『ドラゴンボール超』悟空の戦績は4勝8敗!? 意外と負け越している悟空の戦績の内訳は?

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『ドラゴンボール超』公式サイトより。
 大人気アニメ『ドラゴンボール超』(フジテレビ系)の主人公・孫悟空。今更説明するまでもなく、圧倒的な戦闘力を持ち、仲間からの信頼も絶大な国民的ヒーローだが、よくよく『ドラゴンボール超』を見てみると、実はめちゃめちゃ負けまくっている。  戦績を振り返っていこう。まずは破壊神ビルスとの闘い。界王星での闘いはワンパンでビルスに敗北。地球ではスーパーサイヤ人ゴッドとなり、ビルスにリベンジを試み、良い戦いを繰り広げるも結局敗北。『破壊神ビルス編』では0勝2敗である。  次はフリーザとの闘い。ゴールデンフリーザをあと一歩まで追い詰めるも、卑怯な手で隙を突かれ敗北。ベジータの助けがなければ死んでいるところだった。『フリーザ復活編』では0勝1敗とする。  次は第6宇宙の精鋭との闘い。ボタモには危なげなく勝つも、フロストには反則技を使用され敗北。ヒットとは互角のバトルを繰り広げるも最後は場外負け。『破壊神シャンパ編』は1勝2敗である。  第45話~46話の複製ベジータとの闘いはモナカの絶妙なサポートにより勝利。1勝をあげた。  そして『未来トランクス』編。トランクスとの組み手で勝利。現代に襲来したゴクウブラックとの闘いは中断。ザマスとの組み手では勝利、とここまではいい感じだったが、未来の世界でのスーパーサイヤ人ロゼとなったゴクウブラック&不死のザマスとの闘いに敗北し逃走。何の策もなしに、もう一度未来の世界にいってその2人と闘うもやっぱり敗北し逃走。三度目はベジータとポタラで合体しベジットになり、合体ザマスと闘うもあと一歩というところで合体が解け敗北。殺される寸前でトランクスに助けられるのだった。『未来トランクス』は2勝3敗だ。  通算すると4勝8敗で大きく負け越しということになる。とはいっても悟空は原作初期の頃から天下一武道会で、ジャッキーチュン、天津飯に敗北し2度連続で優勝を逃したり、桃白白やピッコロ大魔王、あのヤムチャにさえも一度目の闘いでは敗北するなどなかなか綺麗に勝つことはない。意外と“主人公補正”が働かない悟空。こんなところが視聴者が応援したくなる要因なのかもしれない。

『ドラゴンボール超』悟空の戦績は4勝8敗!? 意外と負け越している悟空の戦績の内訳は?

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『ドラゴンボール超』公式サイトより。
 大人気アニメ『ドラゴンボール超』(フジテレビ系)の主人公・孫悟空。今更説明するまでもなく、圧倒的な戦闘力を持ち、仲間からの信頼も絶大な国民的ヒーローだが、よくよく『ドラゴンボール超』を見てみると、実はめちゃめちゃ負けまくっている。  戦績を振り返っていこう。まずは破壊神ビルスとの闘い。界王星での闘いはワンパンでビルスに敗北。地球ではスーパーサイヤ人ゴッドとなり、ビルスにリベンジを試み、良い戦いを繰り広げるも結局敗北。『破壊神ビルス編』では0勝2敗である。  次はフリーザとの闘い。ゴールデンフリーザをあと一歩まで追い詰めるも、卑怯な手で隙を突かれ敗北。ベジータの助けがなければ死んでいるところだった。『フリーザ復活編』では0勝1敗とする。  次は第6宇宙の精鋭との闘い。ボタモには危なげなく勝つも、フロストには反則技を使用され敗北。ヒットとは互角のバトルを繰り広げるも最後は場外負け。『破壊神シャンパ編』は1勝2敗である。  第45話~46話の複製ベジータとの闘いはモナカの絶妙なサポートにより勝利。1勝をあげた。  そして『未来トランクス』編。トランクスとの組み手で勝利。現代に襲来したゴクウブラックとの闘いは中断。ザマスとの組み手では勝利、とここまではいい感じだったが、未来の世界でのスーパーサイヤ人ロゼとなったゴクウブラック&不死のザマスとの闘いに敗北し逃走。何の策もなしに、もう一度未来の世界にいってその2人と闘うもやっぱり敗北し逃走。三度目はベジータとポタラで合体しベジットになり、合体ザマスと闘うもあと一歩というところで合体が解け敗北。殺される寸前でトランクスに助けられるのだった。『未来トランクス』は2勝3敗だ。  通算すると4勝8敗で大きく負け越しということになる。とはいっても悟空は原作初期の頃から天下一武道会で、ジャッキーチュン、天津飯に敗北し2度連続で優勝を逃したり、桃白白やピッコロ大魔王、あのヤムチャにさえも一度目の闘いでは敗北するなどなかなか綺麗に勝つことはない。意外と“主人公補正”が働かない悟空。こんなところが視聴者が応援したくなる要因なのかもしれない。

VR元年にふさわしい!? 日の目を見ない“クソゲーの中のクソゲー”『超クソゲーVR』

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『超クソゲーVR』(太田出版)
 VR(バーチャルリアリティ)元年と言われた2016年。革新的なハード機VRが登場し、ゲーム業界は今、大変な盛り上がりを見せています。  一方、「ゲームはドット絵の頃が一番良かったなぁ」とノスタルジーに浸る、高橋名人リスペクト世代には嬉ションものの『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』が先月発売。懐かしの名作ソフトが30タイトルも収録され、レトロゲーム好きならBダッシュで予約に行ったことでしょう。この『ファミコンミニ』がメディアで多く紹介され、ネット上では高額で取引されるなど、ひたひたとレトロゲームブームが再燃しているといえます。  そんなレトロゲーマーの諸兄に、オススメの一冊『超クソゲーVR』(太田出版)。ここでいうところのVRとは“バーチャルリアリティ”ではなく“ベリーレア”の略。クソゲー数あれど、クソゲーを超えた超クソゲー、つまりスーパーサイヤなクソゲーばかりを網羅。  クソゲー界ではいわずと知れた、バントでホームランが打てる『燃えろ!!プロ野球』、達也と和也が南を引き連れて、襲いかかる異空間の敵に野球ボールをぶつけていくだけの『タッチ』、攻略本がないと絶対クリア不可能な『たけしの挑戦状』。これらは明るくてわかりやすいメジャーなクソゲーです。ここではそれとは違い、どんよりしていて薄気味の悪い個性派を紹介。  PCエンジン用ソフトで発売された『姐』というタイトルの作品。もはやタイトルの時点で溢れんばかりのクソゲー臭。内容は、いじめられていた自分をかばってくれた行方不明の姉をヤンキーの女の子が探すという、これ絶対深夜のテンションで企画考えただろ? と勘ぐってしまう代物。  こちらもPCエンジンで発売された『あっぱれ! ゲートボール』。世界初、ゲートボールのゲーム化に成功。なかなかどうして白熱した戦いが繰り広げられます。対戦相手のキャラは全員60歳オーバーにもかかわらず、試合が始まると妨害行為の雨あられ、血生臭い戦いを強いられます。ゲームを終えるころには、陰鬱な空気が家庭を包み込み、一家で気分が滅入ること請け合いです。  そして極め付きは、Play Stationとセガサターンで発売された『スタンバイSay You!』なる作品。Say Youといわれてもなんのゲームかわかりませんよね? ふたを開けると至ってシンプル、声優がスタンバイしているゲームなのです。……ダジャレかよ! 北斗の拳のザコの声や、北斗の拳の次回予告のナレーションや、パチスロ北斗の拳で大当たりを告知してくれる神々しい声などでおなじみの千葉繁が、全面的にフィーチャーされています。  それもそのはず、千葉が音響監督を務めるアニメ作品に出演する声優たちと円滑にコミュニケーションを取るために、プレイヤーが奔走するという内容。当然のように“千葉繁とその他大勢の声優”という屈折したパワーバランスになっています。まさに、アイタタタタタタタター! なゲームです。  といった感じであんなクソこんなクソ、ゲーム業界には多種多様なクソが撒き散らされております。今年のクリスマスは、子供のプレゼントにVR(ベリーレア)なクソゲーを強くおすすめします。 (文=渡部ダイシ)

新たな“東映まんがまつり”伝説を築く! 東映アニメ渾身の60周年記念作『ポッピンQ』宮原直樹監督インタビュー!!

