「"生命"は維持できても"人生"は奪われている」いまも南相馬市に暮らす住民の訴え

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「週刊現代」7月2日号 中吊り広告より
第1位 「私は放射能から逃げない」(「週刊現代」7月2日号) 第2位 「我が子を守る[『放射能汚染』解毒法」(「サンデー毎日」7月3日号) 第3位 「やめたくないよー、菅直人は僕の前で泣いた」(「週刊現代」7月2日号)   政治家が口を開くとき、そこには何らかの思惑がある。石井一なんて爺さんは海千山千のたぬきである。自分の前で菅直人が泣きながら「辞めたくない」と言ったと明かすのは、自分がそれほどの大物であると見栄を張るだけではなかろう。第3位は「現代」の、なかなか奥が深そうな面白いインタビューである。  石井は、不信任決議案が否決されたのだから、菅は辞める必要がないと言い切り、7月から8月ころまでは続投すると言う。  震災復興の遅れや原発事故の対応の不手際があるではないかという聞き手に対して、石井は、被災地のガレキが片付かないのは処分する場所がないからで、仮設住宅が足りないのも、建設用地が限られているからだと突き放す。  原発問題にしても、誰が総理をやったって放射能がすぐ止まるわけではないのだから、菅が悪いわけではない。従って、辞める必要はない。  だが、彼の言いたいことは他にある。小沢派を敵に菅の回すやり方はまずかったとし、これからは党内融和を進め、マニフェストを見直し、野党自民党に迎合することなく、政策を貫き通して、その先、総選挙をすればいいと語る。  もちろん、そこまで菅がやるわけではなく、遅くとも8月ごろに菅が辞め、しかるべき人材を選ぶべきだと言うが、彼の本意は、次の言葉にあるとわたしは見た。どうだろう。 「今後の1年は、暫定の震災復興特化内閣になるわけです。本当はこういう時、小沢一郎氏が党内では最適な人材なんです。混乱期こそ、小沢氏の出番です」  水谷建設から1億円の資金提供うんぬんの話があるので、求心力は低下しているが、いま必要なのは、ああいう腕力のある人材なんですとも言い添えているのは、ここは小沢しかいないというメッセージであろう。  混迷する民主党をまとめるためには、ポスト菅は小沢か、小沢が無理なら、小沢がウンという操り人形を担ぐしかない。そうして自分の影響力を温存したい、それが本心ではないか。  民主党副代表の思惑を忖度しながら読んだ。久しぶりに面白いインタビューである。  さて、20日、政府の原子力損害賠償紛争審査会は、東京電力の原発事故で避難した住民に対して、彼らが被った精神的苦痛に対する賠償額を1人当たり月額10万円とすることを決めた。避難所に避難した人には、より苦痛が大きいとして2万円を加算するという。  この記事を読んで無性に腹が立った。原発事故の収束がいつとも分からない中で、住民たちは住むところを追われ、不安な日々を過ごしているのである。  賠償はもちろんのことだが、住民が知りたいのは、自分の家にいつ帰れるのか、昔の生活を取り戻せるのかであろう。そうしたことには何も答えず、おカネを配るから我慢してなさいという態度を、傲慢と言わずして何と言う。  浜岡原発を停止させた舌の根も乾かないうちに、各地の原発を再稼働させると言って恥じない菅総理という人間に、ゾッとするほどの冷たさを感じるのは、私だけだろうか。  2位に挙げた「サンデー毎日」の記事は、リンゴにセシウムを排出する効能があるとか、ストロンチウムの吸収率を下げるのにはスキムミルクがいいという、失礼だが、気休めにしかならない記事である。  だが、この中のコラム、鎌仲ひとみという映画監督の言葉を伝えたくて、これを選んだ。彼女は原発問題にも詳しいようだが、その彼女がこう言っている。 「1998年、映画の撮影で訪れたイラクで見つけた劣化ウラン弾の放射線を測ると、毎時3.37マイクロシーベルトでした。福島市の小学校の校庭などで計測された線量とほとんど変わりません。白血病になったイラクの子どもたちは、日々の何気ない暮らしの中で少しずつ被曝していった。倒れるまで元気に走り回っていたのです」  「現代」の「本誌が独自調査 日本全国隠された『放射能汚染』地域」によれば、千葉県の流山市や柏市の公園では、それぞれ毎時1.88マイクロシーベルト、毎時1.08マイクロシーベルトが計測されている。  汚染は確実に広がり、放射性物質が子どもたちの口や鼻から吸い込まれ、内部被曝している可能性が高い。国が、直ちに影響はないと言い続けても、年間被曝量を1ミリシーベルトから突然20ミリシーベルトに上げてしまう国など、信用してくれと言う方が無理というものだ。  ところで今週の「ポスト」は、放射能に関する特集は1本もない。安全デマを流す雑誌と言われても、ことさら恐怖をあおる報道はやらないという一貫した編集姿勢には敬意を表する。  だが、どこまでの放射線量なら安全なのかが分からない現段階では、正しいパニックを起こすのは、特に、小さな子どもを持つ親なら仕方ないのではないか。私が聞いた話では、都内に住む妊婦が関西の方へ移ってお産をするケースが増えているという。  国や大メディアは真実を伝えていないと多くの国民が感じている。そして日本人は歴史に学ばない。「朝日」の中で、原爆症訴訟の証人・物理学者矢ヶ崎克馬氏がこう言っている。「私たちの社会は、広島と長崎の被爆者の訴えを、ないがしろにしてきたように思います。その延長線上に今回の事故があります」  今週の第1位は、「現代」の記事。南相馬市に住む佐々木孝さん(71)は、スペイン思想研究家である。彼の家は原発から25キロ圏内にあり、緊急時避難準備区域にされているが、今も認知症の妻とそこで暮らしている。  彼が反原発なのはもちろんだが、今回の事故後の行政の対応には問題があると憤っている。  原発から同心円で根拠のない線引きをされ、子どもや妊婦、要介護者や入院患者は、この区域に住むなと言われて追い立てられたが、実際に避難した老人や病人はひどい目に遭った。 「患者たちがカルテも付けずに搬送され、十数人が亡くなっている。こうなると医師法違反どころじゃない。もっと重い犯罪ではないか」  避難した人の中には、福島市や郡山市に避難した人もいるが、そこは南相馬市より放射線量が高いのだ。  そこで、知人が南相馬市役所の職員に、なぜこっちが緊急時避難準備区域に指定されているのかと聞くと、向こう(福島市や郡山市)を指定すると、ここの何十倍の住民を動かさねばならず、混乱に陥るからだと、逆ギレされたそうだ。  動物の鼻面を引きずり回すように、国民にあっちへ行け、こっちへ行けと命じる政治家や役人に腹立たしいと言う。 「彼らがやっているのは、民主主義でも何でもない。人間の自由というものを認めていない。それへの怒りもあって、私は避難を拒否しているのです。(中略)しかし彼らは、もっと大事なことがあることを知りません。命を英語で『ライフ』というでしょ。この『ライフ』なる言葉の意味には、生物学的な『生命』と、『人生』の二つがある。大切なのは、前者より後者です。それは、すべての生物が『生命』を持つのに対し、『人生』を持つのは人間だけだからです。避難を余儀なくされた人も、飯舘村など高い放射線量を記録している土地の人も、『生命』を維持できていますが、『人生』は奪われている。そこが彼らの悲劇なんです」  佐々木さんはかつて東京に住んでいたが、南相馬に帰省すると、原発建設で町が潤い、開拓時代のアメリカ西部のように賑やかだった。東電のカネで立派な施設がつくられ、住民にはよくお小遣いが配られていたという。  地元の有力者や町村の首長たちは、おおむね原発推進の先頭に立っていたのに、事故が起きると一転して被害者のような顔をしていることにも怒る。 「彼らはまず、自分たちの不明を詫びるべきです。しかし、みんな被害者になり、誰も責任を取らない。日本人の悪いところです。こんなことをやっているから、政治がまったく国民と向かい合わないのです」  佐々木さんが南相馬に越してきたのは妻の認知症が進んできた02年ごろから。すべて、彼が世話をしなければならなくなった。そして原発事故が起きた。もうジタバタせず、認知症の妻と一緒に、逃げずに自宅にとどまろうと決めた。  家の中はもちろん、外へ出るときも必ず妻と一緒だ。 「そうすると不思議ですね。人間、言葉や記憶を失ってもどうってことはない、と思えてきます。『認知できるかどうかなんてたいしたことではない。人間は存在するだけで意味があるんだ』と妻に教えられるんですね」  いまは、福島原発を全廃して、浜通りの美しい海岸を取り戻すために尽力したい、そう思っていると話す。この人に一度会って、話を聞いてみたい。そう思わせる、ひと味違うインタビューである。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「ご先祖様に会ったときに恥ずかしくないように」被災地で死者に語り掛ける納棺師

