amazonが8月から月額980円で一部電子書籍作品を読み放題できる「Kindle unlimited」サービスを行っている(以下、読み放題サービス)。しかしこのサービス、amazon側が出版社側に提示していた条件を引き下げたために、途中で一部の出版社が書籍の提供を取りやめたケースもいくつか報道されている。10月には講談社が、勝手にamazonが読み放題の対象から自社の著作をはずされたとご立腹な様子のリリースも出している。他人事のように書いているが、私が以前出した書籍もこの読み放題サービスの対象になっている。本稿では、著者の立場からこのサービスについて考えたい。 ■年内限定のamazon特典報酬、アッサリと引き下げられる 各種報道がされているが、amazonは読み放題サービス開始の2016年8月3日から年末までは、出版社(よって著者にも)に上乗せした条件で代金を支払うと約束していたものの、思った以上に読まれてしまったのか年末まで待てずに条件の緩和を打診し、それに乗れなかった出版社が作品の引き下げを進めている。 このamazonのやり方には批判も多い。出版社は著者と個々に調整という結構な手間をこなして配信に至っているはずで、「2016年内までは支払い条件がそれ以降よりいいですから」と説得していたはずだ。5ヶ月もない「いい条件」の期間をアッサリ削らされたら、著者もたまったものではないが、再度著者に説明しなくてはいけない出版社もたまったものではない。百、千と作品を提供している出版社の、再度の調整でかかる手間は相当なものだろう。 しかし、さらにたまったものではないのは、このサービスに月額980円払っている利用者だ。登録時には存在していた書籍が翌日いきなりごっそり抜け落ちているかもしれないのだ。読み放題サービスは30日の無料体験があるが、無料期間中にしっかり解約する財布の紐が堅い人がamazonの見通しよりはるかに多かったのかもしれない。出版社や著者に支払う代金の条件は守り、30日間無料体験側の期間なり条件なりを絞ればいいとも思うが、それはなされていない。 詳細は伝えられていないのでこれは憶測だが、講談社ご立腹の件もこの条件変更でもめてこじれた末の結果なのかもしれない。 ■amazonが著者に提供している気の利いたサービス「著者セントラル」 この読み放題サービスの件に関してはamazonのやり方に思うところはあれど、一方で、amazonには著者として感謝しているところも多い。まず、2014年に発行された私の本は、書店だと置いているところはまずない。書籍名と駅名など地名を入れると、近隣の書店の在庫を調べてくれるウェブサービス「テイクストック」で自著を調べると、八重洲ブックセンターや丸善本店など巨大書店が聳え立つ東京駅周辺でも、もう在庫すらない。数年前に発売され売れ行きも芳しくない本を置く余裕など書店にないのはよく分かる。なのでamazonが自著をいつまでも取り扱ってくれること自体、とても助かる。 私の本同様、世の中に出回る多くの本が初版止まりだ。重版を続ける一握りの大ヒット作が、残りの初版止まりの振るわない本を支える構図になっている。本が版を重ねることを指す『重版出来』は、ドラマ化された漫画のタイトルになるほどめでたいことなのだ。 私は趣味で同人誌を出している。同人誌は自分の金で出すため大変だが、責任を全て自分一人で取れる気楽さがある。一方商業出版はそうはいかない。出してもらっているのであり、多くの人が関わったものだ。ある経済評論家が本を書くより売る努力をしているといった旨をつぶやき炎上したことがあったが、いい内容だと確信した上で大抵の本が世の中に出ているはずなのに、一握りの売れる本とそれ以外の大多数の売れない本に分かれてしまうのが現実なのだから、売る努力をする経済評論家の発言はいたって正論だ。 知名度のある人が書けば話題になるし売れやすい。何を書いたかでなく誰が書いたかは重要視される。そんな中で新人にチャンスを与えてくれたのだから、塁に出るのがルーキーの仕事だったはずだが現時点で初版止まりと役割を果たしきれていない。今回の読み放題サービスは、出版社が賛同するなら私も賛同する方針だ。 そしてやはり読み放題サービスになると読まれる。amazonでは「著者セントラル」という売れ行きをグラフ化したサービスを著者に無料で提供している(図)。図の通り、「何冊売れたか」は分からないが、amazonのランキング何位にいるかは分かる。図を見ると、8月3日以降の読み放題サービス開始時以降から1ヶ月はランキングが跳ね上がったまま落ちない。毎日別の人が読んでくれたのだろう。8月以前の心電図のようなアップダウンが激しい状況からグラフの形が明らかに変わっている。私自身は、本は読みたいものだけ読めればいいし、読書熱自体高いときと低いときがあるので、月額制の読み放題サービスには利用者としてまったく魅力を感じなかったが、「安ければあれこれ読んでみるのもアリ」という人が案外いることを知れただけでも発見だった。 ■フジテレビと朝日新聞に出たところで本は売れない ちなみに私の書籍のテーマはネット依存で、本の内容に関しフジテレビと朝日新聞社から取材を受けた。超巨大メディアに報じられたらさすがに売れるのではとソワソワしたものの、両社とも広告主への配慮からか私の書籍名は一切紹介されないまま放送、発行され、もちろん先方の仕事上それは仕方がないことだろう。しかし、やはりその程度だとわざわざ私の名前を検索し、書籍までたどり着いてくれる人など相当少ないはずだ。 案の定、テレビ、新聞取材当日と翌日の売れ行きを著者セントラルで見てみると普段どおりのしめやかさだった。「マスメディアに出れば本は売れる!」といったコンサルティングも見かけるが、いいものを書けば売れると限らないように、新聞やテレビに出れば売れるなんて、そんな単純な話ではない。ちなみに私の場合は、リアルな販売の場では横浜の書店で特設販売コーナーを設けてもらった際と、amazonではネットメディアで書評が紹介された日や、ネットで多くの読者がいるブロガーの人に紹介してもらった日、これらの日の方がテレビや新聞に出た日よりもずっと売れた。 そしてamazonでの売れ行き状況を著者が把握できるのも、amazonの著者セントラルがあるからだ。全国に店舗のある紀伊國屋書店でも、全店売上データがわかる「PubLine」というサービスを提供しているが、月額10万円と個人として利用するにはかなり厳しい金額だ。著者セントラルは無料で利用できる(著者セントラルは「自著」の売れ行きしかわからないので、全体の売れ行きがわかるPubLineとはサービスの幅がまったく違うが)。 個人的には店舗で働く仕事も長くしているため「店舗で試したあとで、ネットで底値の店舗を探して購入」という購買行動をする人には天の裁きが下るようにと思っているし、ひとつの企業だけが圧倒的に強い状況は業界、消費者双方に望ましくなく、そもそも同じ条件ならなるべく日本企業のモノやサービスを購入したい。なのでamazon一強、amazon無双な状況は望ましくないと思うが、amazonは著者セントラルのような、他がやらないいいサービスを無償で著者に提供している。黒船は黒船になる理由がある。 ちなみに私の著者セントラルのグラフは読み放題サービスを始めだした8月上旬から1ヶ月ほどは下がることなく景気がよかったが、だんだん低空飛行になりつつある。読み放題サービスに加入する人がラインナップ減少報道の影響で減ってきているのか、本の読み放題は一部の人にだけ刺さるサービスだったのか。今後も見ていきたい。 (文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])amazonの売れ行きをグラフ化した無料サービス「著者セントラル」。
「07その他」タグアーカイブ
木村沙織、首筋ベロ舐め姿に「相武紗季より可愛い!」 ビーチ? グラビア? “Fカップ巨乳の去就”に注目
18日、女子バレーボール日本代表のエース・木村沙織が自身のインスタグラムに「ゴロゴロする日」と、愛犬と一緒に寝転がり、首筋をベロベロと舐め回されている動画をアップ。「アイドルのイメージDVDを見てるみたい!」「犬になりたい!」などと、ネット上がざわついた。 まだ高校生だった2003年に女子バレーボール日本代表に召集され、翌年アテネオリンピック最終予選で活躍したことで、“スーパー女子高生”と呼ばれ、ブレークを果たした木村は、その後も日本代表の中心メンバーとして活躍を続け、今年8月に行われたリオ五輪ではキャプテンとしてチームを牽引し、女子インドアバレー史上日本初の五輪4大会連続出場を果たすなど、その実力は誰もが認めるところだが、ルックスに関しても評価は高い。 「木村は、185cmの長身に8頭身とも9頭身ともいわれるスーパーモデル並みのスタイルを誇り、さらに童顔で性格は天然、ということで、バレーに興味のない男性からの人気も抜群に高く、高校時代の親友だった横山友美佳が書いた本を原作とし、10年に放送されたドラマ『明日もまた生きていこう』(TBS系)で、木村役を女優の相武紗季が演じた際には、『沙織ちゃんの方が可愛い』という声も。30歳となった今でも、バレー選手としての質、ルックス、どちらも衰えがないだけに、今月10日、自身のブログに『今年で50周年を迎えるVリーグ。ここを自分のバレーボール人生 最後の場所に したいと思っています』と引退表明をした際には、『まだ早い!』『引退しないで!』などといった声が殺到した」(芸能関係者) 以前から、リオ五輪後に引退することを公言していた木村だが、そのリオ五輪が終わり、「本当に引退するの?」「ビーチバレーに転向?」などと質問されることが多くなったことを受けての引退表明となったようだが、男性ファンからは「ビーチバレー転向もなしってこと?」と驚きと落胆の声が広がっている。 「アイドルのようなルックスも木村の魅力ではあるのですが、それ以上に男性の目を釘付けにしてきたのは、『プレー中に揺れまくる』と評判の、推定Fカップの巨乳でした。それだけに、『ビーチバレーに転向すれば、さらに過激な姿が見られる』という期待が高まっていたのですが、10日付のブログで正式に引退表明したことで、ファンは落胆。しかし、その一方で、『タレントに転向?』『グラビア活動もあるかもしれない』などと期待する声も少なくないようです」(同) リオ五輪出場選手でグラビアといえば、女子レスリング69kg級で金メダルを獲得した土性沙羅が、今月14日に発売された「週刊現代」(講談社)でグラビアに初挑戦し、話題となっていたが、ネット上では「まずは木村沙織だろ!」「週刊現代さん、全力で木村沙織を口説き落として下さい!」などといった声が飛び交っている。木村沙織公式インスタグラムより
『ゼーガペインADP』の公開は『スクライド』のおかげだった!? そして花澤香菜一時降壇のワケは……
TVアニメ放送から10年――ついに劇場アニメ『ゼーガペイン ADP』(以下、『ADP』)が今月15日より公開となった。 『ゼーガペイン』とは2006年4月~9月にかけてテレビ東京などで夕方18時台に放送されていたオリジナルロボットアニメ。近未来の千葉県・舞浜市を舞台に、普通の高校生だったキョウが、突如現れた転校生・シズノに誘われ、世界を滅ぼそうとする敵・ガルズオルムとの戦いに巻き込まれていくというストーリーが展開された。爆売れこそしなかったものの、学園モノであると同時に、ハードなロボットものが同時に並び立ち、心に刺さるセリフや設定が視聴者の心を掴み、いまだファンから愛され続けている。『ADP』ではTVアニメ版を再編集に新規カットを加え、まったく別の物語を構築するという大胆な試みがされている意欲作にして新作だ。 この初日舞台挨拶が舞浜の劇場で行われ浅沼晋太郎(ソゴル・キョウ役)、花澤香菜(カミナギ・リョーコ役)、川澄綾子(ミサキ・シズノ役)、下田正美監督が登壇。その場でさまざまな裏話が語られていたという。イベントに参加した20代男性がその模様を語る。 「下田監督がこの作品の話が来た経緯を語ってくれたんです。まずはサンライズからBlu-rayを出すため総集編を頼まれたそうなのですけど、下田監督は『そのままストレートに見せるのは嫌だった。それでスクライドの総集編(11年と12年の前後編の総集編『スクライド オルタレイション』)を作って成功しているから、この作品のアイデアをご提案したんです』と、『ADP』の制作のきっかけはスクライドだったそうなんです。とはいえ、このアイデアを語られた人は『何言ってんのこの人?』状態だったらしいですけど(笑)」 そんな苦労があって『ADP』へこぎ着けたらしいが、作品には過去の映像でもちゃんと手が入っているらしい。 「新規カットがあるとはいえ、基本はTVアニメ版の絵を使わないといけなかったらしくて、下田監督が『怒っているシーンのシワを消したりとかはやっています』と工夫した部分を語られてました。さらに、下田監督が、『芝居が違うのにTVの絵というのは役者さんは苦労されたと思います。でも、10年間のみなさんのキャリアを信頼していたので、心配してませんでしたけどね(笑)』と、地味にキャスト陣へプレッシャーをかけてましたよ」(前出の20代男性) また、『ゼーガペイン』といえば、いまや人気声優1人である花澤のヒロインデビュー作としても知られているが、当時、高校生で“棒子”と言われていたほど初々しい演技が見られたのも本作ならでは。この舞台挨拶では、その時代を彷彿とさせる行動も……。 「花澤さんが時折、目をこする仕草をしていたんですが、舞台挨拶中に我慢できなくなったのか『鼻かんでくる』と、舞台を降りるハプニングもあったんです。浅沼さんが『10年で変わるところもあれば変わらないところもある』とその様子についてコメントしたり、普段のイベントでは考えられないアットホーム感でした」(前出の20代男性) また、『ADP』最後のカットに「ネクスト エンタングル」と気になる文字も浮かんでいるそうだが、「下田監督によると、これで止まるつもりはないそうなんで、ヒットすれば何かしらの続編もあるかもという感じでしたよ」(前出の20代男性)とのこと。まずは、次につながることになるのか、『ADP』の行く末を見守りたいところだ。『ゼーガペイン ADP』公式サイトより。
行き当たりばったりだけど面白い!『学園ハンサム』馬場園祐樹PDインタビュー 今秋No.1のアゴとハンサムを見逃すな!!
