マツコも愛した、バブル臭ムンムンのセクシーダイナマイト女教師マンガ『イオナ』

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『イオナ 全9巻完結』(小学館)
 先日『マツコの知らない世界』(TBS系)を見ていたら、普段全然マンガを読まないというマツコ・デラックスが、学生時代に読んでいた数少ないマンガとして『イオナ』を挙げていました。バブル期を象徴するグンバツなバディのイケイケなナオンが登場する女教師マンガ、それが『イオナ』です。あらためて読んでみると、とんでもなくブッ飛んでいたので、本日はこちらをご紹介しましょう。 『イオナ』は「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に1990~93年まで連載されていた、澤井健先生の作品。当時は、スピリッツ誌面上で「ミス・イオナコンテスト」が開催されるほどの人気作でした。  舞台は、鴻ノ宮小学校5年4組。産休に入った担任の代わりにやって来た教師がなんとびっくり、ハリウッド女優のようなルックスを持つ絶世の美女。その名も五十嵐一女(イオナ)。どのくらいのインパクトなのかというと、典型的な日本人だらけの生徒&教職員に混じって、1人だけメイクばっちりのアンジェリーナ・ジョリーがいる感じ。しかも、そんな美人教師が先陣を切っておバカをやるという、ドタバタ学園コメディなのです。  イオナは、教師としてはあまりに破天荒な言動を連発します。就任初日から二日酔いで、しかも下着の上にトレンチコートを羽織っただけの、痴女スレスレの格好で登場です。タバコを吸いながら授業をしたかと思えば、2時間目からは学校をサボってデパートのバーゲンに行ってしまい、そのまま帰ってこないという、そんじょそこらの不良教師と同じくくりでは言い表せないレベルです。  以降も、毎回パリコレのような奇抜で露出度の高いファッションで登場。大抵は乳や尻が半分飛び出しているため、生徒も目のやり場に困りまくり。  さらに人間性も、とても教育者とは思えないひどさ。学級委員長、菊池まどかを口ゲンカで泣かしたり、父親参観日の展示テーマを「お父さんのオチンチン」にしておチンチンのデッサンを強制したり、お気に入りの生徒、シュウくんをひいきしまくりで、それをほかの生徒に対して隠そうともしません。 「あたしはえこひいきする女なのよ!」  この開き直り……。そんなシュウくんとは、2人で午後の授業をサボってドライブしちゃいます。 「かわいい男の子をさらって、もてあそぶのが趣味なの」 と、ショタコン丸出しのセリフを吐いたと思えば、そのままディスコやバーに連れていったり、ラブホテルに連れていったり、しまいには「オッパイ吸ってみる?」などと誘ってみたり、小学校の教師でありながら、あらゆるタブーを超越した、怖いものなしの存在です。  しかし、その破天荒さとルックスで生徒たちにカリスマ視され、いつの間にか学校で一番愛される教師になってしまいます。極め付きが、6年生となり卒業を迎えることになったイオナのクラスの生徒たちが、イオナとの別れが惜しいあまりに、まさかの卒業ボイコット。クラス全員が留年して、7年4組「スーパーアダルトクラス」として君臨することになるのです。  学園マンガでは作品継続のために、主人公が留年する設定というのはたまに見かけますが、クラス全員留年で小学7年生という設定は、さすがに斬新すぎですね。  そんなイオナはいったい何者なのか、どうしても気になってしまうところですが、作中では一切明らかにされません。正体を暴こうとする者はなぜか交通事故に遭ったり、落雷に遭ったりと、不幸な出来事に巻き込まれる始末。あくまで、ミステリアスな存在であり続けるのです。  というわけで、留年してまで教わりたい謎の美人教師マンガ『イオナ』をご紹介しました。これでもかと言わんばかりに毎回キメてくるイオナのド派手ファッションを見るだけでも十分楽しめる作品で、マツコがハマるのも納得です。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>) 「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから

歴史あり!? エロに情熱を燃やす愛すべきオトコたち『わが青春のマジックミラー号 AV界に革命を起こした男』

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『わが青春のマジックミラー号 AVに革命を起こした男』(イースト・プレス)
一冊の本、一枚のCDによって人生が大きく変わってしまうということがある。 僕の場合、浪人中に手にしたひとつのアダルトDVD(AV)がそれにあたる。  何の気なしにふらりと立ち寄ったブックオフで僕が手にしたアダルトDVD(AV)は、当時、『やりにげコージー』(テレビ東京系)や『ああ探偵事務所』(テレビ朝日系)に出演するなど、もはやAV界“最強”の風格すら漂っていた、女優の夏目ナナがパッケージを飾っていて、夏目ナナの口からは、「10枚も入ってるなんてお得やで~」みたいな吹き出しが飛び出ていた。  夏目ナナが「お得やで~」と言うからには、きっとお得なんだろうと、大学に落ちるのもうなずけるような超短絡思考回路でもって購入したDVDに、僕は打ちのめされた。 「女柔道家とレイプ魔による柔道対決」、「美人女優が豪勢なディナーを堪能している間に、ブスがカップラーメンを食わされる」、「全裸女性数人による引っ越し作業」など、“何のためにそんなことを……”的なパンチのありすぎる映像群がDVD10枚分にわたって展開されていた。  どう考えても受験勉強に差し障りしかないシロモノだと判断した僕は、合格するまでそのDVDを隣のマンションのガレージの隅に封印しておくことに決めた。僕が大学生になるまで、ガレージの隅で眠っていたDVD。 そのDVDこそが、ソフト・オン・デマンドの10周年記念メモリアルBOXだった。 『わが青春のマジックミラー号 AV界に革命を起こした男』(イースト・プレス)は、言わずと知れた名シリーズ「マジックミラー号」の初代監督マメゾウこと、久保直樹氏が、AV界で頭角を現し活躍していくさまを記した自伝的エッセイ。 映画監督を目指していた久保氏が、ひょんなことからAV製作に関わるようになり、その時何を思い、次々に直面する問題をどのように解決していったのかが克明に記されている。  今でこそAVメーカーの大手として知られるソフト・オン・デマンドだが、発足当時から順風満帆というわけではなかったようだ。  高橋がなり氏が率いていた同社は、設立以前から「ビデオ安売王」での販売用として製作していた「全裸バレーボール」、「全裸バスケットボール」が1万本を超えるヒットを記録したことを受け、製作し続けた「全裸スポーツシリーズ」が累計10万本を超える空前の大ヒット。  しかし、“もっと世間にインパクトを”と9,000万円もの制作費をつぎ込んだ『地上20メートル 空中ファック』がまさかの大赤字。クレーンを利用した大掛かりなセットを組み、上空20メートルに設置された透明なアクリル板の上でセックスをするという、“潔さ”しか感じられないこのおバカ企画は、ほとんど売り上げにつながらず、前作の儲けのほとんどを失ってしまう。その損失は、会社の存続が危ぶまれるほどだった。 『全裸スポーツシリーズ』という“二次会で飛び出た面白フレーズ”みたいな作品が10万本の売り上げを上げていること自体どうかしているのに、その儲けを『地上20メートル空中ファック』が吸い取ってしまうという事実。読んでいるだけで、“何が正しくて、何が間違っているか”という感覚が完全に麻痺してしまう。  そんな危機的状況から抜け出すため、同社はできるだけ制作費をかけずにインパクトを与える企画が目下の課題になっていく。  そこで発案されたのが、“合法露出マシーン”こと「マジックミラー号」だったという。トラックの後ろのマジックミラーBOXの中で、ナンパされた女の子が裸になるというこの企画は、スタジオ代、女優のギャラ代も安上がりで済み、それでいて、まるで外で裸になっているような非日常感を演出することもできる、まさに一石二鳥の企画だった。  ご存じの通り、このマジックミラー号シリーズは大ヒット。累計315万本を売り上げ、同社を年商100億を稼ぐ大企業へと発展させる礎となった。  それほどのヒットを生み出すだけあって、マジックミラー号には、女の子の抵抗感をなくすためのプロのこだわりが隠されている。スタッフに女性を混ぜる、繁華街の路上に停車しておくことで女の子の移動距離を短くする、内装を爽やかな青空にすることで、ラブホテルのようないかがわしさを払拭するなど、きめ細やかな心配りが随所に施されている。長年の疑問であったあの青空模様には、そんな意味が隠されていたとは。  ちなみに僕も、一度だけマジックミラー号に乗ったことがある。と言っても、“素人お姉さんに筆下ろしを手伝ってもらう童貞”として乗ったわけではなく、浅草で開催されたファン感謝イベントでマジックミラー号に試乗しただけなのだが、内装は思ったよりもきれいで、作りもしっかりしていた。  しかし、まさにここで、DVDで見た“マッサージからの、いつのまにか挿入”や“オナニーのお手伝いからの、いつのまにか挿入”が繰り広げられていたのかと想像すると、なんとも言えない無言のエロスに興奮したのも事実だ。  そんな社の発展に大きく貢献した久保氏だが、ある日、ソフト・オン・デマンドを追放されてしまう。その後入社したAVメーカーも社長が逮捕され、一年で解散。“制作ができる人間は生きていける”が持論の久保氏は、制作する場所すら失ってしまった。ものづくりに生きた男が、その機会を奪われた時の絶望は想像に難くない。  職を失い食えなくなっていた久保氏が、周囲の力を借り、高橋がなり氏と和解して、自身の映像制作会社「マメゾウピクチャーズ」を設立するまでに至る再起の物語は、まるで一冊の小説を読んだのような清々しい読後感すら残す。  AV業界という特殊な環境に青春を費やした男の物語がここには記されている。僕たちが普段、何気なく見ているAVにも、製作者のこだわりや苦労が隠されている。そんな裏側を知ってから見るAVはまた違った趣があり、格別だ。マジックミラー号をより一層楽しむためのスパイスとして、ご一読をお勧めしたい。 (文=大谷皿屋敷[劇団「地蔵中毒」])

“怪物”と呼ばれた漫画家の軌跡……谷口ジロー版まんが道『冬の動物園』

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『冬の動物園』(小学館)
 2月11日、谷口ジロー先生が逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。一昨年『孤独のグルメ2』発売記念イベントに出演させていただいた際、関係者の方から谷口先生の体調があまりよろしくないという話を聞いておりました。いつかまた元気になって『孤独のグルメ』の新作を描いていただけるものと思っていましたが……。  フランスの芸術文化勲章「シュヴァリエ」を受章するなど、海外でも評価が高かった谷口先生ですが、近年の代表作としては『孤独のグルメ』『「坊っちゃん」の時代』といった作品が語られることが多いです。実際、僕も『孤独のグルメ』をきっかけとして谷口先生の作品を読むようになったのですが、ハードな作風の『事件屋稼業』『餓狼伝』『神々の山嶺』、あるいは動物をテーマとした『犬を飼う』『シートン』などの作品に思い入れがある人も多いことでしょう。    実は、そんな谷口先生の自伝マンガがあるのをご存じでしょうか? その名も『冬の動物園』。これ、すなわち谷口ジロー版の「まんが道」というわけです。今回はこの『冬の動物園』から、偉大なる漫画家の軌跡をひもといてみましょう。  主人公は、浜口光夫という19歳の青年。休日に動物園で動物をスケッチするのが趣味で、イケメンだけど、どことなくウブな感じです。  浜口は服飾デザイナーになりたくて京都の織物問屋に就職するのですが、デザインの仕事はまったくやらせてもらえず、浮気がバレて離婚し、出戻ってきた社長の娘・綾子の見張り役をやらされることになります。この綾子、全然懲りておらず、浜口の隙を突いて浮気相手と駆け落ちしてしまうのです。  綾子の駆け落ちで、見張り役だった浜口は会社に居づらくなり、辞めようと思っていたところ、東京にいた友人・田村に、売れっ子漫画家・近藤史郎のアシスタントの仕事を紹介され、浜口のマンガ人生が始まるのです。  谷口先生は実際に京都の繊維会社で働いており、その後に石川球太先生や上村一夫先生のアシスタントとなっています。本作品に出てくる漫画家・近藤史郎は、おそらく石川先生がモデルなのでしょう。  なにしろ、あの谷口先生の「まんが道」ですから、さぞかし漫画家になりたくてメラメラ燃えているのかと思いきや、そうでもありません。  軽い気持ちで漫画アシスタントの見学に行ったら、机とペンを用意され、いきなり実践投入。ベタ塗りだの背景描きだのを徹夜でやらされるハメになるのです。ダチョウ倶楽部でなくても「聞いてないよ!」って言いたくなる状況です。しかし、それがきっかけで、浜口はズブズブとマンガの世界に浸っていくことになるのです。  その後は、しばらくさえないアシスタント生活が続きます。アシスタント仲間の藤田が自分の作品を着実に描き上げ、持ち込みしているのを見て嫉妬する一方、自分はさっぱりマンガが描けず、歌舞伎町のバーで飲み歩いたり、女の子とデートしたり……かなり寄り道の多い「まんが道」です。  そんな浜口に転機が訪れたのが、近藤先生の友人に紹介された18歳の少女・茉莉子との出会いでした。茉莉子は生まれつき病弱で、入退院を繰り返しており、たまに病院の外に連れ出してあげる役目を浜口が引き受けることになります。なんの因果か、女の世話ばかりやらされる人生ですね。女難の相でしょうか。  しかし、茉莉子は浜口のマンガ作りに興味を示し、悩んでいた浜口のマンガのストーリーを一緒に考えてくれます。浜口の得意な動物絵を生かしたファンタジーものにしようとか、とらわれの少女を助ける設定にしようとか、ナイスなアドバイスがバシバシ炸裂。公園デートをしながら一緒にネームを考えているうちに、2人は本当にラブラブになっていくのです。  そんな夢のようなリア充生活も束の間、再び茉莉子の容体が悪化し、面会謝絶状態に。さらに、実家のある仙台の病院に転院してしまい、会えなくなってしまいました。  浜口は茉莉子のために完成させたマンガを見せることができず、会いたいのに会うこともできず、悶々とした日々を送ります。アシスタントの仕事も上の空で、周りに心配かけまくりです。そんな中、何気なく行った動物園で、あの駆け落ち社長令嬢の綾子とまさかの再会。親と絶縁状態にありながらも、愛を信じて力強く生きる綾子の姿を見て、浜口は仙台の茉莉子に会いに行くことを決意します。 そして、仙台の病院でついに茉莉子と再開。腕には点滴が刺さり、すっかりやせ細った茉莉子を抱きしめ…… 「好きだ、君がいたから俺はマンガが描けたんだ」  何このドラマみたいなかっこいいセリフ! このイケメンめ!!  同時に、そのマンガが「少年ホリデー」編集長に気に入られ、増刊号にデビュー作が掲載されることになるのでした。ダブルハッピーで、めでたしめでたし。  というわけで、谷口先生の自伝的マンガ『冬の動物園』をご紹介しました。漫画家の自伝マンガって、娯楽も彼女も何もかも捨て、体もボロボロになりながらストイックにマンガを描いて、持ち込んではボツにされを繰り返してようやっと報われる……みたいなストーリーばかりで、こんなキレイな展開の「まんが道」は正直、見たことないです。もちろん全部がフィクションではないと思いますが、やはり谷口先生の人生は一味違いました。  もし谷口ジロー作品が好きで、本作品を未読の方は、ぜひご一読を。オススメです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>) 「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから

出版界に大旋風! 『夫のちんぽが入らない』こだまが語る、夫とネットと大喜利と

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著者のこだま氏。この日は「友達と旅行」とウソをついて上京。
「このタイトルで出せないなら、他社に持っていく」。担当編集者にそこまで言わせる作品は、昨今なかなかないかもしれない。文学フリマで異例の大行列を生んだ同人誌「なし水」。そこに収められた一編のエッセーが、2017年出版界に大波乱を巻き起こしている。ただ衝撃的なタイトルに惹かれて読み進めれば、必ずやいろいろな意味での裏切りに遭う。お涙頂戴路線で読もうとすると、センスあふれる表現力が痛快に感動のはしごを外す。ちんぽが入る人も入らない人も、すべての生きとし生けるものたちへの挽歌『夫のちんぽが入らない』(扶桑社)。うらやましい、あやかりたい、そして、こだま氏の素顔が知りたい!! *** ――いやー、各所で話題になっていますね! 発売1カ月で「4刷13万部」という数字は、昨今の出版業界においては大事件だと思うのですが、こだまさんご自身は、どういうお気持ちですか? こだま 戸惑いと不安がすごく多くて。こんなタイトルですから、ネット上で見た人が面白がって買ってくれる程度だと思っていたんですよ。これが地元の書店にも並んで……恐怖しかない。いつ家族の手に渡るんだろうと思うと。 ――まだご家族には……。 こだま 言ってないです。 ――『夫のちんぽが入らない』は、もともと「なし水」という同人誌に1万字くらいの短いエッセーとして書いたのが始まりだったそうですね。 こだま 「なし水」は、私を含めて4人で出していたんですけど、その方たちが皆さん面白い文章を書くんですよ。だから最初は「この3人にウケたい」っていうだけの気持ちでした。 ――ウケたい(笑)。 こだま このタイトルも……深刻は深刻なんですけど、でも、この機会に全部出しちゃえば、楽になるかなっていう気持ちでした。最初は100部くらいしか刷らなかったので「100人程度なら、知られてもいいや」って。ただ3人と、買ってくれた100人にウケたかったっていう。 ――その100人が、いまや大変なことに……。 こだま まさか、こんなことになるとは……。ただただ、ウケを狙っていただけなのに。 ――「なし水」の方々とは、どういうお知り合いだったんですか? こだま 引きこもっていた時期に「ネット大喜利」っていう投稿サイトに参加していたんですけど、そこでよく一緒になった4人なんです。それで、「なし水」ではみんなで家族の暴露話や創作を書き合って。メンバーだったのりしろさん(乗代雄介)は「群像」(講談社)の新人賞を取られて今は作家活動していて、爪切男さんはウェブの「日刊SPA!」で連載(https://nikkan-spa.jp/spa_comment_people/%E7%88%AA%E5%88%87%E7%94%B7)されていて……「次はたかさんだね」って、言われてる。たかさんは漫画家志望なんです。面白いです。 ――たかさん、プレッシャーでしょうね……。 こだま 「自分以外は、みんな売れてる」って言ってます(笑)。だから本当に、ただただ面白い人たちに面白いと思ってほしいという気持ちで書いていたのが、いつの間にか「感動する」みたいになっていて、身近な人たちは納得してないんですよ。「ただの笑い話だろ?」って。
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『夫のちんぽが入らない』(扶桑社)

◆ネットと出会って、才能が開花

――「ウケたい」っていう気持ちは、ずっと持ってらっしゃったんですか? こだま 小さい頃はまったく……とにかくしゃべらない子だったんで、自己表現をすることもないし。ネットと出会って、そこでブログを書くようになってから、自分もウケれるんだ……と。だって、面白い人しかウケないと思ってたんですよ。だけど、ネットだったら、暗くても評価されることもあるんだなっていうのを、初めて知りました。 ――クラスの人気者的な人がウケるって思い込み、ありますよね。 こだま そう、絶対なれない地位(笑)。 ――ウケるの、気持ちいいですよね……。 こだま そうですね。みんなにっていうよりは、一緒にやっている人たちに認められたいっていう気持ちが強いかもしれない。 ――これは人によるのかもしれませんが、何か書いていると「ほかはどう思われてもいいから、とにかく面白いと思われたい」「ウケたい」みたいな気持ちとの戦いになることがよくあります。 こだま ですね(笑)。この作品を書いていたときは本当に何もやっていない時期で、単なる引きこもりの主婦で、ただブログをやっているだけの。でも、これがきっかけで「クイック・ジャパン」(太田出版)さんに連載のお話をいただいて、「週刊SPA!」(扶桑社)さんからいただいて、すべての始まりが、ただウケたいとだけ思っていた同人誌だったんです。 ――(担当編集の)高石さんにお聞きしてもいいですか? 高石さんが絶対このタイトルに……と会社を説き伏せたと伺いましたが、そこまで強く思ったのはなぜでしょうか? 高石 最初、僕にこの作品の存在を教えてくれたのは、まんしゅうきつこさんだったんですよ(※高石氏は、漫画家まんしゅうきつこさんの担当でもある)。それで、普通の面白エッセーみたいなノリで読むじゃないですか。「ちんぽ」ですし。でも、想像と中身のギャップに驚いた。それを読者にも味わってほしいという気持ちが強かったんです。 ――確かに。「ちんぽ」は何かのたとえなのかなって思いながら読んだら……。 こだま そのまんまの意味(笑)。最初は、ただこの事実を知ってもらいたいというのがあって、タイトルに持ってきたんです。それでこのタイトルにした限りは、何かにつけてこのフレーズを出さねばと。入らない、入らないと連呼して。 ――よく「勃起しない」つらさの話は耳にしますけど、「勃つけど入らない」というのは、あまり表面化してこなかった悩みだと思います。 こだま そう、こうやって書いたことによって「実はうちも入らないんです」っていう声をよく聞いて、そんなに珍しいことじゃなかったというのを初めて知って、それも私にとって大きかったです。 ――“そもそも勃たない”派からしたら「ぜいたくな悩み」って言われそうで、なかなか声にできなかった人もいたのかなぁ……。 こだま 悩みの方向は違うかもしれないけど、できないことは一緒なんですよね。ただ私自身に関しては……普段は家からまったく出ないので、特に何も変化はないんですよ。外側だけ盛り上がっている感じで。Twitterやネットをしているときだけ「あぁ、本当に(本が)出たんだな」っていう実感があって。パソコンから離れると、地味~な山奥での暮らしが待っている。

