原発依存症に陥った福島を生んだのは「中央への服従心」だった!?

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著者の開沼博氏。27歳の冷静な視点が光る。
 未曽有の大震災から早くも5カ月近くが過ぎた。ここに来て、首都圏の人々の注目は、津波による被災地よりも福島原発に多くが向けられていると言っていいだろう。自治体独自に放射線量を測ったり、個人でガイガーカウンターを購入し、家の周辺を測ったり、また脱原発デモを行ったりと。  しかし、そもそもなぜ福島県に原発が作られ、周辺住民がどう感じて生きてきたのかということを知らない「都会の人間」は多いのではないか? 福島県いわき市出身の社会学者・開沼博氏は、震災前の2006年から福島原発に興味を抱き、フィールドワークを重ね、内側から原発問題を考察してきた。その集大成が『「フクシマ論」 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)である。今回、福島と原発の関係、そして震災後の世間の動きについて開沼氏に話を聞いた。 ――そもそも福島原発に興味を持ったのはなぜですか? 開沼博氏(以下、開沼) 最初は2006年の夏前くらいに青森県・六ヶ所村核燃料再処理施設に行ったんです。行く前は「今でも根強く施設立地の反対運動が行われ、施設に嫌悪感を抱きながら声をひそめて生活しているじゃないか」というありがちなイメージを持っていた。しかし、実際にそこに住んでいる人に話を聞いてみると「原燃さん(六ヶ所村核燃料再処理施設の事業者)が来てくれたお陰で生活ができている」「1年の内の半分は出稼ぎに出ないといけない土地だったが、施設が来てから1年中家族と一緒にいれるようになった」と言う。福島に行ってみても、特に原発のある4町(双葉町、大熊町、楢葉町、富岡町)では「東京電力(以下、東電)が来てくれたお陰で」という雰囲気がある。そして、それは今も大きくは変わりません。そういう原発を抱える現地のことは東京から見ていたらわかりづらいことであって、その実態に興味を抱き調査をはじめました。 ――開沼さんは福島県いわき市出身ですが、いわき市ではそういう雰囲気は感じられませんでしたか? 開沼 いわき市民が普段、原発を意識することはそれほどなかったですね。原発のある4町の人々も原発があることは知っているけれども、毎日「原発あるなー、怖いなー」と意識するかと言えば、そんなことはなかった。それは東京の人が「東京タワーがあることは知っているけれども、別に改めて昇ることはない」という感覚に近いのかもしれない。福島の4町には40年間にわたって原発があるわけですから、多くの人にとって「生まれた時から記憶の中に自然とある風景」なんです。 ――本書のテーマは「日本の戦後成長と地方」ですが、このテーマに興味を抱いたのは? 開沼 そもそもの学術的な話で言うと、「成長社会が終わったあとは、どういった社会になるのだろう」ということを考えたかった。「ポスト成長社会」と私は呼んでいますが、これまでもそれを「成熟社会」とか「縮小社会」と名づけて捉えようとしたり、もちろん「成長はまだ終わっていないんだ、そうするためにがんばるんだ」という立場もある。でも、こんなことになってしまったのも含めて、どうすればいいのか考えあぐねているのが実情だと思います。このテーマについて、もうひとつ抽象度を上げると「近代」がテーマになります。社会学は「近代社会とは何か」を問う学問だと私は思っています。しかし、その近代社会が曖昧になりつつある。成長が終わるとは、そういうことかもしれないなと。じゃあ今までの理論で捉えられない近代を、どういう視座から捉えていくことが必要なのかと考えたのが、最初の問題意識でした。そこで考えたのが、戦後の成長を、私が理論的な下敷きとしたポストコロニアリズム(ポスト植民地主義)との関係で捉えていくという方法でした。日本の中央と地方との関係にある種の「植民地性」を見ることで新たな社会の描き方ができるのではないかと思ったんです。 ■地元民には、東電に対する「信心」がある ――福島県は只見川電源開発、常磐・郡山の新産業都市などを誘致しています。かつて貧しかった一帯が地域振興策の中で一番魅了的な原発を誘致したのは、貧困を克服するためというのが一番大きかったのでしょうか? 開沼 原発のある地域が取り立てて貧困だったかというと必ずしもそうではないんです。1950年代、60年代の日本はまだ道路もコンクリートになる途中の「途上国」です。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の世界ですね。その場その場に合った地域開発が日本のあらゆるところで行われていました。たまたま福島県の沿岸地域では、すべての市町村に発電所を置いていくような開発が行われた。発電所は大量の雇用を生みますし、地域開発としては有効でした。そういう流れの中で、たまたま原発が置かれたというのが私の認識です。 ――仮に原子力でなくても良かったということですか? 開沼 原子力でなくても良かったと思います。それが巨大公共事業とか工場などであっても良かったと思います。だから、用地と海水の確保などの条件さえ整えば、どの地域でも福島になる可能性はありました。 ――テレビで見る成長著しい東京と地方ではかなり違ったのでしょうか? 開沼 その当時、日本は豊かであるという幻想ができ始めていました。それはメディアを通して作られていた。ベネディクト・アンダーソンの言葉でいう「想像の共同体」ですね。テレビでは東京オリンピックや『ひょっこりひょうたん島』が流れるのを見ながら、自分たちの想像の中では、日本という国は非常に豊かで、イケイケドンドンであるというイメージがある。