衝撃の死から半年 稀代のトリックスター・村崎百郎とはなんだったのか 

hyakuroumurasaki.jpg
『村崎百郎の本』(アスペクト)
 シベリア出身で中卒の元工員というインパクト全開なプロフィールを引っさげ、1990年代、鬼畜・悪趣味ブーム前夜のサブカル界に突如として現れた怪人・村崎百郎。自らを「鬼畜系」「電波系」と称し日本一ゲスで下品なライターとして、ゴミを漁って他人のプライバシーを暴くダスト・ハンティングをはじめ様々な鬼畜活動を繰り広げた彼の出現はホントに衝撃的だった。しかし、まさかそれ以上に衝撃的な死に方をすることになろうとは......。  2010年7月23日、村崎百郎は「彼の書いた本にだまされた!」というファンによって刺殺された。「自分はキチガイだ」と言ってはばからなかった村崎百郎がリアル・キチガイに殺されるなんて、悪い冗談にもほどがある。正直、出現した当初と比べ近年の活動はいまひとつパッとしないものばかりだったので、ボクの中で村崎百郎への興味はかなり薄くなっていたのだが、それでも今回の事件には驚かされた。サブカル・ライターなんてただでさえ鬱をこじらせて自殺しちゃうような人が多いっていうのに、ファンに刺されるリスクまで背負わなきゃならないとは、なんと因果な商売か(大して儲からないのにねぇ)。  そんな村崎百郎の死からちょうど4カ月後に発売されたこの『村崎百郎の本』(アスペクト)。まあいわゆる追悼本という位置づけなのだろうが、よくある友人や関係者たちが「アイツはあんなことやってたけど、本当はすごくいいヤツだったんだよねー」などと回顧しているタイプの本ではない。  おそらくまだ事件の衝撃も去っていないような時期に取材されたであろう京極夏彦、今野裕一、宇川直宏、根本敬たちへのインタビューや、柳下毅一郎、木村重樹、切通理作といった関係者からの寄稿。関係者たち誰もが今回の事件を、そして村崎百郎こと黒田一郎という人物とは何物だったのかということを自分の中で総括しきれないまま非常に生々しい言葉で語っており、読み進めながら改めて稀代のトリックスター・村崎百郎の特異性と、彼を失ってしまった喪失感に頭の中がもやもやしてしまった。  まあ確かに「14歳の中学生に『なぜ人を殺してはいけないの?』と聞かれたらあなたは何と答えますか」との問いに「ポストが赤いからじゃねーの。のん気に理由考えるヒマあったらさっさと殺せよ馬鹿野郎。暴力はいいぜええええ、暴力はよおおおお」とか答えていた鬼畜キャラな人がホントにキチガイに殺されちゃった......なんて事件、悲しんだらいいのか、鬼畜らしい死に様だと笑ってやればいいのか、キレイに総括なんかできっこないでしょ。  ただ、再録されている過去の原稿は久々に読んでもやはりグイグイ引き込まれてしまう迫力があったし、この本をきっかけに知った森園みるくとの共作漫画たちも村崎百郎らしい鬼畜っぷりと文学性が非常にいいバランスで成り立っていて面白かったので、さらに年をとった彼がどんなものを作り出したのか、それを目にすることが出来なかったのは非常に残念に思う。  ある時期のサブカルチャー界の一端を確実に担っていた村崎百郎を多面的に語り、90年代の鬼畜・悪趣味ブームの記録としても価値のある一冊。コアなファンはもちろん入門編としてもいいのではないだろうか。しっかし、この本でせっかく村崎百郎に興味を持った人がまともに新刊で買える著作が、唐沢俊一との共著『社会派くんがいく』(同)だけってのはなぁ......。死人商売でもいいから、このタイミングで『鬼畜のススメ』(データハウス)あたりを再発すればいいのに。サイゾーさんでいかがでしょうか!? (文=北村ヂン)
村崎百郎の本 鬼畜万歳! amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 後味の悪さが尾を引く、究極のマゾヒズム世界『劇画 家畜人ヤプー』 3本指、片輪車......封印された甘美なる"タブー"の世界『封印漫画大全』 妖怪並みの衝撃! 変態おじさんとの思い出がフラッシュバックする『バカ男子』 
カテゴリー: 未分類 | タグ:

あなたも「ケータイ廃人」かも? 携帯電話から広がる闇の世界

ketaihaijin.jpg
『ケータイ廃人』(データハウス)
 高機能化の一途をたどる携帯電話。通話やメールはもちろん、ネット、音楽、ゲーム、電子マネー等々、その機能は数え切れないほどだ。本当に便利な道具であるが、便利になればなるほど「自分の生活がケータイに支配されているのではないか......?」と、ふと思う時がある。  また、大人だけでなく小学生までが携帯を持つ時代となると、見知らぬ相手とネット上でコミュニケーションできるツールが身近にあるということに、誰しも危機感を抱くところだ。  事実、携帯電話のネットワーク上では、子どもたちによる売春、違法薬物売買、ネット上のやり取りから発展した傷害事件、ネットいじめ、ストーカー被害などの深刻な問題が渦巻いている。さらに、"無料"とうたいながら高額請求が発生することが問題視されている「モバゲー」「GREE」などのゲーム、携帯電話からTwitterで一日中たわいもないことを書き続けることによる時間の浪費など、真綿で首を絞めるようにジワジワと生活を侵食される中毒性も携帯電話には存在する。だが、どれも実際にケータイでアクセスしなければ垣間見ることができない閉ざされた世界ゆえに、我々の目には正体がハッキリと見えてこない。  本書『ケータイ廃人』(データハウス刊/著・佐藤勇馬)では、丹念な取材とデータ分析を基に、身近なケータイ中毒から人生の破滅につながる危険まで、携帯電話から広がる闇の世界を実例を交えて詳細に描いている。  特に目を引くのは、少女たちの性の乱れだ。自分のヌード画像をメールで販売する少女、服の上から身体を触らせたりキスをするだけという手軽さから女子中高生の間で急速に広がる「プチ援交」に励む少女、掲示板で隠語を駆使して援助交際相手を募集するプロ顔負けの少女、自宅に泊めてくれる「神」をケータイで募集する家出少女......。  過去には、出会い系でのトラブルが多かったが、援交や傷害、果ては殺人まで事件が多発したために規制が強化され、現在はGREEやモバゲー、友達募集の掲示板、プロフなどの一般サイトに性被害の舞台が移ったことで、一層複雑化している。  最近は、学校でのネットリテラシー教育が始まりつつあるが、子どもたちのネットに対する危機感のなさは解決しきれていない。4年ほど前に小6女児が「メル友(メール友達)」を募集するサイトで知り合った男に連れ去られる事件があったが、本書の潜入取材では成人男性だと明かした上であっても、3日で30人の小学生女児と連絡が取れてしまったという。  携帯電話の魔力に引きこまれるのは、子どもだけではない。消費者金融を利用するのに、いまや一度も店舗に行かずにケータイから申し込むだけで借金ができるということも、便利すぎる携帯電話の恐ろしさの一つとして挙げられている。  これを読むと携帯電話を使うことが怖くなる気もするが、本書のユニークな点は、よくあるネット批判やケータイ批判の本ではなく、その危険性や中毒性の仕組みや実情を理解することで、「ケータイに使われるのではなく使いこなす」という視点を貫いているところだ。これから更に広がり続けるケータイ社会・ネット社会を生きるうえで、一読しておいて損はないだろう。
ケータイ廃人 あなたは大丈夫? amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 U吉? 苺佐保? 『親は知らない ネットの闇に吸い込まれる子どもたち』 ネット利用者の被害は甚大? 「児童ポルノ」ブロッキング問題とは 被害額は数百億!? 特許ビジネスの裏側を描く小説『パテントトロール』
カテゴリー: 未分類 | タグ:

アリクイやタランチュラの脱水症を治す!? 獣医師が語る『珍獣の医学』

chinnjyu.jpg
『珍獣の医学』(扶桑社)
 昨今、日本では空前のペットブームが到来し、犬や猫などが家族の一員として、目に入れても痛くないというほど可愛がられている。それにともない、動物の診療技術がめきめきと発達し、人間に使用する医療機器を使い、MRI検査や放射線治療など、最先端の治療さえも受けられるほどの進化を遂げた。もはや、ペットは人間と同等、もしくは飼い主によっては人間以上の手厚い診療を受けられる時代になっている。    だが、その一方で、犬猫以外の動物の診療はあまり発達していない、という現実がある。というのも、日本の獣医学の世界では、犬猫以外の動物は、"エキゾチックペット"と呼ばれ、ウサギもハムスターもインコも珍獣扱いされている。大学の獣医学科では処置の方法を習うことすらない。犬猫ですら、きちんと診られるようになってきたのは、ここ30年ほどのことだという。  ではどうやって診療しているのかというと、「『がんばる』としか言いようがない」と、「田園調布動物病院」病院長・田向健一先生は語る。つまり、自主的な勉強でなんとかする、ということなのだ。   あまり知られていないが、動物病院というのは基本的に犬や猫を診る病院のことを指し、多くの場合、それ以外の動物は病院側が受け入れを拒否している。だが、田向先生は幼い頃からマイナーな生き物全般が大好きで、どんな生き物でも治してあげたい、という思いから、基本的にすべてを受け入れている。  本書『珍獣の医学』では、アリクイやタランチュラの脱水症、ごきぶりホイホイにつかまったハムスターのノリはがし、切断されてしまったウーパールーパーのしっぽの縫合など、田向先生の病院に訪れた数多くの珍ペットを診療する様子が、写真付きで分かりやすく書かれている。  中でもとくに個人的に興味を引かれたのが、ベランダからダイブし、甲羅がパックリと割れてしまったカメ。バーンと写真に映し出された甲羅の中身は、「えっ! こんなことになってるんだ!!」と、なかなか衝撃的だ。  動物はしゃべれない。だから、獣医師は余計に動物に対する責任が重い。田向先生は、実は獣医師だって、病気の動物を診ることは常に不安なのだと告白し、こんなことを言っている。 「『お~い、大丈夫か~生きてるか~?』と冗談交じりに話しかけているとき、半分は本気で『死んじゃっていたら、どうしよう』と思っていたりするものなのだ」  "エキゾチックペットを広く受け入れる"ということは、犬猫のように診療が確立されているペットたちより格段に大変なこと。前例がないため、失敗するかもしれないという不安が常につきまとう。しかも、もし死んでしまったら、飼い主をひどく悲しませてしまう。    それでも、目の前にいる動物を絶対に助けてあげたい、断ったらほかに行くところもなく飼い主が途方にくれて悲しむだろう、と言う思いから、日々勉強をして、100種類以上のペットたちの診療を続けている。獣医師の嘘偽りのない、まっすぐな言葉が胸に温かく届く。 (文=上浦未来) ●たむかい・けんいち 田園調布動物病院院長。愛知県出身。98年麻布大学獣医学科卒業。幼少時の動物好きが好じて獣医師に。大学時代は探検部に所属し、アマゾンやガラパゴス、ボルネオなど海外の秘境に動物訪問。卒業後は、東京、神奈川の動物病院勤務を経て、田園調布動物病院を開業。ペットとして飼育される動物のほとんどを診療対象としており、無脊椎動物、爬虫類から哺乳類までと守備範囲は広い。その専門知識を生かし一般書、専門書、論文まで動物に関する著書を多数執筆、監修を行う。
珍獣の医学 目がテン! amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 死んだペットは「ご遺体」?「ゴミ」? ペット大国日本に突きつけられた問題 2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 椎名誠絶賛! イスラム圏の豊かな暮らしをレポートした『ハビビな人々』
カテゴリー: 未分類 | タグ:

アキバは140年前からモエていた!?『アキバ☆コンフィデンシャル』

akiba_con.jpg
『アキバ☆コンフィデンシャル』長崎出版
 秋葉原という地名は、1869年、神田花岡町(現在の秋葉原駅一帯)で大火事があり、1万2,000坪もの焼け野原が発生したことに始まる。ときの政府は、火災時に火が燃え広がないように広大な空き地「鎮火原」と「鎮火社神殿」をこの地に設けた。当時、火防の神様といったら遠州の秋葉大権現が有名であり、近隣の住民はこの"秋葉大権現とは何の関係もない"鎮火社殿を「秋葉神社」と誤解し、周りの鎮火原を"あきばがはら"呼ぶようになった。1890年、国鉄・秋葉原駅が開業される際、官吏のミスから"あきはばら"とされ、以降、アキハバラとして定着した。  アキハバラは街の興りからして"もえ"ていたようだ。『アキバ・コンフィデンシャル』(長崎出版)は、アキバ系文化に精通したライター・来栖美憂氏が、その壮大なる秋葉原史を世界史風に解説した本だ。黎明期としてのラジオポタミア文明、無線を取り扱うムセ系民族、迫害を受けたヲタクヤ人など、世界史の単語をもじって秋葉原の遷り変わりをユーモアたっぷりに、わかりやすく紹介している。「コミックとらのあな」社長の吉田博高、「@ほぉ~むカフェ」社長の河原美花、「格闘ゲームの神」ウメハラなどが、歴史上の重要人物としてイラストで描かれていて面白い。  長く電気街として栄えていた秋葉原が変化を迎えたのは70年代後半。家電が一般家庭に普及して家電販売が伸び悩み、実用家電から趣味家電の店が増え、マイコンと呼ばれていたPCの発売、マンガ・アニメなどおたく文化の始まりにより多様化し、15年......20年......、と長い時間をかけて、家電の街は徐々に混沌としたアヤシゲな雰囲気の街へと様変わりしていった。なんでも受け容れる懐の広さと"カオス感"が秋葉原の魅力であったが、それゆえに風紀の乱れ、ゴミの散乱や過激な路上パフォーマンス、アキバ狩り、メイド狩り事件、そして世間を震撼させた秋葉原無差別殺傷事件などが起こり、必ずしも"ユートピア"とは言えない状況にある。  電気の世界を駆け巡っていたオノデン坊やももう中年男になっているのだろうか。坊やが大人になるように、秋葉原も時代とともに変わっていく。この本は、秋葉原がいかに変化を遂げてきたかを見せてくれる壮大なアキバ叙事詩だ。秋葉原が硬派な電気街であったことを思い出し、過ぎ去った萌えの時代に思いを馳せる。神田川の流れのようにたゆたう秋葉原こそが時代そのものであると言えるのかもしれない。 (文=平野遼) ●来栖美憂(くるす・みゆう) 性別・年齢ともに不詳。ゲーム、漫画、アニメ、特撮、メイド、コスプレその他アキバ系の文化に精通。一部はその身で実践済み。週刊誌記者からスタートした文筆稼業は、政治からサブカルまで硬軟自在。漫画原作、ゲーム製作、そしてアイドルプロデュースと活動範囲を拡大中。アニソン文化に詳しく各方面で活動中。 Twitter ID:mewzou
アキバ☆コンフィデンシャル―愛と教養の秋葉原史 歴史あり。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 秋葉原の歌姫・黒崎真音が待望の1stアルバムで鳥肌立てた!? 秋葉原事件は必然!? トヨタ社員が憤る人材の使い捨て "ぽっちゃり"した女の子だけのメイド喫茶が、秋葉原で大人気!?
カテゴリー: 未分類 | タグ:

被害額は数百億!? 特許ビジネスの裏側を描く小説『パテントトロール』

patento.jpg
『パテントトロール』(タイトル)
 例えば手元にある携帯電話。普段何気なく使っているこの機械の中にも、数千、数万にわたる特許が詰め込まれていると言われている。「ハンズフリー通話装置」や「電子メールアドレス通知システム」といった機能から、「携帯通信端末用無線通信システム、該システムで用いられる無線通信接続方法及び無線通信接続プログラム」、「携帯電話機を利用した自動文字コード認識、表示システム、方法およびプログラム」など、その名前からでは全く内容が想像できないようなシステムまで、細部にわたって複雑な特許の網が組み込まれている。  そんな特許を飯の種にしようと暗躍する人々が、「パテントトロール」と呼ばれる人々だ。別名「特許マフィア」と呼ばれるように、彼らの仕事は裏社会と密接につながりながら、違法ギリギリの手口で大企業から巨額の賠償金やライセンス料を巻き上げるというもの。もちろん、特許の所有者がその利用に対して金銭を請求することは間違いではない。しかし、パテントトロールたちが厄介なのは、彼ら自身がその特許を利用することなく、賠償金をせしめるためだけにそれを保有することにある。パテントトロールが絡んだ有名な事件としては、1980年代後半に大手カメラメーカーのミノルタがオートフォーカス技術の特許を侵害しているとして160億円以上の和解金を支払った事件などが知られている。   そんなパテントトロールとの格闘を描いた小説が、石橋秀喜氏による最新作『パテントトロール』(タイトル)だ。  カーナビメーカー「アルデスタ電気」の知的財産部を舞台に、パテントトロールに狙われた企業の内部を描くこの小説。著者である石橋氏は、東京都庁、オリンパス、アクセンチュア、アルプス電気など、錚々たる企業を渡り歩いた人物で、知的財産の専門家。その知識や経験を活かした内容は、細部にわたるまでリアリティーを感じさせる。また、大企業の抱える矛盾や、組織の内部からの裏切りなど、特許のハウツー本としてではなく、敢えて小説の形にしたことによって、パテントトロールに狙われた人々の人間模様が入り乱れる秀逸な企業ドラマとしても楽しむことができるだろう。  普段の生活ではあまり意識することのない特許。しかし、同書に描かれるカーナビをはじめとして、現代の生活は特許に取り囲まれているといっても過言ではない。そんな特許の裏側について詳しく知りたい人はもちろん、ビジネスの世界で活躍する読者諸氏には必読の一冊と言えるだろう。 (文=萩原雄太[かもめマシーン]) ●いしばし・ひでき 株式会社プロファウンド代表取締役社長。1985年に中央大学法学部法律学科卒業後、東京都庁、オリンパス、アクセンチュア、アルプス電気などを経て、2006年に株式会社プロファウンドを設立。知的財産の専門家として数多くの企業のコンサルティングや執筆活動などを行う。
パテントトロール―特許マフィアに狙われた日本企業の行方 特許ビジネスの盲点。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 北朝鮮がミサイル発射!? 室積光が描く架空政治小説『史上最強の内閣』 「適材適所」考え、鳩山前首相が尖閣諸島に永住!?『号外!! 虚構新聞』 「誰のために空を飛ぶのか?」を問う、CAと乗客の"泣ける"挿話集
カテゴリー: 未分類 | タグ:

北朝鮮がミサイル発射!? 室積光が描く架空政治小説『史上最強の内閣』

shijosaikyo0102.jpg
『史上最強の内閣』(小学館)
 自民党一党が政権を担っていた55年体制に終止符を打ち、劇的な政権交代を果たした民主党だが、与党となって1年3カ月、菅内閣の支持率は21%まで下落している。中国との外交問題でつまづき、沖縄基地問題で公約破り、小沢一郎との内輪モメはモメにモメ......、"迷走"と揶揄されるのも無理はない菅内閣の現状であるが、期待あってこその批判と言えよう。  そんな国難に影の内閣が立ち上がった。『史上最強の内閣』(小学館)は、「都立水商!」の室積光氏が理想の内閣を描いた架空政治エンタテインメントだ。実際の国際情勢に則したストーリーで、ユーモアたっぷりの内容だが、風刺や政治批判といった毒もしっかりと効いている。  我々が選挙で選んだ政府は言わば二軍で、有事の際にだけ立ち上がる本当の内閣が京都にあるという。自由民権党の浅尾総理は、北朝鮮がミサイルに燃料を注入し日本に向けて発射設定をするという事態に直面し、とうとうこの一軍内閣の総理「二条友麿」に出馬を請うた。二条は自身の人脈を生かし、独特の人選で"史上最強"の内閣を組閣する。史上最強の内閣は危機的状況を打開できるのか?  内閣の顔ぶれは松平杜方内閣官房長官、浪花秀吉財務大臣、坂本万次郎外務大臣、高杉松五郎総務大臣、山本軍治防衛大臣、西郷利明国家公安委員長......といずれもどこかで聞いたことのあるような姓名のお歴々。今の世の中、坂本龍馬が外務大臣で、豊臣秀吉が財務大臣だったら、と民衆の理想を体現した内閣だ。各大臣がしゃべる方言が丁々発止と面白い。  二条内閣の政策には、著者の政治的スタンスが如実に反映されている。自民はダメだが民主も同じ。憲法9条は大切にするが左翼には懐疑的で、朝地新聞(≒朝日新聞)、社倫党(≒社民党)の書き方はことに辛らつ。"9条を守る"一点張りの宮城美津穂(≒福島瑞穂)に対しては「中学校の優等生にこんな口調の女子がいた」「何かの宗教にはまった人みたいだな」と作中人物に手厳しい感想を述べさせている。二条内閣が相対する北朝鮮も徹底的に滑稽に描かれているが、最後にホロリと泣かせる仕掛けがにくらしい。  先の見えない不景気に政情不安、隣国の圧力と、史上最強の内閣の登場を期待したくなるご時勢だから、物語もより鮮明に輪郭を帯びてくる。この『史上最強の内閣』は"政府がまっとうな政治をする"という、愉快で痛快なフィクションだ。まっとうな政治がフィクションにしかなりえないというのは、なんとも情けない話であるが......。 (文=平野遼) ●むろづみ・ひかる 1955年山口県光市生まれ。俳優として映画・テレビに多数出演。劇団「東京地下鉄劇場」を主宰し劇作家としても活躍する。2001年『都立水商!』(小学館文庫)で小説家デビュー。07年『記念試合』(小学館)が自身の脚本で『北辰斜めにさすところ』として映画化。著書は他に『ドスコイ警備保障』(小学館文庫)『達人 山を下る』(中央公論新社)などがある。
史上最強の内閣 [単行本] もはやどちらがフィクションだか。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「適材適所」考え、鳩山前首相が尖閣諸島に永住!?『号外!! 虚構新聞』 「誰のために空を飛ぶのか?」を問う、CAと乗客の"泣ける"挿話集 青少年健全育成条例上等! 田中圭一が贈るお下劣4コマ『みなりの青春』
カテゴリー: 未分類 | タグ:

「適材適所」考え、鳩山前首相が尖閣諸島に永住!?『号外!! 虚構新聞』

kyokou.jpg
『号外!! 虚構新聞』(笠倉出版社)
 「虚構新聞」。それは、ありそうでなさそうで、でもやっぱりあるのかもしれないけど、まさかそんなことはないだろう、という可能性世界の出来事を伝える人気ニュースサイトである。2004年に開設され、毎日数万人のユーザーが訪れている。その謎に満ちた記事の数々が、奇跡的に一冊の本になった。  『号外!! 虚構新聞』(笠倉出版社)のいたるところで「識者」(=知の巨人)としてコメントを出している、京都帝国大学教授の坂本義太夫氏は、こんな祝辞を送っている。 「さて、星の数ほどあるさまざまな本の中で、よりにもよってこの本を手に取ったあなたは相当の秀才か相当のバカであるかのどちらかでしょう。事実この奇妙な名前の新聞を購読している全国数万の読者のほとんどは偏った秀才か偏ったバカのどちらかであるという調査結果が出ています。そして私もその一人です。もちろん秀才のほうで、です」  その肝心の内容を、2010年度版の見出しから抜粋してみよう。 <社会>「東京地裁 メンズブラ着用で解雇は適法」、<社会>「路面からメキメキど根性風太が話題に」、<科学>「探査機"はやぶさ"回収カプセルはハズレ」、<社会>「痴漢専用車両設置 滋賀県・竹生島鉄道」<国際>「"私がパウロを操った"飼育員告白に衝撃」――。  これを見ただけでもグッと引き込まれるものがあるが、中身をよく読んでみると、同時期に実際に起こった出来事や事件を上手く捉えており、非常に完成度が高い。  中でも完璧と言えるほど完成度が高い記事が、「"適材適所"の鳩山前首が相尖閣諸島に永住へ!?」。  これは、民主党が鳩山前首相に尖閣諸島最大の無人島、中国名で魚釣島に派遣・永住を依頼するという内容だ。  おおよその見方としては、「これは一見、『奇策』のようだが、親中派の鳩山氏が尖閣諸島を有人の島、しかも対中関係を友好に舵を切った鳩山氏が住んでいるとなれば、中国も軍を派遣して島を占領するような強行措置に出る可能性は低くなると見る向きが強い」とし、鳩山氏本人の意向については、「"魚釣島に永住することで、領有問題が世間の望む方向で解決すれば、首相復帰の民意は確実に高まると言っておけば快諾するだろう"と政府関係者は楽観的に考えている」としている。  さらに、最後は「鳩山さんは若干アレな人なんで気づいていないかもしれないけど、まあ古来、こういうのを"島流し"って呼んでたよね」と、ある官僚が語り、締めている。     その発想力の素晴らしさ、具体性に感動するとともに、鳩山氏が尖閣諸島でのほほんとテントを張って生活している様子を想像して、思わず声を出して笑ってしまった。  新聞というだけに広告もちゃんと入っており、「『誰でもなれる総理大臣入門』(鳩山由紀夫著、友愛出版/600円」、「弱酸性雨入りシャンプー"デメリット"」、「フネ、帰ってきてくれ 波平」など、短くも圧倒的な破壊力がある言葉に、ぜひ注目してもらいたい。  一体、世の中の何が本当で何が嘘なのか。あなたは、真実を見抜けているだろうか。 (文=上浦未来) ●UK(ゆー・けー) 1980年、京都市生まれ。虚構新聞社社主。英国オックスブリッジ大学教養学部修士課程修了。大学院生であった04年、虚構記事を定期配信するウェブサイト「虚構新聞」設立。同年、某ネット雑誌がおこなった優良サイト紹介企画の「テキストサイト・日記部門」で、並みいる老舗サイトをおさえて金賞を受賞。以来現在まで本当のような嘘のような虚構記事を数々発表し、ネット界隈をにぎわせている。 虚構新聞<http://kyoko-np.net/
号外!!虚構新聞 これで笑い納め! amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 青少年健全育成条例上等! 田中圭一が贈るお下劣4コマ『みなりの青春』 椎名誠絶賛! イスラム圏の豊かな暮らしをレポートした『ハビビな人々』 ハゲ、皮下脂肪、加齢臭...... 男だってアンチエイジングしたい!『男の科学くん』
カテゴリー: 未分類 | タグ:

「誰のために空を飛ぶのか?」を問う、CAと乗客の"泣ける"挿話集

soranoue.jpg
『空の上で本当にあった心温まる物語』
(あさ出版)
 日本航空(以下、JAL)の事実上の倒産や、全日本空輸(以下、ANA)による格安航空便への進出表明など、激動の真っ只中にある航空業界。最近もJALの労組が、賃金引下げ案に対抗してクリスマス2日間のストライキの実施を表明(最終的には回避)。当然ながら、ネット上では「9,000億円もの税金が投入されている倒産会社だという立場を分かってんのか!?」と大ブーイングが巻き起こったのはご承知のとおりだ。  なにかと暗い話題が先行しがちな昨今の航空業界だが、そんなネガティブなメディア情報とは対極にある心温まるエピソードが、3万9,000フィート上空の機内では数多く繰り広げられている。  このほど、『空の上で本当にあった心温まる物語』(あさ出版)を上梓した、元ANA国際線チーフパーサーの三枝理枝子氏。現在は一般企業や各種団体、学校などを対象に、接遇力やコミュニケーション能力向上ための人材開発研修の講師として活躍中だ。  今回の著書では、客室乗務員の体験談や乗客からのお礼の手紙などから集められた33のエピソードが一冊にまとめられている。10月に初版を上梓すると問い合わせが殺到。「実話からにじみ出る感動の強さ」(ある読者からのメールより)に心打たれた読者の声が数多く届けられ、翌11月には早くも5度目の増刷が刊行された。  心臓病を患う福岡の少女が東京で手術をした帰りの便で、ストレッチャー旅客として簡易ベッドに寝たまま搭乗する「カーテン越しのバースデー」(本書12ページ)では、担当したCA(キャビンアテンダント=客室乗務員)と、病の少女や少女の母親、そして他の乗客たちとの間で起こった映画のワンシーンのような交流が紹介されている。  そのフライト日がたまたま少女の10歳の誕生日だと聞いたCAは、手作りのキャンディバスケットを急遽用意し、他の乗客とカーテンで仕切られた少女の席で、同僚のCAと二人で「ハッピーバースデー」を歌う。そして、他のクルー(乗務員)からの励ましのメッセージを寄せ書き風にまとめた絵葉書を少女に手渡す。  以下はその母親からの手紙を元にした本文から。 「娘は突然のできごとにびっくりしながらも、うれしそうに微笑んでいます。久しぶりに見た娘の笑顔でした。CAさんたちがバースデーソングの1番を歌い終わった、と思ったら、また『ハッピーバスデートゥーユー』がはじまりました。それもカーテンの外で――。(略)カーテンを少し開けてみると、さらに驚きました。近くにお座りの女性のお客様方が歌ってくれていたのです、娘のために。(略)その歌声は客室に響き渡りました」「大変ありがたいと思う気持ちと、娘を不憫に思う気持ちで胸がいっぱいになり、涙があふれ出てしまいました。娘の目にも涙があふれていました」  著者の三枝氏が言う。 「航空業界で働く人々の環境は、たしかに昔よりかなり厳しくなっていると思います。しかし、個々の心の持ちようによっては、お客様とのふれあいを楽しむことは可能だと、私は信じています。現役のCAはもちろん、サービス業に携わるすべての方々に読んでいただき、日々の業務への"気づき"と、明日への励みにしていただければ、本を出した意味が少しでもあるのかなと思います」  情報や物があふれている現代社会では心の豊かさが置き去りにされていると、三枝氏は強調する。人が本来持っている「優しさ」や「思いやり」という資質に焦点を当てれば、殺伐とした今の時代にも未来が見えてくるという著者の指摘には、耳を傾けるべき価値があるだろう。航空業界に限らず、あらゆる企業が不況のどん底にあえぐ今だからこそ、手にしてみるべき一冊と言えるだろう。
空の上で本当にあった心温まる物語 涙涙。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 青少年健全育成条例上等! 田中圭一が贈るお下劣4コマ『みなりの青春』 「歴史ブーム」「死に支度」「自分探し」が相まって増殖するカケイザーたち U吉? 苺佐保? 『親は知らない ネットの闇に吸い込まれる子どもたち』
カテゴリー: 未分類 | タグ:

青少年健全育成条例上等! 田中圭一が贈るお下劣4コマ『みなりの青春』

minari.jpg
『みなりの青春』(デジタル・
コンテンツ・パブリッシング)
 不覚にも手塚マンガでムラムラきてしまったことはないでしょうか? なんか女の子が襲われるシーンが多いように思うんですよね、手塚マンガって。言うなればピノコは幼女萌えの原型でしょうか。  現代で最も手塚キャラを描けるといったらこの人。「月刊サイゾー」連載『教えてっ! 真夢子おね~さん』でおなじみの田中圭一氏が最新単行本を上梓した。携帯サイト「ドパミン」で連載中の4コママンガ『みなりの青春』(株式会社デジタル・コンテンツ・パブリッシング)をまとめたもので、デジタル・コンテンツ・パブリッシング社が出版する初の単行本となる。りぼんコミックスや花とゆめコミックスといった昔ながらの少女マンガを思わせる装丁で、主人公みなりが「都条例がなんぼのもんじゃい!! こちとら非実在青少年でい!!」と中指を立てる。青少年健全育成条例で世論が紛糾する中、ピリリと辛い風刺が効いている。 <科学教師・濡立(ぬれたち)と熱愛の末結ばれた女子校生みなり。彼に連れ子がいたので、学生で「人妻」で「母親」になっちゃった! 瑞々しいタッチで描く純愛青春ロマン!>  と裏表紙にあらすじがあるが、内容はお下劣。作中話すべて100%下ネタだ。"におわせる"程度の下ネタではなく、露骨な、ディープな下ネタで、エロさも突き抜けると逆に清々しいということがよく分かる。手塚治虫タッチを基本に、ときに本宮ひろ志調、藤子・F・不二夫調と自在に描き分ける田中氏の"神の筆"は、とにかく素晴らしいの一言に尽きる。 「今日も、ク○ト○スと小○唇のことばかり考えていたら、もうこんな時間になっているじゃないか!」  欄外の「田中圭一のつぶやき」もばかばかしくて面白い。  田中氏は絵が描けなくてもマンガが作れる画期的なマンガ作成ツール「コミPo!」の企画・プロデューサーも務めている。マンガにビジネスと二足のわらじで活躍するエロギャグマンガの帝王。田中圭一氏の活躍に注目したい。 (文=平野遼) ●たなか・けいいち 1962年生まれ。大阪府枚方市出身。近畿大学法学部卒業。1983年、小池一夫劇画村塾神戸教室に第一期生として入学。翌年『ミスターカワード』(『コミック劇画村塾』掲載)で漫画家デビュー。現在、株式会社ウェブテクノロジ取締役兼企画営業グループ部長。主な著書に『神罰 田中圭一最低漫画全集』(イーストプレス)、『メカ硬派』(太田出版)、『マンガ家田中K一がゆく!』(角川書店)、『死ぬかと思ったH』(アスペクト)、『ドクター秩父山』(アスペクト)、『Comicサイテー―田中圭一マガジン』など。
みなりの青春 上等でい! amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 椎名誠絶賛! イスラム圏の豊かな暮らしをレポートした『ハビビな人々』 ハゲ、皮下脂肪、加齢臭...... 男だってアンチエイジングしたい!『男の科学くん』 元AV女優ライター・峰なゆかが語る『ヤングくん』は"画力なき浅野いにお"!?
カテゴリー: 未分類 | タグ:

目覚まし効果からアイデアが浮かぶお菓子まで『会社のおやつDESK&SWEETS』

oyatsu.jpg
『会社のおやつ DESK & SWEETS 』
(京阪神エルマガジン)
 一日中、パソコン相手に向き合っていると、パタッと集中力が途切れてしまう瞬間がある。そんなとき、重宝するのが"おやつ"。机の引き出しからおもむろに取り出し、飲み物とともにひと息つけば、なんだかやる気がみなぎってくる。  『会社のおやつ DESK&SWEETS』(京阪神エルマガジン)では、会社でこっそり食べやすいおやつを"デスク菓子"と命名し、甘~いスイーツ系から塩っけのあるスナック系まで、約250点を紹介。京阪神の食や街の最新情報を伝える雑誌「SAVVY」(同)の別冊本なので、その情報は確か。ページをめくると、見るからにおいしそうなものばかりがズラズラっと並んでいる。価格帯も1個30~500円程度のものが中心に選ばれ、買いやすいものばかりだ。  「働くみんなのマイフェバリット100」と題したコーナーでは、実際に会社勤めの人たちが食べているおやつを大調査。新宿高野の「フルーツチョコレート」、不二家の「ソフトドーナツ」、コンビ二などでよく見かける、有楽製菓の「ブラックサンダー」など、デパ地下の包装紙に包まれた小洒落たおやつから懐かしの駄菓子まで、あれこれ登場。  さらに、おなじみのスタバやエクセルシオールなど、コーヒーショップのレジ横菓子のラインアップや人気アイテムも調査済み。男女別の好みや、季節ごとの傾向や入れ替え時期にも触れており、訪れる機会が多い店だけに参考になる。  シチュエーション別におやつを紹介するコーナーでは、目覚まし効果抜群のイギリス生まれの超強力メントール、フィッシャーマンズフレンドの「船乗りの友」や、名案が浮かぶ(!?)と噂の爪楊枝にミントがついた「北見ハッカ」など、変り種おやつも。   企画のアイデアが煮詰まったとき、失敗してひどく凹んだときなど、3時のおやつが待ち遠しいのは大人の方かも!? おやつで仕事の能率グングンアップ! さて、今日のおやつは何にする? (文=上浦未来)
会社のおやつ DESK & SWEETS 大人の息抜き指南書。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 椎名誠絶賛! イスラム圏の豊かな暮らしをレポートした『ハビビな人々』 ハゲ、皮下脂肪、加齢臭...... 男だってアンチエイジングしたい!『男の科学くん』 元AV女優ライター・峰なゆかが語る『ヤングくん』は"画力なき浅野いにお"!?
カテゴリー: 未分類 | タグ: