「廃墟×鉄道」夢のコラボレーション 両マニア垂涎の一冊『廃線跡の記録』

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『廃線跡の記録』(三才ブックス)
 廃墟ブームと言われて久しい。軍艦島が各メディアで紹介されるようになった頃から廃墟ブームは熱を帯び、現在も廃墟熱は加速し続けている。朽ちた壁、崩れた階段の趣が、RPGファンタジーの世界にいるかのような気分にさせてくれるのが廃墟の魅力ではないだろうか。  ブームの廃墟と鉄道、夢のコラボレーションと言えるのが廃線跡。『廃線跡の記録』(三才ブックス)は、今なお姿形をとどめる日本の廃線を紹介したムックだ。貨物線、モノレールも合わせて31もの廃線が収録されている。写真、文ともに多数掲載されており、長く楽しめる納得のボリュームだ。山中を走る廃線、海辺を臨む廃線、廃鉱を貫く廃線と、ひとくちに廃線と言っても使用された用途はいろいろ。役目を終え、今は朽ち果て、打ち捨てられているが、その重ねてきた年月はさながら人の一生を思わせる。きしんだ枕木の風味、錆びた鉄橋の雄大さ、すすけた隧道(ずいどう=トンネル)の迫力は圧巻の一言。  廃線は私たちが住んでいる街中にも存在する。たとえば都心にほど近い豊洲~晴海埠頭を通る東京都港湾局専用線・晴海線。これは、臨海工業地帯の貨物運搬のため建設された貨物線で、昭和5年(1930)から平成元年(1989)まで、59年にわたり運行されていた鉄道だ。最盛期の取扱貨物量は230万トンにも及んだという。昭和を駆け抜け、高度経済成長を支え続けた硬派な鉄道だ。その遺構は豊洲駅界隈から見ることが出来る。アーチを描く晴海橋を目印に探してみよう。  廃線はさまざまな理由から役目を終えた線路である。草むす鉄道遺構をじっと見つめていると、現役の鉄道にはない趣に気が付く。定年後の老サラリーマンの哀愁であったり、大往生を遂げた老人の満足であったり。そういった人間の生きた痕跡を見るような味わいに満ちている。現在の姿を見て楽しみ、また在りし日の現役時代の姿を想像して楽しむ。廃線巡りは金もかからず二層の楽しみ方が出来る、大変オトクな遊びなのだ。廃線ガイドとしてこの一冊、必携です。 (文=平野遼)
廃線跡の記録 いと趣深し。  amazon_associate_logo.jpg
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安くてウマイ!! 駄菓子界の異端児の人気の秘密に迫る『謎のブラックサンダー』

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『謎のブラックサンダー』
(PHP研究所)
 「おいしさイナズマ級!」のキャッチコピーが光り輝く、駄菓子界の異端児「ブラックサンダー」。30円という低価格ながら、駄菓子の枠を超えた重量級のボリュームで、ほかの駄菓子とは一線を引く。ココアクッキー&チョコクランチにたっぷりとチョコが注がれたその味は、「うま~っ!」と叫び、5本連続でガツガツと人知れず食べ続ける乙女も現れるほど。個人的にもかなり好きで、コンビニで見かけると、「安いしウマイし、とりあえず買っとこー」と、つい手に取ってしまう。  本書『謎のブラックサンダー』(PHP研究所)は、そんなブラックサンダーの知られざる人気の秘密に迫った一冊で、「ブラックサンダーヒストリー」、「ブラックサンダーの謎」、さらには、なんのこっちゃよく分からない、「ブラックサンダーのある風景」、「ブラサン(ブラックサンダーの略らしい......)水着SHOW」なるコーナーなど、感動あり笑いありのブラックサンダーのすべてを知ることができる内容となっている。監修は、ふだんは有楽製菓をウロウロしているが、Twitterで話題沸騰中のブラックサンダープロモーション係「サンダーさん」。  冒頭の挨拶文では、 「涙なしには読めない復活の軌跡! そして壮大かつロマンのある野望!(中略)すごいぞ! ブラックサンダー!!」  