。原因のひとつとして、核家族化が進んだことが考えられますが、地域ごとのしきたりというのも薄れていき、いわゆる日本的なものをきちっと守るというような感覚は乏しくなってきました」  こうした時代の変遷を前提条件とすると、あらゆる価値観が溢れる現代だからこそ、宗教は教育機関を持つことで、信者を育成し、布教をしていく必要性を感じているのではないだろうか。冒頭で触れた、幸福の科学による「幸福の科学学園」の開校は、ある意味、時代に合致している動きなのかもしれない。  さて、次の記事からは新新宗教の中でも、公称信者が1000万人を超える幸福の科学の教育機関「幸福の科学学園」学園理事長、そして、新宗教の中でも公称入会世帯数800万世帯とされる創価学会が母体の創価大学のOB・OGらに、宗教および、信仰と教育の関係について話を聞いた。  普段は思索をめぐらすことがないであろう、キリスト教や仏教系列の教育機関との相違について、また、現代における宗教と教育のつながりについて考える機会となれば幸いである。 (構成・文/水口真介) 【註1】 現在もその定義については議論が分かれるが、広義に解すなら、「宗教ではない」としながらも、実質的には国教の創設とされている。明治政府は西欧の近代化に対応するため、天皇を中心とした国民強化を目指したが、そのために天皇の不可侵性を神話的に基礎付け、天皇国家のイデオロギーとしての機能を果たした。 【註2】 単に新しい宗教ではなく、近代社会の特徴に影響され出現した宗教のこと。近代新宗教という言い方もされる。その定義の仕方は諸説あるが、本稿では幕末維新期以降に台頭してきた宗教のこととする。主な団体は創価学会、立正佼成会、真如苑、生長の家、天理教などである。また1970年代以降に台頭した宗教を新新宗教と呼ぶ研究者もいる。 「サイゾーpremium」では他にも「幸福の科学」の関連記事が満載です!】幸福の科学学園理事長が目指す教育改革「ライバルはラ・サール!」“エル・カンターレをナメるな!!!”元ブルーハーツ・河口純之助×都知事選候補者TOKMAが吠える!ジャーナリスト森達也の要チェック宗教団体――オウム事件の動機とは?幸福の科学に通底する危険性
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは?
雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む)

