「何が悪いんですか?」ヤフオクに勤しむ"バカ補佐官"のあきれた言い訳

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「週刊新潮」2月2日号 中吊り広告より
第1位 「ネットオークション三昧の『バカ首相補佐官』」(「週刊新潮」2月2日号) 第2位 「激震スクープ! 福山雅治・吹石一恵『超厳戒忍び愛』撮った!」(「フライデー」2月10日号) 第3位 「スクープ 警察庁が秘かに作った『天下り斡旋会社』を掴んだ」(「週刊ポスト」2月10日号)  今週も大地震が来るという特集を各誌でやっている。「もう避けられない東京直下型大地震」(週刊現代)、「首都破壊『大津波』を生き延びるための基礎知識」(週刊新潮)、「首都直下型地震 最悪のシナリオ」(週刊朝日)。  各誌のタイトルを見ているだけで、地震の来ない国へ行ってしまいたい気持ちになる。 これまでこの件について触れていなかった新聞も、「東京大学地震研究所の研究チームが、マグニチュード7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生するという試算をまとめた」と読売新聞がスクープした。  この情報の出方を見ていると、どこか(政府機関)が情報リークをしていると思わざるをえない。国民がパニックを起こさないように、初めは週刊誌に書かせ、それから新聞。テレビでやり出したら切迫してきたと思わなくてはいけない(そう思っていたら1月30日のNHK『ニュースウオッチ9』で大地震が来るか? という特集をやっていた。これってマジやばいぞ)。  的中してほしくはないが、相当な確率で数年以内、もしかすると明日、大地震が起きても不思議ではない危険水域にあるのだろう。  「現代」によれば、津波などを除くと一番危険なのは寝室だそうである。寝室にあるタンスやテレビが飛んできて押し潰されるのだ。早速、寝室のタンスやテレビ、本箱には転倒防止をしなければ。  さて、今週の第3位はジャーナリスト・青木理と「ポスト」取材班による警察庁の告発ルポ。  民主党が高々と掲げた「天下り斡旋の根絶、公務員制度改革」は選挙のときだけの口先公約でしかなかった。  民主党政権誕生前の2007年、安倍晋三内閣のとき、各省庁によるOB天下りの斡旋を禁じる改正国家公務員法が成立している。  内閣府に「官民人材交流センター」を設置し、国家公務員の再就職斡旋をここに一元化。これに違反すると、最高で懲役3年以下の刑事罰が科せられることになったのだが、今も法の網をかいくぐって天下り斡旋が行われている。  しかも、「法と秩序の番人」たるべき警察組織のトップが、国家公務員法の規定をないがしろにし、OBたちの天下りを斡旋するダミー会社をつくって「脱法行為」をしているというのだから、あきれ果てるではないか。  そのダミー会社は千代田区平河町にある「株式会社サン綜合管理」。同社の代表取締役に就いているのは人見信男で、東大法学部を卒業して72年に警察庁入りし、警視庁副総監や交通局長などを歴任した大物警察官僚OBである。  すべての役員が警察官僚OBで固められており、会社設立から半年にも満たない08年9月1日に、登記上の目的欄に「職業紹介事業」という一項が追加された。改正国家公務員法が成立してから間もない時期である。  警察庁関係者がこう話している。 「実際の斡旋や調整は(警察庁の)長官官房人事課の意向に則ってやるわけだけれど、あくまでも民間の会社がやっていることだという建前を押し通せば、違法行為ではないと言い逃れることができる」  そのために警察庁で人事課長もやり、天下りやOB人事のウラもオモテも知り尽くした人見に白羽の矢が立ったというのだ。  人見にも直撃して「後輩のために天下りの斡旋」をしていることを認めさせている。  政権交代の混乱のために公務員制度改革は迷走し、「官民人材交流センター」も機能停止しているからといって、法の番人である警察自らが巨大な利権を維持し、裏支えするために限りなく違法に近い「脱法行為」をしていいはずはない。  そうでなくとも近年、風俗やパチンコ業界なさまざま々な分野で「規制権限」を強め、キャリア官僚を中心とする天下り利権を拡大させてきているのだ。  先頃整備された「暴力団排除条例」も、背後には警察OBたちの天下り先拡大の狙いがあるといわれる。暴力団関係者との接触に神経を尖らせる企業が警察OBを受け入れる動きに出ているからである。  この問題はぜひ国会で取り上げ、追及してほしいものだ。  福山雅治といえば、私でもよく知っている超大物俳優である。これまでも内田有紀や白石美帆、小西真奈美などとウワサになったが、しばらくして消えていった。 「福山は、女性ファンからのイメージを本当に大切にします。(中略)外で女性とふたりきりで食事をすることもないので、誰も交際の確証が得られないんです」(芸能プロダクション幹部)  その福山に、真剣交際している若手女優がいるというのだ。しかも、その彼女は涙ぐましいほど福山のことを想って、人目を忍んで福山のマンションに出入りしているというのである。  その女性の名は吹石一恵。現在、大河ドラマ『平家物語』で非業の死を遂げる清盛の母を熱演中である。  12月中旬の深夜0時前。吹石が大きなバッグとペット用のキャリーを持っている姿が捉えられている。キャリーの中はパンダ柄のウサギ「大吉くん」。タクシーで彼女が目指したのは福山のマンションだった。  ふたりの出会いは11年前になるという。雑誌「an・an」(マガジンハウス)の企画で、福山が当時18歳だった吹石の高校卒業記念に撮影したのがきっかけだった。  昨年の12月25日、クリスマスの夜にも、大きなバッグを持って福山のマンションへ向かうところを目撃されている。だが、マンション手前でタクシーを降りた吹石はエントランスのカードキーを取り出したが、近くに見慣れない車が止まっているのを訝り、またタクシーで戻ってしまった。 「彼女は、福山がファンのイメージをとても大切にしているのを分かっているのでしょう。だから福山に迷惑をかけないように、会うのは常に彼のマンションなのだと思います」(音楽プロデューサー)  男のことを想い、夜の闇に隠れて逢瀬を重ねる女。何とも切なくいじらしい女心ではないか。「吹石頑張れ!」とでも言いたくなるね。  今週並みいる傑作を押しのけてグランプリに輝いたのは「新潮」の「バカ補佐官」。  「新潮」に呼び捨てされているのは手塚仁雄(よしお)代議士、45歳。野田佳彦総理の首相補佐官殿で、野党と官邸の間に立って野田総理の意思を伝え、意思疎通をはかる重要な立場にいる。  野田総理を利用して自分の選挙を有利にしようとしていると批判されているが、それはともかく、多忙を極めているはずの手塚が、実は政策秘書までこき使ってYahoo!オークションの競売に熱心なのだというのだからあきれ果てる。  この特集はモノクログラビアとセットである。手塚がヤフオクに出品した品々が出ていて、その小見出しが「いらっしゃいませ!手塚商店国会営業所」とある。実にうまい!  ボッテガヴェネタのボストンバッグの商品説明には「海外の正規店で購入した時は40万円以上でした」とあり、現在の状態が事細かに書かれている。これだけでもかなりの時間がかかりそうだ。しかも、そのボストンが撮られた場所が議員会館の会議室だそうだ。  ハンドルネームには息子の名前を使い、IDに含まれる数字は「440」(よしお)。昨年6月から約240日間に取引された件数は最低でも241回。土日もなく取引に励んでいたというのだから、もはやビョーキの域なのではないか。  出品している品は「マーク&ロナ 新品スカルポロシャツ」「グッチ ナイロン製ミニリュック」「フェラガモ ビジネスバッグ」「越乃寒梅 大吟醸 超特選」など幅広い。  競り落とした品はミニカーが多いようだが、9万400円で「クロムハーツのブレスレット」、26万9800円で「ボッテガヴェネタ メンズバッグ」。  ヤクオクに出品する品には必ず写真が添付されるが、先に触れたように、いくつかの品は議員会館の部屋で撮ったようだ。  ある人物が商品を落札したところ「国会内」と書かれた切手が貼られた上に、振込先の名義がテヅカヨシオで、送り主は彼の秘書だったそうだ。  「新潮」の取材に対して手塚の弁明がすこぶる面白い。彼から送られてきた封筒に「国会内」と書かれた切手が貼られていたが、という質問に対して「国会の郵便局から出して何が悪いんですか」と開き直る。  やりとりの中で、プライベートな取引に使用するIDまで秘書に使わせていたことを白状する。  さらに、議員会館内で品物の写真まで撮っているのは公私混同と批判されても仕方ないのでは、という質問に対しても、こう答えている。 「国会議員の特権を使っているわけでもないし、趣味の延長だし、こんなことでの取材自体、ちょっと度を越していると思います」  度を越しているのはあんたのほうではないか。  この御仁、私的なヤフオクの取引のために、会館で写真を撮ることや秘書を使うことが、国会議員の「特権」の乱用で、税金の無駄遣いであることにも気づかない。  間の悪いときは仕方ないものである。「現代」のカラーグラビア「人生の相棒」という連載にもトイ・プードル「権之助」と一緒に締まりのない顔で手塚が写っている。  キャプションに「総理補佐官に就任。(中略)多忙な毎日を送っている」とあるが、これは「ヤクオクへ掲載する品の物撮りや、商品発送、落札などで超多忙な毎日を送っている」と書き直したほうがいい。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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サムスンの躍進を止められるか!? 落日パナソニックに迫られる刷新の時

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「週刊文春」1月26日号より
第2位 「衝撃スクープ 金正男 独占告白!『金正恩、わが宿命の弟よ』」(「週刊文春」1月26日号) 第2位 「落日パナソニック」(「週刊東洋経済」1月28日号) 第3位 「M8M9大地震 そのとき最悪の場所にいても『生き延びる』方法を教えます」(「週刊現代」2月4日号)  この原稿を書く朝は、その日発売される週刊誌の新聞広告のタイトルを、ワイドの一本一本まですべて見て、あらかじめこれはと思う記事を絞っておく。  だが実際に読んでみると、羊頭狗肉の記事だったりすることもある。また、予期しなかった記事が面白くて読み耽ってしまうことがある。  今週でいえば、「東洋経済」は「暴力団対策と企業」という特集が読みたくて買ったのだが、パナソニックの記事が面白くて全20ページを一気に読み通した。  これについてはあとで触れるが、まずは「現代」の地震の記事から。  今朝(1月23日)の読売新聞1面にこんな記事が載った。 「マグニチュード(M)7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生するという試算を、東京大学地震研究所の研究チームがまとめた。(中略)昨年3月11日の東日本大震災をきっかけに、首都圏では地震活動が活発化。気象庁の観測によると12月までにM3~6の地震が平均で1日当たり1.48回発生しており、震災前の約5倍に上っている。同研究所の平田直(なおし)教授らは、この地震活動に着目。マグニチュードが1上がるごとに、地震の発生頻度が10分の1になるという地震学の経験則を活用し、今後起こりうるM7の発生確率を計算した」  先日、政府の地震調査研究推進本部が発表した「首都直下を含む南関東の地震の発生確率は30年以内に70%程度」と比べて、はるかに早く大地震が起こると予測している。  このところ「現代」ばかりでなく、サンデー毎日「覚悟すべき巨大地震と本当の備え」、週刊文春「『M8M9大地震予知』を一挙公開」、プレイボーイ「四連巨大地震急接近中!」と、各誌取り上げだした。  いつかは必ず来る首都圏直下型大地震。もはや悠長に構えている場合ではないのかもしれない。  「現代」はモノクログラビアで、日本列島が「地震の巣」と化していると図解している。気象庁は、この1年間に発生した震度1以上の地震は9,723回で、前年の7.4倍にもなっていると発表した。  京都大学防災研究所・地震予知研究センターの遠田晋次准教授はこう語っている。 「3.11以降、地震に対しもっとも注意すべき地域は、首都圏だと思っています」  M9という日本史上最大級の地震により、大陸間プレートや断層が押し合う力に変化が生まれ、以前よりも地殻のストレスが増してしまった場所がある。  首都直下は1855年の「安政江戸地震」以来およそ150年起きていないが、3.11の地震の影響で再発時期が早まっている可能性があるというのである。危険度は震災前に比べて2~3倍に増したという。  大地震の激しい揺れをどこで迎えるのかは生死にかかわるが、そればっかりは選べない。地下鉄、高層ビルで被災したらどうすればいいのかを、特集で解説している。  まずは地下鉄。3.11のときは東京メトロ飯田橋駅につながる地下道に水が流れ出した。0メートル地帯や河川のそばにある地下鉄出口は危険性が高い。  和田隆昌災害危機管理アドバイザーによれば、水かさが増す前に線路に降りて、とにかく高いところへ逃げることだという。トンネル内にはエリアによってかなりの高低差があるから、低い駅から高い駅に1駅移動するだけで被害を免れる可能性がある。  