「早くノーベル賞が欲しい」村上春樹が衝撃告白! 大川隆法の霊言本がますますアツい

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『大川隆法の守護霊霊言』(幸福の科学出版)
 いま書店に行くと、あの村上春樹のインタビュー本が平積みになっているのをご存じだろうか? メディア嫌いでめったに取材を受けない春樹が、ぶしつけな質問にも答えているのだ。  たとえば、毎年のように受賞かと騒がれるノーベル賞について問われ、 「私も、ノーベル賞が欲しいです。早く早く」――――。  なかなか本音を語らないといわれる春樹にしては、あけすけすぎるというか、俗物っぽすぎるというか……。一体、どうしちゃったのか? 実はこれ、春樹本人が語っているわけではない。この本、『村上春樹が売れる理由―深層意識の解剖』は、「幸福の科学」の教祖・大川隆法が、春樹の守護霊を自らに降ろして、信者たちの質問に答えたものなのだ。もちろん版元は幸福の科学出版である。  この春樹の守護霊、実にカネに卑しく人間くさいキャラ設定で、たとえば、著書が売れる理由を教えてくれという身もフタもない質問には、「“秘伝のタレ”みたいなものでしょう? 絶対、教えちゃいけない」と、ちまたの酔いどれオヤジのように返し、発売前に内容を明かさないプロモーションについて問われると、「ビニ本とほとんど一緒の状態ではあるけども、そのへんの期待感を上手に盛り上げるのも、マーケティングなんですよね」と、純文学の作家とは到底思えないゲスな返事をしている。  先ほどのノーベル賞についても、「私も、ノーベル賞が欲しいです。早く早く」「去年、取り損ねたな。あれは悔しい」「今年、もう一回、挑戦」と野心を丸出し。「歴史に名前が遺るのは私で、大川隆法のほうは消えます。私は、ノーベル賞を取って名前が遺ります」と、なぜか大川に対してライバル意識まで燃やしている。  また、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)の思わせぶりなタイトルについて信者から問われると、「まあ、『肩すかし』も、相撲の技としては通用するわけです。(中略)『やられた!』『くそー、外したなあ』というマゾ感覚で、読者が増えるんですよ」と居直ったり、『多崎つくる~』の版元である文藝春秋と幸福の科学が係争中であることを受け、「まあ、文藝春秋もベストセラーを出したくて、うずうずしていた。(中略)久々にベストヒットを打って、『損害賠償の賠償金が払える』と喜んでいるんじゃないかと思います。そういう意味では、ご協力申し上げているのではないかと、私は思うんですけどね」などと返答。春樹の作品論や作家性への言及はほとんどナシ、扱いは“マーケティングに成功した人”なのだ。  中でも最大の見どころは、「それで、大川さんみたいな人に、『ええかげんにせえ』と怒られるわけやけど」「思うたりもするんですけどねえ」などといった、“微妙な関西弁”がごくたまに登場する部分だ。関西出身ながら関西弁嫌いで知られる春樹だが、そんな彼の口からうっかり関西弁が出てしまうほどに本音を語っていることを表現しているのか、それとも徳島県出身の大川の素がついつい出ちゃったのか……真意はもちろん謎である。  この“大川隆法が有名人の守護霊を降ろしちゃった”シリーズ、いわゆる「霊言本」は、春樹だけに終わらない。8月には『風立ちぬ』が公開されたばかりの宮崎駿の守護霊を呼び出したインタビュー本『「宮崎駿アニメ映画」創作の真相に迫る』も発売。ここでは、幸福の科学が製作してきた映画について感想を求められた宮崎(の守護霊)が、「いい評価をしたら、お墨付きを与えたことになって、『宮崎ファンは、みんな、こっちを観に行きなさい』ということになるし、悪い評価をしたら、『喧嘩を売った』ということになって、君らは、また攻撃するんだろう? あ、これ(霊言収録)は、もうすでに攻撃だよ。“霊言集攻撃”だよ」と、幸福の科学の激しい抗議活動を揶揄する自虐ネタまで登場。  さらに、原発問題について問われた際には「まあ、あれを“有効利用”するんだったら、放射能がいっぱいの福島県に、われら老人を全員、全国からかき集めて、そこに住まわしたらいいよ。そうしたら、日本人の老人の平均寿命が縮んで、年金問題も解決するから」「原発の汚染水がたまってる所をプールにして、そのなかで泳いで回ったらいいんだよ。たっぷり浴びてもらえば、早く死ぬだろうよ」と、宮崎(しつこいですが守護霊です。念のため)がトンデモ発言を連発!  それに対し、原発推進派である幸福の科学信者から“電気が足りなくなる”などと追及され、「ちょっと、もう、問題が難しいから、やめてくれない? 私は政治家じゃないので」と、宮崎はやり込められてしまう……というオチがついていた。とにかくどんな人物でも、守護霊となると、とことん頭が悪い設定にされてしまうようである。もう気の毒としか言いようがない。  以前から幸福の科学出版では、天皇や歴史上の人物などの霊言本を出版してきた。しかし、最近は前出の春樹や宮崎にとどまらず、筑紫哲也に本多勝一、古舘伊知郎、池上彰といったジャーナリストから、ビートたけし、膳場貴子アナといった有名人の霊言本を続々と発表。とくに、ドラマ『ガリレオ』(フジテレビ系)の放映に合わせて『ガリレオの変心』というガリレオのインタビュー本を作ったり、8月には宮崎のほかに秋元康の守護霊にインタビューした『AKB48ヒットの秘密』を出版するなど、流行への丸乗り感は“すごい”の一言。そのうち「あまちゃん」や「半沢直樹」のインタビュー本も出しそうな勢いだ。しかも驚かされるのは、政治から芸能まで、これだけ早いペースで流行に合わせて本を量産している点。この力を生かせば、大川はコント作家としても成功しそうだ。  また、春樹や宮崎に対しても、とりあえず政治的な議論をふっかけ論破するというスタイルをとっているが、もはや布教や政治性は主題ではなく、完全にネタ化しているのも見逃せない。参院選前日に出版された福島瑞穂の霊言本『そして誰もいなくなった』などは、タイトルからして大喜利状態である。さらに、YouTubeには、霊を降ろしていると思われる大川がインタビューに応じる姿が公開されているが、それだけ見るとクオリティの低いモノマネ。これを信者はどんな気持ちで見ているのだろう……。  それにしても、これだけ勝手に発言を作られ、勝手に写真まで使われているのに、大川に守護霊を降ろされてしまった人たちは、なぜ名誉毀損や肖像権侵害で訴えたりしないのだろうか? やはり幸福の科学の抗議がめんどくさいからなのだろうか? そう考えると、幸福の科学とはつくづく最強である。 (文=和田実)

