19年前「私も一緒に焼いて!」と叫んで姿を消したちあきなおみ その消息

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「週刊新潮」9月29日号(新潮社)
第1位 「『ちあきなおみ』と刑務所暮らしの実父の物語」(「週刊新潮」9月29日号) 第2位 「ビートたけし『暴力団との交際』すべて語った」(「週刊文春」9月29日号) 第3位 「大阪府知事橋下独裁ハシズム」(「サンデー毎日」10月9日号) 「小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体『陸山会』をめぐる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪に問われた衆院議員・石川知裕被告(38)ら元秘書3人を有罪とした26日の東京地裁判決。登石郁朗裁判長は判決理由の中で、小沢事務所がゼネコンと癒着して政治資金を集めていた実態を指摘し、裏金受領の事実まで明確に認めた」(9月27日asahi.comより)  顔を引きつらせる小沢一郎元民主党代表と小沢派の面々。ほくそ笑む野田佳彦総理や前原誠司政調会長、仙谷由人政調会長代行という構図になろうか。  「週刊朝日」は「陸山会事件ついに判決 小沢一郎『最後の戦い』」、「サンデー毎日」は「秘書『判決』が決起の狼煙 小沢私塾130人秋の陣」と、どちらも「無罪判決」を想定していたような内容であるが、判決は「裏金の事実」まで認めた想定外のものだった。  小沢自身の裁判が10月に始まるが、この決着がつくまでジッと我慢が続き、小沢の力はいま以上に落ちていくことは間違いない。  だが、野田政権が安泰かというとそうではない。「週刊現代」が「どじょう野田を操る『本当の総理』勝栄二郎の正体」、「週刊ポスト」が「徹底解剖財務省の研究」でやっているように、財務省の首領・勝事務次官が着々と増税のために布石を打ってきていて、野田総理をはじめ閣僚たちはその手のひらの上でいいように踊らされているだけのようだ。  その手のひらには当然ながらマスメディアも乗って「増税必要論」を声高に叫ばされているのだが、そのきっかけになったのは国税の税務調査だったとポストは書いている。 「朝日新聞は09年2月に東京国税局の税務調査で京都総局のカラ出張による架空経理の計上など約5億1800万円の申告漏れを指摘され、(中略)同年5月には、読売新聞東京本社も東京国税局の税務査察で推定2億7000万円の申告漏れを指摘されている。その前には日テレ、フジテレビ、NHKも申告漏れを指摘された」  読売はその後、丹呉泰健・前財務事務次官を社外監査役に迎え、朝日新聞も「増税礼賛」の論調を強めていったとしている。  私の現役時代にも経験があるが、メディア企業にとっても恐ろしいのは国税の税務査察である。根こそぎ経理資料を持って行かれ徹底的に調べられれば、ホコリの2つや3つでない企業などまずない。それをちらつかせながら都合の悪い記事は止めさせ、都合のいい記事だけを書かせるなど、彼らにとっては朝飯前である。  野田総理が財務省のいいなりに増税路線を突っ走っている。これを止められるのは小沢一郎を中心とする反主流派であったが、それも今回の判決で士気をそがれ、多少の修正はあるにしても自民党を巻き込んで成立する可能性が高い。そして原発再稼働、電力料金値上げ、それでも足りなければ消費税値上げと、国民にとって最悪のシナリオが着々と進んでいくのを手をこまねいて見ているだけでいいのか。増税するか否かは国民に信を問うべきである。これだけは譲ってはいけない。  さて、一時は絶大な人気を誇った橋下大阪府知事だったが、そのやり方に「ハシズム」だという批判が巻き起こっている。  批判の声がこれほどまでに大きくなったのは「君が代起立斉唱条例」を強引に押し切って可決したあたりからだろう。  「毎日」は山口二郎、内田樹、佐藤優らに橋下の独善的なやり方を批判させている。山口は9月17日に大阪市で開かれたシンポジウム「『橋下』主義(ハシズム)を斬る」でこう語っている。 「維新の会の政策に反対するやつは"改革の敵"とレッテルを貼って退ける。この危うさを何とか食い止めなければと考え、大阪にやって来ました。ハシズムとは政治ではなく、権力による支配です」  佐藤優はこう批判する。 「代表を送り出す者(大衆)と代表にされる者(政治家)の利益がズレているにもかかわらず、代表しているというイメージをつくり出すことは歴史上、珍しくない。(中略)最近では、小泉元首相がそうです。規制緩和で得をしたのは大資本でした。圧倒的に支持した一般の働く国民はどうなったのか。選挙だけの民主主義は民主主義ではない。自由のない民主主義は独裁です」  内田樹が最も懸念するのは橋下の教育への政治介入だという。 「橋下氏は、教育現場を上意下達的なシステムに変えて、教師を規格化し、点数や進学率などの数値的な成果に基づいて格付けすることを目指していますが、これは教育の破壊以外のなにものでもないと思います」  11月27日の大阪府知事・市長のダブル選挙を仕掛け、「大阪都構想」の実現を目指す橋下知事だが、大阪の民意はどういう判決を下すのか。この結果如何では永田町にも飛び火すること間違いない。いまこそ週刊誌は挙って「橋下大研究」をするべきときだと思う。  第2位は「週刊文春」のビートたけしインタビュー。島田紳助引退騒動以降、芸能界と暴力団との癒着が騒がれている中で、絶好のタイミングでこの大物芸人を引っ張り出したのはお手柄である。  たけしには以前から暴力団との関係がウワサされてきた。たけし軍団を率いてフライデー編集部に殴り込んだ事件もあり、彼が作る映画の多くがヤクザを主役に据えたノワールものである。  実際に右翼の街宣活動を何度も受け、稲川会の稲川聖城総裁と「新潮45」(02年5月号)で対談をしている。  そうした多くの疑惑に対して、オレは紳助とは違うと、以下のように答えている。 「これまで何度も右翼団体から街宣活動かけられたことがあったけど、オイラは紳助と違う。ヤクザに仲介なんて頼んだことない。最初はフライデー事件の後、日本青年社に『復帰が早すぎる』と街宣をかけられたときだな。一人で住吉の堀さん(政夫氏、当時・住吉連合会会長)のところへ行って、土下座して謝ったの。その後、右翼の幹部にも会って、それで終わりだよ。ヤクザを頼ったとか、カネ払ったとか噂されたけど、一切ない。タレントとしてそういういのを上手くやって逃げるのも本人の"芸"だっていっているんだけど、紳助は"芸"がなかったな」  暴力団の親分の娘が「たけしに会いたい」とねだったため、強引に連れていかれたこと、山口組渡辺芳則五代目組長と無理やり引き会わされたこと、たけし軍団には親父がヤクザという芸人がいる、暴力を扱った映画がなぜ多いのかについてよくしゃべっている。  10月1日から東京でも施行される「暴力団排除条例」については、これからはその条例を盾に暴力団の誘いを断れるから助かると話している。  紳助の過ちは「一番肝心な『ヤクザにモノを頼む』っていう大失敗をしでかしたこと」だと総括する。  だが、たけしがどう言い募ろうと、過去には多くの暴力団と"関係"があったことは間違いないし、いまでも続いているのではという疑惑は消えない。  はじめに引用したたけしのコメントにあるように、フライデー事件の後、ヤクザの親分のところへ行って土下座までしたのは、頼んだことにならないのだろうか。たけしは「謝っただけで頼んだんじゃない」と反論するかもしれないが、世間ではこういうことを「頭を下げて頼んだ」というのだ。  ところで昨夜、北千住の居酒屋「千住の永見」で名物の千住揚げを食べながら一杯やっていると声をかけられた。昔、文化放送の偉いさんだった男だ。話し込むうち、彼がいま一番知りたいのが原節子と阿部定(生きていれば100歳を超える)とちあきなおみの消息であるという。  いま出ている「週刊新潮」にちあきの近況がグラビアとともに出ていると話すと、慌ててコンビニに走って行った。  伝説の歌姫ちあきなおみが表舞台から姿を消して19年が流れた。最愛の夫・郷鍈治(享年55)の死がきっかけだった。火葬場で棺にすがって「私も一緒に焼いて!」と叫んだ話は有名である。その後、幾度も「復帰説」が流れたが幻に終わった。  ちあきが郷の命日にあたる9月11日に墓参した姿を「週刊新潮」が撮影に成功した。これが今週のグランプリ! 「花束と線香を静かに置いた彼女は、墓石の掃除を終えると、買ってきた大きな花束を地面に広げた。(中略)やがて、墓に眠る郷に向かって、何かを語りかけるかのように、静かな墓地に小さく嗚咽を響かせたのだった」(新潮)  喪服姿で花を花立てに挿しながら、いまにも泣き崩れようとしているちあきの姿が切なくて思わずもらい泣き。  「新潮」によると、ちあきが引退した理由はもう一つ別にあるという。それは彼女がかつて「私が13歳の時、病気で死んだ」と周囲に語っていた実父の存在だ。  ちあきは東京・板橋で三人姉妹の三女として生まれた。父親は定職をもたず母親が働いて一家の糊口を凌いでいた。  父親もかつては歌手を目指したほど歌が好きで、ちあきに幼いころからタップダンスを習わせ、米軍基地のステージに立たせた。  しかし父親は若い女に惚れてちあきたちを捨て去った。二度目の妻が語っている。彼女も働きのない男に苦労させられ、夜の店で働いて生まれた子ども2人を育てたそうだ。  甲斐性がないその上に、この男には窃盗癖があり前科十犯を優に超え、刑務所と娑婆の間をいったり来たりする人生を送ったのである。80歳を超えてもスーパーで盗みを働き交番に突き出されたこともあったそうだ。  二番目の妻は離婚しようと思ったが男のほうが同意せず、ようやく離婚できても行き場のない男の面倒を見ざるを得なかった。07年11月、病院で息を引き取ったときも彼女が看取った。  ちあきにとって記憶から消し去ってしまいたいほど憎かった父親だったのだろう。だが、父親の方は出所すると決まってちあきの居場所を探し当て、たびたび訪ねていたそうである。  父親のカネの無心から彼女を守ってくれたのが夫の郷だった。郷の死で、ちあきは最愛の夫と自分を守ってくれる防波堤を同時に失ってしまった。  犯罪常習者の父親のスキャンダルが明るみに出るかも知れないと怯え、それもあいまって引退を決意したのではないか、そう二番目の妻は推測している。 「喝采」でレコード大賞を受賞した後も、彼女に張り付いた暗さは消えることがなかったように思う。  彼女が唄う歌には、実父への恨みや子どものころの恵まれなかった日々が色濃く反映しているのかも知れない。「ねぇあんた」や「紅とんぼ」が無性に聞きたくなった。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
喝采 歌は鳴りつづける。 amazon_associate_logo.jpg
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「フライデー」9月30日号