地下鉄内には「非常口」がないから、駅を目指すしかないのだ。  東京スカイツリーの展望台で地震に遭遇したら、ゆっくりとした大きな揺れが長く続く長周期地震の影響を受ける可能性もあるので、窓辺から離れ、なるべく建物の中心に近い場所にある手すりなどを掴んで揺れに対処する。  高層ビルのエレベーターに閉じこめられたら、床に座り扉を叩いて救助を呼ぶ。そのとき役に立つのがレジ袋だそうだ。閉じこめられている間の排泄物入れに使える。  同じように比較的安全だといわれるトイレに閉じこめられたら、水を流さず、タンクの水をいざというときの飲料水としてとっておくのがいいそうだ。  その他に、手術前は、手術中だったら、動物園で猛獣の前にいたらと、懇切丁寧に教えてくれているが、このようなことが役に立たないように祈るしかない。  「東洋経済」の大特集「暴力団対策と企業」は、暴力団の実態や暴力団排除条例とはどういうものかというQ&A、主要企業・業界団体へ「暴排条例」アンケートなど充実した内容で、企業の総務担当者は必読だろう。  これを読もうと買ったのだが、パナソニックの記事を読み始めたら止まらなくなってしまった。  SONYやパナソニックのような大企業が韓国のサムスン電子などに押されていることは知っているが、ここまでひどいのかとため息をつかざるをえない。  クルマでも韓国の現代自動車が躍進していて、トヨタも日産も安穏としてはいられないそうである。  たしかに韓国の企業の躍進ぶりは目覚ましいが、パナソニック落日の要因は、歴代経営者たちの判断ミスが大きいようだ。  これまでのような周期で社長交代があるとすれば、今年2月下旬に交代が発表されるのではないかといわれている。3人の有力候補がいるそうだが、中でも「この男ならば」と社員やOBたちにいわれているのが津賀一宏(55歳)だそうだ。  技術畑で出身で04年に最年少で役員に就任。彼は上に対しても直言することで有名で、パナソニックの主力であるプラズマテレビのパネルをつくるために2,100億を投じた尼崎第3工場を、すぐ閉めるべきだと主張したことがある。  その工場は1年半前に稼働させたばかりの最新鋭工場だったが、津賀の発言から3カ月後に停止された。また40型のプラズマテレビなどの不採算部門から撤退し、テレビ部門の55歳超の社員を2011年内に全員退職させたのも彼だった。  彼の「執行力」に経営者としての資質ありとみているようだ。ただネックは55歳という若さだという。  今の株価は611円(1月17日)。サムスン電子の時価総額はパナソニックの1.5兆円に対して10兆円。勝負あり。  こうしたパナソニックの凋落の原因を「経営の失敗」だと断じる。中村邦夫という存在が大きすぎて世代交代を遅らせてしまったこと、組織風土が旧態依然の思考様式から脱却できないことだと手厳しい。  中村院政の下、今の大坪文雄社長は「工場長型であって経営者ではなかった」という批判が社内にある。  柱であるテレビ事業の躓きは、中村がぶちあげた「プラズマテレビに社運をかける」というプラズマ拡大路線だったが、液晶との戦いはパナソニック側の無惨な敗北となってしまった。  中の2ページコラム「中村邦夫という聖域」で、中村がビジョンに優れたリーダーだったら院政を敷いてもよかったが、彼にはそれがなかったため、軌道修正ができず、誤った方向へパナソニックを走らせてしまったとしている。  パナソニックが世界で勝てる商品は「僅少」だ。カーナビ、冷蔵庫、家庭用エアコン程度しかない。次世代テレビといわれる有機ELテレビでもサムスンに大きく水をあけられ、パナソニックは「不戦敗」。  ブランド力が低下し、グローバル展開もままならず、高齢化(平均年齢44.6歳)に悩むかつての巨人の姿は、トヨタの将来を暗示しているようでもある。  次世代のクルマといわれる電気自動車においても苦境に立っている。なぜならパナソニックの生産しているのはニッケル水素電池で、車載用電池はリチウムイオン電池が主流なのだ。まさに四面楚歌。  特集の最後をこう結んでいる。 「車搭載用リチウムイオン電池の開発は、世界で始まったばかりである。パナソニックにも等しく与えられたチャンスを生かせるかは、ひとえに、首脳陣の決断にかかっている」  「東洋経済」という経済専門誌がこうした特集を組んだことに拍手したい。今でもパナソニックは、国内最大級のシェアを誇る広告出稿企業である。一般週刊誌でこれだけの厳しい批評力をもって特集が組めるだろうか。  編集者はみんな、この特集を読むべきだと思う。  「文春」が「金正男 独占告白!『金正恩、わが宿命の弟よ』」をやっている。これは"世界的スクープ"だが、残念ながら東京新聞編集委員の五味洋治が文藝春秋から出す『父・金正日と私』(1月20日発売)のパブ記事であるために、東洋経済と同じ第2位とした。  五味は金正男(40)に過去2回、延べ7時間のインタビューをし、約150通のメールのやりとりをしたそうである。  正男は金正日総書記に溺愛され9歳の頃からスイスに留学したが、その後、正日が再婚して子どもができたためそちらへ愛情が移り、外国に置かれたまま放任されているうちに、本人曰く「完全な資本主義青年」になったそうである。  そのためか父・正日にも直言することができ、核実験やミサイル発射実験したときには、国際社会が憂慮していると言ったという。  彼が1月3日に送ってきたメールにはこうあった。 「この世界で、正常な思考を持っている人間なら、三代世襲を容認はできません」  正男は正恩とは一度も会ったことがないそうだが、正恩のことをこう心配している。 「祖父(金日成主席)に容貌だけ似ている弟の正恩が、どれだけ北朝鮮の人々を満足させられるか、心配です」  さらにこう注文をつける。 「(後継者として)何をやるかが問題でしょう。北朝鮮の住民が潤沢に、豊かに暮らしていけるようにしてほしいと願います。兄としてです。この言葉を受ける度量があると信じています」  金正恩体制のこれからについては、彼を象徴として存続させ、既存のパワーグループが引き継いでいくと見ている。  五味によれば、正男という男ただの放蕩息子ではなく、忠臣蔵の大石内蔵助のように、わざと遊び人のふりをしているのだそうだ。  一つ間違えば弟から粛正されかねない孤独な兄。正男がこれからどのように動くのかが、北朝鮮を見る上で重要になることは間違いないようである。 ***  蛇足ですが、嵐山光三郎さんや坂崎重盛さんたちと、江戸の食や老舗のお店、街歩きの楽しみを紹介して、江戸創業の食の老舗一覧も掲載した『江戸東京 味の散歩道―歩き味わう歴史ガイド』(1,680円/山川出版社)を出しました。よろしくお願いします。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「週刊ポスト」1月27日号 中吊り広告より
第1位 「どうしても増税したい大メディアと野田官邸の『頭ン中』」(「週刊ポスト」1月27日号) 第2位 「独占スクープインタビュー 吉本興業創業家当主が初めて語る『紳助復帰?ありえない。本当のこと話します』」(「週刊現代」1月28日号) 第3位 「大間マグロと原発マネー」(「AERA」1月23日号)  年末年始から週刊誌に活気がない。誌面から立ち上ってくる勢いが感じられない。  東日本大震災の復興もいまだ手につかず、原発事故の収束の目処はたたず、政局も世界経済も混迷のままである。  こんなときこそ週刊誌がどんよりした世の中を目覚めさせるスクープに期待したいのだが、そうした記事にお目にかからないのは残念だ。  さて今週、あまり期待していなかったが読んで面白かったのはAERAの記事。  今週の1行コピーに「新編集長は一色、アエラは多色」というあまり感心できないコピーが載っているが、『報道ステーション』(テレビ朝日系)でコメンテーターをやっていた一色清が編集長に就任したようだ。たしか彼は2度目だが、部数減をくい止められるかな。  今やマグロの最高峰になった大間のマグロ。1月5日の東京築地市場で史上最高値の5,649万円(269キロ)を叩き出した。  地元で食べるマグロ丼でも3,000円するそうだ。その大ブランドのマグロの町・大間町は下北半島の突端に位置し、人口6,000人強で、長い間積雪と強風で隔絶された陸の孤島だった。  大間のマグロの名が全国に知られるようになったのは最近だという。ある時期、青函トンネル建設の影響か不漁が続き、多くの漁師が廃業に追い込まれた。  そこへ電源開発による原子力発電所建設の話が持ち上がり、1984年12月に大間町議会は誘致を正式決定する。  漁師たちは一斉に反発したが、「10年にわたる電源開発側の工作により、最後は多額の補償金で漁民は屈服させられた」と長年大間原発の取材をしているルポライター・鎌田慧が語っている。  組合員923人いる大間漁協には96億円が転がり込み、さらにプルトニウムを消費する「フルMOX」型に原子炉が変更されると、増量する温排水分として22億5,000万円が上積みされた。  この他、電源三法により10年度までに大間町には67億円が交付され、原発が完成すれば16年間にわたって440億円の固定資産税収入が見込まれているのだ。  そんな中で2001年の正月に築地市場で202キロの大間産マグロに2,020万円の値がつき、メディアが殺到した。00年のNHKの朝ドラ『私の青空』が大間町を舞台にしていたこともあって、ここから大間のマグロの快進撃が始まる。  07年に渡哲也主演のドラマ『マグロ』(テレビ朝日系)が決定打となり、大間のマグロのブランドは定着した。だが、なぜその番組に10億円の巨費を投じることができたのか、そのカネはどこから出たのか真相はハッキリしないという。そのドラマの中で当然ながら大間原発の存在が語られることはなかった。  大間町観光協会が主催する「超マグロ祭り」という人気イベントがある。目玉はマグロの解体ショー。この後援の一つが電源開発。  原発マネーで潤った漁師たちは、最先端の漁業設備を漁船に搭載したが、そのときも漁協から一人当たり2,000万円前後が支払われたといわれる。  高度な魚群探知機や針にかかったマグロに電気ショックを与えて気絶させ、鮮度を保ったまま水揚げできる大間独特の漁具も一気に進化した。  原発マネーが大間のマグロ漁を近代化させ、テレビによって全国ブランドとなっていったのである。  東日本大震災以降、大間漁協でもマグロの放射線量の検査を始めた。今のところセシウムなどは検出されていないが、マグロ漁を引き継いだ30代のAさんはこう言っている。 「漁業権を放棄した福島の漁師たちが声をあげることもできずに、無気力に浜に佇む姿が自分たちの未来と重なる。オヤジたちがもらったカネの意味がようやくわかりました」  原発事故以来、大間原発建設工事は止まっている。進捗率は38%。金澤満春大間町長は、「国のエネルギー政策を理解し、立地に協力してきた住民の思いは揺るがない」と工事再開への姿勢を崩していない。  原発誘致の話があった頃、大間のマグロが全国で注目を浴びていたら、国も電源開発も、ここに原発を造ることは断念していただろうと、ベテラン漁師が話している。  1月15日夜のNHKスペシャルは福島第一原発20キロ圏内の海の放射能汚染を調べる研究者たちを追っていた。案の定、海底の泥が500ベクレル/Kg以上を計測する箇所があちこちにあり、中には4,520ベクレル/Kgという驚くべき数値を示す超ホットスポットもある。  さらに取材班は東京湾を調べるが、ここでも驚くほど放射能汚染は拡がっていることが分かる。特に江戸川や荒川の河口付近では1,623ベクレル/Kgもの数値が出た。  調査している人間によると、2年2カ月後にはさらに汚染は深刻になるという。ここでも 「海に流れた放射能は拡散して薄まる」といった東電や保安院のウソが明らかになった。  大間原発に事故が起きれば大間のマグロは致命的なダメージを受ける。だが、マグロで暮らしていけるのだから原発はいらないとは口に出せない。こうした現実を私は知らなかった。同じ青森県にある六カ所の再処理工場と合わせて考えなければならないことである。  第2位は、あの島田紳助に「復帰してほしい」とラブコールを送った吉本興業の大崎洋社長の発言に、創業家の当主が「常識を疑う」と批判した「現代」の記事。  林正樹(40)は吉本創業の礎を築いた祖父、社長・会長の父を持つが、経営陣と創業家の争いがあったため、経営陣によって吉本を追われた。  吉本の経営のおかしさや、ここ半年、芸人のギャランティの支払いが遅れていることに言及しているが、彼の話の中で一番重大な点は、05年8月12日の出来事である。  その日はSHIBUYA-AXというライブハウスで吉本所属のFayrayという歌手のライブがあった。  Fayrayは大崎が自ら発掘し芸名もつけた。ライブの開演前に大崎は会場にいる20代前半と思しき女の子を指さしてこういったのだ。 「あれは五代目の娘や。歌手になりたいと言ってると、カウスさんから頼まれた。ウチでレッスン受けさして、R&C(註・子会社のレコード会社)からCDを1~2枚出したら満足するやろ」  この山口組五代目渡辺芳則組長の娘のデビュー計画は頓挫したらしいが、吉本側が担当社員もつけて歌唱レッスンをさせていたのである。  この事実だけで、大崎社長の首が飛んでもおかしくない。吉本と暴力団とのつながりは長く深く強い。歴代の社長たちが親しく暴力団と付き合ってきたから、カウスという準構成員のような芸人が幅をきかし、その下にいる紳助が同じことを真似て、おかしいとは思わない。  