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(C)東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016
 卒業を直前に控えた、中学3年生の少女たち5人が奇跡の出会いを果たす――ふとした出会いから“ひょい”と異世界へと入り込んでしまった彼女たちは、ポッピン族が住む「時の谷」や世界を救うためにダンスを踊ることに……!  東映アニメーションの60周年記念プロジェクトという非常に重たそうな看板を背負い、気合みなぎるオリジナル新作を描く宮原直樹監督は、『プリキュアオールスターズDX 3Dシアター』をはじめ、『プリキュア』シリーズのEDでCGディレクターを務め、プリキュアたちの超キュートなダンス映像を制作してきたクリエーター。なおかつ、TVアニメ『ドラゴンボールZ』、『ドラゴンボールGT』の作画監督も経験するなど、作画にも定評がある。  そんな宮原監督のもと、キャラクター原案にライトノベル『キノの旅』(作:時雨沢恵一/電撃文庫)でも知られる黒星紅白を招いた『ポッピンQ』の公開ももうすぐそこ(12月23日公開)。  3DCGダンス、超作画によるアクション、小っこくて可愛いポッピン族、悩みを抱えた少女たちの卒業物語――要素たっぷりの『ポッピンQ』の魅力を、宮原監督に語っていただいた! ■CGのダンスと作画でのアクション――2つをつなげられればと ―― いわゆる冬休み映画となるよう公開が前倒しになったり、制作は順調に進んだようですが、企画が動き出したのはいつごろからなんですか? 宮原直樹(以下、「宮原」) 作品づくりとしての実作業は2年ちょっと前くらいからなんですが、企画自体は2011年の後半ぐらいから動いていましたかね。「file(N):project PQ」というプロジェクト名を公表したのが、15年の頭ぐらいでした。 ―― 『プリキュアオールスターズDX 3Dシアター』の作業が終わったころですか? 宮原 ちょうど終わってからです。オリジナルの新企画をとなったとき、やはり3DCGダンスを使ってみようというと。ただ、これまではキラキラした華やかなステージで、ショー的なところをいろいろ突き詰めていきましたが、他社さんでも同じようにステージを生かした作品が出てきまして。
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伊純が異世界から入り込んだところから物語は始まる。異世界とダンスは果たしてどう融合するのだろうか?
―― アイドルアニメが増えましたよね。 宮原 映像的にもすごく成熟してきたじゃないですか。ですからそこよりも前の段階、ストーリーとダンスをいかにつなげるか。どうして踊るようになったのか、踊る時に何を考えているか、踊ることで何が変わるのか――そういうところをしっかりできれば、映画のクライマックスとして、ダンスが今までとはまたちょっと違う持ち上げ方で立つのではないかと考えたんです。  そのようなことを両プロデューサー(松井俊之、金丸裕)と、こういう話はどうだ、ああいう話でどうだと進めて、今の『ポッピンQ』につながっていったという感じです。 ―― 実在のアイドルも、アイドルアニメやゲームも流行っていますが、そちらに行かずに『ポッピンQ』の方向にいったのはどうしてだったんでしょう。他誌さんのインタビューなど拝見すると、監督は生身のアイドルがお好きみたいですけど。 宮原 好きです好きです(笑)。ですが映画を制作していく時に、内容盛りだくさんにしたいという欲が出てきたんです。というのも、自分がアニメーターをやっていた時はアクション作品を担当することが多かったので、作画でがっつりとしたアクションもいつかやりたいなと思っていたんです。CGのダンスと2D作画でのアクション――その2つをつなげられるような物語にできれば一石二鳥でいい感じに、幕の内弁当的なお祭り映画になると考えたんです。 ―― 可愛いポッピン族がいて、ファンタジー世界で、ダンスシーンもガッと動かすアクションもある。いい感じに東映アニメーション60周年という看板に相応しい作品になりましたけど、その辺は意図してなかったんですね? 宮原 僕は僕のできる、僕自身が面白いなと思うところを集めたら、ああいう形に結果なってしまったというのが正直なところですかね(笑)。
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ダンスを見せるどころかか、得意なはずのに踊ることを拒否する沙紀というキャラクターも
■ダンスシーンはロッキーが海辺を走るイメージ!? ―― ダンスについてお聞きしたいんですが、最初に宮原監督が3DCGでダンス映像を制作されたキッカケは? 宮原 『ONE PIECE』の映画版の短編で『ジャンゴのダンスカーニバル』(『ONE PIECE ねじまき島の冒険』と01年3月3日に同時上映)という作品がありまして。ダンスを中心に据えた作品で、その時初めてモーションキャプチャーを取り入れてみたのですが、それがすごい衝撃だったんです。本当に人の動きをそのままデータに取り込めるぞと。  その当時は、CGキャラクター表現が今ほど進歩してなくて、一旦棒人形に踊らせ、その上から作画でトレスして描いてもらう方法を取ったのですが、それでもやっぱり効果はてきめんなんですよ。すごい可能性があるなと感じていたところに、たまたま『フレッシュプリキュア』のエンディング映像を手伝ってみないかというお話をいただいて。もう面白がって、横から口を出していたらいつの間にかずっと続いていた、という感じですね。 ―― ただ、たとえば『プリキュアオールスターズDX 3Dシアター』ではキャラが可愛くウィンクしてみたり、観客を意識している部分がありましたが、『ポッピンQ』はそういうところがあまりないですよね? 宮原 彼女たちは誰かに向けて踊っているのではなく、自分たちが何かを成すために自ら踊っていますから、『ポッピンQ』は。お客さんに向けて、愛想を振りまいてウインクしたりしないし、カメラも意識しない。そのあたりは本当に、彼女たちのパフォーマンスを100%拾っていかなきゃと思います。 ―― ダンスサークルなどに所属している女子中学生が、放課後に楽しく踊っているみたいな感じですか? 宮原 そうですね。クライマックスのダンスシーン以外は、本当に部活みたいな光景ですからね、その辺の野原で踊っていたりしますから。逆にその方が何かを一生懸命練習している雰囲気……イメージとしてはロッキーが、海辺で走っているイメージ。  最後のダンスシーンでは、今まで自分が作ってきた華やかなショーステージと違いますから、シーンとして(キャラと背景などを)合成するまで、セットとしてどう見えてくるのか、いまいち自分の中でイメージが構築できなかったですが、CGスタッフがいいアイデアを沢山出してくれたんです。ライブショーではないんだけどそれに相当するようなすごい華やかな舞台を準備してくれたので、僕もびっくりしました。
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海辺を走る伊純。作中のかなりの時間、走っていました
■黒星紅白さんと東映アニメの絵の相性が良かった! ―― ダンスに励む女の子5人がみんなカワイイし、ちょっとこじれてるあたりが思春期らしくて良かったし、5人のキャラクターたちの「スーパー戦隊」のような配置も面白かったです。 宮原 よく言われるんですけど、あんまり意識してないんですよ。やはり知らず知らずのうちにすり込まれているんでしょうかね。  とりあえず、こじらせ主人公・小湊伊純を最初に設定して、その周りを固めるべく、どうすれば個性的で、なおかつ伊純の一本のストーリーに華を添えられるかという具合にキャラクターのバランス、配置は考えました。 ―― この伊純が最初から最後までずっと走っていましたが、彼女の走りも気持ちよかったです。 宮原 キャスト(瀬戸麻沙美)さんにも、「ハアハア」とばっかり声を出させてしまいましたが(笑)、最初から走るキャラクターにしようと考えていました。もうステレオタイプで申し訳ないですけど、青春ドラマといえば海岸沿いを走る中学生みたいな漠然としたイメージから広げていきました。 ―― 黒星紅白さんの原案ですから、キャラが可愛いのはもちろんですが、伊純にしてもアクションがよく映えていました。 宮原 ダンスシーンと並ぶ見せ場として作らせていただきましたが、各アニメーターさんが頑張って動かしてくれました。自分のいい加減なコンテをよくぞあそこまで……感謝しています(笑)。
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しかし可愛い。フォームは何パターンかあります
―― 彼女たちがそれぞれ持つ特殊能力も、しっかり見せ場になっていました。 宮原 苦労したんですよ。どういう能力なのか、どこから由来しているのか、キャラクターたちの物語にどうつなげていくか……練って練ってダメ出しされてまた練って、という繰り返しでした。  結局、脚本家(荒井修子)とプロデューサーの方たちと話しあって、能力は彼女たちが今抱えている問題をいかに解決していくかっていうところに紐付けようと最後は決めたんですが、結果的にその辺も面白くできたなと思っています。 ―― アクションも含めて、女の子たちを可愛く描いてやるぞっていう執念が見てとれるような映像と感じました。デザインも、決定までにかなり苦労されたのではないですか? 宮原 いえ、基本は黒星さんのセンスにおんぶにだっこじゃないですが、デザインは上げていただいたものが、ほぼほぼ一発でOKという感じでした。これを動かしたら可愛いだろうなというデザインをあげてくれるので、こっちはもう何とかそれに応えたいという一心でした。 ―― 黒星さんのデザインは線をいっぱい描く方ではないので、アニメに落とす時に簡単そうに見えて実は難しいタイプなのではと思うのですが。 宮原 そう、シンプルなだけにニュアンスを拾うというのは非常に難しいです。ただ、思ったより東映アニメーションが得意としている絵に合っていたなという感じですね。  黒星さんの絵は、違う角度から、たとえば萌え系が得意なアニメーターさんが描いてもちゃんと可愛い。いろんなアプローチができる絵ですけど、今回は動きのつけやすさを最優先に、シンプルな絵でもちゃんとしっかり地に足のついたデザインという方向で、浦上さん(貴之/キャラクターデザイン・総作画監督)がアプローチしてくれた。それが、結果的に大成功だったと思います。 ―― しかもアクションさせるとちゃんと見栄えがつくように、伊純ちゃんのマフラー、(友立)小夏の袖が余っている感じとか、そういう上手い演出をされていたなと思います。 宮原 そうですね。踊った時にフワリとなるようなダンス服としての一面が、みんなの最終フォームにそれぞれあるんですよね。コートの裾だったり、他の娘は髪の毛だったりスカートだったりとか。そういうところが上手くアクションにも効いたなと思います。
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最初に発表されたキービジュアル。ちょっと大人っぽい路線かなと思わせられました
■あくまでテイストは“東映まんがまつり” ―― 卒業間近の、それぞれ問題・悩みを抱えた中学3年生たちが主人公です。キャラの設定的にも、小学校高学年から中学生ぐらいの女の子に観てもらいたい作品かなと感じたりもしました。 宮原 当初、たしかにこれまで東映アニメが制作してきた女児向け作品よりも、少し上の世代の女の子たちに見てもらうことを考えていましたが、制作していくうちに、年齢層が多方面に広がっていきました。  また、この層向けにするからこういう描き方をしよう、みたいな器用さは僕にはないですし。ただもう、自分が描きたいもの、観たいもの、面白いと思うものをバッと並べて、結果こういう感じに膨らんでしまったというのが率直なところです。まあ、そこはプロデューサー陣がまた「はみ出しすぎ」とかいうところはちゃんとチェックしてくれたので、良い形にまとめられたと、手応えを感じています。 ―― “卒業”という普遍的なものがテーマになっているので、大人も甘酸っぱい感じを思い出しながら楽しく観られる作品でした。卒業をテーマに据えたのは最初からあった考えですか? 宮原 成長するために、何かを通過するのが卒業ですから、そこは描きたかったテーマでした。その上で小学校から中学校ではドラマを作りづらい、高校から大学だと結構大人のドラマになるので、僕にはちょっと手に負えないなと、中学から高校の15歳と設定を固めました。恋愛にはまだ縁がなく、悶々としている女の子たちがどう成長していくかという、そのあたりをドラマとして面白く描けていければうれしいです。 ―― いや、卒業前のやり残したみたいな感覚は幅広い層に共感できると思いますし、面白かったです、95分とは思えないくらいの「ああ映画観たな」って満足感もあって。ものすごい凝縮されていましたよね? 宮原 もともと(コンテでは)2時間描いちゃったんですけど、そこから上手くぎゅっと縮めることができました。おかげでストーリーにスピード感も出たし、やっぱり子供が飽きずに観るのは90分ぐらいなんですよね、2時間だと多分退屈しちゃう。 ―― 歴代の『プリキュア』劇場版も、大体70分前後に抑えられていますよね。 宮原 ピクサーの映画が90分~100分くらい。あのあたりの、上手いシナリオでギュッとなるような作品になればいいなというところで、90分を目指していました。そこで、当初はまんまと2時間分のコンテを書いて怒られたんですけど(笑)。
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メインキャラとそれの同位体たち。キャラ数は多いが、可愛いので問題ない
―― メインキャラが5人、各々に一体ずつポッピン族がいて、さらに謎の敵。単純に登場キャラクターも多いし、よく収まりましたよね。 宮原 キャラクターの数に関しては、単純に黒星さんに描いてもらった可愛いキャラクターを、いっぱい出したいという欲もあったんですけど。1人1人の掘り下げっていう点ではまだ描く余地もありますが、それはいろんな形で埋めていけるだろうということで、今回は一本メインのストーリーを敷いて、その上を走らせようという形になりました。 ―― 最後に東映アニメ、そして宮原監督のファン、もちろん個々の声優さんがたのファンにも、一言メッセージをお願いします! 宮原 クリスマスやお正月に観て楽しむにはベストな作品になったと思いますので、ちょっと冬休みの1日劇場に出かけてみては、という感じの締めでいかがでしょう。 ―― 卒業というテーマなので感傷的にもなれますけど、基本的にはすごく元気をもらえる作品ですよね。 宮原 そうですね、最後は前向きにドーンと終わるので。あわよくば卒業シーズンまで上映が続いているとうれしいですね。 ―― ちなみに今年は劇場アニメのヒットが続きました。その16年の締めみたいな作品だと期待されていますが、いかがですか? 宮原 いやいや。あくまでテイストは“東映まんがまつり”。そういう思いが最初からありましたし、東映アニメーションらしく、幅広い多くの皆さんに楽しんでもらえる作品になったと思いますから。  ダンスに加え、颯爽とした作画でのアクション、ちょっとこじれた感じが可愛いいキャラたち、メルヘンでファンタジーなポッピン族たちとその世界――1本の映画で終わってしまうのがもったいないぐらい、要素が詰め込められまくった感じが、懐かしい“東映まんがまつり”らしい『ポッピンQ』。タイトルの「pop in」どおり、“ひょい”と映画館に入ってみて楽しんでみてはいかがだろうか。 ■『ポッピンQ』 12月23日(金・祝)より全国公開! ・公式サイト http://www.popin-q.com/ ・公式Twitter @POPIN_Q_staff (C)東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016 【スタッフ】 監督:宮原直樹 企画・プロデュース:松井俊之/プロデューサー:金丸裕/原作:東堂 いづみ キャラクター原案:黒星紅白/脚本:荒井修子/キャラクターデザイン・総作画監督:浦上貴之 CGディレクター:中沢大樹/色彩設計:永井留美子/美術設定:坂本信人/美術監督:大西穣 音楽:水谷 広実(Team-MAX)、片山 修志(Team-MAX) 主題歌:「FANTASY」 (Questy) 配給:東映 アニメーション制作:東映アニメーション 製作: 「ポッピンQ」Partners 【キャスト】 瀬戸麻沙美、井澤詩織、種崎敦美、小澤亜李、黒沢ともよ、 田上真里奈、石原夏織、本渡 楓、M・A・O、新井里美、 石塚運昇、山崎エリイ、田所あずさ、戸田めぐみ、 内山昴輝、羽佐間道夫、小野大輔、島崎和歌子

