本当に強い人というのはどんな人なのだろう。時々そんなことを考える。 一般的には、健康な心と体を持ち、困難や不幸にも負けず、自分の人生を切り開いていく、そんな人が想像されるだろう。 もちろん、そんな“強さ”も否定するつもりはない。 しかし、卯月妙子の壮絶な人生に触れると、本当にそれだけが“強い”ということなのだろうかと考えてしまう。 12月12日に発売された卯月妙子の漫画『人間仮免中つづき』(小学館)が話題だ。 作者であり、この作品の主人公でもある卯月妙子は、1971年生まれ、岩手県宮古市の出身。20才で結婚後、夫の借金返済のためAVの世界に入り、いわゆる“企画もの”での過激な作品で人気を集めた。 それと平行してコミックエッセイという形でその実情を描いた漫画を発表し、マニアの間で話題となった。 しかし、私生活では、夫が投身自殺、意識が戻らないまま介護を続けるも、1年半後に他界。自身も若くから患っていた統合失調症に苦しめられ、何度も自殺未遂と入退院を繰り返す。演劇などにも取り組み、表現者としての活動の幅を広げたが、その後ストリップをやっていた時に、舞台上で自らの首を切り、救急車で搬送、3日間意識不明になるも一命をとりとめるという経験もしている。 2012年に発売された、『人間仮免中』(イースト・プレス)では、25歳年上の日本人・ボビーとの恋愛、そして、歩道橋から投身自殺を図り、顔面を粉砕骨折、右目を失明するという状況の中、襲いかかる幻覚と幻聴、退院後の生活などを赤裸々に綴り、『本の雑誌』(本の雑誌社)が選ぶ2012年度ベストテン第1位、「THE BEST MANGA 2013このマンガを読め!」第2位などに選ばれ、大きな反響を呼んだ。 その本から4年半を経て、その後日談が描かれたのが、この『人間仮免中つづき』だ。 卯月妙子は、北海道の障害者施設に入ることになり、ボビーとは5年間離れて暮らしたという。そして5年後、2人が再会し、北海道で一緒に暮らし始めたところから物語ははじまる。 ボビーは既に60代後半、卯月も40代。普通のカップルであれば、倦怠期というか、落ち着いた関係になりがちな年代である。 しかし、この2人の愛情は、全く衰えることがない。再会した駅の改札で抱き合い、涙を流し、お互いが生きていることを喜び合うのだ。 その後の2人の生活も、決して楽なものではない。悪化する卯月の症状と、迫り来るボビーの老い。元々気性の激しい2人は時に激しくぶつかり合う。しかし、その根底には、お互いの覚悟と、確固たる愛情が流れている。 ボビーが生きていることが心の支えである卯月と、「俺が死んでも生き続けろ」と言うボビー。寿命と病との狭間にあって、不思議と2人は幸せなのだろうと感じさせられる。 何より特徴的なのは、この漫画の持つ明るさだ。 冷静に考えれば、これほど暗く陰鬱な状況などそうそうあり得ないことなのに、彼女のタッチはどこまでも明るく、カラッとしている。 以前ベストセラーとなった『失踪日記』(イースト・プレス)で、作者の吾妻ひでおが語っていたように、「リアルだと描くのが辛いし暗くなる」ということなのだろう。物語は楽しんで読んで、そこに隠されている現実の重みは、読んでいる人それぞれが感じればよいことだ。 そうして感じること。もしかしたら、これこそが“強さ”なんじなゃないだろうか。何度も自殺未遂している人を捕まえて“強さ”というのはおかしいかもしれないが、何度となく自殺しようとしている人は、その同じ数だけその死を乗り越えてきているのだ。そして、辛い日常を明るく、ギャグにしながら描き出す。これこそが彼女の持っている何よりの才能ではないだろうか。 本書の最後では、3.11のことが描かれている。最初に書いたとおり、津波の被害を受けた宮古市は卯月妙子の故郷である。その日の出来事は、彼女の中で大きなトラウマになっているという。ここでもまた、生と死について考えさせられる。たやすく「生きていることは尊い」などと言うつもりはない。それでも、少なくとも死なないということは大事だ。それだけは忘れずにいなければならない。 それにしても、卯月妙子の作品は、なぜこんなに人の気持ちを揺さぶるのか。それは多分、彼女が誰よりも強い思いを持っているからだろう。 故郷への思い、家族への思い、友人への思い、そしてボビーへの思い。「過ぎたるは及ばざるが如し」というように、思いが強すぎることは、逆に脆いことなかもしれない。でも、そんな脆さがあったとしても、強い思いを持って生きることは素敵なことだ。 とても無様で、かっこ悪い生き方だったとしても、その命はきらめきを増しているように思うから。 作中、ボビーは70歳の誕生日を迎える。 激しかった2人の生活も、穏やかさが増していくのではないかと思われる。“夫婦”とか“介護”とか、難しい問題だけど、この2人を見ていると、本当に愛があればなんとかなるんじゃないかと思えてくる。 愛があれば、生き続けていけるんじゃないかと思えてくる。 (文=プレヤード)『人間仮免中つづき』(小学館)
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話題作『人間仮免中』から4年── 『人間仮免中つづき』異端の表現者・卯月妙子が描き出す“究極の愛の姿”とは?
