東大生による強制わいせつ・暴行事件は、「エリート男子学生」という立場を狡猾に利用した性犯罪

今年5月に起きた、東大生5人が大学生の女性に対して強制わいせつと暴行を行った事件の裁判が9月5日に東京地裁で開かれました。今回は訴訟された3人のうち主犯とされる松見謙佑被告の裁判で、検察側は「卑劣かつ執拗で極めて悪質。さらに暴力自体を楽しんだと認められる」「被害者は示談を拒否し続けており、処罰感情が峻烈」として懲役2年を求めています。

5人の東大生は女性を泥酔させ、全裸にし、肛門を箸でつついたり、背中を叩いたり、胸の上に熱いラーメンを落としたり、馬乗りになってキスをするなどを行っています。このニュースを見て「それほどのことをしてたった2年の求刑?」と思いました。

その上、検察側の求刑に対して弁護側は「悪ふざけ的な暴行やいじめの側面が強い」として情状酌量を求めたことも明らかになっています。被告の行為を悪ふざけで済ますことが「許されてしまう」のが日本なのでしょうか?

◎スタンフォード大学男子学生によるレイプ事件との共通点

アメリカでも男子学生によるレイプ事件が後を絶ちません。

最近話題になっているのは、ブロック・ターナーという当時スタンフォード大学水泳部に所属していた男子学生が、泥酔して寮の外のゴミ箱の横に倒れていた女性を強姦した事件です。裁判に発展しましたが「厳罰は被告の将来に重大な影響をもたらす」としてたったの6カ月の懲役判決が下され、結果的に3カ月で出所しました。このあまりにも軽い処分がアメリカ国内でも問題視されています。

この事件が特に大きく取り上げられたのは、ターナーの判決が出た時に被害者の女性が発表した12ページにも及ぶ声明が、あまりにも衝撃的だったからです。

声明の中で被害者は、ターナーが雇ったやり手の著名弁護士チーム(探偵なども含め)が、完璧にターナー側に立った証言ができる証言者を探してきたこと、被害者の私生活を調べ上げ、恋愛や生活の粗探しをして、重箱の隅をつつくような質問で彼女を黙らせ、彼女の地位を貶め、彼女の人格を傷つけようとしたことを述べています。ターナーは、家族や知人のつても総動員して、弁護士チームとともに自分の犯した卑劣かつ凶暴な罪から逃れようとしたのです。

アメリカではこの事件が「白人×男性×エリート大学生」が自らの特権を悪用し、暴行を働いた事件として注目されています(参考:http://www.cosmopolitan.com/politics/news/a59485/stanford-rape-case-white-male-privilege/  https://www.romper.com/p/how-brock-turner-exemplifies-every-aspect-of-white-male-privilege-in-america-12041)。

「白人×男性×エリート大学生」が注目される理由は、このような強姦事件がエリート大学の学生寮で無数に起こっているのに、一向に状況が改善しないためです。スタンフォード大学をはじめとして、エリート大学の学生の大多数が富裕層・白人であり、さらにその中で発言力、影響力が強いのは男子学生です。しかも、大学運営の中心を担うのが男性であり、男子学生たちに同情的であったり、強姦を「大学カルチャーのひとつ」くらいにしか捉えず、具体的な対策を何一つしようとしていないからです。

アメリカでは今、警察によるマイノリティに対する権力の濫用が大きな問題になっています。警官がマイノリティに対して平然と暴行をふるったり、「逮捕しようとしたら暴れたから」などといって無防備な若者を射殺したりしていることが問題視されています。こうした事件は、たとえば「Black teen killed by police」などでネット検索をするとあまりにも多数起こっていることがお分かりいただけるかと思います。それくらい、マイノリティは警察の暴力にさらされ、身の危険を感じながら生きていのです(参考:http://blacklivesmatter.com)。

強姦を行った白人エリート男子学生はたったの3カ月で刑務所を出所している一方で、誰も傷つけていないのにもかかわらず、エリート大学の男子学生たちも学内の寮で服用しているような軽い「薬物」を所持・使用しただけでも、マイノリティであれば、何年も刑務所に入れられています。

これは明らかに、アメリカ司法システムの人種主義に基づいたダブルスタンダードであり、同時に「エリート大学学生」に対する「甘やかし」です。被害者の女性は、あたかも自らに非があるかのように裁判で攻め立てられ、加害者であるターナーは「将来に重大な影響を及ぼさないように」ほんのわずかな刑罰しか与えられませんでした。ようするに、酒を飲んで調子に乗って起こしてしまった若気の至りの犯行であって、本当は真面目なスポーツマンでエリートなのだからと、凶悪で卑劣な罪が許されてしまったのです。この事実を受け止めなければならなかった被害者の女性の気持ちを考えると、胸が締め付けられるようです。

◎「エリート男子学生」という特権

今回の東大生5人による強制わいせつ・暴行事件も同様のことが言えると思います。

思い返し罪・集団強姦致死傷罪の創設につながった凶悪な事件でした。

今回の事件では、当初の報道で彼らの名前や顔写真が全く公開されないことが疑問視されていました。彼らが起訴されていなかったから、起訴される可能性が低かったから、また起訴されても有罪、実刑判決が出る可能性が少なく、すぐに大学含めて社会復帰する可能性が高かったから、また加害者のメンバーの一人が、自民党の山谷えり子議員を親戚に持っていたからなど、情報が公開されなかった理由は様々考えられます。

その後、被害者の女性は加害者側の示談に応じず、5人のうち3人を起訴しました。それによって3人については実名も公表され、他の2人についても、あちこちの雑誌やネットで情報が出ています。ただ、これらは彼らが起こした事件に対する社会的制裁としては不十分と私は考えます。

さらに言うならば、たとえ弁護のためであっても、性的暴行を「いたずらだから」と弁護側が言うことができる社会の雰囲気は望ましいものなのでしょうか? この弁護によって情状酌量されるようなことがあったら、それはスタンフォード大学での事件同様に「エリート男子学生」が、報道にも、司法システムにも守られているということなのではないでしょうか?

もちろん、他の大学の学生が行った性的暴行や強制わいせつ事件も数多くあります。しかし、今回の東大生5人による強制わいせつ事件に顕著であるように、「エリート大学の学生」が関わっている事件というのは、「エリート大学」の名前を利用した組織的なものが多いのが特徴です。朝日新聞によると、今回の裁判で加害者は「女性をものとして扱ってしまった」「大学に入って他大学の女性と会うことが多くなった。彼女らは『自分より頭が悪い』と考えるようになり、相手の気持ちが考えられなくなった」と述べています。加害者は自身がエリートだという自覚があったのでしょう。そして、「エリート大学」という自らの特権をどう利用すべきかを狡猾に考えていたのではないでしょうか。

◎「エリート男子学生」であることを利用した犯罪

「エリート男子学生」という特権について分解して考えてみましょう。

日本は表面的には男女平等とされながらも、結婚が可能になる年齢が男女で違う、強姦罪対策の遅れ、結婚による改性の事実上の強制、就職差別、職場での昇進の遅れ、男女賃金格差、圧倒的な非正規雇用率など、女性であることが生きる上で不利益につながる、男性優位、男性本位の社会、男性であることを前提にデザインされている社会です。このような社会では男性であるというだけで「マジョリティ側」つまり既得権益側にいることになります。

その上で、「エリート大学の学生」という記号は、さらなる特権となります。「エリート大学の学生」という記号から、私たちは「お金持ち」「勉強ができる」「将来は良い就職をする」「将来は出世する」ということを連想します。それだけ「エリート大学」という記号は、彼らが所属する(であろう)社会階層上位という特権のチラ見せにもなり得るのです。

社会階層上位というのは、社会・文化資本、経済資本を独占する既得権益です。社会階層上位の人々が長年かけて蓄えてきた文化・経済資本へのアクセスが生まれたときから約束されていた子どもたち、あるいは自分たちの努力によりその既得権益層の資本へのアクセスを得たのが「エリート大学の学生」なのです。

そして、大学ランク別・男女別の収入では、エリート大学出身者であっても男女の賃金格差がみられ女子学生には同じような既得権益・特権がありません。「エリート大学学生であり、かつ男性」であるということは、それだけ社会階層上位の「既得権益」「特権」をほしいままに利用し、それにより守られている立場にいるということなのです。

人はエリートの持つ特権や既得権益に惹かれ、そこに入りたいと望みます。今回の事件の「エリート男子学生」は、多くの女子大生が彼らの特権、既得権益に惹かれることを十分に想定した上で、「東大生・女子大生の交流サークル」のようなものを作り、「エリート大学」の特権・既得権益に惹かれて入ってきた女性を「尻軽」「やりまん」などと言ってだまし討ちにし、暴行を加えたのです。これは「いたずら」で済ませられるようなものではありません。彼らは社会階層上部の特権・既得権益を最大限に利用し、女性に暴行を加えた卑劣で狡猾な犯罪者なのです。

このような事件は後を絶ちませんが、日本のエリート大学が率先して状況を改善しようというような動きは全く見られません。アメリカのブロック・ターナーの事件では「(大学生ならよくある)大した事件ではない」「本当は真面目ないい子」というような、性犯罪を許容してしまう社会の雰囲気が、罪を軽くしてしまったようなものです。 松見被告たちが行ったことに対して「本当は真面目」「強姦したわけではないし」などと、今回の事件を矮小化するようなことにならなければ良いと願います。ネットではすでに、被害者女性のことを「なんでのこのこついていったのか」とバッシングするようなコメントも見られますし、松見被告について「むしろ逆恨みされた被害者」というコメントも見られます。

日本にせよアメリカにせよ、エリート男子学生による性的暴行事件が後を絶たないことを考えると、「大したことない」「本当はいい子なんだから」「男の子だから」「ついて行った女性も悪い」という社会の、大学内の雰囲気こそが、こうした事件の背景だと言わざるをえません。

■古谷有希子
ジョージメイソン大学社会学研究科 博士課程。東京大学社会科学研究所 客員研究員。大学院修了後、ビジネスコーチとして日本でマネジメントコンサルティングに従事したのち、渡米。公共政策大学院、シンクタンクでのインターンなどを経て、現在は日本・アメリカで高校生・若者の就職問題の研究に従事する傍ら、NPOへのアドバイザリーも行う。社会政策、教育政策、教育のグローバリゼーションを専門とする。

