12年間のブランクなど、みじんも感じさせない。むしろ、12年間の鬱憤を叩きつけるように言葉をまきちらしている。もちろん、古舘伊知郎のことだ。この3月で『報道ステーション』(テレビ朝日系)のキャスターを降板し、最後の放送では7分46秒にわたって台本なしの一人しゃべりを展開。それを皮切りに、『ぴったんこカン・カン』(TBS系)や『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』(ニッポン放送)に立て続けに出演し、まさに立て板に水、これぞ古舘といえる真骨頂を発揮している。 くしくも、テレビ朝日でアントニオ猪木とモハメド・アリの死闘が繰り広げられた6月12日、その裏番組の『おしゃれイズム』(日本テレビ系)に出演した古舘が、またすごかった。おそらく番組史上、これほどしゃべったゲストはいないだろう。一人というにはあまりにもおしゃべりすぎるが、二人というには人口のつじつまが合わない、惚れ惚れするようなハイスパートトーク。トークバラエティ番組における古舘の強さを、まざまざと見せつけた30分間であった。 では具体的に、古舘の話術のどこがすごいのか? ここでは、3つのポイントに分けて紹介したい。もちろん古舘は天才であり、簡単に真似ができるような代物ではないが、そのエッセンスを盗むことは可能なのではないか? 普段、おしゃべりが苦手だと悩んでいる方にとっても、有益なものとなれば幸いである。 (1)上げて落とす、は基本である おしゃべりの基本は、上げて落とす、である。あるいは、緊張と緩和といっていいかもしれない。特に年齢が上がると、人はしばしば自慢話をしがちだが、他人の自慢話ほどつまらないものはない。上げたら必ず落とすように心がけたい。たとえば『おしゃれイズム』の中では、ニュース番組を真面目に原稿を読むものではなくカジュアルなものにしたかった、という古舘は、こんな話をする。 <「(堅苦しく)国会対策委員長会談が開かれました」っていうのは読んでる感じになるから、そうじゃなくて。「(カジュアルなしゃべり方で)いやね。国会の中も広いですけど、皆さん。その中でね、一室ですけど、こういう会議が開かれた。これたいへん、消費税をアップするのか据え置くのかに関して重要な会議なんですよ。今日の午前中からあったって言うんですけど、ご覧ください」とかやって、カジュアル化したつもりになってるんだけど。聞いてるほうは、僕が流暢にしゃべるもんだから、やっぱり、読んでる(って思われる)……つまり、俺がうますぎるんですよ> 特にこのカジュアルなしゃべり方の部分は、古舘の話術の巧みさもあって、それだけで客席からは感心したような声が起こる。これで終わると、ある意味で自慢話で終わってしまうわけだが、最後の「つまり、俺がうますぎるんですよ」で自画自賛している自分を演出することで落としている。自分を上げたままで終わるのは確かに気持ちいいかもしれないが、聞いているほうはたまったものではない。上げたあとは落とす、というのは鉄則である。 (2)鉄板のエピソードにつなげる おしゃべり上手な人は、必ず鉄板のエピソードをいくつも持っている。そして、そのエピソードを会話の流れの中で、さりげなく入れてくる巧みさがある。話をしながらたまたま思い出すのではなく、自分の中に鉄板のエピソードを隠し持っているのだ。『おしゃれイズム』で最後の『報道ステーション』での挨拶の話になった際、時間読みが大変だったのではないかと振られた古舘はこんな話をする。 <……そうすると、早口になっちゃったりするじゃないですか。『紅白歌合戦』の司会をやらさせていただいたときなんか、大変だったんですよ。たとえば五木ひろしさんで、あの演歌の素晴らしいあの曲のイントロが28秒ある。28秒で、俺の大好きなあの前説イントロづけ。「常に演歌の王道を歩んでまいりました、五木ひろし。いま歌いますのは、あの二十年前の……」ってやりたいわけですよ> このあとも紅白の裏話がしばらく続くのだが、当然のように興味深いし、面白い。このエピソードを古舘は、ちゃんと持っているのだ。そもそも、このときの流れはあくまでも『報道ステーション』の最後の挨拶に対しての質問なのだが、時間読みという共通項から、この隠し持ったエピソードを取り出している。話をしながら自分の面白い話を偶然思い出すことができる天才は、ほとんどいない。だが、自分ができる鉄板のエピソードをいくつも鍛え上げ、場合に応じてそれを取り出すというのは努力でできる。人は努力で、おしゃべり上手になることは可能なのだ。 (3)他人から聞いた話を忘れない 他人から聞いた話を忘れないというのは、特に対人でのおしゃべりにおいては重要だ。自分が昔した話を相手が覚えているというのはそれだけでうれしいし、自分が特別な存在であるという気にさせてくれる。『おしゃれイズム』では、女性を口説くという話の流れで、古舘はこうしゃべり始める。 <前、『おしゃれカンケイ』だったかな? 上田さんが来てくれたときに、口説くときにわざとなんだかめっちゃめちゃキザなことを耳元でささやく。そうするとキザすぎて、バカみたいって笑ってほぐれて、そこから口説き始めるっていうのを聞いて。耳元で、花束のこと言うの、なんでしたっけ?> この記憶力ったらない。一人のゲストのこんな些細なトークを覚えているのだ。おそらく本人でも、そんな話をしたことを忘れているだろうが、相手がそれを覚えていると知ったら、少し感動さえ覚えるだろう。もちろん、すべての人のすべての話を記憶するというのは無理があるが、重要な相手と話した際はメモに取っておいて、あとで思い出すなどしてもよい。きっとその人にとって、あなたは特別な人として認識されるだろう。 【検証結果】 古舘伊知郎がバラエティに帰ってきた。まずはそのことを喜びたい。そしてもちろん、今後が楽しみで仕方ない。12年間の報道経験は、現在のバラエティとどんな化学反応を起こすのだろうか? 『報道ステーション』での最後の挨拶で、古舘は「つるんつるんの無難な言葉で固めた番組など、ちっとも面白くありません!」と叫んだ。ほとんどほえるように。宣戦布告である。その過激な才能は、間違いなく、テレビの新しい景色を見せてくれることだろう。 (文=相沢直) ◆「タレント解体新書」過去記事はこちらから◆ ●あいざわ・すなお 1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。 Twitterアカウントは @aizawaaa
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古舘伊知郎に学ぶ、3つのしゃべりの極意 日本テレビ『おしゃれイズム』(6月12日放送)を徹底検証!