2009年、“女性向けゲーム『学園ハンサム』のOP”という設定で作成された動画が、ニコニコ動画へ彗星のごとく登場。個性的という言葉では生ぬるい、狂気さえ感じる際立った特徴的な絵柄と動画で人気を博した後、その後本当に制作、販売・配信されたADVも一部で大好評。 昨年にはとうとうアニメ化され、OVA(『学園ハンサム The Animation』)として発売。そして16年夏にはTVアニメ化に向けて、クラウドファンディングによる資金集めをスタート。いくら何でもTVアニメは……という予想すら軽々とクリアし、プロジェクト開始からわずか5日ほどで目標金額を達成してしまう。 放送開始後も、プロジェクト当初から変わらぬとがったアゴ、独特すぎるストーリー、セリフと口の動きがあっていない作画、そしてファンですらも「狂気を感じる」と驚くEDで衝撃を与え続けるTVアニメ『学園ハンサム』(TOKYO MXほか)。 数ある秋の新作アニメの中でもその存在感は際立つが、どうしてこんな面白いことになってしまったのか。13年に配信されたゲーム(iOS/Andloid版)から『学園ハンサム』の各プロジェクトに携わり、TVアニメでもプロデューサー、制作進行、広報・宣伝、美剣咲夜役、その他諸々を担当する東北ぺネットの馬場園祐樹氏に話を聞いた。 ■『学園ハンサム』が就職活動でやってきた! ―― ゲーム配信、OVA、そしてとうとうTVアニメ化となりました。『学園ハンサム』も息の長いコンテンツですね。 馬場園祐樹(以下、「馬場園」) 順を追って説明しますと、まずはこの原作者さんたち「チーム欲求腐満」は、当時東北で映像制作を学ぶ学生さんだったんですが、「もし自分たちがBLゲームを作ったら」という設定で、架空のゲームのOP映像だけを作り、当時開催されていた「ニコニコ動画」の動画コンテストに応募したんです。コンテストには引っかからなかったんですが、動画をニコニコへ一応アップするだけしたら、すごい反響がきたと。反響に応えて実際にゲームを作ることになり、サークル「チーム欲求腐満」による同人ADVとして、同人誌即売会やサイトで販売したんです。1本500円と商売っ気は全然なくて。 ―― 完全に趣味の範疇での同人サークル活動ですね。 馬場園 そうですね、ゲーム販売後は「そんなゲームもあったよね」と伝説になれればいいやというような感じだったようです。だから追加コンテンツを作るわけでも、キャラクターグッズを作るわけでもなく。人気キャラクター投票企画をやったこともあったんですけど、1位になったキャラのキャラソンを作って、ニコニコ動画にアップして終わりでしたからね(笑)。 ―― 『学園ハンサム』は学生時代の思い出だったと。 馬場園 ゲームは話題になりましたけど、卒業後も『学園ハンサム』を制作していくつもりはなく、普通に就職活動を始めたようです。彼らはメディア系の学科で映像制作を学んでいて、そういった事業を行う企業を探し始めたものの、東北だと東京や大阪に比べて企業数が少なくて苦戦していたようで。そうこうしているうちに、弊社・東北ペネットは名前のとおり、東北・仙台に本社があるゲーム会社ですが、そこへメールで求人についての問い合わせがあったんですよ、『学園ハンサム』の制作者であることは隠したまま。(C)TOHOKU PENET K.K.
―― なるほど、本当に学生限りのつもりだったんですね。 馬場園 メールでポートフォリオ(学生時代に作成した絵画・イラスト集)が送られてきたんです。当時から一ユーザー、視聴者として『学園ハンサム』を知っていましたから、ポートフォリオを見て「あ、『学園ハンサム』の人だ」とすぐ気づいたんです。 ―― ちなみにアゴは普通だったんですか? 馬場園 アゴは普通でした(笑)。全然絵柄も違うんですが、やっぱり抜けきらないクセみたいなのがあったんですよ。「『学園ハンサム』を作った人ですよね?」と聞いてみたら「なんでわかったんですか!?」と。『学園ハンサム』を続ける気はなかったので、本人的には複雑だったかもしれませんが、こちらから「『学園ハンサム』をうちで作ってみませんか」と提案し、お話を進めていったんです。 ―― では、今は東北ペネットさんの社員クリエーターなんですか? 馬場園 就職活動をしていたわけですから、会社員になろうと思われていたようです。ただ、作品の権利なども生じます。長い目で見れば入社されるよりも、対等なパートナーとして一緒に作っていただく形がいいかなと、ゲーム制作時は業務委託といった形でした。ただ、昨年のOVA制作ぐらいからかなり規模が大きくなってきたので、今は社員として制作に集中してもらいつつ、作画であったり声優さんのキャスティングであったり、費用や手間がかかる部分は会社が請け負うという形になっています。特に地上波TVアニメとなると大変ですし、本人は東北にいるわけですから。 ―― 他スタッフとの打ち合わせや収録は、やはり東京で行われるんですね。 馬場園 そうなんですよ。ただ、そもそも弊社はゲーム会社であって、アニメ制作には疎いんです。たとえば放送局であるTOKYO MXさんにも最初は公式サイトの視聴者用の問い合わせ窓口から問い合わせしましたからね、「アニメを放送させてください」って(笑)。 ―― それはTOKYO MXさんも驚いたでしょうね(笑)。 馬場園 そこから何箇所か部署を経由して、「アニメを放送させてもらうにはどうしたらいいんでしょうか」と相談させていただいて……だから原作者も弊社も、TVアニメとは何の繋がりもコネも知識もないところから始めて、TOKYO MXさんをはじめとした業界関係者の皆さんによくしていただいて、何とかここまでたどり着いたという感じですね。 ■クラウドファンディングは正直コケるだろうと(笑) ―― TVアニメ化に至るまでの経緯について、もう少し詳しく聞かせてください。まず昨年OVAを発売されて、そこで手応えを感じられたからこそ、TVアニメ放送に向けたクラウドファンディングを企画された、という流れであっていますか? 馬場園 そういう流れです。ただ、原作者も映像学科卒で、映像を作りたい人だったので、ADVを作りながらも、もともと「将来的にはアニメとか作りたいよね」という話はしていたんです。そこへリバプール株式会社さんからOVA化のご提案いただき、昨年のOVA制作・販売になったと。それがまた、大掛かりなプロモーションを行ったわけでもないのに、おかげさまでかなりの反響をいただいたので、「もしかしたらADVよりもアニメって、可能性があるのでは」と思うようになったんです。主要キャラ設定画。それにしてもポートフォリオが気になる……
―― 市場的にもっと間口が広いのではないか、やれるんじゃないかと。 馬場園 そうです。僕らは申し訳ないぐらい行き当たりばったりで、ここに至るまでも全く計画的に考えていたわけではないんです。やってみたら売れたので、じゃまたやってみよう、ぐらい。ただそこで、『学園ハンサム』がゲームからOVAになるとき、話題になったじゃないですか。 ―― どんなアニメにするつもりなんだ!? みたいな大きな反響がありました。 馬場園 ただOVAの2本目を出すとなっても、1本目ほどは驚いてくれないだろうと思ったんです。毎回何か新しいことをやらないと売れない、『学園ハンサム』は毎回“驚き”とセットで売り出さなくてはいけないと――そこで“TVアニメ”であれば皆驚くだろうと考えたんです。そこからTV局さんにお問い合わせしたり、12話分作ることを考えて、そこでようやく、大変だ、TVアニメってすごくお金がかかるぞとわかりまして(笑)。 ―― 視聴者窓口からTOKYO MXさんに聞いてみて驚かれた(笑)。 馬場園 そうそう(笑)。制作して、放送まで持っていくのは大変であると。ではクラウドファンディングしかないとなったわけです。そこでお金が集まらなかったらOVA第2弾にしようと――クラウドファンディングを企画してみて、目標金額に届かなかったというのは本来厳しい状況ですが、『学園ハンサム』ならそれはそれで笑い話になりますから(笑)。 ―― いっそ盛大にコケたほうがおいしかったかもしれませんね(笑)。 馬場園 僕らとしても「1,000円しか集まらなかったとか、そのほうが面白いよね」という感覚でした。どっちに転んでもプラスに、ギャグに昇華できるだろうと。クラウドファンディングって、最近よく聞く単語ですけど、意外と実施に踏み切るプロジェクトが少ないのは、目標金額に届かなかった場合、ダメージが大きいからだと思うんです。作る前からお金を払ってくれるファンの数やその金額がわかってしまう。これでは製作委員会にだって、入ろうという企業さんも悩んでしまいますよね。その点、うちの場合は幸か不幸か、製作委員会はなく、うちだけでやっていますから、好きなようにやれるわけです。ところがクラウドファンディングに踏み切ったところ、予想外にファンの方が喜んでくれて。 ―― 目標金額の346%。すごい数字ですよね。 馬場園 ……正直コケるだろう、と思っていたのであまりTV放送に向けた用意を進めていなかったんです。「もしかしたら、やるかも」というレベルでしかお話ししてなかったので、放送局さんもあまり本腰入れられてなかったというか。そもそも成功したら10月からTVアニメ放送するというクラウドファンディングを、放送3カ月前から始めたわけですからね。EDより。正直、こわい
■TV局にも音響スタジオにも怒られて…… ―― そうは言っても、放送枠などは事前に決まっていたんだろ? と思っていました。 馬場園 普通はそう思われますよね。ユーザーさんからも「出来レースだろ?」と言われたりもしたんですが、本当にコケてOVA第2弾発売という準備ばかりしていたんです。事前に状況を読んでいれば格好いいですけど、全然そんなことはなくて(笑)。クラウドファンディングを始めてから一週間ぐらいで目標金額を達成してしまって、そこから慌てて準備に入ったんですが、放送局さんからは「言うのが遅すぎる!」と怒られました(笑)。 ―― そりゃ怒られるでしょうね(笑)。 馬場園 「何で3カ月前に言うんだ、普通の会社さん、他の作品は1年以上前から準備するのに」と(笑)。また「アニメ版」のキャストさんは有名な、人気がある声優さんばかりじゃないですか。 ※『学園ハンサム』はゲーム時に起用されている声優(制作スタッフなどの素人)を「ゲーム版」「原作声優」、OVA以降キャスティングされたプロの声優たちを「アニメ版」と称し、区別している。 ―― 花江夏樹さん、木村良平さんとたしかに人気声優さんばかりですが、東北ペネットさんは元々ゲーム会社なんですし、ブッキングの伝手はあったのでは? 馬場園 それがないんです。うちは弱小ですから、ゲームのときは新人声優さんにお願いするケースが多いし、そもそもOVAを制作した際も、リバプールさんがブッキングしてくれたんです。今回はリバプールさんがいらっしゃいませんから、「さてどうしよう」となりまして。幸いなことにOVAのときと音響スタジオさんが同じでしたから、スタジオさんにブッキングをご依頼したんです。そこでスタジオさんにも「遅すぎる!」といわれましたけど(笑)。10月から放送だったら最低○月には収録を始めないと、みたいなところから教えていただいて、「あ、そうなんですね」と(笑)。 ―― ククク(笑)、音響スタジオさんにスケジュールを教わって。 馬場園 そうそう、でももう資金を集まっているわけですから、もう我々だけのものではない。何とかならないか、ということで無理を聞いていただきました。お忙しい皆さんのスケジュールの合間を縫って、どうにか進めているところです。 ―― ちなみに実力も人気もあるキャストさんがOVAから続投ですけど、元々このキャラはこの声優さんに、みたいなイメージをあったんですか? 馬場園 いえ、全然なかったです。でもやっぱり出来がいいですよね。実はOVAのとき、もうプロの声優さんだけで、原作声優の音声はなくてもいいんじゃないかという議論もあったんです。最終的には原作声優も作品の重要な要素なので収録することにしました。 ―― 逆に原作声優だけ、という発想はなかったんですか? 馬場園 ゲームと違ってTVアニメだと文字でセリフを追えませんから、原作声優だと何をいっているか分からなくなっちゃうんですよ(笑)。アニメでセリフが聞き取れないと本当に状況が分からなくなってしまう。我々はOVAのときもアニメ版声優は新人声優さんでいいんじゃないかと思っていたんですが、そこはリバプールさんがブッキングを頑張ってくださって。 というのも、原作声優との違い、ギャップが大きければ大きいほど、そこもまた面白いのではないかという提案だったんです。たしかにそうだな、と頷ける部分も大きかったので、本当に上手な方々、トップの皆さんにお願いすることになったんです。OPより。
■絵コンテがない!? ―― なんと言うか、放送局にしてもブッキングにしても、ふわふわとした雰囲気で物事が進んでいるんですね(笑)。とはいえ、OVAになるかTVアニメになるかわからないとのことでしたが、アフレコも進んで、実際放送も始まったわけですから、絵コンテや脚本、それに作画といった制作自体はかなり進められていたということですか? 馬場園 お、お詳しいですね。僕が“絵コンテ”という単語を知ったのは最近ですよ。 ―― え? 去年の8月にリリースされたOVAがヒットして、アニメ第2弾の制作に入られたんですよね。そこからオリジナルの脚本を起こして、絵コンテを作って、作画に入るというスケジュールは割とタイトなほうだと思うのですが。 馬場園 いやそれがですね、『学園ハンサム』には絵コンテというものはないんですよ。 衝撃の事実が判明、やはり只者ではなかった『学園ハンサム』。でたらめに面白い内容となったので、これはカットするのがもったいない! ということで、【前編】【後編】合計1万字超えのロングインタビューで、ほぼ余すところなくその内容をお伝えする。24日配信予定の【後編】をお楽しみに。 ■TVアニメ『学園ハンサム』 ・公式サイト:http://penet.co.jp/animehandsome/ ・公式Twitter:@animehandsome ・放送情報 TOKYO MX 毎週月曜日深夜25時~ BSフジ 毎週月曜日深夜25時~ ・ニコニコチャンネル、dアニメストア、GYAO!、U-NEXT、ビデオマーケット、Amazonプライムビデオ、ビリビリ、クランチロールにて動画配信中 ■『学園ハンサム』オフィシャルサイト http://ykfm.web.fc2.com/ (C)TOHOKU PENET K.K.これはハンサム。
行き当たりばったりだけど面白い!『学園ハンサム』馬場園祐樹PDインタビュー 今秋No.1のアゴとハンサムを見逃すな!!