第1位 「スミで146行塗り潰し!東電が隠す『事故手順書』」 「福島の農業『セシウム汚染放射能と共存するしかない』」 「福島第一原発作業員の告白『いまだ1万ミリシーベルト検出!作業拒否が続出』」(「フライデー」9月30日号) 第2位 「独占袋とじ企画 小向美奈子 誌上AV連続写真」(「週刊ポスト」9月30日号) 第3位 「鉢呂前経産相が語った失言騒動の一部始終」(「週刊朝日」9月30日号)  ジャーナリスト歴75年になる、むのたけじは『希望は絶望のど真ん中に』(岩波書店)の中で、ジャーナリズムについてこう書いている。 「私の考えでは民衆生活の朝夕の相談相手ですな。(中略)世の中の続発する動態についてその原因と過程と結果を明らかにして、さらに一つの結果が次の新しい原因となる筋道を明らかにする作業」  そうした任務をするべきジャーナリズムがおかしくなってきていると、むのは指摘する。  さて、福島第一原発周辺を視察した後の感想で「死の町」と表現し、前日の囲み取材では記者に「放射能つけちゃうぞ」と発言したとして辞任に追い込まれた鉢呂吉雄前経産相のケースは、バカな奴が大臣になっただけということで片がついたようだが、「週刊朝日」が検証してみると、事実関係がだいぶ違うというのだ。  まず「死の町」という表現は不適切なのか。当の鉢呂は、そう新聞に書かれたことを驚いたと話している。  元共同通信論説副委員長・藤田博司は、そう感じるのは自然だと弁護し、ノンフィクション・ライターの吉岡忍も、3月下旬に原発から半径20キロ圏内に入ったとき、まさにそこは「死の町」だったという。  「放射能つけちゃうぞ」発言は、鉢呂はまったく記憶にないという。先の藤田は、当事者である毎日新聞の記者が「『放射能をつけたぞ』という趣旨の発言をした」と書いているのは不自然だとし、表現も各社まちまちで鉢呂に真意を確認した形跡もないと断じる。この程度の事実で閣僚の進退や責任を問うのはおかしいともいう。  吉岡は、今回の報道の背景には被災者たちを弱者とみなす裏返しの差別を感じるという。 「そうなった理由には、遺体を報じられなかったメディアの形式主義があると思う。この震災では多くの被災者ががれきの下などに無惨に横たわる遺体を見ている。だから悲しみも大きいんです」  そういう現実から目をそむけたメディアは被災の残酷さを浅くしか理解しなかったため、今回のような見当外れの報道に陥ったのではないかと指摘する。  鉢呂は経産省の「総合資源エネルギー調査会」の委員を原発推進派が多数を占めていたため、それを半分にしようと予定していたのが、経産省にしてみれば煙たかったのではないかと語っている。  マスメディアがろくな検証もせず大声で触れ回れば、大衆は何の疑問も挟まず、けしからん辞任させろと大合唱する。今回のケースもそうではなかったのか。新聞、テレビ、週刊誌は今一度検証してみる必要がある。  第2位は「週刊ポスト」の袋とじ企画。クスリ疑惑騒動もあり、フィリピンに逃げていたとき撮られた醜く太った小向美奈子の姿に、これではカムバックは難しいのではないかと思っていたが、このグラビアで見る限り、彼女の愛らしとセクシーさがよく出ている。  今アイドルになるための道はいろいろあるようで、飯島愛のようにAV女優からアイドルを目指す子も多くいるようである。  小向は逆のケースだが、この胸の大きさと愛らしさがあればAV界のスターになれるかもしれない。つまらない男やクスリに走らず頑張れと声援を送りたくなるが、無理だろうな~。  今週のグランプリは「フライデー」の原発3連発に贈る。まだあの原発事故から半年しか過ぎていないというのに、メディアから原発記事が消えかかっているのは、おかしくないか。  あれほど放射能は危険だ危険だと大騒ぎしてきた「週刊現代」も、今週ザッと見る限り原発関連記事はゼロである。  ジャーナリズムの役割を忘れかけている週刊誌の中で、3本もやっているのは見事である。  「スミで146行塗り潰し!東電が隠す『事故手順書』」では、原発事故の原因を検証するために衆議院側が求め、9月7日にようやく東電側が出してきた「事故時運転操作手順書」は、12ページ分、全159行のうちスミが塗られていないのは13行だけだったと告発している。  東電側は知的財産や、開示することで原子力安全確保上の問題が生じるためだと弁解しているが、ふざけるな! である。「フライデー」は「福島第一原発事故が『人災』であることを示す決定的な証拠がそこに記載されている」ためではないかと書く。  地震直後、1号機原子炉内の圧力が急激に低下したが、これは揺れによって配管損傷が起きた証拠ではないかと指摘されてきた。東電と保安院側は圧力低下の理由を「非常用復水器が作動したため」としているが、それがわずか11分で停止されているのはつじつまが合わないではないかという厳しい批判もある。  もし非常用復水器が作動していれば、メルトダウンから水素爆発までの時間を稼ぐことができ、事故を回避できた可能性もあったのに、作業員の手によって「手動」で停止されてしまったのはなぜなのか。  ここで、私が事故直後の3月13日に公表した「地震のとき中国・北京で勝俣東電会長と一緒にいた」という事実をもう一度書いておきたい。  あとになって清水社長も奈良方面にいたことが判明するが、東電の決定権を持つトップ2人が震源地から遠く離れ、東電本社で2人がそろったのは、どう考えても地震が起きてから丸一日近くが経っていたはずである。原発事故の収束は現場だけで判断できるはずがない。廃炉にするかどうかも含めてトップの決断がなければ、現場は動きがとれなかったはずである。  私は、東電の不幸が日本人全体の不幸になってしまうのではないか、そこのところをしっかり検証してくれと、新聞を含めたメディアに話をしたのだが、どこのメディアも検証した形跡はない。  この記事を読んで、東電側が隠したかったのは、非常時には現場はもちろんだが、トップが即断するべきこともこと細かく書かれているのではないかと思った。しかし、そのトップ2人とは満足に連絡さえ取れなかったのである。そのことを含めて東電側は隠ぺいしたいのではないのか。この私の推測はそれほど間違っていないと、掲載されている勝俣東電会長が自宅から出てくる写真を見ながら、私は考えるのだが。  2番目の記事は、チェルノブイリ原発のその後をたどって、放射能とどう付き合ったらいいのかを考えるルポである。  86年4月の原発事故直後に政府は広範囲の線量マップを作り、高線量の放射能が確認された地域では、農業や酪農を停止し、中程度の地域では乳牛の飼育を禁じた。また汚染されていないエサを与え、家畜の体内の汚染量を下げる対策を取ったというのだ。  日本政府より対応がはるかに速い。  90年代になると「プルシアンブルー」という薬品が使われた。これは牛に飲ませるとセシウム結合体を体外に放出させる効果がある。  そうしたことを試みながら「放射線量を何とか基準値以下に抑えこんで農作物を作り続けようという発想」で、流通も販売も「放射能汚染ありき」の態勢をとっているというのだ。  しかし福島の農家は、農作物が基準値より大幅に低くても、1ベクレルでも検出されれば消費者は買ってはくれないと嘆く。これだけ大量にばらまかれた放射能から逃げて暮らすことはできはしない。それは日本から離れても同じである。原発から出される人工放射能から逃れられないならば、どこで折り合いをつけて生きていくのかが、われわれ全員に問われているのだ。  3本目は福島第一原発の作業現場ではいまだに大変な事態が解消されてはいないという現場ルポ。  ベテラン作業員は「死地に行くようなもんだ」と仕事を拒否する者が多く、そのために人手が足りず、最近では原発で仕事をしたことがない素人でも大量に採用されている。しかし低賃金、保険未加入、契約書もない不当な雇用条件はおかしいと告発する作業員も出てきていて、現場では不満が鬱積してきている。そのため作業ははかどらず、東電が発表している「安定した状態」などウソっぱちだと作業員が語っている。  8月1日には1号機と2号機の原子炉建屋の間にある排気筒近くで「毎時1万ミリシーベルト」という、信じられない高い線量が検出されている。  浄化システムを構築したり原子炉建屋をカバーで覆っても、しょせんは応急措置をしているだけで、溶解した核燃料を取り除くためには格納容器近くに作業員が入らなければならない。だが、そうした作業はほぼ不可能だと、東芝で原子炉格納容器を設計した後藤政志は分析している。彼は「福島第一は手のつけられない状況にあるんです」と警鐘を鳴らす。  東電や政府が情報を出さなくなったときこそ危ないのである。メディアはどんな小さなことでもいいから、福島第一原発から目を離してはいけない。 (文=元木昌彦)
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●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「フライデー」9月23日号 中吊り広告より
第1位 「やっぱりあった独占入手!島田紳助『極心連合会橋本会長との親密写真』」(「フライデー」9月23日号) 第2位 「ケーススタディ『暴力団排除条例』」(「週刊新潮」9月15日号) 第3位 「日本の性教育は世界の非常識!」(「週刊朝日」9月23日号)    不謹慎な言い方になるが、今年で10年を迎えたアメリカの9月11日は、予想外に平穏に過ぎていった。テロの首謀者と言われるビンラディンがアメリカの手によって射殺され、式典にはブッシュとオバマが出席した。  憎悪の連鎖が断ち切られ、真の平和が成し遂げられたわけではないが、ひとまずホッとした一日だった。  ここに電気事業連合会が作成した「Enelog Vol.1」という薄い小雑誌がある。Enelog というのはEnergyとDialogueとの造語で、今後のエネルギーについて考える一助になればと創刊したと、八木誠会長名で書いてある。4月15日に会長になった八木誠は関西電力社長で、電事連は言わずと知れた原発推進の牙城である。  しかし3・11以降脱原発の流れが進み、これまでのようなあからさまな原発擁護論はないだろうと思って読んでみたが、どうもそうではない。  まず、厳しかった今年の電力事情と題して、原発再開が地元の理解を得られず、今年の夏は全国で電力が不足することとなりましたと、まるで原発がなければ電力はなくなるがそれでもいいのかと言わんばかりで、原発事故についての反省の言葉などない。  また低線量被ばくの"不確実性"と宇宙の"超越性"という訳の分からない題で、東京大学医学部附属病院放射線科准教授の中川恵一なる人物が、100ミリシーベルト以下の低線量被ばくでがんが増えるかどうか分からないとして、喫煙や飲酒、野菜嫌いや運動不足の方が、がんになるリスクは放射線とは比べものにならないほど高いと書いている。  喫煙でがんによる死亡率は16倍に増えるが、これは2,000ミリシーベルトの被ばくに相当すると、持論を展開している。  さらに驚くのは、自然被ばくや医療被ばくが存在する以上、どんな人もグレーゾーンにいることになり"純白"は存在しないから、白か黒かのデジタル式二元主義がグレーを受け入れる妨げになっているとまで言うのである。 「福島第一原発事故で、発がんの増加は検出できないと私は思っています」とまで言い切る。  これこそ電力会社にからめ捕られた御用学者の戯言だが、こうした見解を載せる電事連の裏には東電や関電がいる。これを読むと、彼らが今回の原発事故でもまったく反省していないことがよく分かる。  さて、今週の第3位、「週刊朝日」の記事からいこう。よくある性教育ものではあるが、随所に「ヘー」と思わせる数字がある。  例えば、2008年に行われた東京都の児童・生徒の性意識調査では、中学3年生の性交経験率は男子5.5%、女子8.3%だが、高校1年では男子が24.5%、女子では24.3%にもなる。  日本の性教育が遅れているのはよく指摘されるが、オランダは一番進歩的なのだそうだ。同性結婚、マリファナ、セックスワーカーが合法で、お互いの合意があれば12歳以上でのセックスが認められている。  小学校高学年ではバナナにコンドームをかぶせる実習を行う学校もあるそうだ。そのためか、オランダの10代後半の少女の出産・中絶率はアメリカやイギリスよりも低い。  アメリカは宗教的背景があり性教育事情はかなり複雑で、禁欲教育と中絶、同性愛、避妊も教える総合的教育が混在している。  そのアメリカは先進国の中でも10代後半での出産率が飛び抜けて高く、10代後半の女性1,000人あたりの出産率はオランダが4人、日本が5人なのにアメリカは36人にもなる。ブッシュ前大統領のお膝元テキサスは絶対禁欲教育が行われているが、10代の妊娠率と性感染症感染率が全米一高いとされる町ラボックがある。  北欧では高校生に男装、女装、SM、のぞき魔、露出狂まで教えるそうである。性教育の比較研究で知られる女子栄養大学の橋本紀子教授はこう言っている。 「フィンランドの性教育は主に『生物』と『健康教育』の授業で行います。ヨーロッパ諸国では生物ではまず、"人間"を教えるんです。でも日本の高校は生物の教科書で"人間"はほとんど扱わないですし、あっても参考程度です」  確かに性教育からその国が見えてくる。  私もいくつかの大学で教えているが、少し前、ある大学の生徒から誘われて呑み会に行った。そこには男女4人ずつ来ていたが、彼らから、私たちはゲイとレズなのだといわれた。そのあっけらかんとした言い方も好ましかったが、彼らはネットで各大学にいるゲイやレズたちとのネットワークを作り、月に何度か集まっているというのだ。彼らは楽しそうに話し合っていたが、私には関心を示してくれないので、早々に退散した。だが、時代は確実に変わってきていることを実感させられた一夜だった。  第2位は、島田紳助問題でクローズアップされている「暴力団排除条例」についてタイミングよく解説している「週刊新潮」の記事。  10月1日から東京都や沖縄で施行され、全国で出そろう「暴力団排除条例」だが、一般市民も対象とされているため、相手が暴力団だと知らなくても密接交際者とみなされれば、金融機関との取引はストップされ、公共事業の入札参加資格は取り消され、企業は倒産の危機に陥りかねないのだ。  先に施行されている福岡県では、県内の建設業者70社が集まって定期的にゴルフコンペを開催していたが、そこに山口組系組長や指定暴力団・道仁会系の組長が参加していたため、暴力団との関係が深いと判断された9社の名前が県警のホームページで公表された。  そのために下水工事を請け負っていた河野組は、県や福岡市の公共工事から締め出され、資金繰りが悪化して2カ月後に倒産してしまった。  飲食店が暴力団の息がかかっている業者からオシボリの納入を受けている場合も、暴力団の資金源になっているから条例に抵触する。葬儀場や結婚式場についても、他の団体なども参列する大規模な組葬に場所を貸せば条例違反。結婚式も同じ。  この条例は、暴力団員への電気・ガス・水道の供給事業者は引っかからないのか? 暴力団員個人の生活の場ではなく、組事務所ならば条例の趣旨から供給をストップさせることも可能だそうだ。  もし東京電力が暴力団事務所だと知りながら電力を供給していた場合、勧告が行われてもなお供給を続けていた場合は、社名を公表、社員が逮捕されることも考えられなくはないという。  確かに自営業者、工務店、飲食店経営者は必読である。しかしこうした条例ができたために、「暴力団が地下組織に変貌したり、窮屈な警察国家が誕生したりせぬよう」(新潮)にしたいものである。  今週のグランプリは「フライデー」のスクープで決まり。島田紳助問題の核心、山口組ナンバー4で極心連合会橋本弘文会長(64)とのツーショット写真の独占公開である。  この写真は、フライデーの記事を写して「週刊現代」でも小さく掲載しているが、迫力が違う。  紳助は8月23日に開いた引退記者会見でこう豪語していた。 「手紙を送ったとか、写真があるとか。僕の関係者のとことか行って、探し回ったんでしょうね。あるわけないですから」  そのあるわけない写真をみごとに「フライデー」が見つけ出し、紳助のウソを満天下に暴いて見せたのだ。この写真は、05年に大阪府警が橋本会長の自宅をガサ入れしたとき発見した写真とは違うもののようだ。  どこかの料亭だろうか。右に紳助、左に橋本会長。橋本会長は意外なほど優しい顔をしている。二人の前に置かれたワインは残り少なくなっている。ビールグラスのようなものもあるから、たまたま出会って記念写真を撮ったのではないことが見て取れる。  肩がくっついているところを見ても、二人の親しさが伝わってくる。  紳助はやや緊張気味。二人の間の後方にもうひとりいるが、顔はモザイクで隠されている。  橋本会長の顔をモロに出しているということは、本人が了解したのだろうか。こうした写真を出す時、編集部が一番気を遣うのは橋本会長の顔を出すかどうかの判断である。  おそらく橋本会長の暗黙の了解があったのではないか。または橋本会長筋から直接、写真提供があったのではないだろうか。  だとすれば、紳助の記者会見での「交際とか交流という認識はなかった」という言い方が、橋本会長側の気に障ったのかも知れない。  この写真流失をきっかけに、紳助と暴力団の癒着問題はさらなる展開を迎えることになる予感がする。百聞は一見にしかず。写真の持つ力は強い! (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
30歳の保健体育 こじらすと大変です。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「紳助はスケープゴート」暴力団との不適切な関係は吉本の体質だった!? 「心を許せる友は暴力団関係者だけだった」島田紳助"黒い携帯メール" 阪神金本、"黒すぎる交際"で今後の野球人生が絶望的!?

「紳助はスケープゴート」暴力団との不適切な関係は吉本の体質だった!?

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「週刊現代」9月17日号
第1位 「山口組元幹部が実名ですべて明かす『紳助に頼まれて処理したこと、紳助邸でのバーベキューパーティ、そして浜田のこと』」(「週刊現代」9月17日号) 第2位 「加藤シルビア『みのもんたも知らないラブラブ(ハートマークです)半同棲生活』」(「フライデー」9月16日号) 第3位 「徹底研究 がん保険 損か得か」(「週刊現代」9月17日号)  「週刊現代」の編集部の人間と話した。東日本大震災と原発・放射能の記事で落ちかけていた部数が戻り、右肩上がりになったが、どこでも放射線量を測りだし、ネットでもどんどん流れるようになって、部数はまたきつくなってきていたそうだ。  そんなところに島田紳助の引退スキャンダルが起き、干天の慈雨でどこも完売に近かったようだ。だが、これ以上新たなスキャンダルが出て来ないと、これからが大変だと話してくれた。  好調と言われている「現代」でさえきついという言葉が出てくるのだから、他誌はもっと大変だろう。昔は、部数はともかく広告だけは常にトップを走っていた「週刊文春」も、広告が入らないと嘆いているようだ。  その中で"孤高""唯我独尊"の「週刊ポスト」だが、今週の巻頭特集に「天皇家の健康法」をもってきたのには首を傾げざるをえない。なんでこれが「全国民必読!」なのであろう。  昭和天皇がお気に入りだった「カルグルト」という乳酸飲料を紹介している。脱脂乳を濃縮したものを殺菌し、乳酸菌を加えて発酵させ、その後、香料と砂糖シロップを加え攪拌してつくるらしい。なるほど体によさそうではあるが、そもそも天皇が食べるものは栃木県の「御料牧場」で生産され、厳重に管理されているのだから、素材からして、われわれ庶民の口に入るものとは違うし、健康状態についても主治医が常にチェックしているのだから、歴代天皇が長寿なのはご同慶の至りではあるが、庶民の健康法にどう取り入れていいのか、読み終わって困惑するだけである。  「ポスト」の目次の右トップは櫻井よしこの「外交無策と日本の孤立」、その横には小林よしのりの「国を想い、国を守る真の保守とは何か」がある。「ポスト」を発行している小学館には「SAPIO」という隔週刊誌がある。同じような論調の雑誌が2誌はいらないと、私は思うのだが。  このところ「がんブーム」と言っていいほど、毎週各誌こぞってがんについての特集を組んでいる。今週も「『がん治療実績』完全データの正しい読み方」(「ポスト」)、「食道癌で旅立った『団鬼六』の『手術は、しません』」(「週刊新潮」)、「現代」は「がん保険 損か得か」、がんで亡くなった「わが父 原田芳雄の生と死」、「男女別 治りにくいがんランキング」と三本もある。  放射線被曝でがんが増えるという恐怖心から、がんに対する関心が高まっているとも考えられるが、それにしても最近、どうしてこれほど多いのだろうか。がんを含めた「いい病院のみつけ方」なる企画は「週刊朝日」の売り物企画だが、他誌も負けじと力を入れてきている。  自分ががんだと分かった時、治るかどうかが最大の関心事ではあるが、がんと診断されてからすぐに出てくる問題は治療費であろう。そこで転ばぬ先の杖の「がん保険」に加入しておこうと探してみると、「診断給付金」「手術給付金」「入院給付金」「抗がん剤治療特約」など保障が細分化されていて、どれに入ったらいいのか分からない。  最近は、保険の加入や取りやめの相談に無料で乗ってくれるところもある。私も先日、駅前にある相談所に行ったが、予約を取るのが大変なことと、最初の相談だけで2時間以上かかることから、時間の余裕をもって行かなくてはならない。  相談員に、どうして無料でできるのかと聞いたところ、一部の保険会社が出資しているのと、相談に来た人が保険に加入してくれれば、その会社から手数料をもらえるのだという。  話は戻るが、最近は高齢化とがん検診の精度が高まったため、保険会社もなるべく払わなくていいようにいろいろ"細工"をしているから気をつけたほうがいい、と警告している。  ある例では、がんと分かったとき400万円の給付金が出る保険に入っていたのに、上皮内がん(早期がん)だったため出なかったそうである。  それに厚労省の医療費抑制政策のため、入院期間は短縮されてきていて、入院1日あたりいくらという保障は意味がなくなってきているそうだ。私が聞いた相談員も、今は一般的に2週間ぐらいで病院から出されてしまうと言われた。  また先進医療特約というのも、実際に使われているのは0.006%に過ぎないそうだ。なぜなら医者が説明しなかったり、入っていることを忘れてしまったりしている人が多いからなのだ。  それではどんながん保険がいいかと言うと、「がんになったときにまとまったおカネをくれる保険が一番いい」(保険コンサルタント後田亨氏)そうである。つまりシンプルに診断給付金をもらえる保険がいいのだ。  今は早期がんでも対象になり、診断されれば何度でも給付金が払われるという保険商品がいくつも出てきている。誌面の中でも紹介しているから、どうしようかと考えている人は読んでみるといいだろう。  第2位はTBSの朝の顔、みのもんたの『朝ズバ!ッ』を入社3年で射止めたシンデレラアナ・加藤シルビアに半同棲しているカレがいるという「フライデー」の記事。  読む限り、ふたりはこそこそ隠れて会っているわけではないようだ。カレは同じTBS社員で30代前半の向井理似のイケメン。  シルビアはカレのマンションからほど近いところに住み、チャリンコをこいで行き来しているのがほほえましい。腕を組んで歩いたり、スーパーで買い物をしたりと甘い時間を謳歌しているようだ。このまま結婚へゴールインすることは間違いないと思われるが、日本中で一番注目される女子アナという職業ゆえに、これまでも「悲恋」は掃いて捨てるほどあった。この恋の結末がハッピーエンドで終わるのか、まだまだ目が離せないようである。  紳助騒動は、本人が姿を見せないために、取材する側はネタ探しに四苦八苦だ。今の段階で、暴力団との不適切な関係に絞られ、中でも紳助の所有している不動産取引に暴力団が関係していたのではないか、その際、カネが暴力団側に流れていないかが焦点になってきているようだ。  今回、「現代」がインタビューしたのは片岡昭生元山口組山健組本部長。彼が山健組のナンバー3だったとき、紳助と親しい極心連合会の橋本弘文会長がナンバー2にいて、親しかった。  話はそれるが、昨夜(9月5日)講談社ノンフィクション賞の授賞式があり、その後、銀座のイタメシ屋で2次会が行われた。  私はそっちの方へ出席したが、今回の受賞作は、角岡伸彦氏の『カニは横に歩く 自律障害者たちの半世紀』(講談社)と森達也氏の『A3』(集英社インターナショナル)である。角岡氏は神戸新聞を経てフリーになった。森氏は元々テレビのドキュメンタリー出身のノンフィクション・ライターで、今回は、長年追いかけているオウム真理教の集大成とも言える本で、教祖麻原彰晃の裁判についての疑問と批判を込めた力作である。  この話を持ち出したのは、この記事の筆者が角岡氏だからだ。元々被差別問題に詳しいライターだが、そのつながりからこのスクープにつながったのだろうか。  片岡本部長は、10数年前に橋本会長から頼まれ、紳助が右翼団体と揉めて困っている件を解決したというのだ。  その後、紳助から誘いがあり、自宅のバーベキューパーティーに呼ばれて風呂にも入った。  その片岡本部長は今回の引退に関してこう言っている。 「もともと極心の会長(橋本会長のこと=筆者注)は吉本が好きや。お笑いが。紳助と極真の会長の関係を示す写真や手紙があるということがマスコミで報じられてますが、身近におったからわかる。あれ、嘘やおまへんわ。事実やと思う」  したがって、紳助が会見で「これぐらいはセーフやと思った」発言には「マンガやね」と一笑に付す。  注目は、吉本の人気お笑い芸人ダウンタウンの浜田雅功のトラブルも収めたと発言していることだ。  2006年6月26日、フジテレビ制作の『HEY! HEY! HEY!』で、司会の浜田がゲストの宇多田ヒカルに対して、倉木麻衣は宇多田のパクリではないかという趣旨の発言をしたらしい。それに対して倉木の所属事務所はもちろんのこと、右翼団体もテレビ局周辺に押しかけ抗議して騒動になった。  吉本から暴力団関係者とみられるイベント会社の社長に話があり、その社長から聞いて、片岡本部長がその件も収めたのだという。しばらくたってから吉本の林裕章社長(当時)から招待があって、神戸のクラブで一対一で会ったという。  この記事の核になるところはその程度だ。羊頭狗肉の感なきにしもあらずだが、このインタビューをするのに相当な苦労があったことを「現代」の関係者から聞いているから、まあいいか。  この証言から浮かび上がってくるのは、私が前々から言っているように、紳助だけではなく、暴力団との不適切な関係は吉本興業全体の体質の問題であることが、透けて見えることだ。  これこそ紳助騒動の裏にある核心である。そのところをどこまで追及できるか。テレビ・新聞にできないことをやる週刊誌の取材に期待するところ大である。期待感も含めてこの記事を今週のグランプリ! (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
