噂の新型デバイス! あらゆる産業に革命を巻き起こす『iPadショック』

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『iPadショック』(日経BP社)
 日本に鉄道が登場したのは1872年(明治5年)、新橋‐横浜間に開通したのが始まりである。その後、昭和初期まで、およそ50年の歳月をかけて、日本全国に鉄道が敷設されていった。東西南北津々浦々、レールは延々と伸びてゆき、鉄道という画期的な機械は、人々の暮らしだけでなく、意識すらも変えていったのだ。もちろん、鉄道の開通に反対した町や村も少なからずあった。鉄道を開通しなかったそれらの町村は、現在、深刻な過疎化にある。  2010年5月7日、アップル社の開発したタブレット型メディアプレイヤー及びPC「iPad」が日本でも発売され、大きな話題となった。周知のとおり、タブレット型PCとは、タッチパネルディスプレイを搭載した手持ちでの運用に重点をおいたパソコンで、タッチパネルを指でなぞるだけでマウスの操作ができるスグレモノだ。iPadのサイズは縦24.28cm 横18.97cm、13.4mmの薄さで、重量はわずか730gほど。iPhoneの約6倍の大きさである。ネットユーザーの皆様には、長い説明は不要であろう。  そのiPadがあらゆる産業に革命を起こす!? 『iPadショック』は、ITジャーナリスト兼コンサルタントの林信行氏が『iPhoneショック』(日経BP社)に続いて上梓した、iPadの性能や魅力、iPadで変わる社会について記した本だ。製品情報やシステム、アップル社について、携帯電話業界のアレコレまで詳しく説明されており、インターネット業界に明るくない人でもわかりやすい内容だ。iPadを模した黒白の装丁も、シンプルでシビれるデザイン。  世間でもっぱら騒がれている電子書籍。iPadは画面が大きく、画質も美麗で、手軽に持ち運ぶことができる。まさに電子書籍にうってつけのツールなのだ。電子書籍の流行は、印刷、流通、販売、と書籍に関わる産業を大きく変えることを意味する。アップルは多くの専用アプリケーションを備え、書籍だけでなく、音楽も聴ける、映画も観られる、ゲームもできる、とiPadひとつで様々な情報や娯楽を享受することができる。電車内、皆一様にiPadを手に持って移動時間を過ごす、といった未来も遠くないように思えてくる。  鉄道敷設に反対した町や村は発展から取り残されたが、先祖代々の土地をそのまま残すという点においては成功したともいえる。昔ながらののどかな暮らしと文明の発達したにぎやかな暮らし、どちらが正しいとは一概には言えない。ただ、iPadは産業に少なからぬ衝撃を与えることは確かだ。『iPadショック』は、当分続きそうである。 (文=平野遼) ・林信行(はやし・のぶゆき) ITジャーナリスト兼コンサルタント。1980年頃からアップルの動向に関心を抱き、90年から本格的な取材活動を始める。グーグルなどの検索市場の動向、ブログやSNSの動向などについても記事を執筆。主な著書に、『iPhoneショック』、『Twitterの衝撃』(共著・日経BP社)、『スティーブ・ジョブス 成功を導く言葉』(青春出版社)、『iPhoneとツイッターは、なぜ成功したのか?』(アスペクト)などがある。ツイッターアカウントは@nobi。
iPadショック iPhoneもiPadも持ってないけど、不自由ないです。 amazon_associate_logo.jpg
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最下層で生きる子どもたちの生の声が鋭く心に突き刺さる『レンタルチャイルド』

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『レンタルチャイルド』
(著:石井光太/新潮社)
 昨今、目覚しい発展ぶりを見せるインド。その一方で、生まれながらにして身分が決まってしまうカースト制度が、いまも根強く残ってる。  とくに、ガンジーに"ハリジャン"(神の子)と名づけられた最下層の不可触民の地位は、一向に上がることはない。インドの街を歩けば必ず彼らに出会い、つきまとわれ、我々は狼狽することになる。そして、時にその手を振り払わなくてはならないほど、「金をくれ」としつこく迫られ、思い切って振り払ってみるが、その直後に自分の行為が悪魔のように思え、気持ちがどこまでも沈んでいく。  この国を訪れる旅行者に有名な一説がある。  それは親、あるいは、誰か大人が、路上で暮らす幼い子どもの体を意図的にナイフで切断し、見るからに悲惨な体にして物乞いをさせている、という説。信じられないような話ではあるが、インドには腕や足がない人、その両方がない人、目が見えないなどの障害を持った人間が尋常でなく多いのは、紛れもない事実だ。  