椎名誠絶賛! イスラム圏の豊かな暮らしをレポートした『ハビビな人々』

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『ハビビな人々 アジア、イスラムの
「お金がなくても人生を楽しむ」方法』
(文藝春秋社)
 GNPならぬGNHという言葉をご存知だろうか? 前ブータン国王ジグミ・シンゲ・ワンチュクが提唱した概念でGross National Happiness、つまり国民総幸福量を量る指数である。「自分はいま、幸せか?」という問いに、ブータンの国民の9割はイエスと答える。ちなみに日本のGNHは参加178国中90位。先進国の中では最下位である。  ブータンはGDPからすれば最貧国だが、日本とのGNHの差は歴然としている。彼らにあって日本にない"何か"とは何なのか。『ハビビな人々 アジア、イスラムの「お金がなくても人生を楽しむ」方法』(文藝春秋社)は、旅行ライターの中山茂大氏が、アジア、イスラム圏を旅して、その人々の暮らしを記したノンフィクションだ。イスラム圏の経済、貧困、文化、各地方の特色などについて全6章で構成されている。この本の特色は、評論、新書から多くの言葉を引用している点にある。普通、旅行記といえば旅の軌跡をなぞっただけのものが多いが、この本は50カ国以上を巡ったという著者の経験と豊富な知識を背景に、イスラム圏の人々の行動原理を解析している。単なる旅行記にとどまらず、fanなエピソードとともに文化的考察などinterestingな要素も兼ね備えた内容となっている。  "ハビビ"とはアラビア語で「最愛の人」「仲のいい関係」という意味で、イスラム圏の人は家族、親友を何よりも重んじる。「富者は貧者に喜捨(寄付)する義務がある」というイスラム教の考え方から、外国人旅行者からは平気でぼったくるが、ハビビな人には情を尽くし、どんな苦労もいとわない。所得は低いが、食えるぐらいに適度に仕事をし、時間にあくせくすることもなく、皆どこかノーテンキに暮らしている。住所を持たない遊牧民には、納税も仕事もカンケーないのだ。 「南国の海を見て喜んでいるのは、寒いところからやってきた欧米人や日本人だけである。(中略)"エコロジー"とか"ロハス"とか言っていられるのは、先進国の人々だけである。語弊を恐れずに言えば、それは衣食住が満たされ、社会保障が充実し、十分な給料をもらっている人々の"戯言"に過ぎないのではないだろうか」(本文より)  現在、途上国のほうが「幸せだ」と感じ、先進国のほうが「不幸せ」だと感じる割合が概して高い。経済発展を遂げ、核社会が進む中で、日本人はノーテンキさ"ハビビ"を見失ってしまった。エコより優雅で、ロハスより快適な"ハビビ"は、不況下に適したライフスタイルだと言えるだろう。 (文=平野遼) ●なかやま・しげお 1969年、北海道深川市生まれ。上智大学文学部卒。在学中(探検部)、南米大陸6000kmをロバとともに縦断。出版社勤務の傍ら、『ロバと歩いた南米アンデス旅行記』(双葉社)を著し独立。旅行ライター。他に、『ソウルの食べ方歩き方 路地裏安食堂探検ガイド』(山と渓谷社)、『韓国陸軍、オレの912日 爆笑ノンフィクション いま隣にある徴兵制』(共著 彩流社)、近著に『世界のどこかで居候』(共著 リトルモア)。
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ゲッツ板谷氏が案内! 予算1万2,000円でストレス発散する大人の遠足『板谷遠足』

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『板谷遠足』(扶桑社)