新たな“東映まんがまつり”伝説を築く! 東映アニメ渾身の60周年記念作『ポッピンQ』宮原直樹監督インタビュー!!

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(C)東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016
 卒業を直前に控えた、中学3年生の少女たち5人が奇跡の出会いを果たす――ふとした出会いから“ひょい”と異世界へと入り込んでしまった彼女たちは、ポッピン族が住む「時の谷」や世界を救うためにダンスを踊ることに……!  東映アニメーションの60周年記念プロジェクトという非常に重たそうな看板を背負い、気合みなぎるオリジナル新作を描く宮原直樹監督は、『プリキュアオールスターズDX 3Dシアター』をはじめ、『プリキュア』シリーズのEDでCGディレクターを務め、プリキュアたちの超キュートなダンス映像を制作してきたクリエーター。なおかつ、TVアニメ『ドラゴンボールZ』、『ドラゴンボールGT』の作画監督も経験するなど、作画にも定評がある。  そんな宮原監督のもと、キャラクター原案にライトノベル『キノの旅』(作:時雨沢恵一/電撃文庫)でも知られる黒星紅白を招いた『ポッピンQ』の公開ももうすぐそこ(12月23日公開)。  3DCGダンス、超作画によるアクション、小っこくて可愛いポッピン族、悩みを抱えた少女たちの卒業物語――要素たっぷりの『ポッピンQ』の魅力を、宮原監督に語っていただいた! ■CGのダンスと作画でのアクション――2つをつなげられればと ―― いわゆる冬休み映画となるよう公開が前倒しになったり、制作は順調に進んだようですが、企画が動き出したのはいつごろからなんですか? 宮原直樹(以下、「宮原」) 作品づくりとしての実作業は2年ちょっと前くらいからなんですが、企画自体は2011年の後半ぐらいから動いていましたかね。「file(N):project PQ」というプロジェクト名を公表したのが、15年の頭ぐらいでした。 ―― 『プリキュアオールスターズDX 3Dシアター』の作業が終わったころですか? 宮原 ちょうど終わってからです。オリジナルの新企画をとなったとき、やはり3DCGダンスを使ってみようというと。ただ、これまではキラキラした華やかなステージで、ショー的なところをいろいろ突き詰めていきましたが、他社さんでも同じようにステージを生かした作品が出てきまして。
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伊純が異世界から入り込んだところから物語は始まる。異世界とダンスは果たしてどう融合するのだろうか?
―― アイドルアニメが増えましたよね。 宮原 映像的にもすごく成熟してきたじゃないですか。ですからそこよりも前の段階、ストーリーとダンスをいかにつなげるか。どうして踊るようになったのか、踊る時に何を考えているか、踊ることで何が変わるのか――そういうところをしっかりできれば、映画のクライマックスとして、ダンスが今までとはまたちょっと違う持ち上げ方で立つのではないかと考えたんです。  そのようなことを両プロデューサー(松井俊之、金丸裕)と、こういう話はどうだ、ああいう話でどうだと進めて、今の『ポッピンQ』につながっていったという感じです。 ―― 実在のアイドルも、アイドルアニメやゲームも流行っていますが、そちらに行かずに『ポッピンQ』の方向にいったのはどうしてだったんでしょう。他誌さんのインタビューなど拝見すると、監督は生身のアイドルがお好きみたいですけど。 宮原 好きです好きです(笑)。ですが映画を制作していく時に、内容盛りだくさんにしたいという欲が出てきたんです。というのも、自分がアニメーターをやっていた時はアクション作品を担当することが多かったので、作画でがっつりとしたアクションもいつかやりたいなと思っていたんです。CGのダンスと2D作画でのアクション――その2つをつなげられるような物語にできれば一石二鳥でいい感じに、幕の内弁当的なお祭り映画になると考えたんです。 ―― 可愛いポッピン族がいて、ファンタジー世界で、ダンスシーンもガッと動かすアクションもある。いい感じに東映アニメーション60周年という看板に相応しい作品になりましたけど、その辺は意図してなかったんですね? 宮原 僕は僕のできる、僕自身が面白いなと思うところを集めたら、ああいう形に結果なってしまったというのが正直なところですかね(笑)。
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ダンスを見せるどころかか、得意なはずのに踊ることを拒否する沙紀というキャラクターも
■ダンスシーンはロッキーが海辺を走るイメージ!? ―― ダンスについてお聞きしたいんですが、最初に宮原監督が3DCGでダンス映像を制作されたキッカケは? 宮原 『ONE PIECE』の映画版の短編で『ジャンゴのダンスカーニバル』(『ONE PIECE ねじまき島の冒険』と01年3月3日に同時上映)という作品がありまして。ダンスを中心に据えた作品で、その時初めてモーションキャプチャーを取り入れてみたのですが、それがすごい衝撃だったんです。本当に人の動きをそのままデータに取り込めるぞと。  その当時は、CGキャラクター表現が今ほど進歩してなくて、一旦棒人形に踊らせ、その上から作画でトレスして描いてもらう方法を取ったのですが、それでもやっぱり効果はてきめんなんですよ。すごい可能性があるなと感じていたところに、たまたま『フレッシュプリキュア』のエンディング映像を手伝ってみないかというお話をいただいて。もう面白がって、横から口を出していたらいつの間にかずっと続いていた、という感じですね。 ―― ただ、たとえば『プリキュアオールスターズDX 3Dシアター』ではキャラが可愛くウィンクしてみたり、観客を意識している部分がありましたが、『ポッピンQ』はそういうところがあまりないですよね? 宮原 彼女たちは誰かに向けて踊っているのではなく、自分たちが何かを成すために自ら踊っていますから、『ポッピンQ』は。お客さんに向けて、愛想を振りまいてウインクしたりしないし、カメラも意識しない。そのあたりは本当に、彼女たちのパフォーマンスを100%拾っていかなきゃと思います。 ―― ダンスサークルなどに所属している女子中学生が、放課後に楽しく踊っているみたいな感じですか? 宮原 そうですね。クライマックスのダンスシーン以外は、本当に部活みたいな光景ですからね、その辺の野原で踊っていたりしますから。逆にその方が何かを一生懸命練習している雰囲気……イメージとしてはロッキーが、海辺で走っているイメージ。  最後のダンスシーンでは、今まで自分が作ってきた華やかなショーステージと違いますから、シーンとして(キャラと背景などを)合成するまで、セットとしてどう見えてくるのか、いまいち自分の中でイメージが構築できなかったですが、CGスタッフがいいアイデアを沢山出してくれたんです。ライブショーではないんだけどそれに相当するようなすごい華やかな舞台を準備してくれたので、僕もびっくりしました。
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海辺を走る伊純。作中のかなりの時間、走っていました
■黒星紅白さんと東映アニメの絵の相性が良かった! ―― ダンスに励む女の子5人がみんなカワイイし、ちょっとこじれてるあたりが思春期らしくて良かったし、5人のキャラクターたちの「スーパー戦隊」のような配置も面白かったです。 宮原 よく言われるんですけど、あんまり意識してないんですよ。やはり知らず知らずのうちにすり込まれているんでしょうかね。  とりあえず、こじらせ主人公・小湊伊純を最初に設定して、その周りを固めるべく、どうすれば個性的で、なおかつ伊純の一本のストーリーに華を添えられるかという具合にキャラクターのバランス、配置は考えました。 ―― この伊純が最初から最後までずっと走っていましたが、彼女の走りも気持ちよかったです。 宮原 キャスト(瀬戸麻沙美)さんにも、「ハアハア」とばっかり声を出させてしまいましたが(笑)、最初から走るキャラクターにしようと考えていました。もうステレオタイプで申し訳ないですけど、青春ドラマといえば海岸沿いを走る中学生みたいな漠然としたイメージから広げていきました。 ―― 黒星紅白さんの原案ですから、キャラが可愛いのはもちろんですが、伊純にしてもアクションがよく映えていました。 宮原 ダンスシーンと並ぶ見せ場として作らせていただきましたが、各アニメーターさんが頑張って動かしてくれました。自分のいい加減なコンテをよくぞあそこまで……感謝しています(笑)。