◆売れても素直に喜べない……

――そのギャップを楽しむ気持ちはないですか? 旦那は知らないけど……みたいな。 こだま それ以上にバレたときの恐怖がデカすぎて、楽しめない。毎日高石さんに「今日は無事でした」っていう報告のメールをするんですよ。おそらく私以上に、高石さんはその責任を負ってくださっているというか。 高石 だって、僕が悪いじゃないですか。声かけたし、企画通したし、「ちんぽ」出しちゃったし。だから僕も素直には喜べてなくて。バレないでほしいので……こだまさんからの「無事」メールがくるとホッとする。 ――2人だけノイローゼ(笑)。 高石 売れてほしいけど、売れてほしくない。うれしいけど、うれしくない。ずっと引き裂かれている。 こだま 私が怖がることで、高石さんにも不安を与えてしまっている。周りのみんなは「いっそバレて、きちんと旦那さんにも言ったらいいんじゃない? これなら怒らないと思うよ」って言ってくださるんですけど……。 高石 そうは言いますけどね……。 こだま 内容が内容なので……完全にネタにしてるし……。 高石・こだま ……。 ――(暗くなっちゃった!!)でも、ほら、「キング」じゃないですか。男性にとってキング、相当褒め言葉ですし。 高石・こだま ……。 ――(もっと暗くなっちゃった!!)あの、どうも「ちんぽ」に目がいきがちですが、こだまさんの文章は表現のセンスがすごいな……って。そういうセンスって、どうやって培われてきたのでしょうか? こだま 私が育ったのは集落も集落で、映画館もないですし、本当に文化がないところ。テレビもろくに見せてもらえませんでしたので、子どもの頃は本だけ、推理小説とか。大人になってネットをやるようになって、面白い人の文章を読んだりして、そこで急速に情報を得たんです。やっぱりネット大喜利ですね。 ――なんか、道場みたいですね。 こだま そう! よく投稿していたサイトも「○○道場」みたいな名前で。全国から300~400人くらい一気にお題に投稿して、採点されて順位を付けられるんです。自分の書いたものが点数になるって、引きこもりの主婦にとっては面白くて。小さい頃の抑圧されていた感じが、そこで一気に爆発した、みたいな。ようやく面白いもの見つけた! って。 ――その道場では、「ちんぽ」的なジャンルにも参加していたんですか? こだま いや、私、どちらかという下ネタはあんまり得意じゃなくて……。「ちんこ」でも「ちんちん」でもなくて「ちんぽ」にしたのも、自分から一番遠い言葉だったからなんですよ。下ネタは言ったら怒られるんじゃないかっていう怖さがあって。 ――「下ネタ言うと怒られる」って、なんかわかる気がします。世代的なものかもしれませんが。 こだま でも、私が唯一優勝したのは「下ネタ大喜利」だったんですよね。 ――……今、ちゃぶ台ひっくり返しましたね。 こだま すみません(照)。

◆“入らないこと”より、つらかったこと

――こだまさんの文章は、面白いのももちろんですけど、すごく読みやすいんです。 こだま 私、本当に一時ですけど、タウン誌でライターとして働いていたことがあって。そのときに「わかりやすく読ませる」ことを編集さんに教えてもらったから、それがよかったのかもしれません。 ――なるほど。自分のことだけどすごく客観的で、ご自身の気持ちですら「事実」として書かれているなぁと。 こだま そうですね。事実ですね。もうどうしようもない。あまり入り込みすぎないように書こうとはしてました。 ――執筆中はどうでしたか? つらかったですか? こだま つらい時期のことは割と書けるんですけど、付き合っているときの甘い話を書きたくなかった。あまり身内を褒めたくない。だから、同人誌のときは全然書かなかったんですけど、高石さんからは「そこを重点的に書いてください」と言われて。 ――確かに。 こだま 「すごく幸せなんだけど、そういう関係性を持てない」という落差につながるから……だけど、当時のことを書くときは、当時の気持ちにならなきゃいけないじゃないですか。夢中になっている自分を書かなきゃいけない。その恥ずかしさと向き合うのが、つらくて。 ――こだまさんのような、自分の中の「恥ずかしさ」とちゃんと向き合って、作品として笑いに昇華させている方々が今、次々とブレークなさっている気がします。まんしゅうさんもそうですよね。 こだま 恐れ多いです。私、故・雨宮まみさんから「一生に一度しか書けない文章っていうのがあって、これはまさにそれなんだけど、それを書いちゃったら終わりかっていうと、書いたら次も書ける。ビビッて書かない人は、ずっと何も書けない」という言葉をいただいて、これは思い切って出してよかったんだなって、そのとき本当に思いました。この本に全部自分の人生を押し込めちゃったんで、もう書きたいことはないだろうって思ったんですけど、「また書ける」という雨宮さんの言葉が、今すごく励ましになってます。 ――次回作のプレッシャーはありますか? こだま これを機に大きく何かやりたいっていう気持ちは特になくて、今いただいている連載だけは頑張ろうと……。身元が危ないっていうのが、根底にあるので。 ――こだまさんの面白さの根底にいつもある「身元が危ない」(笑)。 こだま それが私の中で、いいバランスになっているのかもしれません。はしゃげない、喜べない。 ――すごく謙虚に見えるけど……。 こだま ただおびえているだけ。

◆書籍化自体が“壮大な大喜利”