 代表作『板谷バカ三代』(角川書店)など、身近な家族や友人を描いた爆笑エッセイで知られる、元暴走族&ヤクザ予備軍のコワモテ作家・ゲッツ板谷氏が、予算1万2,000円で大人の遠足を案内する『板谷遠足』(扶桑社)を発売した。      2009年6月から2010年の6月まで続いた「週刊SPA!」(同)の連載をまとめた本で、連載当初は板谷氏が行きたい場所に行くはずだった......。が、板谷氏が遠足の予定地として事前に挙げた場所は巨大仏か温泉ばかり。  似たり寄ったりの行き先に、この連載の担当編集であり、東大卒のシンボ氏から、「(この行き先だと)板谷さんが気持ちイイだけで、一般の読者は興味がゼロだっつーーの!」「とにかく、これから2回に1回は、俺か読者が提案した場所に行くことにしますからねっ」と告げられてしまい、泣く泣く従うハメに。  そんな事情もあり、嫌々出かけたスポットもあったものの、日本一大きな牛久大仏、黒部ダム、ガマランド、サーキットの狼ミュージアム、横田基地日米友好祭、多摩川でのラフティング体験などなど、なんだかんだでバラエティーに富んでいて、関東近郊を中心に、北海道や九州にまで出かけている。  遠足にはシンボ氏をはじめ、板谷氏のエッセイではおなじみのハック氏、キャーム氏など地元の友人たちもたびたび参加。昨年末に敢行した東京~九州の7泊8日の大遠足では、連載4回分としてカウントしたものの交通費や宿泊費がかさみ、余裕で予算オーバー。地元の友人も同伴し、プライベートも兼ねているので、"絶対自分が行きたいところにだけ行く!"と決意するもののやはり思い通りにはいかなかったようで......。
キャーム氏「おう、ハック。次の姫路西インターで高速から下りてくれ」(板谷氏と車の運転を交替したハック氏に、キャーム氏が指示を出す) 板谷氏「ち、ちょっと待てよっ! 今日は、このまま広島まで行く予定だろっ」 キャーム氏「いや、その前に日本で一番美しいと言われている姫路城を見学する」 板谷氏「勝手に決めんなよっ!! おメーは、狂った金パチかぁぁぁっ!?」 キャーム氏「とにかくハック、次のインターで下りろっ。文句を言う奴がいたら、俺ももう45歳になって何やったって関係ねぇから、この車ん中でウンコとかを漏らしてやるからよっ!」 板谷氏「おいっ....................................」
 とても大人とは思えない会話を延々と繰り返しながら遠足は続く。くだらね~と思うのだが、小学生の頃、遠足ではしゃぎまくっていた楽しげな雰囲気が伝わってきて、ついついニヤリとしてしまう。  そんな板谷氏だが、あとがきでは、 「最近の社会人はケータイやパソコンに囲まれながら仕事をすることがますます多くなってんでしょ。(中略)せめて休みの日ぐらいは、こういう能天気な遊びを実際にやってもらって、たまったストレスを発散してもらいたい、っていうのがあったから連載を始めたんスよね」  と真面目な一面も見せている。  この本を読んでも、別に何かのためになんて全然ならない。けれど、めいっぱい遊んで、また仕事頑張ろう! そんな前向きになれる一冊だ。 (文=上浦未来) ●ゲッツ板谷 1964年東京生まれ。10代の頃は暴走族やヤクザ予備軍として大忙し。その後、紆余曲折を経てフリーライターに。著書は『板谷バカ三代』(角川文庫)『ワルボロ』(幻冬舎文庫)『板谷番付!』(扶桑社)など多数。
板谷遠足 ゲッツ板谷の新境地!? amazon_associate_logo.jpg
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ハゲ、皮下脂肪、加齢臭…… 男だってアンチエイジングしたい!『男の科学くん』

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『飛び込めっ!男の科学くん』(ぶんか社)
 世のアンチエイジングと言えば、女性向けのものがほとんどだ。だが、男だって、いつまでも若く美しくありたいに決まっている。枯れ葉のごとく落ちゆく頭髪に、加齢臭、髪の毛の量とは反比例して年々蓄積されていく下腹部の脂肪、下半身に至っては思春期の活発具合はどこへやら......。こんなエイジングは誰だって食い止めたいはず。「※ただしイケメンに限る」といったネットスラングが流行るように、見た目は素敵であるに越したことはないのだ。筆者は女だが、もしも願いが叶うなら未来の旦那は、髪はフサフサ、下っ腹はスリムであってほしい。  そんな男性陣が避けて通れない悩みに付け込むかのように、巷に溢れ返っている育毛剤やサプリメント、謎の機械や薬品。