本当に強い人というのはどんな人なのだろう。時々そんなことを考える。 一般的には、健康な心と体を持ち、困難や不幸にも負けず、自分の人生を切り開いていく、そんな人が想像されるだろう。 もちろん、そんな“強さ”も否定するつもりはない。 しかし、卯月妙子の壮絶な人生に触れると、本当にそれだけが“強い”ということなのだろうかと考えてしまう。 12月12日に発売された卯月妙子の漫画『人間仮免中つづき』(小学館)が話題だ。 作者であり、この作品の主人公でもある卯月妙子は、1971年生まれ、岩手県宮古市の出身。20才で結婚後、夫の借金返済のためAVの世界に入り、いわゆる“企画もの”での過激な作品で人気を集めた。 それと平行してコミックエッセイという形でその実情を描いた漫画を発表し、マニアの間で話題となった。 しかし、私生活では、夫が投身自殺、意識が戻らないまま介護を続けるも、1年半後に他界。自身も若くから患っていた統合失調症に苦しめられ、何度も自殺未遂と入退院を繰り返す。演劇などにも取り組み、表現者としての活動の幅を広げたが、その後ストリップをやっていた時に、舞台上で自らの首を切り、救急車で搬送、3日間意識不明になるも一命をとりとめるという経験もしている。 2012年に発売された、『人間仮免中』(イースト・プレス)では、25歳年上の日本人・ボビーとの恋愛、そして、歩道橋から投身自殺を図り、顔面を粉砕骨折、右目を失明するという状況の中、襲いかかる幻覚と幻聴、退院後の生活などを赤裸々に綴り、『本の雑誌』(本の雑誌社)が選ぶ2012年度ベストテン第1位、「THE BEST MANGA 2013このマンガを読め!」第2位などに選ばれ、大きな反響を呼んだ。 その本から4年半を経て、その後日談が描かれたのが、この『人間仮免中つづき』だ。 卯月妙子は、北海道の障害者施設に入ることになり、ボビーとは5年間離れて暮らしたという。そして5年後、2人が再会し、北海道で一緒に暮らし始めたところから物語ははじまる。 ボビーは既に60代後半、卯月も40代。普通のカップルであれば、倦怠期というか、落ち着いた関係になりがちな年代である。 しかし、この2人の愛情は、全く衰えることがない。再会した駅の改札で抱き合い、涙を流し、お互いが生きていることを喜び合うのだ。 その後の2人の生活も、決して楽なものではない。悪化する卯月の症状と、迫り来るボビーの老い。元々気性の激しい2人は時に激しくぶつかり合う。しかし、その根底には、お互いの覚悟と、確固たる愛情が流れている。 ボビーが生きていることが心の支えである卯月と、「俺が死んでも生き続けろ」と言うボビー。寿命と病との狭間にあって、不思議と2人は幸せなのだろうと感じさせられる。 何より特徴的なのは、この漫画の持つ明るさだ。 冷静に考えれば、これほど暗く陰鬱な状況などそうそうあり得ないことなのに、彼女のタッチはどこまでも明るく、カラッとしている。 以前ベストセラーとなった『失踪日記』(イースト・プレス)で、作者の吾妻ひでおが語っていたように、「リアルだと描くのが辛いし暗くなる」ということなのだろう。物語は楽しんで読んで、そこに隠されている現実の重みは、読んでいる人それぞれが感じればよいことだ。 そうして感じること。もしかしたら、これこそが“強さ”なんじなゃないだろうか。何度も自殺未遂している人を捕まえて“強さ”というのはおかしいかもしれないが、何度となく自殺しようとしている人は、その同じ数だけその死を乗り越えてきているのだ。そして、辛い日常を明るく、ギャグにしながら描き出す。これこそが彼女の持っている何よりの才能ではないだろうか。 本書の最後では、3.11のことが描かれている。最初に書いたとおり、津波の被害を受けた宮古市は卯月妙子の故郷である。その日の出来事は、彼女の中で大きなトラウマになっているという。ここでもまた、生と死について考えさせられる。たやすく「生きていることは尊い」などと言うつもりはない。それでも、少なくとも死なないということは大事だ。それだけは忘れずにいなければならない。 それにしても、卯月妙子の作品は、なぜこんなに人の気持ちを揺さぶるのか。それは多分、彼女が誰よりも強い思いを持っているからだろう。 故郷への思い、家族への思い、友人への思い、そしてボビーへの思い。「過ぎたるは及ばざるが如し」というように、思いが強すぎることは、逆に脆いことなかもしれない。でも、そんな脆さがあったとしても、強い思いを持って生きることは素敵なことだ。 とても無様で、かっこ悪い生き方だったとしても、その命はきらめきを増しているように思うから。 作中、ボビーは70歳の誕生日を迎える。 激しかった2人の生活も、穏やかさが増していくのではないかと思われる。“夫婦”とか“介護”とか、難しい問題だけど、この2人を見ていると、本当に愛があればなんとかなるんじゃないかと思えてくる。 愛があれば、生き続けていけるんじゃないかと思えてくる。 (文=プレヤード)『人間仮免中つづき』(小学館)
まる子の初代お姉ちゃん・水谷優子が生前収録した話が放送され話題沸騰! 『ちびまる子ちゃん』1082話に感動の声
12月18日に放送されたTVアニメ『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)第1082話。今週も前半と後半がセットで一本の話になっている長編で、まる子のお姉ちゃん・さきこを主役に据えた物語を展開されたのだが、実このエピソード、なんと今年5月に乳がんで亡くなったさきこ役の水谷優子さんが生前に収録したもの。久しぶりのおねえちゃんの出演に、ネットでは歓喜の声が続出しているので、気になる話をファンの声とともに紹介。 作品タイトルは「『お姉ちゃん、謎のクラブ活動?』の巻」。ネットでは「さきこ回きたあああ!」と、皆大好きなさきこが主役と聞いてタイトルだけで大盛り上がり。ある寒い冬の日、まる子や友蔵がこたつでみかんを食べてぐーたらしている中、お姉ちゃんは「いってきます」と外へと出かけていく。ここでお姉ちゃんの声がすぐさま水谷氏のものと気付いたファンたち。「あれ? 声が水谷さんっぽくない?」「今のは絶対水谷さんだ!」「水谷お姉ちゃんかよおお!」とさらに歓喜の声を上げる。 EDのクレジットでも、しっかり“水谷優子”と記載されていた。クリスマスがテーマのエピソードなので、昨年か一昨年に制作されたものの、放送が先延ばしになっていたのかもしれない。さきこ役を引き継いだ豊嶋真千子さんの演技に文句があるわけではないが、やっぱり慣れ親しんだ水谷さんの声を懐かしく思う人も多いのだろう。 さて、その後のストーリーを追うと、お姉ちゃんは夕飯ギリギリの時間に帰宅。「どこで何してたのさ」と聞くまる子に「フフ……、ちょっとね。集まりがあってさ」と濁すお姉ちゃん。「クラブ活動みたいなやつ?」と聞かれても「まあそんな感じ」とはっきりしない。 次の日、まる子は街でお姉ちゃんと仲の良いよし子さんに出会う。きっとよし子さんも一緒にお姉ちゃんとクラブ活動をしていると思ったまる子は「よし子さんも今からですか? お姉ちゃんもう(クラブ活動に)行きましたよ」と話しかけたのだが、「何のことかしら?」「さくらさんお出掛けなの? 学校では何も言ってなかったわ」とよし子さんも何も知らない様子。 だんだん不安になってくるまる子。その夜、お姉ちゃんに再度クラブ活動の内容を訪ねてみたが、やはりはぐらかされてしまった。この様子にネット民も不安になったようで、「お姉ちゃんがまさか夜の仕事を!?」「さきこ怪しいぞさきこ」「さきこの隠し事とは穏やかじゃないな」「うーん、テレビから離れられなくなってしまった」と、グッとストーリーに引き込まれていた模様。 さらに次の日、おつかい中のまる子はクラブ活動へ向かう途中のお姉ちゃんを発見。尾行を開始した。すると、お姉ちゃんはある一軒家に入っていく。窓から中を覗いてみるとお姉ちゃんは若い女性複数と談笑している。