delicious way 倉木麻衣と右翼のカンケイの方が気になるけど。 amazon_associate_logo.jpg
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「心を許せる友は暴力団関係者だけだった」島田紳助"黒い携帯メール"

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「週刊朝日」9月9日号
第1位 「独占スクープ!これぞ決定版 島田紳助"黒い携帯メール"106通全文入手」(「週刊朝日」9月9日号) 第2位 「『芦田愛菜』ちゃんは一体いくら稼ぐ気か!」(「週刊新潮」9月1日号) 第3位 「『長嶋解任』の確執は今も ミスターの追悼文を拒否した『正力家の怨念』」(「週刊現代」9月10日号)   民主党代表選挙は、世界陸上のウサイン・ボルトのフライングほどではないが、意外な結果になった。  第1回目、海江田万里の得票数は予想されたものだったが、小沢・鳩山派の票をまとめただけで、浮動票はほとんど入らなかった。世論調査では大本命と持ち上げられた前原誠司は74票しか集まらず、泡沫候補などと揶揄された野田佳彦が"予想外"の102票を集め、2位に入った。  前原は、地方議員やサポーターの票がなかったこと、直前に外国人からの献金問題を自ら明らかにしたが、代表になれば野党から追及されること必至なため、無難な野田に票が流れたのだろう。決選投票は前原、鹿野、馬淵陣営が野田に投票することでほぼまとまり、"泣き虫"海江田総理は消えた。  しかし、決選投票では野田が215票、海江田177票と案外な接戦になった。34もの票が小沢・鳩山派へ流れたのだ。 野田が代表あいさつの中で「ノーサイドにしましょう、もう」と言ったように、小沢対反小沢という対立構図がそのまま残る形になった。野田新総理は前原、鹿野、馬淵を重用しながら、海江田、小沢の処遇も配慮しなければならない。党内運営はさらに困難になり、対立は先鋭化していくのではないか。  だが週刊誌にとっては、ふつーのおっさんで平凡を絵に描いたような野田新総理はやりにくい相手かもしれない。財務省の傀儡といわれる野田が、復興増税、消費税増税路線を強引に推し進めていけば批判しやすいが、これだけ反小沢と親小沢が拮抗していたのでは、当分それはできまい。野田雪だるまは坂道の途中で踏ん張れるのか、転がり落ちるのか、予断を許さない。  さて、今週は小さな記事に読むべきものが多かった。第3位は「現代」の「秘密と嘘」というスーパーワイド特集の1本。  8月15日に亡くなった正力亨読売新聞グループ本社社主(享年92)の葬儀に、遺族側の意向で、幹部1名を除いて渡邉恒雄会長も白石興二郎社長も参列を許されなかったというのである。 その上、川上哲治、王貞治、原辰徳が哀悼のコメントを出したが、ミスタージャイアンツ長嶋茂雄のコメントがなかった。  無類の野球好きの正力は、長嶋の結婚式の仲人をやり、監督就任最初の年、最下位になっても長嶋を励まし続けた。長嶋が正力離れしたのは、80年に3位に食い込み、正力オーナーが監督留任を約束していたのに、突然解任されたことがきっかけだったという。  解任したのは務台光雄読売新聞社長(当時)だが、正力に裏切られたと思った長嶋は、務台の次に最高権力者になった渡邉に接近し、92年オフに監督復帰を果たす。正力はそれを苦々しい思いで見ていたことが、今回の「コメント拒否」につながったのではないかと「現代」は推測している。  読売をここまで大きくした正力松太郎の長男でありながら、晩年は、渡邉に巨人軍オーナーの座まで奪われ、孤独だったようだ。  読売新聞は下克上の会社である。大正力の番頭だった務台は自分が社長になると、正力の功績は自分がいたからできたのだと大声で吹聴し、務台に跡目を譲ると指名された渡邉は、読売の最大の功労者は自分であると胸を張る。  渡邉にオーナーを外された正力亨が、東京ドームバックネット裏の特別室で、ひとり寂しく野球を見ていた姿を思い出す。  対広島戦だったと記憶している。私は隣の部屋にいた。そこには日本テレビの氏家齋一郎社長や何人かのマスコミ人がいて、酒を飲みワイワイ言いながら観戦していたが、正力の部屋に出入りする者はいないようだった。  巨人軍の黄金時代を築いた彼が、今の野球界の凋落をどう見ていたのか。一度聞いてみたかった。  2位は、「マルマルモリモリ~」で今や人気絶頂の天才子役芦田愛菜ちゃんについての、「新潮」のお節介な記事である。  テレビドラマからCMまで、姿を見ない日はない愛菜ちゃんだが、彼女が出るだけでバラエティーは3%視聴率が上がると言われているそうだ。 「木村拓哉主演のTBSの連続ドラマ『南極大陸』がこの10月からスタートしますが、ここにも愛菜ちゃんの出演は決まっています。(中略)このところ人気が下降気味のキムタクとしては、今度こそ絶対にヒットさせたいという気持ちが強く、数字を持っている愛菜ちゃんをキャスティングして、その人気にすがろうというわけです」(芸能記者)  彼女は兵庫県西宮市のサラリーマン家庭に生まれた小学1年生。「演技には見えないような子どもらしい演技ができる」(作家・麻生千晶氏)才能と可愛さで、CMのギャラも鰻登り。  そうなると気になるのは他人のフトコロ。35万枚を突破した「マル・マル・モリ・モリ!」(ユニバーサルミュージック)の歌唱印税やドラマ、CMなどの出演料を合わせると、今年だけで軽く1億円以上を稼ぎ出す計算になるというのだ。  しかし、『ケーキ屋ケンちゃん』(TBS系)の宮脇健や安達祐実のように、大人になっても子役時代のイメージが強烈すぎて、名子役は大成できないとよく言われる。海の向こうでは、映画『ホーム・アローン』で世界一有名な子役になったマコーレー・カルキンがアルコール依存症になっていたと報じられたこともあった。  そこで「新潮」は、愛菜チャンの両親の願いをこうそんたくするのである。「これ以上大きくならないで」。これこそ大きなお世話である。  突然引退を発表して世の中をアッといわせた島田紳助の記事は数多あるが、「朝日」の記事が一番優れていたので今週のグランプリに決定!  火曜日(8月23日)深夜の記者会見だったため、「文春」か「新潮」に書かれたから、発売前に慌てて引退発表したのではないかというウワサが流れたが、そうではなかった。  そのあと、「フライデー」「ポスト」「AERA」などもやっているが、「現代」と「朝日」は、紳助と元ボクシング世界チャンピオン・渡辺二郎(07年に羽賀研二と医療関連会社の未公開株の売買を巡って知人男性から約3億7,000万円をだまし取ったとして、恐喝未遂で起訴され、現在最高裁に上告している)が携帯でやり取りしたメールの数を競っている。「現代」は50通だが「朝日」は106通全文入手だから「朝日」の勝ち!  引退にいたる経緯を簡単に書く。十数年前『紳助の人間マンダラ』(関西テレビ)という番組で、トロトロ走っている右翼の街宣車に文句をつけ、「菊の御紋」を侮辱するような発言をしたことを自慢そうに紳助が話したことがあった。  その発言に稲川会系の右翼団体が激怒し、連日、抗議行動をするようになり、困った紳助が渡辺二郎経由で、山口組系の極心連合会・橋本弘文会長に解決を依頼し、事なきを得、それが縁で付き合いが深まっていった。  その橋本会長は05年に競売入札妨害容疑で逮捕され、起訴後保釈されている。06年にも詐欺未遂容疑で逮捕拘留され、その後保釈されているが、メールを読むと、どちらの時期にも紳助は橋本会長に電話しているようだ。  「朝日」によれば、複数の吉本興業関係者はこう証言している。 「情報提供があったのは、8月13日だったと聞いています。しかし、それ以上は社内でも厳重な箝口令が敷かれていて詳細は分かりません。ただ、事態を重く見た吉本上層部は、吉本興業社外取締役の原田裕弁護士を含む複数の幹部で構成される調査チームを立ち上げ、約1週間にわたって『羽賀渡辺裁判の関係者』と直接、接触するなど徹底した調査をしたそうです。その結果、協力者の情報が大阪府警の捜査報告書に基づいていることが分かり、そこに記されている内容の信憑性も高いと判断した。結局、21日に紳助さん本人の聴取に踏み切ったのです」  本人はこれぐらいは「セーフ」だと思っていたが、警察および吉本は「アウト」の判定を下したのだ。  私が推測するに、吉本側がここまで強硬に紳助に迫ったのは、他にも暴力団との疑惑がある芸人がいるからではないか。  07年に吉本興業前会長・林裕章の未亡人・林マサが「新潮」に告発手記を書いたが、その中でマサは、漫才師・中田カウスが山口組5代目渡辺芳則会長と懇意にしていて、事あるごとにそれをひけらかし、吉本を牛耳っていると批判した。本人はそうした関係を否定したが、その後、カウスの乗っている車が何者かに襲われるなど、不可解な事件が起きている。  昔から興業界と暴力団は持ちつ持たれつの関係にあること、相撲界と似ている。紳助引退騒動は、新たな騒動への導入部かもしれない。  誌面には紳助がやりとりしたメールがズラッと載っている。大阪府警が作成した捜査報告書からの引用である。詳しくは「朝日」を読んでいただくとして、興味深いのは、紳助のメールにたびたび「自分は気が小さい」というフレーズが出てくることだ。 「昨日は精神安定剤のんでねました 弱いです私は すいません いつもたよってばかりで!」 「自分の気の小ささに やになります」 「気のよわい私は相変わらず下痢ですが」  面白いのは、50歳になったとき、55歳で引退することを予感していたようなメールがあるのだ。 「そんな歳になるなんて夢にも思わなかった、一番したかった事してきます、好きな南の島巡り、リュックサック持って、宮古島、多良間島、石垣島と渡り私の店のテラスで夕陽見ながらカウントダウン待ちます いっぱい涙して、あと五年好きに生きます」  心を許せる友が暴力団関係者しかいなかったことが紳助の悲劇かもしれない。今彼は沖縄にいるそうだ。"元ツッパリ少年"は芸能界を引退して静かな余生を送れるのだろうか。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
マル・マル・モリ・モリ! 子役はナマモノ。 amazon_associate_logo.jpg
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阪神金本、"黒すぎる交際"で今後の野球人生が絶望的!?