にもかかわらず、いざテレビを消して、家の外を眺めてみると、とんでもないクソ田舎であると。当然都会になりたいという欲望が生まれる。そこでスッと差し出されたものが原子力であったんだと思います。 ――本書の中で、そうしたムラと国・中央がaddictional(常用的に、依存的に)な関係になってしまうと指摘されています。addictionalな関係とは具体的にどういうことでしょうか? 開沼 ムラが原発をどんどん欲していくような中毒的な状況を指します。経済的な話が一番わかりやすい。原発は一回置くと、最初はかなりのお金が入るんです。ですが、固定資産税からの税収は年々下がり、一方で金がある時に作った施設のメンテナンス費はかさむ。時間が経つとともに財政的に厳しくなっていきます。減った収入分を埋め合わせるために原発なり関連施設なりをさらに建設してくれということになってしまいます。 ――他の観点だと? monaka.jpg 開沼 本書の中でも触れていますが、一番肝になるのは文化的にもaddictionalになってしまうことです。たとえば、「原子力モナカ」というお土産物が売られていたり、国道沿いに「回転寿しアトム」という寿司屋があったり。東京の人から見れば特異な光景かもしれませんが、地元の人にとっては大きな違和感もなくそれが存在している。それだけ「原子力ブランド」が浸透し、原発と共生する社会が確立していると言える。 ――そうした地域に、原発によって経済的な恩恵を受けている人はどれくらいいるんですか? 開沼 いろんな捉え方がありますが、人口の3分の1から4分の1は原発関連で生計を立てていると思います。その家の人が原発関連で働いていなくても、親戚付き合いや近所付き合いはあるので、なんらかのステークホルダーになってしまう。そう簡単に「原発は危ないから嫌だ」と言える状況ではないんです。原発関連で働くと言っても、今メディアで報じられるように白い服を着てマスクをつけている人だけではなくて、実際にはガードマンの仕事があれば、瓦礫をトラックで運び出す仕事や仕出しの弁当を作る人、原発の中で働く人を相手にした保険外交員もいる。年配の人や技術がない人も含めて原発ではたくさんの人が働いている。 ――ムラと中央がaddictionalな関係になると、ムラが中央に「自動的かつ自発的に服従」するような関係が生まれると分析されていますが?
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開沼 それは何段階かに分けて分析しています。最初の段階では、どうにか自分たちの田舎を都会に近づけるために、他の地域と競い合いながら新幹線や高速道路を持ってくるみたいな形で、中央に対して「自発的な服従」をしていくようになった。それがいつの間にか財政的な問題や文化的な問題でaddictionalになっていき、「自動的かつ自発的な服従」が完成したという風に私は捉えています。ここでのポイントは「服従」が、その言葉から想像しやすいような権力による強引な支配によるどころか、むしろ、服従する側が勝手に権力にひれ伏してしまうという一見奇妙な現象が起こっているということです。 ――こうしたムラと国の服従の関係は日本の他の地域でもみられますか? 開沼 一番理解しやすい例が、財政破綻した夕張市です。かつて賑い日本中に名が通った街が、巨大資本の撤退とともに一気に寂れる。地域と国との間にある種の共依存関係ができている。同じようなことはどこでも起こりえます。 ――そうした服従の中で東電信仰のようなものが果たした役割は? 開沼 それを本書の中では「信心」と呼びました。2000年代の初めに東電で事故や隠蔽事件がありましたが、ある町長さんは「東電を信じて共に歩んでいくことが私たちにとっていいことなんです。それしかありません」と発言している。そして、地元の人も「東電が大丈夫だと言っているから、大丈夫でしょう」と納得してしまっていた。それ故に3.11間際まで原発は維持され続けた。 ――もし福島に原発がなかったら、福島はどうなっていたと思いますか? 開沼 財政状況は現状以上に悪かったでしょう。ただ、原発がなくてもやっていける自治体は他にいくらでもありますから、なにか困ることがあったかというとそれはわからないです。しかし、歴史を振り返れば「原発なき福島」を想像すること自体困難だとも言えます。本書の中でも検討しましたが、明治以来、福島は東京から「ほどよい位置」にあった。明治の初期から水力発電で東京の蒲田まで電気を送ったり、戦中は、石川町でウラン鉱石を採って、日本の原爆開発計画に貢献した。戦後すぐ、只見川電源開発や、映画『フラガール』でも有名になった常磐炭田のように「エネルギーの供給地」として東京の成長を助けていた。東京の成長を常にサポートする役割を日本の近代化の中で福島は担わされてきたんです。 ■デモが起きても「フクシマ」は忘れられる運命!? ――ここからは3.11以降のお話を中心に聞きたいのですが。まず、4月10日には高円寺で脱原発デモが行われ、1万5,000人の人が集まりました。これに対して本書の中では批判的に言及しています。 開沼 いや、やってる方がいるのは全然いいんです。でも私自身は参加する気はない。震災前から労働組合のある党派は、40年間原発反対運動をしてきたわけですね。それが有効な手段ではなかったから原発はなくなっていない。答えは、もう出ています。1万5,000人は確かにすごいと思います。いわゆる「生きづらい若者」にとっては「居場所」として非常に意味があったとは思いますが、脱原発という点では無効だと言わざるを得ない。