と、ブラックサンダーへの愛を興奮気味に語り、さらに、本書の随所でコメントしている。  全体を通して、わりとTwitter的な軽いノリの内容だが、へぇ~っと思ったのは、「ブラックサンダーヒストリー」のコーナー。  ブラックサンダーの歴史は1994年までさかのぼり、「駄菓子とは思えない、ボリュームのある『夢のお菓子』」をテーマに、愛知県豊橋市で誕生した。だが、意外にも当初は売れ行きが悪く、しばらくすると、生産中止にまで追い込まれてしまう。実際に約1年、店頭から消えていたのだが、販売店から「なぜやめてしまうのか」と言う声が数多く届き、さらに、「ブラックサンダーはヒット商品になるはず!」と信じる九州地区担当の営業マンが、復活を熱望。通常、一度生産中止になった商品が復活することはありえないのだが、彼の上司が「そんなに言うのならば」と異例の決断で復活を遂げる。とは言え、その後約10年間はヒット商品とは言い難い日々が続き、その流れを大きく変えたのは、08年の北京オリンピック。このとき、男子体操で銀メダルを獲得し、一躍時の人となった内村航平選手が、ブラックサンダー好きを公言し、爆発的に大ヒット。今では、年間なんと1億3,000個という驚異の数を売り上げている。  ライバルは、「お腹が空いたら♪ ス○ッカーズ」らしく、今後は、国内だけでなく世界征服をもくろむ。体にイナズマが落ちる!? ほどのウマさと安さで、世界中で見られる日も近いかも。今後も、ブラックサンダーから目が離せそうにない。 (文=上浦未来)
謎のブラックサンダー 駄菓子バンザイ! amazon_associate_logo.jpg
ブラックサンダー1個×20個入 ネ申。 amazon_associate_logo.jpg
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【佐々木俊尚】『ITニュースの読み方』電子書籍サイト「パブー」にて発売開始!

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「パブー」で詳細を見る
 サイゾーの電子書籍第二弾! 佐々木俊尚氏著『佐々木俊尚流 ITニュースの読み方』がAppStoreに続き、電子書籍サイト「パブー」にて発売を開始! AppStoreをご利用になれなかった方にも、PDFやePubとしてお求めいただけるようになりました! ブクログにも紹介していただき、現在好評発売中です! 【概要】  リアルタイムなWeb・IT業界の動向を、最新情報に独自入手の裏話を交えながら読み解いていく、ただのニュース解説とはひと味違う"佐々木流"ニュース評。iPad vs Kindle、ライフログとソーシャルメディア、加熱する電子書籍マーケット......。日々情報が更新され続ける業界の変遷を、氏はどのように見てきたのか。  佐々木俊尚の視点で綴られたニュース評を振り返ることで、"ITニュースの読み方"が変わる。日々押し寄せる情報の波をただ受け取るのではなく、自ら考察し、なにが真実であるかを見抜く、そんな"真のメディアリテラシー"を身につけたいあなたへ、必読の一冊! 【トピックス抜粋】 ○Apple TVの命運は? "どこでもテレビ"がもたらす未来 ○ソーシャルメディアとライフログを新局面に導く"チェックイン" ○情緒的な反論はもうたくさん! 私が日本の出版社に辟易するワケ ○ニュースサイト有料化で日本はどう舵を切るべき? ○電通の"裸踊り"が通じない! 広告界で衰退する元強者たち ○ツイッターひとつ活用できないダメダメ企業続出のワケ ※すべてのトピックに「追記」を加筆。その後の動向と、佐々木氏からのコメントを掲載しています。 「パブー」で詳細を見る ※本書は、月刊誌「サイゾー」にて氏が3年にわたり連載してきた人気コンテンツ「ITインサイドレポート」を加筆修正したものです。 佐々木俊尚
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夢かうつつか フジモトマサルが贈る世にも奇妙なウェブ漫画『夢みごこち』