そんな非現実的なことが本当に起こりうるのだろうか。その疑問を自ら確かめようと、本書『レンタルチャイルド』の著者・石井光太氏が、インドの中でもとりわけ貧富の差が激しく、その噂をもっともよく耳にする、ムンバイの貧民街へと足を踏み入れた。  石井氏は、「なぜ」に対する答えに完璧に納得できるまで、とことん追求する。わずかばかりの金と引き換えに、赤ん坊をレンタルして物乞いする女乞食、娼婦、心は女だが男性の性を持つヒジュラ、十代半ばでマフィアの真似事をする青年、そして本物のマフィアの住処へと、自分が納得できる話が訊ける人物に辿りつくまで、どこまでも奥へと突き進む。ときに、読んでいて吐き気がするほどの醜い"事実"が、相手の口から語られる。そして、彼らの本音をも吐き出させてしまう。  本書の中には、ラジャという少年が出てくる。10年に渡る取材の中で、石井氏は訪れる先々で不思議と導かれるように彼に出会う。少年だった彼は、青年になり、当然、内面も変化していく。    初めて出会ったとき、ラジャはまだ十代前半だった。彼自身が路上で暮らしながら、なんらかの事情で路上で暮らさなくてはいけなくなった同じ世代の子どもたちを助け、みんなから慕われるリーダーのような存在だった。だが、2年後訪れると、彼は街の浮浪少年を痛めつけて金を奪う、青年マフィアの頭となっていた。さらに5年後には、"死体乞食"と呼ばれる、死ぬ間際の人の写真を並べ、人々の同情を買い、遺体を腐敗するまで見世物にして、粗稼ぎをしていた。  幼い頃からラジャを見てきた石井氏が、複雑な思いで話を聞くと、遺体を街中に引き回していたのは、以前からだったという。 「俺だってできることなら、仲間の遺体を腐敗させてまで金を稼ぎたくない。けど、マフィアに金を支払わなければ、目をつぶされたり、手足を切断されたりしたんだ。それを避けるためにはどんな手段をつかっても金をかき集めなければならなかった」  さらに彼は、続ける。 「今だって同じだ。駅で稼いだ金だけでは仲間を養えないし、病気の妻に薬一つ買ってやれない。それをするには、昔と同じように死体乞食をしなければならねえ」  ラジャは妻が病気で寝たきりになり、しゃべれなくなったとき、身を切られるような思いで、食べ物を食べさせるのをやめた。それは、仲間のために、いつ死ぬかも分からないのに、貴重な食べ物を無駄に出来ない、という理由だった。  カースト制度の最下層として生まれ、生きていかなければならない。どう頑張っても、どうあがいても、上にあがることができない。この本の中には、今、この瞬間に生きている人間が吐き出す生の言葉であふれ、その一言ひとことが、心を鋭く突き刺してくる。 「普通に暮らしたい。普通の暮らしがしたい。けど、なぜか、できないの」 「どうして、なんだろう」 「どうしてなの? あたしが訊きたいよ。ねえ、どうして?」  彼らの声は、どこまで届くのだろうか。 (文=上浦未来) ●石井光太(いしい・こうた) 1977年東京生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。国内外の文化・歴史・医療などをテーマに執筆。そのほか、テレビドキュメンタリーや写真発表、漫画原作なども手がける。主な著書に、アジア諸国の障害者や物乞いを追った『物乞う仏陀』(文集文庫)、イスラームの性や売春を描いた『神の棄てた裸体』(新潮文庫)、世界の貧困生活を百数十枚の写真と図で解説する『絶対貧困』(光文社)などがある。
レンタルチャイルド―神に弄ばれる貧しき子供たち 落ちてるときには、読まない方がいいです。 amazon_associate_logo.jpg
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よく分かる「警察のお仕事」入門書 『日本の警察・犯罪捜査のオモテとウラ』

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『日本の警察・犯罪捜査のオモテとウラ』
(監修:北芝健/ナガオカ文庫)
 昔の刑事ドラマで、取り調べ中の刑事さんが電気スタンドを被疑者にかざして「さっさと吐け、こら!」みたいに凄んだり、あるいは被疑者に出前のカツ丼が振る舞われたりするシーンをよく目にしたものだけれど、現実にはそんなことはあり得ないらしい。  取調室にあるのは、スチール製の事務机と事務椅子、そして調書をとるためのパソコンくらいで、電気スタンドのような凶器になりそうなものは原則として置かない。また、カツ丼の器は陶器製であり、叩き割れば刃物になる。割り箸だって凶器になり得る。だから、取調室で食事を取ることは一切禁止されている。本書『日本の警察・犯罪捜査のオモテとウラ』には、こういった警察トリビアが数多く収められている。