「次期会長はエビジョンイルの側近」NHKが安倍内閣の御用放送局へ?

coverpage1111.jpg「週刊ポスト」11月22日号
今週の注目記事 第1位「怪文書飛び交う『安倍NHK支配』意中の人物」 (「週刊ポスト」11月22日号) 第2位「ノーム・チョムスキー『メガバンクが破綻して世界金融危機がやってきます』」 (「週刊現代」11月23日号) 第3位「山本太郎 天皇『手紙テロ』の罪と罰」 (「週刊文春」11月14日号) 第4位「フジテレビはどうしてこうもダメになってしまったのか」 (「週刊ポスト」11月22日号) 第5位「高島屋でも成型肉!『ニセ和牛肉』はこうやって見分ける」 (「週刊新潮」11月14日号) 第6位「朝日新聞『エロい報告書』」 (「週刊文春」11月14日号) 第7位「本誌は特定秘密保護法案に反対します 原発関連の内部告発も厳罰化で隠蔽される」 (「週刊朝日」11月22日号)  特定秘密保護法案の審議が国会で始まったが、与野党ともに書いた原稿を読み上げるだけの危機感のなさには、あきれ果てるを通り越して恐怖感さえ覚える。  憲法第21条違反が明確で、言論表現の自由を抑圧して国民の知る権利にフタをしてしまうような重大な法律を決めようというのに、反対する国会議員にもメディアにも、本気で成立を阻止しようという気概が見えてこないのはどうしたことだろう。  週刊朝日の発売は火曜日であるが、都内のキオスクでは“堂々”と月曜日に売っているので、朝日が掲載している特定秘密保護法についての特集から紹介しよう。  特定秘密保護法ができれば、防衛や外交はもちろん、TPPの交渉内容や原発事故情報も“特定秘密”に指定されるのは明らかである。そうなれば、内部告発をしようと思っても厳罰の前に躊躇したり、取材者も「著しく不当な方法による取材行為」は処罰対象になり、著しいかどうかを判断するのは行政の長や官僚であるから、自主規制してしまうことが必ず起きてくる。  朝日はこの法案にはっきり反対を表明し、今号では「西山事件」で有名な元毎日新聞記者の西山太吉氏にインタビューして、この法案の危険性を語らせている。  西山事件とは、1971年の沖縄返還協定に関する外務省の“密約電文”が漏洩し、毎日新聞政治部の西山太吉記者と外務省女性事務官が国家公務員法違反で有罪となった事件である。  西山氏は、自民党政権には秘密保護法を提出する資格はないと、厳しく言及している。 「秘密保護法の細目の議論に入る前に、まず自民党の過去の情報犯罪を問題にすることが重要です。イラク戦争についてアメリカ政府は、『大量破壊兵器をつくっている』とデッチ上げて軍事介入したことを認めた。それに比べて日本は、アメリカからあれだけの資料が出てきても沖縄の密約を認めていない。いまだに都合が悪いものを全部隠している。嘘をついたら、つきっぱなしの状態です。だから民主党は新しい情報公開法をつくることを公約に掲げて政権交代し、2011年4月には法案を提出した。それなのに民主党は、その後、国会で努力を全くしなかった。官僚の猛反発で鳩山政権が潰れた後、自民党と大して変わらない民主党右派政権が秘密でも何でもない尖閣ビデオ流出問題を機に秘密保全法制の準備を始め、安倍政権の先鞭をつけてしまったのです。  空文に等しい情報公開法しかない中で、今回の秘密保護法が成立すると、沖縄密約の時と同じように非合法な国家の行為までもが次々と特定秘密に指定され、広がっていく。都合が悪い情報を隠し通す日本の現状をさらに悪化させ、民主主義が機能しなくなることは明らかです」  日本版NSCと特定秘密保護法が成立すれば、日本にはどうでもいい情報だけが溢れ、国民には何も知らされないままアメリカの言いなりに「集団的自衛権」行使ができる国に変容し、いつか来た道をたどることになりはしないか。心底心配である。  文春得意の朝日新聞バッシング。先日更迭された週刊朝日編集長のセクハラよりもエグい、社内の男女の醜聞である。これが今週の第6位。  舞台は大阪・中之島の朝日新聞大阪本社である。2009年春、広島総局勤務から次長待遇として写真部に戻ってきた40代の古田新太似のAデスクは、編集局に派遣されていた20代後半の契約社員、美脚自慢のメガネ美人B子さんと出会って入れあげ、デートをするたびに高価なものをプレゼントしたり、マンションの家賃まで負担してあげたのだそうだ。  結婚へ本気モードだったが、このB子さん、なかなかしたたかで、Aデスクだけではなく、同じ編集局のスポーツ部デスクCさんとも付き合い、こちらが本命だったという。  そしてB子さんから別れを切り出すと、Aデスクはこれまで貢いだ分を返せと要求した。  だが、逆にB子さんはAデスクのことを「ストーカー」として警察に届け出た。Aデスクのほうは、債務不存在確認の民事訴訟を起こすなど泥沼化したのである。  B子さんからはカネを返してもらうものの、Aデスクは、このことを会社に知られ、昨年春に富山総局の一記者として左遷されてしまうのだ。  そのA記者を富山総局前で直撃すると、意外にも事実関係を淡々と認めたという。 「裁判で決着したんで、もういいかなと思っています。B子さんは家賃も水増しした金額を私に払わせていたような性格なので。Cと不倫して私と二股かけていようが、事実を告げてくれたらよかったので『本当のことを言ってくれ』と何度もメールしたのに、彼女は逃げるばかりでしたね。まぁ、返ってきたパソコンの中に全て真実が詰まっていたので、調べるまでもなかったんですけど。彼女はスマートな方なんですけど、IT関係は弱いんでしょうね。(中略)  当初はCにも頭にきたけど、彼も娘が生まれたばかりで家庭を壊すつもりもなかったので、私は何も騒いでいません。富山はいいところ。食べ物もおいしいし、上司にも恵まれていい仕事をさせてもらってる。今は結果オーライかなと思っています。でも文春に書かれちゃったら次はどこに飛ばされるのかな……」  どこか哀れを誘うコメントである。朝日新聞記者がこう言う。 「朝日には社内不倫など乱れた男女関係の話が多い。週刊朝日のセクハラも起こるべくして起きた。今回の件も特に驚きませんね」  昔は「朝日文化人」なる言葉まであった朝日新聞記者だったが、昔日の面影すでになしのようだ。  さて、今週の第5位は新潮の記事。有名ホテルから料亭、デパートまで「偽装表示」が次々に明らかになっている問題である。  芝海老ではなくバナメイエビでした。九条ネギではなくそこらの普通のネギでした。車海老ではなくブラックタイガーでしたとなると、明らかに「偽装」ではなく「詐欺」だと思う。  奈良にある近鉄系の「奈良 万葉若草の宿 三笠」では和牛と称していた肉が、オーストラリア産の成型肉だったというのだ。店を怒るより、そんなものを食べさせられて満足していた客の舌の鈍感さが気になるが、成型肉とは、はて、どんなものなのか?  食の安全を考える会・野本健司代表によれば、成型肉とはこうだ。 「外国産牛のモモ肉などブロック状に細切れになった赤身の肉に、酵素添加物をまぶしてやわらかくし、型に入れ、結着剤で人工的に固めたもの」  米沢牛の10分の1程度の値段だから、店にとってはボロ儲けである。しかし、成型肉には安全性に問題ありだという。野本氏が指摘する。 「成型肉を焼いても、肉の内側に菌が残る可能性は排除できず、O-157が肉の中に残った状態で提供される恐れもある。だから成型肉の調理法はウエルダンしかありえないのに、店側がその危険性を理解せず、焼き加減の好みを客に尋ねてレアで出すことがある」  安いものには、それなりの理由があるのだ。では値段は張るが国産牛を食べたいと思ったら、どうすればいいのか? 店自体を識別する方法を、精肉店が教えてくれる。 「10年ほど前から、農水省は国産牛に個体識別制度を導入しました。畜産農家で牛が生まれると、生後すぐに1頭ずつナンバーが割り振られ、DNAが検体ごとに採取される。そして肉屋もレストランも、和牛を使うメニューを提供する以上、この識別番号を店頭に掲げないと商売ができなくなった」  個体識別番号を店に明示しているかどうか、店側に尋ねればいいというのだ。焼き肉屋でも壁に貼ってあるところも多くなってきたから、そういう店は安心できそうだが、それすら「偽装」だったら、どうしよう?  第4位は、テレビメディアについての特集。少し前までは「民放の絶対王者」といわれたフジテレビの凋落が激しいが、ポストはどうして「ダメになってしまったのか?」と、ストレートに疑問をぶつけている。 「82~93年に12年連続、04~10年に7年連続で、『視聴率三冠』(ゴールデンタイム、プライムタイム、全日)を獲得したが、昨年はテレ朝の躍進で3位に転落。さらに今年8月の平均視聴率では、『半沢直樹』を大ヒットさせたTBSに抜かれ、ついに4位に転落した」(ポスト)  振り向けばテレビ東京が迫ってきているのだ。今年の大みそかは早々と敗北宣言したような「報道番組」に内定したという。NHK『紅白』や日テレの『笑ってはいけない~』とは勝負しないようだ。  だが、より深刻なのは、フジがこれまで得意にしてきたバラエティやドラマに往年の輝きが見られないことだろう。その理由の一端は、亀山千広社長はまだ57歳と若く、フジ系列の番組制作会社の天下り社長たちが、亀山には文句を言わせないと先輩風を吹かせ、企画をゴリ押ししてくることだというのだ。 「そうした“上層部”から押し付けられるのは、大抵がバブル時代のトレンディードラマの焼き直しや、かつて視聴率を取った女優の再起用など『昔取った杵柄』ばかりで、新鮮味は皆無。これでは、視聴者に見捨てられても当然だろう。現場の混乱を招いているのは、ほかならぬ80年代以降の視聴率1位という栄光を築き上げた。“幹部”たちということだ」(同)  今年4月にフジを辞めてフリーに転身した長谷川豊アナウンサーはこう言っている。 「(中略)話題を次々に作ってきたフジテレビのはずですが、いろいろと叩かれ始めたためか、4~5年前からすっかりチャレンジ精神を失ってしまい、“ミスのない”番組作りを目指すようになってしまった。制作会社の持ち込み企画は保身のためか全部ボツになって、新しいものを受け入れなくなってしまったんです。そのボツ企画を、深夜枠で拾って成功してるのが今のテレ朝です」  かつて親しくしていた日テレの氏家齊一郎CEOは、私に、日テレがフジを抜いて成功した理由をこう話してくれた。 「オレは企画には口を出さないが、これだけはいつも言っている。オレがおもしろいと思う番組は作るな。オレがわからないものを作れ」  上の顔色をうかがって保身ばかり考えている現場にいいものができるはずはないこと、テレビでも雑誌でも同じである。  長きにわたってフジテレビを率いてきた日枝久会長が退くだけでも、フジの雰囲気は変わるのではないかと思うのだが。  さて、山本太郎参議院議員が10月30日に赤坂御苑で開かれた園遊会で天皇に手紙を渡したことについて、週刊誌の書き方は、みのもんた攻撃と同じように厳しいものがほとんどである。  文春は「手紙テロ」という表現を使い、新潮は「軽挙妄動のパフォーマンス、浅知恵に基づいた詭弁、有権者を欺くペテン、思考停止の風評妄信、そして大いなる無知」この五拍子揃ったのが山本氏だと酷評している。  この“事件”についてはどれも同工異曲だが、文春にやや分がありと見て、これを3位にした。  文春によれば秋晴れの下、約1,800人の出席者は穏やかに談笑しながら、天皇皇后や皇族のご到着を待っていたという。  その中に、明らかに周囲から浮いている山本太郎参議院議員がいた。皇族の到着直前、蝶ネクタイ姿の山本議員は宮内庁担当記者が集まる取材エリアのすぐ近くまでやってきた。そこは、巨人軍の長嶋茂雄氏や、プロスキーヤーの三浦雄一郎氏ら著名な招待客が並ぶ、いわばVIP席だった。  山本議員は長嶋さんから3~4人挟んだあたりに割り込もうとしたが、入り込めるようなスペースがなく、少しはみ出す状態になっていたのを宮内庁の職員が認め「他の場所へお願いします」といって移動させた。  それから数分後、天皇皇后が到着され、式部館長に先導されながら、両陛下が会場を歩き始められた。  そして、山本議員の前を天皇が横切ろうとした時、 「実は、お持ちしたものがありまして」 と山本議員が手紙を差し出したのだ。戸惑われたような表情の天皇は、その言葉に何度か頷かれ、そして侍従長に手紙を託し、軽く会釈をされてから再び歩み始められた。  手紙の内容は「巻紙に筆で書かれた手紙は<不躾にもお手紙を陛下にお渡しする無礼、お許しください>と始まり、福島の子供たちの健康被害や原発作業員の健康管理がなされていない実情を訴える内容だった」(文春)という。  内容はともかくとして、こうした行為は、山本議員の憲法違反行為で、辞職に値すると言わざるを得ない。即位の際、憲法を遵守すると宣言した天皇が一番当惑しているであろう。  議員は天皇に直訴するのではなく、国会で堂々と意見を述べ、安倍首相を追い詰めるべきである。これでは憲法軽視、議会制民主主義軽視といわれても致し方ないと、私は考える。  東日本大震災以来、福島県三春町で避難民の受け入れを行っている作家で僧侶の玄侑宗久氏は、山本参議院議員のことをこう批判している。 「そもそも山本さんは福島県に住んでいる人の立場で考えていないだろうと感じていました。福島県民で彼の政治活動に期待する人はあまりないと思います。彼の発言の多くは起こりうる最悪の想定をもとに繰り返されるわけですが、最悪の可能性を基準にしては、福島県には住んでいられないということが理解できていない。私は、皇室がこれまで放射能について言及してこなかったことに非常にありがたさを感じています。  天皇陛下は、震災後の夏、いつも通りに那須の御用邸に避暑に行かれ、いつも通りに御料牧場で取れた野菜、鶏、豚、羊を召し上がりました。一方、御用邸や皇居の放射能数値が公表されることはない。山本氏は、国民に心配をかけさせまいという陛下の気持ちを察することができない人物なのでしょう」  山本議員は辞職せずと言っているようだが、それならばパフォーマンスばかりを先行させるやり方ではなく、福島に住み着いて、そこから国会へ通うぐらいのパフォーマンスをするべきである。  現代の「世界の知性に聞く」シリーズが好きである。日本の週刊誌のよさというのは、死ぬまでSEX特集がある中に、こうした硬派記事もしっかり載っているところである。こういう週刊誌は、ほかの国にはないであろう。  今回は第5回。“世界最高の論客”といわれるノーム・チョムスキーMIT名誉教授の登場である。氏はメガバンクが破綻して、再び世界金融危機がやってくると語っている。 「もちろん、再び起きると思います。’08年秋の金融危機に対しては、その場凌ぎの解決策は講じられていますが、根本的な問題は、依然として解決されていないからです。  世界的金融危機の火蓋を切ったアメリカでは、銀行を規制する法案が議会を通過しましたが、ロビイストたちから徐々に骨抜きにされています。『ニューヨーク・タイムズ』によると、ロビイストたちが、金融規制を弱めるために、法案の一部を書き換えさせたそうです。このようなことは、ワシントンでは日常的に起きています。選挙という問題もあります。アメリカの選挙は莫大な企業献金に頼っており、議員は退職後の就職先も考えなくてはならないため、企業の要求をのむ行動をしてしまいます」  中国の軍事的脅威に対してはこう答えている。 「軍事的視点から見た場合、中国は何の脅威もありません。まだ『アメリカの足元にも及ばない』段階です。中国の目的は、交易路である自国周辺の海域をコントロールすることです。この海域は、日本や韓国、台湾、さらにはその背後にいるアメリカという“敵国”に囲まれているため、中国は防衛目的から、海域をコントロールしたいと考えているのです。一方、アメリカは、中国の海域に自由にアクセスしてコントロールしたいと考えています。  しかし、それは不均衡なことではないでしょうか。カリフォルニア沖では、中国沖で起きているようなもめ事は起きていないのですから。  数年前、米中間で対立が起きた時のこと。アメリカは空母ジョージ・ワシントンを中国近海に送りましたが、中国側の主張によれば、空母には北京を攻撃できる核ミサイルが搭載されていました。アメリカは当然そうする権利があると考えていたのです。しかし、もし逆に、中国がワシントンを攻撃するような核ミサイルを搭載した空母をカリフォルニア沖に配備したとしたら、アメリカはどう対応するでしょうか? おそらく戦争を起こすでしょう。このように、アメリカには非常に根強い帝国主義的傲慢さがあるのです」  アベノミクスについては、壮大な実験をやっていると見てはいるが、成功するか失敗するかはまだよく見えてこないと語っている。  今週の第1位は、メディア支配を目指す安倍首相が、NHKを手中に収めようとしているというポストの記事を推す。  NHK会長人事は経営委員が会長を任命し、国会で同意を得た上で首相が任命するのだが、安倍首相はその経営委員たちを自分の息のかかった人間にして、NHK会長に自分の意のままに動く人物を据えようとしているというのである。 「安倍政権が10月25日、国会に提示したNHKの経営委員人事案は、安倍氏と会談したばかりの作家・百田尚樹氏、安倍応援団の代表格である保守派の評論家・長谷川三千子氏、そして安倍氏の元家庭教師だった日本たばこ産業(JT)顧問といった、首相に近い面々。安倍支配が始まったと、NHK局内では早くも悲鳴が上がっている」(ポスト)  すでに安倍政権との接近を示すことが起きていたという。 「10月5日に放送されたNHKスペシャル『ドキュメント消費増税 安倍政権2か月の攻防』の冒頭は、『NHKのカメラが、今回初めて総理大臣執務室に入りました』で始まる。安倍首相がどのような覚悟と男気を持って決断したかが描かれた番組だ」(同)  社内から「NHKは政権の広報機関でしかない」という声が上がっているという。  ポストによれば、安倍首相は第一次安倍政権はメディアの偏向報道に潰されたという思いが強く、特にNHKと朝日新聞が最大の天敵だそうだ。  今の松本正之会長の「公平・公正」方針が気に入らないようだ。では誰を据えたいのか?  NHK問題を取材するジャーナリストの町田徹氏がこう言っている。 「NHKインターナショナル経営特別主幹の諸星衛氏を推す声が強まっています。諸星氏は、NHK政治部記者出身で、海老沢勝二元会長の側近としても知られた人物です。実は彼は、当時官房副長官だった安倍氏らが従軍慰安婦問題などを扱ったNHKの番組内容に対する政治圧力を疑われた『番組改変問題』で、当時理事として『政治圧力ではなかった』と火消しに回った中心人物。安倍氏にとっては、“自分のために汗をかいてくれた”功労者で適任と考えておかしくない」  よく知られているようにNHKの予算は国会での承認が必要だから、そのためにNHKが政治に弱いというのは定説である。だが、この安倍首相のゴリ押しが通れば、NHKは安倍内閣の御用放送局となり、さらに政権ベッタリの大本営発表を垂れ流すことになる。  「国民には、政権にとって都合の悪いことは何も知らせるな」が安倍首相の“国家観”であること間違いない。やれやれである! (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 