食い入るように見るまる子に、背後から老年女性が声をかけてきた。ビックリしたまる子はその場から逃げ去ってしまう。 また次の日、再度お姉ちゃんが入っていた家を覗きにいったまる子。すると老年女性が再び話しかけてきて、ここはアクセサリー教室だと説明。どうやらお姉ちゃんは家族のために手作りのアクセサリーを作っているらしいのだ。ようやく謎が解けたまる子。安堵の表情で家へ帰っていく。 だがある日のこと、夕飯の時間になってもお姉ちゃんが家に帰ってこない。揃って夕飯を食べるために家族はひたすらお姉ちゃんを待っている。そんな中、お姉ちゃんがようやく帰宅。「こんなに遅くなるまでどこで何してたの!?」とお母さん・すみれが叱り、お父さん・ひろしも同調してお姉ちゃんを責めたてる。頑なに口をつぐむお姉ちゃんだったが、そんな様子にいたたまれなくなったまる子は、「お姉ちゃんここんとこ、アクセサリー教室に行ってたんだよ」「クリスマスにあたしたちみんなに手作りしてプレゼントしようと思ってたんだよ」「だから怒らないで!」と庇いだす。だがこれにお姉ちゃんは「余計なことして」「バカ! バカ! バカーーッ!」と激怒しその場から去っていく。 お姉ちゃんはびっくりさせるためにプレゼントを内緒にしておきたかったのだ。落ち込むお姉ちゃん。しかし教室の老年女性から、サプライズではなくなったけど、今の家族はわくわくして待っていると思うわ、と慰められると再び元気を取り戻す。さらにお姉ちゃんの気持ちを知ったまる子が、自分の過ちに気付きお姉ちゃんに謝ると、お姉ちゃんも「あんたが私のために言ったって分かったんだけど」とまる子に謝り、2人は仲直り。 そして、お姉ちゃんが家族にプレゼントを渡すと、家族みんなは満面の笑みで喜ぶ。ひろしにいたっては目に涙を浮かべており、ネットでは「ひろしにつられて泣いてしまった」「血も涙もなさそうなひろしの涙はくるな」「ひろしが泣いて喜んでるのは笑えるけど泣ける」と、思わずひろしに誘われて泣いてしまうなんて声も。さらに「久々に水谷氏のお姉ちゃん声がたくさん聞けて幸せでした」「まる子が不意打ちの感動回で凄くよかった」「私もなにか家族にしてあげたくなった」といった反響も。 思いがけぬ、水谷さんのお姉ちゃんの声と、感動のストーリーは、ファンにとって一足早いクリスマスプレゼントとなったようだ。『ちびまる子ちゃん』公式Twitter(@tweet_maruko)より。
まる子の初代お姉ちゃん・水谷優子が生前収録した話が放送され話題沸騰! 『ちびまる子ちゃん』1082話に感動の声
12月18日に放送されたTVアニメ『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)第1082話。今週も前半と後半がセットで一本の話になっている長編で、まる子のお姉ちゃん・さきこを主役に据えた物語を展開されたのだが、実このエピソード、なんと今年5月に乳がんで亡くなったさきこ役の水谷優子さんが生前に収録したもの。久しぶりのおねえちゃんの出演に、ネットでは歓喜の声が続出しているので、気になる話をファンの声とともに紹介。 作品タイトルは「『お姉ちゃん、謎のクラブ活動?』の巻」。ネットでは「さきこ回きたあああ!」と、皆大好きなさきこが主役と聞いてタイトルだけで大盛り上がり。ある寒い冬の日、まる子や友蔵がこたつでみかんを食べてぐーたらしている中、お姉ちゃんは「いってきます」と外へと出かけていく。ここでお姉ちゃんの声がすぐさま水谷氏のものと気付いたファンたち。「あれ? 声が水谷さんっぽくない?」「今のは絶対水谷さんだ!」「水谷お姉ちゃんかよおお!」とさらに歓喜の声を上げる。 EDのクレジットでも、しっかり“水谷優子”と記載されていた。クリスマスがテーマのエピソードなので、昨年か一昨年に制作されたものの、放送が先延ばしになっていたのかもしれない。さきこ役を引き継いだ豊嶋真千子さんの演技に文句があるわけではないが、やっぱり慣れ親しんだ水谷さんの声を懐かしく思う人も多いのだろう。 さて、その後のストーリーを追うと、お姉ちゃんは夕飯ギリギリの時間に帰宅。「どこで何してたのさ」と聞くまる子に「フフ……、ちょっとね。集まりがあってさ」と濁すお姉ちゃん。「クラブ活動みたいなやつ?」と聞かれても「まあそんな感じ」とはっきりしない。 次の日、まる子は街でお姉ちゃんと仲の良いよし子さんに出会う。きっとよし子さんも一緒にお姉ちゃんとクラブ活動をしていると思ったまる子は「よし子さんも今からですか? お姉ちゃんもう(クラブ活動に)行きましたよ」と話しかけたのだが、「何のことかしら?」「さくらさんお出掛けなの? 学校では何も言ってなかったわ」とよし子さんも何も知らない様子。 だんだん不安になってくるまる子。その夜、お姉ちゃんに再度クラブ活動の内容を訪ねてみたが、やはりはぐらかされてしまった。この様子にネット民も不安になったようで、「お姉ちゃんがまさか夜の仕事を!?」「さきこ怪しいぞさきこ」「さきこの隠し事とは穏やかじゃないな」「うーん、テレビから離れられなくなってしまった」と、グッとストーリーに引き込まれていた模様。 さらに次の日、おつかい中のまる子はクラブ活動へ向かう途中のお姉ちゃんを発見。尾行を開始した。すると、お姉ちゃんはある一軒家に入っていく。窓から中を覗いてみるとお姉ちゃんは若い女性複数と談笑している。食い入るように見るまる子に、背後から老年女性が声をかけてきた。ビックリしたまる子はその場から逃げ去ってしまう。 また次の日、再度お姉ちゃんが入っていた家を覗きにいったまる子。すると老年女性が再び話しかけてきて、ここはアクセサリー教室だと説明。どうやらお姉ちゃんは家族のために手作りのアクセサリーを作っているらしいのだ。ようやく謎が解けたまる子。安堵の表情で家へ帰っていく。 だがある日のこと、夕飯の時間になってもお姉ちゃんが家に帰ってこない。揃って夕飯を食べるために家族はひたすらお姉ちゃんを待っている。そんな中、お姉ちゃんがようやく帰宅。「こんなに遅くなるまでどこで何してたの!?」とお母さん・すみれが叱り、お父さん・ひろしも同調してお姉ちゃんを責めたてる。頑なに口をつぐむお姉ちゃんだったが、そんな様子にいたたまれなくなったまる子は、「お姉ちゃんここんとこ、アクセサリー教室に行ってたんだよ」「クリスマスにあたしたちみんなに手作りしてプレゼントしようと思ってたんだよ」「だから怒らないで!」と庇いだす。だがこれにお姉ちゃんは「余計なことして」「バカ! バカ! バカーーッ!」と激怒しその場から去っていく。 お姉ちゃんはびっくりさせるためにプレゼントを内緒にしておきたかったのだ。落ち込むお姉ちゃん。しかし教室の老年女性から、サプライズではなくなったけど、今の家族はわくわくして待っていると思うわ、と慰められると再び元気を取り戻す。さらにお姉ちゃんの気持ちを知ったまる子が、自分の過ちに気付きお姉ちゃんに謝ると、お姉ちゃんも「あんたが私のために言ったって分かったんだけど」とまる子に謝り、2人は仲直り。 そして、お姉ちゃんが家族にプレゼントを渡すと、家族みんなは満面の笑みで喜ぶ。ひろしにいたっては目に涙を浮かべており、ネットでは「ひろしにつられて泣いてしまった」「血も涙もなさそうなひろしの涙はくるな」「ひろしが泣いて喜んでるのは笑えるけど泣ける」と、思わずひろしに誘われて泣いてしまうなんて声も。さらに「久々に水谷氏のお姉ちゃん声がたくさん聞けて幸せでした」「まる子が不意打ちの感動回で凄くよかった」「私もなにか家族にしてあげたくなった」といった反響も。 思いがけぬ、水谷さんのお姉ちゃんの声と、感動のストーリーは、ファンにとって一足早いクリスマスプレゼントとなったようだ。『ちびまる子ちゃん』公式Twitter(@tweet_maruko)より。
フジテレビがTBS『逃げ恥』を全力プッシュ!? 「虐殺器官」を冲方丁が絶賛も「すっごい白い」と完成はまだ――!?