そして、ただ無効なだけなら放っておけばいいですが、デモ自体がハラスメントにつながりかねないことに無自覚なままになされている故に批判をせざるをえない。「即座に原発をなくせ」ということが、ただでさえ生活が苦しい原発立地地域の人間にとっては仕事を奪われることになる。それがどれだけウザいか。「奇形児を作らせるな」と障がいがある方もデモに参加している中で叫ぶ。新たな抑圧が生まれかねない状況がある以上、手放しでは見過ごせません。 ――1年前、沖縄米軍基地問題では人々はあんなに熱狂していた。にもかかわらず今では誰もそんなことを気にしないままに粛々と問題の処理が進められている、という例を出されていましたが、福島原発もいずれ忘れ去られてしまうのでしょうか? 開沼 それは間違いありません。東電なり経済産業省なり文部科学省の原子力政策を担う部門は、とりあえず福島の原発から放射能物質が出ないように押さえ込みさえすれば、この問題は解決すると思っている。押さえ込んでしまえば、今原発に関心を持つ人も、少なからず、元通りの無関心派になります ――自分たちの生活に直接危害がなくなると関係がなくなってしまう? 開沼 原子力ムラの当事者ではない人の関心は2点に収斂されます。結局、この復旧作業の落とし所はどこなのかということと、出ちゃっている放射能はどんだけ危険なのかということです。その答えがわからないから、イライラしてデモに行ったり、ガイガーカウンターを買って計測したりしている。逆に、その答えがある程度明らかになれば、そこに「日常」が戻ってこざるをえない。もはや原発に関心を持つ理由はなくなっていく。言い方を変えれば、デモを今の規模で続けるためには福島に不幸であり続けてもらう必要がある。これはある面で事実です。「イライラ」をガソリンにして「脱原発」のエンジンを回している。その裏にある「ありものの知識や知識人への信頼の仮託」の構造は、3.11の前も後も何も変わっていません。そして、それは時間の経過の後に形は違えど同じ問題を反復することにつながります。そこから逃れるためには、シンプルに言えば、歴史を見ることであり、東京からは見えにくい現場のリアリティに向き合うことなんじゃないかと思います。 ――いわゆる知識人の発言が右往左往している印象もありますが。 開沼 勝手に右往左往するだけならいい。ただ、必死に逃げてよくわからない言い訳をしたり、よくわからないにもかかわらず、とりあえずヒステリックに脱原発派を煽ったりすることは混乱を増長させるだけ。知らないなら知らないでいい。怖いなら怖いでいい。あとは黙ってればいい。今回の原発を受けての知識人たちの行動、インテリと呼ばれる層にいる人間たちの短絡的な行動が、結果的に一般の人たちの不安をますます煽っているだけなのだとすれば残念です。 ――そういう中で自然エネルギーの話も出ていますが。 開沼 自然エネルギーは悪いと思いません。また、原発の是非の立場を問われた時に「長期的には脱原発に向かうのがいいと思う立場です」と答えておくのが現状のベストアンサーです。どっから弾が飛んできても怪我をしません。でも、少なくとも原発周辺に住む人々にとっては、今食っていけるか否かが重要。今、あるいはこの先に自分たちの生活を支えるものでないなら、どうでもいい。「外野からどうこう語る知識人」ほどの理想主義的な幻想は持っていない。現実を見ている。当然のことです。そして、もとから原発で働いていた人にとっては、得体の知れない幻想に乗り換えろと騒ぎ立てられるより、淡々と原発を動かしてほしいというのがとりあえずの本音。「自然エネルギーを導入すれば新たに雇用が生まれる『はず』です」と言う「善意」ある言葉を投げかけた時に「そんな不確定のことのために人生をかけられません」「それまでどうやって食っていけばいいんですか、生活費あなたが払ってくれるんですか」という問いは当然返ってくる。 ――今後、原発について考えていかなければならないことは何でしょうか? 開沼 まず第一に、成長のために地方を踏み台にしてきたことを認識しなければなりません。本書の中で「2つの原子力ムラモデル」を提示しました。つまり一方には、電力会社や政府を中心とした「原発を置きたい側」=中央のムラ、もう一つは、「原発を置かれたい側」=地方の側の原子力ムラがある。政府叩き・東電叩きをしてカタルシスを得ることに終始するのは無意味。この、私たちが無意識のうちに踏み台にしてきた「2つの原子力ムラ」を変えて行く必要があることを認識しなければなりません。 ――最後にこの本をどんな人に読んでほしいか。また、まだ読んでいない人へ一言お願いします。 開沼 何か原発について声を大にして主張したがる人に読んでいただければと思います。主張するなと言っているのではありません。その気持ちが圧倒的な「善意」に基づくという自覚があったとしても、実は知らぬ間に暴力や抑圧に転化してしまっていることを受け止めなければならない。一言で言うならば、「まず原子力ムラを肯定せよ」ということです。私たちは、原子力ムラの上に乗っかってきたし、黙認しながら生活をしてきた。必死に何かを叩きのめしたい気持ちはよくわかります。ただ、間違いなく、その叩きのめしたいものは、昨日の自分自身の顔そのものです。これまでは改めて鏡に映して意識することはなかったかもしれないけれども、事実としてこういう顔をしていたんだということをまず受け止めなければならない。日本の近代、あるいは戦後成長が無意識的に乗っかってきた基盤がそこにある。不安・不満解消のためのセンセーショナルな反応はすでに一巡しつつある。その先にあるのは愚かな反復でしかない。原子力ムラを一度受け入れる、つまり、それによって成り立ってきた「原発がある幸せ」を無意識的にせよ選択してきてしまっていた、今もいる、ということを改めて捉えなおす必要がある。その後に初めて「原発なき幸せ」についての議論が始められます。  * * *  福島原発関連の本は数多く出版されているが、内側から迫った本は少ないのではないだろうか。福島原発に対する新たな視点を与えてくれることは間違いない。 (文=本多カツヒロ) ●かいぬま・ひろし 1984年福島県いわき市生まれ。2009年東京大学文学部卒。2011年東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。専攻は社会学。