推測するに、大崎社長が紳助の復帰を堂々と公言するのは、紳助のバックにいる暴力団連中から何か言われたからではないか。  明石家さんまは「フライデー」の取材に対して「紳助、復帰してほしくないわ」と言っている。大崎社長は身内からのこの言葉を重く受け止めたほうがいい。さもないと、今はいうがままになっているテレビ側が目覚めて、吉本の芸人を一斉にテレビから締め出す事態だって起きかねないと思う。 NHKの大河ドラマは『平清盛』である。大崎社長へこの言葉を贈ろう。 「祗園精舎の鐘の声、 諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色、 盛者必衰の理をあらはす。 おごれる者久しからず、 唯春の夜の夢のごとし。 たけき者も遂にはほろびぬ、 偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ」  今週のグランプリはポストの大メディア批判記事。大メディアは増税すべしという論調でここまで来ているが、その裏には野田佳彦首相や官僚とメディアの癒着構造があると歯切れよく叩き切っていて小気味いい。  朝日新聞や読売新聞は社説でも野田首相の増税路線を支持しているが、大メディアは裏で、増税反対の論陣を張る元官僚やジャーナリストをパージし始めているのだ。  まずはカネのバラ撒きから。昨年12月4日付けの全国紙と地方紙71紙に、政府が社会保障と税の一体改革についてという全面広告を出したが、これに総額3億円の税金が使われた。  増税反対派の言論封殺の指揮をとっているとされるのは財務省の香川俊介官房長で、彼は「財務省の天皇」といわれる勝栄二郎事務次官直系である。  最初にターゲットにされたのが元経産官僚の古賀茂明。古賀自らが某テレビ局幹部に香川官房長官が電話を入れ、「古賀を出しているような局に安住淳大臣は出せない」と圧力をかけたことを明かした。  やはり元財務官僚の高橋洋一も「ブラックリストの筆頭」にあるといわれ、対談や討論番組への出演依頼後にキャンセルされることが何度かあったという。  また出演しても、増税論派を論破したところはカットされてしまった。  財務省が毎年年末に予算の政府原案がまとまると各紙の論説委員と経済部長を集めて「論説委員経済部長懇談会」を開くのだが、長谷川幸洋東京新聞論説副主幹は、突然そこから排除されてしまった。  また全国紙の中では唯一増税批判の姿勢をとってきた産経新聞には、昨夏、国税の税務調査が入った。そのためか税務調査後は「増税やむなし」という論が産経でも目立つようになったと、「ポスト」は書いている。  先の論説懇談会の夜、野田首相は東京港区の高級料亭で朝日新聞の星浩編集委員、毎日新聞の岩見隆夫客員編集委員、読売新聞の橋本五郎特別編集委員と酒食をともにしたのである。  星は1月8日の朝刊のコラムでこう書いている。 「権力監視が仕事であるメディアが『増税を容認すること』への疑問はあるだろう。しかし、先進国で赤字が膨らみ、危機からの脱出策を探っている現在、メディアの役割は『監視』だけでは済まない。国の再生に向けて、政治に『結果』を求めることが必要になってきた」  朝日新聞が増税推進であることの自己弁護のような書き方である。  さらに驚くのは、新聞協会が政府に対して、消費税が10%になっても、新聞はゼロにしてくれと裏取引をし、テレビはテレビで震災を口実に放送設備を新設するに当たって減税を要求しているというのだから、あきれた話だ。  しかし朝日新聞など大メディアの増税キャンペーンは功を奏さず、朝日の世論調査結果によると、消費増税の政府案に賛成は34%、反対派57%となり、反対が6割に迫ったのだ。  大メディアがいかに国民の感覚からズレているかという証である。こうした大メディア批判は最近「ポスト」の独壇場になった。読者目線で物事を考える。我々は先輩からそう教えられた。「ポスト」はそれを忘れていない。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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宮根誠司に隠し子!でも……"芸能人を潰さないスキャンダル報道"の在り方

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「女性セブン」1月19・26日号
第1位 「スクープ独占告白 宮根誠司(48)に隠し子!」(「女性セブン」1月19・26日号) 第2位 「宮崎あおい衝撃の『不倫疑惑』相手は超有名ジャニーズアイドル」(「週刊文春」1月5・12日号) 第3位 「首都厳戒 山口組VS関東連合『新時代の抗争』全内幕!」(「週刊アサヒ芸能」1月12日号)  年末年始の合併号は残念ながら、この時期らしい華やかな記事が見当たらなかった。わずかに「ポスト」がAKB48のクリアファイルを袋とじでつけたのが新年合併号らしく感じられただけだった。  子どもの頃、新年号というと近くの本屋へ飛んでいき、本屋のオヤジさんにハタキで叩かれそうになるまで、迷いに迷って1冊を選ぶときのワクワク感は忘れられない。  付録は雑誌の華であった。宝島のブランド品でなくていいから、こんなのがほしかったんだという夢のある「付録」をつけることを考えてみたらどうだろう。  考えればいくらでもあるはずだ。「フライデー」ならAKB48前田敦子がつけている香水の香り付き等身大ポスター。「現代」なら立川談志師匠の手拭い。「ポスト」なら小沢一郎のサイン入り色紙(笑)。  さて1月7日に韓国映画『哀しき獣』を見た。監督は『チェイサー』のナ・ホンジン。 「主人公のグナム(ハ・ジョンウ)は、中国・延吉に住む朝鮮族のタクシー運転手。生活苦の中、借金取りに追われているが、韓国へ出稼ぎに送り出した妻とは音信不通の上、賭け麻雀で大負け。そこに取引を持ちかけてきたのが、殺人請負業者のミョン(キム・ユンソク)。ソウルに行き、ある男を殺せば、借金を帳消しにするという。うまくいけば妻も見つけて、やり直せる。グナムは密航船で黄海を渡って韓国に入るが、待っていたのは、さまざまな黒い思惑がうずまく世界。罪をかぶせられて警察から追われる身となり、ミョン、そして標的を狙っていたもう一人の男、テウォン(チョ・ソンハ)からは、命までも狙われる」(読売新聞1月6日)  うらぶれた延吉や韓国の裏町がいい雰囲気を出している。徹底した暴力と血しぶき、迫力あるカーチェイス。これぞフイルムノワールの傑作である。  こうした映画を日本の作品で見ることができなくなって久しい。かつては『仁義なき戦い』や『仁義の墓場』などの深作欣二監督作品、一連の『昭和残侠伝』はヤクザの世界を素人衆に垣間見せてくれた。  めったやたらに人を殺す映画ばかりつくってきたビートたけしも、最近はバイオレンス度が低くなってきている。  昨年話題になった「暴力団排除条例」の以前から、ヤクザを賛美したり暴力を肯定するような映画は自粛するようになってきている。  新宿・歌舞伎町が石原慎太郎都知事のおかげで殺菌されたような無味乾燥な街になり、浅草も錦糸町も家族揃って遊べる街になってしまった。  ヤクザや暴力団関係者、その周辺の愚連隊(懐かしい言葉だね)が一人もいなくなったわけではない。彼らとて生きていかなくてはならない。いまでも多くのバーや飲食店が上納金を彼らに召し上げられ、売春やクスリは大きな収入源である。だがフツーの人たちは、何か事件でもない限りその存在を忘れて暮らしている。すぐ近くに彼らが生息しているのにだ。  暴力団の情報を知りたければ「アサヒ芸能」「大衆」「実話」を読めばいい。警察寄りではない暴力団の実態が時にはリアルに描かれている。  今週の第3位は「アサ芸」のそんな記事である。新聞やテレビでも報じられたが、昨年12月14日午前2時50分、六本木の雑居ビルにあるキャバクラ店で惨劇が起きた。  ジャージーやダウンジャケットを着たラフな格好の男たちが約20人乱入してきて、店のウイスキーのボトルなどを手にして、奥にあるガラスに囲われた席にいた4人の男をめった打ちにしたのだ。  被害者は山口系の幹部3人と極真連合会の元組員。3人は脳挫傷で意識不明、外傷性くも膜下出血、骨折などの重傷だった。  捜査関係者によると、六本木の路上でのトラブルが原因だったようだが、それにしてもすさまじい襲撃である。  襲ったのは「関東連合」と「怒羅権(ドラゴン)」といわれているが、住吉会系の組員も数人いたことがわかり、すわ山口組が抗争に突入するかと厳戒態勢が敷かれたという。  しかし12月19日に住吉会系組織のトップが詫びを入れ、和解条件を提示したことで話し合いに動いているようだと編集部は見ている。  ヤクザ同士では話がついても「関東連合」や「怒羅権」のような愚連隊とはどうなるのか。  「関東連合」がクローズアップされたのは2010年1月に起きた市川海老蔵暴行事件だ。それ以外でも元横綱朝青龍の暴行事件、押尾学の麻薬譲渡事件、上原美優の自殺などでも、ここの影がちらついているといわれる。  「関東連合」は1970年代に東京の複数の暴走族で結成された連合体だったが、最近世間を騒がせているのは90年代に不良少年だった30代から40代の関東連合OBたちだと、事情に詳しいジャーナリストが語っている。  彼らはクラブに遊びに来た上場企業の社長を美人局でハメ、大金を脅し取ったりして、実業家に転身して成功を収めている連中もいるそうだ。その連中に面倒を見てもらっている後輩たちが群がっている集団なのだ。  「怒羅権」のほうは帰国した中国残留孤児の2世3世が結成した愚連隊。最近では残留孤児とは関係ない日本人もメンバーにいるそうだが、その残忍さは相当なもののようだ。  こうした組織として不透明な愚連隊グループは、「暴対法や組織犯罪処罰法といった法律が成立していく90年代以降に、関東連合をはじめとする愚連隊が増長していった点は見過ごせない」(アサ芸)。こうした愚連隊のややこしいのは、組織自体が流動的で責任者の所在もハッキリしないことだ。  山口組も関東の組織も抗争厳禁の方針を打ち出しているのだから、報復はしにくいだろうと広域組織関係者が話している。  新時代なのかどうかはわからないが、警察に追い詰められている広域暴力団と、それをいいことに傍若無人にふるまう愚連隊グループを、警察はどう取り締まっていくのか。このままでは市民が巻き添えを食う危険性はますます高まってきている。そう思わざるをえない。  第2位は文春の宮崎あおい(26)「不倫疑惑」報道である。  年末に高岡蒼佑(29)と離婚した宮崎だが、その裏にジャニーズアイドルとの「不倫」があったというのだ。  語っているのは高岡の知人で、彼が所属するプロダクションの元社員。離婚を切り出したのは宮崎のほうからで、11月上旬、六本木の中華料理屋で「もう無理だよ......」と、やり直すつもりがないことを告げたという。  その後、離婚届が郵送されてきた。だが高岡は、自分名義で契約している携帯の支払い明細を見て「ある特定の電話番号」と頻繁に通話していることに気がついた。  高岡は意を決して電話をかけてみたが、相手は名乗ろうとせず「何か誤解されていませんか」と繰り返すだけだった。  高岡が相手の正体を知ったのは12月6日の夜。会いたいという高岡の申し出に相手がが応じて、都内の会員制のバーで会ったという。知人がこう話す。 「程なくして現れたのは、ニット帽に黒縁メガネをかけた、V6の岡田准一さん(31)だった。高岡は、さすがに岡田さんが来たことに驚いた様子でした。岡田さんは、高岡と宮崎の結婚式にも来ていましたからね」  始めは相談を受けていただけだと弁明していた岡田だったが、高岡が明細を突き付けると観念して謝った。 「高岡が彼の携帯電話を確認すると、そこには二人の親密さを示すメールのやりとりが残されていました。岡田さんから宮崎さんに送った〈今温泉に来てるよ〉というメールに対し、彼女が〈私も行きたい。また一緒に入ろうね〉と返していたのです」(知人)  岡田は映画『天地神明』(今年公開)で宮崎と夫婦役を演じている。岡田は平謝りで、芸能界を引退するとまでいったという。だが高岡は悩んだ末に離婚届に判をついた。  このスキャンダルはかなりのものだと思うが、テレビではほとんど取り上げられなかったようだ。当代の人気女優とジャニーズ事務所のアイドルとなればそれも致し方ないか。  NHKの『紅白歌合戦』を見ればわかるように、今のテレビはNHKでさえもジャニーズに乗っ取られた感がある。  その上、吉本興業の社長が「島田紳助の復帰を望む」発言をした。この非常識な発言に大マスコミが批判しなかったのはなぜだ。ジャニーズと吉本に牛耳られているテレビの惨状は、まだまだひどくなっていくようだ。  今週のグランプリは女性誌ながらスクープを発信し続ける「セブン」の記事。  『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)や『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で司会を務める宮根誠司(48)に隠し子がいたというのだ。発端は宮根が長年付き合ってきたA子さん(32)の知人から「宮根には奥さんでない人との間に3歳の子どもがいる」という情報からだった。  取材を申し込むと宮根は困った表情を浮かべながらも、一部始終をこう語った。 「A子さんと知り合ったのは6~7年前のことです。