先日開催された、人工知能学会全国大会で発表された論文がpixiv上のR-18小説に「有害」「猥褻」のレッテル貼りを行ったとして、猛烈な批判を浴びている騒動。執筆者の一人である立命館大学情報理工学部メディア情報学科の助教・山西良典氏は、取材に対して「どうなんでしょうね」と煮え切らぬ回答に終止した。 「ドメインにより意味が変化する単語に着目した猥褻な表現のフィルタリング」と題された論文は、立命館大学大学院情報理工学研究科の近江龍一氏、立命館大学情報理工学部の西原陽子氏、そして山西良典氏の3名によって著されたもの。 論文中では「インターネット上には未成年に対して有害な情報が溢れている」などとして、フィルタリングについての論述がなされている。文中では「有害」と「猥褻」という言葉が繰り返し用いられているが、その定義については、どこにも記されていない。まったく「有害」と「猥褻」がなにかを定義しないまま、「有害」と「猥褻」のフィルタリングを語るトンデモ論文となっているのだ。 さらに問題なのは、文中で個別作品のURLや作者名も明示されていること。これは、pixivが規約に抵触する行為との指摘もある。pixivでは、すでにTwitterの公式アカウント(@pixiv)で「論文の発表元である立命館大学に対し、経緯と事実関係の確認および対象ユーザーとの問題解決を要請」していることを発表している。 これに先立ち、25日午前中には、それまで人工知能学会のサイトで公開されていた論文が突如、公開を停止。「※例外的に発表原稿を非公開としました」という記載を行っている。 いったい、どういう経緯でこのような事態が起きてしまったのか。執筆者の一人、山西氏に電話で話を聞くことができた。 ──なぜ、論文が取り下げられているのか。 山西氏「それは、運営側の処置として検討しているとのことですね」 ──検討とはどういうことか。 山西氏「うーんとね、このあと多分、話をすると思うんですけど、はい」 ──ということは、やはり問題あると判断していることなのか。 山西氏「うーん、どうなんでしょうねっ」 ──では、その取り下げは山西氏から提案したものなのか。 山西氏「えっとね、提案というか……うーん、僕は提案はしていないですね」 ──学会のほうからの提案ということか。 山西氏「うーん、そうですね。僕からは提案していないです……えっと、これって僕、今から出かけるところなんですが」 今日は、一日中会議だという山西氏。夕方以降、改めて電話をする旨を伝えたところ「そうして下さい」といったものの、夕方を過ぎても電話が繋がることはなかった。 この件については、人工知能学会などに対しても引き続き、取材を要請中。続報があり次第、報告することにする。 (文=昼間たかし)「2017年度 人工知能学会全国大会(第31回)」公式サイトより。
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アニメ『鬼平』の世界にもっと浸りたい! 生誕50周年記念の「鬼平展」緊急レポ!!(28日まで開催中)
先週19日より、東京スカイツリータウンの「東京ソラマチ」にて、『鬼平犯科帳』(作:池波正太郎/文藝春秋)の連載開始=生誕50周年を記念して開催中の「鬼平展」。残り開催期間も残り4日間ほどどなってしまいましたが、取材に訪れてみたのでその内容を紹介したいと思います。「鬼平展」入り口
宮監督のメッセージ
展示場に入り口で出迎えてくれるのは、アニメ『鬼平』で、監督・キャラクターデザイン:宮繁之氏、クリエイティブプロデューサー:丸山正雄氏のメッセージ、続いて長谷川平蔵の等身大(?)パネル。案内していただいた「鬼平展実行委員会」の方によれば、宮監督、丸山プロデューサーも20日に現地を訪れたとか。平蔵パネル。バックは役宅
続いて登場するのは、原作の故・池波正太郎先生の愛用の品々と生原稿など。TVアニメ化されたエピソード「大川の隠居」、「盗法秘伝」の原稿もありましたが、「盗法秘伝」は当初「盗法伝授」となっていたのが赤字で「秘伝」と修正されているあたりが、原作ファンとしてはたまりません。上:左からパイプ、万年筆、メガネ。下:「盗法秘伝」
なお、会場からほど近くの東京・浅草で池波先生は生誕。現在の台東区浅草7丁目3番地の「待乳山聖天」の近くには「生誕地碑」が、台東区入谷2丁目にある「台東区立中央図書館」には「池波正太郎記念文庫」があります。東京スカイツリー駅から浅草駅とは、わずか一駅の距離です。原作ファンなら、あわせてチェックしてみるのも有りと思います。「待乳山聖天」横の公園内に碑はあります。記念文庫は撮影禁止でした……
さて、この先はアニメ『鬼平』中心となっていきます。作中のカットと美術を1枚絵にまとめた大型のアクリル板のイラストがやたらと格好良かったり、大きなスクリーンでノンテロップOP映像を見ることができたり。 アニメ『鬼平』はTVアニメとしては珍しいぐらい、江戸時代の夜を夜らしく=嘘をついて明るく描いたりしないアニメでしたが、この「鬼平展」もそれにあわせたのか、暗めの照明の中、光を演出としてうまく活用していたなぁ、というふうに思います。上:大型アクリル板に描かれたイラスト、下:ノンテロップOP映像
それが特によく表れていたのが、この「行灯型キャラクター紹介」コーナー。レギュラーキャラ、各話のメインゲストキャラ、あわせて24人の設定画と場面カットを展示しているのですが、そこで一手間かけて作中によく出てきていた行灯のように加工しているわけです。ちなみに、このコーナーの壁面では作中から抜き出したセリフが描かれています。
美術設定画や、この展示会にあわせて描かれた描き下ろしイラスト3点の線画なども展示されていますが、注目は「飯テロ」との呼び声も高い『鬼平』へ登場した飯たちの原画の展示でしょう。使われている野菜などについても、細かく指示が入っているのが分かります。実にうまそう。上:ご飯、太刀魚の塩焼き、香の物、辛子蓮根、白瓜の冷汁。下:軍鶏鍋。中身は軍鶏のムネ、モモ、ハツ、キンカン、レバー、スナギモほか、ササガキゴボウなど
展示場のラストには、わざわざガチで作ったという囲炉裏が設置、あわせてアニメ全13話の絵コンテ、台本が置かれており、自由に読むことができます。 展示場はさほど広大、というわけでもありません。なぜ手間暇かけて囲炉裏を用意したのか、「鬼平展実行委員会」の方に訊ねてみたところ、 「それはやっぱり、ゆっくり時間をかけて展示を見ていただきたいと思ったからです。実際、アニメ『鬼平』が好きで来場してくれたというアニメファンは、かなりじっくり展示を見てくれていますね。 一方で、アニメ化をされていたことを知らず、たまたま通りがかったという池波先生ファン、時代劇ファンという方も多いですが、やはり中高年ぐらいの方が目立ちますから、こういったくつろげるスペースを作って良かったなと思います」とのこと。 「鬼平展」は5月28日まで開催中。落ち着いた雰囲気になっていますから、アニメ『鬼平』のファン、あるいは池波先生のファンだという人は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。 ■鬼平犯科帳 誕生50周年「鬼平展」 会期:開催中~ 5月28日(日) 開館時間: 10:00~21:00(最終入場 20:30)最終日のみ20:00まで(最終入場 19:30) 会場 : 東京ソラマチ 5Fスペース634 主催 :「鬼平展」実行委員会 特別協力 : オフィス池波 / 池波正太郎記念文庫 協力 :「TV シリーズ鬼平」製作委員会 / 東京ソラマチ JTB コミュニケーションデザイン / ライブ・ビューイング・ジャパン お問い合わせ :「鬼平展」実行委員会 0570-065-588 ( 月~金 10:00~17:00) アクセス:東武スカイツリーライン「とうきょうスカイツリー駅」 東武スカイツリーライン、東京メトロ半蔵門線、京成押上線、都営浅草線「押上駅」すぐ 公式サイト http://onihei-exhibition.com/ ■TVアニメ『鬼平』 公式サイト http://onihei-anime.com/台本は実際に使用されたもの。時折書き込みもありました
矢口真里、ドッキリ消化不良に「中澤裕子をキャストすべきだった」の声 吉澤ひとみへの先輩面には批判が殺到
17日に放送された『水曜日のダウンタウン』(TBS系)にタレントの矢口真里がVTR出演。カラオケで、説教された直後にモーニング娘。の楽曲「恋のダンスサイト」がかかったら、“セクシービーム”の振り付けを披露するのか、ということを検証するドッキリ企画に登場したのだが、仕掛け人の遠野なぎこに対して矢口がまさかの反発を見せたため、最後には双方が号泣する泥沼の展開に。ネット上では、「遠野じゃ力不足だったな」「中澤姉さんをキャスティングしなきゃ」などと、キャスティングミスを指摘する声が相次いだ。 「矢口とプライベートで仲が良いということで仕掛け人に選ばれた遠野。カラオケボックスに入ってから頃合いを見計ったところで、『時事ネタとかが言えないと。ちょっとお勉強不足な部分を自覚した方がいいと思う』と、矢口に説教を開始しました。これを黙って聞くかと思われた矢口ですが、『それって遠野さんが私に言うことじゃなくないですか?』と、まさかの反論。そこから口ケンカに発展してしまい、あまりに凄惨なために放送できない場面も多々あったようです。結局、遠野は強引に『恋のダンスサイト』をかけたものの、矢口はセクシービームをやらず泣くばかり。消化不良で終わってしまったため、矢口がモー娘在籍時に絶対的ボスとして君臨していた、中澤裕子を説教役にキャスティングした方が良かったのではないか、と指摘する声が数多く寄せられていました」(芸能関係者) モー娘の初代リーダー・中澤のボスぶりについては、これまでにも何度も当時のメンバーたちによって語り尽くされてきた。今月13日に放送された『こんなところにあるあるが。土曜あるある 晩餐会』(テレビ朝日系)でも、吉澤ひとみが加入間もない頃、中澤の前を歩いたら、「なんで前を歩いているんだ?」と怒られたというエピソードを語り、「パワハラだろ」「なんで前を歩いちゃいけないんだ?」などとネット上をざわつかせた。 「常に先頭に立ち、自分の前を誰かが歩くのを嫌う、という中澤のボス気質が表れたエピソードだったのですが、吉澤は同番組内で、矢口からも先輩風を吹かされたことを明かし波紋を呼んでいました。当時のモー娘は上下関係が厳しかったという話の流れで、ある日、吉澤は矢口から『(髪形が)今日かぶってるから』と言われたために急遽、髪形を変えざるを得なかったという話を暴露。これに対してネット上では、『矢口っちゃんは後輩に優しいタイプだと思ってたからガッカリ』『先輩面してんじゃねーよ』などと、落胆や批判の声が飛び交っていました」(同) 同番組には保田圭と石黒彩も出演し、モー娘時代のエピソードを披露したのだが、当時のメンバー間の確執を暴露しなければならないほど、モー娘OGもいよいよもってネタが尽きてきたのかもしれない。