2005年の『ハチミツとクローバー』を皮切りに、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『PSYCHO-PASS』といった作品を輩出してきた、フジテレビのアニメ放送枠「ノイタミナ」。 その「ノイタミナ」ラインナップ発表会が15日、フジテレビ内で開かれ、会場には『クズの本懐』から安済知佳と島﨑信長、『甲鉄城のカバネリ』の梶裕貴、畠中祐など豪華キャストに加え、制作スタッフたちも登壇し、さまざまな裏話を披露した。 「森見登美彦の小説が原作の劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』(来年4月7日公開予定/角川文庫)の発表では、先輩役を演じる星野源さんの紹介がスクリーンに写り出されたんです。それが、現在星野さんが新垣結衣さんの相手役を演じているドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系/以下、『逃げ恥』)の、視聴率の好調さを伝える新聞記事をデカデカと紹介していたんです(笑)。フジテレビでの会見なのによくやるなぁと、会場も若干ざわめいていました(笑)」(発表会を観覧した20代男性アニメファン) そんな中、『四畳半神話大系』(角川文庫)や『ピンポン THE ANIMATION』(原題:『ピンポン』、作:松本大洋/小学館)などを手がけ、17年4月7日公開される劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』にて、監督を務める湯浅政明もVTRでイベントに登場。 「湯浅監督は、VTRの最後に『これとは別に、来年春公開予定のオリジナル映画を制作しています』と、タイトルも詳細も明かすことはなかったのですが、告知していました。『夜は短し歩けよ乙女』も4月公開で、ほぼ同時期での公開で、制作が大変だからこそVTR出演なのかなと思いましたね」(前出の20代男性) さらに、夭折の作家・伊藤計劃の作品で来年2月3日に公開予定の劇場アニメ『虐殺器官』のコーナーではこんなことも。 「トークショーのゲストに作家で脚本の冲方丁さん、山本幸治プロデューサーさんたちが登場しました。このイベントの直前に関係者向けの作品上映があったらしく、冲方さんが『とにかく素晴らしい脚色が抜群で群を抜いている』『だいたいこんなもんだろうと思って観に来たらいい意味で裏切られた』『こういうふうにアニメ化すると理想だなと思って』と、絶賛していたんです。 ただ、冲方さんはその最後に『あとは色さえつけば……すっごい“白い”んだけど面白い』『画さえできれば傑作だから!』と、色がついてないシーンや画が出来上がっていないという話もしていました。これに、山本プロデューサーは『言うほど白くないですよ!』と苦笑いで謙遜しつつ、『ちょっとヒヤヒヤしています』とも漏らしてて。制作スタジオが変わってもギリギリな感じでの制作なのかな、と感じました」(前出の20代男性) また、『虐殺器官』のステージでは中村悠一、櫻井孝宏がやはりVTR出演し、場内を爆笑させるやりとりが繰り広げられたようだ。 「作品のタイトルにちなんで、2人自身にあったらいいなという器官の質問も寄せられていたんですけど、中村さんは『いま話題のガッキー“新垣結衣”器官ですね。ごめんなさい他局ですね(笑)』と、ここでもなぜか『逃げ恥』をプッシュしていました(笑)。あとちなみに、櫻井さんはPPAPな感じが欲しかったとコメントしてました(笑)」(前出の20代男性) なお、発表会では17年7月期には飛び込み競技の少年たちを描いた『DIVE!!』(作:森絵都/講談社)、同10月期には『GANTZ』などで知られる奥浩哉氏のSFマンガを原作とする『いぬやしき』(講談社)、18年放送予定の『甲鉄城のカバネリ』新作の制作が発表されるなど、大きなタイトルの重大発表を連発。来年以降もさまざまな展開を見せそうな「ノイタミナ」。各作品の展開が楽しみだ。「ノイタミナ」公式サイトより
超有名SF映画のバックステージドキュメンタリー『エルストリー1976』あのメットの中はこんな人だった!