「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか なぜ? amazon_associate_logo.jpg
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姫路城は23円だった!? 国宝25城を網羅した『決定版 図説国宝の城』

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『決定版 図説国宝の城』(学研)
 「ともちん(板野友美)のかわいさは国宝級」のように、国宝は幅広く使われている言葉だが、そもそも国宝とはどういった基準で定められているのだろうか。戦後まもなくの1950年、文化財保護法が成立。それまで国宝と定められていたもの(旧国宝)をすべて「重要文化財」とし、その中から「世界文化の見地から価値の高いもの」で「たぐいない国民の宝」たるものが、あらためて「国宝」として指定されることとなった。法的には国宝も重要文化財の一種となる。  現在、国宝指定されている城郭は、姫路城、松本城、彦根城、犬山城の4城であるが、旧国宝では名古屋城など24の城が国宝とされていた。『決定版 図説国宝の城』(学研)は、現・旧国宝の25城(住居として国宝指定された二条城を含む)を紹介した本だ。世界遺産として名高い姫路城、加藤清正が築城し、西南戦争の激戦地となった熊本城、沖縄・琉球王国のシンボル首里城など、北は北海道から南は沖縄まで、城郭ファン必見の国宝名城を完全網羅。城の由来や、城にまつわる逸話、城の構造、断面図など、各種データが仔細に記され、焼失以前の景観を残したモノクロ写真も数多く掲載されている。特に空襲で炎上する名古屋城の写真は貴重な一枚だ。  注目したいのが、第2章「国宝の城の維持管理」だ。明治維新後、維持費のかかる城を保持するだけの予算が新政府にはなく、1873年(明治6年)、廃城令が布告され、数多くの城が破却された。現在、世界遺産となっている姫路城は23円50銭(現在の貨幣価値にして約10万円ほど)というとんでもない安値で売却されている。その後、陸軍省によって買い戻された姫路城は、市民団体の働きかけもあって、寄付と国費によって保存工事が行われた。工事は大規模なもので、30年にわたり計82件に及んだ。戦時中は、黒い擬装網を天守全体にかけて空襲から守り、また天守を直撃した焼夷弾が不発となる幸運も重なり、奇跡的に焼失を免れた。空襲の翌朝、姫路城の無事な姿を見て、市民は涙したという。  街の中心にそびえ立つ城は、その街の人々にとって誇りであったに違いない。度重なる政変や戦争を経て、いまなお姿形を留める城は、街のシンボルを残そうとした先人たちの努力の結実であるのだ。そんなことを思いながら大手門をくぐれば、国宝の城もまた違った姿に映るだろう。 (文=平野遼)
決定版 図説・国宝の城 小田原城は国宝じゃないのかね? amazon_associate_logo.jpg
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意識するだけで穏やかな心を取り戻す『呼吸の本』

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『呼吸の本』(サンガ刊)
 あなたは1分間で何回呼吸をしていますか?  「●回以上は赤信号!」などと、どこぞの健康番組のようなことを言うつもりはないのですが、導入としては数が一番分かりやすいと思うので、つい。  アメリカの研究者によれば、「普通の人の1分間の呼吸回数は平均13回で、男性は12〜14回、女性は14〜15回、15回以上がストレス信号」だそうですが、「まあ10回から12回、13回でいいんじゃないですか。(中略)あまり多くを求めないでその人が健康で生きられればいい、という軽い気持ちのほうがいいと思います。(中略)一生懸命やっちゃだめです。呼吸は頑張らないのがいいんです」と、この『呼吸の本』(サンガ刊)で書いているのは、産業カウンセラーで、厚生労働省認定ヘルス・ケアトレーナーの加藤敏郎さん。いわば「呼吸の先生」です。    そして、生徒は詩人・谷川俊太郎さん。『呼吸の本』は、定期的に加藤さんから呼吸法のレッスンを受けているという谷川さんによる呼吸についての疑問・質問と、それに対する先生の答え、という形で構成されています。  息をする、という今この瞬間にも無意識に行っていることを、「呼吸法」として意識して行うのは何のためなのかという質問に対して先生は、「呼吸を意識することは、心を意識すること。意識して呼吸するのは心の汚れ(生きている中で溜まる、不安や怒りといった思い)を取るため」だと言います。意識して呼吸することで、穏やかで安らかな心を取り戻すことができるそう。    本書には、「気づき」や「言霊」、「宇宙」といった壮大な言葉も出てきて、読んだだけでは飲み込むのが難しい部分もありますが、この本では付属のCDで「加藤メソッド」の呼吸を「習う」ことができます。  