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「週刊文春」6月16日号 中吊り広告より
第1位 「石川遼『無免許運転2カ月』なぜ見逃された」(「週刊文春」6月16日号) 第2位 「被災地の納棺師」(「週刊ポスト」6月24日号) 第3位 「スクープ 原発から60km人口29万人福島市内が危ない」(「週刊現代」6月25日号)  私の友人が緊急開発した「安心生活」という放射線測定システムがある。テレビ、新聞などでもずいぶん取り上げられたから、ご覧になった方もいるかもしれない。  これは10秒ごとに正確な放射線量を測定し公開表示、誰でも見ることができる。また、5分間隔で24時間計測した場合、計測データは2,000日分蓄積でき、累積放射線量の測定表も簡単につくれる。  このシステムは、5月末から6月初めにかけて、福島市、飯舘村、伊達市、南相馬市に設置された。6月下旬からは東京都庁周辺にも設置されるという。  福島市長は、設置することを大変喜んでくれたそうだが、大いなる悩みもあると打ち明けたそうだ。  それは、文科省が毎日発表する福島市の放射線量は、見事に年間20ミリシーベルトを越さない数値で推移しているが、市独自で測ったら、場所によっては20ミリシーベルトをはるかに超える数値になっているからだ。  この公開システムを設置することで、住民がその数値を自分の目で確認できるから、これ以上は隠しようがなくなる。しかし30万人近くがいる福島市の住民がすべて避難できる場所などあるだろうか。  設置したのは市庁舎前の植え込みの中で、高さは幼い子どもと同じぐらいの地上から50センチ。市長の言っていた通り、放射線量は年間20ミリシーベルトを超える数値が出て、連日、それを見ようと市民の人だかりができた。  友人によると、都庁前の植え込みの中でも、かなり高い数値が出たそうだ。今週の「朝日」と「AERA」が広範囲にわたる放射能汚染地図を特集しているが、東京でも葛飾区、足立区、江戸川区などの一部地域で、高い数値が出ていると報告している。  3位は、その福島市内が危ないという「現代」の記事。6月7日に、国際環境NGOグリーンピースが主体となって緊急調査が市内で行われた。  それによると、市役所から車で5分ほどの公園の盛り土から毎時6.3マイクロシーベルト。公園の隅の枯れ葉の固まりからも毎時4.2マイクロシーベルト。トイレ裏の雑草で毎時9.1マイクロシーベルト、入り口の排水路では毎時12.5マイクロシーベルトという高い数値が出たというのだ。  さらに、この公園ではセシウム134、セシウム137に加えてコバルト60も検出されている。  原発から60kmも離れた福島市でコバルトが検出されたのは、原子炉のメルトダウンで放出されたことを証明するものだと、九州大学特任教授の工藤和彦氏は言っている。  私立保育園「こどものいえ そらまめ」の正門周辺では、毎時19.6マイクロシーベルトを計測しているという。  グリーンピースのクミ・ナイドゥ氏は、「いまフクシマは、親が住むのに世界で一番つらい場所かもしれない。誰もサポートしてくれない。子どもに何もしてやれない」と語る。  もはや自主避難しかないと「現代」は書くが、今の政府の方針では、自主避難では原発補償の対象にはならない。しかも29万人全員ではなくても、例えば10万人が避難できる所などどこにあるのだろう。  永田町は、ポスト菅をめぐるバカとアホウの駆け引きがヒートアップしているようだが、そんなくだらないことは即刻やめて、日々刻々放射能を浴びている子どもたちを守るために、早急に手を打つべきだ。それとも永田町を福島に移して、放射能の恐怖を実体験しながら対策を考えさせれば、わが事として考えるようになるかもしれないが。    どちらにしても、国民の多くはポスト菅などに関心はない。  2位は、ノンフィクション作家・石井光太による被災地の納棺師の話。納棺師といえば映画『おくりびと』で一躍その存在を知られたが、これは岩手県釜石市に住む納棺師・千葉淳についてである。  石井氏は、被災地で遺族や遺体と出会うたびに、津波で命を落とした者たちの弔われ方が気になっていた。そのころ、千葉と知り合い、それならば僕の仕事を手伝ってみないかと言われたそうだ。  千葉は3年ほど前に葬儀社を退職して年金暮らしをしていたが、今は依頼があるときだけ納棺師として働いている。  廃校になった旧釜石第二中学校の体育館が遺体安置所になったとき、多くの遺体の取り扱いや葬儀社との交渉を、経験がある自分にやらせてくれと市長に申し出たのだ。  彼は死後硬直した遺体を、「腕や関節を揉み解して柔らかくしたり、それでも入りきらないときは棺を替えたり、向きを変えて袋に入れなければならない」が、千葉はそうするときも必ず遺体に語り掛け、こうささやくという。 「もうちょっと頑張って腕を伸ばそう。旅立つ前に着替えた方がすっきりするからな」  ある女性と亡くなった母親との話が出てくる。彼女が遺体と対面したのは、津波が起きてから1週間以上経ってからだった。時間と気温のせいで少しずつ腐敗が進み、褐色の斑点が皮膚に浮かび上がってきていた。  彼女は母親の遺体をしばらく見つめた後、自分の化粧道具を取り出して、このままの顔ではあまりにも寂しいから、お母さんに化粧をしてあげてくれないかと、千葉に頼んだ。  千葉は化粧をしながら、こう語り掛けた。 「最後にきれいにしてあげるからね。あなたの気に入るようにはできないかもしれないけど、精いっぱいやるから我慢してね。あの世でご先祖様に会ったときに恥ずかしくないようにきれいになるんだよ」  そうして化粧を終えると、千葉は化粧道具をお棺の中に入れるよう提案した。もしやり残した個所があれば、あの世で存分にお化粧するようにと声を掛けながら、それを入れた。  千葉の次の言葉が重く響く。 「遺体は誰からも忘れられてしまうのが一番つらい。だからこそ、僕を含めて生きている者は彼らを一人にさせないようにしてあげなきゃならないんだ」  千葉のような納棺師に送られた死者たちは、少し慰められ、旅立っていったのではないか。6ページだが、もっと読みたくなる、いいノンフィクションである。  今週の第1位は、17日(日本時間)から開幕する全米オープンを前にして、我らが石川遼に降り注いだ、「文春」発のスキャンダル。  大筋はこうだ。今年の2月5日から渡米し、マスターズなど6試合に出場したが、その時に石川は、現地の免許と国際免許を取ったのだそうだ。  4月12日に帰国してからは、自分で運転してゴルフ場へ来る姿がよく見られるようになった。だが、これが無免許運転だというのだ。  その理由は、海外で取得した免許には以下のような条件があるからだ。 「日本人が海外で国際運転免許を取得した場合、道交法により、3カ月ルールが適用されます。つまり、免許取得時の渡航が3カ月未満の場合、その国際免許は無効となり、日本国内で運転すると無免許運転になります」(警察庁交通局)  石川のアメリカ滞在は2カ月と少し。しかし、これを知って記事を書こうとした記者に、豪腕パパの勝美氏が「書かないでくれ」と連絡してきて、初めその記事は出なかった。  石川は「文春」が出た後、アメリカで会見をして無免許運転のことを謝罪した。だが、父親の圧力で記事を書かなかったゴルフ記者も情けない。  大相撲、野球、サッカー、競馬、ゴルフなど人気スポーツでは、事件化しない限り、そこに所属する記者クラブの記者たちは、内部のことや選手を批判する記事は書かない。ようやく20歳になろうかという若い石川には、まだまだ覚えなければいけない世の中のルールが多くあるはずだ。それを教えず、ただチヤホヤしているだけでは、中年おばさんたちの遼ちゃん応援団と同じではないか。  やはり、そうしたことができるのは週刊誌しかない。そう思わせる記事である。  
おくりびと 最期に。 amazon_associate_logo.jpg
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「地デジ普及率95%」はウソ!? 総務省アンケートのトリックにポストが斬り込む!

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「週刊ポスト」6月17日号中吊り広告より
第1位 「あと50日足らず『地デジ化率95%』の重大疑惑」(「週刊ポスト」6月17日号) 第2位 「史上空前の大アンケート 原発やめますか、続けますか」(「週刊現代」6月18日号) 第3位 「激撮スクープ!自民党代議士 後藤田正純『ハレンチすぎる不倫!』」(「フライデー」6月17日号)  永田町では国民をないがしろにした「バカとアホウの絡み合い」が延々と続いている。総理の座にしがみつく菅直人はぶざまだが、そんな人間のウソを見抜けなかった鳩山由紀夫、小沢一郎も同類である。  菅を辞めさせるのはいい。しかしその後、民主・自民で大連立を組むのはやめさせなければいけない。確かに復興支援法など緊急を要する法案が成立しやすくはなるだろうが、まっとうな野党といえば共産党しかいないとなれば、与党の政治屋たちの私利私欲で、彼らに都合のいい復興プランや原発収束になるのは目に見えている。  NHKのスクープだと思うが、原子力安全委員会の班目春樹委員長が、国の原子力安全指針が1990年に改定され、そこでは全電源喪失の場合をまったく想定していなかった、また、そのような対策も取られていなかったと白状した。その上、今回の原発事故は「人災」だとはっきり認めたのだ。  ここまで来たら、菅首相辞任後、多少の政治空白はできても、復興対策、消費税増税か否かを争点に、解散・総選挙をやるべきだろう。  政治家への憤りを並べ立ててきたが、カミソリと言われた故・後藤田正晴代議士を大叔父に持つ後藤田正純自民党代議士(41)の破廉恥行為にもあきれ果てる。  後藤田が所属する自民党内で、内閣不信任案提出の機運が高まっていた5月23日の夜、彼はこっそり銀座の中華料理店で高級クラブの美人ホステスと食事していた。その後、彼女のクラブへ同伴。  そこに5時間も長居した後、彼女と六本木のバーへ向かう。そのバーのカウンターで、周囲も驚く痴態を繰り広げ、その揚げ句、彼女がトイレに立った後に続いて一緒に入ってしまったのだ。このトイレは男女共用。そこから20分以上も出てこなかったと書いている。  まだまだ続きがある。早朝4時過ぎにバーを出た2人は、そのまま赤坂の議員宿舎に入っていったのである。彼女が出てきたのは朝8時ごろ。その5時間後、本会議場で眠りこけている後藤田議員の姿も「フライデー」はバッチリ撮っている。  2004年に結婚した女優・水野真紀とは不仲説もあり、現在、別居状態だという。「フライデー」の直撃を受けた後藤田議員、神妙に、今の役職はすべて辞めるとして、こう話す。 「私はフライデーさんに撮られて良かったとも思っているんですよ。これを機会に、本当に反省して、出直さないと」  むかしむかし国会議員のことを「選良」と言った時代があったが、今では死語である。  今週の第2位は、かけた労力だけはすごかったと思われる「現代」の記事。一流企業のトップ100人、有識者50人に「原発をやめるか、続けるか」アンケートをしている。  三菱重工からソニー、東芝、三井物産、読売新聞まで聞いたようだが、社長自ら選択肢を選び、コメントも寄せたのは100社中22社。  中にはアンケートを受け取らなければよかったと言われた社もあったそうだが、私から見ると、回答数は意外に多かったと思う。  こうした状況の中で条件付きでも稼働すべきと答えるのは、なかなか勇気がいるのではないか。その勇気ある会社は、他の大手ゼネコンが手を引いたにもかかわらず、東京電力福島第一原発の処理を引き受けて、多くの作業員を派遣している清水建設をはじめ、大和ハウス、東芝、東レ、富士フイルムHD、森ビル。  富士フイルムHD社長の古森重隆社長はこう回答している。 「国内発電の3割を占める原発を代替するエネルギー源の確立には時間がかかる。次世代のエネルギー開発を進めながら、その安全性の向上を図り、自然災害への備えも含め徹底的に検討すべき。世界的な原発安全基準の設定も必要」  有識者の中で条件付き稼働派は、有馬朗人元東京大学総長、池谷裕二東京大学大学院薬学系研究科准教授、岡本行夫(外交評論家)、竹内薫(サイエンス作家)、外山滋比古お茶の水女子大学名誉教授、堀田力さわやか福祉財団理事長、森永卓郎(経済アナリスト)などがいる。編集部の諸君、ご苦労さまでした。  今週の第1位。地デジ完全移行の日が迫っているが、まだまだ移行していない人が30%はいるのではないかと、遅らすべきではないかと疑義を呈している「ポスト」の記事。  大震災や原発事故で、本来ならもっと議論されるべき問題が、国民的な合意もないまま通ってしまっている。大相撲の八百長問題もそうである。まだ完全に片付いたとは思えない八百長問題だが、相撲協会は名古屋場所開催を強行することで、けりをつけようとしている。それを後押しするようにNHKの中継が決まってしまった。  菅直人首相の在日韓国人からの違法献金問題もうやむやになったままである。  完全地デジ化移行は、被災地3県を除き、あと50日足らずで強行される。その根拠は「ポスト」によれば、昨年12月に実施され、今年3月に発表された総務省によるアンケート調査で「地デジ普及率95%」という数字が出たからだが、この数字自体が怪しいというのだ。  第1の問題点は、このアンケート調査では、母集団から約260万もある80歳以上の高齢者世帯が除外されている。  第2に、この調査は、固定電話を持っている人だけに電話をかけ、答えるという返事をもらった人にアンケートを送付していることだ。いまや携帯電話やIP電話保有者が増え、固定電話の普及率は全世帯の35%なのに。  そこで「ポスト」編集部がもろもろ試算してみると、一般家庭のテレビの約30%が地デジ対応ではないとみられるという。また、地デジ対応テレビを持っていても、アンテナをVHFからUHFに交換していない、UHFアンテナの向きを調整する工事をしていないなどの世帯がかなりあると思われるのだ。  私事で申し訳ないが、わが家にあるテレビは6台。そのうち地デジ対応テレビは3台あるが、アンテナを取り替えていないから、このままいけば7月24日を過ぎると地デジ難民になる。  カネがもったいないということもあるが、そもそも郵政省(現総務省)と組んで、故・氏家齊一郎日本テレビ社長(当時)が中心となって、キー局温存と民放ローカルネットワーク網維持、テレビメーカーの金もうけのために始めたことに、なぜわれわれが不必要な費用を負担させられるのか、いまだ納得がいかないからである。  7月24日が過ぎたら、何も映らないテレビを眺めながら、子どものころ、テレビがない時代があったことに思いをはせるのも一興ではないだろうか。そう今は思っているのだが。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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原発事故「みんなも無責任であるのです」議論を呼ぶ小学6年生"ゆうだい君"の投稿 「ユッケが怖くて原発で仕事ができるか!」防護服に書かれた原発作業員のホンネ 「週刊現代」が素人目線で追求した、孫正義義援金100億の行方