ワタミにユニクロまで!! 不況下で伸びている企業はキケン!?“黒い会社”を生み出す日本型雇用の限界

――月刊サイゾーがウェブで読める「サイゾーpremium」から、今ホットな話題に関する記事をご紹介!  08年に女性社員が労働自殺を図り、以降ブラック企業のイメージが拭えないワタミ。その前会長である渡邉美樹氏が、7月21日に投開票が行われる参議院議員選挙に自民党公認で立候補するも、党内外で公認取り消しを求める気運が高まっており注目を集めています。「365日24時間死ぬまで働け」の名文句(?)を生み出しながらも、「ワタミはブラック企業じゃない!」とも宣う渡邉氏ですがはてさて。サイゾーでは過去に「ブラック企業」についても徹底研究しています。ワタミだけじゃない、日本企業に蔓延するブラック体質を生み出すその原因とは? ■今回のピックアップ記事 『ワタミにユニクロまで!! 不況下で伸びている企業はキケン!? “黒い会社”を生み出す日本型雇用の限界』(2012年5月号「崩壊する超優良企業」特集内より) ──過酷な労働や違法性の高い事業などを行う、いわゆる「ブラック企業」は、これまでも幾度となくネットや週刊誌などで注目を集めてきたが、こうした企業がなくなる気配はない。なぜ、現在の日本において「ブラック企業」は生まれ続けるのか? 識者の言や経営者たちの名言から、その背景を読み解いていこう。
1206_blak_illust.jpg
(絵/河合寛)
【ブラック企業の特徴1】 ■社長の権力が絶大 独裁者的な社長に権力が集中し、過酷な労働環境を従業員に強いているブラック企業も多い。社長のカリスマ性が社員をリードしているうちはいいが、スキルアップや将来の生活を保障せず、ただ使い捨てるためだけに強権を振るう経営者もいるため、十分に見極める必要がある。特にベンチャー企業の経営者には、このタイプが多いかも。 【ブラック企業の特徴2】 ■不況下でも成長を続ける 長引く不況で、高度成長期のように日本社会全体が右肩上がりで成長することは難しくなってきた。もちろん、そんな中でも業績を伸ばし続ける企業もあるが、その裏で従業員にしわ寄せがいっていることも多い。低賃金で長時間の労働を社員に押し付けて、不況下で利益を保っている企業もあるのだ。 【ブラック企業の特徴3】 ■夢ややりがいを売りに ブラック企業は、過酷な労働に耐え得る人材を育成するため、過剰に「夢」や「やりがい」を社員に押し付ける傾向がある。社員の人格を否定するような新人研修がテレビ番組で放送され問題になった「餃子の王将」など、どう考えてもブラックだと判断せざるを得ない社員教育を行っている企業も多い。若者の「夢」を食い物にする悪徳企業には要注意! 【ブラック企業の特徴4】 ■よくわからない横文字職業 求人広告でよく見かける、耳に聞こえのいい横文字職業。しかし、ブラック企業アナリストの新田龍氏によると、実態はだいぶ異なる。「オフィスIT化のコンサルティング営業」はコピー機の販売、「アミューズメントスタッフ」はパチンコの店員、「ハウスメンテナンスアドバイザー」はシロアリ駆除の訪問営業などなど。イメージに騙されてはいけない。 ──もはや一般的となった「ブラック企業」という言葉が、昨今再び世間を賑わせつつある。今年2月、ワタミフードサービスに勤務していた女性新入社員の自殺は、月100時間を超す残業が大きな要因だったとして、労災認定された。これに対して、同社の創業者・渡邉美樹氏が「労災認定の件、大変残念です。(中略)労務管理できていなかったとの認識は、ありません」とツイッターで発言し、波紋が広がったことも記憶に新しい。  現在の就職市場においては「やっとの思いで入社した企業が、過酷な長時労働を強いるブラック企業だった」といったことも頻繁に起こっている。厚生労働省の調査によると、今年2月1日現在の大卒内定率は80・5%で前年度比3・1%の増。しかし、調査を開始した96年以来、3番目に低い水準で、企業に有利な超買い手市場であることには変わりない。そんな中、「内定をもらえるなら、どんな企業にだって入社したい」と考える学生も多いのだろう。しかし、こうした切実な思いを逆手に取って、手ぐすねを引いて待っているブラック企業があまた存在するのだ。  本誌でも追求したが、08年頃には、セブン-イレブン・ジャパンや日本マクドナルドにおいても、実際には、役職にふさわしい権限などを与えていないのにもかかわらず、「管理職」に任命することによって、残業代などを削減する、いわゆる「名ばかり管理職」が横行していたことが問題となった。このように、人気就職先に名前が挙がるような有名企業でも、”黒い”体質を持っているケースがあると、ブラック企業アナリストの新田龍氏は言う。 「学生に人気が高いJTBはとにかく売り上げのノルマが厳しいことで有名。窓口での売り上げだけではなく、自社の商品券の販売ノルマもあって、さばき切れなかった場合は自分で購入することもざらです。これは、『自爆営業』と呼ばれ、金券ショップにこれらの商品券がたくさん置いてあるのは、社員が購入した分を売り払っているからだという噂もあります」(新田氏)  さらに、ある専門家からは、こんな意見も聞かれた。「ユニクロはグローバル企業をうたい、一般的な企業イメージは良いのですが、実際には過酷な長時間労働などで知られ、『ブラック企業』だとする声も多いです。しかし、こうした報道に対して、同社は出版差し止め要求や名誉毀損での数億円単位の民事訴訟を起こすといった前例があるため、マスコミもあまり実情を報じないのが現状なのです」。事実だとすれば、恐ろしい話である。  このように大企業といえども、ブラック企業といえるような企業も多数存在している。では、そもそもブラック企業とは、どのような企業なのだろうか? 今号特集内「経済小説家座談会」において、評論家の佐高信氏は「企業なんてそれそのもの、全部がブラック」だと掲げていたが、一般的なイメージとしては、「サービス残業などの労働基準法違反や、パワハラ、セクハラが横行している違法な会社」【「ブラック企業と法のキケンな関係」参照】といったものだろう。そのほか、ネットワークビジネス【「”原則違法”なマルチ商法の落とし穴」参照】やねずみ講、高額商品を無理やり契約させるキャッチ商法など、違法性の高い事業を行っている業者もブラック企業といわれている。そういった企業は、インターネット上で「ブラック企業ランキング」としてまとめられ、就職活動生の多くが目を通しているが、それでも入社してしまう学生が跡を絶たないのは、前記の通りである。  しかし、一口にブラックと言っても、人によって受け取り方はさまざま。とらえ方によっては些細な問題でも、「ブラック」と判断できてしまうことも確かだ。社会人経験のない新卒採用の社会人が安易にブラック企業のレッテルを貼ってしまうことへの批判も当然あり、いたずらに、「ブラック企業への不安」を煽るだけでは、現状を打開することはできない。そこで、ブラック企業の定義を改めて問い直し、なぜ現在の日本でにわかに問題となっているのかを、識者の話から検証していこう。 ■違法なだけではなく社員を捨て駒扱い  まずは、ブラック企業とはどのように定義されるのか? 前出の新田氏は「経営者に労働基準法を筆頭とした法律を守ろうとする意識がなく、自分たちの私利私欲のために、社員、取引先、顧客をないがしろにしている会社」をブラック企業とする。 「特に、社員に過剰な自己成長を煽る経営者には要注意です。社員の成長の基準は経営者自身が勝手に決めることができるため、ハードワークを行うことが『成長』の条件だと、都合のいいように定義されてしまうことにつながるからです。また、社員の自主性をうたう経営者にも気をつけたほうがいいでしょう。社員自身に高いノルマを設定するように誘導し、それを『自主的』だと胸を張っている勘違いな経営者もいます」(新田氏)  さらに、若者の労働問題などに取り組むNPO法人「POSSE」代表の今野晴貴氏は、ブラック企業をこう定義する。 「サービス残業や過労死といったものは、『ブラック企業』という言葉が出てくる以前から、日本社会で問題になっていました。しかし、その代わりに生涯を通じて生活の面倒を見るという企業が多かったことも事実です。一方、現在のブラック企業には、まったくそんな心づもりはなく、使えなくなったら容赦なく社員を切り捨てようとする。つまり、労働者が『働き続けられる環境があるかどうか』で判断したほうが、現在のブラック企業の定義を考える上で有効です」  すなわち、「労働基準法違反」や「違法な行為を行なっている」という観点だけでは、ブラック企業を見分けることができないという。今野氏はこう続ける。 「90年頃のバブル崩壊までは、過酷な労働をしなければいけないのは若い時期だけで、年齢を重ねるごとに過酷さはだんだんと緩和され、給料も上がっていくという認識が労使間で共有されていました。いわゆる日本型雇用といわれる終身雇用や年功序列といった制度がその典型です。その代わり、社員は企業の命令を絶対的に遵守するという、ある種の『契約』があったわけです。つまり、賃金が支払われないサービス残業など、違法なことを我慢する代わりに、得るものも大きかったといえます。しかし、そうした日本型雇用を維持できたのは、70年代以降も続いた日本の右肩上がりの経済成長があったからこそ。バブル崩壊以降は低成長時代に突入し、企業が社員の生活を守る力がなくなっているのにもかかわらず、企業の強い命令権だけが残ってしまっている状態です。そのため、ブラック企業が現在、社会的な問題になってきているのです」  社員を育て、生活を守っていくつもりのない企業にとって、社員はまさに捨て駒。人件費の安い若い時期に猛烈に働かせ、ある程度の年齢になったら切り捨てるという手法も横行しているという。それに加え、ブラック企業は社員のスキルを伸ばそうとせず、OJT(企業内教育)が皆無に等しいことも特徴として挙げられる。結果、「転職しても、ほかの会社でやっていけるのか」と社員が不安を募らせ、退職を妨げることになってしまう、と今野氏は語る。 ■ブラック企業を生み出す日本社会の構造的欠陥  このように労働者が圧倒的弱者となってしまう背景には、日本の社会制度の不備が指摘される。 「もともと日本では、手厚い企業福祉を前提として社会設計がなされていた側面があります。住宅手当や家族手当など、本来では国家が税金を通じた再配分で保障する部分を、企業福祉が代替していました。しかし、長引く不況で企業は手厚い福利厚生を維持できなくなってしまったことから、労働者には相当きつい社会になっていると言えます」(同)  今野氏いわく、現状を打開するためには「高福祉、低命令、低処遇」の社会を目指すしかないという。要点をまとめると、「国が社会福祉を充実させ、企業の命令権を法規制で弱める。その代わり、労働者は給料などの処遇を低い水準で我慢するという方策を取る」という主張だ。 「社会福祉をしっかりやれば、中小企業は関連の仕事が増え、国内産業を育てることができます。そして、子どもを育てられるような状態ができ、少子化にも歯止めがかかって内需の拡大が期待できます。つまり、高所得で海外旅行に行きまくるなどといった生活は我慢しましょうということです」(同)  経済成長に関する考えの是非はこの場では置いておくが、現在の社会構造がブラック企業を生んでいる以上、日本社会を法制度などから改革していく必要があるということは間違いないだろう。もちろん、個々の企業が法律を遵守し、社員のワークライフバランスを考えることを前提としての話ではある。その上で、これまで見てきたように、ブラック企業が生まれる背景として、個々の企業の問題だけにとどまらず、日本社会全体の問題が存在することを忘れてはならない。  また、こうした社会構造に欠陥がある中で成長している企業は、売り上げを伸ばすために「無理」をしている可能性があると、前出の新田氏は指摘する。その「無理」が、社員にとっては「ブラック」になっているとも考えられる。 「オフィスから椅子を全廃したキヤノン電子など、現在、『革新的経営』ともてはやされている企業などは、裏で従業員にしわ寄せがいっていることも多い。カリスマ的経営者がメディアで発言し、称賛を得ているケースをよく見かけますが、とどのつまりそういった企業は、経営者にとっての『優良企業』であることが大半です」(新田氏)  すべての企業とまでは言わないが、このご時世で企業を成長させていくためには、低賃金で長時間働く従業員がいるにこしたことはない、というのが経営者としての本音ではないだろうか。もしそのような考えを経営者が持っているのなら、世間や従業員に対し、さまざまな詭弁を弄して、自身や企業に都合がいい「革新的経営」の正当性を保ち続ける必要がある。そこで、次ページからは、企業経営者たちの著書やインタビューを参考に、彼らが発した名言に潜む、企業の「ブラックさ」を検証していきたい。 (文/宮崎智之) 「サイゾーpremium」では他にもブラック企業をぶった斬る記事が満載です!】企業乗っ取りも当たり前!? ブラック企業アナリスト・新田龍氏が選ぶ“社会的”ブラックな有名企業「死ぬまで働け!」「勝てば官軍」「弱い兵士は守らない」 経営者の名言で見るブラック企業キャリアコンサルタントが匿名で語る 転職のプロが選ぶ「”働きたくない”会社はココだ!」
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは?
雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む)