このCDには、加藤さんによる呼吸法の誘導が収録されていて、言われた通りやればOK。誘導とは、例えば「足の裏を意識してください。まず最初は、足の裏で吐きます。ただそう思うだけです」といったもの。とにかく息を吐いて吸うだけなので、難しいことは一つもありませんが、これまで呼吸法に触れたことがない人にとっては、「呼吸といってもいろんなバリエーションがあるんだ」と新鮮に感じられるかもしれません。  ちなみにこのCDは、加藤さんがお寺で谷川さんにレッスンしている音声を録音したもの(谷川さんの音声は入っていませんが)とのことで、バックにウグイスの鳴き声やお寺の「チーン」という鐘の音が聞こえるのがいい雰囲気なのですが、カラスの鳴き声まで入っていたりして、「いかにも」なリラクゼーションCDらしくないのが、かえって心地良く感じられます。  長さは49分。毎日49分時間を確保するのは厳しいという方も多いかもしれませんし、仰向けに寝てやる部分もあるので、英語学習CDのように「通勤途中でもOK!」というわけにもいかないのですが、逆に、ジムに行ってヨガのレッスンを受けることを考えてみれば、時間的にも費用的にも手軽です。何よりも呼吸法をやった後は、「ア●パンマンが新しい顔をもらった時ってこんなかも!」と思うほどの清々しさですよ。  この週末の時間がある時にでも、いかがでしょうか? (文=萌えしゃン) ●かとう・としろう 1946年広島生まれ。国際フェルデンクライス連盟認定公認講師。厚生労働省認定ヘルスケア・トレーナー。産業カウンセラー。横河電機グループや医療法人などを通して、加藤メソッドのレッスンを全国各地で開催。 ●たにかわ・しゅんたろう 1931年東京生まれ。詩人。52年、詩集『二十億光年の孤独』でデビュー。詩作を中心に作詞、翻訳、劇作、絵本、映画脚本・監督などジャンルを超え活動している。62年『月火水木金土日のうた』で日本レコード大賞作詞賞、75年『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞、82年『日々の地図』で読売文学賞、ほか受賞・著書多数。
呼吸の本 スゥー。ハー。 amazon_associate_logo.jpg
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なでしこも被害に Twitterでの失敗談42例『コワ~いツイッターの話』

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『コワ~いツイッターの話』(宝島社)
 W杯優勝という歴史的偉業を成し遂げたサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」であるが、帰国後の7月20日、DF熊谷紗希選手が合コンに参加していることを同席の男子大学生にTwitterで実況中継され、大きな騒動となった。熊谷選手は釈明&謝罪会見を開き、「軽はずみな行動がこんなことを招き、申し訳ありません」「もう、そういう場には行きません」とコメント。熊谷選手のように大きな騒動にならなくとも、Twitterで嫌な思いをしたユーザーも多いのではないだろうか。  上記の他にも、ホテル従業員がサッカー・稲本潤一選手と田中美保のお泊りデートを"実況"した事件が記憶に新しいが、Twitterでの騒動は有名人に限ったことではない。『コワ~いツイッターの話』(宝島社)は、Twitterでの被害談、失敗談を掲載した本だ。全5章42の談話が収録され、Twitterで勧誘ビジネスを行う人物へのインタビューなど、コラムも充実した一冊だ。以前、当サイトで紹介した『コワ~いパチンコ店の話』に連なる、宝島SUGOI文庫「コワ~い○○の話」シリーズの最新刊となる。    42の事例は、「つぶやいた先々に現れるつぶやきストーカー」「浮気が伴侶にバレる」「彼氏の元カノからの嫌がらせ」など男女関係に起因したもの。「仕事中にツイッターをやりすぎてクビになった社員」「ツイッターでの宣伝に失敗した企業」など仕事がらみのもの。「震災時、『助けてくれ』とデマを流した愉快犯」「マルチ商法の勧誘」「ツイッターを利用した空き巣被害」のような明らかな悪意があってのものなど、その数は枚挙にいとまがない。「自らの自殺を実況中継」してしまった悲しい事件もある。  なぜ、Twitterによる失敗は後を絶たないのか。一般のユーザーが起こした失敗は、悪意なく、何の気なしに、ついうっかり、重要な情報をつぶやいてしまう。「いま外出している」「いま彼氏(彼女)がいない」「深刻な悩みを抱えている」など、一見取るに足らない情報でも、悪意ある人々から見れば有用な情報となる。その気軽さゆえ、数百万人に見られている(可能性がある)という意識が薄れてしまうのだろう。  Twitterは便利で有益なツールであると同時に情報流出の危うさもはらんでいる。Twitterも原発もそれ自体が悪いのではなく、機械と人間の関係はいつだって機械を使う人間の側に非がある。この『コワ~いツイッターの話』は、卑俗な興味だけでなく、"他人のふり見て我がふり直す"のに絶好の本だと言える。個人がメディアを手にして十余年が経ったいま、一人ひとりがメディア・リテラシーについて向き合う時期を迎えているのではないだろうか。 (文=平野遼)
コワ~いツイッターの話 気軽につぶやけなかったらTwitterじゃなくねぇ? amazon_associate_logo.jpg
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『泣けるAKB48』電子書籍版がパブーでも発売開始されました!