12年間のブランクなど、みじんも感じさせない。むしろ、12年間の鬱憤を叩きつけるように言葉をまきちらしている。もちろん、古舘伊知郎のことだ。この3月で『報道ステーション』(テレビ朝日系)のキャスターを降板し、最後の放送では7分46秒にわたって台本なしの一人しゃべりを展開。それを皮切りに、『ぴったんこカン・カン』(TBS系)や『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』(ニッポン放送)に立て続けに出演し、まさに立て板に水、これぞ古舘といえる真骨頂を発揮している。 くしくも、テレビ朝日でアントニオ猪木とモハメド・アリの死闘が繰り広げられた6月12日、その裏番組の『おしゃれイズム』(日本テレビ系)に出演した古舘が、またすごかった。おそらく番組史上、これほどしゃべったゲストはいないだろう。一人というにはあまりにもおしゃべりすぎるが、二人というには人口のつじつまが合わない、惚れ惚れするようなハイスパートトーク。トークバラエティ番組における古舘の強さを、まざまざと見せつけた30分間であった。 では具体的に、古舘の話術のどこがすごいのか? ここでは、3つのポイントに分けて紹介したい。もちろん古舘は天才であり、簡単に真似ができるような代物ではないが、そのエッセンスを盗むことは可能なのではないか? 普段、おしゃべりが苦手だと悩んでいる方にとっても、有益なものとなれば幸いである。 (1)上げて落とす、は基本である おしゃべりの基本は、上げて落とす、である。あるいは、緊張と緩和といっていいかもしれない。特に年齢が上がると、人はしばしば自慢話をしがちだが、他人の自慢話ほどつまらないものはない。上げたら必ず落とすように心がけたい。たとえば『おしゃれイズム』の中では、ニュース番組を真面目に原稿を読むものではなくカジュアルなものにしたかった、という古舘は、こんな話をする。 <「(堅苦しく)国会対策委員長会談が開かれました」っていうのは読んでる感じになるから、そうじゃなくて。「(カジュアルなしゃべり方で)いやね。国会の中も広いですけど、皆さん。その中でね、一室ですけど、こういう会議が開かれた。これたいへん、消費税をアップするのか据え置くのかに関して重要な会議なんですよ。今日の午前中からあったって言うんですけど、ご覧ください」とかやって、カジュアル化したつもりになってるんだけど。聞いてるほうは、僕が流暢にしゃべるもんだから、やっぱり、読んでる(って思われる)……つまり、俺がうますぎるんですよ> 特にこのカジュアルなしゃべり方の部分は、古舘の話術の巧みさもあって、それだけで客席からは感心したような声が起こる。これで終わると、ある意味で自慢話で終わってしまうわけだが、最後の「つまり、俺がうますぎるんですよ」で自画自賛している自分を演出することで落としている。自分を上げたままで終わるのは確かに気持ちいいかもしれないが、聞いているほうはたまったものではない。上げたあとは落とす、というのは鉄則である。 (2)鉄板のエピソードにつなげる おしゃべり上手な人は、必ず鉄板のエピソードをいくつも持っている。そして、そのエピソードを会話の流れの中で、さりげなく入れてくる巧みさがある。話をしながらたまたま思い出すのではなく、自分の中に鉄板のエピソードを隠し持っているのだ。『おしゃれイズム』で最後の『報道ステーション』での挨拶の話になった際、時間読みが大変だったのではないかと振られた古舘はこんな話をする。 <……そうすると、早口になっちゃったりするじゃないですか。『紅白歌合戦』の司会をやらさせていただいたときなんか、大変だったんですよ。たとえば五木ひろしさんで、あの演歌の素晴らしいあの曲のイントロが28秒ある。28秒で、俺の大好きなあの前説イントロづけ。「常に演歌の王道を歩んでまいりました、五木ひろし。いま歌いますのは、あの二十年前の……」ってやりたいわけですよ> このあとも紅白の裏話がしばらく続くのだが、当然のように興味深いし、面白い。このエピソードを古舘は、ちゃんと持っているのだ。そもそも、このときの流れはあくまでも『報道ステーション』の最後の挨拶に対しての質問なのだが、時間読みという共通項から、この隠し持ったエピソードを取り出している。話をしながら自分の面白い話を偶然思い出すことができる天才は、ほとんどいない。だが、自分ができる鉄板のエピソードをいくつも鍛え上げ、場合に応じてそれを取り出すというのは努力でできる。人は努力で、おしゃべり上手になることは可能なのだ。 (3)他人から聞いた話を忘れない 他人から聞いた話を忘れないというのは、特に対人でのおしゃべりにおいては重要だ。自分が昔した話を相手が覚えているというのはそれだけでうれしいし、自分が特別な存在であるという気にさせてくれる。『おしゃれイズム』では、女性を口説くという話の流れで、古舘はこうしゃべり始める。 <前、『おしゃれカンケイ』だったかな? 上田さんが来てくれたときに、口説くときにわざとなんだかめっちゃめちゃキザなことを耳元でささやく。そうするとキザすぎて、バカみたいって笑ってほぐれて、そこから口説き始めるっていうのを聞いて。耳元で、花束のこと言うの、なんでしたっけ?> この記憶力ったらない。一人のゲストのこんな些細なトークを覚えているのだ。おそらく本人でも、そんな話をしたことを忘れているだろうが、相手がそれを覚えていると知ったら、少し感動さえ覚えるだろう。もちろん、すべての人のすべての話を記憶するというのは無理があるが、重要な相手と話した際はメモに取っておいて、あとで思い出すなどしてもよい。