「連載30周年記念! さくらももこ脚本まつり」ということで、原作者・さくらももこが脚本を担当中のTVアニメ『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)。ここ最近は深くて突き刺さる、放送後に賛否が別れるエピソードが続いていたが、3月12日放送の「『出した手紙をとりもどせ!!』の巻」は、ライトで素直に楽しめる内容で、「その辺のバラエティ番組より面白い!」と評判だったので、この話をネットの声とともに紹介したい。 ある日のこと、友蔵は自分の部屋で深刻な顔をして悩んでいた。溺愛する孫のまる子がお菓子を一緒に食べようと誘っても、「わしゃ今いらんよ。まる子だけおあがり」と珍しく素っ気ない対応をとる。 実は友蔵、1月に同窓会へ行ったとき、友人の“三田ちゃん”にタクシー代として1万円貸したのだが、3月になった今でもまだ返してもらってないというのだ。学生時代の三田ちゃんは、貸した体操着をその日のうちに洗濯してアイロンまでかけて返してくれるほどの律儀な好青年だったため、友蔵は「三田ちゃんはどう考えてもルーズな人じゃないはずじゃ」と困惑。しかし「お金を返してくれ」とはなかなか言いづらい。 するとまる子は「言いにくいなら手紙を書けばいいじゃん」と提案。友蔵は「それは名案じゃな」とさっそく手紙を書くことに。 手紙ということで、気を大きく持ちバシッと手厳しくいこうと決心した友蔵。何度か書き直して「前略三田さん。あんたって人はわしが1月に貸した1万円を3月の今になってもまだ何の音沙汰なしで返してくれないなんてこりゃまたどうしたことかいな! ちょっとルーズじゃありませんか? 言い訳ご無用。今すぐ現金書留でこのさくら友蔵まで1万円を送るべし!」という手紙を書きあげ、投函した。 するとその2日後に三田ちゃんからお菓子付きで1万円が送られてきた。さらに手紙には引っ越しをしていてバタバタしていたためにお金を返すのが遅れてしまったという説明に加え、なんと「こんなに遅れたのに文句ひとつ言わずに俺を信じてくれている友蔵ちゃんに感謝します」という言葉が綴られていた。どうやら友蔵の出した手紙と入れ違いで、三田ちゃんはお金を返してきたらしいのだ。 お詫びのお菓子まで送ってくれた三田ちゃんに、自分はなんて無礼な手紙を送ってしまったのだと後悔する友蔵。だが郵便局に電話すると友蔵の手紙はまだ三田ちゃんの元に届いておらず、今日の午後に着く予定とのこと。そこで友蔵とまる子は急いで手紙を回収するべく三田ちゃんの家へと向かった。 タクシーに乗って全速力で三田ちゃんの元へ向かい、途中3,000円のお菓子の詰め合わせも買って準備は万端。三田ちゃんの家の目の前に着くと、郵便局員がちょうど手紙を郵便受けに入れようとしているところだったので、タクシー代4,560円のところ、友蔵は5,000円払って「お釣りはいらん」と飛び出していく。 郵便局員から自分の手紙を貰おうとする友蔵。しかし免許証など身分を証明するものがなければ郵便法で友蔵に手紙を渡せないと言う。何も持ち合わせていなかった友蔵、ここで万事休すかに思えたが、そこへ三田さんが家から出てきて「と、友蔵ちゃん!?」と声をかける。するとその言葉が身分の証明となり、友蔵と三田ちゃんが喋っている間に郵便局員はまる子に友蔵の手紙を渡すのだった。 なんとか友情を壊さずに済んだ友蔵。だが、急いでいて気付かなかったが、三田ちゃんに持って行ったお菓子の詰め合わせは、三田ちゃんがさくら家に送ってくれたお菓子と全く同じものだった――というオチへ。 この話には「久しぶりに見たけどまるちゃんてこんなに面白いんだな」「タクシー代でむしろ損してしまう友蔵ワロタ」「そこら辺のバラエティ番組より圧倒的に面白い」「今季一番面白いアニメはちびまる子ちゃんかもしれない」と絶賛の声が上がっており、さすがの原作者クオリティを発揮していた。『ちびまる子ちゃん』公式Twitter(@tweet_maruko)より。
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『まけるな!!あくのぐんだん!』TVアニメ化を『ナイツのHIT商品会議室』でPR! 原作者・徳井青空インタビュー
『ラブライブ!』の矢澤にこ役や、『探偵オペラ ミルキィホームズ』の譲崎ネロ役でおなじみ、“そらまる”こと声優の徳井青空が手がけるマンガを原作としたTVアニメ『まけるな!!あくのぐんだん!』が今年4月から放送される。 『まけるな!! あくのぐんだん!』は、2013年から徳井が「月刊ブシロード」(ブシロードメディア)で連載している4コママンガ。宇宙制服をたくらむドン様率いる“あくのぐんだん”が、地球侵略を開始するもクセのある地球人に阻まれ大苦戦。地球人・晴太に助けられたり、アルバイトをしながら地球侵略を目指す――といった、どこか憎めない宇宙人と個性豊かな地球人が織り成す日常系ドタバタSFコメディだ。 監督・シリーズ構成を務めるのは、『ラブライブ!』や『プリパラ』(絵コンテ、演出担当)を手がけた京極尚彦氏。さらに、アニメーション制作は、老舗のアニメ制作会社・タツノコプロが担当することに。『タイムボカン』や『ヤッターマン』など、数々のビッグタイトルを抱える同社が、本作をどのように描いていくか期待が高まるところ。 そして、気になるキャストだが、「あくのぐんだん」を率いる主人公・ドン様役には、アーノルド・シュワルツェネッガーの吹き替えや、『トランスフォーマー』シリーズのコンボイ司令官役(アニメ、実写版ともに担当)でも知られる玄田哲章。 ペプちゃん役には、『名探偵コナン』工藤新一役、『ONE PIECE』ウソップ役などで知られる山口勝平、チクちゃん役には『新世紀エヴァンゲリオン』渚カヲル役や『昭和元禄落語心中』の有楽亭八雲/菊比古役でおなじみの石田彰が決定。さらに、ネル様役には、『幻影ヲ駆ケル太陽』白金ぎんか役や『魔法科高校の劣等生』北山雫役の巽悠衣子という、強力な布陣が揃っている。TVアニメ化が決定した『まけるな!! あくのぐんだん!』の原作者で声優の徳井青空
『まけるな!!あくのぐんだん!』のアニメ化にあたり、徳井は担当編集者らとともに、お笑い芸人・ナイツの2人がMCを務めるバラエティ番組『ナイツのHIT商品会議室』(チバテレビ)に3月3日の放送回から4週にわたって出演。アニメをどう宣伝、プロデュースしていくかについて検討し、さまざまな企画を行った。 番組収録後に行われた記者会見では、ナイツの2人が「才能に溢れていて、可愛くて、声優ができて、漫画も描ける。女性版・福山雅治ですよ! 吹石一恵ですよ!」と徳井を絶賛。宇宙柄のセーラー服にベレー帽という“マンガ家”スタイルに身を包んだ徳井も、「ナイツさんに頼んでよかったです」と笑顔を見せた。 「おたぽる」では、そんな徳井さんにインタビュー取材を敢行! 『まけるな!!あくのぐんだん!』アニメ化にあたってのさまざまな思いを伺った。 ■「5分アニメではあるんですが、覇権アニメを目指します!」
――この度のアニメ化を受け、ご自身では、「宝くじが当たったような気持ち」と仰っていましたが、周囲の反応はいかがでしたか? 徳井青空(以下、徳井) アフレコ現場に行っても、「アニメ化するんだ! おめでとう」とすごく多くの声優さん方に言っていただいて。みんな私の幸せをそんなに祝ってくれるなんて優しいなと思いました。メッセージなどもすごくいただいて。SNSでは「いいね」とかもいっぱい押してくださって、すごく嬉しかったですね。 ファンの方もすごく喜んでくださって、「みんな盛り上げよう!」って言ってくれたのも、すっごく嬉しかったです! ――これまでの連載を振り返って、印象に残っていることやエピソードがあれば教えてください。 徳井 今は全部デジタルで描いているんですけど、その前は紙の原稿に描いて、ペン入れをしてそれを消しゴムで消して、取り込んで……っていう段取りが結構あって。それで家の中が消しゴムのカスだらけになって、それが非常に困ったなぁと思ってたんですけど(笑)。今はデジタルなので、すごくスムーズだなぁと思いますね。 ――徳井さんは、締め切りを絶対守るというお話をうかがいましたが、声優として活動される中での原稿を仕上げるのはかなり大変なことかと思いますが……。 徳井 時間がないときもあって、それでもなんとか頑張って描き続けています。徹夜して朝に原稿があがることも多いですね……(笑)。 ――担当編集の方とはどのようにコミュニケーションをとられているのでしょうか。 徳井 ネームは打ち合わせをして描いているんですけど、この先の展開だったり、「こういうキャラクターがいたらどうかな」という話し合いを結構しています。ネル様のキャラクターがなかなか定まらなくて、ネル様が生まれるまでにはすごく苦労しましたね……。「女の子のキャラクターがいたらいいね」という話をしていたんですが、デザインがなかなか定まらなくて。時間が結構かかりました……。 ――収録の際にも、制作スタッフ陣のチームワークの良さが感じられましたが、何かエピソードはありますか? 徳井 単行本の制作作業をしているときに、編集の方が「すごくいいです!」と褒めてくださって、すごく嬉しかったです! ――ちなみに、ご自身の中でお気に入りのお話などはありますか? 徳井 家の中での“あるある”じゃないですけど、3人が布団で寝るときに隙間風が吹いたり、そういう身近な話が自分はお気に入りです!
