
『それでも三月は、また』(講談社)
芽が吹き、風が花粉を運び、三寒四温で春が訪れる。昨年の今ごろは、計画停電により都市が暗闇に包まれ、スーパーでは欠品が相次ぎ、みな福島第一原発の行く末を注視していた。われわれは3月が来るたび、津波の惨劇とあの騒然とした日々を思い出すのだろう。
日本を代表する作家たちは3.11後の世界をどう見たのだろうか。『それでも三月は、また』(講談社)は、国内外の作家や詩人が“あの日”について書いたアンソロジーだ。谷川俊太郎、多和田葉子、重松清、小川洋子、川上弘美、川上未映子、いしいしんじ、J.D.マクラッチー、池澤夏樹、角田光代、古川日出男、明川哲也、バリー・ユアグロー、佐伯一麦、阿部和重、村上龍、デイヴィッド・ピースが名を連ねる豪華な一冊となっている。掲載された作品の多くが書き下ろしで、日本・アメリカ・イギリス同時刊行と、非常に力の入った企画であることがうかがえる。
同じ主題を扱っているが、内容は書き手により大きく異なっている。それぞれの作家の技巧を読み比べられることが、この本の魅力のひとつだといえる。3月からの雑感をエッセー風に仕立てた村上龍の『ユーカリの小さな葉』や、デビュー作『神様』を震災後の世界に移してリライトした川上弘美の『神様2011』、各家庭に支給されるという配給用の箱をファンタジー調に描いた、ドリアン助川こと明川哲也の『箱のはなし』など、年齢も立ち場も異なった作家が違ったアプローチで震災以後をとらえており、それぞれに味わい深い。
中でも、日本在住のイギリス人作家・デイヴィッド・ピースの『惨事のあと、惨事のまえ』が白眉だ。関東大震災のさなかの芥川龍之介を主人公に描いた掌編で、下町の火災による焼死体、軍隊・警官・自警団が警戒する物々しい雰囲気、在日朝鮮人の虐殺に対する憤りなど、当時の混乱を克明に描写している。
「惨事のあと、公の記録は関東大震災はリヒター・スケールでマグニチュード七・九、(中略)龍之介は公の記録を信じなかった。龍之介はこの地震が収まることなどないと信じていた。惨事はこれからやってくるのだと信じていた。」(本文より)
此度の東日本大震災でも、惨事はいまだ続いている。3.11にまつわる物語もまた、いまだ終わっていないのだ。それでも、来年も再来年も3月はまたやってきて、記憶もだんだんと遠ざかっていくだろう。そんなとき『それでも三月は、また』のページを繰れば、いつだって“あの3月”が思い出されるのだ。
(文=平野遼)
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SKE48"二次元同好会"初の公式フォトブックが発売決定!
松井玲奈、高柳明音らをはじめとするSKE48のマンガやアニメ、ゲームなどの"二次元作品好き"メンバー13名が所属する「二次元同好会」。そんな 彼女たちに密着したフォトブックの発売が決定しました!放課後の活動の風景を覗き見できちゃいます!
放課後の活動風景から、月刊誌「サイゾー」に連載の「大人のための二次元講座」で披露したコスプレの秘蔵カット、会長・秦佐和子、副会長・松井玲奈を筆頭にした全会員(13名)名簿、二次元業界のアノ人とのスペシャル対談まで! 彼女たちの“二次元愛”がつまった内容となっています! <タイトル> SKE48「放課後、二次元同好会」 <参加メンバー> 会長/秦佐和子 副会長/松井玲奈 会員No.3/矢神久美 会員No.4/平松可奈子 会員No.5/古川愛李 会員No.6/高柳明音 会員No.7/井口栞里 会員No.8/松井珠理奈 会員No.9/若林倫香 会員No.10/加藤るみ 会員No.11/木﨑ゆりあ 会員No.12/矢方美紀 会員No.22/中西優香 <発売日> 2012年4月20日(金) ※Amazon にて予約受付中! <発売場所> 全国の書店、ネットショップ等 <発売元> サイゾー <価格> 1500円(+税)/オールカラー144ページ <特典> 全会員の“喜怒哀楽”生写真1枚をランダム封入!(全 39種類)二次元に萌えるメンバーたちに萌えます!