“ご意見番”テリー伊藤に愛人報道「関係は20年以上」「みんな知ってる」

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「週刊文春」11月7日号 中吊広告より
今週の注目記事 第1位「みのもんた『バカヤロー!』会見の大嘘」 (「週刊文春」11月7日号) 第2位「テリー伊藤『カネと愛人』」 (「週刊文春」11月7日号) 第3位「私を塀の中に落としたバカラ台の悪魔」 (「週刊新潮」11月7日号) 第4位「日本版NSC(国家安全保障会議)の大愚作 機密情報を制するのは外務省か」 (「サンデー毎日」11月17日号) 第5位「天安門爆発!習近平体制はもうボロボロです」 (「週刊現代」11月16日号) 第6位「巨人エース内海が『女性問題』で脅されていた」 (「週刊文春」11月7日号)  私は由緒正しい親子2代の巨人ファンだから言わせもらうが、日本シリーズで楽天が勝てたのは、原巨人軍監督の最低・最悪の采配があったからである。  それがはっきり出たのは第7戦であった。第3戦に先発して2回途中で4失点・降板した杉内を、最も大事な試合で再び先発に起用したことである。  短期決戦では、調子の悪い選手が復調することはない。阿部慎之助、坂本勇人を見ればわかるはずだ。楽天の田中を打ち崩して勢いに乗る巨人だし、投手陣は充実しているのだから、一人1回ずつ投げさせてもいいはずなのに、一番出来の悪い投手を先発させ、早々と先取点を取られたにもかかわらず、交代させなかった原監督の大ボーンヘッドは、巨人ファンにとって“万死に値する”。  巨人9連覇の大監督・川上哲治は草葉の陰で嘆いていることであろう。巨人のフロントは選手の首切りをする前に、原監督を真っ先に切るべきである。  だらしない選手が多かった中で、エースの内海哲也はそれなりに頑張った。だが、文春では、その内海にシリーズ初戦の前日、こんな動きがあったと報じている。これが今週の6位。  読売新聞関係者が絶対匿名を条件に、こう語っている。 「読売グループの法務部長らが内海の女性関係のあるトラブルを相談するため、読売新聞の警視庁担当者のフォローを得て、密かに警視庁を訪れたのです。発端は広島のキャバクラ嬢との過去の交際トラブルだったそうです。まず、昨年の開幕前にこの女性のオトコを名乗る人物が内海に接触をして脅してきた。そこで内海はある知人にこの件の解決を依頼。知人は内海から百万円を受け取って広島に行き、話を付けてきた。この件で、内海は知人に対して直筆の礼状を渡しています。一枚の紙に走り書きのような文字で事の経緯などを記し、最後に自分のサインを書いたものです。しかし、ここから話が拗れ、謝礼を期待していた知人との関係が悪化、今年になって、礼状をネタにした次なるトラブルへと発展してしまったのです」  ここで問題になったのは、内海がトラブルの解決を依頼した知人というのが、山川一郎(仮名)という元暴力団員だったことだ。また、トラブルになった女性は、元山口組幹部の関係者の紹介だったという。  読売巨人軍側は、内海が山川らと会食していた事実があったことを認めた上で、内海が山川から恐喝を受けた事実は一切なく、第三者から恐喝を受けているという事実も一切ないと答えている。  これを読んで、昨年話題になった原辰徳監督の女性問題を思い出した。巨人は球界の紳士たれ、という言葉を覚えている選手などいないのだろうな。  10月28日に北京の中心にある天安門広場で起こった自動車爆破テロは、大きな衝撃を習近平体制に与えたと現代が報じている。  乗っていたウイグル族の実行犯3人を含む5人が死亡し、付近を歩いていた観光客ら40人が負傷するという惨事となった。  ウイグル族は、中国西端の新彊ウイグル自治区に住む、人口約1,100万人の少数民族。敬虔なイスラム教徒だが、中国からの独立志向が強いため、長年にわたって中国政府と対立を繰り返してきた。  現代によれば、新彊ウイグル自治区では、習近平総書記が国家主席に就任した今年3月以降、報道されているだけでも、10人以上の死者を出す事件が3度も起こっているという。  獅子身中の虫であるウイグル民族を弾圧するために、習近平はこんな作戦を考えているというのである。  ウイグル民族の中国からの分離独立を組織する「世界ウイグル会議」副総裁のイリハム・マハムティ氏はこう語る。 「第一に、ウイグルの農民の土地を奪い、その土地を、たっぷり国から手当をもらって移住してきた漢民族に引き渡す。第二に、土地を奪われて生活苦に喘ぐようになったウイグルの子供たちを、学習と就業の機会を与えるという口実で、中国の農村部に移住させる。そうやって、現在の1100万人を500万人にまで半減させようとしています。そうした上で、残った住民に徹底的な弾圧を加え、ウイグル人を羊のように黙らせるという狙いなのです」  習近平総書記にとって、新彊ウイグルは、少数民族問題であると同時に、資源問題、そして地域の覇権を取ることでもあるのだというが、ロシアがチェチェンに対して行った暴挙がウイグルに対して再び繰り返される恐れがあるようだ。  現代の中国情報は貴重なものである。週刊誌の中では数少ない読むべき内容のあるものだと、私は思っている。  特定秘密保護法案とセットになっている日本版NSC(国家安全保障会議)だが、この問題を報じる週刊誌のなんと少ないことか。こうした国の命運を決めかねない重要事項に対して、あまりにも週刊誌は鈍感である。  数少ないNSC問題を、毎日が報じているので取り上げた。 「増長と暴走の止まらない日本と、有効な制御策」  こうしたタイトルのリポートが9月上旬、米国防総省の中枢に届いたという。  安倍首相が靖国参拝をするために周囲とどんな協議しているのか、首相官邸でどのような会話が交わされているのかが書かれているものだという。  文責は米国国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)の連名。オバマ米大統領のブレーン機関関係者が、概要をこう語っている。 「堂々とスパイが潜り込んでいるとは思えません。何らかの手段で、通信を傍受していたとみるのが自然でしょう」  これは、日本の官邸で繰り広げられていた打ち合わせが、米国諜報機関に盗聴された可能性がある“衝撃証言”だというのである。  英紙「ガーディアン」などによると、米NSAは2006年頃、同盟国を含む世界の指導者35人の電話を盗聴し、10年には80都市以上で通信を傍受していたと報じている。ドイツのメルケル首相がオバマ大統領に事の真偽を問い、オバマが「知らされてなかった」と謝罪する始末である。  日本を盗聴することなど、アメリカにとっては容易いことであろう。  アメリカの真意は、安倍首相が靖国神社へ参拝することによって、中国との関係がこれ以上悪化するのを避けたい思いがあるからであろう。  毎日はこう書いている。 「米国は『中・韓と同じように靖国神社を“軍国主義の象徴”と捉えている』(外務省関係者)  10月3日、日米安全保障協議委員会のため来日したケリー氏とヘーゲル国防長官は靖国神社に見向きもせず、安倍首相と面会する前に、千鳥ヶ淵戦没者墓苑へ足を運んだ。別の外務省幹部が頭を抱える。『参拝は事前に米国側が伝えてきた。しかし、一方的だったのでウチが止められる余地はありませんでした。安倍首相の側近からは「米国がはっきりと反対のメッセージを出してきた以上、靖国カードは当面切れなくなった。外務省の責任だ」と散々ドヤされましたよ』」  そんな米国の意向を無視するかのように、安倍首相は日本版NSCを11月下旬に関連法案を可決成立させ、年内にも発足する見通しだという。  NSC事務局トップである国家安全保障局長のポスト争奪戦も激しいようだ。現段階でリードしているのは外務省とされる。安倍首相の外交ブレーンである谷内正太郎内閣官房参与がそれである。防衛省幹部は、その意義をこう話す。 「そもそもNSCは、外務省が他省庁のネットワークや権益を組み込んで、活動を拡大するような組織です。それはもはや“新・外務省”“外務省の特殊部隊”と言っていいレベル。そこに、谷内氏が下馬評どおり事務方トップに君臨すれば、機能低下が指摘されて久しい外務省の完全復権を意味するのも同然です」  しかし、軍事ジャーナリスト神浦元彰氏は、NSCができても軍事情報はダダ漏れになると指摘している。  確かに今年5月、元米中央情報局(CIA)職員で、元米国家安全保障局(NSA)勤務経験もあったエドワード・スノーデン氏が、NSAの情報収集をメディアに告発したし、 2010年11月には、内部告発サイト「ウィキリークス」に米国の機密文書が公開された。  漏えいしたのは、陸軍上等兵のブラッドリー・マニング被告であった。今年8月の米軍事法廷で、被告には35年の禁固刑が言い渡されたが、軍や警察官の機密漏洩罪を厳しくしても、高い知識やモラルを持って、国民の不利益になる情報を公にする人間は後を絶たないはずである。  だが、翻って日本を見た場合、公務員はもちろんメディアにいる人間たちに、それほどの良識と実行力を持った者がいるのか。特定秘密保護法ができ、日本版NSCができれば、日本だけが情報鎖国になってしまう恐れは十分あるはずである。  スリルは賭けた金額に比例する。ギャンブル好きには有名な言葉だが、国内シェア3位の製紙メーカー、大王製紙の井川意高前会長(49)は、さぞかし最高のスリルを味わったことだろう。新潮のこの記事が今週の第3位。  彼が東京地検特捜部に逮捕されたのは、2011年11月22日のことだった。  その後の裁判で、カジノの借金を返済するために関連会社7社から計55億3,000万円を不正に借り入れて損害を与えたという会社法違反(特別背任)の罪に問われ、最高裁は今年6月、井川前会長の上告を棄却し、懲役4年の実刑判決が確定した。  彼は今、栃木県の「喜連川社会復帰促進センター」にいるという。  彼の独占手記を新潮が掲載している。よくもまあ書く気になったと思うが、書き方は淡々としている。  彼が国内の違法カジノに顔を出すようになったのは、六本木のクラブで働くママの紹介だという。  それから裏カジノに誘われ、気が付けば数カ月で8億円も負けていたことになっていた。それからしばらくはカジノから遠ざかっていたが、バカラ漬けになるマカオを訪れたのは06年からだった。  彼は集中力が削がれるので、バカラの最中には酒を一滴も飲まない。アドレナリンが出ているから、食欲もあまりなく、サンドウィッチやスパゲッティなどを口にするぐらいだったという。ギャンブルとは臨死体験だ、とも言っている。 「勝てば返し、負ければ借りるを繰り返した揚げ句、11年の3月には、資産管理会社と関連会社を併せて借金総額は50億円に膨れ上がっていた」というからすごい。  遅くとも関連会社が中間決算を迎える9月までには、20億円の借金をなんとか返さねばならなかったそうだ。 「私は主戦場をマカオからシンガポールに移す必要に迫られました。(中略)ここは1回に賭けられる上限が、マカオの1.5倍、3000万円だったからです」  早く取り戻さねばならないと、毎週末、シンガポールに向かったという。  一気に挽回しようとし、3億円からバカラをスタートした。しかし彼のチップはみるみるうちに減り続け、最後には2万5,000シンガポールドル(約150万円)のチップ1枚だけになってしまった。しかしそこから4時間余りの間連勝につぐ連勝で、150万円から一気に22億円まで盛り返したという。  しかし「最後の最後までバクチを打ってしまう私の性格に加え、勝ち続けた高揚感も手伝って、次に倍の40億円に増やすことができれば、即座に借金を返済できると考えてしまったのです。結局のところ、すべてのチップを失うことになってしまいました」  ギャンブルで、カネはもちろん社会的な地位も名声もすべて失った彼のこれからは苦難の道であろう。  だが、こんなケースがあるにもかかわらず、日本にカジノを作ろうという連中が、東京五輪を当て込んで動いているというのだ。  同じ新潮によれば、10月23日に超党派の国会議員で組織する国際観光産業振興議員連盟(通称カジノ議連)が幹事会を開催し、11月にも総会を開いて「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(カジノ基本法案)を、今国会に提出することを確認したというのである。  議連の中心メンバー柿沢未途代議士が、こう語る。 「シンガポールはカジノを中心とした統合型リゾートを2つ作ったら、海外からの観光客が増え、経済成長につながりました。もし東京の臨海部に統合型リゾートを建設すれば、売上げにして5000億円以上のポテンシャルがあると言われています。わが国も成長戦略の一環として早期実現を図るべきです」  カジノや覚せい剤特区を作って、廃人をどんどん増やせばいい。井川のような人間をこれ以上作ってどうする、阿呆! ほかにやることないのか。  みのもんたの息子スキャンダルに続いて、今度はやはりテレビで“ご意見番”として正論を吐いているテリー伊藤の女性問題が、文春によって発覚した。これが今週の第2位。  テリーが代表を務めるテレビ番組制作会社・ロコモーション関係者が語る。 「テリーさんは奥さんとは長らく別居状態にあると聞いています。この女性は、“第二夫人”と呼ばれるAさんですよ。Aさんは会社員で五十代。テリーさんとAさんとの関係は長い。その付き合いは、もう二十年近くなるはずです」  お次はAさんの知人である。 「いわゆる不倫関係ですよね。二人が出会ったのはAさんが三十代の頃。テリーは一目で彼女のことが気に入って『好きだよ、マジだよ、本気だよ』と口説いたのです。Aさんも『面白い人』とテリーを気に入り、ゾッコンになった。出会った当初、テリーはAさんの家に入り浸っていた。テリーは“Aちゃんへfromテリーwith love”という、傍から見ると歯の浮くようなメッセージを送ってくることもあった」  テリーはもともと演出家として『天才たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)や『浅草橋ヤング洋品店』(テレビ東京系)などの人気番組を手がけてきた。90年代後半からは演出家では飽き足らなくなってきたのか、タレント活動やコメンテーターをやり始める。  みの同様、“正義面”して政治や芸能人のスキャンダルを断罪していたが、自分がその立場になったらどうするのかが見物である。  この不倫関係、テリーの周囲では有名な話で、私も、テリーとかつて一緒に仕事をしたことがある人間からも、Aさんの姉である某作家からも聞いていた。  Aさんの知人がため息をつきながら、こう語る。 「二十年近く不倫関係のまま、Aさんは今も独身。以前は頻繁に会っていたのに、最近は不定期に会うだけだそう。周りからすれば、奥さんとの別居も長いわけですし、テリーにはケジメをつけて欲しい。何しろAさんは三十から四十代の女盛りを全てテリーに捧げたんですから……」  さて、テリーはどう答えるのか? 返答次第ではみのの二の舞になり、コメンテーターの座も危うくなる。  ところがAさんとの関係はと聞かれて、普通の友達ですよと答えたが、最近会っている写真を見せられると、その後はしどろもどろ。 「テリー『あーっ! あれ、それ……。デートじゃないよ。どここれ? ああ、そうだ彼女の飼っている犬が死んでさ……』 ──彼女の犬が死んだ? テリー『いや、全然関係ないと思う(笑)。これ、どこかもわかんないんだよッ。女友達ですよ』」  妻とは別居もしていない、Hも何年もしてないと逃げているが、これではこれから、芸能人の不倫問題にはコメントしづらくなるのは必定だろう。  潔く認めないのは、まだテレビにしがみつきたいからなのだろう。こんな男と袖すりあった女性が哀れではある。  今週の第1位は、まだまだ続く「みのもんた騒動」。みのが記者会見して『みのもんたの朝ズバッ!』(TBS系)などを降板すると言ったが、週刊誌は「まだ許さへんで!」と詰め寄っている。  ポストを除いては、各誌相当なページを割いている。中でも文春は「独占対決120分」、毎日は牧太郎元サンデー毎日編集長を担ぎ出し、みののインタビューを掲載している。  毎日のインタビューにも読みどころは多々あるが、文春の切り口に「まいった!」とばかりにインタビューに応じているほうが内容的に一枚上だと思い、こちらを取り上げた。  可哀想なのは現代で、取材をOKしたのに、「それは僕が最初に聞いていた趣旨と違うよ」と、会ったとたんみのから断られてしまったのである。 「資産のこと、お子さんのことなど、みのさんにとって不利な質問もすることになると思います」と切り出した瞬間、みのは無表情にこう言ったそうだ。 「そういうつもりならば、ここから先はマネージャーと話したほうがいいと思いますよ。そういう(批判を含む)趣旨でということなら、お断りするのが筋ですから」  しかし、毎日のインタビューでもこう答えているのだ。 「牧『会社名義のマンションにして住まわせている、都心の一等地に2億円の宅地を買い与えた、という報道もあったけど』 みの『これはきちんとお金を取ってます。マンションは空き部屋に入れて適正な家賃をもらい、土地は次男名義の貯金から支払いを受けました。しかも競売物件でそんな値段じゃありません。税務署はそんな甘いところじゃないです。きちんとした商取引じゃなければ通りません』 牧『倅さんをテレビ局にコネで入社させたんじゃないかという思いがあった。実際どうなの?』 みの『長男は元々アナウンサー志望でTBSを受けましたがダメで、一般職に切り替えて採用されました。でも、次男の場合は『どうしてもテレビ局へ行きたい、スポーツ関係の仕事がしたい』と言うので、日本テレビのさる方にお願いをした……これは事実です』」  要は、みのは現代には話したくなかったか、虫の居所が悪かったのであろう。文春には思いの丈をぶちまけている。 「いったいどこまで僕の人格否定をすれば気が済むんですか。次男の事件だけならまだしも、私の人品骨柄、収入まで全否定していますよ。もはや“人格否定”ではなく“存在否定”です。私はこの世から消えていなくなればいいんですか。文春さん、なんでここまで書かれなきゃいけないのか教えて下さいよ。普通、何かを論じる場合には“寸止め”をするじゃないですか」  よほど文春に書かれたことが堪えたと見え、こう続ける。 「会見でも語りましたが、活字の批判が厳しくなって、辞めざるをえないような風潮になってきた。(中略)特にひどかったのが文春さん。最初の事件、これは仕方がない。(中略)で、最新号の『みのもんたの品格』、あれが決定的でした。記事に書かれてあるように、そんなに僕は品がないのか、と思い、正直ショックを受けました。あのタイトル、やられたなと思いましたね」  次男には厳しくしてきたと記者会見でも話したが、ここでもこう答えている。 「次男には厳しすぎたくらいだ、と思ってます。ただ、しっかり者の長女やお兄ちゃんがいて、末っ子の次男はヤンチャだったけど、どうしても可愛いんだよね。(中略)僕は命がけでやってきた、一番大事な報道キャスターを辞めたんですから。今でも報道キャスターをやりたいと思っています。いつかまた絶対に、その場所に戻ってくるつもりです」  当人はここへきても「報道バラエティ番組のご意見番」程度ではなく「報道キャスター」だと思っているようである。みのはバラエティ番組は降板しないと強気だが、週刊新潮によれば、その席も危ういというのだ。  日本テレビの幹部社員によれば、 「会見でみのが慰留されたと語った、読売テレビ制作の『秘密のケンミンSHOW』も、スポンサーからの苦情で、これ以上続けるのは難しい。すでに局内では、来年3月までで打ち切るか、大幅にリニューアルすることが内定しています」  新潮はこう結んでいる。 「総理と食事をしたと自慢し、我が世の春を謳歌できなければ、報道になど価値を見出さないのが、みののみのたる所以だろう。もはや八方塞がりでも、方々積み残した思いにとらわれ、成仏は遠そうである」  このあたりで、みのもんた騒動は打ち切りにしたらどうだろう。食傷気味でゲップが出る。 (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 

「人間が近づけば即死──」特定秘密保護法が隠そうとする、福島第一原発4号機の“不都合な真実”