きっとその人にとって、あなたは特別な人として認識されるだろう。 【検証結果】 古舘伊知郎がバラエティに帰ってきた。まずはそのことを喜びたい。そしてもちろん、今後が楽しみで仕方ない。12年間の報道経験は、現在のバラエティとどんな化学反応を起こすのだろうか? 『報道ステーション』での最後の挨拶で、古舘は「つるんつるんの無難な言葉で固めた番組など、ちっとも面白くありません!」と叫んだ。ほとんどほえるように。宣戦布告である。その過激な才能は、間違いなく、テレビの新しい景色を見せてくれることだろう。 (文=相沢直) ◆「タレント解体新書」過去記事はこちらから◆ ●あいざわ・すなお 1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。 Twitterアカウントは @aizawaaa
外国人女性レイプ被害多発も「ヤラれるほうが悪い」!? 世界が認める“女性観光客にとって危ない国”韓国
最近、女性に対する攻撃が何かと増えている韓国。先日起きた「江南通り魔殺人事件」(参照記事1)、「女性教師集団レイプ事件」(参照記事2)などが、それをよく示している。ところが、攻撃の対象となるのは、必ずしも韓国人だけとは限らない。外国人女性が被害を受ける事件も増えているのだ。 5月14日、スウェーデン出身の女性が、韓国人男性3人組に集団レイプされる事件が起きた。 女性は、観光目的の一般観光客。若者の街として有名な弘大(ホンデ)のとあるクラブに入ったところ、「韓国のクラブ文化を教えてあげる」と近づいてきた20代の男性3人組と仲良くなったという。夜が明けるまで彼らと一緒に飲んだくれた女性は、気絶寸前まで酔っ払ってしまい、男たちが住んでいる部屋へ運ばれたそうだ。 そこで意識のないまま、彼らに代わる代わるレイプされた彼女は、裸の写真まで撮られてしまった。女性がスウェーデン大使館に助けを求め、大使館が警察に猛抗議を行ったため犯人は逮捕されたが、男たちの供述によると「“白人女性をレイプした”と友人に自慢するため」に証拠写真を撮ったという。 この事件からもわかる通り、韓国の安全神話は、もはや崩壊しつつある。最近、オーストラリアでは、「女性観光客にとって危ない国」ランキングのトップに、インドを追い抜いて韓国の名前が挙がるようになったそうだ。 そのきっかけとなったのは、5月23日にオーストラリアで放送されたとあるテレビ番組。26歳のオーストラリア人女性が韓国でレイプされたことを告白する内容で、視聴者からの怒りのコメントが続出したという。 日本で英語の講師をしていたその女性は、昨年9月に休暇を取ってソウルを訪問。Facebookで知り合った友人たちと、韓国の居酒屋巡りをしていたそうだ。 ところが、女性はとある居酒屋で酒を3杯飲んだ後、急に意識を失った。気がつくと、見ず知らずの男とタクシーに乗っていたという。意識が朦朧とする中、タクシーの運転手に助けを求めたが、聞き入れてもらえず、また意識を失ってしまった。もう次に気がついた時には、見慣れないホテルの部屋で男に襲われていたという。朝、目が覚めると、服は破られ、財布も盗まれていたという。 冒頭の事件とは違って、このオーストラリア人女性は番組で「韓国警察に侮辱された」とも主張した。というのは、レイプされたことを自ら通報した女性に対して、警察は彼女がお酒に酔っていたことや、露出度の高い服装をしていたことを指摘。「レイプ事件として扱おうとしなかった」挙げ句、彼女の通報を“虚偽通報”として処理してしまったのだ。 犯人はナイジェリア国籍の男だったのだが、被害者も加害者も韓国人ではないとの理由で、しっかりとした対応はなされなかったようだ。 ちなみにこの番組によると、韓国で発生するレイプ事件のうち、通報されるのは約10%、裁判になるのは約2%にすぎないという。ほとんどの病院にはレイプ加害者を特定するための“レイプキット”もなく、レイプ事件が起きたら、まずは女性を非難する文化があるとも伝えた。 韓国警察はオーストラリア人女性の主張は「事実と違う」と弁解、彼女の氏名を含む事件の詳細を詳しくFacebookに公開したのだが、逆に韓国のネット民からは「恥を知れ」との声が上がっている。もはや世界が認める「女性観光客にとって危ない国」となった韓国。その汚名を拭うチャンスは、果たして訪れるのだろうか?イメージ画像
北朝鮮の『聖闘士星矢』ヲタに会ってきた!(前編)
みなさん、こんにちは。だいぶご無沙汰してしまいました。 日頃より、『聖闘士星矢』ファンであることを公言している私。拙書『実録・北の三叉路』(双葉社)のあとがきでも書いた通り、北朝鮮にも『聖闘士星矢』ファンがいるという情報を聞き、一度深く語り合ってみたいと思っていたのですが、このたびついに対面が実現しました。 6月18日からは秋葉原UDXで『聖闘士星矢生誕30周年記念展』も開催されるとあり、タイミングも最高! まさかファンが北朝鮮にまで存在するとは、原作者も東映アニメーションさんも想像もつかなかったでありましょう。 実は、北朝鮮人民のアニヲタというのは少ないながらもおりまして、海外勤務中に動画を目にしてファンになるというケースがあるようです。また13年ほど前、北朝鮮で『ドラゴンボール』が放映(吹き替え)されていたという証言もあります。年配の男女の声優2人が、すべてのキャラを演じ分けていたそうで……。(c)車田正美先生/集英社・東映アニメーション
