友情の頂点と終焉、どちらもが一瞬のきらめきを持つ『奇貨』

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『奇貨』(松浦理英子、新潮社刊)

 『奇貨』(松浦理英子、新潮社刊)は、いい大人になったからこそコントロールするのが難しい、“友情”をめぐる小説だ。

 私小説作家・本田は、普通の男と同じように女が好きだが、性格もセックスも受け身を良しとする性質が災いして、生来まともに恋愛が続かない。それでも、同性といるよりは女性といる方が気楽で、「女同士のように女と友達付き合いをしたい」という傍から理解されにくい願望を持っている45歳。

 そんな本田にとっての数少ない友人の1人が、ルームメイトでもある、10歳年下のレズビアン、七島。鋭い観察眼や正直な物言いのせいか、こちらも長い間、決まった恋人ができないままだ。

ユーモア精神、無理っすわ~! 『夫とは、したくない。』の導く珍アンサー

『夫とは、したくない。~セックス
レスな妻の本音~』(ブックマン社)

 『夫とは、したくない。~セックスレスな妻の本音~』(ブックマン社)。センセーショナルなタイトルにドキッとする本書。10人のセックスレス妻が座談会で「夫としたくないこと」を本音で語りまくり、それらに対し、2万組のカップルの問題を解決してきた二松まゆみ先生が処方術を教えまくるという、夫婦円満対策本です。

 「なぜ、昨日の愛情が今日の殺意に変わるのか!?」とショッキングな帯文がついているんですが、結婚5年目の私、言ってる意味がわかります! 今まではそういった話を耳にする度、アタシたちもぉ、そうなっちゃうのかにゃ?」的な感じで夫に甘えるという、自分には関係がないどころか、むしろ夫婦関係の旨味要素として「夫に殺意が湧く」系の話は使用させていただいていました。

他人だから理解の努力をする――『うつまま日記。』が掴んだ家族の核心

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『うつまま日記。』(コンボ)

 起床は7時。授乳を済ませておむつを替え、そして赤ちゃんの顔を拭く。「顔を拭くことで赤ちゃんが朝だと気づくんですよ」と育児雑誌に書いてあったから。機嫌よく遊んでいる間に洗濯機に洗濯物を詰め込み、大人たちの朝ごはんの支度。食べようと思った途端に泣き出すわが子。冷めた味噌汁をかきこんで、さあ掃除。それまでは5日に一度、ガーッと掃除機かける程度だったのに。だって赤ちゃんに埃はよくないと、これまた育児雑誌にあったから。「外気に触れることで赤ちゃんは丈夫な体に……」ということで張り切ってお散歩、買い物、たそがれ泣きが激しいので、おんぶをしたまま夕飯作り。お風呂、ベビーマッサージ、あぁ耳掃除も爪切りもしないと。異常なテンションのまま「お母さん」の1日は過ぎていく。

 思えば母親業、特に子どもが小さいうちの母親という役割は、自分じゃない自分になりきらなければこなせないものだった。この頃の私にとって「お母さん」とは無意識なる“躁”状態で、当時のことを思い出そうとしても記憶がだいぶ抜け落ちている。もし、あの時なんらかのタイミングで張りつめたテンションが切れ、心が急降下していたら……その可能性は十分にあっただろう。私はかなり“完璧な母親”という幻影に支配されていた。

『ギャルと不思議ちゃん』から“女子”“ガール”へ……女の子たちの戦争の果て

『ギャルと不思議ちゃん論: 女の子た
ちの三十年戦争』(原書房)

 バブル時代のボディコンギャルや90年代のコギャル、2000年代のエビちゃんOL、森ガールなど、途切れることなく盛り上がり続けている女性カルチャー。『ギャルと不思議ちゃん論:女の子たちの三十年戦争』(原書房)は、文字通り「ギャル」と「不思議ちゃん」という、日本だけでなく海外からも「GYARU(渋谷)」「Kawaii(原宿)」として注目される現代女性カルチャーの二大陣営の成り立ちとその背景を追っていき、そこから見える女性と社会の関わりとその変化を丁寧に綴っています。