「ウラ」という言葉から、たとえば暴力団との癒着や天下りの実態といった、ドロドロした内部告発めいた内容を期待してしまいがちだが、どちらかというと「よく分かる警察のお仕事」的なお行儀のよい内容だ。実際、監修者の北芝健氏には『警察のしくみ(図解雑学)』(ナツメ社)という著・監修書があり、本書のスタンスはその延長にあるようだ。  たとえば、「警察庁」と「警視庁」は混同されがちだけれども、前者は「文化庁や国税庁などと同じ日本国の行政機関」で、その目的は「都道府県の警察本部を管理すること」であり、後者は「東京都の警察本部」すなわち「警察庁から見れば管理する対象である神奈川県警や大阪府警と同じ地方警察のひとつ」だとか。  よく聞かれる警察用語、「キャリア」と「ノンキャリア」については、前者は国家公務員試験・種に合格し警察庁に採用された警察官で、後者は地方公務員試験を受験して都道府県に採用された警察官を指すそうだ。キャリアのハードルはべらぼうに高く、合格者は圧倒的に東大卒が多いけれど、採用されれば警部補からスタートし、警視総監や警察庁長官も狙えるエリートコースが用意されている。一方、警察官のほとんどを占めるノンキャリアは巡査からスタートし、めいっぱい昇進しても警視正まで。「学力でのし上がるのがキャリアだとすれば、ノンキャリアは現場の実績で自らの地位をつかみとるタイプ」というわけだ。  あるいは、プライベートに関しては、警察官は恋愛における出会いの場が少なく(なにも警察官に限ったことではないが)、言うまでもなく暴力団やカルト教団の関係者との色恋沙汰はNGだし、情報漏洩のおそれがあるマスコミ関係者との交際もあまりいい顔はされないとか。さらに、職場恋愛には内偵が入ることもあるため不倫は絶対にバレるし、「警視庁の警察官同士ならば、東京から出て、たとえば小田原で会うなど、80キロ以上も離れた場所でデートをすることも珍しくない」そうだ。  といった具合に、文庫サイズで、一般的な捜査手続きの流れや警察組織の構造、部署ごとの役割、さらには警察官・刑事の採用試験および選考基準などがコンパクトに整理されている。もっとも、個人的にいちばん面白かったのは、〈沈める=盗品を現金に替える〉〈なこ=ヘロイン(「粉」を逆さにした)〉などなど、巻末にオマケとして収められた「警察用語110」だったりするのだけれど。 (文=須藤輝) ・北芝健(きたしば・けん) 元警視庁私服捜査官。交通勤務から方面機動隊員、刑事警察及び公安警察の捜査に従事。現在は教壇に立ち、犯罪学と国際関係論を講義する。主な著書に『悪の経済学』(KKロングセラーズ)、『ミステリーファンのためのニッポンの犯罪捜査』(双葉社)、『魔の薬』(あうん出版)など、劇画原作に『まるごし刑事』(実業之日本社)、『内閣権力犯罪強制取締官 財前丈太郎』(新潮社)などがある。学術社団「日本安全保障・危機管理学会」顧問・研究講座講師。早稲田大学卒。伝統空手六段、修道館館長。
日本の警察・犯罪捜査のオモテとウラ 就活学生にいいかもね。 amazon_associate_logo.jpg
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16小節の旅 名ラッパー15人が語るリリックの書き方『ラップのことば』

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『ラップのことば』(Pヴァイン・ブックス)
 ラップが日本のメジャー・シーンに浸透し、定着してからどのくらい経っただろうか。1993年にm.c.A.Tの「Bomb A Head」が、94年にスチャダラパーfeaturing小沢健二の「今夜はブギー・バック」、EAST END×YURIの「DA・YO・NE」が大ヒットを記録し、ラップ・ミュージックは加速度的に盛り上がっていった。現在、ラップはミクスチャーなども含め、ごく当たり前にJ-POPに取り入れられようになった。  ラップがお茶の間に届けられるようになるまでには、新旧ラッパーたちが、日本語をくんずほぐれつさせて格闘してきた歴史がある。『ラップのことば』は、ラップの歌詞について、15人のラッパーたちにインタビューした本だ。インタビューに応じた面々は、Zeebra、ライムスター、いとうせいこう、BOSEなどレジェンドクラスのラッパーばかり。テクニカルなこと以外にも、ラップを始めたきっかけや、歌詞の題材になったエピソードも聞ける、ヒップホップファンならずとも興味深い内容となっている。白無地にマイクロフォンとコードをあしらった装丁も超クールだ。  たとえば、いとうせいこうが語る80年代のラップ創成期の荒々しい息遣い。アメリカ、欧州で流行していたラップをいち早く輸入し、藤原ヒロシらとインディーズレーベルを設立、多くの聴衆の目を開かせた。コミックソングに近い、文科系ノリのユーモアにあふれた日本独自のヒップホップの原型を作ったと言える存在だろう。  ラップはJ-POPの歌詞に比べて、特異で、攻撃的で、ユーモアに満ち、制約がありながらも、その世界は自由だ。ライム(韻)とフロウ(歌いまわし)のバランス、リリックを書く際に気をつけていることや、世に問いかける姿勢など、各ラッパーはそれぞれ自分だけの哲学を持っている。ステージでは聞くことの出来ない言葉が、ギッシリ詰まった貴重な一冊である。 (文=平野遼)