彼女は当時、夜のお店の接客スタッフとして大阪・北新地で働いていて、はじめはホステスと単なるお客という間柄でした。(中略)そのうち男女の関係になって、彼女の家にも行くようになりました」  宮根は93年に元モデルと結婚したが04年に離婚する。その後現在の妻であるB子さんと当時は恋人同士で、A子さんには「ぼくとは結婚できない」といってあったという。だが、結婚後A子さんから電話がかかってきた。 「07年の春ごろでした。ちょうど仕事が終わって夕方ぐらいに、ひさびさにA子さんから電話があって......。単刀直入に『子供ができた』といわれました。(中略)そのとき、ぼくが一瞬でも悩まなかったかといったら、嘘になると思います。正直、『困ったな......』とも思いました。だけど、尊い命が、すでに彼女のお腹の中にいると思ったら、ぼくがそれを奪ってええんかって考えて......」(宮根)  妻にそのことを伝えるまで1カ月ほど悩んだという。打ち明けると妻は沈黙を続け、1時間ぐらい経ってからこういった。 「(子供を中絶しなかったのは、)それはとりあえず正解や。あとはあなたのできる範囲で、自己責任でちゃんとやりなさい」  できた奥さんやわ! その前に宮根はA子さんの実家を訪れて両親に頭を下げている。  女の子が生まれたとき、彼は「ぼくにとってカノジョは宝だなって思いました」。2カ月後にその子を認知している。そして昨年5月に宮根と妻の間にも女の子が誕生した。  宮根はこう夢を語ってもいる。 「ぼくが70才ぐらいになったときに『お前ら、集合!』って、ふたりのむすめたちを呼んで、3人で飲みたいですね」  私は宮根の番組をほとんど見たことがない。だがこの記事を読んで見てみたくなった。宮根っていいやつじゃん。  テレビで有名になったためにスキャンダルで潰れていく人を何人も見てきた。だがこの記事にはホッとさせられる何かがある。  昔、結婚式でカミさんの叔父から、こういわれたことがある。 「スキャンダルを書いても、それが出たあと、その人間からありがとうといわれる記事を書く編集者になってくれ」。  自分にはできなかったが、こういう記事のことをいうのかも知れないと、読んでいて思った。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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宮根誠司に隠し子!でも……"芸能人を潰さないスキャンダル報道"の在り方

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「女性セブン」1月19・26日号
第1位 「スクープ独占告白 宮根誠司(48)に隠し子!」(「女性セブン」1月19・26日号) 第2位 「宮崎あおい衝撃の『不倫疑惑』相手は超有名ジャニーズアイドル」(「週刊文春」1月5・12日号) 第3位 「首都厳戒 山口組VS関東連合『新時代の抗争』全内幕!」(「週刊アサヒ芸能」1月12日号)  年末年始の合併号は残念ながら、この時期らしい華やかな記事が見当たらなかった。わずかに「ポスト」がAKB48のクリアファイルを袋とじでつけたのが新年合併号らしく感じられただけだった。  子どもの頃、新年号というと近くの本屋へ飛んでいき、本屋のオヤジさんにハタキで叩かれそうになるまで、迷いに迷って1冊を選ぶときのワクワク感は忘れられない。  付録は雑誌の華であった。宝島のブランド品でなくていいから、こんなのがほしかったんだという夢のある「付録」をつけることを考えてみたらどうだろう。  考えればいくらでもあるはずだ。「フライデー」ならAKB48前田敦子がつけている香水の香り付き等身大ポスター。「現代」なら立川談志師匠の手拭い。「ポスト」なら小沢一郎のサイン入り色紙(笑)。  さて1月7日に韓国映画『哀しき獣』を見た。監督は『チェイサー』のナ・ホンジン。 「主人公のグナム(ハ・ジョンウ)は、中国・延吉に住む朝鮮族のタクシー運転手。生活苦の中、借金取りに追われているが、韓国へ出稼ぎに送り出した妻とは音信不通の上、賭け麻雀で大負け。そこに取引を持ちかけてきたのが、殺人請負業者のミョン(キム・ユンソク)。ソウルに行き、ある男を殺せば、借金を帳消しにするという。うまくいけば妻も見つけて、やり直せる。グナムは密航船で黄海を渡って韓国に入るが、待っていたのは、さまざまな黒い思惑がうずまく世界。罪をかぶせられて警察から追われる身となり、ミョン、そして標的を狙っていたもう一人の男、テウォン(チョ・ソンハ)からは、命までも狙われる」(読売新聞1月6日)  うらぶれた延吉や韓国の裏町がいい雰囲気を出している。徹底した暴力と血しぶき、迫力あるカーチェイス。これぞフイルムノワールの傑作である。  こうした映画を日本の作品で見ることができなくなって久しい。かつては『仁義なき戦い』や『仁義の墓場』などの深作欣二監督作品、一連の『昭和残侠伝』はヤクザの世界を素人衆に垣間見せてくれた。  めったやたらに人を殺す映画ばかりつくってきたビートたけしも、最近はバイオレンス度が低くなってきている。  昨年話題になった「暴力団排除条例」の以前から、ヤクザを賛美したり暴力を肯定するような映画は自粛するようになってきている。  新宿・歌舞伎町が石原慎太郎都知事のおかげで殺菌されたような無味乾燥な街になり、浅草も錦糸町も家族揃って遊べる街になってしまった。  ヤクザや暴力団関係者、その周辺の愚連隊(懐かしい言葉だね)が一人もいなくなったわけではない。彼らとて生きていかなくてはならない。いまでも多くのバーや飲食店が上納金を彼らに召し上げられ、売春やクスリは大きな収入源である。だがフツーの人たちは、何か事件でもない限りその存在を忘れて暮らしている。すぐ近くに彼らが生息しているのにだ。  暴力団の情報を知りたければ「アサヒ芸能」「大衆」「実話」を読めばいい。警察寄りではない暴力団の実態が時にはリアルに描かれている。  今週の第3位は「アサ芸」のそんな記事である。新聞やテレビでも報じられたが、昨年12月14日午前2時50分、六本木の雑居ビルにあるキャバクラ店で惨劇が起きた。  ジャージーやダウンジャケットを着たラフな格好の男たちが約20人乱入してきて、店のウイスキーのボトルなどを手にして、奥にあるガラスに囲われた席にいた4人の男をめった打ちにしたのだ。  被害者は山口系の幹部3人と極真連合会の元組員。3人は脳挫傷で意識不明、外傷性くも膜下出血、骨折などの重傷だった。  捜査関係者によると、六本木の路上でのトラブルが原因だったようだが、それにしてもすさまじい襲撃である。  襲ったのは「関東連合」と「怒羅権(ドラゴン)」といわれているが、住吉会系の組員も数人いたことがわかり、すわ山口組が抗争に突入するかと厳戒態勢が敷かれたという。  しかし12月19日に住吉会系組織のトップが詫びを入れ、和解条件を提示したことで話し合いに動いているようだと編集部は見ている。  ヤクザ同士では話がついても「関東連合」や「怒羅権」のような愚連隊とはどうなるのか。  「関東連合」がクローズアップされたのは2010年1月に起きた市川海老蔵暴行事件だ。それ以外でも元横綱朝青龍の暴行事件、押尾学の麻薬譲渡事件、上原美優の自殺などでも、ここの影がちらついているといわれる。  「関東連合」は1970年代に東京の複数の暴走族で結成された連合体だったが、最近世間を騒がせているのは90年代に不良少年だった30代から40代の関東連合OBたちだと、事情に詳しいジャーナリストが語っている。  彼らはクラブに遊びに来た上場企業の社長を美人局でハメ、大金を脅し取ったりして、実業家に転身して成功を収めている連中もいるそうだ。その連中に面倒を見てもらっている後輩たちが群がっている集団なのだ。  「怒羅権」のほうは帰国した中国残留孤児の2世3世が結成した愚連隊。最近では残留孤児とは関係ない日本人もメンバーにいるそうだが、その残忍さは相当なもののようだ。  こうした組織として不透明な愚連隊グループは、「暴対法や組織犯罪処罰法といった法律が成立していく90年代以降に、関東連合をはじめとする愚連隊が増長していった点は見過ごせない」(アサ芸)。こうした愚連隊のややこしいのは、組織自体が流動的で責任者の所在もハッキリしないことだ。  山口組も関東の組織も抗争厳禁の方針を打ち出しているのだから、報復はしにくいだろうと広域組織関係者が話している。  新時代なのかどうかはわからないが、警察に追い詰められている広域暴力団と、それをいいことに傍若無人にふるまう愚連隊グループを、警察はどう取り締まっていくのか。このままでは市民が巻き添えを食う危険性はますます高まってきている。そう思わざるをえない。  第2位は文春の宮崎あおい(26)「不倫疑惑」報道である。  年末に高岡蒼佑(29)と離婚した宮崎だが、その裏にジャニーズアイドルとの「不倫」があったというのだ。  語っているのは高岡の知人で、彼が所属するプロダクションの元社員。離婚を切り出したのは宮崎のほうからで、11月上旬、六本木の中華料理屋で「もう無理だよ......」と、やり直すつもりがないことを告げたという。  その後、離婚届が郵送されてきた。だが高岡は、自分名義で契約している携帯の支払い明細を見て「ある特定の電話番号」と頻繁に通話していることに気がついた。  高岡は意を決して電話をかけてみたが、相手は名乗ろうとせず「何か誤解されていませんか」と繰り返すだけだった。  高岡が相手の正体を知ったのは12月6日の夜。会いたいという高岡の申し出に相手がが応じて、都内の会員制のバーで会ったという。知人がこう話す。 「程なくして現れたのは、ニット帽に黒縁メガネをかけた、V6の岡田准一さん(31)だった。高岡は、さすがに岡田さんが来たことに驚いた様子でした。岡田さんは、高岡と宮崎の結婚式にも来ていましたからね」  始めは相談を受けていただけだと弁明していた岡田だったが、高岡が明細を突き付けると観念して謝った。 「高岡が彼の携帯電話を確認すると、そこには二人の親密さを示すメールのやりとりが残されていました。岡田さんから宮崎さんに送った〈今温泉に来てるよ〉というメールに対し、彼女が〈私も行きたい。また一緒に入ろうね〉と返していたのです」(知人)  岡田は映画『天地神明』(今年公開)で宮崎と夫婦役を演じている。岡田は平謝りで、芸能界を引退するとまでいったという。だが高岡は悩んだ末に離婚届に判をついた。  このスキャンダルはかなりのものだと思うが、テレビではほとんど取り上げられなかったようだ。当代の人気女優とジャニーズ事務所のアイドルとなればそれも致し方ないか。  NHKの『紅白歌合戦』を見ればわかるように、今のテレビはNHKでさえもジャニーズに乗っ取られた感がある。  その上、吉本興業の社長が「島田紳助の復帰を望む」発言をした。この非常識な発言に大マスコミが批判しなかったのはなぜだ。ジャニーズと吉本に牛耳られているテレビの惨状は、まだまだひどくなっていくようだ。  今週のグランプリは女性誌ながらスクープを発信し続ける「セブン」の記事。  『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)や『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で司会を務める宮根誠司(48)に隠し子がいたというのだ。発端は宮根が長年付き合ってきたA子さん(32)の知人から「宮根には奥さんでない人との間に3歳の子どもがいる」という情報からだった。  取材を申し込むと宮根は困った表情を浮かべながらも、一部始終をこう語った。 「A子さんと知り合ったのは6~7年前のことです。彼女は当時、夜のお店の接客スタッフとして大阪・北新地で働いていて、はじめはホステスと単なるお客という間柄でした。(中略)そのうち男女の関係になって、彼女の家にも行くようになりました」  宮根は93年に元モデルと結婚したが04年に離婚する。その後現在の妻であるB子さんと当時は恋人同士で、A子さんには「ぼくとは結婚できない」といってあったという。だが、結婚後A子さんから電話がかかってきた。 「07年の春ごろでした。ちょうど仕事が終わって夕方ぐらいに、ひさびさにA子さんから電話があって......。単刀直入に『子供ができた』といわれました。(中略)そのとき、ぼくが一瞬でも悩まなかったかといったら、嘘になると思います。正直、『困ったな......』とも思いました。だけど、尊い命が、すでに彼女のお腹の中にいると思ったら、ぼくがそれを奪ってええんかって考えて......」(宮根)  妻にそのことを伝えるまで1カ月ほど悩んだという。打ち明けると妻は沈黙を続け、1時間ぐらい経ってからこういった。 「(子供を中絶しなかったのは、)それはとりあえず正解や。あとはあなたのできる範囲で、自己責任でちゃんとやりなさい」  できた奥さんやわ! その前に宮根はA子さんの実家を訪れて両親に頭を下げている。  女の子が生まれたとき、彼は「ぼくにとってカノジョは宝だなって思いました」。2カ月後にその子を認知している。そして昨年5月に宮根と妻の間にも女の子が誕生した。  宮根はこう夢を語ってもいる。 「ぼくが70才ぐらいになったときに『お前ら、集合!』って、ふたりのむすめたちを呼んで、3人で飲みたいですね」  私は宮根の番組をほとんど見たことがない。だがこの記事を読んで見てみたくなった。宮根っていいやつじゃん。  テレビで有名になったためにスキャンダルで潰れていく人を何人も見てきた。だがこの記事にはホッとさせられる何かがある。  昔、結婚式でカミさんの叔父から、こういわれたことがある。 「スキャンダルを書いても、それが出たあと、その人間からありがとうといわれる記事を書く編集者になってくれ」。  自分にはできなかったが、こういう記事のことをいうのかも知れないと、読んでいて思った。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「週刊現代」1月7・14日号