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しかし可愛い。フォームは何パターンかあります
―― 彼女たちがそれぞれ持つ特殊能力も、しっかり見せ場になっていました。 宮原 苦労したんですよ。どういう能力なのか、どこから由来しているのか、キャラクターたちの物語にどうつなげていくか……練って練ってダメ出しされてまた練って、という繰り返しでした。  結局、脚本家(荒井修子)とプロデューサーの方たちと話しあって、能力は彼女たちが今抱えている問題をいかに解決していくかっていうところに紐付けようと最後は決めたんですが、結果的にその辺も面白くできたなと思っています。 ―― アクションも含めて、女の子たちを可愛く描いてやるぞっていう執念が見てとれるような映像と感じました。デザインも、決定までにかなり苦労されたのではないですか? 宮原 いえ、基本は黒星さんのセンスにおんぶにだっこじゃないですが、デザインは上げていただいたものが、ほぼほぼ一発でOKという感じでした。これを動かしたら可愛いだろうなというデザインをあげてくれるので、こっちはもう何とかそれに応えたいという一心でした。 ―― 黒星さんのデザインは線をいっぱい描く方ではないので、アニメに落とす時に簡単そうに見えて実は難しいタイプなのではと思うのですが。 宮原 そう、シンプルなだけにニュアンスを拾うというのは非常に難しいです。ただ、思ったより東映アニメーションが得意としている絵に合っていたなという感じですね。  黒星さんの絵は、違う角度から、たとえば萌え系が得意なアニメーターさんが描いてもちゃんと可愛い。いろんなアプローチができる絵ですけど、今回は動きのつけやすさを最優先に、シンプルな絵でもちゃんとしっかり地に足のついたデザインという方向で、浦上さん(貴之/キャラクターデザイン・総作画監督)がアプローチしてくれた。それが、結果的に大成功だったと思います。 ―― しかもアクションさせるとちゃんと見栄えがつくように、伊純ちゃんのマフラー、(友立)小夏の袖が余っている感じとか、そういう上手い演出をされていたなと思います。 宮原 そうですね。踊った時にフワリとなるようなダンス服としての一面が、みんなの最終フォームにそれぞれあるんですよね。コートの裾だったり、他の娘は髪の毛だったりスカートだったりとか。そういうところが上手くアクションにも効いたなと思います。
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最初に発表されたキービジュアル。ちょっと大人っぽい路線かなと思わせられました
■あくまでテイストは“東映まんがまつり” ―― 卒業間近の、それぞれ問題・悩みを抱えた中学3年生たちが主人公です。キャラの設定的にも、小学校高学年から中学生ぐらいの女の子に観てもらいたい作品かなと感じたりもしました。 宮原 当初、たしかにこれまで東映アニメが制作してきた女児向け作品よりも、少し上の世代の女の子たちに見てもらうことを考えていましたが、制作していくうちに、年齢層が多方面に広がっていきました。  また、この層向けにするからこういう描き方をしよう、みたいな器用さは僕にはないですし。ただもう、自分が描きたいもの、観たいもの、面白いと思うものをバッと並べて、結果こういう感じに膨らんでしまったというのが率直なところです。まあ、そこはプロデューサー陣がまた「はみ出しすぎ」とかいうところはちゃんとチェックしてくれたので、良い形にまとめられたと、手応えを感じています。 ―― “卒業”という普遍的なものがテーマになっているので、大人も甘酸っぱい感じを思い出しながら楽しく観られる作品でした。卒業をテーマに据えたのは最初からあった考えですか? 宮原 成長するために、何かを通過するのが卒業ですから、そこは描きたかったテーマでした。その上で小学校から中学校ではドラマを作りづらい、高校から大学だと結構大人のドラマになるので、僕にはちょっと手に負えないなと、中学から高校の15歳と設定を固めました。恋愛にはまだ縁がなく、悶々としている女の子たちがどう成長していくかという、そのあたりをドラマとして面白く描けていければうれしいです。 ―― いや、卒業前のやり残したみたいな感覚は幅広い層に共感できると思いますし、面白かったです、95分とは思えないくらいの「ああ映画観たな」って満足感もあって。ものすごい凝縮されていましたよね? 宮原 もともと(コンテでは)2時間描いちゃったんですけど、そこから上手くぎゅっと縮めることができました。おかげでストーリーにスピード感も出たし、やっぱり子供が飽きずに観るのは90分ぐらいなんですよね、2時間だと多分退屈しちゃう。 ―― 歴代の『プリキュア』劇場版も、大体70分前後に抑えられていますよね。 宮原 ピクサーの映画が90分~100分くらい。あのあたりの、上手いシナリオでギュッとなるような作品になればいいなというところで、90分を目指していました。そこで、当初はまんまと2時間分のコンテを書いて怒られたんですけど(笑)。
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メインキャラとそれの同位体たち。キャラ数は多いが、可愛いので問題ない
―― メインキャラが5人、各々に一体ずつポッピン族がいて、さらに謎の敵。単純に登場キャラクターも多いし、よく収まりましたよね。 宮原 キャラクターの数に関しては、単純に黒星さんに描いてもらった可愛いキャラクターを、いっぱい出したいという欲もあったんですけど。1人1人の掘り下げっていう点ではまだ描く余地もありますが、それはいろんな形で埋めていけるだろうということで、今回は一本メインのストーリーを敷いて、その上を走らせようという形になりました。 ―― 最後に東映アニメ、そして宮原監督のファン、もちろん個々の声優さんがたのファンにも、一言メッセージをお願いします! 宮原 クリスマスやお正月に観て楽しむにはベストな作品になったと思いますので、ちょっと冬休みの1日劇場に出かけてみては、という感じの締めでいかがでしょう。 ―― 卒業というテーマなので感傷的にもなれますけど、基本的にはすごく元気をもらえる作品ですよね。 宮原 そうですね、最後は前向きにドーンと終わるので。あわよくば卒業シーズンまで上映が続いているとうれしいですね。 ―― ちなみに今年は劇場アニメのヒットが続きました。その16年の締めみたいな作品だと期待されていますが、いかがですか? 宮原 いやいや。あくまでテイストは“東映まんがまつり”。そういう思いが最初からありましたし、東映アニメーションらしく、幅広い多くの皆さんに楽しんでもらえる作品になったと思いますから。  ダンスに加え、颯爽とした作画でのアクション、ちょっとこじれた感じが可愛いいキャラたち、メルヘンでファンタジーなポッピン族たちとその世界――1本の映画で終わってしまうのがもったいないぐらい、要素が詰め込められまくった感じが、懐かしい“東映まんがまつり”らしい『ポッピンQ』。タイトルの「pop in」どおり、“ひょい”と映画館に入ってみて楽しんでみてはいかがだろうか。 ■『ポッピンQ』 12月23日(金・祝)より全国公開! ・公式サイト http://www.popin-q.com/ ・公式Twitter @POPIN_Q_staff (C)東映アニメーション / 「ポッピンQ」Partners 2016 【スタッフ】 監督:宮原直樹 企画・プロデュース:松井俊之/プロデューサー:金丸裕/原作:東堂 いづみ キャラクター原案:黒星紅白/脚本:荒井修子/キャラクターデザイン・総作画監督:浦上貴之 CGディレクター:中沢大樹/色彩設計:永井留美子/美術設定:坂本信人/美術監督:大西穣 音楽:水谷 広実(Team-MAX)、片山 修志(Team-MAX) 主題歌:「FANTASY」 (Questy) 配給:東映 アニメーション制作:東映アニメーション 製作: 「ポッピンQ」Partners 【キャスト】 瀬戸麻沙美、井澤詩織、種崎敦美、小澤亜李、黒沢ともよ、 田上真里奈、石原夏織、本渡 楓、M・A・O、新井里美、 石塚運昇、山崎エリイ、田所あずさ、戸田めぐみ、 内山昴輝、羽佐間道夫、小野大輔、島崎和歌子

