大相撲の「八百長」をのさばらせてきた大マスコミ・司法の責を問う

shincho0214.jpg
「週刊新潮」2月17日号中吊り
●第79回(2月8日~2月14日発売号より) 第1位 「八百長裁判『巨額賠償』で週刊誌を萎縮させた『司法』の暗愚」(「週刊新潮」2月17日号) 第2位 「小向美奈子にまた『逮捕状』!」(「週刊文春」2月17日号) 第3位 「交際2年!『SMAP』稲垣吾郎『スレンダー美女とお泊まり愛』撮った!」(「フライデー」2月25日号)  4月に東京都知事選が行われる。石原慎太郎氏の4選出馬か、蓮舫、東国原、舛添氏らも取り沙汰されている。  今週のポスト「シリーズ 天下の極論」に石原氏の持論が載っている。いつもの「日本はアメリカの妾」論から、日本の現状を「これは平和の毒です。あまりにも長く緊張感のない時代が続いたために、国家としての我欲が張り、社会が堕落してしまったのです」と嘆く。  「無駄に爆発するエネルギーさえ失ってしまった」日本の若者と韓国の若者を比べ、彼の国の若者が人生に対して積極的なのは"徴兵制"があるためだとして、日本の若者にも「自分の生命、存在が脅かされる経験」をさせるために、「高校を卒業した年齢の子供は、1年間か2年間、軍隊か警察か消防に入る義務を課すべき」だと説く。  こうした考えを持つ人物が、首都の顔であり続けることがいいのかどうか、私も都民の一人として、じっくり考えてみたい。  さて、今週の第3位は「SMAP」稲垣吾郎の熱愛をスクープ撮した「フライデー」の記事。  菅野美穂との破局から2年ほど経った稲垣が、「昨年末まで大手芸能プロダクションに所属」していたロングヘアのスレンダー美女と、1月中旬、目黒区の焼き肉店でデートした後、別々にタクシーに乗って、稲垣のマンションへ「お泊まり愛」したという。  翌週も、件の美女が稲垣のマンション近くでタクシーを降り、反対側の路地で佇む彼女を、稲垣がわざわざクルマで迎えに行き、すぐ前のマンションの駐車場に消えていった。  芸能プロ関係者が、「二人とも真剣で、すでにお互いの両親にも紹介済み」だと話している。  オフの日なのだろう。彼女と別れた後、稲垣がゴルフの打ちっ放しで汗を流すショットもあるから、じっくり張り込み取材を続けていたことがわかる。  やや人気に翳りが出てきた「SMAP」とはいえ、「嵐」など人気グループがいるジャニーズ事務所の嫌がる記事をやるには、ある程度の覚悟がいったはずだ。  芸能活動をこれから再開するという彼女の名前や、事務所のコメントがないのを、何らかの事務所側とのやり取りの「痕跡」と見るのは穿ちすぎだろうか。  第2位は、ワイドショーなどがフィリピン・マニラまで追いかけて、バカ騒ぎをしているが、そのきっかけをつくった「小向美奈子に逮捕状が出た」とスクープした「文春」の記事。  新聞、テレビでこの件が報道されたのは8日の火曜日。「文春」が発売されたのは9日、水曜日だが、校了は7日の月曜日、たぶん夕方だろう。おそらく他のメディアは、「文春」の新聞広告を事前に入手して事件を知り、あわてて取材に走ったはずだ。  だが、ちょい気になるのは、記事中で全国紙社会部記者が、小向が付き合っていたイラン人が所属している覚せい剤密売組織が、警視庁に摘発され、小向に逮捕状が出されたと話していることだ。それだけ知っていれば、自分のところの紙面で書けばよかったと思うのだが、ブン屋サンのやることは不可解である。ちなみに「文春」の誌面に載っている「覚せい剤密売9容疑者逮捕」という記事は朝日新聞である。  ともあれ、小向は09年に覚せい剤取締で逮捕され、現在執行猶予中だ。再犯となれば実刑もありうる。ストリッパーとして注目され、ようやくタレント活動も再開の目処が立ったところだった。  覚せい剤犯の再犯率は5割を超えるという。そういえば、最近、本を出したのりピーこと酒井法子は大丈夫なのだろうか。  八百長問題に早くけりをつけたい相撲協会だが、そうは問屋が卸しそうにない。これまで、八百長はない、聞いたことさえもないと言い張ってきたのだから、「ポスト」「現代」の怒りもヒートアップするばかりだ。  「ポスト」が30年も八百長を追及し続けてきたと「本家」を誇れば、「現代」は、うちは59年4月12日号の創刊号で「八百長はやめてくれ」という記事を掲載しているから、52年になるぞと胸を張る。  「現代」は、なにしろ八百長の記事で相撲協会などから訴えられ、総額4,785万円を払えという判決が確定し、その上、昨年の11月27日号で、記事取り消し広告まで掲載したから、はらわたが煮えくりかえっている。  今週号では、「本誌は相撲協会理事長と八百長力士を『詐欺罪』で警視庁に告訴する」と、巻頭で告知し、先の裁判で提出した「八百長を証明する『陳述書』」、「朝青龍と北の湖親方の法廷証言」も公開している。記事中には、朝青龍と北の湖の「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りのないことを誓います」という宣誓書への署名まで載っている。  八百長関連では、群を抜く怒りとページ数だが、今週は、「新潮」の記事に軍配をあげたい。以前から裁判所攻撃では定評があった「新潮」だが、八百長裁判で最高裁までが出した高額賠償判決は、裁判官の世間知のなさを明るみに出したばかりでなく、週刊誌を萎縮させた「愚行」であったことは間違いない。 「八百長を知っていて書かない、正確に言えば、相撲協会が恐くて書けない大マスコミ。八百長が相撲界で放置されてきた一因は、ここにあろう」(「新潮」)  この問題を取り上げるのは週刊誌だけだと思われていたのに、その足を引っ張ったのが司法だったのだ。  私も名誉毀損で訴えられ、法廷に出たことがあるが、私が裁判官から受けた第一印象は、「週刊誌は悪」だという先入観を持っている人間だというものだった。  週刊誌は嘘ばかり書く。国技といわれ、裸一貫で頑張っている相撲取りを侮辱するような記事は許さん。そうした"偏見"から出されたのが、5,000万円近い賠償金の支払いと、行き過ぎた「記事取り消し」広告の掲載である。  しかも、権力ベッタリの大新聞は、「現代」への一審判決が出たとき、「取材は杜撰」と斬って捨てたのだ。それがいまは、八百長は昔からあったのではないかと、世迷い言を連日書いている。  相撲協会とメディアの癒着を、私の経験から話してみたい。「フライデー」編集長のときは、若貴全盛時代だった。今からは信じられないが、館の前には多くのダフ屋がいて、法外な値段で呼びかけていた。  「フライデー」は記者席に入れないため、仕方なく、高額なカネを出してダフ屋からチケットを買うこともあった。ようやく入っても、遠くからではいい写真を撮ることができないため、通路で、観客の邪魔にならないように写真を撮っていた。  毎号毎号、若貴の写真を掲載していると、相撲協会から何度か撮影をやめるよう申し入れがあった。だが、その代わりに席を用意してくれるわけではないから、何とか算段して、見つからないよう用心して写真を撮っていた。だが、相撲協会の人間が寄ってきて、カメラマンが問答無用で外に放り出されてしまうことが何度かあった。  後で調べてみると、協会にご注進していたのは、新聞やテレビの記者たちだったことがわかった。  体制にベッタリと寄り添い、自分たちだけの特権に胡座をかき、他のメディアを排斥する体質が、八百長問題だけでなく、大相撲改革を遅らせてきた大きな元凶の一つだということに、裁判所だけではなく、新聞、テレビの人間も気付くべきだ。 (文=元木昌彦)
八百長―相撲協会一刀両断 元大鳴門親方はこの本の出版直後に謎の"病死"。 amazon_associate_logo.jpg
ターゲットは高齢者と富裕層 相続税増税で税率80%もあり得る!? 「ポスト」のエロ度がエスカレート! "エロ検定"、あなたは何問正解できる? 「評価されすぎ!?」副知事辞任で見えた河村名古屋市長の実像と虚像

ターゲットは高齢者と富裕層 相続税増税で税率80%もあり得る!?