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 書籍が売り切れのため手に入らない方、iPhoneをお持ちでない方、お待たせいたしました!大好評販売中の『泣けるAKB48 メンバーヒストリー』がブクログのパブーにて発売開始致しました。  さらに「パブー」版にだけ「もうひとつの"総選挙"!握手会人気ランキング公開!!」を追加した特別編の電子書籍となっております!試し読みとして無料で公開しておりますので、是非ご覧ください。  PCで購入してそのまま読むことも、PDFやePubのファイルとしてDLしていただけますので、お持ちのiPhoneやiPad、さらにはAndroidに入れて持ち歩くこともできます。   現在キャンペーン中につき、7月末までは書籍版の半額以下で販売しております! ブクログのパブーで詳細を見る 【iPhoneをお持ちの方】 App Storeで詳細を見る
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【アップストア2位!】話題の『泣けるAKB48』電子書籍が好評販売中!

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 今週発売しました、『泣けるAKB48 メンバーヒストリー』が発売2日目にして、App Storeのブックカテゴリセールスランキング【2位】まで浮上し、現在も好評発売中です! ◎総選挙前に読んでいたらきっと順位は変わっていたと思う ◎劇場に900回以上も足を運ぶ著者だからこその熱さを感じた ◎最近好きになった私にとっては、メンバー個人の良さを知る事ができる読み応えのある内容でした! ◎昔からのファンにはもちろん、最近好きになったファンにとっても教本となる内容だと思う  などなど、たくさんの感想も寄せられてきています!(書籍へのコメント含む)  現在、キャンペーン中のため通常価格が800円のところ、初回販売価格は7月末までの期間限定で600円と、書籍版の半額でお求めいただけます!!  ぜひ一度App Storeで本書の詳細をご覧下さい。 App Storeで詳細を見る  iPhoneをお持ちでない方は、PDFやePubでも読めるブクログのパブーで現在ランキング第5位と好評発売中! ブクログのパブーで詳細を見る
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【アップストアTOP10入り!!】『泣けるAKB48』絶好調販売中です!!

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 昨日発売しました、重版続きで大好評発売中の『泣けるAKB48』(著・本城零次)電子書籍版が、発売当日にApp Storeのブックカテゴリセールスランキング【6位】にまで浮上!今もなお勢いを増しております!  現在キャンペーン中につき、7月末までは書籍版の半額以下で販売しております!  公演を900回以上見続ける著者が、膨大な資料から読み解いたAKBの真実とは!?古参のファンにはもちろん、新規ファンにとってもAKB48の教本とも言える内容となっております!  ぜひ一度App Storeで本書の詳細をご覧下さい。 App Storeで詳細を見る
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『泣けるAKB48』が待望の電子書籍化!今だけ期間限定で書籍版の半額!