「怪しくて試せない」、「効く保証がない」、「体に悪影響が出たら嫌だ」、多くの場合、勇気がなくて手を出せないであろうこれらを、サイエンスライター・川口友万氏が世の男性を代表して体験し、『飛び込めっ! 男の科学くん』(ぶんか社)の中で、効果のほどをレポートしている。いわば、世界初の"アンチエイジングブック"といったところ。  ちなみに、著者の川口氏(44歳)は、額はM字に絶賛後退中、青春時代は途方もないニキビの量に悩まされた脂性肌、腹回りはご想像の通り、といかにも男性ホルモンが多そうな中年男性。"アンチエイジングブック"の実験体になるに充分なスペックを兼ね備えている。25歳にしてすでに鼻毛に白髪が生えていたという川口氏、まえがきで「モテたいから髪を気にし、下半身で悩む」と豪語し、意気込みはバッチリだ。  本書の中で試されているアンチエイジングは実に26種類。頭髪ケアに、ダイエット、お肌のピーリング、水虫治療、消臭、下半身に効くマムシ酒、あらゆるストレスケア等々、これだけやればさぞかしピチピチに若返ったことだろう。川口氏に直撃してみたところ、第一章をたっぷり使って、飲む発毛剤・塗る発毛剤・自毛植毛・カツラと隅々まで試した頭髪に関しては、  「髪はおかげさまで、ビッシリ、フサフサになったよ」
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カツラの効果をより実感するために、
わざわざてっぺんを丸刈りに。
その姿、落ち武者のごとし。
 と、ニンマリ。  また、一番効いたとイチオシするのは、コエンザイムQ10。 「コエンザイムQ10が入ってるイビキを止めるサプリメントは本当に効いた。信者になるほど衝撃を受けたよ。僕はイビキが本当にひどいらしくて(寝てるから自分では分からないんだけど)、朝起きると嫁が寝室にいなくて、居間のソファで寝てるのよ。あまりのうるささに眠れない、って。でも、サプリメントのおかげでイビキも止まって、離婚の危機を脱したよ。イビキが原因で離婚だなんて、マヌケだもんな(笑)」  さらに川口氏は、 「アミノ酸で疲れ知らず、マムシ酒でいつでも元気、水虫は完治して、腰痛もなくなった。こんなに効果があって、この本なんとたったの500円だからね!」  と続ける。  ワンコインから始めるアンチエイジングブック、なるほどなかなかどうしてキャッチーだが、本の中で紹介されているアンチエイジング費用は別途かかるので、あしからず......。 (取材・文=朝井麻由美) ●『飛び込めっ!男の科学くん』 <http://www.amazon.co.jp/dp/482114302X>
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元AV女優ライター・峰なゆかが語る『ヤングくん』は"画力なき浅野いにお"!?

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撮影/石垣星児
 コピー機で自分のチンチンをコピーする。デパートの化粧品売り場で"女の匂い"を思いっきり吸い込む。手のひらのベタつきを気にして女子に触れない......。こんな男子特有の"童貞マインド"がギッシリつまった4コママンガ『ヤングくん』(マガジンハウス)をご存じだろうか?  ムトウマサヤなる人物が描くユルユルなこのマンガ、もともとはマガジンハウスのウェブ媒体で連載されていたものだったが、ツイッターなどでじわじわと人気が広がり、「1,000人にフォローされたら出版」というユルめの企画を乗り越え、このたびめでたく書籍化が実現。そしてこの10月には、作者自ら印税をつぎ込み、マンガ単体としては異例の、ラジオ番組へのスポンサードを自腹で決定、TBSラジオの人気深夜番組『文化系トークラジオLife』にて、「この番組は『ヤングくん』の提供でお送りします」というギャグのような提供アナウンスが読み上げられた。  さて、童貞くささ満開の内容で、冴えない文化系男子たちから熱い支持を集める『ヤングくん』だが、そこに真っ向から噛みついたのが、『文化系トークラジオLife』にも出演経験があり、サブカルチャーに造詣が深い元AV女優ライターの峰なゆかさんだ。 峰なゆか(以下、峰) バカで、エロくて、ちょっぴり切ない脱力系4コマ──。