motoki0207.jpg
「週刊現代」2月19日号 中吊り広告より
●第78回(2月2日~2月7日発売号より) 第1位 「大相撲と八百長」(「週刊現代」2月19日号) 第2位 「相続税は80%になる」(「週刊現代」2月19日号) 第3位 「現代の肖像 阿武野勝彦」(「AERA」2月14日号)  「元連合赤軍最高幹部の永田洋子(ひろこ)死刑囚が5日午後、東京・小菅の東京拘置所で多臓器不全のため亡くなった。65歳だった」(2月7日のasahi.comより)  私と同年である。私は大学時代、バーテン稼業のノンポリだったが、彼女は薬科大生のときから革命運動に走り、過激派の指導者となっていった。1972年、山岳ベースで総括と称して仲間12人をリンチで殺した首謀者として逮捕される。  革命という言葉が夢物語ではないかもしれない、そう思えた時代だった。その後の人生を、彼女は裁判と獄中で過ごし、私は雑誌屋稼業を細々と続けてきた。  若松孝二監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08年公開)を見ても、彼女たちの"狂気"は理解しがたい。だが、主義主張は別にして、青春を燃焼し尽くせる時代が確かにあったことを、甘酸っぱい感傷とともに思い出させる、彼女の死だった。  今週の3位は「東海テレビ」のプロデューサー阿武野氏を取り上げた「AERA」の「現代の肖像」。80年代初め、訓練生の死亡や行方不明事件で世間を騒がせた戸塚ヨットスクールの軌跡と現在を追ったドキュメンタリー『平成ジレンマ』が、劇場でも公開されて話題になっている。  戸塚ヨットスクール校長の戸塚宏氏とは、私も一時期お付き合いした。嵐のような世の批判を受けながらも、自分の信念を貫く生き方に、会うほどに魅せられた一人である。  行き過ぎた「体罰」の問題はあるが、こうした厳しい訓練で立ち直っていった非行や不登校の若者がいたことも事実である。  阿武野氏は多くの優れたテレビ・ドキュメンタリーを作っている。私も、裁判官の本音を語らせた『裁判長のお弁当』や、光市母子殺人事件の弁護団を、内部から撮った『光と影~光市母子殺人事件 弁護団の300日~』を見ている。  『光と影』は、彼に東京にきてもらって、ドキュメンタリー上映後にシンポジウムをやった。弁護団が日本中から叩かれているとき、弁護団側にカメラを据えて撮り続けることは、相当な覚悟が必要だっただろうが、ご本人は構えたところのない物静かな人だった。  この記事を読むと、こうした社会問題を、一商業テレビで撮り続けることの難しさに直面し、突然左遷されたこともあったという。  いまやドキュメンタリーの主戦場は映画ではなく、テレビに移っている。それも東京キー局ではなく、地方のテレビ局からいい作品が多く生み出されている。 『平成ジレンマ』は現在、名古屋シネマテークや東京・東中野ポレポレ座で上映中。これを書き終えたら見に行ってみよう。  2位は「相続税が80パーセントになる」という「現代」の記事。  私の年下の友人が訪ねてきて、90を超える祖父が先日亡くなったと聞いた。連れ合いはだいぶ前にいないというから、残された家屋とお金をどう分けるのか、なかなか大変なようだ。その上、相続税の控除額が変わるそうだから、その前に遺産分けをやらなくてはならないと、ため息をついていた。  どちらかの親が健在ならば、大きな問題にならないが、両方が亡くなると、兄弟は他人の始まりである。親が見たら嘆くだろうなというほどの醜い遺産をめぐる争いは、私の周りでも多くある。  「現代」によれば、現在の税制が作られたのは占領下、米国のシャウプ博士を中心とする7人の税制使節団が「世界で最も優れた税制」を目指して作ったそうだ。  中でも、冨の集中排除を目指して作られた相続税は「相続税論のテキストブック」と呼ばれている。それが、平成23年度税制改正大綱では、富裕層をターゲットにする「相続税の大増税」が打ち出されたのだ。  今回の相続税のポイントは、最高税率を50%から55%に引き上げることと、基礎控除と呼ばれる非課税枠を4割ほど縮小させたことである。その上、さらなる相続税増税が控えていて、その率は80%にまでなるかもしれないというのだ。 「日本国民が保有する金融資産1,400兆円のうち、その6割ほどは60歳以上の高齢者が持っている。あらゆる控除をなくして、相続税を10%かけただけでも、単純計算で毎年40兆円の税収となる。消費税、所得税をあげるには反発が大きい。そこで政権は大声を出さない高齢者と富裕層をターゲットにしているというわけです」(民間シンクタンクのエコノミスト)  残しておくより使ってしまえと、年寄りのフトコロからカネを吐き出させて、景気を刺激しようなんて、役人の考えそうなことだ。そういえば、麻生元総理も自著の中で、お年寄りからカネをふんだくれと書いていたな。  さて、大相撲春場所を中止にまで追い込んだ八百長問題は、どこまで広がるのか予断を許さない。「大相撲に八百長あり」とキャンペーンをはり続けてきた「ポスト」と「現代」が、どういう切り口でやってくるか楽しみにしていた。  「ポスト」は「角界よ、大新聞、テレビよ、片腹痛いわ!『週刊ポスト』は大相撲八百長を30年間こう報じてきた」と老舗らしく歴史を誇り、2月2日毎日新聞のスクープ「力士が八百長メール」報道など、「何を今さら」とハナで笑う。  「ポスト」が「角界浄化キャンペーン」を始めたのは80年からで、その後、元大鳴戸親方の告発や元小結・板井圭介氏の実名証言など、「国技のタブーに正面から斬り込んできたメディアは本誌だけといっていい」と豪語するが、掲載は後ろのページで4ページ、内容も今ひとつである。  では、「現代」はどうか。さすがに巻頭で10ページの「ぶち抜き大特集」である。内容は、「八百長力士はまだいくらでもいる」「『八百長メール』原資料を公開する」「『八百長』を見て見ぬふりをした相撲ムラのインサイダーたち」「『八百長報道』本誌と相撲協会の1500日戦争」「腐れ相撲協会はさっさと自主解散すべし」と、盛りだくさんである。  中でも、朝青龍や協会などが束になって訴えてきて、最高裁で上告棄却され、4,785万円の賠償金と記事取り消しの広告掲載が確定した、裁判所への恨み辛みが興味深い。裁判所から、取り消し広告には、記事は十分な裏付けを欠くもので、これを取り消しますと書けと求められたそうだが、これってどうなるのかね。このまま出したら、かえって面白いと思うのだが。  朝青龍の八百長告発では、朝青龍が法廷で、八百長など見たことも聞いたこともないと証言したはずだが、これって偽証罪にならないの? 北の湖理事長(当時)も「相撲に八百長なんかない」といい続けていたが、こういう連中を国会喚問したらどうかね。  この記事を、当時の編集長・加藤晴之氏に書いてもらいたかったと思うのは、私だけではないはずだ。そうすれば「本誌は裁判には敗訴したが、『八百長相撲の蔓延』という重要事実を、正確に伝えたと自負している」というような表現にはならず、怒りに充ち満ちた原稿になったはずなのに。  ともあれ、大相撲の八百長問題をときの横綱・朝青龍に結びつけ、読者の関心を引き付けたことや、元序ノ口・時太山が親方や先輩力士の暴力で稽古中に急死したことを告発するなど、相撲界浄化に大きな役割を果たした「現代」に敬意を表して、今週のスクープ賞を与えたい。  それにしても、野球賭博問題や八百長問題を知る立場にいた新聞やテレビの記者たちの「責任」は、もっと追及されてもいいはずである。 (文=元木昌彦)
働かざるもの、飢えるべからず。 そろそろ本気でベーシックインカム。 amazon_associate_logo.jpg
「ポスト」のエロ度がエスカレート! "エロ検定"、あなたは何問正解できる? 「評価されすぎ!?」副知事辞任で見えた河村名古屋市長の実像と虚像 "シンブンキシャ"の思考は停止中? なぜ日本の新聞はダメなのか

「ポスト」のエロ度がエスカレート! "エロ検定"、あなたは何問正解できる?