2009年、“女性向けゲーム『学園ハンサム』のOP”という設定で作成された動画が、ニコニコ動画へ彗星のごとく登場。個性的という言葉では生ぬるい、狂気さえ感じる際立った特徴的な絵柄と動画で人気を博した後、その後本当に制作、販売・配信されたADVも一部で大好評。 昨年にはとうとうアニメ化され、OVA(『学園ハンサム The Animation』)として発売。そして16年夏にはTVアニメ化に向けて、クラウドファンディングによる資金集めをスタート。いくら何でもTVアニメは……という予想すら軽々とクリアし、プロジェクト開始からわずか5日ほどで目標金額を達成してしまう。 放送開始後も、プロジェクト当初から変わらぬとがったアゴ、独特すぎるストーリー、セリフと口の動きがあっていない作画、そしてファンですらも「狂気を感じる」と驚くEDで衝撃を与え続けるTVアニメ『学園ハンサム』(TOKYO MXほか)。 数ある秋の新作アニメの中でもその存在感は際立つが、どうしてこんな面白いことになってしまったのか。13年に配信されたゲーム(iOS/Andloid版)から『学園ハンサム』の各プロジェクトに携わり、TVアニメでもプロデューサー、制作進行、広報・宣伝、美剣咲夜役、その他諸々を担当する東北ぺネットの馬場園祐樹氏に話を聞いた。 ■『学園ハンサム』が就職活動でやってきた! ―― ゲーム配信、OVA、そしてとうとうTVアニメ化となりました。『学園ハンサム』も息の長いコンテンツですね。 馬場園祐樹(以下、「馬場園」) 順を追って説明しますと、まずはこの原作者さんたち「チーム欲求腐満」は、当時東北で映像制作を学ぶ学生さんだったんですが、「もし自分たちがBLゲームを作ったら」という設定で、架空のゲームのOP映像だけを作り、当時開催されていた「ニコニコ動画」の動画コンテストに応募したんです。コンテストには引っかからなかったんですが、動画をニコニコへ一応アップするだけしたら、すごい反響がきたと。反響に応えて実際にゲームを作ることになり、サークル「チーム欲求腐満」による同人ADVとして、同人誌即売会やサイトで販売したんです。1本500円と商売っ気は全然なくて。 ―― 完全に趣味の範疇での同人サークル活動ですね。 馬場園 そうですね、ゲーム販売後は「そんなゲームもあったよね」と伝説になれればいいやというような感じだったようです。だから追加コンテンツを作るわけでも、キャラクターグッズを作るわけでもなく。人気キャラクター投票企画をやったこともあったんですけど、1位になったキャラのキャラソンを作って、ニコニコ動画にアップして終わりでしたからね(笑)。 ―― 『学園ハンサム』は学生時代の思い出だったと。 馬場園 ゲームは話題になりましたけど、卒業後も『学園ハンサム』を制作していくつもりはなく、普通に就職活動を始めたようです。彼らはメディア系の学科で映像制作を学んでいて、そういった事業を行う企業を探し始めたものの、東北だと東京や大阪に比べて企業数が少なくて苦戦していたようで。そうこうしているうちに、弊社・東北ペネットは名前のとおり、東北・仙台に本社があるゲーム会社ですが、そこへメールで求人についての問い合わせがあったんですよ、『学園ハンサム』の制作者であることは隠したまま。(C)TOHOKU PENET K.K.
―― なるほど、本当に学生限りのつもりだったんですね。 馬場園 メールでポートフォリオ(学生時代に作成した絵画・イラスト集)が送られてきたんです。当時から一ユーザー、視聴者として『学園ハンサム』を知っていましたから、ポートフォリオを見て「あ、『学園ハンサム』の人だ」とすぐ気づいたんです。 ―― ちなみにアゴは普通だったんですか? 馬場園 アゴは普通でした(笑)。全然絵柄も違うんですが、やっぱり抜けきらないクセみたいなのがあったんですよ。「『学園ハンサム』を作った人ですよね?」と聞いてみたら「なんでわかったんですか!?」と。『学園ハンサム』を続ける気はなかったので、本人的には複雑だったかもしれませんが、こちらから「『学園ハンサム』をうちで作ってみませんか」と提案し、お話を進めていったんです。 ―― では、今は東北ペネットさんの社員クリエーターなんですか? 馬場園 就職活動をしていたわけですから、会社員になろうと思われていたようです。ただ、作品の権利なども生じます。長い目で見れば入社されるよりも、対等なパートナーとして一緒に作っていただく形がいいかなと、ゲーム制作時は業務委託といった形でした。ただ、昨年のOVA制作ぐらいからかなり規模が大きくなってきたので、今は社員として制作に集中してもらいつつ、作画であったり声優さんのキャスティングであったり、費用や手間がかかる部分は会社が請け負うという形になっています。特に地上波TVアニメとなると大変ですし、本人は東北にいるわけですから。 ―― 他スタッフとの打ち合わせや収録は、やはり東京で行われるんですね。 馬場園 そうなんですよ。ただ、そもそも弊社はゲーム会社であって、アニメ制作には疎いんです。たとえば放送局であるTOKYO MXさんにも最初は公式サイトの視聴者用の問い合わせ窓口から問い合わせしましたからね、「アニメを放送させてください」って(笑)。 ―― それはTOKYO MXさんも驚いたでしょうね(笑)。 馬場園 そこから何箇所か部署を経由して、「アニメを放送させてもらうにはどうしたらいいんでしょうか」と相談させていただいて……だから原作者も弊社も、TVアニメとは何の繋がりもコネも知識もないところから始めて、TOKYO MXさんをはじめとした業界関係者の皆さんによくしていただいて、何とかここまでたどり着いたという感じですね。 ■クラウドファンディングは正直コケるだろうと(笑) ―― TVアニメ化に至るまでの経緯について、もう少し詳しく聞かせてください。まず昨年OVAを発売されて、そこで手応えを感じられたからこそ、TVアニメ放送に向けたクラウドファンディングを企画された、という流れであっていますか? 馬場園 そういう流れです。ただ、原作者も映像学科卒で、映像を作りたい人だったので、ADVを作りながらも、もともと「将来的にはアニメとか作りたいよね」という話はしていたんです。そこへリバプール株式会社さんからOVA化のご提案いただき、昨年のOVA制作・販売になったと。それがまた、大掛かりなプロモーションを行ったわけでもないのに、おかげさまでかなりの反響をいただいたので、「もしかしたらADVよりもアニメって、可能性があるのでは」と思うようになったんです。主要キャラ設定画。それにしてもポートフォリオが気になる……
―― 市場的にもっと間口が広いのではないか、やれるんじゃないかと。 馬場園 そうです。僕らは申し訳ないぐらい行き当たりばったりで、ここに至るまでも全く計画的に考えていたわけではないんです。やってみたら売れたので、じゃまたやってみよう、ぐらい。ただそこで、『学園ハンサム』がゲームからOVAになるとき、話題になったじゃないですか。 ―― どんなアニメにするつもりなんだ!? みたいな大きな反響がありました。 馬場園 ただOVAの2本目を出すとなっても、1本目ほどは驚いてくれないだろうと思ったんです。毎回何か新しいことをやらないと売れない、『学園ハンサム』は毎回“驚き”とセットで売り出さなくてはいけないと――そこで“TVアニメ”であれば皆驚くだろうと考えたんです。そこからTV局さんにお問い合わせしたり、12話分作ることを考えて、そこでようやく、大変だ、TVアニメってすごくお金がかかるぞとわかりまして(笑)。 ―― 視聴者窓口からTOKYO MXさんに聞いてみて驚かれた(笑)。 馬場園 そうそう(笑)。制作して、放送まで持っていくのは大変であると。ではクラウドファンディングしかないとなったわけです。そこでお金が集まらなかったらOVA第2弾にしようと――クラウドファンディングを企画してみて、目標金額に届かなかったというのは本来厳しい状況ですが、『学園ハンサム』ならそれはそれで笑い話になりますから(笑)。 ―― いっそ盛大にコケたほうがおいしかったかもしれませんね(笑)。 馬場園 僕らとしても「1,000円しか集まらなかったとか、そのほうが面白いよね」という感覚でした。どっちに転んでもプラスに、ギャグに昇華できるだろうと。クラウドファンディングって、最近よく聞く単語ですけど、意外と実施に踏み切るプロジェクトが少ないのは、目標金額に届かなかった場合、ダメージが大きいからだと思うんです。作る前からお金を払ってくれるファンの数やその金額がわかってしまう。これでは製作委員会にだって、入ろうという企業さんも悩んでしまいますよね。その点、うちの場合は幸か不幸か、製作委員会はなく、うちだけでやっていますから、好きなようにやれるわけです。ところがクラウドファンディングに踏み切ったところ、予想外にファンの方が喜んでくれて。 ―― 目標金額の346%。すごい数字ですよね。 馬場園 ……正直コケるだろう、と思っていたのであまりTV放送に向けた用意を進めていなかったんです。「もしかしたら、やるかも」というレベルでしかお話ししてなかったので、放送局さんもあまり本腰入れられてなかったというか。そもそも成功したら10月からTVアニメ放送するというクラウドファンディングを、放送3カ月前から始めたわけですからね。EDより。正直、こわい
■TV局にも音響スタジオにも怒られて…… ―― そうは言っても、放送枠などは事前に決まっていたんだろ? と思っていました。 馬場園 普通はそう思われますよね。ユーザーさんからも「出来レースだろ?」と言われたりもしたんですが、本当にコケてOVA第2弾発売という準備ばかりしていたんです。事前に状況を読んでいれば格好いいですけど、全然そんなことはなくて(笑)。クラウドファンディングを始めてから一週間ぐらいで目標金額を達成してしまって、そこから慌てて準備に入ったんですが、放送局さんからは「言うのが遅すぎる!」と怒られました(笑)。 ―― そりゃ怒られるでしょうね(笑)。 馬場園 「何で3カ月前に言うんだ、普通の会社さん、他の作品は1年以上前から準備するのに」と(笑)。また「アニメ版」のキャストさんは有名な、人気がある声優さんばかりじゃないですか。 ※『学園ハンサム』はゲーム時に起用されている声優(制作スタッフなどの素人)を「ゲーム版」「原作声優」、OVA以降キャスティングされたプロの声優たちを「アニメ版」と称し、区別している。 ―― 花江夏樹さん、木村良平さんとたしかに人気声優さんばかりですが、東北ペネットさんは元々ゲーム会社なんですし、ブッキングの伝手はあったのでは? 馬場園 それがないんです。うちは弱小ですから、ゲームのときは新人声優さんにお願いするケースが多いし、そもそもOVAを制作した際も、リバプールさんがブッキングしてくれたんです。今回はリバプールさんがいらっしゃいませんから、「さてどうしよう」となりまして。幸いなことにOVAのときと音響スタジオさんが同じでしたから、スタジオさんにブッキングをご依頼したんです。そこでスタジオさんにも「遅すぎる!」といわれましたけど(笑)。10月から放送だったら最低○月には収録を始めないと、みたいなところから教えていただいて、「あ、そうなんですね」と(笑)。 ―― ククク(笑)、音響スタジオさんにスケジュールを教わって。 馬場園 そうそう、でももう資金を集まっているわけですから、もう我々だけのものではない。何とかならないか、ということで無理を聞いていただきました。お忙しい皆さんのスケジュールの合間を縫って、どうにか進めているところです。 ―― ちなみに実力も人気もあるキャストさんがOVAから続投ですけど、元々このキャラはこの声優さんに、みたいなイメージをあったんですか? 馬場園 いえ、全然なかったです。でもやっぱり出来がいいですよね。実はOVAのとき、もうプロの声優さんだけで、原作声優の音声はなくてもいいんじゃないかという議論もあったんです。最終的には原作声優も作品の重要な要素なので収録することにしました。 ―― 逆に原作声優だけ、という発想はなかったんですか? 馬場園 ゲームと違ってTVアニメだと文字でセリフを追えませんから、原作声優だと何をいっているか分からなくなっちゃうんですよ(笑)。アニメでセリフが聞き取れないと本当に状況が分からなくなってしまう。我々はOVAのときもアニメ版声優は新人声優さんでいいんじゃないかと思っていたんですが、そこはリバプールさんがブッキングを頑張ってくださって。 というのも、原作声優との違い、ギャップが大きければ大きいほど、そこもまた面白いのではないかという提案だったんです。たしかにそうだな、と頷ける部分も大きかったので、本当に上手な方々、トップの皆さんにお願いすることになったんです。OPより。
■絵コンテがない!? ―― なんと言うか、放送局にしてもブッキングにしても、ふわふわとした雰囲気で物事が進んでいるんですね(笑)。とはいえ、OVAになるかTVアニメになるかわからないとのことでしたが、アフレコも進んで、実際放送も始まったわけですから、絵コンテや脚本、それに作画といった制作自体はかなり進められていたということですか? 馬場園 お、お詳しいですね。僕が“絵コンテ”という単語を知ったのは最近ですよ。 ―― え? 去年の8月にリリースされたOVAがヒットして、アニメ第2弾の制作に入られたんですよね。そこからオリジナルの脚本を起こして、絵コンテを作って、作画に入るというスケジュールは割とタイトなほうだと思うのですが。 馬場園 いやそれがですね、『学園ハンサム』には絵コンテというものはないんですよ。 衝撃の事実が判明、やはり只者ではなかった『学園ハンサム』。でたらめに面白い内容となったので、これはカットするのがもったいない! ということで、【前編】【後編】合計1万字超えのロングインタビューで、ほぼ余すところなくその内容をお伝えする。24日配信予定の【後編】をお楽しみに。 ■TVアニメ『学園ハンサム』 ・公式サイト:http://penet.co.jp/animehandsome/ ・公式Twitter:@animehandsome ・放送情報 TOKYO MX 毎週月曜日深夜25時~ BSフジ 毎週月曜日深夜25時~ ・ニコニコチャンネル、dアニメストア、GYAO!、U-NEXT、ビデオマーケット、Amazonプライムビデオ、ビリビリ、クランチロールにて動画配信中 ■『学園ハンサム』オフィシャルサイト http://ykfm.web.fc2.com/ (C)TOHOKU PENET K.K.これはハンサム。
モノブライト出口博之の特撮自由帳 「こんなのライダーじゃない!」というにはまだ早い!『仮面ライダーエグゼイド』に見る平成仮面ライダーのデザインの魅力とは!?