――徳井さんは声優としてこれまでさまざまなアニメ作品に出演されてきましたが、今回は原作者という立場からア二メ制作に携わることについて、戸惑いなどは感じませんでしたか? 徳井 今回は原作者であり、キャストではないので、キャスティングも私の一存で決めたという感じになってしまわないかとドキドキしました。アフレコ現場でも、私はキャストと並んで座ることはなく、私は外から見守ることになるかと思います。いつもは自分が収録をしてもらう側なので、アフレコを外から見守ることってなかなかない経験なので、収録する側からはキャストはどんな風に見えるのか、どんな風に聞こえるのかはわからないので、すごく楽しみですね。 ――京極監督とはこれまでにご一緒されているかと思いますが、今回のアニメ化にあたって何かお話はされましたか? 徳井 監督は細かいところもひとつひとつ確認してくださって。原作者の意向というか、「原作を大事にしたい」と仰ってくださっているので、結構こまめにいろんな部分を相談してくださいますし、すごく丁寧に作ってくださる方だと思います。 ――アニメ化が決まった際、徳井さんのほうから何か希望などは出されたのでしょうか? 徳井 やっぱり、「メインのキャストさんは男性にお願いしたい」ということくらいですかね。アニメになったらそれはもう監督の作品になると思うので、自由にのびのびと使っていただけたらなと、お任せしています。 ――ご自身の絵がアニメ用にクリンナップされたものを見たときの感想はいかがでしたか? 徳井 今までずっと一人で描いてきましたし、他の人が描く自分のキャラクターを見る機会があまりなかったので、今回アニメになるということで、監督やアニメーターさんとか、たくさんの方が自分のキャラクターを描いてくれるというのがすごく嬉しくて! 他の人が描くとこうなるんだってすごく新鮮に感じていますね。 ――アニメの制作が進む中で、新たな気付きや発見等はありましたか? 徳井 チクチャンとペプちゃんのズボンの色が原作の色と違うんですけど、アニメの色のようにしてもよかったなと思いましたね。原作では茶色っぽいズボンの色なんですけど、アニメでは赤っぽいズボンと青っぽいズボンで差別化をとっている形で、結構いいなと思いました! ――アニメの制作は老舗のタツノコプロさんということですが、それを聞いたときはいかがでしたか? 徳井 それもまた心臓が飛び出そうなくらいで(笑)もちろんどの会社さんに制作していただいてももちろん嬉しいことなんですが、私もテレビで憧れのプロダクションの一つだったので、今回そんな方々が担当してくださると聞いて本当に驚きました。歴史あるタツノコプロ作品の一つになるということで、めちゃめちゃ嬉しいですね! ――キャストも豪華な顔ぶれが揃いましたね。アフレコはこれからとのことですが、キャストのみなさんとお話をする機会はありましたか? 徳井 玄田さんとはお話をしました! 「実は今度担当していただく作品が私が描いたマンガなんです……」とお話ししたら、「えっ、君のなの!?」ってすごく驚かれていました(笑)。そのほかのキャストのみなさんも豪華な方々が出演してくださるので、恐縮です……! ――今回、徳井さんはアニメに出演はされないとのことですが、例えば、OPやEDを徳井さんが担当するという展開はあるのでしょうか……? 徳井 アニメの特報映像では、テーマソングを私が歌っているんですが、あくまで原作者バージョンなので、テレビアニメでは誰が歌うのか楽しみにしていただければと思います! ――μ'sやミルキィホームズとしても活動されている徳井さんですが、今回のアニメ化プロジェクトは、お一人での活動ということで、グループ活動との違いや、大変な面などはあるのでしょうか? 徳井 自分一人のためにたくさんの方が動いてくださっているというのは、すごく新鮮で不思議な感じもするし、恥ずかしいなという感じもありますね。でも、本当にたくさんの方が動いてくださっているので、協力して盛り上げられたらなという気持ちが強くありますね。
――3月17日にはアニメと合わせて単行本第1巻が発売、さらに25日に開催される「AnimeJapan 2017」では、オープンステージに監督、キャストのみなさんとともに出演されるということで、この後の展開についても楽しみです。今後徳井さんがやってみたいことなどはありますか? 徳井 日本のアニメって海外でも人気が高いので、海外にも広めていきたいなというのはすごく思っていて。キッカケは、キャストさんが気になったとか、何でもいいので、海外の人にもアニメを見てもらったり、単行本を手にとっていただける機会があったらいいなとすごく思いますね。 ――では、反対に、日本のアニメファンへ向けてメッセージをいただけますでしょうか。 徳井 これは監督もおっしゃっていたんですけど、4月から放送ということで、5分アニメではあるんですが、覇権アニメを目指します! ということを強くみんなで掲げているので、少しでも話題になって、みなさんに見ていただけたらいいなと思います。 ――徳井さんご自身についての今年の目標を教えてください。 徳井 今年の目標は、「早い!新しい!楽しい!」というのをスローガンにしていて、“なるべく早く動くこと、新しいことをすること、楽しく動くこと”と決めているので、マンガ以外にも新しい活動とか、楽しいことがもっともっとできたらいいなと思っています! ――ファンの皆さんは「新しいことって何だろう?」と気になるところだと思いますが…… 徳井 新しく海外に向けてフェイスブックを始めたりしているので、これからもどんどん新しいものにチャレンジしていきたいと思っています! ――最後に、読者やファンのみなさんに一言メッセージをお願いいたします。 徳井 この度は皆様のおかげで突然のアニメ化、そして単行本の発売が決定しました。私も本当に驚いて、嬉しく思っています。ぜひぜひ皆様の力をお借りして盛り上げられたらと思っておりますので、みなさん、よかったら盛り上げてください。応援よろしくお願いいたします! ■TVアニメ『まけるな!!あくのぐんだん!』 原作:徳井青空『まけるな!! あくのぐんだん!』 (「月刊ブシロード」/ブシロードメディア刊) 監督:京極尚彦 シリーズ構成:京極尚彦 アニメーションキャラクターデザイン:黒岩園加 プロップデザイン:三輪歩 美術設定/イメージボード:福留嘉一(でほぎゃらりー) 美術監督:小林雅代(千住工房) 色彩設計:加藤里恵 撮影監督:渥美直紀(タツノコプロ) 編集:奥田浩史 音響監督:長崎行男 音楽:藤澤慶昌 アニメーション制作:タツノコプロ [メインキャスト] ドン様 玄田哲章 ペプちゃん 山口勝平 チクちゃん 石田彰 ネル様 巽悠衣子 アニメ公式サイト http://akunogundan.com/ 公式Twitter @akunogundan (C)あくのぐんだん!製作委員会 ■『ナイツのHIT商品会議室』 毎週金曜 22時30分~23時(30分) チバテレビにて放送中 番組公式サイト http://knights-kaigishitsu.com/
『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』刊行記念インタビュー! ベテラン声優・岩田光央が語る声優業界の現実
アイドル的な活躍をする声優たちの増加により、増え続ける声優志望者……。近年の声優ブームにより、取り巻く環境が大きく変わった声優業界。はたして、現在の同業界をベテラン声優はどう考えているのか? 近著『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』(中央公論新社。以下、『声優道』)で、仕事の実情や声で生きていくための秘訣を綴った岩田光央氏に、詳しい話をうかがった。 ■声優志望者は自分と向き合えていない ──『声優道』を読んで興味深かったのは、いわゆる「声優になる方法」ではなく、岩田さんの実体験に基づいた「声優として生き続ける覚悟・心構え」が綴られていたことです。 岩田光央(以下、岩田) 現在、僕は講師という立場で声優志望の若者たちと接する機会が増えています。しかし、彼らと関わるようになって危機感を抱くようになりました。 ──危機感ですか。 岩田 危機感というと強い言葉に聞こえちゃうけど、心配になったんですよ。なぜなら、多くの生徒が声優を“漠然とした夢”のように捉えているからです。『声優はひとつの職業である』との認識が薄く、雲をつかむようなイメージで捉えている。でも、そんな状態で養成所や専門学校に通っても先が見えないと思うんですよね。 ──養成所や専門学校が増えたことで、声優への入口は大きく変わりました。ただ、本書を読んでいて、かえって声優を目指す人の多くが受動的になっているような印象を受けました。 岩田 昔に比べて、声優を目指す人の動機が軽くなったのかもしれません。でも、それは声優という職業が一般的になり、裾野が広がった証拠だと思います。これは歓迎すべきことですが、『声優は職業』という認識が薄いままだと、結果的に養成所や専門学校が潤うだけ。声優専門学校は、言い方を変えれば“職業訓練校”です。職業を訓練する学校に通っているんだと考えれば、漠然とした憧れだけではいられないはずです。別に『声優って厳しいんだぞ!』と過剰に煽るつもりはありません。声優に限らず、どの仕事も厳しいのは当然のこと。単純に、もっと客観的に理解してほしいんです。岩田光央
──昨今の声優ブームによって、華やかな部分だけを見て声優を目指す人も多そうです。 岩田 多いですね。華やかで目立つ部分を基準にしてしまうので『私はアニメ声じゃないから、声優にはなれないんでしょうか』と相談してくる生徒もいます。 ──その生徒にとっては「声優=アニメ」なんですね。 岩田 そう思い込んじゃってるんですよね。でも、違うでしょと。声優は声が必要とされる全般に関わっている。テレビやCMのナレーションも声優の仕事だし、デパートなどの館内放送、電車の停車駅を知らせる車内アナウンス、美術館や動物園の音声ガイダンスなど、多岐にわたります。 はたして、声優を目指す人たちが、こうした声をどんな意識で聞いているのか。本当に“声”で生活していきたいのならば、そこまで知った上で自分の特質を理解するべきです。先の生徒が目指しているのは、いわゆる『アニメ声優』ですが、アニメ声じゃないといけないわけじゃない。自分が目指している仕事にもかかわらず、理解を深める努力を怠っているんですよ。情報過多の時代であるがゆえに調べていない。自分と向き合えていない気がします。 ──「自分と向き合えていない」は「自分の声を理解していない」に通じる気がします。憧れや理想の声が先行し、その声に寄せる声優志望者が増えているのでは? ある専門学校の講師も「いまの生徒は『アニメの主人公』っぽい声しか出さない」と嘆いていたと聞きました。 岩田 僕も授業で経験ありますよ(笑)。少年役ならば、高山みなみさんや大谷育江さんを真似たような声を出す生徒が非常に多い。でも、真似では本人にかなうはずがないんですけどね。なぜ真似してしまうかというと、みんなが自分の個性に向き合っていないから。個性が分からず、自信が持てない。よく『自分には個性がない』と言う人がいますが、個性は有無ではなく“濃いか薄いか”です。まず、誰にでも個性があるということを理解してほしいのに、安易に人の真似に逃げてしまう。 ──たしかに「特徴的な声じゃないとダメ」「声色が少ないとダメ」みたいなイメージがあります。 岩田 僕で言えば、いくらあがいたところでこの声しかないんです。ないものをねだったところでどうしようもないし、この業界で生きていくと決めたならば“自分の声をどう商品化するか”を考えることが重要です。自分の声で勝負してダメだった場合と、人の真似をしてダメだった場合、負けたときにどちらが納得できるのか。全員が勝てる世界ではありませんからね。 ──一方、声優に大切な要素として『声優道』では“天分”を挙げていたのも印象的でした。 岩田 生まれながらのセンスや才能、いわゆる素質ですね。運動の素質がない人がアスリートになるのは難しいように、生まれつき持ち合わせた声の性質は、声優にとって強い武器となります。多くの生徒が『声優を漠然とした夢のように捉えている』と言いましたが、その通りで素質のない人が声優を目指そうとしているケースも目立ちます。しかも、自分に向き合っていないから、素質の有無に気がついていない。理解していれば、その上で声優になる方法はあるのか、あるならば、どのような努力をすればいいのか……など、必要な課題、生き残るヒントが見つかるかもしれないのに。 ──素質や適正について『声優道』で正直に触れたのは、岩田さんの優しさだと感じました。 岩田 絶対に言及するべきだと思いました。多くの専門学校や養成所では、はっきり言わないかもしれません。ビジネスである以上、利益を求めるのは当然ですからね。だからといって、専門学校や養成所を責めるのはお門違いです。声優という専門性の高い仕事を目指すならば、入学する前にもっと自分を分析しておく必要があると思います。 ■アイドル声優は“旬”にどう動くかが大切
──それだけ、いまは声優という職業が華やかに見えるのかもしれません。もちろん、我々を含め、メディア側の取り上げ方にも問題があると思いますが……。 岩田 経済活動なので、取り上げるメディアが増えることは悪いことではありません。いまは本当にモノが売れない時代です。かつてはアニメDVDが1万枚売れましたが、現在は3,000枚売れれば良いのかなという時代。そこで、DVDで回収できなかった売り上げをイベント開催などで補っています。回収方法として、声優が表に出る需要が増えているのは事実であり、メディアが人気先行で取り上げるのもわかります。 ──声優が表に出る需要が高まったことで、いわゆる「アイドル声優」と呼ばれる声優が急増しています。この現状についてはどのようにお考えでしょうか? 岩田 歓迎しています。受け皿が広く深い業界になってきたなと感じています。 ──とはいえ、一過性の人気になる可能性も否めません。『声優道』で声優の旬の期間を「男性7年・女性5年のスパン」と書かれていますが、これは主にアイドル声優のことでしょうか? 岩田 たしかに、アイドル声優のカテゴリに多いです。彼らは人気に火がつくと急激に売れて、ラジオ、歌、イベント、グッズなどさまざまな展開が用意されるし、人気アニメやゲームの出演も一気に増えます。ただ、この人気は、いつか必ず飽きられる。ファンだけでなく起用する側も飽きてしまい、キャスティングの段階で『なんか新鮮味がないよね』と。そろそろ新しい子を……となるスパンが、男性7年・女性5年くらいだと感じています。 ──言葉は悪いですが“使い捨て”に近い印象です。 岩田 アイドル声優はそうですね。だからこそ、その時代や旬と合致したときに、どう動くかが大切だと思います。旬の人気にあぐらをかくか、注目されている段階で10年後、20年後も生き残ることができるように実力を身につけるかで大きく変わるでしょう。 ──「旬の人気」を「実力の人気」だと勘違いしたら消えてしまう。 岩田 消える可能性は高いでしょう。でも、本当に勘違いしやすいんですよ。人気が出てチヤホヤされると、人ってクレイジーになるんです。ある日突然、現場にサングラスで現れるようになった人もいて、『お前、夜なのに室内でサングラスかよ!』みたいな(笑)。でも、簡単に人を変えてしまうほど、見返りが大きいし、ゆがみやすい。スケジュールがパンパンに埋まって、お金を遣う暇もないし、変なところで大金を遣うようになった人もいます。 ──岩田さんもライブなどで熱狂的な人気を経験していますが、いまも一線で活躍を続けています。 岩田 僕は欲張りなんですよ。チヤホヤされることが大好きで、一方で声優として表現する醍醐味も大好き。だから、どちらの努力も惜しみなく続けてきたと思います。
──やはり「チヤホヤされたい」だけだと危険ですか? 岩田 そんなことないですよ。ある有名な俳優さんの話になりますが、彼のモチベーションは『とにかくチヤホヤされたい』でしたから(笑)。彼が無名だった頃、何度か一緒にお芝居していたんですが、彼は一貫して『俺、チヤホヤされたいんすよ』と言ってたんです。その後、個性派俳優として大ブレイクした彼に『すごい活躍だね。もうかなわないよ』と告げたら、不機嫌そうに『俺、知ってんすよ。岩田さん、“ネオロマ(※)”とかいう作品で、チヤホヤされまくってるらしいじゃないすか』って(笑)。 ※ネオロマ:ネオロマンスシリーズ。コーエーテクモゲームスが展開する乙女ゲームの総称。「女性向け恋愛ゲーム」という分野を開拓し、岩田光央をはじめとする出演声優たちが毎年ライブイベントを開催するほどの大ヒットコンテンツとなった。 ──その俳優さんはかなり活躍してらっしゃいますが、岩田さんに嫉妬してたんですか? 岩田 そう(笑)。本当にコイツはすごいなと。彼にとってのチヤホヤって、それだけの動機付けなんです。本気でチヤホヤされたくて、そのために本気で努力を続けている。だから、いまでも一線で活躍できる。アイドル声優を目指す人も、彼みたいに本気で打ち込んでほしいですね。シンプルでいいんですよ。『人を感動させるために~』とか言われると、内心でふざけんなとか思っちゃいますから(笑)。良い意味で、自分の欲を大切にしてほしい。その結果が、人に感動を与える演技やパフォーマンスにつながるんです。 ■声優も声優事務所も、過渡期を迎えている ──人気商売になったことで、今後は声優たちもプライベートに気をつける必要がありそうです。 岩田 大手の芸能事務所は、所属している芸能人たちに注意を呼びかけているし、報じられた際の対処法がマニュアルとして存在しています。でも、この手の報道に対して、声優事務所はまだ経験が浅い。声優個人というよりも、危機管理とマスコミ対策は今後の声優事務所の課題といえるかもしれませんね。 ──そう考えると、声優も声優事務所もいま大きな転換期を迎えているように感じます。 岩田 過渡期でしょうね。ただ、わからないですよ。近い将来、AIに僕らの仕事が奪われる可能性だってありますから。僕自身、いつ仕事がなくなるかという危機感を抱いています。 ──『声優道』でも触れられていますが、岩田さんのキャリアをもってしても「危うい」と感じていらっしゃるのが印象的でした。その意図は、謙虚さなのか、自戒なのか、はたまた本心なのか……。 岩田 すべてですね。いまでも自分が生き残っているのは奇跡だと思っています。 ──「奇跡」と言いますが、『声優道』には声優として生き続けるための極意が数多く綴られていますよね。 岩田 そうなんですよ! だから、気になる方はぜひ『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』をお買い求めください! いっぱい売って、いっぱい印税もらいたいので、ぜひよろしくお願いします!(笑) (撮影:荻窪番長、ヘアメイク:梁取亜湖)
