本性は気弱で甘ったれ!?  紳助独占インタビューを裏読み!

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第1位 「島田紳助 独占告白90分」(「週刊文春」4月26日号) 第2位 「GOROの時代」(「週刊ポスト」5月4・11日合併号) 第3位 「2012年版『全国長者番付』を実名公表する」(「週刊現代」5月5・12日合併号)  私が週刊誌の現場にいた頃、確か5月1日だったと思うが、高額納税者、いわゆる長者番付というのが発表になった。  新聞などには、国税庁から1週間ぐらい前に名簿が手渡される。その名簿を親しい新聞記者から流してもらって、こちらも取材を始める。中でも注目は芸能人やスポーツ選手の番付で、作家・文化人というのも人気があり、私たち週刊誌編集者にとっては、ゴールデンウイーク前の大イベントであった。  これが合併号の売り物だったが、毎回トラブルになった。それは5月1日前に雑誌が発売されるためで、国税庁からはもちろんのこと、新聞社も資料を流した犯人捜しに躍起になったが、われわれは知らぬ存ぜぬで押し通した。  それが2005年を最後に発表が廃止されてしまった。なんでも「当初の目的であった『第三者のチェックによる脱税牽制効果』の意義が薄れているという指摘があることや、政府による犯罪の助長になってしまっていること、05年4月1日から個人情報保護法が全面施行されたことを受け、この制度は06年(05年度分)から廃止された」(ウィキペディアより)。  今回は現代が、独自に47都道府県の大金持ちをリストアップして「長者番付」を作成したとある。  まず、総資産ではユニクロの柳井正社長が約8,800億円でぶっちぎり1位で、2位にサントリー創業家の鳥井信宏(兵庫)が約6,500億円、3位に愛媛の今治造船会長・檜垣俊幸が約3,000億円、4位にアパホテル創業者の元谷外志雄と続く。  都道府県別では、北海道は総合家具チェーン「ニトリ」の似鳥昭雄社長。個人の総資産は約970億円、年収は約1億2,000万円。  似鳥はこう言っている。 「お金が欲しいとかお金を儲けたいと考えて仕事をしていませんからね。なぜなら会社でも個人でも『儲けたい』と思って商売すると、それは必ずお客様に伝わるんです。(中略)何よりもお客様に得をしてもらうことを優先する。品質が価格を上回った時、そこに初めてバリューが生まれると私は考えます」  似鳥社長は08年のリーマンショックを予見し、それに先がけてニトリでは値下げを断行して躍進した。  岩手県では、盛岡冷麺を全国区にした「ぴょんぴょん舎」のオーナー邉龍雄(ぴょん・よんうん)社長で総資産は約10億、年収は約2,000万円。  彼は在日二世で、父親はクズ鉄屋で生計を立てていた。高校時代までは「朝鮮人」といじめられ続けたそうだが、そんな彼を励まし、助けたのも岩手の人だったと語る。  千葉では、年収約3億6,000万円で全国6位に入った「銀座ステファニー化粧品」の創業者・一家明成。彼は、こう経営哲学を語っている。 「お客様からの電話の対応が極めて重要ですから、独自のトークマニュアルを作りました。電話だから見えないと思いがちですが、受ける社員が足を組んでいたり、煙草を吸っていたりしたら、お客様にはすぐわかる。本当の誠意とは何かを、ウチの社員には叩き込みました」  一家は、会社が完全に軌道に乗った05年、あっさり娘に会社を譲り、娘に子どもが生まれて社長業が困難になると、韓国のLGグループに株を売却してしまった。  愛知では、中日新聞最高顧問の大島宏彦には敵わないが、名古屋で一番勢いがあるといわれる「カレーハウスCoCo壱番屋」の創業者・宗次徳二の半生は壮絶である。 「戸籍上は石川県生まれですが、両親が誰なのかわかりません。兵庫の孤児院で育ち、3歳の時に雑貨商を営む夫婦に引き取られました。ところが養父がギャンブル(競輪)にはまって財産をなくし、夜逃げするように岡山に移ったんです」  電気も水道もない生活が何年も続いたという。泣いている暇もなく、学校から帰ると養父の帰りを待ちながら、ローソクの灯りで掃除や炊事をするのが仕事だった。だが、そんな養父を嫌いにはならなかった。 「大好きでした。年に一度だけ、職安でもらう年末一時金で私の大好きなリンゴを二つ、お土産に買ってきてくれる。あのリンゴの味は格別でした」  宗次はほぼ毎日、名古屋・栄の街を早朝掃除する。「お金を自分のために使うのは恥ずかしくてできない」という。時計は9,800円、シャツは980円で、自宅は接待用に少し大きなものを建てたのだが、「それも恥ずかしい」と話す。  壱番屋のカレーは私も好きでよく行く。創業者の話を読んで、また行きたくなってきた。  こうした宗次の対極にあるのが、徳島の「タカガワグループ」創業者の高川晶だ。  学校法人やゴルフ場、医療・介護施設と幅広く事業を展開している。本人がこう語る。 「トップには『この人じゃないと任せられない』と思わせる圧倒的なオーラが必要です。そのためには人間の本能の部分でも憧れの存在であるべき。大企業の経営者でも服にこだわらない方もいますが、私はそうは思わない。腕時計でも車でも、少なくとも社員よりリッチでなければならない」  彼は南フランスの城を模したゲストハウスを持つ。年収約1億5,000万円だから、勝手におやんなさい。私のような由緒正しい貧乏人は、ついそう思ってしまうのだ。  そのほかにも、29歳の時に事業で騙され、4,000万円の借金を抱えてアメリカに飛んだのが縁で知ったインディアンが身につけていたターコイズブルーに魅せられ、ビジネスへとつなげた九州・福岡の「STONE MARKET」社長の中村泰二郎。長崎には「ジャパネットたかた」の創業者・高田明。熊本には「再春館製薬所」会長の西川通子がいる。  こうした「金持ち」を見て、今の若者はどういう思いを抱くのだろうか。俺も今にと思うのか、世界が違うと諦めてしまうのか。聞いてみたいものだ。  第2位には、雑誌が輝いていた頃に、山口百恵やアグネス・ラムなどのアイドルを登場させて一世を風靡した「GORO」(小学館)を、グラビアと坪内祐三の文章で特集したポストを挙げたい。  現代には、袋とじ「女性器の最新研究」がある。「警告!人前では絶対に開かないでください」(私がヘアヌード・グラビアをやっていたとき、よくこの文句を使った)とあるが、中身はさほどのことはない。  ポストのカラーグラビアに登場するのは、若き日の宮沢りえ、西田ひかる、浅野ゆう子、浅野温子、森下愛、手塚理美、川島なお美、石田ひかり、紺野美沙子などなど。  袋とじでは、小池一夫と叶精作の伝説劇画『実験人形ダミー・オスカー』を復刻している。といってもほんのさわりだけであるが。  「GORO」が創刊されたのは74年(昭和49年)6月。中でも篠山紀信の「激写」が評判を呼び、百恵はもちろんだが、アグネスはグラビアアイドルとして有名になった。  だが、この雑誌の魅力は読み物ページにあったという。  山口瞳の「礼儀作法」、安岡章太郎の「新アメリカ感情旅行」、丸山健二の「告白的肉体論」など。  インタビューは沢木耕太郎や海老沢泰久、山際淳司、河村季里が担当した。  河村がインタビューした女優・関根恵子は大きな話題を呼んだ。「小学校4年生の処女喪失が、私のすべての原点だったんです」と衝撃的なタイトルが付けられていた。  私はすでに編集者になっていたし、「GORO」世代ではなかったが、この雑誌の輝きは知っている。「GORO」は18年続いて91年12月で休刊する。「平凡パンチ」(マガジンハウス)、「週刊プレイボーイ」(集英社)、「週刊少年マガジン」(講談社)、「朝日ジャーナル」(朝日新聞社)など、雑誌が輝いていた時代が確かにあったのだ。  歌手・南沙織も大変な人気だった。私のカミさんの弟は南の大ファンで、何のツテもないのに結婚式に来てくれと頼みに行き、出席してもらったことを、いまでも人生最大の幸福だったと話すが、あの頃は、アイドルさえも遠く仰ぎ見て胸震わせる存在だった。  カネさえ出せば触れられる身近なアイドル・グループが人気だが、銀幕の女優(古いいい方だね~)やアイドルは遠きにありて想うものだと、私などは思ってしまう。  雑誌を通じてアイドルと読者がつながっていた「幸せな時代」だった。いまいちど甦らせるのは無理なんだろうね。  グランプリへ行く前に、惜しくもベスト3に入り損ねたが、週刊朝日の「福島第二原発も地震で壊れていた!」に触れておきたい。  フクニ(福島第二原発)で現在も働いている、ジャーナリスト・霧島瞬の告発ルポである。  この中に、こういうくだりがある。 「東電は今回の被害は津波によるもので、原発は地震に耐えたといっている。しかし、それを疑わせるようなものがある。(中略)写真で明らかなように、そこの配管にダメージがあったということは、地震の揺れで起きた被害ということだ」  筆者は、東電は「フクイチ、フクニの事故の全容を公表すべきだ」と結んでいる。  福島第一原発、第二原発の調査も道半ばなのに、野田佳彦首相は大飯原発の稼働を強引に進めようとしている。なぜそんなに慌てるのか。  「二度と同じ過ちを繰り返さない」ためにも、事故原因の徹底的究明を行うことが最優先されなければならないということは、言うまでもない。  今週のグランプリは、文句なしに週刊文春の島田紳助インタビューに捧げる。天晴れである。  なぜこの時期にインタビューに答えたのか。芸能界に戻りたいとは思わないと言いながら未練を口にするところ、復帰への地ならしを始めたのではないかと思われる箇所もいくつかある。  だが、こうしたインタビューは相手が嫌がったらできはしない。紳助の思惑が文春と一致したから成立した記事であろうことは間違いない。  そうしたことを割り引いても、なかなか面白いインタビューである。  引退の理由は暴力団との交際だったのかと聞かれ、こう答えている。 「暴力団との交際がすべてではないんですよ。自分の中では違う理由があった。でもそれは会社の人にも言うてないことなんです。(中略)いろんな自分の中の思いがあり、年齢的な思いがあり、仕事への思いがあり。芸能界でやるべきことはやり尽くしたんじゃないかとか、このまま何もせんと終わってしまうのかとかね。芸能界の中で死に場所を探していたけど、ここちゃうんじゃないかとか。何十年も自分がこの仕事に携わってきて、夢見て、夢を達成してきた。でも夢を達成するということは夢を失っていくことじゃないですか。自分の夢がいっぱいあって、夢が消えていくなかで、いろんなことを五十過ぎたら感じるんですよね」  要は、芸能人としてではない人生があるのではないかと思っていたところに、暴力団と交際の話が出てきたので、潔く彼なりの美学を貫いたということのようだ。  記者会見では暴力団とのツーショット写真の存在を否定し、「ウソを言っていたら、みんなの前で腹を切りますよ」と大見得を切ったのに、フライデーが暴力団と紳助のツーショット写真を掲載したことについては、 「ただ一つ、写真の件だけは僕のミスです。あの写真は何年前のか知らんけど、ホンマに記憶になかった」 と、あっさり認めている。  だが、所有している不動産取引に暴力団が関与していたという報道に対しては、激しく否定している。 「それが一番腹が立つねん。僕は使いきれないくらいの十分な給料を貰っていました。マジメな話、そんな人間が『企業舎弟』とか『暴力団と地上げ』をするリスク背負うわけがないやないですか。そんなことしていたら、いまごろとっくに警察に逮捕されていますわ」  逮捕情報もあったがという問いには、 「逮捕どころか、警察に呼ばれてもいないでしょ。何でかと言うたら、不動産って売買記録が残っている訳です。いくらで買っていくらで売ったか。調べたら明らかなんですわ。高く買って、暴力団に裏金渡していたらアホですわ、俺」  女性関係については、 「共演した女性タレントと全部関係あるみたいな書き方ですやん。男の友達もいるけど女の友達もいるでしょ。女友達で、書かれた中で95%はウソですわ。ゼロとは言わんけど」  暴排条例のスケープゴートにされたと思うかという問いには、 「ひとつの目玉になったんかな。人の悪口言うつもりはないけど、ヤクザと飯を食ったことのある人、いっぱいおるんちゃうの? 他の方も写真が出たり、会うたりしたんでしょ? なんで俺だけ? まったく一緒なのに、なんで俺だけ犯罪者みたいな言われ方をされなあかんの」 と反論し、あの時「すいませんでした」と謝罪して、そのまま仕事を続けていてもよかったと「後悔」しているという。  だが、それとは反対に、55歳でキッパリ芸能界を引退した上岡龍太郎を尊敬していて、ああなりたいと思っていたともいう。まだ完全引退か復帰かで揺れているのであろう。  芸能界には、 「あんだけ書かれて、そんなに嫌われてるんなら戻る必要はないわ、というのが正直な気持ち。こんな世界やったんかって、終わってからあらためて気がついた」 と話す反面、「ただ、いつか『テレビに出れる人』には戻してほしい」と、こう語っている。 「自分の中で確定していることが2つあります。『もう仕事はしない』『政治家にならない』。芸能界への未練はぜんぜんない。もうやり尽くしたと思っています。ただ、いつか『テレビに出れる人』にはしてほしい。一連の報道の中で、まるで島田紳助が犯罪者のようになっているのが嫌や。犯罪者やからテレビはNGという空気になっている。テレビに出れる人に戻してくれよというのはある」  これからは、世界中を旅行して回ろうと思っているようだ。一時は自殺まで考えたという。 「引退して苦しいこと、悔しいことばかりでした。でも生きているだけで人間、幸せなものなんです。いやー死なんで良かった、生きていて良かった。今ではホンマにそう思ってます」  以前公開されたメールでも、確か「死にたい」と何度か言っていたと思うが、この男、本性は気弱で甘ったれな人間なのだろう。  潔くなどと言いながら、上岡のようにすっぱり芸能界から身を離すことができず、テレビや視聴者から「戻ってこいよ」と言われるのを今か今かと待っているのだ。  だが、こんな世界やったんかと気がついたのなら、芸能界などには二度と戻らず、第二の人生を歩くことを勧める。  一度懐に飛び込んだ人間を、暴力団が放っておくはずがない。それが彼らのやり方なのだから。また同じようなトラブルを起こす可能性が高いと思う。  このままいけば、紳助という面白い芸人がおったなと、視聴者の心に残り続けるはずだ。それを胸に、違う道で成功するのが格好いい生き方だと思うが、どうかな、紳助さんよ。 (文=元木昌彦) 
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

「再稼働基準をおおむね満たしている」枝野経産相の“アホの繰り言”再び?