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「週刊文春」8月25日号 中吊り広告より
第1位 「スクープ!  阪神金本 『黒すぎる交際』"監禁被害者"に刑事告訴された!」(「週刊文春」8月25日号) 第2位 「10年後に食える仕事 食えない仕事」(「週刊東洋経済」8月27日号) 第3位 「小沢側近が虎視眈々と狙う『本当の勝負は首班指名だ』」(「週刊朝日」9月2日号)  仙谷由人官房副長官が民主党代表選挙に名乗りを上げている候補者を「B級グルメ」と表したそうだが、うまいことをいう。  各誌「ポスト菅」を特集しているが、タイトルだけで言えば「あーあ、民主党 こんな奴らが総理かよ」と、国民大多数の思いを言い表した「文春」が秀逸であるが、内容は、どれもこれも大同小異で、週刊誌らしい切れ味がない。  「AERA」の「『広告塔』は海江田経産相」は、原発事故による和牛市場の低迷が最後の引き金になり、民事再生法の適用を申請した和牛預託商法の元祖「安愚楽牧場」を、経済評論家時代の海江田万里が熱心に推奨していたという話。  だが、海江田は出馬表明したものの、衆議院の委員会で泣き崩れたことや辞任すると言ってまだグズグズしている優柔不断さが小沢一郎に疎まれ、代表への道は遠ざかったとみる向きが多い。  親小沢の「ポスト」は、ここぞとばかりに「小沢一郎を18年間抹殺し続ける日本というシステム」で、今こそ小沢の出番だと大声で叫んでいる。確かに小沢と鳩山由紀夫の数の力が、今回も代表選の行方を左右するだろうが、そこににじり寄り、小鳩の傀儡政権ができれば、党内の権力争いがどこかで火を噴き、同じことの繰り返しになることは火を見るより明らかである。  3位に取り上げた「朝日」の記事にもさしたる新味があるわけではない。ただ増税、マニフェスト放棄、大連立をかたくなに言い続け、党内からも反発が出ている野田佳彦財務相では勝てないとみた仙谷が、来年の代表選を目標にしていた前原誠司前外相擁立に動き出し、前原も前のめりになり始めたという見方が、他誌より目新しいと評価したからだ。  前原出馬となれば、野田の目は消える。小沢とどう折り合うのか。民主党関係者がこう話している。 「前原さんなら、小沢さん側とも組めるでしょう。と言うのも、前原さんがそれを望んでいるフシがあるからです。『増税』と『マニフェスト』で折り合えば、後は閣僚などのポストで話をつけるか、もしくは小沢さんの党員資格停止処分の解除か」  何のことはない、反小沢の旗を降ろして軍門に降りることで、総理の座を手に入れようというのである。しかし、もともと自信家で人の言うことを聞かない前原が総理になれば、小沢側と揉めるのは時間の問題だろう。  小沢もそこは承知で、本当の小沢の意中の人物は、原口一博前総務相だというのだ。また、もし野田が新代表に選出されたとしても、小沢派は首班指名で多数派工作をして、政界再編に結びつけるという腹づもりがあると、菅首相に近い人物が語っている。  各誌の記事を読み込んで見えて来るのは、今度の代表選が、新たな永田町混乱の始まりになるということだけである。彼らには、国民の姿など少しも見えてはいない。  第2位は「東洋経済」の記事。新聞広告で10年後に食える仕事の中に記者・編集者というのがあったから買ってみた。  グローバル化、IT化が進んで、日本人に有利な仕事は、「ジャパンプレミアム」という、日本人であることのメリットを最大限に生かす技能集約的なエリアの仕事と、「グローカル」といって、日本人のメリットを生かしつつ、高付加価値なスキルを身につけるエリアの仕事だという。  「ジャパンプレミアム」には、メガバンク地域営業、美容師、スーパー技能職、料理人、ホテルマン、看護師などがある。  「グローカル」には、医師、弁護士、コンサルタント、人事、システムエンジニアなどがあり、このなかに記者・編集者が入っている。  記者・編集者のところを読んでみたが、残る仕事と食える仕事は違うようだ。見出しにこうある。「外国との競争はないが給料は下落の一途をたどる」。当たり前だが、希望の見えるようなことはどこにも書いてない。  10年後には、今より給料が減って食えなくなる。広告収入は減り続け、国内市場の拡大は見込めないし、海外の顧客も増えない。労働条件はますます厳しくなり、リストラで雇用も奪われていく。  救いは、高い言語障壁があって外国人が参入して来ないこと。その上、マスコミ業界には資本規制があり、テレビには外資規制があるから、外国資本に乗っ取られる心配はいまのところない。  経営が苦しくなっても、どの社にも厳しい解雇規制と強力な労働組合があるから、よほどの強力なリーダーでもいない限り、総人件費の削減さえ難しいというのである。  要は、この仕事のマーケットはどんどん縮んでいき、給与は下がり続け、一人ひとりのノルマは厳しくなるが、経営者はそれをどうすることもできないアホばかりがそろっているということだ。  元出版社社員としては、うなずけるところもあるが、これではお先真っ暗な業界で、食える仕事ではないではないか。  まあ、弁護士は「先行投資重く競争激しい 二極分化はさらに鮮明に」なるそうだし、医師も「すさまじい価格破壊が医師の世界にやってくる」から、こちらも大変そうである。  この特集を読んでいると、私のように英語ももちろん中国語も話せず、何の資格も持たない人間は、生きていく術がないといわれているようで切なくなる。  これから就職を控えている学生諸君は、読んでおいた方がいい特集である。  今週の第1位は、阪神タイガースの人気選手・金本知憲(43)のスキャンダルを追いかけた「文春」の記事。  「新潮」も「刑事告訴された『阪神金本知憲』のカネ!カネ!カネ!」で、同じことを扱ってはいるが、切り口で「文春」が上回ったと判断した。  「文春」によれば、発端は8月10日。金本が親しかったファイナンシャル・アドバイザーA氏から「恐喝罪」で告訴されたことからである。  球界の高額所得者である金本は、以前から投資への関心が強かったようだ。A氏と話し合って07年に投資ファンド会社を設立し、金本は1億3,000万円を出資した。  しかし、うまく回らなかったのだろう、1年もたたずに金本は辞めると言い出し、A氏に自分の出資分を「貸金だったことに」して、返せと迫ったのだそうだ。  そして09年1月27日、金本はA氏を呼び出し、彼の友人と一緒に「金銭準消費貸借契約書」を書けと、こう恫喝したという。 「だてに夜、カネを使っているわけじゃねえ。山口組がすぐにでも行くぞ!」「お前を家族ごと抹殺してやる」  渋々、実印を押したA氏に今度は、ヨーロッパの銀行への投資で390万ドルの損失を出したのは、紹介者であるお前に責任があると、損失分の賠償を催告してきたというのである。ついに耐えかねたA氏が、刑事告訴に踏み切ったのだ。  以前、芦屋に購入したばかりの金本の豪邸が売りに出され、買い手がつかないと報じられたことがあった。それと今回の記事を合わせて読む限り、金本が相当カネに窮していることは間違いないようだ。  7月に、これまた阪神の人気選手でミスタータイガースといわれた掛布雅之(56)の個人会社「掛布企画」(大阪府豊中市)が、事実上倒産していたことが報じられた。負債総額は4億円と言われる。  かつては巨人の桑田真澄、江川卓が不動産投資で巨大な負債を抱えたことがあった。桑田の負債は巨人が肩代わりしてくれたが、江川は、その負債を返すためにせっせとテレビに出続けた。  その大きな負債があるために、江川は巨人の監督になるチャンスを逃したと言われている。  この報道が事実なら、金本の野球人生が大きな危機を迎えていると思われる。だが、この記事が出た8月17日と翌日の対広島戦で金本は、憂さを晴らすような見事なホームランをかっ飛ばしている。「アニキ」と慕われる金本は、この危機を切り抜ける、さよなら逆転ホームランを打つことができるだろうか。阪神ファンならずとも心配である。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
金本知憲 阪神タイガース スーパースター スーパースターであることは間違いないけど。 amazon_associate_logo.jpg
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政界スキャンダルからカルーセル麻紀まで "ワイド特集の元祖"「新潮」の底力

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「週刊新潮」8月11・18日号 中吊り広告より
