えみつんこと新田恵海の新譜がめっちゃポップでパンキッシュでグルーヴィー!前向きな歌詞にファンは一安心!?

 “えみつん”こと新田恵海が約1年2ヶ月にニューシングル『ROCKET HEART』をEMUSICからリリースした。ちなみにEMUSICはえみつん専用の音楽レーベルである。  ある特定のアーティストの専門レーベルというのは、乃木坂46の「N46Div」などいくつか存在するが、だいたいは一般的にも知名度の高いアーティストに用意されていることがほとんどだ。声優出身という、一般的に知名度が高いとは言いがたいアーティストに対して用意されているのはまれであり、裏を返せばそれだけえみつんのアーティストしての才能が認められているということだ。  前作の『盟約の彼方』から約1年2ヶ月もリリース期間が空いているので、昨年起きた例の“みく”なる人物のAV出演騒動の影響でリリースが遅くなったと思われそうだが、実際はそうではない。えみつんのCDリリーススパンは2ndシングル以降は1年おきなので、今回の1年2ヶ月というスパンも通常運転範囲内であろう。しかし、例の騒動後は、アーティスト・新田恵海として活動は行っていたものの、本職の声優としての仕事を含め、やや控えめだったこともあり、満を持してのリリースという印象だ。  さて、その待望のニューシングルをミュージシャン稼業をもかじるオタクライターが、音楽的観点と「えみつんファイトだよ!」目線で分析してみる。  収録は3曲。表題の『ROCKET HEART』に加え、『Shine』と『暁(2017 rearrange ver.)』が収録されている(この他、『ROCKET HEART』のオフボーカルverも収録)。『ROCKET HEART』の作詞はμ'sからの盟友・畑亜紀で、作曲はおなじみElements Gardenの菊田大介だ。『ROCKET HEART』はテンポ136、ドラムが2ビートの非常にアップテンポで、ポップで明るいメロディーを持ちながらも、どこかパンキッシュな勢いを持った楽曲だ。ギターの16分のカッティング、動きまくるベースととにかく聴いている者の身体を揺り動かすグルーヴをビンビンに感じさせる。  えみつん自身、『ROCKET HEART』には「元気になってもらえるような曲、前向きな気持ちになってもらえる歌を作りたい」「私はもっともっと前へ進んでいくよ、だからみんなも付いてきて」という思いを込めて制作したと、あるインタビューで答えていた。まさにその通りであり、歌詞の内容も、曲調も、勢いも、全て前向きで、底抜けに明るく、えみつん自身がリスナーを手を取ってグイグイと引っ張てくれる感覚だ。今後、ライヴのキラーチューンになることは間違いない。
 『Shine』は昨年の神戸国際ホールでのライヴで、アコースティックで披露した曲をバンドアレンジしたものだ。こちらもテンポ166で疾走感あふれる楽曲となっているが、『ROCKET HEART』と比較するとビートが頭打ちだったり、ハーフビートに落ちたり、ピアノとベースをフューチャーするパートがあったりと、非常に表情豊かに仕上がっている。ロックを基本とした骨太さがありつつも、ポップさを維持したサビもしっかりと存在し、こちらが表題曲でも全く違和感がないノリノリな楽曲だ。アニメのOP主題歌のような存在感がある。  『暁(2017 rearrange ver.)』は前者2曲から一転、テンポは80のピアノとストリングスが旋律を紡ぐポップバラードとなっている。冒頭から最初のサビまでは、えみつんとピアノ、そしてストリングスのみ。2番に入ってから徐々に他の音がインしてくるというバラードの王道の構成ながらも、少しずつ少しずつ盛り上がっていく様は、えみつんがオーケストラを引っ提げて独唱するような壮大さを持っている。  この曲もそもそもは昨年のパシフィコ横浜公演で披露されたアコースティック曲だった。「実際の私に一番近い歌」と前述のインタビューで語っていたのだが、「自分が新しい明日をどうやって歩いていこうか」と考えていたときに生まれた曲らしい。様々な困難に直面し、それを乗り越えてきた今のえみつんあってこその楽曲だ。美しいメロディーと、歌詞が非常に胸に響く極上のバラードだ。ライヴで生演奏を聴いたら恐らく多くのファンが涙するだろう。  全体的に見ると、いまのえみつんとこれからのえみつんの思いがギュッとつまった3曲だ。これまでもファンの手をひっぱてくれたえみつんは、これからもぼくらの手をひっぱてくれると約束してくれている1枚なことには間違いない。発売に伴うインストアイベントが今後は展開されていくが、ぜひともライブ会場でファンと一体となってこれらの楽曲を聴きたいものだ。  ちなみに初回限定盤に付いているミュージッククリップにえみつんバンドのメンバーが総出演しているが、ツインベース(ベーシストがふたり)となっている。ツインベースはあまり一般的ではないバンド構成なのだが、これまでバンドに関わってくれたミュージシャン全員で制作したいというえみつんの意向を組んでの演出となっているそうだ。実にえみつんらしくて良いね! (文=Leoneko)

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』がまたBPOに苦情を寄せられる!?(約1年5カ月ぶり2度目)

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「BPO」公式サイトより
 放送における言論・表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理の問題に対応する、第三者の機関・BPO(放送倫理・番組向上機構)。  そのBPOが、素直にうなずけるご意見もあれば、思わず首をかしげたくなってしまうご意見も、「これはツッコミ待ちなのかな?」という珍意見も寄せられることで定評のある、「2017年3月に視聴者から寄せられた意見」を公開したので、紹介してみたい。  目だったのはやはり、「3.11」――東日本大震災関連の報道のあり方に関するご意見。このページではちょっと珍しいなと思えるほどの長文を掲載していたほか、相変わらず各種バラエティー番組に関する苦情のご意見が多かったが、おたぽる的に注目したいのは何といっても次のご意見。 「未成年の設定だと思われるアニメキャラクターが、子どもを作ったかのような発言をしていた。子どもも見ている時間帯の番組としては不適切ではないか。」――このご意見は『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』を指しているのでは、という声がネット上では多い。  MBS制作、TBS系各局によるアニメ放送枠“日5”最後の放送作品となった『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は、視聴率こそ低迷したものの、W主人公の三日月・オーガス、オルガ・イツカの2人をはじめとする主要キャラクターも容赦なく死を迎えるハードなドラマでそれなりに話題に。  そしてこの「子どもを作ったかのような発言をしていた」というご意見はおそらく、第47話「生け贄」にてヒロインの1人・アトラによる「クーデリアさんも作りましょう! 一緒に! 三日月の赤ちゃん!」というセリフを指しているのだろう。  公式サイトでしっかりキャラクターの年齢が記されているわけではないが、三日月とアトラは15~16歳、クーデリアは16~17歳と思われるし、三日月とアトラの2人は周囲の同年代と思しきキャラと比べて小柄・童顔でさらに幼く見える。  とはいえ、戦うことしかできなかった少年兵たちの運命を描いてきた『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』。三日月は超不利な戦況の中で戦いを強いられ、前述のとおり最終話で戦死しているが、三日月がアトラとの間に設けた新しい命が希望になったのだ……というようなクライマックスを迎えたことを考えると、子どもを作ったシーン自体を描写しているわけではないのだからいいじゃねえか、と思うのだが……。  なお、放送開始間もない15年11月にも、これは『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のことでは? と思えるご意見が寄せられており、約1年5カ月ぶり2度目のBPO登場となってしまった(記事参照)。 「2017年3月に視聴者から寄せられた意見」で、アニメ・ゲームの内容に関するご意見は、おそらくこの一件のみ。  だが、「ディズニー映画の放送は、『ノーカット』としきりに事前告知していたが、エンディングの内容にがっかりした。エンドロールは早送りにされ、子ども達の歌声が出ていた。それだけならまだしも、テレビ局の社員が歌っている。番宣も流れている。なんだかわからないが、芸人も出ていた(後略)」という、各地で大批判を招いたフジテレビの『アナと雪の女王』のお粗末なオリジナルエンディング放送事件に関するご意見も。  また「甲子園の選抜高校野球の報道で、特定の学校に関する扱いが異常だと思う。注目選手がいるというのは理解できるが、あたかもその学校が負けて残念であるかのような報道はやり過ぎではないか(後略)」という、こちらも各地で批判を招いたNHKのベテランアナウンサーによるあまりに一方的な実況に関するご意見も見受けられた。  そのほか、「(略)WBCの野球中継で、試合が延長して長時間放送になった。これにより番組の放送開始が大幅に遅れてしまい、番組予約がきかず、私は見ることができなかった。プロレスファンにとっては初めての企画で、どうしても見たかった。野球中継が延長することは容易に予想がつくことではないのか。番組編成に大いに疑問が残る」というご意見も。  3月12日に行われた「2017 ワールド・ベースボール・クラシック」、第2次ラウンドの日本対オランダ戦は延長11回までもつれ込む大熱戦に。ところが試合開始が19時でありながら、放送終了予定は20時58分と、何か違う競技と勘違いしていたのでは? と疑ってしまう編成となっていたのだ。もちろん日本対オランダ戦の放送は伸びに伸び、結局『プロレス総選挙』の放送開始は結局2時間半以上も遅れるというハメに。  録画予約しておいて翌日見ればいいだろという気もするのだが、プロレスファンは激怒、野球ファンも微妙に肩身の狭い思いをしただけに、ご意見のとおり「疑問が残る」、この謎編成をしてのけてしまったテレビ朝日には猛省してもらいたいところだ。

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』がまたBPOに苦情を寄せられる!?(約1年5カ月ぶり2度目)

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「BPO」公式サイトより
 放送における言論・表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理の問題に対応する、第三者の機関・BPO(放送倫理・番組向上機構)。  そのBPOが、素直にうなずけるご意見もあれば、思わず首をかしげたくなってしまうご意見も、「これはツッコミ待ちなのかな?」という珍意見も寄せられることで定評のある、「2017年3月に視聴者から寄せられた意見」を公開したので、紹介してみたい。  目だったのはやはり、「3.11」――東日本大震災関連の報道のあり方に関するご意見。このページではちょっと珍しいなと思えるほどの長文を掲載していたほか、相変わらず各種バラエティー番組に関する苦情のご意見が多かったが、おたぽる的に注目したいのは何といっても次のご意見。 「未成年の設定だと思われるアニメキャラクターが、子どもを作ったかのような発言をしていた。子どもも見ている時間帯の番組としては不適切ではないか。」――このご意見は『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』を指しているのでは、という声がネット上では多い。  MBS制作、TBS系各局によるアニメ放送枠“日5”最後の放送作品となった『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は、視聴率こそ低迷したものの、W主人公の三日月・オーガス、オルガ・イツカの2人をはじめとする主要キャラクターも容赦なく死を迎えるハードなドラマでそれなりに話題に。  そしてこの「子どもを作ったかのような発言をしていた」というご意見はおそらく、第47話「生け贄」にてヒロインの1人・アトラによる「クーデリアさんも作りましょう! 一緒に! 三日月の赤ちゃん!」というセリフを指しているのだろう。  公式サイトでしっかりキャラクターの年齢が記されているわけではないが、三日月とアトラは15~16歳、クーデリアは16~17歳と思われるし、三日月とアトラの2人は周囲の同年代と思しきキャラと比べて小柄・童顔でさらに幼く見える。  とはいえ、戦うことしかできなかった少年兵たちの運命を描いてきた『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』。三日月は超不利な戦況の中で戦いを強いられ、前述のとおり最終話で戦死しているが、三日月がアトラとの間に設けた新しい命が希望になったのだ……というようなクライマックスを迎えたことを考えると、子どもを作ったシーン自体を描写しているわけではないのだからいいじゃねえか、と思うのだが……。  なお、放送開始間もない15年11月にも、これは『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のことでは? と思えるご意見が寄せられており、約1年5カ月ぶり2度目のBPO登場となってしまった(記事参照)。 「2017年3月に視聴者から寄せられた意見」で、アニメ・ゲームの内容に関するご意見は、おそらくこの一件のみ。  だが、「ディズニー映画の放送は、『ノーカット』としきりに事前告知していたが、エンディングの内容にがっかりした。エンドロールは早送りにされ、子ども達の歌声が出ていた。それだけならまだしも、テレビ局の社員が歌っている。番宣も流れている。なんだかわからないが、芸人も出ていた(後略)」という、各地で大批判を招いたフジテレビの『アナと雪の女王』のお粗末なオリジナルエンディング放送事件に関するご意見も。  また「甲子園の選抜高校野球の報道で、特定の学校に関する扱いが異常だと思う。注目選手がいるというのは理解できるが、あたかもその学校が負けて残念であるかのような報道はやり過ぎではないか(後略)」という、こちらも各地で批判を招いたNHKのベテランアナウンサーによるあまりに一方的な実況に関するご意見も見受けられた。  そのほか、「(略)WBCの野球中継で、試合が延長して長時間放送になった。これにより番組の放送開始が大幅に遅れてしまい、番組予約がきかず、私は見ることができなかった。プロレスファンにとっては初めての企画で、どうしても見たかった。野球中継が延長することは容易に予想がつくことではないのか。番組編成に大いに疑問が残る」というご意見も。  3月12日に行われた「2017 ワールド・ベースボール・クラシック」、第2次ラウンドの日本対オランダ戦は延長11回までもつれ込む大熱戦に。ところが試合開始が19時でありながら、放送終了予定は20時58分と、何か違う競技と勘違いしていたのでは? と疑ってしまう編成となっていたのだ。もちろん日本対オランダ戦の放送は伸びに伸び、結局『プロレス総選挙』の放送開始は結局2時間半以上も遅れるというハメに。  録画予約しておいて翌日見ればいいだろという気もするのだが、プロレスファンは激怒、野球ファンも微妙に肩身の狭い思いをしただけに、ご意見のとおり「疑問が残る」、この謎編成をしてのけてしまったテレビ朝日には猛省してもらいたいところだ。

ドーーン!! 現在放送中の『笑ゥせぇるすまんNEW』は、なぜ復活したのか!? シンエイ動画・荒木元道PDインタビュー!