 本書では、雑誌「CUTiE」(宝島社)や「egg」(大洋図書)、「東京ストリートニュース!」(現・学研ホールディングス)、「アウフォト」(新潮社)、「CanCam」(小学館)、「小悪魔ageha」(インフォレスト・パブリッシング)、映画『桜の園』『下妻物語』、マンガ『ホットロード』(紡木たく/集英社)、『ヘルタースケルター』(岡崎京子/祥伝社)、『天使なんかじゃない』『NANA』(矢沢あい/集英社)、『致死量ドーリス』(楠本まき/祥伝社)などを通して、近代の「少女」という概念から、差異化競争の果てに生まれた現代の「ギャル」「不思議ちゃん」についての分析を試みています。男性による女性カルチャー論というと、「女性の理解者になりたい」という欲求が行間からうかがえたり、単純に萌え萌えしていたりというケースが割りと見受けられますが、本書は対象と距離を置いた冷静な筆致です。

あらやだ、マリコって泉ピン子に似てない!? 林真理子初写真集(?)レビュー

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『美女入門スペシャル 桃栗三年美女
三十年』/マガジンハウス

 は~い、タテロール高柳です。今日は、「オンナの独り遊び」番外編として、あの林真理子の初・写真集(?)『美女入門スペシャル 桃栗三年美女三十年』(マガジンハウス)をご紹介しちゃうわよ~。

 マリコとワタシって、もう長い付き合いなの。もちろん「an・an」(同)の後ろにあるエッセイ連載「美女入門」を通してだけど。マリコが一生懸命ダイエットに励み、美しくなろうとしていた頃、ワタシもダイエットに励んだわよ~。あのマリコが美しくなって、「こんなに痩せた!」っていう写真を発表してから、もう軽く20年はたつんじゃないかしら。あの当時、エッセイにたびたび登場してた美形編集者のテツオだって、もういい年になってるわ。それよりマガジンハウスにもういないんじゃないかしらねぇ(遠い目)。(※編註:まだマガジンハウスにいらっしゃるようです)

 マリコは、ワタシたち女子の憧れなの。マリコのように田舎から出てきた冴えない女子が、マスコミの寵児になって、テレビや雑誌に出まくり、そして「an・an」で自分のバブルライフを自慢する……そんなマリコみたいになりたい女子、多かったはずよねぇ。

加藤茶の嫁なんて目じゃないわ! 超歳の差カップルになって甘えまくるの~

 はぁ~い! タテロール高柳です。まったくもう7月よ~。去年の夏も、ダーリンを探して旅に出たわ。あれから1年、ワタシもすっかり大人になったの。焦ってあちこち探すのはやめたの。この間、合コンに行って悟ったわ。人間焦るとロクなことが起きないわよねぇ。たいした物件でもないのに、「もうこれで手を打とうかしら……」なんて。ダメよ! そんなことじゃ、不況だからって弱気になっちゃダメ。ワタシには、きっとどこかで待っているエリートイケメンがいるはずなのよ。この夏は、運命のオンナになるわ~。

母親たちのつながりに依存するPTAという組織、「本当の敵」はどこにいる?

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『七人の敵がいる』(加納朋子、集
英社)

 現在放送中のドラマ『七人の敵がいる!』(フジテレビ系)をご覧になったことはあるだろうか。PTAを舞台にしたワーキングマザーの奮闘記。何に奮闘するかと言えば、理不尽な規律、女性同士特有のしがらみ、傍観者を決め込む男性たち、社会状況が著しく変化しているにも関わらず、全く変わろうとしない組織の実態などなど。しかし多分に昼ドラ的脚色がなされていることもあり、小学生息子を持つ当事者としては見続けるにはちとキツい番組でもある。

 『名前をなくした女神』(同)もそうだが、この手の話は「これだから女ってヤツは……」「ママ友こわいこわい」とか、女に付与されやすいイメージに帰着されがちだ。たぶん、その方がウケるから。ドラマ版『七敵』をトゥーマッチに感じる方は、どうぞこの原作本を。加納朋子著『七人の敵がいる』(集英社)には、女の嫌味と妬みの全面戦争だけでは済まされない、母親とその周辺社会とのヒリヒリする関係が存分に描かれている。

母親たちのつながりに依存するPTAという組織、「本当の敵」はどこにいる?