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『夢みごこち』(平凡社)
 いきなり私事で恐縮でありますが、筆者は「牧場で太ったプロレスラーのような女性に羽交い絞めにされ、毒物を注射される」という夢をよく見ます。別段そのようなことはされたくないのですが、一体何の意味をもっているのでしょうか。フロイトによると、夢は無意識の顕れで、性衝動の象徴であるとのことですが、余計なお世話です。  夢とは得てして謎めいていたもの。『夢みごこち』(平凡社)は、人気イラストレーター・フジモトマサル氏がオンラインマガジン「ウェブ平凡」で連載していた作品をまとめたものだ。18の夢にまつわるオムニバス・ストーリーで構成されており、それぞれの話は奇妙に連なり、絡まりあい、時間空間を飛び越えて展開されてゆく不思議な漫画だ。登場人物はすべて犬・猫・羊・獏・ハリネズミ・カンガルーなどの動物で、特に冒頭第一話のひきこもりカモノハシはラブリーでキュート。イラストレーターならではのブレのない筆致で、絵本のように眺めていても楽しい本だ。  特筆すべきはやはり作者の描く動物のとぼけた風合い。作中の動物たちはどれもかわいらしく、夢警察に追われたり、巨大イカに乗って脱獄したりする異常事態に直面しながら少しも深刻にならず、どこかのほほんとしている。夢を扱ったオムニバスという点で夏目漱石『夢十夜』、黒澤明『夢』に近く、ロングの風景描写を多用し、不条理な世界を描くさまはどこか『月刊漫画ガロ』(青林堂)の作品を思わせる。夢刑法に従い「有罪の夢」を取り締まる夢警察などSF作品の要素もある。  「邯鄲の夢」「胡蝶の夢」の説話のように、東アジア圏ではしばしば夢と現実は分けがたいものとして見るむきがある。夢は現実で、現実は夢であるかもしれない。『夢みごこち』はそんな夢作品の傑作であると言える。まったく"夢みごこち"の浮遊した読後感があなたを待っていることだろう。 (文=平野遼) ●フジモトマサル 漫画家・イラストレーター。著書に『ダンスがすんだ』(新潮社)、『今日はなぞなぞの日』(平凡社)、『いきもののすべて』(文藝春秋)、『二週間の休暇』(講談社)、『終電車ならとっくに行ってしまった』(新潮社)など。 公式ウェブサイト <http://www.fujimotomasaru.jp/>
夢みごこち 夢とは不条理なもの。 amazon_associate_logo.jpg
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ウィキリークスは情報社会の9・11か 『日本人が知らないウィキリークス』

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『日本人が知らないウィキリークス』(洋泉社)
 2010年11月に起きたアメリカ外交公電リーク事件は、世界中の政府機関を震撼させた。公開された約25万点にもおよぶ公電の中、特に注目を集めたのが各国首脳に対する下品な悪罵で、アメリカ国内のみならず各国首脳が深い懸念を示した。アメリカの信用問題だけではなく、どの国、どの企業の機密もリークによって公開されてしまうという、情報の機密性がおびやかされている事態なのだ。アメリカおよび各国政府はウィキリークス編集長ジュリアン・アサンジ氏を「ハイテク・テロリスト」と危険視し、スウェーデンで性的暴行を行った疑いがあるとして逮捕。現在、軟禁状態にある。これに対し、シドニー、マドリードなど世界中で抗議運動が起こっている。  この事件で初めてウィキリークスの名を耳にした人も少なくないのではないだろうか。『日本人が知らないウィキリークス』(洋泉社)は、「tsudaる」で有名な津田大介氏、元外交官・元防衛大教授の孫崎亨氏ほか5人の識者が、ウィキリークスについて語った新書だ。ウィキリークスの概要、過去のリーク事件との比較、ウィキリークスの匿名技術、事件に伴うメディアの変容、哲学的観点から視るウィキリークスなどが述べられており、メディアの未来やリークの善悪、公益・国益の問題などについて深く考えさせられる内容だ。  