原発事故「みんなも無責任であるのです」議論を呼ぶ小学6年生"ゆうだい君"の投稿

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「週刊現代」6月11日号 中吊り広告より
第1位 「悪いのは東電ですか、政府ですか、それとも国民ですか」(「週刊現代」6月11日号) 第2位 「食べていいものはこう見分けろ!」(「週刊朝日」6月10日号) 第3位 「法定基準50ミリシーベルトが安全なら息子はなぜ死んだ」(「週刊文春」6月2日号)  原発事故の処理が長引く中、政府・文科省が発表する放射線の数値に疑問の声が次々挙がっている。  その上、安全だとされる年間被曝量20ミリシーベルトにも、高く設定しすぎていると、福島県内の子を持つ親たちからの怨嗟の声も大きくなり、ついに文科省は年間1ミリシーベルト以下に抑えることを目指す方針を打ち出した。  今週の3位は、浜岡原発で働いていた長男が白血病になり、2年以上も闘病を続けた末に亡くした母親の話である。  長男は、静岡県の浜岡原発で働いていた1989年11月に、慢性骨髄性白血病と診断された。全身に痛みが広がり80キロあった体重が50キロ台まで落ち込んだ。  彼の仕事は原子炉の計測器の保守・点検だったが、約9年間の勤務での累積被曝量は50.63ミリシーベルト、年間被曝量は最大でも9.8ミリシーベルトに過ぎなかったのだ。  母親の手元に長男の放射線管理手帳が戻り、見てみると、白血病と診断される1年半前に、血液検査で異常な数値の白血球数が判明していたにもかかわらず「異常なし」と記載されていた。  その後、長男の死は被曝による労災だと磐田労働基準監督署に認定を申請して、翌年認められる。国が長男の死と原発労働に因果関係があると判断したのである。  しかし、「被曝から数年後に発病した場合、現在は白血病以外、放射線に関する労災認定には明確な基準がないのです。例えば肺がんでは、炉内汚染の証明までされたのに、労災が認められなかったケースもある」(海渡雄一弁護士)。数年、10年、20年後にがんが発病しても、東電や国に、原発事故との因果関係を認めさせるのは難しいかもしれないのだ。  だから、今すぐに、万が一を考えて、子どもたちだけでも安全な場所へ移すべきなのだ。  第2位は、広がり続ける放射能汚染の中で、口に入れてもいいものはこう見分けろという、「朝日」の記事。  小見出しごとに見ていこう。 「大型魚の放射線量は遅れてくる 汚染度チェックの指標はヒラメ」。「ヒラメは、移動の少ない底魚で、寿命が長く、日本中の沿岸にいる。セシウムの濃縮係数も高く、生物学的半減期も長いので、目安になります」(海洋生物環境研究所の中原元和研究参与) 「魚の骨を食べるとまずいの? ストロンチウム90に気をつけろ」では、「シラスや小アジなど丸ごと食べる小魚は、汚染の有無を確認する必要があります。カサゴなど骨のままで食べる場合も、気をつけたほうが良いでしょう」(日本大専任講師の野口邦和氏) 「葉物野菜、果物、根菜......『汚染度要注意』なのはどれ?」。学習院大理学部の村松康行教授は、断定はできないがとして、こう話す。「過去の実験では、葉菜類よりもニンジンやダイコンといった根菜類のほうが、土中のセシウムを吸収しにくいことがわかっています」  そのほか、野生のキノコや山菜にはご用心。チーズやヨーグルトは大丈夫だそうだ。面白いのは、日本酒なら大吟醸に限ると書いている。なぜなら、ぬかと白米のセシウムの含有比率はおよそ9対1だから、同じ日本酒でも、より精米の度合いを高めた純米大吟醸などの方が放射性物質の影響は少ないのではないかと、編集部は推測する。だが、日本酒造組合に確かめてみると、「そのような推測は成り立ちますが、実証するデータはありません」。日本土壌肥料学会の見解も、「大吟醸でも普通の日本酒でも、セシウムの濃度に差はないと思われます」とつれない返事。まあ、セシウムを気にして飲むより、飲みすぎに注意する方が体にはいいはずだ。  今週の第1位は、毎日新聞の小学生新聞編集部に届けられた、都内に住む小学6年生の「投書」をめぐる少々重たい話だ。  その投書は、同紙の3月27日付紙面に掲載された元毎日新聞論説委員で経済ジャーナリスト・北村龍行氏が書いた「東電は人々のことを考えているか」というコラムに反論するものだった。  北村氏は、東電という会社が起こした原発事故が、日本社会に与えた影響の大きさをつづった後、自己処理につまずいていることを指摘し、その理由を、東電が地域独占で競争がなく、危機対応能力を磨く訓練を受けていなかったからだと書いた。  これに対してゆうだい君(仮名)は、父親は東電社員と名乗った上で、こう反論している。 「(北村氏のコラムを読んで)無責任だと思いました。(略)原子力発電所を造ったのは誰でしょうか? もちろん東京電力です。では、原子力発電所を造るきっかけをつくったのは誰でしょう。それは、日本人、いや、世界中の人々です。その中には、僕も、あなたも、北村龍行さんも入っています」  こう書いた後、少年は、発電所が増えたのは、日本人が電力を過剰に消費してきたからであり、中でも原発が増えたのは、地球温暖化を防ぐためだと主張する。ここまでは原発推進派と同じ理屈だが、少年は、地球温暖化を進めたのも世界中の人々で、だからとこう続ける。 「原子力発電所を造ったのは、東電も含み、みんなであると言え、また、あの記事が無責任であるとも言えます。さらに、あの記事だけではなく、みんなも無責任であるのです」  ゆうだい君は、「僕は、東電を過保護しすぎるかもしれません」と、自分の立ち位置まで冷静に分析している。この投書が5月18日付で掲載されると、毎日新聞本紙に転載され、大きな反響を呼んだのだ。  「現代」ではゆうだい君がした問題提起を、各方面に聞いている。保安院や東電社員は、よくぞ言ってくれたと大喜び。当の北村氏は苦笑。鎌田慧氏は「責任は東電と国にある」と反論。  藤原正彦お茶の水女子大名誉教授はこう言っている。 「少年のほうが正しい。東電にも責任はあるけれど、彼らは政府や保安院、安全委員会など国家の基準に沿ってやってきた。その意味では国にも責任がある。しかし、一番責任があるのは国民です。原発はテロの危険性もあるし、他国では警察や軍が警備するのが常識。そういう体制がないのは、国民の危機意識が低いからです。だから、今回のような危機にも対応できない。(中略)あのコラムのように東電だけがクロというようなオール・オア・ナッシングではいけないのです」  議論百出だが、多くは東電が悪いという意見だった。そして編集部はこう結ぶ。 「ゆうだい君、納得できないかもしれないが、その時は編集部に反論を送ってくれればいい。言ったこと、起こしてしまったことには責任を持つ。東電だけじゃない。それが大人の社会のルールなんだ」  「現代」編集部もずいぶん大人になったじゃないか。そう思わせる好特集だと思う。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
「責任」はだれにあるのか なすりつけ合いはもういいよ。 amazon_associate_logo.jpg
「ユッケが怖くて原発で仕事ができるか!」防護服に書かれた原発作業員のホンネ 「週刊現代」が素人目線で追求した、孫正義義援金100億の行方 根拠のない安全神話はもううんざり! 永田町に問う「政治とは何か」