朝青龍問題から高橋大輔のアノ噂まで スポーツ記者が語る熱戦の裏

――月刊サイゾーがウェブで読める「サイゾーpremium」から、今ホットな話題に関する記事をご紹介!  1日放送の『報道ステーション』(テレビ朝日系)で引退表明と共に第1子を出産していたことを告白したフィギアスケーターの安藤美姫。一夜明け、各メディアでは果たして父親は誰なのか?という話題で持ちきりです。サイゾーでは過去に「織田信成とラブラブだった」なんて記事もありましたが、その後、織田信成は別の女性と結婚。モロゾフコーチは父親は自分ではないと否定したし、イケメンフィギアスケーター南里康晴との熱愛も報じられたけど結婚はまだで…?一体誰の子!? 未婚のシングルマザーアスリートとなった恋多きミキティーの今後の動向に注目が集まります。 ■今回のピックアップ記事 『朝青龍問題から高橋大輔のアノ噂まで スポーツ記者が語る熱戦の裏』(2010年4月号掲載ニュースより) ──現役横綱の電撃引退で幕を下ろした朝青龍の暴行事件。そして、日本中を感動の渦に巻きこんだ冬季五輪や、ふがいない戦歴のサッカー日本代表ら、ニッポンスポーツ界の ニュースの"裏"を、運動部記者(ABCD)が匿名で暴露! A まずは現役横綱の引退という結末になった朝青龍問題からいこうか。海外への無届け渡航や素行不良など、これまでの"前科"もあったし、泥酔したうえでの暴行では引退も仕方ないけど、結末に至るまではかなり紆余曲折があったね。 B 暴行事件は「フライデー」(講談社)のスクープで表面化したんだけど、当初、朝青龍側は「被害者はマネージャー」と嘘をつく一方で、水面下で示談交渉を進めていた。ところが事件の被害者K氏は裏社会にも人脈を持つ人物で、交渉が長引くうちに「週刊新潮」(新潮社)がK氏の存在をスッパ抜いてしまったという流れだった。 C 高砂親方の不手際を追及する声も聞こえていたよ。何でも事件のもみ消しを焦った高砂親方が知り合いの暴力団関係者に泣きついてK氏との交渉を任せたんだけど、これでK氏側もメンツにかけて引けなくなり、最終的には双方とも裏社会の人脈が入り乱れるケツ持ち合戦になってしまった。角界ならではの伝統的な暴力団との関係の是非はともかく(笑)、「最初から朝青龍のバックで片付けていればここまで大事にはならなかった」なんて言う関係者もいるくらいだ。 D しかもこの間、日本相撲協会は理事選を控えていたこともあってバタバタしていたから、ほとんど何も対策を打てなかった。ようやく新理事会が調査委員会を設置したけど、ロクな調査はできなかったし、引退勧告だって外部理事がいなければ「出場停止」でお茶を濁す可能性もあったわけで、協会の事なかれ体質は末期的だ。 B 一方、引退後の朝青龍はハワイでバカンス(笑)。話題性は抜群なだけに早くも争奪戦が始まっている。今後は芸能プロYの元オーナーであるパチンコ業者がバックに付いた個人事務所を設立するようだけど、ハワイではマネージャーに食い込んでいるTBSが石井慧との会食をセッティングするなど、格闘界、それもK‐1参戦が現実味を帯びてきている。石井以外にも吉田秀彦の引退試合や亀田兄弟との異種格闘技なんてプランも出ているね。 C とにかく、ごっつあん体質にドップリ漬かってきた相撲界の問題は山積みだ。新理事になった貴乃花に期待が集まってるけど、一人横綱になった白鵬が「結局、あの人も自分が可愛いだけでしょ」と不信感を露にしているようだし、改革も簡単ではなさそう。一連の騒動で喜んでるのは、グラドルの売名に利用された一件が隠れた高見盛くらいか(笑)。 B その貴乃花が理事選で反旗を翻して離脱した一門の二所ノ関部屋では、2月にマネージャーが自殺している。ギャンブルなどで金銭的な問題を抱えていたと言われてるけど、時期が時期だけに気になるところだ。 A 自殺といえば、野球界でもオリックス・小瀬浩之選手の「転落死」というニュースがあった。一部では高校や大学の恩師に、球団からもらった裏金の一部を"お礼"として渡したことで悩んでいたなんて報道もあったけど、野球界のダークサイドも根強く残っているのかな? D 一応、改革は進んでいて、どの球団も以前のように露骨なやり方はしていないと思う。国内12球団への入団がOKだった埼玉西武の菊池雄星も、身辺はキレイなものだったし。 B 菊池も入団当初はあれだけ騒がれまくったのに、結局は二軍落ちしてしまったね。もともと一軍に置いて話題作りに利用したいフロントと、じっくり育てたいという現場の軋轢があったんだけど、確かにマスコミの取材攻勢は凄かった。中田翔と違ってマイペースで真面目な性格だけに潰れることはないだろうけど、フジテレビ『すぽると!』の平井理央が超ミニスカでのセクシーインタビューを敢行するなど、野球に集中できない環境ではあったからなあ(笑)。 C 同じ『すぽると!』がセッティングした清原との対談でも鼻血を出すほど神経を使っていた(笑)。その清原もどうにか持ち直しているようだ。昨年、腎臓疾患の疑いで入院した際は現役時代のいろんな"無理"がたたったともっぱらだったけど、今は退院してバリバリ稼いでる。バラエティなら1時間で200万~300万円のギャラになるそうだからね。 A さて、バンクーバー五輪も無事終わったね。競技で注目を集めたのはやっぱりフィギュア。それぞれキャラが立っているから大会後も身辺は騒がしそうだ。中でもオヤジ系週刊誌が注目したのは安藤美姫とモロゾフ・コーチの関係で、モロゾフは離婚三回というツワモノだけに、安藤がメダルを逃したことで破局も噂されている。そういえば昨年末に安藤美姫と織田信成が原宿のお店に来店して買い物をしていたんだけど、かなりラブラブな雰囲気だったらしい。織田も以前から彼女がいることを公言しているけど、その前の彼女ともアッサリ別れるなど意外に移り気だからね。浅田真央だってお年頃だし恋人ができても不思議じゃない。 C ただ、高橋大輔だけはなさそうだ。実は高橋は取材でもウッカリおネエ言葉が出ることもあって、安藤も「高橋君はあっちだからね〜、恋愛対象にはならないよ」と冗談まじりに言っているとか(笑)。 D そんなフィギュアだけど、キム・ヨナの強さは圧倒的だった。ネットを中心に判定にまつわる疑惑が噴出したけど、現地メディアセンターの真央担当記者は誰もが採点に納得していたからね。ただ、メディアセンターは食事がホットドッグとチリビーンズみたいなのしかなくて、こちらのほうで不平不満が噴出していたよ(苦笑)。 A さて、次はいよいよW杯モードだけど、よほどのことがない限り岡田監督の続投は決定的。観客動員もジリ貧だし、専門家の間では諦めムードすら漂ってるのに、これから大会まで盛り上げなくちゃならないのは正直キツいかな(苦笑)。 C 協会内部では早くも大会後を睨んで岡田の後任探しが始まってる。サッカー協会・犬飼基昭会長の意中の人は元浦和のブッフバルト。途中交代の目にもあったけど、いまだに協会内で影響力を持つ川淵三郎前会長が選んだ岡田監督は切れなかったようだ。 B まあ結局、キリンやアディダス、広告代理店らスポンサーの意向をくんで言うこと聞いてくれる岡田は、協会にとっては使い勝手がいいんだろう。FIFAランキングでは40位あたりの日本が、協会の予算規模では170億円と世界屈指だからね。 A 日本スポーツ界は、広告主の意向が一番大切なんだよね。しょせん、岡田がブチ上げた「W杯ベスト4進出」は、企業に見せた絵に描いたモチってことだよ(苦笑)。 (構成/常田 裕) 「サイゾーpremium」では他にもスポーツ業界の裏側に迫る記事が満載です!】バンクーバー五輪まで1カ月! あの有名選手をめぐる金と男五輪の申し子・橋本聖子が壮絶な五輪愛を激白!「生理も止まった執念の十二年史」北島、内藤、真央、ハンカチ王子......さわやかアスリートたちの裏の顔
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは?
雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む)

