荒ぶる漢たちのリアル! 現役土建屋社長と石丸元章が立ち上げた「土木建築マガジン」編集部に潜入

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ここが編集部のハズなんだけど……
 作家の石丸元章が、「BLUE'S MAGAZINE(ブルーズマガジン)」なるフリーペーパーを作っているらしい。テーマはなんと「土木建築系総合カルチャーマガジン」。ど……土木建築!? 石丸さんって、ドラッグ小説とか書いてる人じゃなかったっけ? それがどうして、土木建築のフリーペーパーを!  ……というわけで今回は、「ブルーズマガジン」の制作現場である感電社の編集部に突撃した……のだが、もらった住所にたどり着いても、年代物のアパートが建っているだけで、フリーペーパーの編集部がありそうな雰囲気はゼロ。
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あ、本当にここなんだ
 まさか、このアパートの中が会社なんてことは……あった! しかも「いろいろなものをこじらせたひとり暮らしの男子大学生の部屋」感あふれる、どーかした内装の部屋が編集部。「ザ・秘密基地」といった感じのこの部屋から生み出されている「ブルーズマガジン」について、主筆の石丸元章と、編集長の雨森諭司に話を訊いた。 ■土建は都市的で荒ぶる男たちの世界だ ――この感電社は「ブルーズマガジン」を作るために、現役土建会社社長の柳知進さんと石丸さんたちが立ち上げた会社なんですよね? 石丸 そうです。今日は柳も同席する予定だったんですけど、現場でトラブルがあったということで、そっちに行ってしまって。でも、今日みたいなものすごく暑い日に、現場で汗を流して働いているやつらがいる。そこで感じた心情をダイレクトに出せる雑誌を作りたいということで、僕のTwitterにメッセージをくれたんです。土建の現場で見たり感じたりしていること、起きている物語……そういうものが雑誌にもテレビにも、どこにも出てこないので、思うところがあったみたいですね。 ――石丸さんが土建フリーペーパーを作っていると聞いて意外でした。それまで、土建関係に興味は? 石丸 全然なかった。ダンプとトラックの違いも、シャベルとスコップの違いもわからなかったですもん。でも土建はね、荒ぶる男たちの世界じゃないですか。そして彼らは、極めて都市的な文化を持った人たちなんですよね。そこには興味を引かれました。土建の現場って、実は青山とか渋谷とか、都市の風景の中に溶け込んでいますから。 ――ああー、確かに工事が多く行われているのは、田舎じゃなくて都会ですよね。 石丸 だから、都市で暮らして、都市で稼いで、都市で遊んで……っていう人たちが働いている。そういう意味で、この雑誌のことを「土木建築系総合カルチャーマガジン」と呼んでいます。 ――土建でバイトをして稼いだ金で、演劇やバンドを頑張っているという若者も多そうですよね。 石丸 やっぱり、稼ぎって大事ですから。ただ、今は「本当は演劇やバンドをやりたいけど、我慢の期間として土建をやっているんだ」という人は意外と少ないんですよ。表現活動は表現活動としてやるけど、職人としても誇りを持ってやっているという人が多い。イースタンユースのドラムの田森篤哉さんは庭屋さんなんですが、「本当にこの仕事をやっていてよかった」と言っていますからね。「すごくクリエイティブだし、たくさん稼げる」と。イースタンの吉野(寿)さんと出会ったことと同じくらい、今の仕事に出会ったことは大きいと考えているようです。
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「BLUE'S MAGAZINE」主筆の石丸元章氏と、編集長の雨森諭司氏
■迫力のある表現より、危機管理や安全管理が重要 ――土建という未知の世界に触れて、一番興味を引かれたのは、どういうポイントですか? 石丸 やっぱり現場ですね。土建の現場って、写真や映像で見ると、うるさくて汚くて危なくて……っていうイメージじゃないですか? でも、自分で足を踏み入れてみると、必ずしもそうじゃない部分も見えてくるんですよ。解体の現場なんて、これから命を失っていく建物の大きさとか荘厳さとか、すごく心を打つものがありますよ。これは、表現の領域で人に伝えるべきだと思いました。 雨森 そういう現場を、石丸さんはすごく文学的に表現するんですよ。「さながら戦場のような……」みたいに。実際に、その現場はすごかったんですけど、職人さんにチェックしてもらったら「戦場のような」はやめてくれと。 石丸 「ウチは安全第一なんだ」って(笑)。 ――現場の迫力を伝えるための文章だけど、現場の人からすると、その表現はダメなんですね。 雨森 現場の人にとっては、迫力のある表現より、危機管理や安全管理が重要ですから。「そこに赤字入るんだ!?」って新鮮でしたね。もちろん、職人さんたちも同じように現場で「すごい!」とか「キレイ!」と感じることはあるみたいですけど、それを人に伝えることはしないんですよね。「ブルーズマガジン」では、そういう部分に光を当てたいという気持ちもあります。 石丸 雨森くんはね、現場と編集部をつなぐ役というか、職人さんたちと一番ぶつかる役だから大変だと思うよ。 雨森 すごくしっかりした人たちなんで、ちょっとした言葉遣いや、少し時間に遅れただけで怒られますから。礼節関係や冠婚葬祭、記念行事とかを、ものすごい大事にするんですよ。 ――ライターなんかやってると、年賀状とか気にしないですからね。 雨森 ですよね。一番そこを怒られるんですよ。あいさつ、コーヒーの出し方、差し入れのタイミング……そういうことをキッチリやれるようになると、「わかってるな、お前」ということで、やっとフレンドリーに話ができるようになるんです。 石丸 この人の役割はデカイですよ。現場の人たちに取材のオッケーをもらうのって、すごく難しいから。
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ザ・秘密基地感あふれる編集部。トレーニング器具は「いつでも現場で働けるように」とのこと