■岩田光央(いわた・みつお) 1967年、埼玉県生まれ。声優。劇団こまどり、ミュージックステーションクリップ、大沢事務所を経て、アクロスエンタテインメント所属。『AKIRA』(金田正太郎)、『頭文字D』(武内樹)、『トリコ』(サニー)、『ONE PIECE』(イワンコフ)『ドラゴンボール』(シャンパ)など出演作多数。声優養成機関R&A Voice Actors Academy、ラジオ大阪声優&アナウンススクールなどで講師も務める。『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』(中央公論新社)
『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』刊行記念インタビュー! ベテラン声優・岩田光央が語る声優業界の現実
アイドル的な活躍をする声優たちの増加により、増え続ける声優志望者……。近年の声優ブームにより、取り巻く環境が大きく変わった声優業界。はたして、現在の同業界をベテラン声優はどう考えているのか? 近著『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』(中央公論新社。以下、『声優道』)で、仕事の実情や声で生きていくための秘訣を綴った岩田光央氏に、詳しい話をうかがった。 ■声優志望者は自分と向き合えていない ──『声優道』を読んで興味深かったのは、いわゆる「声優になる方法」ではなく、岩田さんの実体験に基づいた「声優として生き続ける覚悟・心構え」が綴られていたことです。 岩田光央(以下、岩田) 現在、僕は講師という立場で声優志望の若者たちと接する機会が増えています。しかし、彼らと関わるようになって危機感を抱くようになりました。 ──危機感ですか。 岩田 危機感というと強い言葉に聞こえちゃうけど、心配になったんですよ。なぜなら、多くの生徒が声優を“漠然とした夢”のように捉えているからです。『声優はひとつの職業である』との認識が薄く、雲をつかむようなイメージで捉えている。でも、そんな状態で養成所や専門学校に通っても先が見えないと思うんですよね。 ──養成所や専門学校が増えたことで、声優への入口は大きく変わりました。ただ、本書を読んでいて、かえって声優を目指す人の多くが受動的になっているような印象を受けました。 岩田 昔に比べて、声優を目指す人の動機が軽くなったのかもしれません。でも、それは声優という職業が一般的になり、裾野が広がった証拠だと思います。これは歓迎すべきことですが、『声優は職業』という認識が薄いままだと、結果的に養成所や専門学校が潤うだけ。声優専門学校は、言い方を変えれば“職業訓練校”です。職業を訓練する学校に通っているんだと考えれば、漠然とした憧れだけではいられないはずです。別に『声優って厳しいんだぞ!』と過剰に煽るつもりはありません。声優に限らず、どの仕事も厳しいのは当然のこと。単純に、もっと客観的に理解してほしいんです。岩田光央
──昨今の声優ブームによって、華やかな部分だけを見て声優を目指す人も多そうです。 岩田 多いですね。華やかで目立つ部分を基準にしてしまうので『私はアニメ声じゃないから、声優にはなれないんでしょうか』と相談してくる生徒もいます。 ──その生徒にとっては「声優=アニメ」なんですね。 岩田 そう思い込んじゃってるんですよね。でも、違うでしょと。声優は声が必要とされる全般に関わっている。テレビやCMのナレーションも声優の仕事だし、デパートなどの館内放送、電車の停車駅を知らせる車内アナウンス、美術館や動物園の音声ガイダンスなど、多岐にわたります。 はたして、声優を目指す人たちが、こうした声をどんな意識で聞いているのか。本当に“声”で生活していきたいのならば、そこまで知った上で自分の特質を理解するべきです。先の生徒が目指しているのは、いわゆる『アニメ声優』ですが、アニメ声じゃないといけないわけじゃない。自分が目指している仕事にもかかわらず、理解を深める努力を怠っているんですよ。情報過多の時代であるがゆえに調べていない。自分と向き合えていない気がします。 ──「自分と向き合えていない」は「自分の声を理解していない」に通じる気がします。憧れや理想の声が先行し、その声に寄せる声優志望者が増えているのでは? ある専門学校の講師も「いまの生徒は『アニメの主人公』っぽい声しか出さない」と嘆いていたと聞きました。 岩田 僕も授業で経験ありますよ(笑)。少年役ならば、高山みなみさんや大谷育江さんを真似たような声を出す生徒が非常に多い。でも、真似では本人にかなうはずがないんですけどね。なぜ真似してしまうかというと、みんなが自分の個性に向き合っていないから。個性が分からず、自信が持てない。よく『自分には個性がない』と言う人がいますが、個性は有無ではなく“濃いか薄いか”です。まず、誰にでも個性があるということを理解してほしいのに、安易に人の真似に逃げてしまう。 ──たしかに「特徴的な声じゃないとダメ」「声色が少ないとダメ」みたいなイメージがあります。 岩田 僕で言えば、いくらあがいたところでこの声しかないんです。ないものをねだったところでどうしようもないし、この業界で生きていくと決めたならば“自分の声をどう商品化するか”を考えることが重要です。自分の声で勝負してダメだった場合と、人の真似をしてダメだった場合、負けたときにどちらが納得できるのか。全員が勝てる世界ではありませんからね。 ──一方、声優に大切な要素として『声優道』では“天分”を挙げていたのも印象的でした。 岩田 生まれながらのセンスや才能、いわゆる素質ですね。運動の素質がない人がアスリートになるのは難しいように、生まれつき持ち合わせた声の性質は、声優にとって強い武器となります。多くの生徒が『声優を漠然とした夢のように捉えている』と言いましたが、その通りで素質のない人が声優を目指そうとしているケースも目立ちます。しかも、自分に向き合っていないから、素質の有無に気がついていない。理解していれば、その上で声優になる方法はあるのか、あるならば、どのような努力をすればいいのか……など、必要な課題、生き残るヒントが見つかるかもしれないのに。 ──素質や適正について『声優道』で正直に触れたのは、岩田さんの優しさだと感じました。 岩田 絶対に言及するべきだと思いました。多くの専門学校や養成所では、はっきり言わないかもしれません。ビジネスである以上、利益を求めるのは当然ですからね。だからといって、専門学校や養成所を責めるのはお門違いです。声優という専門性の高い仕事を目指すならば、入学する前にもっと自分を分析しておく必要があると思います。 ■アイドル声優は“旬”にどう動くかが大切
──それだけ、いまは声優という職業が華やかに見えるのかもしれません。もちろん、我々を含め、メディア側の取り上げ方にも問題があると思いますが……。 岩田 経済活動なので、取り上げるメディアが増えることは悪いことではありません。いまは本当にモノが売れない時代です。かつてはアニメDVDが1万枚売れましたが、現在は3,000枚売れれば良いのかなという時代。そこで、DVDで回収できなかった売り上げをイベント開催などで補っています。回収方法として、声優が表に出る需要が増えているのは事実であり、メディアが人気先行で取り上げるのもわかります。 ──声優が表に出る需要が高まったことで、いわゆる「アイドル声優」と呼ばれる声優が急増しています。この現状についてはどのようにお考えでしょうか? 岩田 歓迎しています。受け皿が広く深い業界になってきたなと感じています。 ──とはいえ、一過性の人気になる可能性も否めません。『声優道』で声優の旬の期間を「男性7年・女性5年のスパン」と書かれていますが、これは主にアイドル声優のことでしょうか? 岩田 たしかに、アイドル声優のカテゴリに多いです。彼らは人気に火がつくと急激に売れて、ラジオ、歌、イベント、グッズなどさまざまな展開が用意されるし、人気アニメやゲームの出演も一気に増えます。ただ、この人気は、いつか必ず飽きられる。