そもそもウィキリークスとはどういった組織なのか。  06年末に開設された、機密情報を公開する非営利目的のウェブサイトで、匿名で投稿された政府や企業の機密情報を、ウィキリークスに参加しているジャーナリストが検証して掲載するというシステムで成り立っている。その大きな特徴は、何十万件とケタ違いに膨大な文書の掲載数、既存メディアとの提携、複雑に暗号化された情報源の秘匿性にある。今までリークは死を決して行うものであったが、ウィキリークスにより秘してリークができるようになった。上記のアメリカ外交公電流出以外にも、アフガン紛争関連資料の公開や、イラク戦争の米軍機密文書の公開など、大きな反響を呼んでいる。特に米軍がイラクで民間人を殺傷している動画は衝撃的だ。ちなみに、掲載された米外交公電で日本に関連するものは5,697件。これらはすべてウィキリークスのサイトで閲覧できる。  昨年9月の尖閣諸島における中国漁船衝突映像はYoutubeで流出され、先日のエジプトの反政府デモではFacebookがデモを呼びかけるのに大きく役立ったと言われている。マスメディアではなく、個人から発信される情報が重要性を増しているのだ。 「公開は世界をより良くする。正しさは歴史が証明する」(ジュリアン・アサンジ氏)  今後もウィキリークスの動向から目が離せない。 (文=平野遼)
日本人が知らないウィキリークス これが正体。 amazon_associate_logo.jpg
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携帯デザインの未来と約25年の移り変わりを写真で見る!『ケータイのデザイン』

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『ケータイのデザイン』(アスペクト)
 現代人には欠かせない、日々進化し続ける携帯電話。  ほんの15年前までほとんどの人が持っていなかったのに、今では1日手放すだけでも不安になってしまう。個人的な話をすると、現在26歳の私は、ちょうどポケベルから携帯に移った世代である。  1996年、時はアムラー全盛期。街にはミニスカートに厚底、ヘソ出しルックの若い女性があふれ、茶髪にルーズソックスでキメた"コギャル"が注目され始めた時期だった。愛知県の田舎で暮らしていた当時小学5年生の私は、テレビに映る渋谷の女子高生たちを見て、へーとか、ほーとか言いながら、その流行を知った。その彼女たちが欠かさず持っていたもの、それがポケベルだった。公衆電話で番号を押して使うらしいが、どうしたら文字になって送られるのか、仕組みがよく分からなかった。当然、ポケベルを持っている友達などひとりもおらず、確かめようもなかった。  97年になると、PHS、いわゆるピッチが急激に流行り出す。友達のひとりに連絡用で親に持たされる子が現れ、「お~っ、ハイテクぅ」とみんなで大騒ぎしたものだ。  98年頃には、携帯を持つ人は急激に増えていた。けれど、田舎の中学生で携帯電話を持っている子などおらず、おそらくわたしたちが、中学生で携帯を持たずに過ごした、ギリギリの世代ではないだろうかと思う。高校生になると、クラスのほぼ全員が持つようになっていた。今では当たり前のカメラ機能も付いていなかったし、絵文字のやりとりもメーカーによってうまくいかなかった気がする。けれど、どんどん新しい機能を備えた機種が発売され、二つ折りが登場したり、カラーバリエーションが増えるなど、デザイン的にも進化を遂げた。  一般的な携帯の歴史を振り返ると、1985年にまでさかのぼる。初めて持ち運びできる電話として登場した機種は、NTTから発売された「ショルダーフォン」。肩にかついで使用するという、今では考えられないほど巨大なサイズで、重さはなんと約3kgだった。それが、よくもこんなに小さく、多機能になったと思う。  