――ある意味、雑誌に出ても得はないですからね。仕事の発注が増えるわけでもないし。 雨森 そういう状態だったのが、ようやく「ウチをぜひ取材してください」と声をかけてもらえるようになったのがうれしいですね。自分たちの仕事が雑誌の取材対象になるなんて思ってもいなかったのに、「ブルーズマガジン」を読んだら、自分たちと同じような業種が取り上げられている。じゃあ、ウチも取材してもらおうと思ってくれているようです。 石丸 見本誌を持っていくと、職人さんたちがすっごく喜んでくれるんだよね。自分たちの方法論が間違ってなかったんだ、職人さんたちの心に触れるようなものが作れて、本当によかったなって思います。 ――少し前から、町工場など「ものづくり」の現場が注目されるようになりましたけど、土建の現場も注目されるようになってほしいですよね。 石丸 『プロジェクトX~挑戦者たち~』(NHK)みたいな大きなプロジェクトは注目されるけど、穴掘ったり、コンクリートの型枠を組んだりする職人さんが注目されるような時代は、まだまだ来てないでしょ。プロの開削師が手掘りで掘った穴って、すっごくキレイで感動しますけどね。板前の切った刺し身のように、穴の角度がバシッと決まってて。でも、その穴って必ず埋められちゃう。 雨森 夜、穴を掘って作業して、朝までに埋めて、次の日の夜、また掘り返してから作業という繰り返しなんです。 ――それでも、キレイに掘る必然性がある? 石丸 あるんですよ。ああいう工事って、掘ったところ、埋めたところ、作業したところ……っていう過程を一つ一つ写真に収めて、役所の人が確認するんですよ。よくボードを持って写真を撮ってるでしょ? 地面の中で水道管換えたかどうかなんて、わからないじゃないですか。でも、役所の人がつきっきりで監視しているわけにもいかないから、写真を見て確認するわけです。写真がお金になるんですよ。 ――写真で見せる用の、キレイな穴なんですね。 石丸 あとは、職人のプライドもあるでしょうね。
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  ■実際に現場で働きながら写真を撮るカメラマン ――この時代、フリーペーパーで発行し続けるというのは大変そうですけど、戦略はあったんですか? 石丸 書籍にするとか、ムック本にするとか、いろいろな方法があったと思うんですけど、なんでフリーペーパーにしたのかというと、GoogleでもTwitterでも、ネットって全部フリーサービスじゃないですか。フリーメディアには、新しい可能性があると思ったんですよね。だから「フリーでやる」という前提で、編集部をどこに構えるのか、何人で作るのか、流通をどうするのかというのを決めていきました。 ――採算ラインから逆算して成り立つ家賃の場所、人件費でやろうと。 石丸 とはいえ、なかなか大変ね。Twitter社も赤字なくらいだから。それでも応援してくれる人たちがいるから、やれていますけど。   雨森 ウチで撮ってもらっている、カメラマンの菊池(茂夫)さんによく言われるんですよ。菊池さんはコレを始めてから、実際に現場で働きながら撮影もしたりしていてるんで、本当にリアルなものを撮るっていう部分に貪欲なんですよね。だから「お前も、いつ現場に入るの?」ってよく言われています。 ――菊池さんはライブやバンド写真で有名な方だから、やはり現場でのライブ感覚を重視してるんですね。 石丸 菊池さんは現場に入って働いている人の目線で写真を撮り、自分は書き手の立場で現場に入る人でいたいと思います。シャベルを持たないほうがわかることも、あると思いますよ。
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■最新号は新企画満載!   ――「ブルーズマガジン」の今後の展望を聞きたいんですが、どんな企画をやっていこうと思っていますか? 石丸 これまでは、自分たちもまだまだ土建について知らないことが多いので、現場にあるものを取材していたんですが、最新号の7号特集は「未来土木」ということで、ようやく未来を語れるようになりました。月面のプラントとかね。 ――いきなり月! 土建に対する理解が深まったからこそ、未来に行けたと。 石丸 もちろん、まだまだわかってない部分も多いんだけど、土建の未来に対して想像力が働くようになったということですね。ほかにも、7号は新企画満載なんで、楽しみにしてほしいですね。「飯場」ってあるでしょ? 住み込みで働く。昔は汚いプレハブで、カバンひとつでやって来て「今日から働かせてください」みたいなところだったけど、今はちゃんとした寮のようになってるんですよ。まあ、三畳一間だけど。   「TATTOO BURST」(コアマガジン)の編集長だった川崎美穂さんと自分が、そこに行って一泊する「飯場探訪記」という企画をやっています。食堂で一緒に酒飲んで一緒に風呂に入って……これは面白いですよ(笑)。飯場には高齢の人も多いんですけど「女の人とお風呂に入ったのは20年ぶりだ」って拝んでたもんね。 雨森 北村さんも行きましょうよ! ――それは行きたいですねー。働くのはムリですけど……。東京オリンピックが控えていて建築ラッシュなんていわれていますが、土建業界に活気は感じますか? 石丸 よく聞くのは「人手が欲しい」ということですね。それだけ仕事が多いってことなんでしょうね。まあ、東京オリンピックをピークに一段落するんだとは思いますが、アスファルトにしてもなんでも、東京って新陳代謝がすごいじゃないですか。都会においては、土木建築っていうのは、これからもある一定の活況というのは続いていくと思います。 雨森 逆に被災地に取材に行ったときは、復興特需で盛り上がっているのかと思ったら、全然違いましたね。 石丸 地方だと、一回造っちゃったら、何十年も建て替えることなんてないから。 雨森 復興特需の中で稼げるだけ稼いだら、その先、仕事が減っちゃうんですよね。 ――最後に、「ブルーズマガジン」を、どんな人に読んでもらいたいですか? 石丸 土建をやっている人たちももちろんそうなんですけど、まったく別の仕事をしていて、現場のことをひとつも考えたことのない人にも読んでもらいたいですね。マニュアルに縛られたアルバイトとかをやっていて、生きているという実感を持てない人たちに土建の世界を知ってもらいたい。今、「生きている実感がない」とか言って、IS(イスラム国)にいきなり行っちゃったりするわけじゃないですか。そうやって極端な方向に行っちゃう若者がいるけど、そりゃ冷暖房の効いたところでマニュアル仕事をやってたら、生きている実感なんてないよ。    土木建築の世界って非常に厳しいし、人付き合いも難しい。でも、激しい仕事であるからこそ、生きている実感の塊だから。そういう若者に「こういう世界はどう?」って見せたいという気持ちもあります。「ブルーズマガジン」を読むと、風景が変わって見えてくると思うんですよ。何も考えずに水道水を飲んでいたら「塩素の入った水だ」くらいにしか思わないけど、水道を造っている人の話を読むと、水道に味がする気がするじゃないですか。同じように道路だってビルだって、周りのものすべてを実は人間が造っているんだなって思うと、感動しますよ。 ――高速道路を走っていると「これを造った人がいるのかー」って、気が遠くなりますよね。 石丸 予算の消化で造ってるんじゃないんです、ちゃんと人間が心を込めて造ってるんです! それを「ブルーズマガジン」を通して感じてほしいです。都市って、無機質なつまらないところじゃないんです。
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(取材・文・イラスト=北村ヂン) ●株式会社感電社ホームページ(ブルーズマガジン発行元) http://kandensha.com/ ・お取り寄せが可能です(有料)。ホームページからお問い合わせください。 ・配布店はホームページをご確認ください。