こんにちは、モノブライトのベース、出口です。
仮面ライダーシリーズの最新作『仮面ライダーエグゼイド』(テレビ朝日系)の放送が開始されました。今回の仮面ライダーのテーマは「ゲーム」、そして舞台は「病院」であり、中心となる登場人物は「医者」という、これまでのシリーズで取り上げられなかったジャンルのものが多く、初回放送から視聴者に鮮烈な印象を与えています。特にこれまでのシリーズと決定的に違う部分としては「蛍光色を基調としたド派手でポップな見た目」でしょう。『仮面ライダーエグゼイド』放送前から良い意味で賛否が分かれるほどのインパクトがあるデザインは、各所で大いに話題となっていました。 「平成仮面ライダー」シリーズは今作で18作目を数え、テレビ放送された「昭和仮面ライダー」シリーズの約2倍の作品数となっています。同じく東映作品の「スーパー戦隊」シリーズが今年で40作品を数えるのを見ると18作は少なく感じますが、一つのTVドラマシリーズの放送が少しの間もあけずに15年以上も放送され続けているのですから、まぎれもなく長寿シリーズと言っても差し支えないでしょう。5歳で『仮面ライダークウガ』を見ていた少年は、現在はもう成人になっているのですから。 10年を越える長寿ドラマシリーズには大きく分けて2種類のパターンがあります。ひとつは完成されたフォーマットを踏襲し、基本を大きく崩さず連綿と続くパターン。もうひとつは前作の流れをほぼくみ取ることなく、常に新しい試みを取り入れ、スクラップアンドビルドを繰り返しシリーズに新しい風をもたらすパターン。特撮に限らず長寿ドラマシリーズにおいては、基本的にこの2種類になると思います。 言うまでもなく前者が「スーパー戦隊」シリーズで、後者が「平成仮面ライダー」シリーズとなります。こちらも言うまでもありませんが、あくまで両シリーズの長寿シリーズとしてのおおまかな違いであり、「スーパー戦隊」シリーズが革新的な要素がない、いつも同じ金太郎アメだ、ということではありません。 この違いを念頭において考えると、「平成仮面ライダー」シリーズの歴史はスクラップアンドビルドの歴史と言えます。それは『仮面ライダーエグゼイド』初回放送前後にネット上などが賛否両論となったことにも表れています。「次はどんなヒーローが現れるのか」この期待感はすべてのヒーローに当てはまる気持ちですが、こと「平成仮面ライダー」シリーズにおいてはその期待感、注目度は群を抜いて高いのです。 今回は『仮面ライダーエグゼイド』放送記念として、『仮面ライダーエグゼイド』と、ここ数年の「平成仮面ライダー」シリーズの初回放送直前直後タイミングにおける視聴者(主に私)の心の掴まれ方を比較し、「平成仮面ライダー」シリーズが絶えず挑戦する新機軸とは何なのか? について私の主観たっぷりで紐解きたいと思います。 ・『仮面ライダーエグゼイド』の新しさと賛否について 『仮面ライダーエグゼイド』(以下エグゼイドとします)の作劇面においての新しい試みは、テーマにゲーム、登場人物の職業を医者、舞台を病院にしている部分です。過去の特撮ヒーローにも救急、レスキューなど医療に携わるヒーローはいますが、彼らのほとんどは「事件、事故、災害現場の最前線」に駆けつけ救助するのが役目であり、医療の本拠地である病院はどちらかと言うとサブ的な立ち位置でした。『仮面ライダーエグゼイド』公式サイトより
物語の中心を病院にすることは非常に新しい印象を受けます。しかも、病院にはたくさんの医者がいますが、同じ医者でも小児科、外科、内科など担当分野がはっきりと分かれています。これが作劇面でどのように働くかと言うと、複数人の共闘中心ではなく、それぞれの思惑が入り乱れるストーリーが展開しやすい、ということ。同じ医療の現場で働くもの同士なのになぜ共闘と言い切れないのか。それは、テーマに「ゲーム」を用いているのが大きな理由です。 第一話の終盤に意味深な複数の人物が登場し、その中の一人の傍らにはエグゼイドのものと同型と思われる「ゲーマドライバー」があることから、これはもう100パーセント誰かが変身します。と言うか次回予告で複数の仮面ライダーが登場してましたし。 コンピュータゲームの醍醐味と言えば複数人でのプレイです。時に共闘し、時に熾烈なバトルを繰り広げる。なんなら共闘そっちのけでバトルの方が大いに盛り上がる場合もあります。 ゲームをテーマにしている以上この醍醐味は外せないものであり、共闘の他にバトルは必然と考えることができます。と言うか予告で“ライダーバトル”って言ってましたし。 ライダーバトルと言えば「戦わなければ生き残れない」でお馴染みの『仮面ライダー龍騎』(03年)では複数のライダーたちが入り乱れて戦う動機を「自身の願いを叶えるため」にしていましたが、エグゼイドでは戦う理由の外側を「ゲーム」とすることにより、いわばメタ的にライダーバトルの状況を作り上げています。ライダーのタイプも、アクション、RPG、シューティングと、それぞれ別ジャンルをモチーフにしていることもライダーバトルへの動線となっていると思われます。これまでのシリーズで扱わなかった新しい要素を大々的に投入しつつ、それが変化球ではなく芯を食った面白さ、物語への没入感に繋げている点はさすが『仮面ライダー』シリーズ、面白くない訳がありません。 さて、ここまでは第一話放送直後時点の設定面での新しさです。賛否両論が巻き起こったのは「仮面ライダーのデザインについて」に尽きます。 毎年、夏が終わる頃には次作の仮面ライダーの情報が届き「今度のライダーなんかすごいんだけど!」という話題で持ちきりになるのは、もはや恒例行事となっていますが、特に今年は「ざわつき方」が大きかったと思います。『エグゼイド』において特に目を引く部分は、ド派手でポップな蛍光色のボディと思われますが、蛍光色で言えば『仮面ライダーディケイド』(09年)は大胆にピンクを取り入れているので蛍光色がエグゼイドの特異な新しさ、と言い切るには惜しい気がします。 他のライダーとは決定的に違う点は、人間の顔に近い造形であることと、目(瞳)があることです。『エグゼイド』のテーマがゲームであることからキャラクター性の強いデザインになっており、これまでの仮面ライダーらしい意匠が見られません。 古来より仮面ライダーの顔は「マスク状のもの」で覆われており、目は「表情がわからない複眼のようなもの」もしくは「バイザー状のもので覆われている」と相場は決まっているのです。 しかし、しかしだ。放送前に公開された『エグゼイド』のビジュアルは、何をどう頑張って見ても仮面ライダーらしさを感じることができません。「仮面ライダーらしさ」というのは個人の基準であり、その基準は絶対的なものです。何をもって仮面ライダーとするのか。前述の「顔はマスク状で、目は複眼」という部分は私が「仮面ライダーらしさ」を求める場所であり、「触覚こそがライダーだ!」という方もいらっしゃると思います。各々差はあれど、おおよそ大部分の人が思う「仮面ライダーらしさ」は共通していると言っても過言ではないでしょう。 前置きが長くなりましたが、端的に言うと『エグゼイド』のビジュアルが発表になった瞬間、ほとんどの方は「なんじゃこりゃ!」と思われたのではないでしょうか? 極端な話、ここまで仮面ライダーからかけ離れていると「もはやこれは仮面ライダーでなくても良いのではないか?」という気持ちが出てこなくもないわけではないし、他のヒーローとしてなら良いんだけどね、仮面ライダーとなるとちょっと、と思われる方もいれば、「エグゼイド、歴代の中でも超カッコいい!」と思う方もいる。このように、エグゼイドは放送前の段階から印象が二極化するほどの「強烈すぎるインパクト」を備えていて、この時点で作品として半分は成功している、と言えるのです。 放送直前は既成概念を打ち破るデザインで賛否が巻き起こるが、放送直後は「あれ? 思ったよりもカッコいいかもお話も面白いぞ!」という流れは、ここ数年のシリーズで非常に多く見られます。いわゆる「平成シリーズヒットの法則」とでも言いましょうか。 「ここ数年」を明確に定義すると、『仮面ライダーW(ダブル)』(09年)からになります。『仮面ライダーエグゼイド』公式サイト、ストーリー紹介より
平成シリーズのヒットの法則を検証するにあたって『仮面ライダーW』を起点とした理由は、『W』の前作となる『仮面ライダーディケイド』が平成シリーズ10周年と銘打ち、ある意味でシリーズを総括して句読点をつけたこと、現在の『仮面ライダー』を取り巻く環境(テレビ、映画、おもちゃなどのコンテンツが複合的に絡み全方位でひとつの作品を作る)が完成したタイミングだからです。 では、順番にそれぞれの放送前、放送直後における印象を振り返ってみましょう。ここからは私の主観が多く含まれていることをご理解ください。『仮面ライダーW(ダブル)』公式サイトより
『仮面ライダーW』(09年) ・放送前 「仮面ライダーらしさ」を具現化しつつも現代のセンスを注入し古くささを感じさせないデザインはさすがの一言ですが、「これキカイダーじゃん」と思われた方も多いのでは。何につけても「真ん中分け」がどうなるのか。 ・放送後 左右で違う色の理由は二人で一人の仮面ライダーだったので、『キカイダー』じゃなく『バロム1』だった――という答え合わせよりも、ストーリーのテンポ感が良く、シリアスな場面もあるが全体的に陰鬱としないので楽しく見れる。序盤からフォームチェンジを多用したさまざまなアクションを目の当たりにすると、あれだけ気になった真ん中分けのデザインが格好良く見えてくるから不思議である。『仮面ライダーW』は第一話の時点でヒットの法則にハマったと言えます。
『仮面ライダーオーズ』(10年) ・放送前 ラスタカラーを基調とした印象的な配色に、頭、胴体、足を三分割している仕組みは今後の展開の幅広さを容易に想像させる好デザイン。仮面ライダーらしさを残しつつも、既存のイメージにとらわれない新しいライダーの登場を予感させます。前後数年にあった「なんじゃこりゃ!」感が少ない印象。 ・放送後 放送途中で『仮面ライダー』シリーズ放送1000回を迎えるため、仮面ライダーのデザインから物語に至るすべてにおいて盤石の態勢が敷かれていることが判る第一話の面白さ。ここ数年のシリーズに比べると作品自体の話題性が概ね好印象なものだった気がします。変身アイテム「オーメダル」の爆発的ヒットが希代の名作であることを証明しています。
『仮面ライダーフォーゼ』(11年) ・放送前 ロケットをモチーフにした平成シリーズ2期「なんじゃこりゃ!」大賞受賞のデザイン。「ライダー、どこいってしもたん?」と思われた方も多いのではないでしょうか。ロケットを模した三角の頭、宇宙服のようなテカテカした白いボディ、腕や足に装着される巨大なロケットやドリル、ああ目眩が……。 ・放送後 平成シリーズ2期の「動くととんでもなくカッコいい」大賞受賞。疑ってすみませんでした! 「平成仮面ライダー」シリーズで使用されるアイテム(ベルト、武器など)は一貫してメカニカルなガジェットがほとんどです。その点はもはや通例となっているのでツッコミは野暮ですが、「物語の世界観とガジェットのデザインの理由の不一致」を感じる瞬間もあります。しかし『フォーゼ』では、宇宙開発技術(詳しくは宇宙人との接触に対する人体への負担を減らす技術)を下敷きにしてアイテムが制作されている、というバックボーンを描くことによって、作品世界に登場するすべてに辻褄を合わせることに成功しているのです。奇抜さが目立つ『フォーゼ』のデザインも、宇宙開発技術の転用と考えれば大納得です。個人的には「仮面ライダー」全シリーズTOP3に入る好きな作品。
『仮面ライダーウィザード』(12年) ・放送前 指輪をモチーフにした平成2期における「なんじゃこりゃ!」大賞候補であるにも関わらず、大きなマントを棚引かせたスタイリッシュな立ち姿のインパクトは洗練されたヒーローの貫禄があり、とにかく「強そう」と思わせる何かを醸し出している姿が印象的です。それでも、顔が指輪そのままというのは、大丈夫なんだろうか。 ・放送後 魔法を大々的に取り入れたド派手なアクションは想像通りカッコ良かったのですが、惜しむらくは「結局はライダーの強さというよりも魔法の強さ」が突出していた印象。物語の主軸が魔法バトルものではないのでお門違いかも知れませんが、魔法ってジャンケンのようなシステムじゃないと駆け引きができない気がします。特化した能力を使える条件として決定的な弱点を付与されるように。序盤の盛り上がりは目を見張るものがありましたが、終盤において惜しさが目立ったなんとも惜しい作品。ビーストは最高にカッコいい。
『仮面ライダー鎧武』(13年) ・放送前 フルーツと武将。みかんと鎧。それが仮面ライダー。一体何が起こっているんだ。ここまでくると誰しもが容易に想像できる「仮面ライダーらしさ」を意図的に排除し、新しい仮面ライダーを作る気概を感じるデザインでした。 ・放送後 頭からみかんを被って変身する時代が到来。シズル感たっぷりの映像を前に我々は一瞬何の番組を見ているか判らなくなる瞬間がありますが、複数人が同じシステムを用い骨肉の争いを予感させる世界観は、平成シリーズ初期を思わせるハードでシリアスな作風で、ジューシーなヒーローというギャグ寄りな面白さに引きずられない作劇はお見事。動くとカッコいいのは鎧武よりも斬月に軍配が上がります。話題性、インパクト、放送後の印象やその後の展開、平成シリーズヒットの法則の王道に則っています。