「潮吹き」してもイッてない! 自己満テクとドヤ顔男子は反省を、吹きたい女子は己の膣探求を。

こんにちは、ビールは水だと思っています。大根蘭です。今回は「潮吹き」についてお話していいですか?「messy」でも潮吹きをテーマにした記事は人気がありますが……そもそもすべての女性が同様に経験するようなことではなく、経験ある方ない方、いるでしょう。未経験の女性から「一度は吹いてみたい!」という意見を聞くこともあります。かく言う私はどちらか? 経験はありますが、あまり好きじゃない……です。

 最近、男友達との会話の中で驚いたのは、その彼が「潮を吹く=イっている」と思っていたこと。そして、そのような認識の人がまだ多数いるらしいということ。そういえば、潮吹き未経験者の女友達に「潮吹きしてみたい! だってすごい気持ちいいんでしょ?」と言われたこともありました。

 イクと同時に潮を吹いてしまう人もいますし、気持ちよく感じる人がいるのも確かですが、潮吹きはイクこととは違います。潮吹きと同時にイク演出のAVもありますが、あくまでも「演出」だということは、もう周知されていると思っていましたが……実際にはまだまだ、「潮吹きでイカせる!」みたいな野望(?)を持つ男性、「潮吹きでイキたい!」とドリーミィな女性、双方いらっしゃるようなんですね……残念です。なぜ残念と思ってしまうか……私個人的には、潮吹き=迷惑な行為でしかないのです。気持ちいいと感じたことがありません。

◎イクときは“締まる”。潮を吹くときは“開く”

 そもそも、「ブシャー!」はどうして起きるのか。性感帯といわれるGスポットを刺激されることで膣内に大量の愛液が分泌されるとも言われていますが、結局、体内の水分が出ているとも言われています。私自身、セックス直前まで大好きなビールを大量に摂取した後の潮吹きの量は多い。ということで、体内の水分放出説は濃厚。先日亡くなった、紅音ほたるさんも、撮影前は大量の水を飲んでいたとか。おしっこ説もありますが、これに関しては、おしっこと違って、潮はサラサラ無色無臭。ということでおしっことは別物だと思っています。

 女性の皆さんがイク時は、おそらく膣内がギュッーと締まりますよね? しかし潮を吹いている時というのは、膣内が空洞化(バルーン現象というらしい)しているんだそうです。イク時と潮吹きの時とでの膣は真逆の働きをしている模様です。膣でイキやすくするには力を入れること、潮を吹かせるには、リラックスしている状態が一番のよう。

 潮とは何者なのか、膣内でどんな動きが起こっているのか、諸説あるので実際のところは不思議がいっぱい。なワケですが、その仕組みがどうだとしても、私がそれを「嫌い」ということに変わりはないわけで。

◎「潮吹き=イク」とは限らない

私が潮吹きを迷惑とさえ感じてしまう理由ですが……

◆排尿感

潮を吹いた時は何かに似ている。そう、排尿感なんですよね。だからこそ、おしっこ説があるのかもしれないですが。「漏れちゃうっ!」と慌ててトイレに駆け込んだ時の、あの感じなんですよね。トイレで我慢していた尿を出したときの解放感はある種の快感かもしれませんが、それをセックスの最中には求めていません。

◆脱力感

潮吹きさせられた途端、脱力感が襲ってきます。20代の頃はそんな脱力感に打ち勝つエネルギーがあった気がしますが、30歳を超えるともう、「お願い、一旦寝かせてくれ、長めに寝かせてくれ」状態なわけです。それはイッた時に感じる「力が抜ける~★」とは違うんです。生理現象なので、自分の意志と反してイク前に潮を吹いてしまうことも多いわけで、長い時間セックスを楽しみたいのに、この脱力感で一時中断を余儀なくされるのは、残念の極み!

◆相手のドヤ顔

これは、潮吹きをさせた後の、ドヤ顔というか、ドヤ感というか。相手男性の表情を見るに、彼の自己満足にしか思えず。確かに指先テクニックが必要な行為ではあるので、「俺のゴールドフィンガーで潮を吹かせてやったぜ……」的な感じなのでしょうが。だからこそ、男性同士の会話では潮吹かせたことがあるということが自慢話となるのでしょうね。男性は、潮吹きをさせた後でもいいので、これが相手女性にとって、気持ちいいものなのか、イヤなことなのか、意見を聞いていただきたい。コレ一番大事。そうでなければ独りよがりのセックス(ほぼオナニー)です。

 こうした理由から、私はセックスの際に潮吹きを求めていませんが、「とにかく一度は、経験してみたいの!」という女性は、ご自分でGスポットの位置や角度を確認することが手っ取り早いかと思います。このGスポットという性感帯は膣内に存在しますが、人によって多少場所が違うため、ポイントを掴むのが意外と難しい。指を挿入し、最も快感を感じる場所を探し当てておくことが近道かもしれません。

 そして、いざ愛撫を受けるタイミングになった時、彼の指2本(中指&薬指 or 人差し指&中指) を曲げて、手前のGスポットに指の腹をあてた状態で固定。ここまでは彼の指を誘導をしちゃいましょう。・そして、固定した部分をゆーっくりと刺激してもらうわけですが、ペニス挿入時ピストンのような上下の動きではなく、指を入れたまま抜かずに前後で動かすといった感じでしょうか。ただ、彼女からここまでレクチャーされちゃうと、「吹かせられなかったらどうしよう!」のプレッシャーで相手が萎えちゃうかもしれないという懸念もありますが。ともあれ、痛みや不快感を覚えたらすぐSTOPをかけるなど、無理に刺激しすぎないようご注意ください。

(大根 蘭)

「潮吹き」してもイッてない! 自己満テクとドヤ顔男子は反省を、吹きたい女子は己の膣探求を。

こんにちは、ビールは水だと思っています。大根蘭です。今回は「潮吹き」についてお話していいですか?「messy」でも潮吹きをテーマにした記事は人気がありますが……そもそもすべての女性が同様に経験するようなことではなく、経験ある方ない方、いるでしょう。未経験の女性から「一度は吹いてみたい!」という意見を聞くこともあります。かく言う私はどちらか? 経験はありますが、あまり好きじゃない……です。

 最近、男友達との会話の中で驚いたのは、その彼が「潮を吹く=イっている」と思っていたこと。そして、そのような認識の人がまだ多数いるらしいということ。そういえば、潮吹き未経験者の女友達に「潮吹きしてみたい! だってすごい気持ちいいんでしょ?」と言われたこともありました。

 イクと同時に潮を吹いてしまう人もいますし、気持ちよく感じる人がいるのも確かですが、潮吹きはイクこととは違います。潮吹きと同時にイク演出のAVもありますが、あくまでも「演出」だということは、もう周知されていると思っていましたが……実際にはまだまだ、「潮吹きでイカせる!」みたいな野望(?)を持つ男性、「潮吹きでイキたい!」とドリーミィな女性、双方いらっしゃるようなんですね……残念です。なぜ残念と思ってしまうか……私個人的には、潮吹き=迷惑な行為でしかないのです。気持ちいいと感じたことがありません。

◎イクときは“締まる”。潮を吹くときは“開く”

 そもそも、「ブシャー!」はどうして起きるのか。性感帯といわれるGスポットを刺激されることで膣内に大量の愛液が分泌されるとも言われていますが、結局、体内の水分が出ているとも言われています。私自身、セックス直前まで大好きなビールを大量に摂取した後の潮吹きの量は多い。ということで、体内の水分放出説は濃厚。先日亡くなった、紅音ほたるさんも、撮影前は大量の水を飲んでいたとか。おしっこ説もありますが、これに関しては、おしっこと違って、潮はサラサラ無色無臭。ということでおしっことは別物だと思っています。

 女性の皆さんがイク時は、おそらく膣内がギュッーと締まりますよね? しかし潮を吹いている時というのは、膣内が空洞化(バルーン現象というらしい)しているんだそうです。イク時と潮吹きの時とでの膣は真逆の働きをしている模様です。膣でイキやすくするには力を入れること、潮を吹かせるには、リラックスしている状態が一番のよう。

 潮とは何者なのか、膣内でどんな動きが起こっているのか、諸説あるので実際のところは不思議がいっぱい。なワケですが、その仕組みがどうだとしても、私がそれを「嫌い」ということに変わりはないわけで。

◎「潮吹き=イク」とは限らない

私が潮吹きを迷惑とさえ感じてしまう理由ですが……

◆排尿感

潮を吹いた時は何かに似ている。そう、排尿感なんですよね。だからこそ、おしっこ説があるのかもしれないですが。「漏れちゃうっ!」と慌ててトイレに駆け込んだ時の、あの感じなんですよね。トイレで我慢していた尿を出したときの解放感はある種の快感かもしれませんが、それをセックスの最中には求めていません。

◆脱力感

潮吹きさせられた途端、脱力感が襲ってきます。20代の頃はそんな脱力感に打ち勝つエネルギーがあった気がしますが、30歳を超えるともう、「お願い、一旦寝かせてくれ、長めに寝かせてくれ」状態なわけです。それはイッた時に感じる「力が抜ける~★」とは違うんです。生理現象なので、自分の意志と反してイク前に潮を吹いてしまうことも多いわけで、長い時間セックスを楽しみたいのに、この脱力感で一時中断を余儀なくされるのは、残念の極み!