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「週刊ポスト」4月27日号
グランプリ 「原発再稼働の大嘘」(「週刊ポスト」4月27日号) 第2位 「『石川遼』傲岸チンピラ親父の『スポーツ記者』暴行事件」(「週刊新潮」4月19日号) 第3位 「朝日『消費増税』礼賛と、国税調査」(「週刊現代」4月28日号)  東京の桜がようやく散った。桜の散り方が潔いなどと誰が言い出したのだろう。強風が吹いたり豪雨があったりすれば別だが、桜は咲き始めてから散るまで10日は楽しめる。  この時期、心せわしくて仕事が手につかない。あと幾たびの桜かな。そういう思いに急かされて、今日はどこの桜を見ようか、どこで花見の宴を開こうかと、都内を東奔西走する。  今年も向島の桜から始まり、飛鳥山、目黒川、千鳥ヶ淵、江戸川橋、哲学堂と徘徊し、日曜日には近くの植木屋で八重のしだれ桜まで買い込み、食卓の上に乗せて「家de花見」と洒落こんだ。花が散るのは寂しいが、これでようやく仕事に没頭できる。といってもそれほど仕事があるわけではないがね。  君は週刊ポストの新聞広告を見たか! よかったね~。「怒りを忘れた『週刊誌』なんて!」。この文句に痺れました。  ポストに同調したわけではないだろうが、今週は怒りを込めた特集が目立ったような気がする。  まず1本目の怒りは、週刊現代の朝日新聞批判記事。  私も前々から、新聞はなぜ消費税増税に賛成の大合唱なのだろうと不思議に思っていた。それに、次々に発覚する新聞社の申告漏れ。朝日新聞が4,800万円の所得隠し、2億円超の申告漏れがあったと3月30日の読売新聞が報じたし、4月10日には日経新聞が3年間で約3億3,000万円の申告漏れがあったと、自ら報じている。  現代によれば、読売も2009年に修正申告しているし、消費税増税に反対の立場をとっていた産経新聞にも昨年、東京新聞も最近2度の税務調査が入っているという。  東京国税局=国税庁の母体はいわずと知れた増税の総本山、財務省である。なんとしてでも消費税アップをやり遂げたい財務省が、消費税反対などしないように新聞社に“圧力”をかけたと推察する。  新聞社だけではなく、メディアにとって税務調査は鬼門である。取材相手を明らかにできない取材費や謝礼など、当局が叩けばいくらでも埃が出てくるからだ。  私がいた出版社でも税務署対策なのだろう、国税庁の大物OBを顧問のような形で入れていた。国税の人間から依頼された学生は優先的に採用せざるを得ないと、人事担当者が嘆いていたことを思い出す。  そうした圧力が功を奏したのかもしれない。中でも朝日新聞は社を挙げて消費税導入すべしと前のめりの論調が目立つ。  3月31日付の社説「やはり消費税増税は必要だ」では、「増税から逃げ出さずに早く決断することが大切だ」。4月6日付社説「消費税増税と政治――言い訳やめて、本質論を」では、「有権者の審判は消費税増税を決めたあとに仰げばいい。民主党の公約違反の責任はそのときにとってもらおう」と、増税したら民主党などどうなろうと構わないと思える論調である。  朝日の論説委員の一人は社内の空気についてこう語っている。 「消費税増税については『国家財政が傾いているのだから、増税は当然』というのが大前提で、増税に反対だという意見は出たことがありません。(中略)消費税増税による庶民の痛みをどうするか、といったようなことは議論の対象にすらなりませんね」  このときとばかりに、勝栄二郎財務省事務次官を始め、財務省の面々がマスコミ懐柔に走り回っている。その結果、各紙の社説に同じようなフレーズが出てくると、現代は指摘している。 「4月6日付社説に出てきた『決められない政治からの脱却』というフレーズがそうだ。同じ言葉は、3月31日付『日経新聞』社説、同『毎日新聞』社説、4月10日付『産経新聞』主張(社説)にも登場する」  真壁昭夫信州大学教授はこう言う。 「消費増税は、財政の立て直しの段階でいつか必要になります。ただタイミングを誤れば、96年の増税のあと金融危機が起きたように、日本経済にとって致命的な打撃になる。どう見ても、現状では消費税を上げることはリスクが高い」  ことは消費税増税問題だけではない。現代が言っているように、大新聞が一斉に同じ方向を向くことがいかに危険なことかは、これまで数々の忌まわしい過去が証明している。  4月16日付の朝日新聞に世論調査の結果が載っている。 「定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を野田内閣が妥当と判断したことについて、賛成は28%にとどまり、反対は55%にのぼった。内閣支持率は25%で、下落傾向が続いている」  その中で消費税増税に賛成かどうかについても聞いている。 「賛成は40%で、反対の51%の方が多かった。法案の国会提出前の3月調査では、消費増税に賛成41%、反対46%で、差がやや開いた」  いくら新聞が大増税キャンペーンを繰り広げても、国民の半数以上は「NO」だといっているのだ。この世論を無視して、増税早くやれとキャンペーンを続けるつもりなのだろうか。「消費税増税を争点にして解散総選挙せよ」というのが民意であるはずだ。  2位は新潮の石川遼の父親批判の記事。遼の「傲岸チンピラ親父」が日刊スポーツの記者に「暴行」を働いたというのだ。  新潮によれば、日刊スポーツが3月22日付けで「遼 米ツアー参戦へ、専用ジェットに家探し」と報じたことに父・勝美氏が怒り、フロリダに来ていた記者に訂正と謝罪文を掲載しろと迫ったとき、暴力を振るったというのである。  現地の大会関係者がこう証言する。 「突然、壮年の男が記者のふくらはぎのあたりを右足で思い切り蹴ったのです。記者は抗議しているようでしたが、男はさらに激昂した様子で続けざまに3回ぐらい、同じ場所を蹴り上げた。(中略)その様子はキャディーやら大会ボランティアなど複数が目撃していますよ」  日本を出て海外を拠点に試合をすることになると、契約している日本の企業にメンツが立たないというのが、怒りの理由なんだそうだ。  こうまでされて抗議しない日刊スポーツもどうかと思うが、同じことを報じている週刊文春によれば、そうまでされた意地が、4月8日付けのスクープ「遼 婚約&今オフ結婚」になったというのだ。  昨年から1勝もできず、マスターズも屈辱の予選敗退。カワイイ婚約者もいるのに、この困った親父のおかげで遼の前途は洋々とはいかないようだ。  と、ここまでなら正直、2位にしなくてもいいかなと思ったのだ。これよりも、同じ新潮の猫ひろしの記事、「『猫ひろし』五輪切符は金で買われた!」は、カンボジアのナンバーワン・マラソンランナー、ヘム・ブンティン(26)に8時間インタビューして、こう言わせているからだ。 「(中略)僕の自己ベストを超えたこともない。どうしてそんな選手がカンボジアの国旗を背負ってオリンピックに出場できるんだ! 簡単なことだろう、お金だ。お金を払って国籍を買い、オリンピック出場権も買ったんだよ」  また、国際陸連は最近、国籍変更後の国際大会出場についての規則を改正し、居住期間が1年を切っている場合は、例外を除いて五輪に出場できないとしている。猫のカンボジア国籍取得は去年の10月で五輪は8月だから1年に満たない。 「今回のような“背景”を国際陸連が知れば、例外適用が認められる可能性は低い」(スポーツ紙デスク)  4月15日に行われたパリ・マラソンでブンティンが猫のタイムを7分近く上回ったため、「昨年10月にカンボジア国籍を取得した猫をめぐって、国際陸連が参加資格を疑問視。五輪参加が認められない可能性も浮上する中での、ライバルの好走。最後は『僕はこの現実をしっかり受け止めます』としている」(4月16日付スポーツニッポン)という。  だが、月曜日(4月16日)発売の現代とサンデー毎日を見て気が変わった。父・勝美氏のインタビューが両誌に掲載されているのだ。  現代の「石川遼の『婚約』家族はこう考えている」を読むと、勝美氏の危機感や焦燥感がうかがえる。中でも今回の婚約について、両親に相談することなく二人だけで出した結論だったことに、苛立ちを隠せないようである。  遼の婚約が早いからといって心配はしていないと言いながら、 「本当に遼が彼女と結婚するのかも分からないし、たとえ結婚せず別れたとしても『どうしたんだ?』と聞くことはないでしょう。(中略)彼女のことだって、いまは『いい子だな』と思っていますよ。でも、それが本当の姿なのか断言する自信はない」  と話している。これを彼女が読んだらどう思うか。  結婚をするということは親離れすることである。掌中の玉がどこの誰かも分からない女に奪われ、捨てていかれるのではないかという焦りが、記者たちへの傲慢な態度や暴力につながっているのではないか。  どこにでもある父と息子の葛藤の物語ではあるが、子離れできない父親ほど哀れなものはない。  今週のグランプリはポストの原発再稼働への怒りのメッセージにした。  ポストが書いているように、原発再稼働に慎重だったはずの野田佳彦首相や枝野幸男経産相が、 「4月3日の関係閣僚会合から、何かに取り憑かれたように再稼働に驀進する。野田首相が会合で『新たな安全基準をつくれ』と命じて新基準ができるまでが2日間、枝野氏が新基準をもとに関電に『安全対策を出せ』と指示してから提出まで3日間。わずか1週間足らずで安全かどうかの判断基準を決め、それに基づいて安全のお墨付きを与えるという離れ業を演じたのである」  そうして枝野は記者会見で「再稼働基準をおおむね満たしている」と言ってのけたことに、「『おおむね』で動かされてはたまらない。あのアホの繰り言『ただちに影響ない』と同じ詐欺的論法である」と怒る怒る。  原発推進の黒幕はあの仙谷由人で、野田や枝野が弱腰にならないかと、監視しているという。  野田や素人大臣を操っているのは経産省の「電力マフィア」で、その中心にいるのが今井尚哉資源エネルギー庁次長。原発再稼働には彼の出世がかかっているというのだ。  新基準は原子力安全・保安院の原子力発電検査課が、原発推進派の学者や東京電力の技術者を集めて開いた「意見聴取会」でまとめられたもので、「“これでも出しておけ”と手元にあった文書をそのまま提出したというのが真相だろう」と容赦ない。  さらに水素爆発の対策として、大飯原発にフィルター付きのベント設備を設置するとしたが、発表された工程表では整備期限は3年後になっているのはおかしいと批判する。  ポストは以前から、原発がなくても電力不足にはならないというキャンペーンをやってきた。  今回も、大飯原発が再稼働できなければ夏に大停電になるという「官製デマ」と、それに無批判に同調する大新聞を難じている。  「デタラメだから安心していい」とまで言い切る。非常時の電力である揚水発電を少なく見積もっている「電力隠し」があり、企業の非常用電源などを入れれば、「この夏の電力各社のピーク時電力使用量が記録的猛暑だった10年と同じだったとしても、『原発再稼働なし』で乗り切れる」とする。  週刊朝日の広瀬隆・緊急寄稿でも、「今年の25%電力不足というデマは、昨年よりひどい大嘘の最大電力需要3138万kWという、あり得ない想定をして、電力不足を煽った結果であった」と書いている。  先に触れた朝日新聞の世論調査でも、大飯原発再稼働には圧倒的に反対が多いのである。福島第一原発事故からまだ1年と少しである。いまだに事故原因の究明も進んでいないのに、再稼働するなどというのは天が許さない。  ポストや広瀬の試算がどれだけ正しいのか、私には判断材料がない。だが、原発再稼働には、国民一人一人が大停電したとしても仕方ないという覚悟をもって反対しないと、ずる賢い役人やそれを後押しする大メディアと闘うことはできまい。  何度も言うが、国の将来を決める「消費税増税」と「原発再稼働か否か」の大問題を争点にして総選挙をするべきである。そのための判断材料として、週刊誌は新聞・テレビが報じない情報を発信し続けてほしいと切に思う。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

どうなるロンドン五輪……南キャン・しずちゃん、MRI検査で脳に“影”!?