「ユッケが怖くて原発で仕事ができるか!」防護服に書かれた原発作業員のホンネ

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「週刊新潮」5月26日号 中吊り広告より
第1位 「防護服の背中に書かれた『御国の為にがんばりやす』」&「グラビア 防護服の道化もいる極限の地『福島原発』」(「週刊新潮」5月26日号) 第2位 「『大津波 みんな流して バカヤロー』涙涸れたその後に 震災川柳傑作選」(「週刊ポスト」6月3日号) 第3位 「子どもにがん保険を掛けるべきか」(「サンデー毎日」6月5日号)  5月24日から6月2日までIAEA(国際原子力機関)が福島第一原発の事故の経緯を調べるため、原発内のカメラ映像の解析や、政府への聞き取りを行う。  これまでも重要なことを隠してきた菅内閣・保安院・東電は、何を暴かれるのか戦々恐々であろう。  ここへきて、政府が毎日発表している各地の放射線量への疑義や、避難の対象になる20ミリシーベルト/年という数値が、子どもたちにとって高すぎる数値ではないかという批判の声が高まってきている。  チェルノブイリ原発事故で、ベラルーシの子どもたちに、それまで11年間で7人しかいなかった小児甲状腺がん患者が、事故後の16年間で2,010人に増えたと、第3位に挙げた「毎日」の記事の中で書いている。  感心するタイトルではないが、子どもを持つ親ならばドキッとするだろう。冒頭で、「福島でがん保険に加入してくれる親が増えた」と大手生命保険の支社長が言っている。  政府や東電は、原発事故での放射能は「ただちに健康に影響することはない」と言い続けてきたが、これが深刻な事態を先延ばしにするための方便であることを、国民が知ってしまったから、自衛のためでもあるのだろう。 「がん診断確定時に100万円、入院・通院1日につき1万円が支払われる基本タイプだと、0歳児の保険料は月額800円程度だ。保険料は契約時の年齢が若いほど安い。期間が『終身』なら毎月の保険料は一生涯変わらない」(毎日)  確かに、がんの危険が高まるのは40歳からだし、子どもの医療費には自治体の助成制度があるから、がん保険は必要ないという意見もある。だが、子どもは育つ環境を選ぶことができないのだから、万が一に備えてと、親が考えるのは無理もないのではないか。  被災地では、解体作業や撤去の過程で、大量のアスベストが飛散し、吸い込んでしまう危険性もある。アスベストはじん肺や悪性中皮腫の原因になり、吸い込んでから30年以上の潜伏期間を経て肺がんを発症することが多いため、やはり、がん保険への関心が高まっていると書いている。  地震が発生してから2カ月半が過ぎるのに、復興への柱となる政策を打ち出せないでいる菅直人無為無策政権への不信感が、こうしたことの底流にあるのは間違いない。  ところで、「ポスト」の「現代」に対する批判は、週を追うごとにボルテージが上がっている。今週も、「現代」が燃料棒の大半がメルトダウンしている疑いが判明したから、放射能汚染のケタが一ケタあるいは二ケタ跳ね上がる恐れがあると書いたことに、現実的ではないと断じている。  さらに、政府や東電が放射線量を低く出るように細工していたと書いたのは「謀略史観すぎる」としている。タイトルに、たとえ「煽り派」から「安全デマ雑誌」と呼ばれようが「ポスト」は真実を書くとある。その心意気はいいが、今の読者の関心は「放射能はどこまで危険なのか」にあるのではないだろうか。  しかし、「現代」も含めて、原発や放射能の危険性を声高に叫ぶ雑誌の多くが、同じような学者や評論家を登場させ、同じような切り口でしか見せられないのは、ちと芸がなさ過ぎると思う。  そんな中では、少し角度を変えた「ポスト」の震災川柳が目を引いた。 「大津波 マニフェストまで 流し去り」「災害が 冷えた夫婦の よりもどす」「困ってます 救援物資で 嫁がほしい」「酷い海 憎みきれない浜育ち」「夢は瓦礫の山の 下にある」「福島を 『フクシマ』にした 世界地図」  宮城県南三陸町では、週に一回程度、地区の集会場の前で川柳大会を行っているという。それ以外に、地元紙に掲載された川柳もある。技巧的にはまだまだのものもあるが、体験した者でなくてはつくれない切実な川柳が多く、胸に迫る。こうした、少し違う角度から今度の震災を考える視点は、このところの「ポスト」はとてもいい。  今週の第1位は、「新潮」の記事とグラビア。特にグラビアがいい。防護服の背中に「日本政府文句があるなら現場で言え」「事件は現場で起きている」と書いている作業員たち。  ガスマスクをつけ防護服を着てしまうと、誰が誰だか分からなくなるので、マジックで氏名を書いていたのが、頭のところに似顔絵を描いたり、卑猥な女性器のマーク、さらにこうした不満を表現するようになってきたのだという。  記事の中で、「御国の為にがんばりやす」と書いた人物の同僚、24歳の作業員はこう語っている。 「仕事としてここに来ているわけで、国のため、国民のためとか、命をかけて特別に大金を得るために作業しているわけでもない。それなのに、一方でテレビを見ていると、国民は『現場の作業員、がんばって!』と言いますよね。応援の気持ちからなのでしょうが、私たちとすれば、そのギャップに複雑な思いを抱かざるを得ない。それで、皮肉の意味を込めて『御国の為に』と自虐的に書いているのですよ」  40代の作業員・林良夫氏は、元請け会社から「10日ぐらいで終わる福島出張の仕事が来ているけどどうする?」と打診され、来てみたが、今なお原発で働いている。作業現場での一日を語ったのち、休みは10日に1日ぐらい、給料は日当で1万3,000円から1万5,000円程度、危険手当はまだ支給されていないと話している。  別の作業員・佐藤英夫氏(33)は、2号機で放射能汚染水を集中的に管理する作業をやっているが、防護服に防塵マスクをつけ、さらに顔を全面的に覆うプラスチック製のガードを装着するため、今でも熱がこもってきついという。会社から小まめに休憩して水分を摂るように言われているが、マスクを取ると内部被曝するから、我慢してなるべく水分を摂らないようにしている。  先の24歳の作業員によれば、作業を始めるに当たって、大手ゼネコンから放射線に関する簡単な講義を受け、危険だと感じたら自己責任で逃げるように指導されたが、避難訓練もなく避難経路さえも教えられていないというのだ。そうした日々の憂さをこうして晴らすという。 「つい先日、同僚3人で仕事の後、いわき市内の焼き肉屋に繰り出しました。そこで無理やり生肉のユッケを頼み、3人前を一気に食いましたよ。"ユッケが怖くて、原発で仕事ができるか!"と雄叫びを上げながらね」  23日の「asahi.com」にこんな記事が載っている。 「『原発作業60歳以上で』165人応募、議論呼ぶ」 「復旧作業が難航している東京電力の福島第一原発をめぐり、東京都内の元技術者が独自に『暴発阻止行動隊』として高齢者に作業への参加を呼びかけたところ、現在までに165人の応募があり、論議を呼んでいる。行動隊が実際に作業できるかどうかは未知数だが、原発では長期化する作業の人員確保が難しくなっている現状がある。(中略)条件は60歳以上で、原発での現場作業ができる体力・意思がある人」(asahi.comより)  子や孫を守るために、我が身を放射能にさらしてもいいという年寄りたちの気概はよく分かるが、その前にやるべきことは、東電や政府に、原発の実態をすべて明らかにせよと迫ることである。  その上で、どうしても年寄りたちの力が必要だというのなら、行ってもいいという男気のある連中もいるかもしれない。なにしろわれわれは、学生時代に高倉健の『昭和残侠伝』に熱狂した世代なのだから。  しかし、今のまま、国民に重大な事実を隠し続けるのなら、東電のトップや政府、官僚たちに、こう言わなければならない。「死んでもらいます」と。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「週刊現代」が素人目線で追求した、孫正義義援金100億の行方 根拠のない安全神話はもううんざり! 永田町に問う「政治とは何か」 「人生を甘く考えている部分がある」佑ちゃんに抱かれた年上女性が苦言