◆相手のドヤ顔

これは、潮吹きをさせた後の、ドヤ顔というか、ドヤ感というか。相手男性の表情を見るに、彼の自己満足にしか思えず。確かに指先テクニックが必要な行為ではあるので、「俺のゴールドフィンガーで潮を吹かせてやったぜ……」的な感じなのでしょうが。だからこそ、男性同士の会話では潮吹かせたことがあるということが自慢話となるのでしょうね。男性は、潮吹きをさせた後でもいいので、これが相手女性にとって、気持ちいいものなのか、イヤなことなのか、意見を聞いていただきたい。コレ一番大事。そうでなければ独りよがりのセックス(ほぼオナニー)です。

 こうした理由から、私はセックスの際に潮吹きを求めていませんが、「とにかく一度は、経験してみたいの!」という女性は、ご自分でGスポットの位置や角度を確認することが手っ取り早いかと思います。このGスポットという性感帯は膣内に存在しますが、人によって多少場所が違うため、ポイントを掴むのが意外と難しい。指を挿入し、最も快感を感じる場所を探し当てておくことが近道かもしれません。

 そして、いざ愛撫を受けるタイミングになった時、彼の指2本(中指&薬指 or 人差し指&中指) を曲げて、手前のGスポットに指の腹をあてた状態で固定。ここまでは彼の指を誘導をしちゃいましょう。・そして、固定した部分をゆーっくりと刺激してもらうわけですが、ペニス挿入時ピストンのような上下の動きではなく、指を入れたまま抜かずに前後で動かすといった感じでしょうか。ただ、彼女からここまでレクチャーされちゃうと、「吹かせられなかったらどうしよう!」のプレッシャーで相手が萎えちゃうかもしれないという懸念もありますが。ともあれ、痛みや不快感を覚えたらすぐSTOPをかけるなど、無理に刺激しすぎないようご注意ください。

(大根 蘭)

「見知らぬ人に襲われる」「加害者は家庭環境に問題がある」セカンドレイプを横行させる「レイプ神話」のでたらめ

8月23日、俳優の高畑裕太容疑者が強姦致傷容疑で逮捕されました。

事件が報道されるや否や、さまざまな憶測が飛びかいました。「もしかして、美人局じゃない?」「指をケガするだけで済んだのは怪しい」。あるいは、容疑者の母親である高畑淳子氏に対し、「お母さんの育て方が悪かったのでは?」と。さらには、女性の年齢や容姿が報道され、ネット上では被害者の写真と称した別人の顔写真が拡散。被害者女性を心理的・社会的に傷つけるセカンドレイプが横行しました。

これらのセカンドレイプの背景には、「レイプ神話」と呼ばれる根拠なき思い込みが存在します。神奈川県のホームページでは、レイプ神話をこのように説明しています。

「強姦(レイプ)にまつわる話として、その真偽に関わりなく、広く一般に信じられていることがあります。この神話は、知らず知らずのうちに意識の中に刷り込まれ、その結果、被害者が自分自身を責めてしまうこともありますが、被害者には何の落ち度もありません。被害の責任は加害者にあります。」
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/p787148.html

レイプ神話は、具体的にどのようなものなのでしょうか? 代表的なレイプ神話として、下の4つがあげられます。

(1)レイプの多くは暗い公園や道で見知らぬ人によってなされる
(2)挑発的な服装をしている人、魅力的なで若い人が狙われやすい
(3)レイプされるとき被害者は強く抵抗するものだ
(4)加害者は異常性格者が多く、家庭環境に問題のある人が多い

本記事では、4つのレイプ神話に関する統計を紹介します。インターネットや国会図書館から誰でもアクセスできるデータをみても、レイプ神話はでたらめであると断言できます。

◎(1)レイプの多くは暗い公園や道で見知らぬ人によってなされる

ここでは、日本における「強姦」と「強制わいせつ」を「レイプ」と定義したいと思います。なお、「強姦」は「暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫」することであり、「強制わいせつ」は「13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為」をすることです。13歳未満の者に対しては、合意があっても罪に問われます。

「夜道を歩いていたら見知らぬ人に襲われる」というのが強姦のイメージでしょう。まずは、犯罪者処遇の実情を報告した「平成27年 犯罪白書」のデータをみてみましょう。

被害者が加害者と「面識あり」のケースが年々増えています。27年度の調査によると、強姦の場合、被害者と加害者の関係性は「面識あり」と「面識なし」で、半々であることがわかります。

一方で、異なる結果が出たアンケートもあります。女性1811人に「これまでに異性から無理やりに性交されたことがあるか」を聞いた「男女間における暴力に関する調査」(平成26年度調査)では、加害者が「まったく知らない人」と答えた割合は11.3%です。

異なる統計データですので、簡単には比較できませんが、なぜ加害者と被害者の面識の有無に差があるのでしょうか。

「犯罪白書」は検挙された人数をもとに作成しています。性犯罪は被害者側からの告訴がない限り、犯人を逮捕し処罰できない「親告罪」で、実数に比べ相談件数が少ないことがわかっています。

「男女間における暴力に関する調査」では「異性から無理やりに性交された経験」のある人は6.5%。そのうち、「相談した」が31.6%で、「相談しなかった」が67.5%となっており、7割弱の人が相談していないことがわかります。さらに、「相談した」中でも、警察に連絡・相談した人は4.3%です。

加害者と面識がある場合、より被害を口にするのをためらってしまう可能性は高いでしょう。ですから、「犯罪白書」には面識のある加害者からの被害が相当数カウントされていないことが予想されます。

「レイプは見知らぬ人によって行われる」のではなく、「見知らぬ人の方が、知り合いよりもレイプ被害を報告しやすい」ということなのかもしれません。

◎(2) 挑発的な服装をしている人、魅力的で若い人が狙われやすい

痴漢被害者に向けて、「短いスカートをはいているから狙われたんだ」と言われることがあります。今回の強姦事件でも、被害者の容姿や年齢について報道されました。加害者は被害者をどのような基準で選んでいるのでしょうか?

平成9年10月から平成10年1月までに全国の警察で強姦と強制わいせつにより検挙された加害者553名と、被害者204名に行ったアンケート調査を紹介している「性犯罪の被害者の被害実態と加害者の社会的背景」をみてみましょう。

統計をみると、「警察に届けることはないと思った」が37.5%、「おとなしそうに見えた」が36.1%、「弱そうな感じがした」15.5%となっています。一方「挑発的な服装」は5.9%です。加害者は、自身の犯罪が発覚しないことを重要視しています。

強姦の場合、10代~20代が被害者の8割近くをしめます。高齢になるにつれて割合は減っていくものの、幅広い年齢層で起こっていることがわかるでしょう。「40代だからレイプされない」とは言えません。

◎(3)レイプされた女性は強く抵抗するものだ

レイプされた被害者は強く抵抗するというのも強固な思い込みです。強く抵抗できない被害者も多いことが実情です。

また、「抵抗したかったができなかった」が35.3%、「言うことを聞かないと殺されるかもしれないと思った」と答えた人は、強姦で70.9%です。かなり強い恐怖を感じていることがわかります。

よく、「抵抗しなかったから、男性は同意していると思ったのでは?」と言う人がいます。しかし、同調査で「相手が納得していると思った」と答えた加害者は、強姦で16.4%、強制わいせつで8.0%と少数です。

◎4)加害者は異常性格者が多く、家庭環境に問題のある人が多い

高畑淳子氏が記者会見に立った際、「奇行、問題行動、不可解な発言などはあったのか」や、母子家庭である点について質問が飛びました。加害者に精神疾患があったり、家庭環境の複雑さのため事件が起きたという意識のあらわれでしょう。

90%以上に精神障害がないことがわかります。性犯罪に限らず、加害者を安易に精神障害に結びつける現状は、障害を持つ人への偏見が根強いことも示しています。

80%以上が、仕事に就いたり、学生として通学しています。無職者の割合も他の犯罪に比べ低いのが特徴です。

父親と母親について健在か否かを聞いたところ、少年の場合、66.9%が健在であると答えています。成人の場合は年齢とともに親との死別が増えることが予想されますが、57.1%が両親ともに健在です。また、半数以上が「可愛がられて育った」と回答しています。「ひとり親で、可愛がられていない」成長過程と、性犯罪を結びつけるのは強引だと言えるでしょう。

◎最後に

ここまで、4つのレイプ神話に関する統計を見てきました。

レイプ神話には根拠がなく、セカンドレイプを助長します。性暴力の議論をしていく上で障壁になるため、丁寧に排除してく必要があるでしょう。

しかし、残念ながら、「自分とは関係ない」と思いたい人にとって、レイプ神話は都合のよいものです。被害者の落ち度を見つけ、加害者の異常性を確認することで、自分が被害にあう不安を遠ざけます。何事にも当事者意識を持つことは、難しいことですから、そう考えること自体を強く否定することはできません。しかし、「自分とは関係ない」ことを証明するだけのために、被害者の見聞きできる場所で、レイプ神話を振りかざすのはやめましょう。

性犯罪は、老若男女関係なく、被害者になります。あなたや大切な人が、将来被害者になる可能性もあるのです。「自分とは関係ない」と遠くに石を投げているつもりでも、次は自分が石をぶつけられる可能性があります。レイプ神話を否定し、セカンドレイプを防ぐことは、自分や大切な人を守ることでもあるのです。
(山本ぽてと)

◎補足

いくつかあるレイプ神話の中で、「男性は性欲によってレイプする」というものがあります。レイプは「性欲」か、「支配欲」なのかについては、専門家においても議論が続いているようです。ただ、レイプの理由が「性欲」であれ「支配欲」であれ、「だから仕方がない」と結論づけるための議論ではないことです。今回挙げた4つのレイプ神話については、明らかに事実と異なっているので、「レイプ神話」を議論する際のトピックにはそもそも上がりません。

また、本文中で被害時のショックに触れました。しかし、ショックを強調しすぎると、「強姦されたのに、あの子は元気そう。捏造なのでは?」と被害者を疑うなど、社会復帰への障壁になる可能性があります。背景には「女性にとって命の次に貞操が大事だ」という価値観があり、議論の余地は大いにあるでしょう。暴力事件の被害者が、元気な様子であっても、同じ理屈では責められないはずです。

引用データ
「平成27年版 犯罪白書」http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/mokuji.html
「男女間における暴力に関する調査(平成26年度調査)」http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/h26_boryoku_cyousa.html
「性犯罪の被害者の被害実態と加害者の社会的背景(上)(中)」警察時報 2000年

『HiGH&LOW』は祭である ケンカに次ぐケンカに魅了され、ジェンダー的にももやもやしなかった理由

EXILEや三代目J Soul Brothersファンだけでなく、今まで彼らに興味のなかった層にまで届いているように見える映画『HiGH&LOW THE MOVIE』。2クールにわたってテレビで放送されていたドラマ『HiGH&LOW』(日本テレビ系)の続編です。

ホモソーシャルや男らしさについて考えてきた本連載にはうってつけの題材では! と思い、公開後かなり早くに見てきました。

本作は「山王連合会」「White Rascals」「鬼邪高校」「RUDE BOYS」「達磨一家」という5つのチームが緊張関係にあった「SWORD地区」が舞台になっています。物語は、RUDE BOYSの拠点である無名街で、突然大爆発が起こったことから始まります。爆発後、いまはなき最強のチーム「MUGEN」のリーダーであり、親友の龍也の死により、自暴自棄になって街から姿を消していた琥珀(AKIRA)が現れます。かつては「MUGEN」のメンバーとして共に過ごしてきたコブラ(岩田剛典)やヤマト(鈴木伸之)への琥珀の態度も豹変していまいました。そして、SWORD地区の支配を目論む海外組織「張城」や「MIGHTY WARRIORS」との関係を深めていたのです。実は、琥珀にはある思惑があり……というのが『HiGH&LOW THE MOVIE』のストーリーです。