矢口真里、ドッキリ消化不良に「中澤裕子をキャストすべきだった」の声 吉澤ひとみへの先輩面には批判が殺到
17日に放送された『水曜日のダウンタウン』(TBS系)にタレントの矢口真里がVTR出演。カラオケで、説教された直後にモーニング娘。の楽曲「恋のダンスサイト」がかかったら、“セクシービーム”の振り付けを披露するのか、ということを検証するドッキリ企画に登場したのだが、仕掛け人の遠野なぎこに対して矢口がまさかの反発を見せたため、最後には双方が号泣する泥沼の展開に。ネット上では、「遠野じゃ力不足だったな」「中澤姉さんをキャスティングしなきゃ」などと、キャスティングミスを指摘する声が相次いだ。 「矢口とプライベートで仲が良いということで仕掛け人に選ばれた遠野。カラオケボックスに入ってから頃合いを見計ったところで、『時事ネタとかが言えないと。ちょっとお勉強不足な部分を自覚した方がいいと思う』と、矢口に説教を開始しました。これを黙って聞くかと思われた矢口ですが、『それって遠野さんが私に言うことじゃなくないですか?』と、まさかの反論。そこから口ケンカに発展してしまい、あまりに凄惨なために放送できない場面も多々あったようです。結局、遠野は強引に『恋のダンスサイト』をかけたものの、矢口はセクシービームをやらず泣くばかり。消化不良で終わってしまったため、矢口がモー娘在籍時に絶対的ボスとして君臨していた、中澤裕子を説教役にキャスティングした方が良かったのではないか、と指摘する声が数多く寄せられていました」(芸能関係者) モー娘の初代リーダー・中澤のボスぶりについては、これまでにも何度も当時のメンバーたちによって語り尽くされてきた。今月13日に放送された『こんなところにあるあるが。土曜あるある 晩餐会』(テレビ朝日系)でも、吉澤ひとみが加入間もない頃、中澤の前を歩いたら、「なんで前を歩いているんだ?」と怒られたというエピソードを語り、「パワハラだろ」「なんで前を歩いちゃいけないんだ?」などとネット上をざわつかせた。 「常に先頭に立ち、自分の前を誰かが歩くのを嫌う、という中澤のボス気質が表れたエピソードだったのですが、吉澤は同番組内で、矢口からも先輩風を吹かされたことを明かし波紋を呼んでいました。当時のモー娘は上下関係が厳しかったという話の流れで、ある日、吉澤は矢口から『(髪形が)今日かぶってるから』と言われたために急遽、髪形を変えざるを得なかったという話を暴露。これに対してネット上では、『矢口っちゃんは後輩に優しいタイプだと思ってたからガッカリ』『先輩面してんじゃねーよ』などと、落胆や批判の声が飛び交っていました」(同) 同番組には保田圭と石黒彩も出演し、モー娘時代のエピソードを披露したのだが、当時のメンバー間の確執を暴露しなければならないほど、モー娘OGもいよいよもってネタが尽きてきたのかもしれない。
霧亥の設定話も飛び出した! 霧亥もサナカンもタエも駆除系も心躍る『BLAME!』初日舞台挨拶レポート
5月20日から2週間限定で全国公開される、劇場アニメ『BLAME!』。その初日舞台挨拶が、20日、新宿ピカデリーで行われた。 今回登壇したのは、キャスト陣から霧亥役の櫻井孝宏、サナカン役の早見沙織、タエ役の洲崎綾、そして制作陣からは瀬下寛之監督と吉平"Tady”直弘副監督。完成披露試写会とは違って、収録エピソードやキャラなどの作品に関するトークセッションは上映前ということでやや控えめ。また、特別ゲストに「奴ら」が現れる演出もあった。 ■初日を迎えて「にやにや」登壇した吉平"Tady”直弘副監督、洲崎綾、櫻井孝宏、早見沙織、瀬下寛之監督。
いよいよ劇場公開を迎えた初日、MCから「今の気持ち」をたずねられた櫻井孝宏は、「うれしいです。その一言に尽きる」と返答。大きなスクリーンで観られる時がきて、しかも多くの方に来場してもらっていることに「つい笑みがにやにやとこぼれてしまう」と笑顔。洲崎綾も「櫻井さんが隣でにやにやしているんですけど、私も内心にやにやしていて、こんなに満席でほっとしちゃいます」と、やはり笑顔。櫻井孝宏
次いで「私もにやにやしています(笑)」という早見沙織は、「『BLAME!』という作品は劇場の大きなスクリーンで、大迫力で、そして素敵な音で観ていただくのがぴったりな作品だと思うので、これからご覧になっていただくのがドキドキします。どのようにみなさん感じていただくのか、にやにやドキドキしています」と、期待を寄せる。 これを受けた瀬下監督が「この流れだとボクがにやにやで、彼(吉平副監督)がドキドキって流れだと思うんですけど(笑)」とセンタリングを上げると、吉平副監督は「スタッフの情熱がギュッと詰まったものを、やっとみなさまの前にお披露目できるというのがスゴくうれしいし、ドキドキもしています!」と華麗なゴールを決めた。 ■興味深い設定も聞けた、プレスコ絡みのクロストーク プレスコについて聞かれた櫻井孝宏は、台詞以外のト書きを参考に「アクションを伴うようなシーンでは……例えば、走っているんだったらどれくらいのペースでどういう気持ちで、止まって振り返るんだったら何歩で止まって振り返るのか、その場でディスカッションしながら作っていった」そう。今作は「完全プレスコ」で収録されており、まったく絵がなく、中には台詞もなくト書きのみのページもあるのだとか。 サナカンの難しさを問われた早見さんは、「役柄で言うと台詞的に難しいのが多いのも一つ。プレスコだと会話のテンポや雰囲気がスゴく大切になってくるので、その場の空気感、その場でしか生まれないものが出てくるんですけど、サナカンはみんなとテンポ良くかけあうキャラクターじゃないので、サナカン一人分の空間を確立することに意識を向けていました」と返答。アドリブについても、サナカンだけは追加で入れたそうだ。 タエについて聞かれた洲崎さんは、「画がない分、距離感とかを掴むために通常よりさらに耳を大きくして、他の役者さんの声を聞いている感じがするので、注意深く……特に絡みが多かった天ちゃん(雨宮天)とかの声はしっかり聞いてたかなって感じです」と朗らかに答えた。 MCから霧亥について聞かれた早見さんが「霧亥だけじゃなくて、無口な人って一見無口に見えるけど、モノローグでいっぱい考えてるのかなって思う」と答えると、瀬下監督から「明確じゃないけど、霧亥は数百年ぶりくらいで喋っている。『この単語で良かったっけ?』くらいの気持ちで。実際そうやって演技してもらってます」といううれしい設定話も聞くことができた。洲崎綾、早見沙織
■カサカサカサカサカサカサ 「おまえたちネット端末遺伝子を持たない人間を、排除する」 フォトセッションが始まるやいなや、突如サナカンの口から上記の言葉が。そう、いよいよ「奴ら」が基底現実に現れる。奴ら……能面フェイスでお馴染みの虫、もとい駆除系がやってきたのだ! 来たのだが、櫻井さんの「動きはいいけどビジュアルがゆるい!」という言葉が表すとおり、ちょっと微笑ましい絵面になっていて、館内が優しい笑いに包まれた。 撮影が終わると、「排除完了、帰ってよし!」とサナカンの口から撤退命令が下され能面もカサカサと退場。その時「(命令されて)ちょっとみんなうれしいでしょ?」と言われた駆除系の一人がなんとなくうれしそうで特に印象に残っている。筆者も命令されたい。 ■『BLAME!』をこれから観るファンへのメッセージ!瀬下寛之監督、吉平"Tady”直弘副監督
櫻井孝宏:ハードSFって、ちょっと縁遠い、難しいイメージを持たれるかも知れないんですが、そこにこそ、この作品の面白さがあると思うんです。人間ドラマも描かれてるし、メタリックな、クールな冷たい世界で生きている人々のドラマでもあるので、その息吹や温もり、体温などがちゃんと伝わってくる。ディティールの面白さもそうなんですが、CGアニメーション映画の面白さがぎゅうぎゅうに詰まった作品だと思いますので、素晴らしい映像体験を楽しみにしてください。 早見沙織:サナカンという役柄に初めて臨ませていただいた時に、とっても無機質なのかなって、『BLAME!』の世界観としても無機質なイメージかなあと思っていたんですが、演じれば演じるほどスゴく生命を感じるというか、有機的なものを感じる瞬間があったりして、表と裏みたいな形で近いモノがあるんだな、と感じました。映像のことも声も、「こんなところにも!?」って部分にまでみんなが愛情を込めて、0.0001秒コマまで繊細に作り込んでいますので、是非、映像が始まった瞬間から楽しんでいただければうれしいです。 洲崎綾:スゴくたくさんのト書きが書いてあって台詞があって、アフレコの台本にまで詳しく状況をしっかりしっかり書いてくださって、音を録るためにそれだけのことがされているということは、映像を作るにはもっともっと膨大な量の状況に対する解釈があったり、意識の共有があったりされて今日があるんだろうなあと感じながら、ここに向かってきました。駆除系のみなさんも出て、楽しい舞台挨拶をみなさんと過ごせてうれしかったです。特典のフィギュアを気に入った方は劇場に足を運んでコンプリートしていただきたいし、私も通いたいと思います! 吉平"Tady”直弘副監督:これからご覧いただく『BLAME!』という映画は、『マッド・マックス』のような派手で爽快なアクション映画でもあるし、普遍性なテーマを持った人間ドラマでもあります。今回初めて『BLAME!』という作品に触れていただく方も、ずっと前から『BLAME!』が好きで来ていただくお客様も、どちらも楽しんでいただけるように一生懸命、情熱を込めて作ったつもりです。是非劇場の音響で、大きなスクリーンで、楽しんでいただければと思います。 瀬下寛之監督:伝えるべき素晴らしいコメントは他のみなさんにすべて言っていただいたので、ボクはお礼だけを伝えたいと思います。あ、素晴らしい音響を作ってくださっている音響監督の岩浪さんが幕張新都心(イオンシネマ)さんに一人で張り付いてまして……「劇場に来てくださるお客様にお礼を言いたい」と。岩波さんはご多忙な方なんですけど、夜、劇場に出かけて「少しでも良い音で聞いてほしい」ということで、ご自分ですべて調整をしております。ポリゴン・ピクチュアズのスタジオの前のめりなアーティストだけじゃなく、関わっているスタッフのみなさん全員が、本当に前のめりに、大事に作ってくださっている作品ですので、みなさん、是非この作品を劇場で、できれば何度か繰り返して観ていただければと思っております。今日は本当にありがとうございました! ◆◇◆◇ 披露舞台挨拶の記事でも書いたが、原作と少しだけ設定の変わっている、劇場アニメ『BLAME!』。とは言え変わっている部分はストーリー上のものであり、映画を映画として楽しむための要素となっている。原作ファンの方はその違いを味わいながら楽しむもよし、原作未読の方は圧倒的な進化を遂げた3Dアニメーションや音響を楽しむもよしだ。是非、劇場のスクリーンと音で『BLAME!』の世界を全身で感じてほしいし、筆者はサナカンに命令されてうれしそうな駆除系になりたいだけの人生だった。 (取材・文/平工泰久) ■『BLAME!』 配給:クロックワークス 公開:5月20日(土)より全国公開(2週間限定) 公式サイト :http://www.blame.jp/ 上映時間 :105分 (C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