運命の瞬間がいつ訪れるかを予測することは難しい。人生を振り返る年齢になってから「あぁ、あの日が自分にとっての運命の瞬間だったんだな」と認識することになる。ドキュメンタリー映画『エルストリー1976 新たなる希望が生まれた街』は、“運命の瞬間”を共に過ごしたことに後から気づいた人々の物語だ。無名の俳優だった彼らは1976年の夏、ロンドン郊外にあるエルストリー撮影所を訪ね、風変わりなコスチュームを身に付け、新人監督が撮る一本のSF映画に出演する。翌年、その映画は『スター・ウォーズ』というタイトルで世界公開され、メガヒットを記録することになる。 時代を経て、世代を超えて愛されることになる『スター・ウォーズ』シリーズからはC-3POやR2-D2、チューバッカといった人気キャラクターが生まれたが、本作に登場するのはもっと渋く、地味めなキャラたちだ。帝国軍の歩兵部隊ストームトルーパー、反乱軍のパイロット、宇宙酒場に集まる宇宙人などを演じた人々をカメラは追っている。軽い気持ちでオーディションを受け、撮影所に向かい、与えられた奇抜なコスチュームを纏って数日間を撮影所で過ごした。台本を渡されていなかった彼らは低予算のスペースオペラで、テレビ放映用だと思っており、映画史に残る作品になるとは誰も予測していなかった。あの大ヒットSF映画の裏側に迫る『エルストリー1976』。マニア向けなキャラクターが続々と登場する。
脇役ながら『スター・ウォーズ』の世界観を築くのに欠かせないキャラクターを演じた俳優たちが、思い思いに撮影時のエピソードを語る。「スタジオに一人でいたスタッフにコーヒーを淹れてもらった。後からジョージ・ルーカスだと知ったよ」と楽しげに振り返るのは宇宙人グリードを演じたポール・ブレイク。宇宙酒場のウェイトレス嬢を特殊メイクで演じたパム・ローズは、「自分のフィギュアのある役者なんて、大スターでもいないわ」と喜ぶ。1シーンしか映らない端役であれ、ファンから愛され続ける作品に参加できたことをポールやパムは誇らしげに感じている。彼らにとって『スター・ウォーズ』は青春時代の輝かしい思い出となっている。 一方、辛い目に遭ったのは主人公ルーク・スカイウォーカーの親友ビッグス役に選ばれていたギャリック・ヘイゴン。当初はかなり重要な役でチェニジアでのロケ撮影にも参加していたが、撮影終了後の編集段階でビッグスの登場パートはばっさりとカットされ、デス・スター攻撃シーンでちょっと顔を見せるだけになってしまった。関係者向け試写を観たギャリックはショックを受けるが、試写終了後に顔を合わせたプロデューサーに怒りをぶつけるのをぐっと我慢した。大ヒット作の主要キャラにはなりそびれたが、ギャリックはその後も息の長い俳優として活躍し続けている。1976年の夏は大変な猛暑で、スタジオ内に戦闘スーツ姿で待機しているだけでクタクタになるほどだった。
今回の登場人物の中でいちばん有名なのは、あのダース・ベイダーを演じたデヴィッド・プラウズだろう。ボディビルダーとして屈強な肉体を誇っていたプラウズは、キューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』(71年)で老作家と同居するマッチョマンを演じたことでルーカスの目に留まり、最強の敵ダース・ベイダーに抜擢された。『スター・ウォーズ』のみならず、『時計じかけのオレンジ』にも出演したのだから凄い! だが、黒ヘルメットで顔を覆ったダース・ベイダー役は、プラウズに今でも複雑な感情をもたらしている。オリジナル3部作でダース・ベイダーを演じたプラウズだが、声はアフレコで別人に変えられ、また『スター・ウォーズ/ジュダイの帰還』(83年)でダース・ベイダーがヘルメットを脱ぐ重要なシーンはセバスチャン・ショウが演じている。演じることへのこだわりが強かったプラウズはルーカスフィルムとの間に軋轢を招き、公式イベントには呼ばれなくなってしまったそうだ。 本作に登場する人々の多くは、世界各地で催されているコミックコンベンション(コミコン)に招かれ、『スター・ウォーズ』マニア向けにサイン&記念撮影することで収入を得ている。ハン・ソロを演じたハリソン・フォードのような大スターにはなれなかったけれど、フィギュア化され、ファンからサインを求められる人生を歩んでいる。俳優としてもっとブレイクしたかったという本音を吐く者もいれば、ファンと過ごす時間が最高に楽しいとコミコンの開催を待ちわびる者もいる。また、ちょい役でも台詞があり、エンドロールで名前がクレジットされた出演者と、台詞のないその他大勢のエキストラでは、明確な線引きがあることも明かされる。『スター・ウォーズ』のスピンオフ大作『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』が現在上映中だが、人生の哀歓を感じさせるドキュメンタリー映画に触れるのも一興ではないか。大ヒット作をめぐる光と影の物語がここにある。 (文=長野辰次)黒いヘルメットで隠された大男の哀しみ。本作を観ると、オリジナル三部作をまた観たくなる。
『エルストリー1976 新たなる希望が生まれた街』 監督/ジョン・スピラ 出演/ジェレミー・ブロック(ボバ・フェット)、ポール・ブレイク(グリード)、ジョン・チャッパン(反乱軍パイロット)、アンソニー・フォレスト(サンドトルーパー)、ローリー・グード(ストームトルーパー兼X-Wingパイロット)、ギャリック・ヘイゴン(ビッグス・ダークライター)、デレック・ライオンズ(マサッシ・テンプル・ガード)、アンガス・マッキネス(ゴールド・リーダー)、デヴィッド・プラウズ(ダース・ベイダー)、パム・ローズ(リーサブ・サーリン) 配給/ビーズインターナショナル 12月17日(土)より新宿武蔵野館、シネマート心斎橋、名古屋シネマテークにて公開ほか全国順次 (c)ELSTREE 1976 LIMITED, 2015 http://ELSTREE1976.JP
1,200円は“安い”のか“高い”のか 「ガチャ課金」主流の今、買い切り型を採用した『スーパーマリオラン』の動向に注目
12月16日の午前3時ごろ、ついに任天堂がスマートフォン向けゲーム『スーパーマリオラン』の配信をスタートした(現在はiOS版のみの配信)。スマートフォン戦略に乗り出した任天堂による“スマホ初のマリオ”。今年世界的ヒットを叩き出した『ポケモンGO』の勢いに続くことができるのか、注目が集まっている。 “片手であそぶ、新しいマリオ”と告知されていた『スーパーマリオラン』。プレイ方法は単純で、ステージを走り続けるマリオをタップで操作するだけ。従来の『スーパーマリオ』は、自ら前に進んで、ジャンプなどで敵を倒しながらゴールを目指すというものだったが、『スーパーマリオラン』は勝手に進むマリオをタップで操作してコインを集め、ゴールを目指す。 もちろんクリボーといった敵も登場するが、自動で回避する仕組みとなっている。もちろんジャンプで倒すこともできるが、プレイした限りでは、敵を倒すよりも「コイン集め」に注力するゲームという印象【注:敵を倒すことでコインをゲットできたりする】。また、ステージから落下した場合、シャボン玉で復活することができる【注:シャボン玉のストックが0だとゲームオーバー】。『スーパーマリオラン』公式サイトより。