motoki0202.jpg
「週刊ポスト」2月11日号中吊り広告より
●第77回(1月25日~2月1日発売号より) 第1位 「エロ検定50」(「週刊ポスト」2月11日号) 第2位 「ツイッターが生む"反"民主主義」(「AERA」2月7日号) 第3位 「『小沢一派』涙目の覆面座談会 『あさま山荘』内閣の国会リンチ」(「週刊新潮」2月3日号)  遅ればせながらiPadを買った。32GBである。まだ、写真の取り込みや電子書籍は読んではいないが、起動の早さとクッキリ液晶画面で見るYouTubeは、笑えないテレビのお笑い番組よりナンボか面白い。  だが困ったことがある。木造2階建て築45年の我が家の"一畳敷"書斎で、ゆったりiPadを楽しもうとしたら、電波の入りが悪く、検索やメールはできるのだが、YouTubeの動画がスムーズに動かないのだ。「これだからソフトバンクは」と悪態をついているのだが、これを書き終えたらソフトバンク・ショップへ行って相談してこよう。  さて、小沢一郎起訴で風雲急を告げる民主党の、あまりにも情けない内ゲバに、中曽根大勲位が毎日でこうおっしゃっている。 「今後、民主党は小沢氏を巡る対立で深刻な分裂に陥るでしょう。予算成立ですら危うい。一方で解散・総選挙は惨敗が予想され、菅首相は決断できない。事態の収拾には党内有志が決起して菅首相を降ろすしか道はない。民主党の議員は、党と自らの政治人生で最大の決断をするときです」  その通りだろうが、新潮の小沢派面々の涙目匿名(何で名前を出さないのかね)座談会を読むと、菅・仙谷以上に情けない議員たちの本音が吐露されていて、読むほどに「右も左も真っ暗闇じゃござんせんか」と思わざるを得ない。 「若手議員 (中略)私たちの間では、菅政権は『あさま山荘』内閣だと言い合っています。(中略)連合赤軍同様、外に目を向けるのではなく、気に入らない身内。つまり私たちを目の敵にして、『総括だ』と言っては殺しに掛かってくるんですからね」  同じ若手議員が小沢と酒席を共にしたとき、小沢が漏らした本音をこう話す。 「その場でボソっと、『オレがまだ若ければ、自民党に行って、自民党を立て直してやりたい』とこぼしていました」  この親にしてこの子ありだ。  中堅議員も、現在の惨状をこう言っている。 「内ゲバばかりしているうちに、わが党は本当に終わりを迎えてしまいかねない。民主党という船そのものが沈没を始めているのに、『お前たちを船から降ろして溺死させてやる』『いや、あんたたちのほうが先だ』と、執行部と我々が押し合いへし合いしているようなものだ」  党内の影響力ゼロになった鳩山由紀夫氏。次世代を育ててこなかった小沢氏。政策能力もリーダーシップもゼロの菅と仙谷・岡田の面々。  民主党というドロ船に、我々の生活も一緒に沈められてはたまったものではない。しかし、政界にタイガーマスクは出てきそうもないしな。困ったものだ。  チュニジアやエジプトで起きている大規模な反政府デモに、ツイッターやFacebookなどのSNSが大きな役割を果たしたことが報道されている。  極端なIT崇拝者は、既存メディアなんかなくなっても、こうしたものがあれば情報入手には困らないというのまでいる。  だがそうなのか。AERAの2ページ記事だが、日本では、ツイッターは多数意見に流され、他者の意見が気になり、フォロワー長者の顔色をうかがうようになって、ものをいいにくい「反民主主義」的な空気が広がっていると警鐘を鳴らしている。 「もともと日本では、ツイッターなどのデジタルツールは不特定多数の人に意見を表明するために使われるわけではない。むしろ、身内の『ノリ共有装置』。(中略)期待するのはリアクションをもらえること。だから、なるべく同調されるような発言に終始する」(社会学者の鈴木謙介さん)  民主党批判も市川海老蔵袋叩きも、「0か1かの極端しかなく、中間がないデジタル思考」の影響だと指摘するのは、映画監督の森達也さん。「デジタルツールが二元化情報を送り込み、思考の単純化が加速した」とも話している。  スペインの店舗では、試着室の中にFacebookの端末か置いてあり、試着した客は、自分の姿を写真に撮り、その場でFacebookにアップする。すると利用者から感想が届き、そのアドバイスを聞いて、購入を判断する。 「買い物一つにさえ簡単に他人思考が入ってくる。たくさんの情報を集められて便利になった代償として、失ったのは『自分思考』なのかもしれない」(AERA)  されどデジタル、たかがデジタル。大事なのは情報を抱え込んで溺れてしまわないことだ。これからは、洪水のように押し寄せる情報の海から、自分に必要な情報を取りだし、自分で判断できるネット・リテラシーがますます大切になる。  今週の第1位は、最近ますます「エロ度」をエスカレートしているポストの「エロ検定」。その他にも、巻頭のグラビア「ビートたけしの21世紀ワイ談」も面白い。風俗にM専門店『エリカ様』、格差社会に乗じて『並はババア、上なら美女』の牛丼ピンサロ、渡部陽一サンはハメドリ専門の「扇情カメラマン」に転身しなさいなど、ニヤッとさせるギャグが満載。  美人女医5人が講義する「私の女性器研究」もあって、至れり尽くせりである。中でも「エロ検定50」は秀逸。いくつか取り上げてみよう。 「AV男優・志良玉弾吾氏は世界20カ国で20民族の女性とセックスを経験しましたが、ある行為が欧米女性に大好評を博したといいいます。その行為は、次のどれでしょう。a.長時間にわたってクンニリングスをした b.アナルを徹底的に舐めた c.乳房をじっくり揉んで、乳首をしっかり攻めた d.膣に指を入れて念入りに愛撫し、潮を吹かせた」 「1926年に発表され世界的なベストセラーとなった『完全なる結婚』の著者、ヴァン・デ・ヴェルデは、『性交の準備動作で最も重要な道具は( )である』と喝破しました。( )に入る語は、次のどれでしょう。a.唾液 b.会話 c.指先 d.香気」 「日本のAVを好む中国人ファンの間で広がったといわれる日本語は、次のどれでしょう。a.イキソウ b.ヤメテー c.ヌレテル d.イレテ」 「笠井寛司著『名器の科学』(ごま書房刊)によると、日本人の女性器の『上つき』『下つき』の割合は次のどれでしょう。a.『上つき』が『下つき』の3倍 b.『下つき』が『上つき』の3倍 c.『上つき』も『下つき』もほぼ同じ d.ほとんどの女性が『上つき』」 「男性の陰茎を意味する『マラ』という語は元々サンスクリット語ですが、その意味は次のどれでしょう。a.重厚長大 b.修行を妨げるもの c.いうことを聞かない暴れん坊 d.沈まぬ太陽」 「次の性指南書のうち、鎌倉時代に書かれたものは、次のどれでしょう。婚礼秘事袋 b.閨中紀聞枕文庫 c.衛生秘要抄 d.秘事作法」 「遊女向けの性指南書『おさめかまいじょう』は、交合中に絶頂に至りそうになった際に、ある行為をすすめています。次のどれでしょう。a.陰核(クリトリス)を強くつまむ b.膣にウズラの卵を2個入れる c.陰部を冷やし、会陰を押す d.逆立ちする」  答えはc,b,b,a,b,c,cだそうだ。ちなみに40問以上正解の人には「エロ検ブラック」を付与するという。こんなのもらっても名刺に書くわけにはいかないが、私のようにヒマが十分ある人は、やってみてはいかがか。   (文=元木昌彦)
すごい検定 検定ブームですから。 amazon_associate_logo.jpg
「評価されすぎ!?」副知事辞任で見えた河村名古屋市長の実像と虚像 "シンブンキシャ"の思考は停止中? なぜ日本の新聞はダメなのか 東京-ロス間90分も夢じゃない!? 人類初・商業宇宙旅行がいよいよスタート