ホラー要素にアクション、人間ドラマありの新作CGアニメ映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』スタッフインタビュー
株式会社カプコンが誇る大ヒットサバイバルホラーゲーム『バイオハザード』(以下、『バイオ』)シリーズを原作とした新作フルCGアニメーション映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』。 本作は、劇場版『呪怨』シリーズで知られるホラー映画の巨匠・清水崇氏がエグゼクティブ・プロデューサーを務めるほか、監督には『機動警察パトレイバー』の実写版シリーズや『ウルトラマンX』といった作品を手がけるなど、アクション演出に長けた辻本貴則氏、脚本はアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズの深見真氏、音楽は劇場アニメ『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』など映画やアニメ、TVドラマ、ゲームとさまざまなジャンルで活躍する川井憲次氏という実力派スタッフが集結。 5月27日の公開を間近に控えて行われた完成披露試写会舞台挨拶では、辻本貴則監督が「勝負作」と自信をのぞかせていた(参照記事)。 『バイオ』シリーズのファンにはおなじみのキャラクター、クリス・レッドフィールドとレオン・S・ケネディといった2人の主人公が、ニューヨークの街を襲う大規模バイオテロを阻止するために奔走する姿を描く本作について、「おたぽる」では、清水崇エグゼクティブ・プロデューサー、辻本貴則監督、そして原作『バイオ』シリーズのプロデューサーで本作では原作監修を務めた小林裕幸氏にインタビューを敢行! 見どころや制作時のエピソードなどについて、たっぷりと話をうかがった。劇場へ観に行くか迷っている方には、本記事が選択の一助となるはずだ。 ■“原点回帰”でゲーム1作目のホラー感を ――CGアニメ映画第1作目『バイオハザード ディジェネレーション』(08年)、2作目『バイオハザード ダムネーション』(12年)から主要スタッフが一新され、豪華な顔ぶれが揃った今作ですが、まずはスタッフィングの経緯について教えてください。 小林裕幸(以下、小林) そもそもの座組が変わったのが大きな理由です。まず、制作がマーザ・アニメーションプラネットさんになり、そこから清水さんと脚本の深見(真)さんにお話をしました。清水さんには当初監督をお願いしたのですが、お忙しかったために今回はエグゼクティブ・プロデューサーとして残っていただいたんです。紆余曲折を経て辻本さんが監督に決まり、辻本監督から音楽の川井(憲次)さんにお声掛けいただくかたちで主要スタッフが決まっていきました。 辻本貴則(以下、辻本) ゲーム1作目のホラー感を出す“原点回帰”というテーマがあったんですが、そのホラー色は清水さんでバッチリだから、「『バイオ』といえばアクションもできる人がいいよね」というところで、お声掛けいただきました。 ――“原点回帰”をうたったホラー描写といえば、冒頭のシーンは特に顕著ですよね。 清水崇(以下、清水) そのシーンも最初は決まっていなかったんですが、制作途中で、「ゲーム1作目を彷彿とさせるような洋館を出したい」という話が出て、それがどんどん具体化していった感じです。 ――“シリーズ最恐のホラー作”かつ、最新技術を用いたフルCGアニメということで、ダイナミックなアクションにも期待がかかります。清水さんと辻本さんがそれぞれ力を入れた点はどのようなところでしょうか。 清水 先ほど辻本さんが言っていたように、“原点回帰”ということで「ホラー色を強くしたい」ということはお話をうかがっていたんですが、監督が辻本さんに決まった時点で「アクション寄りにしたほうが得策だ」という考えはありました。冒頭の洋館のシーンは僕もいろいろと意見を出したんですが、途中で「いらないんじゃないかな?」って思い始めた時期もありました(笑)。 辻本 そんなことない! そんなことないですよ(笑)。左から、カプコン・小林裕幸氏(原作監修)、辻本貴則監督、清水崇エグゼクティブ・プロデューサー
清水 要所要所でなんらかの“怖さ”を秘めたものを出したいということだったんですが、『バイオ』は歴史ある作品なので、キャラクターを崩せないというところもあり、小林さんに「それはできません」と言われながら、いつの間にかキャラクター造形や、クリスやレオンの見たことのない一面、その2人が初めてタッグを組むにあたり、今作のヒロインであるレベッカはどういう立ち位置になるか? 敵役や脇どころの意味や重要性、ドラマ性など、脚本とディテールへの口出し役のようなことになっていました。 辻本 僕はホラーシーンでアドバイスをもらいつつ、清水さんの作品を観て、逆に「清水さんに(自分が)期待されていることってなんだろう」と考えました。最初の洋館から大学のシーンぐらいまでは絵コンテをチェックしてもらったので、僕なりの“清水さん色”を出せるよう務めましたね。ただ、「俺だってホラー描写できるんだぞ!」というところもやっぱりあるんです(笑)。ホラー描写はそういう意味も込めてやらせていただきました。 ――ちなみに、その「俺だってできるんだ!」と一番力が入ったシーンは具体的にどのシーンでしょうか? 辻本 ラジコンカーのシーンです。アイデア自体は清水さんが出したんですよね。「子どものゾンビが出てくるのであれば、そこには子どものおもちゃがある」という話があって。 清水 まずは“気配”や“痕跡”でヤバさの恐怖を匂わせつつ……の表現で根幹に繋がるストーリーに入りたいと。 辻本 突然そのおもちゃが動き出すっていうのは深見さんが考えたのかな。そうしたら僕のなかでもイメージがわいてきて。ラジコンカーが突然動き出した後、意思を持ったかのように動き出して「これは誰かが操作している」と違和感を覚えたら、後ろで物音がして……みたいな。あのあたりが「俺でもできるんだ!」の世界ですね。 テレビの後ろにゾンビ少年がいて、彼が前に歩いてきたところでカメラが裏に回って顔をギリギリまで見せないとか、あの描写もなんとなく最初想定していたカット割りとは違ったんですが、「ギリギリまで引っ張る。これぐらいのタメがあっていいんですよね、清水さん」という感じで、意識しました。清水崇エグゼクティブ・プロデューサー
■クリスを登場させるつもりはなかった!? ――歴代主人公の中でも人気の高いクリスとレベッカがCG映画としては初登場、これまでの2作で主人公を務めてきたレオンも続投し、クリスと共闘するということで、ファンの期待も高まっていると思います。各キャラクターを登場させるにあたり苦労した点は? 小林 僕は最初から「レオンは絶対出して!」と言っていました。そこから「クリスを出したい」っていう話も出てきて。実は、僕はクリスの登場にはそんなに乗り気ではなかったんです。ゲームの『バイオ6』でも、クリスを出す気は最初からなかったんですが、ディレクターの佐々木(栄一郎)が「銃を(お互いに構えて)“ガシャッ”ってやるシーンはやりたいので出したい」と言ってきて、「これはカッコいいからやろう」という話になってゲームに出したんです。今回も「ゲーム1作目の主人公で“原点回帰”だから」ということで登場が決まりました。本作で初共闘を果たすこととなる主人公・クリス(左)とレオン(右)
女性キャラクターに関しては、CG映画だと1作目にクレア・レッドフィールド、2作目にエイダ・ウォンが出ているので、同じキャラクターは避けようと。15年に上演された舞台『BIOHAZARD THE STAGE』では久しぶりに大人になったレベッカを登場させたので、その流れでレベッカの登場が決まったんです。ジル・バレンタインを出したいという話もあったんですが、設定が複雑なので今回は見送らせてもらいました。クリスとレオンはダブル主役という位置づけにしているので、2人のバランスには常に気にしましたね。 清水 『バイオ』ファンの方には、クリスとレオン、2人の組み合わせによる絶妙なコンビネーションも気に入ってもらえると思います。 小林 ゲームの『バイオハザード7 レジデント イービル』にもクリスが出ているんですけど、それは一切公表しなかったんですよね。「『バイオ7』はオリジナルキャラのみで、(お馴染みのキャラは)誰も出ませんよ」と。 辻本 そういう意味で言うと、『バイオ5』と『バイオ6』をプレイした人は期待して見てくれるのかな。 小林 そうですね、『バイオ6』の続きとして見てもらえれば。 ――クリスとレオンの2人が協力して戦うアクションシーンは大きな見どころですね。 小林 ほかにも、各キャラクターのドラマもぜひ見てほしいですね。3人が初めて会うシーンで、飲んだくれているレオンに対してクリスが噛み付くシーンとか。 辻本 そのシーンにこだわったのは清水さんですよね。 清水 カッコいいだけじゃなく、母性本能をくすぐるというか、女性でも拠り所になるようなところが大事なんです。