『仮面ライダードライブ』(14年) ・放送前 「仮面ライダーらしさ」からの脱却が「平成仮面ライダー」シリーズの大きなテーマとするならば、『仮面ライダードライブ』における既存シリーズからの脱却ポイントは「バイクに乗らずに車に乗る」こと。これじゃ“仮面ドライバー”じゃないか。しかし、デザインはコンセプトカーを彷彿とさせるメカニカルな意匠で、メタルヒーロー路線のメカメカしさは男子心をくすぐり、もはやバイクでも車でもどっちでもいい! 今度の仮面ライダーはカッコいいぞ! と唸らせる説得力があります。こんなヒーローを待っていた!(放送直前の私の心の叫び) ・放送後 ヒーローらしさ、ドラマのテンポ感、アクション、どれを取っても面白く、これぞ王道の特撮ヒーローと言っても過言ではありません。しかし、本格的に盛り上がりを見せるのは2号ライダーポジションの仮面ライダーマッハの登場と、敵側の幹部キャラ・魔神チェイサーの秘密が判明するあたりまで待たなければいけません。序盤のテンションはギアをローにして走っている状態なので、トップギアに入るのが若干待ち遠しく感じます。
『仮面ライダーゴースト』(15年) 放送前 恐山のイタコ的な発想で歴史の偉人を憑依させて戦う、フードを被った仮面ライダー。日本のヒーローにはあまり見られないタイプのストリート感溢れる意匠は、海外のダークヒーローを思わせる存在感があります。この時期、巷を席巻していた妖怪ブームがイメージ元か? という邪推もあったりなかったり。 放送後 仮面ライダーらしさから対極に位置していると思いきや「一度死んでいる=普通の人間ではない」という状況は昭和仮面ライダーシリーズに通じる設定であり、偉人の魂を憑依させる点もこれまでの仮面ライダーの歴史(魂)を受け継ぐ、と読み取ることができます。放送中に仮面ライダーシリーズ45周年を迎えたことからもわかる通り、ゴーストは正しく「仮面ライダー」なのです。 ここまで、09年か015年まで振り返りました。何度も言いますが、私の主観が多く含まれている部分(と言うかほとんど)がありますので「そんな風に見てないんだけど!」というお気持ちも重々承知しておりますので、抜いた刀を一旦お収め頂ければ幸いです。 検証するまでもありませんでしたが、『仮面ライダーW』から『仮面ライダーエグゼイド』までもれなく「放送前の賛否分かれる話題性」から「放送後のインパクト」が同じ流れになっています。仮面ライダーシリーズが絶えず挑戦する新機軸の現れ、ということなのですが、この新機軸の本質とは一体なんなのでしょうか。 ・仮面ライダーらしさ、とは 特撮ヒーローとして「仮面ライダー」シリーズと双璧を成す「スーパー戦隊」シリーズの根幹は「制約がある中での挑戦」とみることができます。判りやすい例は、「スーパー戦隊」シリーズでは変身後のスーツのデザインが従来の物から大きく逸脱しません。外側がある程度決められた制約(あえて制約と表現していますが)の中で、独自のアイデンティティを生み出すデザインへの挑戦が行われているのです。
それに対し「仮面ライダー」シリーズにはデザイン面に関する制約がありません。毎作ごとに前年のイメージを払拭するかのごとく斬新で、時には奇抜とも思えるデザインの仮面ライダーが登場します。こうやってみると、平成シリーズにおける新機軸は「新しいデザインの仮面ライダー」と思いますが、それがすべてではないと思います。 仮面ライダー1号が確立し、今日まで「仮面ライダーらしさ」と私たちが感じる部分は、仮面ライダーとは人ならざるもの、すなわち「異形のヒーロー」であることです。複眼や触覚、マスクなどはそれに付随する外見的要素です。昭和仮面ライダー、特に1号のデザインはもはやヒーローのスタンダードとなっていますが、本質は異形のものなのです。こんなヒーロー見たことない。この気持ちです。その本質を頭の隅に置きながら振り返ると、平成シリーズに多く見られる「なんじゃこりゃ!」感は、むしろ正しい反応と思えてなりません。私たちが「こんなの仮面ライダーらしくない!」と思っていたのは、形骸化されたヒーロー像を追い求めていた、ということ。 蛍光色で目に瞳があって多段変身に2頭身形態があるゲームキャラのような仮面ライダーは明らかに異形ですが、その異形感は正しくシリーズの「らしさ」を継承した仮面ライダーと言えるのではないでしょうか。 「平成仮面ライダー」シリーズが絶えず挑戦しているのは「仮面ライダーの本質をまったく違う方法論で創造する」ことであり、それが新機軸の根幹を成しているのです。 毎年新作のタイミングで話題にのぼる仮面ライダーデザインの賛否両論がある限り、私たちが愛し憧れる仮面ライダーは日本の特撮ヒーローの最前線を牽引し続けるのです。そう思うと、「こんなの見たことない!」と思わせる仮面ライダーの登場を期待せずにはいられません。 いかがだったでしょうか? 先日、第2話の放送がされた『仮面ライダーエグゼイド』は予想通りと言うか予想の斜め上をいく展開を見せており、第2話とは思えない畳み掛けるようなテンポ感に早くも夢中になるファンが続出しています。 「派手すぎて仮面ライダーっぽくないじゃん」と敬遠している方にこそおすすめしたい作品ですので、物は試しと思ってご視聴してみてください。これまで見たことのない、だけど紛れもなく正真正銘の仮面ライダーが、そこにいます。 ■モノブライト公式サイト http://www.monobright.jp/ ■モノブライト セルフカバー『VerSus』をリリース! 発売日:2016年10月12日(水)リリース 価格:1,667円(税抜) 品番;ASCU-2007 レーベル:kiraku records. ■10月20日(木)より全国5ヶ所を回る対バンツアー「Bright VerSus Tour」開催決定! ・10月20日(木) @福岡 the voodoo lounge ・10月22日(土) @広島 BACK BEAT ・10月24日(月) @名古屋 CLUB UPSET ・10月29日(土) @仙台PARK SQUARE ・11月03日(木・祝)@新代田FEVER ・チケット 前売 ¥3,600(DRINK代別) ※全公演共通 チケットぴあ https://goo.gl/Yq3xSO ローソンチケット https://goo.gl/N2sK4O イープラス https://goo.gl/sSv2B3映画『ライダー1号』公式サイトより
モノブライト出口博之の特撮自由帳 「こんなのライダーじゃない!」というにはまだ早い!『仮面ライダーエグゼイド』に見る平成仮面ライダーのデザインの魅力とは!?
こんにちは、モノブライトのベース、出口です。
仮面ライダーシリーズの最新作『仮面ライダーエグゼイド』(テレビ朝日系)の放送が開始されました。今回の仮面ライダーのテーマは「ゲーム」、そして舞台は「病院」であり、中心となる登場人物は「医者」という、これまでのシリーズで取り上げられなかったジャンルのものが多く、初回放送から視聴者に鮮烈な印象を与えています。特にこれまでのシリーズと決定的に違う部分としては「蛍光色を基調としたド派手でポップな見た目」でしょう。『仮面ライダーエグゼイド』放送前から良い意味で賛否が分かれるほどのインパクトがあるデザインは、各所で大いに話題となっていました。 「平成仮面ライダー」シリーズは今作で18作目を数え、テレビ放送された「昭和仮面ライダー」シリーズの約2倍の作品数となっています。同じく東映作品の「スーパー戦隊」シリーズが今年で40作品を数えるのを見ると18作は少なく感じますが、一つのTVドラマシリーズの放送が少しの間もあけずに15年以上も放送され続けているのですから、まぎれもなく長寿シリーズと言っても差し支えないでしょう。5歳で『仮面ライダークウガ』を見ていた少年は、現在はもう成人になっているのですから。 10年を越える長寿ドラマシリーズには大きく分けて2種類のパターンがあります。ひとつは完成されたフォーマットを踏襲し、基本を大きく崩さず連綿と続くパターン。もうひとつは前作の流れをほぼくみ取ることなく、常に新しい試みを取り入れ、スクラップアンドビルドを繰り返しシリーズに新しい風をもたらすパターン。特撮に限らず長寿ドラマシリーズにおいては、基本的にこの2種類になると思います。 言うまでもなく前者が「スーパー戦隊」シリーズで、後者が「平成仮面ライダー」シリーズとなります。こちらも言うまでもありませんが、あくまで両シリーズの長寿シリーズとしてのおおまかな違いであり、「スーパー戦隊」シリーズが革新的な要素がない、いつも同じ金太郎アメだ、ということではありません。 この違いを念頭において考えると、「平成仮面ライダー」シリーズの歴史はスクラップアンドビルドの歴史と言えます。それは『仮面ライダーエグゼイド』初回放送前後にネット上などが賛否両論となったことにも表れています。「次はどんなヒーローが現れるのか」この期待感はすべてのヒーローに当てはまる気持ちですが、こと「平成仮面ライダー」シリーズにおいてはその期待感、注目度は群を抜いて高いのです。 今回は『仮面ライダーエグゼイド』放送記念として、『仮面ライダーエグゼイド』と、ここ数年の「平成仮面ライダー」シリーズの初回放送直前直後タイミングにおける視聴者(主に私)の心の掴まれ方を比較し、「平成仮面ライダー」シリーズが絶えず挑戦する新機軸とは何なのか? について私の主観たっぷりで紐解きたいと思います。 ・『仮面ライダーエグゼイド』の新しさと賛否について 『仮面ライダーエグゼイド』(以下エグゼイドとします)の作劇面においての新しい試みは、テーマにゲーム、登場人物の職業を医者、舞台を病院にしている部分です。過去の特撮ヒーローにも救急、レスキューなど医療に携わるヒーローはいますが、彼らのほとんどは「事件、事故、災害現場の最前線」に駆けつけ救助するのが役目であり、医療の本拠地である病院はどちらかと言うとサブ的な立ち位置でした。『仮面ライダーエグゼイド』公式サイトより
物語の中心を病院にすることは非常に新しい印象を受けます。しかも、病院にはたくさんの医者がいますが、同じ医者でも小児科、外科、内科など担当分野がはっきりと分かれています。これが作劇面でどのように働くかと言うと、複数人の共闘中心ではなく、それぞれの思惑が入り乱れるストーリーが展開しやすい、ということ。同じ医療の現場で働くもの同士なのになぜ共闘と言い切れないのか。それは、テーマに「ゲーム」を用いているのが大きな理由です。 第一話の終盤に意味深な複数の人物が登場し、その中の一人の傍らにはエグゼイドのものと同型と思われる「ゲーマドライバー」があることから、これはもう100パーセント誰かが変身します。と言うか次回予告で複数の仮面ライダーが登場してましたし。 コンピュータゲームの醍醐味と言えば複数人でのプレイです。時に共闘し、時に熾烈なバトルを繰り広げる。なんなら共闘そっちのけでバトルの方が大いに盛り上がる場合もあります。 ゲームをテーマにしている以上この醍醐味は外せないものであり、共闘の他にバトルは必然と考えることができます。と言うか予告で“ライダーバトル”って言ってましたし。 ライダーバトルと言えば「戦わなければ生き残れない」でお馴染みの『仮面ライダー龍騎』(03年)では複数のライダーたちが入り乱れて戦う動機を「自身の願いを叶えるため」にしていましたが、エグゼイドでは戦う理由の外側を「ゲーム」とすることにより、いわばメタ的にライダーバトルの状況を作り上げています。ライダーのタイプも、アクション、RPG、シューティングと、それぞれ別ジャンルをモチーフにしていることもライダーバトルへの動線となっていると思われます。これまでのシリーズで扱わなかった新しい要素を大々的に投入しつつ、それが変化球ではなく芯を食った面白さ、物語への没入感に繋げている点はさすが『仮面ライダー』シリーズ、面白くない訳がありません。 さて、ここまでは第一話放送直後時点の設定面での新しさです。賛否両論が巻き起こったのは「仮面ライダーのデザインについて」に尽きます。 毎年、夏が終わる頃には次作の仮面ライダーの情報が届き「今度のライダーなんかすごいんだけど!」という話題で持ちきりになるのは、もはや恒例行事となっていますが、特に今年は「ざわつき方」が大きかったと思います。『エグゼイド』において特に目を引く部分は、ド派手でポップな蛍光色のボディと思われますが、蛍光色で言えば『仮面ライダーディケイド』(09年)は大胆にピンクを取り入れているので蛍光色がエグゼイドの特異な新しさ、と言い切るには惜しい気がします。 他のライダーとは決定的に違う点は、人間の顔に近い造形であることと、目(瞳)があることです。『エグゼイド』のテーマがゲームであることからキャラクター性の強いデザインになっており、これまでの仮面ライダーらしい意匠が見られません。 古来より仮面ライダーの顔は「マスク状のもの」で覆われており、目は「表情がわからない複眼のようなもの」もしくは「バイザー状のもので覆われている」と相場は決まっているのです。 しかし、しかしだ。放送前に公開された『エグゼイド』のビジュアルは、何をどう頑張って見ても仮面ライダーらしさを感じることができません。「仮面ライダーらしさ」というのは個人の基準であり、その基準は絶対的なものです。何をもって仮面ライダーとするのか。前述の「顔はマスク状で、目は複眼」という部分は私が「仮面ライダーらしさ」を求める場所であり、「触覚こそがライダーだ!」という方もいらっしゃると思います。各々差はあれど、おおよそ大部分の人が思う「仮面ライダーらしさ」は共通していると言っても過言ではないでしょう。 前置きが長くなりましたが、端的に言うと『エグゼイド』のビジュアルが発表になった瞬間、ほとんどの方は「なんじゃこりゃ!」と思われたのではないでしょうか? 極端な話、ここまで仮面ライダーからかけ離れていると「もはやこれは仮面ライダーでなくても良いのではないか?」という気持ちが出てこなくもないわけではないし、他のヒーローとしてなら良いんだけどね、仮面ライダーとなるとちょっと、と思われる方もいれば、「エグゼイド、歴代の中でも超カッコいい!」と思う方もいる。このように、エグゼイドは放送前の段階から印象が二極化するほどの「強烈すぎるインパクト」を備えていて、この時点で作品として半分は成功している、と言えるのです。 放送直前は既成概念を打ち破るデザインで賛否が巻き起こるが、放送直後は「あれ? 思ったよりもカッコいいかもお話も面白いぞ!」という流れは、ここ数年のシリーズで非常に多く見られます。いわゆる「平成シリーズヒットの法則」とでも言いましょうか。 「ここ数年」を明確に定義すると、『仮面ライダーW(ダブル)』(09年)からになります。『仮面ライダーエグゼイド』公式サイト、ストーリー紹介より