ラップのことば Hey Yo! 的な? amazon_associate_logo.jpg
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気鋭の旅情推理作家が迫る"食"のノンフィクション『「食」の匠を追う』

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『「食」の匠(たくみ)を追う
美味の開拓者たちの挑戦』
(祥伝社)
 子どものころ、職人に憧れた人は多いのではないだろうか。大工さんであったり、八百屋さんであったり、ケーキ屋さんであったり、仕事をする職人の姿は幼心にまぶしく見えた。子どもにとって、大人になるということは仕事をすることとほとんど同義であった。  辞書を引くと、"匠"とは技芸に長じた人、または新しいものを作り出す工夫、アイデアとある。『「食」の匠を追う 美味の開拓者たちの挑戦』(祥伝社)は、紀行作家、料理評論家で推理作家の金久保茂樹氏が、全国津々浦々を食べ歩いて著した、食に関するノンフィクションレポートだ。料理人から仲買人、外食産業、厨房機器開発者、水産研究員と、現代の多様な"食"シーンのプロフェッショナルを網羅し、紹介している。雑誌記者をしていた金久保氏の端的で核心を突いた取材と、味わいのある紀行文は、最高品質で三ツ星級。著者と共に、西へ東へ食べ歩いているような気分に誘ってくれる。巻頭のカラーグラビアでは、きらめくような料理の数々と匠の仕事現場を垣間見ることができる。  農家、水産業者、運送業者に料理人、サービス業者と、料理が僕らの眼前に並ぶまで、実に多くの人が関わっている。当著で紹介される匠は8人。日本初の「ビストロ(小さなレストラン)」「オーベルジュ(宿泊設備を備えたレストラン)」を創業したフレンチシェフで、伊豆の特産品を使った料理を提供する匠・勝又登氏や、アワビ、イクラ、メカブを盛った「三陸海宝漬」を考案し、年間10数億円を売り上げる「中村屋」の主人・中村勝泰氏など、その道のプロフェッショナルの仕事を、若き日のエピソードも交えながら語っている。他にも、大分は「城下カレイ」の危機を救った水産研究員や、火鍋と羊肉で外食産業を席巻している中国外食チェーンなど、興味深い話は尽きない。  8人の匠、いずれも技術はもちろん、「美味」という見えないものに賭けるひたむきな情熱が、成功への原動力となっている点に注目したい。そして、金銭でない何か――職人のプライドであったり、自国の文化であったり、郷土や自然を大切にする気持ちであったりと、走り続けていられる理由を持っている。一流の職人の仕事に対する姿勢に、グルメでなくとも思わず舌を鳴らすことだろう。 (文=平野遼) ・金久保茂樹(かなくぼ・しげき) 1947年、東京生まれ。雑誌記者、紀行作家、料理評論家として活躍後、99年『〈龍の道〉(ドラゴンレール)殺人事件』で推理小説界にデビュー。旅情・美食・鉄道トリックの三位一体の興趣で注目を集める。作品は、テレビドラマ化された『みちのく蕎麦街道殺人事件』『伊豆・柳川伝説 雛の殺意』など多数。最新作は、『横浜残照、殺意の米軍基地』。
「食」の匠(たくみ)を追う 美味の開拓者たちの挑戦 ミシュランより読み応えあり。 amazon_associate_logo.jpg
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フィリピン最大の刑務所で「王」として君臨した日本人『バタス──刑務所の掟』

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『バタス――刑務所の掟』
(著:藤野眞功/講談社)