関東連合OBも!? ネオヒルズ族の黒い交友関係…六本木ヒルズは半グレの棲み家?

――月刊サイゾーがウェブで読める「サイゾーpremium」から、今ホットな話題に関する記事をご紹介!  現在発売中の「週刊文春」(文藝春秋)にて「関東連合」元最高幹部の独占インタビューが掲載され、そのセンセーショナルな内容から今再び「半グレ」なる存在が注目を浴びています。記事では「長澤まさみを『借金返済』で追い込んだ」なんて物騒な話も飛び出しましたが、果たしてその実態とはいかに。月刊サイゾーでも度々とりあげる「半グレ」関連の記事から今回はコチラをピックアップ!六本木ヒルズが棲家になっているとかで、やはり金回りはよさそうです……。 ■今回のピックアップ記事 『関東連合OBも!? ネオヒルズ族の黒い交友関係…六本木ヒルズは半グレの棲み家?』(2013年4月号掲載「ネオヒルズ族の真の顔」特集内) ──ここまで、ネオヒルズ族たちの”オモテの顔”から、その実態を探ってきたが、やはり彼らの周辺には、”ウラの顔”を持つ人物たちもウロウロしているよう。ヒルズ住民たちの黒い関係を探った。
1304_az01.jpg
『六本木ヒルズの若手社長たち』(ブック
マン社)
 最近、ネオヒルズ族たちの周辺にすり寄るある会社に、刑事事件化の噂が飛び交っている。渦中にあるのは、太陽光発電設備の訪問販売を手がけるE社だ。  激安販売を売りに、ここ数年で売り上げが急拡大している同社だが、どうやら詐欺の疑いがあるのだ。取引先の関係者が言う。 「大勢の営業マンを抱え、実際に設備の販売は行っているようなのですが、そこから得た利益で回っている会社ではないんですよ。実態よりも業績を良く見せかけながら、金融機関から融資を引っ張り、A社長はじめ幹部連中がそのカネをことごとく流用しているのです。返済する気など端からなく、計画倒産で逃げ切りを狙っているんでしょう」  A社長が私的に流用するカネは、年間5000~6000万円ともいわれる。使途はご多分にもれず、女・酒・クルマのぜいたく三昧だ。そして、その蕩尽の「前線基地」になっているのが六本木ヒルズなのだ。 「E社の本社は関西なのに、A社長は会社のカネでヒルズに部屋を借りている。それだけで、相当な無駄遣いですよ」(前出・関係者)  A社長がわざわざヒルズに拠点を構えるのは、この街ならではの人脈に理由がありそうだ。金融業界の事情通によれば昨年、ある証券会社を、見るからにイカツイ男たちが訪れたという。 「関東連合の有力OBです。E社への投資をネタにカネ集めをする相談を持ちかけてきたらしい」  六本木ヒルズには、複数の関東連合OBが居を構えているといわれる。オモテとウラの商売で潤っている彼らなら、別にヒルズでなくとも高級マンションを選びたい放題にも思えるが、何ゆえ同じ物件に集まってくるのか。 「彼らは、飲みに行く店も大体一緒なんですよね。ずばり言うと、六本木の高級クラブ『M』です。係りのママまで同じだから、飲んでいるだけで仲間の動向がなんとなく耳に入ってくる。ヒルズに住んでいれば、いつでも合流できるじゃないですか」(前出・金融事情通)  昨年9月、六本木のクラブ「フラワー」で飲食店経営者の男性が関東連合OBらに襲われる「人違い殺人事件」が起きたあと、このママはこんなことを吹聴していたという噂がある。 「関東連合に(被害に遭った男性が店にいると)連絡したのは、フラワーの責任者らしいわよ」  フラワーは名義上の経営者や店長の背後に、実質的なオーナーグループが控えているといわれ、彼女の言う「責任者」が誰を指すのかは判然としない。ただ、このクラブもフラワーも広い意味での関東連合ネットワークの中に含まれており、彼女の耳に事件の関連情報が入る蓋然性は高い。  クラブの常連客が話す。 「この店には芸能界関係者なども来るが、最近の上客は関東連合OBと、その周辺にいる企業経営者たち。また、かつては山口組五菱会(現6代目清水一家)系のヤミ金の連中が豪遊していた時期もあり、フラワーのオーナーグループのI氏もそのひとりだ。ヤミ金には暴走族上がりや元チーマーが多く、今羽振りのいい関東連合OBらの先輩の世代にあたる。元ヤミ金と関東連合OBは関係が近く、人脈もかぶっている」  ここに登場する面々の中にもヒルズの住人や元住人が含まれているが、ヒルズが開業したのは奇しくも、五菱会が摘発されたのと同じ03年のことだ。ヒルズは生まれながらにして、半グレの”棲み家”となっていたのだろうか。 (文/李策) 「サイゾーpremium」では他にも半グレの実態に迫る記事が満載です!】逮捕前夜の関東連合・元リーダー石元太一が語る”メディアと芸能界と俺たち”暴力団にとっては“バラマキ政策”が最後の春? 暴力団の抗争激化の懸念 危険度が増す裏社会の未来関東連合壊滅に着手した警察 あの有名人の"闇"も炙り出す!?
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは?
雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む)