こちらが、アニヲタ北朝鮮代表(?)の趙さん(仮名 32歳)です。北朝鮮で生まれ育ち、兵役を経て、現在は仕事の関係で中国に滞在中(諸事情により、背景加工)。 「兵役時代は、暇ができたら日本語の勉強も時々していました。わが国は先軍政治といって、兵士が軍事だけでなく、さまざまな要所で社会奉仕活動を行うのですが、幹部の息子ばかりが平壌に配属される事例が相次いだんです。地方での任務は、都市より過酷な面が多いので。そこで将軍様が『そういう差別はしないように』とのお触れを出され、改善されたことがありましたね」(趙さん) そんなバリバリの北朝鮮人民である趙さんが、以降アニヲタモードに切り替わり、ノンストップで日本のアニメと『聖闘士星矢』について語ってくれたのであります。 表現や言い回しなどは、趙さんの言葉になるべく忠実に再現しました。日本語として不自然な部分もあるかと思いますが、趙さんの熱い思いが伝わればと思います。ファン以外には理解できない表現が多々あり、また趙さん独自の解釈もありますが、何卒ご了承ください。 ――お会いできて光栄です。趙さんは日本のアニメがお好きだということで、お話を伺いにきました。特に聖闘士星矢がお好きだとか。 趙さん 日本のアニメは全部、中国で見ました。昔から国内外問わずアニメが好きだったんですが、僕は最近のものよりちょっと古いのが好きでして、『聖闘士星矢』もそのうちのひとつです。ギリシャ神話が好きで大学時代もよく研究していたので、『聖闘士星矢』には格別な思い入れがあります。何より、小宇宙(コスモ)という概念が、私にはしっくりきます。私も人体の中には小宇宙があると考えていて、それは中医学でいう「気」の概念と通ずるものがあります。 ――今日はお土産に、お好きだとおっしゃっていた乙女座のシャカの神聖衣フィギュアをお持ちしました。 趙さん うわー! うれしい! 中国ではフィギュアが売っていても、なぜかアンドロメダ瞬しか残ってないんですよ。乙女座のシャカはインド人なんですが、仏教をベースにした彼の技は本当に素晴らしい。中国語の吹き替えでは中国語で技の名前を言っているんですが、やはりオリジナルの日本語のほうがしっくりきます。シャカの技の「天舞宝輪」は、中国語の「ティエンムーパオリン」よりも「テンブホーリン」のほうが、かっこよく聞こえますよ。 ――この見た目でインド人って、おかしくないですか? 趙さん そんなこと言ったら、ほかのキャラだってそうでしょう! ――昨年出たスピンオフ『聖闘士星矢 黄金魂』も、ご覧になられたとか? 趙さん 黄金魂だけでなく、『THE LOST CANVAS 冥王神話』(※原作の前の時代を描いたスピンオフ。以下、LC)も見ましたよ。「黄金魂」では、シャカの出番があまりに少なかったと思います。しかし、原作での解釈がだいぶ発展、改善されたと思います。シャカは原作では洞察力がそれほどなく、教皇が偽物であることも見抜けず、たいして慈悲深くもないキャラクターでしたが、黄金魂ではようやく正しく描かれていました。対戦相手となった不死身の男が臨終の際、これまで虐げた者の痛みを一身に浴び苦悶するのですが、そこでシャカは彼の痛覚を剥奪することで死後の安寧を与える。これが、本来の慈悲深いシャカの姿です。 ――乙女座のシャカが大好きなんですね。 趙さん はい。日本でも12星座で誰が最強か、話したりしませんか? 僕としては、シャカが最強、これは譲れません。ほかの聖闘士は攻め一辺倒だけど、彼は攻防一体ですから。最弱? 最弱は牡牛座でしょう。牡牛座はLCでもそうだった。しかも、強い相手じゃなくて、雑魚に倒されてしまうじゃないですか。聖域十二宮編で倒された黄金聖闘士というのは結局、作者から見てそこまで重要なキャラクターではなかったんですよ。必要なキャラだけ残した。それだけです。 ――でも、性格が一番いいのは牡牛座じゃないですか? 趙さん 性格といっても、牡牛座は性格描写が豊富ではないじゃないですか。アイオリアのように、兄の件で苦労したというようなバックストーリーがないし。ファンがキャラクターについてイメージするのは自由ですが、ちょっと頭が回らないんじゃないかな、彼は……。まあ、ほかの聖闘士の道を切り開く礎にはなりましたね。恵体である点もいいと思いますし。性格が一番いいのは、牡羊座ムウだと思います。見た目もいい。あのシールを貼ったみたいなちょこんとした眉毛が、頭がよさそうに見えますよ。 人として仲良くなれないのは断然、蟹座デスマスク。彼はありえない。ただ、どうして彼が黄金聖闘士になれたのか興味が尽きない部分はありますし、黄金魂では改心したような描写もありますが、それでも他のキャラクターが魅力的なので霞んでしまいますね。 ――部門別に秀でている能力が違うから、一概には言えませんよ。パンチだけなら獅子座だし、パワーだけなら牡牛座だったり……。 趙さん いや、彼らは弱点があるでしょ。牡牛座アルデバランは居合い抜きをしたら隙ができてしまうし、獅子座アイオリアも光速拳が使えるけど、敵が光の速さを超えてきたら苦しいし、直線攻撃しかできないでしょ。しかし、シャカは四方八方に攻防一体の陣形を作るわけです。これを最強と言わないで、なんというのですか!? ただ、アイオリアは後に出てきた漫画で、ひとりでアテナエクスクラメーション(※黄金聖闘士が三位一体で放つ禁じ手の最終奥義)をやったらしいじゃないですか(※LCにて、先代の獅子座レグルスが放ったゾディアックエクスクラメーションのことを言っていると思われる)? え? それはアイオリアじゃないって? まあ、とにかく動画で見た時は、私はアイオリアだと思っていたので、全身鳥肌が立ちましたよ。