◎『HiGH&LOW』は祭である

無名街で大爆発が起こり、RUDE BOYSのメンバーの“家族”たちが何人も亡くなったというセリフがあります。しかしこの映画では、ケンカや抗争ばかりが描かれているというのに、人の死を感じることがありません。もちろん、ドラマシリーズには亡くなった人もいるし、この作品でも琥珀の親友の龍也が亡くなったという回想エピソードは随所に出てくるのですが、この映画では、ケンカで人と殴り合った結果の死というものは描かれていないのです。

しかも、ケンカに次ぐケンカのシーンを見ても、あまり痛そうに見えない。ハマった人がリピーターになっていくのも、目を背けるような痛々しさがないというのが大きいのではないかと思います。

しかし、なぜ痛そうでないのか。それは、アクションが実に巧いということが関係あるでしょう。特に個人的には、リーダーのスモーキー(窪田正孝)率いるRUDE BOYSの乱闘シーンが顕著です。RUDE BOYSには、ピーという赤い髪の登場人物がいるのですが、ピーを演じるZENはアクロバティックな動きをするパルクールパフォーマーでもあります。彼が繰り広げるアクションの流れが非常にスムーズで、圧巻で、初めてみたときは「あの動きのすごい人は誰?」と衝撃を受けました。よく考えると、ZENに象徴される、ダンスのように美しいアクションが繰り広げられることで、ケンカのシーンを見ても、「痛い」というよりも「すごい」「きれい」「もう一回見たい……」となるのかもしれません。

その他のアクションシーンも、大人数が参加しているワンカットでの撮影は目を見張るものがあるのですが、「撮影現場での安全が確保された上でやっているんだろうな」という想像がなぜかできました。「暴力性を描くためには、生々しいアクションがいい」というときもありますが、魅せるアクションには準備や段取りが必要です。

これらの要素や、達磨一家の日向(林遣都)による「SWORDの祭は達磨通せやー」というセリフを考えていくうちに、この映画は「祭」なんだ、と思うようになりました。

◎男と女は、アイドルとファンの関係

以前、『ディストラクション・ベイビーズ』について書いたとき、松山市の三津浜で行われている祭のシーンについて言及しました。このシーンについてライターのヒナタカ氏は、シネマズ by 松竹の『柳楽優弥と菅田将暉が世界を挑発「ディストラクション・ベイビーズ」、地元出身者が豆知識を紹介!』という記事の中で、「けんか神輿が始まった理由には、農民と漁師の揉めごとが絶えなかったため、一年に一度だけ神輿をぶつけ合って豊穣を願う儀式をつくった、という説があります。いわばけんか神輿は、暴力を“社会的に許されているもの”に変換したものなのです」と指摘しています。

この指摘、まるで「SWORD地区」の面々と、「MIGHTY WARRIORS」「DOUBT」の抗争のようではありませんか!!! この抗争は、琥珀の目論見と関係していて、物語的には意味のあるものです。ただ、映画という社会的な枠組みの中で、LDHの面々や若手俳優たちが、安全性が確保され、ルールのある中で、体と体でぶつかり合う。これが、儀式でなくてなんなのでしょうか。

しかし、儀式となると、女性の立ち位置がどのように描かれるのかが気になるところです。高校野球は、本来は、他の協議と同じくスポーツの大会であるのに、こと甲子園とあると急に儀式的な要素が強まってしまい、女性マネージャーがグラウンドに入ったことや二万個のおにぎりを握ったことがニュースとなって物議をかもしました。

『HiGH&LOW THE MOVIE』では、喧嘩に女性が混じっていけないということはありません。「MIGHTY WARRIORS」のセイラ(大屋夏南)のように、身体能力に優れ、戦闘意欲のある女性は、戦いに加わることがなんの障壁もなくできます。かといって、セイラのように戦闘能力のある好戦的な女性ばかりとは限りません。そんな体力にも自信がないし、戦闘する意思のない女性たちには、おにぎりを作って帰りを待っているという選択肢も与えられていました。このケンカ祭りでは、女性たちが参加方法を自由に選択できるのです。私は、ピンクの特攻服を着た女性集団の「苺美瑠狂」(いちごみるくと読みます)のメンバーが、なんの心構えもトレーニングもなしに、抗争に無理やり飛び込む展開でなくて、心底安心しました。だって、彼女たちも「ケンカに加わるの、いやだなー」という空気を醸し出していたじゃないですか。

このおにぎりは、高校野球のマネージャーのおにぎりとどこか違うように思えます。なぜなら、「苺美瑠狂」の中の二人のメンバーは、橋の上から、アイドルのライブ会場に来たファンのように戦う男性たちを見ていました。つまり、「苺美瑠狂」は喧嘩三昧の集団を支える女性組織ではあるけれど、実は、戦う男たちのファンであり親衛隊、つまり私たち『HiGH&LOW』ファンと同じ部分もあると考えれば、あのおにぎりは、ファンからアイドルへの差し入れ、プレゼントともとれます。戦いにいく男たちを陰で支える女性といった、ジェンダー的なモヤモヤはその点においては個人的には薄まりました。

◎次の祭は10月8日から!

琥珀は、兄弟を傷つけてしまった責任は自分にあると感じて、自暴自棄になって暴れて殻に閉じこもってしまい、のちにまた兄弟(のような存在)の愛によって、目が覚めるという意味で、『アナと雪の女王』のエルサのように見えました。

この映画の最後には、「SWORD地区」の面々と、「MIGHTY WARRIORS」「DOUBT」の抗争は、琥珀が解き放たれ(まるでエルサのように)、正気に戻ったことによりあっけなく終結します。そして、朝もやの中、各々はすっきりしたいい顔で、家路に帰っていく。その姿を見ていると、社会的に許された中でルールに従って暴力性をぶつけあう「祭」の終わった後のように感じました。10月8日から始まる秋祭り(『HiGH&LOW THE RED RAIN』)がいまから楽しみです。
(西森路代)

『HiGH&LOW』は祭である ケンカに次ぐケンカに魅了され、ジェンダー的にももやもやしなかった理由

EXILEや三代目J Soul Brothersファンだけでなく、今まで彼らに興味のなかった層にまで届いているように見える映画『HiGH&LOW THE MOVIE』。2クールにわたってテレビで放送されていたドラマ『HiGH&LOW』(日本テレビ系)の続編です。

ホモソーシャルや男らしさについて考えてきた本連載にはうってつけの題材では! と思い、公開後かなり早くに見てきました。

本作は「山王連合会」「White Rascals」「鬼邪高校」「RUDE BOYS」「達磨一家」という5つのチームが緊張関係にあった「SWORD地区」が舞台になっています。物語は、RUDE BOYSの拠点である無名街で、突然大爆発が起こったことから始まります。爆発後、いまはなき最強のチーム「MUGEN」のリーダーであり、親友の龍也の死により、自暴自棄になって街から姿を消していた琥珀(AKIRA)が現れます。かつては「MUGEN」のメンバーとして共に過ごしてきたコブラ(岩田剛典)やヤマト(鈴木伸之)への琥珀の態度も豹変していまいました。そして、SWORD地区の支配を目論む海外組織「張城」や「MIGHTY WARRIORS」との関係を深めていたのです。実は、琥珀にはある思惑があり……というのが『HiGH&LOW THE MOVIE』のストーリーです。

◎『HiGH&LOW』は祭である

無名街で大爆発が起こり、RUDE BOYSのメンバーの“家族”たちが何人も亡くなったというセリフがあります。しかしこの映画では、ケンカや抗争ばかりが描かれているというのに、人の死を感じることがありません。もちろん、ドラマシリーズには亡くなった人もいるし、この作品でも琥珀の親友の龍也が亡くなったという回想エピソードは随所に出てくるのですが、この映画では、ケンカで人と殴り合った結果の死というものは描かれていないのです。

しかも、ケンカに次ぐケンカのシーンを見ても、あまり痛そうに見えない。ハマった人がリピーターになっていくのも、目を背けるような痛々しさがないというのが大きいのではないかと思います。

しかし、なぜ痛そうでないのか。それは、アクションが実に巧いということが関係あるでしょう。特に個人的には、リーダーのスモーキー(窪田正孝)率いるRUDE BOYSの乱闘シーンが顕著です。RUDE BOYSには、ピーという赤い髪の登場人物がいるのですが、ピーを演じるZENはアクロバティックな動きをするパルクールパフォーマーでもあります。彼が繰り広げるアクションの流れが非常にスムーズで、圧巻で、初めてみたときは「あの動きのすごい人は誰?」と衝撃を受けました。よく考えると、ZENに象徴される、ダンスのように美しいアクションが繰り広げられることで、ケンカのシーンを見ても、「痛い」というよりも「すごい」「きれい」「もう一回見たい……」となるのかもしれません。

その他のアクションシーンも、大人数が参加しているワンカットでの撮影は目を見張るものがあるのですが、「撮影現場での安全が確保された上でやっているんだろうな」という想像がなぜかできました。「暴力性を描くためには、生々しいアクションがいい」というときもありますが、魅せるアクションには準備や段取りが必要です。

これらの要素や、達磨一家の日向(林遣都)による「SWORDの祭は達磨通せやー」というセリフを考えていくうちに、この映画は「祭」なんだ、と思うようになりました。

◎男と女は、アイドルとファンの関係

以前、『ディストラクション・ベイビーズ』について書いたとき、松山市の三津浜で行われている祭のシーンについて言及しました。このシーンについてライターのヒナタカ氏は、シネマズ by 松竹の『柳楽優弥と菅田将暉が世界を挑発「ディストラクション・ベイビーズ」、地元出身者が豆知識を紹介!』という記事の中で、「けんか神輿が始まった理由には、農民と漁師の揉めごとが絶えなかったため、一年に一度だけ神輿をぶつけ合って豊穣を願う儀式をつくった、という説があります。いわばけんか神輿は、暴力を“社会的に許されているもの”に変換したものなのです」と指摘しています。