荒ぶる漢たちのリアル! 現役土建屋社長と石丸元章が立ち上げた「土木建築マガジン」編集部に潜入

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ここが編集部のハズなんだけど……
 作家の石丸元章が、「BLUE'S MAGAZINE(ブルーズマガジン)」なるフリーペーパーを作っているらしい。テーマはなんと「土木建築系総合カルチャーマガジン」。ど……土木建築!? 石丸さんって、ドラッグ小説とか書いてる人じゃなかったっけ? それがどうして、土木建築のフリーペーパーを!  ……というわけで今回は、「ブルーズマガジン」の制作現場である感電社の編集部に突撃した……のだが、もらった住所にたどり着いても、年代物のアパートが建っているだけで、フリーペーパーの編集部がありそうな雰囲気はゼロ。
blues03
あ、本当にここなんだ
 まさか、このアパートの中が会社なんてことは……あった! しかも「いろいろなものをこじらせたひとり暮らしの男子大学生の部屋」感あふれる、どーかした内装の部屋が編集部。「ザ・秘密基地」といった感じのこの部屋から生み出されている「ブルーズマガジン」について、主筆の石丸元章と、編集長の雨森諭司に話を訊いた。 ■土建は都市的で荒ぶる男たちの世界だ ――この感電社は「ブルーズマガジン」を作るために、現役土建会社社長の柳知進さんと石丸さんたちが立ち上げた会社なんですよね? 石丸 そうです。今日は柳も同席する予定だったんですけど、現場でトラブルがあったということで、そっちに行ってしまって。でも、今日みたいなものすごく暑い日に、現場で汗を流して働いているやつらがいる。そこで感じた心情をダイレクトに出せる雑誌を作りたいということで、僕のTwitterにメッセージをくれたんです。土建の現場で見たり感じたりしていること、起きている物語……そういうものが雑誌にもテレビにも、どこにも出てこないので、思うところがあったみたいですね。 ――石丸さんが土建フリーペーパーを作っていると聞いて意外でした。それまで、土建関係に興味は? 石丸 全然なかった。ダンプとトラックの違いも、シャベルとスコップの違いもわからなかったですもん。でも土建はね、荒ぶる男たちの世界じゃないですか。そして彼らは、極めて都市的な文化を持った人たちなんですよね。そこには興味を引かれました。土建の現場って、実は青山とか渋谷とか、都市の風景の中に溶け込んでいますから。 ――ああー、確かに工事が多く行われているのは、田舎じゃなくて都会ですよね。 石丸 だから、都市で暮らして、都市で稼いで、都市で遊んで……っていう人たちが働いている。そういう意味で、この雑誌のことを「土木建築系総合カルチャーマガジン」と呼んでいます。 ――土建でバイトをして稼いだ金で、演劇やバンドを頑張っているという若者も多そうですよね。 石丸 やっぱり、稼ぎって大事ですから。ただ、今は「本当は演劇やバンドをやりたいけど、我慢の期間として土建をやっているんだ」という人は意外と少ないんですよ。表現活動は表現活動としてやるけど、職人としても誇りを持ってやっているという人が多い。イースタンユースのドラムの田森篤哉さんは庭屋さんなんですが、「本当にこの仕事をやっていてよかった」と言っていますからね。「すごくクリエイティブだし、たくさん稼げる」と。イースタンの吉野(寿)さんと出会ったことと同じくらい、今の仕事に出会ったことは大きいと考えているようです。
blues01
「BLUE'S MAGAZINE」主筆の石丸元章氏と、編集長の雨森諭司氏
■迫力のある表現より、危機管理や安全管理が重要 ――土建という未知の世界に触れて、一番興味を引かれたのは、どういうポイントですか? 石丸 やっぱり現場ですね。土建の現場って、写真や映像で見ると、うるさくて汚くて危なくて……っていうイメージじゃないですか? でも、自分で足を踏み入れてみると、必ずしもそうじゃない部分も見えてくるんですよ。解体の現場なんて、これから命を失っていく建物の大きさとか荘厳さとか、すごく心を打つものがありますよ。これは、表現の領域で人に伝えるべきだと思いました。 雨森 そういう現場を、石丸さんはすごく文学的に表現するんですよ。「さながら戦場のような……」みたいに。実際に、その現場はすごかったんですけど、職人さんにチェックしてもらったら「戦場のような」はやめてくれと。 石丸 「ウチは安全第一なんだ」って(笑)。 ――現場の迫力を伝えるための文章だけど、現場の人からすると、その表現はダメなんですね。 雨森 現場の人にとっては、迫力のある表現より、危機管理や安全管理が重要ですから。「そこに赤字入るんだ!?」って新鮮でしたね。もちろん、職人さんたちも同じように現場で「すごい!」とか「キレイ!」と感じることはあるみたいですけど、それを人に伝えることはしないんですよね。「ブルーズマガジン」では、そういう部分に光を当てたいという気持ちもあります。 石丸 雨森くんはね、現場と編集部をつなぐ役というか、職人さんたちと一番ぶつかる役だから大変だと思うよ。 雨森 すごくしっかりした人たちなんで、ちょっとした言葉遣いや、少し時間に遅れただけで怒られますから。礼節関係や冠婚葬祭、記念行事とかを、ものすごい大事にするんですよ。 ――ライターなんかやってると、年賀状とか気にしないですからね。 雨森 ですよね。一番そこを怒られるんですよ。あいさつ、コーヒーの出し方、差し入れのタイミング……そういうことをキッチリやれるようになると、「わかってるな、お前」ということで、やっとフレンドリーに話ができるようになるんです。 石丸 この人の役割はデカイですよ。現場の人たちに取材のオッケーをもらうのって、すごく難しいから。
blues04
ザ・秘密基地感あふれる編集部。トレーニング器具は「いつでも現場で働けるように」とのこと
――ある意味、雑誌に出ても得はないですからね。仕事の発注が増えるわけでもないし。 雨森 そういう状態だったのが、ようやく「ウチをぜひ取材してください」と声をかけてもらえるようになったのがうれしいですね。自分たちの仕事が雑誌の取材対象になるなんて思ってもいなかったのに、「ブルーズマガジン」を読んだら、自分たちと同じような業種が取り上げられている。じゃあ、ウチも取材してもらおうと思ってくれているようです。 石丸 見本誌を持っていくと、職人さんたちがすっごく喜んでくれるんだよね。自分たちの方法論が間違ってなかったんだ、職人さんたちの心に触れるようなものが作れて、本当によかったなって思います。 ――少し前から、町工場など「ものづくり」の現場が注目されるようになりましたけど、土建の現場も注目されるようになってほしいですよね。 石丸 『プロジェクトX~挑戦者たち~』(NHK)みたいな大きなプロジェクトは注目されるけど、穴掘ったり、コンクリートの型枠を組んだりする職人さんが注目されるような時代は、まだまだ来てないでしょ。プロの開削師が手掘りで掘った穴って、すっごくキレイで感動しますけどね。板前の切った刺し身のように、穴の角度がバシッと決まってて。でも、その穴って必ず埋められちゃう。 雨森 夜、穴を掘って作業して、朝までに埋めて、次の日の夜、また掘り返してから作業という繰り返しなんです。 ――それでも、キレイに掘る必然性がある? 石丸 あるんですよ。ああいう工事って、掘ったところ、埋めたところ、作業したところ……っていう過程を一つ一つ写真に収めて、役所の人が確認するんですよ。よくボードを持って写真を撮ってるでしょ? 地面の中で水道管換えたかどうかなんて、わからないじゃないですか。でも、役所の人がつきっきりで監視しているわけにもいかないから、写真を見て確認するわけです。写真がお金になるんですよ。 ――写真で見せる用の、キレイな穴なんですね。 石丸 あとは、職人のプライドもあるでしょうね。