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(C)藤子スタジオ/笑ゥせぇるすまんNEW製作委員会
「私の名は喪黒福造、人呼んで笑ゥせぇるすまん。」――  藤子不二雄(A)の代表作にして、1989~90年、91~92年にTVアニメ化もされた名作『笑ゥせぇるすまん』が、『笑ゥせぇるすまんNEW』となって25年ぶりに復活!  小気味のいいテンポで繰り出される、パンチが効いた強烈なキャラクターたちによる、ブラックなストーリーと鮮やかなオチで、多くの藤子ファンやアニメファンを魅了、そして多くのチビっ子たちにちょっとしたトラウマを植えつけた『笑ゥせぇるすまん』。  なぜこの2017年に『笑ゥせぇるすまん』と喪黒福造が再び登場することになったのか、そして『笑ゥせぇるすまんNEW』はどうやって制作されているのか。  気になるところを、シンエイ動画の荒木元道プロデューサーにドーーン!! と直撃(with 企画営業・宣伝の西川由香里氏)。「ホーッホッホッホッホッ」というあの声を脳裏に思い浮かべながら、お読みください。 ■「いつかまた『笑ゥせぇるすまん』を作りたいし、放送できるだろうと」 ―― 名作『笑ゥせぇるすまん』を、2017年に新たに制作しようというこの企画はどうやって生まれて、放送に至ったのか。まずはそこから教えてください。 荒木元道プロデューサー(以下、「荒木」) たしかに以前放送してから随分年数が経っていますが、いつかまた『笑ゥせぇるすまん』を作りたいし、放送できるだろう、という空気が社内ではずっとあったんです。  僕がこの会社に入社してから15年になりますが、入社した当時からずっと話題になっていましたから。それが今回、ようやく賛同してくれる方も出始めて、ついに実現することができるようになった、という感じなんです。 ―― シンエイ動画さん的には、長年温めてきた野望だったんですね。 荒木 そうですね。ですから、個人的にも「あ、やるんだ?」ではなく、「ついにやるのか!」「やれるのか!」というのが最初の印象でした。 ―― 長年温めてきた企画が、今になって実現可能になったキッカケはあるものでしょうか? たとえば放送枠が「あにめのめ」だったりしますが……。 荒木 それも一つ理由として挙げられるかもしれません。すごく自由度の高い枠で、時間帯も内容とうまくマッチしていると思いますし。 ―― 製作委員会に、特別強力な企業さんが入ってバックアップしてくれたとか、そういうわけではない? 西川由香里(以下、「西川」) 弊社含めて14社、製作委員会に参加していただいてます。これはテレビアニメとしてはかなり多い数ではあると思います。 ―― 普段の「製作委員会」に参加される企業といえば、制作スタジオさん、Blu-rayやDVDの発売元さん、レコード会社さん、原作があるのなら出版社さん、玩具メーカーさんといったところですよね? 西川 そうですね、“あにめのめ”はアニメーション業界に台風の“目”のように旋風を起こしたい、長く愛されるようなコンテンツの“芽”を育てていきたいと、5社でスタートした枠なので通常とは違うちょっと取り組み方が違うかもしれません。 ※「あにめのめ」はシンエイ動画株式会社、株式会社トムス・エンタテインメント、住友商事株式会社、アスミック・エース株式会社、株式会社ジェイアール東日本企画の5社が共同で事業を行うプロジェクト。昨年7月より新規アニメ放送枠を立ち上げ、『甘々と稲妻』などを放送(記事参照)。 ■「若いアニメファンにトラウマを植えつけたい!」 ―― そんな『笑ゥせぇるすまん』を、約四半世紀ぶりに制作されることの意義というか、コンセプトとはどういうものでしょうか? 荒木 まず、30代以上の人ならたいてい知っているであろう、幅広い層の方が待ち望んでいた作品だと思います。バブル期から久しぶりに、喪黒福造が現在に登場したらどうなるんだろう。そこは皆さん、かなり気になるところだと思うんですよ、僕個人もそうですし。ですから、旧作の『笑ゥせぇるすまん』を観ていた方にとにかくまずは観てもらいたい。  同時に当時のアニメを観ていなかったという若い世代の方たちにも、喪黒の「ドーン!!」をリアルタイムで観てもらいたいなとも思います。
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若い人たちの反応が楽しみ
 というのも、旧作が89年に放送開始したとき、僕は小学校の高学年ぐらいでしたが、第1話の「たのもしい顔」を観て、すごいトラウマを植えつけられたんですよ(笑)。28年後、まさか自分が作る側になるとは思いもしませんでしたが、今のたくさんの若いアニメファンたちにちょっとしたトラウマを植えつけられればと思いますね。  テレビを見たら、何かアニメをやっている。何気なく観ていると、とてつもなく怖いお話が展開されて、夜眠れなくなる――それをやりたいんですよね。 ―― とはいえ、旧作のTVアニメの放送時はバブル期でイケイケで。だからこそ喪黒のようなキャラクターがより際立った部分もあると思います。そういった違いについてはどうお考えですか? 荒木 ……基本的な構成やストーリー展開といった、骨組みについては、変化させる必要はないかなと考えていますね。  たしかに時代背景の影響はあると思いますが、喪黒に落とされる――「ドーーン!!」される内容・展開は、時代を選ばないものだと思いますから。一方、当時にはなかったもの、たとえばインターネットや携帯電話みたいなものは取り入れながら制作して、現代版の『笑ゥせぇるすまん』にできればと。
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■「(オリジナルも)原作サイドさんと一緒に相談して進める形で」 ―― 第1夜などを拝見すると、前半のエピソードが旧作のTVアニメでも放送された「白昼夢」でしたが、後半のエピソード「ご利用は計画的に」は、アニメオリジナルエピソードとなっていました。 荒木 はい、毎回2エピソードずつ放送という構成になっていまして。片方が原作コミックもの、後半をオリジナルという形になっていますね。 ―― 原作の中からどうエピソードを絞っていくのか、オリジナル作品はどんな工程を経て作られているのでしょうか。 荒木 まず原作エピソードのときは、監督、脚本家さん、それと藤子スタジオさんのご担当も最初の段階から参加していただいて、皆でどのエピソードがいいかを出し合いながら、簡単なプロットをまとめてみて、その出来が良かったら採用していくというやり方です。原作サイドさんと一緒に相談して進める形をつくることができました。 ―― それは、旧作でアニメ化された作品も未アニメ化エピソードも関係なしに決めていった感じですか? 荒木 やはり最初は手探りでしたから、一度アニメ化されたエピソードからスタートは切りました。作業が進むうちに次第にオリジナルを作りたいよねとか、まだアニメ化されていないエピソードをやりたいよねと、いろいろ現場でも欲が出てきて、後半からはそういったエピソードが増えてきました。 ―― オリジナルエピソードを作られる際というのは、やはり脚本家さんがプロットを出してそれを皆さんで揉まれる感じですか? 荒木 そうですね、まずはアイデアを出してもらって、そこから固めていくという。かなりの数のアイデアを出してもらいましたね。かなりボツも多かったんですけど、そこは本当にもう脚本家さんたちの頑張りのおかげです。 ―― その脚本家さんたちは3名いらっしゃいますが(福島直浩、石川あさみ、夏 緑)、どんな感じで起用されたんですか? 荒木 夏さんに関しては藤子スタジオの担当者さんから、推薦していただいたんです。福島さんと石川さんは、他の作品でシンエイ動画がお世話になってますから、これはもう『笑ゥせぇるすまん』に合うだろうなと。 ―― なるほど。では小倉(宏文)監督はどういった経緯で? 荒木 小倉監督に関していえば、もう結構前から「『笑ゥせぇるすまん』をやるんであれば、声をかけてもらいたい」ということを言われていたんですよ(笑)。こちらも、ぜひお願いしたいなと思っていましたから、企画が具体化してきたところで「監督、ついに来ましたよ」と(笑)。 ―― 原作も好きだし、小倉監督は長くシンエイ動画さんでお仕事されていましたから、『笑ゥせぇるすまん』が温められていたことをご存じだったわけですね。 荒木 そうですね、はい。いいめぐり合わせだったなと思います。 ―― 実際に制作作業が始まって、スタッフワークにどんな手応えを感じていますか? 荒木 皆さんモノ作りに対してとてもストイックな方ばかりです。あと、旧作を観ていたという方たちばかりなんですよ。その点から見ても心強いです。 ―― 打ち合わせなどを重ねる中で、監督との会話で印象に残ったエピソードなどはありますか? 制作スタッフさんとしてはすごく楽しそうですけど、同時にすごくプレッシャーも感じる作品ではないかなと思うのですが。 荒木 それは監督に限らず、スタッフも主演の玄田(哲章)さんも、関係者の皆がプレッシャーを感じながらやっていると思うんです。『笑ゥせぇるすまん』を放送するぞとなったら、やっぱり皆さんかなり期待してくれるだろうと思いますから。  本当にプレッシャーは半端ではないのですが、でも監督は結構それを楽しんでいる感じがありますね。「まぁ何とかなるだろ」と、いい意味で開き直っているというか(笑)。 ―― その玄田さん演じる新しい喪黒福造については? 荒木 玄田さんにお願いするとなった時点でもう間違いないだろうなと。これはご覧になられた方も同じように感じられたと思いますけど、(先代の故・大平透氏と)全く同じではないんだけれども、玄田さんの喪黒がしっかりと確立されているのに、違和感を覚えない。また玄田さんの「ドーーン!!」は重低音で、すごく力強くて。大平さんの喪黒とはまた違った魅力を引き出してくれていると思います。