ファンだけでなく起用する側も飽きてしまい、キャスティングの段階で『なんか新鮮味がないよね』と。そろそろ新しい子を……となるスパンが、男性7年・女性5年くらいだと感じています。 ──言葉は悪いですが“使い捨て”に近い印象です。 岩田 アイドル声優はそうですね。だからこそ、その時代や旬と合致したときに、どう動くかが大切だと思います。旬の人気にあぐらをかくか、注目されている段階で10年後、20年後も生き残ることができるように実力を身につけるかで大きく変わるでしょう。 ──「旬の人気」を「実力の人気」だと勘違いしたら消えてしまう。 岩田 消える可能性は高いでしょう。でも、本当に勘違いしやすいんですよ。人気が出てチヤホヤされると、人ってクレイジーになるんです。ある日突然、現場にサングラスで現れるようになった人もいて、『お前、夜なのに室内でサングラスかよ!』みたいな(笑)。でも、簡単に人を変えてしまうほど、見返りが大きいし、ゆがみやすい。スケジュールがパンパンに埋まって、お金を遣う暇もないし、変なところで大金を遣うようになった人もいます。 ──岩田さんもライブなどで熱狂的な人気を経験していますが、いまも一線で活躍を続けています。 岩田 僕は欲張りなんですよ。チヤホヤされることが大好きで、一方で声優として表現する醍醐味も大好き。だから、どちらの努力も惜しみなく続けてきたと思います。
──やはり「チヤホヤされたい」だけだと危険ですか? 岩田 そんなことないですよ。ある有名な俳優さんの話になりますが、彼のモチベーションは『とにかくチヤホヤされたい』でしたから(笑)。彼が無名だった頃、何度か一緒にお芝居していたんですが、彼は一貫して『俺、チヤホヤされたいんすよ』と言ってたんです。その後、個性派俳優として大ブレイクした彼に『すごい活躍だね。もうかなわないよ』と告げたら、不機嫌そうに『俺、知ってんすよ。岩田さん、“ネオロマ(※)”とかいう作品で、チヤホヤされまくってるらしいじゃないすか』って(笑)。 ※ネオロマ:ネオロマンスシリーズ。コーエーテクモゲームスが展開する乙女ゲームの総称。「女性向け恋愛ゲーム」という分野を開拓し、岩田光央をはじめとする出演声優たちが毎年ライブイベントを開催するほどの大ヒットコンテンツとなった。 ──その俳優さんはかなり活躍してらっしゃいますが、岩田さんに嫉妬してたんですか? 岩田 そう(笑)。本当にコイツはすごいなと。彼にとってのチヤホヤって、それだけの動機付けなんです。本気でチヤホヤされたくて、そのために本気で努力を続けている。だから、いまでも一線で活躍できる。アイドル声優を目指す人も、彼みたいに本気で打ち込んでほしいですね。シンプルでいいんですよ。『人を感動させるために~』とか言われると、内心でふざけんなとか思っちゃいますから(笑)。良い意味で、自分の欲を大切にしてほしい。その結果が、人に感動を与える演技やパフォーマンスにつながるんです。 ■声優も声優事務所も、過渡期を迎えている ──人気商売になったことで、今後は声優たちもプライベートに気をつける必要がありそうです。 岩田 大手の芸能事務所は、所属している芸能人たちに注意を呼びかけているし、報じられた際の対処法がマニュアルとして存在しています。でも、この手の報道に対して、声優事務所はまだ経験が浅い。声優個人というよりも、危機管理とマスコミ対策は今後の声優事務所の課題といえるかもしれませんね。 ──そう考えると、声優も声優事務所もいま大きな転換期を迎えているように感じます。 岩田 過渡期でしょうね。ただ、わからないですよ。近い将来、AIに僕らの仕事が奪われる可能性だってありますから。僕自身、いつ仕事がなくなるかという危機感を抱いています。 ──『声優道』でも触れられていますが、岩田さんのキャリアをもってしても「危うい」と感じていらっしゃるのが印象的でした。その意図は、謙虚さなのか、自戒なのか、はたまた本心なのか……。 岩田 すべてですね。いまでも自分が生き残っているのは奇跡だと思っています。 ──「奇跡」と言いますが、『声優道』には声優として生き続けるための極意が数多く綴られていますよね。 岩田 そうなんですよ! だから、気になる方はぜひ『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』をお買い求めください! いっぱい売って、いっぱい印税もらいたいので、ぜひよろしくお願いします!(笑) (撮影:荻窪番長、ヘアメイク:梁取亜湖)
■岩田光央(いわた・みつお) 1967年、埼玉県生まれ。声優。劇団こまどり、ミュージックステーションクリップ、大沢事務所を経て、アクロスエンタテインメント所属。『AKIRA』(金田正太郎)、『頭文字D』(武内樹)、『トリコ』(サニー)、『ONE PIECE』(イワンコフ)『ドラゴンボール』(シャンパ)など出演作多数。声優養成機関R&A Voice Actors Academy、ラジオ大阪声優&アナウンススクールなどで講師も務める。『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』(中央公論新社)
コスプレ製造を大田区の主力産業にする野望も始動!! 地元の祭りにコスプレを投入し続ける、人智を越えたやる気に驚愕!!
いよいよ、大田区のオタクが本気を出すのか。 近年、羽田空港の最寄りの街である地の利を生かした施策を始めたり、何かと話題の東京都大田区。 今月には区制70周年を迎え、ゆるキャラ「はねぴょん」のグッズを発売したりと盛り上がっている。 そんな大田区で、熱い期待を寄せられているのがオタク産業。中でも、なぜかコスプレに対する区民の熱は高まっている。 大田区の中心地域である蒲田に本拠地を構えるユザワヤは、昨年からコミケに企業ブースを出展。あらゆる手芸用品が揃い、いかなるコスプレ衣装の材料も確保できることで知られていたユザワヤ。そんな会社の企業ブースへの出展は、大田区の、なんだかよくわからんコスプレ熱の一端を示すものであった。 そこに加えて、新たにコスプレ産業に熱い視線を送り始めているのが、大田区の顔ともいえる町工場群なのである。 その実情を語るのは、大田区のオタク事情に詳しい・おぎの稔区議である。 「金属や樹脂を用いたコスプレ衣装も、大田区の町工場ならば、これまでの技術力を生かしてオーダーメイドで受注できるのではないかと盛り上がっているんです。実際に受注を受けている工場もあります。かつては、設計図を紙飛行機にして飛ばせば完成品が戻ってきたという大田区ですから、どんなコスプレ用のパーツだって製造可能ですよ」 これまで、オタク産業を用いた地域の活性化といえば、まず「聖地巡礼」だった。しかし、おぎの区議は「聖地巡礼」には少々懐疑的だ。 「作品がヒットしなければ、観光客はやってきません。ですからどうしても<待ち>の姿勢になってしまいます。それに、いつまでも大勢の観光客が来てくれる作品は限られています。ですので、労力に対して経済効果がペイしているのかは、ちょっと疑問です。ですから、ものづくりに重点を置いてはどうかと考えています」 しかし、まだ町工場でのコスプレ衣装用のパーツは個人が直接町工場へ頼んでいる段階。それを、もっと誰もが利用しやすいものに、する必要がある。 「そのために、これですよ!!」 急に熱く、おぎの区議が説明を始めたのは3月11日に大田区産業プラザで開催される「ザ・パーティー2017」なるイベント。これは、大田区の町工場などで構成される「大田工業連合会」の青年部が主催するローカルイベント。 単なる地元のお祭りかと思いきや、なぜかこの中にコスプレとトークのイベントも組み込まれているのである。 「これまで、蒲田の商店街でコスプレイベントを開催してきた商店街の有志によって結成された“国際コスプレ普及協議会”による催しです。ニコニコでも有名なビートまりおさんも出演しますし、それから、有名コスプレイヤーのさちぶどうさんも司会で参加予定です。それから……」 取材のはずが、おぎの区議による熱い告知トークは延々と続いたのであった……。 果たして、大田区がコスプレ産業で栄えるという未来への第一歩となるのか? ひとまず、あらゆるイベントにコスプレを共存させようという、やる気には見るべきものがある。なお、トークイベントには東方projectのZUN氏が来場することも急遽決定している。 (文=昼間たかし) ■国際コスプレ普及協議会 http://otaku-cosplay.com/2017/02/65/ ■大田工連青年部「The PARTY 2017」 https://www.facebook.com/theparty2017/photos/a.597194390426782.1073741828.587456921400529/1074939562652260/?type=3&theater大田工連青年部「The PARTY 2017」Facebookより。
「悪・即・斬」に「牙突」のようなポーズも!? 『ドラゴンボール超』に『るろうに剣心』の斎藤一そっくりのキャラが!