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第1位 「南海キャンディーズしずちゃんMRI検査で脳に『影』」(「週刊朝日」4月20日号) 第2位 「特別付録 さらば剛毛時代」(「週刊現代」4月21日号) 第3位 「何があった?藤谷美和子が小田原で徘徊生活!」(「フライデー」4月20日号) 佳作 「吉本興業非公開『決算報告書』をスッパ抜く!」(「週刊文春」4月12日号)  週刊朝日がすごいボリュームで、いつもの倍ぐらいはある。どうしたのかと見てとれば、2012年入試速報「全国3232校主要大学合格者数」を130ページにわたって掲載しているのだ。  高校間の格差を助長するような特集を朝日とサンデー毎日のような新聞社系週刊誌が止めないのは、この号が売れるからである。だが、いい加減に止めたらどうかと、私は思うのだがね。  朝日の編集後記で河畠大四編集長が「次号から通常号の定価を20円上げて370円にします」と書いている。いま上げると消費税が10%に上がったときはまた値上げするのかな? ちなみに今週号は、週刊現代400円、週刊ポスト400円、週刊文春380円、週刊新潮370円、フライデー400円である。  今週はまず文春の吉本興業の記事を佳作に推す。  吉本興業の経営がえらいことになっているようだ。2001年4月から9月の決算書によると半年間で売上は237億円で、最終損益は15億2,000万円の赤字で、このままいくと11年3月期と同じように30億円程度の大赤字になるというのである。  原因は成長の源泉だったテレビが頭打ちになり、視聴率が取れるのは明石家さんまぐらいしかいなくなってしまったことと、大崎洋社長が決断した「上場廃止」が響いているというのだ。  この廃止で吉本の資産は激減していった。吉本の決算書を見た銀行担当者はこう言う。 「08年3月時点で二百三十七億円まで積み上げていた現金が、いまは五十億円まで減っています。同じく純資産(返済しなくてもいい資金)は四百八十五億円から百五十億円まで減少。よく言えばスリム化しましたが、要するに小さな会社になってしまったのです」  この銀行担当者は吉本は「この状況が続けばジリ貧です」と見て取る。  超優良会社といわれた吉本だった。私は、中田カウスや島田紳助問題で噴出した暴力団と吉本の癒着構造が、視聴者の嫌気を誘ってしまったのではないかと見る。最大の市場である東京の視聴者が吉本離れをしているのではないか。ことは深刻である。  第3位はフライデーの「元祖プッツン女優」藤谷美和子(49)の近況記事。  彼女を見なくなって久しい。カルビー・ポテトチップスのCMでデビューし、ブルーリボン賞にも輝いた女優だったが、奇矯な振る舞いをたびたびするようになって活躍の場を失った。2005年に結婚したが、その夫とも別居状態だそうだ。  何しろ彼女の格好がすごい。ボサボサの髪にキャップを目深に被り、両耳にはイヤホン、黒いキャリーバッグを引いて歩いてる姿はホームレスかと思わせる。  彼女の目的はネコの世話。空き地にいるネコを世話するために3日と空けずに通ってきている。ブツブツ独り言を言いながら、スマホでネコの写真を撮ったりネコの周りを片付けたりした後、キャリーバッグをガラガラ引きながら、競歩選手のようなスピードで来た道を引き返していく。  フライデーとの一問一答。 ――最近テレビでお見かけしませんが。 「いろんな媒体に『藤谷を画面に出すな』と手紙を書いている人がいるんです」 ――ご主人とは別居しているんですか? 「もうずいぶん前からです。最初から結婚する気がなかったし、(歌唱)印税を全部とられてしまっているので」 ――ネコが顔をケガしていますね。 「このネコちゃんはとっても頭がいいんです。(ケガしているのは)病院へ運ばせようとしている、病気のせいみたい」  母親と2人で生活しているそうだが、彼女がホームレスになっていても不思議はない、そう思わせるところが藤谷の「魅力」なのかもしれない。  第2位は久々の軟派記事が入った。現代はこのところ「無毛ヌード時代」をテーマにしてきているが、今週の袋とじでは「迫り来る無毛時代、その前に」として、日本人女性のヘアはこんなに濃かったと、こちらが心配になるほど「ヘア」を陳列して見せてくれる。  無毛といいながらの「ヘア・ヌード」満載グラビアで、技ありだ。  週刊ポストの活字だけの「世界20か国400人の『女性器展』の制作現場」や「美人女医が課外レッスン SEXの新境地『中戯』を極める」を完全凌駕。「陰毛専用の整毛機『ヒートカッター』」で毛をカットしている写真まである。わいせつ感のない、これぐらい開けっぴろげなヌードグラビアは珍しい。  見てもらうしかないが、アンダーヘアに隠された中までも見えそうな危ういけどアッケラカンとしたカラーグラビアに、今週の準グランプリを進呈する。  入選はしなかったが、ポストの「4・26『小沢一郎判決』で何が裁かれるか」という大特集は賛否あるだろうが、なかなかの力作ではある。  1部で有罪の場合と無罪の場合に「政局と日本の未来」がどうなるかをシミュレーションしている。  第2部では西松建設事件、陸山会事件、検察審査会、秘書裁判に分けて、各疑惑について小沢に成り代わって反論&否定している。  第3部では「政治家失格は明らかだ」(朝日新聞)、「潔く議員辞職すべきだ」(産経新聞)などと責め立てた大新聞の「過ち」を批判し、訂正・謝罪せよと迫っている。  私も、4月26日の判決は「小沢の灰色無罪」だと推定しているが、だからといって小沢の巨額蓄財への疑惑が晴れ、政治家としてまったく問題なしとなるとは思わない。  ポスト飯田昌宏編集長の「覚悟」は買うが、今回は選外にした。  そういう意味では朝日の「しずちゃん」の記事も賛否が分かれる記事であろう。  今年のロンドンオリンピックを目指してトレーニングに励む、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと山崎静代(33)は、人気タレントということもあって大きな注目を浴びている。  しかし、2月の全日本女子ボクシング選手権では優勝したものの、3月の女子アジア選手権(モンゴル)では1回戦で格下で17歳年下の韓国人ボクサーにボコボコにされ、レフリーストップで敗退してしまった。  彼女にとってオリンピック出場最後のチャンスは、5月に中国で開かれる世界選手権でベスト8に入ることだが、かなり難しいとの見方が多い。  そこに、数カ月前から「しずちゃんが、頭部の検査で異常が見つかったようだ」とささやかれているというのである。  取材を進めると、日本ボクシングコミッションが指定する病院の医師が、自覚症状はないが頭部のCTスキャンの結果、脳に水がたまったような薄い影が見られたため、別の病院でMRI検査をするように伝えたという話。  結局、MRI検査で脳の影が確認されたため、しずちゃんはプロへの道をあきらめた。その後のMRI検査で影も消えたため、アマチュアでオリンピックを目指すことにしたというのだ。  だが、ボクシングは危険なスポーツである。アマはヘッドギアをつけて試合をするため頭部へのダメージは少ないとはいうものの、安心はできない。  スポーツ医療関係者は、命懸けでやるという選手を止めることはできないが、選手自身が過去にそうしたことがあったと開示するべきで、その都度精密検査を受けて本当に問題がなければ堂々と試合に出たらいいと話す。  だが、しずちゃんはそのことを隠していた。朝日は「これは命にかかわる問題である。しずちゃんが『命懸け』であっても、本誌は知らないふりをすることはできない」と、しずちゃんのトレーナーや彼女の母親、本人に直撃するのである。  母親は元体育教師だったこともあって、ほかのスポーツと違って危険なことは承知しているが、彼女が必死に頑張っているいま、そのことは書かないでくれと話す。  当のしずちゃんは最初落ち着いて答えていたが、次第に語気を強めてこういう。 「ボクシングって、誰がやっても危険じゃないですか。危険を伴うスポーツなので、何が起こるかは誰もわからない。これ、記事になるんですか? (異常は)言いたくないし、そういう目で見られたくない。記事を書かれて、もし世界選手権の出場がダメになったら嫌なんです」  この記事が出ることによって本当に彼女が世界選手権に出られなくなったら。そう考えると朝日編集部も躊躇したのだろう。彼女の夢を奪うことになるかもしれないからだ。  こうしたとき、記事にはせず、彼女にいまいちどMRI検査を受けさせ、もし異常なしとわかればよし、異常が見つかった場合は引退させ、その間の事情をすべて書くという方法もあったとは思う。  私が現場にいたらどうしただろうか。悩ましい問題を抱えた記事だが、みんなで考えてもらいたいということもあって今週の第1位に挙げた。  最後に現代の「わが妻・田中好子の微笑がえし」という記事に違和感を感じたことも書いておこう。  元キャンディーズの田中好子の一周忌を前にして、夫の小達一雄が初めて明かした田中の最後の日々というリードがついている。  こんな言葉がある。 「いま私は、被災地に何回か通っています。ずっと我慢に我慢を重ねてきたご遺族の方々に『田中好子の主人です』と伝えると、多くの方が涙ながらに『あの言葉(田中が死の直前に吹き込んだ被災地を励ます録音テープ=筆者注)に救われました』と私の手をぎゅっと握ってくれました」  「家族を本当に大事にしていて」という言葉もある。だが、田中の死の直後に週刊女性が小達の愛人のことを報じたことを忘れてはいけない。  彼女の葬儀で、死ぬ間際に吹き込んだ田中好子の肉声が流され、気丈にふるまう夫・小達の姿が2,000人を超える参会者の涙を誘った。だが、その小達には10年前ぐらいから続いている愛人(40歳前後)がいて、その彼女との間に小学校高学年くらいの女の子がいるという記事だ。  週刊女性によれば「田中好子さんも勘づいていた」という。だとすれば、悲劇の裏にさらなる悲劇である。  目撃したのは昨年の7月14日、成田空港のハワイ・ホノルル行きのゲート前。「パパ」と駆け寄る女の子に「どれがいい」と小達は優しく声を掛けていた。  2人のことをよく知る関係者は「田中さん、探偵をつけたり、自ら張り込んだりもしたそうです」と話している。  このことを聞かないというのがインタビューの条件だったのだろうか。しかし編集者たる者、これを聞かずしてなんのインタビューぞ。キレイごとだけで終始した不満の残る記事であった。  蛇足。私が仲介をした現代の立川談志師匠の連載「時事放談」が本になった。「立川談志『遺稿』」(講談社刊・1500円)。文は人なり。超人的な記憶力で好きだった旅や昔の芸人たち、映画などについて縦横無尽に書いている。談志ファンならずとも一読の価値ありです。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

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「週刊文春」4月5日号 中吊り広告より
第1位 「母・小川真由美を狂わせた『3人の教祖』」(「週刊文春」4月5日号) 第2位 「沖縄の海兵隊は本当に必要か」(「ニューズウイーク日本版」4月4日号) 第3位 「『原発収束宣言』を撤回すべきだ! 73シーベルトの地獄」(「週刊朝日」4月13日号) ワースト1位 「阿川佐和子のこの人に会いたいスペシャル 野田首相 阿川佐和子がすべてを聞いた」(「週刊文春」4月5日号)  今朝(4月2日)、ジャーナリストの青木理さんから電話があり、私のことが朝日新聞の「天声人語」に載っているという。  新聞に取り上げられるときはいつも悪いことばかりなので、何事かと読んでみた。  「週刊朝日」と「サンデー毎日」が今日そろって卒寿(90歳)を迎えたことから始めて、週刊誌の役割について書いている中で、私の著書の中の言葉を引用している。 「『週刊現代』の名物編集長だった元木昌彦さんが、著書『週刊誌は死なず』(朝日新書=筆者注)で、生き残るための『初心』を記している。『少し品が悪くてやんちゃだが、自分たちが面白いと思ったことには、リスクを考えずに突き進んでいく。権力より反権力。強者より弱者。正義より興味』だと」  「ただ、面白さに目がくらむと誤報や名誉毀損(きそん)の危険も増す」とひと言付け加えながらも「それでも、煙たい週刊誌ジャーナリズムは必要だ」としている。  一昨年から昨年の上半期にかけて「週刊現代」の躍進や、東日本大震災報道、島田紳助騒動などで勢いを盛り返したかに見えた週刊誌だが、昨年後半から今年に入って売り上げが落ち込んでいる。  私が上智大学で「週刊誌がこのままなくなってしまっていいのか」というシンポジウムを開き、週刊誌の編集長たちに来てもらったのが2009年の5月だった。シンポジウムは大きな反響を呼び、それだけでは無論ないが、週刊誌に再び注目が集まるようになった。  それから3年が経つ。今年再び、週刊誌についてのシンポジウムをやろうと考えていたところに、うれしい「天声人語」のエールであった。  さて、今週はワースト1を選んでみた。選考理由はいくつかあるが、一番は、週刊誌は権力側の宣伝機関になってはいけないということである。  リードで「現役総理が雑誌の単独インタビューに応じるのは異例中の異例」と書いているが、確かに一昔前ぐらいまではそうだった。  それは官邸記者クラブが雑誌へ出ることを嫌がり、時の総理が出たいといっても潰してきたからである。だが、よくも悪くも民主党政権になって記者クラブの力は弱まり、彼らの関心も薄れてきたから、総理が「その気になれば」難しくはない。  今回問題なのは、野田佳彦総理が「その気になった」のは、野田の言葉にあるように消費税増税について「いろんな媒体を通じて、政策についてより知っていただく」ためである。  もちろん文春側も阿川もそれは承知の上であろう。阿川も「私なんぞの対談ページに出ていただけるというのは」などと言いながら、一通りの質問はしている。  なぜ今消費税アップなのか。小沢一郎が反対しているが。景気はよくなるのか。谷垣禎一自民党総裁との密会の真偽。原発再稼働には「国民は今、保安院も安全委員会も、全然信用してませんよ。彼らの言ってきたことは、3・11以降、ウソばっかりだったんだもん」と反対を表明している。  原発再稼働するためには「3・11クラスの地震や津波に耐えられると判断すれば、稼働させることはありうる」と言っている。そう判断できなければ再稼働しないという言質を引き出したのはよかったとは思うが、全体に総花的なインタビューである。  野田という男、なかなかの話し上手である。たとえば国民皆年金・皆保険という社会保障は、かつては多くの元気な人たちが一人の年寄りを支える「胴上げの社会」だったが、今は3人で1人を支える「騎馬戦社会」になり、2050年には1人が1人を支える「肩車社会」になってしまう。だから、今の社会保障の形はもたなくなるので「一番公平な」税金である消費税をアップするのだと話す。  何も考えずに聞いていると、そうなのかと肯いてしまいそうである。