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第1夜「ご利用は計画的に」より
■「わかりやすいハッピーエンドが存在しないのが『笑ゥせぇるすまん』」 ―― 「第1夜」の2エピソードを振り返っていただけませんか。 荒木 「白昼夢」は原作ものなので、基本的には忠実にやっていますが、監督も作画監督たちもかなり見せ方にはこだわって描いてくれました。あとビールやお酒もかなりディテールにこだわって描いてます。何度も描き直して仕上げたところなので、ご注目いただければと(笑)。 「ご利用は計画的に」はアニメのオリジナル。これは旧作にはあまりないタイプの作品なんです。というのもクレジットカードが元になっていること、そして主人公が女性であること。実は旧作では女性キャラクターが主人公というエピソードはほとんどなくて、多分原作でも皆無に近いぐらい珍しいんですよ。  それを28年ぶりに新作『笑ゥせぇるすまんNEW』を作るとなったときに、一回目の放送でこのエピソードがあるというのは、実は相当インパクトが強いことなんです。 ―― この2エピソードに限らず『笑ゥせぇるすまん』の各エピソードはオチが鮮やかで、毎回楽しみです。 荒木 そうですね。これがまた、他人には不幸にしか見えないけど、実はハッピーエンドというエピソードもありますよね。客観的に見ると全然ハッピーには見えないけど、ぼろぼろになっているけど、本人的にはハッピーエンドだったりする……わかりやすいハッピーエンドが存在しないというのが『笑ゥせぇるすまん』の特徴の一つだと思います。 ―― ストーリー以外で、制作で苦労したのはどんなところですか? 荒木 やはり内容面で、携わってみないと気づけなかったことが数多くあったんですよ。たとえば主人公=クライアントと喪黒の出会い方や、2人の距離感であったり。そういうところがやっぱり難しかったですね。  あとは毎回のオチ、落とし方・落とされ方も難しくて。何でも有りなように見えるけど、実は全然そんなことはないんです。随所に先生のこだわりであるとか、バランスが存在していますので。そこをつかむまでが一番苦労したところかと思いますね。 ―― そのあたりのバランスも旧作は素晴らしかったと思うんですが、当時制作に関わっていたスタッフさんというのは、シンエイ動画さん内にいらっしゃるんですか? 荒木 いえ、やはり時間が経っていますから、ほぼほぼリタイアされていらっしゃっていて……でも当時のプロデューサーだったOBの方には、電話で相談をさせていただいたりしましたね。 ―― 旧作から受けついだところ、変えたところ、それぞれを教えていただけませんか? 荒木 これは監督もおっしゃっていたんですけど、「前シリーズからたまたま25年空いてしまっただけ」。本作は旧作の続きで、たまたま間が空いただけ、というつもりで制作にあたっていますし、当然旧作の良かったところも引き継いでいきたい。  でも先ほども触れたように、当時のスタッフさんはリタイアされた方も多いですから、そこが意外と難しかったなという感じですかね。 ―― スタッフさんも違いますし、制作環境なんかもだいぶ違うでしょうし。 荒木 そうなんですよ、全然違いますからね……シナリオの内容もそうですし、キャラクターデザインとしてはシンプルなので、画も逆に難しい部分がありまして。イラストとしてみるとすごくシンプルなキャラクターなんですけど、今回はかなり肉感的に描れていますからね。 ―― CGとか、旧作にはなかった技術を導入されたりなどは? 荒木 一応、かなり少ないですけど、部分的にCGを導入する可能性はあります――たとえば、新宿といった都会の人混みを俯瞰で描くときなどは、CGを導入しようかなと。あと現状はほぼ手描きでやっていますね。逆にOPEDは全部CGで描いているんですけど。 ■「今作の喪黒はお茶目なシーンが多くて、結構可愛い一面があるんです」 ―― ちなみに藤子A先生は、『笑ゥせぇるすまん』が再びTVアニメ化される! ということにどんな反応をされていらっしゃったんですか? 荒木 今年の2月に藤子A先生のトークショーに招待していただいて、そこでご挨拶もさせていただきました。こちらはすごく緊張していたんですけど、先生はすごくお元気そうでしたし、気さくな方でした。「ぜひ頑張ってください」とおっしゃっていただきました。 ―― 具体的に「これはしてくれるな」というようなご指示があったりはしない? 荒木 それは基本ないですね。藤子スタジオのご担当者の方を通じて、「こうしたらどうだろう?」と、アイデアを提示していただきましたが、おおむねポジティブに受け止めていただいています。
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TVアニメ『笑ぅせぇるすまん NEW』公式サイトより
―― 次にこれはぜひ聞かねばと思っていたんですが、何がどうなって、高田純次さんがED曲(「ドーン!やられちゃった節」)を歌うことになったのでしょうか? 荒木 あはは(笑)。ぶっちゃけ最初に聞いたときは自分もビックリしましたが、曲を聴かれたならおわかりのとおり、喪黒に「ドーーン!!」されたようなインパクトがありますよね。  そもそも、『笑ゥせぇるすまん』ではいい加減な主人公が各エピソードで喪黒に「ドーーン!!」されますよね。そこでいい加減な有名人って誰だ? となって、これはもう高田さんしかいないのではないかと(笑)。そこが最初です。 ―― なるほど(笑)。自分はそこに加えて、旧作の放送時は、高田さんが調子のいいスチャラカ会社員みたいな役柄をドラマでかなり演じられていて。そういったイメージも影響したのかなと思っていました。 荒木 あ、それもありますね! それこそ植木等さんが演じられていた『無責任男』シリーズじゃないですけど、日本を代表するスチャラカ会社員の初代が植木さんで、2代目が高田さんみたいなイメージをお持ちの方も多いと思います。旧作の時代背景から連なっている、というようなイメージを重ねた結果、ともいえるでしょうね。
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お茶目な喪黒
―― ほか、こんなところも注目! というオススメの見どころはありますか? 荒木 今作の喪黒はお茶目なシーンが多くて、結構可愛い一面があるんです。よく飲み食いするんですよ。第1夜から一杯呑んでいるシーンがありましたけど、今後もよく見ると画面の隅っこで何か食べていたりしますし、それがなぜかちょっと可愛いんですよね(笑)。  でもそれは、落とすときのための演出なんです。喪黒は旧作から変わらずにそういうとこが増えた分、主人公を落とすときのギャップがより大きくなりますから。当時を思い出しながら見てくれる大人のアニメファンももちろんですけど、時間帯はちょっと遅いかもしれませんが、観てくれる低年齢層の子たちを一杯怖がらせていきたいですね、28年前の僕のように(笑)。 ■TVアニメ『笑ゥせぇるすまんNEW』 ・公式サイト http://warau-new.jp/ ・放送情報  TOKYO MX 毎週月曜日23時~  読売テレビ 毎週月曜日25時59分~  BS11 毎週火曜日25時30分~  アニマックス 毎週金曜日24時~  チューリップテレビ 毎週月曜日 24時56分〜  ミヤギテレビ 毎週金曜日 26時30分〜(5月5日より放送スタート) ・以下サイトにて配信中  J:COMオンデマンド、dアニメストア、Netflix、hulu、ひかりTV、レオネット、アクトビラ、ビデオマーケット、TSUTAYA TV、ビデオパス、HAPPY!動画、DMM.com、abemaTV、みるプラス、U-NEXT、アニメ放題、dTV、ニコニコチャンネル、フジテレビオンデマンド、バンダイチャンネル、Google Play、GYAO!、楽天SHOWTIME  (C)藤子スタジオ/笑ゥせぇるすまんNEW製作委員会