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「週刊朝日」11月8日号
今週の注目記事「専門家が本気で心配する福島第一原発4号機の燃料棒溶融」 (「週刊朝日」11月8日号) ・「目からウロコの大胆提言! サラリーマンの給料に消費税を」 (「週刊ポスト」11月8・15日号) ・「金正日は1兆円で日本に謝罪した」 (「週刊文春」10月31日号) ・「TBS大株主『みのもんた』反撃の倍返し」 (「週刊新潮」10月31日号) ・「本誌が勝訴! ユニクロはやっぱり『ブラック企業』」 (「週刊文春」10月31日号) ・「特定秘密保護法の“ずさんさ”」 (「週刊朝日」11月8日号) 今週の唸らせるタイトル「『松本人志』監督『R100』 上映館を埋め尽くす閑古鳥の大群」 (「週刊新潮」10月31日号)  今週はポストが合併号で420円。現代は通常号で400円。朝日もついに400円になってしまった。増大号とうたってあるが、それほど厚くはない。新潮370円、文春は秋の特大号とうたって390円。買ってお得なのはどれか? 読者のシビアな選択眼に耐えられるのはどれか? 来年の消費税アップの時が、週刊誌存亡の正念場になるだろう。  さて、新潮は名編集者の斎藤十一氏が作り上げたものだが、当時からタイトルのうまさは群を抜いていた。その伝統はまだ残っていて、時々だが、うまい! と感心させられるタイトルがある。  今週のワイドの中の1本、お笑い芸人の松本人志が作った映画『R100』の記事に付いたタイトルが「『松本人志』監督『R100』 上映館を埋め尽くす閑古鳥の大群」。中身を読まなくても、タイトルがすべてを表している。天晴れ! である。  今週はどの記事もドングリの背比べだから、順位を付けるに至らなかった。  まずは朝日の特定秘密保護法の記事だが、他誌がこの問題を扱っていないのは、どうしたのだろう。死ぬまでセックスなどと囃し立てているうちに、淫乱ボケにでもなってしまったのだろうか?  それとも、自分たちの雑誌は国の機密などに接触することも関心もないから「他人事」だと考えているからだろうか? 厳しい言い方になるが、そんな雑誌は存在価値がない。  朝日もタイトルからして腰が引けていて、読んでいて腹が立つ。特定秘密保護法は“ずさん”なのではなく、危険すぎる法律なのだ。文中で、情報公開に詳しい識者がこう指摘している。 「行政機関の長による指定にチェックが利かない点や、5年ごとに特定秘密の指定期間が更新可能で、30年を超える場合は内閣の承認があれば延長でき、半永久的に情報公開されない可能性がある」  ここで、上智大学の田島泰彦教授や立教大学の服部孝章教授らと私たちが訴えている声明文の1部を引用しておく。 「(中略)広範な国家秘密をお上(官僚)の一存で秘密に指定し、その漏えいや取得をはじめさまざまな行為を犯罪として厳罰に処し、適性評価制度で秘密の管理も厳格にするというまさに『まず秘密ありき』の露骨な法案で、市民の知る権利や情報公開の理念に真っ向から反し、情報公開を広げる世界の潮流にも逆行する挑戦に他ならない。  言論、表現活動に携わり、関わる私たちにとって、取材・報道の自由や創作の自由も含む表現の自由は譲り渡すことのできない貴重な権利であり、市民の知る権利を充足する重要な手段でもある。法案は重要な国家秘密を取り扱う情報源たる公務員等の漏えいに重罰を科し、適性評価制度による選別で内部告発を狭めることによって情報源の萎縮を促進し、取材者が入手できるはずの有用な情報を細らせ、枯渇させることになる(中略)」  まさに、安倍首相がもくろむ「平成の治安維持法」である。ここでメディアが一斉に声を上げないと安倍や官僚たちの思うままになり、特定の名が付けば外交、軍事だけではなく、原発情報なども国民は手にすることができなくなるのだ。声を大にして言いたい。危機感をかき立てろ!  お次は文春。ユニクロから訴えられていた文春だが、裁判所が「ブラック企業」と認定してくれたと報じている。 「『原告らのその余の請求をいずれも棄却する』10月18日、東京地裁の法廷に、土田昭彦裁判長の声が響き渡った。ユニクロ側が文藝春秋を訴えた裁判の判決で、本誌が指摘した『過剰労働』について、裁判所は全面的に事実と認定したのだ」(文春)  ユニクロ側が問題視したのは、文春(2010年5月6日/13日号)で、国内店舗や中国の工場における過酷な労働環境をレポートした、次のような記述についてである。 <現役店長はこう説明する。(中略)『けれど、仕事量が減ったわけでありませんから、11月や12月の繁忙期となると、今でも月300時間を超えています。そんな時は、タイムカードを先に押して、いったん退社したことにしてから働いています。本部ですか? 薄々は知っているんじゃないですか」>(『ユニクロ帝国の光と影』(文藝春秋・横田増生著より)  これを読んだユニクロ柳井正社長の怒りは、すさまじかったようだ。  11年6月6日に行われた部長会議では、文春を訴える旨の報告の後、柳井社長から次のような話があったと文春は書いている。 「高収益を上げ、高成長を遂げているユニクロは、低価格と高品質を両立した商品を実現するために、店舗の社員やお取引先の労働者から搾取している、という内容が書籍に書かれている。しかし、我々は、そのような恥ずべき行為は決してしておらず、万が一、不適切な労働実態などあれば、真摯にそれを正していく企業である」(同社「部長会議ニュース」より)  裁判所は柳井社長やユニクロ側の請求をすべて棄却した。判決のポイントになったのはこうだ。 「判決文では、ユニクロ国内店舗の労働環境について<出退勤管理のシステム上、サービス残業を行うことは物理的には可能であり(中略)、現にサービス残業が行われた事例が発覚していることが認められる><(記事の)重要な部分については真実である>として、著者の横田氏が店長の証言にもとづいて報じた長時間労働の実態を事実と認定している。中国の現地工場における長時間残業などについては<(記事の)重要な部分が真実であると判断したことには相当の理由がある>と内容の正当性が認められている」  10月10日にアパレル業界としては初めて年間売上高が1兆円を突破したユニクロだが、ブラック企業という“汚名”は、まだまだ消えないようである。  新潮のみのもんたの記事はなかなか面白かったのだが、26日にみのが記者会見をして、報道番組から降板することを発表してしまったため、ここに書いてあるような「徹底抗戦」はしないようだ。だが、他誌より内容的に優れているので紹介してみよう。 「みのさんが9月30日までにTBSホールディングスの株を3万株買い増しし、個人筆頭株主に躍り出たというのです。(中略)そもそも、みのさんは、うちの株を5~6万株持つ大株主でした。TBSでは、2005年に始まった楽天による株式の買収騒動の際に、局と縁の深い多数の資産家に安定株主として株を持ってもらう防衛策をとりました。この時、みのさんにも頭を下げて、買っていただいたんです」  このコメントはTBSのある中堅社員である。個人ではかなりの株数になるのだが、それでも全体でいえば少数派である。みのはどんな戦略を考えているのだろうか。同社員がこう続ける。 「これが編成局や報道局の一部の幹部にも知らされ、衝撃が走ったといいます。実際には7~8万株持ったとしても、発行済み株式の0.1%にも満たないし、議決権などを行使できるような影響力はありません。しかし、大株主の一人であることには違いなく、本人にすれば、それを背景に“自分から降板するつもりはない”と徹底抗戦の意思表明を行ったのではないでしょうか。少なくとも、この話を聞いた幹部らはそう受けとめたようです。(中略)あるいは、株購入によって、“楽天騒動の際に協力したことを、よもやお忘れではないでしょうね”と井上弘会長、石原俊爾社長ら経営幹部に訴え、恩義を思い出してもらおうという戦略かもしれません」  彼の知人は「本人は、やはりTBSの『朝ズバッ!』に復帰したい一念ですよ」と語っている。  だが、そのTBSでは、彼の知らないところで重要な決定が下されていたというのである。 「実は、各部署の法令遵守事案を統括するコンプライアンス室で、みのさんの処遇をめぐる問題が議題にかけられていたのです。  こう内情を明かすのはTBSの幹部である。 『それがつい最近、<みのもんた氏の復帰は不都合で、困難である>との結論に達したのです。もちろんこれが即、社全体の決定にはなりませんが、間もなく役員会に上げられる。これを基に、井上会長や石原社長がみのさんと話し合うことになるでしょう』」  最高年棒は一時27億円を超えたと豪語するみのだが、親から引き継いだ水道業「ニッコク」の業績が下がりっぱなしで、7億円ともいわれるギャラがなくなるとそちらへの影響が出るようだし、鎌倉の大豪邸の維持費も毎年数千万円になるというから、そう簡単に「全部辞めます」とは言えないようである。バラエティ番組には出るそうだが、彼が望んでいるように、報道番組から「戻ってきて」という声はかからないと思う。  カネを持てば持っただけ生活が大きくなり、それを縮小するのはなかなか難しい。大変ですな、みのさんは。  文春は小泉純一郎総理(当時)が訪朝した2002年の日朝首脳会談で、北朝鮮の要求に従って1兆円の支援をしていたという張真晟(チャン・ジンソン)氏の証言を取り上げている。  これは同社が出した本のパブ記事ではあるが、これが本当だったら小泉訪朝とはなんだったのかが問われることになる。 「『拉致被害者の横田めぐみさんは2003年に生きていた可能性がある』『故金正日総書記は2002年の日朝首脳会談で、日本が提案した114億ドル(当時のレートで約1兆4000億円)の支援がほしくて、独断で拉致を認めて謝罪した』。こんな衝撃的な内容が書かれた本が出版された。タイトルは『金王朝『御用詩人』の告白──わが謀略の日々』(文藝春秋)。著者は北朝鮮の対南工作機関である『統一戦線事業部(統戦部)』に体制宣伝の詩人として勤務し、その後脱北した張真晟氏だ」(文春)  張氏は、首脳会談後に北朝鮮外務省が作成した参考資料に目を通したという。 「張氏は、記憶をたどって、この参考資料の内容を、著書の中で再現している。それによれば、北朝鮮側は日本による植民地支配の賠償金として400億ドルを提示したが、日本側から『日本が建設した発電所や製鉄所、鉄道などの使用料を払え』と逆襲される。北朝鮮側は、外貨による現金支援を求めるが、日本側は、『独裁国家の支援には、北朝鮮の核開発への支援とみなされ、米国は検証を求めて介入してくる』と、北朝鮮側が最も嫌がるポイントを突いてきた。最終的には日本政府から114億ドルの物的支援を受けることで何とか合意した。政府開発援助(ODA)式支援と推定される」(同)  首脳会談の午前の会議が終了し、休憩時間中に、北朝鮮側が拉致に対する公開謝罪を拒否したため、小泉代表団の中から「帰ろう」という声が上がり、金正日総書記があわてて、独断で謝罪することを決めたのだという。  114億ドルという数字については、当然ながら、そんな数字を提示してはいないと、当時の関係者たちは揃って否定している。 「しかし張氏は、『北朝鮮の政権中枢にいた私以外の脱北者も、この数字を聞いていた』と自信をみせた。また、日本政府の拉致問題担当者の中にも、『その数字を聞いたことがある』という複数の証言があり、信憑性は高い」(同)  金正日総書記の謝罪と拉致被害者の帰国がカネで買われていたとすれば、小泉元総理は国民に経緯を説明する義務がある。だが、ODA式支援だとすれば、どうやってそのカネを捻出したのだろうか。1兆円以上のカネの出を完全に秘密にしておくことなどできるはずないと思うのだが。  ポストはどえらいページを割いて銀行についての大特集を組んでいるが、少し前に確か現代がやっていたが、それと五十歩百歩の記事。大手銀行は3行しかないのだし、庶民の言うことなどハナから聞く気などないのだから、読む気が失せる。  それよりも、サラリーマンの給料に消費税をという記事のほうがへぇーッと思わせるものがあった。そうすれば、サラリーマンも会社も損をしないというのである。  そうなると、月収約47万円のサラリーマンの収入や支出がどう変わるかをポストが試算した。 「会社から支払われる給料に消費税5%=2万3500円が上乗せされるため、月収は約49万3500円に増える。所得税や社会保険料は同じ。また、消費支出も変わらないから、『家計黒字』は約10万3500円に増える。『でも、その貯蓄から自分で消費税を税務署に納めなくちゃならないでしょ?』という疑問は、その通り。しかし、会社から給料に加算される消費税額より、サラリーマンが納付する税額の方が少なくて済む」  税法学者で現役の税理士でもある浦野広明立正大学客員教授は、こう指摘している。 「サラリーマンは労働力を商品として売っているので、消費税が課税される場合、スーツや靴など直接仕事に使うものだけでなく、妻や子供など扶養者の養育費や生活費、住宅購入費も仕入れとして考えるべきです」  ポストによれば、消費支出すべてを仕入れとすれば、そこで支払った消費税負担分1万3,300円が控除され、追加で納めなければならない消費税額は、2万3,500円-1万3,300円=1万200円となる。それを納税しても家計の黒字は、現在より1万3,300円アップするというのだ。  安倍首相、考えてみたらいかがか。  すでに国民の記憶から薄れていっている福島第一原発事故だが、これを風化させてはならじと、朝日が一番心配される4号機について巻頭で特集を組んでいる。  現代も「東電破綻」という巻頭特集を組んでいるが、こちらは東電が破綻したときの経済的な観点からの記事なので、朝日のほうを紹介したい。  これを読んで震えがくるのは、寒くなってきた季節のせいばかりではない。じっくり読んで欲しい記事である。  早ければ11月8日にも始まる、福島第一原発4号機の使用済み燃料プールの燃料棒の取り出し作業だが、ひとつ間違えば大変なことになるのだ。 「東日本大震災当時、停止していた4号機では、1~3号機と違いメルトダウンは起きていない。その代わり、水素爆発でグチャグチャに吹き飛んだ建屋の上部にある燃料プールに、1533体もの燃料棒が残されたままになっている」(朝日)のである。  事故前に燃料棒の移動に携わっていた元大手原発メーカー社員が語っている。 「作業には熟練の技術が必要。まず水中で機器を操作し燃料棒を数十体ずつキャスクという金属容器に詰める。燃料棒をちょっとでも水から露出させたら、作業員は深刻な被曝を強いられる。水中で落下させて燃料を覆う金属の管が破れても汚染は深刻。フロアの全員退避は避けられない」  廃炉工程を検証している「プラント技術者の会」の川井康郎氏もこう指摘する。 「キャスクが落下して破損し、中の燃料が露出したら、大量の放射性物質が放出される。作業員はもう近づけません。燃料棒はまだ崩壊熱を帯びており、本来は常に冷やし続けなければならない。長時間放置すると燃料が溶融する可能性があります。こうなると燃料の回収は困難になり、作業全体が頓挫してしまう」  むき出しになった燃料は、「人間が近づけば即死」(原子力工学の専門家)という凄まじい放射線量である。こうなると、1~3号機のメルトダウンに匹敵する深刻な危機に直面するという。  まだまだ危機など去っていないし、汚染水すらコントロールされていないのだ。それなのに安倍首相と東電は柏崎刈羽原発を再稼働しようと企んでいるのである。  再稼働のキーマンであるv新潟県知事もインタビューで「東電まかせではまた事故は起こる」と言いきっている。  泉田知事が9月25日に東電の広瀬社長と会談した翌日、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委に申請することを認めたため、「知事は心変わりしたのではないか」と受け取った人もいるという問いに、「心変わりではなく、むしろ安全性をいかに高めるかを考えた上での決断です」と答えている。  さらに今の東電は、知事の要求に応えることができるでしょうか、という問いに対しては、 「最大の問題は、東電がお金の問題で首が回らなくなって、きちんとした判断ができなくなっていることです。事故処理のために9600億円の引当金を積んでおきながら、1000億円がもったいないと言って遮水壁を造らなかった。事故処理の費用を電気料金に上乗せして返すという今の形は、もう限界にきています」  東電の破綻処理もあり得るかという質問には、 「日本航空だって破綻処理をして、経営陣が責任をとった上でOBの年金もカットして、V字回復したわけです。東電は負担をすべて電気料金にかぶせていますが、株主や金融機関の責任はゼロでいいんでしょうか。破綻処理をしても電気料金という日銭が入ってくるんですから電気供給は止まりませんし、債権の見直しをすればすぐに料金を値上げする必要はありません」  しかし、原子力規制委の田中俊一委員長に面会を申込んでいるのに、会ってくれないそうですねという問いには、 「規制委に国民の命と安全と財産を本気で守るつもりがあるのか疑問です。守っているのは、電力会社の財産ではないか。規制委には地方自治に明るい人が一人もおらず、断層のチームと原発設備のチームしかいない。新潟県は中越沖地震の時に原発事故との複合災害を身をもって体験しています」  そして最後にこう言っている。 「国民の皆さんは正しい情報さえ与えられれば、的確な判断ができるんです。情報を与えないで誘導するのでは、また同じ過ちを繰り返してしまう。まさに今、日本の民主主義の熟度が試されていると思います」  そうなのだ! 今の安倍自民党政権が目指しているのは、国民に知らせたくない情報をすべて隠すことができる国にしようということなのだ。  国民の多くが原発事故を忘れたわけではない。メディアが報じないから記憶が薄れてしまっているのだ。これだけの大事故が3年も経たずに風化していくとしたら、メディアも日本という国も最低だと、私は考える。 (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 

「人間が近づけば即死──」特定秘密保護法が隠そうとする、福島第一原発4号機の“不都合な真実”

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「週刊朝日」11月8日号
今週の注目記事「専門家が本気で心配する福島第一原発4号機の燃料棒溶融」 (「週刊朝日」11月8日号) ・「目からウロコの大胆提言! サラリーマンの給料に消費税を」 (「週刊ポスト」11月8・15日号) ・「金正日は1兆円で日本に謝罪した」 (「週刊文春」10月31日号) ・「TBS大株主『みのもんた』反撃の倍返し」 (「週刊新潮」10月31日号) ・「本誌が勝訴! ユニクロはやっぱり『ブラック企業』」 (「週刊文春」10月31日号) ・「特定秘密保護法の“ずさんさ”」 (「週刊朝日」11月8日号) 今週の唸らせるタイトル「『松本人志』監督『R100』 上映館を埋め尽くす閑古鳥の大群」 (「週刊新潮」10月31日号)  今週はポストが合併号で420円。現代は通常号で400円。朝日もついに400円になってしまった。増大号とうたってあるが、それほど厚くはない。新潮370円、文春は秋の特大号とうたって390円。買ってお得なのはどれか? 読者のシビアな選択眼に耐えられるのはどれか? 来年の消費税アップの時が、週刊誌存亡の正念場になるだろう。  さて、新潮は名編集者の斎藤十一氏が作り上げたものだが、当時からタイトルのうまさは群を抜いていた。その伝統はまだ残っていて、時々だが、うまい! と感心させられるタイトルがある。  今週のワイドの中の1本、お笑い芸人の松本人志が作った映画『R100』の記事に付いたタイトルが「『松本人志』監督『R100』 上映館を埋め尽くす閑古鳥の大群」。中身を読まなくても、タイトルがすべてを表している。天晴れ! である。  今週はどの記事もドングリの背比べだから、順位を付けるに至らなかった。  まずは朝日の特定秘密保護法の記事だが、他誌がこの問題を扱っていないのは、どうしたのだろう。死ぬまでセックスなどと囃し立てているうちに、淫乱ボケにでもなってしまったのだろうか?  それとも、自分たちの雑誌は国の機密などに接触することも関心もないから「他人事」だと考えているからだろうか? 厳しい言い方になるが、そんな雑誌は存在価値がない。  朝日もタイトルからして腰が引けていて、読んでいて腹が立つ。特定秘密保護法は“ずさん”なのではなく、危険すぎる法律なのだ。文中で、情報公開に詳しい識者がこう指摘している。 「行政機関の長による指定にチェックが利かない点や、5年ごとに特定秘密の指定期間が更新可能で、30年を超える場合は内閣の承認があれば延長でき、半永久的に情報公開されない可能性がある」  ここで、上智大学の田島泰彦教授や立教大学の服部孝章教授らと私たちが訴えている声明文の1部を引用しておく。 「(中略)広範な国家秘密をお上(官僚)の一存で秘密に指定し、その漏えいや取得をはじめさまざまな行為を犯罪として厳罰に処し、適性評価制度で秘密の管理も厳格にするというまさに『まず秘密ありき』の露骨な法案で、市民の知る権利や情報公開の理念に真っ向から反し、情報公開を広げる世界の潮流にも逆行する挑戦に他ならない。  言論、表現活動に携わり、関わる私たちにとって、取材・報道の自由や創作の自由も含む表現の自由は譲り渡すことのできない貴重な権利であり、市民の知る権利を充足する重要な手段でもある。法案は重要な国家秘密を取り扱う情報源たる公務員等の漏えいに重罰を科し、適性評価制度による選別で内部告発を狭めることによって情報源の萎縮を促進し、取材者が入手できるはずの有用な情報を細らせ、枯渇させることになる(中略)」  まさに、安倍首相がもくろむ「平成の治安維持法」である。ここでメディアが一斉に声を上げないと安倍や官僚たちの思うままになり、特定の名が付けば外交、軍事だけではなく、原発情報なども国民は手にすることができなくなるのだ。声を大にして言いたい。危機感をかき立てろ!  お次は文春。ユニクロから訴えられていた文春だが、裁判所が「ブラック企業」と認定してくれたと報じている。 「『原告らのその余の請求をいずれも棄却する』10月18日、東京地裁の法廷に、土田昭彦裁判長の声が響き渡った。ユニクロ側が文藝春秋を訴えた裁判の判決で、本誌が指摘した『過剰労働』について、裁判所は全面的に事実と認定したのだ」(文春)  ユニクロ側が問題視したのは、文春(2010年5月6日/13日号)で、国内店舗や中国の工場における過酷な労働環境をレポートした、次のような記述についてである。 <現役店長はこう説明する。(中略)『けれど、仕事量が減ったわけでありませんから、11月や12月の繁忙期となると、今でも月300時間を超えています。そんな時は、タイムカードを先に押して、いったん退社したことにしてから働いています。本部ですか? 薄々は知っているんじゃないですか」>(『ユニクロ帝国の光と影』(文藝春秋・横田増生著より)  これを読んだユニクロ柳井正社長の怒りは、すさまじかったようだ。  11年6月6日に行われた部長会議では、文春を訴える旨の報告の後、柳井社長から次のような話があったと文春は書いている。 「高収益を上げ、高成長を遂げているユニクロは、低価格と高品質を両立した商品を実現するために、店舗の社員やお取引先の労働者から搾取している、という内容が書籍に書かれている。しかし、我々は、そのような恥ずべき行為は決してしておらず、万が一、不適切な労働実態などあれば、真摯にそれを正していく企業である」(同社「部長会議ニュース」より)  裁判所は柳井社長やユニクロ側の請求をすべて棄却した。判決のポイントになったのはこうだ。 「判決文では、ユニクロ国内店舗の労働環境について<出退勤管理のシステム上、サービス残業を行うことは物理的には可能であり(中略)、現にサービス残業が行われた事例が発覚していることが認められる><(記事の)重要な部分については真実である>として、著者の横田氏が店長の証言にもとづいて報じた長時間労働の実態を事実と認定している。中国の現地工場における長時間残業などについては<(記事の)重要な部分が真実であると判断したことには相当の理由がある>と内容の正当性が認められている」  10月10日にアパレル業界としては初めて年間売上高が1兆円を突破したユニクロだが、ブラック企業という“汚名”は、まだまだ消えないようである。  新潮のみのもんたの記事はなかなか面白かったのだが、26日にみのが記者会見をして、報道番組から降板することを発表してしまったため、ここに書いてあるような「徹底抗戦」はしないようだ。だが、他誌より内容的に優れているので紹介してみよう。 「みのさんが9月30日までにTBSホールディングスの株を3万株買い増しし、個人筆頭株主に躍り出たというのです。(中略)そもそも、みのさんは、うちの株を5~6万株持つ大株主でした。TBSでは、2005年に始まった楽天による株式の買収騒動の際に、局と縁の深い多数の資産家に安定株主として株を持ってもらう防衛策をとりました。この時、みのさんにも頭を下げて、買っていただいたんです」  このコメントはTBSのある中堅社員である。個人ではかなりの株数になるのだが、それでも全体でいえば少数派である。みのはどんな戦略を考えているのだろうか。同社員がこう続ける。 「これが編成局や報道局の一部の幹部にも知らされ、衝撃が走ったといいます。実際には7~8万株持ったとしても、発行済み株式の0.1%にも満たないし、議決権などを行使できるような影響力はありません。しかし、大株主の一人であることには違いなく、本人にすれば、それを背景に“自分から降板するつもりはない”と徹底抗戦の意思表明を行ったのではないでしょうか。少なくとも、この話を聞いた幹部らはそう受けとめたようです。(中略)あるいは、株購入によって、“楽天騒動の際に協力したことを、よもやお忘れではないでしょうね”と井上弘会長、石原俊爾社長ら経営幹部に訴え、恩義を思い出してもらおうという戦略かもしれません」  彼の知人は「本人は、やはりTBSの『朝ズバッ!』に復帰したい一念ですよ」と語っている。  だが、そのTBSでは、彼の知らないところで重要な決定が下されていたというのである。 「実は、各部署の法令遵守事案を統括するコンプライアンス室で、みのさんの処遇をめぐる問題が議題にかけられていたのです。  こう内情を明かすのはTBSの幹部である。 『それがつい最近、<みのもんた氏の復帰は不都合で、困難である>との結論に達したのです。もちろんこれが即、社全体の決定にはなりませんが、間もなく役員会に上げられる。これを基に、井上会長や石原社長がみのさんと話し合うことになるでしょう』」  最高年棒は一時27億円を超えたと豪語するみのだが、親から引き継いだ水道業「ニッコク」の業績が下がりっぱなしで、7億円ともいわれるギャラがなくなるとそちらへの影響が出るようだし、鎌倉の大豪邸の維持費も毎年数千万円になるというから、そう簡単に「全部辞めます」とは言えないようである。バラエティ番組には出るそうだが、彼が望んでいるように、報道番組から「戻ってきて」という声はかからないと思う。  カネを持てば持っただけ生活が大きくなり、それを縮小するのはなかなか難しい。大変ですな、みのさんは。  文春は小泉純一郎総理(当時)が訪朝した2002年の日朝首脳会談で、北朝鮮の要求に従って1兆円の支援をしていたという張真晟(チャン・ジンソン)氏の証言を取り上げている。  これは同社が出した本のパブ記事ではあるが、これが本当だったら小泉訪朝とはなんだったのかが問われることになる。 「『拉致被害者の横田めぐみさんは2003年に生きていた可能性がある』『故金正日総書記は2002年の日朝首脳会談で、日本が提案した114億ドル(当時のレートで約1兆4000億円)の支援がほしくて、独断で拉致を認めて謝罪した』。こんな衝撃的な内容が書かれた本が出版された。タイトルは『金王朝『御用詩人』の告白──わが謀略の日々』(文藝春秋)。著者は北朝鮮の対南工作機関である『統一戦線事業部(統戦部)』に体制宣伝の詩人として勤務し、その後脱北した張真晟氏だ」(文春)  張氏は、首脳会談後に北朝鮮外務省が作成した参考資料に目を通したという。 「張氏は、記憶をたどって、この参考資料の内容を、著書の中で再現している。それによれば、北朝鮮側は日本による植民地支配の賠償金として400億ドルを提示したが、日本側から『日本が建設した発電所や製鉄所、鉄道などの使用料を払え』と逆襲される。北朝鮮側は、外貨による現金支援を求めるが、日本側は、『独裁国家の支援には、北朝鮮の核開発への支援とみなされ、米国は検証を求めて介入してくる』と、北朝鮮側が最も嫌がるポイントを突いてきた。最終的には日本政府から114億ドルの物的支援を受けることで何とか合意した。政府開発援助(ODA)式支援と推定される」(同)  首脳会談の午前の会議が終了し、休憩時間中に、北朝鮮側が拉致に対する公開謝罪を拒否したため、小泉代表団の中から「帰ろう」という声が上がり、金正日総書記があわてて、独断で謝罪することを決めたのだという。  114億ドルという数字については、当然ながら、そんな数字を提示してはいないと、当時の関係者たちは揃って否定している。 「しかし張氏は、『北朝鮮の政権中枢にいた私以外の脱北者も、この数字を聞いていた』と自信をみせた。また、日本政府の拉致問題担当者の中にも、『その数字を聞いたことがある』という複数の証言があり、信憑性は高い」(同)  金正日総書記の謝罪と拉致被害者の帰国がカネで買われていたとすれば、小泉元総理は国民に経緯を説明する義務がある。だが、ODA式支援だとすれば、どうやってそのカネを捻出したのだろうか。1兆円以上のカネの出を完全に秘密にしておくことなどできるはずないと思うのだが。  ポストはどえらいページを割いて銀行についての大特集を組んでいるが、少し前に確か現代がやっていたが、それと五十歩百歩の記事。大手銀行は3行しかないのだし、庶民の言うことなどハナから聞く気などないのだから、読む気が失せる。  それよりも、サラリーマンの給料に消費税をという記事のほうがへぇーッと思わせるものがあった。そうすれば、サラリーマンも会社も損をしないというのである。  そうなると、月収約47万円のサラリーマンの収入や支出がどう変わるかをポストが試算した。 「会社から支払われる給料に消費税5%=2万3500円が上乗せされるため、月収は約49万3500円に増える。所得税や社会保険料は同じ。また、消費支出も変わらないから、『家計黒字』は約10万3500円に増える。『でも、その貯蓄から自分で消費税を税務署に納めなくちゃならないでしょ?』という疑問は、その通り。しかし、会社から給料に加算される消費税額より、サラリーマンが納付する税額の方が少なくて済む」  税法学者で現役の税理士でもある浦野広明立正大学客員教授は、こう指摘している。 「サラリーマンは労働力を商品として売っているので、消費税が課税される場合、スーツや靴など直接仕事に使うものだけでなく、妻や子供など扶養者の養育費や生活費、住宅購入費も仕入れとして考えるべきです」  ポストによれば、消費支出すべてを仕入れとすれば、そこで支払った消費税負担分1万3,300円が控除され、追加で納めなければならない消費税額は、2万3,500円-1万3,300円=1万200円となる。それを納税しても家計の黒字は、現在より1万3,300円アップするというのだ。  安倍首相、考えてみたらいかがか。  すでに国民の記憶から薄れていっている福島第一原発事故だが、これを風化させてはならじと、朝日が一番心配される4号機について巻頭で特集を組んでいる。  現代も「東電破綻」という巻頭特集を組んでいるが、こちらは東電が破綻したときの経済的な観点からの記事なので、朝日のほうを紹介したい。  これを読んで震えがくるのは、寒くなってきた季節のせいばかりではない。じっくり読んで欲しい記事である。  早ければ11月8日にも始まる、福島第一原発4号機の使用済み燃料プールの燃料棒の取り出し作業だが、ひとつ間違えば大変なことになるのだ。 「東日本大震災当時、停止していた4号機では、1~3号機と違いメルトダウンは起きていない。その代わり、水素爆発でグチャグチャに吹き飛んだ建屋の上部にある燃料プールに、1533体もの燃料棒が残されたままになっている」(朝日)のである。  事故前に燃料棒の移動に携わっていた元大手原発メーカー社員が語っている。 「作業には熟練の技術が必要。まず水中で機器を操作し燃料棒を数十体ずつキャスクという金属容器に詰める。燃料棒をちょっとでも水から露出させたら、作業員は深刻な被曝を強いられる。水中で落下させて燃料を覆う金属の管が破れても汚染は深刻。フロアの全員退避は避けられない」  廃炉工程を検証している「プラント技術者の会」の川井康郎氏もこう指摘する。 「キャスクが落下して破損し、中の燃料が露出したら、大量の放射性物質が放出される。作業員はもう近づけません。燃料棒はまだ崩壊熱を帯びており、本来は常に冷やし続けなければならない。長時間放置すると燃料が溶融する可能性があります。こうなると燃料の回収は困難になり、作業全体が頓挫してしまう」  むき出しになった燃料は、「人間が近づけば即死」(原子力工学の専門家)という凄まじい放射線量である。こうなると、1~3号機のメルトダウンに匹敵する深刻な危機に直面するという。  まだまだ危機など去っていないし、汚染水すらコントロールされていないのだ。それなのに安倍首相と東電は柏崎刈羽原発を再稼働しようと企んでいるのである。  再稼働のキーマンであるv新潟県知事もインタビューで「東電まかせではまた事故は起こる」と言いきっている。  泉田知事が9月25日に東電の広瀬社長と会談した翌日、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委に申請することを認めたため、「知事は心変わりしたのではないか」と受け取った人もいるという問いに、「心変わりではなく、むしろ安全性をいかに高めるかを考えた上での決断です」と答えている。  さらに今の東電は、知事の要求に応えることができるでしょうか、という問いに対しては、 「最大の問題は、東電がお金の問題で首が回らなくなって、きちんとした判断ができなくなっていることです。事故処理のために9600億円の引当金を積んでおきながら、1000億円がもったいないと言って遮水壁を造らなかった。事故処理の費用を電気料金に上乗せして返すという今の形は、もう限界にきています」  東電の破綻処理もあり得るかという質問には、 「日本航空だって破綻処理をして、経営陣が責任をとった上でOBの年金もカットして、V字回復したわけです。東電は負担をすべて電気料金にかぶせていますが、株主や金融機関の責任はゼロでいいんでしょうか。破綻処理をしても電気料金という日銭が入ってくるんですから電気供給は止まりませんし、債権の見直しをすればすぐに料金を値上げする必要はありません」  しかし、原子力規制委の田中俊一委員長に面会を申込んでいるのに、会ってくれないそうですねという問いには、 「規制委に国民の命と安全と財産を本気で守るつもりがあるのか疑問です。守っているのは、電力会社の財産ではないか。規制委には地方自治に明るい人が一人もおらず、断層のチームと原発設備のチームしかいない。新潟県は中越沖地震の時に原発事故との複合災害を身をもって体験しています」  そして最後にこう言っている。 「国民の皆さんは正しい情報さえ与えられれば、的確な判断ができるんです。情報を与えないで誘導するのでは、また同じ過ちを繰り返してしまう。まさに今、日本の民主主義の熟度が試されていると思います」  そうなのだ! 今の安倍自民党政権が目指しているのは、国民に知らせたくない情報をすべて隠すことができる国にしようということなのだ。  国民の多くが原発事故を忘れたわけではない。メディアが報じないから記憶が薄れてしまっているのだ。これだけの大事故が3年も経たずに風化していくとしたら、メディアも日本という国も最低だと、私は考える。 (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 