「賃金や人手の問題、決して楽観できない」 『ひるね姫』を鋭意制作中の神山健治監督が見出したい新たな希望とは?

 12月3日と4日、名古屋のナディアパークにて「デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA」が開催された。当イベントは2014年より開催され、今回が3回目。初日の3日には、神山健治監督の特別講演「日本のアニメの、これから。」が行われた。本稿ではその模様をお伝えする。
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写真:神山健治監督特別講演「日本のアニメの、これから。」
 名古屋は2年ぶりという神山監督。講演では小学3年の時に観に行った映画『シンドバッド虎の目大冒険』、高校時代の自主制作アニメ、現在上映中の映画『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』(総監督)についてたどりながら語った。  目下、期待が高まっているのが、17年3月18日の封切りに向けて鋭意制作中の映画『ひるね姫~知らないワタシの物語~』。神山監督は「アニメに求められているものがすごく増えてきていますね」と『ひるね姫』の制作動機に触れた。 「(自身が監督したテレビシリーズ)『東のエデン』(09年)の頃には、青春群像劇だけでがオリジナルアニメを作れなくて、よっぽど売れている青春群像劇の原作を持ってくるしかないと言われていました。今は、もっと自分たちに身近な物語や登場人物を見たいという観客の要望によって、そういう作品が増えてきてますよね。その反面、ハリウッド超大作みたいな作品も作られて、世界中で観られているという状況の中で、アニメが色んな映像、映画からCMも含めて需要が増えて大きくなってくと思ってるんです」(神山監督)
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写真:神山監督
 そうした状況を背景に「『ひるね姫』は偶然だったんですけども、自分の娘に観せられるような作品、観てほしいし観たいと言ってくれるような作品ができたらいいなといったとこからスタートしています」と神山監督。気になるその内容は「ただ僕が作ると単なる青春群像劇には収まらなくなったと言いますか、SF要素はそこまでないんですけど、ガジェットも出てきますし。まぁ普通の女子高生の話ではありますが……。ロボットの出し方は皆さんが想像してるのとは少し違うかもしれないですね」と語るに留めた。 『ひるね姫』では主人公・森川ココネのキャストを、NHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で知られる高畑充希が務めることも話題だ。神山監督は「『とと姉ちゃん』が終わってから声を録らせていただいたんですけど、表現力のある方で、生きている女子高生になったかなぁと思います。あと主題歌も歌って頂いていて、ミュージカルもされてるので本当に表現力がありますね」と評価した。
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写真:『ひるね姫~知らないワタシの物語~』
 その流れで神山監督はキャストの選考方法を、「なるべく誰なのかを聞かずに声だけを聞いてます」と明かした。そして「声の中に必ずその人の資質みたいなのが埋まっていて、出てくるキャラクターと似てますよね。僕の全ての作品そうなんですが、タチコマ(『攻殻機動隊』シリーズ)の玉川(砂記子)さんも似てるかもなぁ」と笑わせた。  また神山監督は自身の今後について、「オリジナル作品を作っていきたいと思うし、まだまだTVシリーズもやりたいですね。過去の作品の新シリーズもやりたいなぁとも思うし。本当に体がいくつあっても間に合わんという感じで、色々やりたいんです」と展望した一方で、「やっぱり今後デジタル化していく中で、今までの手描きの良さというものを残しながら、賃金や人手の問題だとか、コンテンツとしては良い状況なんだけども制作状況としては決して楽観できない中で、同時にスタッフを育てたい、現場を作っていきたいんですよね」との思いを覗かせた。
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写真:会場内『ひるね姫』制作資料展より作画(使用ソフトはTVPaintとStylos)
「自分もそこに参加したいとか、作る側に回りたいと思ってもらえるような現場を作っていかないといけない。『ひるね姫』は手描きなんだけど、紙を使わずにタブレットでフルデジタル化に挑戦しています。今までは作り方が決まってて、だからこそたくさん同じ品質のアニメを作ることができたんですけど、今後は変わってくると思うんですよね。デジタル化することで、今まで東京でないとできなかったのを地方でできるようにするとか。海外のスタッフとも仕事してるんですが、フランス人とSkypeで打ち合わせをして、データのやりとりをするとか、新しい試みをしてるんです」(神山監督)  最後に神山監督は「変わっていかなければいけない部分もあるし、良いところを変えてしまっては勿体無いというか、ハイブリッド化していくことで新しい希望みたいなものを見出せたらいいなと思いますね」と話を締めた。  以下、聴衆との質疑応答でも興味深い質問と回答を聞くことができたので、Q&A形式で次ページより記しておく。
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写真:会場内『ひるね姫』制作資料展より背景
―― 決められた期間内で作品を完成させるには? 神山 まさに今その最中なんですけども、特に原作のない作品を作る時に『アイデアを出すとかの無形の部分にお金をかける意味はあるんだろうか?』とか問われます。原作があるものは売れてるから人気があるって結果が分かってるわけですが、原作が作られてきただけのお金と時間をかけさせてもらえないんです。オリジナルを作っていかないとなかなかアニメ業界は良くならない。今その現状があって、そこが苦労してる部分かなと思ってます。 ―― 作品における社会問題との向き合い方は? 神山 脚本家さん何人かとチームを作ってやってるんですが、最初は無駄話をしてるんですよ。『あいつら会議室で14時間も何やってんの?』みたいなことを。そうするとだんだん興味の対象みたいなものが出てきて、この人はこういうことを思ってるんだなとか、それだったらこういうことを掘り下げてみようとか、そういうのを物語の中で解決する方法はないのかとか、考えてるうちにテーマが見つかる感じですかね。
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写真:会場内『ひるね姫』制作資料展より設定
―― 『精霊の守り人』のドラマ版(※別監督/NHK)はどうですか? 神山 アニメが得意なところと実写が得意なところがあるんですね。実写で上手くやっているなとか、苦手なところをどうするんだろうとか思って観てるんです。『いいよなアニメは。夕日がすぐ撮れて』とか思われてるかもしれないし、『何でアニメは止まったまま会話してるの?』とか思われてるかもしれないです。そういうお互いの得意不得意というか持ち味が違うので、色々と勉強になりましたね。一監督として観られなくなる弊害はあるんですが。 ―― 映像で魅せる面白さと脚本で魅せる面白さのバランスは? 神山 TVシリーズの時は映画より映像にお金と時間をかけられないというのがあって、万が一、映像で上手くいかなかったとしても脚本で面白くしようと考えます。テレビの場合は、お皿を洗いながら観てても分かるようにしなきゃとかいう意識の違いだと思います。映画は画で語らないといけないので、セリフを切ったとしても同じ気持ちになるようにするにはどういう画作りにすればいいだろうというアプローチの違いですね。 (取材・文/真狩祐志) ■『ひるね姫~知らないワタシの物語~』 http://www.hirunehime.jp/ ■デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA https://www.digihakunagoya.com/