だが、消費税が一番公平な税だというのは学者の中でも分かれる見解だし、さらに消費税をアップしたとしても、財務省の悪知恵で、本当に社会保障に使われるのはそのうちのわずかではないかという疑問点は追及していない。  阿川には『聞く力 心をひらく35のヒント』(文春新書)というベストセラーがあるから、どじょう首相からどんな本音を引き出してくれるのかと期待して読んだが、「聞く力」は発揮できずじまいであった。  いや、もともと発揮する気はなかったのではないか。それはインタビューの最後の阿川の文章「一筆御礼」でうかがい知れる。 「(中略)目の前の稚拙な質問者にもさぞやカチンと来ていらっしゃるでしょうに、グッと抑えておいでの優しそうなご様子に、つけこんでみましたが勝ち目は薄く、たしかに消費税は上げざるを得ないかと渋々納得させられた感があります。とほほ。(中略)将来に生きていく子どもたちのためには、どうか御身を挺してご決断くださいませ」  野田の思惑を文春が了として、消費税アップ容認派の阿川を起用してやった“できレース”ではないのか。そう思うが故にワースト1である。  3位は週刊朝日おなじみの福島第一原発幹部が語るシリーズである。  東電は3月27日に、福島第一原発2号機の格納容器内で毎時72.9シーベルトの放射線を観測したと発表した。人間は7シーベルトを浴びると100%死亡するといわれるから、この放射線量は5分46秒で人を死に至らせるものすごい値である。  フクイチ幹部はこういっている。 「ある程度、高い放射線量は予想していたが、実際に73と言われると、改めて恐ろしさを感じる。メルトダウンした燃料が圧力容器を突き破り、格納容器まで達していることは、これではっきりした。燃料が溶け落ち、その粒子が容器の中をグルグルと回っているのだろう。助かっているのは、温度が50度前後で収まっていることです」  内視鏡検査で格納容器内の水位がわずか60センチしかなかったことも判明した。  毎時9トンもの汚染水はどこへ消えたのか。 「格納容器の下にある圧力抑制室に行った水は地下に流れ込み、果ては地面にしみ込んでいる。事故後すぐに『遮水壁を設けるべきだ』という話になり、設置する予定だった。しかし、いま現在も実現していない」(フクイチ幹部)  先延ばししているのは予算がないからだという話も聞こえてくるが、カネを惜しんでいる場合ではないと幹部は憤る。  周囲への汚染拡大を食い止める方策も打たない政府・東電は、実現可能性が不透明な廃炉に向けた工程表を発表しているが、高い放射線量のため作業員は近づけないし、これほどの高い線量に耐えられるロボットはないという。  3月上旬に福島第一原発を視察した自民党の佐藤正久参院議員はこう話す。 「余震で倒壊の危険がある4号機への対応が最優先され、廃炉のことなどとても考えられない。見れば見るほど背筋が寒くなる思いでした。原発事故は『収束』ではなく『終息』させるべきだ」  少し大仰なところはあるものの、原発の恐ろしさを訴え続けてきた広瀬隆の連載も終了し、メディアの原発事故についての報道がめっきり少なくなってしまった。  しかし、原発事故はいまだに収束どころか、いつどうなるかわからない状態を脱してはいないのだ。永田町のサル芝居ばかりに目がいく昨今、地道に原発事故の報道は続けていくべきである。  2位は忘れ去られがちな沖縄の米海兵隊について、ニューズウイーク日本版の記事。軍事ジャーナリスト・カーク・スピッツァー (USA Today紙、CBSニュースの元軍事問題担当記者で、91年の湾岸戦争以降、ほぼすべての米軍の軍事作戦に従軍してきた)のレポートである。  彼は、沖縄の海兵隊には言われているような大きな戦闘力も抑止力もないと言う。アメリカ国内の国防専門家の間でも、海兵隊を沖縄に置き続ける必要はないかもしれなという考えが拡がりつつあるとも。  なぜなら、在沖縄の主力戦闘部隊である第31海兵遠征部隊は、装備は充実しているが兵力はわずか2,200人しかいないし、沖縄にある司令部の主な任務は、北朝鮮が韓国を攻撃したり、中国が台湾を攻撃した場合、アメリカから来る増援部隊を指揮することである。  朝鮮戦争やベトナム戦争の時は、米本土から部隊を運ぶ手段が船舶だったために、沖縄の基地は大きな機能を果たしたが、「今日では、中継地点を経ずに長距離輸送機で戦闘地帯に部隊を送り込むのが一般的だ。事前に輸送船を現地に派遣するようになったため、大規模な準備拠点を国外に常設する必要性も小さくなった」のだ。  抑止力効果の面で沖縄に海兵隊を残す必要もなくなりつつある。中国を念頭に置くのであれば、沖縄の海兵隊がいなくなっても海軍の第7艦隊がいるし、北朝鮮に対しては在韓米軍がいる。したがって嘉手納基地の米空軍で十分な抑止力を確保できるとしている。  また海兵隊も、市街地に近く手狭で老朽化している普天間飛行場の移設の必要性を主張しているが、コスト削減を理由に米議会が辺野古移設にノーを突き付ける可能性が高いという。  駐留のコストは増大し、米本土で軍事的な意義に疑問を投げかける声が強まってきている。筆者は「海兵隊がついに荷物をまとめて、沖縄から去る日が近づいているのかもしれない」と結ぶ。  このほかに、日本のこのところの防衛大臣のお粗末さや軍事環境の変化を無視している姿勢を批判した「日本の『勘違い』防衛論議」。アメリカは中国の軍事拡大に対抗する構想を打ち出したとする「米中がにらみ合う『エア・シー・バトル』」など、アメリカのアジア戦略の変化を教えてくれる。  やや保守的な米週刊誌だが、今こそ読んでおくべき記事だと思う。  今週のグランプリは文春の記事。女優・小川真由美(72)の娘・小川雅代(42)が明かした母・小川の素顔は読みごたえがある。  雅代は小川と俳優・細川俊之の長女として生まれるが、2歳の時に細川が別居し、その2年後に2人は離婚してしまう。  その後、小川は50代のタロット占い師にのめり込み、「緑と紫」は縁起が悪いとすべて禁止し、絵本でもその2色が入っている部分はマジックで塗り潰し、クレヨンや絵の具も最初から2つの色は捨てられ、学校の先生にまで「その色は使わせないで」と指示していた。  やがて小川は俳優の橋爪功と同棲を始めるが、やがて愛がさめて橋爪が家に帰ってこなくなると小川も家に戻らなくなる。  雅代は1週間も放置され、缶詰などの非常食も尽きて意識が朦朧として寝ていることが多くなったそうだが、たまに部屋をのぞいた小川は、「私がハンガーストライキをしていると思ったようです」(雅代)と、何もしなかったらしい。  そんなこともあり、娘の心から母・小川は次第に消えてしまっていったようだ。  その後、女優業にかげりの出てきた小川は、男性占い師に傾倒していく。さらに小川は尼僧になり、3代目の教祖と出会うのだ。それは京都在住の50代の小柄な女性で、彼女に言われて世田谷から吉祥寺に引っ越し、教祖が好きだったディズニーのぬいぐるみで部屋をあふれさせ、お遍路を始める。  小川はこの教祖からペットビジネスをもちかけられるが失敗し、小川から散々カネを引っ張った教祖はそのまま行方をくらましてしまう。  娘・雅代はもう5年も母・小川とは会っていないという。小川のほうも、昨年12月に『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に出て「私、身内がいないんです」と話していたというから、小川の中にも娘という存在は消してしまいたい過去なのかもしれない。不幸なことだ。  小川は『復讐するは我にあり』『配達されない三通の手紙』(ともに1979)で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞し、『食卓のない家』(85)では精神を病んだ母親を演じた際、本物の金魚をかじって話題になった。  妖艶でどこかに狂気を漂わせる女優で、私は好きだった。その小川が実生活でも占い師などにハマり、娘に「小川と細川の血は、自分の代で絶やすべきだ」と言わせるような生き方をしてきたのかと思うと、なんだかやるせない。  オセロ中島と女占い師のことが話題になっているが、このようなケースのように、もっと深刻なマインドコントロール問題が芸能界にはたくさんありそうである。  蛇足。今回入選は果たせなかったが、文春の専売特許になった感のあるAKB48スキャンダル「AKB48板野友美 EXILEのTAKAHIROと『同じマンション』熱愛証言」も面白かったことを付け加えておく。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「週刊文春」4月5日号 中吊り広告より
第1位 「母・小川真由美を狂わせた『3人の教祖』」(「週刊文春」4月5日号) 第2位 「沖縄の海兵隊は本当に必要か」(「ニューズウイーク日本版」4月4日号) 第3位 「『原発収束宣言』を撤回すべきだ! 73シーベルトの地獄」(「週刊朝日」4月13日号) ワースト1位 「阿川佐和子のこの人に会いたいスペシャル 野田首相 阿川佐和子がすべてを聞いた」(「週刊文春」4月5日号)  今朝(4月2日)、ジャーナリストの青木理さんから電話があり、私のことが朝日新聞の「天声人語」に載っているという。  新聞に取り上げられるときはいつも悪いことばかりなので、何事かと読んでみた。  「週刊朝日」と「サンデー毎日」が今日そろって卒寿(90歳)を迎えたことから始めて、週刊誌の役割について書いている中で、私の著書の中の言葉を引用している。 「『週刊現代』の名物編集長だった元木昌彦さんが、著書『週刊誌は死なず』(朝日新書=筆者注)で、生き残るための『初心』を記している。『少し品が悪くてやんちゃだが、自分たちが面白いと思ったことには、リスクを考えずに突き進んでいく。権力より反権力。強者より弱者。正義より興味』だと」  「ただ、面白さに目がくらむと誤報や名誉毀損(きそん)の危険も増す」とひと言付け加えながらも「それでも、煙たい週刊誌ジャーナリズムは必要だ」としている。  一昨年から昨年の上半期にかけて「週刊現代」の躍進や、東日本大震災報道、島田紳助騒動などで勢いを盛り返したかに見えた週刊誌だが、昨年後半から今年に入って売り上げが落ち込んでいる。  私が上智大学で「週刊誌がこのままなくなってしまっていいのか」というシンポジウムを開き、週刊誌の編集長たちに来てもらったのが2009年の5月だった。シンポジウムは大きな反響を呼び、それだけでは無論ないが、週刊誌に再び注目が集まるようになった。  それから3年が経つ。今年再び、週刊誌についてのシンポジウムをやろうと考えていたところに、うれしい「天声人語」のエールであった。  さて、今週はワースト1を選んでみた。選考理由はいくつかあるが、一番は、週刊誌は権力側の宣伝機関になってはいけないということである。  リードで「現役総理が雑誌の単独インタビューに応じるのは異例中の異例」と書いているが、確かに一昔前ぐらいまではそうだった。  それは官邸記者クラブが雑誌へ出ることを嫌がり、時の総理が出たいといっても潰してきたからである。だが、よくも悪くも民主党政権になって記者クラブの力は弱まり、彼らの関心も薄れてきたから、総理が「その気になれば」難しくはない。  今回問題なのは、野田佳彦総理が「その気になった」のは、野田の言葉にあるように消費税増税について「いろんな媒体を通じて、政策についてより知っていただく」ためである。  もちろん文春側も阿川もそれは承知の上であろう。阿川も「私なんぞの対談ページに出ていただけるというのは」などと言いながら、一通りの質問はしている。  なぜ今消費税アップなのか。小沢一郎が反対しているが。景気はよくなるのか。谷垣禎一自民党総裁との密会の真偽。原発再稼働には「国民は今、保安院も安全委員会も、全然信用してませんよ。彼らの言ってきたことは、3・11以降、ウソばっかりだったんだもん」と反対を表明している。  原発再稼働するためには「3・11クラスの地震や津波に耐えられると判断すれば、稼働させることはありうる」と言っている。そう判断できなければ再稼働しないという言質を引き出したのはよかったとは思うが、全体に総花的なインタビューである。  野田という男、なかなかの話し上手である。たとえば国民皆年金・皆保険という社会保障は、かつては多くの元気な人たちが一人の年寄りを支える「胴上げの社会」だったが、今は3人で1人を支える「騎馬戦社会」になり、2050年には1人が1人を支える「肩車社会」になってしまう。だから、今の社会保障の形はもたなくなるので「一番公平な」税金である消費税をアップするのだと話す。  何も考えずに聞いていると、そうなのかと肯いてしまいそうである。だが、消費税が一番公平な税だというのは学者の中でも分かれる見解だし、さらに消費税をアップしたとしても、財務省の悪知恵で、本当に社会保障に使われるのはそのうちのわずかではないかという疑問点は追及していない。  阿川には『聞く力 心をひらく35のヒント』(文春新書)というベストセラーがあるから、どじょう首相からどんな本音を引き出してくれるのかと期待して読んだが、「聞く力」は発揮できずじまいであった。  いや、もともと発揮する気はなかったのではないか。それはインタビューの最後の阿川の文章「一筆御礼」でうかがい知れる。 「(中略)目の前の稚拙な質問者にもさぞやカチンと来ていらっしゃるでしょうに、グッと抑えておいでの優しそうなご様子に、つけこんでみましたが勝ち目は薄く、たしかに消費税は上げざるを得ないかと渋々納得させられた感があります。とほほ。(中略)将来に生きていく子どもたちのためには、どうか御身を挺してご決断くださいませ」  野田の思惑を文春が了として、消費税アップ容認派の阿川を起用してやった“できレース”ではないのか。そう思うが故にワースト1である。  3位は週刊朝日おなじみの福島第一原発幹部が語るシリーズである。  東電は3月27日に、福島第一原発2号機の格納容器内で毎時72.9シーベルトの放射線を観測したと発表した。人間は7シーベルトを浴びると100%死亡するといわれるから、この放射線量は5分46秒で人を死に至らせるものすごい値である。  フクイチ幹部はこういっている。 「ある程度、高い放射線量は予想していたが、実際に73と言われると、改めて恐ろしさを感じる。メルトダウンした燃料が圧力容器を突き破り、格納容器まで達していることは、これではっきりした。燃料が溶け落ち、その粒子が容器の中をグルグルと回っているのだろう。助かっているのは、温度が50度前後で収まっていることです」  内視鏡検査で格納容器内の水位がわずか60センチしかなかったことも判明した。  毎時9トンもの汚染水はどこへ消えたのか。 「格納容器の下にある圧力抑制室に行った水は地下に流れ込み、果ては地面にしみ込んでいる。事故後すぐに『遮水壁を設けるべきだ』という話になり、設置する予定だった。しかし、いま現在も実現していない」(フクイチ幹部)  先延ばししているのは予算がないからだという話も聞こえてくるが、カネを惜しんでいる場合ではないと幹部は憤る。  周囲への汚染拡大を食い止める方策も打たない政府・東電は、実現可能性が不透明な廃炉に向けた工程表を発表しているが、高い放射線量のため作業員は近づけないし、これほどの高い線量に耐えられるロボットはないという。  3月上旬に福島第一原発を視察した自民党の佐藤正久参院議員はこう話す。 