ネット上のレビューなんかを見ると、『ヤングくん』は"童貞マインドをこじらせた思春期マンガ"なんて書いてあって、つまりは"非モテ系"の文脈に位置づけられているわけですが......まったく逆ですね。この本には女心をくすぐるテクニックが満載、完全なる"リア充マンガ"ですから!  う~む。一体どのあたりがモテ系マンガなのだろうか?  とにかくあざといんですよ。なんでこのモテ技を知ってるんだろうって思うくらい。例えば、女の世界には「乾燥機をじっと見ちゃう私アピール」というテクニックがあります。男から「いま何してんの?」的な電話がかかってきた際、「え~、回るもの見てた~」なんて答えると、不思議ちゃんキャラを演出できるわけですね。でも、それをなぜか男のヤングくんがやってるんですよ。これはタダモンじゃありません(笑)。  さらに峰さんは、このマンガの作者・ムトウマサヤについてもこう語る。  一度対談企画でお会いしたんですが、ムトウさんは女にモテそうな人でしたね。こういうシンプルな絵の不条理系マンガを描くのって、だいたいはモテる感じの人なんですよ。まあ、ちょっと方向性は違いますが、『おやすみプンプン』の浅野いにおさんにも近いような。THE・草食男子って感じの。そうそう、ヤングくんって、いうなれば"画力のない浅野いにお"かも(笑)。  いわく、"おしゃれトラウマ"な感じで、たまに哲学ネタとかあって、いかにも"絵本大好きな森ガール"あたりが食いついてきそうな点で、この2者は共通してるのだとか。そして、峰さんの舌鋒は文化系男子の批判へ......。  自分のことを草食だと思ってる文化系男子って、とにかく、傷つくのが怖いから恋愛でもリスクを負って頑張ったりしないじゃないですか。彼らって、そういう「ナイーブな俺」を理解してくれるマンガやアニメにすぐ飛びつきますよね。実際、浅野いにおもヤングくんも文科系男子の心をくすぐりそうなマンガ家さんですが......でも実はこの人たちはモテる側の人間ですから! 草食系男子のみなさん、この人たちに感情移入したって虚しいだけですよ!」  って、峰さん......草食男子に何か恨みでも?  ぶっちゃけ私、草食っぽい男が好みなんですよ。小説とかマンガの話をしながら、ほんわかとサブカルっぽい恋愛がしたいわけです。なのに、向こうは私みたいな巨乳女が嫌い、というか怖いんですよ。ホントはエロいくせに、「俺、そういうの苦手だから」みたいな顔して、性の匂いがしない森ガールとかに行くでしょ。そのせいで、私に寄ってくるのはオラオラな感じの人ばかり!  峰さんの周りに文化系の男子たちは、ひたすら受け身で積極性ゼロ。まったく恋愛に発展する匂いがしないのだそう。  文化系男子たちは、この本に感情移入してる場合じゃないですよ。ヤングくんを見習って、あざといモテ技を学んでほしいですね。とにかく、文化系男子の味方みたいな作家たちは、みんなヤリチンなんです! 癒されるんじゃなく、積極的にテクニックを学ぶ。この姿勢でお願いします!  "モテ本"としてのヤングくん。みなさんもぜひご一読を(笑)。 (文・取材=木元嵐) ヤングくん公式サイト「放課後! ヤングくん部」<http://young-kun.jp/> ヤングくん on Twitter<http://twitter.com/young_kunminenayu121202.jpg ●みね・なゆか 1984年生まれ。元AV女優のフリーライター。得意分野はエロ、文学小説、サブカルマンガ。AV情報サイト「men's NOW」でコラム「はだかのりれきしょ」を連載中。TBSラジオ「文化系トークラジオLife」にもたまにゲスト出演。ツイッター<http://twitter.com/minenayuka

ヤングくん1 売れたら、「2」もある!? amazon_associate_logo.jpg
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「歴史ブーム」「死に支度」「自分探し」が相まって増殖するカケイザーたち

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『「家系図」を作って先祖を1000年たどる技術』
