
元祖フリーアイドルで声優のルンルンこと宍戸留美さんがカメラマンとしてかわいい声優さんたちの写真を撮り、さらにアイドルライターの私(小明)がインタビューする不思議な連載の42回目! 今回は『おジャ魔女どれみ』の春風ぽっぷ役、『魔法先生ネギま!』の早乙女ハルナ役でお馴染み、声優の石毛佐和さんが来てくれました!
――はじめまして! 石毛さんは現在はフリーランスですが、1998年に劇団若草からデビューされたんですよね。もともとは演劇の方だったんでしょうか。
石毛 実はその前にもう一つございまして、少しだけサンミュージックにいたんですよ。
――超いい事務所じゃないですか!
石毛 高校生の時、「月刊デ☆ビュー」に、無料で養成してくれる特別オーディションが載ってたんです。それに応募して、サンミュージックの声優志望第1期生に受かったんです。
――順調なスタート! じゃあ、石毛さんは高校生の時にはもう声優志望だったんですね。
石毛 というか、私、小さい時から“声”でしか褒められたことがなかったんですよ。教科書の音読とか、放課後に流れる「お家へ帰りましょう」っていうアナウンスとか、発表会の司会とか……。それから少しずつ声のお仕事に興味を持つようになったんですけど、「月刊デ☆ビュー」を見たら、もう深く考えずに応募しちゃってた(笑)。
――なるほど~。でも、サンミュージックはすぐに辞めちゃったんですよね。何かあったんですか?
石毛 なんて言ったらいいんでしょう……想像以上に弱肉強食社会だったんですよ。今考えると、この業界では当たり前のレベルなんですが、初めてのことに戸惑いが大きかったのかもしれません。
――弱肉の方だったんですね。
石毛 はい(笑)。私は今でも「みんなで仲良くすれば良いじゃない」って考え方なんですど、辞めたあと、次は心穏やかにお芝居の道を歩める場所を探したくて、いろいろと観に行ったんです。その中で、児童劇団の劇団若草は、子どもたちもみんな楽しそうにお芝居をしているし、先生方も「一番大切なのは“心”だよ」みたいな教え方なんですよ。「あ、ここがいいな」ってオーディションを受けたんです。
――でも、『おジャ魔女どれみ』に出演するのはその翌年ですよね。
石毛 そうです。だから、私は養成所経験がないまま声優のお仕事を始めたんです。それで後から苦労するんですけどね(笑)。
――劇団にいて、声優の仕事はどういう流れで決まったんですか?
石毛 若草に入って半年くらいでオーディションの話をいただきました。『おジャ魔女』って、たぶん何回かオーディションしてるんですよ。私が呼ばれたのは、2回目か3回目のオーディションかな。
――1回目で適役が見つからなかったのかな。でも、そういう事情は声優さん側にも伝わるものなんですか?
石毛 いやいや、普通はオーディションの詳細は受ける本人には知らされないですよ。書類に「こういう人を出してください」っていうことが書いてあって、そこから事務所が人選するから。でも、若草は緩かったのか、「お前こんなん来たけど受ける?」って書類まで貰えてしまって。読んでみたら、うろ覚えなのでざっくりですが、「今回は正当派じゃなく、この役柄に合っていない子、普段主役を受ける機会があまりなくて事務所の隅で泣いている子、とにかくイメージと違うかな?って思う子を出してください」って書いてあったんですよ。
――(爆笑)!! 石毛さん、事務所の隅で泣いてたんですか!?
石毛 泣いてない(笑)! 下駄箱で靴はいてる途中で渡されたから、本当にたまたま目に止まっただけだと思います。私がそこにいなかったら、事務所の人も、もう少し考えて人選したんじゃないかな(笑)。
――良い感じに導かれてますね! 主人公に向かない子をよこせって言われてるから、若干癪ですが!
石毛 いやいや! そのときはすごくうれしかったですねぇ、声のお仕事も初めてだったので。
――初めてやってみた声優の仕事はどうでしたか?