「週刊現代」が素人目線で追求した、孫正義義援金100億の行方

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「週刊現代」5月28日号 中吊り広告より
第1位 「いつ届く孫正義の『義援金100億円』」(「週刊現代」5月28日号) 第2位 「内橋克人が警告『放射能が招くスロー・デス』」(「週刊朝日」5月27日号) 第3位 「世界SEX二大文明歴訪PART1 ローマ人のSEX」(「週刊ポスト」5月27日号)  よく知られていることかもしれないが、テレビのワイドショーは週刊誌をお手本に始まった。ワイドショー草創期には、スタッフが週刊誌をごっそり買い込んできて、それをみんなで見ながら企画を考えたと、当時のプロデューサーから聞かされた。  1冊に政治・経済はもとより、小説からヘアヌードまである"幕の内弁当"スタイルの日本の週刊誌は、世界でも珍しい。  新聞・テレビがやらないことをやるのが週刊誌ではあるが、面白くなくては週刊誌ではない。東日本大震災以降、エンタメ系にこれはと思うものがなかったが、今号の「ポスト」の「ローマ人のSEX」にはちょっぴり驚きがある。PART2は「中国人の性生活」であるが、こちらは言い古されている。  リードで、すべてのSEXはローマに通ずと書いてあるが、『ローマ人の物語』塩野七生もビックリかもしれない。  ローマ人は風呂好きで有名だが、古代ポンペイ市には6つの公衆浴場があり、そこは混浴だったそうだ。  脱衣所には木製の木箱が並んでいて、目印として後ろに番号と絵が描かれていたが、絵のテーマはSEXだった。騎乗位で交わる男女や変則的な体位を楽しむ乱交の画もあったという。  木村凌二東大教授は、ローマ市民と江戸時代の町民との共通点は、無類の風呂好きだったことだという。  そこから「ポスト」は「穿った見方だが」と注釈をつけて、こう大胆な推理をする。両都市ともにオーラルセックスが盛んだったのは、清潔好きが影響したのではないか、と。ポンペイでは「クンニリングスの絵」が発見されている。  度外れたサディズムと放恣、無節操な性行動で有名だった3代皇帝カリギュラ。暴君ネロは母子相姦から、お気に入りの少年に性転換させ、自分の"妻"として輿入れさせたという。  ポンペイは18世紀から発掘が進み、町並みがソックリ再現されているが、至る所に落書きが残っていて、そこには赤裸々なSEXへの思いの丈が描かれている。  「男根が命じるのだ、愛せよと」「来た、やった、帰った」「射精する」などなど。  ほかにもローマ人のSEXを題材にした映画『サテリコン』や『カリギュラ』について。ローマ屈指の恋愛ハウツー本『アルス・アマトリア』。人気漫画家『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリ氏インタビューなど、しばしの間、浮き世の憂さを忘れるにはいい読み物である。  第2位は「朝日」。やや硬派だが、一読をお勧めしたい経済評論家・内橋克人氏のインタビュー(表紙の綾瀬はるかもいいぞ!)。  氏は、菅直人首相が立ち上げた東日本大震災の復興構想に疑義を呈する。五百旗頭(いおきべ)真議長が「創造的復興」を掲げているが、これは阪神大震災の時にもよく使われた言葉だと指摘し、枝野幸男官房長官も「阪神・淡路大震災の経験を生かしてほしい」と言っているが、阪神大震災は成功モデルではないと言い切る。  作家の小田実氏らと、被災者の生活基盤回復を助ける市民・議員立法を実現するための運動に加わり、1998年5月、最高100万円(当時)を支給する被災者生活再建支援法に結び付いたが、それまで国には、そうした「概念」さえもなかったという。  その後この法律の改正があり、最高300万円まで出るようになったが、使い道が限られ、給付を受けるのも容易ではなかった。  そのため二重ローンに苦しむ人が数多く生まれ、いまは貧困ビジネスと言われる高金利のシステム金融が始まった。災害復興住宅では孤独死や独居死が相次ぎ、いまでも被災の大きかった地域の自殺率は突出して多いのである。  また、震災1カ月後に神戸市が出してきた都市計画事業は、震災前に住民からの反対や非難で難航していたもので、市はこのときとばかり一挙に実現しようとしたため、西須磨まちづくり会議は「住民にとっては第二の大災害」だったと記録している。  建てられたのは無機質な高層ビルばかりで、「本当に大切な路地などが消えました。もはや『呼吸する町』ではなくなってしまいました」、「阪神大震災の復興は、肝心の『人間復興』において大いなる悔いを残しました。こういうやり方のどこが、今回の震災復興に生かせるのか。不思議でなりません」と憤る。  東日本大震災は、自然災害と犯罪的人災という性質の違う二つの災害があり、復興が大切なことは言うまでもないが、そのことと原発をここまでに至らせた国・行政・電力会社の責任を糾弾する作業は、厳しく峻別しなければならないとしている。  最後に、「社会、政治、権力の構造を根本から変えなければ、本当の意味での被災地の『人間復興』は期待できないと思います」と結ぶ。  放射能の深刻な数値を隠ぺいする政府や保安院。福島第一原発の危機的状況を隠し続けて恥じない東電首脳。この連中が考えているのは自己保身だけである。  先日、私の友人が福島県へ行って市長や村長に会ってきた。彼が開発した放射能を測定し、長期に累積データ化できる精巧なシステムを寄贈するためである。  中でも福島市の市長は喜んでくれたという。なぜなら、いま出されているモニタリングポストの放射線数値では、福島市は避難するほど高くはないが、信用できないというのだ。さまざまなところが計測している放射線量は、かなり高いからである。どちらを信じればいいのか悩んでいたようだ。これがあれば自分たちで計測・累積することができる。だが、もし避難しなければならないほど数値が高かった場合、約30万人もいる福島市民は、どうすればいいのか。市長はどういう決断を下すのか。新たに深刻な悩みが市民を襲ってくるのだ。  今週の第1位は「現代」の孫正義に関する記事。週刊誌の役割の一つは、読者の素朴な疑問に答えることである。これは、そのお手本のような記事だ。  ソフトバンクの孫正義社長が「被災者に100億円の義援金を寄付する」と言ったのは4月3日。それから1カ月半以上経過するが、あのおカネはどこへ行ったのでしょうか?  いくら資産が日本人トップ、約6,800億円の孫社長でも、100億のカネをすぐ右から左へ動かせるとは思わないが、そのうちの2~30億円は支払い済みなのではないか、そう思うのが由緒正しい貧乏人の考えることである。  ユニクロの柳井社長は3月23日に10億円、楽天の三木谷社長は4月11日に10億円の送金を済ませている。  そこで、貧乏人の味方「現代」が、方々尋ね歩いてくれた。発表した段階で、孫社長が言っていた「日本赤十字」「赤い羽根共同募金」に聞くと、赤十字は5月6日時点で総額1,700億円集まったが、100億円寄付した事実はないようだ。赤い羽根も同じ。  その他、日本ユニセフもNGO・JENも「ノー」だという。日本一のおカネ持ちに二言はないだろうと、各地の自治体にも問い合わせるが、これも同じ。  どうやら、ソフトバンク側の「方針が決まっていない」ためだということが分かってくる。  寄付を発表したこともあって日経BPの企業好感度調査で第1位になったソフトバンクだが、もたもたしていると嫌われ度第1位になっちゃうよ。  それならばとソフトバンク広報室へ直接聞くと、やはりまだ1円も寄付してないというのだ。  イメージアップに利用したのではないかというきつ~い質問への答えが面白い。 「時間がなくて本人に確認できませんでしたが、察するにそういうことはなく、孫の被災地を思う善意の気持ちからだと思っています」  これって広報的返答じゃないね。孫さんに叱られるぞ。  孫氏と親交のある証券アナリストは、彼はキャッシュではなくソフトバンクの株を売ってカネをつくろうと思い、少しでも損をしないように時期を見ていたのだが、このところの値下がり基調で目論見が外れたのではないかと見ている。  100億円を捻出するために孫氏が大量に株を売り、株価が下落するのではと懸念した個人投資家が、売りに走ったというのだ。  確かに、寄付発言の翌日、4月4日の終値が3,255円で、5月12日の終値は3,065円。190円の値下がりだ。  その他の説では、そもそもハナから出す気がなかったのではないかという、大胆な説まであるという。ソフトバンクは元々業績はいいが、有利子負債が2兆円超ある。これまで自転車操業でやってきたが、一つ壊れればガラガラ崩れる会社だと言われてきたから、寄付は世論を味方にするための見せガネのようなものではないかというのである。  いくら何でも世界の孫さんに失礼だろうと思うが、こんなウワサを立てられるのも、さっさと寄付しないからである。この記事が出て、慌てて寄付するのもみっともないが、やらないよりはなんぼかいい。  本人がTwitterでつぶやいているように「孫正義、死すとも、正義は死せず」。早うやんなはれ。 (文=元木昌彦) ※編集部註 この記事にある「週刊現代」が発売された16日の夕方になって、ソフトバンクは100億円の配分先を発表いたしました。時事通信などの報道によると、孫氏は6月上旬に発足する「東日本大震災復興支援財団(仮称)」に40億円を寄付。同財団はソフトバンクが中心となって設立され、震災により親を失った子どもへの奨学金や、NPOによる被災地活動の支援などを行うとのこと。このほか、日本赤十字社と中央共同募金会、岩手、宮城、福島各県にそれぞれ10億円、茨城、千葉両県に2億円ずつ、日本ユニセフ協会などに計6億円を寄付するとなっています。
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
孫正義名語録 本当に信用してもいいんですか? amazon_associate_logo.jpg
根拠のない安全神話はもううんざり! 永田町に問う「政治とは何か」 「人生を甘く考えている部分がある」佑ちゃんに抱かれた年上女性が苦言 "原発特攻隊"に誰がなる? 問われる日本の「正義」