「余震で倒壊の危険がある4号機への対応が最優先され、廃炉のことなどとても考えられない。見れば見るほど背筋が寒くなる思いでした。原発事故は『収束』ではなく『終息』させるべきだ」  少し大仰なところはあるものの、原発の恐ろしさを訴え続けてきた広瀬隆の連載も終了し、メディアの原発事故についての報道がめっきり少なくなってしまった。  しかし、原発事故はいまだに収束どころか、いつどうなるかわからない状態を脱してはいないのだ。永田町のサル芝居ばかりに目がいく昨今、地道に原発事故の報道は続けていくべきである。  2位は忘れ去られがちな沖縄の米海兵隊について、ニューズウイーク日本版の記事。軍事ジャーナリスト・カーク・スピッツァー (USA Today紙、CBSニュースの元軍事問題担当記者で、91年の湾岸戦争以降、ほぼすべての米軍の軍事作戦に従軍してきた)のレポートである。  彼は、沖縄の海兵隊には言われているような大きな戦闘力も抑止力もないと言う。アメリカ国内の国防専門家の間でも、海兵隊を沖縄に置き続ける必要はないかもしれなという考えが拡がりつつあるとも。  なぜなら、在沖縄の主力戦闘部隊である第31海兵遠征部隊は、装備は充実しているが兵力はわずか2,200人しかいないし、沖縄にある司令部の主な任務は、北朝鮮が韓国を攻撃したり、中国が台湾を攻撃した場合、アメリカから来る増援部隊を指揮することである。  朝鮮戦争やベトナム戦争の時は、米本土から部隊を運ぶ手段が船舶だったために、沖縄の基地は大きな機能を果たしたが、「今日では、中継地点を経ずに長距離輸送機で戦闘地帯に部隊を送り込むのが一般的だ。事前に輸送船を現地に派遣するようになったため、大規模な準備拠点を国外に常設する必要性も小さくなった」のだ。  抑止力効果の面で沖縄に海兵隊を残す必要もなくなりつつある。中国を念頭に置くのであれば、沖縄の海兵隊がいなくなっても海軍の第7艦隊がいるし、北朝鮮に対しては在韓米軍がいる。したがって嘉手納基地の米空軍で十分な抑止力を確保できるとしている。  また海兵隊も、市街地に近く手狭で老朽化している普天間飛行場の移設の必要性を主張しているが、コスト削減を理由に米議会が辺野古移設にノーを突き付ける可能性が高いという。  駐留のコストは増大し、米本土で軍事的な意義に疑問を投げかける声が強まってきている。筆者は「海兵隊がついに荷物をまとめて、沖縄から去る日が近づいているのかもしれない」と結ぶ。  このほかに、日本のこのところの防衛大臣のお粗末さや軍事環境の変化を無視している姿勢を批判した「日本の『勘違い』防衛論議」。アメリカは中国の軍事拡大に対抗する構想を打ち出したとする「米中がにらみ合う『エア・シー・バトル』」など、アメリカのアジア戦略の変化を教えてくれる。  やや保守的な米週刊誌だが、今こそ読んでおくべき記事だと思う。  今週のグランプリは文春の記事。女優・小川真由美(72)の娘・小川雅代(42)が明かした母・小川の素顔は読みごたえがある。  雅代は小川と俳優・細川俊之の長女として生まれるが、2歳の時に細川が別居し、その2年後に2人は離婚してしまう。  その後、小川は50代のタロット占い師にのめり込み、「緑と紫」は縁起が悪いとすべて禁止し、絵本でもその2色が入っている部分はマジックで塗り潰し、クレヨンや絵の具も最初から2つの色は捨てられ、学校の先生にまで「その色は使わせないで」と指示していた。  やがて小川は俳優の橋爪功と同棲を始めるが、やがて愛がさめて橋爪が家に帰ってこなくなると小川も家に戻らなくなる。  雅代は1週間も放置され、缶詰などの非常食も尽きて意識が朦朧として寝ていることが多くなったそうだが、たまに部屋をのぞいた小川は、「私がハンガーストライキをしていると思ったようです」(雅代)と、何もしなかったらしい。  そんなこともあり、娘の心から母・小川は次第に消えてしまっていったようだ。  その後、女優業にかげりの出てきた小川は、男性占い師に傾倒していく。さらに小川は尼僧になり、3代目の教祖と出会うのだ。それは京都在住の50代の小柄な女性で、彼女に言われて世田谷から吉祥寺に引っ越し、教祖が好きだったディズニーのぬいぐるみで部屋をあふれさせ、お遍路を始める。  小川はこの教祖からペットビジネスをもちかけられるが失敗し、小川から散々カネを引っ張った教祖はそのまま行方をくらましてしまう。  娘・雅代はもう5年も母・小川とは会っていないという。小川のほうも、昨年12月に『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に出て「私、身内がいないんです」と話していたというから、小川の中にも娘という存在は消してしまいたい過去なのかもしれない。不幸なことだ。  小川は『復讐するは我にあり』『配達されない三通の手紙』(ともに1979)で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞し、『食卓のない家』(85)では精神を病んだ母親を演じた際、本物の金魚をかじって話題になった。  妖艶でどこかに狂気を漂わせる女優で、私は好きだった。その小川が実生活でも占い師などにハマり、娘に「小川と細川の血は、自分の代で絶やすべきだ」と言わせるような生き方をしてきたのかと思うと、なんだかやるせない。  オセロ中島と女占い師のことが話題になっているが、このようなケースのように、もっと深刻なマインドコントロール問題が芸能界にはたくさんありそうである。  蛇足。今回入選は果たせなかったが、文春の専売特許になった感のあるAKB48スキャンダル「AKB48板野友美 EXILEのTAKAHIROと『同じマンション』熱愛証言」も面白かったことを付け加えておく。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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“怒れる週刊誌”フライデーが噛みつく、関電の厚顔役員たちの懐事情

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「週刊文春」3月29日号 中吊り広告より
第1位 「小沢一郎『完全別居』次男と暮らす和子夫人を直撃!」(「週刊文春」3月29日号) 第2位 「芸能界とヤクザ 溝口敦」(「フライデー」4月6日号) 第3位 「年間報酬一人あたり4600万円! 関西電力の厚顔役員たち」(同) 次点 「小向美奈子の淫らなニオイがする袋とじ」(「週刊アサヒ芸能」3月29日号)  今朝(3月16日)早起きして米男子ゴルフ「アーノルド・パーマー招待」を見て、タイガー・ウッズ2年半ぶりの優勝に拍手した。2位との差があったのでガッツポーズは見られなかったが、最後のパットを打つ前、ラインを読むためにグリーンに屈んだとき、やや潤んだ目を隠すように帽子の庇を前に引っ張った仕草に、やっとここまで来られたという感慨が込められていたと見た。  2週間後には「マスターズ」が始まる。復活したタイガーのプレイに世界のゴルフファンの注目が集まるだろう。  日曜日の「高松宮記念」では5歳牝馬のカレンチャンが見事な走りを見せてくれた。馬も素晴らしいが鞍上の池添がいい。早めに2番手にとりつき、4コーナーを回って坂上から早めのスパートをして粘り込む好騎乗。先週は途中で走ることを止めてしまった4冠馬オルフェーヴルに騎乗し、もう一度立て直して猛然と追い込んだ。惜しくも2着だったが、オルフェーヴルの強さを見せてくれたレースだった。  騎手では、池添、岩田、福永、それに内田、横山典が抜きん出ている。残念ながら武豊の時代は終わったといってもいいだろう。  こうした感動とはほど遠かったのが、やはり日曜日に行われたメジャーリーグと阪神、巨人との対戦だった。  イチロー、川崎がそれぞれ打ったもののマリナーズは1対5で阪神に完敗。アスレチックスは巨人に5対0で勝ったものの、先発の宮国の落ちる球に三振の山。巨人にいたっては半分眠っているのではないかと思うほどの無気力野球。  高橋由伸に6億5,000万円、阿部慎之助に10億円も“裏契約金”を払った巨人は、選手の能力を見極める力がなかったとしか思えない。  もはやプロ野球は、WBCかクライマックス・シリーズを見るだけのスポーツになってしまった。  前置きはこれぐらいにして本論へ入ろう。このところ毎週書いていることだが、各誌の大特集に見るべきものがない。大スクープはハナから期待していない。「ヘー」と思わせてくれる記事が何本かあればいいのだが、それを探すのもなかなか難しい。  そんな中から探し出したのは、アサヒ芸能の袋とじ。小向美奈子のエロ姿態はさほどそそられないが、「特別加工 開けたら香る!」ニオイ付きだというので早速ハサミでジョキジョキ。  だが、かすかにニオイはするのだが、淫らではなくソープランドで嗅ぐようなソープのニオイのようだ。  実はこのアイデア、だいぶ前にアサ芸の前編集長に私から伝えていたのだ。ヘア・ヌードグラビアもマンネリ化で、よほどの大物でない限り売り物にはならない。  最後の秘策として私は、ニオイ付き袋とじがいけるのではないかと考えていたのだ。今の印刷技術は進んでいるから、グラビアに出てくる女性のつけている香水や体臭(難しいか?)が、袋とじを開けるとにおうというのは、ネットではできないから、話題になるのではないか。  残念ながら、今回のは「淫らなニオイ」という工夫をしすぎたために、よくわからないニオイになってしまったが、再度チャレンジしてほしいものだ。したがって今回は努力賞ということで次点にした。  今週一番充実しているのはフライデーである。  2位、3位にあげたものだけではなく、「片瀬那奈『クールビューティ女優の同棲写真』」は幸せそうな2人がよく写っているし、私もよく行っていた赤坂の料亭「佳境亭」の最後の日を撮った特集も読みごたえがある。  「佳境亭」の女将・山上磨智子(85)は三木武夫元首相の彼女で、そうした縁から、多くの政治家や官僚たちが集い、何人もの首相がここで「謀議」され誕生した。竹下登が消費税導入を決断したのもここだった。  かつて赤坂の料亭は「政界の奥座敷」といわれ、連日黒塗りのクルマが列をなしたものだった。そうした歴史を刻んできた料亭が、幾分かの寂しさを伴ってまた一つ消えていった。  最近のフライデーのいいところは「怒り」が表に出ているところである。3位の特集も、関西電力の役員たちの報酬が高すぎると怒り、八木誠社長、香川次朗副社長、豊松秀己副社長を直撃し、写真を掲載している。  大飯原子力発電所の3、4号機の再稼働問題で注目されている関西電力には森詳介会長、八木誠社長以下、4人の副社長、8人の常務取締役と5人の取締役がいて、彼らの年間報酬合計額は8億7,800万円、一人当たり平均4,600万円超だというのだ。ただし個別の金額について情報開示はしていない。  元経産官僚の古賀茂明は、電力会社の経営は「総括原価方式」というやりかたで電力料金を算出していいと法律で決められているし、かかったコストのすべてを電気料金に組み込むことができるから、経営は難しくないと話す。  東京電力は過去10年間で、実際にかかった費用よりも約6,000億円も多いコストの見積もりを出し、それをもとに電気料金を算出していたことが明らかになったが、関電も同様で、何に使ったのか公開しないのはおかしいとも話している。  電力料金は税金と同じで、消費者は電力会社の言いなりに払うしかない。それに日本はアメリカやヨーロッパなどに比べると電力料金は圧倒的に高いのだ。  フライデーは、当然ながらストレステストの一時評価だけで大飯原発が再稼働されてはならないといっている。他の週刊誌にもフライデーのような激しい怒りの滲み出た誌面をつくってほしいものである。  怒りを忘れた週刊誌はクリープを入れないコーヒーみたいなものである(古いね~)。  島田紳助の引退で注目を集めている暴力団と芸能界の癒着構造だが、フライデーはベストセラー『暴力団』(新潮社新書)の著者で、その世界に詳しい溝口敦を起用して「芸能界とヤクザ」の短期集中連載を始めた。  第1回は高齢者ネタで人気沸騰した漫談家・綾小路きみまろ(61)を取り上げている。きみまろではやや弱いのではないかと思って読み始めたが、これがなかなか面白いのだ。  関東の広域暴力団「稲川会」の組長Aが溝口にこう言っている。 「きみまろは稲川会が育てたというのが、わしらの共通認識です。親分(稲川会会長を指す)や親分の姐さんの誕生日会などに、きみまろを呼んでは小遣い(出演料)を渡していた」  ところが5年くらい前からきみまろの携帯に電話しても返事が来なくなったという。そこで呼び出すと、きみまろは「偉くなりたいんです。スターになりたいんです」。偉くなるためには暴力団とつながっていてはダメだ。そういう意味のことを言ったそうだ。 「確かに今の時代はそういう流れになっている。わしはきみまろの率直さに免じて無罪放免してやった。わしらが離れることで芸人を育てる、そういう応援の仕方もあるんじゃないかと思ったのだ」(組長A)  なかなか心の広い組長である。  しかし、きみまろはそうした過去に触れられるのが嫌なようだ。だが、ネットの動画サイトに、98年9月に山口組系後藤組・後藤忠政組長(当時)の新築祝い兼誕生会の司会をやるきみまろの姿が映っている。  それ以外にも02年6月8日、稲川会理事長補佐で中村興業・中村銅市会長の誕生パーティの司会をやったビデオテープも残されている。  そこにはきみまろ以外に、敏いとうとハッピー&ブルー、志賀勝、松原のぶえ、角川博、松山千春、前田亘輝なども出演している。  きみまろ側はフライデーの取材に対して、稲川会系組長へ「スターになりたいんです」と言ったことはないと否定しているが、溝口は「きみまろが稲川会系組長に『スターになりたいんです。だからこの際、交わりを絶って』と頭を下げた事実の、どこが悪いのか。(中略)少し遅れてきみまろは夫人さえ組長に紹介して、頭を下げさせたことを、私は取材で確認している」とし、「こんな回答をするようでは、国民的人気者の芸も底が割れた。過去の行状ではなく、今現在こそ、きみまろの汚点である」と厳しく結んでいる。  私の感想を言わせてもらえば、漫才芸人にそこまでの覚悟を求めるほうが無理だと思うが、この連載、これからどこへ向かうのか、中田カウスやビートたけしは取り上げるのか、注視していきたい。  ただ、この特集をはじめとして最近のフライデーは活字が多すぎる。すべて一枚写真でやってほしいとは言わないが、写真の質の向上と文字数をもっと減らしてもらいたいと苦言を呈しておく。  今週のグランプリは、週刊文春の小沢一郎もの。今回は永田町政局や金脈ではなく、小沢家の崩壊についてのレポートである。  ジャーナリスト・松田賢弥と本誌取材班が、小沢夫人の和子と次男がスーパーで買い物をして、帰ってくるところを写真に撮り(グラビアに掲載)、インタビューを試みている(返事はないが)。  2人は小沢の住んでいる家ではなく、そこから徒歩3分ほどのところにある和子名義の「秘書寮」でひっそりと暮らしているというのだ。  小沢には3人の息子がいる。長男は早稲田大学理工学部から海上自衛隊幹部候補生学校に入る。卒業後、海上自衛官になるが01年に辞めて、ロンドンに留学したとされるが、その後の所在はわからない。  次男も大学を出てからは、何をしているのか判然としないし、三男は、小沢が「派遣社員だ」と語っているようだが、周辺に聞いてもよくわからないという。  かつて妻・和子は、小沢の代理として地元(岩手県水沢=現奥州市)へ入り、後援会をまとめていたが、ここ10年ぐらいぷっつり姿を見せていない。そのために後援会も分裂しそうだという。  小沢には長年付き合っている愛人がいる。結婚しようとしたが田中角栄の反対でできなかった元料亭「満ん願ん」の女将がそれである。小沢の支持者らが開いている勉強会で、熱心にメモをとりながら出席者の発言に耳を傾けている彼女の姿が目撃されている。 「昨年、小沢はある席で知人にこう漏らしたという。『別れることにした』完全に夫婦関係を解消するということなのか――」(文春)  小沢は今、要塞のような豪邸でたった一人で暮らしている。唸るほどのカネがあり、カネの力で多くの子分もできたが、足元の家族が崩壊しては、それに何の意味があるのだろうと文春は問うている。  「寂しき陸山会の裸の王様」というタイトルの本が書けそうである。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「週刊文春」3月22日号 中吊り広告より