三鷹ストーカー殺人を詳細に伝えた「週刊文春」に事件取材の真髄を見た

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「週刊文春」10月24日号 中吊広告より
今週の注目記事 第1位「三鷹ストーカー殺人事件」 (「週刊文春」10月24日号) 第2位「秋田県秘湯で息を引き取った『福原愛』訳ありの父親」 (「週刊新潮」10月24日号) 第3位「独自調査 災害に強い街15」 (「AERA」10月28日号) 第4位「痴漢・セクハラ冤罪裁判『私はこうして勝ちました』」 (「週刊ポスト」11月1日号) 第5位「長生きする会社 すぐ消える会社」 (「週刊現代」11月2日号)  よほど「みのもんた」という人間は週刊誌に嫌われているのだろう。今週号を見ても「自分も家族も『みのもんた』危急存亡の危機」(新潮)「みのもんたを切れず“腫れ物に触る”収録現場」(文春)「みのもんたはなぜこんなに嫌われるのか」(現代)という特集を組んでいる。  内容はどれも同じようなもので、みのがこれまでテレビで“えらそうな”発言をしてきたことを取り上げ、早くテレビから消えてしまえという論調のものが多い。  私はみのの弁護をする気はさらさらないが、みのをそこまで増長させた視聴者側の責任を問うものがないことが不思議でならない。  みのの口から出任せのいいたい放題を喜んでいた視聴者が数多くいたから、みのはあそこまで登り詰め、ワイドショーの“天皇”になり、芸能人の高額所得者ナンバー1を続けられたのだ。  小泉純一郎首相(当時)をもて囃したのもテレビを観ていた茶の間の“お馬鹿な”主婦たちである。  その結果、格差が拡大し、弱者に冷たい政治が罷り通るようになってしまったのだ。しかし、その責任を有権者は問われない。その小泉が「脱原発」といい出したと、反原発の闘士であるかのように持ち上げるメディアにはうんざりする。だが、小泉政治がやったことを見てみろという批判はあるが、有権者の猛省を促す記事はあまり見ない。  みののようなタレントのいい草を、世相をズバリと斬るジャーナリストのごとくありがたがった視聴者と、小泉をチヤホヤした有権者とは同じ類の人種であり、問題の本質はここにあるはずである。有権者がアホだからアホな政治家が出てくるということでいえば、アホな視聴者がいるからみののような人間を増長させてしまったのだ。視聴者がもう少し賢くならなければ、テレビの質はまだまだ落ちること間違いない。  さて、今週の注目記事の最初は、現代お得意の会社の寿命である。経済のプロに、日本を代表する30社の将来性を診断してもらったとある。  こういう記事を読むとき、ランクの上の会社を見るより、低い会社から見てしまうのは致し方ないだろう。  長寿力100点満点で採点してある。一番低いのは東京電力の27点。これは説明の必要はないだろう。お次は30点のソーシャルゲーム大手の「グリー」である。10月2日に、業績悪化で200人の希望退職を募ると発表したから致し方なかろう。  次は「ヤマダ電機」の32点。一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったが、栄枯盛衰は世の習いか。外食産業の「ワタミ」は38点で「マツモトキヨシHD」が40点。  では上位はどこか? 「三菱商事」が85点、「トヨタ自動車」が83点で双璧。同じ三菱グループの「三菱地所」が80点で第3位である。  三菱商事の評価欄に「総合商社は日本にしかない業態で海外にライバルはいない」というのがあるが、どうしてそれが高評価につながるのか頷けない。日本特有の総合商社は、企業が内部にそうした機能を持ち始めているから生き残れない、商社冬の時代といわれたのは、そう遠い昔ではない。  50年後まで生き残ることができる可能性を評価したそうだが、自動車産業も商社も、50年後には消えないまでも衰退している確率が高いと、私などは考えるのだが、いかがだろう。  第4位もよくあるパターンの記事だが、セクハラには対価型と環境型の2種類あるというところが眼について、取り上げてみた。  対価型というのは男性の側の性的な言動に対する女性側の対応によって、解雇、降格などの不利益を受けるもの。環境型は男性側の言動によって女性側の就業環境が害されるものをいうと刈谷龍太郎弁護士が説明している。  対価型はわかるが、環境型では本人に自覚がないことが多いという。たとえば、ワイシャツを直接素肌に着ていて、女性社員に「ワイシャツから乳首が透けて見えるのがとても嫌」と会社にセクハラで訴えられた大手代理店社員がいるというのである。 「会社の壁に水着のポスターを貼っていただけでセクハラと認定されることがある」そうである。  私が現代編集長時代に「ヘア・ヌード」という言葉をひねり出し、毎号ヘアの出ているグラビアページを女の子に持たせて、校閲などに持っていってもらったことがある。  当時、アメリカ支社に行って驚いたことがあった。そこの半数以上が女性だったが、週刊現代やフライデーが回覧されるとき、ビニールでくるまれているのである。女性たちの眼に触れるとセクハラで訴えられるからだと聞いた。  今だったら、間違いなく私は環境型セクハラで訴えられていると、ゾッとしながら読んだ。今の編集部では、ヘア・ヌードのグラビアページをどうしているのだろうか。アルバイトの女の子に運んでもらうときは、袋に入れてしっかりテープを貼ってから渡すのだろうか。  この記事の中に、電車の中で痴漢! と腕を捕まれたらどうするかというくだりがある。ベストは「振り払ってでも徹底的に逃げる」だそうだが、そう簡単ではあるまい。冤罪だった場合、逃げて捕まれば確実に有罪判決を受ける。痴漢冤罪については、なかなかいい知恵が浮かばないようである。  第3位にAERAの記事を持ってきたのは、多分に私情が入っているのでお許しいただきたい。  ここでも以前に書いたと思うが、私は東京の中野区という所に住んでいる。わが家は築50年を過ぎ老朽化甚だしい。おまけに家の前の通りは狭く、救急車は入れるが消防車は無理である。  だいぶ前、知り合いの建築家に見せたところ、震度3か4の地震が来れば崩壊の危険性大だといわれた。幸い東日本大震災のときの震度5強の揺れにはなんとか耐えたが、震度6~7になれば家もろとも崩れ去る運命かと、半分諦めの境地である。  だが人間、何かにすがりたい気持ちはいつでもある。今朝のAERAの新聞広告を見て、災害に強い街15カ所の中に中野という文字が見えたので、あわてて駅で買って読んでみた。  AERAによると、本来的な意味で「住むのに適した」街とは、災害に耐えうる安全性を備え、利便性が高く、快適な暮らしができる街のことで、AERAはこれを「強い街」と名付けたという。  評価項目は、洪水、津波の浸水域、地震による災害被害の想定域にあるか。救急車の出動から現場への到着時間。高度な救急医療を担う3次救急医療機関までの距離。コンビニ、警察が近隣にあるかなどである。  対象はリクルート住まいカンパニー調べの「住みたい街」の関東・関西ランキング上位29カ所のターミナル駅から選んだという。  常に住みたい街の上位に上がる東京・吉祥寺は関東地区で第8位。ベスト5は意外な結果である。  神奈川県・藤沢が1位。続いて新宿、恵比寿、渋谷、横浜と続く。  藤沢は「医療機関へのアクセス良好に加え、地盤も軟らかくない」という理由である。新宿は交番やコンビニが多く、恵比寿はさまざまな指標が平均していいのだそうだ。  わが街中野は堂々11位にランクインしているではないか。しかし本文を読んでみると、中野駅周辺は災害時に大きな被害が出るとされ、危険度も高い。日本でも有数の人口密度の高い自治体で、木造密集地域が少なくなく、災害が起これば被害は拡大すると見られているとある。  な~んだ、ちっとも安心できる地域ではなさそうだ。コンビニと医療機関の数は多そうだが、これを読んで安心する気にはなれない。  卓球の福原愛(24)の父親が亡くなっていたことをテレビのワイドショーで知った。いきなり福原がブログだかFAXで知らせてきたようだったが、亡くなったのはだいぶ前で、どうしてそんなに時間が経ってからと訝ったが、新潮を読んで納得がいった。小粒な記事だが、これが今週の第2位。  秋田県湯沢市には、父親武彦氏が役員を務めている旅館がある。地元旅館組合の関係者がこう語る。 「元々、武彦さんの実姉があの旅館の女将だったのです。それが縁で7年ほど前、旅館に“愛ちゃん卓球場”が併設されました。彼はその前後から管理人として働き始めて、3年前に役員に就任しています」  だが、すい臓がんにかかり10月6日に亡くなってしまったが、葬儀や通夜は行われなかったと別の組合関係者が話している。  新潮が、愛ちゃんの母親が社長を務める「千秀企画」に確認をとっても、「初耳です。聞いていません」というばかり。  だが、通夜・葬儀は行われていた。亡くなった直後、愛ちゃんと兄と母親が駆けつけ、卓球場で寝泊まりしていたという。  だがなぜか母親から「絶対伏せてほしい」といわれたのだという。  ステージパパとして有名だった彼の死をなぜ隠すのか。スポーツ紙デスクがこう解説する。 「15年前、彼は愛ちゃんのCM出演料などを投じて作った会社を倒産させ、1億4000万円の借金を抱えました。奥さんとは離婚しましたが、未だに金銭問題はカタが付いていないと聞いています。それでトラブルを怖れた奥さんが、口止めしたのでしょう」  新潮が出ることで、あわてて公表したというのが“真相”のようだ。  あの愛らしい笑顔の裏に、両親の離婚や金銭問題、父親の死が隠されていたなんて知らなかった。ワイドショーではこうした裏事情は伝えてくれない。  東京・三鷹市でタレントの卵、鈴木沙彩さん(18)が池永チャールストーマス容疑者(21)に殺された事件は、週刊誌の格好のネタだと思うのだが、新潮にしては珍しくワイドの一本でしかやっていない。  現代、ポストも続報はなし。文春だけが5ページ割いて追っているが、捜査担当者から聞き出したに違いないと思わせるほど、かなり詳しい内容である。事件取材はこうでなくちゃいけないと思わせてくれた文春が今週の第1位だ!  事件が起きたのは10月8日16時50分頃、三鷹市の閑静な住宅街に住む私立高校3年の鈴木さんは、自宅内にいるところを、かつての交際相手だった池永容疑者に襲われた。  池永容疑者は昼ごろ、鍵のかかっていなかった2階の窓から鈴木さん宅に侵入、潜んでいた。  文春は犯行までの経過をこう書いている。 「十月八日──。犯行直前、池永は沙彩さんの自宅内にいた。隣家の室外機を伝って無施錠だった二階窓から侵入し、一階にある沙彩さんの部屋のクローゼットの中で身を潜めていたのだ。  その暗闇の中からスマートフォンを操作し、A君(池永の友人=筆者注)らに無料通話アプリ『LINE』を通じて、次々と唐突な文言を送り始める。 〈ふんぎりつかんからかなりストーカーじみたことをしてる〉(中略)  その後も、立て続けに池永からのメッセージがA君のスマホに表示される。 〈元カノの家の押し入れにて〉 〈誰がいるかわからないんだ〉 〈普通にでようども鉢合わせしたら終わってしまう〉(中略)  十四時三十分。池永からのメッセージは次の一言で途切れた。 〈詰みだわ〉  約二時間後、沙彩さんが学校から帰宅。前述の通り、沙彩さんはこの日の朝、両親と三鷹警察署を訪れ、池永によるストーカー被害を相談したばかりで、彼女が三鷹署員から帰宅確認の連絡を受け取ったのが十六時五十一分。約二分後に通話が終わると、クローゼットを飛び出した池永は、刃体約十三センチのペティナイフを手に、制服姿の沙彩さんを強襲したのだった。  池永は凶行後に再び親友たちと連絡を取った。今度は直接、A君の携帯電話が鳴る。電話口の向こうでは息切れが聞こえ、走りながら通話している気配があったという」  池永容疑者は京都出身で、フィリピン人の母親と日本人の父親をもつハーフ。日本国籍を持っている。  身長は約180センチと大柄で、高校時代は柔道部に所属していた。沙彩さんは刃物で首や腹など4、5か所を刺され、首の動脈が斬られたことが致命傷になった。使用された凶器は、9月末に現場からほど近い吉祥寺の雑貨チェーン店「ロフト」で購入したペティナイフだった。  逮捕された池永容疑者は取り調べに対し「交際をめぐり恨んでいた。殺すつもりで刺した」と供述しているという。  文春によれば、出会いは2011年の秋だったという。京都在住の池永は立命館大学の学生だと偽り、フェイスブックで沙彩さんと知り合った。遠距離恋愛の始まりだった。  だが、池永容疑者は沙彩さん以外の女性にも「卑劣な腹いせ行為」をしていたというのである。  被害者は兵庫県在住のB子さん(24)。B子さん本人とその家族から事情を聞いた人物がこう打ち明けている。 「一昨年の秋頃、出会い系のチャットで知り合ったのが池永でした。ハーフで英語が得意だといい、モデルのようなイケてる写真を送ってきたそうです。会うようになって何度か体を重ねたが、行為中に携帯で動画を撮られた自覚があったとのことでした。  その後、池永が持ち歩いていたノートパソコンを覗く機会があり、B子さんはその中に大量の女性の裸の画像を保存したファイルを見つけてしまった。池永本人らしき男が映りこんでいるものもある。B子さんは池永に不信感を抱き、もう会わないと切り出した。それが昨年の二月のことだったそうです」  しばらくして、B子さんのもとに池永から“恨みのメール”が送られてきた。 「そこにはURLが貼られていて、リンク先に以前撮られた動画がアップされていた。女性は友人男性に相談し、池永に削除するようかなり強い口調で電話をしてもらった。池永はその際はあっさり謝罪して引き下がっている。今回の事件後、B子さんの家族に警視庁から電話があり、事情を聞かれたそうです」  リベンジポルノといわれる嫌がらせを沙彩さんのときだけではなく、常習だった可能性があるようだ。  沙彩さんと池永の交際は1年弱。彼女から別れを切り出したが、池永のほうは未練たっぷりで、よりを戻したいと訴えていた。  今年6月、沙彩さんの父親が池永に、娘に連絡をしないでくれと通告している。  そして両親と一緒に三鷹署に相談に行った日に、彼女は刺殺されてしまったのである。  京都市右京区のマンションで、池永とは年の離れた妹と暮らす母親にもインタビューしている。 「妹もいるのになんでこんなことを……。この妹が十年してどう思うか。ショック。アホ。息子でも許せない。息子はサアヤがオンリーワンで、初めての彼女だったのに」  と絶句したという。この母と娘のこれからが心配である。  桶川女子大生殺人事件でストーカー法がつくられたが、その後もストーカー殺人は後を絶たない。法を生かす警察側の積極的な運用が必要な時期である。 (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 

