友情の頂点と終焉、どちらもが一瞬のきらめきを持つ『奇貨』

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『奇貨』(松浦理英子、新潮社刊)

 『奇貨』(松浦理英子、新潮社刊)は、いい大人になったからこそコントロールするのが難しい、“友情”をめぐる小説だ。

 私小説作家・本田は、普通の男と同じように女が好きだが、性格もセックスも受け身を良しとする性質が災いして、生来まともに恋愛が続かない。それでも、同性といるよりは女性といる方が気楽で、「女同士のように女と友達付き合いをしたい」という傍から理解されにくい願望を持っている45歳。

 そんな本田にとっての数少ない友人の1人が、ルームメイトでもある、10歳年下のレズビアン、七島。鋭い観察眼や正直な物言いのせいか、こちらも長い間、決まった恋人ができないままだ。

ユーモア精神、無理っすわ~! 『夫とは、したくない。』の導く珍アンサー

『夫とは、したくない。~セックス
レスな妻の本音~』(ブックマン社)

 『夫とは、したくない。~セックスレスな妻の本音~』(ブックマン社)。センセーショナルなタイトルにドキッとする本書。10人のセックスレス妻が座談会で「夫としたくないこと」を本音で語りまくり、それらに対し、2万組のカップルの問題を解決してきた二松まゆみ先生が処方術を教えまくるという、夫婦円満対策本です。

 「なぜ、昨日の愛情が今日の殺意に変わるのか!?」とショッキングな帯文がついているんですが、結婚5年目の私、言ってる意味がわかります! 今まではそういった話を耳にする度、アタシたちもぉ、そうなっちゃうのかにゃ?」的な感じで夫に甘えるという、自分には関係がないどころか、むしろ夫婦関係の旨味要素として「夫に殺意が湧く」系の話は使用させていただいていました。

「正常位」を懇切丁寧に解説、真面目すぎる「日経ウーマン」セックス特集

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「日経ウーマン」2012年12月号/日経BP社

 前回、前々回に引き続き、「日経ウーマン」(日経BP社)12月号でも、やっぱりその表紙に一言言わずにはいられません。井上真央がその両肩に「恋愛&セックス白書」「心と体のアンチエイジング」の文字を背負う今月号。『キッズ・ウォー~ざけんなよ~』(TBS系)に心躍らせ、『花より男子』(同)に胸ときめかせた人たちとっては、あの井上真央が「日経ウーマン」表紙を飾り、「恋愛(セックス)」・「加齢」という、妙齢女子の2大キーワードに包囲されている姿に、隔世の感を禁じ得ないのでは。

 さて、製薬会社の広告塔のような「付録・ドラッグストア活用ガイド」を適当に読み流していたら、表紙の衝撃も落ち着いてきたので、早速、「働く女性660人の恋愛&セックス白書」特集を見ていくことにしましょう。

<トピック>
◎働く女性660人の恋愛&セックス白書
◎いつのまにか貯まる! 7つのお金習慣
◎心と体のアンチエイジング

“妊娠中でもヒールが履きたい”内田恭子に集約された、「Grazia」の精神

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「Grazia」2012年12月号(講談社)

 今月号の「Grazia」(講談社)、冒頭から濃厚なトピックで恐縮ですが、『女医が教える 本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)の著者としておなじみの宋美玄氏監修の「女医が本音で『女のカラダ』」を見てみましょう。「巷にはびこる勘違いの数々。“ご都合主義的自然志向”にご注意を!」とあるように、女性の体にまつわる都市伝説レベルのウワサや疑問を検証しています。

 「卵巣年齢を若返らせることはできますか?」「産み分けはできるのでしょうか?」といった高齢出産にまつわる相談から、「布ナプキンって、カラダにいいの?」という疑問まで細かに答えています。確かに「Grazia」読者を含む30代には、「布ナプキン讃美」「自然出産至上主義」「アンチピル」など女性のカラダを神聖視するあまりに極端な行動に出る人が多いですし、それらの人を作ってきたのはメディアでもあるので、ニュートラルな情報を提示するのはいいことだと思います。

叩き上げのおしゃPからお嬢様へ、「JJ」改革の鍵を握るのは “ママ”!?

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「JJ」2012年12月号/光文社

 現在「JJ」(光文社)にレギュラー登場しているのは、おなじみ紗栄子、なぜか吉川ひなの、JJ読者の等身大アーティスト西野カナ、そしてブロモの面々です。そんな中、今月の「JJ」で、ひっそりと最終回を迎えた連載「モリモトのモト」。アパレルブランド「KariAng Park」のプロデューサー・森本容子によるコーディネート講座ページです。森本は、いわゆる「おしゃP」と呼ばれる存在。「おしゃP」とは「おしゃれプロデューサーズ」の略で、「JJ」による造語です。アパレルデザイナー、プレス、プロデューサーなどの職業につく彼女たちは、「JJ」読者の憧れの存在として、2010年夏頃から「JJ」誌上で押されに押されまくってきました。しかし、最近その「おしゃP」の存在が、「JJ」誌上で消えつつあるのです。今の「JJ」に何が起こっているのか。詳しく見ていきましょう。

<トピック>
◎森本容子主宰「スタイル美人塾」 モリモトのモト
◎大学生のちょっぴり大人な通学コーデバイブル
◎ドキッ(はぁと)女子大ガールズの合コン→デート変装テク!

私たちは踊り疲れたコウメ太夫……「美ST」から聞こえる中年女性の悲哀

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「美ST」2012年12月号/光文社

 「美ST」(光文社)12月号の特集は、「40代の“たるまぬ”努力は美しい!」です。「40代は美しい」でも「たるまない人は美しい」でもありません。「たるまぬ(←もちろん“たゆまぬ”にかけている)努力は美しい」です。ここへ来て原点回帰というか、開き直りというか。思い出してください。私たち日本人は“努力こそ美徳”と親や学校から刷り込まれてきました。たまに「結果がすべて」なんて言う斜に構えたヤツがいますが、やはり結果がどうであろうと、努力が何よりもいちばん美しいんです。日本で美容整形が浸透しないのは、そのせいかもしれません。努力ナシに美しくなっても美しくない。美は結果でなく過程にある。努力、大好きですっ!

<トピック>
◎特集 40代の“たるまぬ”努力は美しい!
◎ママゎ私の美のライバル♪
◎日本の希望です 「働く母は美しい」

「生」と「性」に折り合いはつけられない、不妊症の主婦がセックスの果てに見た希望

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 (C)2012「ふがいない僕は空を見た」製作委員会

 第24回山本周五郎賞を受賞し話題をさらった窪美澄の小説『ふがいない僕は空を見た』(新潮社)が、気鋭・タナダユキ監督により映画化される。

 高校生の卓巳(永山絢斗)は、友達のつきあいで行ったイベントで、“あんず”と名乗る主婦・里美(田畑智子)と知り合う。2人は、アニメキャラクターのコスプレをして情事に耽るようになるが、その写真や動画を“あんず”の夫によってばら撒かれてしまう。

 実は“あんず”は、なかなか妊娠しないことを姑からなじられ、不妊治療や体外受精を強要されていた。その苦労を知ろうともしない夫には、身勝手なセックスを強要される。そんなつらい現実から目を背けさせてくれるのが、アニメの世界であり、卓巳とのコスプレセックスだったのだ。

 そんな2人を取り巻く、助産師としてさまざまな形の命の誕生を見守っている卓巳の母(原田美枝子)や、母を恨みながら痴呆症の祖母と2人で極貧の生活に耐える卓巳の親友・福田(窪田正孝)といった登場人物たち。彼らも、それぞれの思いや苦悩を抱えながら生きている。

 「夫婦とは互いを求め合うもの」「その結果かわいい赤ちゃんを授かるもの」そんなセックスへの思い込みを揺るがす、映画『ふがいない僕は空を見た』。「うまくいかない人生を、それでも必死に生きる人間を撮り続けたい」と語るタナダユキ監督の目に、「産むためのセックス」と「快楽のためのセックス」に揺れる登場人物たちは、どう映っていたのだろうか。

「Domani」が提唱する地味美人は、欲望を禁じさせた社会の産物

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「Domani」2012年12月号(小学館)

 「いつも心に『寅さん』を!」「華麗なる貧乏で行こう!」「まちゃあきパンツ」……これまで「Domani」がうんうん唸りながら生み出し、世間がスルーしてきた言葉はいくつあったでしょう。そんな中、今月「Domani」意気揚々とぶつけてきたのは、「地味美人」。今月号の特集は「“派手キレイ”より“地味キレイ”の時代です」。そしてこの地味美人という言葉の裏には、社会に抑圧された欲望のカタチが見え隠れしたと実感した次第でございます。それでは早速中身にレッツラゴー!

<トピック>
◎会って5秒で決まる…! “地味美人”vs“派手美人”ってこういうことです!
◎バブラー上司&ゆとらー部下の取扱説明書
◎産む? 産まない? する? しない?

プリプリも登場! 10周年の「STORY」が手放した“女のエグみ”と“生臭さ”

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「STORY」2012年12月号/光文社

 今号で「STORY」はめでたく10周年を迎えます。顧客層が完全にバブル世代からDKJ(団塊ジュニア)へと移り変わった感のある「STORY」。「所帯染みたことは一切考えず、カワイイ私を夢想する雑誌」だった同誌が、リーマンショックや東日本大震災をへて、ファッションも夫の経済状態を誇示するためのものから、自身のセンスやオリジナリティを問うものへと変わっていきました。表紙も中身も10周年のお祭りムード漂う中、みんな大好き林真理子センセイの連載「出好き、ネコ好き、私好き」も4ページ(通常は1ページ)と大盤振る舞い。40代女性における“激動の10年”に関して、さぞかし深いご考察をされているのかと思いきや……その内容はまさかの「マリコ、整形しちゃうかも宣言2012」。すごい。何のための増ページなのか、編集部の思惑一切無視。なんだか、筆者が真面目に考えていた冒頭部分がスベってるみたいに思えてきましたので、この辺りで今月のラインナップを。

<トピックス>
◎いま絶頂!40代は、10年前より10倍キレイになった!
◎被災地に笑顔を取り戻したいから、40代の今、もう一度、16年ぶりにプリンセスプリンセス
◎もう年末は始まっている!「冬のイベント服」アップデート講座

「早稲女=カセをはめられた女の記号」彼女たちの抱える葛藤とは

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photo by Dick Thomas Johnson Flickr

前編はこちら

――早稲女の自虐とは、他人に「負け」「欠陥がある」と判断されないように、先に自分で「私はダメだから」という烙印を押しているような気もします。

柚木麻子さん(以下、柚木) 「早稲女」という言葉は、早稲男(ワセダン)が早稲田の女の子を、粗末に扱う時に使う言葉でもあります。早稲田のサークルの飲み会では、本の中でも書いたように、お会計が「女の子は無料でオッケー、男と早稲女はサンゴーです!」となる。「早稲女は女に非ず」と言って、早稲男は早稲女を虐げているらしいんですよ。

――早稲女は女として認められない……。これまた、早稲女の自意識を揺さぶるような扱い方を……。