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 AKB48メンバーの汗と涙の軌跡に迫る評伝本が、App Storeで待望の電子書籍化!!  しかも通常価格が800円のところ、初回販売価格は7月末までの期間限定で600円と、書籍版の半額でお求めいただけます!!  第3回となる選抜総選挙を終えたアイドルグループ・AKB48。時代の寵児となった彼女たちだが、ここまでの人気を獲得した理由、各メンバーが歩んできた道程はいまだに明かされていない部分が多い。そんな未知の領域の解明に取り組んだのが、このAK8評伝本『泣けるAKB48~メンバーヒストリー 少女たちの汗と涙の軌跡』だ。
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 メインとなるのは、メンバーの半生に迫った評伝。単なる印象論ではなく、AKB48加入当初から、それぞれの転機、チームシャッフルなど現在までの歴史をたどりながら、ドキュメンタリー形式で振り返っていく。崇高な志を持つ大島優子と『風の谷のナウシカ』の関係性、「どーでもいい」が口癖だった前田敦子がエースを任された理由、"嫌われる勇気"を持った高橋みなみが抱えていた"孤独"の真相などを分析。また、篠田麻里子、板野友美、渡辺麻友、小嶋陽菜、柏木由紀、宮澤佐江など2010年の総選挙選抜メンバーとなった21人+"じゃんけん選抜1位"内田眞由美の素顔を、徹底的なリサーチによる事実の積み重ねによって導き出している。  新規ファンにはAKB48をさらに深く楽しむ一助となり、古参のファンにも新たな発見がある一冊となっている、ファンなら必ずもっておきたい完全保存版! 【著者紹介】 本城零次。劇場公演を900回以上(『AKB48 LIVE!! ON DEMAND』含む)見続ける、"AKB48評論家"。AKB48総合プロデューサー・秋元康氏へのインタビューも行っている。日刊サイゾーを中心にAKB48関連記事を掲載し、Yahoo!トップニュースの掲載も多数。 【ビューアーについて】 
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オーナーのドヤ顔もご愛嬌 奇想あふれる世界のホテル24『可笑しなホテル』

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『可笑しなホテル』(二見書房)
 カウチサーフィンというサービスがじわじわと流行っている。コミュニティサイトに登録した会員同士が、無償で宿泊施設(自宅)を提供しあい、現地の案内をするという相互案内システムだ。旅行先現地の生活をそのまま味わえるとして、現在246カ国、約295万人の会員が登録しているという。  旅行に行くなら現地の空気と非日常を楽しみたいが、いきなりカウチサーフィンは少し心配かも。そんな人におすすめしたいのが『可笑しなホテル』(二見書房)。ホテル・ジャーナリストのベティーナ・コバレブスキー氏が、世界の一風変わったホテルを紹介した本だ。以前、当サイトで紹介した『可笑しな家』(二見書房)の姉妹本だと言える。北欧から南洋まで、著者が自身の足で取材した24軒の宿は、どれも奇想なアイデアにあふれたものばかり。ただ"ヘン"なだけではなく、一度泊まってみたいと思わせる宿だ。大きなサイズの写真がふんだんに使われ、宿の料金、宿周辺の見どころなども記載された旅行ガイド的側面をそなえた内容となっている。  昔、使われていた監獄を改装した「監獄ホテル」(スイス)や、世界遺産カッパドキアの洞窟に泊まれる「古代穴ぐらホテル」(トルコ)、アフリカの大地を屋根なしで楽しめる「サバンナの青空ベッド」(南アフリカ)など、いずれも一般の宿では味わえない特別な魅力にあふれている。本の表紙になっているのは木製犬型ホテル「ウィリーくん」(アメリカ・アイダホ州)。農場の真ん中にどーんと建っている、豪快で愛嬌たっぷりのかわいいお宿だ。
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『可笑しなホテル』より(以下、同)
hotel04.jpg> hotel03.jpg hotel07.jpg hotel05.jpg  他にも、大きなワイン樽を改装した「ワイン樽の宿」(ドイツ)や、インド洋の孤島にたたずむ「珊瑚礁ホテル」(モルディブ)など、収録された24軒のホテルは、いずれも現地の魅力を最大限に生かした造りになっている。『可笑しなホテル』は、実にその土地土地に深く根付いたものなのだ。ユニークなオーナーのドヤ顔も旅のスパイス、可笑しなホテルでのバカンスは、旅行会社のパック・ツアーでは決して味わえない素敵な旅になることだろう。 (文=平野遼) ●ベティーナ・コバレブスキー トラベルライター、写真家。普通の観光旅行とはひと味ちがった旅が好き。とくに個性的で風変わりな場所や人物を好んで取材する。ドイツとイギリスのテレビ局で番組づくりにも携わっている。ある時オーストラリアの「地下洞窟ホテル」の噂を耳にして、世界中の"すごいホテル"を求めて旅立つ。ユニークなホテル・オーナーに出会い、その情熱に啓発されて本書が生まれた(ドイツ、イギリスでも刊行)。現在、ドイツのマインツに拠点を置いて、新たな発見の旅を続けている。 ●【訳者】・松井貴子(まつい・たかこ) 1971年三重県生まれ。慶応義塾大学文学部卒業後、出版社勤務を経て翻訳家に。訳書に『女優の朝』『DEPP(デップ)』『ダ・ヴィンチ 天才の仕事』『人体解剖図』『月の歩き方』(以上、二見書房)などがある。
可笑しなホテル 居心地はどうなんだろか。 amazon_associate_logo.jpg
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後ろ向きな人ほど起業に失敗しないという「5つのルール」とは?