「評価されすぎ!?」副知事辞任で見えた河村名古屋市長の実像と虚像

motoki0125.jpg
「フライデー」2月4日号より
●第76回(1月18日~1月24日発売号より) 注目記事1 「ダルビッシュ『古閑美保と裏切りの連泊愛』撮った!」(「フライデー」2月4日号) 注目記事2 「新芥川賞作家西村賢太『ダメな自分とどう付き合うか』」(「週刊現代」2月5日号) 注目記事3 「河村たかし『庶民革命』の正体」(「週刊文春」1月27日号)  いきなりだが、沢尻エリカ(24)という女優はしたたかな女である。23日都内で、夫の高城剛氏(46)との離婚に合意したことを涙ながらに明かしたと、ワイドショーが騒いでいた。  この程度の女優に振り回される芸能マスコミが情けない。離婚も芸能界復帰もどうぞ御勝手にと、無視すればいいのだ。報道で見る限り、ワガママで、マスコミを振り回すことで自分は人気者なんだと錯覚しているおめでたいだけの女が、女優として大成できるとはとても思えない。  と、まあ、腹の立つことの多い毎日、そうした鬱憤を晴らしてくれるのが週刊誌のはずだが、相も変わらず小沢一郎騒動ばかりで、ますます腹が立ってきた。  「朝日」の小沢熱烈擁護記事「小沢『強制起訴』はやっぱりヘンだ」は、いわんとしていることは分かるが、もう満腹。違う話を読みたいね。  しかし、他にこれといって新味のある記事があるわけではない。残念ながら今週は、大賞も順位もなしに、注目記事3本にせざるを得ない。  まずは名古屋方面を騒がせている河村名古屋市長(62)を批判している「文春」の記事。先頃退任して、東京都知事選出馬を目論んでいるといわれる東国原氏や、地方自治の旗手のようにもて囃されている橋下氏など、どう控えめに見ても「評価されすぎ」ではないかと思われる首長が多いが、この名古屋弁のおっさんもそのひとりのようだ。  発端は、自ら副市長に抜擢した大西聡氏が、1月11日に辞職したことだった。大西氏が市長に愛想を尽かしたというのがその理由だ。  河村市長が選挙で勝ったのは、公約に「市民税10%削減」を掲げたからだが、その上選挙期間中に「市長の年収を800万にする」と後先考えずに言ってしまって、自分の首を絞めるようになったという。  元々ケチだった河村氏は、ケチに拍車をかけたがそれでも間に合わず、河村夫人と私設秘書が大西氏に、「収入が減って苦しいから、私設秘書二人分の給料を負担してくれ」、その上、大西の個人所有の乗用車をいつでも使えるようにしてくれないかと要求したのだ。  実像と虚像の隔たりに、市長選でブレーンを務めた名古屋大の後房雄教授まで、当選後1年で河村市長と訣別したそうだが、その理由をこう述べている。 「議会との対決を煽ってマスコミで目立つことが、公約を通すための手段ではなく、目的になってしまっている。その一方で、減税を担保する歳出削減を政治主導でやる気もないし、勉強もしない。二万七千人の職員のトップとして経営手腕を振るう仕事の重大さがわかっていないのです、あの人には」  この言葉は、小沢一郎氏との対立ばかりを煽り、政治主導を放棄し、この先の国のかたちを決めるための勉強も疎かにしている菅直人総理大臣にもそのまま当てはまる。国の長も自治体の長も、実像はこんなものということか。  2番目は、芥川賞発表の会見で「風俗に行こうと思っていたが、行かなくてよかった」と発言して話題になった、西村賢太氏のインタビュー。  小学5年生のとき父親が性犯罪事件で逮捕され、両親は離婚。中学を卒業して家を飛び出し、肉体労働などのフリーター生活を送ってきた43歳。自身も2度警察のご厄介になっているという。  二昔ぐらい前は、こうした書き手はいっぱいいたが、今どきは珍しい「平成の破滅型作家」の登場である。  今回の受賞作『苦役列車』(新潮社)は、19歳の主人公が中学卒業後、日雇い仕事を続け、安酒を飲み、自慰にふけり、少しずつ貯めた金でソープランドに行く。飲んだくれてすぐにキレ、女性に暴力を振るい、すべて他人のせいにする情けない男だが、描き方はユーモラスで笑いを誘われる私小説だという。  私小説に拘り、「自分を戯画化するって、独りよがりではできないこと。私小説は奥が深いですよ」と語る。  次の言葉が潔い。「自業自得の部分もありますが、僕のように生きてきた人間には、普通に会社に勤めたり家庭を持ったりする資格がないと思っています。一人住まいの部屋で、毎晩11時頃から小説を書き始めますが、書けないときは何日経っても一行も出てこない。その場合は酒を飲み続けます」。  これを読んでいて、私が編集者になった翌年(1971年)、『オキナワの少年』で芥川賞を受賞した東峰夫さんのことを思い出した。  確か訪ねたのは、三鷹あたりの古いアパートだったと思う。沖縄から集団就職で出てきて、小説を書くために路上生活をしたり日雇いのアルバイトを続けながらの日々を送ってきた。  人の目を見ず、下を向きボソボソと話す優しい人だった。ガキだった私にも、こんな繊細な人が、このまま書き続けられるのだろうかと心配になったほどだった。  だが、『オキナワの少年』のような作品を書けと求めた編集者を拒み、以来15年間で4作しか発表せず、81年に『大きな鳩の影』を出した後、姿を消した。02年に『ガードマン哀歌』で復活するが、長い沈黙であった。  私は『赤目四十八瀧心中未遂』で第119回(98年上半期)直木賞を受賞した車谷長吉が好きだ。彼の、自分の臓腑まで抉り取るような私小説が好きだ。このインタビューを読んで、西村氏の作品を読んでみたくなった。  もう一本は「フライデー」の張り込みネタ。この"噂"は、先に「週刊女性」が推測記事を書いている。初出ではないのでスクープ賞はあげられないが、相当な執念をもって張り込んで撮ったことがよく分かる記事である。  野村克也氏をして「かつての南海ホークス・杉浦忠と並ぶ日本球界の大エース」といわしめた日ハム・ダルビッシュ有(24)のお話。  宮崎市で自主トレをしているダルビッシュに、トレーナー、マネジャーの他に、女子プロゴルフ界では有名な古閑美保(28)、それに笠りつ子、古閑のマネジャーとキャディが参加しているが、ダルと古閑が熱愛中だというのだ。  ダルは現在、紗栄子夫人と離婚調停中で、まだ離婚は成立していない。故に不倫ということになる。  二人の熱愛行動は「フライデー」によれば、「自主トレから6日目の1月13日、コンドミニアム内での夕食を終えたダルと古閑が揃って古閑の部屋に消えたのは夜8時半頃。そのまま玄関の明かりは消えた。翌14日の朝9時前、二人は揃って古閑の部屋から姿を現す」  1月15日は、東京から帰ってきたダルが、食事後、古閑と一緒に古閑の部屋に消えていった。翌17日、朝8時50分頃、古閑の部屋から別々に朝食へ。「要は《女性アスリートと自主トレ=関係が怪しい》のではなく、もはや『関係のある男女』が、揃って自主トレをし、『夜も一緒に二人きり同じ部屋で過ごしている』わけなのだ」と「フライデー」は書いている。  二人が親密になったのは昨年7月、古閑の誕生日の頃からだという。二人の関係は紗栄子夫人も気づいているようで、今はダルのほうが年上で豪快な古閑に真剣だそうだ。  慰謝料は24億円とも言われているが、この不倫で、その額がもっと上がらないか、こちとら、そのほうが心配である。 (文=元木昌彦)
おい河村!おみゃぁ、いつになったら総理になるんだ なれないよぉ。 amazon_associate_logo.jpg
"シンブンキシャ"の思考は停止中? なぜ日本の新聞はダメなのか 東京-ロス間90分も夢じゃない!? 人類初・商業宇宙旅行がいよいよスタート 誤植が動かぬ証拠!? 水嶋ヒロ「八百長美談」にポストが斬り込む!

"シンブンキシャ"の思考は停止中? なぜ日本の新聞はダメなのか

motoki01117.jpg
「ニューズウイーク日本版」1月19日号
●第75回(1月13日~1月17日発売号より) 第1位 「だから新聞はつまらない」(「ニューズウイーク日本版」1月19日号) 第2位 「『抗がん剤は効かない』は本当か!?」(「週刊文春」1月20日号) 第3位 「現場の磁力 ルポライター故・朝倉喬司さんが見た〈異界〉の風景」(「週刊ポスト」1月28日号)    今週の「ポスト」と「現代」は共にグラビアで「春画」の大特集。ここまでおおらかにドアップでアソコを見せられる時代が来たのだ。私のように、外国のポルノ小説の翻訳でも、いたずらに性欲を興奮させないように言い替えたり削除したりと苦労した世代には、今昔の感がする。だが、あまりにあっけらかんとしていて、猥褻だとは感じない。  「現代」の大特集「猥褻の研究」では歴史と現状の問題点に触れているが、評論家・芹沢俊介氏の、「ヌードやポルノが、時代に反逆性をもっていた時期がかつてありました。しかし、今はそういう力もなくなってきている」という言葉に頷けた。  さて、私の友人でルポライターの朝倉喬司さんが昨年暮れに亡くなってから、いろいろな人が彼について書いている。少し前の「文春」コラム「さすらいの女王」で、中村うさぎさんが事件を一緒に取材した思い出に触れ、彼が死んだ後、朝倉さんの手元にあった彼女の文庫本を、編集者から渡されたそうだ。  そこには、「朝倉さんの字で書き込みがしてあった。こんなに真剣に読んでくれてたんだ、と思うと、ありがたさに胸がぎゅっと締めつけられた。女王様がホストにねだられてドンペリを入れるシーンには、傍線とともに『バカ!』と書いてあった(笑)」  温かい人柄だった。「ポスト」の連載「現場の磁力」でも"朝やん"のことを取り上げ、彼が愛してやまなかった大阪西成の飛田地区のルポとともに、朝やんの死を惜しんでいる。  新宿ゴールデン街で、酔うと茶碗を割り箸で叩きながら「河内音頭」や「犬殺しの唄」を歌ってくれた。  彼が尽力し、錦糸町で毎年8月に開かれるようになった「河内音頭」は夏の風物詩になった。徹底した取材と達意の文章、それ以上に飄々とした人柄が愛され、多くの友人の輪ができた。「朝やんの視線は真ん中からはずれたもの、市民社会の〈異物〉にいく」人だった。  記事を読みながら、酔っていて、何か気にくわないことがあると飛び出す決まり文句、「ちょっとまたんかい、こら」も、もはや聞けないのかと思うと、本当に寂しい。  「文藝春秋」1月号に掲載された近藤誠氏の「抗がん剤は効かない」が大きな反響を呼んでいるが、それに対する専門医の反論を載せた「文春」の記事が第2位。  同様の記事は「現代」でもやっている。「大論争 抗がん剤治療は本当にダメなのか」がそれだが、同じ社の週刊誌で批判したことを評価して「文春」にした。  このなかで勝俣範之国立がん研究センター中央病院・腫瘍内科医長と上野直人テキサス大学MDアンダーソンがんセンター教授は、近藤氏の意見を「研究を始めたばかりの初心者にありがちな誤り」とバッサリ斬り捨て、患者がこうした論文の影響で間違った選択をしてほしくないという思いから意見を述べるとしている。  まず、近藤氏が、急性白血病や悪性リンパ腫など「血液のがん」の多くに抗がん剤は効くが、肺がんや胃がんのような「固形がん」にはたいした効力がないといったことに、そんなことはないと主張する。  現在使われている抗がん剤の多くは、再発防止や延命効果が実証されているとし、抗がん剤の効果を「寿命が延びているかどうか」だけで判断するのではなく、がんの増殖を防いで症状の悪化を抑えることで、患者の生活の質を維持することなども考慮されるべきだという。  だが、近藤論文の「抗がん剤に延命させる力はない」は間違いだが、統計的に見ると抗がん剤の延命効果は、ものによっては数ヶ月で、これを長いと見るか短いと見るかは人それぞれだといっているが、私などは、そんなに短いんだと思ってしまった。  「文藝春秋」2月号の近藤氏と立花隆さんの対談の中で、芸能レポーターの梨元勝さんが急死したのは抗がん剤で亡くなったという発言については、このケースは分からないが、そうしたことがあることも事実で、その原因は、抗がん剤を投与する医師が専門家でないことがある。したがって医師も患者も「薬が合わないようなら、いつでも抗がん剤治療をやめる」選択をする勇気を持っていなければならないと書いている。  さらに近藤氏が提起した「臨床試験にはインチキがある」という点には、データをねじ曲げたり隠したりすることが事実なら、薬事法違反の大スキャンダルだから告発すべきで、現在は「臨床試験は甘いものではない」と反駁している。  確かに、以前から近藤氏の極論は物議を醸してきた。だが、がんにかかった患者は藁をも掴む想いで医者に自分の命を託すのだが、そうした患者側の願いや疑問に十分に答えない医者が多いのも事実である。  こうした論争をきっかけに、近藤氏と専門医たちが直に向き合って、最良のがん治療とは何かという議論をもっと深めていってもらいたいものだ。  今週の第1位は、日本の新聞記者を「ニューズウイーク」が徹底批判した記事。  なぜ日本の新聞はテレビと並んで「マズゴミ」とまで酷評されているのか。それはよく言われるような記者クラブの閉鎖性や、クラブを通して権力者たちと癒着しているだけではない。問題の本質は「シンブンキシャ」という人種の多くが思考停止していることにある。その原因は、失敗を過度に恐れる文化や硬直した企業体質、それに現場主義と客観報道の妄信にあるとしている。  なかでも政治部記者は、記者会見が始まると一斉にノートパソコンのキーボードをたたきはじめ、その姿はジャーナリストというよりタイピストか速記係のようだと揶揄している。  さらに思考停止する理由は、日本の記者が掲げる「現場至上主義」にあるのではないか。現場に行って取材すればそれで終わりと満足し、ニュースについて深く考える機会を自ら放棄しているというのだ。  高いレベルのジャーナリスト精神や膨大な情報をもっている記者もいるのに、紙面に反映されることがないのは、事実や中立性に重きを置く「客観報道」を理想とあがめ、それを、名誉毀損で訴えられたときの逃げ道にもしていると斬り込んでいる。  日本の新聞が変われないのは、これまでの硬直化したメディア環境を当然だとしてきた読者側にもあり、新聞を批判する側も思考停止に陥っていると結んでいるが、欲をいえば、もっと多くの第一線の記者や編集の責任者のインタビューをして、病根を深く掘り下げてほしかったと思うが、ピリッと胡椒のきいた新聞批判にはなっている。  新聞はもはや、速さを競ったりスクープ合戦できるメディアではない。外国のクオリティペーパーのように、遅いけれど正確な分析記事を書くような新聞にするのか、中立公正・客観報道などという幻想を棄てて、一人ひとりの記者の主観で、読者の読みたい情報を提供する新聞にしていくのか。どちらにしても、新聞を含めたメディアにとって、今年は生き残りをかけた厳しい年になることは間違いない。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ) 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
新聞・TVが消える日 はい、消えた~。 amazon_associate_logo.jpg
東京-ロス間90分も夢じゃない!? 人類初・商業宇宙旅行がいよいよスタート 誤植が動かぬ証拠!? 水嶋ヒロ「八百長美談」にポストが斬り込む! 名経営者は名政治家になりえた!? 松下幸之助「無税国家論」の神髄

