“王者”はなぜ、玉座から引きずり降ろされた? 関係者が独白『フジテレビ凋落の全内幕』

fuji1019
『フジテレビ凋落の全内幕』(宝島社)
 「“王者”が窮地に立たされている。」という書き出しから本書は始まる。ここでいう王者とは、フジテレビのことである。  『フジテレビ 凋落の全内幕』(宝島社)は、視聴率の悪化と、業績不振が騒がれているフジテレビ及び、フジの巨大メディアグループを多角的に検証、全11章からなる一冊だ。筆を握るのはジャーナリストやノンフィクションライター、さらには、放送作家、元フジテレビの記者などといった様々な職種の面々だ。  まず、第1章で1988年より社長として君臨、2001年以降会長の座に居座り続ける日枝久氏の長期独裁体制が抱える問題点をフリージャーナリスト中川一徳氏が指摘する。第2章では、フジの株主総会の異常性、第3章では、決算書からフジ・メディア・ホールディングスの経営状態にメスを入れている。  また、第5章では、俳優・高岡蒼甫(現・高岡奏輔)のTwitterの書き込みから端を発した、11年の「反フジテレビ“嫌韓”デモ」を考察している。こういった比較的近年の事象を挙げているため、その当時の経験や感情を鮮明に思い出しながら読み進むことができる。  当時を振り返ると、韓流ドラマ、K-POPなど、韓国のコンテンツがブームから一つのジャンルとして定着する過渡期だったように思う。国民的行事の『NHK紅白歌合戦』でも東方神起、少女時代、KARAの韓国グループ3組が出場していた。フジテレビだけに限らず、日本中の各局が、多かれ少なかれ、韓流ブームに乗っていたはずだった。  高岡の「8(フジテレビ)は今マジで見ない」のツイートで、フジテレビと韓流が直結したのだろう。結果、嫌韓運動が反フジテレビへと移行していった。こういった流れを、デモの参加者の様子などを交えて考察しているのが非常に興味深い。  第8章では、“カトパン”こと元フジテレビ女性アナウンサー、加藤綾子の退社及び移籍の話が出てくる。この章のタイトルは「エースアナもフジを見放した!?『カトパン』がフリー移籍先に大手芸能事務所を選んだ裏事情」である。フジテレビ凋落がテーマである本書において、一人のアナウンサーの進退について1章を使って取り上げられているのが面白い。“フジの女子アナ”というブランドは、同局において大きな意味を持つのだろう。  さらに、最終章の他局との比較。日本テレビ系『エンタの神様』の企画、演出を行っていた五味一男氏が、日テレとフジの違いを自身の経験をもとに考察している。例えば、“視聴者のため”という番組作りと視聴者の立場に立つ番組作りの違いは、「天と地ほどの開きがあります」と主張する。  普段、何気なくテレビを見ている一般視聴者には両者の違いは、わかりにくい。その違いを、私たちの生活に身近な事例を挙げて解説している。  テレビは、我々のごく身近にある。「インターネットの普及で、テレビは衰退した」という意見を耳にするが、そのネット上で取り沙汰されているコンテンツは、いまだテレビのものが多い。そういう意味では、今でもテレビはメディアの王様だろう。王様であればこそ賛辞の声は減り、一方で批判は増える。  一つの事象があると、「その原因はこれだ」と短絡的に考えてしまいがちだが、本来、そんな簡単に見通せるものではない。本書は、内幕本としても楽しめるが“フジテレビの視聴率低下”という一つの事象をさまざまな角度から検証しているという点で、問題追及のあり方としても有意義な一冊である。 (文=二木知宏[スクラップロゴス])

“王者”はなぜ、玉座から引きずり降ろされた? 関係者が独白『フジテレビ凋落の全内幕』

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『フジテレビ凋落の全内幕』(宝島社)
 「“王者”が窮地に立たされている。」という書き出しから本書は始まる。ここでいう王者とは、フジテレビのことである。  『フジテレビ 凋落の全内幕』(宝島社)は、視聴率の悪化と、業績不振が騒がれているフジテレビ及び、フジの巨大メディアグループを多角的に検証、全11章からなる一冊だ。筆を握るのはジャーナリストやノンフィクションライター、さらには、放送作家、元フジテレビの記者などといった様々な職種の面々だ。  まず、第1章で1988年より社長として君臨、2001年以降会長の座に居座り続ける日枝久氏の長期独裁体制が抱える問題点をフリージャーナリスト中川一徳氏が指摘する。第2章では、フジの株主総会の異常性、第3章では、決算書からフジ・メディア・ホールディングスの経営状態にメスを入れている。  また、第5章では、俳優・高岡蒼甫(現・高岡奏輔)のTwitterの書き込みから端を発した、11年の「反フジテレビ“嫌韓”デモ」を考察している。こういった比較的近年の事象を挙げているため、その当時の経験や感情を鮮明に思い出しながら読み進むことができる。  当時を振り返ると、韓流ドラマ、K-POPなど、韓国のコンテンツがブームから一つのジャンルとして定着する過渡期だったように思う。国民的行事の『NHK紅白歌合戦』でも東方神起、少女時代、KARAの韓国グループ3組が出場していた。フジテレビだけに限らず、日本中の各局が、多かれ少なかれ、韓流ブームに乗っていたはずだった。  高岡の「8(フジテレビ)は今マジで見ない」のツイートで、フジテレビと韓流が直結したのだろう。結果、嫌韓運動が反フジテレビへと移行していった。こういった流れを、デモの参加者の様子などを交えて考察しているのが非常に興味深い。  第8章では、“カトパン”こと元フジテレビ女性アナウンサー、加藤綾子の退社及び移籍の話が出てくる。この章のタイトルは「エースアナもフジを見放した!?『カトパン』がフリー移籍先に大手芸能事務所を選んだ裏事情」である。フジテレビ凋落がテーマである本書において、一人のアナウンサーの進退について1章を使って取り上げられているのが面白い。“フジの女子アナ”というブランドは、同局において大きな意味を持つのだろう。  さらに、最終章の他局との比較。日本テレビ系『エンタの神様』の企画、演出を行っていた五味一男氏が、日テレとフジの違いを自身の経験をもとに考察している。例えば、“視聴者のため”という番組作りと視聴者の立場に立つ番組作りの違いは、「天と地ほどの開きがあります」と主張する。  普段、何気なくテレビを見ている一般視聴者には両者の違いは、わかりにくい。その違いを、私たちの生活に身近な事例を挙げて解説している。  テレビは、我々のごく身近にある。「インターネットの普及で、テレビは衰退した」という意見を耳にするが、そのネット上で取り沙汰されているコンテンツは、いまだテレビのものが多い。そういう意味では、今でもテレビはメディアの王様だろう。王様であればこそ賛辞の声は減り、一方で批判は増える。  一つの事象があると、「その原因はこれだ」と短絡的に考えてしまいがちだが、本来、そんな簡単に見通せるものではない。本書は、内幕本としても楽しめるが“フジテレビの視聴率低下”という一つの事象をさまざまな角度から検証しているという点で、問題追及のあり方としても有意義な一冊である。 (文=二木知宏[スクラップロゴス])