それにCGキャラとは言え、絵空事で済まない妙なリアリティも深めたいので、長いこと戦い続けて「これから世の中どうなるんだ」「俺は何の為に」といった存在意義のジレンマがクリスやレオン、レベッカにも個々にあるべきですし、それに加えて今回初めて出てくるグレン・アリアスという人物の背景に対しても「自分もこうなっていたかもしれない」という背景で同調した悲哀を感じさせたかった。 歳をとるにつれて涙もろくなるようなダメで弱い男の一面を、色気も含めて出したいなと。そこは小林さんに許されたので(笑)。クリスが落ち込むという案も出ましたが、「それはもうやってる」ということで……。 小林 『バイオ6』で、すでにやっているので(笑)。 清水 「こいつまた落ち込んでるのかよ」と受け取られてしまうのはまずいので、その役どころは今回はレオンに。ホラー監修としては、3人が初めて会うシーンでは、2人を結びつけるレベッカのちょっとした叱咤など、人間臭さを出したいなというのがありました。ホラー監修なのになぜか(笑)。 辻本 もうドラマ監修ですよね(笑)。ただ、清水さんとお話をする中で、「1本の映画としてアクションとホラーばかりに傾倒していても成り立たないから、ドラマもちゃんと見せたいよね」という意識はお互いにあって。そういう方向でアドバイスをもらえたのはすごく良かったですね。 ――1作目で熱い思いを胸に秘めながらも表向きはクールに徹し、2作目では無精髭を生やして紛争地域で熱血漢な立ち回りを繰り広げたレオンが、今作では戦いに疲れて酒浸りになっている……という姿は、胸を打つものがあります。 小林 レオンの髭も伸びているんですが、これは“やさぐれてる感”を出すための表現のひとつです。今作ではいつもより髪も長いですし、それはそれで病んでいる描写としていいなと。最初、クリスは髭がすごく濃かったんです。だいぶ削って、今のラインに落ち着きました。レベッカには苦労しましたね……。 辻本 クオリティがなかなか上がらなくて、一度は「もうこれまでのモデルを忘れてくれ」とまで言いました(笑)。 小林 本当に苦労しましたけど、そのぶん素敵なキャラクターになりましたよね。衣装も多いし、髪も濡らすし。愛情やこだわりを込めてもらったなと思います。 清水 女性はクリスかレオンのどちらかに、男性はレベッカに目がいってもらえるとうれしいですね。水を飲むだけのシーンで、なんであんなに色気があるのか。 辻本 あのシーン、本当はペットボトルのフタを開けるところからやりたかったんですけど「やめてくれ」って言われましたね。CG班は「勘弁してください!」と(笑)。 清水 「レベッカの顔にもっと血をかけたい」って言ったら小林プロデューサーに「うちの女優にやめてくれ」と言われたり……(笑)。 辻本 絵コンテチェックのときには清水さんから「辻本くん、もうちょっと血をかけなさい」って言われて「はい」と答えて、小林さんに相談してみたら「うちの女優にそんなことしてほしくないな」と(笑)。そのあと清水さんには戻せず、俺のなかで「清水さん、ゴメン」って言いながら血の量を減らしました。 清水 なんなら返り血が目に入って、それを拭うところもやりたかった(笑)。 小林 それは僕じゃないところでストップがかかります。制作が大変なので(笑)。 辻本 でもキレイすぎても嘘っぽいですから、バランスですよね。原作監修を務めたカプコンの小林裕幸氏
■作品の世界観は、全作品クリア済みの深見さんによって守られている ――キャラクターのほかにも、原作ゲームにある要素のなかで特に大事にした部分や、ゲームと映画とで、物語を魅せる上での相違点・共通点を感じた部分があれば教えてください。 清水 まず大事なこととして、ゲームのシリーズ作品を全部クリアしていて、すべての作品を踏襲していた深見さんが脚本を書いているので作品の世界観が守られる状態にあったんです。 小林 たとえば、レベッカが研究所で消火器を使うシーンなどはゲームっぽさを感じてもらえたらいいなと。僕はゲームと同じことはあまりやりたくないのですが、深見さんはファンとしての気持ちもお持ちなので、シーンの端々にゲームのような要素があります。僕はキャラクターの設定に関して「クリスはこうだ、レオンはこうだ」っていうのは言いましたが、作品内容に関して「こういう感じにしてくれ」とかは言いませんでしたね。 辻本 物語としては、ゲームと相違があるとまずいんですよね。 清水 でもシリーズの物語の間には入らないといけない。それによって歳のとり方、髭の伸び方、その間に何があったかとか、色々設定がありますからね。 小林 本作は『バイオ6』の数年後の話になっているんですが、レベッカは1作目と『バイオ0』以来の登場なので、ゲームでは18歳の頃の彼女の姿しか描かれていません。そういう意味では今回、大人のレベッカを作ってもらえたっていうのはありがたいですね。なかなかゲームに出せなかったので。 辻本 「レベッカはなぜ大学教授になっているのか」みたいなちょっとした設定も、深見さんがセリフのなかでちゃんとうまく書いてくれています。 清水 とはいえ『バイオ』には歴史があって、すでに構築されたキャラクターたちの関係性があるので、長年見てきているファンが違和感なく見れないといけないですし、この作品だけを初めて見た人、ファンじゃない人もキャラクターを掴めるようにしなきゃいけない。そこも深見さんのセリフのやり取りと、辻本監督のバランスのとり方がすごく上手くいっているかと。 小林 実は最初に「ゲームに沿うか、実写映画みたいに別世界でやるか?」という問いかけから始まっているんですよ。それで、「ゲームに沿いたい」という希望があったので「設定にはうるさいですよ」と。別世界でやると自由にできるぶん、何も背景がなくなってしまうので難しいところですよね。 辻本 でもその結果としてこの映画が出来上がったので、ゲームのキャラクター・世界観に沿って良かったです。歴史があるからこそ今やれていることや見られるものがある。 清水 その代わりに踏襲しなければいけないものが多くて、キャラクターをやたら殺せないのが最初は大変でしたね。キャラクターが強いのはみんな知っているから、「怖さの監修って言われても(笑)」って。今さらゾンビに怯えることもないし(笑)。 一同 (笑) 小林 これでレオンが死んだら大変なことになりますよ(笑)。 辻本 こっちが業界から抹殺される(笑)。 ――レオンとクリスは特に恐怖心が無いですからね(笑)。 清水 ドラマの話になりますが、そういった要素もあってレオンの生身を感じさせる新たな一面も構築したくて。 ■辻本監督こだわりのバイクアクションは必見! ――ちなみに予告映像でも流れている、レオンが高速道路でケルベロスと戦うシーンはどなたのアイデアだったんですか? 小林 辻本監督が「ぜひ」と。物語の重要なカギを握るヒロイン・レベッカ
辻本 僕はCG映画は初めてだったので、まぁ言ってしまえば何でもできると思っていたところもあるんです。でも最初に「1作目、2作目と違った感じにしたい」っていうのと「ニューヨークの街をちゃんと見せたい」という目標があって、バイクなり車なり、ビークルに乗って移動がしたかったんです。それで、レオンを何かに乗せるとなったらなんとなくバイクかなと思い、“原点回帰”ということもあったので、おなじみのケルベロスを出したいと。 ケルベロスと対決するなら、バイクでチェイスしながら……とつながっていき、思いついた瞬間から「やりたい!」と言い続けていました。でもあるとき「バイクアクションやらなくてもいいですか?」ってスタッフに言われたことがあって。あのシーンは本筋とは関係がないので、なくても物語には影響がないんですよね(笑)。 清水・小林 あれがなかったらダメですよ(笑)。 清水 もともとが実写畑というのもあるでしょうけど、あのシーンが活きてくる上手さも辻本監督にはあるんです。フルCGだからカメラの位置なんていくらでも自由がきくんですが、それをほかのシーンでは抑えめにしていて。現実のカメラでできない動きはしないようにしておいて、バイクのシーンではとんでもないカメラワークをする。ああいうバランス感覚とか緩急の付け方の上手さはさすがでしたね。 辻本 レオンをあそこまで曲乗りさせて大丈夫かなと思いながら撮っていたんですけど、見ている皆さんが「ここまでやる映画なんだ」とワクワクするスイッチが入るシーンに仕上がったと思うので、やれて良かったですね。辻本貴則監督
――そういった点も含めてバイクアクションのシーンは見どころ満載ですね。最後に『バイオ』シリーズファンの皆さんに一言、メッセージをお願いいたします。 清水 フルCGでこういったホラーアクション系の映画だと、男性向け作品と思われがちですが、色眼鏡で見ずに、女性にも、ホラーが苦手な人にも、『バイオハザード』が初めてだという方にも見てほしいですね。ドラマもあって男女共にキュンキュンさせるし、色々な要素を重厚に絡めつつ、お腹いっぱい満足の娯楽作品になっていますので、ぜひ劇場でご覧ください。 辻本 全米ボックスオフィスでNo.1を獲得した清水さんと、アクション映画ばっかり撮ってきた僕、映画ばっかり撮ってきた2人がフルCG作品を初めて作ったんですが、実写映画を撮るのと同じ感覚で挑んでちゃんとした“映画”にしました。絵そのものはCGですが、その演技には血も通っていて、心もある。そういうキャラクターに仕上がっています。 フルCGを理由に「実写じゃないならいいや」という食わず嫌いな人もいると思うんですが、そういう人たちこそ楽しめる内容になっていますので、ぜひ見てほしいです。きっと新しい世界が広がりますよ。映画ファンにこそ見てほしい1作です! 小林 ゲームの『バイオ6』で活躍したレオンとクリスが続きで活躍する作品となっていますし、レベッカも久しぶりに登場するので、『バイオ』ファンであれば楽しんでいただけると思います。でも、ファンの皆さんには『バイオ』ファンじゃない人をぜひ、一緒に連れて行って劇場で見ていただければと。『バイオハザード:ヴェンデッタ』は1本の映画として面白い作品になっています。ホラーもあり、アクションもあり、人間ドラマもありますので、ぜひまだファンじゃない人と行って「『バイオ』面白いでしょ」って言ってもらえたらうれしいです。よろしくお願いいたします。辻本監督のこだわりがつまったアクションシーンは必見!
■『バイオハザード:ヴェンデッタ』 5月27日(土)より全国ロードショー 配給:KADOKAWA ・公式サイト http://biohazard-vendetta.com/ ・公式Twitter @bio_vendetta (c) 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.