同文館出版
「最近、"カケイザー"なる、自分の家系図を常に携帯している人が巷で増えていると噂で聞いていたんですが、うちの会社でも実際にいたんですよ。手帳にはさんで大事そうに持っている同僚が......」  こう話すのは、都内のメーカー勤務の男性Hさんだ。  カケイザーだけでなく、最近は、幕末の偉人の墓参りをする"墓マイラー"なる女性たちが急増しているという。これは2008年に出版された、『著名人のお墓を歩く』(風塵社)の出版が影響しているようで、その後も『一度は訪ねてみたい有名人のお墓』(明治書院)、『墓マイラーに送る 墓地散歩』(日刊スポーツ新聞社)など、類書が続々出ている。  カケイザーに墓マイラー......家系図やお墓といった「生と死の証」を見聞することで、先人たちの生き方に思いを馳せる。こうした人々が増えた背景と、昨今のにわかにブームの「終活」も関係があるのではないかと指摘する声もある。  「終活」とは、今夏以降、『エチカの鏡』(フジテレビ)や主要男性週刊誌で盛んに取り上げられているテーマで、要はお墓、遺言書、葬儀、自分史、生前契約、事務処理などの手配を、自分が元気なうちに済ませておくことだ。終活関連本としても、『遺言書キット』(コクヨ)や『実践エンディングノート~大切な人に遺す私の記録』(共同通信社)や『マイライフノート』(日経新聞出版社)などが売れている。  終活とカケイザーらの関係について、『家系図を作って先祖を1000年たどる技術』(同文館出版)の著者であり、行政書士法人あすなろ代表の丸山学氏はこう語る。 「確かに、究極の"終活"として自家のルーツを調査する人が増えていますね。家系図を作ったり、それをもとにお墓参りをしてみたり。弊社も家系図を作る業務をしていますが、オーダーが多すぎて今は8カ月から1年待ちの状態が続いていますが、他の業者さんに聞いても同じような状況だそうです」  自らの家系を知ることで、自身の"生"に新たな意味付けをする。自身をそこに加えることで、子々孫々と自身の存在に伝えていきたい――そんな思いが、人々を家系図づくりに走らせているようだ。  実際の"カケイザー"に話を聞いてみた。まずは、佐藤隆志さん(仮名・30代)。 「父方、母方それぞれの先祖探しを依頼しました。父方は、浅草寺内で店を出していた商人であったことが判明、母方は大元は滋賀(近江)の裕福な米屋で、幕末には江戸にも出店、滋賀(近江)を本拠としながら京都との取引も多かったとのことで、つまり、幕末は"江戸""京都"という対立した激動の2都市の情報を得ていたことになり、また、そこから分家した家が明治期に京都で鍋釜商を始め、そこからさらに分家したのが母方の家ということが分かりました」  もうひとりは、鈴木清さん(仮名・30代)。 「先祖は長州藩(萩藩)の下士(下級武士)だったそうですが、足軽身分ではあるが、長州藩主である毛利家に戦国時代から仕えていたことが判明。つまり、関ヶ原の戦いにも最前線で参戦していたと思われ、幕末は幕府の標的となりながら龍馬の仲介で薩摩と手を組んで生き残った長州藩の下士ですから、非常に劇的な生活を送ったのではないかという結果が出ました」  こうした語り口を聞いてみると、昨今の歴史ブームも、30~40代のまだ若いカケイザーたちの増加を後押ししているようだ。 「確かに、『龍馬伝』(NHK)の影響もあり、今年は歴女ブームから幕末ブームとなり、『幕末流星群』『乙女の日本史』(共に東京書籍)など幕末関連の本も売れまくっているというデータもある。そんな幕末期に自分の御先祖がどんな激動の時代を生き抜いたのかを知っておきたいという人が増えているのも、また事実ですね。先祖調査というのはただ名前を探るだけではなく、ご先祖が生まれた時代とそのイキイキとした暮らしぶりを知る時間旅行でもあるんです。次々にご先祖に関する新しい事実に出会うことができ、それはまるで上質なミステリーを読むような知的興奮を得られることもニーズ拡大につながっていると思いますね」(前出・丸山氏)  自分探しに歴史ブーム、さらに昨今話題の所在不明高齢者、無縁社会を検証するという意味でも、「カケイザー」増殖現象はかなり奥深いものがあるようだ。