このように、皆が慣れ親しんできた『スーパーマリオ』とはゲーム性がやや違うことから、『スーパーマリオラン』を「クソゲー」などと批判する声も多い。しかし、ステージには取るのが難しい「カラーコイン」が出現し、すべてを取るとさらに難易度の高いコインが出現するなど、やりこみ要素もある。ゲームそのもののクオリティは高いと感じた。 そんな『スーパーマリオラン』だが、現在とある要素をめぐって賛否が分かれている。 実は『スーパーマリオラン』は24あるステージのうち、無料で遊べるのは3ステージ(※1-3まで)のみ。それ以降は、1,200円を支払わなければプレイできない。だがその後は、課金要素はない。多くのスマートフォン向けゲームが「ガチャ」といった課金制度を取り入れる中で、『スーパーマリオラン』は1,200円で遊べる“買い切り型”を採用したのだ。 近年のスマートフォンゲームといえば、無料でダウンロードができ、課金する人はしていく、という形がほとんど。大ヒットした『ポケモンGO』もそうだった。“基本プレイ無料”に慣れてしまったユーザーも多いだけに、『スーパーマリオラン』の価格に対し、「高すぎ」「課金しないと先に進めないとか詐欺」「課金したくない」「もっと安くして」という声が相次いでいる。なお、「1-3まで無料、それ以降は1,200円」という情報はリリース前から告知されていた。 1,200円が「高い」と感じるユーザーもいるが、考え方を変えれば、“1,200円払えばスマホでマリオが遊べる”ということになる。ネットでも「良心的」「1,200円ならそこまで高く感じない」「ガチャ回すよりまし」「1,200円で全部遊べるならお得」と感じるユーザーも多いようだ。 意見が真っ向に割れている“1,200円の『スーパーマリオラン』”。高いと感じるか、安いと思うかは、その人の価値観次第ではあるので、答えを出すのは難しいだろう。ただ、買い切り型を採用した本作が、ビジネスモデルとして成功するのかどうかは気になるところだ。『スーパーマリオラン』プレイ画面より。
20年に及ぶ“遊んでる説”払拭!? 『コナン』スペシャルに登場した「グッジョブ!」な補完シーンとは
12月9日の『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系)で原作者・青山剛昌全面監修のアニメスペシャル『名探偵コナン エピソード“ONE” 小さくなった名探偵』(読売テレビ系)が放送された。『名探偵コナン』の原点となる第1話「ジェットコースター殺人事件」に、新たなエピソードを加え完全新作としてお披露目。ツッコミどころもあったが、原作ストーリーを上手く補完したシーンも多く、ファンとしては思わず「グッジョブ!」といってしまいたくなるシーンも多数あった。 まず、ツッコミどころとしては、先日もファンの声を紹介した(記事参照)コナンの世界ではちょっとタブーになりつつある、時系列を明確にしてしまった場面。物語では一年も経っていないのに殺人事件が発生しすぎており、真面目に考えると明らかにおかしい。そのため時間経過はなるべく曖昧にするのが暗黙の了解となっているかのように思えたが、今作では新一が薬を飲まされた後、「2カ月後」という表記が出て灰原哀(大人状態)が工藤家の屋敷を調査する姿が描かれていたのだ。時間を明確にすると矛盾が多く生じてしまいそうで、首を締めてしまいそうだが……。 しかし、ここからはスタッフを褒めたい「グッジョブ!」シーン。まずは黒の組織のジン&ウォッカコンビのシーン。遊園地での薬の取引で相手がきちんと来ているか確認するためにジェットコースターに乗る、というちょっと変わった方法をとったジンとウォッカ。この行為には長年ファンから、「ジェットコースターから肉眼で取引相手なんか確認できるか」「ジンニキ、ジェットコースター乗りたかっただけだろ」といったツッコミが寄せられていたが、今回なんとウォッカが双眼鏡を持参。アニメ第1話にはなかった取引相手を確認する描写も追加され、視聴者から「ジンの兄貴が乗りたくてジェットコースター乗ってたんじゃないのか……」「ジンとウォッカ、ちゃんと遊園地に仕事に来たんだな」「双眼鏡一個持ってるだけで、20年に及ぶ遊んでる説払拭を果たしたジンの兄貴」との上々な反応が。 また、ジェットコースターで殺人事件が起き、警察が呼ばれた際、アニメでもマンガでも第1話のジンとウォッカは一刻も早く帰りたいと主張し、警察にビビってる様子を見せていたのだが、今回のアニメの2人は大きなリアクションや慌てた様子は見せず、終始落ち着いた雰囲気を見せていた。「あんなに小物感が漂っていた2人がすごく落ち着いている……」「ジンの小物感が少なくなったのすごくいい」と、これまた現在の不気味な黒の組織の雰囲気に合わせた「グッジョブ!」な補完だ。 さらに、長年“黒幕説”がささやかれていたアガサ博士にも「グッジョブ!」な補完が。アガサ博士がコナンに「他の誰にも小さくなったことを言うな」というシーンが、アニメ第1話より控えめになっていたのだ。原作者の青山からアガサ黒幕説が否定されたこともあり、視聴者からは「アガサ黒幕説を否定するため?」「ここで博士のリアクションがすごい大きいところも黒幕説の理由だったから、それで変えてあるのかな」という意見も。 黒の組織関係の補完が多かった今回のアニメ放送。ファンにとっては長年の疑問が払拭される「グッジョブ!」な放送となったようだ。『名探偵コナン エピソード“ONE” 小さくなった名探偵』公式サイトより。
【劇場アニメレビュー】CGはイマイチながらお話は面白い――がオチがちょっと……!? 『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』第3章
本題に入る前に、本音の本音の本音の本音の話を少しだけさせてもらうと……マンガ原作のアニメ化作品でキャラクター・デザインを大幅に変更するのは、もう勘弁してくれ! 特に石ノ森章太郎作品キャラのデザインが変更されると、彼の作品のモチーフでもある「改造されて異形の者と化した人々の哀しみ」を映像製作サイド自らが引き起こしているかのようで、あなたたちはブラックゴーストか? ショッカーか? と、感情的に糾弾したい気持ちにもなってしまう。 そもそも『サイボーグ009』のアニメ化は、最初の劇場版『サイボーグ009』(1966)&『サイボーグ009怪獣戦争』(67)&TVアニメ昭和モノクロ・シリーズ(68)からしてキャラクター・デザインが変更されていた。それが昭和カラー版(79~80)でようやく原作通りになったかと思ったら、その劇場版『サイボーグ009 超銀河伝説』(80)で008=ピュンマのみ唇が薄くなるというマイナーチェンジが図られている。(海外では、黒人キャラの唇が分厚いと人種差別と捉えられる。そう説いたのはジェフ・シーガルという、『スター・ウォーズ』に携わったというフレコミで来日した脚本家で、結局は何の役にも立たず、ギャラだけもらって帰国したと聞く。役に立たないどころか、余計なことを言ってくれたものである) 平成版『サイボーグ009 THE CYBORG SOLDER』(01~02)では、石ノ森の画により似せたキャラデザインが実践されていたが、やはり008の唇だけは薄いまま、その後の新作でも変わらずである。 神山健治監督の3D映画『009 RE:CYBORG』(12)では、008のみならず他のキャラクターまで大幅にリアル寄りのデザイン改変がなされ、ここまでくると各作品に応じてのキャラ整形(?)を愉しむしかなさそうなのだが、もう純粋なる石ノ森キャラでの『サイボーグ009』映像化は不可能なのだろうか?(そういえば2015年の『サイボーグ009VSデビルマン』は意外に原作の画に近いキャラ・デザインがなされていたが、あれは続編を作らないのか? 