SKE48『放課後、二次元同好会』 ここまでのデレデレ姿、他では見れませんよ!
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放課後の活動の風景を覗き見できちゃいます!
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会長/秦佐和子
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全国の書店、ネットショップ等
<発売元>
サイゾー
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1500円(+税)/オールカラー144ページ
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「原発がどんなものか知ってほしい」ネット上を浮遊する原発現場監督の遺言

『福島原発 現場監督の遺言』(講談社)
「原発がどんなものか知ってほしい」というタイトルのテキストがネット上に出回っている(http://www.iam-t.jp/HIRAI/)。
さまざまなサイトに転載されているこのテキストは、現場監督として原発に携わってきた一級プラント配管技能士・平井憲夫氏の講演録だ。1997年、58歳の若さで亡くなった平井氏。しかし、このテキストだけが独り歩きし、これまでネットの世界で生き延びてきた。
そんな平井氏とともに、原発を取材してきたのが『福島原発 現場監督の遺言』(講談社)を刊行したジャーナリストの恩田勝亘だ。本書は、生前に行われた平井氏との取材の様子や、平井氏が遺した言葉などから、原発の現場が抱える構造的な問題を浮かび上がらせる。
恩田と平井氏の出会いは86年。折しも、チェルノブイリ事故が起こるほんの数カ月前のことだった。きっかけは当時、恩田が在籍していた「週刊現代」(講談社)編集部に平井が電話をかけてきたこと。かねてから原発問題を追いかけていた恩田が平井氏の口から耳にしたのは、隠蔽された「大量被曝事故」の存在だった……。
ある日の作業終了後、突然、放射線管理者からホールボディカウンター検査を受けるように指示された平井氏のチーム。平均1,000カウント/分程度の結果となるところ、ある一人の作業員が出した数値は52万カウント。以降、彼は放射線管理区域に入る仕事から外されたものの、身体のだるさや歯茎からの出血、吐き気など、被曝症状に悩まされたという。この事故は、「週刊現代」が報道するまで、まったく世間に知られることがないまま闇に葬られようとしていた。
平井氏の証言や恩田の追及から判明する原発の姿は、にわかには信じがたい。
「原発へ来て驚いたのは、何といっても技術レベルの低さです。とにかく質が悪い」(平井氏/本文より)
電力会社からは作業員1人あたり8万円/日の報酬が支払われていても、四次、五次まで回される下請けの職人に対する日当はわずか8,000円から1万円。許容される放射線量をオーバーすると作業に従事することができなくなってしまうことから、腕のよい職人は集まらず、職人たちの技術的な習熟もない。また、年間許容量をオーバーし、仕事を失ってしまうことを恐れ、職人たちの間では虚偽の放射線被曝量を申告することが常態化している。平井氏自身も自身が浴びた放射線量の記録を改ざんして、「許容範囲内」の線量を獲得し、作業を行っていたという。
さらに、工事のチェック体制にも問題があると指摘する平井氏。
「検査の大部分は、実際には業者が行っています。発電設備技術検査協会の人、ましてや通産省の検査官は、大部分業者がやった検査で検査の過程は一切見ずに、結果だけを見に来るか、書類だけの検査です」