第1位 「キムタク『スピード違反』で捕まっていた!」(「週刊文春」3月22日号) 第2位 「小泉進次郎議員 赤坂議員宿舎で美女と過ごした『ワケありの夜』」(「週刊ポスト」3月30日号) 第3位 「『アーンして』むかしラブラブいま介護-『シルバー川柳』傑作選」(同)  週刊誌が一時の勢いを失いつつあるようだ。「週刊現代」は一昨年、昨年上半期と順調に部数を上積みしてきたが、東日本大震災、島田紳助電撃引退騒動以降低迷して、今年に入ってもその傾向は止まらないようである。  刷り部数は60万部近くあるが、実売率はときどき50%台が出るそうだし、70%台がやっとだという。  そうしたこともあってか、発行元である講談社は社員の給料2割カットを組合側に提示したそうである。大手出版社がこのていたらくでは、出版不況はまだまだ出口が見えないようだ。  今週も大特集に見るべきものがなかったが、軽いものにキラリと光るものがあった。  第3位はポストの川柳を扱った記事だが、近頃は大変な川柳ブームだそうだ。サラリーマン川柳などは毎年恒例になったし、今回の全国有料老人ホーム協会が主催した「シルバー川柳」も秀逸なものが多くある。 「アーンして」 むかしラブラブ いま介護 誕生日 ローソク吹いて 立ちくらみ 居れば邪魔 出かけりゃ事故かと 気をもませ デザートは 昔ケーキで 今くすり 万歩計 半分以上が 探しもの  カード増え 暗証番号 裏に書き つまずいた ふと見た床に 段差なし 中身より 字の大きさで 選ぶ本 離れ住む 子らに病む日も 無事と書き 以下は老夫婦について詠んだ川柳。 あの世では お友達よと 妻が言い 厚化粧 笑う亭主は 薄毛症 共白髪 まっぴらごめんと 妻茶髪 妻が書く 老後の計画 俺イナイ 身内より 心が通う 介護の手 老後の寂しさを詠んだ川柳。 さびしくて 振り込め犯と 長電話 飲め飲めと 差し出されるのは 薬だけ 転んでは 泣いていた子が言う 「転ぶなよ」 私には次の川柳が身に沁みた。 飲み代が 酒から薬に かわる年  第2位は、いまや橋下徹人気に敵うのはこやつしかいないといわれる小泉進次郎に降りかかった女難スキャンダルである。  1月の某日深夜、佐々木希似の女性が赤坂議員宿舎の門をくぐり、小泉の部屋へ入って、人目をはばかるようにして宿舎を後にしたのは早朝4時だったというのだ。  ポストよくやったとほめてつかわしたいところだが、この記事、どこか奥歯に物が挟まった感じなのである。  この女性は地元のレジャー産業で働くS子、28歳。そこは結婚式などのイベントも開かれる場所だというから、貸しホールのようなところなのだろうか。お客からも従業員にも好かれる優秀な娘だそうだ。  いつ頃かわからないが、小泉が来たときに彼女が、自分のメールアドレスが載っている名刺を渡し、後日、小泉から丁寧なメールが届くようになったという。  1月中旬の夜、友人との会食が終わったS子は、小泉からのメールを待っていた。そこへ小泉から「今日、これから赤坂宿舎に来ない?」というメールが届き、「S子さんが小泉議員にいわれたままの住所をタクシー運転手につげ、議員宿舎の門をくぐったのは深夜11時だったという」  彼女が宿舎を出たのは早朝4時。ここまでは関係者への取材を元にその夜を再現したものだとことわっている。  しかし、このことが彼女の交際相手にわかり、大ゲンカになってしまったそうだ。  当のS子へもインタビューしている。宿舎へ行ったことは認めているが、部屋では「仕事の話とか、お話しさせていただきました」と語り、小泉から求められたのではという記者の不躾な質問には、「ないです。ノーコメントです」と答え、最後に「今は一切、小泉議員とは連絡を取っていません」と言っている。  宿舎に女性を招くこと自体は内規に触れるわけではない。だが、一昨年の3月、中井洽国家公安委員長(当時)が交際中の女性を招き入れたとき、小泉はこう批判した。 「もしも官舎に入れた部外者の方が外国の諜報機関とつながっていたらどうするんですか」  ポストは、永田町の将来を担う存在なのだから、深夜、女性と二人きりの「政治談義」はほどほどにと苦言を呈している。  これを読んで気になったのは、この情報をもたらしたのは誰なのかということである。小泉とのメールのやりとりや、彼女が議員宿舎へ行ったことは、ポスト編集部が独自に調べたことではない。  こういう場合、男に連れなくされた女が編集部にタレ込むケースはよくあることだが、彼女の言葉を読む限りそうではなさそうだし、このことで彼女に何か有利になることがあるとも思われない。  考えられるのは、彼女の交際相手がなんらかの意図をもって編集部に持ち込んだのではないかという線だが、その意図とはなんだったのだろうか。いまひとつスッキリしないが、ともあれ1月の深夜、議員宿舎で小泉進次郎が女性と5時間近くニ人きりでいたことは間違いないようである。  父親の純一郎は、猥談を好むかなりの女性好きであったようだが、子どもにもそのDNAが受け継がれているとすると、進次郎、思わぬスキャンダルで人気失墜ということもあるかもしれない。  今週のグランプリは文春の「キムタク捕まる」という記事。  捕まったというのはやや大げさだが、昨年9月29日に「千葉県内の千葉東金道路で四十キロ未満のスピード違反により県警高速道路交通警察隊の取り締まりを受けた」という。同乗していたのは愛人ではなく妻の工藤静香(残念!)で、九十九里浜でサーフィンをやるためのドライブ途中だった。  ちなみにキムタクのクルマはシボレーアストロ。米国製のミニバンタイプで、後部のドアからサーフボードを収容できる。すでに2005年で生産は終わっているが人気は高いという。  間の悪いことに、あのトヨタが国内需要の掘り起こしのために制作費数億円をかけたCMにキムタクが起用され、その大キャンペーンの始まる2週間前のことだったというのだ。  トヨタも頭を抱えたのではないか。 「CMでは安全運転に徹するキムタクだが、じつは当人がキャンペーン開始の約二週間前に交通違反をしておきながら、『運転する楽しさ』などと言っていたら、視聴者はどう思うだろう」(文春)  しかし、この「事件」は報道されることもなく、3本のCMは無事放送されるのだ。  そこには大トヨタから報道機関への圧力はなかったのだろうか。  トヨタ自動車広報部は今回の取材に対して、違反があった事実はすぐ後、代理店を通じて連絡があり、「代理店を通して今後の交通ルールの遵守を強くお願いしておきました」と答えている。  ジャニーズ事務所は文春が取材に動いた時点で、違反があったことを認めて謝罪している。  キムタクはTBS開局60周年記念ドラマ『南極大陸』が惨敗し、今度コケれば後はないといわれているそうだ。文春はこう結んでいる。 「人気回復を焦ってアクセルを吹かしすぎたのか」  この締めのうまさも含めて今週のグランプリである。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
小泉進次郎の話す力 お話は得意です。 amazon_associate_logo.jpg
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やっぱり同じ穴のムジナ? 江原啓之の霊媒師批判に違和感

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「週刊現代」3月24日号 中吊り広告より
第1位 「山口組ほか連日の『極道サミット』そこで話し合われていること」(「週刊現代」3月24日号) 第2位 「広告と違い過ぎ!マック新作『ショボさ』に大批判」(「フライデー」3月23日号) 第3位 「江原啓之『中島知子さんにアドバイスしたこと』」(「週刊現代」同)  先週金曜日(3月9日)にビジネス情報誌「エルネオス」(http://www.elneos.co.jp/)でノンフィクション・ライター松田賢弥と対談した。小沢一郎が自民党の最年少幹事長になったときからだから、20余年もの間小沢のスキャンダルを追い続けてきた、ギネスブックもののライターである。  その日に行われた論告求刑公判で検察官役の指定弁護士側から「禁固3年」を求刑されたが、それをどう思うかと聞いてみた。彼は、今回の裁判で仮に無罪になったとしても、権力をカネに変えてきた小沢流の汚い政治手法が消え去るわけではないから、これからも引き続き追及していくと語った。  野中広務元自民党官房長官の言うように「あいつは税金を使って資産形成してきた政治家」であることを忘れてはいけない。親小沢の一部週刊誌が「それでも小沢は有罪判決」と、検察のトップや反小沢の政治家たちが小沢を有罪にしようと蠢いていると批判している。  たしかに甘い見通しで収賄事件に持ち込めると読んでいた東京地検特捜部のずさんな捜査は批判されてしかるべきではあるが、数十億ともそれ以上ともいわれる彼の不透明な蓄財の実態を明らかにするのは、メディアに課せられた責務であるはずだ。  土日(3月10日、11日)で長野県の栄村へ取材に行ってきた。この村は人口2,000人強で、その半分近くが高齢者である。名高い豪雪地帯で森宮野原駅には昭和45年に降った降雪量785センチを記念する柱が立っている。  この村が昨年3月12日の早朝3時59分に震度6強の地震に襲われたのだ。一部の地域では震度7を記録して家が壊れ、橋が崩落するなど甚大な被害を被った。しかし、それほどの大地震にもかかわらず死者はゼロだった。一人暮らしをしている78歳の女性はこう語ってくれた。 「その夜は東北の津波の被害をテレビで見ていて、大変なことが起きたんだと遅くまで起きていました。2時すぎに床に入りウトウトすると突然ドカーンというものすごい揺れが来て、家中のものが飛んだり倒れたりしました。ようやく地震が収まって寝室から出ようと思ったらドアが開かないの。そこらに散らばっている棒のようなもので叩いてもダメで、困ったなと思って、ふと気がついたら首に緊急通報のペンダントを掛けていることに気がつき、そのボタンを押したの。そうしたら外に向けて『私を助けてください』という声が鳴り出し、それがどんどん大きくなって、近所にいる人たちが『大丈夫か』と言いながら助け出してくれたのよ。あれがなかったらどうなっていたか」  そう言って涙ぐんだ。この緊急通報システムは「じしんたすけ」という名称で、栄村に住む一人暮らしの高齢者70人に村から貸し出されているのだ。一人暮らしの高齢者の命をどう守っていくのかは福祉政策の最重要課題の一つである。その典型的なモデルが栄村にあるので取材に行ってきたのだが、詳しいことはあらためて報告することにしたい。  さて、このところ売り物であるはずの巻頭特集に見るべきものがない。そこで今回は、小粒ながら面白く読んだ3本を選んでみた。  オセロ中島騒動はようやく収束へ向けて動き出し、女霊能者の「洗脳」から中島が抜け出せるのかに焦点が移ってきたようである。  私はスピリチュアリストなる者をまったく信じないが、「現代」の江原の言い分は、そういう類の人間が今回の事件をどう見ているかがわかって面白く読んだ。  江原のもとに、中島の友人がアドバイスを求めてきたのは昨年夏頃だったという。  江原はおおよそこのようにアドバイスしたという。中島は京都のお嬢さん育ちで、何不自由なく育ってきたのに、ふとしたきっかけで、親の言うとおりに生きてきたせいでこうなったと、不満を親の責任に転化してしまう。よくあるケースだが、連れ出すのは身内にしかできない。  ここから江原の口撃は「マインドコントロールは怖い」と連呼するワイドショーへと向かう。中島と霊能者の関係は依存と依存の「共依存」関係で、専門家がテレビでまことしやかに解説するほどの話ではないと話す。 「マスコミは占い師=悪、中島さん=被害者という図式を作って煽る。それでワイドショーの視聴率も上がるそうです。しかし、真っ当な大人に『この件の被害者は誰?』と訊いたら、きっとこう答えるでしょう。『家賃を滞納された大家さんなり管理会社』と。(中略)中島さん=被害者という図式には違和感を禁じえません。40歳になる大人が、好きで選んだ道です。そして、占い師と一緒に、第三者である大家さんに迷惑をかけた。二人は同罪なんです。私が恐ろしいのは占い師の洗脳などではなく、こうした当たり前のことを、ワイドショーで言う人が一人もいないことです」  また、件の女霊能者についてはニセモノだと言い切っている。 「この占い師はタチの悪い人です。そしてニセモノです。本物は『肉を食べなさい』とは言いません。あれしろ、これしろと命令する人はすべてニセモノです。私も含め、スピリチュアルな領域を生業にする人間の使命は、人々が自立して生きる手助けをすること。自立を阻んで依存させるなんて論外です」  江原の話に、細木何某と一緒にテレビに引っ張りだこだった過去の栄光への郷愁と、訳のわからない女霊能者のために、占いもスピリチュアルも一緒くたにされて、生活権を脅かされるのではないかという怯えを感じるのだが、私の深読みしすぎだろうか。  インタビューされる人間は、他者を批判することで自分の優位性・正当性を主張できると目論見ながら、読者には「同じ穴のムジナ」と思われてしまうことがある。それもインタビューの面白さである。  「フライデー」は3月2日から期間限定で販売をはじめたマクドナルドの「レタス&ペッパーバーガー」が、看板に偽りありだと批判している。  このバーガーは120円。フライポテトとドリンクをとっても490円という安さだそうだ。私には「すき家」の250円の牛丼のほうがバリューがあるが、それはともかく、このバーガーのうたい文句は「シャキシャキのレタスとソースの絶妙なハーモニー」だそうだが、注文すると広告写真とあまりにも違うので、客から「だまされた」という批判が相次いでいるそうだ。  