『デビルマン』のクライマックスの地獄にゼロゼロ・ナンバーズがどう関わるか、ぜひ見てみたいものなのだが……) さて、本題の『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』3部作では、キャラ全体が今風のイケメン風になり、紅一点の003=フランソワーズ・アルヌールは『RE:CYBORG』ではお姉さん風アダルト・キャラだったのが一転して可愛い萌えキャラと化したのだが、それよりも001=イワン・ウイスキーがこれまでの映像化で最も愛らしいデザインになって、むしろこちらのほうが「萌え!」となっている。 個人的には002=ジェット・リンクの鼻の低さや004=アルベルト・ハインリヒのハンパな白目が馴染めず、それよりも何よりも人種差別云々を真に気にするのなら、006=張々湖の台詞廻しこそ実はあぶないのではないか? と思ったり。そして毎回痛感するのが、009=島村ジョーだけはいかにデザインが変更されても何の感慨もわかないことで、まあ、これはこれで彼の個性なのかもしれない。 ……などとキャラ・デザインのことばかり書いていても仕方ない。何を隠そう、今回の『CALL OF JUSTICE』3部作、3DCGセルルックの作画がまるでPS2時代のゲーム映像でも見ているかのように稚拙で(少なくともPS3には思えない)、前回レビューした『RWBY』シリーズのほうがまだマシではないかと思えるほど。もはやキャラ・デザインがどうこうのレベルではないのであった(マジに、この部分に関しては、覚悟してご覧になったほうがよろしいかと思う……)。 では、今回の3部作はつまらないのかというと……これが意外に面白い! 前作『RE:CYBORG』が石ノ森原作の後半部にならうかのような神と人との関係性を問う哲学的内容だったのに対し、今回は新たなる敵=不老不死の超人類として人類の歴史に太古から関与してきた異能者集団“ブレスド”という明確な相手がいて、さらにはもともと小さな国連部隊でもあったゼロゼロ・ナンバーズを皮肉るかのように、今回彼らは罠に落ちて国連からも付け狙われることになる。 要は今回の3部作、活劇としてのエンタテインメント性が追求されており、あまり哲学モードへ向かわない。そもそも石ノ森原作の初期が少年誌連載のヒーロー活劇(もちろん、それはそれで深みはある)だったことを思うに、今回の方向性はむしろ歓迎すべきで、また3部作を通してゼロゼロ・ナンバー個々の活躍シーンもちゃんと用意されており、特に水の中でないと見せ場のない008は、久々に頑張っている姿を見られたなと思う。顔から刺青がなくなった005=ジェロニモ・ジュニアも、戦闘モードになるとそれが色濃く浮かび上がってくるのはうれしいものがあった。 後、今回はおめめが可愛くて仕方ない001が大活躍! もう彼を見ているだけで、幸せ気分に浸れるのだ。 敵ブレスドに関しても、第1章に登場する彼らの驚異的な強さに圧倒されながらのバトル・シーンのテンションに魅入ってしまい、いつのまにか作画やキャラ・デザインがどうこうといった不満が気が付くと払拭されていく。 また『RWBY』もそうだが、こちらも第2章、第3章と連なるたびに作画が良くなっているような印象を受け(こちらの目も慣れてきた?)、むしろ作品独自の味わいをもたらしてくれている気分になっていく。 さらに今回は「009と美女」という、映画『怪獣戦争』でも顕著な設定も設けられているが、それによって003がさりげなく嫉妬している図が妙に微笑ましく映えていた。 そうこう思いながら、今回はとても面白いものを見させていただくとともに、今年大躍進だったアニメ映画のトリを努めるのはこの3部作であったかと喝采するほど……であったのだが、その興奮と歓びは哀しいかな、第3章の後半から徐々に雲行き怪しくなっていく。 かつてファンから酷評された映画『超銀河伝説』にならう悲愴な展開に今回もなっていくのはまだ挑戦として受け止められるものの、ブレスドの指導者エンペラーが009の風貌にどことなく似ていて、しかも声が昭和カラ―版で009を演じた井上和彦というのも、何やら意味深ではあれ、結局はその設定を活かしきったラストになりえていない。 というよりも、この終わり方では何も解決しておらず、さらなる続編がなければ見る側は納得できないであろう。しかし、第3章のエンドタイトル後に映る一瞬の画を見て、思わず映画館の椅子からずり落ちそうになった。 「ふざけんな!」 あまりにもひどいオチである。 鑑賞後、パンフレットを買って作り手側のコメントを読んでも、全然納得がいかない。 最近、謎の種だけいっぱい撒いておいて、劇中でそれらを刈り取ることをせず、「謎を知りたければコミカライズやノベライズを読んでね」みたいなアニメ作品が増えてきているように思うが(『RE:CYBORG』もそのケがあった)、今回はそれですまされるものではないだろう。 何よりもこの映画を見るファンは、各キャラそれぞれの運命こそを見届けたいのだから。 少なくとも第3章の途中までは、キャラ・デザインや作画云々の議論を越えて、『君の名は。』や『この世界の片隅に』『聲の形』といった2016年の秀作群と同位置に並べたくなるほどの衝動に駆られていたのだが、結果としてはどっちらけに終わってしまい、その日一日何もやる気が起きないほどだった。 正直、こんな仕打ちを受け続けるようならば、神山『009』はもういいや。 むしろ『サイボーグ009VSデビルマン』のシリーズ化こそを願うことにしよう(やりそうな気配はなさそうだけど)。 (増當竜也)『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』公式サイトより
冬コミでも開放! できたてほやほやの東7・8ホールの同人誌即売会に参加してきた
この秋、東京ビッグサイトに新たに追加された東7、8ホールは年末に開催される「コミックマーケット91(冬コミ)」でも開放される。著者は昨年から一人同人活動を開始しているが、参加したイベントがちょうどこの新ホールで開催されたため、新館の使い勝手についてレポートしたい。なお、同人活動において人には聞けないタブーのひとつ、頒布した本の発売部数も書いているので、お役に立てれば幸いだ。 ■東1~6の真横だが、くっついてはいない東7、8ホール。屋根はあるので傘不用 東7、8ホールは既存の東1~6ホールのすぐ横にあるが、建物はくっついておらず東1~6ホールを突き抜け、一度屋外に出て短い横断歩道を渡った先にある。ただ、東館から西館に行くような遠さは全くなく、横断歩道の上には屋根もあるので雨でも傘いらずだ。東7、8ホールは図のように東1~6のようなきれいな四角ではない。大きさも7は1~6より大きく、8は小さい。特に東8はこぢんまりとしていてビッグサイトなのにアットホームさを感じる不思議な空間だった。一方、広大な東7は多角形ゆえに死角も多いのでトイレや非常口、宅配便の受付、ごみ捨て場はどこかの確認は最初にしておきたい。東7、8は建物がつながっていて、2つのホールの中間に飲み物とパンやお菓子を売る自販機はあったが、コンビニは東ホール入り口のファミリーマートまで戻らないとなく、飲食店もない。 東7、8ホールができたことで個人的に期待していたのは、オタクイベントの隔離だった。冬コミであれば東京ビッグサイトは全館オタクしかいないが、それ以外の東京ビッグサイトのイベントの場合、同日にまったく別のイベントも開催されるときもある。