 「プリズン・ギャング」という言葉をご存知だろうか。「刑務所で麻薬やギャンブル、暗殺までも手掛ける、囚人による囚人のための秘密組織」だ。本書『バタス――刑務所の掟』は、2万人超の囚人を抱えるフィリピン最大の刑務所に19年間服役し、プリズン・ギャングの頂点に上り詰めた日本人の記録である。  男の名は、大沢努。高校卒業後、旅行代理店に勤めていた彼は、1975年、23歳の若さで独立し、フィリピンで日本人相手の買春ツアーに力を注いだ。が、78年にパサイ市の置屋に嵌められ拳銃不法所持で逮捕。父親が金を工面し無罪放免となるも、勘当される。日本へ戻った大沢は、フィリピン・コネクションを活かし多くの「ジャパゆき」さんを入国させ、80年に再度マニラへ渡った。  先の逮捕を機に、大沢は政治の世界に関心を持つようになっていた。現地の有力者のツテを手繰り、「大沢は政府要人に次々と食い込み、もはや拳銃不法所持で逮捕される立場ではなくなっていく」。 〈フィリピンでは、人脈が総ての社会だと大沢は言う。人脈とは、知人でなく家族だ。「知り合い」の名称は金で買えるが、家族は汗と肉体でしか購えないとも〉  大沢は労を惜しまず己の肉体を差し出し(※尻を貸したのではない。文字通り肉体労働)、時の独裁者・マルコス大統領の「家族」として認められる。しかし、のちにそれが仇となった。  86年5月、大沢は日本人観光客の「営利誘拐、不法監禁」の罪で再び逮捕。この年の2月、マルコス政権はエドゥサ革命により打倒されている。大沢の逮捕は、警察内のアキノ派にとって好都合だった。「腐敗しきったマルコス残党」は死刑宣告を受け、モンテンルパ刑務所に収監(※87年に死刑制度は撤廃され、大沢は無期懲役となる)。  刑務所の均衡は、12ものプリズン・ギャングのコマンダー(ボス)と刑務局の折衝により保たれていた。そして「モンテンルパでは生活に纏わるあらゆる部分で、まさに社会と同じように金がかかる」。逆にいえば、金さえあれば覚醒剤だろうが商売女だろうが手に入らないものはなかった。ゆえに、ほとんどの囚人は金を稼ぐために仕事をする。彼らの主な収入源である粗悪なハンディ・クラフトに、大沢は目を付けた。まず腕利きの職人を集めて品質を向上させ、顧客を日本人に絞り、遂には企業向けの輸出ルートを開拓したのだ。  この新ビジネスはモンテンルパの最大組織・スプートニクにも大きな利益をもたらし、以後、大沢は着々と幹部らの信頼を得ていく。さらに覚醒剤の流通経路も押さえ、スプートニク全体を潤すビジネスモデルをも構築した。  当然、全てが順調だったわけではない。ここは塀の中。抗争、拷問、殺人、何でもありの、金と暴力が支配する世界である。本書には凄惨な事件の数々も生々しく描かれている。敵対するギャングと一触即発の緊張状態に陥り、武装した囚人がたむろする棟舎に命がけの交渉に出向いたこともあったし、覚醒剤の利権争いもした。幾度となく逆境に立たされながら、大沢は知恵を絞り、密造酒や菜園など新たな商売を捻り出した。かくして93年4月、大沢はスプートニクのコマンダーに任命された......駆け足で要約してみたが、コマンダー在任中も、そして引退後も、大沢は辣腕を振るい続けた。 〈何事も、一度やると決めた以上は徹底的にというのが、モンテンルパで確立した生き抜くための智恵である〉  本書に収められているのは、著者・藤野眞功氏の綿密な取材に基づいた、誠実な"事実"の積み重ねである。大沢はご立派な人格者でもヒーローでもない、悪党だ。本書には生身の悪党が描かれており、そこに人はしびれる。  05年2月9日、大沢はモンテンルパ刑務所から出所した。20年ぶりに祖国に降り立ち、向かった先は、母親の待つ浦安の実家(父親は大沢の服役中に亡くなっている)。「フィリピン人よりフィリピン人らしく」振る舞い、史上初の外国人コマンダーになった男は、現在もそこで母親とふたり暮らしをしているという。 (文=須藤輝) ・藤野眞功(ふじの・みさを) 1981年、大阪市生まれ。成蹊大学卒業後、出版社勤務を経て著述業。週刊誌を中心に活動し、「Number」「en-taxi」などでルポルタージュ。文藝評論を発表している。著書に『FBI特別捜査官』(日本文芸社)がある。
バタス――刑務所の掟 史上最強の悪漢。 amazon_associate_logo.jpg
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弁は剣よりも強し 使える"べしゃり"の技術『「口のきき方」最強の法』

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『「口のきき方」最強の法』(イースト・プレス)
 古代中国には、縦横家と呼ばれる人がいた。奇抜なアイデアと巧みな弁舌で諸侯を説いて回り、その影響力は絶大なものであったという。縦横家の代表的人物で、強国・秦に対抗するための合従策を唱えた蘇秦は、その弁舌によって六国の宰相を同時に兼務したというからすごい。舌先三寸で登りつめる、まさに"オールド・チャイニーズ・ドリーム"だ。  国を動かすような大がかりな話じゃなくても、やっぱり話し方にはコツがある。『「口のきき方」最強の法』は、相手の心をつかむ会話術を記した実用書だ。米国NLP(神経言語プログラミング)協会認定トレーナーの加藤聖龍氏が、NLPの理論に基づいたコミュニーケション技法を伝授してくれる。