たしかに広告写真と比べると同じものだとは思えない。「ハンバーガーがしょんぼりしている」という評は言い得て妙である。  新宿区にある日本マクドナルドのPR部は、商品の具材料は同じだが、見た目で誤解を招いた可能性があると認め、「今後の表現については慎重に対応し、念のため正しいオペレーションを再確認するよう各店舗には伝えてあります」と答えている。  こうした「消費者の味方です」的な記事はどんどんやるべきである。マック側の言うとおり、写真にどれだけ近づけたものが提供されるようになったのか、フォローもちゃんとしてほしいものだ。  極道情報は「アサヒ芸能」や「大衆」、「実話」の専売特許になっているが、今週は珍しく「現代」が4頁の特集を組んでいる。  今年に入って、山口組の総本部長らが上京して稲川会の理事長と会談、山口組若頭補佐と住吉会渉外委員長が会談、道仁会会長が稲川会理事長、住吉会渉外委員長と会談、さらに山口組六代目・司組長と稲川会・清田会長の頂上会談が行われたのではないかという情報まである。  この「極道サミット」ともいうべき会談は、今国会で成立が予想されている第5次改正暴対法対策ではないかと捜査関係者が解説している。  この法律は暴力団にとって、のど元へ突き付けられた刃であるという。それは現在22団体ある「指定暴力団」の中からさらに悪質な「特定指定暴力団」を認定して、徹底的な法規制を行おうとするものだからである。  これまでは組の縄張り内で「みかじめ料」を要求しても中止命令などを出して、それに従わない場合は逮捕できることになっていたが、認定されるといきなり逮捕できるのだ。  また抗争を誘発するあらゆる行為に対しても、中止命令なしに逮捕することができる。現在は「特定指定」が濃厚だとみられているのは九州の4団体だが、山口組も指定される可能性があるそうだ。  アメリカからも「山口組は組織犯罪のウォルマート」といわれ、口座の金の没収など厳しく締め付けられるようになってきた。そのため09年から10年の1年間で1,700人もの構成員がシノギができず、上納金が払いきれずに組を抜けたそうだ。 「平の直参組長で月に約85万、幹部で95万、頭補佐などの幹部で105万円を毎月、本家に納めなければならん。その他、上部団体から毎月トイレットペーパーや、水なんかを市価の倍で買わされる。今までは山口組の金看板を出してシノギができたけど、一連の条例・法律でそれが使えんようになった訳よ」(山口組二次団体の幹部)  このままでは末端組合員の潜在化やマフィア化が進んでいくことになると、司組長自身が心配しているという。  ナンバー2の高山若頭は恐喝容疑で逮捕されているが、彼が会長を務める弘道会には全国の暴力団組織から恐れられている「十仁会」と呼ばれる特殊部隊が存在するといわれてきた。 「十仁会は十数年前にできたとされ、調査能力、索敵能力、襲撃能力に特化した部隊です。03年に弘道会と住吉会系の団体の間に起きた『北関東抗争』では、弘道会が敵の居場所を正確に把握して攻撃していますが、その背後で十仁会が暗躍したと言われています」(警視庁捜査関係者)  九州で起きている抗争では市民の命が危険にさらされる事態が起きている。「国が認めた暴力団」である警察が権力を振りかざして暴力団を徹底的に追い詰めると、彼らは生き残りをかけて死にものぐるいになり、流血事件が多発して多くの市民が巻き添えになりかねない。  昔から、アウトローは生かさず殺さず、が鉄則である。今の法規制は最後の逃げ道まで塞いでしまってはいないか。そんなことを考えさせてくれたこの記事が今週の第1位。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
テレビ霊能者を斬る メディアとスピリチュアルの蜜月 江原さんに言われても……。 amazon_associate_logo.jpg
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どんぐりの背くらべ!? 元・名物編集長が斬る週刊誌小粒ネタ6連発

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「週刊ポスト」3月16日号 公式サイトより
どんぐり賞 「オセロ中島と木嶋佳苗、『洗脳』と『名器』の最強コラボに期待するぜ」(「週刊ポスト」3月16日号) 「『1日1食』で寿命が15%延びる!?」(同) 「フジテレビがヒタ隠す<火渡り>で老人に重傷を負わせた最低の番組」(「週刊文春」3月8日号) 「<大震災1年>喪失の夜を越えて」(「週刊新潮」3月8日号) 「『放射能コワイ』で暴騰する『東北除染30兆円利権』の争奪戦」(「週刊ポスト」3月16日号) 「遥かなる『文藝春秋』」(同)  どんぐり賞とは、はてな? と思われた方も多いと思う。帯&たすき賞にしようかとも思った。どんぐりは「どんぐりの背べ」、帯&たすきは「帯に短したすきに長し」の意である。  スクープでも佳作でもない、その下のクラスの記事だと思っていただきたい。  一番手は元「文藝春秋」編集長・白川浩司の連載である。前の「諸君」の時の思い出話も面白かったが、今回のは秀逸である。  なぜなら白川の怒りがもろに出ているからである。怒りの対象は同じ会社の「週刊文春」の某編集長に対してである。  前号では1993年当時、「週刊文春」が連続して美智子皇后バッシングをやり、そうしたことが重なり皇后が失語症になってしまった時のことについて書いている。  このニュースを聞いて白川の頭に浮かんだのは、かつて「中央公論」が深沢七郎の『風流夢譚』を掲載して、これに怒った少年が社長夫人とお手伝いを殺傷した事件だったという。  「週刊文春」は結局、「宮内庁への詫び状ともなんともつかぬ文章を掲載して、ひとまず皇室記事を終えた」(白川)が、その後、社長宅に銃弾が2発撃ち込まれる。  白川は、皇室の動静をあれこれ取り上げて売り上げを伸ばすやり方を痛烈に批判している。この時の「週刊文春」編集長は花田紀凱である。  今号では、翌年の6月に発売された「週刊文春」に掲載された『JR東日本に巣くう妖怪』について書いている。発売後JR東日本が「週刊文春」をキヨスクで売ることを拒否し、告訴合戦になった。結局、「週刊文春」は全面降伏して大きな謝罪広告を出さざるを得なくなるのである。  ここに書かれている内容はだいぶ前に白川のところにも来た怪文書まがいのものがベースになっており、白川はその内容を部員に調査させ、事実だと確認できたところまでしか掲載しなかった。なのに、その連載記事は「怪文書を元にした記事の主要部分において、取材不十分なままの強引ともいえるストーリーづくり」(白川)がなされたためにJRと紛争になり、敗北したのだ。  このJR批判の連載は花田編集長の時ではない。彼は、私の記憶では、その少し前に「マルコポーロ」編集長に異動している。だが、これだけの連載を用意するためにはかなりの取材時間があったことは間違いないだろう。  さすれば、花田が編集長在任中にこの企画が進んでいたと考えてもいいのではないか。白川はこの記事を作る前になぜ自分のところに聞きに来なかったのか、取材を含めて「あまりにも傲慢かつ愚昧であろう」と厳しく難じている。  またJR側との和解が長引いたのは役員の中にJRと戦うべしという強硬な主戦論者がいたのかもしれないと、「あのときの文藝春秋は、組織として明らかに壊れていたのではないか」と述懐している。  文藝春秋という会社は、講談社や小学館のようなオーナー企業ではない。いいところも多々あるが、そうした組織の常として派閥抗争は熾烈なものがあったと聞いている。その名残だろうか、名前こそ出してはいないが、かなり一方的な書き方である。  今は文藝春秋を離れ月刊「WiLL」をやっている花田編集長は、これを読んでどう思うのだろうか。ぜひ反論を含めて聞いてみたいものだ。  不可解なのはこの連載、9回で「最終回」である。まだまだ書くことはあると思うが、何か不都合なことでもあったのだろうか。  東日本大震災から早1年が経とうとしている。各誌もかなりのページを割いて特集を組んでいるが、異曲同工の記事が多い。  「ポスト」の記事は、福島第一原発20キロ圏内で始まった除染作業の待遇のよさから書き出している。かなりの重労働ではあるが1日2万円、4時間労働で、無料宿泊施設に泊まれて労災も適用される。  野田佳彦総理が「除染をしっかりすることが福島の再生につながる」と号令をかけ、費用を1兆円規模としたことから、除染利権の争奪戦が起きているのだという。政府が示した工程表は、14年3月末までに放射線量を半分にし、長期的には年間1ミリシーベルト以下を目指す。  だが、民家の屋根などの線量は3割程度しか下がらず、1ミリシーベルト以下まで除染するとなると20~30年はかかるから、その総額は30兆円にも上るだろうというのである。  大手ゼネコンにとってはよだれが垂れるおいしい話なのだ。しかし、ウクライナやベラルーシを訪れた福島県の調査団は、「除染を実施したがコストがかかりすぎて、効果がなかった」と報告している。  結局、ゼネコンだけが儲かることになりはしないか。そう「ポスト」は警鐘を鳴らしている。  「新潮」のワイド特集は19本。中にいくつか読むべきものがある。「瓦礫は拒否でも『さいたまスーパーアリーナ』隣に核廃棄物ドラム缶4万本」は、被災地の瓦礫受け入れを拒否しているさいたま市だが、スーパーアリーナに近い住宅街の地下に、核廃棄物ドラム缶が4万本も置かれているというのだ。この廃棄物が発覚したのは13年前。放置したのは三菱マテリアルで、同社の関係者が事情をこう話している。 「昭和63年頃まで、三菱マテリアル(当時は三菱金属)や三菱原子力工業などが、ここで核燃料や原子炉などの研究を行っていたのです。日本初の原子力船『むつ』の原子炉がここで設計されるなど、大宮の施設はいわば日本の原子力研究の一大拠点でした」  その後、親会社に吸収されたり茨城県東海村へ引っ越したりして、残ったのが三菱マテリアルだった。  「新潮」はさいたま市に対して、こう皮肉っている。 「アリーナの横にある大量の核廃棄物は、いずれどこかに処分を頼まなくてはならないかもしれない。そのとき何と言ってお願いするのだろうか」  絆、絆と掛け声ばかり掛けるが、住民の反対から瓦礫受け入れを表明しているのは4自治体しかないのはおかしいとも批判している。もっともである。  もう1本は「『補償金リッチ』で『避難準備区域』解除でも自宅に帰らない」という記事。  広野町では人口約5,500人のうち地元に戻った住民は約250人に過ぎない。それは東電から避難者に対して補償金が出るからで、帰宅すると支給が打ち切られてしまうからだ。  もはや補償金はある種の既得権になっていて、そうしたカネを使って遊ぶからパチンコや競輪場が賑わっている。そうした村民に「帰村宣言」を発表したのは川内村村長・遠藤雄幸氏である。 「与えられることに慣れ便利な都市生活を感じている村民が、働く意欲や耕作意欲、故郷に戻りたいという思いを失ってしまうのではないか、と危惧しています」  南相馬市の櫻井勝延市長もこう話す。 「復興とはふるさとに戻り、仕事をし、生活することです。東電の補償金がその妨げの要因になっていることは間違いない。(中略)生活を取り戻そうと努力する住民にこそ、補償金は使われなければならないのです」  もっともな意見だと思うが、ならば、国や自治体が東電に働きかけ、地元へ戻って昔の生活に復するまで補償金を払うことを求めたらいいのではないか。  週刊誌はもとより新聞、テレビでも震災1年を扱ったものが多くあるが、どれを見ても怒りが湧いてくるのは、まだ復興どころか復旧もほとんど進んでいないことである。国会は消費税増税などで駆け引きしていないで、まずは被災地の復旧・復興に目処をつけることに専念するべきであろう。  「文春」は、テレビのバラエティ番組で人身事故が多発しているのに、一向にそうしたバカ番組を止めようとしないテレビのアホさ加減を追及している。  2月2日、上越国際スキー場の150メートル・ハーフパイプ用の急斜面を、パンツ一丁のお笑いコンビ・ずんのやすが水上スキー用のゴムボートで滑り降り、物置小屋の屋根に激突した。  やすは腰椎破裂骨折、両下肢マヒなどの重傷を負った。この番組はフジテレビの『とんねるずのみなさんのおかげでした』だった。  フジテレビでは、タレントにロケット花火数千本を背負わせて着火し1カ月の火傷を負わせたり、クレーン車に吊り下げられたスタッフが落下して腰椎骨折したりという事故が絶えない。  今回問題になっているのはやや古い話だが、03年末から04年にかけて放送されたフジテレビの『退屈貴族』で起きた深刻な事故である。  出演者は一般人の74歳の独居老人。都内の河川敷に灯油を撒いて火をつけ、10メートルほど並べられた段ボールの上をパンツ一丁の老人に渡らせたのである。  炎の中を少し歩いた老人は激痛に耐えきれず横に逸れた。その時すでに火傷は足裏から太ももにまで及んでいたという。老人は持参した軟膏をつけただけで歩くこともできず、ディレクターらが背負ってタクシーに乗せ自宅に送った。だが、2万円の出演料を払っただけで、なんら火傷の処置はしないままディレクターらは帰社してしまったのだ。  その後、老人の容体が悪化して老人の兄によって救急車で運ばれたが、火傷は全身の3割近くにまで達していた。警察が病院の通報でフジテレビ側に問い合わせをしたが、フジテレビは「該当するロケはない」と回答、警察は自傷事故として処理してしまった。  その後も老人は生死の境を彷徨う。信じられないことにフジテレビは、撮影から1カ月半近く経ってから、そのシーンを「東洋のランボー」と銘打って放送するのである。番組を見た視聴者からの「やり過ぎだ」という電話で初めて、フジテレビはそうしたロケがあったことに気づく。このテレビ局の危機管理はどうなっているのだろう。  この件で番組スタッフの事情聴取も処分もなかったそうだ。  老人は事故から4年後ぐらいに腎不全で死亡する。「文春」によると「腎機能の低下は火傷によってもたらされたもの」だという。記事はこう結んでいる。 「事故の検証を怠って隠蔽し続ける限り、同じことが再び繰り返されるに違いない」  昨今「『空腹』が人を健康にする」(南雲吉則著・サンマーク出版)という本が売れているそうだ。講談社プラスα新書の同じ著者による『50歳を超えても30代に見える生き方』も好調だという。  クリニックをやっている56歳の医師だが、骨年齢28歳、血管年齢26歳なのだそうだ。  この御仁、前は暴飲暴食で77キロまで太っていたそうだが、1日1食にしたらやせて生活習慣病も正常値になったという。彼によれば食事を40%減らせば寿命は1.5倍になるのだそうである。  以上は「現代」からの引用だが、「ポスト」によれば学術誌「ネイチャー」に掲載されて話題になっているのがサーチュイン遺伝子で、これは長寿遺伝子や若返り遺伝子と呼ばれるそうだ。  この遺伝子のスイッチを入れるには「腹ペコ」でガマンすること。その理由は、 「サーチュイン遺伝子は、空腹の状態、つまり摂取カロリーが減ると活性化する。これは動物としての防護機能と考えられ、食料が減って養分が足りなくなると、細胞レベルの損傷を防ぐために修復機能が活性化するというわけである」  老化の原因になる活性酸素は食物から作られるので、食べれば食べるほど活性酸素を取り込み、体を壊していくそうだ。  ここでも南雲医師が「腹六分目」「一汁一菜」にすれば健康で若くいられると言っている。毎日ひもじい思いをしてまで長生きしたいか、酒も好きなものも食べてそこそこの年まで生きるか。私は後者を取ってきたから年より老けて見えるし、体は生活習慣病の宝庫だが、致し方ないのだろう。  最後はビートたけしの連載「21世紀毒談」のひと言。メディアのオセロ中島に対するバカ騒ぎに対して。 「どう見たって、元気だったときより今の方が世の中の話題の中心にいるわけでね、かわいそうな言い方だけど、マスコミにとっちゃ『芸人・中島』より『マインドコントロールされたタレント』のほうがニーズがあったってことなんだよ。(中略)でも、テレビっていうのはつくづくいい加減だよ。最近まで、『あなたの前世がわかる』『オーラが見える』なんてインチキ臭い番組をジャンジャンやってやがったのに、いざこんな事件が起これば一転『霊能者はケシカラン』ってことになっちまうわけでね」  たけしはこの騒動は中島一世一代の大芝居ではないかと疑う。今後、告白本や独占インタビューに応じれば、「これから先、中島には大もうけのチャンスがジャンジャンあるってことなんだよ。芸能界復活どころか、これまでよりビッグになれる可能性だって十分あるね」と語っている。  3人の男を殺したとして裁判にかかっている木嶋佳苗とオセロ中島、同居していた女霊能者3人でスナックでも開けば大盛況間違いなし。そして、こういう本を出せばベストセラーも間違いなしだそうだ。「デブでもブスでも男を虜にする方法」。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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震災から1年 地元を支えてきた被災地書店のその後