第1位 「北朝鮮 次は『金正恩暗殺』『軍部クーデター』の異常事態」(「週刊現代」1月7・14日号) 第2位 「賢者51人 知りたい 知りたくない大予言」(「サンデー毎日1月1・8日号) 第3位 「化城の人 池田大作と創価学会の80年」(「週刊ポスト」1月1・6日号)  ブエナビスタが泣いた。  彼女にとってのラストラン・有馬記念が終わり、引退式の直前、暮れなずむ中山競馬場の空から雪が舞い降りてきた。  関係者たちに歩み寄ってきたブエナビスタの顔がアップになると、両目に涙が溢れ、右目からこぼれた一粒が光っていた。  その涙は、GI競走6勝の女傑が3歳の若駒・オルフェーブルに負けた悔しさか、まだ走れるレースへの未練だったのだろうか。  勝者オルフェーブルには何もやるな。敗れ去ったが、記憶に残る名馬ブエナビスタは、3.11の大震災で萎えそうになった日本人に勇気を与えてくれた名牝として長い間語り継がれるであろう。  その宵、中山競馬場全体がブエナのための「メリークリスマス」になった。さらばブエナビスタ、感動をありがとう。  ところで、ソニーが電子書籍専用端末「リーダー」を講談社の人間全員に配ったという。  電子書籍2年目でもなかなか進まない電子書籍市場にインパクトを与えようというものだろうが、この程度ではたいしたインパクトにはならないだろう。  講談社の中でも、配られて1度か2度見ただけで机の中に放り込む者、印鑑を持って取りに行かなければならないので面倒くさいという者それぞれだが、さほど関心は高くないようだ。  楡周平の『虚空の冠』(新潮社)は電子書籍のプラットホーム争いを描いた傑作小説だが、ソフトバンクの孫正義がモデルと思われるベンチャー企業の社長がアマゾンの「キンドル」のような端末を100万台無料で配ることを考え、実行する。  それに危機感を持った読売新聞の渡辺恒雄がモデルらしきメディアの帝王が、通信キャリアや大手出版社を巻き込んで、やはり無料で端末を大量に配り、電子書籍のプラットホーム戦争に勝利するというストーリーだが、これぐらいの台数を無料で配るぐらいの英断をしないと、この市場の先行きはまだまだ暗いだろう。  12月25日付の朝日新聞によれば、iPadなど新端末向けの売上額が2009年度の4倍の約24億円になったそうだ。携帯電話やパソコンを含めた電子書籍の販売額は約650億円だから、書籍売り上げ全体の1割弱だが、そのほとんどはマンガの売り上げである。  私が以前から言っているように、文庫本を超える優れた端末(ハード)が出てこない限り電子書籍の市場は大きく広がらない。  その点では「リーダー」も「キンドル」もまだまだ使い勝手が悪い。電子書籍に対する大手出版者側の腰の引け方を見ても、ビジネスモデルにはならないと踏んでいることが分かる。2012年も電子書籍に関しては暗中模索、試行錯誤が続くと思う。  さて、今週の3位には佐野眞一の新連載を挙げる。連載がこの賞の対象になることはほとんどないが、この「化城の人」には注目である。  なぜなら、池田大作創価学会名誉会長が公式の場から姿を消して、すでに1年半あまりが経つ。普通に考えれば病状が深刻化しているとしか考えられないが、創価学会側はだんまりを決め込んでいる。  池田名誉会長についてのノンフィクションを書こうとしているライターは、私が知っているだけで数人はいる。  創価学会という新興宗教についての面白さもさることながら、池田大作という人物への興味は尽きない。創価学会を日本最大の宗教団体にし、公明党という政党まで作り政界進出をし、あわよくば日本を創価学会一色にしてしまおうという野望は果たされることはなかったが、今こそ徹底的に検証してみるべきだろう。  矢野絢也という男がいる。公明党の委員長まで上りつめて学会の幹部でもある。  かつては池田の熱烈な信奉者であり忠臣であった。その彼が、今や反池田の急先鋒である。  そこへ至るには長い池田・学会との葛藤の歴史があるのだが、今回はそこまで書く紙幅がない。  確実に池田創価学会は瓦解し始め、後継者が誰になろうともこれまでのような一枚岩の体制を維持していくことができないのは、北朝鮮と似ているかもしれない。  佐野眞一がノンフィクション・ライターとして秀でているところは、獲物を捕らえるタイミングを外さない鋭い嗅覚にある。  池田大作創価学会名誉会長時代の終わりを告げようとしている今、彼が何をどう書こうとしているのか注目せざるを得ない。  化城(けじょう)とは法華経の教えの一つで、苦しい悪路を行く旅人が、最終目的地があまりに遠いのであきらめないよう途中に神通力による架空の城、蜃気楼の城を造り、そこで一旦休んだ上、旅を再び続けさせるという説話からとられたという。  1回目は、池田が生まれた大田区大森にある池田家代々の墓に目を向ける。その寺「密厳院」という寺は日蓮宗ではなく、真言宗の寺だというのだ。 「自分の家族や一族でさえ折伏できなかった男が創価学会の会長におさまる。そればかりか、以後半世紀以上その組織のトップに居座り続ける。それが、池田創価学会の最大の謎である」  この大河ノンフィクションがどういう展開を見せるのか、池田という人間がどう描かれるのか、佐野のライターとしての力量も試されることになるはずである。  第2位には年末恒例の予測特集の中で、比較的面白いものがそろっていた「サンデー毎日」の記事を挙げてみた。  1月から12月までに分けて、その分野の"賢者"が予言している。1月は「米国がイラン攻撃開始」するという物騒なことを、佐々木良昭東京財団上席研究員が言っている。  その根拠は11年12月4日にイランが米軍の最新鋭無人偵察機「RQ170」を押収したことだという。これは最先端の技術を満載しているため、米国としてはその情報がロシアや中国へ流失しないよう破壊するしかないのだという。  2月。北朝鮮は2月16日に金正日の誕生70年を盛大に祝うそうだが、「金正日誕生日『拉致被害者帰国なし』」と朴斗鎮コリア国際研究所所長が予言している。  金正恩になっても表面上は何も変わらないようだ。  気になる項目を拾っていく。3月には、富士山が300年ぶりに噴火すると警告する木村政昭琉球大名誉教授の「『3・11』から1年 富士山大爆発は4年以内」。  小沢一郎が政治資金規正法違反の罪に問われている裁判で無罪が出る。その結果、検察審査会が解体されると予測しているのはジャーナリスト魚住昭。  島田紳助が春の特番で芸能界へ復帰するという仰天予言するのは元吉本興業の木村政雄。  5月22日にオープンする東京スカイツリーは地元にとって恩恵がまったくなく、併設されるショッピング街に出店する墨田区内の業者はゼロだそうだ。東武鉄道は年間2,500万人の客を見込むが、下町情緒を壊すだけの乱暴な開発は、観光客から飽きられるだろうと予言するのは西恭三郎共産党墨田区議団長だが、私も同意見である。  6月には「解散・総選挙 野田辞任、『枝野首相』」と読むのは政治ジャーナリストの歳川隆雄。  在沖縄米海兵隊のグアム移転が白紙になり、普天間飛行場の移設が断念される可能性が現実味を帯びてきた。  6月の沖縄県議選では、「沖縄独立論」を唱える候補が出てくるかもしれない。そうなると、尖閣列島領有権を主張している中国がこれを好機とみて、まずは"尖兵"としてチャイナマネーを沖縄に投入してくるのではないかと予言するのは政治評論家の丸山勝彦。  8月には「ロンドン五輪で金メダルは19個」と楽観的な見方をしているのはスポーツジャーナリスト二宮清純。  9月の項では、メジャーリーグ入りをしたダルビッシュが15勝すると予言するのは野球評論家の与田剛。ただし、これまでのような中6日ではなく中4日のローテーションに戸惑うと5勝程度かと。  11月には米大統領選挙が行われるが、再選が危ういといわれるオバマが逃げ切ると読むのは渡部恒雄東京財団上席研究員。  共和党は前マサチューセッツ州知事ロムニーが有力だとする。失業率7%を超えると再選できないというジンクスがあるが、10%台から8.6%まで回復させてきた実績と巧みな話術で、オバマは再選を果たすというのだ。  12月には14年ぶりに日本人横綱・稀勢の里が誕生すると読むのは相撲ジャーナリストの中澤潔。  日経平均1万1,000円を回復するという、これまた楽観的な見方を示すのはマネックス証券チーフ・エコノミスト村上尚己。成長率が11年のマイナス0.9%からプラス1.3%と大きく改善し、内需系の増資が続き、消費税などの増税が決まれば自動車や住宅などの駆け込み需要が出てくるので株価も上がるというのだが、それって、増税された後は再び落ち込むってことだよね。元の木阿弥じゃん。  とまあ、当たるも当たらぬも八卦だが、今年以上の大災害が起こらないように祈るしかないようだ。  金正日の突然の死と若すぎる後継者・金正恩への不安感は近隣各国へ大きく広がっている。野田佳彦総理が珍しく韓国、中国と急いで話し合いをもったのも危機感の表れである。  金正日の死後、各誌この問題を扱っているが、「週刊現代」の特集に見るべきものがあったのでこれをグランプリに推す。  「現代」によれば中国は10月24日、次期中国首相に内定している李克強副首相が平壌へ行った際、ワインをがぶ飲みする金正日を見て、この独裁者の最後は予想されているより早いものになるだろうと中国首脳たちに報告していたという。  そのとき金正恩とも握手を交わしたそうだが、北朝鮮内部に異変が起きていることに気づいた。  首脳会談にも晩餐会の席にも金総書記の側近中の側近、金永春人民武力部長(国防相)の姿がなかったのだ。  金正日の命を受けて数々のテロを実行してきたのは金永春だといわれている。さらに金正日は将来の金正恩体制を全面的に支えてもらうために金永春を人民武力部長に昇格させ、後見人に指名した。  しかし、正恩と永春2人の考え方がまったく違うために、首脳部に大きな亀裂が生まれていると見る。  金永春は金正恩がやろうとした「10万戸の住宅建設」や「デノミ政策」「朝鮮国家開発銀行の発足」などを、経済改革が国外に門戸を開き、相対的に軍部の力が弱体化すると嫌って、ことごとく潰してきたという。  2人の確執はさらにエスカレートしていったために、ついに金総書記は金永春を疎んじるようになったのだが、その裏で驚く決断を中国側はしていた。それは金正恩を後継者として無能だと断じ、金永春に対して、金総書記亡き後は中国人民解放軍が全面的に支援すると伝えていたというのだ。  さらに金正恩が中国への亡命の道を選んでも、受け入れるつもりはない。軍の傀儡か亡命か。どちらにしても金正恩に明日はないというのが「現代」の読みである。  情報源が明示されていないので、このまま信じるわけにはいかないが、後ろ盾を突然失った若いボンボンがこの国を率いていくためには軍の協力が不可欠である。しかし、軍がさらにその力を強めていくことになれば、人民の窮状はさらに深まること、これも間違いない。  そうなれば北からの難民があふれ出し、金王朝はあっという間に崩壊するのだろうか。  26年前、私がたった一人で北朝鮮・平壌に3週間招待され見聞した体験をもとに言わせてもらえば「ノー」である。  国民は金日成が作り上げた「主体思想」を学び、学校教育だけではなく、日常的にテレビや映画、オペラ(北朝鮮はオペラ大国である)で、日本やアメリカ帝国主義の悪辣ぶりを見せられ、日韓併合時代の悪夢を常に思い出させられている。  白頭山から白馬にまたがり日本帝国主義を打ち破った金日成は彼らの神であり、その一族への尊敬の念はそう簡単に消し去ることはできない。  今すぐ日本がやるべきことは、難民やテポドン、ノドンが飛んでくることを恐れるのではなく、金正恩と話し合うパイプを作り、時間をかけて北を解放していく「太陽政策」を取ることにある。先ごろ韓国側が従軍慰安婦問題を出してきたように、朝鮮の人たちの日本への反感は根強いものがある。また、韓国と北は同じ民族であるということを忘れてはいけない。  平壌滞在中に多くの北の人間に話しを聞いたとき、一様に彼らの悲願は「民族統一」である。かつて韓国の要人が私にいった言葉を思い出す。 「韓国人は北に感謝すべきだろう。なぜなら南朝鮮の人間は本来が怠け者なんだ。北の脅威があったから、北に負けまいとして頑張って働くことができ、経済的な繁栄を築くことができたのだから」  南北が統一されてしまえば、中国、朝鮮、台湾に囲まれた日本は孤立するしかない。  2012年こそアメリカの呪縛から逃れ、中国、韓国と話し合い、朝鮮半島を安定させるために日本が主導的な役割を果たすべき年である。いまの野田政権にそんなことを期待してもと、はなからあきらめないで、だめならできる政権を選び直して、させるしかないと、私は思う。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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米軍イラン攻撃、富士山噴火、紳助復帰……"賢者"が2012年を大胆予言!