霊感商法? 東方Projectの聖地をPRする「城嶺神社」の周囲に見える謎の影

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「城嶺神社」のホームページより。
 これは、何かの事件の始まりなのだろうか。  11月に毎日新聞が報じた「長野県北部の地震2年 白馬村の神社 ゲームのモデルPR」という記事を読んだ『東方Project』ファンは多いだろう。これは、2014年の地震で崩壊した長野県白馬村が、城嶺(じょうみね)神社が再建のために作品に絡めたPRを始めたというもの。  これに先だって、インターネット上には「城嶺神社」という名前のTwitterアカウントとサイトが開設され、そこでは「東方プロジェクトの聖地巡礼の神社らしいです。ファンの方の来訪もお待ちしています」と記されている。  また、11月下旬にはTwitterアカウントで「来年の城嶺神社例大祭(9月第二週当たりになる)では、コスプレイヤーを募集しますので、、、コスプレイヤーの方は、良かったら来てください」というツイートを行っている。東方の聖地であるという部分では、言葉は濁してはいるものの、作品を用いてPRを行っていることは間違いない。  ところが、そうしたネットを用いた宣伝には疑念を抱かざるを得ない。筆者が、それを確信したのは、12月にこのTwitterアカウントで起きた出来事だ。城嶺神社のアカウントに対して「東方以前に神様を祀る社な訳ですから、例大祭でコスプレイヤーを募るのはあまりよろしくないのではないかと思います」と意見した人物を、いきなりブロックしたのである。  こうした意見の是非は別として、いきなりのブロックとは、どういうことだろうか。ネットに明るくない、地元住民が対応に困って行ったと考えている人が多いのではないか。  それは、違う。  このTwitterアカウントや公式サイトを作成し、管理運営しているのは、地元住民ではない。岡谷市在住のS氏なる人物なのである。  実は、この動きが始まる以前の10月下旬に筆者は、S氏よりTwitterのDMで連絡を受け取った。そこには「支援をしたいと思っているのですが、まずは現場に行ってみるという事で 行くのは行くので よかったらご一緒しますか? ZUNさんとかに 何かで支援いただけると助かるのですけどね、、連絡先が分からんです」と記されていた。  まったく興味の沸く話ではなかった。S氏の「支援」の目的が読めなかったからだ。  このS氏と筆者が出会ったのは、岡谷市にある、これも「東方の聖地」とファンの間で呼ばれている洩矢神社でのこと。この神社での、御柱祭の時にS氏から名刺を渡された。そこには「4K YouTuber」なる肩書きが記されていた。その妙な肩書きが気になって、連絡が来る以前から、S氏が普段はどのような活動を行っているのか調べていたのである。  まず見つけたのは、S氏のアメーバーブログ。 「奴隷的な労働会社からの開放宣言 自由に生きて行く力を手にした日本人代表」なるタイトルのブログでは、自己啓発的なエントリーが今年の7月まで更新されていた。  さらに、全体公開でほぼ毎日更新されているFacebookでは「道に迷う人を導くカンナギというお役目(天照大神に仕える身)の他に、アロマテラピー指導講師もしてます」という自己紹介が記されていた。とりわけ前半部分が気になり遡って調べて見たところ、勾玉に様々な神様を込めて頒布(販売)していることや、数多くの神様と話をすることができると宣伝しているものが見つかった。  また、そうした信仰に絡む書き込みの間にも、仮想通貨・ビットコインの勉強会を開催していること。さらには、モルドコインなる仮想通貨を「もっと飛躍していくコインになると思いますので今のうちですね」と記しているものもあったのである。  さまざま気になることがあるが、やはりもっとも気になるのは「かんなぎ(注:神薙のことと思われる)」を自称していること。なんらかの神主の資格を得るなり、修行などを経て、そうした活動を行ってるのであろうか……?  そう思ってS氏に尋ねてみると「かんなぎというのは 資格でするものではないのです。そもそも能力がないとできません」という。  ならば、どこかで修行をしたのかと、さらに尋ねてみると次のような回答が。 「人かどうかわからないような存在に 神社で奉仕するようにお願いをされました。そこから かんなぎとして 神社の中で神様とお話をして 神主がお困りごとを聞いてきた人のお悩みを神様にお伝えして、その回答を神主にお返しするという役割をしていました」  加えて、自分の主は天照大神であると語り、その都合で素戔嗚尊とは話ができないが多種多様な神様と話ができ「ミシャクジ様とはよく話しています」とまでいうのである。  さらに、最近のS氏のFacebookでの投稿を見ると天照大神に「私の声は今 お前と2人の巫女にしか届かない」「いろいろな神様をご紹介されて女神も沢山いましたし、誰か好みはいるのか?とお尋ねられたこともありました」といわれたという主張も。  筆者には面白おかしく書き記す意図はまったくないが、何か首を傾げることばかりだ。そこに来ての異論への、有無をいわさぬブロックを行う事態。そこで改めて、S氏にさまざまな質問をぶつけてみた。  まず尋ねたのは、突然のブロックの意図である。異論に対しては、そうした厳しい対応をするように神社の氏子を含めた意思一致や、業務の委託などが存在するのだろうか。  これに対してS氏は「あまりにひどい質問が沢山あり基本として今は回答していません。東方projectの方からキャラクターの関係で動かないように言われています。これはZUNさんの回答を待っている状態です」と話す。  どういうことかとさらに尋ねてみると、差出人不明の、神社を東方の聖地として扱うことに反対する手紙が届いているというのだ(これは、写真であるが筆者も現物を確認)。  では「東方projectの方」とは、どういう協議を行っているのか。それについてS氏は「株式会社香霖堂」と協議を行っているとしながらも、詳細の説明は拒まれてしまった。  さらに、Twitterで異論反論は即ブロックを行うのは「迷惑行為は基本ブロックです」「諏訪大社で言えばカエル神事反対の人みたいな感じです」として、神社の氏子などとの相談はなく独自の判断で行っていることを認めた。  その上で尋ねたのは、過去に情報商材の販売や、現在でも仮想通貨を宣伝していること。  前者については「過去の話であり、現在はやっていないし、詐欺商材をやっていたわけではないので、一緒にされるのは迷惑」と語り、後者については「仮想通貨については勉強もいけない買ってもいけない、ただ怪しいというのはジャーナリストとしてもう少し勉強したほうが良いような気がします」と語り出した。  さらに「私は手助けしたい一心で動いている」として、筆者の取材を再建の妨害とまで語り出したのである。  いったいS氏の目的が、どこにあるのかは判然とはしない。ただ、S氏は城嶺神社だけでなくさまざまな神社にもコンタクトを取っている様子だ。前述した、別の東方の聖地である洩矢神社でも、11月にTwitterアカウントと公式サイトなるものが公開されているが、これもS氏が作成したものだ。Twitterアカウントについては当初「洩矢神社」と名付けていたものの、現在は「洩矢神社の信者の一人」に変更している。公式サイトのほうは、もう少し謎で初宮参りや七五三、結婚式などの対応も検討していると記されている。  この神社は、あくまで地域住民が管理する小規模な神社で、常駐の神主はいない。どうするのかと思いきやS氏は、関係者に「私がやることになるかも……」と、語っているという……。  筆者の取材の直後、S氏は突如としてアメーバーブログを削除してしまった。さらに筆者宛に「ホームページとツイッターの管理を城嶺神社の氏子総代に渡すことにしました」と、連絡が来たのである。彼自身、間違ったことはしていないことを繰り返し述べていたのだが、何か思うところがあったのだろうか。  すでに城嶺神社の公式サイトでは、御朱印の有料頒布を告知しているが、これも今後はどうなるのか不明である。 (文=ルポライター/昼間たかし http://t-hiruma.jp/