3月5日に放送されたアニメ『ドラゴンボール超』(フジテレビ系)の第81話「潰しのベルガモVS孫悟空! 青天井の強さはどっちだ!?」に、なぜか『るろうに剣心』(作:和月伸宏/集英社)のキャラクターを想起させるキャラが登場したと話題だ。 現在『ドラゴンボール超』は、各宇宙の戦士が集まって戦う「力の大会」が行われる「宇宙サバイバル編」に入っており、まずは孫悟空たちのいる第7宇宙と第9宇宙が、全3試合の試合をすることに。 第7宇宙の1勝1分けで最終試合は悟空の出番。相手は「潰し」の異名を持つベルガモ。ここでベルガモは対戦前に、試合を観覧している他の宇宙の神々に向かって悟空はとんでもない悪者だと主張しだす。というのもそもそも「力の大会」は悟空が全宇宙で一番偉い神様・全王に直談判して開催が決定、そして全王は「力の大会」で負けた宇宙を消滅させると言い出したのだ。つまり悟空一人のせいで全宇宙が危機的な状況に追い込まれているのである。 ベルガモはそんな経緯を述べたうえで、全王に向かって「俺がこの男(悟空)に勝ったら敗れた宇宙の消滅は無しにしてくれ」と提案。すると全王はそれを受け入れたのだ。こうなると完全に悟空は悪者。他の宇宙の神々は悟空に敵意をむき出しにする。 だがそんな程度ではひるまないのが悟空。試合ではもちろん手加減などすることなくベルガモを圧倒し、ボッコボコにして勝利を収めた。しかも勝利後に悟空は他の宇宙の神々に向かって「来るなら来い! 相手になっぞ! 飛びっ切り強えやつ揃えてオラにかかって来い! 一人残らずぶちのめしてやっかんなー!」と、まさに悪役のような言葉を使って挑発まで始める始末。 すると我慢ならなくなった第11宇宙の戦士・トッポが悟空の前に飛び込んできた。そして「孫悟空よ私と戦え! 邪心を持ち我に相対するなら我が拳が貴殿を滅ぼしてくれる」と戦いを要求し、続けて「我が心にある望みは『悪・即・斬』なり!」と叫ぶ! 『悪・即・斬』と聞いて、マンガファンの多くはすぐに想起したのが、『るろうに剣心』の人気キャラ・斎藤一。新撰組の元三番隊組長・斎藤は己の信念として、『悪・即・斬』を掲げており、その言葉は『悪・即・斬』Tシャツなんてグッズも多数作られるほど、マンガ界では人気で有名な台詞だ。 しかもトッポが『悪・即・斬』と言い放った時の構えが、片手を前に突き出し、もう一方の手を頭上に掲げるというもので、これがまた斎藤の得意な剣技『牙突』に似ている。偶然とは思えないほどのトッポと斎藤のシンクロにネット上では「トッポさんって、別宇宙の斎藤一なのかな?」「ドラゴンボールに斎藤一が出てきた」と話題に。 ちなみに第9宇宙には足技を得意として、『ワンピース』(作:尾田栄一郎/集英社)のサンジの必殺技「悪魔風脚(ディアブルジャンブ)」のような技を披露したバジルというキャラもいたりする。同じ「ジャンプ」の人気作のキャラクターに似たキャラが続けて登場したが、これは偶然なのか、意図的なのか。今後の新キャラにも注目が集まりそうだ。『ドラゴンボール超』公式サイトより
SUPER☆GiRLS・前島亜美、突然の卒業発表に何が……「メンバー間の不仲?」「運営との衝突?」
5日、人気アイドルグループ・SUPER☆GiRLSの前島亜美が、今月31日をもってグループから卒業することを発表。ファンを寂しがらせるのと同時に、あまりにも突然の発表のため、ネット上では、「まさか結婚じゃないよね?」「メンバーとの不仲?」などといった様々な憶測が飛び交ってしまっている。 “あみた”の愛称で知られる前島は、2010年にSUPER☆GiRLSが結成された時からのオリジナルメンバー。アイドル業と並行して、11年から14年までティーン向け女性ファッション雑誌「ピチレモン」(学研パブリッシング)で専属モデルを務めていたため、男性だけでなく女性ファンも多い。昨年6月からは3代目リーダーを務め、グループの精神的支柱として存在していただけに、卒業を惜しむ声は止まない。 「5日付の自身のブログには、『7年活動する中で何年もかけて考えていた事 話しあってきた事だった』と書き込まれていますから、随分と前から卒業を意識していたのでしょう。ブログの文面からは、SUPER☆GiRLSのリーダーとしての重圧に苦しんだ様子も伺えます。ただ、『スパガを好きなまま卒業させてください』という一文が、ネット上では『メンバー不仲?』『運営側との衝突?』などといった憶測を生んでしまっているようです。これまでもメンバーの卒業や加入が多く、グループの基礎が定まりづらかったSUPER☆GiRLSですが、最近では、12年に2期生として加入した浅川梨奈が、“1000年に1度の童顔巨乳”というキャッチフレーズで、積極的にグラビア活動を展開している姿が目立っているため、『運営の浅川おっぱい推しに辟易?』『グラビア色が強くなってきたから嫌になった?』などと憶測する声も飛び交っているようです」(芸能関係者) ブログでは今後の活動について具体的に何も言及されていないのだが、前島はこれまで舞台を中心に女優業を積極的にこなしてきただけに、女優業に専念するのではないかと指摘する声が多い。 「前島は、15年4月に公演されたミュージカル『デスノート The Musical』で初舞台を踏んで以来、コンスタントに舞台に出演。今年1月に公演された舞台『幸福な職場』では、知的障害を抱えた少女という難役に挑戦したのですが、同月29日付のブログに『弱冠19ではありますが人生観が変わり自分を度々見つめ直す事ができました』『お芝居、演劇がもっと好きになりました』などと書き込んでいますから、この作品、役との出会いがSUPER☆GiRLS卒業を決断する大きなきっかけになったのかもしれません。また今月8日からは舞台『龍よ、狼と踊れ』の公演が開始されるのですが、前島は金髪姿で登場するということで、ビジュアルが公開された時点で、『新鮮!』『超絶パツキン美少女発見!』などとファンは大盛り上がり。新たな魅力を発揮して、今後は女優業で活躍していくことでしょう」(同) 前島といえば、極真空手の茶帯を持ち、SUPER☆GiRLSのオーディションでも空手の型を披露していただけに、アクション女優としての活躍を期待する声も多い。SUPER☆GiRLS公式サイトより
『サザエさん』マスオに不倫疑惑!? 寝言で「ナオミー!」と女性の名前を叫び視聴者騒然!