東京-ロス間90分も夢じゃない!? 人類初・商業宇宙旅行がいよいよスタート

motoki111.jpg
「週刊朝日」1月21日号
●第74回(1月4日~1月12日発売号より) 第1位 「2011年宇宙の旅」(「週刊朝日」1月21日号) 第2位 「麻木久仁子 カネまみれ『略奪婚』全真相」(「週刊文春」1月13日号) 第3位 「EXILE HIRO&上戸彩『本誌が見た一つ屋根の下の愛』」(「フライデー」1月21日号)  私事だが、昨年暮れから年始にかけてニューヨークへ行き、入国の際にちょっとしたハプニングがあった。入国審査で、パスポートチェックと両手の指紋と顔写真撮影が終わったら、いきなり別室へ連れて行かれたのだ。  中には40人ぐらいのアラブらしき人がいて、1時間近くも待たされた。揚げ句に、何も説明せずに出ていってよしときたから、拙い英語で「何が問題だったのか説明すべきだ」と言ってやった。  すると図体の大きな黒人係官が目を剥き出して、「そんなに文句をいうなら別室へしょっ引くぞ」と睨みつけやがった。本当はそこでこう啖呵を切ってやりたかった。 「9・11テロ犠牲者への哀悼の気持ちは、俺だって持っている。テロを憎むことも人後に落ちないつもりだ。しかし、第二次大戦後、他国の戦争に介入し、多くの民間人を殺してきたことが、アメリカへの憎しみを生んでしまったことも事実じゃないか。一人のテロリストを見つけ出すために、多くの乗客の人権を蹂躙するような身体検査をやり、アラブからの人間と見れば疑いの目で見て、理由も明かさず長時間留めてチェックするのがアメリカの正義なのか」ってね。  しかし、こちとらの英語力では伝わらないだろうし、楽しみにしてるニューヨークのクリスマスを見ることができないかもしれないと、彼の前のカウンターをバーンと叩いて出てきてしまったが、勇気がなかったと反省している。  9・11以降、多民族が共存する自由の国アメリカは失われつつあり、偏狭な怯えた国になっていることを実感できた"貴重"な体験だった。  さて、帰ってきて早速週刊誌を読んだが、年が替わっても相も変わらぬ小沢と菅の確執話ばかり。編集者たちは飽きがこないのかもしれないが、読者はとっくに離れているのではないかと心配になる。  「ポスト」は親小沢だから当然だが、中曽根大勲位まで登場させて、反小沢勢力と小沢では「要するに政治力の差ですよ」と言わせている。「現代」も「小沢を生き埋め」とタイトルを付けながら、内容は菅と小沢では器が違うという話で、私などには小沢擁護・待望論としか読めなかった。  時の権力者を批判するために、対抗勢力を持ち上げるのはよくやる手法だが、今の風潮はいささか行き過ぎではないか。週刊誌編集長時代に小沢批判を連続してやり、意図とは逆に、彼の虚像を膨らませてしまった私がいうのは忸怩たる思いがあるが、いまは、ほとんどの週刊誌が挙って小沢の虚像を大きくしていることに危うさを感じてならない。  私の経験から、新年最初の発売号というのは作りにくいものだ。特に「現代」「ポスト」は4日発売だから、ほとんど企画もので、紅白も小沢の新年会も入らない。  そんな中で、今年初のこの欄で選んだのはこの3本。3位の「フライデー」の記事は、内容はイマイチだがビッグネーム二人という話題性で選んだ。  二人の熱愛が発覚したのは昨年10月のこと。二人は、上戸が十代の頃からダンスレッスンを通じて面識があったが、昨年夏頃から真剣交際に発展したという。  だが、当代の人気者だけに逢瀬を重ねるのも容易ではない。そこでいっそ一つ屋根の下に暮らせば行き来の時間も短縮できると、都内のタワーマンションに別々に部屋をもって暮らしているのだという。  忙しい中、上戸は時間を割いてかいがいしく手料理を作っているという微笑ましいエピソードも紹介されている。上戸の所属事務所もHIROのほうも、「フライデー」の取材に対して交際を否定していないところを見ると、この熱愛の実る日も近いのかもしれない。  それに反して、第2位の記事は、クイズの女王と言われる麻木久仁子(48)に勃発した不倫話。私もときどきテレビで見かけるが、テレビ芸人とはひと味違うコメントや、なかなかの博識ぶりに注目していた女性だ。  そんな知性派でも色恋の道は別である。大桃美代子(45)が結婚していたAPF通信社代表なる山路徹氏(49)と不倫関係にあり、部屋やクルマまであてがい、揚げ句に略奪婚していたことが、大桃のTwitterで暴露されてしまったのだ。  と、ここまではよくある話しだが、それに対する麻木の会見での「不倫ではない」発言が嘘だったことが問題になり、冬枯れで獲物を探していたゴシップ雀を喜ばせてしまった。また、相手の山路氏のモテモテぶりと、ジャーナリストとしての資質にも疑惑が持ち上がり、こうしたネタがめっぽう好きな「文春」と「新潮」が競って取り上げている。  内容的には同じだが、ページ数とねちっこさで「文春」のほうに軍配を上げる。麻木は知性派タレントというイメージが崩れ、テレビ現場のスタッフたちからの不評ぶりも明かされ、いくつかの番組を降板したが、このダメージを回復するのは容易ではないだろう。  また山路氏も「報道の羽賀研二」と言われているようで、そのモテ方は凄いが、ジャーナリストとしては「最低の戦場ジャーナリスト」(文春)とまで書かれるように、悪評ふんぷんのようだ。 自分の会社の人間を使って某氏をラブホで盗撮し、それをテレビ局に売り込んだというのだ。また彼は、「警視庁管内防犯対策推進本部 管理部長 山路徹」という名刺を使って、警視庁から「官名詐称」に問われ、書類送検されていたそうだ。これらが事実なら、ジャーナリストの名に恥じる行為である。  二昔前の週刊誌の新年定番企画は、今年はどういう年になるのかという予測特集だったが、最近は、日本の将来に希望がなくなってきたのか、あまり見かけなくなった。  そこで少し夢のある記事はないかと探したら、「朝日」の「宇宙の旅」を見つけた。少し前なら夢物語として、こうした記事はよく見られたが、これを読むと、早ければ今年にも宇宙旅行に出かけられるというのだ。  ニューメキシコ州に開港予定の「スペースポート・アメリカ」と呼ばれる宇宙港は、3,000メートルの滑走路とターミナルビルを持ち、ここを拠点に早ければ今年から、人類初の商業宇宙旅行が始まるという。  ここで発射されるロケットには6人しか乗れず、宇宙空間を4分間弾道飛行したら地球に戻ってくるのだが、料金が20万ドル(約1,700万円)にもかかわらず、すでに世界中から400人の申し込みがあったそうだ。  その他にもさまざまな民間会社が参入する背景には、NASAの開放政策がある。NASAは05年に、商業軌道輸送サービス計画なるものを発表し、民間が開発したロケットをNASAが購入し、そのための資金500億円も用意するという驚きの内容なのだ。  こうしたことが進めば、宇宙を経由して東京・ロサンジェルスを90分で結ぶことができるというが、アメリカへの日帰り出張など、私は願い下げだが。  これからは小型衛星ビジネスが増え、そうすればその分野を得意とする日本にビジネスチャンスがあると、和歌山大学宇宙教育研究所の秋山演亮所長は語っているが、新年の初夢は大きいほどいい。私も今夜は、宇宙からオーロラを眺める夢でも見ようとしようか。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ) 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
2001年宇宙の旅 [Blu-ray] すごい時代になりました。 amazon_associate_logo.jpg
誤植が動かぬ証拠!? 水嶋ヒロ「八百長美談」にポストが斬り込む! 名経営者は名政治家になりえた!? 松下幸之助「無税国家論」の神髄 「改悪反対!」 非実在青少年問題、週プレが誌面で反対キャンペーン!