「相手を一瞬で引きつける口のきき方」「相手をのせ、味方にする口のきき方」「仕事が抜群にできる人の口のきき方」「交渉が必ずうまくいく口のきき方」「大勢の前でも堂々と話せる口のきき方」「お互いの関係をさらに深める口のきき方」の全6章で構成され、イラストもふんだんに挿し込まれており、シンプルで分かりやすい内容となっている。  挙げられた話の技術は、相づちのうち方や緊張のほぐし方、どれも難しいことではなく、ちょっと気をつければ誰でも実践できる些細なことばかり。  その内容を一部ご紹介しよう。 ■初対面で緊張を和らげる方法 両足の指で地面をギュッとつかむようにすると、"気"が下がって緊張がほぐれてくる! ■「イヤ~な場面」を切り抜ける会話術! 誰かの悪口などを言っても、得るものは何もありません。人伝えに伝わってやがて本人の耳に届き、後々まで影響が残ることもあります。誰かの悪口を聞いたときは、「へ~、そうなの~?」と軽く流して、その話を終了させるようにしましょう。 ■人を育てる叱り方 自分の怒りをまき散らすだけの叱り方では、相手は絶対についてきてくれません。「なぜできなかったか?」よりも「どうしたらうまくいくか?」に焦点を当てて叱りましょう。また、「まあ、仕方ないか」とやりすごすよりも、相手と面と向き合う時間と場所を用意しましょう。  バラク・オバマは「Yes,we can」「Change」で大衆の心をつかんだ。コミュニーケション能力が低下していると叫ばれる昨今でも、弁は剣よりも強い。『「口のきき方」最強の法』で会話術をマスターすれば、ビジネスも、異性を口説くのも、より円滑になるはずだ。その気になれば、国だって動かせる? かもしれない。 (文=平野遼) ・加藤聖龍(かとう・せいりゅう) 愛知県生まれ。米国NLP協会(リチャード・バンドラー)認定トレーナー。宇宙物理学から下ネタまで、縦横無尽に繰り出す話題の豊富さと、ともすれば難解になりがちなNLPを誰にでも分かりやすく「ちょいワル」の味付けで伝える。その活動範囲は幅広く、ビジネスにおけるマーケティング・ストラテジーコンサルティングも提供し好評を博している。著書に『手にとるようにNLPがわかる本』(かんき出版)などがある。 SEEDS OF LIGHT ホームページ <http://www.happy-sol.jp/> The NLP ホームページ <http://www.thenlp.jp/>
「口のきき方」最強の法―一瞬で相手の心をつかみ、「とっさの一言」に強くなる! お口が悪いあなたに。 amazon_associate_logo.jpg
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弁は剣よりも強し 使える”べしゃり”の技術『「口のきき方」最強の法』

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『「口のきき方」最強の法』(イースト・プレス)
 古代中国には、縦横家と呼ばれる人がいた。奇抜なアイデアと巧みな弁舌で諸侯を説いて回り、その影響力は絶大なものであったという。縦横家の代表的人物で、強国・秦に対抗するための合従策を唱えた蘇秦は、その弁舌によって六国の宰相を同時に兼務したというからすごい。舌先三寸で登りつめる、まさに"オールド・チャイニーズ・ドリーム"だ。  国を動かすような大がかりな話じゃなくても、やっぱり話し方にはコツがある。『「口のきき方」最強の法』は、相手の心をつかむ会話術を記した実用書だ。米国NLP(神経言語プログラミング)協会認定トレーナーの加藤聖龍氏が、NLPの理論に基づいたコミュニーケション技法を伝授してくれる。「相手を一瞬で引きつける口のきき方」「相手をのせ、味方にする口のきき方」「仕事が抜群にできる人の口のきき方」「交渉が必ずうまくいく口のきき方」「大勢の前でも堂々と話せる口のきき方」「お互いの関係をさらに深める口のきき方」の全6章で構成され、イラストもふんだんに挿し込まれており、シンプルで分かりやすい内容となっている。  挙げられた話の技術は、相づちのうち方や緊張のほぐし方、どれも難しいことではなく、ちょっと気をつければ誰でも実践できる些細なことばかり。  その内容を一部ご紹介しよう。 ■初対面で緊張を和らげる方法 両足の指で地面をギュッとつかむようにすると、"気"が下がって緊張がほぐれてくる! ■「イヤ~な場面」を切り抜ける会話術! 誰かの悪口などを言っても、得るものは何もありません。人伝えに伝わってやがて本人の耳に届き、後々まで影響が残ることもあります。誰かの悪口を聞いたときは、「へ~、そうなの~?」と軽く流して、その話を終了させるようにしましょう。 ■人を育てる叱り方 自分の怒りをまき散らすだけの叱り方では、相手は絶対についてきてくれません。「なぜできなかったか?」よりも「どうしたらうまくいくか?」