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『七人の敵がいる』(加納朋子、集
英社)

 現在放送中のドラマ『七人の敵がいる!』(フジテレビ系)をご覧になったことはあるだろうか。PTAを舞台にしたワーキングマザーの奮闘記。何に奮闘するかと言えば、理不尽な規律、女性同士特有のしがらみ、傍観者を決め込む男性たち、社会状況が著しく変化しているにも関わらず、全く変わろうとしない組織の実態などなど。しかし多分に昼ドラ的脚色がなされていることもあり、小学生息子を持つ当事者としては見続けるにはちとキツい番組でもある。

 『名前をなくした女神』(同)もそうだが、この手の話は「これだから女ってヤツは……」「ママ友こわいこわい」とか、女に付与されやすいイメージに帰着されがちだ。たぶん、その方がウケるから。ドラマ版『七敵』をトゥーマッチに感じる方は、どうぞこの原作本を。加納朋子著『七人の敵がいる』(集英社)には、女の嫌味と妬みの全面戦争だけでは済まされない、母親とその周辺社会とのヒリヒリする関係が存分に描かれている。

AV借りにくい、寺社ガールウザい! 坊主が本性を晒した『美坊主図鑑』

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『美坊主図鑑』(廣済堂出版)

 坊主頭は人を選ぶ。何しろ、髪型での誤魔化しがきかないゆえ、その人本来の顔面偏差値がもろに浮き彫りになりうる。坊主頭が似合う男こそ、イケメン界の王者なのではないだろうか。

 そんなことを考えながら、先月発売された奇書『美坊主図鑑』(廣済堂出版)を開いた。著者は美しいお坊さんが大好きな女性集団の“日本美坊主愛好会”。数年前から、「高尾山には、ハンサムなお坊さんが多いらしい」などと情報交換をしつつ、あちこちの美坊主に会いに行く活動をしていたのが、満を持して本にまとめられたのだという。「お寺に行こう、お坊さんを愛でよう」をキャッチコピーに掲げ、イケメンから癒し系、クリーミー系まで、総勢40人の美しい坊主が登場。“クリーミー系”となんだかよく分からないジャンルを作ってしまうあたり、やりたい放題である。

そりゃヘルシーだろうけど……「生大根ダイエット」の大根わっしょいレシピの数々

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「やせてヘルシー! 生大根ダイエッ
ト」(主婦の友社)

 「○○ダイエット」。この言葉にどれだけの女たちが振り回され、裏切られ、苦汁をなめてきただろうか。「リンゴがいい」と聞きつけては、朝昼晩と狂ったようにリンゴを食べ続けた。「いや、バナナだ」と言う人あれば、スーパーからバナナが消えた。「ゆで卵」に至っては、板東英二もどん引きするくらいむさぼり食った。

 しかし、これらいわゆる“一品ダイエット”はリバウンドという悲しい記憶と記録だけ残して終わっていく。極端な食生活により一時的に体重は減るものの、驚くほど簡単に元に戻る。同じものを食べ続ける「飽き」との戦い、他のものが食べられない「ストレス」との戦いに、身体はあっさりと白旗を揚げるのだ。高校時代、私はブームだった「リンゴダイエット」に手を出し(もちろん玉砕)、それ以来リンゴを見るたびに反射的に「米」と「肉」が食べたくなってしまう。なんてトラウマだ。栄養バランスがよい食事を心がけ、毎日の運動も欠かさない。それがダイエット、いや健康への急がば回れだと誰もが分かっているのに、「○○ダイエット」のようなスーパーでミラクルな一手につい惹かれてしまう。この「生大根ダイエット」も、そんな女心を狂わせるあだ花だと思っていた。