誤植が動かぬ証拠!? 水嶋ヒロ「八百長美談」にポストが斬り込む!

motoki1220.jpg
「週刊ポスト」1月1・7日号より
●第73回(12月14日~12月20日発売号より) 第1位 「水嶋ヒロベストセラー処女小説68万部の『八百長美談』全内幕」(「週刊ポスト」1月1・7日号) 第2位 「渡辺充前侍従長に聞いた 天皇陛下喜寿の胸の内」(「週刊朝日」12月31日号) 第3位 「リエンとリオンの違いを教えてください」(「週刊文春」12月23日号)  月曜日(12月20日)の朝日新聞、読売新聞の「現代」「ポスト」の広告がすごい。合併号ということもあるが、「現代」は左右全5段、「ポスト」は、読売は「現代」と同じだが、朝日はなんと全7段のド迫力。  2010年度上半期の日本ABC調査で、「現代」は前期比112%伸びて36万7,000部。「新潮」が38万8,000部だから(前期比91%)第2位奪還も目前だ。ちなみに第1位は「文春」で48万5,000部(前期比90%)。「ポスト」は前期比91%で27万3,000部だから、これ以上「現代」に離されてはならじとの意気込みが伝わってくる。  その「ポスト」の巻頭は小沢一郎インタビューだが、親小沢ジャーナリスト渡辺乾介氏だからか、沈黙を破ってすべてを語っているようには読めない。渡辺氏自身が「次なる小沢の言説を眼光紙背に徹して熟読することをお勧めする」と書いているのだから、内容は読まずとも分かる。だが、部数が順調な「現代」に失われつつある「突っこみ」精神は、「ポスト」に出てきたように思う。  さて、まだまだ続く海老蔵騒動だが、いささか飽き飽きした向きにお勧めなのが「文春」のグラビア。左右に海老蔵と伊藤リオン容疑者を並べ、リエン(梨園)とリオンの違いを並べているのだが、これがすこぶる面白い。  たとえば「襲名するのがリエンで襲撃するのがリオン」「見得を切るのがリエンでメンチを切るのがリオン」「安宅の関を演じるのがリエンでまさかの席にいたのがリオン」「新婚ホヤホヤがリエンで深夜にボコボコがリオン」「十八番がリエンで110番がリオン」「酒と縁があるのがリエンでサツと縁があるのがリオン」。これぞ編集力。どこぞのタレントが片手間に書いた2,000万円受賞作よりもなんぼかいい。  第2位は、12月23日に77歳の喜寿を迎える天皇陛下の侍従長として10年半務め、今も御用掛として仕える渡辺氏のインタビュー。  このところ皇太子夫妻との仲も心配される天皇一家だが、渡辺氏の柔らかな口調の中に、時折、マスコミへの批判や、皇位継承問題についての"本音"のようなものが垣間見えて、興味深く読んだ。 「戦後、皇室が積み重ねてきた、皇室とはこういうものだという独特の枠組みが、役人にも政治家にもジャーナリズムにも、よく分からなくなっているのではないかと」いう質問に、「それは大きな問題で、正直に言うと、教育の場で、長年にわたって天皇というものの歴史的な意味や、国民のために現在何をしておられるのかを十分に教えてこなかったのではないか。また、ちょっと申し上げにくいけれど、メディアは何かにつけて『国民の知る権利』を主張される。それならば、両陛下が毎日黙々と国民のためになさっているお仕事の全容やお言葉、記者会見の実質的な中身など、天皇と皇室の実像を国民に知らせる努力を十分にしてくださっているかと言えば、やや疑問ですね」  天皇と皇太子、秋篠宮との関係、特に皇太子とのことを指すのではないかと思うのだが、こんな発言もある。 「父親と息子の関係においては、息子のほうから学ぼうとすることが大切だということです」  また皇位継承問題については、現行の皇室典範では、皇位は次々代の悠仁さままで継承されるが、このままでは、女性皇族が結婚して皇室を離れ、悠仁さま一人だけになるということになりかねない。そこで、「私は、女性皇族に結婚後も皇族として残っていただき、悠仁さまを支えていただくようにする必要があると考えています」と、かなり大胆な発言もある。  年始に、日本の歴史の中で天皇の果たしてきた役割や、これからの有り様を考える人にとっては、示唆に富んだインタビューであろう。  第1位は、ポプラ社小説大賞を受賞したが、賞金2,000万円を辞退した"美談"もあって、ベストセラーになっている水嶋ヒロの『KAGEROU』についての「ポスト」の記事。  他社が出版した本を、多くの雑誌でこれほどけなした例を、私は知らない。この本に関しては、「『水嶋ヒロ』『KAGEROU』の冷笑的読解法」(新潮)「水嶋ヒロの小説の感想を求められたら、こう返そう」(現代)「『水嶋ヒロ』68万部小説を真剣に読んでみた」(AERA)など、評価は相当低い。  中でもポストは、この小説は"出来レース"だったというのだ。躓きは、物語のラストで「重要人物の名前が入れ替わっていて、作品の"オチ"さえも左右しかねない」(ポスト)致命的な誤植があったことで、社員総出でシールを手で貼り付けたという。  ポストによれば、水嶋が、同じプロダクションの絢香と結婚したことで、プロダクション側と揉めていたため、俳優としては八方ふさがりになっていた。そこで、かねてから憧れだった小説家になろうと、かなり早い段階から『KAGEROU』の原型をまとめていたものを、妻の絢香が動いて、広告業界の29歳B氏に相談し、B氏が60代の女性出版プロデューサーC氏に頼り、C氏がこの小説を、かつて共に働いていたことがあり親しいポプラ社のD氏に話し、「ポプラ社小説大賞」に持ち込んだのだそうだ。  これはポプラ社にとっても渡りに船だったという。というのも、破格の賞金で話題になったものの、第1回目の大賞作品が期待通りに売れず、2~4回目は該当作なしで、この賞の存続が危ぶまれていたというのだ。  この大賞は、選考委員ではなく社内の13人の編集者が選考する仕組みなので、この小説への評価は、「正直なところ否定的な意見も多かった。世に出すクオリティーに達していないというのがその理由。しかし社内で発言力のある人物が強く後押ししたこともあり大賞に選出された」(ポプラ社関係者・ポスト)そうだ。  こうして決まったはいいが、原稿はそのまま本にできるレベルではなかったので、「複数の書き手がかかりきりになって後半部分を中心に手直しした。(中略)突貫工事で進めたんです。ラストの誤植も、そんな中で起きてしまった」(同)  村上春樹の『1Q84』(新潮社)以来の出版界の明るい話題なのに、こうした「噂」が出ることは残念なことだが、これも明るさの見えない出版不況への焦りが生み出したことなのかもしれない。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ) 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
KAGEROU ともあれ、初版43万部という事実。 amazon_associate_logo.jpg
名経営者は名政治家になりえた!? 松下幸之助「無税国家論」の神髄 「改悪反対!」 非実在青少年問題、週プレが誌面で反対キャンペーン! のりピー再生計画ついスタート! 朝日が50時間超え独占インタビュー!