「次に何か起こせば確実に休刊?」週刊朝日、ハシシタ問題の次は新編集長がセクハラで更迭

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「週刊文春」10月17日号 中吊広告より
今週の注目記事 第1位「週刊朝日新編集長が“セクハラ常習”で更迭」 (「週刊文春」10月17日号) 第2位「バラまかれた『復讐ポルノ』の残酷」 (「週刊ポスト」10月25日号) 第3位「飛鳥涼独占告白3時間」 (「週刊文春」10月17日号) 第4位「アメリカ発世界同時株安に気をつけよ」 (「週刊現代」10月26日号) 第5位「安倍政権が狙うクビ切り特区 ブラック企業『合法化』の恐怖」 (「週刊朝日」10月25日号)  週刊朝日が大変なことになっているが、それは後述するとして、朝日が、安倍首相が進めようとしている「クビ切り特区」はブラック企業を後押しする政策だと難じている。これが第5位。  日本の経営者側が、従業員を解雇しやすくしてほしい、そうでないと雇用の移動が円滑にできないし、これが経済成長を阻んでいるという“身勝手な”いい分を取り入れ、9月20日、安倍首相が産業競争力会議に指示した考えである。  ワーキンググループの八田達夫座長がこの会合に提出した資料によると、こうである。 「(1)有期契約で5年以上働いても、契約社員が無期契約になれる権利をあらかじめ放棄できる (2)入社時に解雇の要件や手続きを明確にする (3)一定の年収などがある人が希望すれば労働時間の規制を外せる」  こうした憲法違反とも思える特区を作り、全国へ拡げていこうというのが安倍首相の考えのようだが、こんなことが特区といえども許されていいはずはない。クビを切りやすくするすることが景気回復に役立つとでも思っているのだろうか。日本総研の山田久チーフエコノミストが批判する。 「雇用制度の変更は、労使の合意が前提でしょう。そのうえで政府が、企業側には産業振興、労働者側に賃上げと失業対策を講じる。この3点セットで議論しないと、日本経済は活力を取り戻しません」  その通りであろう。だが私は、この特区が成立する可能性はほとんどないと思う。それは反対する側のネーミングのうまさにある。「クビ切り特区」に賛成する議員は、次の選挙で選挙民から見放されるのは確実だからである。  お次は、アメリカが大変だというお話。国家のデフォルトとは、その政府が発行している国債などの借金を返せるなくなることだが、アメリカがその危機に直面しているのである。  現代でニューヨーク市立大学名誉教授霍見芳浩氏がこう言っている。 「もし米国がデフォルト(債務不履行)したら……。現在、10月20日前後が、米国政府のキャッシュフローが尽きる限界点だと言われています。デフォルトすれば、米国債の信用がガタ落ちして買い手が付かなくなるわけですから、一気に金利が上昇して大混乱に陥る。2008年はリーマンブラザーズの破綻によってウォール街が崩壊し、金融危機が起こりましたが、デフォルトはそれ以上の影響が出ることになります」  株式市場ではカタストローフィ(破滅)、ブラックオクトーバー(暗黒の10月)、ブラッドオクトーバー(血の10月)などの言葉が飛び交い始めたそうだ。  リーマンショックを振り返るまでもなく、アメリカの破綻は日本の破綻に結びつく。東京五輪で日本が復活すると騒いでいた現代の“迷走”は、日本の“迷走”の表れである。  ワシントン在住の金融アナリストの伊藤貫氏は、デフォルトの可能性は低いとしながら、現在の米国が抱える問題をこう語ってる。 「米国ではここ30年間で、高卒労働者の生活レベルが2割低下しています。米国の労働者のうち、高卒クラスは6割を占めます。つまり、おおよそ6割の米国人の収入や生活が2割悪化してるというわけで、大きな問題です。その一方で、米国のGDPは同じ期間で2倍になっています。経済規模が2倍になっているのに6割の人の生活が苦しくなっているのは、それだけごく一部の富裕層に富が偏重していることを示しています。この格差に対する国民の怒りは大きく、米国政府に反対する共和党の強硬派=ティーパーティが強気に出る背景になっている」  アメリカの新聞やテレビの報道では、ギリギリまで共和党側は延ばすだろうが、指導力の低下しているオバマ大統領がどこかで譲って決着するのではないか、という見方が多いようであるが。  現代は、米国プリンストン大学教授で、08年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏にインタビューしている。彼は安倍首相の「決める政治」を評価しているとして、こう話す。 「これまで、『金融緩和で日本経済を回復することは不可能だ』という議論が繰り返されてきました。もちろん、金融緩和がすべての問題を解決するわけではないのですが、一定の条件が満たされればインフレが起こり、望ましい状況がもたらされます。その条件とは、『国家の経済は将来的に落ち込まない』『中央銀行が実際に金融緩和を実現に移す』と人々が“信じ”、“期待する”ことです。(中略)一つだけ苦言を呈するのであれば、今回8%の消費増税を決定したことにはがっかりしました。もし私が安倍首相から相談されていたら、『もう少し待て』と言ったでしょうね。97年に消費税を3%から5%に上げた際、景気が後退したことはみなさん知っているでしょう。本来なら、デフレを完全に脱却してからやった方が安全です。いま、ちょうど光が見えかけていたのに、増税によって消費が落ち込む可能性がある。消費税が上がっても消費を落ち込ませないためには賃金アップが必要ですが、景気が良くなってもそれが賃金に反映されるのは最後の段階ですから。急速に少子高齢化が進んでいる日本では、今後さらに所得税よりも消費税のほうが重要になってくることは確かです。そうした状況を踏まえれば、たとえば一定年収以下の所得税を減らすことを提案したい。収入が一定以上ある世帯は、消費税が上がっても消費が極端に減ることはないので、消費が落ち込むこともないでしょう」  やはり、経済学の泰斗も消費税を上げたことには疑問を呈している。 「世界の多くの国が固唾を呑んでその行方を見守っている。いま、世界経済を救うために、日本が必要とされているのです」  こう氏は語るが、日本には重荷なのではないか。 「覚せい剤なんて、僕は一度もやったことはありませんよ。ずっと“無菌状態”で育っていますから。実は、僕が使っていたのはアンナカです。『安息香酸ナトリウムカフェイン』といって通称アンナカと言われる薬なんですけど、2000年頃から病院で処方されて飲んでいました。詞を書く時には本当に助かってる。今日は絶対に寝ちゃいけない時ってあるでしょ。眠かったり、ダルかったり。アンナカを一包飲むと、2~3時間は目が覚めるんですよ。(中略)昨年夏過ぎ、そんな話を山本にしたところ『アンナカなら手に入るよ』って言われたんです。その後、いきなり山本がアンナカをプレゼントで自宅に持ってきてくれて、『ちょうだい、ちょうだい』ってなったんです。どこから入手しているのかはわかりませんけどね。(中略)これが僕の認める唯一の汚点で、薬事法違反ですよね。そこに関しては認めます。でも、病院で処方してもらえる薬ですし、自分としてはそこまで罪悪感はなかった。しかも、毎月受け取っていたわけじゃない」  文春でこう語っているのは、人気大物デュオ「CHAGE and ASKA」のASKA、飛鳥涼(55)である。  2カ月ほど前にここでも紹介した文春の記事「シャブ&飛鳥の衝撃 飛鳥涼は『覚せい剤吸引ビデオ』で暴力団に脅されていた!」は大きな話題を呼んだ。それから2カ月が過ぎた9月30日に、文春記者の携帯電話にASKAから突然電話がかかり、「男と男の話し合いをしよう」と言ってきたのだそうだ。  その夜、自宅に隣接するスタジオでASKA本人がインタビューに答えた。これが今週の第3位。  医者から処方されている合法的な薬だと説明するが、文春記者は納得できないようだ。ASKAの言うようにアンナカであったとしても、それにはこういう効用もあると、元覚せい剤中毒者が解説する。 「われわれの間では、アンナカはシャブの“混ぜ物”という認識。通常、シャブを使用すると男は性的不能になりますが、興奮剤のアンナカを混ぜることにより、勃起が促進され、ドラッグセックスが可能になる。闇ルートでは味の素で増量してある粗悪なジャブも出回っているので、アンナカ入りのものは“上物”とみなされています」  また「ASKAの主張通り、アンナカの吸引シーンを(山本から=筆者注)『覚せい剤吸引』と“捏造”され、多額の金銭を要求されたとすれば、これは悪質な恐喝以外の何物でもない。しかも、相手は小指が欠損した現役の暴力団組員である。しかし、ASKAは山本に対し、『悪い奴には思えない』『憎めない』と庇う様子すら見せるのだ」(文春)  そこでASKAの友人が完全匿名を条件に、裏事情をこう明かしている。 「実は最近、ASKAは極秘裏に山本と“手打ち”をしたというのです。ASKAが言うように、そもそも山本とは共犯関係だから、本来ならば盗撮映像が世間に出ることはなかった。だが、山本サイドが映像をマスコミに売り歩き、情報をリークし、ASKAの“シャブ使用”が発覚。で、あの大騒動です。事が事だけに、もし逮捕されるような事態に発展すれば、双方が損をすることになる。しかしお互いが組んでしまえば、容易に言い逃れはできる。山本と話し合いがうまくいったASKAは、安心して『ドラッグをやってない』と声明文を出したのではないか」  なんのことはない、山本という暴力団員の思惑通り、文春を使ってASKAに脅しをかけ、それに震え上がったASKAが要求通りにカネを払ったという図式になるのではないか。  このインタビューで、ASKAの覚せい剤疑惑がすべて晴れたわけではなさそうである。ASKAは、こんな気になる発言もしている。 「クスリで唯一心当たりがあるとしたら、文春でも薬物疑惑が書かれたエイベックス社長の松浦(勝人)君。彼のパーティーなんかに呼ばれて行ったこともあるから、仲間だと思われたりしていたかもしれない。松浦君ともクスリの話はしたことはないけど、彼にそういう噂があるってことは知っていました。だから僕もその一派かと思われたのか、と思いますけど」  こうした芸能界の薬物汚染情報が次々に出てくるが、ASKAの場合も、麻薬取締官が事情聴取したという話は聞かない。事実無根なのか、現行犯逮捕でないと無理なので躊躇しているのだろうか。“火のないところに煙は立たない”のではないかと、私などは思うのだが。  東京・三鷹市でタレントの卵、鈴木沙彩さん(18)が殺された事件は、改めてストーカーからどうやって身を守ったらいいのかを考えさせることになった。現代も同じような視点で特集を組んでいるが、今週のポストは土曜日発売なので、ポストの早いもん勝ち。  ポストはストーカー殺人犯である池永チャールストーマス容疑者(21)が、鈴木さんにさらに卑劣なことをしていたと報じている。 「海外にサーバーが置かれている『ポルノ画像・動画投稿サイト』に10月2日、若い日本人女性の写真がアップされた。投稿したのは、女性の元交際相手。その数日後には、女性の動画も公開された。67枚の写真1つの動画。中には、一切の衣服を身につけていない女性の姿もあった」(ポスト)  事件が起きたのは10月8日16時50分頃、三鷹市の閑静な住宅街に住む私立高校3年の鈴木さんは、自宅内にいるところを、かつての交際相手だった池永容疑者に襲われた。  池永容疑者は昼ごろ、鍵のかかっていなかった2階の窓から鈴木さん宅に侵入、クローゼットに潜んでいた。  ポストで捜査関係者がこう明かす。 「池永容疑者は京都出身。フィリピン人の母親と日本人の父親をもつハーフで、日本国籍を持っている。(中略)身長は約180センチと大柄で、高校時代は柔道部に所属していた。沙彩さんは刃物で首や腹など4、5か所を刺され、首の動脈が斬られたことが致命傷になった。使用された凶器は、9月末に現場からほど近い吉祥寺の雑貨チェーン店『ロフト』で購入したベティナイフだったようだ。犯行は計画的で、残忍なメッタ刺しからは、強い殺意がうかがえる」  沙彩さんは、現代美術画家の母親と映像関係の仕事に携わる父親の一人娘。小学生の頃からタレントとして活動し、将来の夢は女優だった。3年前には映画『冷たい部屋』(平田大輔監督)でスクリーンデビューしている。大伯父は脚本家の倉本聡氏。  別の捜査関係者はこう言っている。 「沙彩さんは事件当日の朝、両親に伴われて悲壮な表情で地元の三鷹署を訪ねてきた。ストーカー被害の相談だった。本人の強い希望で、その場で警察官が署の電話から池永容疑者の携帯電話に連絡した。電話に出なかったので、“三鷹署まで連絡がほしい”と留守番電話を残した。その後、昼と夕方にも池永容疑者に連絡し、同様の留守電を残した」  三鷹署側は、対応に誤りはなかったと言いたいのだろうが、ストーカー被害を受けている若い女性を一人にしてはいけないのは常識であるのに、疑問も残る。  逮捕された池永容疑者は取り調べに対し「交際をめぐり恨んでいた。殺すつもりで刺した」と供述しているという。2人の間にどんなことがあったのか。  事件の6日前にインターネット上にばらまかれた写真は、沙彩さん自身の手で撮影されたものであるという。 「沙彩さんの自宅の部屋のなかで、ベッドの上や大きな鏡の前で撮られていた。背景に写っている壁には、画家である母親の作と思しき絵が飾られている。沙彩さんは、笑顔で、すましたような表情、時には恥ずかしそうな表情を浮かべて写っていた。(中略)いずれにせよ、誰かに見せるとしても、非常に親しい関係にある人にしか見せないようなものばかりだ。不特定多数に向かって写真が公開されるのは、沙彩さんへの脅迫が目的としか考えられない。(中略)さらにその2日後、同じユーザー名から沙彩さんが映る動画が投稿された。撮影された部屋は不明だが、ベッドの上だ。(中略)撮影者はその男だ。時折、男と笑顔を浮かべて会話してることからも、親しい関係がうかがわれる」(同)  池永容疑者は沙彩さんを刺殺し、逃走中の18時29分、ネット上の掲示板に画像のアドレスを掲載した上で、「被害者。無差別ではないです。恨みがありました。」と犯行動機の告白とも読める書き込みを行っていた。  振られた腹いせに元恋人の裸の写真や映像をネットに投稿する行為は「復讐ポルノ(リベンジポルノ)」といわれ、世界的な問題になっているようで、この10月、米カリフォルニア州議会では、嫌がらせを意図してヌード写真をネットに流通させた者には、最大で6カ月の禁固か1000ドルの罰金を科す法案を成立させたという。  桶川女子大生ストーカー殺人事件でストーカー法がつくられたが、その後もストーカー殺人は後を絶たない。法を生かす警察側の積極的な運用が必要なのではないか。  さて今週の第1位は、文春に掲載された朝日の記事である。  週刊朝日にまたまた不祥事が起こり、編集長が更迭されてしまったというのだ。それも文春が取材してから、慌てて処分を発表したのだから、朝日新聞のコンプライアンスはどうなっているのかと心配になる。  朝日は佐野眞一氏の「ハシシタ」で橋下徹大阪市長から猛烈な抗議を受け、当時の編集長が更迭され、朝日新聞出版社長が辞める大騒動になってしまった。  その立て直しを図るべく小境郁也氏が編集長になったが、その小境編集長が「セクハラ常習者」だったというのだから、お粗末すぎて開いた口が塞がらない。  朝日新聞出版関係者がこう話している。 「いまは朝日新聞社と朝日新聞出版に分社化されていますが、08年までは同じ会社だった。社員の行き来がある2つの会社のなかの何人かの女性が、小堺氏と関係を持っていたというのです。小境氏には妻子がいますが、長く別居していて現在は一人暮らし。ある女性記者と不倫関係にあったのは社内では有名だし、過去にも別の女性問題が取り沙汰されたこともありました」  別の朝日新聞出版関係者もこう語る。 「気に入っている女性がいると、『○○と飲んでるからおいでよ』と動誘いだし、女性が来ると同席していた人を帰らせて2人っきりになるのが常套パターン。酔った勢いで抱きついたり、いきなり胸を揉んだり無理やりチューしたり。テーブルの下で強引にスカート内に手を入れ、太ももの奥を触りまくることもありました」  今回はセクハラを受けていた女性が周囲の女性に相談し、これまで関係があった女性の名前などを書いた連判状のようなものを作り、朝日新聞本社に報告したという。  だが、文春の取材に対して朝日新聞側は「現在、事実関係を調査中」と悠長なことを言っていたのだが、文春が発売される前日に「週刊朝日編集長を懲戒解雇 重大な就業規則違反」と紙面で発表したのである。 「朝日新聞出版は、同社が発行する週刊朝日の小境郁也編集長(53)=朝日新聞社から出向=に重大な就業規則違反があったとして編集長を解任し、朝日新聞社は8日付で小境編集長を懲戒解雇処分にした。併せて朝日新聞出版は上司の監督責任を問い、9日付で青木康晋(やすゆき)社長を役員報酬減額、尾木和晴雑誌本部長を減給処分とする」  後任の編集長には、朝日新聞東京本社写真部の長友佐波子(ながとも・さはこ)フィーチャー写真担当部長が9日付で就いたという。女性ならセクハラはないだろうという朝日新聞らしい姑息な考えのように思えるのだが。  その長友新編集長は、今週号の挨拶でこう書いている。 「前編集長は重大な就業規則違反があり、8日付で懲戒解雇処分となりました。昨年、小誌は橋下大阪市長の差別記事を掲載した反省から『家庭で安心して読めるニュース週刊誌』を目指してスタートしたばかりでした。1年にも満たない時期での不祥事に読者の皆様の期待と信頼を再度裏切ることになりました。深くお詫びします。(中略)たいへん厳しい状況ではありますが、1922年発刊、92年目を迎えた週刊朝日が社会から信頼される雑誌となるために、編集部一同、初心に帰って努力していきたいと思います」  先週オフィスへ来た、AERAで働いたことのある人間がこう言っていた。 「小境編集長は以前から女性関係に問題のあることで有名でした。あんな人を橋下の不祥事のあった後に据えるのは問題だと言われていた。今度の長友編集長にも、そうした噂があると聞いています。なぜ朝日はそうした人を据えるのか。人材がいないのでしょうね」  次に何か起こせば確実に休刊となる。長友編集長には相当な覚悟で臨んでもらいたいものだ。それと、もっと面白い読みでのある雑誌にしてほしいと、お願いをしておく。  なんとか創刊100周年までは頑張れ! (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 

「まだ口に出していない秘密があるはず……」“闇の帝王”許永中出所で、政・財界人が震え上がる!?