「ガイナックスのコンテンツならなんでも使える」と豪語!? 渦中の「神戸アニメストリート」岸建介氏の手口と次の寄生先も発見!

「ガイナックスのコンテンツならなんでも使える」と豪語!? 渦中の「神戸アニメストリート」岸建介氏の手口と次の寄生先も発見!の画像1
「神戸アニメストリート」公式サイトより。
「あなたにお話することはありません!」  渦中の人物・岸建介氏は、少し怯えた口調で電話を切ったのである。  先日、売上を踏み倒された会社社長の訴えから、一躍注目を集めている「神戸アニメストリート」。その手口の全貌と、いち早く責任逃れに走る関係者たち。そして、神戸だけに止まらない岸氏の活動実態が明らかになってきた。  ことの発端は、4月6日。女性向けコンテンツの企画制作を行う「創作工房」社長・中村あずみ氏が「神戸アニストに詐欺られてる話」と題してブログやSNSで被害を告発したこと。  それによれば、同社は2015年8月、知人の紹介で「神戸アニメストリート」にて開催されたイベントの中で、アイドルコンテンツの催しと、物販、展示を実施。ところが、売上金が予定日を過ぎても振り込まれなかった。そこで、株式会社神戸アニメストリート社長の岸建介氏に支払いを催促をしたところ、当初は支払いの意志を示したものの、その後は「払えねえもんは払えねえ」「うるせえ」などの暴言を繰り返し、居留守や電話の着信拒否を拒否されてしまったというのである。  しかも、岸氏はイベント前より同社に対して暴言を連発。イベント当日の会場で「創作工房」が準備をしていたところ「挨拶がない」などと怒鳴ったり、暴言を吐き続けたという。「創作工房」側が、物販のスペースを借りるため10万円を支払っているにもかかわらずである。  このブログが公開されると、アクセスが殺到。そして、事情を知る人々によって岸氏が08年に、架空の音楽オーディションをデッチあげて500万円を詐取して逮捕されていることが明らかに。さらに、15年に環境副大臣の関芳弘衆議院議員と面会している写真などが、次々と公開された。また、この岸氏は、昨年3月にアニメ会社「ガイナックス」が関西支部として立ち上げた新会社「GAINAX WEST」の取締役であることも暴露されている。 「創作工房」のみならず、すでに確認されているだけで10数社・個人への踏み倒しが発覚している。  この「神戸アニメストリート」は、震災後低迷していた地域の活性化として15年に神戸市が実施した「アスタくにづか地区商業活性化モデル」として立ち上げられたもの。運営は岸氏が代表取締役を務める株式会社神戸アニメストリートが行っているとされている。いわば行政が管轄する事業で行われた踏み倒し行為。ネットでは「詐岸」とまで書かれているような人物が、なぜ事業を行う立場に入り込むことができたのか。  まず、話を聞こうと「創作工房」を訪問したのは13日。対応してくれた中村氏は「今日、こんなのが来たのですけど……」と一枚の書類を見せてくれた。  なんと、岸氏はネットで騒ぎになっていることに気づいたのか、突然「支払う」旨を通知してきたのだ。さらにこの後、岸氏は電話でも支払う意志を伝えてきたという。また、17日になり、ほかの踏み倒し先にも一部だけの入金(詳細は避けるが、仮に56万円だとしたら6万円の部分のみ)が、なんの連絡もなく行われているという。  どうも、うるさそうなところには支払って、必死の火消しを行っている様子。しかし、もはや問題は支払い云々では済まない。悪質な詐欺的手法を行う人物が、行政の絡む事業に参加し、かつ著名なアニメ会社の役員に名を連ねていること。中村氏も「これで終わりにすることはできない」と、強い意志を語っている……。 ■「うちは関係ない!」次々と逃亡する関係者たち  このような人物に事業を任せてしまった責任を、神戸市はどう考えているのか。  中村氏も書いているが、「神戸アニメストリート」は、神戸市の土地を第三事業者に貸して行っている事業。つまり、神戸市と「神戸アニメストリート」が直接の契約関係にない。そのため中村氏も「神戸市が事業者に貸して、そこがお願いしたところが運営しているので、神戸市が直接何かできない」と説明されたのだという。  だが、ここに及んでも神戸市は何も手を打たないつもりだろうか。神戸市に電話取材を試みたのは12日。すると、電話に出たのは神戸市市街地整備部の浅川一哉担当課長。 「真偽のほどはわかりませんが、ネットにいろいろと書かれているということで、今日、岸さんを呼び出して、対応するように口頭で指示をしました」  指示を出したというと、神戸市としても責任を感じているということだろうか? 「いえ、真偽のほどはわかりません。ただ、ネットでいろいろと書かれているので……」(同)  何度も「真偽のほどはわからない」という言葉を繰り返す浅川課長。では、事業を委託するにあたって岸氏の身元調査なども行わなかったのか。そう尋ねると、今度はこんなことを。 「神戸アニメストリートは、公募した『アスタくにづか地区商業活性化モデル事業者』に応募した、株式会社アップ・ツー・コーポレーションが連れてきた人なのでわかりません」  そして、また「真偽のほどはわからない」という言葉を繰り返すのであった。  では、株式会社アップ・ツー・コーポレーションは、いったい岸氏とはどういう関係なのか。会社の代表番号に電話し、「神戸アニメストリート」の件について話を聞きたい旨を述べたところ、電話に出た人物は……。 「むぐぅっ! 今、誰もいないので……」  そこで担当者が誰か尋ねたところ、同社の岡島祐輔社長が担当しているという。今日は戻らないというので、先にFAXで取材依頼を送ったところ、こんなメールが返ってきた。  * * * 前略 ごめん下さい。 当社は商業施設の企画やリーシング等を行っている企業でございます。 で、お問い合わせの件、受託内容についての詳細は守秘義務がございますのでお答え出来かねますが、「神戸アニメストリート」の開業を以って当社の業務は完了しており、本業務に関する未収債権や未払債務は一切ございません。 岸健介様との関係については、受託業務の一つであるテナントリーシング業務に基づいて、賃貸人様へご紹介させて頂いた先となります。 これ以上お答えする事項がございません。ご了承ください。  わかりにくい文章だが、すでに終わった業務であり守秘義務があり喋れない。ウチは岸を神戸市に紹介しただけということらしい。いったい、同社と岸とはどういう関係なのか謎のままだ。  * * *  もう一つ、岸氏の関係先として注目を集めているのが、GAINAX WEST。この会社、ガイナックスとは資本関係がないとされているが、代表取締役には武田康廣という名前が。武田氏は、ガイナックスの社長でもあった人物だ。いったい、なぜこのような人物を取締役に加えてしまったのか。取材を続けたところ、事情を知るガイナックスの関係者に話を聞くことができた。 「詳細はわかりませんが、奥さん(作家の菅浩江)の関係で知り合ったという話を聞いたことがあります。でも、岸氏がどういう人物かは、まったく知らなかったそうです。なんでも、会社設立発表の15分前くらいに、岸氏の名前を見つけた人物から連絡を受けて、初めて知ったそうですよ」  これだけ聞くと被害者のような気もするが、依然として岸氏は取締役のまま。GAINAX WESTの住所も神戸アニメストリートと同一である。踏み倒しなど、次々と悪行が明らかになる中で、どうするつもりなのか。武田氏に電話をしてみたところ……。 「岸の件? そりゃいろいろと考えてますよ。これはなんですか、取材? お断りします」  いきなり電話を切られ、以降つながることはなかった。  さらに、岸氏とのツーショット写真を公開していた関議員の事務所では、秘書からこんな話が聞けた。 「騒ぎになっているので、慌てて調べたのですが、アポイントメントの記録に、岸氏の名前がないんです。ということは、アポなしで来て議員が在室していたので、挨拶したんだと思います」  議員会館では「選挙区の者です」と名乗ってアポなしでやってくる人間というのは、ままいるもの。議員としても有権者を無碍に追い返すのは難しいだろう。そう説明する秘書は「お茶くらいは出したと思いますけど、なんの話をしたかはわかりません」と困った声で語るのであった。 ■「神戸アニメストリート」自体がパクリから生まれた? 「最初に岸と会ったのは、14年の夏です。アポイントもなく“神戸アニメストリートというのをつくるのでアドバイスが欲しい”やってきたのです」  そう話すのは、「阿佐ヶ谷アニメストリート」を運営する株式会社作戦本部の鴨志田由貴氏だ。  アポなしの上に、渋谷かおりという女性を同伴していたと鴨志田は語る。この渋谷という女性、各所で岸氏が常に同伴していたと証言される人物。岸氏が運営する店舗でDJなどをしているようだが、前述の「創作工房」中村氏が支払いを催促するため電話した際に「電話かけてきて迷惑だ」と凄んで電話をたたき切った相手と同一人物の様子。岸氏とは何か特別な関係にあるグル・共犯者のようである。  さて、アポなしでの訪問のため「何かあれば協力します」程度の返事しかしなかった鴨志田氏。ところが、その後岸は「15年3月までにオープンして予算を消化しなくてはならない。イベントなどで販売するグッズが欲しい」と依頼してきたという。  このときは、きちんと支払いはなされたそうだが、鴨志田氏が疑問を感じたのはオープンのとき。何も打診がないままに「神戸アニメストリート」という名前を掲げ、オープン日も前年の「阿佐ヶ谷アニメストリート」と同じ3月29日に設定されていたのである。ただ、このときはまだ「たまたまかもしれない」程度に考えていた。しかし、実際の運営には疑問ばかりが浮かんだという。 「収益があがりそうな施設が、カフェのほかはレンタルボックスとニコ生などができるスタジオだけ。それでやっていけるのかな……と思いまして。そうしていたら“レンタルボックス”に置く品物がないとか、スタッフがいないなどと、新たな依頼をしてきたのです」(鴨志田氏)  そこで、鴨志田氏は自分の会社の在庫を販売。また、信頼の置ける人物を紹介しスタッフとして神戸に行ってもらった。  しかし、送付したグッズの代金はいまだ支払われてはいない。加えて、岸氏はスタッフに対し、日常的に暴言を繰り返し、給料もろくに支払わなかったのである。それを知った鴨志田氏は、慌てて連れ戻したという。  岸氏の行動は、想像の斜め上をいくものばかりだ。取材で出会った関係者からは、こんな証言もあった。 「最初のロゴがアーティストの村上隆さんの作品と類似していると問題になったことがありました。そのときにも岸氏は村上さんの事務所に対して“取り替えてやるから700万円を払え”と要求していることを、自慢げに語っていました。過去に逮捕されたことだって、飲み会の席で武勇伝のように何度も語っていましたよ」 ■「次は大分県を寄生先に」と狙う岸氏の暗躍  いったい、神戸市はなぜ岸氏のような人物が寄生する隙を見せてしまったのか。現在、神戸市では、これ以外にも「第2の森友」ともいえるような補助金の不明朗な支出が問題となっている。この問題を追及している樫野孝人兵庫県議会議員は、「神戸アニメストリート」の問題の背景を次のように語る。 「あそこは震災復興事業の中でも、空いたままになっていて、とにかく何かを埋めなくてならないと神戸市が考えていた場所です。そんなところだから、甘い審査でいい加減な業者が参入してしまったのでしょう」  では、岸氏に得体の知れないバックがついていることはないのか? 「それはありませんよ」  なるほど、確かにそれなりの背景があれば、「小銭」の踏み倒しなどではなく、もっと巧妙な手段を使うだろう。  現在、踏み倒した先に幾ばくかの支払いをして、黙らせようと懸命な岸氏。その岸氏が、すでに次の寄生先を見つけていることも、取材の中で明らかになってきた。あるアニメグッズなどを制作する会社に、岸氏はこんな話を持ちかけいていたのだ。 「来年、大分県の主催で大分国民文化祭という催しがあります。ここで岸氏は“予算は25億ある。ガイナックスのコンテンツはなんでも使っていいよ”と事業を持ちかけてきたんですよ」  国民文化祭は、各都道府県の持ち回りで行われている国体の文化祭版。確かに、来年は大分県で開催予定。また、すでにキックオフイベントという形でさまざまな催しが行われており、その中で、昨年には「おおいたクールジャパン」というタイトルで、コスプレや痛車展示のイベントが行われている。このイベントにも、岸氏は参画していたのだろうか。さっそく、このイベントの主催者に話を聞いてみたところ、驚いた様子だった。 「そんな人は、関わっていませんが……」  この人物によれば、15年に開催した「大痛エキスポ」という催しで「神戸アニメストリート」に仕事を依頼したことはあった。しかし、国民文化祭の関連イベントには、岸氏はまったく関わっていないという。 「予算25億円って……先日、県の予算が決まりましたけれど、全体で10億円ちょっとですよ」(同)  すでに、一連のネットでの騒ぎも知っており「今後、関係することがあれば考えなくてはならない」というのだった。 「神戸アニメストリート」のみならず、GAINAX WESTの取締役を名乗る岸氏。さらに、ヴォイス神戸という会社のほか「一般社団法人関西痛車協会」の理事なる名刺も配布している。この協会に至っては、法人登記すら見当たらない。  もはや、多くの関係者の証言によって、それらのすべてが明らかになろうとしているからだろうか。冒頭に記したように、筆者の取材に対して、ただ一言を述べて電話を切ることしかできなかった。  こうして明らかになっているのは、ただ一個人の悪行ではない。マンガやアニメコンテンツを用いた町おこしや活性化という事業が安易に実施され、そこに補助金を狙うハゲタカが群がっているという現実である。  一部の被害者に踏み倒したカネが振り込まれているとはいえ、いまだ岸氏が運営する「神戸アニメストリート」は存在している。引き続き、取材を続けて行くことにしたい。 (文=昼間たかし)