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『コンサルタントになっていきなり
年収650万円を稼ぐ法』(集英社)
 会社を辞めて起業・独立というと、バリバリ仕事ができる人が、熱い情熱と大きな野望を抱いてビッグサクセスをつかみ取る! ......的なイメージを持つ人が大半だろう。ところが、ここ数年その流れが変わってきているという。お先真っ暗な今の時代は、高いモチベーションで起業するより、「後ろ向き」な理由で起業した人の方が、成功する確率が高くなっているというのだ。  そんな見解を展開している、個人向け起業コンサルを手掛け、6月末に11冊目の著書『コンサルタントになっていきなり年収650万円を稼ぐ法』(集英社)を出版したネクストサービスの松尾昭仁氏に、「イマドキ」の失敗しない起業術と、起業に向いているという「プチ・コンサル」について聞いた。 ――なぜ、前向きに起業した人が失敗する可能性が高いのですか? 松尾昭仁氏(以下、松尾) 起業には成功する5大ルールがあります。(1)固定費をかけない(家賃、人件費を抑える)、(2)在庫を抱えない、(3)キャッシュフローが健全(前金で代金を頂いてから仕事をする)、(4)リスク管理が自分でできる(下請けは発注先の都合に振り回される)、(5)事業が失敗しても致命傷を負わない(返せないような大借金を背負わない)。前向きに起業すると、変に夢を持ってしまったり、やる気だけが先走りして、資金面や精神面で無理をします。その結果、この5大ルールのすべて逆をやってしまうのです。 ――具体的にはどういうことでしょう? 松尾 例えば、「儲ければいいんだ」と意気込み、(1)最初から固定費をかける、「頑張って売ればいい」と(2)在庫を大量に抱える、後から頑張って代金を回収しようとして(3)キャッシュフローがまずくなる、冷静さを失っているので(4)リスク管理がおろそかになる、大借金を背負ってしまい(5)社会復帰できないほどの致命傷を負ってしまう。 ――成功の逆ですから、失敗する5大ルールになってしまうわけですね。 松尾 そうです。ところが、満員電車に乗りたくないとか、無能な上司の下にいたくないとか、嫌な取引先にペコペコしたくない、もっと言えばリストラされた、会社が倒産した......。そういう後ろ向きな理由で会社を辞める人は、ある意味、挫折経験者なので、起業しても変な野望を持つこともありません。そこそこ稼げればいい、ほどほどでいいと思っているから、逆に手堅くビジネスを展開できるのです。 ――そんな後ろ向きの人にコンサル起業がオススメな理由は? 松尾 コンサルと言うと、みなさん経営コンサルタントをイメージしますが、私がすすめているのはプチ・コンサルです。誰でも人に何か相談された経験があるはずです。誰かが自分に相談してきたということは、その分野については他人から詳しいと評価されているわけです。だったら、後はお金を頂くかどうかの違いだけ。昔からいるお見合いばあさんも結婚コンサル、ちょっとパソコンに詳しければパソコンコンサル、秋葉原のオタクもみんなコンサルになれます。 ――でも、クライアント(顧客)はどうやって見つければいいのですか? 松尾 立ち位置を変えればいいんです。多くの人は、そのジャンルのトップクラスに立たないと、人にモノを教えてはいけない......と勘違いしています。でも、考えてみてください。自動車教習所の教官は、F1ドライバーより運転がうまいですか? 下手ですよね。それでも、お客さんが免許を持ってない人なら運転を教えることができます。パソコンに詳しくても、若者を対象にしていたらお金は取れません。でも、中高年や老人を対象にすればお金が頂けます。秋葉原のオタクも、秋葉原に行ったことがない地方の若者を対象にすれば、ガイドとしてお金が頂ける。あるジャンルを一つの三角形としたら、その三角形の外と下に向けて情報を発信すれば、お金は頂けるのです。 ――コンサル起業は成功のルールにかなっているのでしょうか? 松尾 先ほどの5大ルールをすべてクリアしています。自分一人で、自宅で始められるので(1)固定費がかからない。商品は知識やノウハウだから(2)在庫がない。『私は前金でやらせていただいています』と言えば(3)キャッシュフローも健全。自分一人でやってることだから、当然(4)リスク管理は自分でできる。初期投資に1円もかからないので(5)事業が失敗しても致命傷を負いません。どうです? 5つすべてクリアしているでしょう? ――とはいえ、自分にできるだろうか? と悩む人も多いと思います。 松尾 今は、百貨店が潰れても味噌ラーメン専門店が生き残る細分化の時代です。ならば、コンサルのネタは細かければ細かいほどいい。ということは、何でもコンサルのネタになる時代なわけです。本当は誰でも人に教えられるネタを持っています。でも、自分のセールスポイントは自分では気づきにくいもの。過去に人によく相談される(た)コンテンツはないか、また、親しい友人や会社の同僚、家族などに「自分に何か教わりたいことがある?」みたいな質問をしてみてください。それでも見つからなければ、私のようなコンサルに相談するのもひとつの手です。誰でも絶対にお金を頂けるコンサルネタは持ってますから。 ***  国も企業も頼りにならない、お先真っ暗社会。プチ・コンサル起業は、個人が生き残っていくための、一筋の光明になるのか!? (文=山根洋士) ●まつお・あきひと ネクストサービス(株)代表取締役、起業コンサルタント、セミナープロデューサー。その他大勢から抜け出したい、士業・各種コンサルタント・起業家をトータルで支援する戦略プロデューサー兼コンサルタント。主な著書に『誰にでもできる「セミナー講師」になって稼ぐ法』(同文館出版)、『絶対の自信をつくる3分間トレーニング』(あさ出版)など。
コンサルタントになっていきなり年収650万円を稼ぐ法 やっちゃおうかな。 amazon_associate_logo.jpg
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