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「週刊文春」10月10日号 中吊広告より
今週の注目記事 第1位「久子さまと安倍首相 天皇が案じる『際どい決断』」 (「週刊文春」10月10日号) 第2位「“闇の帝王”許永中の独占肉声『日本で話をつけなあかん奴ら』がいる」 (「週刊ポスト」10月18日号) 第3位「11歳年下『内縁“夫”』とセレブ生活でも『三原じゅん子参議院議員』の身内が生活保護」 (「週刊新潮」10月10日号) 第4位「最後までペンを離さなかった山崎豊子さん」 (「週刊新潮」10月10日号) 第5位「JR北海道 社員の8割以上が『革マル系労組』所属」 (「週刊文春」10月10日号) 第6位「『年金詐欺10万人訴訟』を本誌は全面的に支持します」 (「週刊ポスト」10月18日号) 第7位「世界的科学者が目撃した『原発汚染水の海域』と『放射能汚染の実態』」 (「週刊現代」10月19日号) 第8位「徳洲会マネー100億円を貪る『わるいやつら』」 (「週刊文春」10月10日号)  ガッカリである。フランスで行われた「凱旋門賞」のことだ。今度こそ日本の悲願を叶えてくれると思っていたオルフェーブルが、まさか大差の2着。キズナも4着に沈んだ。優勝したトレヴとの差は5馬身。決定的な差である。ゴール前、追い詰めるのではなく、差が開いてしまったのだから、トレヴの強さがわかろうというものだ。レース後、池江調教師が語ったように、凱旋門の扉は再び固く閉じてしまった。  「凱旋門賞」はハンデ戦に近い。オルフェが59.5キロ、勝ったトレヴは3歳牝馬だから54.5キロ。ハンデ差は実に5キロもある。しかもトレヴは4連勝中の3歳最強牝馬である。ハンデ1キロで1馬身の差が出るといわれる。5キロ差だから5馬身。オルフェとトレヴが同斤量だったら並んでいたと考えるのは、負け犬の遠吠えか。  しかし、ここ10年で見てみても、勝馬は3歳馬が圧倒的で、2007年に4歳牡馬のディラントーマス(59.5キロ)、2012年にオルフェを破った4歳牝馬ソレミア(58キロ)がいるだけである。競走馬にとって59.5キロを背負って走ることなどまれだ。伝統あるレースだが、この斤量を改正しないと、古馬が優勝するチャンスは極めて少ないと言わざるを得ない。  来年からは、オークスを勝った3歳牝馬を送り込むという案はどうだろう。ジェンティルドンナ、ウオッカ、ブエナビスタのクラスが出たらいい勝負になるはずだと思うのだが。  さあ、今週も質より量でいこう。まずは文春が先週の新潮とは違う視点で「徳洲会」を扱った記事。  先週新潮が、徳田毅自民党代議士(42)の選挙違反を捜査するために、東京地検特捜部が動き、100カ所近い捜索を始めたことを報じたと書いた。  その徳田氏の父親・虎雄氏(75)は巨大医療グループ「徳洲会」を一代で築き上げた人物だが、その大組織が大揺れに揺れている。  虎雄氏は十数年前にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、眼だけしか動かせないが、その眼でプラスチックの文字盤を追い、意志を伝えている。  だが、その虎雄氏に取って代わろうという人物がいて、それとの間で内紛が起きていいると文春が報じている。  興味深いのは、内紛の中心人物は、虎雄氏の金庫番として長年支えた能宗克行氏(今年2月に解雇されている)と、新潮社の「週刊新潮」「フォーカス」の記者で、「徳洲新聞」の編集発行を請け負っていた久恒信夫氏だということだ。 「徳洲会の全てを知り尽くした能宗氏は解雇無効処分を求めて提訴するとともに、マスコミ対策に長けた久恒氏と親しい産経新聞の検察担当記者を通じて、徳洲会の内部資料をごっそり特捜部に持ち込んだのです。創価学会にせよ共産党にせよ、組織ぐるみ選挙は統制が取れているため、選挙違反の決定的な資料はそう簡単には出てこない。ところが徳洲会の場合、金庫番が体ごと飛び込んできた。検察にとってこれほど美味しい話はない。その“ご褒美”で産経は本件の特ダネを報じたのです」(社会部司法担当デスク)  文春は「100億円を貪る『わるいやつら』」とタイトルを打っているが、どっちもどっちではないのか。なるほど先週の新潮の記事が詳しかったのは、元記者からのタレコミのようだ。  今週の新潮は、この件に関してはコラムで小さく扱っただけ。そして最後にこう結ぶ。「大山鳴動してネズミが何匹ひっかかるやら?」。大山鳴動させたのは、新潮ではないのか。  この事件、スジが悪そうだから、政界を巻き込んだ贈収賄事件などにはならないかもしれない。  お次は、現代の原発汚染水の問題を扱った記事。  世界最大規模の独立系研究所である米国ウッズホール海洋研究所のケン・ベッセラー博士は福島近海の汚染状況について、こう語っている。 「私たちのチームはこれまで4度来日、原発から1kmの所まで近付いて海水などの調査をしていますが、汚染水は漏れ続けています。いくら海水で薄まっても、魚がいる場所としては、福島の沿岸は最悪の場所です。残念ながらいくつかのシーフードについては食べられるレベルではありません」  当然ながら、「汚染水はコントロールされている」と主張している安倍首相の発言には批判的である。 「海洋汚染はコントロールされているという安倍首相の発言は理解できません。私から見れば、全くコントロールされているようには見えない。海洋汚染自体は、人体のリスクという観点から言えば、水泳しても大丈夫でしょう。しかし、魚介類の汚染は、魚にガイガーカウンターを当てるだけで検知できるほど高いレベルです。これは、食べても安全とはとても言えないと考えています」  重要なことは、国際グループによる調査態勢を構築することだとベッセラー博士は言うが、海外に原発を売り込もうと躍起になっている安倍首相がやるはずはない。  現代は、このところ脱原発などと言い出している小泉純一郎元首相の講演会の全文を公開している。  私は、自己顕示欲の強いこの人の発言は、裏に何か意図があると思っているので信用してはいないが、一部だけ紹介しておこう。 「日本国民は、一つの大きな目標、これがいいなというモデルがあれば、実に積極的に官民一体となって協力する特質を持っていると思います。敗戦後も、日本人が掲げた大きな目標──二度と戦争をしないこと、長生きの国にすること、その二つをともに達成した。『原発をゼロにする』という方針を政府・自民党が打ち出せば、循環型社会を作る夢に向かって国民は結束できるんです。そうすれば世界が日本を手本にする。ピンチをチャンスに変える方針を決めるのが、政治の仕事なんです!」  みなさんはどう読むだろうか。  ポストは「10万人以上の年金受給者が国に年金減額の取り消しを求める行政不服審査請求申し立てに動き出した」ことに対して、全面的に支援すると打ち出した。  消費税を上げなくてはならないのは「高齢者が年金をもらいすぎているからだ」と批判して、現役世代の不満を高齢者に向けさせようとしているが、それは違うと、年金博士として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏が指摘している。 「団塊世代は年金に関して“勝ち逃げ世代”といわれるが、そうではない。年金制度はすでに破綻しているのに、なんとか年金を支払うことができるのは、高度成長期からバブル期にかけて団塊世代が中心になって貯めた積立金があるからなのです」  団塊世代は、現役の時は必要以上に保険料を払い、受給額は前の世代より大きく減らされているのだ。それが、これからは年金カットに加えて消費税増税、物価上昇という三重苦に見舞われるのである。 「家計調査(2012年平均)によると、世帯主が70歳以上の2人以上世帯はすでに昨年の時点で毎月の家計は赤字だ。具体的に見ると、収入は年金が19万5299円、その他の収入を合わせた月収22万2964円に対して、食費、光熱費、住居費、交通通信費などを合わせた支出合計は26万863円で、赤字の3万7899円は貯蓄の取り崩しなどでやりくりしていることが浮かび上がる。消費税が10%に上る2年後にはどうなるか。まず特例水準解消で年金が2.5%(4882円)カットされ、月収は21万8082円に減る。一方の消費支出は、政府目標の2%物価上昇が実現し、さらに政府の方針通り消費税分が価格に転嫁されると計算した。これに電気・ガス代の値上げ、年金から天引きされる介護保険や健康保険税の値上げを合わせると、支出合計は28万4537円に達する。新たに3万円近く負担が増え、1か月の赤字は6万6455円に膨れ上がる」(ポスト)  現在30代、40代の諸君は他人事のように思っているかもしれないが、すぐその時は来てしまう。この国の社会保障制度を政府や役人に任せておいたら、70過ぎたやつは姥捨山へ行けとなるに違いない。  列車火災に脱線事故、267カ所にも及ぶレール異常の放置と不祥事が頻発するJR北海道に何が起きているのか。  文春、新潮がともにやっているが、文春はその背景には「革マル系労組」があるというのだ。こちらを今週の第5位。  JR北海道の現役中堅社員が、こう話す。 「JR北海道の異常な企業体質が生まれた背景の一つに労使関係がある。一例を挙げれば、安全に関わることでも、労組の合意なしには義務化できなかったアル検(アルコール検査)問題があります。2008年、会社はアルコール検知器を導入し、全乗務員(運転士・車掌)に乗務前に各自で検査するよう呼びかけた。ところが組合は『アル検は強制ではない』として組織的に検査を拒否。09年には国交省の立ち入り検査で、札幌車掌所の十二人の車掌が導入時から一貫してアル検を拒否していることが発覚しました。そして、その全員が北鉄労の組合員でした」  北鉄労(北海道旅客鉄道労働組合)は、全社員約7000人のうち管理職を除く84%が加入するJR北海道の第一組合である。  11年の5月には、こんなことが起きているという。 「JR北海道は石勝線で特急列車が脱線した後、火災が発生、乗客39人が病院に搬送される事故を起こしている。その後も、居眠り運転など不祥事が相次ぎ、国交省から事業改善命令を受けたにもかかわらず、アル検は拒否されていたのだ。そして事故の4カ月後には、中島尚俊社長が『「お客様の安全を最優先にする」ということを常に考える社員になっていただきたい』と遺書を残して自殺する」  確かに北鉄労が所属するJR総連は、国会での警察庁警備局長答弁や政府答弁書などで、極左暴力集団である革マル派との関係が指摘されている。  だが、これだけがJR北海道に不祥事が頻発する理由のすべてではなかろう。赤字体質からの脱却など、やるべきことは山ほどあるはずである。北海道に住む人たちが安心して乗ることができる鉄道にするために、労使双方が徹底的に話し合うべきである。 「女性の読者の方から、なぜもっと、ベン・ケーシーのように正義感に満ちた医者を書かないのかと詰問された。(中略)しかし、権力と名声に包まれた財前教授のような医者の心の中にある醜い欲望や冷酷さは、小説という形の中でしか強烈に描き出せない。それで私の心の中にある主人公は、里見助教授でありながら、あえて財前五郎を強烈に描いたのですと、その女性読者に答えたことがある」(『山崎豊子 自作を語る2大阪づくし 私の産声』、小社刊)  これは週刊新潮にある「『白い巨塔』を書き終えて」という中の一文である。作家・山崎豊子さんが亡くなった。享年88歳。『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など、今でいうノンフィクション・ノベルの大家である。  徹底的に取材をして、それをもとに書き上げるテーマは戦争、医療、新聞と幅広く深かった。 「私は取材魔といわれるくらい好きなんですね、資料読んで、問題点つかまえて聞いて、取材して歩くことが。また、取材している間にいろんなことが生まれてくるんです」  一冊書き上げるのに、300人以上の人を取材したという。  日系二世の悲劇を書いた『二つの祖国』についてこう語っている。 「結局、『二つの祖国』という小説は4つから成っているのです。強制収容所、太平洋戦争、広島の原爆、そして東京裁判です。この4つを上手く、ドラマチックにつなげられた場合にのみ、この小説は成功するのであって、収容所だけ、広島の原爆だけ、東京裁判だけでは幾多の名著が出ている。4つを一つのモチーフのもとに大きな環としてつなげられるか、つなげられないかが、小説の勝負どころだったんです」(『作家の使命 私の戦後』)  現在新潮に連載中の『約束の海』は第1部、20回分は書き終わっているが、その後はない。『暖簾』『ぼんち』に始まる山崎作品の新潮文庫の総計は、2000万部を超えるという。司馬遼太郎を失い、唯一人残った国民作家をまた失ってしまった。  次は第3位。新潮が今年5月、韓国クラブママの生活保護不正受給が発覚した際「絶対に許せない!」と叫んだ三原じゅん子自民党参議院議員(49)の身内に、生活保護受給者がいると報じている。  身内というのは、三原議員の公設秘書を務めていた山口智之氏(38)である。二人は事実上の夫婦であることがフライデーの報道でも明らかになっていると、新潮は書いている。  新潮も二人が仲睦まじく暮らしているところを、何度も目撃しているのだ。  しかも国会議員秘書給与法では、配偶者を公設秘書にすることを禁じている。事実婚だからとそのままにしてきたのを、三原議員はこの8月、当選以来3年間公設秘書として仕えてきた山口氏を私設秘書に切り替えた。さすがに政治家として道理が通らないことを自覚したのではなかったかと、新潮は追及している。  しかし、もっと深い事情があると、山口氏の実家のある神戸在住の知人がこう語る。 「実は地元にいる彼の妹さんが困窮状態にあり、この数年、生活保護受けとるんですわ。これが表に出たらまずいと思って、山口さんを切ったと聞きました。(中略)それに三原さんだって、実際にはカミさんのようなもんやし、議員という立場上も、彼に支援を促すのが筋とちゃいますか。彼女は昨年4月、神戸の中華屋で行われた山口さんの実家の法事に出席し、婚約者と紹介されてたんだから。山口家とは、もう身内の関係なんですよ」  民法には「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」(第877条1項)とある。 「三原議員と山口氏が事実上、収入を一つにする世帯である事は明白ではないか」(新潮)  神戸市の生活保護の担当者も「うちは内縁関係も親族とみなします」と話している。  生活保護の不正受給を追及してきた三原議員はどう答えるのか。彼女の事務所が新潮編集部に、概ねこういう回答を寄せたという。 「山口秘書とは内縁関係にはありません。彼の妹の生活保護受給については、他人のプライバシーに関することなので、お答えい確かねます。議員はこの件を知りませんでした」  今月開かれる国会では、生活保護法の改正案が提出される予定で、そこには扶養義務者への支援要請の強化が盛り込まれるという。元女優の三原議員、どんな名演技でこの危機を乗り切るのか、見物である。  闇の帝王、裏社会の代理人、浪速の怪人などと、数々の異名を欲しいままにした許永中氏(66)が9月末、13年あまりの服役を経て出所した。  ポストは韓国のソウル市内にある「南部矯導所」を出所した直後を写真に撮り、肉声を伝えている。彼の出所で震え上がる政・財界人も多いのではないか。  許氏は大阪・北区中津に生まれた在日韓国人。彼は、1980年代前半のバブルの勃興期から絶頂期、そして崩壊を経て99年に身柄を拘束されるまで、裏社会との太いパイプを背景に政財界に深く食い込んだ。  政治家でいえば竹下登元首相、財界人でいえば太田清蔵・東邦生命元社長など各界の一流の人物たちとの人脈を築いた。  大阪の中堅商社・イトマンから3000億円に上る巨額資金を闇に流出させ、およそ360億円の損害を与えた特別背任の罪に問われ、逮捕された。  いまひとつは石油商社・石橋産業から手形180億円を騙し取ったとする事件の詐欺容疑で逮捕されているが、この事件には不可解なものがある。事件に関わった当事者の一人がこう話している。 「当時、石橋産業側は傘下の建設会社を同業他社と合併させるという許氏の事業プランに合意して協定書まで交わし、許氏に180億円の手形を出した。また、許氏には当時、銀行から同額の融資が見込めたので、返済能力もあった。騙す方も騙される方も、その意図がなかったのだから、詐欺罪が成立するのは不可能だ。では、なぜ事件になったのか。それは許氏のビジネスパートナーで、裏社会の大物の代理人として動いていたヤメ検弁護士の田中森一氏を検挙することが、当時の検察にとって至上命題だったからだ。だから、わざわざ田中氏が関与した無理筋の手形詐欺事件にした。言うなれば、許氏は巻き添えを喰った形だ」  許氏は日本のバブル前後の政治、経済を実際に裏で動かしてきた当事者である。あの政治家、あの大企業、あの事件の裏側で本当は何があったのか――それを身近に知る重要な「歴史の証言者」だから、当時の捜査関係者がこう言っている。 「イトマン事件で逮捕、保釈された後も竹下元首相が許氏と会っていたのは、取り調べで竹下氏に関することは一切、しゃべらなかったからだといわれた。まだ、知っていても口に出していない秘密があるはずだ」  ついに大物仕事師がシャバに戻った。まだ66歳である。最後の大仕事で、世間をアッといわせる時が来るかもしれないと、ポストは結んでいる。  許氏が真実を語るとすれば、ぜひ聞きたいものである。  週刊文春が、東京五輪招致や主権回復の日など、安倍首相の“皇室利用”が過ぎるのではないかという特集を組んでいる。これが今週の第1位。  06年に富田朝彦元宮内庁長官(故人)の手帳や日記の存在をスクープし、新聞協会賞を受賞した日本経済新聞の井上亮編集委員がこう解説している。 「今回の久子さまのIOC総会参加は、皇室を長年取材してきたベテランの記者は皆おかしいと思っています。憲法四条に『天皇は、国政に関する機能を有しない』と定められていますが、これは天皇陛下だけでなく他の皇族にも適用されます。そもそも、戦後皇室の象徴天皇制は『公平』を一番大切な不文律としてきました。国論が分かれるようなことや、利害関係が分かれるようなことには関与しないことを旨としてきたのです。宮家とはいえ久子さまがあの場に出られるなら、今度は皇太子殿下も、となりかねません。今回の一件を天皇陛下は相当憂慮されているのは間違いありません」  9月2日の記者会見で風岡典之宮内庁長官が、IOC総会での久子さまの出席を『苦渋の決断として、受け入れた』と語ったのは、天皇陛下のお気持ちを代弁したものだと宮内庁担当記者も語っている。  それに対して、菅義偉官房長官は「違和感を覚える」と批判した。だが井上氏は今年4月28日の主権回復式典でも一悶着あったという。 「主権回復式典に陛下の出席を促したのも、安倍政権の露骨な政治利用でした。(その日に主権回復をしていない)沖縄で反対運動があるのに、天皇陛下を引っ張り出してしまった。今回の久子さまの一件もそうですが、安倍政権の皇室利用の仕方は、行き過ぎではないかと思います」  こうした批判があるにもかかわらず、安倍首相は宮内庁“改革”も企んでいると、安倍首相に近い関係者はこんな秘話を明かしている。 「実は、第一次安倍政権の時に当時の羽毛田宮内庁長官を更迭しようと考えたことがありましたが、実現しませんでした。宮内庁ではまずナンバーツーの次長がブラックボックスの中で選ばれ、次長経験者が長官に上がるのが不文律になっている。今回、日銀総裁や内閣法制局長官の人事で霞ヶ関の不文律をぶっ壊した安倍首相にとっても、宮内庁だけは簡単に手が出せないのです。それでも、安倍首相はTPPや集団的自衛権などの懸案を処理した後、宮内庁の問題にも手をつけていこうと考えているのです」  今上陛下は即位後朝見の儀で「日本国憲法を守り、これに従って責務を果たす」と述べている。従って、その憲法を改正しようともくろんでいる安倍首相には批判的だと思うのだが、安倍首相は気が付いていないようである。 (文=元木昌彦) (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 

週刊誌の「死ぬまでSEX」特集に黄色信号か? 高齢者のHIV患者が激増中

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「AERA」10月7日号 中吊広告より
今週の注目記事 第1位「『死ぬまでSEX』の危険」 (「AERA」10月7日号) 第2位「東京地検がメスを入れた『徳洲会』の巨大がん病巣」 (「週刊新潮」10月3日号) 第3位「【引退勧告スクープ】〈島田紳助と同罪〉みのもんた 黒すぎる過去」 (「週刊文春」10月3日号) 第4位「『消費税+法人減税=国民の収入アップ』→そんなの大嘘です!!」 (「週刊ポスト」10月11日号) 第5位「日本一幸せなVERY妻」 (「AERA」10月7日号) 第6位「マエケンが投げて『広島が日本一』という夢を見ようじゃないか」 (「週刊現代」10月12日号)  山崎豊子さんが亡くなった。享年88歳。『白い巨塔』や『大地の子』など、ノンフィクション・ノベルの金字塔を数々生み出した作家である。  妥協を許さない徹底した取材に、担当編集者は悲鳴を上げることたびたびだった。現在、新潮で『約束の海』を連載中で、20回分の原稿は上がっているというが、完結しないのが残念である。  さて、今週は意外と言っては失礼だが、AERAが健闘している。文春の「〈怒りの告発〉官邸ブレーンのセレブ教授は教え子を妊娠・堕胎させた」「『秘密保全法ハンタイ!』芸能界のドンも頭を抱える藤原紀香の“左傾化”」「ロンブー淳“できすぎた嫁”〈元カレが暴露〉『オレが浮気したら包丁で…』」なども候補には挙げていたのだが、今ひとつピントこなかったため落とした。まずは現代の記事からいこう。  球団史上初となるCS(クライマックスシリーズ)進出を決めた広島カープ。全国のカープファンが待ち望んだ、29年ぶりの日本一の気分が高まっているようだ。  私は親父から二代続く「由緒正しい巨人ファン」だが、このところシーズン中は野球を見る気がしない。  それはCSができたため、シーズン途中からは真剣味が薄れてしまうからだ。だが、CSと日本シリーズは毎年ほとんどの試合を見ている。今年はパリーグの楽天と広島がCSでどう戦うか、見物である。  下馬評では、広島と14勝7敗と有利な成績を残している巨人だが、阪神とのファーストステージで勝ち上がってきたら、広島にも勝機があるという見方もあるようだ。  広島の元エース・大野豊氏は、こう見ている。 「14敗のうち1点差負けが7試合、2点差が2試合と、9敗が僅差なんです。シーズン序盤はリリーフ陣が安定しなかったために負けがつきましたが、マエケン、バリントン、野村祐輔、大竹寛の先発4本柱は、巨人打線相手に決して負けていない」  広島のエースというより、いまや球界を代表する大投手になった前田健太は、巨人戦には4戦投げて3勝0敗、防御率0.96という素晴らしい成績。当然、マエケンをいつどう使うかが勝負の鍵になる。  広島OBたちは、巨人との決戦ではマエケンを第2戦の登板にするという読みが多いようだ。それは、阪神とのファーストステージの第一戦に先発すると、決戦の初戦登板では中3日になってしまうからだ。  中には、マエケンをリリーフでフル回転させてはどうかという、“奇策”を推す評論家もいる。  どちらにしても日本野球最大のイベントであるCSと日本シリーズは、電子レンジでチンした冷凍枝豆を肴にビールでテレビ観戦といきましょう。サッカーなんぞより、なんぼか面白いぜ!  みなさんは「VERY」という雑誌を知っているだろうか? 光文社から出ている30代のセレブ主婦向けの雑誌である。  AERAによれば、雑誌が売れない中でVERYの勢いが止まらないそうである。いったん落ちた部数を2007年からじわじわ回復させ、いまや35万部超。ブランド広告の出稿量も膨大で、500ページ超、重さ2キロ近い号もあるそうだ。次号11月号は、VERY史上最高の37万部を刷るという。  こうした雑誌の売りは、「読モ」といわれる読者モデルの存在。VERYの専属モデル、滝沢眞規子さん(35)は渋谷区内の豪邸に住み、夫はアパレル会社経営、3人の子どもと暮らすセレブである。  家族で街を歩いているときにVERY編集部にスカウトされ、09年に読者モデルとして誌面に登場して以来、私服の問い合わせ率はナンバーワンだそうだ。  彼女のほぼ毎日更新するブログには、夕食の献立や家族旅行の様子が綴られ、定番の「今日のコーディネート」は、トップス:ドルチェ&ガッパーナ、スカート:ザラ、パンプス:ジミーチュウ、バッグ:フェンディ(私のほとんど知らないブランドばかりであるが)だそうである。  専属主婦から人気モデルへ、シンデレラの階段を駆け上がり、いまや主婦のカリスマだという。  VERYが提唱するのは「母でも妻でもない自分に戻る瞬間、シンデレラタイム」を持とうということだそうである。子どもを幼稚園に送った後、戻るまでの間、自分の好きな洋服に身を包み、趣味の時間を持つ。  編集部が調べた「VERY妻」の世帯年収は821万円。バッグに出してもいい金額は7万5,069円だという。家事や育児に協力的な夫を「イケダン」と命名したのもVERYだそうだ。 「VERYには、女性誌ではお約束の占いページもなければ、韓流スターやアイドルも登場しない。妄想とは無縁だ」(AERA)  華やかなファッションだけではなく、原発などのシリアスな記事も入っているという。VERYをネット上で論評している西森路代さんによると、この雑誌の魅力はこうだ。 「読者は『自分たちで主婦を肯定しちゃおうよ』というVERYのコンセプトに乗ると同時に、突っ込めるメタ視点も持っているから、面白がれる。憧れのA面とリアルなB面、両面を持つ雑誌は他にありません」  こうした雑誌コンセプトは「with」「FRaU」(ともに講談社)にもあったと思うが、これらの雑誌がふるわず、VERYが読まれているのはなぜか? 女性雑誌の編集者は、こぞってこの雑誌を研究しているのだろうな。  私には現代の「こんなに恐ろしい定年ビンボー」のほうが切実で、読み応えがあったが、やはり「売れる雑誌には理由がある」のだから、売れない売れないと嘆くより、売れる雑誌を生み出す努力をしなくては、編集者としての存在意義はないはずだ。  安倍首相が消費税8%に舵を切る。だが、間違いなく増税は景気も個人消費も凍えさせると、私は考える。  そんな私の考えを代弁してくれるのがポストの記事。これが今週の第4位。  安倍首相の言葉を式にすると、〈消費税増税+法人税減税=国民の収入アップ〉という不思議な等式になると、ポストはかみつく。 「法人税減税で給料上がるというのは真っ赤なウソだ。実は、日本の全法人約260万社のうち、75%の約195万社は赤字で法人税を払っていない。それらの企業は減税が実施されても収益は変わらないから、減税で給料上げることなどできない。仮に、残り25%の企業が減税分で賃上げをしたとしても、『国民全体の収入アップ』になる道理がないではないか。(中略) 厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、今年7月の全産業平均の月給は前年比で約1700円の減少。14か月の連続のマイナスである」  誰もがおかしいと思う「5兆円規模の景気対策で増税分を国民に還元する」という理屈にも、こう批判する。 「安倍内閣は今年1月にアベノミクスの第一弾として13兆円の景気対策を打ち出したが、潤っているのはゼネコンだけで、国民の賃金アップにはつながっていない。今回の5兆円景気対策も同じで国民の収入が増えるわけではありません。それなのに増税分を国民に還元するなんてよくいえるものです。 3%のうち2%分を還元する気があるなら、最初から1%増税にすればいいでしょう。小学生でもわかるようなまやかしをいっているのです」(埼玉学園大学経済経営学部教授・相沢幸悦氏)  いくらウソをついても国民はバカだから何も言わないし、マスコミは物を言えないように飼育してある――安倍首相の腹の中は、こうなのではないか。こういうときこそ、週刊誌の出番だと思うのだが。  さて、その週刊誌では、みのもんた追及がますます過熱してきている。  文春は、みのもんたが文化放送『みのもんたのウィークエンドをつかまえろ』(9月21日放送)で、こう話したと書いている。 「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。暑さ寒さも彼岸まで。昨日、お墓参りをしてご先祖様に近況報告してまいりました。『大変、世間をお騒がせして申し訳ございません』とね。とはいえ、私は騒がしたつもりはまったくないんです。私は別に何をやったわけでもないもんですからね。お前の周りでそんなことが起きたから、お前はどうするんだと言われてもねえ。いろんな人がいろんなことをおっしゃってる。でも、皆さんにひと言いいたいのはね、あくまでもこれは他人のことですから。もしご自分が私の立場になったら、どうなのかなあ。そういうことを考えてからお喋りになった方がいいよ、と」  自宅前で謝罪したときとは、かなり変わってきているようだ。  新潮では、上智大学文学部の田島泰彦教授がこう断じている。 「みのは社会的問題を取り扱う番組に中心的立場で出演し、様々な事件や出来事を追及してきたのだから、自分の身内の問題についても説明責任がある。30歳を過ぎて独立しているのだから云々は、一般人の話。彼の立場なら、安全な場所にいるときは好き放題言って、自分の身に危険がおよぶと逃げるなど、許されるはずもありません」  みのの次男・御法川雄斗容疑者は窃盗容疑をいまだ否認し続けているが、警視庁は10月1日、彼を窃盗容疑で再逮捕した  人間、落ち目になりたくないものだと思うのは、案の定、みのも過去の古傷を暴かれているからだ。文春によれば、こうである。  島田紳助が暴力団との黒い交際で引退した頃、TBSに対し、ある人物から重要告発があったというのである。 「告発の内容は、みのが過去に右翼団体とトラブルになり、暴力団関係者が解決に動いたというものでした。03年頃、右翼の街宣活動の標的とされ、困り果てていたみのが、相談を持ちかけたのが、バーニングプロダクションの周防郁雄社長だった。その周防氏が、神戸に拠点をおく暴力団『松浦組』の民族派団体『大日本新政會』に救済を求め、話し合いの末に解決に至ったというのです。これが事実であれば、みのは周防氏を介して暴力団関係者にトラブル解決を依頼したことになる。TBSにとっては看過できない問題のはずでした」(事情を知る関係者)  だが、この告発をTBSは黙殺したという。  周防氏が解決を依頼したのは、当時親しかった「大日本新政會」総裁の笠岡和雄氏である。当時、周防氏が所有する麻布のビルに東京事務所を構えていた笠岡氏は、周防氏の依頼を受けてたびたびトラブルの解決を請け負っていたという。  みのが右翼の攻撃対象となったのは、みのの父親が創設した水道メーター会社「ニッコク」が関わった談合事件だった。東京都への水道メーター納入業者を決める一般入札で談合を行ったとして、03年7月に「ニッコク」に東京地検特捜部の家宅捜索が入り、同月15日には公正取引委員会から排除勧告を受けている。  各テレビ局が無視を決め込んだこの談合事件に目をつけたのは、任侠系の政治団体だった。街宣車が港区にある「ニッコク」本社で激しい抗議活動をしたが、ある日ピタッと止まった。  笠岡氏がこう話している。 「厳しい抗議文が連日ファクスなどでもニッコクに送られていたようです。談合が明らかになった以上、テレビはやめろ、許さないと。周防氏がその抗議文を私のところに持ってきて、『なんとか、みのさんを助けてくれませんか』と。そういうことでした。私が解決に動いたことは、もちろんみのさんも知っているはずです」  これでは島田紳助の件と瓜二つではないかと、文春は難じている。 「紳助が闇社会との黒い交際を始めたのも、過去の番組での発言を咎められ、右翼団体の抗議を受け、その解決を頼むために渡辺二郎氏の仲介で山口組の幹部と知り合ったことからだった。みのも同じく、結果的に暴力団に仲介を頼んだことになる。まさしく紳助と“同罪”なのである」  みのは、散々悪口を書いた週刊誌に「100倍返し」してやると息巻いているようだが、これ以上旧悪を暴露されないように気をつけたほうがいい。  五輪招致、見せかけだけだが景気回復で、安倍首相は上機嫌のようだが、ここへ来て、安倍内閣にとって由々しき事態が起きている。  それは、徳田毅自民党代議士(42)の選挙違反を捜査するために、東京地検特捜部が動き、100カ所近い捜索を始めたからだ。  徳田氏の父親・虎雄氏(75)は、巨大医療グループ「徳洲会」を一代で築き上げた人物だが、この人のカネまみれ選挙は有名だった。その息子も父親ほどではないようだが、自由に使えるカネと人を注ぎ込んで政界に足場を築こうとしてきた人物である。  昨年12月の政治資金パーティには安倍首相も駆けつけ、「自民党のホープ」と持ち上げている。  この事件をきっかけに、政界のどこまで捜査の手が及ぶのか。安倍政権を揺るがす事件に発展するかもしれないのだ。  新潮によれば、昨年12月の総選挙で毅氏の選挙区である鹿児島2区に借り出された徳洲会の職員は、最低でも370人に上るという。徳洲会関係者によれば、こうである。 「傘下の病院から掻き集められた職員には、ビラ撒きや戸別訪問などが割り当てられました。しかも、公示後は欠勤扱いとして、引かれた給与分をボーナスに上乗せし、3000円の日当まで支給していたのです」  毅議員は絶体絶命のようだが、総帥の虎雄氏は徹底抗戦すると言っているそうだ。  十数年前にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、眼だけしか動かせないが、その眼でプラスチックの文字盤を追い、意志を伝えている。  この人が繰り広げた鹿児島県徳之島でのすさまじい選挙戦は、今も語り草である。古参幹部がこう振り返る。 「当時は理事長(虎雄氏)が直接、地元に現ナマを運んでいました。ひとつの紙袋に1億円を詰め込んでね。空港の手荷物検査でX線にかけると、見たこともないような大量の札束が透けて見えるので、係員は驚きのあまり言葉が出ない」  地元入りした虎雄氏は選挙スタッフに、あの町に1,000万、こちらにも1,000万と、札束を手渡しながら指示を飛ばしたという。 「86年の選挙で徳田陣営は20億円落としたと聞いている。この選挙では徳田派24人が選挙違反で逮捕された」(鹿児島県警関係者)  選挙違反は徳田家のお家芸のようだ。全国に67の総合病院など約350もの関連施設を持つ徳洲会は、日本最大の医療法人グループである。そこから徳田ファミリーが吸い上げるカネもものすごい。  「カブトク」という会社がある。千代田区にある株式会社「徳洲会」のことだ。虎雄氏が全株を持ち、社長は長女の越澤徳美氏(49)。取締役にも次女のスターン美千代氏(46)をはじめ、虎雄氏の子どもが並ぶファミリー企業である。徳洲会の関係者が、こう語る。 「全国各地の徳洲会病院が薬や医療機器を調達する際、本部の指示でこの会社を間に挟むことが義務付けられる。その結果、カブトクには常に5~30%の仲介手数料が入ることになるのです。もちろん病院は直接業者から仕入れたほうが安く済むのですが、本部の意向に逆らえるハズもない。確かに医療法人には株式会社が必要なケースもありますが、このトンネル会社は、年間800億もの売り上げを誇り、ファミリーは多額の役員報酬を得てきました」  栄華を誇った徳田ファミリーも、落日の時を迎えるのか。東京地検が意気込んでいるのは、捜索で虎雄氏のパソコンが手に入ったことだという。ある地検関係者によれば、『〇〇に○千万円運べ』といった具体的な指令が、パソコンには保存されているという。 「特捜部の最終目標は、徳洲会から永田町の有力議員へ渡ったカネの流れを解明し、犯罪に問えるものがあれば、バッジ(議員)の身柄を取ること。今回の捜査は、地元の警察がやるような単なる選挙違反事件とはワケが違う。だからこそ、史上空前規模で捜査を行っている。そして、この前段階として、毅議員のほか、選挙の陣頭指揮を執った次女、選挙資金の供給源となった会社の代表取締役である長女の逮捕まで視野に入れています」(社会部キャップ)  今回の捜査は、威信の低下した特捜部の起死回生をかけるものになるというのである。  元特捜検事の郷原信郎氏も、こう言う。 「公職選法違反から入って、巨額の政治資金規制法違反や脱税などの罪状で、政界にどれだけ切れ込めるか、捜査を見守りたい」  成り行き次第では、安倍政権の致命傷になるかもしれない。  ポストは今週も「死ぬほどSEX 60歳から『現役復帰』のススメ」という特集を組んでいるが、思わぬところから矢が飛んできた。  AERAの記事を読んで青くなる中高年もいるのではないか。これが今週の第1位。AREAはこう書き出す。 「エイズが若者の問題だったのは、もはや昔の話らしい。厚生労働省の『エイズ動向委員会』は8月30日、今年4~6月に新たに報告されたエイズ発症患者は146人で、過去最多だったと発表した。そのうち50歳以上が58人と全体の4割近くを占めた。ここ数年、中高年の患者が急激に増えているという」  AERAは、最近の週刊誌は「死ぬまでセックス」「60歳からのセックス」(「現代」)、「死ぬほどSEX」(「ポスト」)など、不倫のススメから女性を喜ばせるマッサージ術、アダルトDVDの紹介まで、これでもか! という勢いで高齢者の性を特集していることが“影響”しているのではないかと問いかける。なぜなら、 「一方、今年の厚生労働白書『若者の意識を探る』によれば、18~39歳の未婚者を対象にした調査で、『異性の交際相手も友人もいない』と答えた男性は60.2%、女性は51.6%に上った。今なお盛んな中高年に比べ、若者は明らかに元気がない。どうやら性も高齢化が進んでいるようなのだ」  なぜ今、高齢者が性に貪欲なのか。  セックスセラピストで産婦人科医の早乙女智子さんは、「高齢者の性が注目を集め始めたというより、もともとセックスに積極的だった世代が高齢になってもアクティブなまま、ということでしょう」とそっけないが、その通りであろう。  トルコ(今のソープランド)やピンクサロンへ行くのが「男の遊び」だと、稼いだカネをせっせと注ぎ込んできた世代である。その上、今はインポになればED薬もある。「死ぬまでセックス」と考える高齢者人口は、間違いなく増えてきている。  だが、週刊誌で風俗情報が売り物にならなくなったのは「エイズ」の蔓延であった。 「日本で2012年に新たに報告されたHIV感染者の内訳をみると、男性954人に対し、女性は48人と、圧倒的に男性が多い。同性との性交渉で感染したケースは724人、異性間では180人。つまり、男性同性愛者が最も多い。だが、40代以上に限ってみると、男性の4割近くが異性とのセックスで感染している」(AERA)  国立病院機構大阪医療センターの白阪琢磨HIV/AIDS先端医療開発センター長は、中高年で発症者が急増する原因をこう指摘する。 「各地域の保健所では匿名で検査を受けられるにもかかわらず、実際に受けている人の多くが若者なんです。いくら啓発キャンペーンを行っても、エイズ発症が心配な、もっとも届いてほしい中高年層は当事者意識が薄く、危機感を抱いていない」  国を挙げてHIV対策に取り組む米国では、今年4月、どんな疾患であっても、15~65歳で病院に来た患者は全員HIV検査を行うよう、政府の予防医学作業部会が勧告を出したそうだ。 「発症前であれば、1日1~3錠の投薬治療で、血液中のウィルスを検出限界以下のレベルにまで抑えることができる」(同)という。  HIV感染者の数は発表数字の何倍かになるであろう。死ぬまでSEX、70、80でも頑張れ! と煽り続けている週刊誌にとって、高齢者のHIV患者激増の記事はショックではないか。これから現代、ポストがどうするのか、注目したい。 (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 