「家系図」を作って先祖を1000年たどる技術 たどろう。 amazon_associate_logo.jpg
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東京タワーから新宿二丁目まで、昼間とは違う夜の東京を歩こう『東京夜景散歩』

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『東京夜景散歩』(洋泉社)
 眠らない街、東京。  夜、この街を散歩してみると、昼間とはまた違った魅力が見えてくる。  ロマンチックな夜には外せない東京タワー、ド派手なネオンがきらめく外国色の強い六本木、オレンジ色の街灯を灯し花街の風情を残す神楽坂、ガード下に居酒屋が建ち並ぶ有楽町駅前......。東京には世にも美しい夜景から、ゴチャゴチャと怪しげな店が入り混じるダークなスポットまで、人間の欲求を満たすありとあらゆる場所がそろっている。  とりわけ新宿は、戦後の闇市から出発したゴールデン街や西口すぐの思い出横丁、風俗店がひしめく歌舞伎町、世界最大級のゲイタウンとして有名な二丁目など、ディープな世界が広がり、夜に歩いているだけでワクワクする。最大の見どころは、場所というよりも人。土地柄、一風変わった人が多く、かわいらしいスカートを履いたおじさん、オカマちゃん、若いホストや黒服の集団、ホテル街へ消えるワケありっぽい中年の男女など、昼間には絶対に見られない、人間模様があちこちで垣間見られる。  本書『東京夜景散歩』(洋泉社)では、新宿、秋葉原、浅草、池袋、渋谷、天王洲ほか多数のエリアに加え、夜にオープンしている釣堀、墓場、駐車場など様々な角度から紹介する夜の散歩スポットが満載。  さらに、よりディープな夜の散歩をするための案内人として、それぞれの"夜"を極めた人物たちがその魅力を語る。  闇歩きガイドの中野純氏は、ナイトハイク(夜のハイキング)での闇の恐ろしさと同時に感じる独特の安心感や幸福について、工場萌えで有名な大山顕氏は、ドボク現場や高速道路のジャンクションの夜景の素晴らしさ、珍日本紀行などで有名なディープな日本を探り続ける都築響一氏は、東京の右半分の終電後の世界をどっぷりと伝えている。  太陽が沈み、闇が訪れる。それだけで景色は一変し、行きかう人々もまったく異なる。夜を歩くということは、危険を伴うと思われるかもしれない。けれど、警戒心を高めて五感を研ぎ澄ませ、ドキドキ感を楽しみながら歩く。それもまた、ひとつ夜の散歩ならではの面白さではないだろうか。 (文=上浦未来)
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U吉? 苺佐保? 『親は知らない ネットの闇に吸い込まれる子どもたち』

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『親は知らない ネットの闇に吸い
込まれる子どもたち』(中央公論新社)
 「U吉」「苺佐保」「やわらか銀行」と聞いてピンとくるだろうか? 10代の間で交わされる隠語で、U吉は諭吉(=1万円)、苺佐保は1万5,000円でサポート(=援交)希望、やわらか銀行は自身の携帯電話キャリアがsoftbankであることを意味する。親や捜査官に見つからないよう、体を売る子どもたちは巧みに言葉の意味を隠し、男たちとやり取りをする。  現代の子どもはネット・ネイティブ世代で、ごく幼いころからネット社会に親しんでいる。ネットやケータイの扱いにおいて、親より格段の知識を有しているのだ。『親は知らない ネットの闇に吸い込まれる子どもたち』は、読売新聞で2008年8月から2年間に渡って連載された「親は知らない」シリーズを、新たにまとめ直したものだ。現代の子どもたちを取り巻くインターネットや携帯電話利用の実情が丹念に取材されている。「家出少女」「援助交際」「プロフ」「ネットいじめ」「ネット詐欺」「大麻、ドラッグ」「児童ポルノと性表現の規制」「ケータイのフィルタリング」などの問題が、全6章にわたって詳細に記されており興味深い。巻末には子どものケータイ依存度チェックリスト、携帯サイトでの隠語集なども掲載されている。  