「工事の業者は買い叩かれ、納期に追われ、で良心的にやろうとしても、どうしてもある程度のごまかしをせざるを得ません。ましてや原発では上は現場のことを理解せず、責任も取りませんし、設計者すら現場に来ない、他の業者との連携もない、工法も時代遅れで不合理、作業員は素人、監督は線量の限界があって完全には現場を監督できないという悪条件が重なっています」(平井氏/本文より)
その結果、看過できない事故は頻発している。本書で例として挙げられるのは、チェルノブイリ目前だったといわれる2つの事故だ。89年福島第二原発3号機で起こった事故では、圧力容器内の水を循環させるポンプの金属片30キロが破損、その一部が炉内に侵入した。その事故はあわや燃料棒や炉内を傷つけ冷却水喪失という大事故を誘発しかねないものだった。また、91年には美浜原発2号機で配管のギロチン破断事故が起こった。この事故によって、一次冷却水が漏れ出し、700万ベクレルの放射能が海へ、90億ベクレルが大気中へと放出された。さらに、冷却水を失ったことによって空焚き状態となった原子炉。手動で緊急炉心冷却装置を作動させたことで、危うく難を逃れたものの「あと0.7秒遅かったらまるっきりチェルノブイリ」という超緊急事態だった。
これらのような大事故のみならず、小規模な事故も数多く発生している。しかし、少なくない数の事故は発表されることがないまま忘れられていくという。これまで数多く指摘されているように、電力会社が隠蔽工作を行うから、だけではない。納期に追われる下請け会社が、事故の存在を電力会社に報告せず、現場レベルでもみ消すということもあるのだ。
「原発の事故の発表というのは、隠せないくらい大きな事故か、少々発表されても問題はない事故が発表されるわけで、その中間が発表されていないのと、それから業者サイドで黙っているのも多いです。(略)不都合なことがあったという場合には、電力会社にわからないように直してしまうんです。(略)だから、電力会社が知らない事故も非常に多いんですよね」(平井氏/本文より)
本書が告発する原発の姿は、にわかには信じがたいものばかりだ。僕は、震災前に、「原発がどんなものか知ってほしい」を偶然発見したとき、その内容を信じることができなかった。そこに描かれる仕事ぶりは「原発」というイメージからはあまりにもかけ離れたずさん過ぎるものだったため、逆に「アンチ原発派による恣意的な文章なのではないか」と疑った。まさか、「原子力」などという最先端かつ危険なものを取扱っている現場に、このようなずさんな工事があるはずがない。だが、福島第一原発事故以降の東電や政府の対応を見ていると、どちらが本当のことを語っているかは自ずとわかってくる。
これまで日本社会には、平井の言葉に耳を傾ける者はほとんどいなかった。そして、福島第一原発事故は発生した。
電力需要がピークを迎える夏までに、政府や電力会社、産業界は原発の再稼働をさせたい考えだ。平井の死から15年、今こそ、その恐ろしい遺言を真摯に受け止める時なのではないだろうか。今からでもまだ遅くはない。
(文=萩原雄太)
●おんだ・かつのぶ
1943年、島根県生まれ。法政大学卒。71年より「週刊現代」(講談社)記者としてチェルノブイリ事故など原発関連の記事を取材、執筆。評論家・内橋克人氏による同誌連載企画「原発が来た町」(1982年)のスタッフライターとして各地の原発立地地域や予定地を取材した。著書に『原発に子孫の命は売れない』『東京電力・帝国の暗黒』(以上、七つ森書館)などがある。
第一線で活躍する著名人が語る『わたしが子どもだったころ』
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わたしが子どもだったころ イチ!