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  ■実際に現場で働きながら写真を撮るカメラマン ――この時代、フリーペーパーで発行し続けるというのは大変そうですけど、戦略はあったんですか? 石丸 書籍にするとか、ムック本にするとか、いろいろな方法があったと思うんですけど、なんでフリーペーパーにしたのかというと、GoogleでもTwitterでも、ネットって全部フリーサービスじゃないですか。フリーメディアには、新しい可能性があると思ったんですよね。だから「フリーでやる」という前提で、編集部をどこに構えるのか、何人で作るのか、流通をどうするのかというのを決めていきました。 ――採算ラインから逆算して成り立つ家賃の場所、人件費でやろうと。 石丸 とはいえ、なかなか大変ね。Twitter社も赤字なくらいだから。それでも応援してくれる人たちがいるから、やれていますけど。   雨森 ウチで撮ってもらっている、カメラマンの菊池(茂夫)さんによく言われるんですよ。菊池さんはコレを始めてから、実際に現場で働きながら撮影もしたりしていてるんで、本当にリアルなものを撮るっていう部分に貪欲なんですよね。だから「お前も、いつ現場に入るの?」ってよく言われています。 ――菊池さんはライブやバンド写真で有名な方だから、やはり現場でのライブ感覚を重視してるんですね。 石丸 菊池さんは現場に入って働いている人の目線で写真を撮り、自分は書き手の立場で現場に入る人でいたいと思います。シャベルを持たないほうがわかることも、あると思いますよ。
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■最新号は新企画満載!   ――「ブルーズマガジン」の今後の展望を聞きたいんですが、どんな企画をやっていこうと思っていますか? 石丸 これまでは、自分たちもまだまだ土建について知らないことが多いので、現場にあるものを取材していたんですが、最新号の7号特集は「未来土木」ということで、ようやく未来を語れるようになりました。月面のプラントとかね。 ――いきなり月! 土建に対する理解が深まったからこそ、未来に行けたと。 石丸 もちろん、まだまだわかってない部分も多いんだけど、土建の未来に対して想像力が働くようになったということですね。ほかにも、7号は新企画満載なんで、楽しみにしてほしいですね。「飯場」ってあるでしょ? 住み込みで働く。昔は汚いプレハブで、カバンひとつでやって来て「今日から働かせてください」みたいなところだったけど、今はちゃんとした寮のようになってるんですよ。まあ、三畳一間だけど。   「TATTOO BURST」(コアマガジン)の編集長だった川崎美穂さんと自分が、そこに行って一泊する「飯場探訪記」という企画をやっています。食堂で一緒に酒飲んで一緒に風呂に入って……これは面白いですよ(笑)。飯場には高齢の人も多いんですけど「女の人とお風呂に入ったのは20年ぶりだ」って拝んでたもんね。 雨森 北村さんも行きましょうよ! ――それは行きたいですねー。働くのはムリですけど……。東京オリンピックが控えていて建築ラッシュなんていわれていますが、土建業界に活気は感じますか? 石丸 よく聞くのは「人手が欲しい」ということですね。それだけ仕事が多いってことなんでしょうね。まあ、東京オリンピックをピークに一段落するんだとは思いますが、アスファルトにしてもなんでも、東京って新陳代謝がすごいじゃないですか。都会においては、土木建築っていうのは、これからもある一定の活況というのは続いていくと思います。 雨森 逆に被災地に取材に行ったときは、復興特需で盛り上がっているのかと思ったら、全然違いましたね。 石丸 地方だと、一回造っちゃったら、何十年も建て替えることなんてないから。 雨森 復興特需の中で稼げるだけ稼いだら、その先、仕事が減っちゃうんですよね。 ――最後に、「ブルーズマガジン」を、どんな人に読んでもらいたいですか? 石丸 土建をやっている人たちももちろんそうなんですけど、まったく別の仕事をしていて、現場のことをひとつも考えたことのない人にも読んでもらいたいですね。マニュアルに縛られたアルバイトとかをやっていて、生きているという実感を持てない人たちに土建の世界を知ってもらいたい。今、「生きている実感がない」とか言って、IS(イスラム国)にいきなり行っちゃったりするわけじゃないですか。そうやって極端な方向に行っちゃう若者がいるけど、そりゃ冷暖房の効いたところでマニュアル仕事をやってたら、生きている実感なんてないよ。    土木建築の世界って非常に厳しいし、人付き合いも難しい。でも、激しい仕事であるからこそ、生きている実感の塊だから。そういう若者に「こういう世界はどう?」って見せたいという気持ちもあります。「ブルーズマガジン」を読むと、風景が変わって見えてくると思うんですよ。何も考えずに水道水を飲んでいたら「塩素の入った水だ」くらいにしか思わないけど、水道を造っている人の話を読むと、水道に味がする気がするじゃないですか。同じように道路だってビルだって、周りのものすべてを実は人間が造っているんだなって思うと、感動しますよ。 ――高速道路を走っていると「これを造った人がいるのかー」って、気が遠くなりますよね。 石丸 予算の消化で造ってるんじゃないんです、ちゃんと人間が心を込めて造ってるんです! それを「ブルーズマガジン」を通して感じてほしいです。都市って、無機質なつまらないところじゃないんです。
blues05i
(取材・文・イラスト=北村ヂン) ●株式会社感電社ホームページ(ブルーズマガジン発行元) http://kandensha.com/ ・お取り寄せが可能です(有料)。ホームページからお問い合わせください。 ・配布店はホームページをご確認ください。