3月5日に放送されたTVアニメ『サザエさん』(フジテレビ系)。今週もネット民たちは実況をしながら楽しく視聴していたので、ネットの声とともに内容を紹介したい。 この日は、波平やマスオが普段当たり前にしてもらっている家事に感謝する、作品No.7595の「あたりまえ大作戦」。伊佐坂先生の原稿を待つ間、いつも磯野家で昼寝しているノリスケを見て、楽そうだからという理由で編集者になりたいとカツオが言い出す、作品No.7589の「未来はバラ色」が放送されたが、特に話題となっていたのが作品No.7584の「寝言のいろいろ」。 タラオの友だちのリカちゃんが寝言で「タラちゃん……。タラちゃんってば……」と言っているシーンから始まると、ネットは早速「発情期かよ」「夢の中で何してんだよwww」「開幕早々エロ展開キター!」と妄想力を膨らませて盛り上がる。 リカちゃんは母親から寝言でタラオの名前を呼んでいたことを教えられると、「このことは絶対にタラちゃんに言わないでよ」と恥ずかしがってしまう。しかしリカちゃんの母親はあっさりとサザエとワカメに報告。さらにワカメがこの話をカツオに告げると、カツオは「モテるんだなタラちゃん」「寝言で嫌いな人の名前を呼ぶわけないじゃないか」と推測。そして「堀川君はワカメの名前を絶叫してるんじゃないか?」と唐突に堀川君の名をあげる。 ところがワカメは「それは絶対ないわ」「堀川君は一度も夢を見たこと無いって自慢してたもん」と堀川君の奇行を紹介しながら激しく否定。マスオがやんわりと「それは見たことないんじゃなくて見たことを忘れているんだよ」と言い添えるも、ワカメは「(堀川君は)お母さんの名前を忘れるくらいですもんね」と納得していた。 本人のいないところで次々とおかしな言動がばらされ、すっかり作中でもネタキャラ扱いされている堀川君。これには「公式も求める堀川の狂いっぷり」「堀川の設定どうなってんだよ」「もう完全に堀川のキャラが崩壊してる件」とネット民からでさえも驚きの声が。 次の日、マスオさんの会社に頬に絆創膏を貼ったアナゴさんが出勤してきた。寝言で女性の名前を出したことで、鬼嫁からきつーく怒られたらしい。カツオのクラスメイト・カオリちゃんも夢にカツオが出てきたらしく、カツオはこれを聞いてテンション爆上がり。だがその夢の内容がカツオが廊下に立たされているものと聞くと酷く落ち込んでしまった――と寝言にまつわるアレコレを見せながら、物語は進行していく。 一方、夢の一件以来、恥ずかしがってタラオと遊ぶことを拒否してしまっていたリカちゃん。しかしある日、今度はタラオが夢を見て「リカちゃん……」と3回呟いたのだ。それを早速報告すると、あっさりリカちゃんは機嫌を直して再びタラオと遊ぶように。リカちゃんが2回「タラちゃん」と呟いたことに対し、タラオは3回だったのが良かったらしい。 こうしてほのぼの話が終わるかに見えたが、この話には衝撃的なオチが待っていた。ある日の夜、マスオが突如寝言で「ナオミー! ナオミー!」と叫び出したのだ。ネットでは「えええええええええ!」「不倫キター!」「磯野家崩壊の危機!」「こいつらの寝言やばすぎだろ!」と大興奮の声が。 サザエがこのことをマスオに問い詰めると、マスオ曰くナオミとは「ナオミホマレ」という競走馬の名前だとのこと。サザエはこれを素直に信じて不倫疑惑は一応晴れたが、競馬に行っていたことで結局怒られてしまうマスオであった。『サザエさん』公式サイトより。
アーサー王はリアルに女性だった可能性も!?……ドヤれる元ネタ教えます! 一番わかりやすい『FGO』原典紹介
神話や伝承、物語、実在人物などを元にした個性的なキャラクターたちと、彼らを巡る物語が大きな話題を呼んでいる大人気スマートフォンRPG『Fate/Grand Order』(cTYPE-MOON / FGO PROJECT)。各方面へのタイアップも数々行われており、これからの展開がとても気になるところです。 今回は、同スマートフォンRPGに登場する膨大な数のキャラクターの中から、昨年末に放送されたTVアニメ『Fate/Grand Order -First Order-』(TOKYO MX)に登場したキャラクターのみに絞り、その原典や宝具の元ネタ、意外と知られていないワンポイントなどをご紹介していきたいと思います。 ■マシュ・キリエライトアニメ『Fate/Grand Order - First Order-』公式サイトより
アニメのヒロインであり、ゲームでは最初にサーヴァントとなるマシュ。彼女の持つ盾の宝具「ロード・カルデアス」のデザインの元は、イギリスの西側にある島国アイルランドのみにその痕跡を残す、「ケルト系キリスト教」独自の十字架「ケルト十字」だと思われます。 ケルト十字とは、ケルト文化の伝統的な組み紐模様とラテン十字(キリスト教の十字架)を組み合わせたものです。ラテン十字の部分に組み紐模様が刻まれ、十字の交差部分に円盤またはそれを囲む輪がある、というのが特徴です。 ところで古くのキリスト教は、教えの伝わっていない地域を見つけると、その地方土着の神を悪しきものと認定し、布教をスムーズにする(記事参照)という戦略を取っていました。 ところが、今となってはその理由はわかりませんが、アイルランドにやってきた布教者たちはそのような強硬策を取りませんでした。彼らは、アイルランド土着の信仰と神話をキリスト教と融合させて取り込む、という懐柔策によって教えを広めたのです。 結局古い神々と神話は、文献資料として残されはしたものの忘れられ、キリスト教への信仰のみが残りました。ですが古い時代に2つの信仰が融合した結果として、アイルランドには現在でもケルトとキリスト教が融合した、ケルト十字など独特の信仰の痕跡が残されているのです。上:『Fate/Grand Order -First Order-』、BD&DVDジャケット 下: Wikimedia Commonsより。ケルト十字
ちなみに「ロード・カルデアス」の正体とされる「アーサー王の円卓」は、1150年ごろに書かれたアーサー王物語のひとつ『ブリュ物語』にてはじめて登場したアイテムです。 これは「騎士たちの着くテーブルを円形にすることで席順の意味を無くし、身分の差を気にしない発言を可能とする」ために、アーサー王が作ったとされるものです。さらに円卓が使われていたという明確な記録や記述は、それ以前の史実にもアーサー王伝説にもありません。 つまり、今でも国際会議などで使われている円卓は、12世紀に書かれたアーサー王物語から現実へ輸出されたもの、と言えるのです。 ■メドゥーサ(ギリシャ神話) 真っ先に登場した敵サーヴァントのメドゥーサですが、実は「メドゥーサ」とは個体名であり、「ヘビの髪の毛に、敵を硬直または石化させる能力を持つ女性の化け物種族名」を指す言葉ではありません。 原典であるギリシャ神話内でのメドゥーサは「ゴルゴン」という化け物種族の1体であり、神話文献によっては姉が2人います。長女ステンノ、次女エウリュアレ、三女メドゥーサという構成で、彼女たちはいわば「ゴルゴン三姉妹」とでも呼ぶべき存在です。 名前自体が亜人種族名と勘違いされるほどに、メドゥーサの知名度が非常に高い理由は、ギリシャ神話に「鏡の盾を持った英雄ペルセウスに挑まれ、首をはねられた」という有名な逸話があるためでしょう。 『Fate/Grand Order』では今のところ「ゴルゴンという単体の化け物(ゴルゴーン)」と「ゴルゴン3姉妹(ステンノ、エウリュアレ、メドゥーサ)」が採用されていますね。<Wikimedia Commonsより。円卓を囲むアーサー王と円卓の騎士>
メドゥーサが振るっていた大鎌のような、先端に極端に曲がった刀身の付いていた宝具はゲームと同じく、神話でメドゥーサの首を切り落とした剣「ハルペー(ハルパ)」をモデルにしたものと思われます。ハルペーは古代ギリシャ語で「鎌」を意味する単語であり、各種文献では「鎌剣」などと訳されています。 ここで「武器は大鎌だったのになぜ剣が?」という疑問を抱かれたかと思いますので、史実におけるハルペーから追って説明していきましょう。<Wikimedia Commonsより。ハルペーを持ち、メドゥーサの首を掲げる英雄ペルセウス>
本来のハルペーは、剣というよりは片手用の鎌のような形状をしていた刃物、と記録のみが残されている武器です。その内容によれば、ハルペーは古代ギリシャで実際に使われていた剣だ、というのですが、あまりにも古い時代に作られ、同時に使われなくなったようで、さらに現物が見つかっていないため、正確な外見はわかっていません。<Wikimedia Commonsより。ハルペーを持つクロノス神>