劇場アニメ『BLAME!』は、監督の“実写的な感性”とアニメの魅力が融合された作品!?/瀬下寛之監督インタビュー
3DCGアニメーション映画『BLAME!(ブラム)』(5月20日全国公開)を試写会で見て、狂喜した。これは間違いなく今年のアニメ・シーンを代表する1本であり、昨年絶好調だった国産アニメ映画の波をさらに増幅させるに足るダイナミックな快作である。 『シドニアの騎士』で知られる弐瓶勉がデビュー間もない1997年より連載を開始し、20年を経た今も熱烈に支持されているSF漫画を原作とするこの作品、ネットワークの暴走によって都市から駆除される存在と化し、人類が絶滅寸前にまで追いやられてしまった未来世界を舞台に“世界を正常化させる鍵”ネット端末遺伝子を探し求める探索者・霧亥(キリイ)の戦いが描かれる。 本作は、原作者自身が総監修を務め完全新作ストーリーを構築。制作は『シドニアの騎士』(14年)、『亜人』(16年)などで3DCGセルルック技術を大いに飛躍させたポリゴン・ピクチュアズ。そして監督は、『河童』(94年/CG)『大日本人』(07年/VFX監督)などの実写作品を経て、『シドニアの騎士』で副監督、『シドニアの騎士 第九惑星戦役』(15年)で監督、『亜人』(16年)で総監督を務めた瀬下寛之。 今回は、現在『GODZILLA 怪獣惑星』(静野孔文と共同)の今秋上映をめざして邁進&多忙中の瀬下監督に『BLAME!』についてお話をうかがってみた。
■映画化のキッカケは“悪ノリ”だった ―― 映画『BLAME!』堪能させていただきました。間違いなく今年を代表する1本足り得た傑作だと確信しています。3DCGセルルック技術の飛躍的なまでの進歩とでもいいますか、いろいろな映像表現方法のひとつとして確立されたなといった感慨もあります。実のところ、3DCGがどうのセルルックがどうのといったことなど忘れて、今回は“映画”そのものとして没入して見ていました。 瀬下寛之(以下、瀬下) そう言っていただけるのが我々の目標なので、うれしいですね。まだまだ手探りではあるのですが、スタッフ一同がこだわりにこだわって頑張ってくれました。 ―― もともとの企画の発端は、やはり『シドニアの騎士 第九惑星戦役』の第8話《再会》の中で、ショートアニメ『BLAME! 端末遺構都市』を劇中映画として制作したことでしょうか? 瀬下 ちょうど『第九惑星戦役』の脚本開発をやっているときでした。原作版では『バイオメガ』という作品が劇中劇で登場するのですが、『BLAME!』に替えちゃえば? とエグゼクティブ・プロデューサーの守屋からアイデアが出まして。同じ弐瓶先生の原作だし、僕も『BLAME!』のファンでしたので、早速、脚本とコンテを作って、弐瓶先生にお見せしてOKをいただき、およそ1分半のショートアニメを作ることになったんです。 ですから、もともとは悪ノリというか(笑)。喜ぶファンも少なからずいるでしょうし、Blu-rayなどの特典に入れれば付加価値も出るだろうと。結果的には、ファンの皆さんの評判と応援も盛り上がり、内外の関係者がそれを見て「これは映画にすべきじゃないか?」と。 ―― 実際『BLAME!』は幾度か映画化が企画され、短編も作られていますので、皆が機会をうかがっていたところはあったのでしょうね。 瀬下 弐瓶先生も『BLAME!』の映画化は難しいのではないかと以前おっしゃってましたが、いざ映像化してみたら想像以上に良い出来だったので、その後はそのショートアニメをパイロット版として、自然な流れで今回の映画化に至ったわけです。 ―― 弐瓶先生も『シドニアの騎士』のクオリティを見て、信頼された部分も大きかったのでしょうね。ただ、今回は原作通りというよりも、新たなエピソードといったストーリー展開です。 瀬下 ちょうど弐瓶先生が『シドニアの騎士』の連載を終えられた後だったこともあって、毎回ミーティングに参加してもらえたり、とても深く企画に入ってくださいました。しかも、「原作は難しい作品なので、映画のほうは解りやすくしましょうよ」とご提案をいただき、一気に加速したんです。ネット端末遺伝子を探し求める探索者・霧亥(キリイ)
もともと僕らが『シドニアの騎士』で目指したのは、弐瓶先生のディープでハードなSF世界をアニメーションならではのポップな表現で解釈し、多くの人に見てもらえるようにすることでした。今回も『BLAME!』の入門編にしようということで、原作の魅力でもある荘厳・壮大なSF世界観に、普遍的テーマのシンプルなストーリーを盛り込むというコンセプトになっていきました。 ―― その世界観が今回、見事に描き出されていますね。 瀬下 そうですね。弐瓶先生が総監修という形で深く関わってくださったおかげで、原作のエッセンスなどはきちんと表現できていると思います。先生と共に作り、練り込んだストーリーや狙いなどを村井さだゆきさんにお伝えし、映画脚本として構成していただきました。 ―― 瀬下監督の狙いというのは、具体的にはどのようなところだったのでしょうか? 原作の主人公・霧亥が、今回はあからさまな主役という感じで登場しないのも意表をついています。 瀬下 そうですね。基本的な主役は人間です。飢餓であと1カ月しか持ちこたえられない集落を救おうとする少女づると、“世界を人間に取り戻す”ネット端末遺伝子を探し求めて永劫の旅を続ける霧亥とが邂逅する話であり、いわば霧亥はこの物語の世界そのものを象徴するキャラクターです。セーフガードの不気味さは原作以上(!?)
―― 原作ファンは最初霧亥がなかなか登場しないので驚くかと思いますが、映画ファンとしては時代劇や西部劇のアウトロー・ヒーローのような登場の仕方が実に映画的でワクワクしました。 瀬下 実はハードSFでありながらも、西部劇……というより、マカロニ・ウエスタンみたいにしたかったんですね(笑)。尊敬するセルジオ・レオーネ監督の映画に登場するようなさすらいの男が、餓えて絶滅寸前の集落にふらりと立ち寄ったことからドラマが生じる。ですから音楽もそれとなくエンニオ・モリコーネを意識した曲調にしていただき、テーマメロディと共に霧亥が現れる。一方ではハードSF版『男はつらいよ』でもありたいと思ってます(笑)。 ―― ですので、映画ファンからすると、実に映画的オマージュの韻を踏んだ映画になっていることに気づかされますが、それによって『BLAME!』という作品もまた新たに生まれ変わったという感慨もありますね。 瀬下 弐瓶先生ならではの圧倒的個性の世界観があればこそ、王道ともクラシックともいえる映画的スタイルをミックスして面白いし、結果的に新しい味わいになったのかなと思います。 ■“当たり前の日常”をCGで描きたい今回は少女・づるをはじめとするオリジナルキャラクターが登場する。
―― もともと瀬下監督は『大日本人』や『しんぼる』(09年)のVFX監督を担当されるなど、どちらかといえば実写畑のCGを担当されることが多かったような気もします。 瀬下 そうですね。僕自身、日本のアニメに深く関わるようになったのは、この5、6年のことで、それまではCMやゲーム、実写のビジュアル・エフェクトがほとんどでした。 ―― そういった経歴もあってか、今回の作品では実写感覚が非常にプラスに作用しているように思われます。 瀬下 それしかできないんですね(笑)。ただ、自分の出自そのものが個性であるとも思いますので、実写のセオリーと、日本のアニメで求められている表現との融合を目指していければとも思いますね。 ―― 実際、今の特撮やCGのクリエイターの多くは、実写・アニメといった垣根なく意欲的に活動されています。 瀬下 ビジュアル・エフェクト出身の僕自身、今こうやって伝統ある日本のアニメの端っこの方で関わらせてもらえているというのは、本当に光栄なことだと思いますよ。 ―― そこで瀬下作品の特徴のひとつとして、まるで実写のように画の中の光を大事にしているというのが挙げられます。 瀬下 光はとても重要です。といいますか、自分の画作りの中で照明が一番大事ではないかと思っているほどで、ストーリーやキャラクターのエモーション、シチュエーションも照明を主軸に表現したいと思って、こだわり続けています。 ―― 今回もそのために新たな技術を導入されたとか。 瀬下 そうですね。今の日本のアニメの中では、3DCGで構築されながらも見た目がセル画のように見える映像“セルルック”の技術が確立されてきていますが、うち(ポリゴン・ピクチュアズ)では、そのためのソフトウェア“セルルック・シェーダー”を独自に開発しています。 僕自身、リンクス(80年代末にトーヨーリンクスから社名変更。その後リンクス・デジワークスを経て、現在はイマジカに事業統合)やスクウェア・エニックスなど老舗CG系の出身で、技術開発しながら画を作り上げていくという世代です。CGの黎明期ではソフトウェアは売ってなかったから自分たちで作るしかなかったんですけど(笑)。今も購入したソフトウェアに対して、2~3割くらいは自社で開発したり改造したりしながら表現に少しずつ手を加えています。 ―― だから作品ごとに技術が進化しているわけですね。 瀬下 そうです。時間や予算などの条件を劇的に変化させるのが難しい上に、人間の熟練や根性にも限界があります。そこを手法・技法における創意工夫で毎回乗り切ってきているわけです。 ―― 実は瀬下監督がかつてアートディレクターとして関わっていらしたCG映画超大作『Final Fantasy:The Spirits Within』(01年)を見たとき、当時の評価こそ低かったものの、私自身はここから映像の革命が始まると確信していました。あれから16年、それが間違ってなかったことを、瀬下監督をはじめとするみなさんの実績が証明してくれています。 瀬下 僕が『Final Fantasy』制作のために渡米したのが1997年で、当時30歳でした。今はもう50歳(笑)。あっというまに20年経ってしまいました。 ―― 世界で初めてCGを本格的に導入した映画『トロン』(82年)や、クライマックスにCGが導入された出崎統監督のアニメ映画『ゴルゴ13』(83年)など、ああいった先駆的作品は再評価すべきだと思っています。さすがに当時は映像の落差に愕然としたものですが、今となっては歴史の1ページとして見るべきかなとも。 瀬下 『トロン』は僕がCGを始めるきっかけになった作品でした。『ゴルゴ13』は僕が89年に入社したリンクスの前身であるトーヨーリンクスがCGを担当しています。トーヨーリンクス自体、『ゴルゴ13』の山本又一朗プロデューサーや大阪大学の大村教授が主軸となり、イマジカの子会社として設立したものでした。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(88年)のCGもトーヨーリンクスで作られました。あのときのCGディレクターだった林弘幸さんは今でもポリゴン・ピクチュアズの前線で活躍されていて、僕にとって憧れの先輩です。 ―― まさに当時、そういった方々が日本のCG黎明期を支えてこられて、今の躍進につながっていったのだなと、改めて敬服させられます。 瀬下 そうですね。日本でCGを始めた最初の世代の方々の背中を見ながら、僕らも頑張ってきました。 ―― 正直、かつてはCGで構築されたキャラクターには、画的になかなか感情移入しづらいところもありましたが、本作も含めて今はそういうことはなくなりましたね。 瀬下 かなり解消できているとは思います。ただ、まだまだもっとやりたい。実は今のCGだと“当たり前の日常”はまだ勝負できないんですよ。これは『Final Fantasy』に着手してから20年来ずっと挑んできていることなんですけど、なかなか難しいですね。でも、それこそ登場人物がひっきりなしにご飯ばかり食べているCG映画を僕は作ってみたい(笑)。ご飯を食べている画って実はすごく難しいんですよ。派手なドンパチのアクションシーンはCGの長所を用いて構築できる。でも、ご飯食べたりシャワーを浴びたり着替えたり、髪の毛をとかしたりといった日常の描写は本当に難しいです。だから手描きのアニメで日常を豊かに描いている作品っていっぱいありますけど、心の底からうらやましい(笑)。 ―― つまり、究極的にはCGでホームドラマを構築したいと。 瀬下 そういうことです(笑)。異世界ではなく、日常のドラマを、3DCGという僕らの表現方法で描けるようになったとき、そこで初めて手描きのアニメのみなさんと同じ土俵の上に立てるのかなと。まだまだ足元にも及びませんけどね。でも、それこそ『サザエさん』や『クレヨンしんちゃん』のような、日常をきちっと描いた作品を3DCGで違和感なくやってみたいし、憧れでもあります。 ■プレスコによって声と画がお互いを高め合っている