新勢力の台頭から二極化まで――ファッション業界最新事情

【サイゾーpremium】より ──流行の速度が加速し、スクラップアンドビルドが繰り返されるファッション業界。ここ最近ではユニクロの就労問題や女性ファッション誌の新創刊が話題になっているが、そんな業界の最新トピックスを専門紙編集長、現役アパレル社員らの弁から見ていこう。
1307_tobira_01.jpg
(写真/石黒淳二 go relax E more)
1307_donyu_01.jpg
【TOPICS 01】相次ぐ女性ファッション誌創刊 『DRESS』の創刊号広告収入 2億5000万円 ■新陳代謝が激しい女性誌の活路 「講談社の女性誌『Grazia』『GLAMOROUS』が8月号で休刊予定の一方で、4月には『DRESS』(gift社)が創刊。今後も『MAMA MARIA』(光文社)、『GOLD』(世界文化社)と、アラフォー以上の女性を対象としたファッション誌の創刊が続く。また、『LEON』『OCEANS』の創刊に参画した干場義雅氏の監修で『Sette mari』という新雑誌も9月上旬に晋遊舎から発行予定」(都築氏)。こちらは船旅をテーマに、成熟したカップルを対象としたライフスタイル誌となる。
1307_donyu_02.jpg
【TOPICS 02】都市型ショッピングセンターの好調 ららぽーとTOKYO-BAYの年間来客数 2500万人 ■勝敗が明確になったショッピングモール 苦戦が続く百貨店、一部で人気に陰りも見え始めたアウトレットに対し、2006年9月の開業後リニューアルなども経て集客を伸ばし続ける『ラゾーナ川崎プラザ』や、年間来客数約2500万人を誇る『ららぽーとTOKYO-BAY』など、三井不動産の都市型ショッピングセンターが好調。「丸の内南口前に3月21日に開業した『KITTE』、6月21日にグランドオープンが迫る『MARK IS みなとみらい』などの施設を手がける三菱地所にも注目」(都築氏)だという。
1307_donyu_03.jpg
【TOPICS 03】環境保全社会貢献の動きが加速 ケリングが発表した12年度の日本の売上高 1506億円 ■PPRの社名変更に見る経営戦略 グッチ、サンローランなどを傘下に持つフランスの巨大ファッション企業組織・PPRグループが、社名をケリングに変更。「(健康を意味する仏語の)社名通り、環境などを大切に“ケア"する企業文化を打ち出し、女性支援なども含め社会貢献の姿勢を強めています。ロックバンド、U2のボノ夫妻が手掛ける『EDUN』はケニアやンド生産のオーガニックコットンのウエアで有名だが、『寄付ではなく産業を』という新たな考えのもと、アフリカやインドでの持続可能なビジネスモデルの創出を目指しています」(都築氏)
1307_donyu_04.jpg
【TOPICS 04】止まらない二極化とコンテンポラリーブランド 12年の全国百貨店売上高 約6兆円 ■経済状況を反映する各ブランドの“次の一手” 「百貨店の利用者の高齢化、若者はファストファッションへ……という流れに対抗し、20~30代を百貨店に呼び戻す起爆剤となっているのが“コンテンポラリーブランド"」(都築氏)。コンテンポラリーブランドとは、個性が明確なデザイナーブランドでありながら、手の届く価格設定のブランドのことで、「シーバイクロエ」「マーク BY マークジェイコブス」など、ラグジュアリーブランドのセカンドラインもこれに該当する。
1307_donyu_05.jpg
【TOPICS 05】「中国離れ」と途上国のトラブル バングラディッシュ縫製工場倒壊の死者数 1000人以上 ■ファストファッション隆盛の光と影 中国以外に製造拠点を分散してリスク回避を図る“チャイナ・プラス・ワン"の戦略は以前から業界のトレンドで、「中国国内の人件費の高騰などにより、その動きが加速。ベトナム、ミャンマー、バングラデシュなどに製造拠点を移すメーカーが増えた」(ラグジュアリーブランド社員)が、今年4月にはバングラデシュでアパレル工場などが入ったビルが崩落し、1000人以上が死亡する事故も発生。生産体制、安全面の整備や児童労働の問題の解決なども求められている。

 ファッション業界では、世相に反して明るい話題が多いようだ。WWDジャパン・WWDビューティ編集長 都築千佳氏は「写真家・蜷川実花氏が責任監修を務めるムック本『MAMA MARIA』(光文社)、45~52歳の女性をコアターゲットにした新雑誌『GOLD』(世界文化社)などが今秋に創刊予定。また、『SPUR』(集英社)を含む集英社女性9誌が青山学院大学構内でイベントを開催したり、『STORY』(光文社)が独自ブランドを展開し、ウェブ連動の通販マガジンの単月売上が1億円を超えるなど、広告や実売以外で収益モデルを構築する雑誌も出てきています」と語る。  また都市型ショッピングセンターも「ラゾーナ川崎プラザ、ららぽーとなどは集客も好調のようですし、この6月に開業のMARK IS みなとみらいも注目を集めるはず。家族でゆったり時間を過ごせる都市型ショッピングセンターは、ファミリー層から支持を集めている印象」(都築氏)と、堅調だという。一方で、”安定物件”と見られていたアウトレットには陰りが見えているようだ。 「安定した数字を持っているアウトレットは、御殿場と神戸三田くらい。オープンしたばかりの酒々井は、早くも集客が伸び悩んでいるようです」(ハイブランド社員)  百貨店も年配の富裕層以外の客離れが加速する中で、コンテンポラリーブランドの強化などを行っているが、売り上げを支えているのは一部のハイブランドだという。 「男性のスーツを例にとっても、売れているのはトムフォードやブリオーニなど、一着が50万円もするような本当に高いブランド。宝飾品を中心にハイエンドのブランドは好調のようですが、フェラガモなどのミドルレンジのハイブランドは苦戦しています」(同)  やはり”消費の二極化”の傾向は根強く、ファストファッションに注目が集まるが、ハイブランド側は「芸術・文化支援や環境保全などに力を入れることで、新たな価値観を創造するブランドが増えています。グッチなどを擁するPPRが社名をケリングに変更し、グループ全体で社会貢献活動に力を入れているのは、その代表例。ヨーロッパには”ノブレス・オブリージュ”という、『富める者は貧しい者、弱い者を助ける』という文化がありますから」(都築氏)と、価格競争とは別の活路を見いだしている。  市場競争に勝ち残るだけでなく、文化を成熟させることも、ファッション業界の役目だろう。本特集では、ビジネス的視点のみならず、文化や歴史など多角的に現代のファッション業界を見ていこう。 (取材・文/古澤誠一郎) 「サイゾーpremium」では他にもファッション業界のタブーに迫る記事が満載です!】「POPEYE」は○? 辛口"ファッション誌"批評 有名アパレルメーカー社員座談会ファッション誌編集者が語る「ブランド広告とカネ」 その"キケンな関係"40億円超の負債を抱えたNIGO…裏原宿カリスマブランド“終焉物語”
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは?
雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む)

フジテレビのサプライズ社長人事のウラにお台場特区利権が!?