――でも、「週刊SPA!」のインタビューで松尾スズキさんがおっしゃってましたけど、こだまさん、フェイクの入れ方が微妙だと……。 こだま 創作っていう、イチから作ることに慣れてないんです。自分の原体験を基にしなきゃ書けないので、ほぼありのまま。松尾さんに「ちょっとしかズラしてないんじゃないか」って指摘されてハッとしました。 ――誠実なんだと思います。ひとつ大きなウソが出てくると、そこに引っ張られちゃう。 こだま 大きく変えたら全然詳しくも書けないですし、かなり外れたものになっちゃったと思います。ただこの本は、美談ではなくて、情けない人間の話として読んでもらえるのが一番ありがたいかなぁ。私のやっていることの中には悪いこともありますし。それをいいように捉えられてしまうのはちょっと……。 ――でも、アレですよね。同人誌時代からのお知り合いの、この作品を純粋に面白がっていた人にとっては最高のオチですよね。ただウケたいだけの同人誌が、本になり、13万部売れて、ちょっと感動するみたいな話にもなって……。 こだま で、本人だけがビクビクしてる(笑)。 ――すべてが大喜利のような。 こだま 周りの人が一番喜んでますね。 ――もしも、もしも、旦那さんにバレたらどうしますか? こだま 夫次第ですね。「もうこんなもんやめろ」って言われたら、反省の意味も込めてやめるかな……でも、名前だけ変えて、また書いてそうな気もする……。 高石……こだまさん、絶対やめられないと思う。 こだま そう。怖いけど、それを超えるくらい、書いていて楽しいし。 ――また「こだま」から、そんな離れてないペンネームつけて(笑)。 高石 間違いなく、ひらがな3文字でしょうね。ヘタしたら「こまだ」。 ――ひらがな三文字の作者の面白い作品見つけたら、「あぁ」って思います。 こだま みんな素知らぬふりして、「こだま出直したのか」と迎えてくれたらいいなと思います。 (取材・文=西澤千央)

まるで井之頭五郎の老後……? 谷口ジロー作画の『センセイの鞄』がいい味すぎる!

まるで、井之頭五郎の老後を見ているよう……? 谷口ジロー作画の『センセイの鞄』がいい味すぎる!の画像1
『センセイの鞄』(双葉社)
 自分より、ひと回りもふた回りも年下の恋人ができる――。ほとんどの男性にとって、憧れのシチュエーションですよね。「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載されている『恋は雨上がりのように』は、17歳の美少女が、さえない45歳のバツイチ子持ちファミレス店長を好きになってしまうという年の差恋愛を描く作品で、僕らのようなアラフォー世代をキュンキュンさせてくれます。  しかし文学の世界には、この『恋は雨上がりのように』をも超越する、ハイレベルな年の差恋愛の世界があります。それが『センセイの鞄』という作品。70歳近いおじいさんと、30代後半独身女性の恋を描く本作。それも、加藤茶クラスの大物芸能人の話などではなく、ごく普通の教師と教え子の関係です。 『センセイの鞄』は、芥川賞作家の川上弘美先生の小説で、ドラマ化もされている有名作品ですが、『孤独のグルメ』の谷口ジロー先生が作画を担当するマンガ版も存在します。純文学などまったく縁のない僕ですが……マンガ版があるのか、そうかそうか、そうなれば話は違う。読んでみると、実にいい味を出しているんですよ。まるで『孤独のグルメ』の主人公、井之頭五郎の老後を見ているような、そんな気分で読むことができます。  主人公は、独身OLのツキコさんこと大町月子37歳。お相手はツキコさんが女子高生だった時の古文の先生、松本春綱。ツキコさんより、30歳以上も年上です。30歳の年の差って、冷静に考えるとすごいことですよね。なにしろ、一方が30歳の時に、相手は新生児だったわけですから。  2人の出会いは、お互いの行きつけの居酒屋で、センセイがたまたま隣り合ったツキコさんに声をかけたことが始まりです。  ツキコさんが、「まぐろ納豆」「蓮根のきんぴら」「塩らっきょう」という、女子にしてはゲキ渋なラインナップのメニューを頼むと、隣のセンセイも同じメニューを頼み……。 「大町ツキコさんですね」 「店に出入りするキミに見覚えがあったので」 「名簿とアルバムを見て確かめました」 「あのころキミはおさげにしていたでしょう」  怒涛のセリフ。ちょっ、めちゃくちゃチェック済みじゃないですか! ぶっちゃけ、教え子狙いのナンパじゃないかっていう。センセイもいい年して、なかなかやりますな。しかし、こういうストーカースレスレな行為も、センセイのようなキチンとした身なりの紳士がやると、それっぽく感じさせないのです。  初めは誰だったか思い出せなかったツキコさん。高校時代の先生だったことは思い出したものの、本名が出てこない、そんな流れでセンセイと呼ぶようになります。  それ以来、たびたび行きつけの店で隣り合って飲み、時には2軒目3軒目とハシゴし、時にはセンセイの家に招かれ……次第に、お互い惹かれ合うようになります。それでいて、プラトニックな関係です。  アンチ巨人のツキコさんと巨人ファンのセンセイがナイター中継の最中にケンカして、1カ月も口をきかなかったり、ツキコさんがセンセイの別れた奥さんに嫉妬したり、逆にセンセイがツキコさんの同級生とのデートに嫉妬したり……。しっとりした大人の恋愛だけを描いた作品なのかと思いきや、甘酸っぱい恋の駆け引きもあります。  この作品は、キラキラした若いカップルとも、ギラギラした中年カップルとも違う、適度に枯れた感じで、2人の独特の距離感をほほえましく見守るような、そんな作品なのかもしれません。しかし、僕のように純文学のわからぬ下世話人間にとっては、正直“このカップル、ちょっとキモ……”って思うところもあるんですよ。そんな自分のやさぐれた感情を代弁してくれるキャラが作中に登場します。その名も「名もない酔っ払い」。  この作品きってのヒール役は、おでん屋でセンセイの隣の席に座っており、酔っ払ってベロベロ状態。こんな感じで絡んできました。 「おたくら、どういうんですか」 「年も離れてるんだろうに、いちゃいちゃしちゃってさ」 「いやらしいんだよ、だいたいいい年してさ」 「このじいさんあんたとヤってるの? 月何回くらいヤってるんだよ」  よくぞ言ってくれた! もうド直球ですよ。この男の登場により、作品を読みながらモヤモヤしてた部分がすべて吐き出されるのです。“よかった、自分だけがそう思っていたんじゃないんだ……”。そういう感情とともに。  後半では、年の差恋愛の宿命というのか、センセイの晩年の境遇をツキコさんが悲しむシーンまで描かれており、そのシーンが、またなんとも切ないのです。そう、これは単なる恋愛ではない、究極の愛。「看取ら恋愛(みとらレンアイ)」なのではないでしょうか?  ちなみに谷口先生の描く作品中の食事シーンは、『孤独のグルメ』譲りの美麗さです。さらしクジラ、もずく酢、切り干し大根、茄子のしぎ焼き、塩ウニ、トビウオのしょうが醤油などなど。ツキコさんとセンセイによる、渋すぎるセレクションはさすが年の功! それだけでも十分楽しめる作品です。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>) 「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから

「名古屋闇サイト殺人事件」ハンマーで40回殴打されながらも被害者が守り抜いたものとは?