いろいろと個人の思い出を語りすぎたが、そんな時代から現在、そして未来へ至るまで、携帯デザインの変遷をスタイリッシュな写真で見せている本が、この『ケータイのデザイン』(アスペクト)。かつての懐かしい携帯を始め、未発表でひょっとしたらこれから発売されるかもしれない携帯デザインなど、約110個が並んでいる。その中には、レザーやヒノキ素材の携帯、真四角のコンパクト携帯、アクセサリーとして身につけられる携帯など、規定概念にとらわれないデザインばかり。  昨今、圧倒的な支持を集める、パソコンと同等の機能を持つスマートフォンユーザーがグングン増加し、携帯はもはやただ単純に会話やメールをするためだけのツールではなくなってきている。今後どう変化していくか楽しみだ。 (文=上浦未来)
ケータイのデザイン こんなにあるんです。 amazon_associate_logo.jpg
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忍者の祖は徐福!? 忍者の技と秘密、その実態を記した虎の巻『忍術教本』

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『忍術教本』(新人物往来社)
 1980年代後半、『ニンジャ・タートルズ』の流行などにより「NINJYA」は世界共通語となり、日本だけにとどまらず大変な人気を誇っている。変身などしなくとも、生身の人間が鍛錬することでスーパーマンになれるのがその魅力の由縁だろう。山田風太郎、白土三平作品に始まり、『忍者ハットリくん』『科学忍者隊ガッチャマン』『仮面の忍者赤影』など忍者ものは脈々と受け継がれ、現在でも『NARUTO』『忍たま乱太郎』など、忍者人気はとどまることをしらない。そういえば「忍者」というジャニーズのグループもありましたね。  忍者は武芸百般に優れ、火薬、鉄砲をも自在に操る。軽業、伝達術、陰形術を駆使して諜報活動に暗躍し、敵忍者のセキュリティ対策"防忍"をも行う。さらに占術、幻術、天文学にまで通じているというスーパーエリート集団、戦国時代のCIAと呼べる存在だ。  そんな忍者の魅力について語ったのが『忍術教本』(新人物往来社)。伊賀流忍者集団「黒党(くろんど)」を主宰し、各地で忍者教室・忍者ショーを開催している黒井宏光氏が、忍術や忍者について記した書だ。黒井氏は"最後の忍術継承者"甲賀流伴党21代目宗家・川上仁一氏に師事した、いわば本物の忍者。手裏剣の投げ方、水蜘蛛の正しい使い方など忍術の仔細な解説から、忍者の装束、忍者の道徳観、忍者の隠語・合言葉まであまさず紹介している。さらに忍者の起源、忍者と深いつながりのあった歴史上の人物について考察がなされており、忍者のすべてを記した"忍者パーフェクトブック"だと言える。本書を購入した人だけがネット上で見られる『忍術教本』映像版も必見だ。  一見、トンデモ本の類にも思える内容だがとんでもない。史料的価値の高い文献を元に裏づけのある考察がなされ、結論についても断定はせず、「●●は▲▲であったかもしれない」と可能性を示唆する程度にとどめている。出典がはっきりしていると、荒唐無稽な話も信憑性があるように思える不思議だ。  伊賀忍者の始祖は御色多由也(おいろたゆや)という人物であるとされているが、そのルーツは古く、修験道の祖・役小角(えんのおづぬ)と深い関わりがあったり、天武天皇が"多胡弥"という者を敵城に忍びこませたとも、また聖徳太子が大伴細入(おおとものさいにゅう)という人物を"志能備"として使っていたという記録もある。奈良時代よりさらに古く、秦の始皇帝の命で不老不死の秘薬を求め、日本に渡来したといわれる徐福が伝えた神仙術が忍術の源流であるという。忍術が渡来人と鉄に関係しているという考察が興味深い。  この本はマンガに描かれるような夢とロマンの忍者像とは違う、忍者の実態を描いた良書だ。影に徹し、汚い仕事を生業とする。忍者の生き方には現代に生きる我々へのヒントがたくさん詰まっている。 (文=平野遼) ・くろい・ひろみつ 1960年奈良県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。最後の忍術継承者と呼ばれる甲賀流伴党21代目宗家・川上仁一氏に師事し忍術を学ぶ。各地で忍者ショーや忍術教室を公演する伊賀流忍者集団「黒党(くろんど)」を主宰。伊賀流忍者復興保存会会長。伊賀流忍者博物館顧問。主な著書に『忍者図鑑』(ブロンズ新社)、『忍者の大常識』(ポプラ社)、『伊賀流忍術秘伝之書・煙りの末』(伊賀上野観光協会)他。
忍術教本 ニンニン! amazon_associate_logo.jpg
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自己破産の正しい作法とは? 消費者金融の実態を描いた『仮面の消費者金融』

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『仮面の消費者金融 弱者を食い物に
する下流金融の実態』
(鹿砦社)
 「Let's go」と何の脈絡もなくレオタード姿の女性たちが踊り狂うCM。武富士という会社はいったい何の会社なのだろう、と子ども心に思いながら画面を凝視していたものだった。2010年6月、貸金業法の改正が施行されて以来、貸金業界は風雲急を迎えている。09年には大手のアイフル、10年には武富士が事実上経営破綻し、他の大手・中小消費者金融も軒並み収益減となっている。消費者金融なんて『ナニワ金融道』や『闇金ウシジマくん』の世界だけのことと思っていたが、実に多くの一般市民が消費者金融を利用し、かつ食い物にされているようだ。  借金についての教科書と言えるのが『仮面の消費者金融 弱者を食い物にする下流金融の実態』(鹿砦社)。フリーライターの橋本玉泉氏が、消費者金融の実態について解説・言及した本だ。「総量規制をめぐる報道の真偽」「多重債務と債務整理二次被害」「自己破産について」「消費者金融・クレジットカードの現状」「武富士の経営破綻」「債務整理をする弁護士の不法行為」など、現代の消費者金融をとりまく数々の問題が全6章で構成され、大手マスコミでは報道されない消費者金融の虚と実が、分かりやすく、懇切丁寧に説明されている。掲載された破産申立書の現物コピーなどは、滅多にお目にかかることのないシロモノだ。版元の鹿砦社には、武富士の元社員を名乗る人物から「よくここまで詳細に書いた」という電話が入ったというほど、消費者金融業界の闇に迫っている。  貸金業界の勢力図を一変させた貸金業法の改正とはどんなものなのか。改正の主な内容として、「執拗な取立て行為の規制」、「過剰貸付けの抑制(総量規制)」、「ヤミ金の罰則強化」利息制限法の上限金利15%~20%以上、出資法の上限金利29.2%以下の金利帯で貸付を行う「グレーゾーン金利の廃止」などが挙げられる。この改正により、今まで20%台の高金利で貸付を行っていた消費者金融は収益力が低下し、さらに利息の過払い金を借主に返還せねばならず、多額の負債を抱えた。  消費者金融問題の根は深い。債務を整理する弁護士が、債務者から多額の弁護士費用を要求し、さらに還ってきた過払い金を騙し取るなどする"債務整理二次被害"も相次いでいるという。橋本氏は「借金をしなければ最低限の生活もできない貧困こそが消費者金融問題を引き起こしている」と指摘する。  現在、年間10万人以上の人が自己破産をし、900万人近くの人が借金返済の困難な状況にあるという。借金苦の処世など学校では教えてくれない。いつ何時「借金をしなければ生活もできない」貧困に陥るかも分からない不安定な世の中であるから、最低限、借金や債務処理の実態をつかんでおく必要あるだろう。 (文=平野遼) ・はしもと・ぎょくせん 1953年、横浜市出身。トラック運転手、学習塾の時間講師、コンビニの雇われ店長、経営実務資料の編集、販促ツール等の営業、フリーペーパー記者、派遣労働者、夜間工場内作業員など複数の職業を経験。91年からフリーライターとして活動し、企業経営に関する事例取材を4年程続けるが、景気低迷によって仕事が激減。活動の場を一般的なメディアに移し、雑誌やムックなどに幅広く執筆。現在では、世相、庶民生活、風俗、娯楽、文化などといったジャンルのほか、事件や犯罪に関するレポートも手がける。ジャンルを問わず、常に「庶民の目線」からの取材を心がけている。著書『色街をゆく』(彩図社)など。