根拠のない安全神話はもううんざり! 永田町に問う「政治とは何か」

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「週刊現代」5月21日号
佳作 「福島の海を『第2の水俣』にするのか」 (「週刊現代」5月21日号) 佳作 「菅官邸を牛耳る『オバマGHQ』の密使」(「週刊ポスト」5月20日号) 佳作 「『放射能と妊婦・乳児・幼児』その危険性について」(「週刊現代」5月21日号)  福島第一原発事故から2カ月もたたないのに、大本営発表の成果か、原発事故は順調に収束に向かっているかのような根拠のない安心感が、原発周辺地域を除いて広がっている。  そこへ、菅直人首相が突然「浜岡原発全炉停止」と発言したから、よく言った、ようやくリーダーシップを発揮したという声も出始め、菅政権支持率が少し上がったという報道もあった。  浜岡原発を止めるのは当然のことで、なぜ、中部電力社長が再稼働すると言った時に、すぐストップをかけなかったのか、その方が不思議である。  連休中に重大な「事件」が起きた。一つは、5月2日に細野豪志補佐官が、原発事故が起きた当初、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のデータを公開しなかったことについて、「パニックを心配して公表しなかった」と認めたことだ。  もう一つは、4月29日の内閣官房参与の辞任である。会見の席で小佐古敏荘東大大学院教授は涙ぐみながら、「年間20ミリシーベルトを、乳児・幼児・小学生に求めることは受け入れ難い」と発言した。  必要があって、連休中に放射線量を測るモニタリングポストについて調べてみた。驚いたことにモニタリングポストが設置されているのは、ビルの屋上などかなり高いところが多い(福島、茨城などでは1.3~2メートルぐらいのところもあるようだ)。それも一日1時間程度。  4月13~14日、私が原発の周辺30キロ、20キロ、10キロ圏内で測った放射線量は、飯舘村で地上約1メートルが毎時20マイクロシーベルト。だが、畑や小川のそばで測ると毎時200マイクロシーベルトを計測した。  浪江町では、場所によって、道路上や畑で毎時600マイクロシーベルトを超えたところもある。このように、計測する高さによって放射線量は相当な開きがあるのだ。  友人の元衆議院議員から聞いたところ、浪江町のモニタリングポストはどこに設置してあるのか、公表されていないという。  これが指し示していることは明らかである。いま発表されている放射線量は、実際よりも低い数値が出る場所に"意図的"に設置したモニタリングポストが計測した数値だということだ。  もっと言えば、ガイガーカウンター(正式名称はガイガー=ミュラー計数管)を実際に作っている私の友人の話では、低い数値を出すようにカウンターを作り替えることなど簡単にできるというのだ。  いま発表されている数値への不信感。根拠のない数値で、しかも、20ミリシーベルト以内は安全だと言いくるめられ、放射線にさらされている小さな子どもたちと、その親たちの不安感はいかばかりであろう。中には100ミリシーベルトまで安全だと言い放つバカ学者がいるそうだが、いい加減にしたがいい。  少なくとも放射能、それも内部被曝したら、何らかの健康被害が起こることは間違いないのだ。そうした危険から、住民を避難させ、安全・安心に暮らせるようにさせるのが政治ではないのか。まやかしの数値や、根拠のない安全性を百万遍語るより、大事なことを即刻やらなければ、政治家としてはもちろん人間としても失格である。  つい、連休中にたまっていた腹膨るる思いが爆発してしまったが、今週の週刊誌評へ話を戻そう。残念ながら大賞に該当する記事は見当たらなかったので、今週は3本を佳作とした。  まずは「現代」の記事。4月20日に「母乳調査・母子支援ネットワーク」(以下は母乳調査ネット)が発表し、それに慌てて厚労省が実施した母乳の放射性物質濃度の調査でも、福島・茨城・千葉の母親の母乳から高い濃度の放射線が検出された。  母乳調査ネットの代表・村上喜久子氏によれば、最初に調査を行ったのは3月24~30日で、高い母親で36.3ベクレルのヨウ素131が検出されたという。事故後2週間もたってからにもかかわらず、これほど高いというのは、元が非常に高いレベルの汚染だったに違いない。  内閣府原子力安全委員会専門委員を務めたことのある武田邦彦中部大学教授は、乳幼児は大人に比べて放射線の感度が3~10倍も高く、ガンの発生率も高くなることが分かっているとした上で、「たとえば福島県の空間放射線量が高い地域にお住まいの方ならば、空間からの放射線量だけで規制値いっぱいなのに、そこにたくさんの内部被曝が加わる。しかも大人より感度が高いわけですから、すべてが悪い方向にしかいかない。言いにくいことですが、それが現実なのです」と話す。  胎児へのがんのリスクについては、「オックスフォード小児がん調査」によると、「10~20ミリシーベルトという低線量でも白血病や固形がんのリスクが増えるとされている」。  ここで言っているように、ベント(原子炉格納容器の弁を開けて放射性物質を含む蒸気を排出する=筆者注)する前に、被曝の危険性を住民に知らせなかった東電や保安院の行為は犯罪的であり、その後も何の対策も取らず、ただ安全性を訴えるだけの政府も同罪であろう。  次は「ポスト」の記事。アメリカから派遣された、身分も名前も明らかにされない「アドバイザー」が、官邸に専用の部屋を与えられ、福島第一原発1号機の水素爆発を防ぐために窒素封入や格納容器の水棺作戦をアドバイスしていたことは、新聞でも報じられた。  しかもこの人物は当時、菅首相に代わって決裁権を握り、4月20日ごろに帰国したはずなのに、その後も官邸に顔を出しているというのだ。  彼は「ただの原子力の専門家」ではなく、オバマ大統領からの命を受け、「日米関係を悪化させることがないように指導する」(米民主党ブレーン)人間なのだそうだ。  「ポスト」はこういう状態をアメリカによる「第2の進駐」ではないかとし、震災復興よりも菅首相は、アメリカへの「貢ぎ物」を優先させたと批判する。  震災直後の3月末に、年間1,880億円にも上る在日米軍への思いやり予算を、5年間にわたって負担する特別協定を国会承認したのがそれだ。  大新聞は占領時代、GHQにすり寄り、彼らの批判など書かなかったが、震災後もそれに似て、米軍の「トモダチ作戦」を手放しで賞賛し、ビンラディン殺害も「首謀者の死は、大きな成果だ」(5月3日付読売社説)と礼賛報道一色ではないかと疑問を呈する。  続いて「ポスト」の記事。今回ウィキリークスが暴露した日米外交の秘話でも分かるように、政治家も官僚もアメリカにおべっかを使い、多額の日本人の税金を貢ぎ物として差し出している。このままでは、日本の農業を根絶やしにすると言われているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を、国民にほとんど説明もしないまま締結するのも間近かもしれない。  最後も「現代」の記事。冒頭、オランダ政府が公式に申し入れた海洋汚染調査を、外務省がひそかに拒絶していた外交文書があることから書き始めている。言うまでもなく福島第一原発から高濃度の放射能汚染水が海に垂れ流され続けているからである。同じようにグリーンピース・ジャパンの申し入れも拒絶した。  そうしておいて、斑目春樹原子力安全委員長の言葉に代表される「放射性物質は海で希釈、拡散される。人が魚を食べてもまず心配はない」といい続けているが、これは最大の公害事件と言われる水俣病の時と同じ言い訳だと断じる。 「希釈、拡散されるといって汚染物質をどんどん流し続ける、現在の福島の状況は水俣とソックリです。構図もよく似ていて、問題を起こした大企業のバックに国がいる。大企業も国も、問題を隠そうとする。水俣の時もすぐに海洋の汚染調査をしておけば、これほど患者が増えることはなかったでしょう」(水俣病訴訟で患者側弁護団長を務めた千場茂勝弁護士)  水口憲哉東京海洋大学名誉教授はこう言う。 「水産庁や国は本当はこう言いたいんですよ。『いま出るセシウムはチェルノブイリ由来のものだ』って。でもそう言うとまたややこしくなる。これまでチェルノブイリによる海洋汚染を隠してきましたから。『あんな遠いところでも影響があるのに、福島の放射能で汚染されないわけがない』と国民に思われたくないから、チェルノブイリの話ができないんですよ。でも1年後、高い数値が出てきたらこう言いだすと思います。『皆さん、チェルノブイリのときも知らずに食べてたんです。だから大丈夫ですよ!』と」  この国の政治家も官僚も、そして多くの国民も、水俣の教訓に何も学んでいないのだ。そんな歴史に学ばない国が、これからも先進国として生き残っていくのは、誰が考えても難しいと思う。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
職業としての政治 政治って、人を幸せにするものだよね? amazon_associate_logo.jpg
「人生を甘く考えている部分がある」佑ちゃんに抱かれた年上女性が苦言 "原発特攻隊"に誰がなる? 問われる日本の「正義」 「頑張って」はもういらない! 被災者支援、急ぐべきはカネと家と安心