【サイゾーpremium】より 『社長人事』……『ロングバケーション』『踊る大捜査線』などをヒットに導いたことで知られる亀山千広氏(56)がフジテレビの社長に就任、豊田皓・現社長(67)は副会長に退くこととなった。
1307_az_odoru.jpg
『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 シナリオ・ガイドブック』(キネマ旬報社)
 去る5月13日に明らかになった、フジテレビジョン(以下、フジテレビ)と、その親会社となる持ち株会社、フジ・メディア・ホールディングス(以下、FMH)の新しい社長人事が、各メディアで話題となっている。その理由は、ドラマと映画共に大ヒットした『踊る大捜査線』のプロデューサーとして知られる亀山千広常務が、副社長などを5人抜きしてフジテレビ社長に就任するという サプライズ人事だったためだ。正式には、6月下旬のFMH株主総会の決議待ちだが、問題なく承認されることは間違いないという。 「亀山さんはドラマ製作の実績がある上に、映画をヒットさせるビジネス手腕も期待できるので、基本的に社員も歓迎していますね」(フジテレビ社員)  しかし、フジテレビ事情をよく知る者は、むしろ太田英昭氏のFMH社長就任こそがサプライズだと語る。太田氏は12年6月にフジテレビおよびFMHの副社長に就任したばかり。現任の豊田皓社長が07年の就任から6年を経ており、大手企業としては平均的な任期とはいえ、太田氏のこのスピード社長昇格も異例であることに変わりはないのだ。  だが、実はこの人事が驚きをもって迎えられたのはそれだけが理由ではない。FMHは傘下に、フジテレビのほかニッポン放送や産経新聞、扶桑社など多くのメディア企業を抱える巨大メディアグループを束ねる持ち株会社であり、08年のFMHの発足以来、このグループ内で最大の売り上げとパワーを持つフジテレビの社長がFMHの社長も兼ねるのが通例だった。しかし今回の人事ではあえてその通例を崩し、この2職を別々の人物が務めることになったのである。 「フジテレビにとって、凋落傾向にある視聴率【1】の首位奪還は最大の目標ですが、それ以外にも2つの大きな経営課題を抱えています。そこで役割分担を明確にし、亀山さんには視聴率首位奪還に専念してもらうためのツートップ体制なのでしょう」(フジテレビ関係者)  つまり、現場は亀山氏、それ以外を太田氏が分担するというわけだ。では、太田氏が担う役割とは何か? 「それは地方局の子会社化と、お台場地域の特区構想ですよ」(同)  アベノミクスに沸く日本だが、地方経済の地盤沈下は、構造的要因や東日本大震災の影響などにより深刻化する一方で、各地域のテレビ局も青息吐息だ。なにより、地方局よりも先に、その大株主である地方新聞社や地元有力企業が経営危機に陥り、彼らが所有していた地方局の株式が宙に浮きかねないのだ。 「テレビ局は社会の公器。そのため従来は、特定の企業によるテレビ局占有は制限されていました。しかし、疲弊する地方経済を鑑み、全国のテレビ放送網維持のためにはやむなし、と総務省が判断、キー局による地方局の子会社化を認める方針を明らかにしたのです」(ジャーナリスト)  つまり近い将来、地方テレビ局がキー局の子会社となり、現在のような提携局による全国ネット放送ではなく、単独で全国放送ができる巨大テレビ局が登場する可能性があるのだ。これは、現在のテレビ放送が寄って立つビジネススキームの激変を意味する。 「この変化を利用すれば、テレビというビジネスをもっと大きくすることも可能。まず短期的には、CM料金の値上げが考えられますね」(同)

日枝久会長がいる限りフジは何も変わらない

 そして2つ目の「お台場地域の特区構想」。そもそも「お台場特区」とは、正式には「東京DAIBA・MICE/IR国際観光戦略総合特別区域」といい、10年に当時の民主党・菅内閣が打ち出した新成長戦略を元に実施された「総合特区制度」にのっとり東京都が申請した「アジアヘッドクォーター特区」の一部であり、お台場周辺地域においてカジノを解禁、海外の観光客を目的とした巨大リゾートとして再開発しようというもの。そして、その旗振り役を務めているのがフジテレビなのだ。 「観光だけでなくオフィスビル建設なども予定し、いわばお台場の副都心化計画です。そして、フジテレビ内の特区事業準備室の担当役員が、実は太田さん。つまり太田さんがFMHの社長になるということは、『お台場副都心化』にフジテレビ/FMHが本腰を入れるという意味も持つわけです」(フジテレビ関係者)  現在のフジテレビ社屋があるお台場地域は、もともと東京都主催による「世界都市博」の開催予定地だった。84年に当時のフジサンケイグループ議長・鹿内春雄氏が新宿区内からお台場への社屋の移転を決めたのも、都市博開催とその後の再開発による臨海副都心化の実現を見越してのものだった。しかし95年に「都市博中止」を掲げた青島幸男氏が都知事に当選、お台場は長らく「僻地」に貶められてしまっていた。ならばこそこの特区構想は、今度こそお台場を東京の中心にするという、フジテレビの悲願なのである。  しかし、一方でこの人事は結局失敗するだろうと語る人も。元産経新聞論説委員の松沢弘氏は「フジテレビもFMHも、会長は日枝久氏のままです。これでは、フジは何も変わりません」と断言する。  日枝氏は88年に社長に就任して以来、25年にわたりフジテレビに君臨してきた。会長となった今も代表権を持ち、フジテレビの人事をすべて掌握しているという。 「創業者でもない人間が25年も上場企業のトップに居座り続けているのは極めて異例。というのも日枝氏は、自分が引き立てた部下が力を持ち始めると、今度は追い落とす。25年間それを繰り返してきたため、社内では誰も逆らえません。亀山さんと太田さんの昇進も日枝さんが決めたこと。彼らが日枝さんの地位を脅かせば、すぐに追い出されるでしょう」(松沢氏)  日枝氏といえば、かつてフジサンケイグループを支配していた鹿内一族を92年に企業内クーデター【2】で追放したという血なまぐさいエピソードの持ち主。その日枝氏が会長にいる限り、フジテレビに変化は期待できないというのが松沢氏の見立てだ。  これから激動期を迎えるメディア業界では、抜きんでた経営手腕が求められている。そんな時代にフジテレビの真のトップを務める日枝氏が時代遅れの経営者なのだとしたら、フジテレビ復活の足音は遠ざかる一方かもしれない。 (三森黒介) 【1】視聴率 80年代以降、バラエティ番組やトレンディドラマなど次々とヒットを飛ばし、自他共に認める 民放ナンバーワン だったフジテレビだが、近年その求心力は急速に低下。12年の年間視聴率も、日本テレビはおろかテレビ朝日にまで抜かれ3位に転落してしまった。 【2】企業内クーデター フジテレビを含むフジサンケイグループは、フジテレビの創業にも関与した鹿内信隆氏が実質的なオーナーで、日枝氏はこの信隆氏の息子である鹿内春雄氏に認められ出世、88年の同氏の死後、社長に就任する。その後、信隆氏が一時的にフジサンケイグループ議長に復帰するも90年に死去、その娘婿であった鹿内宏明氏があとを継いだ。しかし92年7月、日枝氏の画策のもと宏明氏は、産経新聞社取締役会にて突如同社会長職を解任される。その後、宏明氏はグループ内の要職も相次いで辞し、鹿内家によるフジサンケイグループの支配は終焉を迎える。その後20年超の長きにわたり、日枝氏はフジサンケイグループを支配し続けているのである。 「サイゾーpremium」では他にもフジテレビの功罪に迫る記事が満載です!】大晦日は村田&井上!? 大人&先物買いしたフジテレビの胸算用高須光聖×大根仁 テレビタブーの拡大は自主規制とフジテレビが元凶だ!?【前編】「退社は時間の問題だった」フジ退社を発表した高橋真麻アナのバラ色の未来
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは?
雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む)

日本人が抱く、裸体への悲しき郷愁「女体盛り」の深すぎる歴史を探る!