盗撮された女性社員に「たいしたことない」 セクハラ・犯罪行為を黙認する、韓国企業の悪質な隠蔽体質

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イメージ画像(Thinkstockより)
 いよいよ夏本番となった韓国で、仰天の盗撮事件が横行している。  7月26日、釜山(プサン)のある中学で起きた盗撮事件が明らかになった。授業中に男子中学生が、女性教師のスカートの中をスマートフォンで撮影。その画像を共有していたというのだ。    事件は、別の生徒の密告によって発覚。学校側は問題の男子生徒に10日間の自宅謹慎を命じたが、彼はそのまま転校してしまったという。幸いにも、盗撮画像は友人間だけで回されていたことがわかり、女性教師は法的処置を取らず、画像を所持していた7人の生徒には、校内奉仕処分が下されている。    一方、7月15日に起きた事件は、その対応の悪さに非難の声が上がっている。    忠清南道(チュンチョンナムド)で会社員の男が、同じオフィスで働く女性社員のスカート内を堂々と盗撮。それに気づいた女性は、男に詰め寄った。男は否定したが、犯行の様子はしっかりと監視カメラに残されていた。男は以前から女性社員たちの太ももを触るなど、典型的なセクハラおやじとして問題視されていたようだ。    確固たる証拠をつかんだこの女性は、意を決して会社に懲戒処分を求めるのだが、その反応は予想外のものだった。ある幹部は、彼女に向かって「たいしたことないだろう」「問題を起こすな」と非難。さらに、事件を公にしないよう求めたというのだ。  会社のありえない隠蔽体質に嫌気が差した女性社員だが、泣き寝入りはしなかった。彼女は事件から1週間後、退職届を提出。男はもちろん、隠蔽を指示した幹部たちを告訴する準備を進めると明かしている。    会社ぐるみの隠蔽といえば、先日も盗撮を隠蔽したマクドナルドが炎上したばかりだけに(参照記事)、ネット民の反応も「その会社名、公表しろよ。あきれすぎて言葉も出ない」「盗撮画像は幹部たちと共有してたのでは? そう考えないと、対応がおかしすぎる」など、怒りの声が上がっている。  ちなみに韓国では、昨年7,623件の盗撮が摘発された。これは、2011年の1,523件からおよそ5倍の増加になる。特にこれから肌の露出が増えれば、それを狙った盗撮犯罪は、さらに増えると考えられる。韓国でトイレや更衣室を使う際は、注意が必要だ。