第1位 「ワイド 『大和なでしこ』漂流譚」(「週刊新潮」8月11・18日号) 第2位 「スクープレポート 東電マネーと朝日新聞」(「週刊現代」8月20・27日号) 第3位 「特別付録 春画の秘宝 四十八手」(「週刊ポスト」8月19日・26日号)  合併号も出揃い、各週刊誌が気合いを入れた企画が並んでいる。中でも第3位選びに苦労した。  候補作は「スクープ撮! 泥酔 TOKIO城島茂に『寄り添いお泊まりする美人OL」』(フライデー)、「AKB48窪田社長『野球賭博の常習者』だった!」(週刊文春)、「スクープ!菅直人『3・11後』を語る」(週刊朝日)、「独占スクープ公開 田畑智子 完全ヘア・ヌード」(週刊現代)、「特別付録 春画の秘宝 四十八手」(週刊ポスト)である。  「フライデー」はTOKIOのリーダー城島が7月下旬、西麻布、六本木と飲み歩き、途中で合流した美女とマンションに入る時にはフラフラの千鳥足だった、という顛末を写したものだ。エレベーターに乗り込む城島の後ろ姿が、いかにも「酔っぱらっちゃいました」感丸出しで、とてもいい。  AKB48スキャンダルは「文春」の独壇場。今回もAKB48の運営会社「AKS」の窪田康志社長が、野球賭博の常習者だったというスクープ。記事中には、胴元が仲介者を経由して窪田の注文を受けるのに使用した携帯電話の写真まで載っている。しかも、窪田が野球賭博で負けた金は数億円にものぼるそうだ。どうするAKB48?  「朝日」は菅直人首相の単独インタビュー108分と謳っているが、予想通り、内容に新味はない。最後に、「いつ辞任するんですか?」と聞かれ、「いずれ去る日が来るその時まで、言うことは言い、やるべきことはやりぬきますよ」と答えている。辞める気なんかまったくないことだけは、よ~く分かる。  「現代」のグラビア&袋とじは、かつてNHKの朝ドラ『私の青空』のヒロイン役も演じた田畑智子のヘア・ヌード。たしかに新鮮ではあるが、そそられるようなエロチシズムは感じられない。  これらの中では、今さらという気もするが、「ポスト」の「春画の秘宝」はやはり迫力もあり、わいせつ感も十分。袋とじをあけるとミニ画集が入っているというのもいいアイデアである。田中優子法政大学教授は、春画の女性たちは、ポルノに出てくる女性のように、視線をこちら(鑑賞者)に向けていないのは、男女どちらでも楽しめるものにしているからだと解説している。  憂きことばかり多き世の中に、幾ばくかの刺激を与えてくれたことを多として、これを3位に選んだ。  先週の「ポスト」も「朝日新聞と菅官邸の『不適切な関係』」をやっていたが、やや消化不良の内容だった。  今週の「現代」は、東電との関係に絞って朝日新聞を追及しているが、私も知らなかった事実関係が明かされていて、興味深く読んだ。  朝日新聞が70年代に原発容認へと路線を変更し、東電からの広告受け入れや東電からの接待、出張旅費肩代わりなどがあったということは、元朝日新聞経済部記者・志村嘉一郎著『東電帝国 その失敗の本質』(文春新書)に詳しい。  今回「現代」は、朝日新聞OBの井田敏夫が社長をしている「井田企画」が発行している「SOLA」という情報誌に注目する。  事実上東電のPR誌であるこの雑誌は、1989年8月に創刊されている季刊誌である。この雑誌は東電本店営業部が一括して買い上げ、各営業所に配布されている。  編集長に元「週刊朝日」副編集長の江森陽弘、看板の要人インタビューには元朝日新聞論説主幹の田中豊蔵、元朝日新聞論説委員の岡田幹治が環境問題にまつわる寄稿をしているという。  また「井田企画」の中に、91年6月に「地球こどもクラブ」という特定非営利活動法人が設立され、東電からも寄付を受けており、北海道電力、東北電力、四国電力、日本原燃も会員企業になっている。  先の元朝日新聞OBはもちろん、中江利忠元朝日新聞社長まで名を連ねている。  「現代」は、朝日新聞は反原発寄りだと見られているが、総論では原発推進に賛成してきたので、その社論をリードしてきたのは田中慎次郎に始まる「田中学校」だったと指摘する。  中でも岸田純之助は科学畑が長く、電力業界とは親密で、関電の広報誌「縁」の監修者にもなっているし、91歳のいまも「日本原子力文化振興財団」の監事を務めているという。  江森は、インタビューに答えて、こう話している。 「(中略)恥ずかしい話ですが、地震が起きてやっと気が付いたんです。これは東電が朝日新聞を巻き込んだ世論操作のための隠れ蓑だったのかもしれない、と。かかわっているメンバーを見れば、それは否定できないですよね。気付くのが遅かったんです」  朝日新聞を叩けば週刊誌が売れた時代があった。いまはそれほどではないと思うが、やはり新聞界の雄であることは間違いない。その朝日新聞に、東電が食指を動かした意図もよく分かる。  そうした東電マネーによって新聞の論調が動かされたのだとすれば、その罪は大きい。  東電との癒着構造は、原子力の父をいただく読売新聞も然りであろう。否、朝日新聞以上のスキャンダルが出てくると思うのだが、どこかやってくれないか。  今週のグランプリは「ワイド特集の元祖」新潮のワイド22本にする。まずは「なでしこジャパン」にちなんだ「大和なでしこ」漂流譚というタイトルがいい。  人選も内容も、他のワイドを圧倒している。  菅総理夫人・伸子が、息子の嫁の浮気を疑って興信所に調査を頼んだという仰天情報でワイドが始まる。 「今年3月、伸子さんに頼まれたという警察庁のキャリアOBがかつての同僚や後輩を頼り、興信所探しをしていました」とある。そもそもは、菅の古くからの支援者(後にこの男は元新聞記者であることが判明)が、彼女が別の男と街中で抱擁しているのを見たという情報を寄せたことから始まったらしい。  結局、この「嫌疑」は晴れたようだが、このことの報告書は警察庁にあるというである。  警察庁の考え方としては、もし中国や北朝鮮の情報機関に、国の権力者の弱点を入手されてしまったら、それを使って外交に利用するかもしれない。したがって、こうした総理の家族の不倫情報なども収集しているのだと、警察庁の初代国際部長・大貫啓行氏は話している。  だいぶ前になるが、橋本龍太郎総理(故人)と中国人美人通訳との「不倫」関係が話題になったことを思い出した。あのときは、中国人女性の出入国申請書の写しが、われわれ週刊誌の間にも出回ったことがあった。  この記事を読んで一番ドキッとしているのは、菅首相と伸子夫人ではないのか。警察関係に強い「新潮」でなくてはとれないネタである。  お次は、筒井信隆農水副大臣と一緒に生活する30歳下の女性との「艶聞」である。グラビアでも、二人連れだって仲良く食事する姿や、帰りに女性が積極的に筒井の腕に手を絡んで歩く姿、地下鉄のシートでも腕を絡めている写真を掲載している。  7月26日、彼の選挙区である新潟が記録的な豪雨に襲われていた夜も、彼女と一緒に天ぷら屋で食事を共にしていた。  その後、いったん彼女と別れた筒井は、「議員パス」を提示して駅構内へと入っていく。地元新潟へ帰ることにしたのか? だが、ほどなく筒井は駅から出てきて、件の女性とタクシーで都内のマンションへと消えて行く。  この日のことを、筒井副大臣は自らのブログに、「29日に地元入りするはずだったが電車不通のため断念」と書いているのだが、「新潮」によると、上越新幹線も長野新幹線もその夜は運行していたのである。  「新潮」の取材に、地元にいる妻は絶句。筒井は、彼女と腕を組んでいたことを聞かれ、目が悪くて段差があると転ぶから「世話」してもらっているのだと取り繕うが、地下鉄のシートでも腕を組んでいたではないかと聞かれると、慌てて「あ、そう? 必要はないんだよね。座っているときは、腕を組む必要性は」としどろもどろである。これで次の選挙はダメかもしれないな。  オウム真理教が裁判所から解散命令を受けて「アーレフ」と名称変更したとき、会長に祭り上げられ、テレビや新聞、雑誌で引っ張りだこだった村岡達子が脱会していた。その当時のことを話しているが、これが面白い。  やがて麻原の妻・三女と四女との勢力争いが激しくなり、四女を支持する村岡は本部から遠ざけられ、飼い殺し状態になり、離れていったという。  61歳になる彼女は、酒もたしなむようになった。だが、麻原への気持ちに変わりはないと話している。麻原の呪詛は信者の中で生き続けるのか?  お次は、国民栄誉賞までもらってしまった「なでしこジャパン」のエースストライカー澤穂希が、あまりのストーカー被害で、引っ越しせざるをえなくなっているという話。なにしろ、年収350万程度といわれる澤だから、オートロックのマンションには住めなかったのだ。  菅首相の人気取りのために利用されたとしか思えない「なでしこ」への国民栄誉賞だが、もらった35人は、これから、その重荷を背負って生きていかなくてはならない。  他には、先日収監されたホリエモンの母親が、福岡の社会福祉法人の「女帝」として君臨している。  人気の女優兼モデルの萬田久子(53)と事実婚を続けていた内縁の夫に、別の女性がいて、隠し子までいることが発覚した。インタビューされた萬田は、そのことをまったく知らなかったようで、つぶらな瞳をさらにまん丸にして遁走したそうだ。  おかしいのは、ニューハーフの草分けで、女性以上に美しい(ずいぶん前の話だが)タレントのカルーセル麻紀(68)が、男の病気にかかったという話。  彼女(?)の美を追究する涙ぐましいほどの摂生ぶりは有名だが、その彼女に昨年9月ごろから体調異変が表れた。右足に違和感を覚え、そのうち右足全体が痛むようになり、激痛が走った。  病院で判明した病名は閉塞性動脈硬化症。50歳代以降の男性に多く見られる、動脈硬化によって血行障害を起こす病気なのだ。  やはり見かけは完全な女でも、体は正直なものである。そういうことで今週は「新潮」の圧勝! (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
女は一日にしてならず カルーセル麻紀という生き物。 amazon_associate_logo.jpg
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献心的に尽くした前妻よりもやっぱり若い娘? 加藤茶、ギョーテンの45歳差婚!