“超変態セックス”の報酬は月400万円! 知られざる裏仕事の全貌を網羅『実話! 超ヤバい裏仕事』

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『実話! 超ヤバい裏仕事』(宝島社)
 世の中には、いろんな職業がある。宝島社から発売中の『実話! 超ヤバい裏仕事』は、品行方正な職業の紹介……というわけではもちろんない。排泄物を食べるスカトロAV女優や、芸能人にシャブをバラまく売人といった裏のプロフェッショナルの稼ぎを月収で網羅。さらには、警察や医師など一見ホワイトに見える職種の裏稼業が取り扱われている。  ドラマや映画などのフィクションでたびたび扱われる“裏仕事”。本書によれば、下は月3,000円と小遣い程度だが、上は月400万円稼ぎ出す者も。月400万円を手にできる仕事とはいったいどんなものなのだろうか?  女優を目指していたとある女性は、ある日、知り合いの女性から「いいバイトがある」とチャットレディーの仕事を紹介されたそうだ。仕事に慣れ始めたある日、雇い主からさらに高収入の仕事を紹介された。それは“あてがわれたセレブ男性とセックスをすること”。女性は怖くなり断ったが、その仕事を引き受けた紹介者の女性がセックスに従事する姿を目撃してしまう。  そのプレイ内容がなんとも衝撃的だ。紹介者の女性は、血のようなもので全身が真っ赤。「相手が腕や足を切って、その血を私に飲ませるのが気持ち悪かった」「ウンコを塗られたり、食べさせられたりした」と紹介者の女性は、苦情を訴えた。しかし、雇い主は「月400万円払っているんだから、我慢してよ」と返した。血とウンコまみれの女性は、その後、清純派歌手としてデビュー。誰もが知る売れっ子になったそう。  裏仕事といっても、種類は多種多様。延々とゴキブリを踏み潰す「フェチ系女優」は月3万円。今の恋人と別れたいカップルの間に入る「別れさせ屋」は月60万円。テレビ番組や音楽のMVの無断アップロードで稼ぐ「違法ユーチューバー」は、平均して月15万円ほどの稼ぎになるという。さらに、僧侶に化けて葬式に紛れ込む無資格の「ニセ坊主」は月35万円を手にしているとか。ちなみに、このニセ坊主は自ら売り込みを行い、多数の葬儀社と契約を結んでウハウハだそうだ。  裏仕事師インタビューとして“秒速で1億稼ぐ男”与沢翼が登場。転落から復活し、現在のシンガポールでの新生活にいたるまでを、洗いざらい語っている。「嫌われっぷりではホリエモンに勝ったぞ!」と語る与沢は、資産15億円まで上り詰めた。  悪巧みを思いつくのは人間の性か。その手腕と稼ぎ出す数字に、良くも悪くもため息が出る。

最年少球団社長は、横浜DeNAベイスターズの何を変えたか? 池田純『空気のつくり方』

kuuki1013
『空気のつくり方』(幻冬舎)
「あのベイスターズが、よもやここまで変わるとは……」  最下位がもはや“定位置”と化していたかつての弱小ぶりをつぶさに見てきた野球ファンなら、今季、悲願のクライマックスシリーズ(CS)初進出を果たした横浜DeNAベイスターズの躍進には、誰もがそんな感想を抱いていることだろう。  何しろ、本拠地・横浜スタジアム(以下、ハマスタ)の今季の観客動員は、マシンガン打線&大魔神を擁して日本一にも輝いた1998年さえをも凌駕する過去最多の約194万人。5位のカープにすら11.5ゲームもの大差をつけられて、ぶっちぎりの最下位に沈んだ“身売り”直前の11年シーズンが、12球団ワーストの約110万人だったことを思えば、まさに「超」がつくほどの驚異的なV字回復だと言っていい。  そうしたベイスターズの“再生”までの道のりを、経営者の立場から詳細に語ってくれているのが、現役最年少の球団社長でもある池田純氏の手による本書『空気のつくり方』(幻冬舎)。35歳という若さで、巨額の赤字を垂れながす弱小球団の舵とり役を託された氏が、どのようにしてチームの「空気」を変えてきたかが、豊富な具体例&数字とともにうかがい知れる、野球ファン必読の1冊だ。 「経営は私が必ず再建してみせる。ファンと観客動員数を増やして全試合満員にし、必ず健全経営(黒字化)を実現してみせる。だから、選手みんなには、そのファンのために必ず結果を出せるようなチームになってもらいたい」  球団初年度となった12年の船出は、キャンプイン前日のホテルで社長自らがした、そんな“決意表明”にも、選手たちのあいだから冷ややかな声が「実際に漏れ聞こえた」というほど前途多難。その時点では、“新生”ベイスターズが、たったの5年でここまで見違える球団になるなどとは、現場レベルでさえ露ほども思っていなかったに違いない。  だが──。11年時点で24億円もあった赤字は、この5年で3億円へと大幅に圧縮され、昨季オフには「不可能」とまで言われたハマスタのTOBも実現。「コントロール可能な領域に徹底的に力を注ぐ」という信念のもとで次々に打ちだされる施策によって、今年度中には早くも当初の目標である「黒字化」をも達成する見込みだというのだから、その手腕たるや卓絶の一語。  ハマスタのTOBに際して掲げられた「横浜に根づき、横浜と共に歩む」というメッセージが、いかに横浜という街に浸透してきたかは、たった5,000人しかいなかったファンクラブ会員が、7万5,000人を超えるまでに膨れあがっていることからも、容易に想像がつくはずだ。  むろん、ここ5年の成績は、6位、5位、5位、6位と来て、11年ぶりのAクラスとなった今季も3位とはいえ、69勝71敗3分で借金は「2」。98年当時のような、誰もが認める「強いチーム」になるまでには、まだまだ時間もかかるだろう。  しかし、そうであるからこそ、ベイスターズの「これから」が楽しみなのもまた事実。 「チームに投資できるのは経営健全化の過程で、最後のフェーズです。『投資してチームを強くすることで経営を健全化させる』のではなく、『まずは経営を健全化させ、その後にチームに投資し、経営とチームの好循環を生む』のです」 「経営や組織に対する信頼感を構築できたこれからのフェーズでは、結果をきちんと出した選手に年俸の面でもしっかりと報いていき、『活躍すれば夢のある年俸を手にすることができる』という空気をつくっていくことが重要だと考えています」  本書の中で社長自らがそう言いきっているように、球団が「チームへの投資」に本格的に乗りだすのは、名実ともに「健全経営」の基盤が整う来季以降。  徹底したマーケティングとブランディングを武器に、ベイスターズを「経営のしっかりした、革新的・挑戦的で、カッコいい球団」へと変貌させてきた若きリーダーがみせる次なる一手には、ファンならずとも、いまから期待を抱かずにはいられない──。 (文=鈴木長月)