盗撮された女性社員に「たいしたことない」 セクハラ・犯罪行為を黙認する、韓国企業の悪質な隠蔽体質

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イメージ画像(Thinkstockより)
 いよいよ夏本番となった韓国で、仰天の盗撮事件が横行している。  7月26日、釜山(プサン)のある中学で起きた盗撮事件が明らかになった。授業中に男子中学生が、女性教師のスカートの中をスマートフォンで撮影。その画像を共有していたというのだ。    事件は、別の生徒の密告によって発覚。学校側は問題の男子生徒に10日間の自宅謹慎を命じたが、彼はそのまま転校してしまったという。幸いにも、盗撮画像は友人間だけで回されていたことがわかり、女性教師は法的処置を取らず、画像を所持していた7人の生徒には、校内奉仕処分が下されている。    一方、7月15日に起きた事件は、その対応の悪さに非難の声が上がっている。    忠清南道(チュンチョンナムド)で会社員の男が、同じオフィスで働く女性社員のスカート内を堂々と盗撮。それに気づいた女性は、男に詰め寄った。男は否定したが、犯行の様子はしっかりと監視カメラに残されていた。男は以前から女性社員たちの太ももを触るなど、典型的なセクハラおやじとして問題視されていたようだ。    確固たる証拠をつかんだこの女性は、意を決して会社に懲戒処分を求めるのだが、その反応は予想外のものだった。ある幹部は、彼女に向かって「たいしたことないだろう」「問題を起こすな」と非難。さらに、事件を公にしないよう求めたというのだ。  会社のありえない隠蔽体質に嫌気が差した女性社員だが、泣き寝入りはしなかった。彼女は事件から1週間後、退職届を提出。男はもちろん、隠蔽を指示した幹部たちを告訴する準備を進めると明かしている。    会社ぐるみの隠蔽といえば、先日も盗撮を隠蔽したマクドナルドが炎上したばかりだけに(参照記事)、ネット民の反応も「その会社名、公表しろよ。あきれすぎて言葉も出ない」「盗撮画像は幹部たちと共有してたのでは? そう考えないと、対応がおかしすぎる」など、怒りの声が上がっている。  ちなみに韓国では、昨年7,623件の盗撮が摘発された。これは、2011年の1,523件からおよそ5倍の増加になる。特にこれから肌の露出が増えれば、それを狙った盗撮犯罪は、さらに増えると考えられる。韓国でトイレや更衣室を使う際は、注意が必要だ。

金融不況に打ち勝つ大胆PR!?  ネットアイドルに「ハミ尻M字開脚」させた中国大手銀行の株価が上昇中!

hamiketsu01
中国光大銀行上海支店前でのグラビア撮影。ネットアイドルの沈夢瑤は、一部で「金融界一の女神」と称されている
 経済成長の鈍化により、苦境に陥っている金融機関も多い中国で、ある銀行が大胆なPR戦略に打って出た。  モデルコンテストでの優勝経験もある沈夢瑤(シェン・モンヤオ)というネットアイドルが、中国光大銀行上海支店前でグラビア撮影を敢行。ぱつんぱつんのショートパンツをはき、下尻をはみ出させたり、キャッシュカードを口にくわえ、恥ずかしそうにM字開脚をしたりしている写真が、ネット上で拡散した。  
hamiketsu02
M字開脚は、なかなかのもの
hamiketsu03
小道具にクレジットカードとは、ただのグラビア撮影とは思えない
 お堅い銀行のイメージを覆すセクシーなPRは大いに話題となったが、銀行側は「勝手に撮影されただけで無関係」との声明を発表。しかし、それを信じる者は誰もいない。沈は、過去にも同行のPR活動に参加しているからだ。
hamiketsu04
上海市内のショッピングモールで展開した、中国光大銀行のプロモーション広告
「金投信用卡」(7月24日付)によると、数日前、上海市内のショッピングモールで、あるネットアイドルがショッピングを楽しむ様子をネット上でストリーミング配信した。その女性は、ファンに対し「明日はみんなと会える日だから、ちゃんと準備しなくちゃ。明日のデートに着ていくカワイイ服を選ぶね」と呼びかけると、ファンの意見を聞き入れながら買う服を決めた。支払いを済ませようとおもむろにクレジットカードを取り出すと、そこには中国光大銀行のロゴが。つまり、これは同行がクレジットカードの利用を促すためのプロモーション活動だったのだ。そして、その女性こそが、沈だった。彼女は、同行のイメージキャラクーなのである。これでは同行がどんな釈明をしようと、信じてもらえないのも無理はない。今では、同行による自作自演というのが一致した見方となっている。  先日、フォーシーズンズホテル上海でのハメ撮り動画が流出した際には(参照記事)、主役の女が在籍する証券会社、それにプレイの際に使用された家具のメーカーの株価が上がったが、中国光大銀行の株価も、一連の報道が出た先月22日頃から上昇を続けている。中国では、エロを利用した炎上商法が効果的ということだろうか? さらに過激な“プロモーション”を期待したい。 (文=中山介石)

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M字開脚は、なかなかのもの
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小道具にクレジットカードとは、ただのグラビア撮影とは思えない
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上海市内のショッピングモールで展開した、中国光大銀行のプロモーション広告
「金投信用卡」(7月24日付)によると、数日前、上海市内のショッピングモールで、あるネットアイドルがショッピングを楽しむ様子をネット上でストリーミング配信した。その女性は、ファンに対し「明日はみんなと会える日だから、ちゃんと準備しなくちゃ。明日のデートに着ていくカワイイ服を選ぶね」と呼びかけると、ファンの意見を聞き入れながら買う服を決めた。支払いを済ませようとおもむろにクレジットカードを取り出すと、そこには中国光大銀行のロゴが。つまり、これは同行がクレジットカードの利用を促すためのプロモーション活動だったのだ。そして、その女性こそが、沈だった。彼女は、同行のイメージキャラクーなのである。これでは同行がどんな釈明をしようと、信じてもらえないのも無理はない。今では、同行による自作自演というのが一致した見方となっている。  先日、フォーシーズンズホテル上海でのハメ撮り動画が流出した際には(参照記事)、主役の女が在籍する証券会社、それにプレイの際に使用された家具のメーカーの株価が上がったが、中国光大銀行の株価も、一連の報道が出た先月22日頃から上昇を続けている。中国では、エロを利用した炎上商法が効果的ということだろうか? さらに過激な“プロモーション”を期待したい。 (文=中山介石)