に焦点を当てて叱りましょう。また、「まあ、仕方ないか」とやりすごすよりも、相手と面と向き合う時間と場所を用意しましょう。  バラク・オバマは「Yes,we can」「Change」で大衆の心をつかんだ。コミュニーケション能力が低下していると叫ばれる昨今でも、弁は剣よりも強い。『「口のきき方」最強の法』で会話術をマスターすれば、ビジネスも、異性を口説くのも、より円滑になるはずだ。その気になれば、国だって動かせる? かもしれない。 (文=平野遼) ・加藤聖龍(かとう・せいりゅう) 愛知県生まれ。米国NLP協会(リチャード・バンドラー)認定トレーナー。宇宙物理学から下ネタまで、縦横無尽に繰り出す話題の豊富さと、ともすれば難解になりがちなNLPを誰にでも分かりやすく「ちょいワル」の味付けで伝える。その活動範囲は幅広く、ビジネスにおけるマーケティング・ストラテジーコンサルティングも提供し好評を博している。著書に『手にとるようにNLPがわかる本』(かんき出版)などがある。 SEEDS OF LIGHT ホームページ <http://www.happy-sol.jp/> The NLP ホームページ <http://www.thenlp.jp/>
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国歌で揺れるのは日本だけじゃない? 世界の国歌事情が見える『国歌斉唱』

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『国歌斉唱』(河出書房新社
 来たる2010年6月11日。世界中が一丸となって盛り上がる、4年に1度のビックイベント『第19回FIFAワールドカップ』がいよいよ開催される。サッカーファンならずとも、テレビに釘付けになる人は多いだろう。注目はもちろん、国をかけて戦う選手の華麗なプレーだが、試合前の各国"国歌斉唱"シーンにも注目して観てもらいたい。  『国歌斉唱』(河出書房新社)の著者・新保信長氏は、06年にドイツで行われたワールドカップのテレビ中継を観ながら、あることに気付く。フランス代表選手たちがあまり口を動かしていない。そして、その顔ぶれを見て納得する。メンバーの多くは黒人、すなわち移民(もしくはその子孫)であったのだ。ほかの国も気になり、よく見てみると、意気揚々と歌う国の選手も存在すれば、一切歌おうとしない国の選手も存在する。そのことが、この本を書くきっかけになっている。   例えば、歌う選手が少なかったフランス国歌の内容を見てみると、以下の通り(一部を抜粋)。 Aux arms,citoyens!(この国に暮らすみんな 武器をとれ!) Formez vos bataillons!(みんなの軍隊をつくるんだ!) Marchons! marchons!(さあ行こう! さあ行こう!) Qu'un sang impur abreuve nos sillons!(この地にヤツらの薄汚い血の雨を降らせろ!)  う~ん......、これはなかなか激しい。植民地から移民してきた側の感情としては、とても口に出して歌えたものではないかも。フランス国内でもさすがに賛否両論があるようで、特に若い世代に反対の声が多いという。  なんだか、どこぞやの国でも似たような議論が巻き起こっているような気がしないでもない。どうやら、国歌について議論は、それほど珍しいことではないようだ。そもそも、世界の国歌の歌詞はどんなことが書かれているかを見てみると、大体次の4つのグループに分類される。 (1)神や君主を讃える国歌 (2)歴史や風土を讃える国歌 (3)祖国の独立を讃える国歌 (4)社会の革命を讃える国家  国歌は、その国の時代背景に強く影響されて誕生するが、スウェーデンやチェコは(2)、アメリカは(3)、フランスは(4)に属する。そして、イギリスや日本はというと、(1)に属する。イギリスでは女王が讃えられ、じゃあ、日本では......、というところで問題になってしまう。  個人的には、日本の国歌『君が代』は機会が少ないとは言え、小学校の頃から耳にしている曲なので、聞けば無条件に日本の国歌だなぁ、と思う。世間では、歌うの歌わないので、卒業式の時期になると常にモメているが、正直言うと、聴き慣れた曲だし、まぁ別に歌ったっていいんじゃないの? と思ってしまう。けれど、世の中には深く物事を考えて歌詞の意味から反対する人も多いし、「歌うなんて考えられない! 断固拒否」の考えを貫き通す人もいる。  本書では、最後の章に、日本人の『君が代』に対する思いを、過去に行われた膨大な新聞記事を元にまとめている。この機会に、日本の国歌『君が代』、そして、世界の国歌事情を考えるきっかけにしてはどうだろうか。ワールドカップ、要注目。 (取材・文=上浦未来) ●新保信長(しんぼ・のぶなが) 1964年大阪生まれ。東京大学文学部心理学科卒。流しの編集&ライター。タイガースファン。著書に『笑う新聞』『もっと笑う新聞』(ともにメディアファクトリー)、『少年法(やわらかめ)』(伊藤芳朗氏と共著/アスペクト)、『東大生はなぜ「一応東大です」と言うのか?』(アスペクト)など。