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「週刊現代」1月7・14日号
第1位 「北朝鮮 次は『金正恩暗殺』『軍部クーデター』の異常事態」(「週刊現代」1月7・14日号) 第2位 「賢者51人 知りたい 知りたくない大予言」(「サンデー毎日1月1・8日号) 第3位 「化城の人 池田大作と創価学会の80年」(「週刊ポスト」1月1・6日号)  ブエナビスタが泣いた。  彼女にとってのラストラン・有馬記念が終わり、引退式の直前、暮れなずむ中山競馬場の空から雪が舞い降りてきた。  関係者たちに歩み寄ってきたブエナビスタの顔がアップになると、両目に涙が溢れ、右目からこぼれた一粒が光っていた。  その涙は、GI競走6勝の女傑が3歳の若駒・オルフェーブルに負けた悔しさか、まだ走れるレースへの未練だったのだろうか。  勝者オルフェーブルには何もやるな。敗れ去ったが、記憶に残る名馬ブエナビスタは、3.11の大震災で萎えそうになった日本人に勇気を与えてくれた名牝として長い間語り継がれるであろう。  その宵、中山競馬場全体がブエナのための「メリークリスマス」になった。さらばブエナビスタ、感動をありがとう。  ところで、ソニーが電子書籍専用端末「リーダー」を講談社の人間全員に配ったという。  電子書籍2年目でもなかなか進まない電子書籍市場にインパクトを与えようというものだろうが、この程度ではたいしたインパクトにはならないだろう。  講談社の中でも、配られて1度か2度見ただけで机の中に放り込む者、印鑑を持って取りに行かなければならないので面倒くさいという者それぞれだが、さほど関心は高くないようだ。  楡周平の『虚空の冠』(新潮社)は電子書籍のプラットホーム争いを描いた傑作小説だが、ソフトバンクの孫正義がモデルと思われるベンチャー企業の社長がアマゾンの「キンドル」のような端末を100万台無料で配ることを考え、実行する。  それに危機感を持った読売新聞の渡辺恒雄がモデルらしきメディアの帝王が、通信キャリアや大手出版社を巻き込んで、やはり無料で端末を大量に配り、電子書籍のプラットホーム戦争に勝利するというストーリーだが、これぐらいの台数を無料で配るぐらいの英断をしないと、この市場の先行きはまだまだ暗いだろう。  12月25日付の朝日新聞によれば、iPadなど新端末向けの売上額が2009年度の4倍の約24億円になったそうだ。携帯電話やパソコンを含めた電子書籍の販売額は約650億円だから、書籍売り上げ全体の1割弱だが、そのほとんどはマンガの売り上げである。  私が以前から言っているように、文庫本を超える優れた端末(ハード)が出てこない限り電子書籍の市場は大きく広がらない。  その点では「リーダー」も「キンドル」もまだまだ使い勝手が悪い。電子書籍に対する大手出版者側の腰の引け方を見ても、ビジネスモデルにはならないと踏んでいることが分かる。2012年も電子書籍に関しては暗中模索、試行錯誤が続くと思う。  さて、今週の3位には佐野眞一の新連載を挙げる。連載がこの賞の対象になることはほとんどないが、この「化城の人」には注目である。  なぜなら、池田大作創価学会名誉会長が公式の場から姿を消して、すでに1年半あまりが経つ。普通に考えれば病状が深刻化しているとしか考えられないが、創価学会側はだんまりを決め込んでいる。  池田名誉会長についてのノンフィクションを書こうとしているライターは、私が知っているだけで数人はいる。  創価学会という新興宗教についての面白さもさることながら、池田大作という人物への興味は尽きない。創価学会を日本最大の宗教団体にし、公明党という政党まで作り政界進出をし、あわよくば日本を創価学会一色にしてしまおうという野望は果たされることはなかったが、今こそ徹底的に検証してみるべきだろう。  矢野絢也という男がいる。公明党の委員長まで上りつめて学会の幹部でもある。  かつては池田の熱烈な信奉者であり忠臣であった。その彼が、今や反池田の急先鋒である。  そこへ至るには長い池田・学会との葛藤の歴史があるのだが、今回はそこまで書く紙幅がない。  確実に池田創価学会は瓦解し始め、後継者が誰になろうともこれまでのような一枚岩の体制を維持していくことができないのは、北朝鮮と似ているかもしれない。  佐野眞一がノンフィクション・ライターとして秀でているところは、獲物を捕らえるタイミングを外さない鋭い嗅覚にある。  池田大作創価学会名誉会長時代の終わりを告げようとしている今、彼が何をどう書こうとしているのか注目せざるを得ない。  化城(けじょう)とは法華経の教えの一つで、苦しい悪路を行く旅人が、最終目的地があまりに遠いのであきらめないよう途中に神通力による架空の城、蜃気楼の城を造り、そこで一旦休んだ上、旅を再び続けさせるという説話からとられたという。  1回目は、池田が生まれた大田区大森にある池田家代々の墓に目を向ける。その寺「密厳院」という寺は日蓮宗ではなく、真言宗の寺だというのだ。 「自分の家族や一族でさえ折伏できなかった男が創価学会の会長におさまる。そればかりか、以後半世紀以上その組織のトップに居座り続ける。それが、池田創価学会の最大の謎である」  この大河ノンフィクションがどういう展開を見せるのか、池田という人間がどう描かれるのか、佐野のライターとしての力量も試されることになるはずである。  第2位には年末恒例の予測特集の中で、比較的面白いものがそろっていた「サンデー毎日」の記事を挙げてみた。  1月から12月までに分けて、その分野の"賢者"が予言している。1月は「米国がイラン攻撃開始」するという物騒なことを、佐々木良昭東京財団上席研究員が言っている。  その根拠は11年12月4日にイランが米軍の最新鋭無人偵察機「RQ170」を押収したことだという。これは最先端の技術を満載しているため、米国としてはその情報がロシアや中国へ流失しないよう破壊するしかないのだという。  2月。北朝鮮は2月16日に金正日の誕生70年を盛大に祝うそうだが、「金正日誕生日『拉致被害者帰国なし』」と朴斗鎮コリア国際研究所所長が予言している。  金正恩になっても表面上は何も変わらないようだ。  気になる項目を拾っていく。3月には、富士山が300年ぶりに噴火すると警告する木村政昭琉球大名誉教授の「『3・11』から1年 富士山大爆発は4年以内」。  小沢一郎が政治資金規正法違反の罪に問われている裁判で無罪が出る。その結果、検察審査会が解体されると予測しているのはジャーナリスト魚住昭。  島田紳助が春の特番で芸能界へ復帰するという仰天予言するのは元吉本興業の木村政雄。  5月22日にオープンする東京スカイツリーは地元にとって恩恵がまったくなく、併設されるショッピング街に出店する墨田区内の業者はゼロだそうだ。東武鉄道は年間2,500万人の客を見込むが、下町情緒を壊すだけの乱暴な開発は、観光客から飽きられるだろうと予言するのは西恭三郎共産党墨田区議団長だが、私も同意見である。  6月には「解散・総選挙 野田辞任、『枝野首相』」と読むのは政治ジャーナリストの歳川隆雄。  在沖縄米海兵隊のグアム移転が白紙になり、普天間飛行場の移設が断念される可能性が現実味を帯びてきた。  6月の沖縄県議選では、「沖縄独立論」を唱える候補が出てくるかもしれない。そうなると、尖閣列島領有権を主張している中国がこれを好機とみて、まずは"尖兵"としてチャイナマネーを沖縄に投入してくるのではないかと予言するのは政治評論家の丸山勝彦。  8月には「ロンドン五輪で金メダルは19個」と楽観的な見方をしているのはスポーツジャーナリスト二宮清純。  9月の項では、メジャーリーグ入りをしたダルビッシュが15勝すると予言するのは野球評論家の与田剛。ただし、これまでのような中6日ではなく中4日のローテーションに戸惑うと5勝程度かと。  11月には米大統領選挙が行われるが、再選が危ういといわれるオバマが逃げ切ると読むのは渡部恒雄東京財団上席研究員。  共和党は前マサチューセッツ州知事ロムニーが有力だとする。失業率7%を超えると再選できないというジンクスがあるが、10%台から8.6%まで回復させてきた実績と巧みな話術で、オバマは再選を果たすというのだ。  12月には14年ぶりに日本人横綱・稀勢の里が誕生すると読むのは相撲ジャーナリストの中澤潔。  日経平均1万1,000円を回復するという、これまた楽観的な見方を示すのはマネックス証券チーフ・エコノミスト村上尚己。成長率が11年のマイナス0.9%からプラス1.3%と大きく改善し、内需系の増資が続き、消費税などの増税が決まれば自動車や住宅などの駆け込み需要が出てくるので株価も上がるというのだが、それって、増税された後は再び落ち込むってことだよね。元の木阿弥じゃん。  とまあ、当たるも当たらぬも八卦だが、今年以上の大災害が起こらないように祈るしかないようだ。  金正日の突然の死と若すぎる後継者・金正恩への不安感は近隣各国へ大きく広がっている。野田佳彦総理が珍しく韓国、中国と急いで話し合いをもったのも危機感の表れである。  金正日の死後、各誌この問題を扱っているが、「週刊現代」の特集に見るべきものがあったのでこれをグランプリに推す。  「現代」によれば中国は10月24日、次期中国首相に内定している李克強副首相が平壌へ行った際、ワインをがぶ飲みする金正日を見て、この独裁者の最後は予想されているより早いものになるだろうと中国首脳たちに報告していたという。  そのとき金正恩とも握手を交わしたそうだが、北朝鮮内部に異変が起きていることに気づいた。  首脳会談にも晩餐会の席にも金総書記の側近中の側近、金永春人民武力部長(国防相)の姿がなかったのだ。  金正日の命を受けて数々のテロを実行してきたのは金永春だといわれている。さらに金正日は将来の金正恩体制を全面的に支えてもらうために金永春を人民武力部長に昇格させ、後見人に指名した。  しかし、正恩と永春2人の考え方がまったく違うために、首脳部に大きな亀裂が生まれていると見る。  金永春は金正恩がやろうとした「10万戸の住宅建設」や「デノミ政策」「朝鮮国家開発銀行の発足」などを、経済改革が国外に門戸を開き、相対的に軍部の力が弱体化すると嫌って、ことごとく潰してきたという。  2人の確執はさらにエスカレートしていったために、ついに金総書記は金永春を疎んじるようになったのだが、その裏で驚く決断を中国側はしていた。それは金正恩を後継者として無能だと断じ、金永春に対して、金総書記亡き後は中国人民解放軍が全面的に支援すると伝えていたというのだ。  さらに金正恩が中国への亡命の道を選んでも、受け入れるつもりはない。軍の傀儡か亡命か。どちらにしても金正恩に明日はないというのが「現代」の読みである。  情報源が明示されていないので、このまま信じるわけにはいかないが、後ろ盾を突然失った若いボンボンがこの国を率いていくためには軍の協力が不可欠である。しかし、軍がさらにその力を強めていくことになれば、人民の窮状はさらに深まること、これも間違いない。  そうなれば北からの難民があふれ出し、金王朝はあっという間に崩壊するのだろうか。  26年前、私がたった一人で北朝鮮・平壌に3週間招待され見聞した体験をもとに言わせてもらえば「ノー」である。  国民は金日成が作り上げた「主体思想」を学び、学校教育だけではなく、日常的にテレビや映画、オペラ(北朝鮮はオペラ大国である)で、日本やアメリカ帝国主義の悪辣ぶりを見せられ、日韓併合時代の悪夢を常に思い出させられている。  白頭山から白馬にまたがり日本帝国主義を打ち破った金日成は彼らの神であり、その一族への尊敬の念はそう簡単に消し去ることはできない。  今すぐ日本がやるべきことは、難民やテポドン、ノドンが飛んでくることを恐れるのではなく、金正恩と話し合うパイプを作り、時間をかけて北を解放していく「太陽政策」を取ることにある。先ごろ韓国側が従軍慰安婦問題を出してきたように、朝鮮の人たちの日本への反感は根強いものがある。また、韓国と北は同じ民族であるということを忘れてはいけない。  平壌滞在中に多くの北の人間に話しを聞いたとき、一様に彼らの悲願は「民族統一」である。かつて韓国の要人が私にいった言葉を思い出す。 「韓国人は北に感謝すべきだろう。なぜなら南朝鮮の人間は本来が怠け者なんだ。北の脅威があったから、北に負けまいとして頑張って働くことができ、経済的な繁栄を築くことができたのだから」  南北が統一されてしまえば、中国、朝鮮、台湾に囲まれた日本は孤立するしかない。  2012年こそアメリカの呪縛から逃れ、中国、韓国と話し合い、朝鮮半島を安定させるために日本が主導的な役割を果たすべき年である。いまの野田政権にそんなことを期待してもと、はなからあきらめないで、だめならできる政権を選び直して、させるしかないと、私は思う。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「週刊ポスト」12月23日号 中吊り広告より