出会い系サイトが生まれたのは90年代末。援交や傷害、果ては殺人など、未成年者を巻き込んだ性犯罪が相次いで社会問題となり、規制が強化された。しかし事件は「mixi」「グリー」「モバゲー」「前略プロフ」などのSNSや家出掲示板、下着姿を公開する掲示板などに舞台を移し、一層複雑化しているという。  ひとつの事例を紹介すると、君津市中3女子刺傷事件がある。08年5月、千葉県君津市の集合住宅で、中学3年生の女子生徒が突然、男に襲われた。男は少女の自転車の前カゴに入っていた財布を取り、中身を確認すると「ミカだよね?」と尋ねた。直後、いきなりナイフで切りつけられ、顔や腹部をメッタ刺しにされた。病院に運ばれ一命は取り留めたが、重い後遺症が残ることを宣告された。少女はプロフで男と交流していたという。男の供述によると「返信がこなくなり、拒絶されたと感じた」ため、犯行に及んだという。少女はプロフに顔写真や住所も掲載していた。  そもそもなぜ少女たちは抵抗なくプロフに顔写真や個人情報を載せてしまうのか。奈良女子大教授の浜田寿美男氏によると、「思春期は"他人に認められたい"という思いが強いが、ケータイはそれを簡単に満たしてしまう。(中略)ケータイは直接的な身体の危険を感じないので、通常ならためらうはずの行為であっても、簡単に一線を越えてしまう」(本文より)ためだという。  現在、教育の現場では、フィルタリングの重要性を説くとともに、制服ならぬ「制ケータイ」を導入するなどして、子どものネットリテラシー向上に努めている。児童ポルノ法や都の青少年健全育成条例で盛んに議論が行われているいま、子どもを持つ人でなくともその実情を認識しておく必要があるだろう。やり場のない怒りがふつふつと煮えたぎってくる一冊だ。 (文=平野遼)
親は知らない―ネットの闇に吸い込まれる子どもたち ダメ。ゼッタイ。 amazon_associate_logo.jpg
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「犬になりてぇ……!」ペット目線で無防備女子に迫る写真集『Pet’s Eye』

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 お散歩中の犬を発見した途端、目を輝かせ「キャ~、可愛い~」と近付いてゆくキュートな女子。ミニスカートにも構わず、無防備にしゃがみ込んでジャレる姿を見て、「ああ~、俺も犬になりてぇ......」と思ったことはないだろうか。  そんな夢を叶えてくれるのが、ペット目線の写真集『Pet's Eye』(マイウェイ出版)だ。「女のコが一番無防備な姿を見せるのは、恋人の前じゃなくペットの前だ」をコンセプトに、ベッドの中はもちろん、着替え中やお風呂場、トイレの中まで......今まで見たことの無いペットならではの低く近いアングルと、女のコの"無意識"によって生み出されるひとコマは、まさしく新感覚のエロ。もちろんパンチラや胸チラなど直球エロも満載なのだが、それ以上に女のコの「素」に潜むエロパワーについて考えさせられる、意外と奥深い作品なのだ。
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 ちなみにこの写真集で立派に「素」を披露してくれているのは、上品な女優フェイスが可愛い壇蜜ちゃん、萌え萌えな妹系アイドル・藍谷莉穂ちゃん、クールビューティーが魅力の矢口瀬奈ちゃんとグラビアで人気の3人。しかし、顔はほとんど写っておらず、コンセプトに特化した贅沢な仕上がりとなっている。
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 この『Pet's Eye』が他のフェティッシュ系写真集と最も異なる点は、読者自身が欲深い人間のままでなく、欲を持たない純粋な存在である"動物"に扮してしまっているところ。故に「透明人間になったら何する?」という永遠のテーマにも似たえげつない妄想にも発展しやすく、男性にとってはニヤニヤの止まらない"罪深き写真集"といえる言えるだろう。  最後に、もしこの写真集にどっぷりハマッてしまったとしても、くれぐれも実家のペットに小型カメラをくくり付けて、普段しもしない散歩に意気揚々と出かけたりしないように。あ~、後世は猫になって、カワイコちゃんに飼われたい!! (文=林タモツ)