フフフ……ヤツは四天王最弱。いや、最弱は魔王のほうだった。遠田マリモ『魔王遭難中!!!~愉快な仲間達を添えて~』

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『魔王遭難中!!!~愉快な仲間達を添えて~(1)』(講談社)
 もしも、魔王が魔法を使えなくなってしまったら。そんな魔王には、存在価値などあるはずもない。それまでの力による統治の反動で、瞬く間に血祭りに上げられてしまうのではないだろうか。  遠田マリモ『魔王遭難中!!!~愉快な仲間達を添えて~』(講談社)は、そんなもしもを描いた作品である。  物語の舞台は、無人島。そこに体操座りで呆然とする魔王の姿から始まる。  なぜ魔王が無人島の主となってしまったか。それは、別の時空で繰り広げられた天使との戦いゆえであった。  魔王城に迫る天使たちを火炎魔法で撃退していた魔王であったが、限界を感じていた。というのも、天使王との戦いの魔力を失い始めていたからである。それを気づかれる前に、魔王は新たな手を打つ。密かに開発させていた転送装置を使い、人間界に向かうこと。そこで、人間たちを殺し魂を吸収することで魔力を回復させようというのだ。  魔界の10秒が人間界の1日という時間のズレがあるのは、わかっている。だから、わずかな間に魔力を回復させて戻ってくることができるはず。そのために、魔王は四天王を率いて人間界へと旅立った。  だが、そこには大きな計算違いがあった。魔界の者たちは人間界に無知だったのである。海という存在を知らず、海から塩が取れることすら知らない程度まで無知だった。  しかも、装置は調整途中だったために、たどり着いたのは人間界の無人島。極めつけに、人間界では魔力を使えない。すなわち、戻ることすら叶わないということが、後からわかってしまったのである。  そして、魔王の下僕として活躍するはずの四天王も、役に立ちそうになかった。知恵者のはずのバルディアは人間界の知識が皆無で、火の起こし方さえわからない。豪傑のゼシールは、そのバルディアのせいでロリっ娘にされていて、筋力も皆無の役立たず。召喚師のサイスも、何も召喚できるはずもなく単なるエロい格好をしたネーチャン(処女)というだけ。ただ、四天王最弱のはずだったクリアだけが獣人だったので、その腕力と生活の知恵でなんとか生き延びることができるかという具合。  もはや、みんな役立たず。それに、魔王も存在価値のない無人島暮らし。諦念して欝っぽくなってしまう魔王だが、それでも四天王は忠誠を誓っていた。というのは魔王の統治によって種族間の争いはなくなり、実力次第で誰でも出世できるシステムをつくったことへの感謝は確かに存在していたからである。  この作品、ありがちな出オチ系かと思いきや、けっこう練り込まれた物語の様子。単なるサバイバルマンガでもなく、登場人物(人じゃないけど)たちの成長譚として描かれていくようである。  ラフな絵柄のギャグマンガでは終わらない深さに期待したいところだ。 (文=是枝了以)

【劇場アニメレビュー】新作『クレしん』はロードムービー!?  キャスト・スタッフの安定感がすごい『映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ』

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『映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ』公式サイトより
 今や『ドラえもん』『それいけ!アンパンマン』に続く国産長寿アニメーション映画シリーズ第3位の座について久しい『映画クレヨンしんちゃん』ではあるが(ちなみに第4位は『名探偵コナン』シリーズ)、そういった貫録も歴史の重みも何も感じさせない(!?)飄々としたところが(!?)、このシリーズの長所ともいえるだろう。  興行収入も10億円台前半をキープし続けていたのが、第23作『オラの引越し物語 サボテン大襲撃』(15)と第24作『爆睡! ユメミーワールド』(16)ではシリーズ第1作『アクション仮面VSハイグレ魔王』(93)および第2作『ブリブリ王国の秘宝』(94)の頃の20億円台へと返り咲いているが、かつてのファンが戻ってきたのか、新たなファン層が増えているのか、いずれにしてもこのシリーズが安定した中にも好調の波に乗り始めていることのひとつの証左になっているように思えてならない。  第25作目となる最新作『映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ』もそういった好調ぶりを反映させた快作たり得ている。ご存じ野原一家の、特にドタバタでけたたましい日常生活でのやりとりは、演じている声優陣はもはやアドリブに思えるほどの自然な息の合い方であり、その心地よいリズムとテンポはやはり長寿シリーズのレギュラーならではの強みでもあるだろう。昨年8月から藤原啓治に代わってヒロシ役を務めている森川智之は劇場版へは初登場となったが、、その事が全然気にならないほどに声優陣の息がぴったり合っている(藤原がいない分、みんな奮闘したのだろう)。  監督は第21作『ばかうまっ!B級グルメサバイバル』(13)および『オラの引越し物語 サボテン大襲撃』の橋本昌和。これまでシリーズ最多登板した監督は原恵一の6本で、続いて本郷みつる(5本)、ムトウユージ(3本)。橋本監督は今回で同率3位ということになるが、本数を重ねるごとに演出のゆとりとともに面白みも増してきている。  今回のストーリーは、ある日突然地球にやってきた宇宙人の子どもシリリとしんちゃんの友情を描いた、いわばしんちゃん版『E.T.』みたいなものだが、その実、シリリが恐怖におびえると放ってしまうビームを浴びたとーちゃん(ひろし)とかーちゃん(みさえ)が25歳も若返り(シリーズ25作目とひっかけているのか?)、要するに野原一家はみんな子どもと化してしまう。その姿を元に戻せるのはシリリの父親だけで、どうやら今は鹿児島県の南方諸島のほうにいるらしい。  かくして野原一家は南へ列島縦断する旅に出る。同じ東宝配給で先ごろ、ライフラインがすべて途切れた東京を脱出し、家族で鹿児島まで赴く実写映画『サバイバルファミリー』が公開されたばかりだが、本作もそれとちょっと似ていて、つまり今回のしんちゃんはロードムービー仕立てなのだ。  その中でシリリは、その名にふさわしいキャラ造型で、最初はどことなく地球人を侮蔑しているのだが、旅を始める過程でその姿を周囲に見られてはまずいので、しんちゃんのお尻に隠れながら移動することになる。これがまた彼にとって妙に居心地の良い場所だったようで、しかも旅の途中でとーちゃんたちとはぐれてしまったしんちゃんとシリリは、ふたりで何とか旅を続けていく(子どもたちだけで、そんなアホな? といったツッコミは不要。ちゃんとそこにも落としどころは用意されている)。 そんなこんなで、ふたりの間には友情が芽生えていくのだが、ドタバタなくだらなさがてんこもりの中、その心のふれあいの描出に怠りがないので、非常に見ていてスムーズ。いわゆる笑いの中に感動がある『映画クレヨンしんちゃん』ワールドにふさわしい展開となっていくのであった。  ようやくシリリの父親のもとにたどりついた野原一家およびシリリにどのような運命が待ち受けているかは見てのお楽しみとして(まあ、大方想像はつくとは思うが)、シリリの父親の声を演じる雨上がり決死隊の宮迫博之は、相方の蛍原徹とともに『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』(02)以来の参加ではあるが、今回は重さと軽さ、硬軟双方を巧みに使い分ける好演で大役を乗り切っている。  それにしても『クレヨンしんちゃん』とお尻は切っても切れない関係性にあるが、ここまでシリというキーワードにこだわられると、もはや呆れるよりほかになく、しかしその脱力感こそがしんちゃん映画の醍醐味でもあるのだろうと、改めて痛感せざるを得なくなるのも事実ではある。  また、だからこそ最初に述べたように、四半世紀も続く長寿シリーズの割にそんな重みも貫録も微塵も感じさせない飄々とした軽やかな味わいが醸し出されているのだろう。  あ、書き忘れていた。今回はカスカベ防衛隊の出番はさほどないなと思いこんでいたら、実はびっくり仰天の思わぬところで大活躍してくれるのも大いにカタルシスがあり、やはりわかってらっしゃる方々が作ってくださっているなあと、ニンマリしてしまった次第である。 (文・増當竜也)

ワキ毛×青春の短編アニメ『こんぷれっくす×コンプレックス』ふくだみゆき監督&上田眞一郎PDインタビュー!