―― そういえば、かつて高畑勲監督がフル・デジタルで『ホーホケキョ となりの山田君』(99年)に挑まれていました。 瀬下 そうですね。プレスコならではのすごく独特な雰囲気だったという印象があって、とても好きな作品です。ちなみに、『山田君』のスタッフが、本作のプリプロの重要なポジションで活躍されていますよ。ディレクター・オブ・フォトグラフィーの片塰満則さんは、スタジオジブリのCG監督出身ですし。プロダクションデザイナーの田中直哉さんは数々のジブリ作品の美術監督です。『シドニアの騎士』から、ずっと一緒に仕事させていただいていますが、みなさん素晴らしい方々ですよ。美術監督の滝口比呂志さんも『言の葉の庭』(13年)など新海誠監督作品の常連ですし、音楽は菅野祐悟さんで音響監督は岩浪美和さん。……あらためて、つくづくスタッフに恵まれていると思います。 ―― 音響の岩浪さんということでは、今回は最新音響システム“ドルビーアトモス”を採用した立体音響上映もなされるとか。 瀬下 ドルビーアトモス、これはすごいですよ! 音響自体が物語の空間を生み出しています。観賞可能な方は、ぜひ体験していただきたいですね。 ―― 岩浪さんは『ガールズ&パンツァー劇場版』(15年)のセンシャラウンドファイナル極上爆音上映でも大活躍された音響監督ですので、今回も期待は大ですね。 瀬下 岩浪さんをはじめとする音響チームの音へのこだわりはものすごいです。音が作品の臨場感を何倍にも膨らませてくれているほどです。実際、彼らのおかげで、僕らの独特な制作手法も可能になっています。『シドニアの騎士』からずっとプレスコですが、工程としては、まずあらすじを作り、そこから脚本、そして場面設計へと進み、脚本・場面・配置演出(ステージング)の情報をまとめた「台本」というものを作成してからプレスコに入るのですが、そのとき画コンテは一切なし。 ―― そうなのですか!? 瀬下 画コンテはプレスコをすべて終えて、その後からです。要するに、まずラジオドラマを作るんです。それ自体が面白ければ、そこに画が加わればもっと面白くなるはずだと。ですから、なおさら音響の岩浪さんやチームのみなさんの力がものすごく重要になってくるんです。 ―― だからでしょうか。瀬下監督作品は声優の声がすごく活きているとでも言いますか、今回もアニメをメインとするプロの声優さんで占められていますが、いわゆるアニメ特有の声の臭いが、良い意味で感じられないですね。 瀬下 そういっていただけるとうれしいです。声優さんにはものすごく分厚めの台本を渡すのですが、そのト書きには相当量の場面状況や感情が記述されていて、さらに質問されれば、その声優さんが演じるキャラクターが場面上のどの位置でどう運動しているかを詳しく伝えます。セットがない状態での舞台演劇と似たような状況が生まれ、声優さんは自然とそのキャラクターになりきっていきます。その流れの中で彼ら自身のポテンシャルを引き出してもらうんですね。 そして、引き出せば引き出すほど、録った音には目をつぶれば見えてくるほどに豊かな表情や動きが加わります。そして、それを聞いたアニメーターたちは、彼ら自身の想像力を強烈に刺激された状態でキャラクターの演技をつけていきます。結果として、演出がそれほど細かい指示を出さなくても、意図に近いもの、またはそれを超えるものすら出来上がってくるようになります。 ―― メジャー劇場アニメ作品など、いわゆるアニメ声を嫌う製作サイドの意向で顔出しの俳優やタレントが起用されることは多々ありますが、瀬下作品を見ますとプロ声優だってちゃんと作品のテイストに即したリアルな声を出せるという事実を如実に知らしめてくれています。 瀬下 日本のプロの声優さんたちの技術は、世界最高峰のクオリティだと思います。ヴォイス・アクティングがこれほど進化している国って他になかなかないんじゃないでしょうか。みなさん信じられないほどの職人技です。僕自身『シドニアの騎士』でそのことに気づいて以来、声優さんのポテンシャルをさらに引き出すことを模索しています。
―― ずっとお話をうかがっていますと、やはり瀬下監督が実写映画感覚の人なのだなと思わされます。何よりもまずは役者ありきという姿勢。 瀬下 そうかもしれないですね。役者さんは本当に大事です。これからも自分の感性とアニメならではの魅力がうまく融合できていたらいいなと思います。 ―― まさか今回の取材でセルジオ・レオーネの名前を聞けるとは思ってもいませんでしたので(笑)。 瀬下 サム・ペキンパーも好きです(笑)。僕は池袋育ちで、文芸坐をはじめとする名画座に自転車で通いながら、映画ばかり見ていました。また当時はロードショー館も入れ替えがなかった時代なので、おにぎり持参で『2001年宇宙の旅』(68年)のリバイバル上映を朝から晩まで繰り返しずっと見たり。今思えばおおらかな時代で、しっかりと僕のような映画中毒を育ててくれました(笑)。 ―― でも、その映画中毒としてのキャリアが、今のお仕事に大いに役立っていらっしゃる。素敵なことだと思います。 瀬下 ありがとうございます。『BLAME!』も自分が思う普遍的な映画的歓びを、劇場用映画ってこうあってほしいと思う壮大さとかも含めて、意識的に詰め込んでみました。また今回は横長のシネスコ・サイズでやらせていただきました。これも劇場用映画ということでの、大きなこだわり……というか憧れのひとつですね。つまり、『BLAME!』ってそんな映画なんです(笑)。 (取材・文/増當竜也) ■『BLAME!』 配給:クロックワークス 公開:5月20日(土)より全国公開(2週間限定) 公式サイト :http://www.blame.jp/ 上映時間 :105分 (C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
劇場アニメ『BLAME!』は、監督の“実写的な感性”とアニメの魅力が融合された作品!?/瀬下寛之監督インタビュー
3DCGアニメーション映画『BLAME!(ブラム)』(5月20日全国公開)を試写会で見て、狂喜した。これは間違いなく今年のアニメ・シーンを代表する1本であり、昨年絶好調だった国産アニメ映画の波をさらに増幅させるに足るダイナミックな快作である。 『シドニアの騎士』で知られる弐瓶勉がデビュー間もない1997年より連載を開始し、20年を経た今も熱烈に支持されているSF漫画を原作とするこの作品、ネットワークの暴走によって都市から駆除される存在と化し、人類が絶滅寸前にまで追いやられてしまった未来世界を舞台に“世界を正常化させる鍵”ネット端末遺伝子を探し求める探索者・霧亥(キリイ)の戦いが描かれる。 本作は、原作者自身が総監修を務め完全新作ストーリーを構築。制作は『シドニアの騎士』(14年)、『亜人』(16年)などで3DCGセルルック技術を大いに飛躍させたポリゴン・ピクチュアズ。そして監督は、『河童』(94年/CG)『大日本人』(07年/VFX監督)などの実写作品を経て、『シドニアの騎士』で副監督、『シドニアの騎士 第九惑星戦役』(15年)で監督、『亜人』(16年)で総監督を務めた瀬下寛之。 今回は、現在『GODZILLA 怪獣惑星』(静野孔文と共同)の今秋上映をめざして邁進&多忙中の瀬下監督に『BLAME!』についてお話をうかがってみた。
■映画化のキッカケは“悪ノリ”だった ―― 映画『BLAME!』堪能させていただきました。間違いなく今年を代表する1本足り得た傑作だと確信しています。3DCGセルルック技術の飛躍的なまでの進歩とでもいいますか、いろいろな映像表現方法のひとつとして確立されたなといった感慨もあります。実のところ、3DCGがどうのセルルックがどうのといったことなど忘れて、今回は“映画”そのものとして没入して見ていました。 瀬下寛之(以下、瀬下) そう言っていただけるのが我々の目標なので、うれしいですね。まだまだ手探りではあるのですが、スタッフ一同がこだわりにこだわって頑張ってくれました。 ―― もともとの企画の発端は、やはり『シドニアの騎士 第九惑星戦役』の第8話《再会》の中で、ショートアニメ『BLAME! 端末遺構都市』を劇中映画として制作したことでしょうか? 瀬下 ちょうど『第九惑星戦役』の脚本開発をやっているときでした。原作版では『バイオメガ』という作品が劇中劇で登場するのですが、『BLAME!』に替えちゃえば? とエグゼクティブ・プロデューサーの守屋からアイデアが出まして。同じ弐瓶先生の原作だし、僕も『BLAME!』のファンでしたので、早速、脚本とコンテを作って、弐瓶先生にお見せしてOKをいただき、およそ1分半のショートアニメを作ることになったんです。 ですから、もともとは悪ノリというか(笑)。喜ぶファンも少なからずいるでしょうし、Blu-rayなどの特典に入れれば付加価値も出るだろうと。結果的には、ファンの皆さんの評判と応援も盛り上がり、内外の関係者がそれを見て「これは映画にすべきじゃないか?」と。 ―― 実際『BLAME!』は幾度か映画化が企画され、短編も作られていますので、皆が機会をうかがっていたところはあったのでしょうね。 瀬下 弐瓶先生も『BLAME!』の映画化は難しいのではないかと以前おっしゃってましたが、いざ映像化してみたら想像以上に良い出来だったので、その後はそのショートアニメをパイロット版として、自然な流れで今回の映画化に至ったわけです。 ―― 弐瓶先生も『シドニアの騎士』のクオリティを見て、信頼された部分も大きかったのでしょうね。ただ、今回は原作通りというよりも、新たなエピソードといったストーリー展開です。 瀬下 ちょうど弐瓶先生が『シドニアの騎士』の連載を終えられた後だったこともあって、毎回ミーティングに参加してもらえたり、とても深く企画に入ってくださいました。しかも、「原作は難しい作品なので、映画のほうは解りやすくしましょうよ」とご提案をいただき、一気に加速したんです。ネット端末遺伝子を探し求める探索者・霧亥(キリイ)
もともと僕らが『シドニアの騎士』で目指したのは、弐瓶先生のディープでハードなSF世界をアニメーションならではのポップな表現で解釈し、多くの人に見てもらえるようにすることでした。今回も『BLAME!』の入門編にしようということで、原作の魅力でもある荘厳・壮大なSF世界観に、普遍的テーマのシンプルなストーリーを盛り込むというコンセプトになっていきました。 ―― その世界観が今回、見事に描き出されていますね。 瀬下 そうですね。弐瓶先生が総監修という形で深く関わってくださったおかげで、原作のエッセンスなどはきちんと表現できていると思います。先生と共に作り、練り込んだストーリーや狙いなどを村井さだゆきさんにお伝えし、映画脚本として構成していただきました。 ―― 瀬下監督の狙いというのは、具体的にはどのようなところだったのでしょうか? 原作の主人公・霧亥が、今回はあからさまな主役という感じで登場しないのも意表をついています。 瀬下 そうですね。基本的な主役は人間です。飢餓であと1カ月しか持ちこたえられない集落を救おうとする少女づると、“世界を人間に取り戻す”ネット端末遺伝子を探し求めて永劫の旅を続ける霧亥とが邂逅する話であり、いわば霧亥はこの物語の世界そのものを象徴するキャラクターです。セーフガードの不気味さは原作以上(!?)