一度、東1~6、西1、2ホールでは同人誌即売会が開催されていたが、西3、4ホール(西館の上階)ではブランドのファミリーセールが開催されたことがあった。同人誌即売会とホビーショーならともかく、同人誌即売会とファミリーセールなど食い合わせが悪すぎる。案の定、西館のエスカレーターでコスプレイヤーとファミリーセールに向かうカタギが鉢合わせし、お互い「なんでこんなところにカタギ(オタク)が?」と呼吸が止まっている最高に気まずい光景に出くわしたことがあり、かゆくもないのに頭を掻かずにはいられなかった。 よって、「離れ小島」として東7、8ができれば、カタギもオタクもお互い幸せになれると思っていたが、甘かった。イベント当日、東7、8ホールでは同人誌即売会が行われていたが、東1~6ホールでは企業系のエキスポ、就職系のイベント、ファミリーセールなど複数のイベントが開催されていて、東京ビッグサイトはスーツ姿のサラリーマンからカートを引くオタクまでさまざまな人が行き来をしていた。そんなわけで、親切心と高い職業意識から、同人イベント会社の誘導スタッフが入り口で「同人誌即売会はこの奥、東7、8ホールですー! 同人誌即売会は……」と常に案内しているのだ。 それを見ていた、おそらく企業系エキスポ目当てであろうスーツ姿のサラリーマン2人組の会話。 上司「同人誌即売会って……?」 部下「アニメとか、漫画の……」 上司「ああ、アニメとか、漫画の……」 別にこの二人は「アニメとかwww漫画のwww」みたいな同人誌即売会をディスった様子で話しているそぶりはまったくなかったが、やはりかゆくもない頭に手が行ってしまう。自分にとって同人誌即売会は前日に美容院に行くほどの気合の入った楽しいお祭りなので、リクルートスーツの若者を見て変な気後れをしたくない。今度からはコミケ並みの全館オタク一色、右も左もオタクしかいない大型イベントにだけ参加しようとは堅く誓った。 ■既刊+新刊をスペースに並べられる喜び 私は2015年から同人イベントにサークル参加しはじめ、今回でイベントは4回目になる。3冊目となる新刊も用意した。以下、既刊と新刊のイベント、通販の頒布状況になる。 【イベントの頒布冊数】 1回目(頒布:Aのみ) A5冊 計5冊 2回目(頒布:Aのみ) A4冊 計4冊 ※新刊を出せず 3回目(頒布:Aと新刊B) A1冊、B10冊 計11冊 4回目(頒布:Bと新刊C) B4冊、C7冊 計11冊 【通販での頒布冊数】 A…7冊 B…21冊 C…3冊 【合計頒布冊数】 A…17冊 B…35冊 C…10冊 (A~Cもすべて50部発行している) 私が書いているのは二次創作(既存作品のパロディ)で、「A」、「B、C」は元の作品が違う。ジャンルの切れ目が縁の切れ目になるのが二次創作の宿命だ。イベント3回目は現ジャンルで旧ジャンルの作品Aを頒布してみたものの、やはり状況としては芳しくなかったために、今回は現のジャンルの同人誌だけ持参した。 よって、私も含め飽きっぽい人はあまり大量に同人誌を刷らないことをお勧めする。「もうこの沼一生抜けられない」とつぶやきながら、アニメの放映が切り替わる3ヵ月後には何食わぬ顔で別ジャンルに「もうこの沼一生()」と言ってのける沼ビッチなら特にだ。なので、沼ビッチは「尊い」「沼」「神」などを連呼すると「お前の沼なんて3カ月で干上がる水溜りのくせによ」とか思われてしまうため、いっそ沼ビッチは「旬のものが尊い」「旬が沼」と素直に言うか、いっそ何も言わないほうがいいだろう。 初めて参加した同人誌即売会では、最初の20分は同人誌を1冊も頒布できず、このまま一冊も頒布できないのだろうかと半べそだったのだが(http://otapol.jp/2015/08/post-3234.html)、今回も開始25分は絶好調に半べそだった。この半べそタイムのつらさは何度参加してもまったく慣れない。4回イベントに参加し、すべてにおいて開始20~25分は半べそだったので、もうわかってはいるが、それでもつらい。同人誌即売会は本来お祭りのはずだが、会場20分くらいは私も含め、結構な数のサークルが実はお通夜状態になっているのはサークル参加をしてはじめてわかったことだ。半べそタイムを味わいたくないがために私は極力開会ギリギリに参加している。しかしこれは交通機関の遅れがあったら一発アウトなのでお勧めはしない。遅刻をしたが最後、半べそでは済まない惨状になるだろう。 収穫として、今回のイベントでは同ジャンルでようやく複数冊の本(B、新刊C)を出すことができた。机の上に2冊同ジャンルの本があるとスペースは華やかになる。そして「新刊、既刊どちらもお願いします」「既刊はもう持っていて、今日は新刊を」なんて言ってくれる方もいて励みになる。また、感想が欲しいとは常に念仏のように伝えていたのだが、心優しい方から前作の感想を頂くことができ、25分の半べそタイムもこうして報われたのだった。 なお、同人誌の通販も開始し、今通販会社を通じBとCと頒布している。同じ人が購入したかどうかまではわからないが、減り具合からおそらくBとCをセット買いしてくれた人もいたようだ。やはり複数冊出せるものがあると動きが出て楽しい。 ■pixivのブックマーク数があれば同人誌が頒布できるとは限らない よく「pixiv(オンライン作品投稿サイト)のブックマーク数と実際の同人誌の頒布数はどれだけ関係あるか」は議論になるが、私の現状だと、書いた話がpixivでは100users入り(100人以上からブックマークがつく)になることもあるが、それでも上記の頒布数なので、「あんまり関係ない」と胸を張って言える。あえて計算するならブックマーク数の1/10の発行部数でも頼もしいほどに余ってくれるだろう。 1,000users入りしたら変わるのかもしれないが未踏なのでわからない。pixivのブクマはねっころがりながらタダでできるが、同人誌即売会は会場まで足を運びお金を出さないといけない。この二つの重みの違いを奥歯が磨り減るくらいかみ締めて発行部数を決めないと、在庫が家の中で存在感を増してくるはずだ。私も今回で3冊の同人誌を出したため、自宅のクローゼットの一角で在庫の成長が目覚しい。特に前ジャンルで出した同人誌Aを、今後どう頒布してやればいいのかが悩みの種だ。 ただ、たいていの同人サークルがそうだと思うが、私も自分の書いた話が大好きだ。自分の書いた話を日がたってから読むと「えっ、何これ面白い! ほんとに自分書いたの?」となる感覚に覚えのある同人サークルも多いかと思う。「自分グッジョブ(よくやった!)」をはるかに超えた「自分マジカル、ミラクル(なんでこんなことできたのか?)」だ。同人誌Aも、今読んでもとても面白い。初めての同人誌なのでつたないところもあるがそこが逆に初々しく見える始末で、もう初孫を見る祖父母の心境だ。こんなかわいい作品A。捨てる前に、まだまだやれることはある。 ということで今の課題は「前ジャンル作品Aに日の目を」と引き続きの「作品の感想は相変わらず超欲しいのでください」だ。ビッグサイトのイベントで乗り換えになる大井町駅は駅前に昼から飲める店が多く、町ものんびりしていてひとり打ち上げに最適であることがわかったので、今後も年2回ののんびりペースでひとりイベント参加をしてきたい。 (文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])東京ビッグサイトホームページより。間に道路はあるものの、東1~6から東7、8は目と鼻の先。クリックすると拡大します。