第1位 「週刊ポスト」12月23日号 第2位 「『仙台復興』に咲いた懐かしき『バブルの華』」(「週刊新潮」12月22日号) 第3位 「吉永小百合 封印された肉食系『愛欲生活!』」(「週刊アサヒ芸能」12月29・1月5日号)  12月19日、金正日総書記が死去したことが伝えられた。享年69歳。オサマ・ビンラディン、リビアのカダフィに続く、絶対権力者の死である。 「三男の正恩(ジョンウン)氏が後継者に決まっているが、権力移行の展開によっては国内が混乱し、難民の流出や核兵器の行方をめぐって情勢が緊迫する可能性も排除できない」とasahi.comは書いている。  普通に考えればそうなのだろうが、北朝鮮は常識の通用しない国である。私が26年前にたった一人で北朝鮮に3週間滞在したときのことを思い出す。  そのころは金正日の父親・金日成の時代であった。向こうの人間のあいさつはきまって「偉大なる首領・金日成と親愛なる同士・金正日」から始まった。後継者は金正日に決まっていて、彼の偉業を讃える個人博物館や書籍も出版されていた。彼の偶像化は完成に近づいていたが、それでもなお韓国や西側には、金日成が亡くなれば北朝鮮は内部から崩壊するという見方が強かった。  だが私は、北で会った人たちの話しを聞き、向こうのテレビや映画、オペラを見て、北朝鮮の人たちが学校だけの教育ではなく、日々生活する中で金日成親子を称え、日本帝国主義やアメリカを憎み、南朝鮮(韓国のことを向こうではこういっていた)との統一を望んでいることを知り、この体制はそう簡単には崩れないと思った。  父親の死後、たいした混乱もなく金正日時代が到来し、長きにわたって君臨してきたのはご承知の通りである。  今回は三代にわたる権力継承と、そのころよりさらに悪くなっていると思われる食糧事情などを考えると、正恩体制にすんなり移行できるか予断を許さないが、そう簡単に金王朝が崩壊すると考えるのは楽観論に過ぎると思う。  今回来日した韓国の李明博大統領が、首脳会談の冒頭で従軍慰安婦問題を切り出したことが取り沙汰されているが、韓国にとって慰安婦問題は終わっていないのである。  歴史に学ばない歴史健忘症の日本人には、日韓併合など平安時代か鎌倉時代にあったことのように考えているだろうが、韓国、北朝鮮の人たちにとってはオンリー・イエスタデーなのだ。金正日の死を両国の不幸な過去を清算して新しい関係を築くきっかけと捉え、拉致問題を含めた話し合いをこちら側から提案するぐらいの積極外交に動くべきであろう。  北の内部崩壊を待ち望むだけの消極的な姿勢では、21世紀の日朝関係はさらなる膠着状態に陥る可能性大である。  さて、年の瀬も迫り一部の週刊誌は合併号になり、新鮮なネタに乏しい季節になってきた。こういうときこそ編集者の腕の見せどころで、腐りかけた鯛を活き作りに見せる手腕が試されるのだが、残念ながらそうした冴えを見せてくれた週刊誌はごくわずかである。  久しぶりに「アサヒ芸能」を取り上げる。この2週ばかり「アサ芸」にはちょっと読んでみたいタイトルが散見された。「スクープ激白『飯島愛を殺した』私」(12月15日号)「橋下VS大阪市役所大殺戮ナマ現場」(12月22日号)がそれだが、読んでみると賞をあげたくなるような内容ではなかった。  今週の吉永小百合も、私が知らなかっただけで、9月に発売された中平まみの『小百合ちゃん』(講談社刊)から男関係を抜いただけのお手軽な作りだが、私の一番弱いところをついているので取り上げざるを得ない。  それは私が子どものころから由緒正しい「サユリスト」だからである。私と彼女はともに昭和20年生まれ。彼女が3月で私が11月。子役時代の彼女がラジオ番組『赤胴鈴之助』に出たころからのファンである。  中学高校時代は、小百合が浜田光夫と組んだはち切れんばかりの青春映画を見た。『キューポラのある街』(昭和37年公開/浦山桐郎監督)の川口の鋳物工場の貧しい少女を演じたのもよかったが、高校で体を壊し、それでなくても暗かった大学浪人時代に見た『愛と死をみつめて』(昭和39年/斎藤武市監督)は何度見て泣いたことだろう。  早稲田大学には何の魅力も感じなかったが、小百合に会えるかもしれないという一心で入学し、彼女がときどき現れるという文学部角の立ち食いそば屋の近くで何度待ったことだろう。  編集者の仕事を選んだのも、彼女に会えるかもしれないという淡い期待があったからだった。会ったというよりも近くで見たといったほうが正しいのだろうが、一度は川端康成の鎌倉での葬儀のとき、それと週刊誌の表紙の取材で立ち会ったとき二言三言、言葉を交わしただけである。  28歳の時、彼女は15歳も年上のテレビ屋と結婚してしまった。たしか「週刊朝日」、遠藤周作の連載対談に出て、"亭主が歯槽膿漏でも同じ歯ブラシで歯を磨けるか"という遠藤の問いに、「はい、磨けます」と答えている小百合の顔の上に涙をこぼしたことで何かが吹っ切れ、しばらくは小百合なしで生きることができた。  だが、還暦近くなってからテレビコマーシャルで再び脚光を浴びる小百合を見て、青春のころの想いが戻ってきた。CMは録画し、JRのポスターは剥がして奪うほどの度胸はないので、こっそりデジカメで撮ってオフィスの壁に貼ってある。  私がいま目論んでいるのは『戦後-吉永小百合とその時代』という本を書くことである。小百合ちゃん、インタビューさせてくれないかな。  とまあ、自分史を述べてきたが、清純派という、今では死語になってしまった女優の最後が小百合だったと思っていた。だが、その彼女とて生身の女である。いくつかの恋愛があり、年上のオジンとの"幸少ない"結婚があり、不倫疑惑があった。  若いころに有名なのは渡哲也との恋愛沙汰であるが、そのきっかけになったのが俳優の中尾彬であるという。彼がこう話している。 「彼女の広島のロケ地に立ち寄った時、僕は猛烈に腹を立てた。(中略)宿の浴衣の裾もいぎたなく乱して、お銚子を並べ、タバコもスパスパふかしながら宿で酔ってるんだ」  怒った中尾が吉永を呼びつけて説教し、そこへ止めに入ったのが渡だったという。二人の仲は周知の事実で、渡は小百合のことを「うちのカミさん」と公言していた。  渡は小百合の実家へ出入りして両親とも会う仲になるが、両親が許さない。「吉永にとって初めての男だった」渡との恋は2年余りで終幕を迎え、小百合はつらくて泣き通したという。 「YouTube」にいい映像がのっている。石原裕次郎が生きているとき、石原軍団を集めたテレビの歌番組の中で、小百合がピアノを弾き、渡が「くちなしの花」を歌うシーンがある。小百合は30代になっていたと思う。端が冷やかし照れる渡を見つめる小百合の眼が哀しそうで、見ているこちらもジーンとしてしまう。   その後、石坂浩二に恋いこがれ、28歳で15歳年上のおっさんテレビプロデューサー岡田太郎と結婚するのだ。  清純派と呼ばれていた時代に作った俳句が有名である。 「松茸は 舐めてくわえて またしゃぶり」  結婚してからはNHKドラマ『夢千代日記』ぐらいのヒット作しかないが、東映の社長になっている岡田裕介や西武にいた清原和博、俳優の東山紀之、ラグビーの本城和彦とウワサになった。  私が「フライデー」にいたときだと思うが、西武グループの堤義明社長との仲がウワサになり、編集部員に張り込んでもらったことがあった。  今や団塊世代のアイドルとして復活した彼女には、今一度、観客の胸を振るわすような演技を見せてもらいたいと思うのだが。  「新潮」が復興景気に沸く東北・仙台のネオン街ルポをやっているが、これがとても面白い。これが第2位。被災現場の復興は遅々として進まないが、有名なネオン街・国分町の復興は早かったと皮肉りながら、クラブのママにこう語らせている。 「ゴールデンウイーク辺りから、他県から来た人たちが飲みに来るようになったんです。瓦礫の撤去の人とか仮設住宅を作るためにやってきた建築業者や、地震保険の審査をする人達もいっぱい来ました」  一晩で60万円もキャバクラで使う地元の土地持ち。千客万来でホステスの奪い合いが激しい。食べもの屋もキャバクラも満員御礼。ソープ嬢は一日5,6人も客を取って体が保たないとグチり、デリヘル嬢は市内に空いているホテルがないことを嘆く。何と百貨店は前年度比300%増、100万円のロレックスの腕時計が一日5本も売れることがあるという。  本格的な復興を前にこの大騒ぎである。しかし津波の被害を受けた沿岸部に目を転じれば、瓦礫がうずたかく積み上げられた荒涼たる光景が拡がっていると「新潮」は書く。  予想されたように、巨額な復興資金はゼネコンが吸収して、被災地のほとんどの住民には行き渡らない。どこかおかしくないか。その日本の歪んだ現実をこのルポは見事に捉えている。野田佳彦総理に読ませたいものだ。  さて、今週の一冊をあげろといわれたら、迷わず「ポスト」をあげる。なぜか合併号と書いていないが2週売りだからワイド風な記事が多いが、見ていると、このところ「ポスト」が頑張っていたことがよく分かる。  前号で女子職員へのセクハラ疑惑ありと報じた駐クロアチア田村義雄大使に、帰朝命令が12月20日に出されるようだと"追撃"記事を書いている。  「ポスト」は、この問題を取り上げない新聞・テレビの弱腰を批判しているが、外務省の記者クラブに安住して「毒まんじゅう」を食らってしまった記者たちは恥ずかしいとは思わないのか。  同様に前号の「覆面官僚座談会」で、厚労省が25年の納付期間が数カ月足りなかったのに年金を支払っていた受給者に、時効後に受け取っていた保険料を本人に返す代わりに、受給資格を取り消し、支払った年金を返してもらうという"酷な"方針を固めたという厚労省官僚の発言が、大きな波紋を呼んでいる。  突然、「あなたは明日から無年金」だと言われたら、動揺しない人間は多くはないはずである。年金だけを取ってみても、この国はすでに破綻していると言わざるを得ない。「現代」のように、だから60歳からもらったほうがいいといういい分もそれなりの説得力はあるが、根本は消費税増税も含めた年金制度の抜本的な改革が必要なのだ。だが悩ましいのは、それを今の政治家や官僚には絶対任せられないことなのである。  大リーグへ移籍を希望している楽天の岩隈久志が愛人と車中キスをしている写真をスクープしたのも「ポスト」である。  だが、その愛人が岩隈の妻の妹であるというウワサが広がっているようで、ご丁寧に「A子さんが『義理の妹』でないことは確認している」と注意を喚起している。  警視庁に逮捕された柔道・金メダリスト内柴正人の教え子への強姦疑惑を、いち早く報じたのも「ポスト」だった。今週は前回取材した際の内柴とのやり取りを、前回書かなかった部分を出しながら追及している。ポスト記者が「3Pをしたという情報もあるが」と聞くと、こう答えている。 「マジで? ありがたいね。させてもらえれば、したいですよ」  こんな人間を客員教授に採用した九州看護福祉大学の責任も追及されなければならないはずである。  最後に、「ポスト」に比べて影の薄かった他の週刊誌の奮起を促したい。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
山田なおこ 写真集『スナック』 復興への希望を語る場所。 amazon_associate_logo.jpg
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「週刊朝日」12月16日号
佳作 「東電がひた隠す福島第一原発吉田所長の『本当の病状』」(「週刊朝日」12月16日号) 佳作 「駐クロアチア大使『現地美女セクハラ事件』スッパ抜く!」(「週刊ポスト」12月16日号) 佳作 「警視庁がたくらむ2ちゃんねる撲滅作戦」(「週刊朝日」12月16日号)  今週は残念ながら賞をあげたくなるような記事がなかった。冬枯れといっては身も蓋もないが、このところ週刊誌は元気がない。野田佳彦どじょう総理が意外にしたたかで、TPP参加も消費税増税もやる気を見せ、それを新聞が後押ししているが、週刊誌は攻めあぐねているようだ。  週刊誌側にいわせると「野田では売れない」というのが一番の悩みだそうだが。  全体に低調な中でも、やや目立った記事を取り上げてみる。「朝日」は、暴排条例で勢いに乗る警視庁が巨大掲示板「2ちゃんねる」規制に乗り出したと書いている。  北海道・札幌の雑居ビルにガサ入れがあったのは11月24日早朝。この会社は「株式会社ZERO」という、2ちゃんねるのサーバー管理会社で、ガサ入れしたのは東京の警視庁だった。  10月下旬に樋口建史警視総監らの指示で各部署から精鋭の「ハイテク刑事」たちが集められたという。  精鋭ハイテクチームは早速「2ちゃんねる」をくまなくチェックし、「犯罪の萌芽となる事実」の洗い出しを始めた。  先のガサ入れは、麻薬特例法違反容疑。法律で規制されている薬物を買えるような環境を放置しておくことも「ほう助」に当たり、罪に問えるのだ。  年々、ネットの掲示板に違法行為と見なされる書き込みが増加している。警視庁から依頼を受け、ネット上の違法情報などの統計を取っている「財団法人インターネット協会」によれば、2011年度上半期の違法情報件数は1万9,286件で、前年同期よりも約4%増加しているという。  同協会はプロバイダーを通じて違法情報の削除を要請しているが、約42%は要請に応じていない。その半数以上が「2ちゃんねる」だといわれている。  ネットに対する規制強化は年々厳しくなってきている。ネット掲示板で違法な薬物の取引や、匿名だからと誰かを誹謗中傷することなど許されないのはもちろんだが、それを突破口にして、ネット上の言論表現にまで規制をかけようという強い「意思」が警察や国側に感じられる。  警察側が強気なのはこのような背景がある。 「国民がすぐに警察を頼ろうという姿勢、それを受けて警察が安易に刑罰権を行使しすぎていることに懸念を抱いています」(大貫啓行麗澤大学教授)  私見だが、日本はネットが健全に育つ前にさまざまな規制をして、かえってネット文化やネットジャーナリズムの発達が疎外されてきてしまった。  警察権力は、これは規制の対象だとハッキリとした指針を示し、それ以外のことは彼らの自主性に任せるのがいい。暴排条例もそうだが、やたら警察などがしたり顔して表に出張ってくるときは要注意である。  バルカン半島の小さな国・クロアチアは古くから親日である。そのクロアチアの首都ザグレブの中心地にある日本大使館が大揺れに揺れていると、「ポスト」が書いている。  それは田村義雄・駐クロアチア大使(64)のセクハラ疑惑である。田村の経歴は、大蔵省に入省後エリートコースを歩み、財務省関税局長、環境省に移り官房長、事務次官を歴任し、09年から現職に就いた異色の大使である。  日本の特命全権大使の中でも事務次官経験者は2人しかいないという大物。セクハラとはどういうものだったのか。  大使館に勤務している20代の美人事務員に対して、公用車に同行させ、クルマの中で抱き寄せて強引にキスをしたり、脚をなで回したり、抱きついて体に触ったというのだ。  彼女は半年間、セクハラに対して泣き寝入りするしかなかった。父親が休職中で一家の生活を彼女が支えていたからだ。  昨年11月に日本の外務省人事課宛に告発状が届いた。そこに大使のセクハラ行為が書いてあった。外務省が重い腰を上げ、今年の1月19日から21日まで、稲葉一生・監察査察官をクロアチアに派遣して大使館員全員の事情聴取を行った。  公用車の運転手は目撃した事実を証言し、当該の彼女も悩んでいたが、ついには語った。それに対して田村大使はこんなことをいったそうである。 「私としては、そんな(セクハラの)つもりはなかったが、そうだと言われれば不徳の致すところだ」  日本の大臣が追い込まれて辞めるときに使う常套語である。告発文書にはセクハラ以外にも、飲酒運転疑惑やカジノ好きなことまで書いてあったそうだ。  また、日本から来た知人との会食に報償費を使っていたことも問題視されたのだが、外務省が下した判断は、田村大使を一時召還して事情を聞いただけで、クロアチアへ返してしまったのだ。  アメリカやヨーロッパの先進国だったらそうはしなかったと、元外交官だった天木直人が言っている。  沖縄では、不平等な地位協定を盾に、在日米軍兵士が日本人女性を暴行しても日本で裁くことができずに帰国してしまうことなどへの批判が渦巻いている。  クロアチアの人たちがこの事実を知ったら、日本に対する見方が変わってしまうことは間違いない。大使を処分する権限を持つ野田総理はこの記事を読んで、事実だとしたら厳罰をもって臨んでほしいと思う。  福島第一原発の事故以来、日本人の命を守るために懸命な努力をした中のひとりが吉田昌郎所長であったことは衆目の一致するところであろう。  その吉田が12月1日に病気で退任してしまった。しかし、東電側は吉田の病名を個人情報保護のためだとして、言いなりになる大手マスコミの記者たちを言いくるめて、いまだに公表していない。  だが、福島第一原発の幹部に強いパイプのある「朝日」だから、やってくれているのではと期待を持って読んだが、内容はイマイチだった。  10月下旬にトイレで男が嘔吐していた。その男が吉田だった。吉田の異変は口コミで福島第一原発内に広がり、免震重要棟2階の緊急時対策室で休んでいるときもしばしばあったという。  吉田の異変はすぐに東電本社にも伝わり、かん口令が敷かれた。  