―― 原作ファンは最初霧亥がなかなか登場しないので驚くかと思いますが、映画ファンとしては時代劇や西部劇のアウトロー・ヒーローのような登場の仕方が実に映画的でワクワクしました。 瀬下 実はハードSFでありながらも、西部劇……というより、マカロニ・ウエスタンみたいにしたかったんですね(笑)。尊敬するセルジオ・レオーネ監督の映画に登場するようなさすらいの男が、餓えて絶滅寸前の集落にふらりと立ち寄ったことからドラマが生じる。ですから音楽もそれとなくエンニオ・モリコーネを意識した曲調にしていただき、テーマメロディと共に霧亥が現れる。一方ではハードSF版『男はつらいよ』でもありたいと思ってます(笑)。 ―― ですので、映画ファンからすると、実に映画的オマージュの韻を踏んだ映画になっていることに気づかされますが、それによって『BLAME!』という作品もまた新たに生まれ変わったという感慨もありますね。 瀬下 弐瓶先生ならではの圧倒的個性の世界観があればこそ、王道ともクラシックともいえる映画的スタイルをミックスして面白いし、結果的に新しい味わいになったのかなと思います。 ■“当たり前の日常”をCGで描きたい今回は少女・づるをはじめとするオリジナルキャラクターが登場する。
―― もともと瀬下監督は『大日本人』や『しんぼる』(09年)のVFX監督を担当されるなど、どちらかといえば実写畑のCGを担当されることが多かったような気もします。 瀬下 そうですね。僕自身、日本のアニメに深く関わるようになったのは、この5、6年のことで、それまではCMやゲーム、実写のビジュアル・エフェクトがほとんどでした。 ―― そういった経歴もあってか、今回の作品では実写感覚が非常にプラスに作用しているように思われます。 瀬下 それしかできないんですね(笑)。ただ、自分の出自そのものが個性であるとも思いますので、実写のセオリーと、日本のアニメで求められている表現との融合を目指していければとも思いますね。 ―― 実際、今の特撮やCGのクリエイターの多くは、実写・アニメといった垣根なく意欲的に活動されています。 瀬下 ビジュアル・エフェクト出身の僕自身、今こうやって伝統ある日本のアニメの端っこの方で関わらせてもらえているというのは、本当に光栄なことだと思いますよ。 ―― そこで瀬下作品の特徴のひとつとして、まるで実写のように画の中の光を大事にしているというのが挙げられます。 瀬下 光はとても重要です。といいますか、自分の画作りの中で照明が一番大事ではないかと思っているほどで、ストーリーやキャラクターのエモーション、シチュエーションも照明を主軸に表現したいと思って、こだわり続けています。 ―― 今回もそのために新たな技術を導入されたとか。 瀬下 そうですね。今の日本のアニメの中では、3DCGで構築されながらも見た目がセル画のように見える映像“セルルック”の技術が確立されてきていますが、うち(ポリゴン・ピクチュアズ)では、そのためのソフトウェア“セルルック・シェーダー”を独自に開発しています。 僕自身、リンクス(80年代末にトーヨーリンクスから社名変更。その後リンクス・デジワークスを経て、現在はイマジカに事業統合)やスクウェア・エニックスなど老舗CG系の出身で、技術開発しながら画を作り上げていくという世代です。CGの黎明期ではソフトウェアは売ってなかったから自分たちで作るしかなかったんですけど(笑)。今も購入したソフトウェアに対して、2~3割くらいは自社で開発したり改造したりしながら表現に少しずつ手を加えています。 ―― だから作品ごとに技術が進化しているわけですね。 瀬下 そうです。時間や予算などの条件を劇的に変化させるのが難しい上に、人間の熟練や根性にも限界があります。そこを手法・技法における創意工夫で毎回乗り切ってきているわけです。 ―― 実は瀬下監督がかつてアートディレクターとして関わっていらしたCG映画超大作『Final Fantasy:The Spirits Within』(01年)を見たとき、当時の評価こそ低かったものの、私自身はここから映像の革命が始まると確信していました。あれから16年、それが間違ってなかったことを、瀬下監督をはじめとするみなさんの実績が証明してくれています。 瀬下 僕が『Final Fantasy』制作のために渡米したのが1997年で、当時30歳でした。今はもう50歳(笑)。あっというまに20年経ってしまいました。 ―― 世界で初めてCGを本格的に導入した映画『トロン』(82年)や、クライマックスにCGが導入された出崎統監督のアニメ映画『ゴルゴ13』(83年)など、ああいった先駆的作品は再評価すべきだと思っています。さすがに当時は映像の落差に愕然としたものですが、今となっては歴史の1ページとして見るべきかなとも。 瀬下 『トロン』は僕がCGを始めるきっかけになった作品でした。『ゴルゴ13』は僕が89年に入社したリンクスの前身であるトーヨーリンクスがCGを担当しています。トーヨーリンクス自体、『ゴルゴ13』の山本又一朗プロデューサーや大阪大学の大村教授が主軸となり、イマジカの子会社として設立したものでした。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(88年)のCGもトーヨーリンクスで作られました。あのときのCGディレクターだった林弘幸さんは今でもポリゴン・ピクチュアズの前線で活躍されていて、僕にとって憧れの先輩です。 ―― まさに当時、そういった方々が日本のCG黎明期を支えてこられて、今の躍進につながっていったのだなと、改めて敬服させられます。 瀬下 そうですね。日本でCGを始めた最初の世代の方々の背中を見ながら、僕らも頑張ってきました。 ―― 正直、かつてはCGで構築されたキャラクターには、画的になかなか感情移入しづらいところもありましたが、本作も含めて今はそういうことはなくなりましたね。 瀬下 かなり解消できているとは思います。ただ、まだまだもっとやりたい。実は今のCGだと“当たり前の日常”はまだ勝負できないんですよ。これは『Final Fantasy』に着手してから20年来ずっと挑んできていることなんですけど、なかなか難しいですね。でも、それこそ登場人物がひっきりなしにご飯ばかり食べているCG映画を僕は作ってみたい(笑)。ご飯を食べている画って実はすごく難しいんですよ。派手なドンパチのアクションシーンはCGの長所を用いて構築できる。でも、ご飯食べたりシャワーを浴びたり着替えたり、髪の毛をとかしたりといった日常の描写は本当に難しいです。だから手描きのアニメで日常を豊かに描いている作品っていっぱいありますけど、心の底からうらやましい(笑)。 ―― つまり、究極的にはCGでホームドラマを構築したいと。 瀬下 そういうことです(笑)。異世界ではなく、日常のドラマを、3DCGという僕らの表現方法で描けるようになったとき、そこで初めて手描きのアニメのみなさんと同じ土俵の上に立てるのかなと。まだまだ足元にも及びませんけどね。でも、それこそ『サザエさん』や『クレヨンしんちゃん』のような、日常をきちっと描いた作品を3DCGで違和感なくやってみたいし、憧れでもあります。 ■プレスコによって声と画がお互いを高め合っている
―― そういえば、かつて高畑勲監督がフル・デジタルで『ホーホケキョ となりの山田君』(99年)に挑まれていました。 瀬下 そうですね。プレスコならではのすごく独特な雰囲気だったという印象があって、とても好きな作品です。ちなみに、『山田君』のスタッフが、本作のプリプロの重要なポジションで活躍されていますよ。ディレクター・オブ・フォトグラフィーの片塰満則さんは、スタジオジブリのCG監督出身ですし。プロダクションデザイナーの田中直哉さんは数々のジブリ作品の美術監督です。『シドニアの騎士』から、ずっと一緒に仕事させていただいていますが、みなさん素晴らしい方々ですよ。美術監督の滝口比呂志さんも『言の葉の庭』(13年)など新海誠監督作品の常連ですし、音楽は菅野祐悟さんで音響監督は岩浪美和さん。……あらためて、つくづくスタッフに恵まれていると思います。 ―― 音響の岩浪さんということでは、今回は最新音響システム“ドルビーアトモス”を採用した立体音響上映もなされるとか。 瀬下 ドルビーアトモス、これはすごいですよ! 音響自体が物語の空間を生み出しています。観賞可能な方は、ぜひ体験していただきたいですね。 ―― 岩浪さんは『ガールズ&パンツァー劇場版』(15年)のセンシャラウンドファイナル極上爆音上映でも大活躍された音響監督ですので、今回も期待は大ですね。 瀬下 岩浪さんをはじめとする音響チームの音へのこだわりはものすごいです。音が作品の臨場感を何倍にも膨らませてくれているほどです。実際、彼らのおかげで、僕らの独特な制作手法も可能になっています。『シドニアの騎士』からずっとプレスコですが、工程としては、まずあらすじを作り、そこから脚本、そして場面設計へと進み、脚本・場面・配置演出(ステージング)の情報をまとめた「台本」というものを作成してからプレスコに入るのですが、そのとき画コンテは一切なし。 ―― そうなのですか!? 瀬下 画コンテはプレスコをすべて終えて、その後からです。要するに、まずラジオドラマを作るんです。それ自体が面白ければ、そこに画が加わればもっと面白くなるはずだと。ですから、なおさら音響の岩浪さんやチームのみなさんの力がものすごく重要になってくるんです。 ―― だからでしょうか。瀬下監督作品は声優の声がすごく活きているとでも言いますか、今回もアニメをメインとするプロの声優さんで占められていますが、いわゆるアニメ特有の声の臭いが、良い意味で感じられないですね。 