この指摘、まるで「SWORD地区」の面々と、「MIGHTY WARRIORS」「DOUBT」の抗争のようではありませんか!!! この抗争は、琥珀の目論見と関係していて、物語的には意味のあるものです。ただ、映画という社会的な枠組みの中で、LDHの面々や若手俳優たちが、安全性が確保され、ルールのある中で、体と体でぶつかり合う。これが、儀式でなくてなんなのでしょうか。

しかし、儀式となると、女性の立ち位置がどのように描かれるのかが気になるところです。高校野球は、本来は、他の協議と同じくスポーツの大会であるのに、こと甲子園とあると急に儀式的な要素が強まってしまい、女性マネージャーがグラウンドに入ったことや二万個のおにぎりを握ったことがニュースとなって物議をかもしました。

『HiGH&LOW THE MOVIE』では、喧嘩に女性が混じっていけないということはありません。「MIGHTY WARRIORS」のセイラ(大屋夏南)のように、身体能力に優れ、戦闘意欲のある女性は、戦いに加わることがなんの障壁もなくできます。かといって、セイラのように戦闘能力のある好戦的な女性ばかりとは限りません。そんな体力にも自信がないし、戦闘する意思のない女性たちには、おにぎりを作って帰りを待っているという選択肢も与えられていました。このケンカ祭りでは、女性たちが参加方法を自由に選択できるのです。私は、ピンクの特攻服を着た女性集団の「苺美瑠狂」(いちごみるくと読みます)のメンバーが、なんの心構えもトレーニングもなしに、抗争に無理やり飛び込む展開でなくて、心底安心しました。だって、彼女たちも「ケンカに加わるの、いやだなー」という空気を醸し出していたじゃないですか。

このおにぎりは、高校野球のマネージャーのおにぎりとどこか違うように思えます。なぜなら、「苺美瑠狂」の中の二人のメンバーは、橋の上から、アイドルのライブ会場に来たファンのように戦う男性たちを見ていました。つまり、「苺美瑠狂」は喧嘩三昧の集団を支える女性組織ではあるけれど、実は、戦う男たちのファンであり親衛隊、つまり私たち『HiGH&LOW』ファンと同じ部分もあると考えれば、あのおにぎりは、ファンからアイドルへの差し入れ、プレゼントともとれます。戦いにいく男たちを陰で支える女性といった、ジェンダー的なモヤモヤはその点においては個人的には薄まりました。

◎次の祭は10月8日から!

琥珀は、兄弟を傷つけてしまった責任は自分にあると感じて、自暴自棄になって暴れて殻に閉じこもってしまい、のちにまた兄弟(のような存在)の愛によって、目が覚めるという意味で、『アナと雪の女王』のエルサのように見えました。

この映画の最後には、「SWORD地区」の面々と、「MIGHTY WARRIORS」「DOUBT」の抗争は、琥珀が解き放たれ(まるでエルサのように)、正気に戻ったことによりあっけなく終結します。そして、朝もやの中、各々はすっきりしたいい顔で、家路に帰っていく。その姿を見ていると、社会的に許された中でルールに従って暴力性をぶつけあう「祭」の終わった後のように感じました。10月8日から始まる秋祭り(『HiGH&LOW THE RED RAIN』)がいまから楽しみです。
(西森路代)

二軍野球選手のカキタレを目指して奮闘した処女たちの話

 今でこそ男児×2の子育てと、仕事と、セックスレス解消の策に奔走している私ですが、若い頃は夢中で追いかけているものがありました。

「昔、野球の二軍選手のおっかけをやっていたよ」

 人にこれを言うと、必ず「なんで?」と言われます。「なんで二軍?」。

 高校3年の夏、私はテレビで父親が見ていた巨人戦を、ぼんやりと見つめていました。そこで、「この選手いま、捻挫した。私も今日、捻挫したぞ。これは運命かもしれない。っていうか、野球選手なのに可愛い顔をしている」と恋に落ちたのが、のちに“山本モナとの9,800円五反田ラブホ不倫”でお馴染みになるスーパールーキー・二岡智宏選手でした(当時まだ23歳)。

 翌日、高校の近所にあるコンビニで、さっそく彼の活躍が掲載された日刊スポーツに手を伸ばすと、向こう側からも伸びる手が……。1年生のときに同じクラスで、ヴィジュアル系好きかつマリスミゼルを知る唯一の友として仲良くなり、hideのお別れには一緒に学校を早退し築地本願寺まで駆けつけたりしたAも、私と同じ目的で日刊スポーツを買おうとしていたのです。

 同志を得た人間は、とたんに強くなるもの。以来、巨人が勝った翌日は放課後の教室でAと勝利に酔いしれ、ふたりでスポーツ新聞(報知、日刊、スポニチ、サンスポ)を手分けして買いました。ですが、生観戦のハードルは高いものでした。

 インターネットはまだ一般人にはそれほど近いものではなく、情報収集といえば雑誌が中心。そこでわかったのが、私たちの他にも野球選手をアイドル視している女性が世の中に多いということでした。『ベースボールマガジン』(ベースボールマガジン社)は硬派な記事が多いものの、“野球界のMyojo”こと『プロ野球ai』(日刊スポーツ出版社)は、とんでもなかった。

 口元に特徴がある現メジャーリーガー上原浩投手も、“イケメンスーパールーキー”として、同期の二岡選手と笑顔で肩を組む写真で表紙になったり、イケメン選手がカジュアルな私服姿でリラックスしていたり、仲の良い2選手が頬杖ついて芝生に横たわりBLを想起させたり、野球関係ないプライベート語りもアリ、読者投票による「恋人にしたいランキング」は鉄板企画でした(今調べてみたら、まだあるんですねこの雑誌。最新号は楽天のオコエ瑠衣、松井裕樹、則本昂大が三代目JSBのような配置でビッとキメています)。

 欲求をぱんぱんに膨らませ、ついに生観戦したのが、宮崎での春季キャンプの練習試合。普通に東京ドームで初生観戦すれば、もっと健全だったはずなんですが……。そこは沼地の三丁目でした。一軍のスター選手でさえツーショット撮り放題、握手し放題の無法地帯。あの清原和博でさえ、そこら辺をうろついているレベル(すごい怖くて近寄れなかったけど)。距離感が狂った私たちは、練習後は選手が泊まるホテル周辺を張り込み、コンビニに出向く選手を遠くから盗撮したものでした。

 一軍選手でさえそんなありさま。試しに行ってみた二軍練習場は、地元の草野球レベルの開放感で、もはや野放し! ただ、この時点ではまだ二軍に興味はありませんでした。二岡にぞっこんだったし。

 そして開幕。大学生になり、自由になった私たちは東京ドームに通ううちに私設応援団に参加するようになりました。そこで出会ったIとも仲良くなり、一軍だけでは飽きたらず、3人で二軍の球場に通うようにもなりました。

 巨人の二軍本拠地は、よみうりランドにほど近い場所にあります。都心から電車で1時間半、駅からちょっとした登山レベルの階段を上がると、二軍のグラウンドが広がります。さらに山に分け入ると、独身選手の寮もあります。

 行くまでは、「私たちくらいしか来ないんじゃないの?」なんて自嘲気味に笑っていましたがとんでもない! そこは、魑魅魍魎が跋扈する伏魔殿だったのです。

 まずいらっしゃるのが、野球BOY。巨人帽にユニフォームを着て、首からカメラをぶら下げ、手にはコンプリートしたであろうプロ野球選手カードがびっしり入った分厚いファイル。選手が無防備になる、球場から駐車場へ向かうところを狙い、選手ひとりひとりにプロ野球カードへのサインをねだりにいきます。なお、BOYと言っても少年ではなく、BOYのまま大人になったBOYを指します。

 そしてメイン層は、球場のフェンスに牽制するかのように一定の距離感を保ちつつ点在する、1人ないしは2人組の女性たち。ギャル風、地味風、お姉さん風、年生齢不詳……世代もジャンルも異なる女性たちが、フェンス越しにジトッと選手を見つめています。

 この女性たちは家が近いから観戦しにきた家族連れのように、ホームランを打ったら「わー!」と喜んだりしませんし、野球BOYのようにサインをねだりません。ただただ、頬杖をついて物憂げにグラウンドを見つめ、動くのは選手が近くを通るとき。しかもテンションがおかしい。「よっ。ど? チョーシは」なんて軽く手を上げ、上杉達也への南ちゃん的テンションといいますか、本当は超他人のくせに距離感の近さを演出して選手に近づき、ほがらかに会話しようと試みます。なんと選手も自然な笑顔で答えます。

 それを見た瞬間、私たちの方向性が定まりました。二軍なら、野球選手だけど付き合えるかもしれないのだ、と――。

 処女の考えることは、げに恐ろしきかな。まわりはヤベェ感じのおばさんも多いし、若くてまあブスではない私たちはイケるんじゃないか? と、本気でそう思っていたんです。私たちに鉄の掟ができました。

 ・写真を撮らないサインを貰わない。
 ・近くを通っても嬉しそうにしない。
 ・話しかけるときは野球の話はしない。

 いやもう、なんのこっちゃって話ですが、要はそれをやってしまったら“ファン”じゃないですか。私たちが目指していたのは“彼女”です。家族連れの人に「あの選手が好きなの? 一緒に写真撮ってあげるからカメラ貸しなよ」と好意を申し出られても、「いや、大丈夫ッス。そういうんじゃないんで」ときっぱりと断る始末。そういうんじゃないってなんだよ……。

 誕生日やクリスマスは、少ないバイト代でジッポやネクタイ(主にコムサデモード)を買い、球場帰りや寮から一瞬出てくるとき、または階段トレーニング中に渡しました。今思えばトレーニング中に渡すなんてすごい迷惑ですが、そんなことは念頭にありません。

 なかでも能力に長けた(と当時思っていた)Iの鉄板テクをご紹介しましょう。まず、球場から出て駐車場に向かう選手の横に、さりげなく並んで歩きます。そしてポカリとお茶を差し出し、「どっちがいい?」と一言。ポイントはタメ口なんだそう(敬語はファンだと思われるから)。選手が好きなほうを手に取り、「あついねー」なんて世間話をしてくれようものならチャンス! 「ミスチルの新譜、買った?」(事前に車中を覗き、ミスチルの新譜があるのを確認済み)と、野球に関係のない話題を振り、「買ったよ」となれば、「えー、貸してよー」とおねだり。その辺で、後ろから新たな刺客が近づいていますから、持ち時間終了。だけど成果はありました。ミスチルの新譜を貸してもらう約束が出来たんですから!(出来たのか?)