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『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』(角川書店)
 2007年8月24日夜の11時過ぎ、その事件は起こった。  帰宅途中の磯谷利恵さん(当時31歳)が、愛知県名古屋市千種区の路上を歩いていたところ、白いワンボックスカーから出てきた男に道を尋ねられた。そして、一瞬の油断をつき、利恵さんは車の中に押し込まれ、手錠をはめられてしまう。バッグから現金とキャッシュカードを奪った3人の男たちは、拉致現場から30キロメートルあまり離れた愛西市の駐車場まで移動。彼女の頭にガムテープをぐるぐる巻きにし、頭にレジ袋をかぶせた上、40回にわたってハンマーで殴りつけて殺害。無残な遺体は、岐阜県内の山林に埋められた。  凄惨な内容もさることながら、犯人グループがインターネット上の「闇サイト」と呼ばれる場所で知り合い、犯行に及んだこともあり、発生当初から、多くの注目が集まった この事件。あれから10年、作家の大崎善生がこの事件を追ったノンフィクション『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』(角川書店)が刊行された。本書の内容に従って、この事件を振り返ってみよう。  加害者たちが知り合ったのは、インターネット上の掲示板「闇の職業安定所」だった。 「刑務所から出てきたばかりで、派遣をやっています。実にばかばかしい。東海地方で一緒になんか組んでやりませんか」  この書き込みをしたのが、住所不定無職の川岸健治という男。そして、この言葉に呼応して、堀慶末は「どうですか、何か一発やりますか?」というメールを送信。神田司は「以前はオレ詐欺をメインにしていたのですが貧乏すぎて強盗でもしたい位です」と、メールを送った。さらに、途中で離脱するもうひとりを加えた4人の男たちが、犯罪のために動きだしたのだった。  それぞれ、金に困っていた4人だが、どんな犯罪をするのかは誰ひとり考えていなかった。8月21日、ファミリーレストランで落ち合った即席の犯罪集団は、「夜間金庫を狙うか、パチンコ屋がいいのではないか」などと話し合う。しかし、いざ実行に移そうにも、強盗のターゲットを尾行中に見失い、ダーツバーを襲撃しようとしたら休み、さらに昔勤めていた会社事務所に忍び込み金庫を盗もうとしたところ 、金庫自体が 見当たらなかった。行き当たりばったりで、何一つ成果も挙げられない。これで終われば、ただの間抜けな人間たちだった。  しかし、初対面から3日後の8月24日。事件は起こった。  業を煮やした彼らが計画したのが、女性の拉致だった。 「ブランド品とか持っていなくて、黒髪で、あんまり派手じゃない地味系のOLだったら、たくさん貯金しているだろうから」というもくろみで、名古屋市内をぐるぐると移動しながら ターゲットを物色。磯谷利恵さんの外見は、まさに彼らが考えてたものと一致した。155センチと小柄な彼女の体格は、180センチの堀に押さえつけられるとひとたまりもなく、車の中に引きずり込まれた。  車内で手錠をはめられ、包丁を突きつけられ、恐怖のどん底に突き落とされた利恵さん。しかし、彼女は、犯人たちに臆することもなく、気丈に振る舞った。母親に家を買うために貯めていた800万円以上の預金が入ったキャッシュカードを奪われても、決して正しい暗証番号を伝えることはない。頭をハンマーで殴られ、血が飛び散りながらも、利恵さんは「ねえ、お願い、話を聞いて」「殺さないって約束したじゃない」「お願いします。殺さないで」と犯人を説得しようとした。彼女は、母親に女手一つで育てられた。もしかしたら、その脳裏には、ひとり残される母親のためにも、死ぬわけにはいかないという強い思いがあったのかもしれない。しかし、そんな希望は、無残にも振り下ろされるハンマーによって打ち砕かれた。  翌日、犯人グループのひとり、川岸の自首によって、事件は明らかになった。  被害者の母、富美子さんは、事件後、加害者の死刑を求める署名活動を行い、その数は33万人にまで膨れ上がった。この署名は結果として判決に反映されることはなかったが 、神田・堀両被告に対して被害者がひとりの事件としては異例の死刑判決が言い渡される結果を勝ち取った(堀は、上告で無期懲役の判決となるも、余罪が判明し、死刑判決が下された)。  闇サイトで集った男たちによる、無計画な犯行の犠牲となった磯谷利恵さん。あまりにも短絡的な犯行によるその死を追っていくと、怒りや悲しみといったありきたり体の言葉ではとうてい表現できないような強い感情に襲われる。しかし、大崎が注目するのは、そんな卑劣な犯人たちを前に堂々と自分を保ち続けた利恵さんの勇気だった。 「凍りつくような恐怖の中で、 それでも利恵は最後まで自分を保ち続けた。どんなに痛かっただろう、どんなに苦しかっただろう、どんなに怖かっただろう。しかし孤絶する状況の中で、死の恐怖に向かい、 理恵はひとりで戦い抜いた。凍りつくような絶体絶命の状況で、取り乱すこともなく、また絶望することもなかった。敢然と立ち向かい、ひたすら耐え抜いた。その知性と勇気を“誇り”に思い、また“感謝”する」    死の淵に立っても、利恵さんは暴力に屈しなかった。大崎は、その毅然とした態度を後世にまで書き残そうとしている。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])