仮面の消費者金融―弱者を食い物にする下流金融の実態 これが金融問題の本質。 amazon_associate_logo.jpg
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会話はつかみで9割が決まる 元祖爆笑王の『3秒で「場をつかむ」技術』

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『3秒で「場をつかむ」技術』
(メディアファクトリー)
 新年会に送別会、また歓迎会と会話をする機会が多くなるシーズンを迎え、頭を悩ませている人も少なくないのではないだろうか。「男は黙って......」も好印象で迎えられない昨今だから、会議でも宴会でも、しゃべらないよりしゃべったほうが印象がいいに決まっている。しかし心配はご無用。実は会話ベタと言われる人は、場を"つかむ"ことに失敗しているだけなのだ。  会話は"つかみ"で9割が決まる!? 『3秒で「場をつかむ」技術』(メディアファクトリー)は、人気放送作家・元祖爆笑王氏が、お笑い芸人のしゃべりの技術を応用して、場を温め、会話を盛り上がらせる方法を語った新書だ。オードリーやナイツ、サンドウィッチマンなど、その他多くの芸人のネタを実例として挙げ、その "つかむ"技術を解析し、伝授してくれる。氏が放送作家になったきっかけや、方言にコンプレックスを抱いていたこと、手がけてきた企画のことなどを盛り込みながら簡潔に説明していくさまは、まさに話芸の技術。分かりやすく、楽しく読み進められる本だ。  ご存知のとおり"つかみ"とは、お笑い芸人が登場するときに場を惹きつける技術。それは決して難しいことではなく、気にかければ、誰でも、日常的に使えるものばかり。そのつかみの技術の一部をご紹介しよう。  場をつかむための会話の切り出し方は、大きく分けると次の3パターン。 1.投げかけ型つかみ 相手に質問を投げかける、語尾に「?」マークのつく疑問文。 (例)「僕は秋田県の出身ですが、あなたはどちらのご出身ですか?」  聞かれたほうは無視できない鉄板のパターン。ただし、相手の答えが「はい」「そうですね」で終わるような質問はつかみにならない。 2.感情型つかみ 自分の喜怒哀楽を相手にぶつけるのが「感情型つかみ」。 (例)「実は愛犬が死んでしまって、すごく落ち込んでいるんです」  同情や共感を引き出し、相手との距離が一気に縮まるだろう。初対面の人より面識のある間柄、多人数より1対1の場面で有効。 3.同意型つかみ 「~ですよね」と相手に同意を求めるつかみ。 (例)「ゴルフは本当に奥が深いスポーツですよね」  同じような環境にいたり、趣味趣向が似ている場合に効果がある。相手の情報を事前にリサーチしておくのがよい。  「雄弁は銀、沈黙は金なり」という格言があるが、元祖爆笑王氏はあえて「沈黙は禁なり」と言い換える。アイディアが出ず、静まり返った会議で、見聞きしたことを思いつくままにしゃべることで数多くの企画を成立させてきたからだ。仕事でも雑談でも合コンでも使える"つかむ"技術。"つかめる"者は、コミュニケーション不全と言われる時代において、より一層重要性を増してくるだろう。 (文=平野遼) ・がんそ・ばくしょうおう 放送作家。本名:高橋裕幸。1964年秋田県生まれ。日本大学芸術学部在学中に高田文夫に師事。26歳で『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば』の構成を担当。以降『笑っていいとも!』『めちゃ2イケてるッ!』『爆笑レッドカーペット』などの人気番組を手がける。また、吉本総合芸能学院やワタナベコメディスクールなどで講師を務めながら、オーディションの開催やお笑いライブのプロデュースも行う。著書に『漫才入門』など。