I「さっき、どうだった? 彼。緊張して全然顔見てなくて」

私「Iのこと好きでしょあの顔は。めっちゃニヤついてたよ。今日の夜あたり、電話かかってくるんじゃない!? てか、後ろにいたあのババア、Iに勝てると思ってるのかな。ださいワンピ着てさー」

I「有屋町はさ、もうちょっとがんばりなよ。あのやり方じゃ覚えてもらうだけで彼女にはなれないと思うよ」

私「そっかー。やっぱり、もっとお姉さんぽい格好して、Iみたいに会話しなくちゃだよね」

 覚えたてのアイシャドウとルージュをひいた私たちは、お互い、励ましたり陥れようとしていたのではなく、本気でそう言っていたんです。

 通いつめていると、横のつながりも出来てゆきます。なかでもよく話していたのが、いつもムームー(スーパー銭湯の館内着のような服)を着ていた年齢不詳のベテラン・K子さんです。K子さんはフェンス越しに、お気に入りの選手にいつも話しかけていました。

「ミノルー! 今日もあのパチンコ行くのお? 私もあとから行っていい?」

 ミノルは「ああ……」と返事。するとK子さんはこちらに向き直り、「よく一緒に打ってるの」と誇らしげにします。すごいなあ、自然体だなあ、一緒にパチンコする仲なのかあ、すごいなあ、とた感心する素振りを見せる一方で、同時に腑に落ちないところもありました。

『K子さん、いつもムームーだしヒゲもすね毛もボーボーで、肌も浅黒いし、40歳以上だって噂だし、本当は一方的な妄想なんじゃないだろうか』

 いやいや、そんなことを思ったらいけない、と葛藤している日々でそれは起こりました。ある日、K子さんが私たちに近づくと、嬉しそうに言いました。

「最近ミノル、冷たかったんだけど、やぁーっと電話くれたんだあ。ねえねえ、留守電聞いて?」

 K子さんの携帯を耳に当てると、「えーっと、電話されても困るんで」と一言、K子さんの弾む声とはギャップのある選手の冷たい声が流れました。反応に困った私は、「すごいですね」と言うほかありませんでした。

 ここで、ヤベェババアがいたもんだと一笑に付せません。なんたって、このままいったら私たちは同じ穴のムジナ。ヤバイヤバイ、どうにかしないと、早く二軍選手をモノにしないと……!! ですが時すでに遅し、K子現象はすぐそこまで迫っていたのです。

「最近やたらと非通知番号のワン切り電話がかかってくるんだ。これ、彼からのメッセージなんじゃないかと思うの。ほら、日付も時間も、試合後だったりオフの日だったりするでしょ? 私も彼の想いに応えないと! 私はここにいるよ、ちゃんと見てるよ、って!」

 Iがそんなことを言い出したのです! 1年以上の二軍通いで心身は蝕まれ、もうぼろぼろ……。雨の日も風の日も練習を見学し、雪の日は傘も差さずに寮の前に佇むなど、こんなに頑張っているのに、なぜ私たちは二軍選手と付き合えないのでしょうか。ううん、付き合えなくてもヤレるだけでもいいのに。すぐにヤラせてあげるのに!(処女ですが)

 そんなある日、大学で仲の良い(いつも『ノート、コピーさせて☆』と話しかけられたくらいの仲の良さ)赤文字系雑誌読者モデルのMが喋りかけてきました。

「有屋町ちゃんって野球好きなんだよね? あたしの友達、選手と付き合ってるみたいだよ」

 え!?!? 私たちがこれだけやっても、むしろやるほどに野球選手の彼女というポジションからは遠ざかっているような気もするのに、その子はどうやって付き合ったの!?

「Sって選手みたい。友達、日テレのコンパニオンやってて、食事会で知り合ったんだって」

 Sとは、何を隠そう、私の好きな選手の名でした。絶句しているとMは、「選手との合コン、セッティングしてあげよっか(笑)」と、実現させる気などサラサラない声色で言い捨て、去ってゆきました。

 昨今も、芸能人の熱愛報道に「お相手は一般人」と出ますが、そのほとんどが「キャバ嬢、コンパニオンなどのモデルやタレントの卵」だと、大人になった今なら認識できます。ですが当時の私たちにとって「一般人」は「私たち」のことだと思ったし、マジでイケると信じて疑いませんでした。

 以前、元東スポ記者で現人気AV女優の澁谷果歩さんに、「選手たちの夜のバットスイングを取材しまくった彼女が激白!『ちゃんとグローブ(コンドーム)もつけて☆』」といった内容のインタビューをしたことがあります。球場に取材に行ってはそのGカップで選手たちを虜にし、各球団に数人はセフレがおり、遠征先のホテルでは選手のおねだりに応えたり、と、魅力的な生活を送っていた彼女こそ、自他ともに認めるカキタレの鑑。いわく、「野球選手は性欲が強いわりに風俗は行きにくい環境だから、すぐヤレる」そうですが、その境地にたどり着くには私たちには容姿も色気も知恵も足りず、やり方も間違っていたんですね。

 こうして私は、カキタレにすらなれず、打率0.00のまま選手生活を終えたのでした。みなさんも、くれぐれもK子現象にだけはお気をつけて……。

強姦被害者を黙らせる日本 女性を抑圧する社会ほど、強姦事件の認知件数が少ないことを示すデータ

先週は貧困女子高生叩き、今週は強姦被害者叩きと、どうしようもない状況が続いています。彼女たちの容姿などに言及したプライバシーなどを侵害するような酷いものばかりですが、共通しているのはどちらも被害者・当事者が女性であるということです。これが男性だったら年齢や容姿などで、ここまでバッシングされることもなかったのではないでしょうか?

当事者・被害者をバッシングする風潮が強い中で、彼ら・彼女らが声をあげることは非常に難しいものです。特に、レイプ事件に関しては、警察や医療関係者、第三者によるセカンドレイプも問題となっています(「なぜレイプ被害者が何もかもを失ってまで犯人を追い詰めなくてはならないのか。『涙のあとは乾く』」)。今回の事件でも被害者非難、被害者のプライバシーを無視するようなマスコミやネット民のあまりの酷さにも注目が集まりつつあるようです。

セカンドレイプの問題については、既にネットに複数の記事が上がっているのでそちらを読んでいただくとして、今回は日本がいかに「声を上げづらい」状況にあるかについて考察していきたいと思います。これまでも少し触れたことがありますが、日本はレイプや性犯罪について声が上げづらい国です。またジェンダーの平等性に関しては、大きく他の先進国から引き離されており、女性をめぐる様々な問題が「そもそも問題だと認識されていない」状況ともいえます。

◎日本は強姦事件の認知件数が少ない

今回は、国連が出している犯罪統計(UNODC Statistics Online)とOECDのジェンダー平等指数に関するデータと経済指標を用いて、各国と比較して日本で「レイプが認知されているかどうか」について考えてみたいと思います。

使用したデータに含まれているのは国名(分析にはデータが揃っている33カ国を使用)、一人当たりGDP(2000年代の平均)、差別的家族法制度(男女の最低結婚年齢の違いなど)の有無、女性の身体に対する抑圧(場合によっては男性が女性に手を挙げるのも仕方ないと思っている女性の比率など)、息子を好む比率、男女不平等なリソース分配(男女で相続制度が違うなど)、男女不平等な政治・市民権状況(女性議員比率の問題など)、男女賃金格差、強姦件数(10万人あたり)、全性犯罪件数(10万人あたり)、強盗件数(10万人あたり)です。

これらの指標はOECDが男女不平等指数として提示しているもので、高いほど女性に対する差別度数が高いことになります。

日本の状況を見てみましょう。

かなり単純化している数値であり、先進国といっても本当に様々なので、細かく検討していく必要はあります。少なくともこの数値からいえることは、平均値と比べても日本の男女不平等の状況は決して楽観できるものではない、という点です。また「強姦罪件数」「性犯罪件数」「暴行罪件数」については、「認知件数」なので、被害者が報告をするか現行犯でなければ「認知」されないので、泣き寝入りしたケースは全くカウントされていません。したがって「件数」と書くと紛らわしいので、以後「認知件数」と呼ぶことにします。

強姦など性暴力被害者がほとんどの場合、声を上げることができていない状況については国内外で研究報告が多数あります。強姦を含め、性暴力のほとんどは知人によるものであることから、被害者は周囲との関係性などに考慮して声を上げることをためらいます。そして、性暴力は被害者が社会的スティグマ(被害者が差別や非難の対象になる)を負わされ、警察や弁護士に相談しても立件が難しいため、泣き寝入りが多いのです。日本ではまだ具体的な研究報告がなく実態がわかりませんが、アメリカThe National Crime Victimization Surveyに基づいた報告では、実際に起こったレイプを含む性犯罪事件のうち33.6%しか警察に報告されていないと推計しています。

このグラフで目を引くのが他の国と比較した場合の日本の強姦認知件数の比率を他の罪と比べた場合の低さです。各国の平均値をみると強姦認知件数:その他の性犯罪認知件数:暴行事件認知件数の比率は0.04:0.15:0.81ですが、日本ではこの比率が0.027:0.17:0.80となっています。一見すると小さな差ですが、そもそも他の犯罪に比べて認知件数が少ない強姦事件の比率が3割も低いというのは、注意する必要があります。強姦認知件数と性犯罪認知件数の総数は日本の値も平均値もほぼ同数なので、日本では強姦事件は強制わいせつなど、その他の性犯罪にカウントされている可能性もあります。

しかし、強姦や性犯罪(痴漢や強制わいせつなど)は本当にこんなに少ないのでしょうか? 私自身も含め、家族、友人、知人など周囲にはレイプや痴漢に遭ったという女性が本当にたくさんいますが、彼らのほとんどは警察には報告しませんでした。「こんなの大したことないし」「恥ずかしいし」「いっても無駄だし」「言うほどのことでもないし」と、何もせず忘れることを選んだからです。

レイプ・性犯罪被害の体感値と、公的発表の認知件数の「数値」がこんなにも乖離していることを考えると、やはり問題は日本のみならず世界中で、強姦の多くがそもそも全く報告されていないことだと考えざるをえません。