『スター・ウォーズ』に高田馬場が登場していた!? 名前のルーツを探る!『知っているようで知らない「ネーミングの謎」』

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『知っているようで知らない「ネーミングの謎」』(三笠書房)
 日刊サイゾー読者のビジネスマン諸氏に、ぜひともおすすめしたい一冊がある。『知っているようで知らない「ネーミングの謎」』(三笠書房)では、ありとあらゆる商品名の由来や、企業名の成り立ちについて解説している。  さて、誰もが知る大ヒットシリーズ『スター・ウォーズ』。現在、新作が絶賛公開中だが、同作品に、早稲田大学などで知られる学生の街、高田馬場の名前が登場するのをご存知だろうか?  本書によれば、15年に公開した『フォースの覚醒』で登場する「タコダナ」という惑星が高田馬場から取って名付けられたという。『フォースの覚醒』の監督は、JJエイブラムス。エイブラムスが初来日した際に、宿泊したホテルが高田馬場にあり、その思い出を込めてつけたとのこと。  『スター・ウォーズ』には、他にも日本がルーツの名称が盛りだくさん。ジョージ・ルーカスは、黒澤明監督の大ファンだというのは周知の通りだが、人気キャラクター「ハン・ソロ」は、戦国時代の忍者・服部半蔵から、「オビ=ワン・ケノービ」は“帯は一番で黒帯”からきているそう。  先日の第4・四半期決算でも広告収入2.5兆円という誇らしい業績をあげる、大手検索サイトのGoogle。検索サイトのみならず、GmailやGoogle mapなど、ほぼ毎日利用するのではないだろうか?  そんなGoogleだが、実はそのGoogleという企業名は、スペルミスから生まれたものだそう。Googleは、前CEOのラリー・ペイジとアルファベット社長のセルゲイ・ブリンの2人によって1998年に創立。名称に、10の100乗を意味する「googol」という数の単位を付ける予定だったが、間違えて「google」とスペルミスで名称を登録してしまい、それがそのまま今日まできているのだとか。  一方で、日本国内で使えても海外では使えないという名称もある。1919年の発売以来、長年愛されている「カルピス」。もともと、カルピスという名称は、原材料である牛乳に含まれる「カルシウム」の“カル”とサンスクリット語で醍醐味を意味する「サルピルマンダ」をくっつけて、語呂を調節したもの。その後、海外進出をはたすカルピスだが、英語圏では「カルピス」が「カウ(牛)ピス(おしっこ)」と聞こえてしまうために「カルピコ」となっている。  また、こちらも親しみのある江崎グリコのお菓子「ポッキー」。英語圏ではポッキーそのままだと、男性器を意味してしまうため、ヨーロッパで人気のテーブルゲーム「ミカド」にそっくりなことから、そのまま「ミカド」という名称に変更されて販売されている。  ほか、国内の企業に多い「フジ◯◯」「サン◯◯」企業それぞれの全く違う由来や、濁音を入れるとヒットするというジンクスの解説など、驚くべき知識が網羅。名称の由来を調べていくと、我々の生活には、さまざまな歴史と結びついていることに気付かされるだろう。

相模原障害者殺人事件は前触れにすぎない? 植松容疑者の「思想」はなぜ、共感を呼んだのか

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『相模原障害者殺傷事件 ―優生思想とヘイトクライム―』(青土社)
 神奈川県相模原市にある障害者福祉施設「神奈川県立 津久井やまゆり園」で、この施設の元職員・植松聖(当時26)の凶行によって19人の入所者が殺害された事件から、半年が経過した。戦後日本国内で発生した事件として、「津山三十人殺し」に次ぐ犠牲者の多さとその規模もさることながら、ネット上に寄せられたこの事件の犯人に対する共感は、ショッキングな出来事として記憶された。いったい、なぜこの事件は起きたのか? そして、この事件から何を考えなければならないのか? 社会学者で、『弱くある自由へ』『精神病院体制の終わり』(青土社)などの著作を持つ立岩真也と、『非モテの品格』(集英社新書)、『フリーターにとって「自由」とは何か』(人文書院)などで知られる批評家の杉田俊介による共著『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』(青土社)から、この事件を振り返る。  植松容疑者は、事件決行5カ月前、2016年2月半ばに衆議院議長大島理森に宛て、「職員の少ない夜勤に決行致します」「見守り職員は結束バンドで身動き、外部との連絡を取れなくします」など、犯行予告と理解できる手紙を書いて、公邸を警戒中の警察官に手渡している。  その一方で、日本軍の設立、5億円の支援を要求するなど、支離滅裂な内容がしたためられたこの手紙で、彼は「私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」「障害者を殺すことは不幸を最大まで抑えることができます」と主張する。「全人類が心の隅に隠した想いを声に出し、実行する決意を持って行動しました」「私が人類の為にできることを真剣に考えた答えでございます」と、社会のために障害者を殺害することを強調。事件後にも、捜査関係者に対しては「殺害した自分は救世主だ」「(犯行は)日本のため」と供述している。  いったい、どうしてこんな支離滅裂で身勝手な主張に、シンパシーが寄せられるのだろうか?   今回の事件を受けて語られるようになった言葉のひとつに「優生思想」がある。優れた子孫の出生を促し、劣った子孫の出生を防止することで、民族の質を高めると考えるこの思想。ナチス・ドイツ政権下での精神病者・障害者に対する断種などが有名だが、実は日本でも1996年まで「優生保護法」があったように、その思想はつい最近までわれわれの身近に存在していた(現在は「母体保護法」に改称されている)。植松容疑者の「人類のために」障害者を殺害するという発想も、この優生思想に影響されたものである。そんな彼の思考や、事件がもたらした余波を受けて杉田が感じたのは、次のような「ヘイト」とのつながりだった。 「青年(編注:植松容疑者)の精神が、この国をじわじわと侵食してきた近年のヘイト的なものの空気を確実に吸い込んできた、(中略)彼の言葉はヘイトスピーチ的なものを醸成してきたこの国の『空気』をどう考えても深く吸い込んできたのであり、その意味でこれはヘイトクライム(差別的な憎悪に基づく犯罪)なのである」  もちろん、現在では優生思想はタブー視されている。しかし、一部の人々がシンパシーを感じてしまうように、それを乗り越えることは簡単なことではない。杉田も、自身の経験から、自分の中にある「内なる優生思想」に対する迷いを、以下のエピソードとともに記述している。  超未熟児として生まれた杉田の息子は、平均的な身長に追いついていないため、成長ホルモンの注射を打っている。保育園でほかの子どもから「なんで小さいの?」と言われ、母親に泣きつく子どもと、ほかの子どもたちとの体格や運動能力の差が目につくようになる。「男の子の場合、背の低さ、身体の小ささが大きなデメリットになるはずだ、そういう功利計算が親である僕らには働いた」と語る杉田。彼自身も、内なる優生思想に対して解決のめどがついていないことを告白する。  一方の立岩は、かつて日本で起こった障害者殺害事件を丹念に掘り返し、この事件を精神医療の問題とすべきではない、と主張。さらに、この事件を取り巻く社会について、社会学の言葉でドライに記述していく。杉田と立岩の思考も、必ずしも一致しているわけではない。本書の中で、2人は安易な「正解」には決して飛びつかず、回りくどくても本当の意味でこの事件の真実に迫る道を探しているようだ。  本書に収録されている立岩との対談の中で、杉田は「悪い方に考えすぎだ、と笑われるかもしれませんが」と前置きしながらこう語る。 「今回の事件はまだ入口にすぎない気がするんです。あれが最悪という感じが少しもしない。これからもっとひどいことが起こる前兆であり、前触れという気がする」  今後の裁判では、次々と新たな事実が明らかにされていくことだろう。杉田の予言めいた言葉が現実のものとならぬよう、この事件については、さまざまな側面から議論がなされなければならない。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])