僕はよく座禅を組んで瞑想するんですが、そのときに感じる高揚感と同じく、全身が震えてエネルギーがブワーっと吹き出して実に気分がよかった。そんなアニメは星矢だけです。『ドラゴンボール』も若干、その傾向がありますが、あれは大声を上げるのがどうも苦手で。「オアアアアアアアアー!」とか、1カ月くらい便秘してたのかと。 ――黄金聖闘士で誰が最強であるかは、星矢ファンの間で長年論争になっていますが、論争自体が無意味なのではないかと。一応、全員互角という設定になっていますし、勝敗が決まるのはジャンケンの組み合わせみたいなものですから。 趙さん 無意味ではありませんよ。なぜなら、黄金で誰が最強であるかは、論点や視点が無限にある。たとえば最近、中国で言われているのは、アテナエクスクラメーションで中央の人間が最強だという説。だって、原理としてはそうでなければならないでしょ。黄金魂では童虎でしたね。作家が考える最強の人物がセンターなんですよ、きっと。聖闘士星矢Ωでは紫龍がセンターだったし。 ――作家が、解釈の余地をファンに与えているということですね。 趙さん そうです! 読者にイマジネーションの余地を与えてくれたからこそ、こんなに長く世界的に人気が続いているんだと思います。私も、『星矢』のキャラクターと世界観に関しては時間が許す限り、ずっと語ることができますよ。たとえば魚座アフロディーテも、彼は同性愛的なものを暗示していると思います。顔は紛れもなく女だし、技も女っぽいのに体は男。あと、彼には愛する女性がいない。これは作者が、同性愛者を子どもに見せるにはあまりによろしくないから、あえてそこで留めておいたのだと思っています。 ――現在、原作者の車田正美先生は指の骨に問題があり、手術が必要な状態だということですが、あえて手術はせず描き続けたいとおっしゃっているようです。 趙さん それは素晴らしい、芸術家の鑑です。ただ、お体は心配です。 (後編に続く) *** 次回は、聖闘士星矢の世界観と北朝鮮の政治思想は相入れるのかについて語って頂きます。 ●やす・やどろく ライター、編集者。元朝鮮青年同盟中央委員。政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様の観察に主眼を置く。しばしば3重スパイ扱いされるのが悩み。日朝和平、北朝鮮のGDP向上、南北平和統一を願う一市民。ペンネームは実家が経営していたラブホテルの屋号(※とっくに倒産)。<http://blog.livedoor.jp/yasgreen/>
女性暴行容疑のJYJユチョンに、今度は兵役怠慢疑惑「ユンホ、チャンミンとは大違い!」
風俗店に勤める女性に性的暴行を加えたと告訴され、韓国国内で大バッシングを浴びているJYJのパク・ユチョン。「もしも性的暴行の容疑が認められれば、芸能界を引退する」とまで発言し、無実を訴えているものの、今まで築いてきた誠実なイメージは下がる一方で、ファン離れも急速に進んでいる。 加えて、メディアからは“芸能界の新たな問題児”扱い。性的暴行容疑で告訴されたこともそうだが、それよりも注目を集めているのはユチョンが現在、社会服務要員として兵役中の身であることだ。 社会服務要員とは、持病などで現役兵としての兵役が難しいと判断される人のこと。ユチョンは生まれながらのぜんそく持ちであり、身体検査でそれが認められて社会服務要員になった。 社会服務要員は厳しい訓練などを受けず、地方自治体や公共団体での行政業務に携われることで兵役と見なされる。一般的な軍隊と違って、毎日出勤・退勤するため、正直“兵役”と称するのもいささか違和感がある。もちろん、業務の強度も、軍隊とは比べものにならないほど楽チンである。なにしろ、いくつかの勤務先を除いてはほとんどがデスクワークなのだ。メディアで紹介されたユチョンの近況からも、社会服務要員がどれだけ楽をしているかがよくわかる。 ユチョンの配属先はソウルの中心にある江南(カンナム)区庁。おかげで、兵役前とあまり変わりのない生活を送っていたようだ。行きつけの美容院でおしゃれに気を使ったり、夜はネットカフェでゲーム三昧。それらのお店では、JYJのメンバー、ジュンスに遭遇したこともあるそうだ。たまに本業の芸能人としてイベントにも出席しているため、ユチョンが兵役中であることをうっかり忘れてしまう人もいるとか。その上、今回の事件で風俗店に通っていたことも明るみに出た。芸能人としてはもちろん、仮にも国防に携わる身としては、かなりのマイナスポイントである。 それに、ユチョンはどうやら服務に対してもあまりやる気がなかったようだ。服務を始めた2015年9月か現在まで、ユチョンが取った休暇は、有給休暇14.5日、病気休暇 13.5日、早退2日の合計すると約30日。昨年9月から6月までユチョンに課せられた兵役期間は、週末と公休日を除くと124日とされているが、それに基づくと4日に1回のペースで休みを取っていたことになる。必ずしも規定を違反したわけではないが、こらは同じ江南区庁に所属する66人の社会服務要員の中でも、断トツに多いそうだ。 それだけに、メディアは早速「勤務怠慢」と叩き、ファンからも「失望した」との声が絶えない。おまけに、現在素晴らしき軍隊生活を送っている元同じグループの東方神起・ユンホ、チャンミンと比較される屈辱にも耐えなければならず、ユチョンは今まさに四面楚歌の状態だ。 見事なまでの、韓流スターの墜落劇。せめて性的暴行の容疑が晴れて名誉挽回できればいいのだが、真実ははたして……。
ハメ撮り動画をネット上で販売も……韓国で、タイ人ニューハーフ売春グループが逮捕!