吉田はしばしば東電本社と衝突した。3月12日、海水を入れるしかないと判断した吉田が、東電本社から「総理の許可を取っていないからストップするように」という指示があったとき、彼の独断で海水を注入し続けたのは有名な話だ。  福島第一原発はまだ安静状態ではなく、小康状態である。まだまだ楽観は許されないのに、現場を離れなければならない吉田の心中はいかばかりだろう。  剛毅な彼のことだから、よほどの病気でなければ現場を離れることをよしとしなかっただろう。だからこそ彼の病状が気になるのである。  原発事故以来、吉田が浴びてきた放射能は相当であろう。累計の放射線量はどれぐらいなのかを、東電は発表すべきだ。  「朝日」は福島第一原発関係者がこう語ったと書いている。 「フクイチ内に出回っている情報だと、肝機能が低下する病気か消化器系のがんだという人がいますが、病名は私たちも知りません。近く手術する予定があるともいわれています」  吉田は東電を退社したいと語っているという。吉田の病状は日本人全体の関心事である。個人情報保護などというデタラメな理由で吉田隠しをしている東電の隠ぺい体質を批判し、病状情報をスクープできるのは週刊誌しかない。期待しているよ!  「おまけ」に「週刊現代」(12月17日号)の「痴漢冤罪 警察も新聞も気楽に考えすぎていないか」を挙げておく。競艇選手・森下祐丞(26)が兵庫県迷惑防止条例違反で逮捕されたのは今年5月。森下は一貫して女性巡査の胸を触った痴漢行為を否認したまま神戸地検に身柄を送検された。11月15日に神戸地裁で下された判断は「女性巡査の証言の信用性には疑問がある」というものだった。  冤罪は晴れたが、それで一件落着にはならない。森下は判決が下るまでレースには出られないため、収入が途絶え、結婚したばかりだったが買ったマンションを解約せざるをえず、2人はそれぞれの実家で別居状態。無罪判決が出ても再起するのは最下位のクラスからとなり、賞金も減ってしまった。  事件を読売新聞大阪本社が実名で報じ、スポーツ報知は顔写真入りで断定的に書いた。  痴漢冤罪は、信頼性が担保できない被害者証言だけで逮捕できてしまう「条例」のために、一向になくならないと弁護士は語っている。  痴漢で捕まれば、無実を立証するのは、法廷関係者の間で「悪魔の証明」といわれるほど、不可能に近い。  私大職員だった原田信助(当時25)は、大学生3人組から痴漢の疑いをかけられ、激しい暴行を受け、警察官も痴漢と断定して新宿署に連行してしまう。取り調べは深夜に及び、翌朝、身柄をとかれた原田は地下鉄に飛び込んでしまうのだ。  遺族がその後、警察調書の開示を請求した。そこには被害者を名乗る女性が「見間違えた」と供述していた。  痴漢冤罪は疑いが晴れた後も、その人間を苦しめる。警察はもちろん、メディアが報じるときには細心の注意が払われなければならない。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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"連載を一度も休まなかった"「週刊現代」だけが知る故・立川談志の晩節

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第1位 「さよなら、談志師匠 がんと闘った『最後の日々』」(『週刊現代』12月10日号) 第2位 「ボーナスは『安すぎる日本株』を買え!」(『週刊ポスト』12月9日号) 第3位 「東国原英夫前宮崎県知事『まな板の上で開チン』写真」(『フライデー』12月9日号)  大方の予想通り橋下徹が大阪市長選で大勝した。大阪府知事の方も維新の会の松井一郎が大差で当選して、大阪は"独裁者"橋下の天下になった。  景気の悪化で失業率が高い大阪市民が、誰でもいいから今の状態を「チェンジ」してくれる人間に一票を投じた心理はよく分かる。  だが、彼がやろうとしている教育改革や生活保護費の見直しは、偏狭な教育の押しつけや財政再建の名の下に弱者を切り捨てることにつながらないだろうか。  これまでは、改革が思うように進まないのは平松邦夫市長のせいだと言い訳できたが、これから本当の手腕が試されるのだ。政権交代とだけ言い続けて政権をもぎ取った民主党のその後の惨状を見るにつけ、橋下強権政治にはちょっぴりの期待と、大いなる不安がある。  私の畏友・宮崎正弘がメルマガで大阪「都」構想をこう批判している。 「都という不遜な呼称を無造作に用いる、その語感と歴史認識への大いなる疑問である。大阪には嘗て浪速宮がおかれ、中世の都があった。信長が敵対しても落とせなかった大阪城は石山本願寺、一向宗の聖域であり、宗教の中心地だった。その後、秀吉は石山本願寺跡に壮大な大阪城を構築し、天下に号令を発する政治都市とした。だが都は京におかれたままだった。家康は政治中枢を江戸に移したが、京に天皇はおられたままだった。すなわち都とは、天皇陛下のおすまいがある場所を指す」  さて、その橋下に食らいついておこぼれにありつこうとしている宮崎県前知事でタレント・そのまんま東の仰天写真が今週の第3位。  2006年6月に撮られた写真だというからかなり古いが、二度と見たくないほどド迫力、かつ醜悪な写真である。  この時期は、東が「地方自治を実践する」といって早稲田大学で政治を学んでいた。知り合いになった政界関係者や官僚、政治に興味を持つ若者たちを自宅マンションに呼んで「勉強会」と称した呑み会をよくしていたそうである。  そんな勉強会の最中に撮影されたものだ。私の周りにも呑むと裸になって騒ぎ狂う連中は少なからずいる。故・立川談志さんは、彼を慕ってくる芸人、歌舞伎役者、歌手に、酒を呑んでいる席で「裸になれ」と命じていた。そういわれて素っ裸になれない奴は一流にはなれない、それが談志流人間観察術だった。  だがこの写真はそうではない。その日開かれた勉強会には、東が交際していたMさんという女性も来ていた。彼女は大手商社社員夫人だが、東との交際はMさんが大手都銀の独身行員だった頃からで、結婚後も関係は続いていた。  Mさんは結婚してからも、家庭でもめるたびに東のところへ転がり込んで、数カ月単位で居続けることがあったそうだ。  問題の写真が撮られた日、Mさんは参加者の目の前で「なんであんたは他の女に手を出すの!」と東を叱責し、その怒りが次第にエスカレートしていった。  防戦一方だった東が、彼女に向けて「だったら、(浮気をしないという)証拠をこれから見せてやる」と啖呵を切り、まな板を取り出して全裸になり、自分のイチモツをそこへのせ、包丁で切る真似をした。それを参加していたメンバーが撮って盛り上がったそうである。  その後、Mさんは夫の海外赴任でシンガポールへ行った。選挙に出るにあたってスキャンダルになることを恐れた東は、自らシンガポールへ飛んで関係を精算したそうである。  この写真は東という男の品性を丸ごと写し出している。不倫相手から責められ、開き直って真っ裸になった男の無様な写真を見て、県知事に彼を選んだ宮崎の人たちは、どう思うだろうか。  私は株とかのマネーゲームにはまったく関心がない。競馬は毎週やってはいるが、賭け金は雀の涙ほどである。  実は、これまで2回だけ株を買ったことがある。もはや時効だから話すが、一度は野村證券の某部長に勧められて二部上場の聞いたこともない会社の株だった。  2度目は、政商といわれ仕手株で大儲けしていた頃の某氏に言われて、仕方なく買わされた。これも知らない会社の株だったが、2度とも数日のうちに倍以上値上がりしたのだ。  そのわずかな経験で、2度と株はやるまいと決めた。大手証券会社や大物仕手筋が巨額なカネを動かして株価を左右する世界では、個人がいくら頑張っても勝てるわけはない。それよりもわずかなカネを握りしめて競馬場へ行く方が自分の身の丈に合っていると思ったからだ。  第2位に「ポスト」の株の記事を取り上げたのは、もし日本株を買うのなら、先日日本に来た投資家ウォーレン・バフェットが言っていたように、今なのかもしれないと、しばらく前から思っていたからである。  私には投資する資金はないから、客観的に見ることができる。これは競馬も同じである。馬券を買わずに予想すると的中率は格段に上がる。それが馬券を買い出すと欲との2人連れになるから、あらまほしい馬券ばかり買うようになって、最終レースが終わるととぼとぼとオケラ街道を歩くことになるのだ。  「ポスト」が言うように、日本企業の内部留保は257兆円もある。これは史上最高レベルだ。円高にも、すでに多くの輸出企業では対応ができている。なのにメディアは、不景気は自分たちの裁量が増えるから大好きな官僚たちに踊らされ、そうした情報しか受け取れない国民は、重税にも給与カットにも「仕方ない」と諦めてしまっている。だがその裏で、政・官・財・報の既得権益者たちが大笑いしているというのである。  では、どの銘柄を買うのか。個人投資家向けに投資情報を提供する「カブ知恵」の藤井英敏代表が5つの条件をクリアした銘柄39を紹介している。  5つの条件とは、時価総額300億円超、ROE(自己資本利益率)7%以上、PRB(株価純資産倍率)1.0倍以下、予想配当利回り2.0%以上、過去3年平均売上高成長率5%以上。  5銘柄だけ抜き書きしてみる。「サッポロホールディングス」(株価286円=以下同じ)「旭化成」(444円)「コスモ石油」(195円)「三井金属鉱業」(178円)「日産自動車」(666円)  いかがだろうか、ボーナスでなくても、ポケットマネーで買えるほどたしかに安い。あとは自己責任でどうぞ。  立川談志師匠が亡くなった。予想したことではあったが、以来、テレビ、新聞、雑誌で師匠の落語とその生き方が取り上げられ、あらためて立川談志という人間の大きさと、いなくなってしまった寂しさが広がっている。  私は大学時代から立川談志が好きで、紀伊國屋ホールや寄席に聞きに行っていた。親しくお付き合いするようになったのは40を過ぎてからである。  こんな思い出がある。私が「フライデー」の編集長だったとき、「幸福の科学」と大騒動があり、歌手の小川知子や直木賞作家の景山民夫ら信者たちが、講談社の前をデモする姿が毎日のようにワイドショーで放送された。  心配してくれた談志師匠が、景山と仲直りしないかと言ってきた。有楽町のマリオンでやる「ひとり会」へ景山を呼ぶから、一緒に舞台へ上がってくれ。そうすればオレが奴に話すというのだ。  立川流にはBコースというのがある。ビートたけしや景山はそのBコースで、談志は彼らの師匠ということになるから、落語の世界で師匠は絶対的な存在である。  厚意はありがたくいただいてお断りしたが、そのあとに景山は自宅で風呂に入っているとき火事が出て亡くなってしまったという。  「フライデー」編集部にビートたけし軍団が殴り込んだ事件のあとも、たけしとの仲を取り持とうかと言ってくれた。懐かしい思い出である。  「週刊現代」の編集長のときには、談志師匠に「談志100選」を連載してもらった。師匠が選んだ名人上手を毎回取り上げ、それに山藤章二画伯の絵を付ける豪華な連載だった。これは講談社から本になって出ているが、師匠も大変喜んでくれて、会うたびに「あれはオレの会心の作だよ」と言っていた。  一昨年の暮れ、上野の鰻割烹伊豆栄梅川亭で少人数で「談志を聴く会」を、作家の嵐山光三郎と共同で開いた。この頃は体調が悪く、トイレに行くのも障子を伝い歩きしてやっとだった。  にわかごしらえの高座へも弟子に手伝ってもらって何とか上がったが、座っているのが辛くて、ついには足を前に投げ出してしまうほどだった。  ダンディな師匠には辛かったに違いないが、1時間半ほどジョークから噺のさわりを、出ない声を振り絞って語ってくれた。  これが最後の高座になるかもしれないと、そのときは心の底で思っていた。  だが、年が明けて、あれだけ嫌いだった病院に自ら入り、毎日やっていたビールとハルシオンを飲むことを断ち、奇跡のように体調がよくなってきた。  もう一度高座で落語をやりたい、その一念がそうさせたのだろう。  立川志らくたち弟子の落語会へも出かけて、ジョーク集をやっては客を喜ばせた。そして昨年暮れの読売ホールで、これも奇跡のように見事な「芝浜」を演じたのだ。  満員の観客は感動で動けなくなり、師匠もしばらくはジッとして余韻を楽しんでいたという。  年が明けても順調そうだった。しばらく大丈夫かもしれないと思っていたのだが、病魔は確実に体を蝕んでいたのだ。  「現代」で師匠の息子は、昨年11月に医者から咽頭がんが再発していることを聞かされていたと話している。  声帯摘出がベストだと医者は言うが、それを父がよしとするわけもないから、告知しなかった。だが、暮れに告げると、予想通り手術はしないという答えが返ってきた。「プライドが許さねぇ」と言ったそうだ。  しかし今年3月になって切開手術を決断した。そのため、話せない、食べられないために、ほとんど寝たきりの状態になってしまう。  筆談でやり取りするしかない。「立川志らくがとってもよくなってきた」と身内が話すと、そうかそうかと喜びながら、「でも、オレが一番」と書いてよこしたそうだ。  10月27日に容体が急変する。ほとんど意識が戻らないまま11月21日に永眠。  「現代」には私が仲介して始まった連載「談志の時事放談 いや、はや、ドーモ」があるだけに、他誌の追悼特集を圧倒している。  驚くことに、この連載は一度も休んでいない。苦しい中でも乱れる字ながら書き続けてきたのである。  病気には一度も触れていない。珍しく10月の終わりの原稿で「女房(ノン)くんのこと」と、奥さんのことを書いている。 「ある時、俺が怒った。そのときの態度がよかった。"怒られちゃった"。可愛いの何の、俺、この一言でこの人を嫁さんにと決めてよかった」  書いておきたかったのだろう。  「現代」には、病状に触れているため、身内が担当者に渡さなかった原稿が掲載されている。海が好きだった師匠が、各地の海の思い出を書き綴っているのだが、最後にこう書かれていた。 「もう無理だ。家元、ノドに穴をあけられ喋れず、唯、家でじっとTVを見ているか、こんな文章を書いているだけになったのだ。人間、何が来るかは判らない。まさか喋れなくなるとは思わなかった。手術は断るべきであった。おまけに胃袋に管で食事を入れるだけ。そうなると味覚もない。その前に食欲がわかない。何だろう。生きる『シカバネ』そのまんまである。(中略)誰かが昔、云った。談志さんは何も云わなくてもいいのですよ。高座に座っててくれればネ。昔、俺も同じような事を志ん生に云ったのだ。勿論本気で云ったのだが。手前ぇがそうなるとは、つゆ思わなかった......」  私もそう言った。高座で寝ててもいいから生きていてくださいと。  モノクログラビア最後のページで、自宅近くの根津の銭湯で湯に浸かっている写真の表情がとてもいい。「銭湯は裏切らないね。いつ行っても絶対に気持ちイイ」。そう、その通りですね、師匠。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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