名経営者は名政治家になりえた!? 松下幸之助「無税国家論」の神髄

motoki1213.jpg
「週刊ポスト」12月24日号 中吊り広告より
●第72回(12月7日~12月13日発売号より) 第1位 「新シリーズ天下の極論 第1弾 新無税国家論」(「週刊ポスト」12月24日号) 第2位 「菅総理年明け退陣 次は前原か岡田」(「週刊現代」12月25日号) 第3位 「海老蔵『実は軽傷』だった」(『AERA』12月20日号)  今週は海老蔵事件で振り回されているせいか、記事がすべて小粒。"帯に短かし"が多く、選ぶのに苦労した末、上記の3本にした。  海老蔵ものでは、「ポスト」のビートたけしの連載タイトル「海老蔵はオイラと『顔面マヒナスターズ』結成だっての!」が秀逸だ。  ようやく海老蔵をボカスカ殴ったという伊藤リオン容疑者が出頭してきて、事件の真相は明らかになるかと思ったら、なかなか簡単にはいかないようだ。  伊藤容疑者の兄貴分が、"俺のほうがひどく殴られた"という「診断書」を警察に提出するという話もあるし、水面下で元暴走族たちと関係のある暴力団が、示談と称して海老蔵から大金を巻き上げようとしているという報道がある。  そこで「AERA」は、海老蔵と元暴走族のリーダー格の男と、どちらの傷が重いのかを調べた。すると、海老蔵が手術を受けた虎ノ門病院に近い医療関係者から、こんな情報を掴んだ。「彼のけがは、実はたいしたことはなかった」  海老蔵が、記者会見で何度も、「本当に命にかかる問題だったのでございます」「非常に違和感が、皆さんがご覧になるより私自身にはあります」と、瀕死の重傷だったことを強調した。だが、手術に数時間かかったと言われているが、それは全身麻酔がかかっていて目覚めるまでの時間であって、施術時間は約30分ほどだったというし、簡単な手術だったので、市川宗家のお家芸「にらみ」は心配ないと報じている。  それにしても、逮捕された伊藤容疑者の面構えといい、腕っ節の強そうなこと、ただごとではないね。あんなモンスターのような奴に殴られてこの程度の軽傷なら、海老蔵にまだ運はある。その運を芸に活かさなくてはもったいない。  2位は「現代」の「ポスト菅」ものだが、タイトルも内容も「永田町激震スクープ」と謳うわりには平凡で、切れ味もない。  だが、「赤い官房長官」仙谷由人の傍若無人ぶりや、「ノー菅」「空き菅」と言われ放題の菅直人ものに飽きた読者には、ハッキリ菅総理のご臨終時期を2011年1月13日の党大会とし、後継も前原と岡田に絞られたと書いたところに、ちょっぴり読み応えがあった。  ではどちらが本命なのか。前原の強味は、民主党の最高実力者と言われる仙谷由人官房長官のイチオシ候補だということだ。  菅政権が倒れた後、前原が総理になれば、仙谷は自分の影響力を残すことができる。前原氏は、京セラの稲盛和夫名誉会長という強力な後ろ盾があり、「前原氏は夫人が創価女子短大卒とされ、学会との関係は比較的良好」(現代)だという点がアドバンテージだとしている。  岡田氏は、原理主義者と揶揄されるほど、カネや不正に対して厳格であることから来る安定感がウリ。小沢一郎の国会招致の件では苦労しているが、意外に小沢氏が「味方」になるかもしれないと読む。 「かつて岡田氏が旧通産省から政界入りしたとき、そのお膳立てをしたのは小沢氏です。だから岡田氏は、もともとは"小沢派"の一人であり、実際には頭が上がりません。したがって、あくまで『岡田氏が頭を下げるなら』という条件付きですが、小沢グループが彼を次期総理として推すこともあり得ます」(小沢派中堅・現代)  「現代」は、岡田氏やや有利と見ているようだが、小沢氏は、みんなの党の渡辺善美代表や、たちあがれ日本の与謝野馨氏も視野に入れて考えているようだ。間違いないのは、菅政権が断末魔にきたことだろう。  第1位は、このところユニークな提言で存在感を示そうとしている「ポスト」の「無税国家論」。これをかつて提唱していたのは、松下電器産業(現パナソニック)創業者で経営の神様・松下幸之助氏だったというのが面白かった。  その松下氏の「無税国家論」の神髄を紹介しよう。  松下氏がこれを提唱したのは70年代後半。国民が高率の税金で苦しんでいるにもかかわらず、政府は財政窮迫し、赤字国債を発行して国費に充てている。そうした前途暗澹たる惨状に松下氏は、これからの120年を使えば日本は無税国家に変われると説いたのだ。 「この20年で研究し、その後の100年で余剰金を積み立て運用すれば、積立金は膨大になり、その運用益だけで予算を賄える」  具体的な手法は、税金無駄遣いの元凶である国家財政の「単年度制」を廃止し、「通年度主義」に切り替える。そうすれば、予算消化のために税金が無駄に遣われることもなくなり、年間1割は余剰金として積み立てることが可能になる。それを当時の利回り5~6%で運用すれば、100年後には国民は税金を払わなくてもよくなると唱えたのだ。  松下氏は、予算が余ったらその20%を公務員のボーナスにし、残りの80%を積み立てていけば官僚のインセンティブも保てる。また、負担と受益を明確にするために、中央集権から地域主権への転換も主張していた。名経営者は名政治家たりえたかもしれない。  週刊誌は批判ばかりしているという「批判」に答える、こうした提案・提言企画は、他の週刊誌でももっと力を入れるべきだと思う。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ) 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
道をひらく ひらけ! amazon_associate_logo.jpg
「改悪反対!」 非実在青少年問題、週プレが誌面で反対キャンペーン! のりピー再生計画ついスタート! 朝日が50時間超え独占インタビュー! 予想外の企業名がズラリ 「AERA」お得意のランキング特集に異変が!

「改悪反対!」 非実在青少年問題、週プレが誌面で反対キャンペーン!

motoki1206.jpg
週刊プレイボーイ」12月20日号
●第71回(12月1日~12月6日発売号より) 第1位 「成立寸前!東京都青少年条例改悪案でニッポンのマンガとアニメが殺される!!」(「週刊プレイボーイ」12月20日号) 第2位 「海老蔵の"顔面粉砕"小誌が掴んだ『全真相』」(「週刊文春」12月9日号) 第3位 「『NYタイムズ』も驚いた日本最貧!?『大阪市』を歩く」(「週刊新潮」12月9日号)  新聞や中吊り広告に大きくタイトルをうち、何事が起こったのかと思わせて購買を煽るのは週刊誌の常套手段だが、先週号の「朝日」の酒井法子インタビュー然り、今週の「現代」の「ついに連載スタート <かい人21面相は生きている> グリコ森永事件27年目の真実」も、期待したわりには内容が薄かった。  年金問題を「現代」で手がけ、長妻昭民主党議員がそれに目を止めて国会で質問し、日本中を揺るがせたジャーナリスト岩瀬達哉氏のものだからと思って読み進んだが、1回目に限ってみると、「驚愕の新事実」は見出せなかった。  当時、21面相グループに拉致され、グリコからのカネを焼き肉チェーン「大同門」摂津店へ取りに行かされた男の話を聞いてはいるが、当時を知っている者には、新味はない。次号以降に期待しよう。  「朝日」ののりピーこと酒井法子インタビューは、あちこちで酷評されたが、今号を読んでも、彼女の話はどこまでも綺麗ごとで、本心は語っていないと思わざるを得ない。  さて、今週の3位は、小品だが思わずにやりとする「新潮」の記事。話はやや古いが、「ニューヨーク・タイムズ」が10月16日に「意気消沈するニッポン」を特集した。  内容は、あれほどリッチだったニッポンが、世界でも珍しいほど凋落してしまったが、その象徴が大阪だというのだ。〈街には10円(12セント)で缶入りドリンクを売る自販機が並び、レストランに行けば50円でビールを飲むことができる。アパートを借りようと思ったら最初の月は100円(約1ドル22セント)で済んでしまう〉。同紙によればデフレに苦しむ日本のようになることを世界のエコノミストは「ジャパニフィケーション」(日本化)と呼んでいるそうだ。  これほどコケにされてたまるかと、愛国的国威発揚週刊誌(?)は、実態を調べに大阪へ飛ぶ。  すると「大阪地卵」という食品卸会社の事務所前の自販機に、有名メーカーのドリンクも全部50円というのがあった。しかもその中のホット・ミルクティーは〈ワケあり(季節はずれのため)〉10円だ。  最初の月が100円で済むアパートは、千林商店街が100周年イベントをした際提供されたものだった。  ビール50円は見つからなかったようだが、100円の生ビールはあるし、レモン1個10円、キャベツ焼きが130円、結婚式プランのパックは3万9,800円、30分4,000円台のデリヘルもあるのだ。  確かに大阪の景気の落ち込みは尋常ではないようだ。だが、そこはしたたかな大阪人気質、くたばることはないと"エモやん"こと江本孟紀氏は言う。いっそ大阪に住んで、東京へ働きに出たらいいんと違うかな?  2位は、被害者のはずなのに、メディアではすっかり「悪役」呼ばわりされてしまっている海老蔵だが、12月2日に出た「文春」の記事が、いちばん早く事件の大筋と海老蔵の酒癖、女癖の悪さを伝えていた。  今朝のワイドショーでは、海老蔵が朝方、西麻布の雑居ビルの前でタクシーを止めようとしたときにはそれほどひどい傷はなく、何を思ったか、またビルに引き返し、そこで滅多打ちにあったようだと伝えていたが、この事件、まだまだ謎が多いようである。  海老蔵を半殺しの目に遭わせた26歳のワルは、自分の兄貴分が海老蔵に悪ふざけをされた揚げ句、酒を頭からかけられたことにキレたそうだが、「文春」によれば「喧嘩が強すぎて相手が死んだ」ほどの男だそうだ。  また、新婚ほやほやの妻・小林麻央にも風当たりが強い。ショックのあまり、慌てて110番したことがいけないというのだ。「市川家のかかりつけ医や松竹の弁護士もいるわけだし、まずはそっちに相談しないと」(市川家に近い梨園関係者・文春)  海老蔵の「夜の人脈」は、朝青龍暴行事件や押尾学事件とも重なる「危ない」もののようだ。  海老蔵は子どもの頃から悪ガキだったようで、7年前には「隠し子騒動」まで引き起こしている。その時の「(自分では)普通のことだと思っている」発言も批判を浴びた。  ゆくゆくは市川團十郎を襲名する梨園のプリンスが、なぜこんな連中と付き合い、取り込まれていったのか。週刊誌にとっては興味ある取材対象であるはずだ。  今週の1位は、石原都知事が強引に推し進めている青少年条約改正に、堂々「改悪反対」特集をトップにもってきた「プレイボーイ」である。  「プレイボーイ」を出している集英社も多くのマンガやアニメを出しているが、同じような講談社や小学館が、自社の雑誌で反対のキャンペーンをやらないのはなぜなのか。  東京都に目を付けられ、売上げの多くを頼っているマンガにイチャモンを付けられることを恐れているのではないのか。集英社は偉い!  このままでは、12月15日の本会議で可決・成立すると言われている悪法の問題点とは何か。少し長いが引用する。 「この改正案では、マンガやアニメで『刑罰法規に触れる』『法律で婚姻が認められていない近親者』のセックスを『不当に賛美し又は誇張するように描写』することを、規制対象の新たな基準とすると記してある」  都の青少年・治安対策本部青少年課の櫻井美香課長は、こう答えている 「(中略)前の改正案では、『みだりに性的対象として肯定的に描写したもの』ではよく分からないという批判がありましたので、『刑罰法規』『婚姻を禁止されている近親者』という言葉でカッチリと横幅を決めました」  それに対して山口貴士弁護士は、こう批判している。 「法律用語の『刑罰法規』とは、刑法以外に、売春防止法や迷惑防止条例など、刑罰のある法令をすべて示します。また年齢区分がなくなったので、成人同士のセックスシーンであろうと、場合によっては規制される可能性がある。条例の範囲はむしろ広がったといえるでしょう。あと、『不当に賛美し又は誇張するもの』という表現もよくわかりませんね。何をもってして"賛美"なのか基準がありませんし、マンガならどんなシーンだって"誇張"だといえる」  プレイボーイは、石原都知事に突撃取材をしている。 「(中略)表現の自由の規制だなんて言うのは荒唐無稽だよ。そういうものが描きたければ描けばいい。ただ、子どもの目に触れさせなければいいんだから。出版社の自主規制? 徹底されてないじゃないか。(有害な雑誌や書籍が)叛乱に近い状態にあるよ」  それでも、出版社側はかなりの自主規制をしていると反論すると、知事は声を荒げて、「コンビニはそこらじゅうにあるだろ! キミは出版の味方だろ。俺は都民、国民の味方なんだよ。キミは出版の利益のことを考えているんだろうけど、それは偏見。そんなの世間では通用しないんだよ!」  「朝日」は2ページだが、この条例批判をしている。その中でジャーナリストの長岡義幸氏は、「(中略)今回は『こういうものは描いてはいけません』という枠組みで描く側、出版する側を問題にしようとしています」と指摘する。 「戦前、治安維持法下による言論規制は、漫画本などの『エログロ・ナンセンス』の取締から始まった」(朝日)  権力が言論を規制しようとするときは、「青少年に有害」「人権擁護」という国民に受け入れやすい言葉を使ってくる。故・城山三郎さんが「これは戦前の治安維持法以上の悪法になる」と大反対したが、残念ながら成立してしまった法案の名称が「個人情報保護」だったことを忘れてはいけない。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ) 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
「言論の自由」vs.「●●●」 日本国民の権利です! amazon_associate_logo.jpg
のりピー再生計画ついスタート! 朝日が50時間超え独占インタビュー! 予想外の企業名がズラリ 「AERA」お得意のランキング特集に異変が! 証拠写真も...... スキャンダル発覚で国民的アイドル・嵐が大ピンチ!