石毛 何もかもわからないことだらけだったので、『おジャ魔女どれみ』の現場だったから本当に良かったものの……って感じですよ。あの現場は、ある意味、異種格闘技戦だったんで。
――何それ!
石毛 お笑いタレントさんがいたり、宝塚出身の方がいたり、特撮ヒーローがいたり、モデル、歌手、アイドル、そしてなんにも養成を受けてない劇団員(石毛佐和)もいるわけですよ。それぞれ経験ゼロの人が多かったので、一緒に学んでいけたんです。もしこれが一般的な現場だったら、何もかも追いつけなかったと思う。最初が『おジャ魔女』でよかったなぁ……(しみじみ)。

――ちなみに、養成所に通わなかったことで、養成所出身の人との違いを感じることはありますか?
石毛 養成所を出たかどうかはあまり関係ないかもしれないですけど……私、自己プロデュース能力がまるでないんですよね。
――……ん? どういうことですか?
石毛 養成所ってたくさん候補がいるなかで自分をアピールして選ばれなければならないし、その過程で「自分をこう見せたい」「こうありたい」って感情が芽生えやすい環境ではないかと、想像しています。私には、そういうのがまるでない。自己プロデュース能力がゼロなんですよ。それに、ごく最近気付いちゃって。
――ちなみに、今芸歴は……?
石毛 えーと、16年目?
――逆にすごいことですね。フリーランスって自己プロデュースが命みたいなところもあるのに!
石毛 16年目でついに気付いちゃったんですよねぇ。身近に宍戸留美さんみたいな、自己プロデュースの塊のお手本もいたのに、まったく気付かなかった。ただただ無我夢中に、お芝居とだけ向き合い続けてしまったのかも。あと、私、もともと自分に関心がなさ過ぎるんですよ。この年齢で、まだマスカラも買ったことないし、そもそもメイクすら滅多にしないし、この服も3年前の……。
――そういえば、今日もすっぴんでいらしてましたね。
石毛 そうそう。前、何かのオーディションの時に宍戸さんと一緒になって、「佐和ちゃんノーメイクで来たの? かっこいい」って言われて、そのときハッとしたんですよね。普通は少しでも良く見られるために綺麗にしてくるよなぁって。なんか意識が低いんですよねぇ、私。
――じゃあ、もちろんネイルアートとかは?
石毛 ないです(キッパリ)。自分でネイル塗ったことない。あ、プロの方にお願いしたことはあります!でもたぶん2回だけ……。
――すね毛とか腕毛は剃ってますか?
石毛 剃らないです(さっぱり)。生まれながらの状態です。
――うそ!? あ、でもなんか……生えてない! なんで!? つるつる!!
石毛 自分に投資するとか、時間をかけるとか、ああしたいこうしたいっていう気持ちが、まったくないんですよ。今まで、価値基準の真ん中にあるものが“自分が喜ぶこと”じゃなくて“誰かが喜ぶこと”だったので。
――何それ! 聖女なの!?
石毛 それはそれで良かったんですよ。悩みもないし、自分のことで深く考えることもなかった。でも、「あまりに自分をおろそかにしすぎたな」と思って……。最近は「私はどうしたいの?」って、意識的に考えるようにしています。だから、これからはもう少し「アレがやりたいコレがやりたい」「こういう髪型にしたい」っていうのを出していくから、楽しくなる気がしますよ。20代をやり直す感じです。マスカラも買う(笑)。
――20代っていうか、中学生くらいのような気が……! ちなみに、悩みがなかったってことは、今までに進路で悩んだりはしなかったんですか?
石毛 まったく悩まなかった(キッパリ)。あ、ひとつ悩んだことと言えば、大学を中退するときかなぁ。芸術学部で絵を描いていたんですけど、このお仕事で食べて行けると思っちゃったんですよね(笑)。
――サンミュージックだったら私も思っちゃいます……。
石毛 後悔しているので、もしかしたらまた通い直すかもしれないですね。これからは自分からわき上がる欲求を拾って行きたい!