“奇跡の38歳”丸岡いずみが、うつ地獄を激白 「コイのように口をパクパクと……」

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「週刊新潮」9月26日号 中吊広告より
今週の注目記事 第1位 「『みのもんた』の背中が育てた『超バカ息子』全行状」(「週刊新潮」9月26日号) 「みのもんた『成金コネ一家』の崩壊」(「週刊文春」9月26日号) 第2位 「本当に消費税上げて大丈夫なのか!?『値上げ地獄』の秋がやってきた!」(「週刊ポスト」10月4日号) 第3位 「光GENJI山本淳一“結婚詐欺”人生 二股ヒモ生活の果てに温泉街のバーテンダー」(「週刊文春」9月26日号) 第4位「“奇跡の38歳”突如降板から2年 元日テレ 丸岡いずみ 衝撃告白 『うつ地獄』からこうして脱出した!」(「週刊文春」9月26日号) 第5位 「『原発汚染水』これが真相だ」(「週刊現代」10月5日号) 第6位 「私は見た! 中央大学『不正入試事件』」(「週刊現代」10月5日号) 第7位 「元『AKB48』逢坂はるな ついにAVデビュー!」(「週刊現代」10月5日号)  今週は質より量でいく。まずは軟派記事からだが、ポストは「動く女性器『診察』『触診』『性教育』『オーガズム指導』『整形手術』すべて無修正」と「楽して快感『ラブグッズ』性愛術」。動く女性器とは、YouTubeにアップされている動画の中に、性教育や手術のために、そのものズバリが映っているものがあるという紹介記事。  もう一本は大人のオモチャの紹介。失礼ながら、知恵はあまり使っていない企画である。  現代は東京・神楽坂の「風俗資料館」にある「淫靡と背徳のエロス」を紹介している。今ごろ淫靡などという字が読めるのかと心配になるが、たしかにこの字でなくては、この陳列物の“匂い”は表現できないかもしれない。  その中では、私は不案内だが、逢坂はるな(元は違う名前で出ていたそうだが)という元AKB48のメンバーで、09年に卒業してDVDなどで活動している彼女(20)のまだ初々しいヘア・ヌードが袋とじになっている現代をお薦めしたい。  どうしてどうして意外に豊かな胸と見事なヘアを堂々と見せている見開きなど、なかなかの迫力である。  お次はやや地味な大学だが、今でも法科は司法試験合格率の高さを誇る中央大学のもめ事を扱った現代の記事。 「わが母校中央大学は、いま混乱の真っただ中にあります。不正入試事件で『裏口入学』の口利きをした前理事長が、学内の要職に居座り続け、再び権力を振るおうと画策している」  昨年発覚した、同大学の附属校である横浜山手中学の不正入試事件。前理事長・久野修慈氏が動かした巨額のカネを巡って、学内の混乱が明るみに出ようとしているそうだ。  久野氏は、親しい知人から孫が横浜山手中学を受験するので入れてほしいと頼まれ、便宜を図ったというのである。  この受験生、一度は合格になり入学金の払い込みも済ませたが、入学式まであと1カ月となった3月8日、合格が取り消し処分となったのだ。有力OBがこう話す。 「横浜山手中学の副理事長から、不正入試のことが当時の中大総長・福原紀彦氏に伝わったといわれています。これで福原氏が事件の追及に乗り出した」  しかし、事件の全容解明のために大学が設置を決めた第三者委員会による調査は、いささか奇妙な展開を見せたという。  調査報告書には、久野氏ではなく、福原総長に厳しい言葉が並んだ。さらに福原氏が事件の処断に動いたことについて、総長は、本件不正入試情報を入手してから、この情報を自己のグループで独占し、大学全体の問題として取り扱っておらず、職務権限がないのに本件合格の取り消しを事実上示し、実行させたもので、軽率のそしりを免れないというのである。  結局、第三者委員会による報告を受け、福原氏は総長辞任に追い込まれてしまう。  象牙の塔のゴタゴタは、どこまで行っても藪の中である。しかし、この騒動が明るみに出て文科省が「内紛」と見なせば、年間約30億円の補助金が打ち切られるそうだ。どういう決着が図られるのだろうか?  現代は、日本経済にも2020年の五輪にも大きな影響を与える、原発汚染水問題の現実を伝えている。これが今週の5位。  安倍首相は五輪のプレゼンテーションでも福島第一原発の視察でも「汚染水は湾内でブロックされている」と主張しているが、原子力研究者のマイケル・シュナイダー氏は、こうした考えを一蹴した。 「福島原発に隣接する湾内にある海水の半分が、毎日外洋に流出しています。これは日本の海洋学者も、東電も認めている事実。つまり、事故発生後から今まで、いったいどれだけ放射性物質が太平洋に流出したか、見当がつかないのです」  政府はタンクを密閉性の高い溶接式に切り替え、故障している除染装置を再稼働させようとしているが、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏はその効果を疑問視している。 「地上タンクから漏れたとされる300トンの汚染水には、1リットル当たり8000万ベクレルのベータ線放出核種があると発表されました。その正体を私はストロンチウム90だとみています。このストロンチウム90を、規制値以下の濃度にするには30ベクレル、つまり、約300万分の1にしなくてはならない。それを汚染の激しい現場で達成することはとても難しいと思います」  さらに、欧州放射線リスク委員会のクリス・バズビー博士は恐ろしいシナリオを現代に示したという。 「タンクの周囲から17万ベクレルという超高濃度汚染水が検出されていますが、これは明らかにおかしい。タンク内の汚染水の濃度が急に上昇するはずがないからです。推測するに事故後の水素爆発で飛び散った燃料棒の1部が土中にあり、地下水を汚染してるのではないでしょうか。これは、言ってみれば土中に原子炉があるような状態です」  現代は「事故から2年半がたったが、福島原発事故は収束するどころか、汚染水まみれになり、事態は悪化の一途を辿っている。しかも、このような状態を廃炉まで何十年も続けていかなければいけないのだ」と書いているが、このままいけば五輪開催にも影響するはずである。とても五輪景気などに浮かれている場合ではない。  さらに、京都大学原子炉実験所の今中哲二助教が言うように、「耐震補強だといって支柱を入れたりしていますが、そもそも建屋自体がひどく損傷してるので根本的な対策は難しい。4号機のプールには大量の使用済み核燃料が入っているので、地震によってプールが崩壊したり、水がなくなったりしたら大変な事態になる」のである。  文春は元日テレの看板キャスターだったが3年前の夏、突然テレビから姿を消した丸岡いずみの「うつ病」告白を掲載しているが、読ませる。  彼女、キャスターの仕事と過酷な取材が重なりストレスが溜まっていたため、東日本大震災後にうつ病を発症してしまうのだ。  日本テレビの報道番組『news every.』のキャスターだった彼女は、2011年8月29日、本番が終了した後、上司に「私、もうダメです。徳島に帰らせてください」と訴え、故郷へ帰ってしまった。  その後のうつとの闘いは壮絶である。 「家の中でも一ヵ所にとどまることなく、常にウロウロと動き回るようになりました。しかし、頭は鉛のようなものが詰め込まれたようになり、手足は重い鎖を繋げられたように思いどおりに動かなくなっていました。階段は這って昇るようになり、お化粧はもちろん、お風呂に入る機会も少なくなりました。動物なら『お腹が空いた』『眠い』という欲があるのに、そのどちらもなかった。『過覚醒』という症状で、鳥のさえずりさえも不快な雑音に感じてしまう。きれいな風景写真を見ても何も感じず、読書好きだったのに本を読む気にもなれない。ただ息をしているだけで、『やりたい』と思うことが何ひとつない。それは真っ暗闇にいるのと同じことでした」  そして、もっと危険な状態になってしまう。 「11月終わりの頃でした。居間で横になっていて、突然、呼吸ができなくなったのです。エサを求めるコイのように、ただ口をパクパクと動かす姿を見た父は、私を精神科に運び込みました」  薬も満足に飲んでいなかった彼女は、与えられた薬がよく効いたという。 「薬を飲み続けて二週間で、劇的な変化が訪れました。『……お腹が空いた』お腹が鳴り始めたことに気がついたのです」  ここで何度か書いているが、今の女子アナは給料はそれほどでもないのに、仕事は増え、フジテレビのように“できる女子アナ”はどんどん辞めて結婚したり、フリーになっている。  症状がよくなり結婚もしたという彼女の話は、女子アナたちにもいい助言になるはずだ。  同じ文春に、元光GENJIの山本淳一(41)が「二股ヒモ生活の果てに温泉街のバーテンダー」という記事がある。これが今週の3位。 「アイドル全盛の80年代の中でも、ジャニーズ事務所が送り出した光GENJIは伝説の存在だ。ローラースケートを履いて歌い踊った7人組は社会現象となり、88年のオリコンチャートでシングル年間ベスト3を独占するなど数々の記録を打ち立てた。だが、光GENJIが95年に解散した後は、愛嬌のある笑顔で人気を集めた山本も仕事が激減」(文春)  女優と結婚したものの破局し、事務所も離れ、目立った活動もしなくなっていく。  そして、お決まりの女性とのトラブル。  語るのは、山本と今年6月まで交際を続けたという都内在住の郁子さん(仮名・38)である。 「4年にわたって交際し、3年間は一緒に暮らしていました。私と前夫との間の子供の父兄参観や運動会にも参加するなど、完全に夫のような振る舞いでした。その一方で別の女性にも結婚をほのめかし、お金を引き出していた。そうやって嘘を重ねて、私にバレると逃げてしまった」  別の彼女から郁子さんに電話がかかり、彼女は4年も付き合ってお金も注ぎ込み、夫と離婚もしたと話したというのである。  だがその後、彼女のほうは山本と四国・松山で一緒に暮らしているそうだ。  8月末に、文春の記者が松山の道後温泉を訪ねた。 「薄暗い小路に立つバーに、ガラスドアを拭く男性の姿があった。赤いTシャツにスニーカー、髪はサイドを刈り込んで顎ヒゲを生やす今時のスタイル。20代の若者にしか見えないが、それが現在の山本の姿だった」(同)  郁子さんはこう語る。 「結局、光GENJIの威光で女性を頼るしかない人なんです」  事務所にこき使われ、一世を風靡しても次のアイドルが出てくればお払い箱。芸能界で生き残るのは極々わずかだ。もの悲しい話である。  先の逢坂はるなには失礼だが、AKB48の娘たちの中で芸能界に残れるのが何人いるだろう。後はひっそりと引退するか、体を使って(春をひさぐという意味ではないが)稼ぐしかないのだ。  現代はアベノミクスを礼賛し、株が上がる上がると囃し立てたのに、暴落するとアベノミクスは終わった、もう株には手を出すなという特集をした。  だが、2020年の東京五輪が決定すると今週は「日本経済『黄金の7年』が始まる」という特集を組んでいる。いくら何でも変わり身が早すぎるのではと思わざるをえないが、こう書いている。 「一部のマーケット関係者の間では、人気ドラマ『半沢直樹』の名セリフをもじって『倍返し相場』が来ると語られる。五輪決定で沸き上がるマーケットが、昨年来のアベノミクス相場でつけた年初来高値1万5942円の『倍』、つまり3万円オーバーに向かって急上昇していくシナリオだ。武者リサーチの武者陵司代表がこう指摘する。『日本の資産時価総額(土地+株式)は、89年から11年の間に1600兆円も失われました。22年間に亘って資産価値が下落を続ける現象は世界に例がなく、この過度な土地と株の価格下落を引き起こしたのは、過度の悲観論、諦観論=アニマルスピリットの喪失でした。東京五輪はこうした悲観、諦観を一掃し、正当な株価と地価の実現をもたらすでしょう。その経済効果は計り知れません。2020年の日本経済が1990年の高度成長のピークを越えていくとすれば、日経平均は過去最高の4万円が視野に入ってくるでしょう』」  さらに、この7年の間には、アベノミクスでもいまだに達成できていない賃金の上昇がやってくるというのである。  SMBC日興証券の渡辺浩志エコノミストが、こう解説している。 「五輪開催で、15万人の雇用創出が見込まれています。現在は約300万人の失業者がいて、失業率は3.8パーセント。15万人の雇用が創出されると、失業率は約0.25%改善される計算です。これは数値としては大きくはありませんが、失業率の下限が3.5パーセントと言われている点にポイントがあります。失業率が下限に近づくと、労働マーケットは人手不足の状態になり、おのずと賃金が上がっていく。来年、賃金は1%程度伸びると考えていいと思います」  それでも、ちょっぴり不安材料も書いてはいる。 「夢の祭典が終わってしまえば、熱気も冷め、需要も落ち込み、『五輪ショック』が起きるのではと危惧する向きもあるだろう。実はその危険性は否定できない」  だが、そんなことは付け足しに過ぎない。証券アナリストの植木靖男氏にこうまで言わせているのだ。 「2020年から日本ではバブルが始まる。そうなれば、日経平均株価が10万円を目指す上昇基調が、おそらく2024年ごろまで続くでしょう」  なんと今度は10万円だ。現代は、日本経済はこれからとてつもない変動迎え、その幕開けの瞬間に、われわれは立ち会っているのであると結んでいるが、とても素面では読めない。  対照的に週刊ポストは、今年の秋に値上げ地獄がやってくると書いているが、こちらのほうが実感があるので2位に推す。  パン、牛乳、ハム・ソーセージからチーズ、冷凍食品など主要食品が10~11月に軒並み値上がりする。日本酒やワインも大手メーカーが横並びで1000品目以上の値上げ方針を打ち出し、ごま油などは今年2度目の値上げをするという。食品インフレだけではない。 「国民生活を背後から脅かすのが公共料金、年金・医療、教育費などの負担増だろう。厚生年金保険料は9月から年間約9千円引き上げられ、年金受給額は今後3年間で『6万8700円』減らされる。高齢者(70~74歳)の医療費窓口負担は来年4月から2倍になる」(ポスト)  経済ジャーナリストの荻原博子氏が、こう指摘する。 「庶民の家計は食料品だけで食費が1割近くアップ、電気・ガス・水道の光熱費も1割アップ、その他にも教育費が上がり、マイカーを持っている世帯は自賠責保険も上がります。政府の試算にはこれらが含まれていません。それを合わせると消費増税後に年収300万円世帯は年間40~60万円、500万円世帯なら年間60~70万円という、年収の2割近くに相当する負担増を迫られることになるはずです。住宅ローンなどが払えなくなる世帯が増えることも考えられます」  ポストのほうは、こう結んでいる。 「厚生労働省の毎月勤労統計によると、全産業平均の今年7月のボーナスは前年比でわずか2108円増えただけだった。しかも、定期給与は740円下がっているから、差し引きで手取り増は1368円にしかならない。それなのに物価上昇と増税などで2割近くも新たな負担が増えれば、よほど余裕のあるサラリーマンでない限り家計がパンクしてしまうのは火を見るより明らかだろう。『値上げ天国』は間違いなく、庶民に地獄をもたらす」  読者諸兄はポスト、現代、どちらの見通しを正しいと思うだろうか。  文春と新潮がみのもんたの次男逮捕の特集を組んでいるが、タイトルは新潮に軍配をあげるが、内容は文春に分あり。両誌を今週の第1位にした。  文春では社会部記者が、次男逮捕の経緯をこのように述べている。 「事件発生は逮捕の約1ヶ月前、8月13日の午前1時過ぎ。新橋の路上で泥酔していた40代男性に警官が声をかけたところ、近くにいた不審な男が逃げるように走り去った。男性はバッグを盗まれており、直後に任意で事情を聞かれたのが雄斗容疑者。  その日のうちに帰されたが、のちの捜査でコンビニの防犯カメラに、男性のカードでATMから現金を引き出そうとする容疑者の姿が写っていたことが判明した。映像が決め手となり、逮捕につながったのです」  みのもんたの次男で日本テレビ勤務の御法川(みのりかわ)雄斗(31)が窃盗未遂容疑で警視庁に逮捕されたのは9月11日であった。  新潮は、みのが2007年に上梓した『義理と人情』(幻冬舎)という新書の中で、いじめ問題に触れてこう書いているとしている。 「教育委員会がどうの、校長はどうの、教師がどうのと言う前に、子供をきちんと躾けることを問うべきだと思います」  次男も慶應幼稚舎から慶應大学で、相当なやんちゃなこともしたそうだ。日テレもコネ入社だといわれているそうである。しかも親の七光りがあると勘違いしていたのか、態度も悪かったと新潮で日テレ局員がこう話す。 「髪は長めで、ところどころ金色に染まっている部分があり、チャラいと思いましたが、それ以上に、他の新入社員とは態度が違った。普通は何でもがんばりますという態度で仕事に取り組むものですが、彼は“おはようございます”とか基本的なあいさつもできず、一切質問もしてこない。仏頂面で、真剣に仕事をしないので、こちらも何ひとつアドバイスをしなかった。どこの部署に行っても使いづらいだろうな、と思いましたね」  やはり、しつけが悪かったのか。だが、こうなった責任はみのを甘やかしたテレビ局にもありそうだ。  キー局関係者が、銀座のバーでのテレビ局トップの行状をこう言っている。 「みのさんに酒を勧められれば、局の上層部でも断れない。某局のトップなんか、べろべろに酔わされて、店の床柱を抱きかかえてミンミン鳴く“蝉の芸”をやらされたそうです」  TBSでは「毎朝9時になると、生放送を終えたみのを、幹部やスタッフが一列に並び、最敬礼で見送るという光景が繰り返されてきた」(文春)というのである。  白い巨塔の大名行列のようだ。これでつけ上がらないほうがおかしいのかもしれない。  文春によれば、「みのは『せがれとはしばらく会う機会がなかった』と話したが、これは真っ赤な嘘だ」と追及している。 「事件から10日後の8月23日、みのと雄斗は東京・銀座の超高級クラブ『B』で豪遊していたのだ。  居合わせた目撃者が言う。 『Bはみのが行きつけのクラブで、以前から次男やTBSにいる長男をよく連れてきていました。その日はみのの誕生日の翌日で、次男と、もう一人連れの男性がいた。いつものようにグラスにクラッシュアイスを敷き詰め、バランタインの30年ものをなみなみ注いだ“みのスペシャル”を一気飲み。次男も同じものを飲んでいた」  30を過ぎた息子が逮捕されようが、本来なら親とは関係ない。だが、テレビの司会者で、社会的な発言をしてきた人間が、自分の息子が警察に呼ばれたというのを知っていて、銀座で一緒にバカ騒ぎでは、親の責任はどうなるといわれても仕方あるまい。  看板番組『朝ズバッ!』(TBS系)を降ろそうという動きもあるようだが、そうなれば年間5億円といわれるギャラが吹っ飛ぶ。みの人生最大のピンチのようである。  この事件でも、いつも通り「親の責任論」がやかしい。現代がそれについて特集を組んでいるが、評論家の呉智英氏のコメントが一番面白かったので紹介しておこう。 「日本では家族主義、親族主義が強いため、『食卓のない家』(円地文子作=筆者注)で描かれたような議論は昔からありました。今回のみの氏とその息子の一件に関して言えば、みの氏が成人した子供の責任を負う必要はないと考えるなら、徹底して突っ張るべきだと思います。報道番組だろうと、バラエティ番組だろうと出演自粛などしなければいいのです。  みの氏が、『社会人として息子を罰すべきは、きちんと罰してください。私を罰すると言われても、私には責任がない』と断言したら、インパクトはあるでしょうね。それがプラスになるか、マイナスになるか。私は信念を持って毅然と言い切れば、最終的にはみの氏にとってもプラスになると考えます」  この意見を、みのもんたはどう聞くのだろうか。 (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 

南雲式ダイエット、脱シャンプー、炭水化物制限……その健康法、本当に信じられますか?