瀬下 そういっていただけるとうれしいです。声優さんにはものすごく分厚めの台本を渡すのですが、そのト書きには相当量の場面状況や感情が記述されていて、さらに質問されれば、その声優さんが演じるキャラクターが場面上のどの位置でどう運動しているかを詳しく伝えます。セットがない状態での舞台演劇と似たような状況が生まれ、声優さんは自然とそのキャラクターになりきっていきます。その流れの中で彼ら自身のポテンシャルを引き出してもらうんですね。 そして、引き出せば引き出すほど、録った音には目をつぶれば見えてくるほどに豊かな表情や動きが加わります。そして、それを聞いたアニメーターたちは、彼ら自身の想像力を強烈に刺激された状態でキャラクターの演技をつけていきます。結果として、演出がそれほど細かい指示を出さなくても、意図に近いもの、またはそれを超えるものすら出来上がってくるようになります。 ―― メジャー劇場アニメ作品など、いわゆるアニメ声を嫌う製作サイドの意向で顔出しの俳優やタレントが起用されることは多々ありますが、瀬下作品を見ますとプロ声優だってちゃんと作品のテイストに即したリアルな声を出せるという事実を如実に知らしめてくれています。 瀬下 日本のプロの声優さんたちの技術は、世界最高峰のクオリティだと思います。ヴォイス・アクティングがこれほど進化している国って他になかなかないんじゃないでしょうか。みなさん信じられないほどの職人技です。僕自身『シドニアの騎士』でそのことに気づいて以来、声優さんのポテンシャルをさらに引き出すことを模索しています。
―― ずっとお話をうかがっていますと、やはり瀬下監督が実写映画感覚の人なのだなと思わされます。何よりもまずは役者ありきという姿勢。 瀬下 そうかもしれないですね。役者さんは本当に大事です。これからも自分の感性とアニメならではの魅力がうまく融合できていたらいいなと思います。 ―― まさか今回の取材でセルジオ・レオーネの名前を聞けるとは思ってもいませんでしたので(笑)。 瀬下 サム・ペキンパーも好きです(笑)。僕は池袋育ちで、文芸坐をはじめとする名画座に自転車で通いながら、映画ばかり見ていました。また当時はロードショー館も入れ替えがなかった時代なので、おにぎり持参で『2001年宇宙の旅』(68年)のリバイバル上映を朝から晩まで繰り返しずっと見たり。今思えばおおらかな時代で、しっかりと僕のような映画中毒を育ててくれました(笑)。 ―― でも、その映画中毒としてのキャリアが、今のお仕事に大いに役立っていらっしゃる。素敵なことだと思います。 瀬下 ありがとうございます。『BLAME!』も自分が思う普遍的な映画的歓びを、劇場用映画ってこうあってほしいと思う壮大さとかも含めて、意識的に詰め込んでみました。また今回は横長のシネスコ・サイズでやらせていただきました。これも劇場用映画ということでの、大きなこだわり……というか憧れのひとつですね。つまり、『BLAME!』ってそんな映画なんです(笑)。 (取材・文/増當竜也) ■『BLAME!』 配給:クロックワークス 公開:5月20日(土)より全国公開(2週間限定) 公式サイト :http://www.blame.jp/ 上映時間 :105分 (C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
『キンプリ』完成披露試写会で菱田正和監督が裏話連発! 山寺宏一出演は周囲の“忖度”の影響だった!?
昨年1月、我々の前に姿を現した『キンプリ』こと劇場アニメ『KING OF PRISM by PrettyRhythm』。公開開始時の上映館数はわずか14館。2週目の土日終了時点の興行収入は約3,000万円程度と見られ、上映が終了しかける寸前の状態から、“プリズムエリート”と呼ばれるファンたちの厚い支持を受け、コスプレや声援も可能な応援上映が話題になったこともあり、1年を超える奇跡のロングランに。最終的な興行収入は8億円を突破するという伝説を残した。 そんな『キンプリ』の新作映画『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』(6月10日公開)の完成披露試写会が今月17日、新宿バルト9で開催された。新宿バルト9といえば前作の基幹上映館であり、度々イベントも行われた『キンプリ』ファンにとっての聖地だが、イベントは “プリズムエリート”たち必聴ものの内容だったようだ。抽選で当たったというラッキーな20代女性がその様子を興奮気味に語った。 「この日、開始時間になったらすぐ上映が始まると思っていたんですけど、上映前にサプライズで菱田正和監督さん、一条シン役の寺島惇太さん、大和アレクサンダー役の武内駿輔さんが登壇したんです。新作を引っさげてバルト9へ“凱旋”する姿に、ほかの方々ももうすごい拍手と歓声で、思わず胸が熱くなって泣きそうになってしまいました。 菱田監督がフィルムができあがったのが前日の16日だったと語ると、客席からは『おめでとう!』と声があがったりして、“応援舞台挨拶”のようになっていました(笑)。『最後は修羅場。いやもう大変でした』と制作状況についても振り返っていましたけど、やはり相当なプレッシャーもあったみたいです。ただ、劇場内では“修羅場ウチワ”を振っている人もいて、ファンはそんな状況も楽しんでいました(笑)」 この舞台挨拶では太刀花菊右衛門役に山寺宏一、十王院百次郎役に堀内賢雄、真田常務役に遊佐浩二、田中会長役に三宅健太、MCタック役に千葉進歩が新キャストとして起用されていることも発表されたが、とくに山寺の起用には、とある“忖度”も働いたのだとか。 「菱田監督が以前手掛けたTVアニメの『ヤッターマン』に、山寺さんも出演されていて、そういった縁から菱田監督さんから山寺さんに出演をオファーしたのかなと思っていましたが、実はそういったわけではなくて、周囲の方が忖度して、山寺さんを起用されたそうです。ただ、山寺さんは菱田監督の新人時代を知っている方らしくて『緊張しかなくて』と、ちょっとやりづらかったみたいですけど」(前出の20代女性) ちなみに、菱田監督は制作現場が修羅場になった理由を垣間見せていたそうで……。 「制作途中まで、尺が大幅にオーバーしていたらしくて、『決められた尺に収まらない感じがハンパじゃなかった』『無理やりカリカリに編集して』と削りに削りまくったそうですが、それでも菱田監督は『欠けることなく突っ込みました』と充実感を漂わせていました。 その作品の中身については『観ている速度と理解する速度だと、理解する速度が遅くなっていって』とコメントしてました。さらにラスト周辺は『トランス状態になれるんじゃないかな』と。100回観ても耐えられる作りに仕上げたということで、もう期待感しかないですよね(笑)」(前出の20代女性) 公開まで残り約3週間となった『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』。どんなプリズムの煌めきを見せてくれるのだろうか。『KING OF PRISM by PrettyRhythm』公式Twitter(@kinpri_PR)より
「日本映画批評家大賞」アニメ部門は、作品賞:映画『聲の形』、監督賞:新海誠、声優賞に野沢雅子!
16日、「第26回 日本映画批評家大賞」の授賞式が開催された(東京・東京芸術劇場)。「日本映画批評家大賞」は、映画界を励ます目的のもと、 現役の映画批評家が集まって実行するもので、 1991年水野晴郎が発起人となり、淀川長治、小森和子、等、 当時第一線で活躍していた現役の映画批評家たちの提唱により誕生した 「批評家による批評家だけの目で選んだ他に類を見ない」賞(公式サイトより)。 それだけに、受賞作品・受賞者が被るケースも多い国内の他映画賞に比べれば、「日本映画批評家大賞」が選ぶ受賞は独特で、映画ファンからは一定の支持も受けている。今年の実写部門では、中野量太監督の『湯を沸かすほどの熱い愛』が作品賞、監督賞、主演女優賞(宮沢りえ)、助演女優賞(杉咲花)を受賞。興行収入ランキングではトップ10に入れなかったが、鑑賞した人からの評価は高かった『湯を沸かすほどの熱い愛』の活躍が目立った。 一方の「アニメ部門」ではどうだったかというと……作品賞:映画『聲の形』、監督賞 :新海誠、声優賞:野沢雅子(『風のように』)、ダイヤモンド大賞:松本零士がそれぞれ受賞。ダイヤモンド大賞は、「日本映画批評家大賞」公式サイトによると、「日本映画を支え日本映画の栄光のために尽力した方々に贈る日本映画批評家大賞最高の賞」とのことなので、いわゆる功労賞。 そして我らが野沢雅子が声優賞を獲得した『風のように』は、巨匠・ちばてつやが69年に描いた読切マンガを原作に、クラウドファンディングを経て劇場アニメ化された作品。クラウドファンディングでは目標金額200万円を上回る344万7,005円が集まるなど一部からは厚い支持を得ていたが、小規模公開のためか、なかなか話題になりづらかっただけに、野沢の授賞で『風のように』が再び話題になったことを、喜ぶアニメファンもいるようだ。 授賞式では「長年やってきたのでご褒美をいただいたような気持ちです」とコメントを残した野沢。現在放送中の『ドラゴンボール超』(フジテレビ系)では、孫悟空と孫悟飯によるバトルシーンを熱く演じて話題となった野沢だが、1936年10月25日生まれの80歳である。ご褒美ということであれば、彼女ならそろそろ声優初の文化功労賞あたり授与されてもおかしくないだろう。健康に気をつけながら、今後もぜひご活躍を続けてほしいものだ。「日本映画批評家大賞」公式サイトより。







