――どんどんやっていきましょう! ところで、石毛さんは何度も事務所に入ったり辞めたりを繰り返してますよね。それはどうしてですか?
石毛 たぶん、私にとっては“事務所”より“人”が大事なんですよ。情が湧くっていうか。だから、マネジャーが辞めた時について行くとか、この人と出逢えたからここに行くってことが多いですね。
――あんまり利益を目標としてないんですね。フリーでの活動と事務所での活動はどっちがやりやすいですか?
石毛 どっちでも不自由は感じてないんですけど、いかんせん自己プロデュース能力がないので……。
――自己プロデュース能力がないと、自己アピールするのも難しいから、売り込みとかができなそうです。
石毛 そうなんですよねぇ。だから本当はフリーは向いてないんだろうなぁ(笑)。
――事務所にいた方がプロデュースしてもらえるから楽なのでは?
石毛 どうでしょう? 一概には言えませんが、声優事務所ってそこまで「君をああしよう、こうしよう」ってしてくれるケースって稀じゃないかなぁと。むしろ、自分でデモテープを作って、マネジャーに「こういうのが出来ます!」「これをやらせてください!」ってご提案する場合も多いし。……でも、私は「絶対にここに行きたい!」っていう目標もないんですよね。私と周りの人が快適に過ごせることが目標なんです。それでオッケーなんです。

――無欲ですねぇ! 石毛さん、アピールどころか平気で何カ月もブログ放置しますもんね……。
石毛 あはは! 自分から発信することにぜんぜん興味がないんですよ(笑)! 発信したいことがないし、「私を見て!」ってところがないので(笑)。更新を待っていてくださる皆さまには本当に申し訳ないのですが…。
――珍しいですよね、芸能界って「私を見て! さぁ愛して!」って、自己顕示欲が強い人が多いのに!
石毛 そうなんですよねぇ。だからもし声優養成所の先生のご依頼を受けても、そういった面については何にもお伝えすることが出来ないと思う。
――ちなみに、今は、声優の仕事が落ち着いているときは何をされているんですか?
石毛 あ、実はちょっと前からアパレルの仕事をしてるんですよ。自分がやりたいことを考えたときに、「他のお仕事もしたい」っていうのがあって。でも、2日くらいしか出勤してない月もあるから、やってるって言えるのかわからないですけど(笑)。
――幽霊店員ですね。でも楽しそう!
石毛 はい! 私、今までずっと芸能界しか知らなかったんです。だから、一般の女の子と接することがすごく刺激になっていて。大学生も多いので就職活動のことや、どんなことで悩んで、どんなふうに日々をすごしているのか…とか、何気ない日常のお話を聞くのがとても新鮮で、良い経験になってます。
――良いですね! 芸能のお仕事では、定期的にライブ活動もされてますよね。先日はライブでアイドルの曲も歌われたそうですが、どんな曲を? AKB? ハロプロ? それとも昔の?
石毛 ギンギン♂ガールズっていうセクシーアイドルのユニットの曲なんですけど……。
――ん? 誰です?
石毛 ギンギン♂ガールズ(注釈:アダルト放送局「ぬきMIX」から誕生したアイドルユニットで、メンバーはギンギン♂シルバーの美泉咲と、ギンギン♂ゴールドの真木今日子)アツいですよ!
――ギンギン♂ガールズ!?
石毛 とても仲良くさせていただいている友人の吉永あずきさんがプロデュースしていて、尚且つ私の自主制作CDの楽曲をたくさん作ってくださっている松本タカヒロさんが作曲と編曲を担当されていているんです!本当に良いんですよ~!! イベントにもお邪魔させていただいてるんですけど、おもしろいんですよ~!!
――ちょっと待って、今までないがしろにされていた石毛さんの欲望が暴走してる! 危なくないんですか!?