【サイゾーpremium】より ――エロと日本の伝統が結びついた最高傑作「女体盛り」、そのルーツはどこにあるのか? 江戸期の艶本に描かれた吉原の遊び? それとも、戦後、マンガや映画の中で作られただけのもの? 近世以降の風俗史と食文化史とを横断し、女体盛りの深すぎる歴史に迫る!
1306_nyotai_01.jpg
江戸末期~明治の浮世絵師・月岡芳年が描いた風俗画『風俗三十二相』より。女性が持つ皿の上には刺身や煮物などが見える。(「国立国会図書館」ホームページより)
 2012年7月、食に関するイタリア・ローマ発のニュースが日本で話題となった。有名日本料理店「RISTORANTE YOSHI」において「BODY SUSHI」なる料理が供せられており、「日本のNYOTAIMORI」という説明が付されているという。NYOTAIMORIとは女性の裸体に刺身を盛り付けるあの「女体盛り」で、モデル代199ユーロのほか、ひとりの客につき別途59ユーロでオーダー可能(ちなみに男性モデルでも可)だという。これをイタリアの全国紙「コリエレ・デラ・セラ」が「日本の流行」として報じたからさあ大変。在イタリア日本大使館が「日本の伝統というのは商売目的ででっちあげられた迷信」として同店に抗議、さらにこれを受け、朝日新聞が日本国内でも報じたのである。  実は近年、女体盛りに関するこの手のニュースが増えている。アメリカ国内にも同種のレストランは存在するし、英国ロンドンでは女体盛りのケータリングも存在。04年には中国・昆明の日本料理店で女体盛りが提供され非難の的となり、11年には南アフリカで与党議員が女体盛りパーティーに出席、政界スキャンダルにまで発展した。  かの地の人々がどこまで信じているのかは定かでないが、いずれのケースにおいても説明書きとして付されているのは「日本の伝統」「日本の富裕層にのみ許されたエキゾチックな習慣」などの言葉の数々。しかし、一般の日本人からしてみれば、女体盛りなどマンガや映画の中でしか見たことがなく、ましてや日本料理店で提供されているなどにわかには信じられないことであろう。  では、女体盛りはどこにあるのか? というか、本当にあるのか? 富裕層のあやしいパーティーに行けば見られるのか? 本当に日本の伝統なのか? 本稿では、女体盛りなる存在の歴史について迫ってみたい。  まずは江戸期。戦乱のない安定した時代が長く続いたこともあり、江戸、そして大坂を中心に豊かな文化が開花、吉原などの遊里を中心に売買春のシステムも高度に発達したことは知られた事実だ。艶本(春本)、枕絵(春画)などの当時のエロ本から大名の娘の嫁入り用セックスガイドまで数多くの文献が残る中、遊女向け性技指南書『おさめかまいじょう』に、こんな一文がある。 「くせもんあり。はんばより、酒、さしみを取り食らうに、ぼぼあけさせ、ぼぼ水にワサビ付け、さしみを食らう(好色心の強い男に、女性器を開けさせ、その液につけて刺身を食べるヤツがいる)」  おお、これぞ女体盛りの起源? 「いやいや、江戸時代の衛生環境を考えると、生魚を体の上に載せて食べるなんて行為は考えにくいですね。海に近い江戸・深川の遊里では刺身のメニューもあったようですが、冷蔵・冷凍技術もない時代には、遊里に着いた時点ですでに多少は傷んでいたはず。体温で温められた刺身なんて、危なくて食べられたものではありませんよ」(時代小説家・評論家の永井義男氏)  つまり、そもそも女体盛りに載せる刺身や寿司からして、今ほど一般的な食べ物ではなかったと。 「そう。刺身は海沿いの地域に限られた食べ物でしたし、寿司も初めはなれ寿司のように発酵させた保存食。江戸後期には生魚を酢飯に載せた握り寿司も食べられてはいましたが、最初は屋台で売られる庶民のファーストフード程度のものですからね」(同)  とはいえ永井氏によれば、現代に比べればはるかに娯楽の少ない江戸期のこと、食と性という二大娯楽は分かちがたく結びついていたという。 「深川が典型的ですが、遊里では料理屋に上がって遊女を呼び、豪華な食事や酒に舌鼓を打ちつつ、奥の座敷でセックスをするまでが1セットとなっていました。いうなれば遊里は、質素で単調なケ(日常)に対するハレ(非日常)の場。食と性を同時に豪勢に楽しむという点では、女体盛りに通じる日本人の精神性はこの頃からあったのかもしれません」(同)  さらに、女体盛りはなくともそれに類する行為はあったと話すのが、性風俗研究家の下川耿史氏だ。 「女体盛りと同じく女性の裸体を器に見立てるという意味では、足を閉じた女性の股間に酒を注いで飲む『ワカメ酒』があり、花街の遊びとして江戸時代の文献にもよく出てきます。ただ、ワカメ酒にしても、『おさめかまいじょう』に書かれた刺身の食べ方にしても、あくまでなじみ客と遊女との秘められた一対一の遊び。何度も遊女と逢瀬を繰り返して特別な関係を結んだからこそ可能だったことで、カネさえ払えば誰でも楽しめたということではないでしょう」  こうした事実は、明治期になっても基本的には変わらなかったようだ。性風俗研究者としても知られる国際日本文化研究センター副所長・井上章一が執筆・編集に携わった『性的なことば』(講談社現代新書)によれば、かの伊藤博文もワカメ酒の愛好家だったという説もあるそうで、やはりこの種の行為は、色街における秘め事としてのみ伝わっていたのだろう。  さらに時代が下ると、「花電車なるお座敷芸の存在が文献に現れる」(前出・下川氏)という。花電車とは、女性器に差し込んだ筆で文字を書いたり性器で碁石やコインを吸い上げたりするお座敷芸で、1920年頃から遊郭などで広がりだしていたとの話も。現在の東京・向島にあった色街・玉の井の森八重子という芸者の得意芸だったとの説が有力で、32年に記された『昭和奇観苦心探検 女魔の怪窟』では、その森八重子の芸のひとつとして、「皮をむいたバナナを女性器に挟み、力んで2つに折る」というものを紹介している。昭和期に入るとゆで卵を女性器で割ったりする芸者の記述もあったりするとかで、男の欲望の前で女性と食を同時に楽しむ、あるいは女性を食の器に見立てて楽しむといった文化は、連綿と続いていたようだ。 ■高度経済成長期の食と性の運命的な邂逅  一方食べ物としての刺身は、江戸末期以降、醤油の一般化などと共に徐々に広がりを見せていく。しかし、やはり遠方へ運ぶ場合には発酵させたりヅケにしたりが主流で、現在知られていているような刺身を楽しめたのは、比較的海沿いの地域に限られていた。水揚げ後、日がたった魚の肉を火を通さずに食すことが内陸部においても一般化してくるのは、技術の進歩によって漁獲高が飛躍的に増加し、さらに50年代後半に冷蔵庫が普及し始めてからである。  そして60年代、女体と刺身は、ある時代背景のもと運命的な邂逅を果たす。その時代背景とは、日本をイケイケへと駆り立てた高度経済成長、そして邂逅の場は、その時代を支えたサラリーマンたちが大挙して押し寄せた、地方の温泉街だ。『ヴァギナの文化史』『ペニスの文化史』(共に作品社)など性の文化史シリーズを手がけた同社編集者の内田眞人氏は語る。 「今知られているような女体盛りが発明され、普及したのは、間違いなく高度経済成長期でしょう。あの時代、モーレツ社員を企業がねぎらうため、地方の温泉地に社員をまとめて連れていく社員旅行の文化が生まれます。時代は右肩上がりの好景気ですから、迎える側の温泉地は客の取り合いで競争を迫られる。その頃の客は基本的に正社員の男性ばかりですから、競争道具としては性的サービスが手っ取り早い」  前出の下川氏も続ける。 「日本で初めて女体盛りを提供したのは、石川県の加賀温泉郷にある山中温泉だといわれています。近くの山代温泉も有名でした。といっても 皿 になったのは色街の芸者などではなく、多くはコンパニオンだったようですが。団体旅行が盛んだった頃の温泉街は歓楽街でもありましたから、箱根や熱海など、全国各地で似たサービスはあったのでは」  こうして女体盛りは、徐々に世間に知られていく。しかし、そこはやはり性なる秘め事。かかわる者たちがそのことを堂々とカミングアウトするようなものにはなり得なかったため、なかなか記録に残ることはなく、結果、門外漢にとっては「存在は知っているが、実際にどこでやっているかはよくわからない」といった、茫漠とした存在の域を出ることはなかった。そのことがのちに海外での誤解を生む遠因にもなっていくのだが、代わりに、実際に参加できない人々の好奇心を満たすべく積極的な役割を担っていくのが、男性誌や実話誌などの男性向けメディア、そしてマンガや映画などであった。 ■「三丁目の夕日」的な女体盛りが放つ郷愁