「えっ? 男なの!?」 思わずそう疑ってしまいたくなるほど、美しいニューハーフが多い国・タイ。そのトランスジェンダーの聖地で生まれたニューハーフが、韓国に渡航。ソウルと観光地・済州島を行き来しながら、売春を繰り返したとして逮捕された。 6月16日、ソウル地方警察庁観光警察隊は、ニューハーフであるという事実を隠したまま、複数の韓国人および外国人男性相手に売春をした疑いで、タイ人男性2人を拘束した。 さらにもうひとり、現場から逃走したタイ人男性がおり、韓国警察は捜索を続行中だという。また、そのタイ人男性を買春したとして、韓国人のナイトクラブDJ2人が書類送検された。 警察の調べによると、くだんのニューハーフグループは、2014年から今月まで、それぞれ2~5回、韓国に入国。ソウルや済州のホテルで売春していたという。タイ人が韓国に観光ビザで入国した場合、90日まで滞在することができるのだが、彼らは一度入国するたびに約2カ月半滞在。売春を繰り返していた。3人が売春を行っていたのは、ホテル周辺のナイトクラブやカジノなど。相手に近寄って直接買春を持ちかけたり、メッセンジャーアプリで客を募るという方法を取っていた。 なお、3人は性行為シーンをスマートフォンで撮影。その動画をインターネットで販売していた容疑もかかっている。売春で稼いだお金は、タイの家族に生活費として送金したり、ソウルで整形手術を受けるのに使ったという。 ニューハーフと知っていたのならいざ知らず、知らずに性行為に及んでいた男性にとって、そのショックは計り知れない。自業自得ではあるが、動画まで流出していたとなれば、とんだ赤っ恥だ。 タイのニューハーフ事情、また渡航事情に詳しい、現地在住のビジネスマンは言う。 「これまで、ニューハーフを見破る方法はいくつかありました。例えば、身分証明書を見れば、性別はごまかせなかった。ですが、最近はご丁寧にも、身分証明書まで捏造して持ち歩いているレディーボーイ(ニューハーフの別称)がいるとのウワサも。本当にきれいな男性だったら、見分けがつかないかもしれません。一方、ここ数年、タイ人女性ひとりで外国に旅行しようとすると、売春や不法滞在を懸念して、ビザの発行を渋る国が多いそうです。前出のニューハーフたちは、外国に行く時は“男”を装い、法の網の目をくぐり抜けて、売春を行っていたのではないでしょうか」 なお、逮捕された2人から押収された現金は、250万ウォン(約25万円)だったというが、滞在期間を考慮すると、その総額ははるかに大きいと予想されている。韓国警察は余罪を追及するとともに、買春した男性もさらに多いとみて、捜査拡大の計画だという。 (取材・文=河鐘基)くだんのニューハーフたち(ダウムブログより)。
ハメ撮り動画をネット上で販売も……韓国で、タイ人ニューハーフ売春グループが逮捕!
「えっ? 男なの!?」 思わずそう疑ってしまいたくなるほど、美しいニューハーフが多い国・タイ。そのトランスジェンダーの聖地で生まれたニューハーフが、韓国に渡航。ソウルと観光地・済州島を行き来しながら、売春を繰り返したとして逮捕された。 6月16日、ソウル地方警察庁観光警察隊は、ニューハーフであるという事実を隠したまま、複数の韓国人および外国人男性相手に売春をした疑いで、タイ人男性2人を拘束した。 さらにもうひとり、現場から逃走したタイ人男性がおり、韓国警察は捜索を続行中だという。また、そのタイ人男性を買春したとして、韓国人のナイトクラブDJ2人が書類送検された。 警察の調べによると、くだんのニューハーフグループは、2014年から今月まで、それぞれ2~5回、韓国に入国。ソウルや済州のホテルで売春していたという。タイ人が韓国に観光ビザで入国した場合、90日まで滞在することができるのだが、彼らは一度入国するたびに約2カ月半滞在。売春を繰り返していた。3人が売春を行っていたのは、ホテル周辺のナイトクラブやカジノなど。相手に近寄って直接買春を持ちかけたり、メッセンジャーアプリで客を募るという方法を取っていた。 なお、3人は性行為シーンをスマートフォンで撮影。その動画をインターネットで販売していた容疑もかかっている。売春で稼いだお金は、タイの家族に生活費として送金したり、ソウルで整形手術を受けるのに使ったという。 ニューハーフと知っていたのならいざ知らず、知らずに性行為に及んでいた男性にとって、そのショックは計り知れない。自業自得ではあるが、動画まで流出していたとなれば、とんだ赤っ恥だ。 タイのニューハーフ事情、また渡航事情に詳しい、現地在住のビジネスマンは言う。 「これまで、ニューハーフを見破る方法はいくつかありました。例えば、身分証明書を見れば、性別はごまかせなかった。ですが、最近はご丁寧にも、身分証明書まで捏造して持ち歩いているレディーボーイ(ニューハーフの別称)がいるとのウワサも。本当にきれいな男性だったら、見分けがつかないかもしれません。一方、ここ数年、タイ人女性ひとりで外国に旅行しようとすると、売春や不法滞在を懸念して、ビザの発行を渋る国が多いそうです。前出のニューハーフたちは、外国に行く時は“男”を装い、法の網の目をくぐり抜けて、売春を行っていたのではないでしょうか」 なお、逮捕された2人から押収された現金は、250万ウォン(約25万円)だったというが、滞在期間を考慮すると、その総額ははるかに大きいと予想されている。韓国警察は余罪を追及するとともに、買春した男性もさらに多いとみて、捜査拡大の計画だという。 (取材・文=河鐘基)タイのニューハーフたち(ダウムブログより)。