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「週刊ポスト」3月9日号 中吊り広告より
佳作 「3・11から1年 復興の書店」(「週刊ポスト」3月9日号) 佳作 「郡山4歳児と7歳児に『甲状腺がん』の疑い!」(「週刊文春」3月1日号) 佳作 「東電の賠償電話<秘>マニュアルの全容」(「週刊朝日」3月9日号)  週刊誌400円時代が来たようだ。「週刊現代」がいち早く400円にして「週刊ポスト」が追随した。「週刊新潮」が次号発売を特別定価390円にするし、「週刊文春」は特別定価だった380円を次号から定価にするとしている。  消費税増税に反対している週刊誌が、増税を待たず次々に値上げをするのは、読者には納得できないだろう。消費税が上がれば、その分を便乗値上げしてくることは間違いない。だが、内容が変わらず、読者に何の説明もなく値段を上げるのは、自分たちが批判している新聞の値上げと同じである。  私は、不景気で物の値段が下がっているのだから、ページ数を減らしてもいいから定価を下げたらどうかとさえ思っている。300円程度にして、各週刊誌が独自色を出しセグメントされた情報を出して競えば、部数は伸びないまでも低減傾向に歯止めがかかり、もう少し生き残っていけるのではないか。  メディアが一番いけないのは、他の企業のリストラや立て直し策の批判はするが、新聞もテレビも出版社も、生き残りに向けた努力をどれほどしているのか情報公開さえしないことである。  昔は、コーヒーとラーメンと週刊誌の値段が同じだった時代が長く続いていた。一時、コーヒーが値上がりした時代があったが、マックやドトールなどの出現により安くなり、今はラーメンが一番高くなった。  故・立川談志師匠は「ラーメン屋なんていうのはまともな料理をつくれない奴がやるもんだ」と常々言っていた。私も昨今、ラーメンが異常なほどもてはやされ、一部のラーメン職人には"食べさせてやる"という態度が透けて見えるのには辟易とする。だから、そうした能書きのうるさいラーメン屋には行かないことにしている。  それと同じと言っては失礼かもしれないが、今の週刊誌に400円の価値があるのだろうか。売れないから値段を上げるというのでは、読者離れがますます深刻化することになりはしないか。  さて、東日本大震災からもうすぐ1年になる。各誌に被災地や東電関連の記事が多い。その中で3本選んでみたが、残念ながら順位をつけるほど、これはという記事はなかった。よってすべてを佳作とした。  まずは「週刊朝日」の記事。福島第一原発の事故によって自主的に避難(その地域にとどまっていてもいい)した人たちへ東電による賠償が始まろうとしている。そうした人たちが手続きを含めて問い合わせる先の電話のオペレーターに大量の派遣社員が使われ、あきれたマニュアルで応対せよと研修されているというのだ。  賠償額は18歳以下の子どもと妊婦は一人40万円、それ以外は8万円。また南相馬市の一部、双葉町、飯舘村、大熊町などの住民には、精神的な苦痛に対する賠償として一人月額10万円、避難所にいる人には月12万円。  50代のYさんは登録していた派遣会社からメールがあり、2月13日から4日間行われた研修に参加した。研修の部屋には監視人らしき男性が数人立ち、配布された資料の持ち出しはおろか休憩中の私語も禁止された。  そこで言われたのは、お前たちの仕事は避難して困っている人たちを救うことではなく、送付した書類の問い合わせに答えることだけで、被災者に有利な情報を教える必要もないというものだった。  東電は被災者への対応として「親身・親切な賠償のための5つのお約束」を掲げているのに、実態はこうである。  また相手を刺激する言葉を使うなといわれ、言い換えるようにされた例はこうだ。×原発→○原子力発電。×放射能→○放射線。×放射能を浴びる→危険なイメージだから使うな。×想定外→積み上げた知見の甘さが引き起こしたものでございます。  こうしたNGワードばかりではなく、「電話に出たら低いトーンで会話を始めるように」、「被災者から、お前ら事故の詳しい内容を隠蔽しているだろうと言われたら、隠し事はございませんと平身低頭する」「電話口で怒りが収まらない相手には、『少々お待ちくださいませ』と言って、電話の保留ボタンを押せ」というのだ。  東電の賠償は、避難に要した宿泊費用や交通費などが違うのに一律はおかしいという声が被災者から上がっている。  賠償金額なども少なすぎると、私は思う。財界や財務省の東電に甘いやり方に対して、東電を破綻処理させて徹底的にリストラを行えという声も強くある。  これだけの事故を起こしても、ぬけぬけと電気料金値上げを言い張ったりする東電の甘えの構造は、一度ぶっ壊さないと直らないようである。  「週刊文春」の巻頭特集「郡山4歳児と7歳児に『甲状腺がん』の疑い!」は、こういう書き出しで始まっている。 「『今までにこんな例は見たことがありません』  超音波の画像を診た医師はそうつぶやいたという。7歳女児(検査当時・以下同)の小さな喉にある甲状腺に、8ミリの結節(しこり)が、微細な石灰化を伴ってみられたのだ」  北海道へ自主避難している親子309名(子ども139名、大人170名)を対象に昨年末から地元の内科医がボランティアで、甲状腺の超音波検査を行っている。  郡山から夫と離婚してまで避難してきた母親の7歳の姉に結節が見つかり、2歳の妹にも2ミリのものが見つかった。幸いなことに妹のほうはがんの疑いはなかった。  小児甲状腺がんは、チェルノブイリ原発事故で唯一公的に認められた被曝による健康被害である。旧ソ連のベラルーシでは事故までの10年間で7人だった子どもの甲状腺がんが、事故後は508人に上っている。  札幌で甲状腺超音波検査を実施した内科医はこう言っている。 「結節のあった7歳女児と4歳男児の2人に加え、19歳以上の『大人』9人の計11人に、甲状腺がんの疑いがありました。うち成人女性一人はすでに甲状腺がんが確定、切除手術を行うことも決まっています」  1月25日には福島県で第5回「県民健康管理調査検討委員会」(以後=検討委員会)が行われ、18歳以下の甲状腺エコー検査の結果が発表された。1,765名のうち26人に結節や嚢胞(のうほう)が見つかったが、「すべて良性」とされた。  福島県立医大の鈴木眞一教授は会見で「26名はいずれも6歳以上。5ミリ以上の結節、20ミリ以上の嚢胞が5歳以下で見つかることはありえない」と明言した。  先の内科医は年間2,000人ほど甲状腺の手術を行うというが、鈴木教授が言うように小学生に上がる前の子どもにできる可能性はほとんどないそうだ。だが、今回は発見されたのである。  避難してきた子どもたちはいずれも原発事故後3カ月以上福島で暮らしていた。  7歳の女児はその後の血液検査の結果「良性」と診断されたが、将来に不安が残ると母親は語っている。 「診てもらった北海道大学の先生も、今までに14歳未満でがんになった子どもを2回しか診たことがなく、『いつ、がんになるかわからない』と。でも、結節を切除してしまうと、今度は一生ホルモン剤を飲み続けないといけなくなるというのです」  福島県で行っている甲状腺検診は3年かけて一巡するが、甲状腺学会の関係者はこう疑問を呈している。 「動物実験ではたしかに被曝しても1年で発がんすることはないという結果が出ている。だが、チェルノブイリでは事故直後のデータをフォローしていないので、放射能に対して感受性の強い1歳や2歳の子どもが事故後1~2年後まで受診しなくても大丈夫だと言い切れるのだろうか」  しかもおかしなことに、福島では撮ったエコー写真を見せてもらうこともできない。それに県内でセカンドオピニオンを仰ぐことも困難なのだ。  それは「検討委員会」の座長・山下俊一福島県立医大副学長が全国の日本甲状腺学会員宛に「次回の検査を受けるまでの間に自覚症状等が出現しない限り、追加検査は必要がない」というメールを送っているからだ。  こうしたやり方に一人の甲状腺専門医は批判的だ。 「従来の理論では、1~2年ですぐに嚢胞や結節は大きくならないかもしれない。しかし、あくまでもそれは『これまで普段見てきたもの』を基準にした場合です。原発事故が起こった今、『今まで見たことがないもの』を見ている可能性がある。従来の基準が絶対とはいえないのでは」  この記事は重要な問題を告発しているのだが、残念ながら記事のインパクトが弱い。  母親が仮名なのは仕方ないとしても、郡山の子どもに甲状腺異常を発見した北海道の内科医の名前が出ていないのはどうしたことなのか。  こうした記事を書く場合、信ぴょう性を担保するためには実名報道が必須である。内科医は実名を出すことで何か不都合なことでもあるのだろうか。  甲状腺の専門医が匿名なのも解せないが、こうした報道は継続していくことが重要である。続報に期待したい。  さて、東日本大震災のあと「日本を信じよう」と表紙に打って話題になった「ポスト」は今週号で、ぶち抜き85ページの大特集「被災地と原発の真実」を組んでいる。  まず初めに2ページにわたる編集部の主張が載っている。その意気や良しだが、放射能と原発についてはこれまでの主張を繰り返していて、新しい情報はない。  それよりも、ポストが震災以後一貫して続けてきた、被災地の書店のその後を興味深く読んだ。  復興へ向けて歩み出した書店で売れている本は、他の土地で売れている本とはひと味違う。『大きな字の常用国語辞典』(学習研究社)は年配者が必要だとして買い求めるそうだ。仮設住宅ではいくつもの鍋を持つわけにはいかず、圧力鍋が売れたそうだが、圧力鍋のためのレシピ本も売れた。  お世話になった人たちへ手紙を書こうと「手紙の書き方とマナー」といった内容の本も売れ筋。「10年日記」のような将来を設計する本も問い合わせが多かった。釜石の遺体安置所を巡るルポ『遺体―震災、津波の果てに』(新潮社)は、死者がどう処置されたのか知るために買われたのではないかと、釜石市の書店店長が語っている。  飯舘村の日常を紹介した『までいの力』(SEEDS出版)も読まれているそうだ。 「までいとは"思いやり"といった意味で使われる方言です。(中略)飯舘村はいま、人が住めない場所になってしまいましたが、"までいの力"があればいつか必ず立ち上がれると思う」(飯舘村の書店の元副店長)  岩手県山田町の「大手書店」は、昨年6月から小さな店舗で営業を再開した。本も文房具もなく、当初はお祭り用のクジや景品を並べていたという。書店の娘・大手恵美子はこ言う。 「自分がこの町に残って何ができるかと考えた時、やっぱり本しかないという思いがあったからです。できることと言えば、考えることしかなかった。駄目だな、やんなきゃな、ってずっと考えていたんです」  釜石で一番古い書店だった「桑畑書店」はかつて70坪あったが、今は9坪。店主の桑畑眞一は、瓦礫の中から見つけ出した定期購読者のリストを頼りに、病院や美容院などを回った。津波で流されてしまったこの辺りは人が少なくなってしまったが、ノンフィクション・ライターや市長を招いてシンポジウムや絵本の読み聞かせの会などをやっている。  気仙沼市の大槌町のショッピングモールに昨年12月22日、化学薬品メーカーで働いていたサラリーマン夫婦が素人書店を始めた。その名は「一頁書店」。素晴らしいネーミングではないか。 「本の一頁目はとても大切ですよね。最初の一歩という気持ちを大切にしていこう、と思ったんです」  そう妻の木村里美が語っている。  南相馬市の「おおうち書店」の店主・大内一俊は、同市が屋内避難を指示されていた3月に書店を続けようと思った。それは、店のシャッターを開け、床に散らばった本や雑誌を棚に戻していると、街から避難しなかった人たちが少しずつ集まってくるようになったからだ。客は4分の1に減って、若い女性や子どもの多くが避難したため、女性誌やファッション誌は売れなくなったが、地図が売れるようになった。  お客の数は減っているのに、書店の売り上げは伸びているという。それは、ほかに開いている店がないことと、東電からの賠償金があるため、震災前より売れる本の単価が高くなり、週刊誌を3冊も買い込んでいく客がいるそうである。  飯舘村にある村営書店「ほんの森いいたて」には、書店の窓に「きっといつか再オープンするぞ!!」と書いた紙が貼られている。  IAEAが飯舘村で高濃度の放射性物質を検出して発表したのは3月30日だった。元副店長の高橋みほりはこう話す。 「閉店するとき、絶対また会おうね、再開したら買いに来るからねと言われながら、みんなと抱き合ってお別れしたんです。それだけ愛されていた本屋なんだなって思ったし、震災からの短い期間だったけれど、続けてきてよかったと感じました」  こうした人たちに支えられて本や雑誌が読者の手に届き、読まれていることを、出版に携わる人間一人一人がもう一度真剣に考える必要があるだろう。何を届けなくてはいけないかということを。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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