◎男女不平等な社会が、強姦の告発を妨げている

続いて、それぞれの指数を強姦認知件数とともに見ていきましょう。

まず一人当たりGDPと強姦認知件数を見てみます。一人当たりGDP が高い国の方が(グラフの右に行けば行くほど)、そうでない国よりも強姦認知件数が高そうです(グラフの上に位置する)。日本は平均より低いので、ごちゃごちゃと固まっている左側の中にいます。

強姦認知件数と家族制度の関連を見ていくと、女性に対して差別的な家族制度(夫婦同姓などもその一つ)がある国ほど強姦認知件数は少なくなっています。強姦に遭った娘に「犬に噛まれたと思って忘れなさい」と親が諭すのは日本のドラマなどでも出てくるシーンですが、ジェンダーについて保守的な社会では、娘の強姦は「娘の恥」「家族の恥」と捉えられる傾向があるので、この結果もそれと重なるものだと言えます。

次に、強姦認知件数と女性の身体に対する抑圧の度合いの関連を見ていきます。興味深いことに、女性の身体に対する抑圧の度合いが高い国ほど、強姦認知件数が少ないように見えます。この「女性の身体に対する抑圧の度合い」というのは、「男性に暴力を振るわれても仕方ない状況がある」と考えている女性の比率、ドメスティックバイオレンスや性暴力・性犯罪に対する法整備の状況などから算出されている数値で、日本は各国平均値より2倍近く高い状況になっています。

たとえば日本では夫・恋人によるレイプを警察が「強姦事件」として扱うことはまずないでしょう。しかし、アメリカやカナダなど、より女性の身体への抑圧度の低い国では、たとえ夫・恋人であっても本人の同意無く行われたセックスはレイプとされます。また、セックスを合法的に行える「性的同意年齢」も16歳から20歳程度と日本より高く、この年齢に達していない子どもと成人がセックスをした場合、たとえ同意のもとであっても、成人側はレイプの罪に問われます。日本ではこの「同意の上でセックスをしてレイプに問われる年齢」は13歳と非常に低く設定されており、国際的にも問題視されています。

男女不平等な政治・市民状況は女性議員比率、女性の政治参加のためのクオータ制の有無などから算出されています。強姦認知件数との関連性を見てみると、やはり右下の方にはこの数値が高く、女性に対してより抑圧的な国が固まっています。女性の政治参加が低い国ほど強姦事件の認知率が低いようです。

男女賃金格差との関係は、他のものと比べてずっと分散が大きく、強姦認知件数との関連性は見えません。

性犯罪認知件数との関係性では、性犯罪認知件数が多い国ほど強姦認知件数も多いことがはっきりと伺えます。統計的にも非常に高いレベルで有意でした。ただし、何度も言うように、これが実際の性犯罪・強姦罪の発生値というわけではなく、認知件数であるため「いかに声を出しやすいか」ということでもあります。たとえば、日本では電車で痴漢に会うことなど日常茶飯事ですが、わざわざ警察に報告することは稀です。それを報告する(報告することを許す)社会なのかそうでないのかということは、このデータを読む上で重要な問題です。

一方、暴行事件との関連性を見てみると、性犯罪認知件数ほどではありませんが、暴行事件認知件数が多い国ほど強姦罪認知件数も多いということが伺えます。日本は一番左下のグループの中にいます。国の治安状況によって、暴行事件、強姦事件、性犯罪の認知件数が左右されるのは当たり前のことでもあります。暴行事件の認知件数が少ない日本で、性犯罪や強姦事件の認知件数が少なくなるのもうなずけます。

ただし、ここには出していませんが、暴行事件と男女不平等な政治・市民状況の関連性を見てみたところ、統計的にも有意なレベルで、男女不平等な政治・市民権状況のポイントが高いほど、また一人当たりGDPが高いほど暴行事件の認知件数が増えることが確認できました。男女不平等な政治・市民状況のポイントが高い国は、トルコやロシアなど男女かかわらず政治・市民状況(民主主義・人権問題)について抑圧的である国が多い点にも注意が必要です。男女不平等な政治・市民権状況のポイントが高いこと、政府がより強権的であること、一人当たりGDPが低いことは、暴行事件の認知件数を押し上げる一方、強姦事件の認知件数を押し下げているかもしれない点についてはさらなる考察が必要でしょう。いま現在の日本が当てはまらなくとも、今後この傾向に追随していく可能性も否定はできません。

◎被害者が声を上げられる社会を

今回の分析は細かいことを考慮せず、全てを単純化して分析したものなので、これだけでは何も断定することはできません。しかし、単純化してデータを比較するだけでも「強姦事件認知件数を押し下げている原因=強姦事件の被害者が声を上げにくい状況」について、ある程度の仮説を立てることができました。

強姦・レイプの主なターゲットは女性です。彼女たちの肉体のみならず、「レイプされる側が悪い」「レイプを訴えることは恥」「訴えても警察が何もしない」などといった社会的抑圧や被害者自身が「大したことない。忘れたい」と考えなければならない状況は、彼女たちの人格・人生までも破壊するものです。レイプ・強姦を撲滅するには、まずは被害者が声を上げられる環境を、政府や社会が中心になって作っていくしかないのではないでしょうか?

参考文献
小西聖子(1996).日本の大学生における性被害の調査,日本=性研究会議会報,8 (2): 28-47.
小西吉呂,名嘉幸一,和氣則江,石津宏和(2000).大学生の性被害に関する調査報告―警察への通報および求められる援助の分析を中心に―,こころの健康,15(2);62-71.
笹川真紀子,小西聖子,安藤久美子ほか(1998).日本の成人女性における性的被害調査,犯罪学雑誌,64:202-212.
Jones, Jeffrey S, Alexander, Carmen, Wynn, Barbara N, Rossman, Linda, Dunnuck, Chris(2009).Why Women Don’t Report Sexual Assault to the Police: The Influence of Psychosocial Variables and Traumatic Injury, The Journal of Emergency Medicine, 36(4), 417-424
Baumer, Eric.(2004). Temporal variation in the likelihood of police notification by victims of rapes, 1973–2000, Washington, DC: National Institute of Justice.
Truman, JenniferL, Langton, Lynn, BJS Statisticians (2015). Criminal Victimization, 2014, U.S. Department of Justice, Office of Justice Programs, Bureau of Justice Statistics. http://www.bjs.gov/content/pub/pdf/cv14.pdf

分析に用いたすべてのデータはOECD.StatおよびUnited Nations Office On Drugs and Crime (UNODC) Statistics Onlineより取得しました。

「休み時間は無心で髪の毛を抜いてました」抜毛症だったナタさん【私が薄毛女子です】

 20代にして、自らのハゲと向き合うことを決意したやまもとありさ先生。増毛を目指し、地道な努力を継続するかたわら、専門クリニックでカウンセリングを受けたり、育毛剤をせっせと塗布したりの毛活に勤しむ夏を送られたそうです。今回は、身近な薄毛女子(スゲジョ)の体験談に耳を傾けました!

※漫画はmessyにてお楽しみください。

■やまもとありさ/2013年商業誌デビュー。2014年連載中止。2015年連載中止。漫画「あいこのまーちゃん」発売中&マンガonウェブ連載中

「ダメよ~、ダメダメ」から2年半、日本エレキテル連合が目指す王道ではない道

 2014年の初めに流星のごとくあらわれ、お茶の間の人気者となった日本エレキテル連合。ブレイクのきっかけとなった「ダメよ~、ダメダメ」は、「新語・流行語大賞」の年間大賞を獲得している。あれからおよそ2年半、意外な形で再び日本エレキテル連合が注目された。きっかけは中野聡子さんが連載している東京新聞でのコラムの「最後に残るもの」という記事。「あのブームは神様がくれた奇跡みたいなもので、しかもそれを自ら放棄したのだから仕方のないことなのです」と記されているコラムには、いまだ自分たちの可能性を信じてくれているマネージャーへの感謝がつづられており、SNS上で共感の声が多数寄せられていた。
 
 実は、いまでもコンスタントに開かれている日本エレキテル連合の単独ライブには、多くのお客さんで賑わっている。なぜ神様がくれた奇跡を、「自ら放棄した」のか。そしていま何を目指してライブを続けているのか。日本エレキテル連合の中野聡子さんと橋本小雪さんにお話を伺った。(聞き手/西森路代)

◎急上昇から急降下して、いまはマイナス

――実は2014年の1月日本エレキテル連合さんが大ブレイクする直前にサイゾー本誌でインタビューしたことがあります。それから怒涛の二年半余りを過ごしたんじゃないかと思うんですが。

中野:忙しすぎてよく覚えてないんですよ。

――朱美ちゃんは、ブレイクするようなネタじゃなかったと思っていると聞きました。

中野:そうなんです。いまだに自分で分析しても、なんで世間で受けたのかわからなくて。あの頃、お正月にいくつかのネタ番組に出たんですけど、いろんなことができるのを見せたくて毎回全部違うネタで出てみたら、朱美ちゃんのインパクトがすごくて、他のキャラが全部朱美ちゃんに負けちゃったんです。

――朱美ちゃん以外のネタで受けていたら、じわじわと人気が出て、今とはまたちょっと違うことになってたかもしれないですよね。忙しい時期を超えて、今はどういう状態なんですか?

中野:今はボコボコにされてる感じです。ゼロのところから急に忙しくなって、もう一回ゼロ……どころかマイナスになっちゃって。

橋本:知らない人から厳しい言葉をかけられたり。

――それはどんな……?

橋本:キャンペーンで参加したイベントとかラジオ番組とかで……。

中野:一発屋としていじられたり。でも、チヤホヤされていたときは誰も何も言ってくれなかったから、人の痛みはわかるようになりましたね。

◎ずっと舞台がやりたいと思っていた

――少し前に中野さんが連載している東京新聞でのコラム「最後に残るもの」が話題になっていました。「あのブームは神様がくれた奇跡みたいなもので、しかもそれを自ら放棄したのだから仕方のないことなのです」と書かれていた点が印象的で。

中野:チャンスをいただいて、挑戦させてもらったし、それで間口が広がったんですけど、すごく忙しくなった分、やりたいこと、舞台に力を注げなくなってしまったんです。

――「舞台をやりたい」という話はは、2014年にインタビューさせてもらったときにも言われてたので、ぜんぜん変わっていないなと思いました。トークが苦手とも言われてましたね。

橋本:いまだにうまく話せなくて……。

中野:テレビには怪物がいっぱいいるから。

――もともと、別のキャラクターになりきってコントをされているので、素にならないといけないトークは苦手、というのもありそうですよね。

中野:だから、トークのときにも、鼻毛の一本でも描いても問題ないならまだいいのに、と思ったこともありました。

――でも、単独ライブでは、自然に自分たちのことを話してる場面もありますよね。舞台だと素で話せるんですか?