平成シリーズのヒットの法則を検証するにあたって『仮面ライダーW』を起点とした理由は、『W』の前作となる『仮面ライダーディケイド』が平成シリーズ10周年と銘打ち、ある意味でシリーズを総括して句読点をつけたこと、現在の『仮面ライダー』を取り巻く環境(テレビ、映画、おもちゃなどのコンテンツが複合的に絡み全方位でひとつの作品を作る)が完成したタイミングだからです。 では、順番にそれぞれの放送前、放送直後における印象を振り返ってみましょう。ここからは私の主観が多く含まれていることをご理解ください。『仮面ライダーW(ダブル)』公式サイトより
『仮面ライダーW』(09年) ・放送前 「仮面ライダーらしさ」を具現化しつつも現代のセンスを注入し古くささを感じさせないデザインはさすがの一言ですが、「これキカイダーじゃん」と思われた方も多いのでは。何につけても「真ん中分け」がどうなるのか。 ・放送後 左右で違う色の理由は二人で一人の仮面ライダーだったので、『キカイダー』じゃなく『バロム1』だった――という答え合わせよりも、ストーリーのテンポ感が良く、シリアスな場面もあるが全体的に陰鬱としないので楽しく見れる。序盤からフォームチェンジを多用したさまざまなアクションを目の当たりにすると、あれだけ気になった真ん中分けのデザインが格好良く見えてくるから不思議である。『仮面ライダーW』は第一話の時点でヒットの法則にハマったと言えます。
『仮面ライダーオーズ』(10年) ・放送前 ラスタカラーを基調とした印象的な配色に、頭、胴体、足を三分割している仕組みは今後の展開の幅広さを容易に想像させる好デザイン。仮面ライダーらしさを残しつつも、既存のイメージにとらわれない新しいライダーの登場を予感させます。前後数年にあった「なんじゃこりゃ!」感が少ない印象。 ・放送後 放送途中で『仮面ライダー』シリーズ放送1000回を迎えるため、仮面ライダーのデザインから物語に至るすべてにおいて盤石の態勢が敷かれていることが判る第一話の面白さ。ここ数年のシリーズに比べると作品自体の話題性が概ね好印象なものだった気がします。変身アイテム「オーメダル」の爆発的ヒットが希代の名作であることを証明しています。
『仮面ライダーフォーゼ』(11年) ・放送前 ロケットをモチーフにした平成シリーズ2期「なんじゃこりゃ!」大賞受賞のデザイン。「ライダー、どこいってしもたん?」と思われた方も多いのではないでしょうか。ロケットを模した三角の頭、宇宙服のようなテカテカした白いボディ、腕や足に装着される巨大なロケットやドリル、ああ目眩が……。 ・放送後 平成シリーズ2期の「動くととんでもなくカッコいい」大賞受賞。疑ってすみませんでした! 「平成仮面ライダー」シリーズで使用されるアイテム(ベルト、武器など)は一貫してメカニカルなガジェットがほとんどです。その点はもはや通例となっているのでツッコミは野暮ですが、「物語の世界観とガジェットのデザインの理由の不一致」を感じる瞬間もあります。しかし『フォーゼ』では、宇宙開発技術(詳しくは宇宙人との接触に対する人体への負担を減らす技術)を下敷きにしてアイテムが制作されている、というバックボーンを描くことによって、作品世界に登場するすべてに辻褄を合わせることに成功しているのです。奇抜さが目立つ『フォーゼ』のデザインも、宇宙開発技術の転用と考えれば大納得です。個人的には「仮面ライダー」全シリーズTOP3に入る好きな作品。
『仮面ライダーウィザード』(12年) ・放送前 指輪をモチーフにした平成2期における「なんじゃこりゃ!」大賞候補であるにも関わらず、大きなマントを棚引かせたスタイリッシュな立ち姿のインパクトは洗練されたヒーローの貫禄があり、とにかく「強そう」と思わせる何かを醸し出している姿が印象的です。それでも、顔が指輪そのままというのは、大丈夫なんだろうか。 ・放送後 魔法を大々的に取り入れたド派手なアクションは想像通りカッコ良かったのですが、惜しむらくは「結局はライダーの強さというよりも魔法の強さ」が突出していた印象。物語の主軸が魔法バトルものではないのでお門違いかも知れませんが、魔法ってジャンケンのようなシステムじゃないと駆け引きができない気がします。特化した能力を使える条件として決定的な弱点を付与されるように。序盤の盛り上がりは目を見張るものがありましたが、終盤において惜しさが目立ったなんとも惜しい作品。ビーストは最高にカッコいい。
『仮面ライダー鎧武』(13年) ・放送前 フルーツと武将。みかんと鎧。それが仮面ライダー。一体何が起こっているんだ。ここまでくると誰しもが容易に想像できる「仮面ライダーらしさ」を意図的に排除し、新しい仮面ライダーを作る気概を感じるデザインでした。 ・放送後 頭からみかんを被って変身する時代が到来。シズル感たっぷりの映像を前に我々は一瞬何の番組を見ているか判らなくなる瞬間がありますが、複数人が同じシステムを用い骨肉の争いを予感させる世界観は、平成シリーズ初期を思わせるハードでシリアスな作風で、ジューシーなヒーローというギャグ寄りな面白さに引きずられない作劇はお見事。動くとカッコいいのは鎧武よりも斬月に軍配が上がります。話題性、インパクト、放送後の印象やその後の展開、平成シリーズヒットの法則の王道に則っています。
『仮面ライダードライブ』(14年) ・放送前 「仮面ライダーらしさ」からの脱却が「平成仮面ライダー」シリーズの大きなテーマとするならば、『仮面ライダードライブ』における既存シリーズからの脱却ポイントは「バイクに乗らずに車に乗る」こと。これじゃ“仮面ドライバー”じゃないか。しかし、デザインはコンセプトカーを彷彿とさせるメカニカルな意匠で、メタルヒーロー路線のメカメカしさは男子心をくすぐり、もはやバイクでも車でもどっちでもいい! 今度の仮面ライダーはカッコいいぞ! と唸らせる説得力があります。こんなヒーローを待っていた!(放送直前の私の心の叫び) ・放送後 ヒーローらしさ、ドラマのテンポ感、アクション、どれを取っても面白く、これぞ王道の特撮ヒーローと言っても過言ではありません。しかし、本格的に盛り上がりを見せるのは2号ライダーポジションの仮面ライダーマッハの登場と、敵側の幹部キャラ・魔神チェイサーの秘密が判明するあたりまで待たなければいけません。序盤のテンションはギアをローにして走っている状態なので、トップギアに入るのが若干待ち遠しく感じます。
『仮面ライダーゴースト』(15年) 放送前 恐山のイタコ的な発想で歴史の偉人を憑依させて戦う、フードを被った仮面ライダー。日本のヒーローにはあまり見られないタイプのストリート感溢れる意匠は、海外のダークヒーローを思わせる存在感があります。この時期、巷を席巻していた妖怪ブームがイメージ元か? という邪推もあったりなかったり。 放送後 仮面ライダーらしさから対極に位置していると思いきや「一度死んでいる=普通の人間ではない」という状況は昭和仮面ライダーシリーズに通じる設定であり、偉人の魂を憑依させる点もこれまでの仮面ライダーの歴史(魂)を受け継ぐ、と読み取ることができます。放送中に仮面ライダーシリーズ45周年を迎えたことからもわかる通り、ゴーストは正しく「仮面ライダー」なのです。 ここまで、09年か015年まで振り返りました。何度も言いますが、私の主観が多く含まれている部分(と言うかほとんど)がありますので「そんな風に見てないんだけど!」というお気持ちも重々承知しておりますので、抜いた刀を一旦お収め頂ければ幸いです。 検証するまでもありませんでしたが、『仮面ライダーW』から『仮面ライダーエグゼイド』までもれなく「放送前の賛否分かれる話題性」から「放送後のインパクト」が同じ流れになっています。仮面ライダーシリーズが絶えず挑戦する新機軸の現れ、ということなのですが、この新機軸の本質とは一体なんなのでしょうか。 ・仮面ライダーらしさ、とは 特撮ヒーローとして「仮面ライダー」シリーズと双璧を成す「スーパー戦隊」シリーズの根幹は「制約がある中での挑戦」とみることができます。判りやすい例は、「スーパー戦隊」シリーズでは変身後のスーツのデザインが従来の物から大きく逸脱しません。外側がある程度決められた制約(あえて制約と表現していますが)の中で、独自のアイデンティティを生み出すデザインへの挑戦が行われているのです。
それに対し「仮面ライダー」シリーズにはデザイン面に関する制約がありません。毎作ごとに前年のイメージを払拭するかのごとく斬新で、時には奇抜とも思えるデザインの仮面ライダーが登場します。こうやってみると、平成シリーズにおける新機軸は「新しいデザインの仮面ライダー」と思いますが、それがすべてではないと思います。 仮面ライダー1号が確立し、今日まで「仮面ライダーらしさ」と私たちが感じる部分は、仮面ライダーとは人ならざるもの、すなわち「異形のヒーロー」であることです。複眼や触覚、マスクなどはそれに付随する外見的要素です。昭和仮面ライダー、特に1号のデザインはもはやヒーローのスタンダードとなっていますが、本質は異形のものなのです。こんなヒーロー見たことない。この気持ちです。その本質を頭の隅に置きながら振り返ると、平成シリーズに多く見られる「なんじゃこりゃ!」感は、むしろ正しい反応と思えてなりません。私たちが「こんなの仮面ライダーらしくない!」と思っていたのは、形骸化されたヒーロー像を追い求めていた、ということ。 蛍光色で目に瞳があって多段変身に2頭身形態があるゲームキャラのような仮面ライダーは明らかに異形ですが、その異形感は正しくシリーズの「らしさ」を継承した仮面ライダーと言えるのではないでしょうか。 「平成仮面ライダー」シリーズが絶えず挑戦しているのは「仮面ライダーの本質をまったく違う方法論で創造する」ことであり、それが新機軸の根幹を成しているのです。 毎年新作のタイミングで話題にのぼる仮面ライダーデザインの賛否両論がある限り、私たちが愛し憧れる仮面ライダーは日本の特撮ヒーローの最前線を牽引し続けるのです。そう思うと、「こんなの見たことない!」と思わせる仮面ライダーの登場を期待せずにはいられません。 いかがだったでしょうか? 先日、第2話の放送がされた『仮面ライダーエグゼイド』は予想通りと言うか予想の斜め上をいく展開を見せており、第2話とは思えない畳み掛けるようなテンポ感に早くも夢中になるファンが続出しています。 「派手すぎて仮面ライダーっぽくないじゃん」と敬遠している方にこそおすすめしたい作品ですので、物は試しと思ってご視聴してみてください。これまで見たことのない、だけど紛れもなく正真正銘の仮面ライダーが、そこにいます。 ■モノブライト公式サイト http://www.monobright.jp/ ■モノブライト セルフカバー『VerSus』をリリース! 発売日:2016年10月12日(水)リリース 価格:1,667円(税抜) 品番;ASCU-2007 レーベル:kiraku records. ■10月20日(木)より全国5ヶ所を回る対バンツアー「Bright VerSus Tour」開催決定! ・10月20日(木) @福岡 the voodoo lounge ・10月22日(土) @広島 BACK BEAT ・10月24日(月) @名古屋 CLUB UPSET ・10月29日(土) @仙台PARK SQUARE ・11月03日(木・祝)@新代田FEVER ・チケット 前売 ¥3,600(DRINK代別) ※全公演共通 チケットぴあ https://goo.gl/Yq3xSO ローソンチケット https://goo.gl/N2sK4O イープラス https://goo.gl/sSv2B3映画『ライダー1号』公式サイトより
信長はホトトギス、秀吉はサル、もちろん家康はタヌキ……戦国をおもしろく遊ぶ個性派アニメ『戦国鳥獣戯画』インタビュー!