石毛 大丈夫! みんな紳士なんですよ! 良い方ばかり! ギンギン♂ガールズのライブには女性も来たりしますしね! 皆さん、是非検索してください! ギンギン♂ガールズ! ギンギン♂ガールズですよ! あ、ちょっとコレにギンギン♂ガールズも出してくださいよ、私の一押しアイドルとして、ちょっと、ねぇ、出してほしいです、ギンギン……。
――自分のことは全部サラッと話すのにギンギン♂ガールズの売り込みには俄然がっつきますね! えっと、ブログを見ると石毛さんは普段から色んなジャンルのライブに行かれてますし、いっそご自分で何かをプロデュースしてみようと思ったことは?
石毛 漠然と「こういうのがやりたいなぁ」とは考えてますね。まだ開拓されていない、あのジャンルの男性ユニットとか。やっていないけど、誰かが必要としてることを見つけたいんです。
――超切望!! この石毛さんの謎の暴走は応援せざるを得ません!! では、とりあえず今後やりたいことは、えーと、大学とアパレル店員と、プロデューサーですかね。あれ? これ声優業とあんまり関係ないですけど大丈夫ですか?
石毛 楽しいなぁと思うことはなんでも良いんですよ~! 自己プロデュースも、宍戸さんをお手本にして頑張ります!
――楽しみです! 何か告知するものはありますか?
石毛 あ! ギンギン♂ガールズが定期公演をしているので、それをですね、是非皆さん、良い曲が揃ってますのでね、ギンギン♂ガールズの方をね、えーと、ギンギンちゃんをお願いいたします。実は今日CDいっぱい持ってきてるんで、よろしくお願いします、ホントに。えーと、コレとコレ、良かったらどうぞ、はい。
――えっ自分のCDじゃなくギンギンの!? きょ、今日はどうもありがとうございました!
(取材・文=小明/撮影=宍戸留美)
(※インタビュー後、ギンギン♂ガールズとマシュマロ3d+を流しながらノリノリの撮影となりました。)

●いしげ・さわ
声優。東日本大震災チャリティー企画「Continue」のイベント等でオリジナルCDやグッズを販売中。
http://continue.ishigesawa.com/
●ししど・るみ
1973年、福岡県生まれ。1990年にアイドルデビュー、18歳でフリーアイドルになり現在まで様々な分野で活動中! フランス、ドイツ等でもライブを行い音楽活動で高い評価を得ている。
ルミネッセンス
形態:8曲入り
定価:¥2,500(税込)
品番:SNDL-0003/JAN:4514306011869
レーベル:sundaliru

詳細は下記リンクまで。
公式ブログ http://s.ameblo.jp/sundaliru/
最新情報
「東京幻想曲集」とカメラマン増田賢一氏と25年分の宍戸留美を撮りためた「東京幻想写真集」発売中!!
10/14(金)19時~
「東京幻想曲集発売記念ライブ~仙台編~」
場所:Cafe de Lucille(仙台)
前売り¥3,000/当日3,500(1D別)
10/15(土)ヴィレッジヴァンガード仙台ロフト店 15時~ サイン会&撮影会
・キャンバスアート「フルムーン幻想夜曲」馬越嘉彦/宍戸留美(3,240円)発売中
11/5(土)14時~ 世田谷区民会館
司会をします。
出演:松崎ナオ、浜崎貴司、白井貴子、三宅伸治
11/26(土)難波周辺CDショップインストアイベント 詳細近日発表
【RunJun情報】
◼︎11/27(日)南堀江ビレボア 12時〜
ゲスト:中川雅子 前売 4,000円(1D別)
予約: http://idolshot.com/tk/20161127.html
●あかり
1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。『卑屈の国の格言録』(サイゾー)、『アイドル墜落日記 増量版』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/>シングル「君が笑う、それが僕のしあわせ」発売中<http://www.cyzo.com/akr/>。