エロチックな色白美人は元過激派だった! 定番ジャンルの異質マンガ『おんな教師』

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『おんな教師』(グループ・ゼロ)
「女教師」……不思議とエロチックな響きがするのは、なぜでしょうか? 僕が煩悩の塊だから? いや、それだけではないはずです。世の男性諸君は、誰しも「女教師」という言葉に少なからずエッチなニュアンスを感じ取っているに違いありません。  それはおそらく、われわれの頭の中に『まいっちんぐマチコ先生』とか『いけない!ルナ先生』などといった、エッチな女教師マンガを読んだ記憶が残っているからにほかならないのですが、もしこんな先生が実在して授業をしてくれていたら、きっと僕らの人生は変わっていたのではないでしょうか? それも、悪い意味で。  そんな、青少年にとって、今後の人生を左右しかねない影響力を持つジャンル「女教師マンガ」にあって、ひときわ異質なマンガがあります。その名も『おんな教師』(原作:真樹日佐夫、作画:上村一夫)という作品です。  表紙カバーイラストを見れば一目瞭然ですが、上村先生の描く線の細い美人画が、めちゃくちゃ艶っぽいです。加えて、タイトルも女教師と書かず、あえて『おんな教師』としているところに異様ななまめかしさがあります。女教師マンガをこよなく愛す僕としては、いやが上にもボルテージが上がってしまいます。    主人公は、静岡県のとある中学校に配属された、千種美冴(ちぐさ・みさえ)という新人女教師。静岡有数の問題校で、新人の美冴先生が奮闘するという話です。単に新人教師が奮闘するマンガであれば、教師マンガのよくあるフォーマットですが、この作品が異質なのは美冴先生の経歴です。  なんと、美冴先生は過激派「天の声」の元リーダー。思想的に対立するほかの左翼団体や過激派をボコりまくっていた、バリバリの武闘派だったのです。作品冒頭からずっと過激派の乱闘シーンが続くので、このマンガが本当に女教師モノなのかどうか、ちょっと不安になってしまうほどです。  しかし、「天の声」が警察の介入により壊滅状態となり、職探しをしたところ、教師の職が見つかるのでした。  か細くて色白美人の美冴先生は、同僚の教師から、生徒から、さらに生徒の親から言い寄られたり、襲われたりします。むしろ、襲われるケースのほうが多いというのがこのマンガの異常なところなのですが、なにしろ元過激派ですから、襲ってくる男どもはことごとく返り討ちです。  例えば、美冴先生の歓迎会の席では、副主任の男性教師が2人っきりになったタイミングで上から覆いかぶさってきました。普通の女教師だったら泣き叫ぶようなシーンですが、まったく動じない美冴先生。それどころか……。 「離さないと死ぬことになるわ、あなた」 などと、殺し屋みたいなセリフ。実は、とっさにテーブルにあったつまようじを手に取り、男性教諭の後頭部にチクっと突き刺していたのです。ブラックエンジェルスかよ……おそろしや。  続いて、番長格の生徒が、生意気な新人教師をシメてやろうと、校舎裏に美冴先生を呼び出して襲います。舎弟が複数人で取り押さえているため、さすがの美冴先生も身動きが取れません。番長がズボンを下ろし始め、いよいよ犯されてしまうのか……というところで、まさかのセリフ。 「ホーッホホホッ!! そんな可愛いサイズで女をモノにできると思って?」 「先生ね、こう見えても百人くらい男性経験があって、なかにはコーラのビンほどの者もいたわ。それにくらべたら、まるで赤ちゃん」  愚息を赤ちゃん扱いされてしまった番長は、最初の勢いはどこへやら、すっかりシュンとしてしまいます。さらに、取り押さえている周りの舎弟たちにも一喝。 「離しなさい! それとも、あなたたち総がかりで先生を悦ばせてくれる?」 「悦ばせてくれる?」って。それ、教師が使う言葉じゃないだろ! とにかく、不良少年たちのメンタルをズタボロにした美冴先生の完全勝利です。ちなみに番長は、このことが原因でEDになってしまいます。過激派の手口、おそるべし……。  美冴先生の魅力は、男まさりの腕っ節や度胸だけでなく、聖母マリアのような器のデカさにあります。先生をレイプしようとした番長と舎弟たち。普通なら停学処分になってもおかしくありませんが、美冴先生は「まったく、おいたなんだから……」と、彼らをデコピンするだけで不問としてしまいます。いや、それはおいたじゃなくて、犯罪なんですが……。  そのほかにも、スケ番、番長が恐れる真の裏番、ヤクザの親分などが次々と登場しますが、美冴先生の過激派仕込みの懐柔メソッドが炸裂。みんな、美冴先生のとりこになっていくのです。  1980年代の作品ということで、当時の世相を反映してか、「過激派」「日教組」といった左翼的なキーワードがやたらと飛び交い、それだけでも普通の教師マンガとかなり違う雰囲気を味わえるのですが、一見か弱くて生真面目そうなルックスの美冴先生が、やたらと武闘派な上に、ちょいちょいオッパイをポロリしたり、パンツを見せたりしながら、生徒たちをガンガン懐柔していくスタイルはほかではあまり見たことがなく、女教師マンガとして、特異な存在といえるでしょう。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>) 「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから

野球賭博、覚せい剤、女性問題……腐敗止まらぬ、巨人軍の「闇」

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『巨人軍「闇」の深層』(文春新書)
 クライマックスシリーズでDeNAに敗れ、今シーズンを終えた読売ジャイアンツ。2016年は球団にとって、球場外でも苦しい1年となった。  2月には、OBの清原和博氏が覚せい剤取締法違反で逮捕され、3月には、昨年膿を出し切ったはずの野球賭博問題で高木京介投手が謝罪し、契約解除。さらに、昨年野球賭博で解雇された笠原将生元投手、松本竜也元投手は練習中も「声出し」(試合前の円陣で声出しをした選手は、チームが試合に勝った場合にはほかの選手たちから祝儀として現金を受け取り、負けた場合には逆に全員に現金を支払うというもの)と呼ばれる賭けに興じる選手たちの姿を証言。その結果、桃井恒和球団会長、白石興二郎オーナー、そして、「ナベツネ」こと渡邉恒雄最高顧問の引責辞任が発表された。 「週刊文春」(文藝春秋)記者・西崎伸彦氏は『巨人軍「闇」の深層』(文春新書)において、それらの問題を巨人軍が抱える構造的な問題と看破している。「紳士」たるはずの巨人選手に、いったい何が起こっているのだろうか?   一連の野球賭博事件は、15年9月30日、読売ジャイアンツ球場に、野球賭博常習者で大学院生の松永成夫がやってきたことに端を発する。彼は、福田聡志元投手に貸した195万円の返済を求めて乗り込んできたのだった。その後、芋づる式に笠原、松本らの関与が発覚し、球界を揺るがす大事件へと発展する。  3選手の解雇が決定し、事態は沈静化の兆しを見せたものの、16年2月、笠原の告白から再び事件は動きだす。文春の取材に応じた笠原が、野球賭博に至った経緯をつぶさに語ると、この記事に触発された松本は、選手寮内で恒常的に行われていた賭けトランプや賭けマージャンなどの実態を告白し、練習中にエラーした選手に対する賭けの実態を証言する。さらに、文春の綿密な取材によって浮かび上がってきたのが、高木の名前だった。文春側が巨人軍に対し、正式な質問状として高木の野球賭博への関与を確認すると、回答期限の翌日、巨人軍は緊急記者会見を行った……。  なぜ巨人軍では、このような犯罪行為が横行しているのだろうか? 筆者は、過去の事件を検証しながらその原因を探る。  かつて西崎がスクープし、世間の注目を集めた、原辰徳監督の恐喝事件。過去の女性問題で恐喝を受け、1億円もの大金を暴力団員に支払っていた経緯を報じたものだった。しかし、実は記事になる前、この動きをかぎつけた巨人軍側は、新聞広告や電車中吊りなどの、すべての文春の広告から原監督に関する記事を塗り潰すなどして削除するよう求める仮処分申立を東京地裁に起こすなど、躍起になって文春側に対して圧力をかけてきた。彼らは、原監督は脅迫の被害に遭っただけであり、恐喝の相手が反社会的勢力に所属する人間だという認識はなかったと言い逃れをしている。 「プロ野球の憲法」と呼ばれる野球協約には、「暴力団、あるいは暴力団と関係が認められる団体の構成員又は関係者、その他の反社会的勢力と交際し、又は行動を共にし、これらの者との間で、金品の授受、饗応、その他いっさいの利益を収受又は供与し、要求はまた申込み、約束すること」に対して、1年間もしくは無期の失格処分を規定している。加害者側が「反社会的勢力」であると認められれば、シーズン途中での原監督の退任も避けられなかったのだ。また、警察側も巨人軍に対して、加害者は「反社会的勢力」ではないと説明。実は、原監督は09年、暴力団排除をうたう警視庁のポスターに起用されており、反社会的勢力との交際が発覚すれば、警察としてもメンツが丸つぶれとなってしまう。余談だが、覚せい剤取締法で捕まった清原氏も西武時代に「覚せい剤うたずにホームラン打とう」というポスターに起用されている……。結局、原監督はお咎めなしのまま、続投した。  反社会的勢力や密接交際者が、プロ野球選手に近寄ってくるのは、珍しいことではない。12年の日本シリーズMVPに選ばれた内海哲也投手は、元暴力団員に女性との交際トラブルの解決を依頼。この人物は、阿部慎之助捕手とタレント・小泉麻耶との不倫スキャンダルにも深く関わり、「密接交際者」として球界では悪名高い存在であった。さらに遡れば、1990年に発覚した「投げる不動産王」こと桑田真澄元投手による、元暴力団関係者に対する「登板日漏洩事件」でも、巨人軍は野球協定にある「1年間の出場停止」を「1カ月の公式戦出場停止」にねじ曲げ、事実関係もうやむやなまま、事態の収拾を図っている。  もしも、過去に問題を深く掘り下げ、抜本的な改善がなされていたなら、今日の反社会的勢力と選手との関わりや、野球賭博との関わりも防げたはずだ。しかし、問題を先送りにし、対症療法を繰り返してきた「球界の盟主」は、醜態をさらし続けることとなる……。  残念ながら、今回の野球賭博事件でも「根本治療」が果たされることはないだろう。  賭博事件以降、産経新聞とサンケイスポーツのインタビューにおいて、前述の「声出し」を告白した笠原に対して、巨人軍は両紙が事実に反する情報を流布していると、NPBに緊急の対処を求めた。また、NPBもその姿勢を後押しするように、産経新聞に対して記事の訂正を求める抗議書を送り、事実上の取材拒否となる管理施設内への立ち入りの通告を行っている。  高木の賭博告白会見から7カ月。現在もなお、野球賭博に関わった「第5の選手」の存在が噂され、各メディアでは水面下での取材が行われている。巨人軍をめぐるスキャンダルは、まだ終わらないだろう。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])

亡くなったあの人へ送る、73通の手紙『天国ポスト もう会えないあの人に想いを届けます。』

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『天国ポスト もう会えないあの人に想いを届けます。』(トランスワールドジャパン)
 人は、いつか死ぬ。当たり前のことだが、死んでしまったら、もう会話をすることはできない。けれど、親や兄弟、恋人、友人など、身近な人が亡くなると、伝えたいことや答えてほしいことがたくさん出てくる。 『天国ポスト もう会えないあの人に想いを届けます。』(トランスワールドジャパン)は、“天国ポスト”に投函された1,000通以上の手紙から、73通を紹介した1冊だ。  天国ポストとは、涙を流すことで心のデトックスを図る“涙活”プロデューサーの寺井広樹氏が考案し、直木賞作家の志茂田景樹氏が命名した、もう会えなくなった人に手紙を届けてくれるポストのこと。福島県いわき市にある、元郵便局長の猪狩弘之さんのご自宅の庭にあるポストをメインに、全国各地に設置箇所を増やしている。  誕生のきっかけは、寺井氏が福島県同市で涙活イベントを開催した際に、もう二度と会えない、亡くなった人に「ありがとう」を伝えたい、という声が多数あったことからだという。  紹介されている手紙には、とてもパーソナルな内容が書かれているが、不思議と気持ちが痛いほど伝わってくる。すべて読んだ中で、つい泣いてしまった2通がある。 「お母さん 私のところからはお母さんが見えません。お母さんからは見えていますか? 最後の日の日めくりもあの日のまま、片付けることができないでいます。 それでも思い出してすぐ泣いてしまう事はだいぶ少なくなったように思います。 “元気一番”お母さんが書いてくれたものをみると元気が出ると同時にまた泣けてくる。 私はあなたの娘ですから強いはず。すぐに笑顔になるからね。どこかで見ていてください。 じゃあ、またね。」 「ママへ パパへ 会いたい…会いたい! でもね…いつもいてくれるよね。時々夢を見ます。 いろいろ片付けなさい! 洗たくすんだの? ごはんは? いっぱい言われて、 でも最後は笑ってゆるしてくれるよね!!苦笑いもあるけど…! 会いたいけど、あんまり思わないようにします。見守ってね!」  個人的な話だが、私の母が、2カ月ほど前に亡くなった。がんだったので、突然ではなく、2年間の闘病中にたくさん話すこともできた。けれど、伝えたいことはいくらでも出てくる。  息を引き取ってから、どうなっちゃったの? 閉所恐怖症だったのに、火葬場の狭いところで焼かれて怖くなかった? ちゃんと天国にたどり着いた? 友達やおじいちゃん、おばあちゃんには会えた? 今、一体どこにいるの――?   正直なところ、返事がほしい。「大丈夫!」そのひと言がほしい。きっと天国ポストに投函した人たちも、そうじゃないかと思う。けれど、いくら待っても返事が届かないことは、みんなわかっている。その現実を乗り越えるために、思い切り泣く。そんな手助けをしてくれる本なのかもしれない。 (文=上浦未来)   ●てらい・ひろき 1980年、兵庫県生まれ。同志社大学経済学部卒。涙活プロデューサー。2013年、意識的に涙を流すことで心のデトックスを図る「涙活」を発案。『タカトシの涙が止まらナイト』(テレビ東京)には企画段階から協力している。川嶋あいと絵本『ぼくの天国ポスト』(絵本塾出版)のイメージソングを共同作詞。主な著書に『涙活でストレスを流す方法』(主婦の友社)、『泣く技術』(PHP文庫)などがある。 ●しもだ・かげき 1940年、静岡県生まれ。中央大学法学部卒。さまざまな職を経て80年、『黄色い牙』で直木賞受賞。多彩な作品を発表する傍ら「よい子に読み聞かせ隊」を結成、2014年、日本絵本賞読者賞受賞。多ジャンルで活躍し、読み聞かせ&講演の開催数は1,800回を超える。

「あ~もう将軍やめたいなぁ……」歴史上の偉人たちがかく語りき『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳・戦国時代』