橋本:いえ、舞台でのトークも、そういうキャラになりきって話しているんです。

中野:OLのキャラが話してるようなコントなんで、あそこではフリートーク的なこともやってます。でも、フリートークの構成が本当にできないんですよ。

橋本:ただ長かったりして、文章にまとめたら一行しかないような……。

――普段の友達とも会話ってそういうものだし、個人的には、そういう会話の面白さもあると思うんです。けど、やっぱり芸人さんの場合は、フリートークでも“起承転結”の結に向かって、いろんなものを配置しながらやらないといけないという圧があるんでしょうね。

中野:臨場感があって、最後にドカーン! みたいなことをやるのが恥ずかしいし難しくて……。

――すごくわかります。テレビのフリートークだってよく考えたら、その場で即興で話しているのではなくて、事前に準備してるんでしょうね。コントを作るときはどんな感じなんですか?

中野:オチから作るのではなくて、好きな場面から作っていくんです。罵りあってるシーンがやりたいなと思ったら、最初にそのセリフを作って、そこから前後を考えます。

◎変な人は中野さんのほう?

――日本エレキテル連合さんのコントを見ていると、変わった人に対する独特の目線がありますよね。

中野:そうかもしれないです。普段、町中にいる変わった人に注目してしまうんですね。その人たちは、その人なりのルールを持ってるんだろうけど、世の中のルールにはそぐわないから変わった人だと思われている。そういう人を掘り下げるのが好きで。

――そこにはいろんな感情が混じってそうですね。

中野:「変な人だな」って好奇心の目で見てはいるけど、理解したいとも思ってて。なんでみんなと違う行動をするんだろう? って。だから愛をもって、その人たちが主役になるようにというのは心がけてますね。

――お二人にも、そういう人に対してのシンパシーがありそうな。

橋本:中野のほうがありますね。中野は家がすごく汚いんです。布団のまわりがスナックの袋でいっぱいで、片付けようとしたら「やめてくれ、これがいいんだー」って怒られたり。生活が全部、布団の上で済まされてるんです。怖い……。

中野:片付けてもらうのは嫌じゃないんですけど、あのときは音がガサガサうるさかったんで。もう排泄以外は全部布団で済ませたいです。

――他人ごとみたいな顔して聞いてましたが、けっこうその気持ちわかります(笑)。

橋本:ゼロか10かみたいな感じで、掃除をしはじめたら、とことんやったりもするんですよね。

――最近は橋本さんが、二人一緒に住んでいた家を出たと聞きましたが。

橋本:「出ていく」という言い方はあれなんですけど(笑)。今は別々に住んでいます。

中野:数時間で荷物がなくなってたんですよ。私が病院に行った三時間くらいで、家財道具が全くなくなっていて。酷いなって。

橋本:タイミングがあうのがそのときしかなかったんです。

中野:計画的じゃないとできないですよね。

橋本:今でも近くには住んでいるんですよ。呼ばれたら掃除しに行ったり、料理しにいったり(笑)。打ち合わせとか練習とかもあるので近くのほうが便利なんです。

◎コントのキャラは自分じゃないから恥ずかしくない

――数年前は勝手に家から出るなんてできない関係性に見えました。中野さんがいないと橋本さんは何も出来ないというか……。

中野:橋本に自我が芽生えてしまったんですよ。

――以前から橋本さんの自我のなさについては語られてましたね。単独ライブを見させてもらったら、橋本さんの演技力、キャラになりきる力がすごくて驚いたんですけど、それも自我がないから、なんですか?

中野:だと思います。本当に自己というものが何もないんで……(笑)。

――それ本当なんですか?(笑) 橋本さんがただ我慢しているのではない?

橋本:そもそも自我はあったんですけど、中野さんにいろいろ教えてもらってるうちになくなったんです。

中野:2年くらいかけて白いキャンバスのようにしていったんです(笑)。今や男の人でも女の子にでも、いろんなものになれるようになって。そこは橋本さんに勝てないですね。橋本さんが褒められると嬉しいんですよね、自分の作品というか。

――他の人が相方だとダメだったでしょうね。

中野:こんなに自我を抜かしてくれる人はいないから、橋本さんを相方に選んだのは間違ってなかったんだって思ってます(笑)。

――橋本さんはその一方で、女子っぽい人になりたいっていう願望もあるんですよね。

橋本:常にありますね。

――その女の子でいたいことと、コントでとんでもないキャラになりきることの間には、矛盾はないんですか?

橋本:そこに恥ずかしさは一個もないですね。

中野:そこは橋本さんのすごいところです。普段は、普通の女の子もやってるんですよ、吉祥寺で新しく出来たカフェ行ったり。私なんか、細貝さんを久しぶりにやったとき、「恥ずかしいな、なんでこんなことしないといけないんだろう」ってメイクしながら思ってたのに……。

橋本:自分で考えたのに!

中野:なのに、この子は平気で……。

橋本:自分が演じるキャラは自分ではないから、きっちり分けられるんです

中野:こっちのほうがホントは変なんです。

橋本:普通です!

中野:そういうの見ると、私のほうがなりきることには向いてないと思います。

橋本:自分で考えたことには自信がないけど、相方が考えてくれたことだと思うと自信が持てるんです。私が言うのもなんですけど、中野さんが考えるネタは面白いので。だからプレッシャーもないし、キャラになりきるのも恥ずかしくないし、お客さんの反応で気持ちが揺らぐこともない。やってきたことをやるだけです。

――なんかすがすがしいですね……。

中野:私なんて、客席の受けが悪いと、早く終わらせたくなって巻いてしまうんですけど、橋本さんはそんなこと全然ないんですね。すべってもネタを考えたの私だから、自分のせいじゃないって思ってるのかもしれないけど(笑)。

橋本:でも、私生活では普通の女の子に近づけるように、カフェとかに行きたいですよね。

◎ゴールを目指さずに好きなことをやる

――さっきもちょっとお話しましたが、東京新聞のコラムはすごい反響でしたよね。あのテーマはどういうところから思いついたんですか?

中野:私たちのことなんて誰も知らないところから始まって、突然みんなが持ちあげてくれる状態になって、それから落ちて、罵詈雑言が飛び交うようになった。そんな私たちを、変わらずに支えてくれたスタッフさんたちってありがたいな、ということで書いたんです。

――ネットの反応を見てどうでしたか?

中野:反響はうれしかったけど、あんまり目立ちたくないなって。あの記事は、決して良い話ではなく、態度が変わってしまった人に対してチクショー! という気持ちも込めていたので、それがバレたらやべーなと(笑)。

――でも、そういう気持ちが中野さんにあるのもわかった上での反響だとは思うので大丈夫じゃないですかね。

中野:そうだとうれしいんですけどね。

――舞台の仕事をやりたいということでしたが、これからやりたいことは他にありますか?

中野:自分たちで手放したものがある中で、どうやっていくか、策を練るのが楽しい時期でもあるです。一回マイナスまで落ちたところから、色眼鏡なしで新しいお客さんが来てくれるようにするにはどうしようとか考えて。

――そのためにどんなことをしてるんですか?

中野:新しいイベントを立ち上げています。街中で、流行語大賞の盾や、朱美ちゃんの衣装を飾るイベントをしたりして。

橋本:それも、毎日展示するものを変えるので、一日が終わったら、夜中に別の衣装を飾ったり、イベント中は接客したり。

中野:学芸員みたいに(笑)。

橋本:ファンの交流の場みたいにもなってましたね。

中野:朱美ちゃんの衣装を見て、ブティックだと思ってっ入ってくれたマダムもいたり。「新しいお店でもできたの?」って(笑)。

――ファンの方は変わらないですか?

中野:変わらないですね。

■大阪公演

【日時】
9月1日(木)18:00開場 / 19:00開演
9月2日(金)18:00開場 / 19:00開演
9月3日(土)12:00開場 / 13:00開演
9月3日(土)16:30開場 / 17:30開演
9月4日(日)12:00開場 / 13:00開演

【会場】
ABCホール(大阪府大阪市福島区福島1-1-30)

※チケット入手方法など詳細は日本エレキテル連合公式サイトにて!
http://www.titan-net.co.jp/live/elekitel_live.php


橋本:地方まで、Tシャツ着て応援に来てくれる人もいるんです。

中野:でも、注目されていたころに比べれば、ライブの集客とか変わったところもあります。だからこそ新しく知ってくれる人を増やそうと。

――単独ライブを見たとき、お客さんたくさんいるなあと思っていたんですけど、そうなんですね。ネタを書く気持ちに変わりはないですか?

中野:オーディションに受かるためのネタは書かなくなりました。今は無法地帯というか、とにかく好きなことを自由にやらせてもらっているのですごく楽しいですね。できることを精いっぱいやって、成功したいなと。以前は、テレビで冠番組を持って、コンテストで優勝してっていう、漠然としたゴールを考えてたんですけど、それをうまく出来なかったので、今はゴールを考えずに、目の前のことをやっていこうよと思っています。好きな舞台を作ったり。

――そうですね。俳優さんでも、舞台を中心にやってる人とかバイプレイヤーとか、いろんな道があるのに、芸人さんだけ王道を目指さないといけないのは、昔からなんか変だなと思ってました。

中野:成功して、冠番組を持つのとは違う道もあるんだよって示せたらいいですね。これからも、特異な舞台を作ったり、演出も勉強したりして、コントにいろんなキャラを出していきたいです。

◎日本エレキテル連合単独公演「電氣ノ杜~掛けまくも畏き電荷の大前~」

■大阪公演

【日時】
9月1日(木)18:00開場 / 19:00開演
9月2日(金)18:00開場 / 19:00開演
9月3日(土)12:00開場 / 13:00開演
9月3日(土)16:30開場 / 17:30開演
9月4日(日)12:00開場 / 13:00開演

【会場】
ABCホール(大阪府大阪市福島区福島1-1-30)

※チケット入手方法など詳細は日本エレキテル連合公式サイトにて!
http://www.titan-net.co.jp/live/elekitel_live.php

■ 西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクショ ン、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、 TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。
twitter:@mijiyooon