ただし、剣であるにも関わらず「鎌(ハルペー)」という名前で呼ばれていることから、現在ではギリシャ神話の天空神ウラヌスの男根を切り取り去勢した鎌「アダマスの鎌」と混同、または同一視されている例が非常に多く見られます。 アダマスの鎌も元々は小さな鎌だったのですが、見栄えを良くするためか絵画などでは次第に大きく描かれるようになり、結果として西洋の死神が持つような巨大な鎌とされるに至ったのです。 これらを顧みるに、おそらくメドゥーサの持つハルペーは、大鎌として描かれているアダマスの鎌とハルペーを、あえて同一視した上で作られたハルペーなのだと思われます。 ■クー・フーリン(ケルト神話・アルスターサイクル) ケルト神話群のひとつ「アルスターサイクル」の主人公格であるクー・フーリンに関しては、彼のキャスターとしての適正及び、登場した宝具「ウィッカーマン」の解説に留めたいと思います。 必殺の槍ゲイ・ボルグを操るランサーとしてのイメージが強いクー・フーリンですが、神話から見てもキャスターの資質は十二分です。 神話内では大跳躍の術(山を飛び越えるほどの高さまでジャンプする術。(日本におけるケルト文化や妖精研究の第一人者、井村君江氏の著書の翻訳のみで「鮭飛びの術」)を我流で身に付けるなど、優れた魔術の才能を見せています。 言うまでもないでしょうが、彼に武芸と魔術を授けた人物は、教え子を必ず超一流の戦士に育て上げる、自らも優れた戦士であり魔術師でもある名教師スカサハです。 数多くいた弟子たちの中でも、特にクー・フーリンは目をかけられており、師スカサハから直々に「お前には私の持つすべての技を伝授する」と宣言されています。そしてクー・フーリンは、スカサハの持つすべての武芸、戦術、魔術を身に付け、ダメ押しにスカサハ秘蔵の必殺の槍「ゲイ・ボルグ」とその投げ方を伝授されたのです。 さらに付け加えるならば、クー・フーリンは神の血を引く半神半人の英雄であります。超人的な戦闘能力に併せて、魔術にも長けていて当然でしょう。<Wikimedia Commonsより。16世紀、大鎌の外見で描かれたアダマスの鎌>
次に、アニメ内でアーチャーとセイバーオルタにとどめを刺した「ウィッカーマン」です。ウィッカーマンとは、紀元前1世紀ごろのガリア地方(現在のフランス)に住むガリア人(ケルト人の一派)が行っていた「柳の枝の編み細工で巨大な人形を作り、その中に人間や家畜を詰め込み、人形もろとも燃やす人身御供の儀式」とされています。 ウィッカーマンが世に知られたきっかけは、ガリア地方をわずか7年で征服した、後の欧州最強国家ローマ帝国の基礎を作った偉人「ガイウス・ユリウス・カエサル」の著書『ガリア戦記』内の記述です。それによれば、カエサルはウィッカーマンについて「ガリア人には神に生け贄を捧げる習慣がある。ある者たちは柳の枝の編み細工で巨大な像を作り、内部に人間を詰め込んで燃やし、人々は炎に取り巻かれて死んでいく」と触れています。 注意点としては、これはあくまでも「戦争に勝利し支配者となったローマ側、カエサルの観測による一方的な記録」という点です。ガリア側によるウィッカーマンの記録は一切残されておらず、当人たちが何を目的として行っていた儀式なのかも不明瞭です。よってウィッカーマンの儀式はカエサルの勘違い、誇張、果ては敵側を蛮族として扱っての捏造、征服の正当化、という可能性もあります。すなわち、正しいとも間違いとも言い切れないのです。 ■干将・莫邪(古代中国の物語)<Wikimedia Commonsより。18世紀、伝承を元に想像で描かれたウィッカーマン>
毎度おなじみ、アーチャーの扱っていた2本の剣は、古代中国の文献を由来とする宝具「干将・莫邪」という、2本同時に作られた夫婦剣です。1世紀の歴史書『呉越春秋(ごえつしゅんじゅう)』、4世紀の志怪小説集『捜神記(そうじんき)』によれば、亀甲状の文様が施されているのが雄剣干将、波紋状の文様が施されているのが雌剣莫邪となります。 干将・莫邪は、中国由来の伝説の剣としては知名度の高い存在であり、日本を含めた数多くの作品に登場しています。ですがどういう訳か、先述した2つの文献を含め、原典といえるすべての作品内において剣の制作方法や登場人物、さらには物語の内容、結末にまで差異が見られるのです。 また「剣を作る際、妻莫耶が炉中に身を投じた」というエピソードも非常に有名で、これに準じた設定は数多くの作品に登場しています。原文(於是干將妻乃斷髮剪爪、投於爐中)は確かにそのようにも読めるのですが、「妻莫耶が自身の髪の毛と爪を切り、それを炉中に投じた」と見たほうが無難でしょう。 何故なら、この物語が成立したころ(紀元前5~2世紀)の中国では「髪の毛にはその人の命が宿っている」とされていたからです。つまり髪の毛を切って火の中に投げ込んだ、という時点で、その時代においては十二分に命を削っているのです。 ■セイバーオルタ(トマス・マロリー『アーサー王の死』) セイバー、すなわちアーサー王に関しては、物語の成立とアルトリア・ペンドラゴン実在の可能性について触れるに留めます。 現代における「アーサー王伝説」とは、基本的にはイギリスの騎士トマス・マロリーが15世紀に完成させた小説『アーサー王の死』のみを指すものです。 実は『アーサー王の死』の大本となる「アーサー王伝説」とは、5~6世紀ごろにブリテン島(現在のイギリス)を守った戦士の活躍が伝説化したものです。アーサーという人物は、8世紀ごろに成立した『ブリトン人の歴史』という文献にはじめて登場するのですが、この時点では王ではなく、部隊を率いる一指揮官にすぎませんでした。 ですが10世紀になると、アーサーをブリトン人の王とした物語がいくつかの文献にまとめられ、アーサーは王として伝説化しました。やがてイギリス、ドイツ、フランスと、ヨーロッパのほぼ全域にアーサー王物語が広まります。それに触発された当時の作家たちは、こぞって「アーサー王や円卓の騎士が活躍する物語」や「アーサー王と彼に仕えるオリジナル騎士の物語」を作り出していったのです。 結果として、各国で独自の発展を遂げたアーサー王物語が大量に作られました。当然のことですが、それら物語群は数々の作家が各々に書き上げた作品であるため連続性はなく、登場する人物や設定などもそれぞれで異なっています。 マロリーは、それら大量かつ雑多なアーサー王物語を集めて読み漁り、良い設定や要素、エピソードなどを拾い集めてつなぎ合わせ、ひとつの連続した物語としてまとめ書き上げました。その物語こそが、アーサー王物語の集大成『アーサー王の死』なのです。 かなり強引な考え方ではありますが、世に出なかった、すなわち【太字ここから】マロリーが採用せず、かつ後世に残されなかった作品の中に「アーサー王が実は女性であった」という物語が存在していた可能性はなきにしもあらず【太字ここまで】、なのです。 ――実のところ、記事としてひとつに収める必要があるため、かなりの情報量を盛り込んではいるのですが、これでも相当な内容を端折っています。 これら元ネタの情報は、知れば知るほど物語や小ネタへの理解、キャラクターへの思い入れが増すものですので、ぜひお気に入りのサーヴァントについて調べてみて下さい。 ■文・たけしな竜美 オタク系サブカルチャー、心霊、廃墟、都市伝説、オカルト、神話伝承・史実、スマホアプリなど、雑多なジャンルで記事執筆、映像出演、漫画原作をしています。お仕事募集中です! Twitter:https://twitter.com/t23_tksn『Fate / Stay Night Unlimited Blade Works』 TV Series Season 2ジャケットより。士郎とアーチャーがそれぞれ手にしているのが干将・莫邪
同人誌は敷居が上がりすぎ? 多忙な消費の陰で、文化が衰退期に向かう可能性
出版業界が年々市場を減らしている一方で、活況が止まるところを知らないと見られている同人誌市場。しかし、その同人誌も今や「敷居が上がりすぎて、新規では参入しにくくなっている」という問題提起が注目を集めている。 いったい、いつの間にそんなことになったのか……? togetterでも、まとめられているこの話題(https://togetter.com/li/1084709)。 敷居が高いと感じる人々が主張するのは、本気度の高い人が増えたということ。かつて、地方や中小のイベントではラミカやシール、便せん程度で気軽に参加している人が多かった。今では、そうしたサークル参加者が減っていることは確かなことのようだ。ある即売会関係者は語る。 「今ではpixivなどで作品を公開することもできますから、実際に本を出すことは、一段ステージの高いものだと認識されているのでしょう。とはいえ、グッズは小ロットでも作りやすくなりました。昔みたいな手作りのラミカは減りましたけどね」 かつては、交流目的でグッズを制作してサークル参加する人も多かった。しかし現在では、わざわざ出会いを探さなくても、ネットで気軽に交流することができる。結果、同人誌というものが、敷居が高い存在に見えているということのようだ。 これに加えて、敷居が高いもののように見えている要因は、同人誌即売会が都市部で開催される大規模なものに集約されつつあること。とりわけ地方の即売会は、どこも縮小傾向にある。わざわざ地方の即売会に足を運ばなくても、都市部のそれで十分と考える人が多数派になっているからだ。 つまり、様々な即売会をめぐって、新しい発見をしようとする意識を持っている人自体が減っているらしい。 「今や同人でなくても、公式でグッズは至れり尽くせりです。それに、ネットで見られる作品……たとえばpixivなどでも、とてもすべてを見ることが難しいくらいの量があふれています。わざわざ“もっと、すごいもの”を探そうという意識は起きないんじゃないでしょうか」(前述関係者) あらゆるコンテンツが豊かになったことで、消費することだけでも処理しきれない。結果、新しいものを探そうとか、作ろうという意識は鈍化しているということか。 新しいものを生み出すことの楽しさを知る人が減ってしまえば、同人誌文化も衰退してしまう。けれども、それはわざわざ教えることができるものではない……。 (文=昼間たかし)「togetter」より。
