もしも、国がクイズによって統治されたら……衝撃のディストピアマンガ『国民クイズ』

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『国民クイズ』(太田出版)
 もしも、あらゆることがクイズによって決まる、クイズ至上主義の世界があったなら、あなたはどうしますか? エンタメ感にあふれ、戦争もない、ほのぼのした世界――。ちょっと住んでみたいと思いませんか?  今回ご紹介するマンガ『国民クイズ』(原作:杉元伶一、作画:加藤伸吉)はまさに、もし日本がクイズで統治される国になってしまったら……という世界を描いた作品。  舞台は、世界一の経済大国であり、軍事大国になった近未来の日本。民主主義を捨て、国民クイズ体制に移行してイケイケになった日本には、もはやアメリカも中国も、国連すらも逆らうことができないのです。  なにしろ、日本国憲法に<「国民クイズ」は国権の最高機関であり、その決定は国権の最高意思、最高法規として行政・立法・司法その他のあらゆるものに絶対、無制限に優先する>などと記載があります。ほのぼのどころか、ガチでクイズが支配する社会なのです。  国民の関心の中心は、日本国政府「国民クイズ省」の提供により、毎日夜7時から11時まで放映されるテレビ番組『国民クイズ』。なにしろ、国民クイズで優勝した国民は、どんなあり得ない望みでもかなえてもらえるという、ジャパニーズドリームな番組なのです。国民が熱狂するのもうなずけますね。 「いなくなった愛犬を探してほしい」「アダルトビデオのモザイクを消してほしい」なんてスケールの小さいものから、「お隣の奥さんを殺してほしい 」「100億円欲しい」「エッフェル塔を自分の物にしたい」などというトンデモないものまで、日本国が責任を持ってかなえてくれます。実際、国民クイズで「佐渡島を日本から独立させたい」という望みがかない、佐渡島は佐渡島共和国となっています。  当然ながら、問題は難問ばかりです。国民クイズでは、全国から地方予選を勝ち抜いてきた500名が、一次予選「ふるい落としクイズ」にかけられます。そこから決勝クイズに行けるのは、なんと100問中100問……つまり、全問正解した者だけ。失格者は人間のクズとして、強制労働に従事させられるのです。あまりにハイリスクハイリターンなルール。出場者は、文字通り人生を賭けてクイズにチャレンジしているのです。  では、果たして、どんな難問が出題されるのでしょうか? ちょっと見てみましょう。 「昨年初潮を迎えた日本全国の少女のために炊かれた赤飯の総量は?」 (1)3トン (2)50トン (3)800トン 「新橋の蕎麦屋『長寿庵』のカツ丼には、グリンピースがいくつのっている?」 (1)4個  (2)6個 (3)オヤジの気分次第 「宇宙人はいるでしょうか?」 (1)いる (2)いない (3)わからない  もうね、「そんなん知るか!」としか言いようがない難問・奇問の数々。赤飯の総量とか、どうやって調べるんだよ!? ラストの100問目に至っては、サイコロの目を当てるという、完全に運だけの問題。単に知識があるだけではどうにもならない、クイズ王も涙目のルールです。  奇跡的に決勝クイズに進出できたとしても、決勝クイズで自分の望みに相当する得点に達さなければ失格。当然ながら、望みのレベルが高ければ高いほど、必要な得点は高くなります。 「愛犬を探してほしい」190点 「お隣の奥さんを殺してほしい」110万6,482点 「エッフェル塔が欲しい」 6,021万1,905点 といった具合で、失格者は足りなかった点数によって、最高裁でA~Dの戦犯判決を受けることになります。  A級戦犯は全財産を没収され、その財産および自分自身の身までもが日本武道館でオークションにかけられるという、まさしく身の破滅。B級戦犯でも「刑務所の掃除夫20年」や「シベリア送り」など、やはり地獄のような処遇が待っています。クイズの結果で戦犯扱いって……クイズが、ものすごく恐ろしいものに感じますね。 『国民クイズ』の主人公は、その国民クイズの司会者を務める、K井K一。圧倒的な演出力とカリスマ性で国民支持率98%という絶対的人気を誇る人物なのですが、彼もまた、売れない役者時代に国民クイズに出て失格となり、B級戦犯者として奉仕労働で司会をやらされている身だったのです。  K井K一は次第に、国民クイズ体制を転覆しようとする反体制派のテロリストや佐渡島共和国の国民クイズ打倒計画に共鳴するようになり、表面上は国民クイズを象徴する大人気司会者を演じながらも、国家転覆を謀るスパイとして活動するようになるのですが、果たして……。  そんなわけで、軽い気持ちで読み始めると、予想以上にスケールが大きくて、とてつもなく緻密な設定にグイグイ引き込まれる作品、『国民クイズ』をご紹介しました。もし本当にこんなクイズ至上主義の世の中になったら、一体どうしたらいいんでしょうね? とりあえず、カツ丼にのってるグリンピースを数えるところから始めたいと思います。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>) 「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから

かわいいアイツも食べるとウマイ!?  アルマジロ、イグアナ、アルパカ……珍肉エッセイ『世界のへんな肉』

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『世界のへんな肉』(新潮社)
『世界のへんな肉』(新潮社)は、100以上もの国や地域を訪れたフリーライター・白石あづさ氏が、旅の話を交えながら“珍肉”の味を伝える、ほんわか珍肉エッセイ。「おとなの週末.com」での連載「世界一周“仰天肉グルメ”の旅」を加筆修正し、書籍化したものだ。  白石氏は、プロフィール写真だけ見ると、線の細い色白美女といった感じだ。しかし、なんでもよく食べる。南米グアマテラでは「君の肌もツルツルさ」と勧められ、ゼラチン質たっぷりの「アルマジロのブラウンシチュー」を、エルサルバドルでは、“樹上のニワトリ”と呼ばれる「イグアナのスパイス炒め」、スウェーデンではちょいとおしゃれに、日本で天然記念物に指定されている「雷鳥のロースト」と「トナカイのカルパッチョ」を食す。  ほかにも、イグアナ、水牛、ビーバー、ダチョウ、ガゼルなど、20種類以上の珍肉を食べまくった。その中には、日本ではアイドル的な存在の、もふもふの毛に、くりんくりんの長いまつ毛が愛らしいアルパカの姿も。「Oh、残酷!」と嘆く人もいるかもしれないが、南米のレストランでは、結構よくメニューに登場する動物である。  筆者も、ペルーへ行った時に現地人に勧められて食べてみたが、これが……うまいんですよねぇ。本書でもつづられているが、脂肪たっぷりでやわらかく、臭みもない。申し分なく、ウマイ肉なのだ。日本では、食用肉といえば、豚、鳥、牛の3種類が超王道だが、世の中には、日本人は知らぬ食用肉だらけ。動物をペットとして見るのか、ハタマタ、食用とするのかは、人間次第で国によってさまざま。  なお、日本にも家畜としてワニを300匹ほど飼育する、食用ワニ牧場があるそうで、白石氏は果敢にも“ワニおじさん”に会いに出かける。そして、ワニの背中部分のゴツゴツとした部分を煮込んだスペシャルカレーを食べることに。気になる、そのお味は……。  まずは本書を呼んで、国内のどこかでお確かめを。 (文=上浦未来) ●しらいし・あづさ 日本大学芸術学部学科卒業。地域紙の記者を経て、約3年の世界放浪へと旅立つ。帰国後はフリーライターとして旅行雑誌、グルメ雑誌等に執筆。これまでに訪ねた国や地域は100以上に上る。著書に『世界のへんなおじさん』(小学館)。