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『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳・戦国時代』(幻冬舎)
 ドラマチックに歴史を語る人をご存じですか? 歴史の本であるはずなのに、まるで小説を読んでいるかのように、ドキドキ・ワクワクする本を最近執筆されました。  その人とは、お笑いコンビ「ブロードキャスト!!」の房野史典さまです。そんな房野さまが書かれた本が今、密かに話題になっております。『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳・戦国時代』(幻冬舎)で、遥か昔である戦国時代の出来事を、まるで今、目の前で起きているかのように語ってくれます。  戦国時代の話なのに、学校で休み時間に、クラスメイトが芸能ニュースを話しているみたいに解説してくれます。私は、歴史が好きです。今まで、歴史書や教科書などから歴史を学んできましが、この本を読んで、もっともっと歴史を好きになりました。  この本は、今まで歴史に興味がなかった方でも楽しめる本です。歴史って、人の生き様なんです。だから、面白いのですが、学者さんが書くエピソードは史実に基づいています。歴史は諸説あります。本書は、有力ではない説なども掲載されてはいるものの、お笑いライブに来ているかのように歴史をおもしろく伝えてくれます。  例えば、応仁の乱。普通であれば、8代将軍・足利義政の跡継ぎ争いであったと説明するところを 「あ~もう将軍やめたいなぁ……そろそろバトンタッチしたいな……」 「いや、オレ子供いねーじゃん」 という口語訳から始まります。小説のようなテンポで、説明があり、このように続きます。 「あ、でも弟いるわ。弟でいいや」 そのあと子供が生まれてしまい、弟と子供、どちらが跡継ぎになるか、そのことを昼ドラのようだと説明する著者。  さらに、佳境を迎えたNHK大河ドラマ『真田丸』で堺雅人演じる真田信繁率いる真田一家についても解説しています。1586年、真田一家は天下分け目の戦いこと、関ヶ原の戦いを目前にして、徳川側につくのか豊臣側につくのか迫られます。苦渋の決断のすえに、兄の昌幸は徳川側に。父・信幸と弟・信繁は豊臣側につくことになりました。こうすれば、どちらか一方が生き残る。しかし、逆に言えば二度と会えない“今生の別れ”というべき、涙なくしては語れない逸話です。  こちらを本書では…… 昌幸「三成が家康を討つつもりらしい」 信幸・信繁「え!?」 昌幸「協力してくれないかと要請が来てる」 信幸・信繁「え!?」 昌幸「どう思う?」 というゆる~いテンションではじまるのです。まるで、漫才の台本のようですね。  今まで、このような書きぶりの歴史の本を見たことがありません。この本は手取り足取り、説明してくれるので、まだ歴史を習っていない子供でも理解できます。ひとり語りで、講談師のような、笑って泣ける戦国時代がここにあります。  歴史上の人物の生き方を知るのは、いろんな歴史の引き出しが重なり合うことが必要です。中学校の日本史、高校の世界史、新聞記事等、知識がミルフィーユ上に重なった時にはじめて面白いと感じるのです。  でも、この本はそれが1冊でできるので、歴史好きが持つ、面白いという感覚をすぐに体得できます。  教科書では読めない裏話や面白エピソードも満載です。関ヶ原の戦いで家康が何をしていたのか。なんと、150通手紙を書いていたそう! 情報戦を勝ち抜くため、さらには寝返ってほしいという手紙をしたためていたというのは、さすがは家康だと思いました。  これは東大では習いません! 教科書で習った人が、これって友達の○○さんみたい!というような感じでリアリティを持てるんです。  歴史をこれから学ぶ方にもぜひ読んでいただきたいです。きっと歴史を嫌いにならなくて済むと思います。買って帰ったら、ヒーローになれるかもしれません。  私も娘のために、もう1冊買います! あっ、私まだ結婚してなかった……。 (文=たかまつなな)