小林麻耶「何もかも限界だった」? 妹・麻央の乳がん告白の一方で再注目される、島田紳助との関係
沖縄地方は早くも梅雨明けしましたが、全国的にすっきりしない天気が続いてますね。 さて、今クールは女子アナ姉妹、小林麻耶・麻央の話題がランキングを席巻。『バイキング』(フジテレビ系)の生放送中、突然画面から姿を消して以降、そのまま長期休暇に入ってしまった姉・麻耶。「精神的に不安定だった」「パニック障害」などとさまざまな臆測が飛び交いましたが、ほぼ同じタイミングで、妹・麻央の乳がんが夫の市川海老蔵から発表されました。 一方で、2011年に芸能界を引退した島田紳助との関係も再注目されてしまった麻耶。果たして、テレビでまた元気な姿を見ることはできるのでしょうか? それでは、ランキングを見ていきましょう! 第1位 原因判明せず……小林麻耶の“異変”は、あのタレントの病状とそっくり? 姉妹ともども心配だね~。 第2位 「ヤリたい奴おったら紹介したろか」島田紳助の"都合のいい女"だった小林麻耶の苦悩 す…すてきやん? 第3位 小林麻耶、長期休養の裏に“元愛人”の動向が!?「彼女は島田紳助の復帰におびえていた」 沖縄で何してんのさ? 第4位 相武紗季、スピード離婚へ!? 夫の“ブラックすぎる”素性に、スポンサー筋がドン引き…… 演技もイマイチだし、いいところなし? 第5位 東大強制わいせつ事件“不起訴”メンバーの親戚・山谷えり子議員が怖すぎる!?「敵に回すと……」 レイプ犯の親戚が防犯のトップとは…… ◆編集部厳選! イチオシ記事◆ 二極化する世界への違和感──『FAKE』森達也が“ゴーストライター”佐村河内守を撮ったワケ とても評判いいですね。 親子丼といえば「鮭イクラ丼」!? 地方あるあるマンガ 『北海道民のオキテ』『沖縄県民のオキテ』 僕の地元には、ゼリーフライという謎の食べ物があります。 「ダブってない、誰とも」R-1優勝者特番『TVの掟』が教える、ハリウッドザコシショウの真価 毎日、動画上げてたらしいです。
“時をかける少女”ならぬ“時をかけるアドルフ”あの男が芸能界デビュー『帰ってきたヒトラー』
ベテランの脚本家やプロデューサーたちに「良いシナリオとは?」と質問すると、ほぼ同じ答えが返ってくる。「キャラクターが立っていること。キャラが立っていれば、物語は自動的に動き出す」と。主人公のキャラクターが面白ければ、脚本家やプロデューサーは頭を悩まさずとも、キャラが勝手に動き出し、事件を次々と呼び込んでくれるらしい。このキャラ立ち理論に従えば、これほど優れたシナリオは他にはないはずだ。なにせ主人公はナチスドイツの総統アドルフ・ヒトラーであり、しかも第二次世界大戦末期に死んだはずのヒトラーが現代社会にタイムリープするという奇抜な設定。“時をかける少女”ならぬ“時をかける総統”なのだ。ドイツ映画『帰ってきたヒトラー』の主人公は抜群のカリスマ性とお茶目さで、極右系の人のみならず刺激に飢えていた現代人をたちまち魅了してしまう。 そうとうにブラックなコメディ映画『帰ってきたヒトラー』は、2012年にドイツで発表された同名ベストセラー小説の映画化。この物語の面白さはアドルフ・ヒトラーを主人公にするというタブー破りのキワモノ感に加え、舞台をテレビ局にしていることだ。1945年から現代にタイムスリップしてきたヒトラーは政治の世界ではなく、まずテレビの世界で怖いもの知らずの毒舌タレントとして絶大な人気を得ていく。視聴者は彼のことを「ヒトラーになりきったモノマネ芸人」だと思い込み、大笑いしながらテレビの中の彼に心酔するようになっていく。 ユダヤ人を収容所送りにした冷血非道な独裁者のイメージが強いヒトラーだが、彼が率いたナチ党を選挙で第1党に選出したのはドイツ国民だった。不況にあえぐドイツ国民の不満をビンボー画家だったヒトラーは身に染みて理解しており、また演説によって大衆の心理をつかみ取る天才でもあった。なぜか第二次世界大戦末期の地下壕から現代のドイツに放り出されてしまったヒトラー(オリヴァー・マスッチ)は、最初こそ頭のおかしなホームレスと間違えられるが、気のいいキヨスクのオヤジの好意でキヨスクで一晩を過ごすと、置いてあった新聞や週刊誌を怒濤の勢いで読み尽くし、あっという間に現代ドイツの社会情勢を理解してしまう。彼は残虐な戦争犯罪者である前に純粋なひとりの愛国者だった。ドイツで大ヒットしたブラックコメディ『帰ってきたヒトラー』。70年という時間を経て、ヒトラー総統が現代にタイムリープしてきた!