裏・国民食! うまい棒のすべてがわかる『やおきん公認うまい棒大百科』

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『やおきん公認うまい棒大百科 』(河出書房新社)
 熱烈なファンが多い、うまい棒のすべてがわかる本『やおきん公認うまい棒大百科 』(河出書房新社)がついに出た!!  うまい棒といえば、1979年の発売以降、爆発的な人気を誇り、裏・国民食といっても過言ではない“キング・オブ・駄菓子”だ。一度聞いたら忘れられない、シンプル極まりない直球のネーミング。昔からずっと変わらぬレトロなパッケージに、ちょっと小腹がすいた時に片手で気軽に食べられるあのサイズ。そしてなんといっても、発売当初から揺らぐことのない、1本10円という値段。この不景気に、スゴイではないか。  もちろん私も小学生の頃から大好きで、テリヤキバーガー味をずっと偏愛している。超定番のチーズ味に、やさいサラダ味、めんたい味に、最近はなっとう味まで発売され、たまには冒険してみようと思うのだが、結局、同じものばかりを選んでしまう。おそらく日刊サイゾー読者の多くも、お気に入りの味があったり、子どもの頃の思い出や情景なんかが、ふっと出てきたりするのではないだろうか。  そんな長年にわたり愛され続けるうまい棒には、強烈なファンが存在する。この本が面白のは、「うまい棒同盟」が監修していて、販売元の「やおきん」はあくまで“公認”という立場なことだ。「うまい棒同盟」とは、うまい棒好きの管理人が立ち上げたウェブサイトの名前であり、管理人はいってみれば、ただのファン。この管理人氏の詳細は謎だが、誰よりもうまい棒を愛し、うまい棒の奥深さを知り尽くし、その愛ゆえに、やおきん公認のウェブサイトとなり、この本を監修するまでに至っている。ちなみに、パッケージに描かれている、飛び出さんばかりの元気なキャラクター「うまえもん」の名づけ親でもある。  本書では、これまでに発売されたうまい棒の紹介、うまい棒の歴史、うまい棒を知る上での最重要人物が語るうまい棒誕生秘話、トリビアなどに加え、うまい棒好きの森永卓郎氏へのインタビューや、作家の角田光代氏のエッセイまでもが掲載され、読み応えたっぷり!  「この頃、何かと企業の商品本がいろいろ出ているが、これは宣伝ではなく、どのページをめくっても、純粋なうまい棒へのあふれんばかりの愛が感じられる。うまい棒は国宝です」(うまい棒同盟HPより)  あー、無性に食べたくなってきた! (文=上浦未来)

【サイゾーの新刊】天皇・宗教・差別・人権……と学会が日本のタブーに挑んだ「トンデモ本」シリーズの新境地誕生!

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『タブーすぎるトンデモ本の世界』
 と学会の新刊が出た。『タブーすぎるトンデモ本の世界』。いわゆる、メディアではタブーとされるテーマに触れた、それでいてトンデモな本ばかり集めた内容だという。  タブーといえば、触れてはいけない、批判してはいけないもの。それを、ギャグのネタに?……死ぬ気か! タブーとはそういうものである。  私がタブーと聞いて思い浮かぶのは、天皇制と被差別問題とヤクザぐらいだが、どれも批判しようものなら、怖い電話がかかってきたり東京湾に沈められたり、と触らぬ神に祟りなしだ。ところが、この『タブーすぎるトンデモ本の世界』で、と学会は日本のタブーというタブーを、いつもの調子で笑い飛ばしてしまったのだ。大丈夫か、と学会?  本書が扱うタブーは、皇室、宗教、人権問題などはもちろん、大川隆法が呼び出す霊言からキリスト教の浣腸健康法、北朝鮮の殺人教育アニメから石原慎太郎の性教育、オスプレイのウソにUFOが映ったアダルトビデオ……毎度毎度、よくもまあこれだけ変な本や映画を見つけてくると感心する。  トンデモない珍説奇説を笑い飛ばす精神は健在ではあるのだけど、本書で紹介する本の内容をみると、何がタブーなのか、よくわからなくなってしまう。天皇制をギャグにすると右翼が飛んでくる、だから批判できない。だったら「幸福の科学」総裁、大川隆法氏が明治天皇の霊を呼び出した本はいいのか? ──それでは明治天皇の御霊言を賜りたいと思います。 明治天皇 明治です。 (『明治天皇・昭和天皇の霊言』幸福の科学出版)  大川氏自らに明治天皇の霊を憑依させ、その第一声が「明治です」。こんなことが許される日本に、本当に“菊のタブー”なんてあるのか?  それどころか、存命の今上天皇や雅子さまの守護霊にインタビューした本も出版されていて、『タブーすぎるトンデモ本の世界』でも紹介されている。この存命の人の守護霊にインタビューするシリーズは、その後も村上春樹、宮崎駿、秋元康と続々と刊行されている。タブーも何もあったもんじゃないね。まさにやりたい放題である。  マンガなどの表現規制を推進し、タブーを拡大させる石原慎太郎氏だが、かつて自分の書いた性教育本『真実の性教育』(光文社)では、「日本の現代の文化を論ずるひとつの指標に、ポルノの解禁是か非かを云々することは、笑止な沙汰でしかない」と述べている。都議会で是か非かやったのは石原氏だろうに。  タブーをタブーとして奉る側が、タブーの対象をギャグにしてしまう倒錯。その向こうに見えてくるタブーの正体は、思い込みと我田引水の小さなエゴの王国だ。  知らぬままに恐れているタブーが、実は恐れるに足らない、矮小なものであることを本書は笑いに包んで教えてくれるのだ。  それにしてもキリスト教。本書の第一章に詳しいが、悪魔が宿便に宿るなんて……勉強になりました! ハレルヤ、浣腸! (文=コタロー) ■目次 第1章 皇室・神様・新宗教等にまつわるトンデモ本 第2章 右翼・左翼・任侠・人権問題等を扱ったトンデモ作品 第3章 医療と食を扱ったトンデモ本 第4章 政治・時事・差別問題を扱ったトンデモ本・映画 第5章 芸能界・文壇・オカルトのトンデモ本 <コラム> ・皇室をめぐるトンデモ説 ・嫌韓レイシストたちの奇妙な世界 ・オススメのサンカ本 ・トンデモ放射能デマの世界 ・猟奇と佐藤春夫――昭和5年のタブー ・フリーメイソン・おススメ本50連発