闇社会とのつながり断ち切れぬ芸能界、次の“ドン”は誰だ!?『増補新版芸能人はなぜ干されるのか?』

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『増補新版芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)
 このほど、『増補新版芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)という書籍が刊行された。同書は、2014年に刊行された『芸能人はなぜ干されるのか?』に新たに補章を加え、これまでほとんど報道されてこなかった芸能界の裏側を鋭くえぐるノンフィクションだが、内容の過激さから発売早々話題となっている。ここでは著者の星野陽平氏に同書刊行の真意を聞いた。 ――まず、旧版の『芸能人はなぜ干されるのか?』の内容について説明していただけますか? 星野陽平(以下、星野) 2009年3月にタレントの北野誠がパーソナリティを務める『誠のサイキック青年団』(ABCラジオ)が突如、終了し、その後、北野も番組内などで不適切な発言があったとしてしばらく謹慎するという事件がありましたよね。この事件を取材する過程で、いわゆる「干される」という現象から日本の芸能界が抱える構造的な問題が見えてきたわけです。それで5年ほどかけて、内外の芸能界の歴史を徹底分析して、日本の芸能界のどこがどのようにおかしくて、どうすればいいのかということを示したのが『芸能人はなぜ干されるのか?』です。 ――「干される」というと、最近もSMAP騒動や能年玲奈の独立騒動、夏目三久の妊娠報道など、よく話題になっていますね。 星野 そうなんです。タレントが干されるというのは、多くの場合、そのタレントの視聴者からの需要とは関係なく業界の論理によって決まってしまう。ネットではそうした芸能界の論理に批判の声が渦巻いているのに、マスコミは完全に沈黙しています。ネットとマスコミの芸能界報道を比べると、まったく別の世界のようになっています。この問題は『芸能人はなぜ干されるのか?』を刊行した2年前よりも、より理解が深まってきているのではないかと思います。それで旧版の在庫がなくなってプレミア価格まで付くようになったので、補章を加えて増補新版として出版することになったのです。 ――旧版の出版後の反響はどうでしたか? 星野 ネットで評判になって6刷までいき、それなりに評価されたと思っています。ただ、予想通りマスコミからは黙殺されました。最近も大手新聞社の記者から「うちでも芸能界批判はできません」と言われましたが、メディアにおける芸能界の影響力は以前よりも強まっているのは間違いないです。私はこれを「芸マス複合体」と呼んでいますが、とても不健全だと思います。そんな状況でも芸能界を真正面から批判する本が出てしまったことで、業界もうろたえているはずです。一時期は変な電話やメールが相次ぎました。 ――圧力ですか? 星野 面識のない暴力団風の声の人間から電話がかかってきて、私の資金源を探ってきたり、「君の名刺を持っているんだ」と脅しまがいの文句を言われたり、関東連合の関係者から電話があって「会いたい」と言ってきたり、知り合いのジャーナリストから「大手芸能事務所の幹部がフリーアナウンサーを自殺に見せかけて殺したというウワサがあるが、そんな事実はないんだ!」と力説してきたりとか……。 ――不気味ですね。増補新版に加えられた補章は、どんな内容になっているんでしょうか? 星野 旧版はかなりの部分を資料分析に充てましたが、増補新版に加えた補章「それからの芸能界」では、取材に力を入れました。今回は俳優の中山一也さんという有力な証言者を獲得できたので、それが大きいです。 ――中山一也さんは、どんな方ですか? 星野 中山さんは若いころに映画の主役として抜擢されたものの、リハーサル中に監督で芥川賞作家の高橋三千綱さんとセリフをめぐってトラブルとなり、降板させられてしまった。  これを理不尽に思った中山さんは、高橋さんを果物ナイフで刺してケガをさせるという事件を起こしました。その後も、『北の国から』(フジテレビ系)で知られる脚本家の倉本聰の自宅前で割腹自殺未遂事件を起こしたり、自分を使わない映画会社に一矢報いようと車で突っ込んだりと、とんでもない人なんですが、芸能界の実力者であるケイダッシュの川村龍夫会長に10年ほど可愛がられていましたから、かなりの情報を握っていて、「暴力団が出てきたら俺が出ていくから心配するな」と、ありがたい言葉を頂いています。  本の帯に「商業出版の限界を超えた問題作!」とありますが、誇張ではありません。暴力団と芸能界の関係についてかなり踏み込んでいて、一言で言えば、「怖い」内容になっています。私も原稿を書いていて具合が悪くなったぐらいで、他の人に読んでもらったところ、みなさんガタガタ震え始めましたから、かなりの内容だと自負しています。 ――差し支えない範囲で、どんな内容なのか教えてください。 星野 某大手芸能事務所幹部が暴力団に殺人依頼をしているという内容に触れています。かなりヤバいです。中山さんの証言によれば、暴力団に狙われているのはSという人物です。S氏はある女優が大手芸能事務所幹部に性接待をしているビデオを入手し、このビデオが表に流出することを恐れた芸能事務所幹部とトラブルになり、それで暴力団が暗躍しているそうなんです。 ――暴力団排除というのは国策として推進されているものですが、なぜ芸能界はいまだに暴力団との関係を断ち切れないんでしょうか? 星野 本の中でも芸能界と暴力団の関係についてはいろいろ考察していますが、最近思うのは、この問題は近年の芸能界のビジネスモデルと関係しているような気がします。どういうビジネスモデルかというと、実力者の弱みを握って利権を引っ張ってくるというものです。芸能界というと華やかなイメージがあるので、芸能人になりたがる人は勝手に出てくるんです。ただ、運と才能に恵まれて売れっ子になる人は一握りに過ぎず、それを育てることも基本的にはできない。だから、売れているタレントや所属事務所の弱みを握って脅かして利益を横取りするというのが一番手っ取り早い。それを防衛するための手段として暴力団にバックについてもらって、誰もちょっかいを出せないようにする。ただし、暴力団との関係が表沙汰になるとアウトなので、警察OBやヤメ検弁護士を顧問に据え、事件化を防いでいる。そんなケースが多いように思います。 ――とんでもない業界ですね。今どき、そんなこと許されるんでしょうか? 星野 そろそろこうした前近代的ビジネスモデルも限界なんじゃないかという気もします。