70年前の総統ファッションのまま街をうろつくヒトラーのことを、テレビ局をリストラされたばかりのディレクター・ザヴァツキ(ファビア・ブッシュ)はヒトラーによく似たモノマネ芸人だと勘違いする。テレビ局に復職したいザヴァツキからテレビ番組に出演しないかと誘われ、ヒトラーは快諾する。ヒトラーは自分が置かれた状況を冷静に分析し、柔軟に対応する適応力にも優れていた。そして何よりもテレビという新しいメディアを使って、ドイツ国民にメッセージを発することを望んでいた。 テレビ番組に出演したヒトラーは水を得た魚だった。「雇用問題を解決することなく、ドイツの子どもたちに未来はない!」「移民の流入に歯止めを掛け、我々はドイツ国民としての誇りを取り戻すべきである!」。カメラの前に立つヒトラーは次々とドイツ社会が抱える問題点を斬っていく。彼のことをヒトラーのモノマネ芸人だと思っている視聴者たちは大笑いしながら拍手喝采を送る。それまで視聴率が低迷していたテレビ局は彼の出演シーンが高視聴率を叩き出したことから、出演番組を大幅に増やすことに。モノマネ芸人として売り出されたはずのヒトラーだが、次第にテレビというメディアを思いのまま牛耳るようになっていく。 以前、これに良く似た物語に触れた気がして、自宅の本棚を調べてみた。小林信彦が1993年に発表した小説『怪物がめざめる夜』(新潮社)だった。『怪物がめざめる夜』は放送作家、小説家、記者、雑誌編集者たちが共同でネタを出し合うことであらゆる分野に精通した覆面のスーパーコラムニスト〈ミスターJ〉として夕刊紙や週刊誌で最強のコラムを連載するという内容だ。複合した人格を抱える〈ミスターJ〉は架空の存在のはずだったが、政治ネタや放送業界ネタにもタブー知らずで斬り込む〈ミスターJ〉に取材の申し込みが殺到。地方でくすぶっていた無名芸人に〈ミスターJ〉の顔を演じさせたところ、単なる操り人形だったはずの無名芸人が〈ミスターJ〉というキャラクターを与えられたことで独断で動き出し、メディアを煽動するモンスターとなっていく。才能ある人間がスターになるのではなく、メディアこそがスターを生み出すのだという真理が描かれており、今読み直しても古さを感じさせない。〈ミスターJ〉も帰ってきたヒトラーも最初は芸人という立場だが、メディアという権力を手に入れ、恐ろしいモンスターへと目覚めていく。お笑い芸人として、現代に蘇ったヒトラー。ユニクロ系のカジュアルなファッションもチャーミングに着こなしてみせます。
映画化された『帰ってきたヒトラー』には、さらに原作にはない面白さが加味されている。それは現代社会にヒトラーが蘇ったら、彼はどんな言動を見せ、周囲はどう反応するかをカメラで追ったセミドキュメンタリー的な趣向を盛り込んでいるという点だ。ディレクターのザヴァツキに連れられて、ヒトラーはドイツ各地を視察して回ることになる。公園やサッカーの競技場の前に総統スタイルで立っていると、自然とギャラリーが集まってくる。若者たちはヒトラーに握手やハグを求め、ヒトラーとのツーショット自撮りを始める。いつの時代もヒトラーは知名度抜群の人気者だ。中には「よく、そんな真似ができるな」と怒り出す者もいるが、ヒトラー役を演じた舞台出身のオリヴァー・マスッチはその都度、ヒトラーとしてアドリブで対応する。「僕はすっかり役にはまりこんでいたし、ヒトラーというマスクがしばらくは自分の顔の一部になっていたくらいだ。撮影時に車から出ると、いつも誰かが近寄ってきて、『ヒトラーじゃないか?』と言われたよ」とマスッチは振り返っている。 アドリブを交えて、ヒトラー役をブレることなく演じ続けるマスッチの妙演と周囲のリアクションに笑いながら、ふと思う。一般大衆は政治的指導者のイデオロギーに共感して票を投じるのではなく、メディア対応の巧みな人物に票を投じるのだなと。帰ってきたヒトラーは、すぐにそのことに気づき、テレビタレントとして再デビューを飾ったわけだ。情報化社会がますます進むにつれ、抜群のプロパガンダ能力を持つヒトラーはこれから何度でも時を超えて現われることだろう。 (文=長野辰次)プロパガンダの天才ヒトラーにとって、数字を稼ぐことしか考えていないテレビやインターネットを牛耳ることは容易いことだった。
『帰ってきたヒトラー』 原作/ティムール・ヴェルメシュ 監督・脚本/デヴィッド・ヴェンド 出演/オリヴァー・マスッチ、ファビアン・ブッシュ、クリストフ・マリア・ヘルプスト、カッチャ・ベリーニ 配給/ギャガ 6月17日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー (c)2015 MYTHOS FILMPRODUKTION GMBH & CO. KG CONSTANTIN FILM PRODUKTION GMBH http://gaga.ne.jp/hitlerisback
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またまたドナルド像が強制連行! 中国・“マクドナルド狙い撃ち”の背景に、熾烈なファストフード戦争か!?
広東省汕頭市にあるマクドナルドの店舗に、“制服を着たチンピラ”とも呼ばれる治安要員「城管」と、黄色いヘルメットをかぶった作業員が突然押しかけた。彼らは店長に対し執行文を読み上げると、店外にあった同チェーンのマスコットキャラクターであるドナルド像やおなじみの黄色いM字の看板やベンチなどを、バーナーで焼き切って撤去。さらに、ショベルカーを使って根こそぎ持ち去ったのだった。 ドナルド像は、同店がオープンした18年前からこの場所に設置されていたが、これまで問題にされたことはなかった。しかし、同市はこのほど、街中の不法占用物件の撤去を行うことを宣言していたという。強制連行されるドナルド・マクドナルド氏
ショベルカーは、必要だったのか……?
この一件はネットでも話題となったが、多くのネット民は城管職員のやり方を「常軌を逸している」と批判している。さらに「市内にはほかにも違反物が多いのに、城管は『ドナルド像が道をふさいでいた』として、ドナルド像だけを取り締まっている」と指摘する声もある。 今年4月にも同省広州市のマクドナルドで、店頭に設置されていたドナルド像が、突然城管に撤去されるという事件が発生したばかり(参照記事)。看板の支柱をバーナーで焼き切る作業員
この際にも、ネット上で「店の向かいに設置されている国産アニメの人形は、なぜいいのか?」「KFC(ケンタッキーフライドチキン)のカーネルおじさんも逮捕されちゃうね」といった声が上がっており、マクドナルドが狙い撃ちにされたとする見方が広がった。 同省地方紙記者も、こう話す。 「中国のファストフード業界は、熾烈な過当競争を繰り広げられている。KFCに次いで業界2位のマクドナルドは、別チェーンにとっては煙たい存在。ドナルド像の撤去が相次いでいるのは、同業者が城管を抱き込んで攻撃させていると考えて間違いないでしょう。撤去物の運搬には小さなトラック1台で事足りるはずなのに、今回は、現場にショベルカーまで投入しており、パフォーマンス的」 さらに同記者によると、中国のファストフード業界でたびたび持ち上がる食品衛生問題についても「同業者によるチクリ合い」だという。 しかし、泥仕合のような足の引っ張り合いにより、業界全体のイメージが低下するとは思わないのだろうか……。マスコットを失った店の前で、うなだれる店員