国旗の数だけ存在する意外な歴史に大興奮!『国旗 その“隠された意味”に驚く本』

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『国旗 その“隠された意味”に驚く本』(河出書房新書)
 じっくりと世界の国旗を眺めたことはあるだろうか? 運動会の時になぜか必ず飾られていたり、地図帳にずらーっと並んでいるのを見て、“世界にはいろんな国があるんだなぁ!”なんて、なんとなくワクワクした記憶はあるのだが、それぞれの国旗がいったい何を意味しているのかまでは考えたことがなかった。  『国旗 その“隠された意味”に驚く本』(河出書房新書)は、約140カ国の国旗について、色使いや模様、その知られざる意味、国旗が誕生するまでの背景がまとめられた1冊だ。  例えば、ブラジル。緑と黄と青の3色で、中央に地球らしきものがあり、星もあったような……とぼんやりと思い浮かぶが、本書の解説もよると、背景の緑は森林を表し、中央の黄色いひし形は鉱山物質、地球のような青い円は天体。天体を横断するようにかかる白い帯は、アマゾン河を表しているという。さらによく見ると、この白い帯の中にはポルトガル語で「ORDEM E PROGRESSO」(秩序と進歩)という哲学者オーギュスト・コントの言葉が書かれている。また、無造作に散りばめられたようにも感じられる星は、こいぬ座をはじめとする9つの星座を表しているという。  さらにインドの国旗を見てみると、サフラン、白、緑の横3色の中央に丸い紋様が配されている。これには宗教的な意味合いが込められており、サフランはヒンドゥー教、緑はイスラム教、白は2宗教の和解とほかの宗教を表す。と、ここで「あれっ?」と思うのが仏教について。いまやヒンドゥー教徒が約80%も占め、仏教徒はたった1%にも満たないものの、インドといえば、仏教発祥の地。何も触れられていないのかと思いきや、やはりそんなことはなかった。中央の丸い紋様には、仏教を象徴する「チャクラ」(サンスクリット語で車輪、円の意)があり、この国での堂々たる威厳を見せている。インドの国旗が制定されたのは1947年の独立時。独立運動の指導者マハトマ・ガンディーが、スワラージ(自治・独立)の象徴として使用した旗が元になっているのだ。  このように、国旗を細かに見ていくと、その国の深い部分が見えてくる。ヨーロッパにはなぜ3色旗が多いのか? ネパールの国旗はなぜ三角を2つ合わせた形をしているのか? また、インドネシアがモナコと同じデザインの国旗を使い続けている理由とは――?  国旗のことを知れば、世界のことがよくわかる! もちろん、日本の国旗についても書かれているので、その由来をぜひ知っておきたい。 (文=上浦未来) ●博学こだわり倶楽部 互いの知識を競い合う博学集団。メンバーは常人が気にもとめない世の森羅万象にこだわり、その解明のために東奔西走して追求している。著書には『絶対にすべらない雑学の鉄ネタ』『常識として知っておきたい科学50の大発見!』『金 知っておきたい大切な知識』(すべて河出書房新書)ほか多数。

「傀儡政権って言うな!」日中戦争が生み出した怪しいワールド満載本『ニセチャイナ』

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『ニセチャイナ―中国傀儡政権 満洲・蒙疆・冀東・臨時・維新・南京』(社会評論社)
 “誰得”な奇書を世に問い続ける社会評論社から、またまたとんでもない本が出版された。名付けて『ニセチャイナ―中国傀儡政権 満洲・蒙疆・冀東・臨時・維新・南京』。  まず、書店に平積みにされていれば、誰もが手に取ってみたくなりそうな表紙のインパクトがものすごい。本文中に登場する人物たちの顔写真をコラージュするという手法、これを使って大成功した本といえば、平岡正明の『西郷隆盛における永久革命 あねさん待ちまちルサンチマン』(新人物往来社、1973年)を思い出す。表紙で遊ぶ本は、編集者の自信の表れ。すなわち、相当濃い内容になっているのは間違いない。  そして、本書もまたそのセオリーの通りだった。本書で扱われているのは、日中戦争中に中国各地に生まれた、いわゆる「傀儡政権」である。要は、日本軍が占領した地域に誕生した、インチキくさい政府の興亡を追ったものである。蒙古聯合自治政府とか中華民国臨時政府とか、果ては上海市大道政府など、高校の世界史の授業じゃ、まず触れない事項である。漠然と、日本軍が占領地域を支配するために誕生したインチキ政権のように認識されている、これらの政府。ここに関係した人々は、戦後になり日本軍に協力した「漢奸」(対日協力者)として処刑された者も多い。  だが、そこには一筋縄ではいかない事情があった。なにせ、日本軍に占領されても、住んでいる人々には日々の生活はある。かといって、軍隊では警察活動や行政サービスまでは、手が回らない。そこで、地域の有力者が恭順の意思を示して、行政機関として立ち上げたのが、これらのインチキ政権なのだ。このインチキ政権、日中戦争が泥沼化すると、なんと「我々は中国の正統政権だ!」と言って、日本と本気で和平を結ぼうとしていた。その政権の内部はというと、ものすごくドロドロで、純粋に日中の平和と民衆のためを思う人もいれば、敵国日本の顔をうかがいながら、なにがしか利益を得ようとするもの。密かに重慶政府に渡りをつけている者まで……。そこは、多くのフィクションの題材になってきた戦前の満州、上海に匹敵する、怪しさが満ちていたのである。  そんな怪しさを心ゆくまで理解して一冊の本にまとめるとは、相当の「奇人」か「数寄者」に違いない。と、取材の依頼をしたら、なんでも地方在住とか。ならば、電話取材をと思ったら、社会評論社の濱崎誉史朗氏から「いや、ぜひ一度、日刊サイゾーに出てみたかったそうなので……」ということで、上京されるタイミングで会うことになった。  こうして、対面取材とあいなった著者の広中一成氏。「日刊サイゾーに出てみたかった」というのは、別にリップサービスではなく「サイゾー」「ブブカ」「実話ナックルズ」を愛読しているというから、やっぱり「奇人」か「数寄者」の類いであった。  しかし、全身から「奇人」な雰囲気を醸しているわけではなく、非常に謙虚な人物である。最初、筆者が「サブカル本みたいな表紙なのに、学術書っぽいですね」と言ったところ、「いや、学術書じゃなくて一般書ですよ。だって、論文の形式から外れているので」と、言うのだから。  そんな広中さんは、愛知大学大学院出身。愛知大学といえば、戦前に上海にあった東亜同文書院の系譜を受け継ぐ、特殊な伝統校(戦前に日本の中国侵略に協力したとされ、戦後、日本で再興する時に名前をそのまま東亜同文書院大学にしようと試みるも、軍国主義復活を警戒したGHQによって阻止された。なので、法的にはつながりはないが、愛知大学の見解では東亜同文書院が母体となっている)。まさに、中国研究のエキスパートというべき人物である。  広中さんが、これらの怪しげな傀儡政権を研究テーマに選んだのは、修士課程の時。実証を重んじる歴史研究で、なぜか最初から「傀儡政権」という主観的なレッテルが貼られてしまっているという「憤り」が、このテーマに興味を持ったきっかけとのこと。なんでも、汪兆銘政権などは既に研究している人がいるので、ならばまだあまり研究の進んでいないところをと考え、冀東防共自治政府をセレクトしたのだそうだ。  研究テーマを選ぶだけなら、誰でもできる。驚嘆するのは、そこからの情熱である。
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著者の広中一成氏
 例えば、近年、日中戦争中の中国人による日本人虐殺事件としてクローズアップされるようになった「通州事件」の現地も訪問し、跡地がどうなったかも、くまなく見てきたのだとか。この事件、本書でも扱われている冀東防共自治政府のあった通州が舞台になったものでもある。とはいえ、わざわざ現地を訪れてみるとは、あまりにも情熱がありすぎる! 「当時と、街路があまり変わっていないので、昔の地図を頼りに歩けば簡単に事件の現場にたどり着くことができるんです。当時、死体を埋めたという場所が、現在は病院になっていたりして……」  ……通州訪問談は、ずいぶん続いたが、ネトウヨしか注目しなさそうなので、自粛しておこう。ちなみに、通州の町は現在、北京のベッドタウンとして栄えているのだとか。  現地を訪問するだけでなく、資料収集も熱心だ。本書には、多数の図版が使われているが、それらのほとんどは広中さんが収集した写真資料・絵はがきを利用したもの。さらに、取材の時にはネットオークションで落札した、勲章まで持参してくれた。  こうした情熱を支えるのも、やっぱり広中さんの怪しいもの好きである。 「正義の味方ぶっている人は、あまり好きじゃないんですよね。怪しい人を見るとゾクゾクしてしまうんです。なんで、こうなっちゃったのか、とね」  今回、広中さんが記述した数々のインチキ政権だが、日本軍に協力していたという事情もあってか、国内にも豊富な資料があり、未解明な部分も多く、研究材料にはうってつけなのだとか。また近年、研究が進む中で「漢奸」のレッテル貼りをはがす努力が進んでいるという。  いわば、今回の本は、そうした研究に興味を持ち、歴史の認識を改めるきっかけにもなる入門書といえるだろう。 「できることなら、この本を多くの学生の方に見てもらって、傀儡政権のあった当時の歴史に関心を持ってほしいですね」というのが広中さんの願い。さらに、研究を進展させるべく、広中さんは今年も中国を訪問する予定だという。……きっと、戦前なら馬賊か大陸浪人になっていたところだろうね。  なお、取材の翌日に本書の発刊に合わせ紀伊國屋新宿本店で開催された「ニセチャイナフェア」を見物に行ったところ、フェアの様子を心配そうに見に来ていた広中さんと再会した。ちょうど、本棚に並んでいた『黒旗水滸伝』(かわぐちかいじ・竹中労/皓星社、2012年)の名シーン……杉山茂丸が頭山満に、大陸狭しと暴れ回ってくれる若者として、小日向白朗・岩田富美夫・江連力一郎を引き合わせたところ、頭山が「悍馬一匹つけてやろう」と伊達順之助を紹介するというシーンで「ねえよ!」としばし盛り上がったのである……(きっと、これで盛り上がれる人が日本にあと100人はいると筆者は信じている)。  近年、どういう社会情勢の結果なのか、軍歌イベントにも、女子が急増中である。きっと、来年あたりには「殷汝耕萌え」とか、「ジェスフィールド76号萌え」女子も誕生し、コミケには女馬賊・中島成子のコスが登場すると願ってやまない。 (取材・文=昼間たかし)

メジャーとインディーが拮抗した奇跡の年を活写 映画スター・金子正次が輝いた『竜二漂泊1983』

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谷岡雅樹著『竜二漂泊1983 この窓からぁ、なんにも見えねえなあ』(三一書房)
 俳優・金子正次を覚えているだろうか? 1983年10月29日に初主演映画『竜二』が劇場公開され、主人公であるヤクザ者の竜二を演じた金子正次はスクリーンの中で生まれたてのスターとして眩しい輝きを放っていた。『竜二』を観た誰もが松田優作に続くニュースター・金子正次がこれから映画界で大活躍する姿を夢想して興奮した。しかし、多くの観客が脳裏に思い描いたその夢は叶うことはなかった。『竜二』公開直後の11月7日に金子正次は胃ガンのために33歳の若さでこの世を去る。流れ星のように瞬間的な輝きを残して時代を駆け抜けていったスターだった。『竜二漂泊1983 この窓からぁ、なんにも見えねえなあ』(三一書房)は映画評論家・谷岡雅樹氏が公開から30年を迎えた映画『竜二』の色褪せぬ魅力と金子正次がほんの短い期間だがスターとして輝いた“1983年”という時代の特殊性について、400ページ以上にわたって言及した渾身の映画評論となっている。  『竜二』は小市民としてのささやかな幸せにすがりながら生きていくことのできない哀しい男の物語だ。竜二(金子正次)は新宿一帯で顔を利かせているヤクザ者で、舎弟の直(桜金造)とひろし(北公次)に闇ルーレット場を任せ、すこぶる羽振りがいい。だが、冷酷なヤクザにはなりきれない心根の優しさがどこかに漂う。妻のまり子(永島暎子)と幼い娘・あや(金子桃)のために足を洗うことを竜二は決意。カタギの人間として毎月給料をもらう地道な生活を送り始める。竜二が狭いアパートで幸せな日々を噛み締める一方、ヤクザ時代の仲間・柴田(菊地健二)がシャブ中毒で命を落とし、直もシャブに手を出して身を崩していく。だが、竜二は自分の家庭を守ることが精一杯でどうすることもできない。『竜二』のラストシーンは日本映画史に残る名場面だ。仕事を終えた竜二がアパートへ帰ろうとすると、商店街のバーゲンセールの行列に並んでいるまり子とあやの姿が目に入る。慎ましい生活を守るためにバーゲンに並ぶ妻と娘を見てしまった竜二は、無言のまま自分が帰るべきアパートとは逆方向へと足を向けてしまう──。  『竜二』の公開当時、このラストシーンは「小市民になれなかった竜二はヤクザ社会へ戻っていく」と受け止められていた。だが、『竜二漂泊1983』の著者・谷岡氏は「そうではない」と断言する。竜二は一般市民にもヤクザにも、どちらにもなれなかった男なのだと。何者にもなれなかった男の物語ゆえに、今なお谷岡氏は猛烈に心を揺さぶられ続けている。谷岡氏は大学浪人中に『竜二』に出会った。谷岡氏もまた、何者かになりたくて地元・北海道から出ていく。大学には進学せず、映画の世界にのめり込み、大阪、そして東京でレンタルビデオ店などに勤め、さらにVシネマ評論家として執筆活動を開始する。『竜二』の劣化コピーのような作品が粗製濫造されるVシネマを評論する行為を「好きで嫌いで、たまらない」と毒づきながらも、評論活動を続けている。竜二がヤクザにも小市民にもなれなかったように、映画評論家や映画ライターという職種の人間もまた、映画屋にも作家にもなれずにいる人々だ。谷岡氏は初めての著書『Vシネマ魂』(四谷ラウンド)を自身が監督となって映画化しようと奔走するが、映画版『Vシネマ魂』は思うような形には完成せず、谷岡氏は体を壊し、映画製作に協力した仲間たちは去っていく。谷岡氏は金子正次になろうとして、失敗した。そして、命を散らす代わりに『竜二漂泊1983』を書き上げたのだ。  『竜二』が公開された1983年はメジャーとインディーズが拮抗して火花を散らし合った奇跡的な年だったと谷岡氏は振り返る。1980年代前半、日本映画は確実に衰退の道へ向かっていたが、大島渚や深作欣二ら巨匠たちは円熟の境地に達し、その一方では森田芳光が『家族ゲーム』(83)で頭角を現わし、後に『おくりびと』(08)でアカデミー賞外国語映画賞を受賞する滝田洋二郎ら若手監督たちがピンク映画から一般映画へ進出してくる。石井聰亙(現在は石井岳龍)、長谷川和彦、高橋伴明、相米慎二、井筒和幸、池田敏春ら気鋭の監督たちが「ディレクターズ・カンパニー」を立ち上げたのもこの時期だ。そして、低予算自主映画として完成した『竜二』は都内の名画座支配人たちに後押しされ、東映セントラル配給で全国公開される。面白いもの、本物を作りさえすれば、インディーズだろうがメジャー作品と同じように評価されると信じられていた時代だった。だが、やがてその熱気はバブルの騒乱の中へと取り込まれていく。  金子正次は同年生まれのスター・松田優作の背中をずっと追い続け、ほんの一瞬だけ『竜二』の成功によって肩を並べることができた。そして、金子の死を病室で看取った松田も6年後には帰らぬ人となる。ハリウッド進出作『ブラック・レイン』(89)が大ヒットしている最中の訃報だった。金子も松田も病気を隠して映画に出演し、命と引き換えにスクリーンの中で輝きを放った。2人の命日は奇しくも同じ11月6日だ。金子とは劇団仲間で、柴田役を演じた菊地健二も87年に亡くなっている。『竜二』、そして『竜二』の舞台裏をドラマ化した『竜二フォーエバー』(02)に出演した松田優作の付き人・前田哲朗も、舎弟・ひろしを演じた北公次も亡くなった。谷岡氏はさらに書き綴る。『竜二』以前、それまでの任侠映画から実録ヤクザ路線への舵を切った深作欣二は『バトル・ロワイアルII』(03)の撮影中に息を引き取った。深作とのコンビで知られる脚本家・神波史男は谷岡氏に文筆活動のきっかけを与えてくれたが、その恩人ももういない。みんな、映画という魔物に魅入られ、映画を輝かせるために自分の命を削って散っていった殉職者たちだ。『竜二漂泊1983』はエンターテイメントの世界に身を投じ、そのまま彼岸へと渡ってしまった人々の名前を刻んだ紙の墓標でもある。  『竜二』公開時の熱気を知る世代にとって、今の日本映画界は荒涼とした砂漠のように感じられる。劇中で竜二が呟く台詞、「この窓からぁ、なんにも見えねえなあ」という状況ではないか。もっぱらテレビ局が主導する「製作委員会方式」は映画が失敗しても誰もリスクを負わずに済むように生み出されたシステムだ。製作サイドがリスクを負うことはないが、観客の心に強烈な爪痕を残すこともない作品が次々と作られていく。『竜二漂泊1983』を読みながら、もう一度夢想してみる。もしも金子正次がその後も生きていたら、日本映画の風景は変わっていただろうか。テレビ局主導映画に背を向けて、インディーズ映画を作り続けただろうか。それともボロボロになりながらメジャーシーンで格闘を続けただろうか。  『竜二』で監督デビューを果たし、金子正次が亡くなった後も金子が残した脚本を原案にした『チ・ン・ピ・ラ』(84)を撮り上げて人気監督となった川島透だが、『押繪と旅をする男』(94)を最後に新作映画を撮っていない。だが、川島は金子が脚本を書き残して映像化されずにある『盆踊り』の映画化を諦めていないという。『竜二』をめぐる伝説はまだ終わってはいない。 (文=長野辰次)

白い髪に白い肌……差別を受け続けるアルビノ患者の日々とこれから『アルビノを生きる』

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『アルビノを生きる』(河出書房新社)
 表紙には、白い肌と、サラサラの白い髪の子どもたちの写真。透き通るようなその外見は「まるで天使みたい」という比喩がピッタリだ。あたかも北欧の子どもたちと見紛う彼ら、しかしこの子どもたちはれっきとした日本人であり、「障害者」である。  ジャーナリスト・川名紀美による著書『アルビノを生きる』(河出書房新社)は、生まれつき色素が足りないアルビノたちの生活に密着したノンフィクションだ。  アルビノは、正式には「白皮症」と言われ、1~2万人に1人の割合で生まれる遺伝性疾患。白い肌、白や金色の髪の毛、そして青や茶色などの目を持つ。外見的な特徴だけでなく、メラニン色素が足りないために、弱視の症状が現れたり、強い日差しを浴びるとやけどによって皮膚が腫れ上がる。また、一部には、血が止まりにくくなったり、肺線維症(肺が硬くなり、呼吸不全が起こる)となる「ヘルマンスキー・パドラック症候群」という症状に苦しめられる患者もいる。    外見的な特徴からいじめを受けたり、偏見のまなざしを浴びる。弱視から勉強についていけない。アルビノ患者たちの人生には、さまざまな障害が待ち受けている。しかし、本書が明らかにしているのは、そのような負の側面ばかりではない。この10年ほどで、アルビノ患者を取り巻く環境は大きく変わりつつある。インターネットや、患者たちの集まりを通じて、アルビノの人々がアルビノとして前向きに生きようとする姿こそが本書の特徴だ。    中でも精力的に活動を行っているのが、本書でも中心的に描かれている石井更幸。アルビノ患者として千葉県の袖ヶ浦市に生まれた石井は、インターネットサイト「白い旅人」(http://www.geocities.jp/nizaemon77310/)を運営し、当事者としてアルビノの情報を精力的に発信している。オフ会も定期的に開催し、孤独に生きてきたアルビノ患者たちに情報交換の場を生み出した。  子どもの頃からクラスメイトによるいじめを受けてきたり、不利な就職を強いられてきた石井。祖父は、彼が生まれた時に「世間に対してみっともねえ」と言い放ち、次兄は弟を「白ブタ」と呼んだ。石井は、大人になって、親族が彼を「潰す」ことを検討していたと知らされる。しかし、持ち前の好奇心で南極旅行にまでチャレンジ。アルビノであることを誇りに思い、「アルビノでよかった」と自分を肯定しながら生きている。  もちろん、すべてのアルビノ患者がそうであるというわけではない。髪を黒く染め、目立たないように、ひっそりと生活を送るアルビノ患者も多い。石井がホームページを開設すると、「ひっそりと生きているのに、自分たちに注目が集まるような振る舞いはしないで」「こんなホームページはやめてほしい」と、アルビノ患者からのメールも受けた。  だが、近年では石井らの活動が実り、アルビノとして生まれた子どもに「どうせ見られるんだからかっこよく」と鮮やかな色の服装にサングラスをかけさせる親も現れ、通りすがりの人々は「ベビー服のモデルみたい」と、子どもをはやし立てる。「世間に対してみっともない」「先祖が悪いことをした報いだ」と言われ、世間から姿を隠さざるを得なかった過去に比較すれば、アルビノを取り巻く状況は大きく変化している。  水泳選手としてパラリンピックを目指す者、寺の住職として仏と向き合う者、大学院に進学し、障害者と健常者をつなぐ研究を行っている者、健常者とほとんど変わることなく、さまざまな世界でアルビノ患者たちは活躍をしている。  正確な数字は把握されていないものの、1億3000万人の日本人のうち、おそらく1万人あまりがアルビノとして生活している。アルビノ患者は肌が焼けてしまうために、強い日差しの下に出ることができない。だからといって、彼ら1万人の人生までをも日陰に押し込める必要はないはずだ。 (文=萩原雄太[かもめマシーン]) ●かわな・きみ 1947年生まれ。70年に朝日新聞社入社。大阪本社学芸部、社会部を経て論説委員。社会福祉全般、高齢者や子ども、女性の問題に関する分野の社説を担当。2009年退社。現在、フリージャーナリスト。

ポテチは、酒やタバコの依存症と一緒!?『ポテチを異常に食べる人たち』

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『ポテチを異常に食べる人たち』(WAVE出版)
 時々、なんだか無性に食べたくなるポテチ。ひとたび袋を開けてしまえば、ポリポリパリパリ……わかっちゃいるけど、手が止まらない。気づけば中身は空っぽで、“ヤバイ、胃がめっちゃもたれてる……!”なんてことも。  とはいえ、普通の人ならば時々食べたくなる程度だと思うのだが、『ポテチを異常に食べる人たち』(WAVE出版)に登場する人たちは、まさに“ポテチ依存症”とも言うべき、ポテチへの依存っぷりを発揮している。  小柄で赤いヒールの似合う、美人のKさん(都内在住、28歳会社員)いわく、 「ポテチを食べると、口に入れた瞬間、脳から“何か”が出たー! という実感があって……(中略)。一言でいえば、『おいしいというより、気持ちいい!』という感じで、恍惚状態になれるんです」 とのことで、1日2~3袋は平らげ、仕事でイヤなことがあった時などには飲むようにガーッと食べたくなって、口の中に流し込んでしまうのだという。  また、元保険外交員の主婦で、言葉遣いも丁寧で会話上手なNさんは、 「発病するのはいつも、子どもに添い寝してもうすぐ寝つくというころ。体の奥底からものすごく強烈なイライラした感情がどっと吹き出してたまらなくなる。『もうダメだ!! むしゃくしゃした気持ちを思いっきり吹きっ飛ばしたい!!』という衝動で狂いそうになるんです。ただ、夜中に子どもを置いて遊びに出るわけにはいかないでしょう?(中略)財布をガシッとつかんで、歩いて3分のコンビニに駆け込み、ポテチとチョコレートを買い込むんです」 と語り、旦那さんが帰宅する深夜2~3時まで、ポテチを片手にテレビやDVD、コミックの世界に没頭するという。彼女たちにとって、スナック菓子がまるで酒やタバコのような役割になってしまっているのだ。  著者の幕内秀夫氏は、過激な切り口で現代の食文化を切り取り、世の中に警告を鳴らしてきた管理栄養士。スナック菓子のことを、やめたくてもやめられない緩やかな“ドラッグ”として位置付け、“たかが、ポテチの食べ過ぎでしょ?”という見方を払拭しようとしている。  ポテチ依存症とはなんなのか。どうして依存してしまうのか――。そもそも、ポテチを食べ始めたらやめられない、止まらない理由はなんなのか?    ご飯を抜いてでも、1日に何袋もポテチを食べないと気が済まない! という人は、ひょっとしたら、すでに依存症……かも!? (文=上浦未来)   ●まくうち・ひでお 管理栄養士。東京農業大学栄養学科卒業。フーズ&ヘルス研究所主宰。その土地ならではの食文化を生み出した風土・文化・歴史などを調査し「FOODは風土」を実感、提唱。帯津三敬病院において食事相談を行うほか、全国各地の社員食堂や学校給食の改善活動にも奔走中。近著に『夜中にチョコレートを食べる女性たち』(講談社)、『変な給食』(ブックマン社)、『子どもが野菜嫌いで何が悪い!』(バジリコ)、『なぜ、子どもはピーマンが嫌いなのか?』(西日本新聞社)などがある。

神様相手にひとり相撲!? 日本の“ヘンな島”を訪ねる『珍島巡礼』

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『珍島巡礼』(イカロス出版)
 島国、ニッポン!     この国には、一体どれぐらいの数の島があるのだろうか? 大きく見れば日本全部が島なのだが、それはさておき、海上保安庁の島の定義を元に数えてみると、なんと6,429の無人島と418の有人島が点在している。  『珍島巡礼』(イカロス出版)は、この膨大な数の島々からディープな島を厳選した読み物であり、ガイドブックのような一冊だ。島に古くから伝わる、とんでもない伝統行事が行われている島、アクセスが超不便でなかなか行けない島、近代史が見えてくる歴史のある島など、観光スポット紹介というよりは、島の歴史や文化に迫っている。  個人的にかなり気になったのは、愛媛県大三島で600年続く、神様を相手に相撲を取る「一人角力(ひとりずもう)」という神事。パッと見は“エア相撲”なのだが、実は稲の精霊と戦っている。押したり引いたり、土俵際でギリギリ耐えたりする迫真の演技、いや、真剣な勝負が写真で細かく紹介されているのだが、この大真面目感がかえっておかしい。ちなみに3本勝負で、1勝1敗5分の末、最後の大一番で神様が勝利する。力士は役場の職員で、仕事の後にちゃんと練習しているらしい。  また、長崎県の福江島では1月の第3日曜に「ヘトマト」と呼ばれる珍祭があり、これが本当に珍行事のオンパレード。神社境内で奉納相撲を行い、鉦(しょう)と呼ばれる打楽器を打ち鳴らし町内を練り歩くところまでは厳かな雰囲気なのだが、ここからが奇祭モード全開。まず、晴れ着姿の新婚の女性2人が酒樽の上に乗り、“羽付き”を行い、次に身体に「ヘグラ」と呼ばれるすすを塗り付けた若者がわらで編んだ玉を激しく奪い合う「玉蹴り」、青年団と消防団に別れて豊作と大漁を占う「綱引き」と続き、最後に重さ300~400キロの「大草履」が登場し、神社へ奉納する。その途中、見物客の中から未婚の女性を次々と捕えてはその上に乗せ、何度も胴上げを行う。  分刻みで意味のわからないナゾ多き行事は続いていくので、総監督兼世話役は一日中大忙し。どうやら、もともとは別々にやっていた行事を一日に無理やりまとめたらしいが、起源も語源も一切不明で、ナゾに包まれているという。  本書にはこのほかにも、水道も航路もなく、現代とは思えぬ暮らしぶりの島やキリシタンの悲劇が伝わる島、映画・ドラマの舞台になった島、東京湾沿岸の人口島カタログなど、さまざまな角度から島が紹介されていて、島情報が盛りだくさん。  本州だけが日本じゃない! この本を手に、まだ見ぬディープな日本の島へ出かけてみては!? (文=上浦未来)

バカバカしくも、愛さずにはいられない!『変な協会~協会力が世界を救う!?~』

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『変な協会~協会力が世界を救う!?~』(メタモル出版)
 好きなこと、没頭できることは、人それぞれ。その対象は、食べ物かもしれないし、はたまたアニメやアイドルかもしれない。その“好き”な気持ちが募りに募って、“ひょっとして、こんなに好きなのは自分だけかも?”と思った瞬間、人は勢いあまって協会を作りたくなるらしい……?  『変な協会~協会力が世界を救う!?~』(メタモル出版)は、タイトル通り、マジメな協会を紹介する本ではもちろんない。著者の「日本キョーカイ協会」が、バカバカしさを身にまといながらも、その影響力に驚きと感動がある協会を厳選し、紹介している。  その中でも特に突出しているのが、日本合コン協会、日本ロマンチスト協会、日本鳩レース協会、日本おはじきサッカー協会、日本キャンディーズ協会、日本ふんどし協会、日本モダンガール協会、日本雨女雨男協会、日本唐揚協会の9協会。協会名を見るだけでも、なにやら圧倒されるものがあるが、各会長の口から飛び出す、驚きの活動内容やひと言の破壊力が、どれもすさまじい。  トップを切るのは、日本合コン協会会長、元タレントでグラビアタレントの絵音さん。最も活躍していた時期には、3年間で1000試合をこなしていたという合コンのプロ。時には1日3試合、1試合目は19時から銀行員、2試合目は22時からテレビ局の人、3試合目は深夜2時から芸人と、ストイックに合コンをこなした。その結果、 「本当に東京はもうどこに行っても絶対知っている人がいるので、住みづらくなってますね。だから、最近地方とかに活動の拠点を本当に移そうかと(笑)」 だそう。絵音さんが協会を設立した目的は、なんと世界進出。夢は「合コンワールドツアー」というから、話はデカい。実際に、台湾市内で街コンを開催し、100人以上もの参加者を集める大成功を収め、着々とその野望を果たしているというからすごいではないか。  また、「日本ふんどし協会」の中川ケイジ会長は、ふんどしオンリーで生活している。かつて、日々の激務で体調を崩した時に、ある人からふんどしを強く勧められ、騙されたと思って試しに履いてみたところ「これだ!」とピンと来たという。ものすごく気に入り、“ふんどし商売”を考えるうちに、病は気からで、なんと回復することができたという……。現在、「1億2000万人 総ふんどし化計画」を打ち上げ、ふんどしの普及に努める。その活動の一環として、「ベストフンドシスト」なる賞まで制定し、2013年には、壇蜜が仲間入りしていることも、お伝えしておかなければならない。  このように変な協会は、知らず知らずのうちに、日本、いや、世界を元気にしているのだ。すごいぞ、変な協会力!    本書ではこの9つの協会以外にも、多数の変な協会を紹介し、その名(迷!?)言をまとめ、変な協会カタログまで作成しているので、これを読めば、変な協会のすべてが分かる。ぶっ飛んでるけど、知る価値アリ。変な協会、バンザイ! (文=上浦未来) ●日本キョーカイ協会 日本に増殖中の“協会”に着目し、そのマニアックな世界を探索&応援&世に知らしめるべく設立。会長・杉山ジョージ、GM・オカヒデキはWebラジオ局で放送中の番組『キョーカイ協会』の構成&MCを務める。 『変な協会~協会力が世界を救う!?~』(メタモル出版)は、タイトル通り、マジメな協会を紹介する本ではもちろんない。著者の「日本キョーカイ協会」が、バカバカしさを身にまといながらも、その影響力に驚きと感動がある協会だけ厳選し、紹介している。