まず、「芸能界のドン」として有名だったバーニングプロダクションの周防郁雄社長の影響力が近年低下しているようです。  かつて周防社長の用心棒を務めていた大日本新政會の笠岡和雄総裁によるバーニングに対する抗議活動が奏功したほか、周防社長が暴力団との関係でつまずき、資金力が低下しているといった情報が出ています。  また、バーニングというと、地元の赤坂警察署と癒着し、いろいろな事件を揉み消してきたといわれてきましたが、この神話も揺らいでいるようです。  増補新版でも詳しく書いていますが、2010年頃、映画プロデューサーのT氏が三代目山口組、田岡一雄組長の娘の由伎氏と金銭トラブルになって赤坂署管内で暴力団員らから脅迫されるという事件がありました。ところが、T氏らが赤坂署に相談をしても最初に応対した渡部という担当者は「暴力団は怖い」などと言ってまったく取り合わず、結局、捜査は行われませんでした。後にT氏が警視庁に情報公開請求をしたところ、捏造された相談記録が出てきたそうです。この事件では由伎氏と関係が深い周防社長の名前も出てくるため、周防社長の影響力で事件が揉み消されたのではないかと見られていますが、これに憤慨したT氏が公安委員会や警視庁監察係、法務局の人権擁護部などに徹底的にクレームを入れたところ、それと同時期にこの件に関わった赤坂署の歴代2人の組織対策課長が退職しています。  T氏の抗議活動は今も継続しており、バーニングと警察の関係もヒビが入っている可能性があります。 ――バーニングの権威が失墜すれば、もっと開かれた芸能界の時代に入るということなのでしょうか? 星野 それはどうでしょうか。今、芸能界ではバーニングに代わってこれまでバーニングの別働隊のような存在だったケイダッシュが台頭しているといわれています。ただ、この体制も長続きしないかもしれません。というのも、今、ケイダッシュの川村龍夫会長が体調を崩して、出社がまちまちになっているというのです。さらに、川村会長が副社長を務めている田辺エージェンシーの田邊昭知社長についても、夏目三久の妊娠騒動が持ち上がった際、「脳梗塞を患い左半身にしびれが残っている」と「週刊新潮」(新潮社)で報じられましたが、田辺社長と最近面会した人物によれば、「ろれつが回っていなかった」とのことです。周防さんも含めて彼らは皆、ゆうに古希を超えており、芸能界は世代交代の時期を迎えているようです ――新しい世代の芸能界のリーダーたちは、どんな人たちなのでしょうか? 星野 「新芸能界のドン」と目されている一人がケイダッシュの幹部の谷口元一氏です。  谷口氏は周防社長や川村会長の人脈を引き継いでいて、バーニング、ケイダッシュ、田辺エージェンシーのキャスティングを一手に握っています。また、今、視聴率が絶好調のテレビ朝日やインターネット広告代理店大手のサイバーエージェントに食い込んでいて、最近、テレビ朝日とサイバーエージェントが組んで始めたインターネット放送「AbemaTV」も谷口氏の仕掛けだといわれています。  剛腕で知られる谷口氏ですが、スキャンダルが多いのが難点でしょう。2008年に元TBSアナウンサーの川田亜子さんが練炭で自殺した際に谷口氏の名前が取り沙汰されましたし、最近も先に触れたS氏が谷口氏の急所を突くスキャンダルを入手し、これが明らかになると谷口氏のキャリアがすべて崩壊するといわれています。  芸能界では実力者である谷口氏の力を抑え込めば天下を取れるといわれており、キャスティングボートを握るS氏にはいくつもの大手芸能事務所から顧問就任の要請が来ているそうですが、今のところS氏はどことも連携をしないようです。谷口氏もS氏との和解の可能性を探ってきたようですが、結局、断念したようです。谷口氏はスキャンダルがいつ破裂するかわかりませんから、いわば「時限爆弾付き芸能界のドン」というような状態であり、業界での求心力の低下は否めません。 ――ほかに「芸能界のドン」の候補はいないのでしょうか? 星野 谷口氏以外で有力なのが、ジャパン・ミュージックエンターテインメント(JME)の瀧藤雅朝社長でしょう。JMEグループは、鈴木杏樹や篠原涼子、谷原章介、ユースケ・サンタマリアなどが所属する大手で、最近は元フジテレビアナウンサーの加藤綾子が入って、業界での注目度が急速に高まっているそうです。  瀧藤社長は2012年に芸能界の実力者である長良じゅんさんが死去した際、葬儀の仕切り役を周防社長とともに務めた人物で、バーニングとも良好な関係を保ってきていますが、必ずしもバーニング系というわけでもなく、全方位外交だそうです。瀧藤社長の強みは実力者でありながら、谷口氏と違ってこれまでほとんど名前が取り沙汰されたことがないことでしょう。それでいて出身地の名古屋の有力組織とのパイプが太いともいわれ、恐れられているという側面もあります。  それ以外では、女優の能年玲奈の独立騒動で名前が挙がったレプロエンタテインメントの本間憲社長やエイベックス・グループ・ホールディングスの松浦勝人社長が芸能事務所の業界団体である日本音楽事業者協会(音事協)の次期会長の座を争っているといわれています。  エイベックスは上場企業ですし、力がありますが、本業はレコード会社なので、芸能事務所の業界団体である音事協では外様と見られてきました。ただし、最近はタレントやスポーツ選手のマネジメント部門を強化しており、今後、ますます芸能界で影響力を増してゆくでしょう。  一方、レプロの本間社長は最近、能年玲奈の処遇をめぐってバーニングの周防社長と激しく対立していて、本間社長を抑え込むために谷口氏と瀧藤社長が連携してくるのではないかといわれています。 ――なんというか、魑魅魍魎の世界ですね……。 星野 テレビというのは本来、高い公共性が求められるはずなのですが、実際に裏で行われているのは芸能ヤクザの縄張り争いみたいなもので、それが視聴者の利益になっているとは思えません。これまでは業界全体でマスコミを支配し、一切報道させないということで乗り切ってきたようですが、ネットがこれだけ普及すると、そうもいかなくなってきたのではないでしょうか。  今年はSMAP騒動で大きく揺れた芸能界ですが、来年はジャニーズ事務所を追われたSMAPの元チーフマネジャーの飯島三智氏がジャニーズにリベンジするといわれています。  関係者によれば、飯島氏は何かジャニーズのネタをつかんでいるようで、周囲に「戦争になったら、殺されるかもしれない」と決死の覚悟を漏らしているそうですから、今年以上の騒動になるかもしれません。そういう時に芸能界の構造的な問題にもっと注目が集まって、業界の健全化につながるような動きが出てくることを期待しています。