日本の歴史にその名を残す有名な戦国武将たちを、織田信長はホトトギス、豊臣秀吉はサル、そして徳川家康はタヌキなどへ、大胆に擬人化ならぬ“擬獣化”。
話題の若手人気俳優などを個性派キャスト大集結のもと、日本の歴史と戦国武将でおもしろおかしく遊んじゃおうという、個性派TVアニメ『戦国鳥獣戯画』(KBC九州朝日テレビほか/以下「KBCテレビ」)。
ちょっとトボけた風味がたまらなく面白いタッチも相まって、今クールも大量に始まった新作TVアニメたちの中でも、独特の存在感を示している。オリジナルアニメとあって、今後の展開や、そもそもどんな経緯を経てTVアニメ放送にまで至ったのか、気になるところを、制作を務める株式会社ILCAの広瀬基樹プロデューサーに聞いてみた!
■海外展開も視野に、なじみがある画風に皆大好き戦国を ―― オリジナルTVアニメなので、まだ放送を見ていない読者のためにも、まずは『戦国鳥獣戯画』がどんな作品なのか、説明からお願いします。 広瀬基樹(以下、「広瀬」) 弊社はこれまでに、テレビ東京さん、テレビ神奈川さん、KBCテレビさん、KBS京都さんなどと今まで何本かショートのオリジナルコンテンツを制作してきました。作品を海外で見てもらう機会も増えてきているのですが、海外では――アジアや欧米では、やはりどこかに日本らしさがあるものが受けるよね、と考えていまして。 ―― 海外の人が思い描く日本っぽいものというか。 広瀬 そうですね。日本古来のホラー表現で描く『闇芝居』、ちょっと特撮っぽい『ドアマイガーD』、『暗闇三太』(2015年)のような白黒アニメや、ロトスコープを使用したショートのホラーアニメ『こわぼん』(2015年)など、どの作品も海外で見られることを意識したコンテンツを制作してきました。さて、次にどういうもので日本を表現するか、ちょっと普通じゃないアニメを制作できるかと考えたときに、日本の和美術に注目しました。葛飾北斎、伊藤若冲、歌川国芳、歌川国貞、それに鳥獣戯画など、今の若い人たちは、美術館に行列して観に行っていますし、何だかんだで目にしているでしょうし、海外の人からすると結構ポップなものとして受け止められている。これは、取り入れたいと感じたんです。 ―― そこへ、“戦国”をミックスさせるアイデアも面白いです。 広瀬 ずっと脈々とある歴史ブームといいますか、今も大河ドラマ『真田丸』(NHK)が盛り上がってますが、戦国時代のお話は、ロマンがありますし、いろいろ解釈が分かれているのも面白いですよね。そこで、“江戸時代の人が想像する戦国時代のお話”という設定を付け足したんです。家康は江戸時代からもタヌキって言われてバカにされてたかもしれないし、信長は怖い印象もありますが、実は優しい人だったみたいな記述もあるのでそういうエピソードを取り入れたり。現代にまで残っている歴史的なエピソードというのは、江戸時代の人たちの方がもっと色濃く、噂話を聞いたり、色々な物を読んだりしているはずなので、彼らが歴史武将をいじったら、こうなるんじゃないかっていうのをマンガ=墨絵で描いて、その絵が動き出したら、これはちょっと普通じゃないなと(笑)。 ―― それこそ、真田幸村も本当は真田信繁だけれども、講談などで“幸村”の名が広まったわけですものね。 広瀬 そうですそうです。まあ『真田丸』でも、ちょうど幸村って呼ばれ始めましたけど。もともとある日本の歴史ブームと最近海外でも触れられている和美術っていうものを組み合わせたいというのがあって、そこへ江戸時代の人が描いたようなマンガが動いたらどうだろうっていうアイデアを、織り交ぜたというイメージでしょうか。(C)「戦国鳥獣戯画」製作委員会
■わかる人にしかわからない小ネタもしっかりと ―― 『戦国鳥獣戯画』は、この独特なタッチの画風がやはり目立ちます。 広瀬 ただの歴史物ではなく、やっぱり江戸の人々が揶揄したり、パロったりしたものっていうのを会話で見せたいなと思ったんです、シチュエーションコメディー、会話劇みたいなものを。それには画は単純なほうがいいだろうと考えました。それに、この墨絵っぽい画が動くだけでも面白いだろうなと。 ―― 線は単純ですけど、その分描くのには求められるスキルが高そうです。 広瀬 演出の住田崇さんと作画のニイルセンさんのペアが、バッチリの絵を仕上げてくださってます。お2人とは、これまでも色々な作品でご一緒してきました。『実在性ミリオンアーサー』(tvk)の時です。イラストを押し出したあの番組を作る際、「うってつけの人物がいる」と、住田さんから最初にニイルセンさんを紹介されたんです。ニイルセンさんは“傭兵美術”と名乗られている通り、TVのバラエティや、ドラマ、舞台のステージ演出で使われるイラストやアニメーション原画など、幅広いイラストを描かれています。リクエストに応えて、「○○風のイラスト」を描くのがすごく上手なので、墨絵風のイラストも描いてみてもらったらやっぱり上手なんですよね。そこから住田さんとも、線の太さや、色の濃さなどは検討して、今の作風に至りました。 ―― 作画は大変そうですよね。1話目は割と動いてましたけど2話目は…… 広瀬 カメラワークの妙で(笑)。基本的には、キーになるキャラ設定画と背景をニイルセンさんが描き、その後、差分をアニメメーターに担当してもらうというイメージです。フラッシュアニメと感覚は近いんですけど、本当にもう4~5人とかで作っていますね。 ―― TVアニメの黎明期みたいですね(笑)。 広瀬 まあ尺が3分弱だから成り立っている部分はあると思います。作画兼動画というか、何でもできる人を揃えて、どうにか回しているという感じです。 ―― ある意味ショートアニメだからこその力業ですよね。 広瀬 そうですね。ただ、内容的にもやっぱり出オチじゃないですけど、企画自体のインパクトが強いので、長尺だと視聴者が飽きてしまうのでは、という心配もあります(笑)。もうちょっと続きが見たかったな、来週が楽しみだなという感じで終わっていく、気楽に見られるくらいが、本作にはちょうどいいなと思っています。 ―― 単純に、来週はどの有名武将が出てきて、その武将はどんな動物として描かれているか? という部分も、『戦国鳥獣戯画』の楽しみなところです。 広瀬 有名な合戦や、名言だけでなく、歴史が好きな人にはわかるネタというか、小ネタは結構本気で調べていて、歴史監修で現役の大学の先生方にもご相談しながら、探っています。 ―― いわゆる時代考証の先生ですね。 広瀬 第1話で言うと河童姿で登場したオルガンティノという宣教師が、信長の横でおにぎりを食べてたんですけど、彼なんかはもともとは当然パン食なんですけど、日本に来て、結構白米を好んでお米を食べていたので、日本人とも親しかったというエピソードがあったので、おにぎりを食べさせていたり。そういう細かいネタを必ず入れるというのはコンセプトとしてやってます。第2話だと、七本槍の福島正則がよく酒を飲んで暴れたというエピソードを挿入しています。当時の人、江戸時代の人からしてもそういったエピソードは面白かったはずですから、いじるだろうなと。上から信長、秀吉、家康
―― 歴史的によく知られたエピソードをしっかり入れ込むというのは、現在『真田丸』が人気あるというのとも共通している気がします。 広瀬 知っている人には「あーわかってるわかってる」ってうなずいてもらえるし、知らない人にはそれで覚えてもらっても面白いと思います。逆に秀吉が草履を温めていたなんていう話は有名じゃないですか。その辺は今更やらなくてもいいだろうと、今はあえて拾わないことにしているんですが、アレンジするアイディアも検討していたりします。作中の七本槍。右から3人(体?)目のイノシシが福島正則
■中村橋之助さんも起用のキャスティングは、後々の展開も考えて ―― 声優さんキャストさん方がほぼ皆さん若い俳優さんというのはどんな意図があったのですか。 広瀬 やっぱり戦国時代のことを扱って、しかも住田さんが演出するとなった時にどうしても『戦国鍋TV~なんとなく歴史が学べる映像~』(10年)を意識される方も多いと思うんですが、そこは区別したいなと思っているんです。戦国鍋は「学べる」がテーマにありました。本作では「戯画」の“戯れる”をキーワードにしてまして。 ―― ふざけるとか、騒ぐというような意味合いですね。 広瀬 はい、武将たちが、わちゃわちゃしている雰囲気を出したいと当初から考えていたんです。武将を演じるときに、誰がわちゃわちゃしていると、見ている人が楽しいかというと、やっぱり若い男の子かなと。裏テーマとしては、可愛いキャラクターたちを演じる彼らが“戯れ遊ぶ”様子を楽しんでくださいというのもあって、収録は、基本は全員一緒に行っているんです。 ―― ショートアニメで、しかも登場キャラも多いのに。 広瀬 やっぱり会話劇ですから、実際に対面して収録している方がやりとりがイキイキするんですよね。部活の先輩後輩みたいなノリで、わちゃわちゃしゃべって欲しかったんです。もちろん台詞も台本もありますけど、そこに役者さんタチの普段の感じでアレンジしてもらうように、住田さんからお願いもしました。「え、マジで」「超だるくない」というような、普段どおりの会話のキャッチボールをしてもらった方が、戯れている感じはありますし、武将たちはもしかしたら、これくらいノリが軽かったんじゃないかって思えるぐらいの自然な会話を目指しました。 ―― 一緒にいるからこそ出来るアドリブや合いの手などが大事なわけですね。 広瀬 そうですね。あとは、俳優さんを起用しているところとして、TVアニメが『甲』『乙』と続いた後の展開を考えていく時にも、実際に演技ができるという強みを活かして、キャストたちが出てくる場を作りたいとは思っています。 ―― 例えば舞台であったりとか? 広瀬 そうですね、そのためには、まずアニメが皆さんに見てもらわないことには始まりませんけどね。今回、イラストで和美術を取り入れたので、キャストにも日本の伝統的な部分を出したいと、織田信長役を歌舞伎俳優の中村橋之助さん(4代目。元・中村国生)にご相談をしました。日本の歴史、伝統芸能や技術、文化を継承している人の象徴として、歌舞伎に携わっている人を起用したいなと。しかも橋之助さんは新しくまた大きい屋号を継がれる方ですから、ご本人にとっても新しい挑戦の一つとしてお話をしたら、ご快諾していただいたので、うれしかったですね。 ―― 一方で語り(ナレーション)は林原めぐみさんを起用されてます。 広瀬 ナレーションは、作品を外側から見ている形にしようと、住田さんと話をしていました。キャラクターたちがわちゃわちゃと演じていますから、その輪の外から見てる人が、ちゃんと筋道を立ててくれなくては収まりがつきませんから。イメージとして近いのは、大河ドラマのナレーションでしたね。 ―― それこそ『真田丸』の有働由美子さんとか。 広瀬 はい、威厳や高貴さを感じられる女性の声で、物語を語るとその作品が締まると感じたんです。結構そこが仰々しければ仰々しいほど、中側のゆるさとのギャップも出るだろうと。しっかり物語を締めれて、なおかつ存在感がある人ということでお願いしました。そうしたら台本を読まれて「おもしろいね!」というお褒めの言葉をいただきました(笑)。 ―― キャストさんや林原さんの音声が乗った映像をご覧になって、手応えはいかがですか。 広瀬 実際のキャストの声が入ると、武将それぞれに個性が立ってきましたね。信長はダメだけど、やっぱり強いとか、秀吉はヘタレだけどうまいことやるな、みたいな。そこに林原さんのナレーションがあることで、一本筋が通ったというか、武将達だけでわちゃわちゃやってる世界ではなくなったので、うまくいったなっていう手応えを感じました。 ■土地々々に伝わる武将やエピソードをしっかりと ―― それぞれの武将好きが楽しみにしていると思いますが、今後どんな武将がどんな姿で登場するのか、におわす程度でも教えていただけないでしょうか? 広瀬 信長、秀吉、家康、この3人にまつわる武将たちがやっぱり多くなりますが、それでも例えば同時期に真田家は、高知の長宗我部元親は何をしていたのか――その土地々々にすごい武将や面白い言い伝えがありますから。実はまだ確定していないんですが、現状でも総勢20名ぐらいは出てくる予定です。 ―― 「俺の好きな武将は出るかな」と期待する人が多そうです。ボヤく秀吉と家康。脱力した感じがクセになる…