Pet's Eye このアングル! amazon_associate_logo.jpg
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日本は身近な地獄世界であふれている!? 『庶民に愛された地獄信仰の謎』

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『庶民に愛された地獄信仰の謎』
(講談社)
 お寺の本堂から少し離れた場所や門の外、墓地の前や川のほとりなどにひっそりと佇む小さなお堂を見つけたら、覗いてみよう。  ひょっとしたら、そこには地獄の世界が広がっているかもしれない。日本には「十王堂」や「閻魔堂」と呼ばれる小堂が、全国各地に寂れた感じではあるが多数残っていて、そこには、閻魔さまや地獄の裁判官である十王、亡者をいじめ倒す鬼卒など、地獄のキャラクターがひしめき合っていたりする。  地獄のキャラクターたちは、仏像というジャンルには納まり切らないほどどれも個性派で、中でも群を抜いるのが"奪衣婆(ダツエバ)"。その名の通り、三途の川を渡ってきた死者の衣を奪い取る、というちょい役の婆さんだが、その姿は世にも恐ろしい。  特徴は、なんと言っても垂れ乳で、片膝を立て、頭にはハチマキを巻き、手には死者から奪った衣をつかんでいる。しかも、閻魔さまをはじめとする地獄キャラクターは、基本的に中国から伝わっているので、服装や表情は中国人っぽい。けれど、奪衣婆は日本で考えられたオリジナル地獄キャラのため、ものすごく日本人らしく、しかも地域ごとに自由な感じで造られ、明らかに異彩を放っている。  『庶民に愛された地獄信仰の謎』の著者・中野氏いわく、ネイティブアメリカンっぽかったり、悲しみの零戦飛行士みたいだったり、カッパ系だったり、"ダツエバ王子"と呼びたいほど爽やかな美少年顔だったり、片肌脱いだ後ろ姿が意外に色っぽかったり、ワコールもびっくりの寄せ乳だったり......と、その奪衣婆像はさまざまあるらしく、ずいぶんブレている。  本書は、この奪衣婆にすっかり心奪われた中野氏の奪衣婆への愛にあふれたファンレターのような本。そんな奪衣婆を見てみたい! という人のために、約20点の魅惑の奪衣婆写真も掲載されている。  そのほか、地獄スポット巡りの様子も紹介。高さ5.5mもある閻魔さまが真っ赤な顔でものすごく怒っている新宿二丁目の太宗寺、「地獄の釜の音が聞こえる不思議な石」や「極楽度・地獄度チェック」が体験できる大阪の全興寺などのお寺のほか、地獄発祥の地の京都では、かつて風葬が普通だった頃の三大葬送地と呼ばれる場所へ行ったり、三途の川と名づけられた川のガチ渡り、箱根などの火山地獄ほか、身近な地獄をめいっぱい楽しんでいる。  「地獄なんて、おそろしー」と思うかもしれないが、日本にはわりと呑気な地獄がたくさんある。本書には、全国各地の地獄にまつわるスポットが多数紹介されているので、これを参考にあちこち出かけ、地獄の世界を覗いてみてみるのも、なかなか乙な遊びかもしれない。この世で、あの世を体験してみては? (文=上浦未来) ●なかの・じゅん 1961年東京生まれ。体験を作り、体験を書く、体験作家。幼いころから野山を駆け回り、夜空や闇夜に魅せられて育つ。『金比羅山ムーンライズ・ウォーク』『本所七つ闇』など、暗闇を主体にしたイベントを企画、案内する、闇歩きガイドとしても活躍中。私設図書館『少女まんが館』の館主でもある。著書に『夜旅』(河出書房新社)、『東京サイハテ観光』(交通新聞社)、『ヒトの鳴き声』『日本人の鳴き声』(NTT出版)、『東京「夜」散歩』『東京洞窟厳選100』(講談社)、『闇を歩く』(光文社知恵の森文庫)、『図解「月夜」の楽しみかた24』(講談社+α新書)など。
庶民に愛された地獄信仰の謎 行きたくないけど気になる場所。 amazon_associate_logo.jpg
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