■思春期と毛フェチの繊細な融合をフラッシュアニメで描く
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(C) PANPOKOPINA
 ワキ毛を見ると妙にときめいてしまう中学生・ゆいちゃんの恋を描いた青春短編フラッシュアニメーション映画『こんぷれっくす×コンプレックス』が、アニメファンのみならず幅広い層を巻き込みながら、じわじわと、そして確実に話題になり始めている。  今年2月に東京・下北沢トリウッドで劇場公開されるや日を追うごとに集客数が増していき、2週間上映の予定を1週間延長。その後も再上映を望む声が高まり、4月15日より早くも同館にて1週間アンコール上映。また5月20日からは大阪・第七藝術劇場での上映も決定した。  SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016アニメ部門グランプリをはじめ、数々の映画賞を受賞している本作、ふくだみゆき監督と上田慎一郎プロデューサーにお話をうかがってきた。  実はお二方、二人三脚で映画製作を続けているご夫婦でもあり、映画の盛況と合わせて現在幸せ真っ盛りなのであった。 ――『こんぷれっくす×コンプレックス』のご盛況、まことにおめでとうございます! ふくだみゆき監督(以下、「ふくだ」) ありがとうございます。いつか劇場公開できればいいねと話しながら作り続けていたのですが、思いのほか順調にいって、びっくりしています。 上田慎一郎プロデューサー(以下、「上田」) 下北沢トリウッドでの初公開の際、口コミで日に日にお客さんが増えていきましたし、またリピーターの方も多くて、ありがたいですね。最高11回見に来てくださった方がいらっしゃいました。 ―― そもそもの企画の発端などお聞かせください。 ふくだ もともと私は実写もアニメも監督し続けているのですが、上田の作品を手伝うことも含めてずっと実写の現場が続いていたもので、久々にアニメを作りたいなと思ったときに、アニメでしかできない題材を採り上げたいと。その中で、私自身が毛フェチというか、昔から人のパーツを見るのが好きなんですよ(笑)。じゃあ、思春期と毛フェチをかけ合わせた作品を作ろう! と。 上田 企画を聞いたとき、抵抗とかなく、素直に面白いと思いましたね。 ―― 作品を拝見して驚くのが、フラッシュアニメながら、主人公たちの想いなどが繊細に絵で表現されていることです。 上田 実は彼女、全然アニメを見ないんですよ。 ふくだ ジブリとかディズニーとか大きな作品は見ますけど、それ以外はほとんど……。深夜アニメとかも、実は疎いんですよ(笑)。 上田 ですからアニメっぽいテンポとかではなく、邦画のようなアニメを作ろうと言いながら作り始めた記憶がありますね。 ふくだ 本作でもアニメ独特のオーバーな動きではなく、必要最低限のものに留めているのですが、それも普段アニメを見ないからかな? とも思います。
ワキ毛×青春の短編アニメ『こんぷれっくす×コンプレックス』ふくだみゆき監督&上田眞一郎PDインタビュー!の画像2
―― でも、それゆえ新鮮に映えている描出もいっぱいありますね。フラッシュアニメですからさほど絵は動かないけど、目の動きやまばたきなど、実に繊細にこだわってらっしゃいます。ほっぺたがほんのり赤くなるところもいい。 ふくだ(笑) 上田 まあ、ほっぺたはアニメ的かな?(笑) でも、こんなに間があるアニメってそんなにないだろうなとは思いました。まばたきする以外、画も動かなければ台詞もないシーンってかなりありますからね。 ―― でも、そこが面白いというか、一方でそういった描写が観客に受け入れられる時代になってきたとも言えますね。 ふくだ 実は大学時代に自作アニメの上映会をやったとき「ここまで動かないのなら、アニメにする必要あるの?」とのコメントをいただいたことがありました(笑)。アニメ慣れしている人からすれば物足りないところもあるのかなと当時は思っていたんですけど、今回そこが逆に受けて、本当に良かったと思っています。 上田 またお客さんたちの声を聞きますと、声だけで画面にはほとんど出てこないお父さんやお母さんたちの存在がリアルといいますか、そのことで逆に自分の親のことを思い出したと。お客さんのほうでどんどん埋めていただけているので、より豊かに感じられてくださっているみたいですね。 ふくだ もともと全体像よりも表情を描くほうが好きで、そうすると無意識の中で目とかにこだわってしまうんだろうなとは思います。主演のふたりをはじめとする声優さんの存在も大きかったですね。ゆいちゃん役の林奏絵ちゃんも武尾君役の上妻成吾くんもオーディションで選びましたが、ふたりとも本当に実存感がありましたので、見るたびにキャラクターが愛おしくなる。その力は、あのキャスティングにあったと思っています。 上田 オーディションには250名くらいの応募があって、中には上手いプロの声優さんもいっぱいいらっしゃったのですが……。 ふくだ 今回そういう方はこの映画に似合わないかなと思ったんです。それよりもぎこちなさというか不安定さが残り、同じことができないような、そんなふたりを選んだんです。また私はアニメの場合、プレスコでしか作品を作ったことがなくて、アニメをあまり知らない分、自分で間合いを決めるのが怖いところがあるんです。ですから、そこは役者さんの間合いに合わせていった方が自然と上手くいく感じがしていますね。また収録中、台詞がかぶったり噛んだりしたところも、積極的に採り入れました。 上田 作画も彼らに似せて描いている部分もありますので、その分ウソがないのかもしれません。 ■アニメも実写も区別なし! 日常のフェチを描き起こしたい ―― 一方でブルース・リーや『レオン』などの映画的記憶も楽しく採り入れられていますね。 上田 これがまた、ふくだはほとんど洋画を見ないんですよ(笑)。 ふくだ 『レオン』はたまたま台本書く前に上田から見せられて、マチルダ(ナタリー・ポートマン)が可愛かったので反映させていますが、私、邦画は好きでよく見るんですけど、本当に洋画は知らなくて……。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で初めてハリソン・フォードを知ったくらいで(笑)。 上田 僕はハリウッド映画を見て育っているのですが、なかなか彼女ははまらないですね。それ以前にこれは面白いから見ろって、よく勧めるんですけど、全然見てくれない。 ふくだ だってゴリ押しされると、逆に見たくなくなっちゃうじゃないですか(笑)。 ―― そもそもお二方の出会いなどは? 上田 10年に僕がプロデュースで参加していた映画祭(ショートフィルム・フェスタ・ニッポン)に彼女が作品を応募してきて、それをきっかけに知り合いまして、自分らの制作団体“PANPOKOPINA”に所属して一緒に活動するようになりました。 ふくだ 応募したときの作品はアニメで、もともと私は実写をやりたかったのですが、当時は実写を作る術が全然わからなかったもので、自分で絵が描けるアニメから入り、そして実写を製作しているということで、勉強のために“PANPOKOPINA”に入らせてもらったんです。 ―― 上田さんはアニメの監督のほうは? 上田 まったく絵が描けないので、実写のほうばかりです。僕が描いたラフの画コンテを彼女に清書してもらうこともよくありますね(笑)。 ―― 4月15日からの下北沢トリウッドのアンコール上映では、ふくだ監督の実写『マシュマロ×ぺいん』と上田さんの監督作品『テイク8』『ナポリタン』も併映されます。 ふくだ 『マシュマロ×ぺいん』はヒロインのアラサー女子とストーカー男との奇妙な共同生活を描いたラブ・コメディです。 上田 シナリオは16回改稿しましたか(笑)。僕が監督した『ナポリタン』は人の声が「ナポリタン」としか聞こえなくなってしまった男を主人公にしたSFファンタジー要素の入ったコメディ。『テイク8』は自主映画監督の夢と結婚を題材にしたドタバタ・コメディで、実は僕らの結婚式の4日後にクランク・インしました(笑)。 ふくだ おかげで準備が大変でした(笑)。
ワキ毛×青春の短編アニメ『こんぷれっくす×コンプレックス』ふくだみゆき監督&上田眞一郎PDインタビュー!の画像3
―― そしてふくだ監督の新作『耳かきランデブー』も完成し、4月の沖縄国際映画祭で上映されます。 ふくだ 今度は実写の、耳かきフェチのOLのお話です(笑)。もう私の中でフェチは日常というか、それを描き起こすのが好きなんでしょうね。 上田 5月29日に東京の阿佐ヶ谷ロフトでイベント上映しますので、こちらもお楽しみに! ■『こんぷれっくす×コンプレックス』公式サイト https://www.wakige-anime.com/ (C) PANPOKOPINA

【実写映画レビュー】原作から下がった「次元」――『ゴースト・イン・ザ・シェル』に抱く違和感とは?