のりピー再生計画ついスタート! 朝日が50時間超え独占インタビュー!

asahi1130.jpg
「週刊朝日」12月10日号より
●第70回(11月23日~11月30日発売号より) スクープ大賞 「待望スクープ!50時間超 酒井法子 のりピー 独占インタビュー」(「週刊朝日」12月10日号)  噂されていた酒井法子の独占インタビューがベールを脱いだ。掲載したのは、巷間、いわれていたように朝日だった。  今週は、この大スクープに比肩する記事は見当たらないので、これ一本をスクープ大賞に推す。  記事によれば、インタビューは今年2月上旬から始まって、全部で50時間以上に及んだという。インタビューしたのは朝日編集部の藤田知也氏。「あっぱれ!」である。近々、このインタビューをまとめた酒井の自叙伝が、朝日新聞出版から出されるようだ。  今回は、独占インタビューの第1回で、逮捕時の様子、なぜ現場から逃げたのか、覚醒剤を始めたきっかけ、なぜ夫の薬物を止められなかったのか、などについて涙ながらに語っている。  しかし、全体を読んだ印象は、きれいごとしか言ってないと思わざるを得ない。推測するに、酒井の周辺に、彼女の芸能界復帰を仕掛ける人間たちがいて、そのための第1弾だから、話す内容への制約が多くあったのだろう。  酒井側と朝日側の「妥協」の産物だから、致し方ないか。  2009年8月2日、日本中がアッと驚いた事件の幕は、夫・高相からの電話で切って落とされた。  そのとき酒井は、友人の誕生祝いのためのシャンパンを空けていたところだった。高相に救いを求められた彼女は、渋谷へ向かう途中、母親と数十年来の友人で法律にも詳しい建設会社社長に連絡を取る。  渋谷へ着くと、警察官に巾着袋の開示を求められ、狼狽する夫の姿があった。高相は彼女に「ごめんね」と言ったそうだが、「身に迫る"危険"にようやく思い至り、酒井は次第に混乱していったという」(朝日)  そこから会長の車で自宅に戻り、当座の荷物をカバンに詰めて「逃亡生活」が始まるのだが、酒井は「逃げる、という意識では本当になかったと思います。とても怖かったのと、ひどく混乱していて、これから何をどうするべきか、ただ落ち着いて考える時間がほしいと思っていました」と語る。  しかし、「身に迫る危険」=自分も覚醒剤をやっていたので逮捕されるのではないかという自覚はあったのではないか。夫が薬物所持で逮捕されたにもかかわらず、数日経ってからそのことに考えが及んだと話している。  彼女は1週間近く、会長の車で転々と移動する。  事件当初から、この逃亡は覚醒剤を体から抜くためだったのではないかという疑惑が根強くあるが、朝日は「言うまでもないことだが、深夜に薬物を体内から抜くための病院などには立ち寄っていない」と、こうした見方を全面的に打ち消している。 逮捕状が請求され、逃げ切れないと思った彼女と周辺の人間たちは、会長からの電話で、「警察へ出頭する段取りが付けられた」(朝日)。  逮捕当時、自宅に残されていた微量の覚醒剤所持について、酒井はこう供述したとされている。「自宅に薬物があったとすれば、(自分のものに)間違いありません」。これをマスメディアは、巧妙に練られた供述だと指摘したが、これは刑事の問いかけに何も答えられず、頷いたり首を振っているうちに作られた「作文」だと話しているようだ。  奄美大島での薬物使用について追及が及ぶと、夫がすでに供述しているにもかかわらず、3週間近くも彼女は頑なに否認し続けた。  その理由は、息子と一緒の家族旅行だったので、息子にとっての楽しい思い出が汚れてしまうと思ったからだった。息子への母の愛という、お決まりのストーリーが随所に見られるのも、このインタビューの「価値」をやや減じている気がしてならない。  さて本筋の、覚醒剤をやり出したきっかけだが、逮捕の4年前、自宅マンションで夫が吸引する現場を見つけ、説明もなく「スッキリするからやってみる?」と言われ、問い質すこともなく誘いに乗ったという。 「あのとき拒絶していれば、いちばん良かったんですよね」  勧めてきた人が、自分のいちばん信頼していた人だったことが大きかったというのだが、彼女の幼稚さがよく出た言葉ではある。 「勧められて始めたとしても、それを拒否してやめさせるのが普通でしょう。勧められたにしても、それで使ってみようと決めて、実際使ってしまったのはわたし自身です。その事実は決して変わらないから、悪いのは自分でしかないんだと考えています」  しばらく薬物には手を出していなかったが、逮捕される1年ほど前から、夫婦に別れ話が持ち上がった際、夫が勧める薬物に再び手を伸ばしたという。  その理由は、夫婦関係をつなぎとめておくためには、薬物を使うと二人っきりの秘密を抱え込んだようになり、強い絆で結ばれているような錯覚になれたからだという。今度は、信頼していない男からの勧めでも、薬物に手を出してしまうのだ。  薬物を使って夫婦で「何を」したかについては一切触れていない。自叙伝には書いてあるのかな?  薬物の再犯率が高いことにも触れている。 「今は大丈夫でも、いつまた何かのきっかけで手を出したくなるとも限らないと、多くの人に心配されているのはわかっています。(中略)もう二度と薬物に手を出すことはないと、今はハッキリと誓うことができます」(酒井)  最後に、芸能界への復帰には、含みのあるいい方をしている。  こうした大スクープをとるために費やした記者の努力には、拍手を惜しまない。  だが、彼女にはきついいい方になるが、この程度の反省の言葉では、のりピーファンは涙するかもしれないが、多くの人間を納得させることは難しいと思う。   今年の夏に亡くなった芸能レポーター梨元勝さんが生きていたら、この手記を何と読むだろうか。きっと、みなさん、こうした美辞麗句に騙されてはいけませんよというのではないか。ね、梨元さん。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ) 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
酒井法子隠された素顔 テレビ出まくるんだろうな。 amazon_associate_logo.jpg
予想外の企業名がズラリ 「AERA」お得意のランキング特集に異変が! 証拠写真も...... スキャンダル発覚で国民的アイドル・嵐が大ピンチ! 調書は捏造だった? 高知白バイ衝突死事故の真相に迫る週刊誌の役割