国歌斉唱♪---「君が代」と世界の国歌はどう違う? もうちょっとポップめでお願いします! amazon_associate_logo.jpg
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男の乳首が女の性欲を刺激する!? 『国会議員の迷言議事録99 へんな国会』

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『へんな国会』ポプラ社
 国会――。それは「国権の最高機関」。ここでは日々、日本国民にとって重要な話し合いが行われ、少しずつなのか、一気になのか、何かしらの政策が決まっていく。  われわれが普段テレビで目にする国会の様子と言えば、なんだか具体性がなく、小学生の喧嘩か、とツッコミたくなるような点ばかりが目につく。  けれど、あれは議員全員が参加する本議会の中継で、実際の具体的な話は、衆議院・参議院、それぞれ17の委員会でしっかりと話し合われた上で、本会議に上がってくる仕組みとなっている。  委員会には、法務委員会、財務金融委員会、文部科学委員会などの種類があり、各20~50名程度の議員で構成されている。『へんな国会』は、作者いわく「珍妙で奇妙で絶妙な、味わい深い発言の宝庫」である、この委員会の中での話し合いを中心に、99の迷言を、当時の状況やその発言に続く言葉なども付け加え、紹介している。  特に、恋愛や性に対する考え方は他の議論よりグンを抜いて個人的な意見が多く、興味深い。 <気になる迷言1> 「ジャニーズの男の子が乳首を出して踊ると女子の性欲が刺激される」 (2009年6月26日/枝野幸男・民主党)。  男の乳首は「ワイセツ」なのか否か。児童ポルノを取り締まる法案を話し合う中で、男の乳首が問題に。さらに踏み込み、海水浴場で上半身裸になった青年の乳首は違法か、などについても議論が及んだ。もしもワイセツ性があると判断されていたら、今年の夏は男もレオタードのような水着を着用しなければならなかったかもしれない。想像すると、ある意味、ゾクッとする。 <気になる迷言2> 「どんなに好きな女性がいても、時給780円では<おれについてこい>とは言えません」(2007年3月28日/杉村太蔵・自由民主党)。  正直で熱い男、杉村太蔵氏。少子化対策についての議論の中で、若年者雇用問題の改善こそが、婚姻数の増加、ひいては出生率向上につながると考えているとの持論を展開しながらの発言。元派遣社員の太蔵氏だけに、やけに説得力がある。ちなみにこの前年、彼は幸せな結婚を果たしている。  他にも、牛乳需要が減ったのを残念に思い、「農協の売店にコーラやファンタを置くな。あくまで牛乳一本槍でいけ。」(1986年3月27日/鈴木宗男・自由民主党)という無茶な提案や、「佐藤勉さんって、なんで8つも大臣をやってるの?」(原口一博・民主党)という素朴な疑問も、ちょこちょこと見られる。  そして、今の民主党を見事なまでにズバッと言い当てているのが、この発言。 「民主党政権は花火を上げるだけ。ぶれるというよりワープしている」(2009年11月10日)  これは、ヤンキー先生として有名な自由民主党・義家弘介氏の発言で、ウマイ! 一本取られました、と思わず感心させられる。確かに、鳩山首相が強引に終結に向かわせた「普天間基地移設問題」を見ていると、もうワープし過ぎて、「えーっ、何が起こったの?」と言うほかない。  ともかく、委員会の中での発言は、意外と見ごたえというか、聞きごたえがあるということが分かってくる。本書をパラパラとめくるだけで、思わず噴き出してしまうほどの迷言が発見できるので、一度ご覧あれ。国会議員だって、人間だもの。へんな発言もするもんだ? (文=上浦未来) ●のり・たまみ 世界中の「へんなもの」をこよなく愛する人間ウォッチャー。日本のみならず、世界中の政治の仕組みや、法律などをこよなく偏愛するあまり、毎日国会の委員会発言をチェックするおかしな趣味を持つ。著書に『へんなほうりつ』『フー・アー・ユー?』(ともに扶桑社)、『世界一へんな地図帳』(白夜書房)、『20日間で理想の恋人をGETする方法』(南雲堂フェニックス)、『2階でブタは飼うな』(講談社文庫)、『世界のとんでも法律集』(中公新書ラクレ)などがある。
へんな国会 みんな口が達者です。 amazon_associate_logo.jpg
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