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『ゴースト・イン・ザ・シェル』公式サイトより。
 本レビューはたいへん辛口なので前もって言っておくが、実写映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』を、ひとつの独立したSF映画として見た場合、目立った瑕疵はない。プロットに破綻はないし、冒頭で提示された謎は、誰もが理解できるような真相の開示をもって、完全に解決される。実にわかりやすい。高予算をかけただけあってVFXのレベルはおおむね高いし、予告編に登場する芸者ロボのジャポニズム・デザインは洗練の部類に入る。拳銃を握る荒巻大輔役のビートたけしは、やっぱりカッコいい。  しかし、士郎正宗のコミック『攻殻機動隊』を原作と謳い、押井守の劇場用アニメ『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』も事実上の参照元とする映画として見た場合、作品全体をある違和感が覆う。それは、かつてフジテレビ系で放映していたバラエティ番組『とんねるずのハンマープライス』(95〜98年放映)のロバート・デ・ニーロ出演回で筆者が抱いた違和感と、同じだ。 『ハンマープライス』は著名人のお宝グッズを一般人がオークションで競り落とす番組である。デ・ニーロは番組スタッフから「掛け軸に毛筆で一筆したためてほしい」と頼まれ、快く承諾した。依頼された文言は「役者バカ でにいろ」。しかし当たり前だが、デ・ニーロは漢字も平仮名も解さない。おそらく毛筆を握ったこともない。だから、この通り書いてくれと渡されたお手本を見て、彼はこんな趣旨のことを言った(字幕うろ覚えにて、ご容赦いただきたく)。 「これをコピーすればいいんだね?」  そうしてデ・ニーロは筆を手に取り、書き上げた。文字の大きさや余白のバランスは多少悪いが、漢字と平仮名はちゃんと読める。企画は成立している。何も破綻していない。が、筆者はデ・ニーロが「手本を見て書をしたためる行為」を「コピー」という概念で理解したことが、どうにも腑に落ちなかった。copyには「複写する」以外に「模写する」「まねる」の意味もあるので、間違ってはいない。しかし「コピー」か……。違和感は残った。  いったん映画の話に戻ろう。『ゴースト・イン・ザ・シェル』の舞台は近未来。国は特定されていないが、日本をベースにしたアジアの猥雑な雰囲気が漂う街だ。ここで、過去のとある“事故”によって脳以外をすべて義体(サイボーグ)化された少佐(スカーレット・ヨハンソン)は、サイバー犯罪を取り締まる公安9課に所属している。少佐はハンカ・ロボティックス社に対するテロの捜査を進めていたが、自分の過去の記憶が「改変」されているかもしれないという疑念にさいなまれる。  ファンには説明するまでもないが、タイトルにある「ゴースト」とは、士郎正宗版や押井守版(以下「W攻殻」)にも登場する、攻殻ワールドの最重要キーワードだ。人間の体をどんどん機械に置き換えていった場合、最後に残る自分自身・自我・意識・魂・直感といったものを指す、形而上的な概念のことである。  この際、少佐役のヨハンソンの人種がどうだの、彼女の体躯が全身タイツっぽくてマヌケだの、日本語と英語のちゃんぽん会話が不自然だの、街の漢字看板が違和感アリアリだの、ビートたけしの滑舌が悪すぎるだのといったイチャモンは、重要ではない。  また、本作では「W攻殻」とはまったく異なる物語が紡がれるが、それ自体も別に悪くない。日本のMANGAやANIMEを実写化するなら、生身の役者の芝居にフィットする世界観やストーリーに改変したほうが、収まりがよいからだ。トム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』が、桜坂洋のライトノベル原作から大きく脚色されて成功したケースもある。  問題なのは「物語が変わった」ことではない。「物語の次元が下がった」ことだ。「W攻殻」にあった生命や進化の定義考察、テクノロジーと自我に関する高次な問題提起、それによって喚起される知的興奮などは、『ゴースト・イン・ザ・シェル』においては、見る影もない。劇中で描かれる少佐の出自の秘密、「技術の進化」に対する危機感や、終盤に判明する「敵」と少佐との関係などは、どれもいちいち安っぽく、脱力するほど陳腐である。この感傷的で凡庸なSFミステリーはいったい何なんだ? 「攻殻」の看板を背負っている自覚が、まったく感じられない。そもそも製作陣が「ゴースト」の概念をちゃんと理解しているのかどうかも、甚だ怪しい。  一応、本作には「W攻殻」で見たことのあるシーンがてんこ盛りだ。光学迷彩で透明化した少佐のさまざまなアクション。無機質な少佐の部屋。ゴミ収集車の2人組。オペレーターの指先が割れてキーボードを高速入力。水中に潜る少佐と船で迎えに来るバトー。多脚戦車とのバトルや、戦車のハッチを力ずくでこじ開ける少佐の後ろ姿。『イノセンス』からの引用もある。  しかしこれらは、各シーンがもともと持っていた文脈や象徴的意味合いをまったく無視して拝借しただけの、表面的なビジュアルイメージにすぎない。「W攻殻」とは本質的に異なる(次元の低い)物語の要所要所に、「W攻殻」ファンに馴染みのある名シーンを、都合よく切り貼りしただけのシロモノだ。歌謡曲にたとえるなら、よくもまあ、ここまで懐メロヒット曲の「名フレーズ」だけをいくつも引用して、曲調のまったく異なる新しい1曲を破綻なく成立させられたものだ。ある意味、感心する。努力はすごい。  しかし、その「努力」とは、漢字の意味を解さないデ・ニーロが、見よう見まねで筆を握り、白い紙をお手本そっくりに黒インクでペイントする「コピー」と同じものだ。もちろんデ・ニーロに罪はない。日本のテレビ番組の要請に応じただけだ。  ただ、デ・ニーロの「ショドウ・ペイント」は無邪気かつ誠実なトレースの産物であって、掛け軸として床の間を飾れる「書」とは呼べない。文字が帯びる意味や書き順の理解、書き手がしつらえるべき精神性などが、すっぽり抜け落ちているからだ。デ・ニーロが悪気なく言い放った「コピー」に筆者が感じた違和感の正体は、これだった。  無論、日本人である我々とて、書家でもない限り書道の際にはお手本を見る。しかし、その際の気分は、「コピー」や「トレース」とはまるで違うはずだ。硯で墨をすり、呼吸を整え、筆を握り、紙に向かい合う。文字の意味を理解し、心に染み込ませ、然るべき書き順をもって、墨の濃淡にすら感情を滑り込ませながら、書く。毫(ふで)を揮(ふる)う、すなわち揮毫(きごう)。それが、書道という造形芸術の「次元」というやつだ。 「書き順や心構えなんぞ無視しても、お手本そっくりに書くことはできる」。そんな反論もあるだろう。「書道はお手本の再現度がすべてであり、白地に黒1色で表現される文字列など、1と0で構成されるデジタルデータに変換すれば、余裕で数KBに収まる」。ふむ、そうかもしれない。そう主張する人たちはきっと、『ゴースト・イン・ザ・シェル』が「攻殻」の看板を背負っていても、まったく気にならない。破綻のない、ひとつの独立したSF映画としてちゃんと楽しむ。「こんなの『攻殻』じゃない!」などと不寛容な駄々はこねない(筆者と違って)。 『ゴースト・イン・ザ・シェル』を許容できるのは、「カリフォルニアロールだって立派なスシだよね」と無邪気に言い切れるような人たちだ。カニかまとアボカドとマヨネーズが酢飯で巻かれたものが「スシ」と呼ばれることに抵抗がある人間とは、器の大きさが違う。「スシにマヨ…ネーズ…だと!?」などと、小さなことで青筋は立てない。そこに違和感など抱かない(筆者と違って)。    よく知られているように、北米のMANGA、ANIMEファンの「W攻殻」の評価は非常に高い。ただ、一足先に当地で公開された『ゴースト・イン・ザ・シェル』の興行成績は、製作側が期待したほどではなかったそうだ。当然だろう。「W攻殻」を愛するアメリカ人たちにしてみれば、いくら書道に馴染みがないとはいえ、本作が次元の低い「部分的コピーの切り貼り」であることくらいは理解できる。  だから筆者を含む不寛容な日本人は、彼らにこう伝えるべきなのだ。ジャパンには「仏作って魂(ゴースト)入れず」ってことわざがあってだな、と。 (文・稲田豊史)

『おそ松さん』応援ある限り新作は作られる!? やっぱり放送は深夜帯か?

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『おそ松さん』公式Twitter(@osomatsu_PR)より。
 2015年10月から16年3月まで放送され、爆発的な人気を獲得したTVアニメ『おそ松さん』。  放送終了から約1年が経っても積極的に企業やキャラクターとコラボ企画を展開、今でも6つ子たちの姿を目にする機会も多いなか、今月6日にはTVアニメ第2期の制作が発表。ネット上でも「おそ松さん2期楽しみ」「夢みたい」「また松に癒されて生きれる」など、歓喜のコメントが溢れかえる騒ぎに。  そんなTVアニメ第2期制作の発表から3日後となる9日、現在劇場公開されている『おそ松さん 春の全国大センバツ上映祭』の舞台挨拶に、第1期に続いて第2期でも監督を務める藤田陽一が登壇。今後の展開などへの思いを語っていたという。 「藤田監督は2期へ向けて『1期と同じで、赤塚不二夫というのが広がっていけば』と、『おそ松くん』の作者・赤塚さんの名前を広めることを意識されていました。続けて『あいかわらず自分が深夜帰ってくだらねえなと思って見れるものを……と、思っています』と。放送時間帯は1期と変わらず、いろいろ好き勝手やれそうな深夜帯になりそうでしたね」(イベントに参加した20代女性)  さらに、藤田監督はこんな発言もしていたそうで……。 「『応援してくれる限り、松野家のくだらない日常を描ければと思っています』と仰っていて。『おそ松さん』の人気が続けばTVアニメ2期に加えて、まだまだ続編なり新作映像を作る意欲があるようなコメントに、客席も盛り上がっていました」(前出の20代女性)  また、会場には藤田監督のほかにもおそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松の6つ子とイヤミの着ぐるみが来ていたというのだが、こちらも意外と好評だったのだとか。 「6つ子の着ぐるみが3、3に分かれて入り口でお出迎えしてくれたり、出口でハイタッチしてくれたりして、テンションがアガりました! しゃべったりはしないんですけど、6つ子の性格を反映したような行動をそれぞれとってくれていて。一松が隅っこで体育座りをしてたり、カラ松がナルシストな感じを出してくれてクオリティーが高かったです! お客さんも記念撮影可能の時間があったんですけど、写真をすごい勢いで撮っている人もいたりして、熱狂ぶりがすごかったです(笑)」(前出の20代女性)  果たして、2期を心待ちにしているファンが再び満足するような仕上がりになるのか? 続報が楽しみなところだろう。