広瀬 ……武将ってやはり強いというイメージが伝聞することが大切だからか、“○○の鬼”とか、龍、虎などの言われや例えが多い。そこがキャラクター化する時のネックで、似たようなキャラばかりになってしまうというか……例えば前田利家は犬として描いていますけど、これは幼名の犬千代からきていまして、鬼とか龍の中で、違って見えるので、可愛いくていいんですよね。“鳥なき島のコウモリ”といわれた長宗我部元親なら、もしかしたらコウモリの姿をしているかもしれない。そういう、面白い言われやエピソードを持つ武将たちは、今後登場してくるかもしれませんね。 ―― 3人に関連するキャラということですが、1話目でも2話目でもお話の冒頭に年代が入っていて。そこで嘘つかないんだなと少し意外に思いました。 広瀬 ストーリのベースには、歴史をきちんと反映したいと、住田さんと決めました。お話によっては、例えば延暦寺へ秀吉が交渉に行ったけど失敗して、それを信長に報告すると「焼いちゃえよ」とあっけなく言われてしまう――といった掛け合いがあってもいいかなと(笑)。歴史的事件の裏でどんなやり取りを武将たちはしていて、その結果どう動いたのかという部分を想像するのが楽しいと思いますので、基本的には全く歴史と絡まないっていう話はあんまり考えない予定です。 ―― ただ一方で、海外、日本国内でも女性とかだと、なかなかこう戦国ネタは何が面白いとピンとこないのかなという心配をされたりはしませんでしたか? 広瀬 そこを若い俳優さんたちに補ってもらえればと。俳優さんたちのファンの人が“歴女”になるきっかけになってくれるといいですね。中高生であれば教科書を見て、「なるほどこうなったのか」と、彼らの会話劇は歴史をちゃんとベースにしているので、感じてもらえると思いますし。さらに、先ほど触れたオルガンティノのおにぎりのような、に細かい歴史ネタも仕込んでいますから、歴史が好きな人、男性で年配の方でも、『戦国鳥獣戯画』って何だろうなって言ってみてもらって、どこかでクスッとしてもらえれば嬉しいです。 ―― ちなみに、本作はキャラクターが可愛いので、グッズ展開も期待できるのではと思うんですが。 広瀬 ますはキャラクターを使用したLINEスタンプを発売しました。信長、秀吉、家康3人のキャラ絵と墨字のシンプルなものです。アニメ本編をご覧になっていただくとすぐ分かりますけど、キャラクターたちが日常的会話で、現代語をばんばん使うので、そういったセリフを使ったスタンプになってます。使い勝手が良いもので絵が可愛いものっていうのを用意していますし、今後もいろいろ展開していければと、仕込んでいるところです。 ―― 期待しています。ほか、アピールされたいことなどありますか? 広瀬 ……戦国時代の歴史を調べるうちに、日本各地で、地元の有名な武将や、お城や寺社仏閣が本当に地元の方に愛されているというのを感じたんです。震災で、熊本城に被害が出たり、九州だけではなくて日本各地で史跡が傷ついているという現状がありますから、「うちの地元を代表する武将が出ている」と、少しでも楽しんで元気を取り戻していただけるとうれしいです。特に今回は、関東ではなく、九州地方から最初に放送されているので、その土地々々の武将たちを大事に描いていければと思います。 ■『戦国鳥獣戯画 ~甲~』 ・公式サイト http://www.kbc.co.jp/scg/ ・公式ツイッター https://twitter.com/SENGOKUCHOJYU ・放送情報 KBCテレビ 毎週土曜日深夜1:42~深夜1:47 tvk 毎週日曜日午後11:55~深夜0:00 テレ玉 毎週水曜日深夜2:00~深夜2:05 チバテレ 毎週日曜日午後9:55~午後10:00 サンテレビ 毎週金曜日午後7:55~午後8:00 ・abemaTV、GYAO!、ニコニコ動画など各種配信サービスにて配信中 (C)「戦国鳥獣戯画」製作委員会前田利家。カブトの再現率がいい感じ
麦わらのルフィが白塗り姿で登場!国民的人気コミック『ワンピース』の2.5次元化におったまげ~!!
海賊王を目指す麦わらのルフィが全身白塗り姿で現われ、ゾロ、ナミ、サンジ、ウソップたちと乗り込んだ海賊船はまるで七福神の乗った宝船みたい。累計発行部数が3億4000万部を越える大ベストセラーコミック『ONE PIECE』を舞台化したスーパー歌舞伎II『ワンピース』はかなりの衝撃度がある。序盤、麦わら一味が勢ぞろいして客席に向かって見得を切るシーンは、正直いって吹き出しそうになった。マダムタッソーの蝋人形ばりにオリジナルとは似ていないのだが、この“まるで似てない”感は決して嫌いではない。市川猿之助主演&演出によって2015年の東京から始まり、大阪、福岡で上演された同演目を2時間に凝縮編集した“シネマ歌舞伎”として10月22日(土)より全国の映画館で上映が始まる。 今回のスーパー歌舞伎II『ワンピース』は、原作の「頂上戦争編」(51巻~60巻)をいっきに見せるという大掛かりな趣向。気になる配役は市川猿之助がルフィとシャンクス、それに女帝ボア・ハンコックの3役。女性キャラクターのナミとニコ・ロビンには市川春猿と市川笑也の人気女形を、大海賊団を率いる白ひげに市川右近、そしてルフィの兄・エースには歌舞伎界外部から、俳優の福士誠治を起用している。スーパー歌舞伎ではおなじみの宙づりあり、最新のプロジェクションマッピングを活かした舞台演出もあり、2時間という上映時間があれよあれよと過ぎていく。歌舞伎と人気コミックとが融合したスーパー歌舞伎II『ワンピース』。衝撃的なビジュアルと演出で、観る者を圧倒する。
海軍に捕らえられた兄・エースをルフィが救出に向かうというのが「頂上戦争編」のストーリーラインだが、麦わら一味がシャボンディ諸島で顔みせする第一幕につづく、海底監獄インペルダウンを舞台にした第二幕が異様な盛り上がりを見せる。公開処刑が迫るエースを救い出さんとルフィは監獄内に潜入し、旧知のボン・クレー(坂東巳之助)と再会。監獄署長のマゼラン(市川男女蔵)の毒液攻撃にルフィは倒れるも、監獄の奥深くにあるニューカマーランドへ逃げ込むことで辛うじて一命を取り留める。イワンコフ(浅野和之)が治めるニューカマーランドは監獄内にあるとは思えない夢の楽園で、映画『ロッキー・ホラー・ショー』(75年)みたいなLGBTたちが集う華やかな宴の真っ最中。この世から虐げられし者たちが、ここニューカマーランドでは生き生きと輝いている。 おかまのボン・クレーはルフィのような強靭な精神力は持っていない、とても人間くさいキャラクターだ。ピンチに陥るとルフィを見捨てて逃げ出してしまうボン・クレーだったが、理想郷ニューカマーランドに辿り着いたことでようやく自分の生きる場所を見つける。第二幕の主役の座は、完全にボン・クレーのものだ。自分のことを「友達」と呼んでくれたルフィのために、自分の中の弱い心を懸命に抑え、体を張る姿がサイコーにかっこいい。しかもキャスト表を見直して、ボン・クレーを演じた坂東巳之助はゾロも演じており、サンジ役の中村隼人も第二幕に登場する革命家イナズマとの二役だと気づき、カンドーがさらに倍増。いつしかスーパー歌舞伎の面白さに、どっぷりハマってしまう。スーパー歌舞伎名物の宙づりもあります。サーフボードで空を舞うルフィの勇姿。お客さん、どーですか!?
スーパー歌舞伎の成り立ちをひも解いてみると、戦後の歌舞伎界が伝統芸能化していることを“歌舞伎界の異端児”先代・市川猿之助(現・市川猿翁)は憂い、歌舞伎本来の野性味を取り戻した新作舞台を企画。そうして1986年から始まったのが、現代語による歌舞伎界のニューウェーブ「スーパー歌舞伎」だった。先代・猿之助の宙づりで有名になった「スーパー歌舞伎」は、梅原猛原作『ヤマトタケル』をはじめ、スケールの大きさと格調の高さで知られたが、市川亀治郎あらため四代目市川猿之助が受け継いだ「スーパー歌舞伎II(セカンド)」の第2弾『ワンピース』には、歌舞伎を観たことのない世代も原作を読んでいない層も気軽に楽しめる大衆性が加わっている。世間からはみ出した者たちが自由を求めて共に旅をする『ONE PIECE』は、もともと歌舞伎向けの題材だったようだ。 人気コミックの実写化は日本の映画界のみならずハリウッドでも主流となっているが、話題作のキャストが発表される度に「原作とイメージが違う」「キャラの年齢設定と俳優の実年齢が離れている」と公開前から叩かれることが多い。でもスーパー歌舞伎版『ワンピース』を観ていると、原作キャラとキャストの外見が似ているかどうかはさほど重要な問題ではないように思えてくる。原作の世界観がきちんと踏襲されているかどうかを重視するファンもいるが、世界観をいくら忠実に再現しても、それだけでは物語は動き出さない。その点、今回の『ワンピース』の出演者たちは、新しい世界への憧れと失敗を恐れない冒険心を備えたロマンチスト兼チャレンジャーぞろいだ。キャラクターの再現率や世界観の忠実なコピーよりも、もっともっと大事なものが『ワンピース』の舞台には隠されている。大秘宝を探し求めるルフィたちの姿が、新しい歌舞伎界を担う市川猿之助たちと重なり合う。 (文=長野辰次)第二幕ではボン・クレー役の坂東巳之助とイナズマ役の中村隼人が大活躍。若手の2人は原作&アニメ版をかなり研究した。
スーパー歌舞伎II『ワンピース』 原作/尾田栄一郎 脚本/横内健介 演出/市川猿之助、横内健介 楽曲提供/北川悠仁(ゆず) 出演/市川猿之助、市川右近、坂東巳之助、中村隼人、市川春猿、市川弘太郎、坂東竹三郎、市川笑三郎、市川猿弥、市川笑也、市川男女蔵、市川門之助、福士誠治、嘉島典俊、浅野和之 配給/松竹 10月22日(土)より東劇・新宿ピカデリーほか全国公開 (c)尾田栄一郎/集英社・スーパー歌舞伎II『ワンピース』パートナーズ http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/onepiece
山本美月、壁ドン&イケメン姿で女性ファン急増中! “高校時代は中の下”発言に「嘘つけ!」の声が殺到
11日、モデルの山本美月が自身のインスタグラムに「良き、身長差。私、でかい…」と、今月8日から公開された主演映画『少女』で共演した佐藤玲に、制服姿で壁ドンしている画像をアップ。「私も壁ドンされたい!」「玲ちゃん、羨ましい!」などと、女性ファンから佐藤への嫉妬の声が相次いだ。 身長167cmの山本が、156cmの佐藤を見下ろす形で撮られた画像には、ネット上では「山本の威圧感が凄いな」と指摘する声もあったのだが、同じ画像を自身のインスタグラムにアップした佐藤が「人生初の壁ドンがこんな美女だなんて、幸せであります。きゅんきゅん」というコメントを書き込んだのと同じように、虜になってしまう女性が続出した。 「山本といえば、2009年からファッション雑誌『CanCam』(小学館)の専属モデルとして活躍しているだけに、元々、女性ファンは多かったのですが、先月23日に発売された『CanCam』11月号で、ショートヘアーのウィイッグを被った姿が『イケメン!』『溝端淳平みたい!』などと話題になり、一気に女性ファンが急増。その流れで、壁ドン姿まで披露したため、さらに女性ファンを虜にしてしまっているようです。山本といえば、コスプレ好きとしても知られているだけに、『もっと本格的な男装を見たい!』『執事コスとかお願いします!』などといったリクエストが尽きないようです」(芸能関係者) そんな山本が、先月16日に大阪で行われた『少女』の先行上映会&舞台挨拶で、女子高生役を演じたことにちなんで、自身の学生時代を振り返り、「中の下というか、いたって平均的でしたね。テストも平均的で、クラスの中でも真ん中ぐらいにいる、特に目立たないただの演劇部の子でした」と発言した際には、「嘘つけ!」「美月ちゃんが目立たないって、どんだけ周りは派手なんだよ!」などといった声が殺到した。 「山本は、8月に行われた『第60回スポーツ報知特選試写会』に出席した際にも、『すごい明るいタイプでもなく、ファッションが好きなわけでもなく、普通ですね。けっこう地味かも』と語っていたのですが、高校3年生の時に出場した『東京スーパーモデルコンテスト』で優勝したことが、『CanCam』の専属モデルに選ばれるきっかけとなり、その頃にはすでに美貌が完成されていただけに、『あんな美人がいて目立たないわけがない』『嫌味?』などといった声が殺到。しかし、その一方で、山本といえば、かなりコアなアニメオタクとしても知られているだけに、『意外と地味なのかも』という声も少なくないようです」(同) 『少女』で、山本とW主演した本田翼は、自身の学生時代を振り返り、「好きなことに夢中になってしまう性格なので、17歳の時は図書館で借りた漫画の『SLAM DUNK』を、クラスのみんなが盛り上がっている時もずっと漫画を読んでいました」と発言したことで、「親近感が湧いた」「俺もスラダンにはまってた」などと、男性からの共感コメントが相次いでいた。佐藤玲公式インスタグラムより




