霊感商法? 東方Projectの聖地をPRする「城嶺神社」の周囲に見える謎の影

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「城嶺神社」のホームページより。
 これは、何かの事件の始まりなのだろうか。  11月に毎日新聞が報じた「長野県北部の地震2年 白馬村の神社 ゲームのモデルPR」という記事を読んだ『東方Project』ファンは多いだろう。これは、2014年の地震で崩壊した長野県白馬村が、城嶺(じょうみね)神社が再建のために作品に絡めたPRを始めたというもの。  これに先だって、インターネット上には「城嶺神社」という名前のTwitterアカウントとサイトが開設され、そこでは「東方プロジェクトの聖地巡礼の神社らしいです。ファンの方の来訪もお待ちしています」と記されている。  また、11月下旬にはTwitterアカウントで「来年の城嶺神社例大祭(9月第二週当たりになる)では、コスプレイヤーを募集しますので、、、コスプレイヤーの方は、良かったら来てください」というツイートを行っている。東方の聖地であるという部分では、言葉は濁してはいるものの、作品を用いてPRを行っていることは間違いない。  ところが、そうしたネットを用いた宣伝には疑念を抱かざるを得ない。筆者が、それを確信したのは、12月にこのTwitterアカウントで起きた出来事だ。城嶺神社のアカウントに対して「東方以前に神様を祀る社な訳ですから、例大祭でコスプレイヤーを募るのはあまりよろしくないのではないかと思います」と意見した人物を、いきなりブロックしたのである。  こうした意見の是非は別として、いきなりのブロックとは、どういうことだろうか。ネットに明るくない、地元住民が対応に困って行ったと考えている人が多いのではないか。  それは、違う。  このTwitterアカウントや公式サイトを作成し、管理運営しているのは、地元住民ではない。岡谷市在住のS氏なる人物なのである。  実は、この動きが始まる以前の10月下旬に筆者は、S氏よりTwitterのDMで連絡を受け取った。そこには「支援をしたいと思っているのですが、まずは現場に行ってみるという事で 行くのは行くので よかったらご一緒しますか? ZUNさんとかに 何かで支援いただけると助かるのですけどね、、連絡先が分からんです」と記されていた。  まったく興味の沸く話ではなかった。S氏の「支援」の目的が読めなかったからだ。  このS氏と筆者が出会ったのは、岡谷市にある、これも「東方の聖地」とファンの間で呼ばれている洩矢神社でのこと。この神社での、御柱祭の時にS氏から名刺を渡された。そこには「4K YouTuber」なる肩書きが記されていた。その妙な肩書きが気になって、連絡が来る以前から、S氏が普段はどのような活動を行っているのか調べていたのである。  まず見つけたのは、S氏のアメーバーブログ。 「奴隷的な労働会社からの開放宣言 自由に生きて行く力を手にした日本人代表」なるタイトルのブログでは、自己啓発的なエントリーが今年の7月まで更新されていた。  さらに、全体公開でほぼ毎日更新されているFacebookでは「道に迷う人を導くカンナギというお役目(天照大神に仕える身)の他に、アロマテラピー指導講師もしてます」という自己紹介が記されていた。とりわけ前半部分が気になり遡って調べて見たところ、勾玉に様々な神様を込めて頒布(販売)していることや、数多くの神様と話をすることができると宣伝しているものが見つかった。  また、そうした信仰に絡む書き込みの間にも、仮想通貨・ビットコインの勉強会を開催していること。さらには、モルドコインなる仮想通貨を「もっと飛躍していくコインになると思いますので今のうちですね」と記しているものもあったのである。  さまざま気になることがあるが、やはりもっとも気になるのは「かんなぎ(注:神薙のことと思われる)」を自称していること。なんらかの神主の資格を得るなり、修行などを経て、そうした活動を行ってるのであろうか……?  そう思ってS氏に尋ねてみると「かんなぎというのは 資格でするものではないのです。そもそも能力がないとできません」という。  ならば、どこかで修行をしたのかと、さらに尋ねてみると次のような回答が。 「人かどうかわからないような存在に 神社で奉仕するようにお願いをされました。そこから かんなぎとして 神社の中で神様とお話をして 神主がお困りごとを聞いてきた人のお悩みを神様にお伝えして、その回答を神主にお返しするという役割をしていました」  加えて、自分の主は天照大神であると語り、その都合で素戔嗚尊とは話ができないが多種多様な神様と話ができ「ミシャクジ様とはよく話しています」とまでいうのである。  さらに、最近のS氏のFacebookでの投稿を見ると天照大神に「私の声は今 お前と2人の巫女にしか届かない」「いろいろな神様をご紹介されて女神も沢山いましたし、誰か好みはいるのか?とお尋ねられたこともありました」といわれたという主張も。  筆者には面白おかしく書き記す意図はまったくないが、何か首を傾げることばかりだ。そこに来ての異論への、有無をいわさぬブロックを行う事態。そこで改めて、S氏にさまざまな質問をぶつけてみた。  まず尋ねたのは、突然のブロックの意図である。異論に対しては、そうした厳しい対応をするように神社の氏子を含めた意思一致や、業務の委託などが存在するのだろうか。  これに対してS氏は「あまりにひどい質問が沢山あり基本として今は回答していません。東方projectの方からキャラクターの関係で動かないように言われています。これはZUNさんの回答を待っている状態です」と話す。  どういうことかとさらに尋ねてみると、差出人不明の、神社を東方の聖地として扱うことに反対する手紙が届いているというのだ(これは、写真であるが筆者も現物を確認)。  では「東方projectの方」とは、どういう協議を行っているのか。それについてS氏は「株式会社香霖堂」と協議を行っているとしながらも、詳細の説明は拒まれてしまった。  さらに、Twitterで異論反論は即ブロックを行うのは「迷惑行為は基本ブロックです」「諏訪大社で言えばカエル神事反対の人みたいな感じです」として、神社の氏子などとの相談はなく独自の判断で行っていることを認めた。  その上で尋ねたのは、過去に情報商材の販売や、現在でも仮想通貨を宣伝していること。  前者については「過去の話であり、現在はやっていないし、詐欺商材をやっていたわけではないので、一緒にされるのは迷惑」と語り、後者については「仮想通貨については勉強もいけない買ってもいけない、ただ怪しいというのはジャーナリストとしてもう少し勉強したほうが良いような気がします」と語り出した。  さらに「私は手助けしたい一心で動いている」として、筆者の取材を再建の妨害とまで語り出したのである。  いったいS氏の目的が、どこにあるのかは判然とはしない。ただ、S氏は城嶺神社だけでなくさまざまな神社にもコンタクトを取っている様子だ。前述した、別の東方の聖地である洩矢神社でも、11月にTwitterアカウントと公式サイトなるものが公開されているが、これもS氏が作成したものだ。Twitterアカウントについては当初「洩矢神社」と名付けていたものの、現在は「洩矢神社の信者の一人」に変更している。公式サイトのほうは、もう少し謎で初宮参りや七五三、結婚式などの対応も検討していると記されている。  この神社は、あくまで地域住民が管理する小規模な神社で、常駐の神主はいない。どうするのかと思いきやS氏は、関係者に「私がやることになるかも……」と、語っているという……。  筆者の取材の直後、S氏は突如としてアメーバーブログを削除してしまった。さらに筆者宛に「ホームページとツイッターの管理を城嶺神社の氏子総代に渡すことにしました」と、連絡が来たのである。彼自身、間違ったことはしていないことを繰り返し述べていたのだが、何か思うところがあったのだろうか。  すでに城嶺神社の公式サイトでは、御朱印の有料頒布を告知しているが、これも今後はどうなるのか不明である。 (文=ルポライター/昼間たかし http://t-hiruma.jp/

声優が豪華なだけじゃない!『スター・ウォーズ』並みの重厚さとお得感満載な日本風米国産アニメ『RWBY』レビュー!!