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「週刊新潮」9月19日号 中吊広告より
今週の注目記事1位 「逆転勝利『東京五輪』の非公式情報」 (「週刊新潮」9月19日号) 同2位「半沢直樹はどこにいる? 頼れる銀行 頼れない銀行」 (「週刊ダイヤモンド」(9月21日号) 同3位「大銀行に血祭りにされる『優良中小企業』破綻の修羅場」 (「週刊新潮」9月19日号) 同4位「『医学博士』が提唱する奇抜で突飛な『健康法』は信じられるか?」 (「週刊新潮」9月19日号)  今週は現代、ポストが合併号だったこともあり、文春が精彩を欠いていたため新潮の圧勝となった。文春には、東京五輪決定のような一斉イベントのとき、やや精彩を欠くところがある。切り口の差が出るのだが、その点、新潮は強い。  その前に、みのもんたの話をしよう。  父親になることは難しくないが、父親であることは極めて難しい。そんな言葉があった気がするが、司会者みのもんた(69)はこのことを身にしみて感じていることだろう。  みのの次男で日本テレビ勤務の御法川(みのりかわ)雄斗(31)が窃盗未遂容疑で警視庁に逮捕されたのは、9月11日であった。  フライデーの「みのもんた『日テレ社員次男』逮捕の深層」(9月27日号)で、民放テレビ局記者がこう語っている。 「8月13日に新橋の路上で泥酔していた40代会社員のカバンを盗み、入っていたキャッシュカードを使って、近くのコンビニでカネを下ろそうとしたんです。結局、暗証番号がわからなくて、未遂に終わりましたが(笑)。警視庁もみのさんの息子ということで慎重に任意で事情聴取をしていましたが、ATMの防犯カメラに写っていたことが決め手となって逮捕となりました」  雄斗容疑者は慶應義塾大学を卒業後、2006年に日本テレビに入社、営業部に勤務し、11年には結婚するなど順調な人生を送っていたという。  みのと親しい民法テレビ局社員の話として、長男は同じ慶応を出てTBSにいる、まじめでバラエティ担当のプロデューサーとして評判がいいようだが、次男のほうは昔からやんちゃで、附属高校時代は万引き事件のリーダー的存在。停学処分を受けたことがあるという。  みのは「忙しくて甘やかしすぎた」と漏らしていたというが、そんな次男が日本テレビに入れたのも「みののコネ」だといわれているそうである。  不可解なのは自分の職場近くで盗みをはたらき、しかも盗んだクレジットカードを近くのコンビニで暗証番号も知らずに下ろそうとしたことである。  事実だとすれば、出来心にしてもお粗末すぎる。それほどカネに困っていたのか。泥酔しての犯行ではないようだから、覚せい剤か何か“クスリ”の影響があったのかもしれない。  みのは、家の前に集まった報道陣に長い沈黙で答えた。そしてこう言ったという。 「花も花なれ 人も人なれ」  これは細川ガラシャの辞世の句。明智光秀の娘で、関ヶ原の戦いの際、石田三成から人質として大坂城に入ることを強要されたが承知せず、自害して細川家の面目を保ったといわれている。 「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」  花も人も、散り時を心得てこそ美しいという意である。妻にも死なれ、子どもにも裏切られた彼の「引退宣言」なのだろうか。  今、ちまたには奇妙奇天烈な健康法を記した本が数多ある。新潮はそうしたものが信じられるのかと、大いなる疑問を持った特集を組んだ。その結果やいかに。  「クリニック宇津木流」の宇津木龍一院長が書いた『シャンプーをやめると、髪が増える』(角川書店)はどうか。「おおもりクリニック」の大森喜太郎院長は、シャンプーが発明される前の江戸時代にハゲはいなかったのか? と疑問を呈し、シャンプーで傷むほど人間の頭皮はヤワじゃないとバッサリ。  だが、確か作家の五木寛之さんは、自分は髪をめったに洗わないから、この年でもふさふさの髪をしているのだと、あちこちで書いているが、これはどうなるのか?  お次は一世を風靡した南雲式ダイエットはどうか。「ナグモクリニック」総院長の南雲吉則氏は、ダイエットするために「一日一食」を実行。当然ながら、体重はみるみるうちに減ったという。  愛知学院大の佐藤祐造客員教授は、数回に分けて食べるよりも一気にどか食いすると太りやすい。また1日1回の食事だと極端に血糖値が上がるため、インスリンの分泌量が増え、動脈硬化が進む恐れがあると、これもバッサリ。  では『油を断てばアトピーはここまで治る』(三笠書房)を出した下関市立市民病院小児科顧問の永田良隆医師についてはどうか。永田医師によると「肉、卵、牛乳、植物油といった高脂肪、高タンパクの食物を避け、白米、麦ごはん、魚介類、大豆製品、緑黄色野菜、根菜類、海草類、芋類などをとり、短期的にステロイド剤を併用すれば、アトピーを治せる」という。  これに対して「中山皮膚科クリニック院長」中山秀夫氏は、アトピー皮膚炎の重症患者を調べたところ、87%がダニに反応する抗体ができていて、正確なダニ対策で88%の人が治った。だから、食事療法は根本的な解決策ではないと反論している。  へー、ダニ対策をすればアトピーは治るのか? だからフトン掃除機のようなものが売れているのかと、なんとなく納得。  寄生虫の研究で有名な藤田紘一郎東京医科歯科大学名誉教授が著した『50歳からは「炭水化物」をやめなさい。』(大和書房)はどうか。  藤田名誉教授によると、炭水化物を摂らなければボケもしないというのだが、東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二研究部長は、5年、10年にわたって影響を調べていないので、一般的に効果があるかどうかの根拠に欠けていると反論。炭水化物を摂らないのは栄養バランスがよくないので奨められないとしている。  この中で比較的高評価と思えるのが『病気にならない! たまねぎ氷健康法』(アスコム)だ。これは料理研究家・管理栄養士の村上祥子氏が著したものだが、たまねぎは血流をよくするので、一日50グラムを食べれば効果的だとし、たまねぎをピューレ状にして製氷皿で凍らせて食せば、血糖値は下がるし足のむくみなども解消されるという。  反論もあるが、それは一日に食べる量が少なすぎるというものだから、もっと食べればいいのだろう。強壮効果もあるというからやってみたいが、胸焼けがしそうだ。  ザッと見てくると、バランスのいい食事を摂り、身のまわりを清潔にしておくことが、健康でいるために必要なことだということはわかる。  私のように毎晩暴飲ばかりしているのは、緩慢な自殺だということもわかってはいるが、それでもやめられないのが人生ではある。  TBSの『半沢直樹』が依然絶好調である。「やられたら倍返し」という決めぜりふが小気味いいが、裏返せば、庶民の銀行に対する恨み辛みが根強くあるからに違いない。  しかし東京編になってから、「ご都合主義」が目立つ。貸出先の同族経営ホテルの窮地を救うために獅子奮迅の働きをするのはいいのだが、絶体絶命のピンチから脱出する設定が「そんなのあり?」と、思う場面が多すぎる。  たとえば金融庁の検査で、知られてはならない書類を自行の機械室に隠していたが、知られてしまい絶体絶命になる。だが、金融庁・黒崎が開けた箱にはイベントで使う衣装が入っているだけ。呆然とする黒崎。  半沢がこのことを見越して、積んである箱はおとりで、本物は部屋の隅にあったという仕掛けだが、誰も気づかないはずのところだと半沢が豪語していたのだから、ここまでやるだろうかと納得できなかった。  それ以外でも、半沢の親友が出向先で暴いた常務の迂回資金の証拠書類を、その常務の甘言で、表沙汰にしないことに同意してしまうシーンにも納得がいかない(もしかすると、次回では翻すのかもしれないが)。  原作者の池井戸潤氏は、週刊ダイヤモンドのインタビューでこう答えている。 「あれはマンガですよ。サラリーマンチャンバラ劇。そもそもリアルな銀行員には興味がありません。僕が描いているのは銀行を舞台にしたエンターテインメントです。リアリティを追求してるといっても、それは金融システムや銀行員の生態にリアリティを求めているわけではなく、人間ドラマとしてのリアリティーでしかない。小説には完全なファンタジーからノンフィクションに近いリアルなものまでありますが、半沢シリーズは真ん中よりもファンタジー寄りかもしれない」  確かにテレビドラマにリアリティを求めるのはちょっと違うのかもしれないが、それだけ見ている側に半沢のいる銀行という組織への反発が強いということであろう。  銀行に半沢なんか一人もいないと新潮が、銀行の血も情けもない非情ぶりを特集している。これが今週の第3位。  中でも、大阪の「第一メリヤス」という中小企業への仕打ちは、ドラマにしたくなるほどひどい。 「いつまで不況業種の最たる仕事をやっているのか。りそな銀行は今後一切、1円たりとも融資しない」  りそなの支店長は、声を荒げたという。  大阪枚方市にある「第一メリヤス」は年商1億7,000万円の老舗アパレル会社。同社に大和銀行(現・りそな銀行)の地元支店長からマンション建設の話が持ち込まれたのは99年のことだったという。  同社には枚方市のJR津田駅前に3,700坪の所有地があった。うち約500坪を使って6階建ての賃貸マンションを建設し、運営しろというのだ。建設には5億から6億円が必要なので、社長は断り続けたが、支店長がしつこく勧誘し、融資の大半を住宅金融公庫から35年ローンでつけるというので、呑んでしまったと、当時の社長の実弟・小久保貴光氏が話す。  それから2年半は何事もなく過ぎたが、その間に大和がりそな銀行になり、03年5月には一時国有化された。そして新支店長が来てこう言い放ったという。 「繊維に未来はない。これを機に本業を廃業しろ。軟着陸のための資金は協力する。たかがメリヤス屋の分際でマンションを建てること自体が分不相応なんだ」  当時の社長は、この言葉に大変なショックを受けたそうである。小久保氏はこう語る。 「“なぜですか。今まで、りそなさんに迷惑をかけたことは一度もない”と狼狽する兄に対し、支店長はさらに追い討ちをかけました。“今後、取引は停止。うちは貴社の債権を整理会社に移管する”と。兄が必死で“そんな無茶な”とすがると、彼は“貴社は『破綻懸念先』だから、こうせざるを得ない”と言った。  ここで初めて、うちが破綻懸念先に分類されてることを知った。支店長は廃業資金を貸す気などなく、廃業させた上で、マンションを売却するしかないように仕向け、融資資金の期限前返済を迫ったのです。卑劣で狡猾な貸し剥がしです」  結局、マンションを売却したが2,000万円を超える残債が残った。兄はその後、胃がんが見つかり、翌年に脳内出血で倒れ、「あれは銀行のあるべき姿ではない」と怨みながら60歳で亡くなったという。  岡山県にある「林原」が一昨年2月に会社更生法を申請して倒産したケースも取り上げられている。  「林原」は「夢の糖質」といわれたトレハロースの量産に成功し、抗がん剤のインターフェロンなどの生産も行い、年間600億円を売上げていたから、同社の破綻は大きな衝撃であった。  経済誌記者は、銀行のやり方に疑問を呈している。 「林原では、資産売却や会社そのものが700億もの金額で売れたこともあり、弁済率が93%という過去に例を見ない驚異的なものになった。同時期に潰れた武富士などわずか3.3%ですよ。そういう会社を大騒ぎして血祭りに上げ、潰す必要が本当にあったのか、疑問でなりません」  半沢直樹にこんな言葉が出てくる。「銀行は、晴れた日には傘を差し出し、雨の日には傘を取り上げる」。こんな銀行ならいらないと思うのは、私だけではないはずだ。だから『半沢直樹』が多くの人に見られるのだ。  お次の第2位もダイヤモンドの銀行の話。  ダイヤモンドは、頼れる銀行はどこなのかを金融業を除く上場企業3,359社を対象にアンケート調査を行い、362社から回答を得たという。 「付き合いたい銀行」としてトップに立ったのは、103社から支持を得た三菱東京UFJ銀行。 「『国内最大規模の銀行で、安定した融資力や、多岐にわたるニーズへの対応力がある』(不動産)、『これから事業をグローバルに展開、強化していく上で、海外全般にネットワークがある』(製造業)と、国内トップバンクとしての安定感、そして、充実した海外網が評価された格好だ。票数でも他の銀行を圧倒した。みずほ銀行が66社で続いた。『昔に比べて対応が軟化した。目先の小さな利益は追わず、ある程度のリスクを取り、大胆に行動するようになった』(製造業)など、最近の変化を前向きに評価する声があった。  一方、『付き合いたくない銀行』のワースト1位に選ばれたのは、三井住友銀行だった。『組織的な営業力は特筆すべきものがあるが、時に顧客のニーズからかけ離れた、銀行都合の営業活動をしてくる』(製造業)、『全般的に住友カラーが前面に出て、よきにつけあしきにつけ、銀行というよりは“商売”の感覚を強く感じる』(建設)などの意見が出た」(ダイヤモンド)  その他にも三井住友には「行員の態度が横柄」(小売業)、「経営が悪化した際の金融支援に消極的になった」(製造業)などの声があるそうである。  出世や給与面の考察もあるが、興味深いのは「金融女子が語る」というコラム。 「C子さん(メガ総合職)の証言 お金に細かい人が多いですね。1000円とか、そのくらいごちそうになっただけでも、『あのときおごってやった。お前には目をかけてやってる』って言われ続けたりするんです。  D子さんの証言(メガ総合職) 男尊女卑の傾向はあるよ。だって銀行ってそういうとこ。  B子さんの証言(メガ一般職) 不倫? 普通にあるよ。支店だと2年くらいで転勤になるじゃん? だからかえって後腐れなく遊べるって考える人もいるみたいで。堅いっていわれる銀行も、普通の企業と変わらないんだなって洗礼を受けたよ」  現場の銀行員たちはどういう思いで半沢を見ているのだろうか。半沢のようなサラリーマンはどこの企業にだっていない。だからファンタジーなのだ。  今週は東京五輪についての特集ばかりで、私のように関心のない人間には読むところがなくて困るのだが、そうは言っても挙げざるを得まい。  文春は「新聞・テレビが報じない東京五輪10大ドラマ」というタイトル。読めないことはないが、私には新潮のほうが読み応えがあったので、こちらを今週の第1位に推す。  9月7日(日本時間8日)、2020年五輪開催国に東京が決まってしまった。マドリード、イスタンブールとの争いだったが、第1回目の投票でマドリードが落ち、イスタンブールと東京の決選投票の結果、東京が60票を獲得して36票のイスタンブールに圧勝したのである。  新潮で元JOCの国際業務部参事の春日良一氏が、IOC(国際オリンピック委員会)総会での最終決戦の日本票をこのように分析している。 「60票の内訳を推測すると、ポイントとなるのは最終決戦で中国が東京を後押ししたということ。現在、日中関係は良くないですけれど、ピンポン外交などスポーツ界の交流は長いのです。となれば、中国が経済援助で影響力を持つアフリカも連動し、最大12票が獲得できた。さらにヨーロッパ44票のうち、半数以上は東京支持に回って、アラブ票を握るクウェートのアマハド王子も味方についたと見られる。この3つが勝因です」  今回の3都市にはそれぞれ重大なマイナス点があった。マドリードは経済問題、イスタンブールは政情不安、東京には福島第一原発事故による放射能汚染水漏れ。中でもIOC総会の直前に発覚した汚染水漏れは、世界中のメディアが大きく報じ、最終プレゼンテーションでも委員から質問が出たほどで、直前予想ではマドリード優勢かと思われていただけに、東京決定に会場内はどよめいた。  一部に政治利用ではないかという批判もあった高円宮妃久子さんの“奇跡のスピーチ”(文春)や、流ちょうなフランス語で聴衆を沸かせた滝川クリステル、練習の成果が出た安倍首相のパフォーマンス英語などが評価されたが、猪瀬都知事のスピーチは“絶望的英語”(新潮)と酷評された。  他に楽しいことがないのか、テレビのワイドショーは連日祝賀ムードだが、諸手を挙げてバンザイ三唱できるのだろうか。  難問の第1は、安倍首相がプレゼンテーションで「国が責任を持ってやるから大丈夫」と宣言した汚染水漏れだ。  先週のニューズウィーク日本版は、国がこれから作ると言っている、地盤を凍らせて地下水や汚染物質の侵入、または侵出を遮断する「凍土壁造成計画」に大きな難題があると報じていた。  凍土壁造成技術に詳しいアークティック・ファウンデーションズ社のエド・ヤーマク社長が、こう言っている。 「ヤーマクによると、放射性物質を封じ込めるために行われたオークリッジの工事で最も苦労したのは、作業員の安全確保と汚染拡大の防止だった。汚染された土壌に雨水が浸透するのを防ぐため、現場にはアスファルトが敷設されたが、作業員はそこから一歩も出てはならなかった。(中略)周辺の木々は放射能に汚染された水を吸っていたから、落ち葉も汚染されている。ヤーマクは毎朝リーフブロワー(落ち葉を吹き飛ばす機械)を持っていき、現場や機械から落ち葉を取り除かねばならなかった。凍結管を打ち込む穴を掘るときは、掘り出した土をそのまま密封容器に入れ、密閉された区域に運び込まなければならない。ドリルの排気もフィルターでろ過する必要があった。『技術的には福島(での凍土壁造成)はそんなに大変じゃない』とヤーマクは言う。『大変なのはそれを安全にやり遂げることだ』」  東京電力の相沢善吾副社長が9月11日の記者会見で「事故を起こした福島第一原発について『まだ野戦病院のような状態が続いている』と述べた」とasahi.comが報じている。  安倍晋三首相が『状況はコントロールされており、東京にダメージは与えない』と、IOC総会で演説したことについて相沢副社長は、「『安倍総理がどういうご趣旨で発言されたかを国に確認したところ、外洋に影響がないのでそう話したと。さらにコントロールしていきたい』と述べた。首相と現場との認識の違いが、垣間見える」とも報じている。  汚染水問題は、一朝一夕に解決するはずはないのだ。  五輪招致が決まったことで、ほとんどのメディアが「これで消費税増税は決まり」だと書いているが、景気回復はうまくいくのだろうか。  7年は長い。その間に天災が襲わないとも限らない。東海大地震がいつ起きても不思議ではないといわれ、富士山の噴火も懸念されている。決まったはいいが、無事に迎えられるかどうかわからないと、主催者なら心配になるのではと思うのだが、猪瀬都知事は脳天気なのか、お台場をカジノにして稼ごうとしていると新潮が書いている。  カジノに詳しい、大阪商業大学アミューズメント産業研究所の藤本光太郎研究員がこう話す。 「お台場カジノの経済効果は、3兆円といわれる東京五輪の比ではありません。20兆円産業のパチンコを粗利に換算すると約3兆円。カジノは売上げ(客の負け分)イコール粗利となり、お台場の試算は年間1兆円ですが、建設や雇用など波及効果を含めれば、さらに膨大な額が見込めます」  ちなみに、世界第一位のマカオは年3兆8,000億円の売り上げ(粗利)だという。  これには法改正が不可欠。だが、早ければ2年ほどでできるというが、五輪便乗の誹りは免れまい。  新潮では「それでも『オリンピックは不要』という勇気ある論客」という1章を設け、評論家の大宅昌子氏がこう言っている。 「どうせやるなら、せめて景観を美しくするようなオリンピックであってほしいと願います。でも無理でしょうね……。前回の五輪は17、18歳の若いお嬢さんが綺麗に着飾った状態だった。でも、今の日本は80のおばあちゃん。厚化粧したって、ちっとも色っぽくないでしょうから」  私がその時まだ生きていたら、五輪開催中は海外へ逃れて、自然の豊かなホテルでテレビ観戦しようと決めている。  蛇足。ダイヤモンドはドコモがiPhoneを取り扱うことを決めたが、それはドコモの「戦略矛盾」で、これがドコモの首を締めかねないと指摘している。 「今ドコモは、インターネット通販の『dマーケット』や動画配信サービス『dビデオ』といったサービス提供に力を入れており、購入時からすぐに使えるような端末仕様やセット契約を結んでいる。2015年度までに、こうした新規領域で1兆円の売上高を目指し、企業買収を続けている。これまでiPhoneを導入しなかったのは通信回線の提供だけをする『土管化』を避ける狙いもあった。(中略)当然、ドコモはIDを付与してアプリ等でサービスを使えるように進めているはずだが、わざわざドコモのサービスが選ばれるかといえば疑問符がつく。スマホ初心者向けとなるiPhoneの投入は、ドコモに戦略見直しを迫る“劇薬”となるかもしれない」  顧客流出が止まらないドコモの苦肉の策が、吉と出るか凶と出るのか。予断は許さないようである。 (文=元木昌彦)