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「週刊ポスト」8月12日号 中吊り広告より
第1位 「加藤茶が、23歳美女と再婚していた」(「週刊ポスト」8月12日号) 第2位 「石川遼『書類送検』父勝美氏が女性記者を恫喝した!」(「週刊文春」8月4日号) 第3位 「行き先が明確な『寄付金』『義援金』『ファンド』」(「週刊現代」8月13日号)  今週は大ネタ(大特集)に見るべきものがない。  巻頭の特集を並べてみると「菅直人と朝日新聞の薄気味悪い『交響曲』」(「週刊ポスト」)、「『放射能汚染牛』宮城県第一号農家が告発する『致命的な無策』」(「週刊文春」)、「新聞・テレビが報じない中国『恐怖の新幹線』その裏側で」(「週刊現代」)、「プロ13人が注目する31銘柄 日本株来年には1万5千円も!」(「週刊朝日」)、「『仙谷由人官房副長官』に『疑惑の金』の動かぬ証拠」(「週刊新潮」)、「『汚染がれきが』が拡散する」(「AERA」)、「『総理・代表』分離論浮上 菅が橋下府知事と手を組む」(「サンデー毎日」)。  「新潮」を除けば、どれもタイトルを見れば内容が類推できるものばかりである。今どき「朝日」がやっている株の記事を読むのはどんな読者なのだろう。私のような由緒正しい貧乏人の関心の埒外にある記事であることは間違いない。  「新潮」の記事は、2010年4月20日に、不動産の業界団体である「社団法人 全日本不動産協会」から仙谷由人の個人口座に「大臣就任祝金」として20万円が振り込まれていたという告発記事である。  これが政治資金規正法で禁止されている「個人献金」に当たるのではないかというのだ。興味がある方は読まれたらどうか。私には、仙谷由人という人間は、策士策に溺れるタイプで、一時もてはやされたような「政界のドン」になれる力量があるとは思えない。  「ポスト」の記事は、朝日新聞がこのところ菅直人首相"擁護"の論陣を張り、「お庭番」のようになっていると批判する。  朝日幹部は菅とたびたび会い、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)のアメリカ追随、脱原発路線(3.11以前は菅も朝日も原発推進派だった)、消費税10%増税支持と、菅と一体になったかのような論調は大メディアとしていかがなものかと指弾している。  「ポスト」の朝日新聞批判は聞くべきところが多いと思うが、批判だけで終わってしまっているのが物足りない。もう一歩突っ込んでほしいものだ。  今週の3位は、東日本大震災でかなりの額の義援金が集まったが、そのおカネがなかなか被災者に届かない、ならば、どうしたらいいかという「現代」のひと味違った切り口の記事である。  将来、医療人を目指す高校生や専門学校生を対象に、毎月1万5,000円を3年間にわたり支給(返還不要)する「NPO法人AMDA(アムダ)」。  宮城県女川にコンテナハウスを26棟設置し、そのうち8棟を「おながわコンテナ村商店街」としてオープンさせた「NPO法人難民を助ける会」も、自分が寄付したおカネが目に見えるかたちで使われるのが分かるという点では、ユニークな活動だ。  独自に除染や放射線量調査を行っている「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」などもある。  楽天やアマゾンがやっている支援は、被災地の学校などがネット上に要望するものを載せ、それを一般の消費者が代わりに購入するサービスである。  飯舘村を長期的に支援していこうという「NPO法人エコロジー・アーキスケープ」。NPOバンクを利用して、地元の木材と工務店を使って、冬までに仮設ではない住宅を提供するファンド「天然住宅バンク」などもある。  日本赤十字のように3,000億円近い義援金を集めるところもあるが、自分のおカネがどのように使われたのかを知ることはできない。たとえわずかなおカネでも、目に見えるというのはうれしいものである。  もちろん、ネット上には詐欺を目的にしたサイトも多くある。小さな善意を生かすために、ここにリストアップされているところを参考にしたらいかがだろう。  第2位は、無免許運転をスクープした「文春」が、またまた石川遼の父親に噛みついた記事。  日曜日(7月31日)に終わったサン・クロレラクラシックは池田勇太が接戦をものにしたが、石川は今期3度目の予選落ちだった。  今一つ波に乗れない今期の石川だが、その理由の一つに、無免許運転を指摘され、埼玉地裁に書類送検(7月20日)されたことがあるのかもしれない。  かつてはイチローや横峰さくらのパパが出しゃばりすぎてひんしゅくを買ったが、いまは遼パパがダントツであろう。  書類送検の件で聞こうと集まった記者たちに、試合中だから聞くなというのは理解できるとしても、こう言い放つのはいかがなものか。 「遼がいなければ男子ゴルフなんて書くことないだろう。あなたたちは遼のおかげで原稿を書いているんだから」  さらに、こうも言った。 「こっちは、あなたたちみんなの上司を知っているんだ。俺が言えば、ゴルフ担当から外すことだってできるんだ」  自宅近くでコメントをとろうとしていた全国紙の女性記者には、名刺を出させ、顔写真を撮った後「これからあんたに付きまとって、嫌がらせしますからね」と"脅迫行為"まがいのことまでやったそうである。  この遼パパの方こそ、息子のおかげでいまの自分があることを忘れているようだ。  それにしても、全英リコー女子オープンで優勝した台湾のヤニ・ツェンは強かった。女の中に一人だけ男が混じっているような力強いスイングと300ヤードの飛距離。いま石川遼とマッチプレーをやっても勝てるんじゃないかな。  今週のグランプリは、「ポスト」の加藤茶(68)再婚スクープ。再婚した妻は23歳、年の差は45歳になる。  7月8日号で映画監督・鈴木清順(88)が48歳年下の女性と結婚していたことをスッパ抜いたのも「ポスト」だった。年寄りの色恋に強い記者でもいるのだろうか。  彼女は広島出身で、地元で幅広く会社経営をしている名家だそうで、結婚式や披露宴はやらなかったそうだが、親戚を大勢招いて結納をしたという。  それにしても加藤は、5年前に解離性大動脈瘤という難病に罹り、生死の境をさまよった。その時、親身になって看病し、見舞客の応対をしたのは離婚した前妻だった。  退院後も、前妻に炊事洗濯までしてもらっていたが、彼女との結婚が決まってからは「一線を引くことにした」そうだ。  昭和の笑いを引っ張ってきた盟友・志村けん(61)も独身で、夜ごと女性同伴で飲み歩いているようだが、こちらも周囲に「結婚願望」を語り始めているという。  私はこの二人のファンである。円熟味を増し、チャップリンの『街の灯』のような、ペーソス溢れる喜劇を見せてくれるのではないかと期待している。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
ズンドコ伝説 またひとつアップデート。 amazon_associate_logo.jpg
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元・名物編集長がエール「山本太郎よ、日本のジョージ・クルーニーを目指せ」

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「週刊現代」8月6日号 中吊り広告より
第1位 「俳優・山本太郎『原発マネーに汚染されたテレビと芸能界へ』」(「週刊現代」8月6日号) 「坂本龍一 私はなぜ『脱原発』を訴えるのか」(「週刊文春」7月28日号) 第2位 「福島第一原発"最高幹部"が語るフクシマの真実 番外編『放射性物質が200万分の1に減った』はウソ」(「週刊朝日」8月5日号) 第3位 「藤原紀香『外資系イケメンアナリストと電撃再婚へ!』」(「フライデー」8月5日号)  北欧ノルウェーで起きた、右翼と見られる32歳の男による爆弾テロと銃乱射事件は100人近い死者を出した。その動機は、ノルウェー政府がイスラム系移民の受け入れに寛容な政策をとっていることに抗議するためだと見られているようだ。  一見、平和で豊かに見える北欧の街で起きた惨劇だけに、世界へ与えた衝撃は大きい。こうした問題を抱える国は他にも多くある。移民敵視、宗教的対立、多様な文化を受け入れない偏狭な人間ひとり(複数犯行説もあるようだが)が爆弾と銃を持てば、簡単に100人くらいの人間を殺せるのだ。ヨーロッパの大きな潮流となっているネオナチズムやアメリカの右翼運動「ティーパーティー」など、キナ臭い嫌なにおいが立ちこめ始めている。  中国浙江省で23日に起きた高速鉄道路線での事故にも驚いた。私も乗ったことがあるから、ネット中を探し回って情報を貪るように読んだ。  日本の新幹線がこれだけ長い間事故を起こしていないのは、優秀な技術と人間に支えられているからだが、運もあるのは間違いない。昔取材したとき、いま一歩で大事故に結びつく故障や線路へ置かれた妨害物などが発見されたが、寸でのところでことなきを得たことが何度かあると、JR関係者から聞いたことがある。  原発と同じである。チェルノブイリのような事故は日本では起こらないと、技術を過信していた日本の原発が、このていたらくである。JRにも、今回の事故を他山の石としてもらいたいものだ。  14年前、渋谷・円山町のアパートで殺された東京電力のOL事件が、新たな展開を見せてきた。彼女を殺害したとして逮捕され、最高裁で無期懲役が確定したネパール人・ゴビンダ受刑者は、いまでも無罪だと主張し再審請求しているが、またもDNA鑑定で新事実が出てきたのである。  被害者の膣内から採取された精液が、ゴビンダ受刑者とは別人のものだと判明したのだ。しかも、当時の捜査員はこの精液鑑定を、無関係だろうという先入観から、これまで鑑定に出していなかったことまでが判明した。  ノンフィクション・ライターの佐野眞一は著書『東電OL殺人事件』(新潮社)で、ゴビンダは冤罪だと主張してきたが、今週の「朝日」で、有罪判決を出した二審の裁判長(一審では無罪)を痛烈に批判している。  私も事件当時、「週刊現代」でゴビンダ容疑者(当時)を有罪と決め付けるには証拠が乏しいと批判したことがある。今回も新たなDNA鑑定が、再審の扉をこじ開けてくれるのを期待したい。  話はがらっと変わる。読者にはどうでもいいことだが、私の女性の好みの変遷について述べてみたい。私は由緒正しい吉永小百合ファン(生まれ年が同じで、向こうが8カ月お姉さん)で、いまでもシャープのCMを録画したり、駅に貼ってある「大人の休日」のポスターをデジカメで隠し撮りして、ひとり悦に入っている。  一時、松坂慶子に惹かれたり、藤原紀香にボーッとした時期もあるが、ほぼ一貫してサユリストである。だが最近、綾瀬はるかの蠱惑的な瞳によろめいている(古いね!)自分に、腹が立っている。と縷々書き連ねたのは、今週の「フライデー」に「藤原紀香電撃再婚スクープ撮」の見出しを見つけ、買いに走ったことを言いたかったからである。  代官山のゴルフショップで二人が買い物をしているショットが扉写真だが、紀香はもちろんだが、この新恋人、確かにいい男である。  USB証券の証券アナリスト・乾牧夫氏で、彼女より3つぐらい年上。六本木ヒルズに住みフェラーリ612スカリエッティ(市場価格3,600万円以上)を所有し、年収は4,000万円ほどだという。  買い物を終えた二人が向かったのが、渋谷・東急ハンズの先の露地にあるホルモン屋というのが微笑ましい。4時間も飲みかつ食べた二人は、紀香の住む高級マンションへと消えていった。  藤原紀香もいまは四十路である。お笑い芸人・陣内智則との離婚から2年4カ月経ち、周囲も「乾氏を完全に再婚相手と見ています」と話している。今度は「格差婚」とは言われないだろう。  今週の第2位は、「朝日」の「福島第一原発"最高幹部"が語るフクシマの真実 番外編」。この連載は3週連続ランクインになるが、この欄で初めての"快挙"である。  今回は、7月19日に政府と東電が発表した「新工程表」が、国民の目をごまかす辻褄合わせでしかないと批判している。  私も読んだとき、あれと首を傾げた「3年間で燃料プールから核燃料を取り出す作業を始め、廃炉に向けた準備を進める」という箇所である。最高幹部はこう語っている。 「この数字が入ったのは、それこそ『政治主導』ではないでしょうか。経産省、つまり『官僚主導』かもしれない。まだ原子炉を安定的に冷却することもできていない状況で、『3年』と断言するのは到底、無理な話です。また、この新工程表では、外部への放射性物質の放出量が、事故後に比べて『200万分の1』(6月末時点)になったとしています。しかし、爆発時に出た本当の放射線量は、はっきりとしないというのが事実です。一体何を基準にして、この数字が出てきたのかよくわかりません」  彼はまた、政府が避難地域の縮小・解除を前倒しで実現したいとしている点にも危惧を感じている。 「解除すれば大人だけではなく、子どもたちもその地域に住むことになる。子どもへの影響を考えれば、そう簡単にはできません。私自身としてはむしろ、現在、放射線が高いとされながら、何の手も打たれていない福島市や郡山市など中通り周辺の地域について、見直したほうがいいのではないかという思いがある。