「人生を甘く考えている部分がある」佑ちゃんに抱かれた年上女性が苦言

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「女性セブン」5月12・19日号より
第1位 「告白『私を抱いた佑ちゃんへ』」(「女性セブン」5月12・19日号) 第2位 「田中好子さんも勘づいていた!夫の『裏切りハワイ旅行』」(「週刊女性」5月10・17日号) 第3位 「50キロ自己規制 自分の身だけを守る卑怯な記者たち」(「週刊文春」5月5・12日号)  オバマ米大統領は5月1日夜(日本時間2日)、ホワイトハウスで、2001年9月11日の米同時多発テロを首謀した、国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者が死亡したと発表した。  アメリカの一部ではお祭り騒ぎのようだが、これで反米テロが収束するわけではない。ビンラディンは"殉教者"になり、勢いづく反米グループのアメリカ本土を狙ったテロが再び起こるのではないか。  オバマは「正義はなされた」と言った。だが、正義や大義はどちら側にもあり、ビンラディン殺害が、反米側の正義に大義を与える可能性は十分にある。  さて、今週気を吐いたのは女性週刊誌である。その前に、1ページの短い記事だが、大手メディアのだらしなさを批判している、上杉隆氏の記事を取り上げる。  政府は、福島第一原発から20キロ圏内を「危険区域」に設定して、20キロから30キロ圏内は避難指示を出さなかったため、大手メディアも「30キロ圏外は安全です」と繰り返し報じてきた。  しかし、もともと大手メディアの記者たちの多くは、社内規定で50キロ圏内に入っていけないと決まっているので、30キロ圏内はおろか20キロ圏内などに入ったことはないというのだ。  そうした大手メディアの身勝手さを上杉氏が取材してみると、その後変更された可能性はあるが、やはり「NHKが四十キロ、朝日新聞が五十キロ、時事通信が六十キロ、民放各局が五十キロ圏外に社員は退避、と定めていたのだ」。  自分たちははるか遠くの安全圏にいて、放射能汚染の不安に直面している被災地の安全をうんぬんしているのは欺瞞だと、氏は憤る。しかも、身代わりに、フリーの記者や制作会社のスタッフを行かせて、省みることがない。  こうした問題は、「週刊女性」でも扱っていて、こう書いている。 「4月14日、取材陣と警察が一緒に原発から10キロ圏内に入りました。同行したテレビ局は、NHK、TBS、フジテレビです。新聞は産経と毎日だけでした。読売や朝日、共同など、そのほかの新聞社や通信社は社の安全基準が厳しくて、取材に同行できませんでした」(全国紙社会部記者)  赴任地で戦争などが起きれば、真っ先に引き上げるのは日本の大手メディアである。そこに働く多くは、ジャーナリストとしての覚悟などなく、安定しているという理由でメディアに入ってきた連中ばかりである。  そんな人間に、今起きている大災害の真実を伝えることなど期待できないこと、言うまでもない。  第2位は、乳がんで55歳の若さで亡くなった元キャンディーズ・田中好子の夫のスキャンダルである。  こんな時期にこんな記事をやってという批判はあるだろう。だが、悲劇の裏にある人間ドラマを掘り起こすのも週刊誌の役割である。そうした編集部側の"覚悟"を含めて、第2位に取り上げた。  あれだけAKB48のスキャンダルを追いかけていた「文春」が、この合併号のグラビアで「原色美女図鑑スペシャル どこよりも早いAKB48総選挙予測」を恥ずかしげもなくやることに比べれば、なんぼかいい。  田中が結婚していたのは、夏目雅子(急性骨髄性白血病で27歳で亡くなった)の兄の小達一雄氏(56歳)。  「週刊女性」によれば、小達氏には10年ぐらい前から愛人がいて、現在40歳前後だそうだ。しかも、その愛人との間に「小学校高学年」くらいの女の子がいるのだが、そうしたことに「田中好子さんも勘づいていた」というのである。  目撃したのは昨年の7月14日。成田空港のハワイ・ホノルル行きのゲート前で、「パパ」と駆け寄る女の子に、「どれがいい」と、小達氏は優しく声を掛けていたそうだ。  二人のことをよく知る関係者は、こう言っている。「田中さん、探偵をつけたり、自ら張り込んだりもしたそうです」。また、小達氏は、母親に「オレの子供に会いたくないか、孫を抱いてみないか」とも言っていたのだそうだ。  合併号中ということもあって、後追い記事はまだ出てこないが、他誌がどうこれを扱うのか、注目したい。  今週の大賞に輝いたのは、元ハンカチ王子こと日ハムの斎藤佑樹投手(22歳)のスキャンダル。  何といってもタイトル横の斎藤の写真がいい。キャプションに「ラブホテルでくつろぐ斎藤」とあるが、心を許した女性の横で、セックスの後で疲れたのか、まどろんでいる斎藤の何とも言えないかわいい寝顔は、男でもほおを寄せたくなる。  年上の女性に導かれて童貞を失うということは、男にはよくあるパターンである。だが、斎藤にはずいぶん浮いたウワサがあったから、そうではあるまい。しかも彼女は斎藤より一回り近く年上だという。  彼と彼女が出会って親密な関係になったのは、斎藤が大学1年の6月から翌年の4月ごろまで。きっかけは、彼女が送ったファンレターだった。1カ月ほどして、斎藤からメールが来る。最初はメールや電話のやりとりだったというが、こんなことを斎藤が言っていたそうだ。 「"投げる前は何考えているの?"と聞くと、"ヒーローインタビューで何を話そうかって考えてる"」  二人が初めて会ったのは07年6月28日。日米大学野球選手権大会の日本代表に選ばれた斎藤が、アメリカへ出発する前日、「時差ボケしないために朝まで一緒にいてほしい」と言ってきたのだそうだ。なかなか手なれた口説き文句だ。  その後は、高田馬場や練習場と寮のある東伏見のラブホで逢瀬を重ねた。写真のほかに「斎藤が自己紹介」した動画もあるそうだから、こっそり隠し撮りしたのではないようである。  彼女があれと思ったのは、ホテル代は彼女持ちだし、大変な「パパ好き」なことだった。 「毎回父親の話をするし、"お父さんのことが好き"だって言っていました。正直、20歳の男性なのに大丈夫かなって思いましたね」  彼女が今回、斎藤の話をしたのは、どうやら複雑な彼女側の事情があるようなのだが、それは省く。彼女が斎藤に言っておきたい言葉が、現在の斎藤にピタリと当てはまるのがおかしい。 「彼は、ちょっと人生を甘く考えている部分がある。これまで、たくさんのことを彼に話してきました。最後にあなたに教えるけど、"これが勉強だよ"っていうことを言っておきたいんです」  現時点で、2勝無敗。打たれながらも打線の援護を得て、勝ち星は挙げている。だが、テレビでも見た元投手の解説者が、斎藤のピッチングを30過ぎのピッチャーのようだと評していた表現が、的を射ている。  元巨人の桑田真澄氏(43歳)は、背は斎藤ほどもないだろうが、しなやかなフォームから投げ込むストレートは威力があった。だから変化球が生きた。  ストレートの速くない変化球だけの投手では、早晩つぶれること間違いない。女も人生もプロ野球も甘く見ているとしたら、今回のように手痛いしっぺ返しを食う。今は目の前の1勝よりも、体を鍛え、投げ込み、もう少し速いストレートを投げられるようにすることだ。今回のスキャンダルを機に、甘かった自分を反省して、もっと高みを目指してほしいものである。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
ハンカチ王子・斎藤佑樹投手になりきりマスク 怖ろしく似ていない。 amazon_associate_logo.jpg
"原発特攻隊"に誰がなる? 問われる日本の「正義」 「頑張って」はもういらない! 被災者支援、急ぐべきはカネと家と安心 福島第一原発事故 アメリカ大使館の動向が東京脱出のバロメーター?

"原発特攻隊"に誰がなる? 問われる日本の「正義」

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「週刊文春」4月28日号 中吊り広告より
第1位 「玄葉国家戦略担当相 復興を裏切る大スキャンダル」(「週刊文春」4月28日号) 第2位 「菅官邸が隠した『被曝データ6500枚』」(「週刊ポスト」5月6・13日合併号) 第3位 「新連載 辛坊治郎の甘辛ジャーナル」(「週刊朝日」5月6・13日合併号)  4月25日、3月に亡くなった日本テレビ元会長・氏家齊一郎氏の「お別れ会」へ行ってきた。遺影の写真は最近のものなのだろう。やや頬が膨らんではいるが、メガネからこちらを見つめる眼光は、カミソリのように鋭い。だが読売新聞主筆・渡邉恒雄氏が「お別れの会」のパンフで書いているように「心こまやかな配慮をする男」であった。  日テレの社長の時、私にこう言ったことがある。「おまえさんをテレビに出そうと思うんだが、しゃべり方がこもるからな」。要は滑舌が悪いというのだが、顔がテレビ向きじゃないと言わないところが、氏家さんの優しさだった。  帰りに東西線大手町駅のキオスクをのぞくと、「現代」が売れているようだった。キオスクのおばさんが、「原発の記事が多いからね」と言いながら、奥から10冊ばかり引っ張り出して平台に並べていた。  原発の危機を声高に叫び続ける「現代」のやり方は、週刊誌を売るための常道だから、それ自体批判されることではない。だが、気をつけなくてはいけないのは、恐怖感も時間がたつとだんだん麻痺してくることだ。  原発危機をクローズアップすることで、地震と津波の被災者たちへの支援が、ほとんどと言っていいほど進んでいないことへの憤りを薄れさせてはいないか。  非日常が長くなると、それさえも日常化していく。「朝日」の「東電が公表しない衝撃の『放射線量詳細データ』」では、福島第一原発敷地内に書き込まれた放射線量地図に4月21日、原発3号機の近くで「毎時900ミリシーベルトのガラ(水素爆発で出たガレキのこと=筆者注)あり」とあったという。  確かにゾッとする数字だが、以前より驚かなくなっている自分がいることに気付く。そのことが怖い。広瀬隆氏の言うように「マグニチュード8クラスの東海地震がごく近い将来起こることは、百パーセント間違いない事実」だとすれば、全国にある原発を早急に総点検するか停止しなくてはいけないはずなのに、そうした声は大きくならない。  これだけの大事故を起こした原発を、現状のままでいいと肯定する人たちが半分以上いることの不思議。世界から見てもそうだろうが、同じ日本人としても理解し難いものである。  今週の第3位は、ジャーナリスト辛坊氏の連載コラム。彼は原発事故以来考えていることがあるという。チェルノブイリ原発事故では約30人の消防士の命が失われた。彼らが命を投げ出して核燃料の制圧に当たったためである。  では、福島原発で、震災のためにすべての冷却システムが停止して燃料棒が溶融を始め、格納容器の弁を開けることで惨事が食い止められる(実際には爆発してしまったのだが)としたとき、誰がそれを行うのが適当と考えるかと、辛坊氏は読者に問う。  何やらサンデル氏の「正義とは何か」のようだが、消防士や自衛隊にそれを命じることができるか? 原発を安全だと言い続けてきた学者や政治家、役人から選抜する? または組織のトップである東電社長・原子力委員長・保安院長・経産大臣・総理大臣はどうか? 死刑囚のなかで、最後に人類の役に立ちたいと志願してきた人物に弁を開かせるのは正義だろうか? 考えてほしいと読者に投げ掛け、最後に「しかしその一方で、何が不正義かははっきりしている。それは、国の原子力政策に一切の発言権を持たず、長年東京電力の正社員よりも低賃金で働いてきた地元の下請け企業の作業員に、その命懸けの仕事を押し付けること」だが、今の福島原発では、その不正義が罷り通っているのではないかと問い掛ける。  辛坊さん、来週号で自分の考えを書いてくれるんでしょうね。  「現代」でも同様の企画をやっている。「平成の特攻隊『フクシマ50』に突入命令を出せますか」がそれだ。誰かがやらなければならないのなら、まだ進んでいるわけではないがと言いながら、政府関係者が、「最後には特攻隊を政治の責任で結成するという案が出ています。メンバーの対象は65歳以上で、1日の報酬は10万円、一回の作業は30分程度。これを月に2~3回やってもらうというものです」。  上等じゃねーか。福島原発をジジ捨て山にしようとするならば、まずは65歳以上の政治家(菅首相は64歳だが当然行ってもらう)、元官僚、東電のたんまり退職金をもらった旧役員たちに行ってもらおう。その次なら、笑って行ってやってもいい。  「ポスト」は、先週はSEX特集、今週は、国友やすゆきの濡れ場ばっかりマンガ「時男」を始めた。そんなに焦らなくてもいいのに。  第2位はその「ポスト」の記事。前段は、先週号で電力供給量は足りているとスクープしたために、慌てて東電が供給量の水増しを発表したと自画自賛。  それに続けて、原発事故発生直後に「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(通称SPEEDI)」が稼働し、「試算図」6,500枚が原子力安全委員会などに送られているのに、一度も「放射能情報」が発せられることはなく、公表されたのはそのうちの2枚だけなのはなぜかと菅政府を追及している。  「ポスト」は、3月23日に公表された試算図を見ると、放射性物質が30キロ圏の外側にもせり出していて、圏外でも拡散していたことが分かるのに、1カ月もたってから「計画的避難地域」などという訳の分からない名をつけて、その地域の住民に「避難して」と方向転換したのは「政治犯罪」だと非難する。  その上、その試算図を送られた周辺市町村には、「原子力安全委が公表するので、県が勝手に公表してはならないと釘を刺されました」(福島県災害対策本部原子力班)というのだ。これではチェルノブイリ事故を隠して大量の被曝者を出した旧ソビエト政府とまったく同じ歴史的大罪であると断じる。  そのほかにも、菅首相が設立した「東日本大震災復興構想会議」が、復興よりも増税ありきで、それに大新聞が無批判に乗っかっているのは、会議のメンバーに朝日と読売が取り込まれているからだとする。 「この利権にまみれた『政・官・報トライアングル』の利害が、国民の利害と決定的に相反することである」  被災地の復興支援が遅々として進まないのに、増税の話が独り歩きしているおかしさに、田原総一朗氏も愛想を尽かしたようで、「朝日」のコラム「そこが聞きたい! ギロン堂」で「この国を救うため、菅首相抜きの連立政権を作るべきである」とおっしゃっておる。  震災報道の中で気を吐いているのは「文春」だと思うが、今週も第1位は「文春」の巻頭スクープ。  現在、菅政権の中枢で国家戦略担当大臣をしている玄葉光一郎氏が、我利我欲のために、地位を"悪用"して選挙区に大量のガソリンを送ったというのだ。  それが起きたのは地震からまだ5日後の3月16日。原発から30キロ圏内の福島県田村市に、緊急支援という名目で大量のガソリンが運ばれてきたのだ。  その当時、福島県民の多くが、避難したくても、病院に行きたくても、ガソリンがないために車を動かせず困っていた。  このとき配布されたガソリン・スタンドは、田村市11店、いわき市7店、南相馬市2店だった。  いわき市の人口は田村市の8倍もあるのに、4店も少ない。その上30キロ圏内に含まれるのは、飯舘村、浪江町、双葉町などほかにも多くある。なぜ田村市へ大量のガソリンが運ばれたのか。  玄葉大臣の地元選挙区だからだ。  当然のことながら玄葉氏は、「文春」の取材に答えて、資源エネルギー庁に選定を任せたので、田村市を優先してくれと指示したことはないと弁明する。  しかし、資源エネルギー庁の資源・燃料部政策課はこう言っている。 「緊急供給する前日の15日の夜、玄葉先生がわが庁の上の方に電話を入れ、『田村市、いわき市、南相馬市にガソリンを配給してくれ』と要請なさいました」  車が動かせないために病院へ行けず、死亡した人もいると聞く。政治家失格はもちろん、これはタチが悪い。「今回の疑惑は、政治家としてのみならず、人間の根幹に関わる重要問題」(文春)。菅内閣の命運が尽きようとしているのは間違いないようだ。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
これからの「正義」の話をしよう 教えてください。 amazon_associate_logo.jpg
「頑張って」はもういらない! 被災者支援、急ぐべきはカネと家と安心 福島第一原発事故 アメリカ大使館の動向が東京脱出のバロメーター? 「日本人よ、声をあげろ!」直言居士・嵐山光三郎が吠える