韓国・男性嫌悪コミュニティで殺人を助長?「韓国男を殺しても罪悪感のない人、これ試してみて」

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イメージ画像(足成より)
 ある書き込みが、韓国のネット上で炎上している。  タイトルは「不凍液を混ぜたコーヒーを、男性上司にずっと出していたんだけど」というもので、以下のような内容だ。 「不凍液を飲ませれば、人を殺せるという話……。誰かの冗談だと思ったけど、何度か(上司に)試してみたよ。その上司、昨夜、胃液を吐いて入院しちゃったらしい。これって私のせいかしら? 不凍液飲ませれば死ぬって、本当だったのね?」  不凍液とは、暖房などに使われる冷却水の一種。主成分であるエチレングリコールは、生体内で有毒化する物質だ。人が飲んだ場合、発熱や嘔吐、臓器損傷などの症状を伴う。大量に摂取すると死に至るのだが、無色・無臭のため誤飲事故が多く、犯罪に使われることもあるらしい。  特定の異常者の行動と思うかもしれないが、韓国のネット上では「不凍液を飲ませた」という書き込みが、ほかに数百件近く散見される。例えば「カフェで働いているんだけど、男性客の飲み物に不凍液を混ぜた」「不凍液を男性同僚が使う紙コップの底に塗ってある」などなど。コメント欄には「原液も売っているけど、水で薄めて何日かに分けて飲ませたほうがいい」「〇〇で売っている。致死量は〇〇ぐらい」といったアドバイスまで飛び交うありさまだ。  もうお気づきかもしれないが、これらの書き込みには共通点がある。不凍液を飲ませたのは女性で、飲まされる相手は決まって男性ということだ。  実は、不凍液に関する無数の書き込みが上がっているのは「ウォマード(womad)」という韓国の男性嫌悪コミュニティだった。韓国には同様のコミュニティがいくつか存在するが、ウォマードはその中で最も激しく「男性嫌悪」「女性優越主義」を唱える集団である。男性の間では「韓国ネットコミュニティ界のIS」「核廃棄物」といわれる、悪名高き存在だ。 「韓国男を殺しても罪悪感のない人、これ試してみて」と、不凍液を紹介する1件の書き込みからウォマードの“不凍液ブーム”が始まったようだが、女性限定のネットコミュニティが「男性嫌悪」、ひいては「男性殺害」を助長していたとは、誰も思っていなかっただろう。  ネットには、彼女たちに対して「殺人未遂を告白するバカ女たち」「ホントひどい世の中になったな」「クレイジーな人間が多すぎる。どうにかならないのか?」と、批判の声があふれ返っている。  不凍液に関するウォマードの書き込みは、すでに警察へ通報され、現在捜査中だというが、男性たちに飲ませていたのが事実なら、傷害罪が適用される。韓国では男性による女性嫌悪がひとつの社会問題となっているが、決して女性たちも負けていないようだ。

韓国・男性嫌悪コミュニティで殺人を助長?「韓国男を殺しても罪悪感のない人、これ試してみて」

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イメージ画像(足成より)
 ある書き込みが、韓国のネット上で炎上している。  タイトルは「不凍液を混ぜたコーヒーを、男性上司にずっと出していたんだけど」というもので、以下のような内容だ。 「不凍液を飲ませれば、人を殺せるという話……。誰かの冗談だと思ったけど、何度か(上司に)試してみたよ。その上司、昨夜、胃液を吐いて入院しちゃったらしい。これって私のせいかしら? 不凍液飲ませれば死ぬって、本当だったのね?」  不凍液とは、暖房などに使われる冷却水の一種。主成分であるエチレングリコールは、生体内で有毒化する物質だ。人が飲んだ場合、発熱や嘔吐、臓器損傷などの症状を伴う。大量に摂取すると死に至るのだが、無色・無臭のため誤飲事故が多く、犯罪に使われることもあるらしい。  特定の異常者の行動と思うかもしれないが、韓国のネット上では「不凍液を飲ませた」という書き込みが、ほかに数百件近く散見される。例えば「カフェで働いているんだけど、男性客の飲み物に不凍液を混ぜた」「不凍液を男性同僚が使う紙コップの底に塗ってある」などなど。コメント欄には「原液も売っているけど、水で薄めて何日かに分けて飲ませたほうがいい」「〇〇で売っている。致死量は〇〇ぐらい」といったアドバイスまで飛び交うありさまだ。  もうお気づきかもしれないが、これらの書き込みには共通点がある。不凍液を飲ませたのは女性で、飲まされる相手は決まって男性ということだ。  実は、不凍液に関する無数の書き込みが上がっているのは「ウォマード(womad)」という韓国の男性嫌悪コミュニティだった。韓国には同様のコミュニティがいくつか存在するが、ウォマードはその中で最も激しく「男性嫌悪」「女性優越主義」を唱える集団である。男性の間では「韓国ネットコミュニティ界のIS」「核廃棄物」といわれる、悪名高き存在だ。 「韓国男を殺しても罪悪感のない人、これ試してみて」と、不凍液を紹介する1件の書き込みからウォマードの“不凍液ブーム”が始まったようだが、女性限定のネットコミュニティが「男性嫌悪」、ひいては「男性殺害」を助長していたとは、誰も思っていなかっただろう。  ネットには、彼女たちに対して「殺人未遂を告白するバカ女たち」「ホントひどい世の中になったな」「クレイジーな人間が多すぎる。どうにかならないのか?」と、批判の声があふれ返っている。  不凍液に関するウォマードの書き込みは、すでに警察へ通報され、現在捜査中だというが、男性たちに飲ませていたのが事実なら、傷害罪が適用される。韓国では男性による女性嫌悪がひとつの社会問題となっているが、決して女性たちも負けていないようだ。