闇社会とのつながり断ち切れぬ芸能界、次の“ドン”は誰だ!?『増補新版芸能人はなぜ干されるのか?』

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『増補新版芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)
 このほど、『増補新版芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)という書籍が刊行された。同書は、2014年に刊行された『芸能人はなぜ干されるのか?』に新たに補章を加え、これまでほとんど報道されてこなかった芸能界の裏側を鋭くえぐるノンフィクションだが、内容の過激さから発売早々話題となっている。ここでは著者の星野陽平氏に同書刊行の真意を聞いた。 ――まず、旧版の『芸能人はなぜ干されるのか?』の内容について説明していただけますか? 星野陽平(以下、星野) 2009年3月にタレントの北野誠がパーソナリティを務める『誠のサイキック青年団』(ABCラジオ)が突如、終了し、その後、北野も番組内などで不適切な発言があったとしてしばらく謹慎するという事件がありましたよね。この事件を取材する過程で、いわゆる「干される」という現象から日本の芸能界が抱える構造的な問題が見えてきたわけです。それで5年ほどかけて、内外の芸能界の歴史を徹底分析して、日本の芸能界のどこがどのようにおかしくて、どうすればいいのかということを示したのが『芸能人はなぜ干されるのか?』です。 ――「干される」というと、最近もSMAP騒動や能年玲奈の独立騒動、夏目三久の妊娠報道など、よく話題になっていますね。 星野 そうなんです。タレントが干されるというのは、多くの場合、そのタレントの視聴者からの需要とは関係なく業界の論理によって決まってしまう。ネットではそうした芸能界の論理に批判の声が渦巻いているのに、マスコミは完全に沈黙しています。ネットとマスコミの芸能界報道を比べると、まったく別の世界のようになっています。この問題は『芸能人はなぜ干されるのか?』を刊行した2年前よりも、より理解が深まってきているのではないかと思います。それで旧版の在庫がなくなってプレミア価格まで付くようになったので、補章を加えて増補新版として出版することになったのです。 ――旧版の出版後の反響はどうでしたか? 星野 ネットで評判になって6刷までいき、それなりに評価されたと思っています。ただ、予想通りマスコミからは黙殺されました。最近も大手新聞社の記者から「うちでも芸能界批判はできません」と言われましたが、メディアにおける芸能界の影響力は以前よりも強まっているのは間違いないです。私はこれを「芸マス複合体」と呼んでいますが、とても不健全だと思います。そんな状況でも芸能界を真正面から批判する本が出てしまったことで、業界もうろたえているはずです。一時期は変な電話やメールが相次ぎました。 ――圧力ですか? 星野 面識のない暴力団風の声の人間から電話がかかってきて、私の資金源を探ってきたり、「君の名刺を持っているんだ」と脅しまがいの文句を言われたり、関東連合の関係者から電話があって「会いたい」と言ってきたり、知り合いのジャーナリストから「大手芸能事務所の幹部がフリーアナウンサーを自殺に見せかけて殺したというウワサがあるが、そんな事実はないんだ!」と力説してきたりとか……。 ――不気味ですね。増補新版に加えられた補章は、どんな内容になっているんでしょうか? 星野 旧版はかなりの部分を資料分析に充てましたが、増補新版に加えた補章「それからの芸能界」では、取材に力を入れました。今回は俳優の中山一也さんという有力な証言者を獲得できたので、それが大きいです。 ――中山一也さんは、どんな方ですか? 星野 中山さんは若いころに映画の主役として抜擢されたものの、リハーサル中に監督で芥川賞作家の高橋三千綱さんとセリフをめぐってトラブルとなり、降板させられてしまった。  これを理不尽に思った中山さんは、高橋さんを果物ナイフで刺してケガをさせるという事件を起こしました。その後も、『北の国から』(フジテレビ系)で知られる脚本家の倉本聰の自宅前で割腹自殺未遂事件を起こしたり、自分を使わない映画会社に一矢報いようと車で突っ込んだりと、とんでもない人なんですが、芸能界の実力者であるケイダッシュの川村龍夫会長に10年ほど可愛がられていましたから、かなりの情報を握っていて、「暴力団が出てきたら俺が出ていくから心配するな」と、ありがたい言葉を頂いています。  本の帯に「商業出版の限界を超えた問題作!」とありますが、誇張ではありません。暴力団と芸能界の関係についてかなり踏み込んでいて、一言で言えば、「怖い」内容になっています。私も原稿を書いていて具合が悪くなったぐらいで、他の人に読んでもらったところ、みなさんガタガタ震え始めましたから、かなりの内容だと自負しています。 ――差し支えない範囲で、どんな内容なのか教えてください。 星野 某大手芸能事務所幹部が暴力団に殺人依頼をしているという内容に触れています。かなりヤバいです。中山さんの証言によれば、暴力団に狙われているのはSという人物です。S氏はある女優が大手芸能事務所幹部に性接待をしているビデオを入手し、このビデオが表に流出することを恐れた芸能事務所幹部とトラブルになり、それで暴力団が暗躍しているそうなんです。 ――暴力団排除というのは国策として推進されているものですが、なぜ芸能界はいまだに暴力団との関係を断ち切れないんでしょうか? 星野 本の中でも芸能界と暴力団の関係についてはいろいろ考察していますが、最近思うのは、この問題は近年の芸能界のビジネスモデルと関係しているような気がします。どういうビジネスモデルかというと、実力者の弱みを握って利権を引っ張ってくるというものです。芸能界というと華やかなイメージがあるので、芸能人になりたがる人は勝手に出てくるんです。ただ、運と才能に恵まれて売れっ子になる人は一握りに過ぎず、それを育てることも基本的にはできない。だから、売れているタレントや所属事務所の弱みを握って脅かして利益を横取りするというのが一番手っ取り早い。それを防衛するための手段として暴力団にバックについてもらって、誰もちょっかいを出せないようにする。ただし、暴力団との関係が表沙汰になるとアウトなので、警察OBやヤメ検弁護士を顧問に据え、事件化を防いでいる。そんなケースが多いように思います。 ――とんでもない業界ですね。今どき、そんなこと許されるんでしょうか? 星野 そろそろこうした前近代的ビジネスモデルも限界なんじゃないかという気もします。まず、「芸能界のドン」として有名だったバーニングプロダクションの周防郁雄社長の影響力が近年低下しているようです。  かつて周防社長の用心棒を務めていた大日本新政會の笠岡和雄総裁によるバーニングに対する抗議活動が奏功したほか、周防社長が暴力団との関係でつまずき、資金力が低下しているといった情報が出ています。  また、バーニングというと、地元の赤坂警察署と癒着し、いろいろな事件を揉み消してきたといわれてきましたが、この神話も揺らいでいるようです。  増補新版でも詳しく書いていますが、2010年頃、映画プロデューサーのT氏が三代目山口組、田岡一雄組長の娘の由伎氏と金銭トラブルになって赤坂署管内で暴力団員らから脅迫されるという事件がありました。ところが、T氏らが赤坂署に相談をしても最初に応対した渡部という担当者は「暴力団は怖い」などと言ってまったく取り合わず、結局、捜査は行われませんでした。後にT氏が警視庁に情報公開請求をしたところ、捏造された相談記録が出てきたそうです。この事件では由伎氏と関係が深い周防社長の名前も出てくるため、周防社長の影響力で事件が揉み消されたのではないかと見られていますが、これに憤慨したT氏が公安委員会や警視庁監察係、法務局の人権擁護部などに徹底的にクレームを入れたところ、それと同時期にこの件に関わった赤坂署の歴代2人の組織対策課長が退職しています。  T氏の抗議活動は今も継続しており、バーニングと警察の関係もヒビが入っている可能性があります。 ――バーニングの権威が失墜すれば、もっと開かれた芸能界の時代に入るということなのでしょうか? 星野 それはどうでしょうか。今、芸能界ではバーニングに代わってこれまでバーニングの別働隊のような存在だったケイダッシュが台頭しているといわれています。ただ、この体制も長続きしないかもしれません。というのも、今、ケイダッシュの川村龍夫会長が体調を崩して、出社がまちまちになっているというのです。さらに、川村会長が副社長を務めている田辺エージェンシーの田邊昭知社長についても、夏目三久の妊娠騒動が持ち上がった際、「脳梗塞を患い左半身にしびれが残っている」と「週刊新潮」(新潮社)で報じられましたが、田辺社長と最近面会した人物によれば、「ろれつが回っていなかった」とのことです。周防さんも含めて彼らは皆、ゆうに古希を超えており、芸能界は世代交代の時期を迎えているようです ――新しい世代の芸能界のリーダーたちは、どんな人たちなのでしょうか? 星野 「新芸能界のドン」と目されている一人がケイダッシュの幹部の谷口元一氏です。  谷口氏は周防社長や川村会長の人脈を引き継いでいて、バーニング、ケイダッシュ、田辺エージェンシーのキャスティングを一手に握っています。また、今、視聴率が絶好調のテレビ朝日やインターネット広告代理店大手のサイバーエージェントに食い込んでいて、最近、テレビ朝日とサイバーエージェントが組んで始めたインターネット放送「AbemaTV」も谷口氏の仕掛けだといわれています。  剛腕で知られる谷口氏ですが、スキャンダルが多いのが難点でしょう。2008年に元TBSアナウンサーの川田亜子さんが練炭で自殺した際に谷口氏の名前が取り沙汰されましたし、最近も先に触れたS氏が谷口氏の急所を突くスキャンダルを入手し、これが明らかになると谷口氏のキャリアがすべて崩壊するといわれています。  芸能界では実力者である谷口氏の力を抑え込めば天下を取れるといわれており、キャスティングボートを握るS氏にはいくつもの大手芸能事務所から顧問就任の要請が来ているそうですが、今のところS氏はどことも連携をしないようです。谷口氏もS氏との和解の可能性を探ってきたようですが、結局、断念したようです。谷口氏はスキャンダルがいつ破裂するかわかりませんから、いわば「時限爆弾付き芸能界のドン」というような状態であり、業界での求心力の低下は否めません。 ――ほかに「芸能界のドン」の候補はいないのでしょうか? 星野 谷口氏以外で有力なのが、ジャパン・ミュージックエンターテインメント(JME)の瀧藤雅朝社長でしょう。JMEグループは、鈴木杏樹や篠原涼子、谷原章介、ユースケ・サンタマリアなどが所属する大手で、最近は元フジテレビアナウンサーの加藤綾子が入って、業界での注目度が急速に高まっているそうです。  瀧藤社長は2012年に芸能界の実力者である長良じゅんさんが死去した際、葬儀の仕切り役を周防社長とともに務めた人物で、バーニングとも良好な関係を保ってきていますが、必ずしもバーニング系というわけでもなく、全方位外交だそうです。瀧藤社長の強みは実力者でありながら、谷口氏と違ってこれまでほとんど名前が取り沙汰されたことがないことでしょう。それでいて出身地の名古屋の有力組織とのパイプが太いともいわれ、恐れられているという側面もあります。  それ以外では、女優の能年玲奈の独立騒動で名前が挙がったレプロエンタテインメントの本間憲社長やエイベックス・グループ・ホールディングスの松浦勝人社長が芸能事務所の業界団体である日本音楽事業者協会(音事協)の次期会長の座を争っているといわれています。  エイベックスは上場企業ですし、力がありますが、本業はレコード会社なので、芸能事務所の業界団体である音事協では外様と見られてきました。ただし、最近はタレントやスポーツ選手のマネジメント部門を強化しており、今後、ますます芸能界で影響力を増してゆくでしょう。  一方、レプロの本間社長は最近、能年玲奈の処遇をめぐってバーニングの周防社長と激しく対立していて、本間社長を抑え込むために谷口氏と瀧藤社長が連携してくるのではないかといわれています。 ――なんというか、魑魅魍魎の世界ですね……。 星野 テレビというのは本来、高い公共性が求められるはずなのですが、実際に裏で行われているのは芸能ヤクザの縄張り争いみたいなもので、それが視聴者の利益になっているとは思えません。これまでは業界全体でマスコミを支配し、一切報道させないということで乗り切ってきたようですが、ネットがこれだけ普及すると、そうもいかなくなってきたのではないでしょうか。  今年はSMAP騒動で大きく揺れた芸能界ですが、来年はジャニーズ事務所を追われたSMAPの元チーフマネジャーの飯島三智氏がジャニーズにリベンジするといわれています。  関係者によれば、飯島氏は何かジャニーズのネタをつかんでいるようで、周囲に「戦争になったら、殺されるかもしれない」と決死の覚悟を漏らしているそうですから、今年以上の騒動になるかもしれません。そういう時に芸能界の構造的な問題にもっと注目が集まって、業界の健全化につながるような動きが出てくることを期待しています。