平和な世の中でした。

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『わたしが子どもだったころ イチ!』
(ポプラ社)
「5歳上の兄貴は勉強ができたんですけれども、『1+1はなんで2や?』って、聞いたんですよ。そしたら、ものも言わんと殴りましたね」
「いちいち『なんでやろ?』と考えてしまうから、九九も覚えられない。いまでも六の段からあとは言えません」
これは、NHKの大人気番組『わたしが子どもだったころ』内で謎に包まれた凄腕スナイパー『ゴルゴ13』ことデューク東郷の生みの親、漫画家のさいとう・たかを氏が語った一幕。
今回紹介する『わたしが子どもだったころ イチ!』(ポプラ社)は、この番組を書籍化したものだ。これまで番組に出演した人の中から13名を厳選(全3巻あり、全39名が登場予定)し、一人ひとりの話を本人の語り口調そのままにまとめている。
この番組では、学問・スポーツ・音楽・演劇・文学などさまざまな分野の第一線で活躍している人の子ども時代のエピソードや、将来を方向づけた強烈な原体験を本人の語りと再現ドラマで描いてきたのだが、その内容はどれもものすごく濃い。
本になってもその濃密さは保たれ、ページをめくる度、「えぇっ、そんなことってあるの?」「子どもの時にそんな風に考えてたの?」の連続で、自分はなんと平凡な子どもだったのかと驚かされる。
たとえば、「大人計画」主宰・松尾スズキ氏は小学3年生のころ、「自分がいましゃべっている言葉も行動も、神様にすべて決定されている」という、大いなる妄想にかられていた。給食の時間、パンを手に取るふりをして牛乳を飲んだりと、四六時中、神様の裏をかいて生活する毎日。
また、映画監督の押井守氏は大学生のころ、学生運動に参加していた。ある日、父親に「出かけるぞ」と言われ、実家の東京都大田区から山梨県北東部にある大菩薩峠の山小屋に連れて行かれ、そのまま軟禁。
ジャズの鬼才・菊地成孔氏は、生まれも育ちも千葉県銚子市の歓楽街ど真ん中。両親は食堂を営んでいて、7歳から2年間、「昼の定食」をストリップ小屋の楽屋へ届けていた。そこで働く踊り子に抱きしめられたり、身体を触られたり、口紅を塗りたくられたり。何をされても黙ったまま表情ひとつ変えなかったので、お人形さんのようにかわいがられ……。
こんな風に、彼らの子どものころの考え方や家族、生まれ育った環境などに関するちょっと変わった話が、次から次へと飛び出してくる。
それにしても、この本を読むと「あぁ、この人はこうやって育ったから今があるのか」と妙に納得し、不思議なほど惹きつけられてしまう。
本書に出てくる著名人はこのほか、よしもとばなな氏、高橋ジョージ氏、荒俣宏氏、映画美術監督の種田陽平氏、世界最高齢の『ミシュランガイド』三ツ星料理人の小野二郎氏ほか、ともかく濃いエピソードを語る面々ばかり。
1925~1964年生まれと比較的年齢層が高めで、彼らが生まれた時は日本がまだ戦争中であったり学生運動が盛んであったり、ひどく勝手な大人の「ルール」に従うしかなかったという背景もある。
その中で自分の強烈な個性を生かし、「勉強ができなくたって、大人にほめられなくたっていい」と前に進み、今に至っている。
「自分は自分」――。そんな彼らの生き方に、心揺さぶられる。
(文=上浦未来)
第一線で活躍する著名人が語る『わたしが子どもだったころ』

『わたしが子どもだったころ イチ!』
(ポプラ社)
「5歳上の兄貴は勉強ができたんですけれども、『1+1はなんで2や?』って、聞いたんですよ。そしたら、ものも言わんと殴りましたね」
「いちいち『なんでやろ?』と考えてしまうから、九九も覚えられない。いまでも六の段からあとは言えません」
これは、NHKの大人気番組『わたしが子どもだったころ』内で謎に包まれた凄腕スナイパー『ゴルゴ13』ことデューク東郷の生みの親、漫画家のさいとう・たかを氏が語った一幕。
今回紹介する『わたしが子どもだったころ イチ!』(ポプラ社)は、この番組を書籍化したものだ。これまで番組に出演した人の中から13名を厳選(全3巻あり、全39名が登場予定)し、一人ひとりの話を本人の語り口調そのままにまとめている。
この番組では、学問・スポーツ・音楽・演劇・文学などさまざまな分野の第一線で活躍している人の子ども時代のエピソードや、将来を方向づけた強烈な原体験を本人の語りと再現ドラマで描いてきたのだが、その内容はどれもものすごく濃い。