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『RWBY』公式サイトより
 魔物を退治する専門家“ハンター”を育成するための学校、ビーコン・アカデミーに入学した15歳の少女ルビーを主人公に、彼女の友人やライバルたち共に学園生活と戦場とを往来していくアメリカのアニメーション映画、それが『RWBY』である。  これだけなら、どこか『ハリー・ポッター』シリーズを彷彿させるような魔法学園ものと捉えられるだけかもしれないが、本作のユニークな点は、日本のアニメーションに多大な影響を受けたアメリカの若手クリエーターたちによって、日本アニメのテイストで作られていることである。  制作は、米クリエイティブ・スタジオ“Rooster Teeth”。ここの主要スタッフには日本アニメ愛好家が多数在籍しており、また最近のアメリカのアニメーション映画は3DCGで作られることが主になってきているが、このスタジオでは3DCGセルルック仕様、即ち日本のセル・アニメにならったタッチをCGで描出すべく腐心し続けている。 『RWBY』もその1本で、そのキャラクターを見ていただければ一目瞭然。特に女性キャラの数々は元気印のヒロインをはじめ、プライドの高いお嬢様、クール・ビューティなどなど、ことごとく日本の萌えキャラの韻を踏んでいるのは微笑ましい限りで、一方で男キャラもイケメン多数(もっとも、どこかマッチョな感じを漂わせたものが多いのはアメリカ的か?)。  題材的にも魔法バトル少女ものは日本のアニメのお家芸であり、そういった情緒にアメリカ的資質を加味させながら、一種独特の雰囲気の面白さを保持したものになり得ている。  もっとも、本作はもともとYou Tubeなどweb配信されている短編シリーズを、現在までに3本の劇場用映画としてまとめあげたものであり、作画、つまり3DCGセルルックの技術に関しては、我が国のものと比べてかなり見劣りするものがあり、さすがに日本語吹き替え版による第 1作『VOLUME1』を銀幕で鑑賞したときは、早見沙織や日笠陽子などの人気実力派声優陣の声に画が負けているように感じられたものだ。  まあ、もともとはwebアニメなのだから大目に見ようなどと、正直なところ、ちと傲慢な上から目線でいたというのが最初の鑑賞態度であったのだが、これが『VOLUME2』『VOLUME3』と回を重ねるにつれて、その技術が着実に上がってきているのが画そのものから如実にあらわれ、それと同時にストーリー展開が思わぬ方向へスリリングに移行し始めていくのを目の当たりにし、こちらも反省して、襟を正して接するようになってきている。 『VOLUME1』では、それぞれのキャラクター設定とその相関関係からスクールカーストや人種差別といった問題にごく自然に踏み込んでいるのがアメリカらしいとは思っていたが、これが『VOLUME2』では不穏な新キャラの登場や、さまざまな小ネタ的な謎が振りまかれ、これが単なる魔法学園ものではないことを匂わせながら、現在公開中の『VOLUME3』へ至る。  今回は、こちらも日本アニメのお家芸、学園内での武闘大会が開催され、前半部は各キャラの個性を活かしたバトルのダイナミズムで大いに魅せてくれるのだが、そういった愉しさだけでドラマが終わるはずもなく、前回でビーコン・アカデミーに潜入したシンダー・フォール一味がついに行動を開始し、後半は街中を巻き込んでの革命劇の様相を呈していく。  見終えた印象としては『スター・ウォーズ 帝国の逆襲 』のそれに近く、未見のかたのために細部まで記す野暮は避けたいところだが、まさかこのシリーズが重厚さすら感じさせる卓抜したダーク・ファンタジーへ移行していこうなどとは思いもよらなかっただけに、これまた実にうれしい誤算なのであった。  また本シリーズ、第1作は2時間だったが、第2作は2時間半、そして今回の第3作は何と3時間で入場料1,300円。昨今の国産アニメのイベント上映が1時間以内のもので1,300~1,400円くらいの入場料金をとることがざらで、中には30分で1,200円もとられたりすると、さすがにいいかげんにしろといいたくなることもあるのだが、こちらは実にありがたい。  とはいえ、さすがに長丁場、途中で5分くらい休憩タイムがあってもいいような気がしたが(現在発売中の『VOLUME2』DVDレンタルは前編後編と分かれている)、いざ見始めるとそのテンポの良さとストーリーの面白さゆえに、全然だれることなく一気に見入ることができる(もっともトイレは絶対事前にすませておくこと)。  なお、本作をクリエイトしてきた監督のモンティ・オウムは『VOLUME2』完成直後の2015年2月1日に33歳の若さで急死。本作は彼の遺志を受け継いでケリー・ショークロスが監督/ 脚本を担い、完成させたもの。本作のテンションの高さは、モンティ・オウムの弔い合戦ともいえるものだったが、では次回からどのような展開となるのか、いよいよ目が離せないものになってきた。  当初は日本アニメの影響を多分に受けた好もしい模倣的イメージだった本シリーズ、いつの間にか独自の魅力を湛えた秀逸なものとして屹立し始めてきたようだ。 (文・増當竜也)

「どんだけ入り込んでんだよ!」『DB超』の対談で明かされた悟空役・野沢&アラレ役・小山の役への入り込みように驚く声

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『ドラゴンボール超』公式サイトより。
 12月4日に放送された『ドラゴンボール超』(フジテレビ系)69話には、『Dr.スランプアラレちゃん』(作:鳥山明/集英社)のキャラクターたちが登場し大好評。そして同放送を記念し、悟空の声を担当する野沢雅子とアラレちゃんの声を務める小山茉美の対談が公式サイトで公開されているのだが(参照記事)、この度後編が掲載され、野沢の役への入り込みように今更ながら、驚きの声が上がっている。  インタビュー前編でも、心の中にキャラクターが残っていると語っていた野沢。今回も悟空の気持ちを代弁する場面が多く、69話についても「悟空としての感想は……アラレちゃんも敵じゃないから、バトルしていても、楽しんでやっていた」と発言。今回の悟空は普段とちょっと違い、戦闘ムードではなかったと説明し、「ちょっとかわいい、アラレちゃんとお友だち! っていう感じでした」とまるで自分の気持ちを語っているようなコメント。  さらに野沢は「“未来”トランクス編」で世界を滅ぼそうとしたザマスについて「なかなかいないですよ~! あんな悪い人!」と感情を昂らせる。収録中、ザマスの声を担当している三木眞一郎に対して悟空になり切っていた野沢は「三木、なんて悪い事をしてるの!?」とスタジオで思わず言ってしまい、三木が「マコさん、これは役ですから…」と戸惑ったというエピソードも披露。  これには「うわぁwww どんだけ入り込んでんだよ!」「悟空が腹立つことは野沢も腹立つんだろ」「ザマス役の三木もとんだとばっちりだな(笑)」「悟空とシンクロしすぎて現実とDBの世界の境界が曖昧になってんじゃねーか!」といった声が。野沢といえば、『銀河鉄道999』で鉄郎役を演じていた際、メーテル役の池田昌子がほかの男性と雑談しただけで不愉快に感じたというエピソードが有名だが、相変わらずののめり込みぐあいであるようだ。  また今回の放送で、悟空とアラレが仲良く遊んでいる雰囲気だったのに対し、ベジータ一人がアラレと真剣に戦っていたことについて、野沢は「ベジータだけ真面目っていうか…」「本当は入ってきたいんだけどプライドが許さなくてねぇ、バカですねぇもう(笑)」とめちゃくちゃ辛口にベジータを批評。これも悟空の気持ちを代弁しているとすれば、無邪気に見える悟空からも馬鹿にされるベジータは中々可哀想なやつだと言えるだろう。