「頑張って」はもういらない! 被災者支援、急ぐべきはカネと家と安心

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「週刊ポスト」4月29日号
第1位 「『がんばって』と言うな!」(「週刊ポスト」4月29日号) 第2位 「東京電力レベル7『福島第一原発』の反乱」(「週刊文春」4月21日号) 第3位 「福島第二原発『封印された倒壊現場』」(「フライデー」4月29日号)  3位は「フライデー」。最初、福島第一原発の写真だと思っていた。施設は倒壊し、津波に押し流された車が折り重なり、トレーラーが横転している。2号機と3号機の建屋のクレーンの折れたアームがぶら下がったままである。  ひでーな。そう思ってタイトルを見ると、これは福島第二原発の写真なのだ。第二原発から10キロメートル圏内の住民には、今も避難指示が出されている。  これで第二原発は大丈夫なのだろうか? こちらの情報は何も出ていない。  別ページだが、第一原発から20キロ圏内に放置されている馬や牛、犬などの死骸写真が哀れである。  私も4月13日と14日にかけて福島へ赴き、第一原発の正門まで車で行ってきた。その場所では、ガイガーカウンターで測った「車内」の放射線量が100マイクロシーベルトを超えた。とても外に出る気にはならない。  20キロ圏外でも、場所によって土の上では600マイクロシーベルトを超えるところがある。途中、放たれた牛たちが群れを成し、野犬がエサを探してうろついているのに何度も出会った。  蛇足だが、「小泉孝太郎『超高級会員制クラブホステスと蜜愛』」もいいよ。  第2位は「文春」の一連の東電関連の記事。今や反東電の旗頭になった「文春」、今号の「大放言30分! 藤本副社長を直撃」も面白いが、「もうやってられねえッ!」といって東電本社幹部を怒鳴りつけた、福島第一原発吉田昌郎所長の話が興味深い。  彼は「免震棟」と呼ばれる、復旧に全力を傾けている男たちが居る棟の責任者である。  4月8日から、水素の濃度が高まった原子炉内で爆発が起こるのを防ぐため格納容器に窒素を注入する作業が始まったが、これに至るまでに吉田所長と東電幹部との間で激しいやりとりがあったというのだ。  アメリカの進言によって、1号機への窒素注入を指示した東電幹部に対して、予想もつかないことをやるのは大きなリスクとなるから、今はやるべきではないと、吉田所長は強く反対した。  技術者としてのプライド、アメリカ側からの突然の横やりに対して反乱を起こし、ついにこう言ったというのだ。 「それでも窒素注入をやれと言うのなら、オレたちはこの免震棟から一歩も出ない! ここで見ている!」  この反乱の裏には、積もり積もった幹部たちへの憤まんがあった。 「本社はいつも、頑張れ、頑張れ、と言うだけだ!」  そう吐き捨てて、「もう、やってられねえッ!」と言い放ったのだ。  東電本社は何とか吉田所長を説得し、渋々ながら吉田所長も窒素封入を決断したのだが、以来、両者の間では微妙なコミュニケーション不足が続いているという。  この反乱の原因がアメリカからの"進言"に端を発したことに注目し、本来は菅直人総理が決断すべき国家の意思決定プロセスに、アメリカを介入させていいのかと、「文春」は疑問を呈する。  国家の危急存亡の時、当事者の東電内が一枚岩ではなく、リーダーシップのない政治家たちは国民に「頑張って」としか言えない国とは、いったい何なのだろうか。  さて、「原発危機をあおりすぎる」という「ポスト」の「現代」批判は、「新潮」にも取り上げられたが、確かに「現代」の表紙を見ていると、これでもかというほどの「危機」のオンパレードである。  「原発列島ニッポンの恐怖」「レベル7 現実は想像を超える」「静岡浜岡原発 まるでフクシマ」などなど。  「ポスト」の、もう少し冷静にという編集姿勢は買える。だが、売れるのは「現代」の方である。そこで苦肉の策だろう、「ポスト」は早々とSEX特集を復活させた。  「大研究 夜這いとSEX」がそれだが、まだ時期尚早だと思うがね。  今号の巻頭「極秘資料入手!『原発完全停止』でも『停電』なし」は、「揚水発電」という夜間の余剰電力を利用して下貯水池から上貯水池にポンプで水をくみ上げ、日中の電力消費の多い時間帯に水力発電をする仕組みだが、これを使えば1,050万キロワット増える。その上、もともと東電には7,800万キロワットの供給能力があるのに、それを隠ぺいして、計画停電に踏み切るのは「偽装」ではないかと追及している。  この背景には、原発を推進したいアメリカや原発大国フランスの思惑があり、菅総理は操られているのではないかとも批判する。  確かに計画停電の「脅し」は、これだけ原発の危機が目の前にあるにもかかわらず、原発やめろという国を挙げての大合唱にならないことからも、功を奏しているのは間違いない。  原発の生みの親である正力松太郎を元社主に持つ読売新聞が、「原発支持が56%」という世論調査を掲載したのは驚かないが、朝日新聞の世論調査(4月18日)でも、原子力発電の利用には「賛成」が50%というのを見ると、呆然とするしかない。  この国の人間は、どこまでいけば懲りるのだろうか。  他誌とはひと味違う誌面作りをしている「ポスト」で、私が注目したのは「『がんばって』と言うな!」という特集である。短いのが不満だが、多くの人がおかしいと思っているところを突いている。  大震災が起きた当初、ACジャパンのCMばかりが流れて批判が出た。このCMでは、大震災で被災した人たちを励ます「頑張って」「一人じゃない」という善意と応援のメッセージがあふれているが、この言葉を被災した人たちがどんな気持ちで聞いているのかに、思いをはせるべきだという記事である。 「長引く避難所生活の中で、"頑張って"と言われても、どう頑張ればいいのか。他人事だからそんな風に言えるんだって、正直、ムカついてくる」(30代男性) 「期待を持たせるような言葉はもう要りません。"一人じゃない"なんて甘いことより、むしろもう"ダメならダメ"と、はっきり言ってほしい」(福島浪江町の50代女性)  テレビCMの「あいさつの魔法」が流れると「すぐに消す。あのCMを見ると、俺の目の前で津波に巻き込まれて行った家族の姿が甦るんだ」(40代男性)  気仙沼の50代男性は、2週間ぶりに遺体が発見された父親の通夜の席で、「遺体が見つかって良かったですね」と参列者に言われ、「死んだのに"良かったね"なんて、人に言われたくないんです。逆の立場だったらどんな気持ちがするか考えてみてほしい」と話す。 「一片の悪意がなくとも、畢竟"上から目線"を帯びてしまう。私たちはそれを複雑な思いで受け止める被災者がいることに、鈍感であってはならない。一人一人に深い想像力が問われている」と結んでいるが、その通りである。  私も、南相馬市の津波被害の現場を見た時、言葉を失った。絶望の底にいる、被災し、身近な人を失った人たちに、頑張ってなどという軽い言葉など掛けることはできない。  有名人を登場させ、君たちと一緒に日本を信じてやっていこうという非被災者のむなしい言葉を、被災者はどう聞いているのかに、彼や彼女たちは気付いていないのだろう。  だいぶ前に「同情するよりカネをくれ」というフレーズが流行ったことがあったが、心底、被災者が欲しいのは「カネと家と安心」であろう。それをこそ急がなくてはならないはずだ。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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