3秒で「場をつかむ」技術 でっきるっかな~♪ amazon_associate_logo.jpg
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「伏線王に俺はなる!?」ワンピース非公式ガイドブックの金字塔『ワンピース最強考察』

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『ワンピース最強考察』(晋遊舎)
 いま日本で最も売れているマンガと言えば、「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載中の『ワンピース』をおいてほかにない。「海賊王」を目指すモンキー・D・ルフィとその仲間たちの冒険を描いたこの作品は、コミックス累計発行部数が2億冊を突破する空前の人気マンガとなっている。  もちろん、売れているのは単行本だけではない。アニメのDVD、フィギュア、ぬいぐるみなどの関連商品も、軒並み好調な売れ行きを見せている。そんな中で、『ワンピース』の世界を変わった角度から掘り下げた1冊の本が密かな話題を呼んでいる。それは、『ワンピース最強考察』(晋遊舎)。Twitterやブログを通した口コミなどでじわじわと評判を呼び、10万部を突破するベストセラーになっている。  この本は、マンガ批評サイト「ヤマカム」管理人ほか3名で結成されたワンピ漫研団による本格的なワンピース研究書。作品内にちりばめられた伏線の数々を読み解き、『ワンピース』の世界をより深く楽しむための非公式ガイドブックである。  「海賊王ロジャーは、最後の島ラフテルに上陸さえしていない!?」「サー・クロコダイルは女だった!?」「10人目の仲間は『バーソロミュー・くま』である!?」など、ワンピースファンならば耳を傾けずにはいられない鋭い分析と大胆な仮説が盛りだくさん。もちろん、それぞれの考察がきちんとした根拠に裏打ちされているため、十分な説得力がある。『ワンピース』の読者がこの本を読めば、隠された伏線をたどりながら改めて作品を一から読み返したくなるのは間違いない。  そもそも、私はこのマンガの一読者として、一般的な『ワンピース』ファンの本作品に対する持ち上げ方に大きな不満があった。多くの人は、『ワンピース』を一種の感動物として語りたがる。このマンガは、友情をテーマとした冒険活劇であり、とにかく泣ける場面が多いんだ、と。それはそれで確かに間違ってはいないのかもしれない。だが、これだけ奥行きのある世界観を持った濃密な作品を、「友情」だの「感動」だのといった凡庸な切り口だけで語り尽くしてしまうのは、あまりにもったいないのではないだろうか。  私が思う『ワンピース』の本当の魅力は、緻密に構築された作品世界の壮大さにある。キャラクターの性格、能力、衣装などのデザインから、それぞれの国家、組織、民族にいたるまで、設定は細部まで練り上げられ、それらが有機的につながって1つの世界を構成している。だからこそ、そのシステムの一部をほのめかすようにして提示される数々の「伏線」が、物語をいっそう魅力的なものにしているのだ。  『ワンピース最強考察』の著者によれば、作者の尾田栄一郎こそは「伏線王」である。作品内にこれでもかというくらい大量に伏線をはりめぐらせて、それをひとつひとつ丁寧に回収していく手腕は、ほかに並ぶ者が見当たらないほどだ。まだまだ未回収の伏線や未解決の謎はたくさん残されているし、最後の最後には「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」という特大級の謎も控えている。本書は、「伏線王」が創造した壮大な作品世界を深く知るための手引きとして最適の1冊だ。 (文=ラリー遠田)
ワンピース最強考察 「本編が100倍楽しくなる」そう。 amazon_associate_logo.jpg
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