説教臭い山場があるのに、スポ魂形相と謎解きが悩ましい『リミット』

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『リミット』(すえのぶけいこ、講談社)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてけぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史にさんぜんと輝く「迷」作を、ひもといていきます。

 このところ、子どものいじめがいっそう社会問題化している。いじめられる方の苦悩やいじめる方の心の闇について論じるのはほかの方に譲るとして、いじめの本質とは何かを考えてみよう。いじめは、いじめる側が「こいつはいじめてもいい奴」「こうされても仕方がない奴」と判断するから起こる。つまり自分の立ち位置、相手の立ち位置を勝手に決めてしまっているのだ。もちろん自分が上位である。人ってホントに都合がいいな。

 しかしその立ち位置を逆転させたら、どうなるか。それが『大奥』(白泉社)である。……間違えた。『リミット』(講談社)である。

 この話は、合宿所に向かう、とある高校のクラスの生徒たちが乗っているバスが谷から転落してしまうところから本格的に話がスタートする。クラスには生き生きと高校生ライフを楽しむ女子たちや、いじめられっ子がいた。そんな人間関係を描いた後に起こった事故。生き残った数人の生徒たちが、なんやかんややりながら、救出されるまでを描く。

「枯れてもいい、美魔女はしんどい」林真理子が「婦人公論」で意外な持論を展開

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「婦人公論」11月7日号(中央公論新社)

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の表紙は、国民的アイドルの木村拓哉です。現在、月9ドラマ『PRICELESS~あるわけねえだろ、んなもん~』(フジテレビ系)に主演しています。一時は好きな男日本一として君臨していた彼も、今月13日には40歳の誕生日を迎えます。ドラマでジャニーズの後輩のKis-My-Ft2・藤ヶ谷太輔と並ぶと、肌の質感があまりに違うんで、「ああ年とったなー」と物悲しい気持ちにさせられます。

 でもね。確かに「今」という“点”で見れば、アイドルとしては凋落しつつあるかもしれません。しかし、“点”でなくて “線”で見れば、これほどの息の長いスーパーアイドルは後にも先にもいないでしょう。グループ結成から24年、デビューから21 年。この「婦人公論」でのインタビューで、木村は、以前は「キムタク」というアイドルでいることに居心地の悪さを感じていたと語っています。

「アイドルという存在は、いわば“人形”。でも、人形なりに努力もしているし、悔しい思いもしているし、喜びも感じているんです」

 「アイドルは使い捨て」という従来の定説を変えたSMAP、そして木村拓哉。これまでの時間を思うと、実に感動的です。 背後にどんなキャリアがあろうと歴史があろうと、「今」がダメならダメだという考え方もありますが、そうでない見方があってもいいんじゃないか。テレビで見るより美しいキムタクのグラビアを見つめてそんな気持ちにさせられました。

<トピック>
◎木村拓哉 僕は何者でもない
◎特集「不安な時代だから働き続けたいあなたへ」
◎工藤美代子×林真理子「男女の愛はなくなっても夫婦には情があればいい!?」

早稲女(ワセジョ)に見る「優れている人の方が自虐的で迷走してる」という病

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『早稲女、女、男』/祥伝社

 早稲田大学に在学中の女子大学生、またそのOGを意味する「早稲女(ワセジョ)」。「男勝り」「自意識過剰」「負けん気が強く、プライドが高い」「自虐ネタに走る」「酒豪」といった、ある意味「女離れ」した存在として知られる早稲田の女たちは、「早稲女」というレッテルを貼られ、「男」「女」につぐ“第3の性”とまで言われている。

 作家の柚木麻子さんが上梓した『早稲女、女、男』(祥伝社)は、早稲女・香夏子が、脚本家志望(しかし書き上げた作品は未だなし)の先輩・長津田との恋愛で悩む姿を、立教大学、日本女子大学、学習院大学、慶應義塾大学、青山学院大学の女子大学生たちの目にどう映るかを描いた連作短編集。「私は早稲女に憧れているんです」と語る立教大学出身の著者・柚木麻子さんに、「早稲女とは何者なのか」「早稲女の魅力とは」そして、早稲女を通して見えてくる、レッテルを貼られた女の葛藤についてお聞きした。

彼氏ぐらい12日間もあれば作れるっしょ、「Ray」がクリスマスを前に読者を喝破

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「Ray」2012年12月号/主婦の友社

 もう今年も、残すところあと2カ月。この1年の出来事にしみじみと思いを馳せながら「Ray」12月号をめくると、目次には「優秀! 絶賛! ときめきコート最終便」「シーン別ハイテンションBag図鑑」「ミニでプチ盛りな勝負服着回し31Days」「育てる! 作る! 恋愛力UPなまつ毛のすべて」など、アゲアゲな見出しが乱舞! 「バカヤロー!! まだ2012年は終わらないぞー!!」と、左頬をぶん殴られたような気持になりました。そう、11月とは、来るべき「12.24(イチニーニーヨン)」に向けて、ハッスルにつぐハッスルをしなけれないけない時期。女子大生読者にとって、「彼氏とロマンチックなクリスマスを過ごせるか否か」は死活問題なのです。この時期特有の、「今期こそボーナスは満額出るのか」という心配、「帰省して親にあれこれ言われるのがしんどい」という憂鬱、「あっという間に1年が過ぎ去った」という虚無感なんて、彼女たちには一切ありません。遠い遠い過去に置いて来た「クリスマスを楽しみにする気持ち」を、チャリに乗って全速力で取りに戻りつつ、「Ray」の2012年Xデイ闘争の様子を見ていきましょう!

<トピック>
◎ミニでプチ盛りな勝負服着回し31Days
◎ウィスパーPinkcessで叶うHAPPY DAY
◎男のコのアタマの中大研究

他人だから理解の努力をする――『うつまま日記。』が掴んだ家族の核心

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『うつまま日記。』(コンボ)

 起床は7時。授乳を済ませておむつを替え、そして赤ちゃんの顔を拭く。「顔を拭くことで赤ちゃんが朝だと気づくんですよ」と育児雑誌に書いてあったから。機嫌よく遊んでいる間に洗濯機に洗濯物を詰め込み、大人たちの朝ごはんの支度。食べようと思った途端に泣き出すわが子。冷めた味噌汁をかきこんで、さあ掃除。それまでは5日に一度、ガーッと掃除機かける程度だったのに。だって赤ちゃんに埃はよくないと、これまた育児雑誌にあったから。「外気に触れることで赤ちゃんは丈夫な体に……」ということで張り切ってお散歩、買い物、たそがれ泣きが激しいので、おんぶをしたまま夕飯作り。お風呂、ベビーマッサージ、あぁ耳掃除も爪切りもしないと。異常なテンションのまま「お母さん」の1日は過ぎていく。

 思えば母親業、特に子どもが小さいうちの母親という役割は、自分じゃない自分になりきらなければこなせないものだった。この頃の私にとって「お母さん」とは無意識なる“躁”状態で、当時のことを思い出そうとしても記憶がだいぶ抜け落ちている。もし、あの時なんらかのタイミングで張りつめたテンションが切れ、心が急降下していたら……その可能性は十分にあっただろう。私はかなり“完璧な母親”という幻影に支配されていた。

キラキラじゃない! ナチュラル系ママ雑誌「Neem」に見る「オーガニックネーム」という発芽

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「Neem」vol.5(徳間書店)

 ポカリスエットとか三井のリハウスとか、王道美少女CM枠に出てたのにいつの間にかナチュラリストになっていた一色紗英が毎号表紙を務める、ナチュラルなポリシーを貫くママのための雑誌「Neem」(徳間書店)。この雑誌のママモデルは、かつて“渋谷系”と呼ばれたカルチャーに属していた人たち。彼女たちは今、一斉にナチュラル志向をひた走っています。同時期にモデルだった神田うのや梅宮アンナが現在漂わせまくっているアーバンなアブラギッシュ感はゼロ! 「Neem」では、“質素な生活がイチバンだよね”感を全面に押し出しつつ、21万円のベビーカーや3万円の子供服が普通に紹介されてたり、拠点は中目黒やカリフォルニアだし、“欲はないけど金はあるのでいいものを買う”という、人として最高のサイクルを大爆発させてます。もともとの育ちが違うからマネのしようがねえわ! そんな「Neem」、生後7カ月の女児をもつママライターが読んでいきます!

<トピック>
◎私らしくママライフを送るための「マイ・ルール」
◎もっと朝活! 太陽のリズムで生きる
◎おしゃれママSNAP

「MORE」“27歳・彼氏なし”女子が陥る、妄想と現実の間のブラックホール

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「MORE」2012年12月号/集英社

 今月の表紙は「嵐」。これは「MORE」お約束の半期に一度のサービス企画。5人そろったインタビューもバッチリ掲載されてますので、ファンの方はどうぞナマ唾ゴックンでご覧ください。ちなみに今回のテーマは「ぼくらの家へようこそ」です。

 「MORE」のインタビューページは、それはもうあっぱれなほど、タレントさんのパブリックイメージそのままに再現されます。今号の嵐のページも、メンバーの部屋が再現されているのですが、「二宮和也の部屋=殺風景な中に鹿の首」「相葉雅紀=ウクレレとバスケットボール」「松本潤=モノトーンにおしゃれドクロ」「櫻井翔=デスクに洋書」「大野智=キャンバスに描かれた魚の絵とビールケース」と一分の隙もありません。そして5人が集まって男子カレー……あぁ仲良きことは美しきかな。

 これは嵐に限ったことではなく、「MORE」のインタビューに登場するタレントさんは男女問わず、この“妄想のゲージ”にガッチリと絡め取られます。もがけばもがくほど深みにはまる(=面白くなってしまう)恐ろしき「MORE」の妄想蟻地獄。これを老舗らしい安定感とみるのか、やりたい放題とみるのか、「MORE」は“妄想”と“現実”に高低差があり過ぎるので、今月はその辺りを入念にチェックしたいと思います。

<トピックス>
◎嵐 ぼくらの家へようこそ
◎もしも、綾瀬はるかが「恋するモアOL」だったら……!?
◎“27歳・彼氏なし”から脱出せよ!!

「ひよこクラブ」の荒ぶるレイアウト! 50人の赤ちゃんとうんちを並べる

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「ひよこクラブ」2012年11月号(ベネッ
セコーポレーション)

 今月の「ひよこクラブ」は、「赤ちゃん50人の健康うんち大公開」特集が話題になっています。「健康のバロメーターの一つであるうんち、だけど他の子のうんちを見る機会はない。そこで50人の赤ちゃんの健康なうんちを大公開。参考にしてね」という主旨の記事で、見開きページに50人の赤ちゃんが出したうんちの写真(広げた使用済みおむつを激写したもの)がギッチリ整然と並んでいます。その横には、出した赤ちゃん本人の顔写真が配置されているという、かなりショッキングな誌面展開! 卒業アルバムの顔写真の横にそれぞれが出した大便画像が載っているみたいな感じですよ! 保健所の冊子とかに、「健康なうんち」の写真が参考として載ってますけど、「このうんちは私がしました」みたいに顔写真までは載ってないんですよ。「顔写真いらなくね?」「さすがにひいたw」「うんちばかり見てたら吐き気がしてきた」など、全国のママたちがその動揺をネット上につづっています! 普段はおしとやかなのによくわからないポイントで突然生々しく語り出しみんなを驚かす「ひよこクラブ」、7カ月の女児をもつママライターが読んでいきます!

「ナプキンを振り回した男子を許せない」40代で読み返す女子校マンガ『櫻の園』

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『櫻の園』/白泉社

とおーいとおーい昔に、大好きだった少女マンガのことを覚えていますか。知らず知らずのうちに、あの頃の少女マンガが、大人になった私たちの価値観や行動に、影響を与えていることもあるのです。あの頃の少女たちと今の私たちはどうつながっているのか? 少女マンガを研究する慶應義塾大学の大串尚代先生と読み解いてみましょう!

<今回取り上げる作品>
吉田秋生『櫻の園』/「LaLa」(白泉社)掲載、1985~86年

 高校2年生までを共学で過ごした私が初めて「女子校」を体験したのは、高校3年生の時でした。親の転勤にともなって地方都市から東京に来た時に、初めて引越と転校、そして「女子校」を経験したのでした。

 「女子校」という空間は、まったくの未知の世界。しかも、私が転入した学校は小・中・高・短大まであり、その学校人生のほとんどを同じメンバーで過ごしている人たちも少なくないときた。すでに友人グループができ上がっているところに、高校生活最後の1年間だけ飛び込んでいくのは、もともと友達づくりが苦手な私には、相当な胆力が必要だったのでした。

 10代の女の子たちだけの空間とは、どんなものか。それは、居心地の悪さと心地よさとが同時にあるような場所でした。クラスメートのあけすけな元気の良さにあっけにとられ、その率直な大胆さについていけない時があると同時に、男子の目がない分だけ、どこか安心感もありました。私はというと、さすがに目立つ女の子たちのグループにはとても近づけませんでしたが、休み時間に教室の片隅で文庫本や同人誌を読んでいるような女の子たちとぽつぽつ話すようになってから、私の女子校生活が安定し始めたのを覚えています。

 ひとくくりに「女子高校生」といっても、いろんなタイプの女の子たちがいて、いろんな過ごし方を実践していました。あの学校で過ごす時間が長ければ、もっといろんな女の子と知り合えただろうし、この学校のことをもっと好きになっていたかもしれないと思えたのは、卒業式も近くなってのことでした。

東大一直線「プレジデントFamily」を成り立たせる、聖母信仰の恐怖

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「プレジデントFamily」2012年12月号
(プレジデント社)

 女性誌レビューにお久しぶりの「プレジデントFamily」(プレジデント社)が登場です。媒体資料によると、読者の平均年齢が男性43.6歳、女性39.5歳、男性の職業は会社員が圧倒的に多く65.8%、女性は52.7%が専業主婦です。さらに半数が戸建を持ち、住居エリアは首都圏が57.7%、世代年収は800万円以上が55%を占めます。スーパーセレブリティとはいかないまでも、そこそこに余裕がある家庭がメイン読者のようです。ヘルメットにゲバ棒振り回しながら「教育! 東大!」と叫ぶような過激なイメージの「プレジデントFamily」ですが、読者プロフィールには「お父さんが読んで、お母さんも読む。お爺ちゃんやお婆ちゃん、子供たちが読んでも面白い。そんな家族の真ん中に置かれる雑誌です」と、まるで一家団欒の中心にあるちゃぶ台のようなことが書いてありました。どっからどうみてもそうは思えませんが、真偽のほどはいかに?