本になってもその濃密さは保たれ、ページをめくる度、「えぇっ、そんなことってあるの?」「子どもの時にそんな風に考えてたの?」の連続で、自分はなんと平凡な子どもだったのかと驚かされる。
たとえば、「大人計画」主宰・松尾スズキ氏は小学3年生のころ、「自分がいましゃべっている言葉も行動も、神様にすべて決定されている」という、大いなる妄想にかられていた。給食の時間、パンを手に取るふりをして牛乳を飲んだりと、四六時中、神様の裏をかいて生活する毎日。
また、映画監督の押井守氏は大学生のころ、学生運動に参加していた。ある日、父親に「出かけるぞ」と言われ、実家の東京都大田区から山梨県北東部にある大菩薩峠の山小屋に連れて行かれ、そのまま軟禁。
ジャズの鬼才・菊地成孔氏は、生まれも育ちも千葉県銚子市の歓楽街ど真ん中。両親は食堂を営んでいて、7歳から2年間、「昼の定食」をストリップ小屋の楽屋へ届けていた。そこで働く踊り子に抱きしめられたり、身体を触られたり、口紅を塗りたくられたり。何をされても黙ったまま表情ひとつ変えなかったので、お人形さんのようにかわいがられ……。
こんな風に、彼らの子どものころの考え方や家族、生まれ育った環境などに関するちょっと変わった話が、次から次へと飛び出してくる。
それにしても、この本を読むと「あぁ、この人はこうやって育ったから今があるのか」と妙に納得し、不思議なほど惹きつけられてしまう。
本書に出てくる著名人はこのほか、よしもとばなな氏、高橋ジョージ氏、荒俣宏氏、映画美術監督の種田陽平氏、世界最高齢の『ミシュランガイド』三ツ星料理人の小野二郎氏ほか、ともかく濃いエピソードを語る面々ばかり。
1925~1964年生まれと比較的年齢層が高めで、彼らが生まれた時は日本がまだ戦争中であったり学生運動が盛んであったり、ひどく勝手な大人の「ルール」に従うしかなかったという背景もある。
その中で自分の強烈な個性を生かし、「勉強ができなくたって、大人にほめられなくたっていい」と前に進み、今に至っている。
「自分は自分」――。そんな彼らの生き方に、心揺さぶられる。
(文=上浦未来)
あの“スカトロ教授”が「ミミズへのラブレター」を書籍化!?
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教授とミミズのエコ生活 または私は如何にして心配するのを止めてミミズを愛するようになったか
「もしも哲学者がミミズにハマったら?」――。12年前に開始された独りきりのエコ生活の顛末を徹底リポート。章ごとに繰り出される哲学的アフォリズムと、バカバカしくも狂おしいほどにせつないミミズ愛!! 数万匹のミミズとの生活はいったいどこへ向かうのか?
発売/三五館 価格/1,470 円

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『教授とミミズのエコ生活』(三五館)
狂おしいほどの“スカトロ愛”を「月刊サイゾー」本誌で訴え続けてきたあの大学教授が、今度は“ミミズ愛”を叫ぶ!?
……と書くと、何やら怪しげなドロドログチョグチョなものを想像してしまうだろうが、さにあらず。2012年2月に刊行された三浦俊彦氏の新著『教授とミミズのエコ生活』(三五館)は、いたってマジメ(?)な“ミミズ飼育記”だ。哲学者である著者が、自宅に太陽光発電パネルを設置したのを機に、「大地でもエコっぽいことを」と、ミミズによる生ごみ処理システムである「ミミズコンポスト」(約2万匹まで増える屋外用のキャノワームと、数千匹程度飼育できる室内用のミミポットとがある)を導入し、その維持・管理にハマる日々を詳細につづったものである。
その過程で同氏は、ミミズで生ゴミを処理して有機肥料を作るという本来の目的を早々に放棄して、ミミズのために「サトウのごはん」を丸ごと投入したり、生ゴミをわざと過剰に出したりと、ミミズを飼うこと自体が目的化するという本末転倒な状態に陥り、ついには東日本大震災発生時に真っ先にその心配をするほどミミズを愛するようになっていく。そして、ある日唐突に訪れるミミズの大絶滅……。
三浦氏といえば、美学・論理学を専攻する現役の女子大教授であり、芥川賞候補に3度も挙げられた才気あふれる作家であり、自著の装丁画を自ら手がける芸術家でもあるという才人だ。これまでに取材で何度か訪れたあの邸宅で、12年もの間、数万匹単位のミミズが人知れず暮らしていたとは! 早速、都内某所のお宅を訪問し、ことの次第を聞いてみた。

自宅地下にある、室内用の「ミミポット」
をほじくり返し、愛しのミミズちゃんを手の
ひらに載せる三浦氏。
「もともとエコ意識は高いほうだったんですよ。熱帯雨林が伐採によって激減してる話なんかを聞くといたたまれなくなるし。それに、サプリメントが好きなことと通ずる点もあるんです。サプリメントの中には化学合成したものもたくさんあるけど、僕は基本的に天然素材を寄せ集めてなんとか効果を出そうという自然食品系のものにしか興味ないですからね」
そう、三浦氏は、1日3食をカップ麺で済ませ、足りない栄養を300錠の錠剤で補う重度のサプリメントオタクであり、烏龍茶の340mL缶のみを蒐集して自宅リビングの一番目立つ飾り棚に陳列する好事家であり、そして何より、自称日本一のスカトロAVマニアであるというヘンタ……いやいや、まさに哲学者の鑑というべき柔軟で鋭利な頭脳の持ち主なのだ。
「それに、本当の『美』とは、ダイエットや整形など、人間の意志で自然を矯正、改造したものにではなく、八重歯とかガミースマイル(歯ぐきの大きく露出する表情)とか、偶然生まれ持ったものにこそ宿ると考えています」

自宅の庭にある、屋外用の「キャノ
ワーム」を分解する三浦氏。こちら
のミミズちゃんは、現在ほとんど
壊滅状態……。
それが自然の産物であるミミズへの愛にもつながったと。では、ミミズを飼ったことによって、なんらかの哲学的な発見は?
「たとえば、ミミズコンポストは、投入する生ゴミの種類のちょっとした違いなどによって、表面的にはわからなくても、内部でいとも簡単に大絶滅が起きてしまう。それから、小バエは台所に放置した生ゴミにはほとんど湧かないのに、ミミズを入れた飼育箱には大発生する。人間の観点からは、あるいは飼育箱の体積からいえば、ミミズの存在などほんの“微差”に過ぎないのに、小バエの世界にとっては大問題なわけです。そういう事実を目の当たりにして、『やっぱり世の中の表層構造と深層構造は大違いなんだなあ』ということを痛感しましたね」
なんとも深遠な思索であるが、われわれ凡俗な人間の観点からすれば、家の中にミミズが何万匹もいるということ自体大問題なのだが……。ミミズを飼うことで、アニマルセラピーや子どもの情操教育に役立つとか、何か得られるものは?
「うーん、その点では、きめ細かな反応の得られる犬猫のほうがはるかに有意義でしょうね。しかもあっという間に全滅するので、生命の尊さを学べるどころか、逆に『どうせすぐ死ぬじゃん』みたいに死に対する感覚が鈍麻して、生命に対する軽視を生みそうです。処理できる生ゴミの量もたかが知れてるし、要するに実用的側面はまったくないということですね。でも、ミミズはホントにかわいいですよ」
……なんだか身も蓋もないオチになってしまったが、ムシ好きな人、逆にムシ嫌い克服のきっかけを得たい人、エコに関心のある人などなど、この本を手に取る人々それぞれの欲求に対して、決してストレートな回答を与えてはくれないのが本書のキモ。単純なエコ礼賛本や飼育実用書には到底望めない、哲学的な奥行きとエンターテインメント性の高さが、読者を惹き込む魅力となっているのだ。三浦ファンならずとも必読の1冊である。
●みうら・としひこ
1959年、長野県生まれ。東京大学文学部美学芸術学科卒業後、同大学院総合文化研究科比較文学比較文化専門課程修了。現在は和洋女子大学教授。美学、論理学の研究のかたわら、90年には小説家デビューし、『これは餡パンではない』(河出書房新社)などで芥川賞候補3回。『のぞき学原論』(三五館)で、スカトロAVのマニアであることが判明。『論理パラドクス―論証力を磨く99問』『論理サバイバル―議論力を鍛える108問』(共に二見書房)など著作多数。
「係になっただけです」石巻の英雄が語る“ドラマがない”災害現場の実像

東日本大震災の中心被災地であり、3,000人以上が犠牲となった宮城県石巻市。この石巻の災害医療をリーダーとして支えた医師・石井正の活躍は広く報道された。一刻の猶予も許されないが、満足な医療設備も的確な情報も入らない。そんな中、石井医師の肩には石巻地域に住む20万人以上の人々の命がのしかかっていた。そのような過酷な状況をものともせず、石井医師は冷静な判断と迅速な行動によって多くの人々を救う――。
まさに英雄として活躍した彼が、この度『東日本大震災 石巻災害医療の全記録』(ブルーバックス)を上梓した。震災直後からの動きが生々しく記録されており、いつ起こるかわからない次の震災に対する備えともなる本書。はたして被災地の英雄は、どのようにしてこの未曾有の危機を乗り切ったのか?
――石井先生は東日本大震災発生直後から災害救護本部のリーダーとして、石巻を救う大活躍をされていました。いったい、震災の発生後どれくらい働き詰めだったのでしょうか?
石井正医師(以下、石井) 3月11日に震災が起こり、最初に家に帰ったのは4月下旬。1カ月半は泊まり込みの状態が続きました。
――1カ月半も……。体力的には大丈夫だったんでしょうか? 本書の中には、過労で倒れてしまった医師のエピソードも紹介されていました。
石井 結構サボっていましたからね。
――?
石井 普段なら外科医としての業務がありますが、震災時は当直や診察などの業務は行っていません。きっちりと災害対応の仕事をする時間を与えてもらえました。
――いちばん過酷だった時期はいつ頃でしょうか?
石井 特にないですね……。僕自身、「どうにかしてやる!」と息巻くような熱血タイプではないんです。「係になった以上はベストを尽くそう」という感じですか。たまたま自分が立場にあったのでやっただけなんです。
――“お仕事”として淡々とこなしている印象ですね。一般にイメージされるようなパニックに見舞われた災害医療の現場とは、とても大きな開きがあるように思います。
石井 まず、外科医の業務と災害対応に求められることはとても似ているんです。外科医も手術中の不意の出血など予期しない事態に直面しながら、次々と判断を下していかなければいけません。それに、外科の経験から死体を見ても感情を支配されることもないんです。だから、運ばれてくる患者に対してパニックになることもない。僕じゃなくても、外科医ならば誰でもできるんじゃないでしょうか。
――震災前からかなり周到な準備をされていたことも、冷静に対応できた一因だったのでしょうか?
石井 そうですね。石巻市は1978年の宮城県沖地震(M7.4、死者28人、負傷者1万人あまり)を経験しています。東日本大震災の前から、30年以内に99%の確率で大地震が起こると言われていたんです。また、私の勤務する石巻日赤病院は、石巻医療圏で唯一の災害拠点病院です。もし何かあったら僕らでどうにかしないといけない。だから、震災に対して準備をしなければならない、というメンタルが保てたのではないかと思います。
――ただ、平時からそういった準備を周到に行うことはとても難しいことだと思います。周囲から反対されたり、「面倒くさい」と言われるようなことはなかったのでしょうか?
石井 誰も文句を言うような人はいませんでした。震災前に行っていたのは、5、6人の有志が集って週1回程度のマニュアル改訂会議です。そもそも、日赤病院は災害救護に対してとても熱心な病院。そういう下地もあって準備に支障はありませんでした。また、これは立川にある国立病院機構 災害医療センターの「全国災害拠点病院災害医療従事者研修会」で学んだことなんですが、担当者の名前を入れることでマニュアルを読む側の本気度が上がり、リアルなイメージが浮かびやすい。災害に備えてマニュアルを読もうという気持ちにもなるんです。
――それらの結果、冷静に淡々と対応ができたということですね。
石井 東日本大震災発生直後の石巻日赤病院の初動は、実に淡々としていました。怒号を飛ばしたりするような現場ではなく、みんな落ち着いて何かを書いていたり運んでいた。まるで訓練のようでしたね。
――そのような万全な状況があれば、冷静な対応も頷けます。ただ、未曾有の状況にさらされて、石井先生自身は感情的になったり、絶望することはなかったのでしょうか?
石井 3月17日の夜に見た光景は忘れられません。石巻市内は全域で停電状態。信号も泊まり、瓦礫とへどろで覆われた街並みが広がっていました。他に車や人もいなくて、物音ひとつしないとても静かな夜でした。この暗闇の中で何万人もの人々が、息をひそめながらじっと我慢している。そう考えると涙が出そうになりました。「なんとしてもこの人たちを助けなければ」と強く思ったんです。
――石井先生の中で最も印象に残っている言葉は何かありますか?
石井 石巻圏合同救護チームとして、医療者をまとめ上げるために県庁と東北大学に直訴に行ったんです。そこでダメと言われたら、石巻医療圏の救護がばらばらになるという危機でした。難航すると思われていたその交渉がOKになったんです。とてもうれしくて、僕は「勝った!」と喜んでいました。その時に、ブレーンとして本部に入っていた浜松医科大学の吉野篤人先生に呼ばれ、こう言われたんです。「災害救護の現場では“勝った”ではなく、“よかった”と言いなさい」。頭から冷水を浴びせられた気持ちになりました。
――確かに、災害医療に勝ち負けはありません。
石井 正直、その時は調子に乗っていたんですね。常に災害医療は被災者のためであり、勝ち負けや「俺がやった」といった功績の話ではありません。「勝った」という態度、「俺らはすごい」という態度は必ず足元を救われます。それ以降は、どんなにうまくいっても淡々と「ありがとうございます」と言うだけにとどめました。
――本書には、市や県の対応が、ポジティブに描かれていました。災害医療というと、役所の壁のようなものを想像していたのですが、そういった事態には直面しなかったのでしょうか?
石井 もちろん、行政に対して頭に来ることもありました。セクショナリズム、要望主義、縦割り……“壁”に対してしょっちゅうケンカをしていたんです。ただ、彼らもサボっているわけではない。平時をスムーズに運営するためにそういうシステムの中でやってきただけなんですね。だから妥協点を見いだして連携をすることができました。むしろ、現場を知らない外部の人が「行政がけしからん」と言う方がまずいのではないかと思います。ある地方から来た医師が、行政の担当者の目の前で「行政がダメ」と言ったんです。そうしたら僕らは「そんな事言うならお前がやってみろ」と大ゲンカになった。「この人をバカにするような言い方は許さない」とみんなでかばったんです。
――震災という大きな問題を目の前にして、行政か救護かということでいがみ合っていても仕方がありません。
石井 僕らも行政も、人々のためにどうにかしたいというマインドは共通なんです。彼らは決して敵ではないし、協働できる存在です。
――今回の震災で、石井先生が得た最も大きな教訓はなんでしょうか?
石井 1つは大規模な救護活動をするなら本部機能がしっかりしていないとどうしようもないということ。司令部がないと組織的な動きができず、好き勝手に救護班が入って効率的な活動ができない状態になります。また、災害現場の客観性を担保するためにはデータも必須ですし、通信機能も大切。この3つはどのような災害でも重要になると思います。
――もし次に震災が起こった場合、石井先生がリーダーであれば、被害者の数は減らせますか?
石井 被害者についてはなんとも言えませんが、今回の震災を踏まえて災害対応のバージョンは上がるはず。通信、本部、データを必須のものとし、具体的な対応については、状況によって判断するでしょうね。
(取材・文=萩原雄太[かもめマシーン])
●いしい・ただし
1963年、東京生まれ。89年東北大学医学部卒業。公立気仙沼総合病院研修医を経て、92年東北大学第二外科入局。2002年石巻赤十字病院第一外科部長。07年医療社会事業部長となり、外科勤務の傍ら災害医療の世界に足を踏み入れる。11年2月、宮城県より災害医療コーディネーターを委嘱された直後に東日本大震災を迎えた。