習近平のコラ画像転載で「不敬罪」!? 言論弾圧強まる中国で、大学生が10日間拘留処分に

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大学生がアップしたと見られる画像。こちらは見ればわかる通り、習近平とナチスの制服のコラ画像
 習近平政権の発足以降、言論統制や民主化活動家への弾圧が強まっている中国で、安徽省に住む20歳の男子大学生が、Facebookで見つけた画像を中国版Twitter「微博」に転載しただけで、地元の公安当局によって逮捕されてしまった。その容疑は「侮蔑行為」だという。  台湾メディアなどが伝えたところによると、実はその大学生が転載したのは、偉大なる習総書記を揶揄したコラ画像だったのだ。公安局はこれを「下劣な影響を与える」として、中国の法律に則り、10日間の拘留処分とした。この件が明るみに出ると、ネット上では政治的表現の問題や政治的人物の人格権についての意見が飛び交ったが、これらは当局によって即座に削除された。
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こちらはおそらく、ヒットラー風にしたもの
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イギリスの週刊経済紙「エコノミスト」の表紙に掲載された、習近平を清王朝最盛期の皇帝だった乾隆帝になぞらえた画像
 中国の「治安管理処罰法」では、公然と他人を侮辱したり、事実を捏造して誹謗中傷した者は、5日以下の拘留または500元(約7,800円)以下の罰金、さらに情状の重い者には、5日以上10日以下の勾留または500元以下の罰金が科されることになっている。  中国の街角やネット上では、罵詈雑言が日常的に飛び交っているが、一般人相手の侮蔑行為で逮捕されたというニュースは皆無だ。この男子学生は事実上、「元首に対する不敬罪」で処罰されたといっていい。  まともな国家であれば、こういった政治的な人物を揶揄する画像をアップしても罪に問われることなどなく、新聞やニュース雑誌などは政治家や大統領を風刺した挿絵を盛んに掲載しているが、さすがの中国ではそうもいかないらしい。
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「菊の花顔」と題してシールやTシャツとしてゲリラ的に販売されたもの。これを作った芸術家は逮捕されたという
 昨年10月頃からは、中国共産党のスキャンダル暴露本を出版・販売していた書店の関係者を拉致・監禁する事件が相次いだが、国内の言論に対する習近平による弾圧は、ますます厳しくなっているようだ。  かつての社会主義国家・旧ソ連でも世論に対する締め付けが厳しかったが、庶民たちは政治家たちを揶揄するアネクドート(風刺小話)でその憂さを晴らしていた。その中のひとつに、酔っぱらいが赤の広場で「(国家最高指導者の)ブレジネフはバカだ!」と叫んで逮捕されたが、その罪状は最高指導者に対する侮辱罪および国家機密漏洩罪だった――というジョークもある。  おそらく中国でも、中国共産党や習近平を風刺する小話が人民の間でこっそり広まっているのは間違いない。ただし、それをネット上にアップしたりすれば逮捕されるリスクがあることを人民はわかっている。くだんの大学生は、まだ若くてそのへんの社会の機微をわかっておらず、軽い気持ちでコラ画像をアップしてしまったのだろう。  いずれにしても、中国という国はなんとも住みにくい場所である。 (文=牧野源)

習近平のコラ画像転載で「不敬罪」!? 言論弾圧強まる中国で、大学生が10日間拘留処分に

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大学生がアップしたと見られる画像。こちらは見ればわかる通り、習近平とナチスの制服のコラ画像
 習近平政権の発足以降、言論統制や民主化活動家への弾圧が強まっている中国で、安徽省に住む20歳の男子大学生が、Facebookで見つけた画像を中国版Twitter「微博」に転載しただけで、地元の公安当局によって逮捕されてしまった。その容疑は「侮蔑行為」だという。  台湾メディアなどが伝えたところによると、実はその大学生が転載したのは、偉大なる習総書記を揶揄したコラ画像だったのだ。公安局はこれを「下劣な影響を与える」として、中国の法律に則り、10日間の拘留処分とした。この件が明るみに出ると、ネット上では政治的表現の問題や政治的人物の人格権についての意見が飛び交ったが、これらは当局によって即座に削除された。
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こちらはおそらく、ヒットラー風にしたもの
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イギリスの週刊経済紙「エコノミスト」の表紙に掲載された、習近平を清王朝最盛期の皇帝だった乾隆帝になぞらえた画像
 中国の「治安管理処罰法」では、公然と他人を侮辱したり、事実を捏造して誹謗中傷した者は、5日以下の拘留または500元(約7,800円)以下の罰金、さらに情状の重い者には、5日以上10日以下の勾留または500元以下の罰金が科されることになっている。  中国の街角やネット上では、罵詈雑言が日常的に飛び交っているが、一般人相手の侮蔑行為で逮捕されたというニュースは皆無だ。この男子学生は事実上、「元首に対する不敬罪」で処罰されたといっていい。  まともな国家であれば、こういった政治的な人物を揶揄する画像をアップしても罪に問われることなどなく、新聞やニュース雑誌などは政治家や大統領を風刺した挿絵を盛んに掲載しているが、さすがの中国ではそうもいかないらしい。
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「菊の花顔」と題してシールやTシャツとしてゲリラ的に販売されたもの。これを作った芸術家は逮捕されたという
 昨年10月頃からは、中国共産党のスキャンダル暴露本を出版・販売していた書店の関係者を拉致・監禁する事件が相次いだが、国内の言論に対する習近平による弾圧は、ますます厳しくなっているようだ。  かつての社会主義国家・旧ソ連でも世論に対する締め付けが厳しかったが、庶民たちは政治家たちを揶揄するアネクドート(風刺小話)でその憂さを晴らしていた。その中のひとつに、酔っぱらいが赤の広場で「(国家最高指導者の)ブレジネフはバカだ!」と叫んで逮捕されたが、その罪状は最高指導者に対する侮辱罪および国家機密漏洩罪だった――というジョークもある。  おそらく中国でも、中国共産党や習近平を風刺する小話が人民の間でこっそり広まっているのは間違いない。ただし、それをネット上にアップしたりすれば逮捕されるリスクがあることを人民はわかっている。くだんの大学生は、まだ若くてそのへんの社会の機微をわかっておらず、軽い気持ちでコラ画像をアップしてしまったのだろう。  いずれにしても、中国という国はなんとも住みにくい場所である。 (文=牧野源)