(中略)本当に住民たちの健康のことを考えれば、いま一度、原点に戻って考え直してはどうかというのが正直なところです」  現在、免震棟の前にある街灯の電源は、太陽光パネルでまかなっているという。「正直なところ、これまで内心では、『しょせん、太陽光なんて』と思っていました。でも、いざこうして実際に世話になってみると、その性能の良さ、パワフルさに感動しつつ複雑な気分です」と話す。  いまのまま新しい原発をつくらなければ、2050年には原発はなくなっているそうだ。脱原発を進め、再生可能エネルギーへの移行を大胆に進めれば、20年も経たずに原発依存から脱却できる。その間をどう凌いでいくのか、日本人の智恵が試されるときだ。  第1位は2本。有名な音楽家である坂本龍一と俳優の山本太郎が、反原発について発言している記事である。  坂本は、原発直後から「すぐに健康上の問題はない」と言い続けてきた枝野官房長官は全然信じていないが、脱原発の方向に転換した菅総理には、自然エネルギー普及の原動力を生み出すまで頑張ってほしいとエールを送る。  彼は、チェルノブイリ原発事故の恐ろしさを友人から聞いて、肌で感じるようになった。「核燃料処理工場からは、通常の原発が三百六十五日で排出する放射性廃棄物が、わずか一日で排出される」という文章を読んで「ストップ・六ヶ所村(青森県六ヶ所村・日本原燃が所有する核燃料の再処理工場がある=筆者)」というプロジェクトを立ち上げた。  坂本は、最近のものいわぬ静かな日本人への疑問も吐露している。 「今は、危機の時代なんですから、国民がそんなにおとなしくしていていいはずがない。何しろ自分たちの命がかかっているんです。母親や子どもたちの命がかかっているんです。何十年も甘い汁を吸ってきた原子力村の人たちにハッキリ『ノー』を突き付ける最大の機会です。国民みんなで声を上げれば、日本のエネルギー政策を大きく変えることは絶対できます」  山本太郎は4月9日のTwitterで「テロ国家日本の片棒担げぬ」と発言し、反原発の意思を表明した。  以来、反原発活動を続けているが、案の定、7、8月に予定されていたドラマから降ろされてしまった。  反原発の立場を明らかにするかどうか悩み抜いた末、事務所にも迷惑を掛けるからと、そこを辞め、明日から仕事がなくなるかもしれないという恐怖とも闘っている。  彼はいま、原発から30km圏外のため、避難勧告がでていない福島県内の母子の避難・疎開を支援する「オペレーション・コドモタチ」というプロジェクトにかかわっている。  北海道に移住した母親が、朝、放射能を気にせずに窓を開け、洗濯物を干せる幸せを語ってくれ、うれしかったと話す。  反原発のデモの先頭にも立つ。原発の安全神話に乗っかってきた自分が許せなかったからだ。  反原発を明確にすると芸能界からもテレビからも閉め出されてしまう現実を、俳優自らが発信する勇気に拍手を送りたい。以前書いたが、「ニューズウィーク日本版」で、俳優のジョージ・クルーニーが語っていた言葉を送りたい。 「『ここ(スーダン)に暮らし、妻子が虐殺されることを恐れている男の訴えを世界に届けることが俺の仕事だ』と、クルーニーはセレブの役割について熱く語る。『彼は山の上で叫びたいだろうが、彼には大きなメガホンもなく、高い山もない。俺にはメガホンもあれば、山もある。彼に自分の代わりに叫んでくれないかと頼まれたら、一も二もなく答えるさ。いいとも、俺が代わりに叫ぶよ、と』」  俳優としてはまだまだの山本だが、日本のクルーニーを目指してほしいものだ。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
母ちゃんごめん普通に生きられなくて そのまま突き進んでください。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 あおり派週刊誌に宣戦布告!? 「ポスト」覚悟の総力大特集、その中身とは? 「井戸端会議で話題にもできない」"ホットスポット"で闘う母親たちの苦悩 経産省ではスキャンダルは出世に響かない!? 愛人発覚・西山審議官の厚顔無恥ぶり

日本の被曝医療構造はピラミッド型? 切り捨てられる低線量被曝

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「週刊朝日」7月29日号
第1位 「福島第一原発"最高幹部"が語るフクシマの真実(後編)『新工程表はデタラメ』」(「週刊朝日」7月29日号) 第2位 「被曝医療 市民の検査はできません」(「AERA」7月25日号) 第3位 「独占スクープ告白『わが子のオシッコからセシウムが出て』」(「週刊現代」7月30日号)    福島の子どもたちを夏の間だけでも北海道あたりへ「疎開」させる運動を、仲間と始めようと思っている。  これは先週(7月13日)、大阪・熊取にある京大原子炉実験所へ小出裕章氏を訪ね、話し合ったことがきっかけになった。  小出氏はかつて原発の平和利用に憧れを抱き、大学で原子力工学を学んだが、その後、原発の危険性に気が付き、現場に踏みとどまり、反原発の先頭に立っている人である。  小出氏の主張は一貫している。低線量でも人体には必ず影響がある。どんなにわずかな被曝でも、放射線がDNAを含めた分子結合を切断・破壊することは、これまで放射線の影響を調べてきた国際的な研究グループが認めている。  しかし、時間を戻せない以上、私たち大人は、放射線によって汚れてしまった環境の中で、汚染された食べ物を食べながら生きるしかない。  だが、放射線への感度が高い子どもたち、原発に何の責任のない子どもたちには、安全なものを食べさせてほしいし、できれば即刻、放射線量の少ないところへ避難させてあげてほしいと語った。私を見つめる目は「深刻」であった。  「現代」の記事は、福島市に住む子ども10人のオシッコを検査した結果、全員からセシウム134と137が検出されたことを受け、その親たちにインタビューしたものである。  この報を受けた斑目春樹原子力安全委員長や高木義明文科相は、健康への影響は考えられないと一顧だにしなかった。  政府のあまりにも無責任な対応に怒り、一人の親は、息子2人を兄の住む街に避難させることを決め、もう一人は、妻と息子を新潟の佐渡へ避難させた。  彼らが選んだ苦渋の決断は、多くの迷っている親たちに勇気を与えたはずである。  本来は、県や市町村、もっと言えば、国がやるべきことであるはずだ。しかし、権力争いに明け暮れるバカな政治家たちに期待しても無駄であろう。  そこで、まずは100人ぐらいの単位で、小学生以下の子どもを北海道へサマーキャンプに行かせ、思う存分自然と遊ばせてあげようという計画である。  苦しい避難生活ではなく、楽しい疎開生活をさせる。それがきっかけになって、多くの親たちが動き出し、国に疎開を求めていけば、いくら無責任な政治家でも動き出さずにはいられないはずだ。  親の世代や高齢者は、戦中のようにその場に踏みとどまり、放射能で汚染されたものを食べながら生き抜いていくしかない。それが原発を止められなかった者の責任と覚悟であると、小出氏から学んだ。  余談になるが、小出氏のところを辞する間際に、電話がかかってきた。そうした時間はないとすぐに切ったが、誰からですかと尋ねると、海江田万里経産相からだと教えてくれた。  面識はないと言う。菅直人に反旗を翻した海江田が、何用あって反原発のカリスマのところへ電話を寄こしたのだろうか。  第2位は、読んでいるうちに腹が立ってしょうがない「AERA」の記事である。  福島県二本松市の三保恵一市長は、独自に放射線量を測っている。原発事故発生当初は毎時5~8マイクロシーベルトもあり、最近は少なくなってはいるが、7月2日は毎時1.30マイクロシーベルトで、福島市や郡山市を上回っている。  悩んだ市長は、子どもたちの外部、内部被曝を調べ、どういう医療を施せばいいのかを検討するため、ホールボディカウンター(全身測定装置、WBC)で調べてもらおうと、福島県立医科大学付属病院に懇請したが、「一般市民の検査はできない」と、あっさり断られてしまったのだ。アメリカでは、被曝医療は感染症対策と同じように、普通の公衆衛生行政として扱われている。  拒否した理由は、日本の緊急被曝医療体制にあるというのだ。被曝医療は厚労省ではなく文科省の担当である。  現在のような緊急被曝医療体制が作られたきっかけは、1999年9月に起きたJCO東海事業所での臨界事故による。多量の放射線を浴びた作業員3人のうち2人が死亡した(この2人のうち、大量の被曝をした大内久さんの、83日間にわたる壮絶な闘病と医師の必死の救命活動を記録した、新潮文庫のNHK東海村臨界事故取材班の『朽ちていった命』をぜひ読んでいただきたい)。  この事故に狼狽した原子力安全委員会は、「緊急被ばく医療のあり方について」という報告書をまとめ、緊急被曝医療を担う医療機関を、初期的・救急的診察をする原発近辺の医療機関を1次にするなど3段階に分けたのである。  今回、診察を断った福島県立医大付属病院は2次機関に位置付けられ、断った理由は、原発構内の高線量被曝者や半径20キロ圏内での警察や消防関係者への対応が役割だからだというのだ。  先の報告書では、放射線によって健康不安を抱く住民への精神的ケアを施すことを促してはいるが、低線量被曝は緊急医療の対象とはしないという原則が明確にされていると、記者は追及している。  さらに、低線量被曝を切り捨て、ピラミッド型の被曝医療構造を文科省に置いたままにしたのは、原発推進派に都合のいい被曝医療体制の構造作りに医学界が協力したのだと言及している。  それは今回のように、大人口が被曝し、医療需要が極端に膨れあがったら、その騒ぎだけで反・脱原発の機運を高めることになる。そのことを恐れてのことだろうと推測している。  数千人以上の被曝者に接してきた肥田舜太郎氏は低線量被曝についてこう語っている。 「微線量でも障害が生じる可能性があることは、海外の医学界の常識です」  こうした医学界ぐるみの原発擁護と重大な情報の隠ぺい体質が、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のデータ一時隠ぺいや、年間20ミリシーベルトの被曝まで許容するという許し難い校庭利用基準が、文科省から福島県側への通知だけで事足れりとすることに表れているのである。  これほどの事故が起こっても、いまだに原発を守り、東電を存続させようと画策する、政治家、官僚、財界の悪のトライアングルを破壊しない限り、福島の住民はもちろん国民の健康は顧みられることはない。  今週も第1位は、「朝日」の「最高幹部が語るフクシマの真実」の後編である。  前編がきっかけとなり、他のメディアも福島第一原発の現状や、工程表のいい加減さを競って取り上げている。  今回は、東電が4月19日に発表した工程表は、現場の意見を無視したものだったということが明らかにされる。フクイチの現場からは1年半というスケジュールを出したのに、これでは菅総理が納得しないと本社が9カ月に短縮してしまったのだ。  現在の作業を妨げている最大の要因は、汚染水。もし核燃料がメルトスルーしているならば、汚染水は非常な高濃度になっているから、チェルノブイリで日本の技術がしたように、地下にトンネルを通し、セメント、ベントナイト(粘土鉱物)などを注入して固めてしまう方式にしたいが、国土交通省と経産省の連携がうまくいかず、適切な対応策が講じられていないという。  さらに1~4号機から白い煙が出ている。あれは水蒸気だが、その「湯気」の中にはやはり、放射性物質が含まれていると言っている。  また、3月11日午後3時36分に1号機で水蒸気爆発が起きたが、その後の政府の避難指示のやり方が拙かったと率直に話す。 「現場ではもっと広い範囲、少なくとも半径50キロは避難していると思った。(中略)避難範囲が半径30キロ圏内と聞いたときも、『大丈夫か?』と思ったのが正直な印象ですね。(中略)爆発が相次ぐ中、当時私自身、半径30キロどころか、青森から関東まで住めなくなるのではないかと思ったほどです。本社と政府の話し合いで決まったんだろうけど、余震の危険性などを考えれば、最低でも50キロ、万全を期すならば半径100キロでも不思議はなかった。(中略)いま原発は何とか安定していますが、放射性物質がかなり飛散しているのが実態です。避難地域の見直しが必要だと思います。実際、もう半径20キロ圏内は戻れないと、そろそろ発表してもいいんじゃないか。子どもたちが学校に通うのは無理です。最初からもっと広範囲で避難させていればと悔やまれます」  最高幹部は、フクイチから上げられる膨大な量の情報のうち、国民に公表されているのはその10%、いや、1%かもしれないというのである。  現場と本社は衝突ばかりで、情報公開を巡り、本社幹部は、「そんな情報が保安院や政府に分かると、大変なことになる」と言い放ち、最後にこう言ったそうだ。 「私の立場や出世はどうなるんだ。キミは分かっているのか!」  原発を担当してきた官僚たちの責任追及、東電解体をしてからでなくては、脱原発、再生可能ネルギー政策を考えるわけにはいかないと、私は思うのだが。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
朽ちていった命―被曝治療83日間の記録 放射能の恐ろしさ。 amazon_associate_logo.jpg
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