1306_nyotai_13.jpg
アマゾンにて販売されている女体盛り皿、お値段は1260円です。(2013年5月現在)
 例えば、時代がバブルに突入していく83年に創刊された男性誌「GIGOLO」(平和出版)では、創刊号の巻頭で女体盛りが特集されている。「男の湯の町ロマン女体盛り」なるタイトルを付されたそのグラビアは5ページにわたって女体盛り写真を展開しているが、あくまでも編集部が用意したモデルに女体盛りを施したものであって、温泉地での 本物の 女体盛りを撮影したものではない。  時代は前後するが、団鬼六原作のにっかつロマンポルノ『奴隷妻』(76年)では、レイプに縛りと散々いたぶられた女性が、挙げ句の果てに焼きたてのステーキを盛り付けられるシーンが登場。作中での食のシーンが印象的な伊丹十三監督も、『タンポポ』(85年)で女体盛りの変型版を登場させている。  しかしその後バブル期を迎え日本が本格的に豊かになり、企業による社員旅行が忌避されるようになってくると、温泉地等での女体盛りサービスは陰りを見せ始める。個人旅行が好まれるようになり、宴会場でのバカ騒ぎは恥ずべき行為へと転落していくのである。  もちろん、女体盛りという行為自体が完全になくなってしまったわけではない。一部の温泉地では相変わらず続いていたであろうし、色街の名残りを残す料亭などでの密かな遊びとして、あるいはフェティッシュな好事家たちのショーの出し物としては供され続けていただろう。ただ、各地の温泉地で、社員旅行の幹事が旅館の担当者に耳打ちすればその準備をしてくれるという60~70年代的な状況は、収束を迎えていくのであった。  一方で女体盛りは、マンガや映画の中で、ある種のネタと化していく。日本がまだ豊かにはなりきらず、しかし勢いのあった高度経済成長期の象徴へと転化をしていくのである。例えばマンガ評論家の呉智英氏は、こう語る。 「マンガに登場する女体盛りとして真っ先に思い浮かぶのは、09年に映像化もされた『湯けむりスナイパー』。98年から『漫画サンデー』(実業之日本社)にて連載されたこの作品には、山岸トモヨという元ストリッパーが登場する。彼女は今ではすっかりおばちゃんなのですが、たまに旅館に呼ばればっちりメイクを施すと昔の妖艶な姿に逆戻り、団体客に向けて女体盛りサービスを提供し、男性客を大喜びさせます。同作の原作を担当するひじかた憂峰は、市井でしたたかに生きる庶民を好んで描いてきた人。今では酒浸りというこのトモヨにも、決して誰にでも自慢できるわけではない職業をきちんとやり遂げた女性という、どこか温かい視線が注がれています」  この「温かい視線」こそ、女体盛りに対してわれわれ日本人が抱く、『三丁目の夕日』にも似た、高度経済成長への郷愁だったのではないか。  さらにそのあと、2000年になって「週刊モーニング」(講談社)に連載された『リーマンギャンブラー マウス』になると、事情は異なってくる。ここで描かれる女体盛りは、家庭も顧みず社畜として働きながらギャンブルに狂ってしまったあるサラリーマンを鼓舞する存在である。全財産を投げ打つ恐怖を感じながらギャンブル場でサイコロを振る直前、「インドまぐろ子」の女体盛りを食らい彼女とまぐわった主人公のマウスは激しい精神の高揚を迎え、ギャンブルに勝つ。その過程は強烈なバカバカしさをもって描かれるが、これはそのまま、高度経済成長期のモーレツサラリーマンのバカバカしさを表現してはいまいか。00年代を迎え日本人は、高度経済成長期の日本を、そしてその象徴としての女体盛りを、単なる「良かった時代」としては眺められなくなってしまったのである。  さて、国内においてはこのように受容されていった女体盛りだが、海外においては、これとは違った形でネタ化して展開していく。それはまずバブル期において、ニューヨークのビルを買い漁るイエローモンキーの象徴として現れる。映画ライターのタダーヲ氏は語る。 「ジャパン・バッシングが色濃く感じられるアメリカ映画『リトルトウキョー殺人課』(91年)や『ライジング・サン』(93年)が象徴的です。この2作は共に日本のヤクザを扱っており、どちらにも当たり前のように女体盛りが登場しますが、すべてが フジヤマ、ハラキリ、ゲイシャ な世界観で描かれており、その勘違いっぷりはすさまじい」  前者では、灰色スーツの男たちが、横たわる金髪女性に盛り付けられた握り寿司や手巻き寿司をごく普通にパクついている。こうした世界観が、冒頭で述べた勘違いされた女体盛り受容につながっていくのだろう。  一方で、もう少し時代が下ると事情は変わってくる。B級映画マニアを喜ばせた『SUSHI GIRL』(11年)では、タランティーノの『キル・ビル』(03年、04年)のごとく、バカバカしくも忍者的な、完全なネタとしての女体盛りが描かれているのである。  さて、再度問おう。われわれ日本人はなぜ女体盛りを発明し、そして愛してきたのか。もちろんひとつには、「ハレの場において食と性を同時に楽しめる」という、地味な日常からの逸脱感があろう。しかし前出の呉智英氏は、さらにその背景に、東洋的な神秘思想の影響もあるのでは、と話す。 「支那に、病気の王が赤ん坊を食べて健康を取り戻すという故事があります。その根底には、人間の肉体を体内に取り込むことで生命力を鼓舞するという思想がある。一方でアジアには、性的なものを生命力の象徴と見る、西欧キリスト教的な世界観とは反対の思想があります。女体盛りには、これらの思想を同時に想起させるところがあるのかもしれない」 『癒しとイヤラシ エロスの文化人類学』(筑摩書房)の著者である京都大学教授の田中雅一氏も、このように語る。 「タブーを超越する行為は、秩序を揺るがす忌避すべき存在であると同時に、崇拝や畏敬の対象にもなり得ます。日常の常識を覆すワカメ酒や女体盛りという行為は、ハレの文化として崇高な意味を持っていたのかもしれません。だからこそ今後も、食の世界の秩序を壊し、これまでにはない領域を切り開くイノベーティブなものにもなり得ますよ。例えば、フルーツパーラーやアイスクリームメーカーが取り入れたりとかね!」  女体盛りは、秘められつつも創造的な、誇るべき日本の食文化、なのである。 (文/有馬ゆえ) 「サイゾーpremium」では他にも食のタブーに迫る記事が満載です!】サイゾー編集部が勝手に分析!「女体盛り」を成立せしめる6要素とは?女体盛りに300年の歴史あり!日本が、そして世界が描いてきた“女体盛り”超人気グルメコーナー「帰れま10」の“カネとヤラセ”をめぐる疑惑を追う
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは?
雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む)